(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】位置決めピン
(51)【国際特許分類】
F16B 19/02 20060101AFI20230823BHJP
B23K 37/04 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
F16B19/02
B23K37/04 F
(21)【出願番号】P 2019150027
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
(72)【発明者】
【氏名】増岡 悦男
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-202646(JP,U)
【文献】実開昭52-019558(JP,U)
【文献】特開平04-138897(JP,A)
【文献】実開平01-109611(JP,U)
【文献】特開昭50-158699(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10222008(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/00-33/00
37/00-37/08
B23Q 3/00- 3/154
3/16- 3/18
F16B 17/00-19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記挿通突起の外周に全周に渡って凹部を形成し、該凹部に被膜が施されたことを特徴とした
請求項1に記載の位置決めピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶接におけるワークの位置決めをするための溶接用の位置決めピンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の位置決めピンは、ワークの位置決め孔が位置決めピンに嵌め込まれる際に、位置決め孔の縁が位置決めピンの外周面に衝突し、位置決めピンの外周面に擦れ合って下降するため、位置決めピンに耐摩耗性が必要になり、特許文献1で示すように、金属制本体の表面にアルミナを蒸着処理して耐摩耗性を向上したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のものでは位置決めピンの硬度を上げて耐摩耗性、耐衝撃性を向上しているが、位置決めピンはワークの位置決め孔が嵌め合せる際の衝撃はあまり大きなものではないが、1日に数千回しかも略同じ箇所に与えられるので、位置決めピンが充分耐えられる衝撃も、同じ箇所に、極めて多くの回数衝撃をうけると、衝撃を受ける箇所が抉れ、ワークの位置決めの際、位置決め孔の縁が、抉れた箇所に引っ掛かり、ワークの位置決めがスムーズに行かなくなり、溶接不良を引き起こすことがあった。
【0005】
本発明は、前記の問題を解決し、耐摩耗性、及び高い衝撃吸収力を備え、極めて多くの衝撃が同一箇所に与えられても、衝撃を吸収することにより、抉れを防止した位置決めピンを提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の位置決めピンは、固定部と固定部の上部に形成された挿通突起とからなる位置決めピンにおいて、挿通突起の表面に、耐摩耗性を有する絶縁弾性体の被膜を施したことを特徴とするものである。
【0007】
前記耐摩耗性を有する絶縁弾性体の被膜がポリウレア樹脂であることが好ましく、これを請求項1の発明とする。
【0008】
前記挿通突起の外周に全周に渡って凹部を形成し、該凹部に被膜が施されたことであることが好ましく、これを請求項2の発明とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、挿通突起の表面に、耐摩耗性を有する絶縁弾性体の被膜を施したことにより、耐摩耗性に優れ、かつ、衝撃吸収性を有しているので、長期間位置決めピンの抉れを防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す一部切欠き図である。
【
図2】本発明の他の実施の形態を示す一部切欠き図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について
図1に基づいて説明すると、1は、上端にフランジ2を設けた固定部3と、該固定部3のフランジ2の上面から突設した、図示されていないワークの位置決め孔に挿通されてワークを位置決めする挿通突起4とから形成された炭素鋼(45C)からなる位置決めピンであり、位置決めピン1の固定部3の下部には図示されていない溶接機等に取付けるためのねじ5が螺刻されるとともに、挿通突起4の上端は先細状の案内部6となっている
【0012】
前記位置決めピン1の母材7の挿通突起4の表面には、ポリウレア樹脂の被膜8が厚さ2mm以上施されている。
【0013】
尚、ポリウレア樹脂とはイソシアネートとポリアミンの化学反応で生成されるウレア結合を基本とした樹脂化学物であり、高い衝撃吸収性、耐摩耗性、絶縁性に優れている。
【0014】
次に、本発明の他の実施の形態について、
図2に基づいて説明すると、11は、上端にフランジ12を設けた固定部13と、該固定部13のフランジ12の上面から突設した、図示されていないワークの位置決め孔に挿通されてワークを位置決めする挿通突起14とから形成された炭素鋼(45C)からなる位置決めピンであり、位置決めピン11の固定部13の下部には図示されていない固定台に取付けるためのねじ15が螺刻されるとともに、挿通突起14の上端は先細状の案内部16となっている。
【0015】
前記位置決めピン11の挿通突起14の案内部16とフランジ12の間の外周には全周に渡って凹部19が形成され、該凹部19にポリウレア樹脂の被膜が凹部以上の厚さで施されている。
【0016】
【0017】
以上のように、本発明によれば、挿通突起の表面に、耐摩耗性を有する絶縁弾性体の被膜を施したことにより、耐摩耗性に優れ、かつ、衝撃吸収性を有しているので、長期間位置決めピンの抉れを防止し、ワークの位置決めがスムーズで、また溶接不良を防止できる。
【符号の説明】
【0018】
1 位置決めピン
4 挿通突起
7 ポリウレア樹脂
11 位置決めピン
14 挿通突起
17 ポリウレア樹脂