(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ポール型太陽光発電機、該ポール型太陽光発電機を備えた照明装置、及び該ポール型太陽光発電機を備えた監視情報通信装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/08 20060101AFI20230823BHJP
H02S 10/20 20140101ALI20230823BHJP
H02J 9/02 20060101ALI20230823BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230823BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230823BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20230823BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20230823BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20230823BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230823BHJP
【FI】
F21S8/08 120
H02S10/20
H02J9/02
H02J7/35 H
H02J7/00 301A
F21S8/08 400
F21V33/00 400
F21S9/02 100
H02S20/10 B
H02S20/10 S
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020041358
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501475550
【氏名又は名称】株式会社オーエスエム
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 正之
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-185037(JP,A)
【文献】特開2002-025314(JP,A)
【文献】特表2020-502768(JP,A)
【文献】特開2016-050645(JP,A)
【文献】特開2015-038854(JP,A)
【文献】特開2019-031774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0211788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 23/00-99/00
H02S 10/20
H02J 9/02
H02J 7/35
H02J 7/00
H02S 20/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを有し、略垂直に立設した状態で該太陽電池モジュールを用いた太陽光による発電が可能なポール型太陽光発電機であって、
窓付きの収容部を有するポール本体と、
該ポール本体の外周面側の少なくとも一部に設けられた前記太陽電池モジュールと、
該太陽電池モジュールにより発電された電力を、蓄電するバッテリ、及び制御する電力制御器を含む複数の内蔵機器とを備え、
該複数の内蔵機器が、前記収容部内に上下に積まれた状態で収納されるものであ
り、前記複数の内蔵機器のうち最も下方に位置する前記内蔵機器を下側から保持する下部スペーサを更に備え、該下部スペーサが、前記収容部の内部への浸水があった際に、前記複数の内蔵機器を上方へ移動させる上昇手段を備えてなることを特徴とするポール型太陽光発電機。
【請求項2】
前記複数の内蔵機器の間に、これらを離間した状態で保持するスペーサが設けられてなる請求項1記載のポール型太陽光発電機。
【請求項3】
前記スペーサの側面に、該スペーサの内部と外部とを連通する開口が設けられてなる請求項2記載のポール型太陽光発電機。
【請求項4】
前記内蔵機器が、上下に積み重ねることで互いに電気接続される端子部を上面及下面に有する保護ケースに収納されてなる請求項1記載のポール型太陽光発電機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のポール型太陽光発電機に、外方に向けて光を放つ発光部を更に設けてなる照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のポール型太陽光発電機に、設置場所の環境情報を取得するセンサ及び/又はカメラと、少なくとも該センサ及び/又はカメラにより得られた情報を外部の通信手段に発信する通信機とを更に設けてなる監視情報通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略垂直に立設した状態で太陽光による発電が可能なポール型太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光センサによって夜間と判断した場合には商用AC電源を電源とし、夜間と判断した場合で且つ前記商用AC電源から給電されていないと判断した場合に電源を内部電源装置に切り替えるようにしたLED街路灯無停電電源装置において、電源が前記内部電源装置に切り替えられていることを表示するランプが外部から視認可能な街路灯の支柱に取付けられ、前記内部電源装置はリチウムフェライト二次電池と、このリチウムフェライト二次電池に夜間点灯時に充電する充電器と、電源の切替を行うコントローラとを袋状または筒状の防水構造体内に収納した状態で、支柱内部に吊下げ支持したものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなLED街路灯無停電電源装置は、バッテリ(リチウムフェライト二次電池)、充電器、電源の切替および調光等を行うコントローラをユニット化して防水性に優れた袋や筒体内に収納し、この状態で支柱内に吊下げることによって、支柱内に水が浸入した場合でも、電源装置として機能するものとなっている。
【0004】
しかし、LED街路灯としての機能だけであれば、限られた機器を内部に備えるだけでよくこのような吊下げによって構成することが可能であるものの、太陽電池モジュールの高効率化に伴い、多機能を備える装置とすべく多くの機器を備えることは難しいものとなっていた。また、地震が発生した場合、横揺れにより支柱内で機器が揺れて支柱内面に衝突すること、縦揺れによってフックから吊下げ用のチェーンが外れて支柱内で落下することが考えられ、自然災害等の特に必要とされるべき状況において故障が生じ得るものでもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み解決しようとするところは、太陽電池モジュールの高効率化に伴い必要とされつつある多機能・高機能を備えるものとすべく、多数の内蔵機器を設けることが可能であり、且つ、地震等の自然災害が発生した場合であっても内蔵機器の故障等の問題が生じ難い、立設式の太陽光発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
太陽電池モジュールを有し、略垂直に立設した状態で該太陽電池モジュールを用いた太陽光による発電が可能なポール型太陽光発電機であって、窓付きの収容部を有するポール本体と、該ポール本体の外周面側の少なくとも一部に設けられた前記太陽電池モジュールと、該太陽電池モジュールにより発電された電力を、蓄電するバッテリ、及び制御する電力制御器を含む複数の内蔵機器とを備え、該複数の内蔵機器が、前記収容部内に上下に積まれた状態で収納されるものであり、前記複数の内蔵機器のうち最も下方に位置する前記内蔵機器を下側から保持する下部スペーサを更に備え、該下部スペーサが、前記収容部の内部への浸水があった際に、前記複数の内蔵機器を上方へ移動させる上昇手段を備えてなるものである。
【0008】
また、前記複数の内蔵機器の間に、これらを離間した状態で保持するスペーサが設けられてなるものとしてもよい。
【0009】
さらに、前記スペーサの側面に、該スペーサの内部と外部とを連通する開口が設けられてなるものとしてもよい。
【0012】
さらに、前記内蔵機器が、上下に積み重ねることで互いに電気接続される端子部を上面及び下面に有する保護ケースに収納されてなるものであってもよい。
【0013】
さらにまた、上記のポール型太陽光発電機に、外方に向けて光を放つ発光部を更に設けてなる照明装置とすることもできる。
【0014】
また、上記のポール型太陽光発電機に、設置場所の環境情報を取得するセンサ及び/又はカメラと、少なくとも該センサ及び/又はカメラにより得られた情報を外部の通信手段に発信する通信機とを更に設けてなる監視情報通信装置とすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
上述のように構成されたポール型太陽光発電機によれば、太陽電池モジュールの高効率化に伴い必要とされつつある多機能・高機能を備えるものとすべく、多数の内蔵機器を設けることが可能であり、且つ、地震等の自然災害が発生した場合であっても内蔵機器の故障等の問題が生じ難いものとすることができる。また、前記収容部内の前記複数の内蔵機器のうち最も下方に位置する前記内蔵機器を下側から保持する下部スペーサを更に備えているため、最も下方に位置する内蔵機器の位置を、接地環境に合わせて高くすることで、例えば万が一の浸水によっても、内蔵機器を保護することができる。さらに、前記下部スペーサが、前記収容部の内部への浸水があった際に、前記複数の内蔵機器を上方へ移動させる上昇手段を備えているため、浸水があった場合に内蔵機器をより安全に保護することができる。
【0016】
前記複数の内蔵機器の間に、これらを離間した状態で保持するスペーサが設けられてなるものによれば、内蔵機器同士が直接接触せず、特に端子部分に負荷が加わることを防止することで、内蔵機器を適切に保護することができる。
【0017】
さらに、前記スペーサの側面に、該スペーサの内部と外部とを連通する開口が設けられてなるものによれば、開口を利用して内蔵機器や内蔵機器同士をつなぐコード等の設定やメンテンスを行なうことができる。
【0020】
さらに、前記内蔵機器が、上下に積み重ねることで電気接続可能な端子部を有する保護ケースに収納されてなるものによれば、必要とされる機能に応じて選択される内蔵機器を収納した保護ケースをそのまま上下に積み重ねるだけで、これらの内蔵機器を電気的に接続することが可能となる。
【0021】
さらにまた、上記ポール型太陽光発電機に、外方に向けて光を放つ発光部を更に設けてなる照明装置によれば、電気供給がない場所にも、必要とされる機能によって選択される種々の内蔵機器を多数備えることが可能で、且つ、地震が発生した場合であっても内蔵機器の故障等の問題が生じ難い照明を容易に設置することができる。
【0022】
また、上記ポール型太陽光発電機に、設置場所の環境情報を取得するセンサ及び/又はカメラと、少なくとも該センサ及び/又はカメラにより得られた情報を外部の通信手段に発信する通信機とを更に設けてなる監視情報通信装置によれば、電気供給がない場所にも、必要とされる機能によって選択される種々の内蔵機器を多数備えることが可能で、且つ、地震が発生した場合であっても内蔵機器の故障等の問題が生じ難い監視情報通信装置を容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るポール型太陽光発電機を備えた照明付き監視情報通信装置の構成を示す側面図である。
【
図2】同じくポール型太陽光発電機を備えた照明付き監視情報通信装置の内部構造を示す正面縦断面図である。
【
図3】同じくポール型太陽光発電機を備えた照明付き監視情報通信装置の収容部の構成を示す部分拡大断面図である。
【
図4】同じくポール型太陽光発電機を備えた照明付き監視情報通信装置のスペーサ部分の構成を示す部分拡大断面図である。
【
図5】同じくポール型太陽光発電機を備えた照明付き監視情報通信装置に用いられるスペーサの構成を示す斜視図である。
【
図6】同じくポール型太陽光発電機を備えた照明付き監視情報通信装置の内蔵機器の収容方法を示す部分拡大図である。
【
図7】同じくポール型太陽光発電機を備えた照明付き監視情報通信装置の浸水状態を示す正面側縦断面図である。
【
図8】同じくポール型太陽光発電機を備えた照明付き監視情報通信装置の窓を上下に配した構成を示す部分拡大断面図である。
【
図9】同じくポール型太陽光発電機を備えた照明付き監視情報通信装置の保護ケースを用いた構成を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
図1乃至
図4に、本発明の第一実施形態としての照明付き監視情報通信装置1の構成を示す。
【0025】
図1乃至
図4に示すように、本発明の第一実施形態に係る照明付き監視情報通信装置1は、ポール型太陽光発電機2の上部に、発光部としてライト9が設けられ、更に、環境情報を取得するセンサ18と、少なくともセンサ18により得られた情報を外部の通信手段に発信する通信機19とカメラ20が設けられたものである。また、ポール型太陽光発電機2は、太陽電池モジュールとして太陽光発電シート体5を有し、略垂直に立設した状態で太陽光発電シート体5を用いた太陽光による発電が可能なポール型太陽光発電機であって、窓14付きの収容部13を有するポール本体4と、ポール本体4の外周面側の少なくとも一部に設けられた太陽光発電シート体5と、太陽光発電シート体5により発電された電力を、蓄電するバッテリ6A、及び制御する電力制御器6Bを含む複数の内蔵機器6,6,…とを備え、複数の内蔵機器6,6,…が、収容部13内に上下に積み重ねて収納されるものである。
【0026】
ここで、ポール型太陽光発電機2は、太陽光発電機能を有するポール型のものであるが、ポール型とは、例えば、図示するような略垂直に立設された一本の円柱状のものを含み、また、四角柱等の多角柱状・楕円柱状のもの、一本ではなく二本以上が連結されたもの、地形や用途に合わせて若干の立設角度が調整されたもの、及び、折畳みや伸縮、地中への収納可能なもの等、少なくとも一部分を立てて設けるものを広く含むものとする。また、太陽電池モジュールとは、太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する全てのものをいい、一例として可撓性があるものとして図示しているが、これに限らず、円柱形状に形成された板状のパネル等であってもよいし、また他の構成のものを採用してもよい。
【0027】
ポール型太陽光発電機2は、筒体3と、この筒体3を所定高さで回動可能に保持するポール本体4とを有し、筒体3に太陽光発電シート体5の一部に巻き付けられ、この太陽光発電シート体5によって電力が発電されるものとなっている。また、ポール本体4には、複数の内蔵機器6,6,…を収容する収容部13が設けられ、太陽光発電シート体5によって発電された電力によって複数の内蔵機器6,6,…が機能を発揮するものとなっている。
【0028】
筒体3は、細長く円筒状に形成されたものであって、内部にポール本体4が挿通され、ポール本体4に所定の高さで保持されている。また、筒体3の外周面側には太陽電池モジュールとして可撓性を有する太陽光発電シート体5が設けられている。
【0029】
ここで、筒体3はポール本体4に対して回動可能且つ上下スライド可能となっているが、ポール本体4には、リング状のストッパー17が設けられており、このストッパー17が筒体3の下端部に当接することで、この位置よりも筒体3が下がらないものとなっている。このストッパー17はポール本体4に固定されているものであるが、これを高さ調整可能なものとしておくことで、ポール本体4に対する筒体3の相対高さ位置を調整できるものとしてもよい。このような構成によれば、設置場所に合わせて太陽光発電シート体5の高さも調整することができ、発電効率がより高くなるように調整することも可能となる。なお、筒体3の上端部は、ポール本体4に回動可能に設けられた上カバー11によって覆われている。この上カバー11によって、ポール本体4と筒体3との間に雨が入り込み難いものとなっている。ここで、上カバー11のポール本体4への取付部分において、上カバー11とポール本体4との間には、通気できる程度の若干の隙間が形成されており、この隙間によって、空気が上方に抜け出ることで、太陽光発電シート体5の温度が高くなり過ぎないように構成されている。なお、設置後の照明付き監視情報通信装置1においては、上カバー11は螺子によってポール本体4に回転不能及び上下スライド不能に固定されている。
【0030】
ポール本体4には、接地して全体を支持する接地部12と、内部に収容部13が設けられている。また、収容部13には、内蔵機器等の出し入れ用及びメンテナンス用の蓋付き窓14が設けられている。このポール本体4は接地部12や収容部13が一体的な部材によって構成されているが、ポール本体4は、このような構成に限らず、複数の部品から構成されるものであってもよいし、伸縮可能や変形可能なものとして構成されたものであってもよい。
【0031】
ポール本体4の上端部には、ライト9等の内蔵機器を取り付けるための取付部15が設けられ、ライト9がこの取付部15に固定されることで、全体として照明として使用できるものとなっている。また、取付部15には、センサ18、通信機19、カメラ20が取り付けられており、センサ18やカメラ20によって得られた設置場所の環境情報等を通信機19によって、外部の通信手段に対して発信できるものとなっている。このような構成によれば、農業用サーバーや工業用サーバー、災害監視装置等に広く活用することが可能である。さらに、上記のようなセンサ18や通信機19、カメラ20に限らず、設置場所や目的に合わせた内蔵機器等を追加することで、電気供給がない場所であっても必要とされる監視・管理設備を容易に設置することができるものとなる。また、このポール本体4の下部4bは、上部4aよりも幅広に形成され、この下部4bの内部には、収容部13が形成されている。この収容部13は、ポール本体4の全長における約2分の1の範囲を占めるものとなっている。
【0032】
太陽光発電シート体5は、筒体3を介してポール本体4の外周面側に設けられている。この太陽光発電シート体5は、筒体3の上下方向の大部分において、周方向の約4分の3程度の領域に巻き付けられている。また、太陽光発電シート体5の周方向における両端部は、太陽光発電シート体5の上下方向の長さ寸法と略同じ長さ寸法を有する帯形状の固定具16によって、筒体3に固定されている。この固定具16は、透光性を有しないものであるため、この固定具16によって覆われている範囲の太陽光発電シート体5には太陽光が届かないものとなっているが、本実施形態では、太陽光発電シート体5の端部に設けられた発電しない余白部分が、固定具16によって保持されているため、太陽光発電シート体5の発電領域においては問題なく発電できるものとなっている。一方、固定具16が太陽光発電シート体5の発電領域を覆うような構成とする場合は、この固定具16を、透光性を有するものとすることで同様の効果を得ることもできる。このような透光性を有する固定具16によれば、太陽光発電シート体5全体を覆うように構成されたものも採用することができ、さらに、熱収縮する素材によって構成された筒状の固定具16とすれば、太陽光発電シート体5が巻き付けられた筒体3全体に被せ、熱処理を行なうことで、固定具16を収縮させて、太陽光発電シート体5を筒体3に固定することもできる。太陽光発電シート体5により発電された電力は、ポール本体4の内部に収容されたバッテリ6Aに電気コード10を通じて蓄電される。
【0033】
収容部13には、バッテリ6Aとともに、他の内蔵機器6として、電力制御器6Bと予備バッテリ6Cが設けられている。また、これらの内蔵機器6は、ポール本体4の下部4bに位置する収容部13内に設けられているため、比較的重量の大きいバッテリ6Aを含む内蔵機器6が照明付き監視情報通信装置1の下端部に配置されることとなり、全体として重量バランスが良くなるように構成されている。収容部13はこのような構成に限らず、目的や環境等に合わせて配置・大きさ等を自由に変更することができるが、本実施形態にも採用されているように、収容部13の内側面が上下方向に略垂直にのびる部分を有していると、内蔵機器6を上下方向にスライドさせやすく、内蔵機器6の出し入れをより容易なものとすることができる。
【0034】
内蔵機器6,6,…は、重量や使用頻度を考慮して上から順に電力制御器6B、バッテリ6A、予備バッテリ6Cと積み重ねられている。つまり、バッテリ6A,予備バッテリ6Cを下側に配置することで全体の重量バランスが低くなり安定性を高いものとすることができ、また、窓14からバッテリ6Aや電力制御器6Bを取り出しやすいように配置しておくことで、メンテナンスを行ないやすくすることができるものとなっている。内蔵機器6としては、これらの他に、電力出力用端子を備える外部内蔵機器充電用の充電器や、気温・湿度等のセンサ又は浸水を検知するセンサ等、主に電力を利用する内蔵機器を用いることができる。これらの内蔵機器6,6の間には、スペーサ7が設けられている。
【0035】
スペーサ7は、内蔵機器6の下に配置されることで、収容部13内での安定した積み重ねに貢献するためのものであればよいが、ここでは、
図5に一例として図示するスペーサ7について説明する。まず、スペーサ7は、上側支持部7aと下側支持部7bとが連結部7bによって連結されてなるものであって、その側面に開口7dを有する。上側支持部7aは上側に積み重ねられる内蔵機器6等を支持する部分であって、円環状に形成されている。この円環状に形成された上側支持部7aの内側に、内蔵機器6の底面部が嵌まり込むため、安定して保持することができるものとなっている。また、下側支持部7bも上側支持部7aと同一形状であるため、下側の内蔵機器6の上端部に嵌まり込んで、安定して保持することができる。また、上側支持部7aと下側支持部7bとが同一形状であることで、スペーサ7の上下を反転しても問題なく使用することができる。これらの上側支持部7aと下側支持部7bとは三本の帯状板で構成された連結部7bで連結されている。このような構成とすることで、例えば地震の縦揺れによる上方向への異常な力が作用した場合に、この連結部7bが変形や破損することによって、内蔵機器6への力の作用が緩和されることで内蔵機器6が故障する可能性を低くするものとなっている。また、連結部が複数本の帯状板で構成されることで、これらの帯状板の間に開口7dが形成され、この開口7dによって、電気コードや各内蔵機器6のメンテナンス等が行い易くなっているが、このような開口を有しない、又は蓋付きの開口を有するようなものであってもよい。
【0036】
収容部13の最下位置には、下部スペーサ8が設けられている。この下部スペーサ8は、十分な浮力を有するものであるため、照明付き監視情報通信装置1が浸水し、窓14等から収容部13の内部に水が入ってきた場合、この下部スペーサ8が、浸水した水の水位とともに上昇することによって、下部スペーサ8の上側に積み重ねられた内蔵機器6,6,…も上昇し、これらが故障することを防止することができる。また、この下部スペーサ8を、塑性変形する素材により構成することで、緩衝材としても機能し、地震による内蔵機器6の破損を防ぐことができる。
【0037】
下部スペーサ8は、このような構成に限らず、収容部への浸水に反応して複数の内蔵機器を上方へ移動させる上昇手段を備えていればよく、上昇手段としては、上記のように液体に対して浮力を発揮するものや、例えば水分に接触するとこれを吸収して体積が膨張するもの、液体用の検知センサを備え当該検知センサによる液体の検知によって伸長するアクチュエータを備えるものとして、浸水の際に複数の内蔵機器を上方に移動させるものとしてもよい。
【0038】
以下、複数の内蔵機器6,6,…の収容方法の一例を
図6に沿って示す。
【0039】
まず、
図6(a)に示すように、立設された照明付き監視情報通信装置1の窓14から、収容部13の内部に、下部スペーサ8を挿入し、これを収容部13の最下位置に設置する。次に、
図6(b)に示すように、予備バッテリ6Cを、収容部13の下部スペーサ8の上に設置するとともに、この予備バッテリ6Cの上に、スペーサ7を設置する。続いて、電力制御内蔵機器6Bを収容部13の上方に押し上げるとともに、この制御内蔵機器6Bの下にスペーサ7を挿入する。最後に、収容部13の内部に設けられた二個のスペーサ7,7の間に、バッテリ6Aと設けて、三個の内蔵機器6,6,6を収容部13で上下に積み重ねて収容することができる。なお、各内蔵機器6を取り出す場合は、上記内容を反対に行えばよい。
【0040】
また、この照明付き監視情報通信装置1は、上述のように、上昇手段の一例として浮力を有する下部スペーサ8が備えられているため、
図7に示すように、例えば窓14よりよりも上方まで浸水し、この窓14から収容部13に浸水した場合、下部スペーサ8の浮力によって、下部スペーサ8が水面W付近まで上昇し、この上昇によって、複数の内蔵機器6,6,…が水面Wよりも上方まで押し上げられる。これによって、津波や洪水等の際にも各内蔵機器や、他に設けられたライト9、センサ18、通信機19及びカメラ20等の機能を発揮することができ、自然災害のような特に必要とされる状況においても問題なく使用することができるものとなっている。
【0041】
図8には、照明付き監視情報通信装置1の窓14を上下に配した別の構成を示している。このような構成によれば、収容部13の内部の各内蔵機器6を、上の窓14から引き上げるようにして取り出したり、下の窓14から最も下方に位置する内蔵機器6(例えば予備バッテリ6C)をそのままメンテナンスしたりすることも可能となる。
【0042】
図9には、内蔵機器が、上下に積み重ねることで互いに電気接続される端子部を上面及び下面に有する保護ケースに収納されてなる、照明付き監視情報通信装置1を示す。この照明付き監視情報通信装置1は、各内蔵機器6,6,…を保護ケース21に入れて、収容部13の内部に収容している。この保護ケース21は、例えば下側に電気接続用の端子部21aを有するとともに、上側にもこの端子部21aの接続部を有する。このため、この保護ケース21を収容部13の内部で上下に積み重ねることで、各内蔵機器6は互いに電気接続されることとなる。
【0043】
照明付き監視情報通信装置1の設置方法としては、例えば、まず、ポール本体4の接地部12や窓14の向きを、設置場所の状況に合わせて、照明付き監視情報通信装置1の向きを設定して立設し、接地部12を地面に固定する。次に、筒体3をポール本体4に対して回転させて、太陽光発電シート体5の向きを発電効率が高くなるように調整したうえで、上下夫々の固定用螺子を締めて、筒体3をポール本体4に回転不能且つ上下スライド不能に固定する。その後、必要に応じてライト9等の内蔵機器の角度や向きを調整することで照明付き監視情報通信装置1の基本的な設置が完了する。最後に、上記のように複数の内蔵機器6,6,…を収容部13に収容して、各種設定等を行なう。
【0044】
なお、各構成部品については、その素材や一体として構成されているものであるか否か等を含めて、何ら制限されるものはなく、広く採用することができるが、金属を用いることで強度を高いものとしてもよいし、合成樹脂を用いることで軽量化を図ったものとしてもよく、他の素材のものや、複数の素材を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 照明付き監視情報通信装置
2 ポール型太陽光発電機
3 筒体
4 ポール本体
4a 上部
4b 下部
5 太陽光発電シート体
6 内蔵機器
6A バッテリ
6B 電力制御器
6C 予備バッテリ
7 スペーサ
7a 上側支持部
7b 下型支持部
7c 連結部
7d 開口
8 下部スペーサ
9 ライト
10 電気コード
11 上カバー
12 接地部
13 収容部
14 窓
15 取付部
16 固定具
17 ストッパー
18 センサ
19 通信機
20 カメラ
21 保護ケース
21a 端子部
G 地面
W 水面