(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20230822BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J7/34 J
(21)【出願番号】P 2022532606
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2021044731
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石飛 秀貴
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翼
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10164464(US,B1)
【文献】国際公開第2011/135712(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0138586(US,A1)
【文献】特開2013-106473(JP,A)
【文献】特表2006-512627(JP,A)
【文献】特開平08-126329(JP,A)
【文献】特開2021-065054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
H02J 7/34
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状を有する筐体と、
前記筐体内に上下方向に積層して収容される複数の電力変換ユニットと、
前記複数の電力変換ユニットを互いに並列に接続するための母線ユニットとを備え、
前記母線ユニットは、前記筐体内において前記筐体の背面に対向して配置され、
前記母線ユニットは、
前記上下方向に延在する複数の母線と、
前記複数の母線を水平方向に互いに離間して支持する少なくとも1つの支持部材と、
各支持部材を前記筐体に対して取り外し可能に固定する少なくとも1つの固定部材とを含み、
各固定部材は、前記水平方向に延在し、前記
支持部材が接続される板状部材を含み、
前記板状部材の前記水平方向における両端部は前記筐体に固定される、無停電電源装置。
【請求項2】
前記板状部材の前記水平方向における両端部には貫通孔が形成されており、
前記各固定部材は、前記貫通孔に挿通される締結部材によって前記筐体に固定される、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持部材は、前記上下方向に離間して配置される複数の支持部材を含み、
前記少なくとも1つの固定部材は、前記複数の支持部材を前記筐体にそれぞれ固定する複数の固定部材を含む、請求項1または2に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記筐体の上面に着脱可能に取り付けられたファンユニットをさらに備え、
前記ファンユニットは、前記上面に並べて配置された複数のファンを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記複数の電力変換ユニットは、前記母線ユニットによって交流電源と負荷との間に互いに並列に接続され、
前記複数の電力変換ユニットの各々は、
前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記交流電源から交流電力が供給されている通常時は前記コンバータによって生成された直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給し、前記交流電源からの交流電力の供給が停止した停電時は蓄電装置に蓄えられた直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給するインバータとを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平8-126329号公報(特許文献1)には、負荷に対して並列接続された複数の多機能ユニットを有する無停電電源装置が開示されている。各多機能ユニットは、装置容量の複数分の1の容量を有する部品で構成された、コンバータ、インバータおよび直流コンデンサからなる変換部を有している。複数の多機能ユニットは、筐体内に上下方向に積層して収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される無停電電源装置は、負荷の容量が増えた場合には多機能ユニットを追加することにより、負荷の容量の増加に対応することができる。しかしながら、その一方で、負荷の容量が増えたことによって複数の多機能ユニットを電気的に並列に接続する母線に流れる電流が増大するため、母線の断面積を増大させるなどの母線の大型化が必要となる。その結果、筐体内に収容されている複数の母線を交換するための作業に多くの手間がかかってしまうという課題がある。
【0005】
本開示はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、無停電電源装置の容量の変更を簡素かつ容易に実現することができる無停電電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る無停電電源装置は、直方体形状を有する筐体と、複数の電力変換ユニットと、母線ユニットとを備える。複数の電力変換ユニットは、筐体内に上下方向に積層して収容される。母線ユニットは、複数の電力変換ユニットを互いに並列に接続する。母線ユニットは、筐体内において筐体の背面に対向して配置される。母線ユニットは、上下方向に延在する複数の母線と、複数の母線を水平方向に互いに離間して支持する少なくとも1つの支持部材と、各支持部材を筐体に対して取り外し可能に固定する少なくとも1つの固定部材とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、無停電電源装置の容量の変更を簡素かつ容易に実現することができる無停電電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る無停電電源装置の構成例を示す回路ブロック図である。
【
図2】電力変換ユニットおよびバイパスユニットの構成例を示す回路ブロック図である。
【
図3】無停電電源装置の構成例を示す概略的な外観図である。
【
図4】電力変換ユニットの構成例を示す概略的な外観図である。
【
図5】
図3に示す無停電電源装置を背面から見た斜視背面図である。
【
図6】ファンユニットの構成例を概略的に示す外観図である。
【
図7】母線ユニットの構成例を概略的に示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
図1は、実施の形態に係る無停電電源装置の構成例を示す回路ブロック図である。本実施の形態に係る無停電電源装置100は、通常時は、商用交流電源などの交流電源1から供給される交流電力により、負荷3に電力を供給する。交流電源1が停電した場合には、バッテリ2から供給される直流電力により、負荷3に電力を供給する。
【0011】
図1を参照して、無停電電源装置100は、入力端子T11、バッテリ端子T12、出力端子T13、複数の電力変換ユニット20、およびバイパスユニット30を備える。
【0012】
入力端子T11は交流電源1に接続され、商用交流周波数の交流電力を受ける。出力端子T13は負荷3に接続される。バッテリ端子T12はバッテリ2に接続される。バッテリ2は直流電力を蓄える。バッテリ2は「電力貯蔵装置」の一実施例に対応する。バッテリ2に代えてコンデンサが接続されていても構わない。
【0013】
複数の電力変換ユニット20およびバイパスユニット30は、入力端子T11および出力端子T13間に互いに並列に接続される。入力端子T11、出力端子T13およびバッテリ端子T12は、図示しない端子ユニットに収容される。
【0014】
図2は、電力変換ユニット20およびバイパスユニット30の構成例を示す回路ブロック図である。
【0015】
図2を参照して、電力変換ユニット20は、入力端子T1、出力端子T3、バッテリ端子T2、スイッチS1~S4、コンデンサC1~C4、リアクトルL1~L3、コンバータ5、インバータ6、双方向チョッパ7、およびファン23を含む。
【0016】
端子T1,T2,T3は、母線50によって端子T11,T12,T13にそれぞれ電気的に接続される。スイッチS1およびリアクトルL1は、入力端子T1とコンバータ5の入力ノード5aとの間に直列接続される。コンデンサC1は、スイッチS1およびリアクトルL1間のノードと基準電圧のラインとの間に接続される。スイッチS1は、交流電源1から交流電力が供給されている通常時はオンされ、例えば電力変換ユニット20のメンテナンス時にオフされる。コンデンサC1およびリアクトルL1は、交流電源1からの交流電力をコンバータ5に通過させ、コンバータ5で発生するキャリア周波数の信号が交流電源1側に漏れるのを抑制する交流入力フィルタ(低域通過フィルタ)を構成する。
【0017】
コンバータ5は、交流電源1からの交流電力を直流電力に変換する。コンデンサC4は、コンバータ5の出力ノード5bと基準電圧のラインとの間に接続され、コンバータ5の出力電圧を平滑化させる。コンバータ5の出力ノード5bとインバータ6の入力ノード6aと双方向チョッパ7の第1ノード7aとは互いに接続される。インバータ6は、コンバータ5または双方向チョッパ7からの直流電力を商用周波数の交流電力に変換する。
【0018】
リアクトルL2およびスイッチS2は、インバータ6の出力ノード6bと出力端子T3との間に直列接続される。コンデンサC2は、リアクトルL2およびスイッチS2間のノードと基準電圧のラインとの間に接続される。リアクトルL2およびコンデンサC2は、インバータ6からの交流電力を負荷3に通過させ、インバータ6で発生するキャリア周波数の信号が負荷3側に漏れるのを抑制する交流出力フィルタ(低域通過フィルタ)を構成する。
【0019】
スイッチS2は、インバータ6で生成された交流電力を負荷3に供給するインバータ給電モード時はオンされ、交流電源1からの交流電力をバイパスユニット30を介して負荷3に供給するバイパス給電モード時はオフされる。また、スイッチS2は、電力変換ユニット20のメンテナンス時または故障時にオフされる。
【0020】
スイッチS3およびリアクトルL3は、バッテリ端子T2と双方向チョッパ7の第2ノード7bとの間に直列接続される。コンデンサC3は、スイッチS3およびリアクトルL3間のノードと基準電圧のラインとの間に接続される。スイッチS3は、通常時はオンされ、例えば電力変換ユニット20またはバッテリ2のメンテナンス時にオフされる。コンデンサC3およびリアクトルL3は、直流電力を通過させ、双方向チョッパ7で発生するキャリア周波数の信号がバッテリ2側に漏れるのを抑制する低域通過フィルタを構成する。
【0021】
双方向チョッパ7は、通常時は、コンバータ5で生成された直流電力をバッテリ2に供給し、交流電源1の停電時は、バッテリ2の直流電力をインバータ6に供給する。
【0022】
スイッチS4は、出力端子T3およびファン23の間に接続される。スイッチS4は、通常時はオンされ、例えば電力変換ユニット20のメンテナンス時にオフされる。
【0023】
ここで、電力変換ユニット20の動作について簡単に説明する。交流電源1から交流電力が供給されている通常時は、交流電力はコンバータ5によって直流電力に変換される。直流電力は、インバータ6によって交流電力に変換されて負荷3に供給されるとともに、双方向チョッパ7によってバッテリ2に蓄えられる。
【0024】
停電が発生して交流電源1からの交流電力の供給が停止されると、コンバータ5の運転が停止され、バッテリ2の直流電力が双方向チョッパ7によってインバータ6に供給され、インバータ6によって交流電力に変換されて負荷3に供給される。したがって、停電が発生した場合でも、バッテリ2に直流電力が蓄えられている期間は、負荷3の運転を継続することができる。
【0025】
バイパスユニット30は、入力端子T4、出力端子T5、スイッチS5,S6、およびファン33を含む。
【0026】
端子T4,T5は、母線50によって端子T11,T13にそれぞれ電気的に接続される。スイッチS5は端子T4,T5間に接続される。スイッチS5は、バイパス給電モード時はオンされ、インバータ給電モード時はオフされる。
【0027】
スイッチS6は、出力端子T5およびファン33の間に接続される。スイッチS6は、バイパス給電モード時はオンされ、インバータ給電モード時はオフされる。
【0028】
以上説明したように、無停電電源装置100は、交流電源1および負荷3の間に並列接続された、複数の電力変換ユニット20およびバイパスユニット30を備える。したがって、負荷3の大きさに応じて、並列接続する電力変換ユニット20およびバイパスユニット30の数を調整することができ、結果的に様々な負荷に容易に対応することができる。
【0029】
図3は、無停電電源装置100の構成例を示す概略的な外観図である。
図3を参照して、無停電電源装置100は、盤形状(直方体形状)の筐体110と、複数のユニット10,20,30とを備える。
図3では、筐体110のフレームが抽出されて示されている。以下の説明では、筐体110を正面側から見たときの左右方向(水平方向)をX軸方向とし、前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。なお、+X方向はX軸方向を右側に進む方向であり、-X方向は+X方向とは反対方向である。+Y方向は無停電電源装置100の正面から背面に向かう方向であり、-Y方向は+Y方向とは反対方向である。+Z方向はZ軸方向を上方に進む方向であり、-Z方向は+Z方向とは反対方向である。
【0030】
筐体110は、上面110Aおよび下面110Bを有する。筐体110の下面110Bは、図示しない脚部によって支持されていてもよい。筐体110は、複数のユニット10,20,30を収容する。筐体110は、-Y方向に開口する開口部111と、開口部111を覆う前面カバー(図示せず)とを有する。前面カバーは、開口部111を開閉可能に設けられている。前面カバーには、筐体110の外部の空気を筐体110内に導入するための通風孔が形成されている。
【0031】
複数のユニット10,20,30は、略直方体の形状を有しており、Z軸方向に互いに間隔をあけて積み重ねられている。複数のユニット10,20,30は、開口部111を通じて筐体110の外部から筐体110の内部に挿入される。複数のユニット10,20,30の各々は、保守点検および新品への交換が容易となるように、Y軸方向に挿脱可能に設けられている。
【0032】
複数のユニット10,20,30は、端子ユニット10と、複数の電力変換ユニット20と、バイパスユニット30とを含む。端子ユニット10は、複数の電力変換ユニット20およびバイパスユニット30を、交流電源1に対して並列接続するための入力端子T11と、複数の電力変換ユニット20およびバイパスユニット30を負荷3に対して並列接続するための出力端子T13と、複数の電力変換ユニット20をバッテリ2に接続するためのバッテリ端子T12とを収容する。
図3の例では、端子ユニット10は、複数の電力変換ユニット20およびバイパスユニット30の下方に配置されているが、端子ユニット10を複数の電力変換ユニット20およびバイパスユニット30の上方に配置してもよい。電力変換ユニット20の数は5に限定されない。バイパスユニット30の数は1に限定されない。
【0033】
図4は、電力変換ユニット20の構成例を示す概略的な外観図である。
図4を参照して、電力変換ユニット20は、直方体形状の筐体40と、一対の鍔部材42と、一対の把持部材44と、複数の端子部材46とを含む。
【0034】
筐体40の前面40Aには通気孔21が形成され、背面40Bには図示しない通気孔が形成されている。筐体40は、前面40Aから空気を吸気して背面40Bから排気するためのファン23(
図2参照)を収容する。筐体40は、
図2に示したスイッチS1~S4、コンデンサC1~C4、リアクトルL1~L3、コンバータ5、インバータ6、および双方向チョッパ7をさらに収容する。
【0035】
筐体40の前面40Aの水平方向(X軸方向)における両端部には一対の把持部材44が取り付けられている。一対の把持部材44を把持して+Y方向に移動させることにより、電力変換ユニット20を筐体110の内部に挿入することができる。
【0036】
一対の鍔部材42は、筐体40の前面40Aの水平方向における両端部に接続される。各鍔部材42には貫通孔48が形成されている。電力変換ユニット20を筐体110に挿入した状態で、貫通孔48にボルトを挿通し、当該ボルトを筐体110に締結することにより、電力変換ユニット20を筐体110に固定することができる。
【0037】
複数の端子部材46は、筐体40の背面40Bに設けられる。複数の端子部材46は、入力端子T1、出力端子T3およびバッテリ端子T2(
図2参照)を構成する。各端子部材46は、母線50(
図7参照)に接続される。母線50は、複数の電力変換ユニット20の端子部材46およびバイパスユニット30の端子部材を電気的に接続する。さらに、母線50は、これらの端子部材46と端子T11,T12,T13とを電気的に接続する。
【0038】
図3に戻って、バイパスユニット30の前面には通気孔が形成され、背面には通気孔が形成されている。バイパスユニット30は、前面から空気を吸気して背面から排気するためのファン33(
図2参照)を収容する。バイパスユニット30は、
図2に示したスイッチS5,S6をさらに収容する。なお、電力変換ユニット20およびバイパスユニット30の各々に内蔵されるファンの数は限定されない。
【0039】
図5は、
図3に示す無停電電源装置100を背面から見た斜視背面図である。
図5には、背面カバーを取り外した状態の無停電電源装置100の内部構成が示されている。
【0040】
無停電電源装置100は、ファンユニット120と、母線ユニット130とをさらに備える。ファンユニット120は、筐体110の上面110Aに配置されている。ファンユニット120は、筐体110内部の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を筐体110の外部に排気する。これにより、筐体110の前面カバーの通気口を通じて筐体110内部に空気が導入され、この導入された空気が複数のユニット20,30を通過することによって、複数のユニット20,30の放熱が促進される。複数のユニット20,30を通過することによって暖められた空気は、筐体110の外部に排気される。
【0041】
図6は、ファンユニット120の構成例を概略的に示す外観図である。
図6を参照して、ファンユニット120は、直方体形状の筐体60と、鍔部材62と、一対の把持部材64とを含む。
【0042】
筐体60は、複数のファン70を内蔵する。複数のファン70は、筐体110の上面110Aに並べて配置される。
図6の例では、ファンユニット120は、2個のファン70を有するが、ファン70の数は2に限定されない。ファン70は単数であってもよい。
【0043】
鍔部材62は、筐体60の開口部の外縁を囲むように設けられている。一対の把持部材64は鍔部材62に取り付けられている。鍔部材62には図示しない貫通孔が形成されている。筐体60を筐体110の上面110Aに配置した状態で、当該貫通孔にボルトを挿通し、当該ボルトを上面110Aに締結することにより、ファンユニット120を筐体110に固定することができる。
【0044】
本実施の形態では、筐体110内部の空気を排出するための複数のファン70をユニット化することによって、複数のファン70を筐体110の上面110Aに個別に配置する構成に比較して、ファン70の数を容易に変更することができる。すなわち、収容するファン70の数が互いに異なる複数種類のファンユニット120を予め用意しておくことができる。そして、無停電電源装置100の容量の変更に応じてファンユニット120を交換することにより、ファン70の数を容易に変更することが可能となる。
【0045】
図5に戻って、母線ユニット130は、筐体110内部に収容されており、筐体110の背面カバーに対向して配置される。母線ユニット130は、複数のユニット20,30を電気的に接続するための複数の母線50を有する。
【0046】
図7は、母線ユニット130の構成例を概略的に示す外観図である。
図7を参照して、母線ユニット130は、複数の母線50と、複数の支持部材54と、複数の固定部材56とを含む。
【0047】
各母線50は、筐体110の上下方向(Z軸方向)に延在する。各母線50は、帯状の導電部材により形成されている。この導電部材の一部分には穴あけ加工が施されており、各電力変換ユニット20の端子部材46およびバイパスユニット30の端子部材を結合することが可能となっている。
【0048】
一般的に、各母線50に流すことができる定格電流は、母線50の断面積と、予め定められる母線50の電流密度の上限値とによって決まる。母線50の定格電流が大きくなるに従って母線50の必要断面積が大きくなる。
【0049】
各支持部材54は、複数の母線50を水平方向(X軸方向)に互いに離間して支持するように構成される。支持部材54は、絶縁材料により形成されている。
図7のように、母線ユニット130が複数の支持部材54を有する場合には、複数(例えば2つ)の支持部材54を水平方向に並べて配置するとともに、当該複数の支持部材54を1組として、複数組の支持部材54を上下方向に互いに離間して配置することができる。支持部材54の数および配置位置は、母線ユニット130に含まれる母線50の本数および各母線50の上下方向における長さなどに応じて適宜選択され得る。
【0050】
固定部材56は、支持部材54に対応して設けられる。固定部材56は、支持部材54を筐体110に対して取り外し可能に固定する。
図7の例では、固定部材56は、筐体110の水平方向(X軸方向)に延在する板状部材である。板状部材は平板状の形状を有している。固定部材56には、水平方向に並べて配置された2つの支持部材54が結合されている。固定部材56は、複数組の支持部材54にそれぞれ対応して複数設けられる。複数の固定部材56は、上下方向に離間して配置されている。
【0051】
各固定部材56の水平方向における両端部には、少なくとも1つの貫通孔58が形成されている。
図5に示すように、母線ユニット130を筐体110の背面に対向するように配置した状態で、貫通孔58にボルトを挿通し、当該ボルトを筐体110のフレームに締結することにより、母線ユニット130を筐体110に固定することができる。
【0052】
上述したように、本実施の形態に係る無停電電源装置100においては、負荷3に対して並列接続される電力変換ユニット20の数を調整することによって、負荷3の大きさに応じて無停電電源装置100の容量を変更することができる。しかしながら、その一方で、筐体110内に収容することができる電力変換ユニット20の数には限界があるため、無停電電源装置100の容量の増大にも限界が生じる。このような場合、無停電電源装置100の容量の増大に対応して、筐体110の構造の変更が求められる。
【0053】
既存の筐体110を利用して無停電電源装置100の容量を増大させるためには、電力変換ユニット20単体の容量を増加させる手法を採ることができる。具体的には、
図4に示した電力変換ユニット20において、筐体40内部に収容されるコンバータ5などの電力変換器、および、リアクトルL1~L3などの電気部品の各々を許容電流が大きいものに置き換えることによって、電力変換ユニット20単体の容量を増やすことができる。
【0054】
ただし、各電力変換ユニット20の容量を増加させた場合には、複数の電力変換ユニット20を電気的に接続する母線50に流れる電流も増加する。そのため、この電流の増大に応じて母線50の断面積を増大させるなどの母線50の大型化が必要となる。
【0055】
本実施の形態では、複数の電力変換ユニット20を電気的に接続するための複数の母線50をユニット化する。これにより、複数の母線50を筐体110内部に個別に配置する構成に比較して、複数の母線50を容易に大型化することが可能となる。すなわち、母線50の断面積が互いに異なる複数種類の母線ユニット130を予め用意しておくことができる。そして、無停電電源装置100の容量の増加に応じて、筐体110内に収容されている母線ユニット130を、各母線50の定格電流がより大きい母線ユニット130に交換することにより、複数の母線50を容易に大型化することができる。母線ユニット130は、
図7に示したように、締結部材を用いて筐体110に締結されているため、母線ユニット130を容易に交換することができる。その結果、既存の筐体110を利用して、無停電電源装置100の容量を簡素かつ容易に増大させることが可能となる。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
1 交流電源、2 バッテリ、3 負荷、5 コンバータ、6 インバータ、7 双方向チョッパ、10 端子ユニット、20 電力変換ユニット、21 通気孔、23,33,70 ファン、30 バイパスユニット、40,60,110 筐体、42,62 鍔部材、44,64 把持部材、46 端子部材、48,58 貫通孔、50 母線、54 支持部材、56 固定部材、100 無停電電源装置、110A 上面、110B 下面、111 開口部、112 脚部、120 ファンユニット、130 母線ユニット、L1~L3 リアクトル、C1~C4 コンデンサ、S1~S6 スイッチ、T1~T5,T11~T13 端子。
【要約】
無停電電源装置(100)は、直方体形状を有する筐体(110)と、複数の電力変換ユニット(20)と、複数の電力変換ユニット(20)を互いに並列に接続するための母線ユニット(130)とを備える。複数の電力変換ユニット(20)は、筐体(110)内に上下方向に積層して収容される。母線ユニット(130)は、筐体(110)内において筐体(110)の背面に対向して配置される。母線ユニット(130)は、上下方向に延在する複数の母線と、複数の母線を水平方向に互いに離間して支持する少なくとも1つの支持部材と、各支持部材を筐体(110)に対して取り外し可能に固定する少なくとも1つの固定部材とを含む。