(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-21
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】調整された育成プロトコル目標値を用いる実験
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20230822BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20230822BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20230822BHJP
G06Q 50/02 20120101ALI20230822BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
H05B47/165
H05B47/16
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2022557636
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2021056969
(87)【国際公開番号】W WO2021191048
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】クライン マルセリヌス ペトルス カロルス ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ スルイス バルテル マリヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン エルムプト ロブ フランシスクス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン ベルフ タイス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ヴァイデーヴェン ラムベルトゥス アントニウス ヨハンネス
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/018802(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/231336(WO,A1)
【文献】特開2010-075172(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049048(WO,A1)
【文献】特表2017-524349(JP,A)
【文献】国際公開第2018/231370(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
H05B 47/165
H05B 47/16
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物育成環境における環境制御システムを制御する方法であって、当該方法は、
メモリに記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択することと、
複数のコンテナ識別子からコンテナを識別するコンテナ識別子を選択することであって、前記コンテナは少なくとも1つの植物を含み、前記複数のコンテナ識別子は前記メモリ又はさらなるメモリに記憶される、ことと、
前記育成プロトコルと前記コンテナ識別子とを関連付けることであって、前記育成プロトコルは、1つ以上の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値を含む、ことと、
前記1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する前記1つ以上の目標値のうちの目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定することであって、前記調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい、ことと、
前記調整目標値に基づいて環境制御システムを制御することと、
少なくとも1つのデバイスから前記コンテナ識別子に関連する測定情報を得ることと、
前記測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定することと、
前記測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較することであって、前記期待植物成長パラメータ値は、前記育成プロトコルに含まれる、ことと、
前記測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定することと、
前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが閾値を超えることに依存して前記目標値を前記調整目標値に置き換えることと、
前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記測定植物成長パラメータ値に置き換えることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の成長条件パラメータの前記目標値は、光設定を表し、前記環境制御システムは、複数の照明デバイスを含み、当該方法は、
前記複数の照明デバイスから前記コンテナ識別子に関連する照明デバイスを選択することと、
前記調整目標値に基づいて前記照明デバイスを制御することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の成長条件パラメータの前記目標値は、光設定を表し、前記環境制御システムは、複数の照明デバイスを含み、当該方法は、
コンテナ識別子の現在のロケーションを決定することと、
前記コンテナ識別子の前記現在のロケーションに関連する照明デバイスを選択することによって前記複数の照明デバイスから照明デバイスを選択することと、
前記調整目標値に基づいて前記照明デバイスを制御することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
当該方法は、
前記複数の照明デバイスのうちのさらなる照明デバイスから前記コンテナ識別子のロケーションで受ける光の光特性を決定することと、
前記調整目標値及び前記光特性に基づいて補償目標値を決定することと、
前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えることに依存して前記目標値を前記補償目標値に置き換えることと、
を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記育成プロトコルは、複数の成長条件パラメータに対する目標値を含み、前記複数の成長条件パラメータは、前記第1の成長条件パラメータ及び1つ以上の他の成長条件パラメータを含み、当該方法は、前記第1の成長条件パラメータに対する前記調整目標値に基づいて前記環境制御システムを制御する一方、調整なく前記1つ以上の他の成長条件パラメータに対して指定される1つ以上の目標値に基づいて前記環境制御システム又はさらなる環境制御システムを制御することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、
前記育成プロトコルとさらなるコンテナ識別子とを関連付けることと、
前記1つ以上の目標値のうちのさらなる目標値にさらなる調整を適用することによってさらなる調整目標値を決定することであって、前記さらなる調整は、前記所定の最小値より大きく、前記所定の最大値より小さい、ことと、
前記さらなる調整目標値に基づいて前記環境制御システム又は異なる環境制御システムを制御することと、
1つ以上のデバイスから前記さらなるコンテナ識別子に関連するさらなる測定情報を得ることと、
前記さらなる測定情報に基づいてさらなる測定植物成長パラメータ値を決定することと、
前記さらなる測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値とを比較することと、
前記さらなる測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差のさらなるメリットを決定することと、
前記育成プロトコルにおいて、前記さらなるメリットが前記閾値を超えることに依存して前記さらなる目標値を前記さらなる調整目標値に置き換えることと、
前記育成プロトコルにおいて、前記さらなるメリットが前記閾値を超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記さらなる測定植物成長パラメータ値に置き換えることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
当該方法は、
前記育成プロトコルとさらなるコンテナ識別子とを関連付けることと、
前記1つ以上の目標値のうちのさらなる目標値にさらなる調整を適用することによってさらなる調整目標値を決定することであって、前記さらなる調整は、前記所定の最小値より大きく、前記所定の最大値より小さい、ことと、
前記さらなる調整目標値に基づいて前記環境制御システム又は異なる環境制御システムを制御することと、
1つ以上のデバイスから前記さらなるコンテナ識別子に関連するさらなる測定情報を得ることと、
前記さらなる測定情報に基づいてさらなる測定植物成長パラメータ値を決定することと、
前記さらなる測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値とを比較することと、
前記さらなる測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差のさらなるメリットを決定することと、
前記メリットと前記さらなるメリットとを比較することと、
前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えること及び前記メリットが前記さらなるメリットを超えることに依存して前記目標値を前記調整目標値に置き換えることと、
前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えること及び前記メリットが前記さらなるメリットを超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記測定植物成長パラメータ値に置き換えることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
当該方法は、前記育成プロトコルの最後の成長段階において又は前記育成プロトコルの最後の成長段階の後に前記少なくとも1つのデバイスから前記測定情報を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
当該方法は、
複数のデバイスから前記測定情報を得ることと、
前記測定情報に基づいて複数の成長段階における前記測定植物成長パラメータ値を決定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
当該方法は、前記育成プロトコルに関連する植物種又は品種の成長モデルに基づいて前記調整目標値を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
当該方法は、前記調整目標値と前記測定植物成長パラメータ値との関係に基づいて前記成長モデルを修正することを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
植物育成環境における環境制御システムを制御する方法であって、当該方法は、
メモリに記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択することと、
複数の植物識別子から植物識別子を選択することであって、前記複数の植物識別子は前記メモリ又はさらなるメモリに記憶される、ことと、
前記育成プロトコルと前記植物識別子とを関連付けることであって、前記育成プロトコルは、1つ以上の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値を含む、ことと、
前記1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する前記1つ以上の目標値のうちの目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定することであって、前記調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい、ことと、
前記調整目標値に基づいて環境制御システムを制御することと、
少なくとも1つのデバイスから前記植物識別子に関連する測定情報を得ることと、
前記測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定することと、
前記測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較することであって、前記期待植物成長パラメータ値は、前記育成プロトコルに含まれる、ことと、
前記測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定することと、
前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが閾値を超えることに依存して前記目標値を前記調整目標値に置き換えることと、
前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記測定植物成長パラメータ値に置き換えることと、
を含む、方法。
【請求項13】
少なくとも1つのデバイスから測定情報を得るための少なくとも1つのセンサインターフェースと、環境制御システムを制御するための少なくとも1つの制御インターフェースと、請求項1乃至
12のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように構成される少なくとも1つのプロセッサとを含む、コントローラ。
【請求項14】
少なくとも1つのソフトウェアコード部分を含むコンピュータプログラム若しくはコンピュータプログラム一式又は前記コンピュータプログラム若しくはコンピュータプログラム一式を記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、前記ソフトウェアコード部分は、請求項
13に記載のコントローラの少なくとも1つのプロセッサで実行された場合、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1乃至
12のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム若しくはコンピュータプログラム一式又はコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物育成環境における環境制御システムを制御する方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、このような方法を実行するように構成されるコントローラに関する。
【0003】
本発明はまた、コンピュータシステムがこのような方法を実行することを可能にするコンピュータプログラムプロダクトに関する。
【背景技術】
【0004】
世界の人口は、現在の65億人から2050年には90億人に増加すると予想されている。社会は急速に都市化が進んでいる。これは、食料及び清潔な水の需給に大きな制約をもたらすことになる。食料生産に利用可能な空間は少なくなる。より持続可能(エネルギ及び水の最小限の使用)になりながら、より少ない空間からより高い収量を産出するために、生産方法の革新が必要とされる。
【0005】
垂直農場(vertical farm)等の閉鎖環境において食物を生産することは、これらの要求を満たす方法である。世界的に、大きな投資が、この食物を育てる方法に行われている。垂直農場では、単位面積当たり生産量が、露地での生産量よりもはるかに高い。水の使用は最小限に抑えられる。植物の病害及び害虫は、より容易に予防されることができる。
【0006】
垂直農場(別名:都市農場(city farm)又は植物工場)では、食物が複数の層において育てられ、利用可能な空間をより良好に使用する。これは、日光が植物に到達できず、ほとんど全ての光が人工照明によりもたらされなければならず、エネルギを消費することを意味する。垂直農法(vertical farming)の本格的な普及を阻む問題は、投資利益がいまだ限定的であることである。垂直農場をセットアップすることは、大きな投資を必要とする。投資利益は、農場の運用効率に大きく依存する。典型的には、作物はいわゆる育成プロトコル(grow protocol)(育成レシピ(grow recipe)とも呼ばれる)に従って育成される。育成プロトコルは、成長期間の終了までの日中及び日ごとの光、気候、灌漑及び作物の取り扱いに対する最適な目標値を定める。
【0007】
商業的な垂直農場の運用の場合、このやり方には不利な点がある。育成プロトコルを開発するプロセスは、実際にはかなり非デジタル的である。最適な育成プロトコルを見つけるには、時間のかかる成長試験(growth trial)を数回行う必要がある。育成プロトコルは作物品種に特有のものであるので、これは、存在する多くの作物品種の各々について行われなければならない。
【0008】
US 2018/0359955 A1は、成長ポッドにおける自己学習のための方法を開示している。コンピューティングデバイスは、アセンブリライン成長ポッドに、植物の産出を決定するためにセンサから成長データを受信させ、予期される植物産出に対して植物の産出を比較させる論理を記憶する。いくつかの実施形態では、論理は、アセンブリライン成長ポッドに、植物の産出を改良するために成長レシピの改変を決定させ、植物の産出を改良するために成長レシピを改変させる。例えば、植物が産出測定値(高さ、周囲寸法、果実産出、水消費量、光消費量等)において不足している場合、ニューラルネットワークが利用され、その不足を補正するようにレシピを変更し得る。同様に、植物が特定の測定値に関して予期を超える場合、ニューラルネットワークは、予期せぬ結果の原因を決定し、レシピの変更を行い、予期せぬ結果を再現するために利用され得る。
【0009】
US 2018/0359955 A1の方法の不利な点は、植物の産出と予期される植物産出との差に基づいて成長レシピにどの変更を加えるかを決定することは些細(trivial)ではなく、この方法の使用を複雑にしていることである。ニューラルネットワークは、有益に使用されることができる前にトレーニングされる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の目的は、比較的シンプルなやり方で、育成プロトコルを向上させ、これにより植物育成環境の運用効率を向上させるために使用されることができる、方法を提供することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、比較的シンプルなやり方で、育成プロトコルを向上させ、これにより植物育成環境の運用効率を向上させることができるコントローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様において、植物育成環境(plant growing environment)における環境制御システムを制御する方法は、メモリに記憶される育成プロトコルのコレクション(collection of grow protocols)から育成プロトコル(grow protocol)を選択することと、複数のコンテナ識別子からコンテナを識別するコンテナ識別子を選択することであって、前記コンテナは少なくとも1つの植物を含み、前記複数のコンテナ識別子は前記メモリ又はさらなるメモリに記憶される、ことと、前記育成プロトコルと前記コンテナ識別子とを関連付けることであって、前記育成プロトコルは、1つ以上の成長条件パラメータ(growth condition parameter)に対する1つ以上の目標値を含む、ことと、前記1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する前記1つ以上の目標値のうちの目標値に調整を適用することによって調整目標値(adjusted target value)を決定することであって、前記調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい、ことと、前記調整目標値に基づいて環境制御システムを制御することとを含む。
【0013】
方法はさらに、少なくとも1つのデバイスから前記コンテナ識別子に関連する測定情報を得ることと、前記測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値(measured plant growth parameter value)を決定することと、前記測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値(expected plant growth parameter value)とを比較することであって、前記期待植物成長パラメータ値は、前記育成プロトコルに含まれる、ことと、前記測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差に関するメリット(merit)を決定することと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが閾値を超えることに依存して前記目標値を前記調整目標値に置き換えることと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記測定植物成長パラメータ値に置き換えることとを含む。当該方法は、プログラマブルデバイスで実行されるソフトウェアによって実行されてもよい。このソフトウェアは、コンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0014】
斯くして、生産環境において植物を育成しながら、育成プロトコルの漸進的な洗練(gradual refinement)を可能にし、これにより運用効率を漸進的に向上させることができる自動化方法が提供される。こうすることにより、コスト及び時間のかかる成長試験を行うことが(部分的に)不要となる。育成プロトコルへのどの調整が、植物の産出(output)と期待される植物産出(expected plant output)との差を担う(account for)であろうか見つけようとする代わりに、育成プロトコルが調整されて、これがメリットを増加させるかどうか、例えば、植物の産出と期待される植物産出との差を減少させるかどうかを確認する。通常、商業的なセッティングでは、(固定)育成プロトコルに従って植物を育成する一方、育成プロトコルを向上させるために使用されることができる新しい知識は生み出されない。提供される自動化方法を用いることにより、継続的な学習が、育成プロトコルを向上させるために使用されることができる。これは、育成者の投資利益(return on investment)を向上させる。電力使用量が、g/mol又はg/kwh又は収益性を最適化するために監視されてもよい。
【0015】
当該方法は、例えば、前記育成プロトコルの最後の成長段階(growth stag)において又は前記育成プロトコルの最後の成長段階の後に前記少なくとも1つのデバイスから前記測定情報を得ることを含んでもよい。代替的に、当該方法は、例えば、複数のデバイスから前記測定情報を得ることと、前記測定情報に基づいて複数の成長段階における前記測定植物成長パラメータ値を決定することとを含んでもよい。
【0016】
前記第1の成長条件パラメータの前記目標値は、光設定(light setting)を表してもよく、前記環境制御システムは、複数の照明デバイスを含んでもよく、当該方法は、前記複数の照明デバイスから前記コンテナ識別子に関連する照明デバイスを選択することと、前記調整目標値に基づいて前記照明デバイスを制御することとを含んでもよい。これは、例えば、異なる植物コンテナが異なる育成プロトコルに関連付けられ、異なる光設定で照明される必要がある場合等、すべての照明デバイスで同じ光設定を使用することが可能でない場合に有益である。コンテナ識別子と照明デバイスとの関連付けは、手動でコンフィギュレーション(cofigure)されてもよく、又は自動的に決定されてもよい。複数の異なる照明デバイスが同じコンテナを照明することができる場合、それらのすべて又はそれらの(厳密な(strict))サブセットが選択されてもよい。後者の例として、植物コンテナが、別のタイプの植物又は別の成長段階にある同じタイプの植物を有する別の植物コンテナとは別の色及び/又は強度で照明される必要がある場合がある。この場合、収穫前照明デバイス(pre-harvest lighting device)と育苗照明デバイス(seedling lighting device)等、照明デバイスのケイパビリティに基づいて選択が行われてもよい。
【0017】
前記第1の成長条件パラメータの前記目標値は、光設定を表してもよく、前記環境制御システムは、複数の照明デバイスを含んでもよく、当該方法は、コンテナ識別子の現在のロケーションを決定することと、前記コンテナ識別子の前記現在のロケーションに関連する照明デバイスを選択することによって前記複数の照明デバイスから照明デバイスを選択することと、前記調整目標値に基づいて前記照明デバイスを制御することとを含んでもよい。この「フォローミー光源選択(follow-me light source selection)」は、コンテナが、例えばカメラ又はRFIDタグを使用して、自動的に追跡され、関連する照明デバイスが、自動的に選択されることを可能にする。
【0018】
当該方法は、前記コンテナ識別子に対応するコンテナのクロストークのない領域(crosstalk-free region)を決定することであって、前記クロストークのない領域で成長する植物は光クロストークがなく(free of light crosstalk)、前記クロストークのない領域は、ユーザ入力に基づいて、又は、前記複数の照明デバイスと前記コンテナで成長する植物との間の距離及び/若しくは前記複数の照明デバイスによって発せられる光のパターンに基づいて決定される、ことと、前記コンテナの前記クロストークのない領域で成長する1つ以上の植物に対応する1つ以上の植物識別子を決定することと、前記1つ以上の植物識別子に関連する測定情報を得ることによって前記コンテナ識別子に関連する前記測定情報を得ることとを含んでもよい。1つ以上の植物が、異なる光設定を用いる複数の照明デバイスによって照明される場合、これは、光クロストークをもたらす。これら1つ以上の植物に対して測定情報が得られる場合、調整光設定(adjusted light setting)の効果が何であったかを判断することはできない可能性がある。それゆえ、クロストークのない領域にある1つ以上の植物に対して測定情報を得ることは有益である。
【0019】
当該方法は、前記複数の照明デバイスのうちのさらなる照明デバイスから前記コンテナ識別子のロケーションで受ける光の光特性を決定することと、前記調整目標値及び前記光特性に基づいて補償目標値(compensated target value)を決定することと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えることに依存して前記目標値を前記補償目標値に置き換えることとを含んでもよい。さらなる照明デバイスが光クロストークをもたらす場合、コンテナのロケーションで受ける光の光特性の助けを借りて光クロストークを補償することにより、調整光設定の効果が何であったかを判断することが依然として可能であり得る。
【0020】
これは、例えば、クロストークのない領域にある1つ以上の植物から測定情報を得ることが不可能な場合に有益である。しかしながら、これは、クロストークのない領域にある1つ以上の植物から測定情報を得ることが可能である場合にも有益であり得る。例えば、クロストーク領域についての測定された育成結果が、近隣のクロストークのない領域についての育成結果と比較されてもよい。クロストーク領域におけるどこかの育成結果が近隣のクロストークのない領域の育成結果を超える場合、クロストーク領域における当該ロケーションに対する調整光設定が、次のコンテナでテスト/検証され得る、新しい向上した光プロトコル(new improved light protocol)に記憶されてもよい。コンテナ識別子のロケーションで受ける光の光特性は、例えば光センサを用いて、測定されてもよく、又は計算されてもよい。
【0021】
前記育成プロトコルは、複数の成長条件パラメータに対する目標値を含んでもよく、前記複数の成長条件パラメータは、前記第1の成長条件パラメータ及び1つ以上の他の成長条件パラメータを含んでもよく、当該方法は、前記第1の成長条件パラメータに対する前記調整目標値に基づいて前記環境制御システムを制御する一方、調整なく前記1つ以上の他の成長条件パラメータに対して指定される1つ以上の目標値に基づいて前記環境制御システム又はさらなる環境制御システムを制御することを含んでもよい。典型的には、育成プロトコルは、複数の成長条件パラメータ、例えば、光、温度、湿度、及びCO2レベルに対する目標値を含む。成長条件パラメータのうちの1つの成長条件パラメータの目標値のみを調整することにより、どのようなさらなる調整がさらなる利益をもたらし得るかを判断することがより容易になる。
【0022】
光クロストーク領域とは別に、空気の流れの方向に沿った温度(T)、相対湿度(Rh)又はCO2の変化に起因する温度(T)、相対湿度(Rh)及び/又はCO2「クロストーク(crosstalk)」領域が存在する可能性がある。温度、相対湿度、又はCO2成長条件パラメータに対する目標値が調整される場合、この「クロストーク」は、光に関して上述したのと同様に回避又は考慮されてもよい。
【0023】
当該方法は、前記育成プロトコルとさらなるコンテナ識別子(further container identifier)とを関連付けることと、前記1つ以上の目標値のうちのさらなる目標値(further target value)にさらなる調整(further adjustment)を適用することによってさらなる調整目標値(further adjusted target value)を決定することであって、前記さらなる調整は、前記所定の最小値より大きく、前記所定の最大値より小さい、ことと、前記さらなる調整目標値に基づいて前記環境制御システム又は異なる環境制御システムを制御することと、1つ以上のデバイスから前記さらなるコンテナ識別子に関連するさらなる測定情報(further measurement information)を得ることと、前記さらなる測定情報に基づいてさらなる測定植物成長パラメータ値(further measured plant growth parameter value)を決定することと、前記さらなる測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値とを比較することと、前記さらなる測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差のさらなるメリット(further merit)を決定することと、前記育成プロトコルにおいて、前記さらなるメリットが前記閾値を超えることに依存して前記さらなる目標値を前記さらなる調整目標値に置き換えることと、前記育成プロトコルにおいて、前記さらなるメリットが前記閾値を超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記さらなる測定植物成長パラメータ値に置き換えることとを含んでもよい。調整目標値を用いた実験は、複数のコンテナに対して行われてもよい。調整のメリットが閾値を超える(例えば、ゼロより高い)たびに、調整目標値は利益を有するとみなされ、新しい目標値として育成プロトコルに記憶される。
【0024】
当該方法は、前記育成プロトコルとさらなるコンテナ識別子とを関連付けることと、前記1つ以上の目標値のうちのさらなる目標値にさらなる調整を適用することによってさらなる調整目標値を決定することであって、前記さらなる調整は、前記所定の最小値より大きく、前記所定の最大値より小さい、ことと、前記さらなる調整目標値に基づいて前記環境制御システム又は異なる環境制御システムを制御することと、1つ以上のデバイスから前記さらなるコンテナ識別子に関連するさらなる測定情報を得ることと、前記さらなる測定情報に基づいてさらなる測定植物成長パラメータ値を決定することと、前記さらなる測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値とを比較することと、前記さらなる測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差のさらなるメリットを決定することと、前記メリットと前記さらなるメリットとを比較することと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えること及び前記メリットが前記さらなるメリットを超えることに依存して前記目標値を前記調整目標値に置き換えることと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えること及び前記メリットが前記さらなるメリットを超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記測定植物成長パラメータ値に置き換えることとを含んでもよい。調整目標値を用いた実験は、同時に複数のコンテナに対して行われてもよい。この場合、複数の実験の結果は、結果が評価される前に収集されてもよい。最高のメリットを有する調整目標値が、新たな目標値として育成プロトコルに記憶される。
【0025】
当該方法は、前記育成プロトコルに関連する植物種又は品種の成長モデル(growth model)に基づいて前記調整目標値を決定することを含んでもよい。この場合、当該方法はさらに、前記調整目標値と前記測定植物成長パラメータ値との関係(relation)に基づいて前記成長モデルを修正することを含んでもよい。成長モデルは、植物の成長をよりよく理解する、及び、目標値にどのような調整を行うべきかを合理的に判断するために使用されてもよい。
【0026】
本発明の第2の態様において、植物育成環境における環境制御システムを制御する方法は、メモリに記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択することと、複数の植物識別子から植物識別子を選択することであって、前記複数の植物識別子は前記メモリ又はさらなるメモリに記憶される、ことと、前記育成プロトコルと前記植物識別子とを関連付けることであって、前記育成プロトコルは、1つ以上の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値を含む、ことと、前記1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する前記1つ以上の目標値のうちの目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定することであって、前記調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい、ことと、前記調整目標値に基づいて環境制御システムを制御することとを含む。
【0027】
当該方法はさらに、少なくとも1つのデバイスから前記植物識別子に関連する測定情報を得ることと、前記測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定することと、前記測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較することであって、前記期待植物成長パラメータ値は、前記育成プロトコルに含まれる、ことと、前記測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定することと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが閾値を超えることに依存して前記目標値を前記調整目標値に置き換えることと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記測定植物成長パラメータ値に置き換えることとを含む。当該方法は、プログラマブルデバイスで実行されるソフトウェアによって実行されてもよい。このソフトウェアは、コンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0028】
本発明の第3の態様において、コントローラは、少なくとも1つのデバイスから測定情報を得るための少なくとも1つのセンサインターフェースと、環境制御システムを制御するための少なくとも1つの制御インターフェースと、上述した方法のいずれかの方法のステップを実行するように構成される少なくとも1つのプロセッサとを含む。
【0029】
さらに、本明細書で説明される方法を実践するためのコンピュータプログラム、並びに、そのコンピュータプログラムを記憶している非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータプログラムは、例えば、既存のデバイスによってダウンロードされるか、又は、既存のデバイスにアップロードされてもよく、あるいは、これらのシステムの製造時に記憶されてもよい。
【0030】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体、少なくとも第1のソフトウェアコード部分を記憶し、第1のソフトウェアコード部分は、コンピュータによって実行又は処理された場合、メモリに記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択することと、複数のコンテナ識別子からコンテナを識別するコンテナ識別子を選択することであって、前記コンテナは少なくとも1つの植物を含み、前記複数のコンテナ識別子は前記メモリ又はさらなるメモリに記憶される、ことと、前記育成プロトコルと前記コンテナ識別子とを関連付けることであって、前記育成プロトコルは、1つ以上の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値を含む、ことと、前記1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する前記1つ以上の目標値のうちの目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定することであって、前記調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい、ことと、前記調整目標値に基づいて環境制御システムを制御することとを含む実行可能オペレーション(executable operation)を実行するように構成される。
【0031】
実行可能オペレーションはさらに、少なくとも1つのデバイスから前記コンテナ識別子に関連する測定情報を得ることと、前記測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定することと、前記測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較することであって、前記期待植物成長パラメータ値は、前記育成プロトコルに含まれる、ことと、前記測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定することと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが閾値を超えることに依存して前記目標値を前記調整目標値に置き換えることと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記測定植物成長パラメータ値に置き換えることとを含む。当該方法は、プログラマブルデバイスで実行されるソフトウェアによって実行されてもよい。このソフトウェアは、コンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0032】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体、少なくとも第2のソフトウェアコード部分を記憶し、第2のソフトウェアコード部分は、コンピュータによって実行又は処理された場合、メモリに記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択することと、複数の植物識別子から植物識別子を選択することであって、前記複数の植物識別子は前記メモリ又はさらなるメモリに記憶される、ことと、前記育成プロトコルと前記植物識別子とを関連付けることであって、前記育成プロトコルは、1つ以上の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値を含む、ことと、前記1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する前記1つ以上の目標値のうちの目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定することであって、前記調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい、ことと、前記調整目標値に基づいて環境制御システムを制御することとを含む実行可能オペレーションを実行するように構成される。
【0033】
実行可能オペレーションはさらに、少なくとも1つのデバイスから前記植物識別子に関連する測定情報を得ることと、前記測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定することと、前記測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較することであって、前記期待植物成長パラメータ値は、前記育成プロトコルに含まれる、ことと、前記測定植物成長パラメータ値と前記期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定することと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが閾値を超えることに依存して前記目標値を前記調整目標値に置き換えることと、前記育成プロトコルにおいて、前記メリットが前記閾値を超えることに依存して前記期待植物成長パラメータ値を前記測定植物成長パラメータ値に置き換えることとを含む。
【0034】
当業者には理解されるように、本発明の諸態様は、デバイス、方法、又はコンピュータプログラムプロダクトとして具現化されてもよい。したがって、本発明の諸態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、あるいは、ソフトウェアの態様とハードウェアの態様とを組み合わせた実施形態の形態を取ってもよく、それらは全て、本明細書では「回路」、「モジュール」、又は「システム」と総称されてもよい。本開示で説明される機能は、コンピュータのプロセッサ/マイクロプロセッサによって実行される、アルゴリズムとして実装されてもよい。さらには、本発明の諸態様は、1つ以上のコンピュータ可読媒体として具現化されている、コンピュータプログラムプロダクトの形態を取ってもよく、1つ以上のコンピュータ可読媒体は、その上に具現化されている、例えば記憶されている、コンピュータ可読プログラムコードを有する。
【0035】
1つ以上のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが、利用されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定するものではないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体の、システム、装置、若しくはデバイス、あるいは、上述の任意の好適な組み合わせであってもよい。より具体的なコンピュータ可読記憶媒体の例としては、限定するものではないが、1つ以上のワイヤを有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(random access memory;RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory;ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read-only memory;EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(portable compact disc read-only memory;CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上述の任意の好適な組み合わせを挙げることができる。本発明の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためのプログラムを含むか、又は記憶することが可能な、任意の有形媒体であってもよい。
【0036】
コンピュータ可読信号媒体としては、例えばベースバンド内又は搬送波の一部として、その内部に具現化されているコンピュータ可読プログラムコードを有する、伝搬データ信号を挙げることができる。そのような伝搬信号は、限定するものではないが、電磁気、光学、又はこれらの任意の好適な組み合わせを含めた、様々な形態のうちのいずれを取ってもよい。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためのプログラムを、通信、伝搬、又は伝送することが可能な、任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0037】
コンピュータ可読媒体上に具現化されているプログラムコードは、限定するものではないが、無線、有線、光ファイバ、ケーブル、RF等、又は上述の任意の好適な組み合わせを含めた、任意の適切な媒体を使用して送信されてもよい。本発明の諸態様に関する動作を実施するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk(登録商標)、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及び、「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語を含めた、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書き込まれてもよい。このプログラムコードは、スタンドアロン型ソフトウェアパッケージとして、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で実行されてもよく、部分的にユーザのコンピュータ上かつ部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(local area network;LAN)若しくは広域ネットワーク(wide area network;WAN)を含めた任意のタイプのネットワークを通じて、ユーザのコンピュータに接続されてもよく、又は、この接続は、外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)実施されてもよい。
【0038】
本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラムプロダクトの、フローチャート図及び/又はブロック図を参照して、本発明の諸態様が以下で説明される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びに、フローチャート図及び/又はブロック図内のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装されることができる点が理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを作り出すために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置の、プロセッサ、特にマイクロプロセッサ又は中央処理ユニット(central processing unit;CPU)に提供されてもよく、それにより、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスのプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック内で指定されている機能/行為を実施するための手段を作り出す。
【0039】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスに、特定の方式で機能するように指示することが可能な、コンピュータ可読媒体内に記憶されてもよく、それにより、コンピュータ可読媒体内に記憶されている命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック内で指定されている機能/行為を実施する命令を含む、プロダクトを作り出す。
【0040】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ実施プロセスを作り出すために、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイス上にロードされて、それらのコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させてもよく、それにより、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック内で指定されている機能/行為を実施するためのプロセスを提供する。
【0041】
図におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるデバイス、方法、及びコンピュータプログラムプロダクトの可能な実装の、アーキテクチャ、機能性、及び動作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、指定されている論理関数を実施するための1つ以上の実行可能命令を含む、コードのモジュール、セグメント、又は部分を表してもよい。また、一部の代替的実装形態では、ブロック内に記されている機能は、それらの図に記されている順序と異なる順序で行われてもよい点にも留意されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又は、それらのブロックは、関与している機能性に応じて、逆の順序で実行される場合があってもよい。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びに、それらブロック図及び/又はフローチャート図内のブロックの組み合わせは、指定されている機能若しくは行為を実行する専用ハードウェアベースのシステム、又は、専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実施されることができる点にも留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下の図面から明らかであり、例として、それらの図面を参照してさらに解明されるであろう。
【
図1】システムの第1の実施形態のブロック図である。
【
図2】システムが使用され得る植物育成環境の一例を概略的に示す。
【
図3】
図2に示されるコンテナの1つの側面図を示す。
【
図4】
図2に示されるコンテナの上面図を概略的に示す。
【
図5】システムの第2の実施形態のブロック図である。
【
図11】システムの第3の実施形態のブロック図である。
【
図12】本発明の方法を実行するための例示的なデータ処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面中の対応する要素は、同じ参照番号によって示される。
【0044】
図1は、植物育成環境における環境制御システムを制御するためのコントローラの第1の実施形態、光制御コンピュータ1を示している。植物育成環境は、例えば、垂直農場であってもよい。
図1の例では、光条件(光強度、スペクトル、並びに時刻(time of day)及び植物の成長段階へのそれらの依存性)は光制御コンピュータ1により制御され、気候条件(温度、湿度、CO2レベル)は気候制御コンピュータ25により制御される。光条件は、典型的には、光プロトコル(light protocol)/光レシピ(light recipe)において指定され、気候条件は、典型的には、気候プロトコル(climate protocol)/気候レシピ(climate recipe)において指定される。光プロトコル及び気候プロトコルは、育成プロトコルの一部である。
【0045】
光コンピュータ1は、照明デバイス11~13、例えば、LEDモジュールを制御する。照明デバイス11~13は、例えば、トップライティング(top-lighting)デバイス、又は、典型的には植物間、若しくは植物の一部に吊り下げられる、インターライティング(inter-lighting)デバイスであってもよい。気候コンピュータ25は、暖房換気空調(HVAC:Heating, Ventilation and Air Conditioning)システム27を制御する。任意選択的に、気候制御コンピュータ25は、例えば、温度センサ及び/又はCO2センサを含む、1つ以上の気候センサ(図示せず)からセンサデータを受信し、このセンサデータに基づいてHVACシステム27を制御してもよい。
【0046】
光制御コンピュータ1は、レシーバ3、トランスミッタ4、プロセッサ5、及びメモリ7を含む。プロセッサ5は、メモリ7に記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択する、複数のコンテナ識別子から(少なくとも1つの植物を含む)コンテナを識別するコンテナ識別子又は複数の植物識別子から植物識別子を選択する、及び、育成プロトコルとコンテナ識別子又は植物識別子とを関連付けるように構成される。代替的な実施形態において、育成プロトコルのコレクションは、(
図1に示されていない)インターネットサーバに記憶される。
【0047】
図1の例において、育成プロトコルは、複数の成長条件パラメータに対する目標値を含む。これらの複数の成長条件パラメータは、第1の成長条件パラメータ及び1つ以上の他の成長条件パラメータを含む。第1の成長条件パラメータの目標値は、光設定を表す。育成プロトコルはさらに、温度、CO2レベル及び/又は湿度に対する1つ以上の他の目標値を含む。複数のコンテナ識別子又は植物識別子は、メモリ7に記憶される。
【0048】
プロセッサ5はさらに、1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値のうちの第1の目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定する、並びに、トランスミッタ4を介して、調整目標値に基づいて照明デバイス11~13のうちの少なくとも1つ、及び、1つ以上の他の成長条件パラメータに対して指定される1つ以上の他の目標値に基づいて気候制御コンピュータ25、及びこれによりHVACシステム27を制御するように構成される。1つ以上の他の目標値は調整されない。
【0049】
第1の目標値への調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい。調整は、これらの境界内でランダムに選択されてもよいが、好ましくは、記憶された育成プロトコルにおいて指定される目標値からわずかに逸脱する、及び、記憶された育成プロトコルにおいて指定される目標値のメリットよりも高い、所望のメリット(例えば、最大生産量)により近いメリットを達成することが期待される調整目標値が決定される。
【0050】
プロセッサ5はさらに、レシーバ3を介して、センサデバイス21~23のうちの少なくとも1つからコンテナ識別子又は植物識別子に関連する測定情報を得る、測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定する、及び、測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較するように構成される。期待植物成長パラメータ値は、育成プロトコルに含まれ、典型的には、育成プロトコルに現在指定されている目標値に関して以前に得られた測定情報に基づいて決定された以前に決定された測定成長パラメータである。
【0051】
図1の例において、測定情報は、少なくとも1つのセンサデバイスから得られる。代替的な実施形態では、測定情報は、ユーザが測定情報を手動で入力した、モバイルデバイス又はタブレット等、ユーザデバイスから得られる。光はコンテナごとに制御されてもよい(コンテナは、典型的には、同じタイプの複数の植物を含む)が、気候は、通常、コンテナごとに制御されることはできず、成長レベルごと等、より大きな空間エリアごとにのみ制御されることができる。一方、測定情報は、植物ごと又は複数の植物ごとに得られてもよい。
【0052】
統計的な理由から、単一の植物について測定情報を得るよりも、複数の植物について測定情報を得ることが好ましい。これは、コンテナ識別子を選択する、及び、識別されたコンテナ内の複数の植物(典型的には、少なくとも10~100株のオーダ。光の場合、色成分又は強度の調整が小さいほど、統計的に有意な効果を確立するためにより多くの植物が必要とされる)に関して測定情報を得ることによって達成されてもよい。また、これは、複数の植物識別子を選択する、選択された植物に同じ調整目標値を使用する、選択された植物に関する測定情報を得る、及び、平均測定植物成長パラメータ値又は平均メリットを決定することによって達成されてもよい。
【0053】
プロセッサ5はさらに、測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定する、育成プロトコルにおいて、メリットが閾値を超えることに依存して目標値を調整目標値に置き換える、及び、育成プロトコルにおいて、メリットが閾値を超えることに依存して期待植物成長パラメータ値を測定植物成長パラメータ値に置き換えるように構成される。このメリットは、調整のメリットとも呼ばれる。
【0054】
プロセッサ5は、メリット関数を用いて調整のメリットを決定するように構成されてもよい。メリット関数は、入力パラメータ値のセットごとのメリットを定義する。この最適化されるべきパラメータは、植物成長である、又は植物成長に依存する。育成者は、目的、例えば、植物の重量を最大化する、成長効率を最大化する又は利益を最大化する等を選択することができてもよく、これにより、対応するメリット関数が選択される。典型的には、成長効率は、消費されたエネルギの単位当たりの生産されたバイオマスとして(例えば、g/kWhの単位で)表される。育成者が目的として成長効率の最大化を選択する場合、メリット関数は成長効率に等しく、入力パラメータはバイオマス及び消費エネルギである。育成者が目的として植物の重量の最大化を選択する場合,メリット関数は植物成長に等しく、入力パラメータはバイオマスである。
【0055】
コンテナの少なくとも1つには、育成プロトコルのコレクションに記憶される育成プロトコルからわずかに逸脱する育成プロトコルが関連付けられる。自己学習アルゴリズムを用いて、行われるべき調整を決定することが有益である。初期調整はランダムに選択されてもよいが、後の段階において、調整は、策定された目的(formulated objective)に成功裏に寄与することが証明された前の調整に基づいて決定されてもよい。
【0056】
自己学習は、外部(ユーザ)入力に基づいてアクティブに又は調整されてもよい。例えば、育成者は、どの育成プロトコル又は農場セグメントについて自己学習をアクティブにしたいかを示す可能性を有してもよい。また、育成者は、どの育成パラメータへの調整が許可又は禁止されるかを示すことができてもよい。また、光制御コンピュータ1は、どの育成パラメータ又は育成パラメータ調整がメリットを向上させる可能性が高いかを決定することを可能にする外部知識源にアクセスすることができてもよい。これらの外部知識源は、例えば、科学的研究からの外部報告又は他の農場システムによって共有されるデータであってもよい。
【0057】
また、アルゴリズムは、利用可能な履歴データ(例えば、実際の成長条件及び目標値への調整を含む、過去に実行された育成プロトコルの結果及びそれらの成果)を考慮に入れてもよい。作物のサイズ、外観又は品質等の作物関連の特性の他に、メリット関数は、(例えば、測定された)電力使用量並びに履歴、実際及び予想されるエネルギプライズ(energy prize)及び作物プライズ(crop prize)等の外部要因を含んでもよい。
【0058】
測定植物成長パラメータ値が決定された後、測定植物成長パラメータ値又は測定された植物成長パラメータ値を含む(及び、例えば、さらに、測定エネルギ消費パラメータ(measured energy consumption parameter)を含む)入力パラメータのセットに対応する第1のメリットが、メリット関数を用いて得られる。次に、期待植物成長パラメータ値又は測定植物成長パラメータ値を含む入力パラメータのセットに対応する第2のメリットが決定される。この第2のメリットは、予め記憶されていてもよい。
【0059】
調整メリットは、第1のメリットと第2のメリットとの差に等しい。この調整メリットが閾値を超える場合、育成プロトコルに行われた調整は有益であるとみなされ、調整は育成プロトコルのコレクションに記憶される育成プロトコルにも行われる。閾値がゼロである場合、メリットのいかなる改善は、調整が、育成プロトコルのコレクションに記憶される育成プロトコルにも行われることになる。
【0060】
上述したコントローラを用いることにより、光のスペクトル組成等、光プロトコルのある側面(aspect)を最適化することが可能になる。例えば、光合成光量子束密度(PPFD:Photosynthetic Photon Flux Density)を一定にしながら、青色光と赤色光の比率が最適化されてもよい。
【0061】
同様に、PPFDが最適化されてもよい。一般に、PPFDが高いほど、成長率が高くなり、収穫された植物の販売による収入が高くなる。しかしながら、典型的には、成長効率が損なわれる(すなわち、g/kWh値が低下する)。
【0062】
また、収穫された植物の販売価格($/kg)及びエネルギ価格($/kWh)を入力パラメータに含めることにより、垂直農場の運用から生じる利益の最大値に対応する最大値を有するメリット関数を定義することが可能である。上述したコントローラを用いることにより、このような最大利益を達成するように光プロトコルを最適化することが可能になる。
【0063】
斯くして、上述したコントローラは、公称育成プロトコル(nominal grow protocol)を戦略的に調整する及びその結果を分析することによって育成プロトコルを向上させるために使用されることができる。調整は、好ましくは、(統計的な意味での)十分な精度で応答(response)を検出できるのに十分なほど大きくあるべきである。調整は、好ましくは、植物育成環境の運用を危うくしないように植物成長に影響を与えすぎないために十分に小さくあるべきである。
【0064】
また、コントローラは、調整サイズをサンプルサイズ(例えば、関与する植物コンテナの数)にマッチさせてもよく、又はその逆であってもよい。後者の例として、所望の(大きな)調整サイズで得られた精度が低すぎる場合、調整目標値がテストされる植物(例えば、植物コンテナ)の数が増やされてもよい。コントローラが、その後のパラメータ値調整(例えば、光設定調整)の肯定的な結果を確認した場合、コントローラは、1つ又は2つの植物コンテナのみに適用しながら、より大きなパラメータ値調整を行うことを決定してもよい。このようなやり方により、生産に対する顕著な影響のリスクが最小限に保たれる。また、コントローラは、広範囲のセンシング機器(extensive sensing equipment)を有する、植物育成環境、例えば、垂直農場の部分においてより大きな調整を行うことを決定してもよい。これは、逸脱(deviation )が植物に悪影響を与える結果になる場合にタイムリーな再調整を可能にする。
【0065】
上述したコントローラで有益に使用され得る育成者の目的としては、最大成長効率、最大利益、ジャストインタイム生産(just-in-time production)、最適な成長均一性(growth uniformity)、最適な着色(coloration)、最適な保存可能期間(shelf life)、最適な化合物濃度(compound concentration)(例えば、ビタミンC)、顧客との契約の最適な遵守等が挙げられる。目的の別の例は、再現性である。上記の目的の1つ、例えば、最大成長効率を最大化するが、結果がシステムの信頼性に決定的に依存しすぎるほどアグレッシブな目標値、例えば、この目標値の使用が目的を最大化することが稀に過ぎないものは、通常、望ましくない。
【0066】
自己学習アルゴリズムは、強化学習等の機械学習技術だけでなく、メリットの最大値を反復的に探索する古典的な技術に基づいてもよい。例えば、大域的な最大値(又は最小値)(global maximum (or minimum))を求める古典的方法は、よく知られたシミュレーテッドアニーリング法である。最も近い極大値(又は極小値)(nearest local maximum (or minimum))を求める古典的方法は、よく知られた勾配降下法である。
【0067】
図1に示されるコンピュータ1の実施形態では、コンピュータ1は1つのプロセッサ5を含む。代替的な実施形態では、コンピュータ1は複数のプロセッサを含む。プロセッサ5は、例えばIntel若しくはAMDからの汎用プロセッサ、又は特定用途向けプロセッサであってもよい。プロセッサ5は、例えば、Windows若しくはUnixベースのオペレーティングシステムを実行してもよい。メモリ7は、1つ以上のメモリユニットを含んでもよい。メモリ7は、例えば、1つ以上のハードディスク及び/又はソリッドステートメモリを含んでもよい。メモリ7は、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーション及びアプリケーションデータを記憶するために使用されてもよい。
【0068】
レシーバ3及びトランスミッタ4は、例えば、照明デバイス11~13及びセンサデバイス21~23と通信するために1つ以上の有線及び/又はワイヤレス通信技術を使用してもよい。代替的な実施形態では、単一のレシーバ及び単一のトランスミッタの代わりに、複数のレシーバ及び/又は複数のトランスミッタがコンピュータ1で使用される。
図1に示される実施形態では、別個のレシーバ及び別個のトランスミッタが使用されている。代替的な実施形態では、レシーバ3及びトランスミッタ4は、トランシーバにまとめられる。コンピュータ1は、電源コネクタ及びディスプレイ等のコンピュータに典型的な他の構成要素を含んでもよい。本発明は、1つ以上のプロセッサで実行されるコンピュータプログラムを使用して実装されてもよい。
【0069】
図1の実施形態では、本発明のシステムは、コンピュータである。代替的な実施形態では、本発明のシステムは、異なるデバイスである。
図1の実施形態では、本発明のシステムは、単一のデバイスを含む。代替的な実施形態では、本発明のシステムは、複数のデバイスを含む。
図1の実施形態では、コンピュータ1は、照明デバイスを制御するためにトランスミッタを使用する。代替的な実施形態では、コンピュータ1は、照明デバイスを制御するためにアナログワイヤのみを使用する。
【0070】
図2は、
図1のシステムが使用され得る植物育成環境の一例を示している。
図2の例では、第1のコンテナ45及び第2のコンテナ46がコンベアベルト41上を移動している。
【0071】
コンベアベルト41は、例えば、植物を育成するための複数の層を有する育成ラックの層の一部であってもよい。この場合、若い植物を含むコンテナが、層の一端に挿入される。層を始めから終わりまで押し流されながら、植物は光処理を受け、育成プロトコルに従った気候を経験する。層の終わりにおいて、植物を含むコンテナは、収穫されるために層から取り出され(又は、別の処理のために再間隔付け(respace)又は再配置(relocate)され)てもよい。これは、いわゆる先入れ先出し(FIFO:first-in-first-out)の物流システムとして典型的なものである。
【0072】
代替的に、若い植物を含むコンテナが、層の一端に挿入される一方、収穫の準備ができている植物を含むコンテナが、同じ端から取り出される(いわゆる後入れ先出し(LIFO:last-in-first-out)の物流システム)。
【0073】
照明デバイス11~13の第1のサブセットは、第1のコンテナ45に関連する光設定に従って第1のコンテナ45を照明するように制御される。照明デバイス11~13の第2のサブセットは、第2のコンテナ46に関連する光設定に従って第2のコンテナ46を照明するように制御される。照明デバイス11~13は、例えば、LED照明モジュールであってもよい。
【0074】
各照明デバイスは、典型的には、最も近いコンテナに関連する育成プロトコルにおいて指定される光設定を使用する。別の関連する育成プロトコルを有する別のコンテナが最も近いコンテナになる場合、照明デバイスは、異なる照明設定を使用し始める。斯くして、あるコンテナに関連する光プロトコルは、成長層の始まりから終わりまで移動中ずっとコンテナに追従する。コンテナが新しいロケーションに移動するたびに、新しいロケーションにおける照明要素が、当該コンテナに関連する光プロトコルに従って光を発するように制御される。
【0075】
一般に、あるコンテナに関連する育成プロトコルは、開始された成長層の始まりから終わりまで移動中ずっとコンテナに追従する。しかしながら、実際には、ほとんどの場合、気候は、気候セル内の他の成長層に対する気候に影響を与えることなく成長層内で変更されることはできない。このような場合、気候プロトコルは、気候セル内のすべてのコンテナに関連付けられてもよい。
【0076】
最適な育成プロトコルを見つけるために、照明デバイスは、選択されたコンテナに関して育成プロトコルにおいて指定される光設定からわずかに逸脱することになる。言い換えれば、調整目標値は、コンテナの物流移動に追従する。
【0077】
一般に、システムは、すべての物流移動を決定することによって(例えば、カメラに連続的な線形プロセス(continuous linear process)を監視させることによって、又は物流システムによって提供される情報から物流移動を導出することによって)、又は各植物コンテナの位置を検出することによって(例えば、各植物コンテナは、QRコード等の視覚識別子又はNFC若しくはRFIDタグ等のRF識別子であってもよい、識別タグを備えてもよい)植物コンテナを追跡してもよい。
【0078】
測定植物成長パラメータ値を決定することによって、調整の成功が評価され得る。定期的に(すなわち、収穫時等、少なくとも1回)、植物の選択の特性(例えば、重量)が、調整のメリットを判断するために測定される。植物に関する測定値は、対応する植物識別子及び適用された育成プロトコルと共に記憶されてもよい。
【0079】
育成プロトコルの最後の成長段階において又は育成プロトコルの最後の成長段階の後にセンサデバイスから測定情報を得ることで十分であることが多い。例えば、植物87がその最後の成長段階にある場合、センサデバイス23からのみ測定情報を得ることで十分であり得る。しかしながら、測定情報は、センサデバイス21~23の各々から得られてもよく、測定植物成長パラメータ値は、測定情報に基づいて複数の成長段階において決定されてもよい。
【0080】
後者の場合、調整のメリットは、植物を含むコンテナが育成層から取り出される育成サイクルの終わりにだけでなく、中間のタイミングでも判断されてもよい。このために、育成層に沿って分散されるセンサデバイスが使用されてもよい。センサデバイスは、固定された位置を有する、又は成長層に沿って移動する(例えば、コンテナの移動と同期して移動する)ことができる。
図2の例では、センサデバイス21~23は、調整のメリットを決定するために関連する植物特性を検出するために成長層にわたって分散されるカメラである。
【0081】
植物の重量を最大化することが目的である場合、重量は継続的に、頻繁に、又は最終的に、収穫時に測定される。この測定値に基づいて、メリット関数の値が決定される。この値に基づいて、(自己学習)アルゴリズムは、このコンテナに関連する育成プロトコルへの(さらなる)調整を提案してもよい。育成プロトコルへの調整は、コンテナが成長層にある際、日中(intra-day)、日ごと、又は週ごとに適用されてもよい。
【0082】
間接的ではあるが、重量を継続的に測定する1つのやり方は、(3D)カメラによって撮影される画像を処理することによって、(カメラ画像から導出される高さ情報を使用して)植物のカバレッジ又は体積を決定し、これを生成されたバイオマスの指標として(例えば、植物のカバレッジ又は体積とバイオマスをデータで相関付けることによって)使用することである。
【0083】
カメラは必ずしも個々の植物を識別できる必要はない。典型的には、成熟した植物は、個々の植物がもはや識別できないように重なり合う可能性がある。それでも、カメラは、視野内の「緑の塊(green mass)」の特性を決定し、植物密度(1平方メートルあたりの植物数)を知る場合にこれを平均的な植物特性にブレイクダウンするために使用されてもよい。実用性は低いが、植物毎の重量を決定することが望ましい場合、個々の植物に植物識別子(例えば、植物が鉢植えの場合、各鉢にQRコード等)を設けてもよい。
【0084】
(異なる適用された育成プロトコルを経験する)植物の隣接するセクション間の(例えば、照明の)クロストークは、例えば、クロストーク領域内の植物の測定情報を考慮しないことによって、説明されてもよい。測定された特性及び適用された育成プロトコルは、メリットを最適化することを目的として、育成プロトコルからの次の逸脱を提案するためにアルゴリズムに与えられてもよい。
【0085】
図2の例では、センサデバイス21~23は、カメラを含む。代替的又は追加的に、センサデバイス21~23は、スケール(scale)を含んでもよい。
図2の例では、各コンテナは、複数の植物を含む。典型的には、
図2に描かれるよりも多くの植物が、コンベアベルト41上を搬送される。例えば、
図3に示されるように、コンテナ46は、
図2には前列のみが描かれている、3列の3つの植物を含んでもよい。
【0086】
図4は、
図2に示されるコンテナの上面図を概略的に示している。コンテナ45~49は、コンベアベルト42上を移動している。コンテナ45は植物51~77を含み、コンテナ46は植物81~89を含む。各植物に、植物識別子が割り当てられていてもよい。光クロストークの作用を避けるために、例えば、植物63~65に関連する測定情報のみが得られてもよい。典型的には、同じコンテナの異なる植物に対して異なる光設定を使用することは不可能であるが、通常、同じコンテナの異なる植物に対して異なる測定情報を得ることは可能である。
【0087】
図5は、植物育成環境における環境制御システムを制御するためのコントローラの第2の実施形態、気候制御コンピュータ31を示している。
図5の例では、気候(温度、湿度、CO2レベル)は気候制御コンピュータ31により制御され、光条件(光強度、スペクトル、並びに時刻及び植物の成長段階へのそれらの依存性)は光制御コンピュータ91により制御される。光コンピュータ91は、照明デバイス11~13、例えば、LEDモジュールを制御する。気候コンピュータ31は、暖房換気空調(HVAC)システム27を制御する。
【0088】
気候制御コンピュータ31は、レシーバ33、トランスミッタ34、プロセッサ35、及びメモリ37を含む。プロセッサ35は、メモリ37に記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択する、複数のコンテナ識別子から(少なくとも1つの植物を含む)コンテナを識別するコンテナ識別子又は複数の植物識別子から植物識別子を選択する、及び、育成プロトコルとコンテナ識別子又は植物識別子とを関連付けるように構成される。代替的な実施形態において、育成プロトコルのコレクションは、(
図5に示されていない)インターネットサーバに記憶される。
【0089】
図5の例において、育成プロトコルは、複数の成長条件パラメータに対する目標値を含む。これらの複数の成長条件パラメータは、第1の成長条件パラメータ及び1つ以上の他の成長条件パラメータを含む。第1の成長条件パラメータは、温度、CO2レベル及び/又は湿度のいずれかを表す。育成プロトコルはさらに、少なくとも、光設定を表す目標値を含む。複数のコンテナ識別子又は植物識別子は、メモリ37に記憶される。
【0090】
プロセッサ35はさらに、1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値のうちの第1の目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定する、並びに、トランスミッタ35を介して、調整目標値に基づいてHVACシステム27、及び、目標光設定に基づいて光制御コンピュータ91(及び、これにより照明デバイス11~13のうちの少なくとも1つ)を制御するように構成される。第1の目標値への調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい。目標光設定は調整されない。
【0091】
プロセッサ35はさらに、レシーバ33を介して、センサデバイス21~23のうちの少なくとも1つからコンテナ識別子又は植物識別子に関連する測定情報を得る、測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定する、及び、測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較するように構成される。期待植物成長パラメータ値は、育成プロトコルに含まれる。
【0092】
プロセッサ35はさらに、測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定する、育成プロトコルにおいて、メリットが閾値を超えることに依存して目標値を調整目標値に置き換える、及び、育成プロトコルにおいて、メリットが閾値を超えることに依存して期待植物成長パラメータ値を測定植物成長パラメータ値に置き換えるように構成される。
【0093】
追加的に、気候制御コンピュータ31は、例えば、温度センサ及び/又はCO2センサを含む、1つ以上の気候センサ(図示せず)からセンサデータを受信し、このセンサデータに基づいてHVACシステム27を制御して、目標温度又はCO2値を達成してもよい。
【0094】
図5に示されるコンピュータ31の実施形態では、コンピュータ31は1つのプロセッサ35を含む。別の実施形態では、コンピュータ31は複数のプロセッサを含む。プロセッサ35は、例えばIntel若しくはAMDからの汎用プロセッサ、又は特定用途向けプロセッサであってもよい。プロセッサ35は、例えば、Windows若しくはUnixベースのオペレーティングシステムを実行してもよい。メモリ37は、1つ以上のメモリユニットを含んでもよい。メモリ37は、例えば、1つ以上のハードディスク及び/又はソリッドステートメモリを含んでもよい。メモリ37は、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーション及びアプリケーションデータを記憶するために使用されてもよい。
【0095】
レシーバ33及びトランスミッタ34は、例えば、HVACシステム27及びセンサデバイス21~23と通信するために1つ以上の有線及び/又はワイヤレス通信技術を使用してもよい。代替的な実施形態では、単一のレシーバ及び単一のトランスミッタの代わりに、複数のレシーバ及び/又は複数のトランスミッタがコンピュータ31で使用される。
図5に示される実施形態では、別個のレシーバ及び別個のトランスミッタが使用されている。代替的な実施形態では、レシーバ33及びトランスミッタ34は、トランシーバにまとめられる。コンピュータ31は、電源コネクタ及びディスプレイ等のコンピュータに典型的な他の構成要素を含んでもよい。本発明は、1つ以上のプロセッサで実行されるコンピュータプログラムを使用して実装されてもよい。
【0096】
図5の実施形態では、コンピュータ31は、HVACシステム27を制御するためにトランスミッタを使用する。代替的な実施形態では、コンピュータ31は、HVACシステム27を制御するためにアナログワイヤのみを使用する。
【0097】
植物育成環境における環境制御システムを制御する方法の第1の実施形態が
図6に示されている。ステップ101は、メモリに記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択することを含む。ステップ103は、複数のコンテナ識別子からコンテナを識別するコンテナ識別子又は複数の植物識別子から植物識別子を選択することを含む。コンテナは少なくとも1つの植物を含み、複数のコンテナ識別子又は植物識別子はメモリ又はさらなるメモリに記憶される。
【0098】
ステップ105は、ステップ101で選択される育成プロトコルとステップ103で選択されるコンテナ識別子又は植物識別子とを関連付けることを含む。育成プロトコルは、1つ以上の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値を含む。ステップ107は、1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値のうちの目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定することを含む。調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい。
【0099】
ステップ109は、ステップ107で決定される調整目標値に基づいて環境制御システムを制御することを含む。ステップ111は、少なくとも1つのデバイスからステップ103で選択されるコンテナ識別子又は植物識別子に関連する測定情報を得ることを含む。ステップ113は、ステップ111で得られる測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定することを含む。ステップ115は、ステップ113で決定される測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較することを含む。期待植物成長パラメータ値は、ステップ101で選択される育成プロトコルに含まれる。
【0100】
ステップ117は、測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定することを含む。ステップ118は、ステップ117で決定されるメリットと閾値Tとを比較することを含む。ステップ118において、メリットが閾値Tを超えると判断される場合、ステップ119が次に実行される。ステップ119は、育成プロトコルにおいて、目標値を調整目標値に置き換えることを含む。ステップ121は、育成プロトコルにおいて、期待植物成長パラメータ値を測定植物成長パラメータ値に置き換えることを含む。
【0101】
ステップ118において、メリットが閾値Tを超えないと判断される場合、ステップ103又はステップ101及び103がステップ121の後に繰り返され、その後、方法は
図6に示されるように進行する。ステップ103又はステップ101及び103はステップ121の後にも繰り返され、その後、方法は
図6に示されるように進行する。
【0102】
ステップ103~121の次の反復(iteration)において、さらなるコンテナ識別子又は植物識別子が選択され、さらなる調整目標値が、目標値に(例えば、前の反復のステップ119で記憶される調整目標値に)さらなる調整を適用することによって決定され、環境制御システム又はさらなる環境制御システムが、さらなる調整目標値に基づいて制御され、さらなるコンテナ識別子又は植物識別子に関連するさらなる測定情報が得られ、さらなる測定植物成長パラメータ値が決定され、期待植物成長パラメータ値と(例えば、ステップ121の前の反復で記憶される測定植物成長パラメータ値と)比較され、さらなる(調整)メリットが決定され、さらなるメリットが閾値を超える場合、目標値がさらなる調整目標値に置き換えられ、期待植物成長パラメータ値がさらなる測定植物成長パラメータ値に置き換えられる。
【0103】
植物育成環境における環境制御システムを制御する方法の第2の実施形態が
図7に示されている。
図2の例では、植物コンテナが成長層に挿入され、育成プロトコルがこのコンテナに関連付けられることが述べられた。また、同じ成長層に挿入される次のコンテナは、異なる育成プロトコルに関連付けら得ることが述べられた。コンテナは、近隣のコンテナの上方にある照明モジュールによって生成される光から遮蔽されないので、隣接するコンテナに対する異なる光プロトコルのクロストークが発生する可能性がある。この問題は、この第2の実施形態によって対処される。
【0104】
図7の実施形態では、環境制御システムは、複数の照明デバイスを含む。ステップ101は、メモリに記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択することを含む。育成プロトコルは、1つ以上の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値を含む。ステップ131は、複数のコンテナ識別子からコンテナを識別するコンテナ識別子を選択することを含む。コンテナは少なくとも1つの植物を含み、複数のコンテナ識別子はメモリ又はさらなるメモリに記憶される。ステップ133は、ステップ101で選択される育成プロトコルとステップ131で選択されるコンテナ識別子とを関連付けることを含む。
【0105】
ステップ107、ステップ135及びステップ137が、ステップ133の後に実行される。ステップ107は、1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する(ステップ101で選択される育成プロトコルに含まれる)1つ以上の目標値のうちの目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定することを含む。
図7の実施形態では、第1の成長条件パラメータの目標値は、光設定を表す。調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい。
【0106】
ステップ135は、複数の照明デバイスからステップ131で選択されるコンテナ識別子に関連する照明デバイスを選択することを含む。ステップ137は、ステップ131で選択されるコンテナ識別子に対応するコンテナのクロストークのない領域を決定することを含む。クロストークのない領域は、ユーザ入力に基づいて、又は、複数の照明デバイスとコンテナで成長する植物との間の距離及び/若しくは複数の照明デバイスによって発せられる光のパターンに基づいて決定される。クロストークのない領域で成長する植物は、光クロストークがない。例えば、コンテナの中央領域は、典型的には、光クロストークがない。ステップ139は、ステップ137で決定される、コンテナのクロストークのない領域で成長する1つ以上の植物に対応する1つ以上の植物識別子を決定することを含む。ステップ139は、例えば、
図4の植物識別子63、64及び65を選択することを含んでもよい。
【0107】
ステップ141は、ステップ107で決定される調整目標値に基づいてステップ135で選択される照明デバイスを制御することを含む。ステップ143は、少なくとも1つのデバイスからステップ139で決定される1つ以上の植物識別子に関連する測定情報を得ることを含む。ステップ113は、ステップ143で得られる測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定することを含む。ステップ115は、ステップ113で決定される測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較することを含む。期待植物成長パラメータ値は、ステップ101で選択される育成プロトコルに含まれる。
【0108】
ステップ117は、測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定することを含む。ステップ118は、この(調整)メリットと閾値Tとを比較することを含む。ステップ118において、メリットが閾値Tを超えると判断される場合、ステップ119が次に実行される。ステップ119は、育成プロトコルにおいて、目標値を調整目標値に置き換えることを含む。ステップ121は、育成プロトコルにおいて、期待植物成長パラメータ値を測定植物成長パラメータ値に置き換えることを含む。
【0109】
斯くして、
図7の実施形態では、光クロストークが、このクロストークに悩まされない植物のみを含めることによって回避される。例えば、光プロトコルは成長層内の3つの隣接するコンテナに関連付けられ、測定情報は、3つのコンテナの真ん中の植物(これらはクロストークに悩まされないと仮定する)についてのみ得られる。代替的に、同じ成長層に挿入される次のコンテナが異なる育成プロトコルに関連付けられる場合、
図4に関連して述べたように、測定情報は、コンテナの中央にある植物について得られてもよい。
【0110】
植物育成環境における環境制御システムを制御する方法の第3の実施形態が
図8に示されている。
図8の実施形態では、環境制御システムは、複数の照明デバイスを含み、さらなる環境制御システムも制御される。ステップ101は、メモリに記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択することを含む。育成プロトコルは、複数の成長条件パラメータに対する目標値を含む。複数の成長条件パラメータは、第1の成長条件パラメータ及び1つ以上の他の成長条件パラメータを含む。
【0111】
ステップ131は、複数のコンテナ識別子からコンテナを識別するコンテナ識別子を選択することを含む。コンテナは少なくとも1つの植物を含み、複数のコンテナ識別子はメモリ又はさらなるメモリに記憶される。ステップ133は、ステップ101で選択される育成プロトコルとステップ131で選択されるコンテナ識別子とを関連付けることを含む。ステップ107、ステップ161及びステップ165が、ステップ133の後に実行される。
【0112】
ステップ107は、第1の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値のうちの目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定することを含む。第1の成長条件パラメータの目標値は、光設定を表す。調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい。ステップ165は、1つ以上の他の成長条件パラメータ、例えば、温度に対する1つ以上のさらる目標値を決定することを含む。これらの1つ以上のさらなる目標値は調整されない。
【0113】
ステップ161は、ステップ133で選択されるコンテナ識別子の現在のロケーションを決定することを含む。ステップ163は、複数の照明デバイスから、ステップ161で決定される、コンテナ識別子の現在のロケーションに関連する照明デバイスを選択することを含む。ステップ166が、ステップ107、163及び165が完了した後に実行される。
【0114】
ステップ166は、ステップ167及びステップ169の2つのサブステップを含む。ステップ167は、調整目標値に基づいてステップ163で選択される照明デバイスを制御することを含む。ステップ169は、ステップ165で決定される1つ以上のさらなる目標値(調整なし)に基づいて、さらなる環境制御システム、例えば、
図1の気候制御コンピュータ25、及び、これによりHVACシステム27を制御することを含む。ステップ167及び169は、並行して実行される。
【0115】
ステップ143及びステップ173が、ステップ166の後に実行される。ステップ143は、少なくとも1つのデバイスからコンテナ識別子に関連する測定情報を得ることを含む。ステップ113は、ステップ143で得られる測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定することを含む。ステップ115は、ステップ113で決定される測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較することを含む。期待植物成長パラメータ値は、ステップ101で選択される育成プロトコルに含まれる。ステップ117は、調整のメリット又は調整メリットとも呼ばれる、測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定することを含む。
【0116】
ステップ173は、複数の照明デバイスのうちのさらなる照明デバイスから(例えば、光/色センサによって)コンテナ識別子のロケーションで受ける光の光特性を決定することを含む。このさらなる照明デバイスは、光クロストークをもたらす可能性がある。ステップ175は、ステップ107で決定される調整目標値及びステップ173で決定される光特性に基づいて補償目標値を決定することを含む。
【0117】
ステップ118は、ステップ117で決定される(調整)メリットと閾値Tとを比較することを含む。ステップ118において、メリットが閾値Tを超えると判断される場合、ステップ177が次に実行される。ステップ177は、育成プロトコルにおいて、目標値をステップ175で決定される補償目標値に置き換えることを含む。ステップ121は、育成プロトコルにおいて、期待植物成長パラメータ値をステップ113で決定される測定植物成長パラメータ値に置き換えることを含む。
【0118】
植物育成環境における環境制御システムを制御する方法の第4の実施形態が
図9に示されている。この第4の実施形態は、
図6の第1の実施形態の変形例である。
図9の実施形態では、ステップ101で育成プロトコルが選択された後、ステップ103及びステップ203が実行される。ステップ203は、複数のコンテナ識別子からさらなるコンテナを識別するさらなるコンテナ識別子又は複数の植物識別子からさらなる植物識別子を選択することを含む。さらなるコンテナは、少なくとも1つの植物を含む。代替的な実施形態では、ステップ101、103及び203は、並行して実行される。
【0119】
次に、ステップ205は、ステップ101で選択される育成プロトコルとステップ203で選択されるさらなるコンテナ識別子とを関連付けることを含む。ステップ207は、育成プロトコルに含まれる1つ以上の目標値のうちのさらなる目標値にさらなる調整を適用することによってさらなる調整目標値を決定することを含む。さらなる目標値は、ステップ107で決定される調整目標値と同じ成長条件パラメータに対する目標値であってもよく、又は異なる成長条件パラメータに対する目標値であってもよい。前者の場合、さらなる調整は、ステップ107で決定される調整とは異なる。さらなる調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい。
【0120】
ステップ209は、ステップ207で決定されるさらなる調整目標値に基づいて環境制御システム又は異なる環境制御システムを制御することを含む。ステップ211は、1つ以上のデバイスからステップ203で選択されるさらなるコンテナ識別子に関連するさらなる測定情報を得ることを含む。ステップ213は、ステップ211で得られるさらなる測定情報に基づいてさらなる測定植物成長パラメータ値を決定することを含む。ステップ215は、ステップ213で決定されるさらなる測定植物成長パラメータ値と(ステップ115でも使用される)期待植物成長パラメータ値とを比較することを含む。ステップ217は、さらなる測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値との差のさらなるメリットを決定することを含む。
【0121】
ステップ231が、ステップ117及び217が完了した後に実行される。ステップ231は、ステップ117で決定される(調整)メリットと、ステップ217で決定されるさらなる(調整)メリットとを比較することを含む。メリットがさらなるメリットを超える場合、ステップ118が実行される。ステップ118は、メリットと閾値Tとを比較することを含む。ステップ118において、メリットが閾値Tを超えると判断される場合、ステップ119が次に実行される。ステップ119は、育成プロトコルにおいて、目標値をステップ107で決定される調整目標値に置き換えることを含む。ステップ121は、育成プロトコルにおいて、期待植物成長パラメータ値をステップ113で決定される測定植物成長パラメータ値に置き換えることを含む。
【0122】
メリットがさらなるメリットを超えない場合、ステップ218が実行される。ステップ218は、さらなるメリットと閾値Tとを比較することを含む。ステップ218において、さらなるメリットが閾値Tを超えると判断される場合、ステップ219が次に実行される。ステップ219は、育成プロトコルにおいて、目標値をステップ207で決定されるさらなる調整目標値に置き換えることを含む。ステップ121は、育成プロトコルにおいて、期待植物成長パラメータ値をステップ213で決定されるさらなる測定植物成長パラメータ値に置き換えることを含む。ステップ101が、ステップ121又はステップ221が完了した後に繰り返され、方法は
図9に示されるように進行する。
【0123】
植物育成環境における環境制御システムを制御する方法の第5の実施形態が
図10に示されている。この第5の実施形態は、
図6の第1の実施形態の拡張である。
図10の実施形態では、
図6のステップ107がステップ251によって実施され、ステップ121の後にステップ253が実行される。ステップ251は、育成プロトコルに関連する植物種又は品種の成長モデルに基づいて調整目標値を決定することを含む。ステップ253は、調整目標値と測定植物成長パラメータ値との関係に基づいて成長モデルを修正することを含む。
【0124】
図6~
図10の実施形態は、本発明の様々な態様を示している。代替的な実施形態では、これらの態様のうちの複数が組み合わされる。
【0125】
図11は、植物育成環境における環境制御システムを制御するためのコントローラの第3の実施形態、インターネットサーバ271を示している。
図11の例では、気候(温度、湿度、CO2レベル)は気候制御コンピュータ25により制御され、光条件(光強度、スペクトル、並びに時刻及び植物の成長段階へのそれらの依存性)は光制御コンピュータ91により制御される。光コンピュータ91は、照明デバイス11~13、例えば、LEDモジュールを制御する。気候コンピュータ25は、暖房換気空調(HVAC)システム27を制御する。
【0126】
インターネットサーバ271は、レシーバ273、トランスミッタ274、プロセッサ275、及びメモリ277を含む。プロセッサ275は、メモリ277に記憶される育成プロトコルのコレクションから育成プロトコルを選択する、複数のコンテナ識別子から(少なくとも1つの植物を含む)コンテナを識別するコンテナ識別子又は複数の植物識別子から植物識別子を選択する、及び、育成プロトコルとコンテナ識別子又は植物識別子とを関連付けるように構成される。
【0127】
複数のコンテナ識別子又は植物識別子も、メモリ277に記憶される。
図11の例において、育成プロトコルは、複数の成長条件パラメータに対する目標値を含む。これらの複数の成長条件パラメータは、例えば、光条件、温度、CO2レベル及び/又は湿度を含んでもよい。
【0128】
プロセッサ275はさらに、1つ以上の成長条件パラメータのうちの第1の成長条件パラメータに対する1つ以上の目標値のうちの第1の目標値に調整を適用することによって調整目標値を決定するように構成される。第1の目標値への調整は、所定の最小値より大きく、所定の最大値より小さい。他の成長条件パラメータに対する目標値は調整されない。
【0129】
プロセッサ275はさらに、トランスミッタ274を介して、調整目標値及び調整されない他の目標値に基づいて、気候制御コンピュータ25(及びこれによりHVACシステム27)及び光制御コンピュータ91(及びこれにより照明デバイス11~13のうちの少なくとも1つ)を制御するように構成される。
【0130】
プロセッサ275はさらに、レシーバ273を介して、コンテナ識別子又は植物識別子に関連する測定情報を得る、測定情報に基づいて測定植物成長パラメータ値を決定する、及び、測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値とを比較するように構成される。期待植物成長パラメータ値は、育成プロトコルに含まれる。測定情報は、例えば、育成者のユーザデバイスから、又は育成者のERPシステムに結合される自動計量システムから得られてもよい。
【0131】
プロセッサ275はさらに、測定植物成長パラメータ値と期待植物成長パラメータ値との差に関するメリットを決定する、育成プロトコルにおいて、メリットが閾値を超えることに依存して目標値を調整目標値に置き換える、及び、育成プロトコルにおいて、メリットが閾値を超えることに依存して期待植物成長パラメータ値を測定植物成長パラメータ値に置き換えるように構成される。
【0132】
図11の例では、インターネットサーバ271は、単一の光制御コンピュータ91及び単一の気候制御コンピュータ25を制御することが示されている。しかしながら、中央コンピュータを使用する利点は、例えば、垂直農場内又は異なる農場間の異なる場所で調整がスケジュールされることを可能にすることである。インターネットサーバ271は、異なる場所での異なる実験を並行又は順番にスケジュールしてもよく、例えば、
図6~
図9の方法又はその組み合わせを実行してもよい。
【0133】
一例として、育成者は、各々が少なくとも1つの気候セルを有し、各気候セルは少なくとも1つの成長ラックを有し、各成長ラックは少なくとも1つの成長層を有する、複数の垂直農場を所有してもよい。この例では、育成者は、これらの垂直農場で特定の作物及び品種を育成し、公称育成プロトコル及び特定の時間及びロジスティックスケジュールに従っている。育成者は、ユーザインターフェースを介して、以下から選択するオプションを提供されてもよい。
・ 利用可能な目的のリスト(例えば、成長効率を最大化する目的)。代替的に、ユーザは、目的エディタを介して目的を定義することができてもよい。また、育成者が複数の目的を選択すること、又は、例えば、生産されるバイオマス1kg当たりのエネルギをある上限値以下に保ちながら、生産されるバイオマスを最大化する等、制約を定義することも可能であり得る。
・ 選択された目的に対する、変動されてもよく、この目的を達成するために関連する育成条件パラメータのリスト(例えば、垂直農場1及び成長セル1において22℃~25℃の間、及び、成長セル2において20℃~30℃の間で変動されることができる、温度等)。
【0134】
なされた選択に依存して、インターネットサーバ271は、光制御コンピュータ91及び気候制御コンピュータ25とインターフェースし、垂直農場における成長セル内の成長ラック内の成長層における植物コンテナを選択し、光制御コンピュータ91又は気候制御コンピュータ25に、このコンテナに対して調整目標値(例えば、温度における偏差)を使用することを指示する。代替的な施形態では、インターネットサーバ271は、(複数の)垂直農場の中央制御システムとインターフェースしてもよく、中央制御システムは、(例えば、物流システム、光制御コンピュータ、気候制御コンピュータ、及び場合によってはERPシステムを含む)他のローカルシステムとインターフェースしてもよい。
【0135】
このコンテナの収穫時に、収穫された植物の測定植物パラメータが取得される。代替的に、植物パラメータは、植物がまだ成長層にある際に、又は再間隔付け(respacing)又は再配置(relocation)の目的で成長層から取り出される場合に測定及び取得されてもよい。その後、収穫情報は、公称育成レシピに対する改善された調整を提案するために、過去又は進行中に実行される同様の育成プロトコル(又は同様の植物若しくは同様の植物品種のための育成プロトコル)及びその成果に関するすべての利用可能な情報と共に、処理される。これは数回、又は継続的に繰り返されてもよい。
【0136】
図11に示されるサーバ271の実施形態では、サーバ271は1つのプロセッサ275を含む。代替的な実施形態では、サーバ271は複数のプロセッサを含む。プロセッサ275は、例えばIntel若しくはAMDからの汎用プロセッサ、又は特定用途向けプロセッサであってもよい。プロセッサ275は、例えば、Windows若しくはUnixベースのオペレーティングシステムを実行してもよい。メモリ277は、1つ以上のメモリユニットを含んでもよい。メモリ277は、例えば、1つ以上のハードディスク及び/又はソリッドステートメモリを含んでもよい。メモリ277は、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーション及びアプリケーションデータを記憶するために使用されてもよい。
【0137】
レシーバ273及びトランスミッタ274は、例えば、光制御コンピュータ91及び気候制御コンピュータ25と通信するために1つ以上の有線及び/又はワイヤレス通信技術を使用してもよい。代替的な実施形態では、単一のレシーバ及び単一のトランスミッタの代わりに、複数のレシーバ及び/又は複数のトランスミッタがサーバ271で使用される。
図11に示される実施形態では、別個のレシーバ及び別個のトランスミッタが使用されている。代替的な実施形態では、レシーバ273及びトランスミッタ274は、トランシーバにまとめられる。サーバ271は、電源コネクタ及びディスプレイ等のサーバに典型的な他の構成要素を含んでもよい。本発明は、1つ以上のプロセッサで実行されるサーバプログラムを使用して実装されてもよい。
【0138】
図12は、
図6~
図10を参照して述べられたような方法を実行し得る、例示的なデータ処理システムを示すブロック図を示している。
【0139】
図12に示されるように、データ処理システム300は、システムバス306を介してメモリ要素304に結合される、少なくとも1つのプロセッサ302を含んでもよい。それゆえ、データ処理システムは、メモリ要素304内にプログラムコードを記憶してもよい。さらに、プロセッサ302は、システムバス306を介してメモリ要素304からアクセスされるプログラムコードを実行してもよい。一態様では、データ処理システムは、プログラムコードを記憶及び/又は実行するために好適なコンピュータとして実装されてもよい。しかしながら、データ処理システム300は、本明細書内で述べられる機能を実行することが可能な、プロセッサ及びメモリを含む任意のシステムの形態で実装されてもよい点を理解されたい。
【0140】
メモリ要素304は、例えば、ローカルメモリ308及び1つ以上の大容量記憶デバイス310等の、1つ以上の物理メモリデバイスを含んでもよい。ローカルメモリとは、プログラムコードの実際の実行中に一般に使用される、ランダムアクセスメモリ又は他の非永続的メモリデバイスを指してもよい。大容量記憶デバイスは、ハードドライブ又は他の永続的データ記憶デバイスとして実装されてもよい。処理システム300はまた、実行中に大容量記憶デバイス310からプログラムコードが取得されなければならない回数を低減するために、少なくとも一部のプログラムコードの一時記憶を提供する、1つ以上のキャッシュメモリ(図示せず)を含んでもよい。また、処理システム300は、例えば、処理システム300がクラウドコンピューティングプラットフォームの一部である場合、別の処理システムのメモリ要素を使用することができてもよい。
【0141】
入力デバイス312及び出力デバイス314として示される、入出力(I/O:input/output)デバイスが、オプションとして、データ処理システムに結合されることができる。入力デバイスの例としては、限定するものではないが、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、(例えば、ボイス及び/又はスピーチ認識のための)マイク等を挙げることができる。出力デバイスの例としては、限定するものではないが、モニタ又はディスプレイ、スピーカ等を挙げることができる。入力デバイス及び/又は出力デバイスは、直接、又は介在I/Oコントローラを介して、データ処理システムに結合されてもよい。
【0142】
一実施形態では、入力デバイス及び出力デバイスは、複合型入力/出力デバイス(入力デバイス312及び出力デバイス314を取り囲む破線で
図12に示されるもの)として実装されてもよい。そのような複合型デバイスの一例は、「タッチスクリーンディスプレイ」又は単に「タッチスクリーン」と称される場合もある、タッチセンシティブディスプレイである。そのような実施形態では、デバイスへの入力は、タッチスクリーンディスプレイ上、又はタッチスクリーンディスプレイの近くでの、例えばスタイラス又はユーザの指等の、物理的実体の移動によって提供されてもよい。
【0143】
ネットワークアダプタ316もまた、データ処理システムに結合されて、介在する私設ネットワーク又は公衆ネットワークを介して、そのデータ処理システムが、他のシステム、コンピュータシステム、リモートネットワークデバイス、及び/又はリモート記憶デバイスに結合されることを可能にしてもよい。ネットワークアダプタは、上述のシステム、デバイス、及び/又はネットワークによってデータ処理システム300に送信されるデータを受信するための、データレシーバと、データ処理システム300から上述のシステム、デバイス、及び/又はネットワークにデータを送信するための、データトランスミッタとを含んでもよい。モデム、ケーブルモデム、及びEthernet(登録商標)カードは、データ処理システム300と共に使用されてもよい、種々のタイプのネットワークアダプタの例である。
【0144】
図12に示されるように、メモリ要素304は、アプリケーション318を記憶してもよい。様々な実施形態では、アプリケーション318は、ローカルメモリ308、1つ以上の大容量記憶デバイス310内に記憶されてもよく、あるいは、それらローカルメモリ及び大容量記憶デバイスとは別個であってもよい。データ処理システム300はさらに、アプリケーション318の実行を容易にすることが可能なオペレーティングシステム(
図12には示さず)を実行してもよい点を理解されたい。アプリケーション318は、実行可能プログラムコードの形態で実装されており、データ処理システム300によって、例えばプロセッサ302によって、実行されることができる。アプリケーションの実行に応答して、データ処理システム300は、本明細書で述べられる1つ以上の動作又は方法ステップを実行するように構成されてもよい。
【0145】
本発明の様々な実施形態は、コンピュータシステムと共に使用するためのプログラムプロダクトとして実装されてもよく、このプログラムプロダクトのプログラムは、(本明細書で説明される方法を含めた)実施形態の機能を定義する。一実施形態では、このプログラムは、様々な非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に含まれることができ、本明細書で使用されるとき、「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」という表現は、全てのコンピュータ可読媒体を含むが、唯一の例外は一時的な伝搬信号である。別の実施形態では、このプログラムは、様々な一時的コンピュータ可読記憶媒体上に含まれることができる。例示的なコンピュータ可読記憶媒体としては、限定するものではないが、(i)情報が永続的に記憶される、書き込み不可記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読み取り可能なCD-ROMディスク、ROMチップ、又は任意のタイプの不揮発性固体半導体メモリ等の、コンピュータ内部の読み出し専用メモリデバイス)、及び(ii)変更可能な情報が記憶される、書き込み可能記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ、ディスケットドライブ若しくはハードディスクドライブ内部のフロッピーディスク、又は任意のタイプのランダムアクセス固体半導体メモリ)が挙げられる。コンピュータプログラムは、本明細書で述べられるプロセッサ302上で実行されてもよい。
【0146】
本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうではないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用されるとき、用語「含む」及び/又は「含んでいる」は、記述された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在若しくは追加を排除するものではない点が、さらに理解されるであろう。
【0147】
以下の請求項における全てのミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素の、対応する構造、材料、行為、及び均等物は、具体的に特許請求される他の特許請求要素と組み合わせて機能を実行するための、任意の構造、材料、又は行為を含むことが意図される。本発明の実施形態の説明は、例示を目的として提示されてきたが、網羅的であるか、又は開示された形態の実装形態に限定されることを意図するものではない。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正形態及び変形形態が当業者には明らかとなるであろう。実施形態は、本発明の原理及び一部の実際的応用を最良に説明し、想到される特定の用途に適するような様々な修正を有する様々な実施形態に関して、他の当業者が本発明を理解することを可能にするために、選択及び説明されている。