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特許7335442給電装置、マイクロ波管装置、給電方法及び給電プログラム
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  • 特許-給電装置、マイクロ波管装置、給電方法及び給電プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】給電装置、マイクロ波管装置、給電方法及び給電プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01J 23/34 20060101AFI20230822BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H01J23/34 A
H02J7/00 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022527510
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2021005522
(87)【国際公開番号】W WO2021240909
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2020093062
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 尚輝
(72)【発明者】
【氏名】中里 行平
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-111183(JP,A)
【文献】特開2008-234907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 23/34
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの供給電力を、カソードと前記カソードを加熱するためのヒータとアノードとコレクタとを備えるマイクロ波管に給電する給電手段と、
前記供給電力を蓄電し、前記供給電力の電圧が低下した場合に前記マイクロ波管に前記蓄電を行った電力である蓄電電力を供給する蓄電手段と、
前記供給電力の電圧が低下した場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止し、前記ヒータへの前記蓄電電力の供給を停止しない、給電切替手段と、
を備える給電装置。
【請求項2】
前記給電切替手段は、前記蓄電電力の電圧が閾値を下回った場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止する、
請求項1に記載された給電装置。
【請求項3】
前記給電切替手段は、前記蓄電手段からの前記供給電力の電圧が前記閾値を上回った場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を行う、
請求項2に記載された給電装置。
【請求項4】
前記給電切替手段は、
制御信号により前記アノードへの接続と前記接続の解除とを切り替える接続切替手段と、
前記蓄電手段からの前記供給電力の電圧が前記閾値を下回った場合に、前記解除を行わせる前記制御信号を前記接続切替手段に送付する制御手段と、
を備える、
請求項2又は請求項3に記載された給電装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記蓄電手段からの前記供給電力の電圧が前記閾値を上回った場合に、前記接続を行わせる前記制御信号を前記接続切替手段に送付する、
請求項4に記載された給電装置。
【請求項6】
前記アノードに供給する電圧の絶対値は、前記コレクタに供給する電圧の絶対値、前記カソードに供給する電圧の絶対値及び前記ヒータに供給する電圧の絶対値、のいずれよりも有意に小さい、
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一に記載された給電装置。
【請求項7】
前記アノードに供給する電圧は、ゼロ又はゼロ近傍である、
請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一に記載された給電装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項のうちのいずれか一に記載された給電装置と前記マイクロ波管とを備えるマイクロ波管装置。
【請求項9】
電源からの供給電力を、カソードと前記カソードを加熱するためのヒータとアノードとコレクタとを備えるマイクロ波管に給電する給電手段と、
前記供給電力を蓄電し、前記供給電力の電圧が低下した場合に前記マイクロ波管に前記蓄電を行った電力である蓄電電力を供給する蓄電手段と、
を備える給電装置において、
前記供給電力の電圧が低下した場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止し、前記ヒータへの前記蓄電電力の供給を停止しない、
給電方法。
【請求項10】
電源からの供給電力を、カソードと前記カソードを加熱するためのヒータとアノードとコレクタとを備えるマイクロ波管に給電する給電手段と、
前記供給電力を蓄電し、前記供給電力の電圧が低下した場合に前記マイクロ波管に前記蓄電を行った電力である蓄電電力を供給する蓄電手段と、
を備える給電装置において、
前記供給電力の電圧が低下した場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止し、前記ヒータへの前記蓄電電力の供給を停止しない、処理をコンピュータに実行させる、
給電プログラ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ波を増幅する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波管(「マイクロ波電子管」又は「進行波管」ともいう。)は、入力されたマイクロ波を増幅する装置である。例えば、特許文献1は、マイクロ波管の一種であるヘリックス型進行波管を備えるマイクロ波増幅装置を開示する。
【0003】
マイクロ波増幅装置は、電源電圧が低下しあるいは瞬断等により電力供給が停止されると出力の異常が生じる。そのため、マイクロ波増幅装置においては、コンデンサや二次電池等の電力(電荷)を蓄える仕組み(以下、「蓄電部」という。)により電源からの供給電力を蓄え、供給電圧の低下や停止(以下、単に「低下」という場合がある。)が生じてもある程度の期間は供給電圧に不足が生じないようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/151253号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背景技術の項で説明した蓄電部を設けたとしても、電源からの供給電圧の低下期間が長いと、蓄電された電力(電荷)が消費されることにより、蓄電部からの供給電圧に低下が生じる。そして、この電圧低下の進行が速いと、単にマイクロ波の出力に異常や停止が生じるだけでなく、マイクロ波管が備えるカソードを加熱するためのヒータ(特許文献1参照)に供給される電力の低下によりヒータ温度が低下する。ひとたびヒータの温度が低下すると、ヒータはある程度の熱容量がある物なので、所望温度に回復させるのに時間を要する。そのため、その後、電源からの供給電圧が回復したとしても、ヒータ温度を回復させる時間が必要なため、カソードが電子を正常に放出できるようになるまで時間を要する。
【0006】
この問題を緩和するためには、より蓄電量の大きい蓄電部を設けることが有効であるが、そのためには、より大規模な二次電池やコンデンサが必要になる。
【0007】
本発明は、蓄電部の大規模化を行わなくても、電源からの供給電圧の低下が生じた際に行われるマイクロ波管の立ち上げに要する時間を抑え得る、給電装置等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の給電装置は、電源からの供給電力を、カソードと前記カソードを加熱するためのヒータとアノードとコレクタとを備えるマイクロ波管に給電する給電部と、前記供給電力を蓄電し、前記供給電力の電圧が低下した場合に前記マイクロ波管に前記蓄電を行った電力である蓄電電力を供給する蓄電部と、前記供給電力の電圧が低下した場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止し、前記ヒータへの前記蓄電電力の供給を停止しない、給電切替部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の給電装置等は、蓄電部の大規模化を行わなくても、電源からの供給電圧の低下が生じた際に行われるマイクロ波管の立ち上げに要する時間を抑え得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のマイクロ波管装置の構成例を表す概念図である。
図2】本実施形態の給電装置の構成例を表す概念図である。
図3】実施形態の給電装置の最小限の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態のマイクロ波管装置は蓄電部の電圧を監視し、当該電圧の低下が観測された場合には、アノードへの電力供給を停止する。これにより、マイクロ波管内におけるカソードからコレクタへの電子流が停止するので、電力消費が大幅に抑えられる。そのため、電源からの供給電圧が低下した場合において、蓄電部からカソードを加熱するヒータに供給される電圧が設定値近傍に維持される期間を長くし、ヒータの温度低下を抑える。これにより、本実施形態の給電装置は、電源からの供給電圧が不足した場合の、復帰に要する時間を短縮する。
【0012】
図1は、本実施形態のマイクロ波管装置の例であるマイクロ波管装置400の構成を表す概念図である。また、図2は、図1の給電装置100の構成例を表す概念図である。マイクロ波管装置400は、給電装置100とマイクロ波管300とを備える。
【0013】
図1のマイクロ波管300は、例えば、特許文献1が開示するマイクロ波管のように、図示されないコレクタ、ヒータ、カソード、アノード及びヘリックスを備える。ここで、ヒータは、マイクロ波管の電子銃が備えるカソードから電子が放出されるようにカソードを加熱するためのヒータである。
【0014】
給電装置100は、マイクロ波管300に電力を供給するための装置である。給電装置100は、コレクタ端子、ヒータ/カソード端子、アノード端子及びヘリックス端子の各々に所定の直流電圧を供給する。これらの端子は、マイクロ波管300の、コレクタ、ヒータ、カソード、アノード及びヘリックスの各々に電圧を供給するための端子である。ここで、特許文献1の場合と同様に、ヒータとカソードへの電圧供給端子とは共通であることを前提としている。
【0015】
給電装置100は、図2に表されるように、直流化回路102、111及び112、整流素子106、インバータ104、107及び108、コイル105、トランス109及び110、抵抗113及び114、蓄電部103、制御部121及び接続切替部122を備える。
【0016】
給電装置100は、電源101から供給される電力により、マイクロ波管300に電力を給電する。電源101は、例えば50又は60Hzの一般的な交流電源である。電源101から入力された交流電圧は、直流化回路102により直流電圧に変換され、蓄電部103及び後段(右方)に供給される。直流化回路102は、例えば、ダイオードとコンデンサを備える一般的なものである。蓄電部103はコンデンサや二次電池を備える構成であり、当該直流電圧により蓄電される。インバータ104、コイル105及び整流素子106は、直流電圧の電圧を調整するために挿入されている。
【0017】
当該後段に供給された直流電圧は、インバータ107及び108により交流電圧に変換される。当該交流の周波数は、例えば、10乃至100kHz程度である。交流電圧の各々は、トランス109及び110により所定の電圧に昇圧され、その後、直流化回路111及び112により直流に変換される。直流化回路111及び112は、例えば、ダイオードとコンデンサを備える一般的なものである。
【0018】
マイクロ波管300のヘリックスに接続されるヘリックス端子はグランドに接続される。
【0019】
制御部121は、端子A、B間の電圧VABを監視する。制御部121は、当該電圧が閾値Vthを上回るときは、接続切替部122に、接続切替部122が備える両端子を接続させる信号を送付する。一方、制御部121は、当該電圧が閾値Vthを下回るときは、当該接続を解除させる信号を接続切替部122に送付する。なお、閾値Vthは、例えば、蓄電部103の蓄電量が不足し始めてはいるがまだ許容範囲にある値に設定されている。
【0020】
接続切替部122は、例えば、機械式スイッチ又は半導体スイッチである。当該半導体スイッチは、電界効果トランジスタを多段に備える構成であっても構わない。接続切替部122は、制御部121から送付される信号により、端子Cのアノード端子への接続及び当該接続の解除を行う。
【0021】
上記により、電圧VABが閾値Vth以上の時は、コレクタ端子及びヒータ/カソード端子のいずれにも設定された直流電圧が印加されるとともに、アノードには抵抗113及び114に応じた直流電圧が供給される。なお、抵抗113の抵抗値は非常に小さい値やゼロに設定される場合もあり得る。一方、コレクタ端子及びヒータ/カソード端子に印加される電圧は、例えば、-9kV及び15kVである。
【0022】
一方、電圧VABが閾値Vthを下回ったとする。そして、その場合において、仮にアノード端子の端子Cへの接続が解除されない場合を想定する。その場合、カソードからコレクタへの電子流により電力が消費され、蓄電部103の蓄電量は急速に低下し、ヒータ/カソード端子への供給電圧は急速に低下する。そのため、ヒータの温度が有意に低下する。発明が解決しようとする課題の項で説明したように、ヒータはひとたび温度が大きく低下すると、設定温度に回復させるために時間を要する。このことは、マイクロ波管の動作を復旧させるために必要な時間が長くなることを意味する。
【0023】
しかしながら、給電装置100においては、制御部121は、電圧VABが不足し始めると、まだ許容値にあるうちに、アノード端子を端子Cから接続切替部122により切り離す。これにより、マイクロ波管内の電子流が停止する。その場合、マイクロ波管本体としては、電子流が生じないまま高圧が印加されている状態になるので、ほとんど電力を消費しなくなる。マイクロ波管装置全体としては、ヒータ、制御系、冷却系において電力が消費されるが、これらは軽微である。そのため、アノード端子を接続切替部122により切り離すことにより、消費電力は定格電力から80~90%程度削減される。
【0024】
そのため、アノード端子を接続切替部122により切り離すことにより、蓄電部103からの放電及び当該放電による蓄電部103からの供給電圧の低下は大幅に抑えられる。そのため、ヒータ/カソード端子には所望の直流電圧もしくは所望の直流電圧に近い(少しだけ低い)直流電圧が供給される状態が、より長時間持続する。その場合、電圧VABが閾値Vth以上に回復した場合に、マイクロ波管の動作を復旧させるために必要な時間を大幅に短縮することができる。
【0025】
ここで、仮に、蓄電部103の蓄電量が大幅に低下し、コレクタ端子及びヒータ/カソード端子への供給電圧が大幅に低下した場合には、これらの端子への供給電圧の復旧には、ミリ秒レベルの比較的長い時間を要する。その理由は、前述のようにこれらの端子に供給される電圧は-9kV及び15kVと高圧なためである。制御部121は、電圧VABが不足し始めると、まだ許容値にあるうちに、アノードへの大電力の供給を停止する。これにより、蓄電部103からの放電及び当該放電による蓄電部103からの供給電圧の低下は大幅に抑えられる。そのため、コレクタ端子及びヒータ/カソード端子には所望の直流電圧もしくは所望の直流電圧に近い(少しだけ低い)直流電圧が供給される状態が、より長時間持続する。その場合、これらの端子への高電圧の供給の観点からも、マイクロ波管の動作を復旧させるために必要な時間を短縮することができる。
【0026】
なお、アノード端子への供給電圧は、コレクタ端子及びヒータ/カソード端子に供給される電圧と比較して格段に小さい値に設定することが可能であり、前述のようにゼロ又はゼロ近傍に設定することもできる。その場合、切り替えに要する時間は、接続切替部122のスイッチング速度(1ミリ秒以下)にほぼ等しくなる。
【0027】
なお、電圧VABの低下の原因の一つである電源101の瞬断の時間は、一般的に、10乃至100msである。従い、接続切替部122のスイッチング速度は10ms以下であれば、電圧VABが閾値Vth以下の時にアノード端子への電流供給を停止する効果は得られると考えられる。機械式スイッチでも10ms程度のスイッチング速度の実現は可能である。従い、接続切替部122に前述のように電界効果トランジスタを用いた場合はもちろんのこと、機械式スイッチを用いた場合にも、実施形態の給電装置の前述の効果はある程度はあると考えられる。
【0028】
なお、制御部121は、コンピュータを備える構成であっても構わない。その場合、接続切替部122にアノード端子への接続及びその解除を切り替えさせる処理は、例えば、当該コンピュータの記憶部に格納されたプログラムが、当該コンピュータの中央演算処理装置に実行させる。
【0029】
また、以上説明した例ではカソードとヒータに供給する電圧が共通であるが、必ずしも共通である必要はなく、給電装置から、カソード及びヒータの各々に個別の電圧が供給されても構わない。
【0030】
また、制御部121の電圧監視位置は図2の端子A-B間に限定されず、例えば、端子D-E間や端子F-G間である場合も想定され得る。
[効果]
本実施形態の給電装置は、蓄電部からマイクロ波管装置への供給電圧に低下が生じた場合は、アノード端子を電力供給系統の端子から切り離す。これにより、蓄電部からマイクロ波管装置に供給される電力が大幅に削減され、蓄電部からヒータに供給される電圧の低下は緩和される。そのため、ヒータ温度はより長時間必要なレベル又はそれに近いレベルに維持される。発明が解決しようとする課題の項で説明したように、ヒータの温度が大幅に低下すると、ヒータはある程度の熱容量を持つものなので、その温度の回復に時間を要する。そのため、その後、電源電圧が回復したとしても、ヒータ温度を回復させる時間が必要なため、マイクロ波管が正常に稼働するまで時間を要する。ヒータ温度はより長時間必要なレベル又はそれに近いレベルに維持された場合は、この問題が解消又は緩和する。そのため、本実施形態の給電装置は、蓄電部の大規模化を行わなくても、電源からの供給電圧の低下が生じた際に行われるマイクロ波管の立ち上げに要する時間を抑え得る。
【0031】
図3は、実施形態の給電装置の最小限の構成である給電装置100xの構成を表すブロック図である。給電装置100xは、給電部100axと、蓄電部103xと、給電切替部122xとを備える。給電部100axは、電源からの供給電力を、カソードと前記カソードを加熱するためのヒータとアノードとコレクタとを備えるマイクロ波管に給電する。蓄電部103xは、前記供給電力を蓄電し、前記供給電力の電圧が低下した場合に前記マイクロ波管に前記蓄電を行った電力である蓄電電力を供給する。給電切替部122xは、前記供給電力の電圧が低下した場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止し、前記ヒータへの前記蓄電電力の供給を停止しない。
【0032】
給電装置100xは、前記供給電力の電圧が低下した場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止する。給電装置100xは、これにより、前記マイクロ波管を備えるマイクロ波管装置における電力の消費を大幅に抑える。これにより、前記供給電力の電圧が低下した場合の、蓄電部103xの蓄電量の低下速度が抑えられる。また、給電装置100xは、前記ヒータへの前記蓄電電力の供給を停止しない。そのため、前記ヒータは冷却されないか、あるいはその冷却速度は抑えられる。そのため、給電装置100xは、蓄電部の大規模化を行わなくても、電源からの供給電圧の低下が生じた際に行われるマイクロ波管の立ち上げに要する時間を抑え得る。
【0033】
そのため、給電装置100xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0034】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0035】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
電源からの供給電力を、カソードと前記カソードを加熱するためのヒータとアノードとコレクタとを備えるマイクロ波管に給電する給電部と、
前記供給電力を蓄電し、前記供給電力の電圧が低下した場合に前記マイクロ波管に前記蓄電を行った電力である蓄電電力を供給する蓄電部と、
前記供給電力の電圧が低下した場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止し、前記ヒータへの前記蓄電電力の供給を停止しない、給電切替部と、
を備える給電装置。
(付記2)
前記給電切替部は、前記蓄電電力の電圧が閾値を下回った場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止する、
付記1に記載された給電装置。
(付記3)
前記給電切替部は、前記蓄電部からの前記供給電力の電圧が前記閾値を上回った場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を行う、
付記2に記載された給電装置。
(付記4)
前記給電切替部は、
制御信号により前記アノードへの接続と前記接続の解除とを切り替える接続切替部と、
前記蓄電部からの前記供給電力の電圧が前記閾値を下回った場合に、前記解除を行わせる前記制御信号を前記接続切替部に送付する制御部と、
を備える、
付記2又は付記3に記載された給電装置。
(付記5)
前記制御部は、前記蓄電部からの前記供給電力の電圧が前記閾値を上回った場合に、前記接続を行わせる前記制御信号を前記接続切替部に送付する、
付記4に記載された給電装置。
(付記6)
前記アノードに供給する電圧の絶対値は、前記コレクタに供給する電圧の絶対値、前記カソードに供給する電圧の絶対値及び前記コレクタに供給する電圧の絶対値、のいずれよりも有意に小さい、
付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載された給電装置。
(付記7)
前記アノードに供給する電圧は、ゼロ又はゼロ近傍である、
付記1乃至付記6のうちのいずれか一に記載された給電装置。
(付記8)
前記カソードに供給する電圧は前記ヒータに供給する電圧と共通である、
付記1乃至付記7のうちのいずれか一に記載された給電装置。
(付記9)
付記1乃至付記8のうちのいずれか一に記載された給電装置と前記マイクロ波管とを備えるマイクロ波管装置。
(付記10)
電源からの供給電力を、カソードと前記カソードを加熱するためのヒータとアノードとコレクタとを備えるマイクロ波管に給電する給電部と、
前記供給電力を蓄電し、前記供給電力の電圧が低下した場合に前記マイクロ波管に前記蓄電を行った電力である蓄電電力を供給する蓄電部と、
を備える給電装置において、
前記供給電力の電圧が低下した場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止し、前記ヒータへの前記蓄電電力の供給を停止しない、
給電方法。
(付記11)
電源からの供給電力を、カソードと前記カソードを加熱するためのヒータとアノードとコレクタとを備えるマイクロ波管に給電する給電部と、
前記供給電力を蓄電し、前記供給電力の電圧が低下した場合に前記マイクロ波管に前記蓄電を行った電力である蓄電電力を供給する蓄電部と、
を備える給電装置において、
前記供給電力の電圧が低下した場合に、前記アノードへの前記蓄電電力の供給を停止し、前記ヒータへの前記蓄電電力の供給を停止しない、処理をコンピュータに実行させる、
給電プログラム。
【0036】
ここで、付記における「マイクロ波管」は、例えば、図1のマイクロ波管300である。また、「給電部」は、例えば、図2の給電装置100における、アノード端子、コレクタ端子及びヒータ/カソード端子である。また、「蓄電部」は、例えば、図2の蓄電部103である。また、「給電切替部」は、例えば、図2の、制御部121と接続切替部122との組み合わせである。
【0037】
また、「給電装置」は、例えば、図2の給電装置100である。また、「接続切替部」は、例えば、図2の接続切替部122である。また、「制御部」は、例えば、図2の制御部121である。また、「マイクロ波管装置」は、例えば、図1のマイクロ波管装置400である。
【0038】
また、「コンピュータ」は、例えば、図2の制御部121が備えるコンピュータである。また、「給電プログラム」は、例えば、図2の制御部121が備えるコンピュータに処理を実行させるプログラムである。
【0039】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0040】
この出願は、2020年5月28日に出願された日本出願特願2020-093062を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0041】
100、100x 給電装置
100ax 給電部
101 電源
102、111、112 直流化回路
103、103x 蓄電部
104、107、108 インバータ
105 コイル
106 整流素子
109、110 トランス
113、114 抵抗
121 制御部
122 接続切替部
122x 給電切替部
300 マイクロ波管
400 マイクロ波管装置
図1
図2
図3