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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】流体軸受用潤滑油基油
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/02 20060101AFI20230823BHJP
   C07C 69/003 20060101ALI20230823BHJP
   C10M 105/34 20060101ALI20230823BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20230823BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20230823BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20230823BHJP
【FI】
C07C69/02
C07C69/003 B CSP
C10M105/34
C10N40:02
C10N30:02
C10N30:00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020561441
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2019049301
(87)【国際公開番号】W WO2020129944
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2018237825
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191250
【氏名又は名称】新日本理化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬代 有未
(72)【発明者】
【氏名】持田 博紹
(72)【発明者】
【氏名】杉山 周
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-146374(JP,A)
【文献】特開2014-19867(JP,A)
【文献】特開2014-227474(JP,A)
【文献】特開2008-69234(JP,A)
【文献】特開平4-357318(JP,A)
【文献】特開2016-210843(JP,A)
【文献】特開2014-139306(JP,A)
【文献】特開2017-31269(JP,A)
【文献】特開2009-203275(JP,A)
【文献】特表2008-533070(JP,A)
【文献】Industrial & Engineering Chemistry Product Research and Development,1983年,22(2),357-362
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】
[式中、Rは、炭素数2~16の直鎖アルキル基を表す。mは、2~10の整数を表す。また、nは、4~14の整数を表す。]
で表される化合物。
【請求項2】
総炭素数が27~35である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一般式(1)中のnとmの差が2~9である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の化合物を含有する流体軸受用潤滑油基油。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の化合物の含有量が、流体軸受用潤滑油基油全質量に対して90質量%以上である、請求項4に記載の流体軸受用潤滑油基油。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載の化合物を含有する流体軸受用潤滑油組成物。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の流体軸受用潤滑油基油を含有する、流体軸受用潤滑油組成物。
【請求項8】
さらに、酸化防止剤を含有する、請求項6又は7に記載の流体軸受用潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体軸受用潤滑油基油に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(ハードディスクドライブ)などに搭載されるモータでは、軸受として球軸受及びころ軸受が用いられていたが、モータの小型化、低振動化、低騒音化などの要請から、近年、流体軸受が実用化されている。
【0003】
AV機器又はOA機器の高性能化、携帯ユースの普及などに伴い、流体軸受を備えたスピンドルモータが使用されている。近年、スピンドルモータへの高速化及び小型化の要求が強く、そのため、流体軸受にはさらなる低トルク化の要求がある。この低トルク化の要求に対応するため、比較的低粘度の潤滑油基油が選択されてきた。低粘度の潤滑油基油としては、ポリ-α-オレフィンなどの合成炭化水素系潤滑油基油;脂肪族二塩基酸ジエステル、ネオペンチル型ポリオールエステル、脂肪酸モノエステルなどのエステル系潤滑油基油などが挙げられ、これらを用いた流体軸受用潤滑油基油が提案されている(特許文献1~8)。
【0004】
それらの中でも、流体軸受用潤滑油基油として、粘度特性、低温流動性等に優れているエステル系潤滑油基油が多く使用されている。
【0005】
しかしながら、エステル系潤滑油基油はその分子構造内にエステル基を含むため、水分により加水分解が起こり、スピンドルモータを長期に使用する場合、問題となることがあった。
【0006】
また、HDDにおいてはヘッドやディスクが高度化してきたため、アウトガス等による汚染防止が強く求められている(特許文献9)。潤滑油基油の蒸発が生じにくい機械構造の開発、発生したアウトガスがディスク及びヘッド部へ入り込まないような装置上の工夫などの対処もされているが、使用する流体軸受用潤滑油基油にも耐蒸発性の向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表平11-514778号公報
【文献】特表平11-514779号公報
【文献】特開2000-500898号公報
【文献】特開2003-119482号公報
【文献】国際公開第2004/018595号
【文献】特開2004-084839号公報
【文献】特開2005-290256号公報
【文献】特開2008-007741号公報
【文献】特開2012-181888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、粘度指数が高く、且つ、耐蒸発性、加水分解安定性及び低温流動性に優れた流体軸受用潤滑油基油、この基油に適した化合物などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、特定の新規な2-メチル脂肪族モノカルボン酸エステルを含有する流体軸受用潤滑油基油が、粘度指数が高く、且つ、耐蒸発性、加水分解安定性及び低温流動性に優れた流体軸受用潤滑油基油であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下の化合物、この化合物を含有する流体軸受用潤滑油基油などを提供する。
【0011】
[項1]
一般式(1):
【化1】
[式中、Rは、炭素数2~16の直鎖アルキル基を表す。mは、2~10の整数を表す。また、nは、4~14の整数を表す。]
で表される化合物。
【0012】
[項2]
総炭素数が27~35である、項1に記載の化合物。
【0013】
[項3]
一般式(1)中のnとmの差が2~9である、項1又は2に記載の化合物。
【0014】
[項4]
項1~3のいずれかに記載の化合物を含有する流体軸受用潤滑油基油。
【0015】
[項5]
項1~3のいずれかに記載の化合物の含有量が、流体軸受用潤滑油基油全質量に対して90質量%以上である、項4に記載の流体軸受用潤滑油基油。
【0016】
[項6]
項1~3のいずれかに記載の化合物を含有する流体軸受用潤滑油組成物。
【0017】
[項7]
項4又は5に記載の流体軸受用潤滑油基油を含有する、流体軸受用潤滑油組成物。
【0018】
[項8]
さらに、酸化防止剤を含有する、項6又は7に記載の流体軸受用潤滑油組成物。
【0019】
[項9]
酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤である、項8に記載の流体軸受用潤滑油組成物。
【0020】
[項10]
項6~9のいずれかに記載の流体軸受用潤滑油組成物を含む、流体軸受。
【0021】
[項11]
項10に記載の流体軸受を含む、スピンドルモータ。
【発明の効果】
【0022】
本発明の流体軸受用潤滑油基油は、粘度指数が高く、且つ、耐蒸発性、加水分解安定性及び低温流動性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1で得られた2-メチルペンタン酸(2-デシルテトラデシル)のIRスペクトルである。
図2】実施例1で得られた2-メチルペンタン酸(2-デシルテトラデシル)のH-NMRスペクトルである。
図3】実施例2で得られた2-メチルヘプタン酸(2-デシルテトラデシル)のIRスペクトルである。
図4】実施例2で得られた2-メチルヘプタン酸(2-デシルテトラデシル)のH-NMRスペクトルである。
図5】実施例3で得られた2-メチルオクタン酸(2-デシルテトラデシル)のIRスペクトルである。
図6】実施例3で得られた2-メチルオクタン酸(2-デシルテトラデシル)のH-NMRスペクトルである。
図7】実施例4で得られた2-メチルウンデカン酸(2-オクチルドデシル)のIRスペクトルである。
図8】実施例4で得られた2-メチルウンデカン酸(2-オクチルドデシル)のH-NMRスペクトルである。
図9】実施例5で得られた2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルデシル)のIRスペクトルである。
図10】実施例5で得られた2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルデシル)のH-NMRスペクトルである。
図11】実施例6で得られた2-メチルブタン酸(2-デシルテトラデシル)のIRスペクトルである。
図12】実施例6で得られた2-メチルブタン酸(2-デシルテトラデシル)のH-NMRスペクトルである。
図13】実施例7で得られた2-メチルオクタン酸(2-オクチルドデシル)のIRスペクトルである。
図14】実施例7で得られた2-メチルオクタン酸(2-オクチルドデシル)のH-NMRスペクトルである。
図15】実施例8で得られた2-メチルノナン酸(2-オクチルドデシル)のIRスペクトルである。
図16】実施例8で得られた2-メチルノナン酸(2-オクチルドデシル)のH-NMRスペクトルである。
図17】実施例9で得られた2-メチルヘプタン酸(2-ペンチルヘキサデシル)及び2-メチルヘプタン酸(2-ヘプチルテトラデシル)の混合物(50:50)のIRスペクトルである。
図18】本発明の流体軸受けの断面図の一例を示す。
図19】本発明のスピンドルモータの断面図の一例を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 軸
2 スリーブ
3、4 ラジアル動圧発生溝
5、6 スラスト動圧発生溝
7 スラストプレート
8 カウンタープレート
9 潤滑油組成物
10 ハブ
11 ベース
12 ステータコイル
13 ロータマグネット
【発明を実施するための形態】
【0025】
<流体軸受用潤滑油基油>
本発明の流体軸受用潤滑油基油は、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
【0026】
(一般式(1)で表される化合物)
本発明に係る化合物は、下記一般式(1)
【化2】
[式中、Rは、炭素数2~16の直鎖アルキル基を表す。mは、2~10の整数を表す。また、nは、4~14の整数を表す。]
で表される2-メチル脂肪族モノカルボン酸エステルである。
【0027】
一般式(1)で表される化合物は、例えば、一般式(1a):
【化3】
[式中、Rは前記に同じ。]
で表される化合物(2-メチル脂肪族モノカルボン酸)と、
一般式(1b):
【化4】
[式中、m及びnは前記に同じ。]
で表される化合物(分岐鎖脂肪族アルコール)とを、エステル化反応して製造することができる。
【0028】
一般式(1)及び(1a)で表される化合物において、Rは炭素数2~16の直鎖アルキル基であり、特に炭素数2~14の直鎖アルキル基が好ましい。一般式(1a)で表される化合物の具体例としては、2-メチルブタン酸、2-メチルペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-メチルヘプタン酸、2-メチルオクタン酸、2-メチルノナン酸、2-メチルデカン酸、2-メチルウンデカン酸、2-メチルドデカン酸、2-メチルトリデカン酸、2-メチルテトラデカン酸、2-メチルペンタデカン酸、2-メチルヘキサデカン酸、2-メチルヘプタデカン酸、2-メチルオクタデカン酸が挙げられる。
【0029】
一般式(1)及び(1b)で表される化合物において、mは2~10の整数であり、nは4~14の整数である。また、nとmの差が2~9であることが好ましく、2であることがより好ましい。また、nとmの差は、(n-m)の値が2~9であることが好ましく、2であることがより好ましい。また、nとmの差が2の場合、nは5~13の整数が好ましく、さらに好ましくは、6~12の整数であり、特に7~11の整数が好ましい。
【0030】
一般式(1b)で表される化合物の具体例としては、2-プロピルヘプタノール、2-プロピルオクタノール、2-プロピルノナノール、2-プロピルデカノール、2-プロピルウンデカノール、2-プロピルドデカノール、2-プロピルトリデカノール、2-プロピルテトラデカノール、2-プロピルペンタデカノール、2-プロピルヘキサデカノール、2-プロピルヘプタデカノール、2-ブチルヘプタノール、2-ブチルオクタノール、2-ブチルノナノール、2-ブチルデカノール、2-ブチルウンデカノール、2-ブチルドデカノール、2-ブチルトリデカノール、2-ブチルテトラデカノール、2-ブチルペンタデカノール、2-ブチルヘキサデカノール、2-ブチルヘプタデカノール、2-ペンチルヘプタノール、2-ペンチルオクタノール、2-ペンチルノナノール、2-ペンチルデカノール、2-ペンチルウンデカノール、2-ペンチルドデカノール、2-ペンチルトリデカノール、2-ペンチルテトラデカノール、2-ペンチルペンタデカノール、2-ペンチルヘキサデカノール、2-ペンチルヘプタデカノール、2-ヘキシルオクタノール、2-ヘキシルノナノール、2-ヘキシルデカノール、2-ヘキシルウンデカノール、2-ヘキシルドデカノール、2-ヘキシルトリデカノール、2-ヘキシルテトラデカノール、2-ヘキシルペンタデカノール、2-ヘキシルヘキサデカノール、2-ヘキシルヘプタデカノール、2-ヘプチルノナノール、2-ヘプチルデカノール、2-ヘプチルウンデカノール、2-ヘプチルドデカノール、2-ヘプチルトリデカノール、2-ヘプチルテトラデカノール、2-ヘプチルペンタデカノール、2-ヘプチルヘキサデカノール、2-ヘプチルヘプタデカノール、2-オクチルデカノール、2-オクチルウンデカノール、2-オクチルドデカノール、2-オクチルトリデカノール、2-オクチルテトラデカノール、2-オクチルペンタデカノール、2-オクチルヘキサデカノール、2-オクチルヘプタデカノール、2-ノニルウンデカノール、2-ノニルドデカノール、2-ノニルトリデカノール、2-ノニルテトラデカノール、2-ノニルペンタデカノール、2-ノニルヘキサデカノール、2-ノニルヘプタデカノール、2-デシルドデカノール、2-デシルトリデカノール、2-デシルテトラデカノール、2-デシルペンタデカノール、2-デシルヘキサデカノール、2-デシルヘプタデカノール、2-ウンデシルトリデカノール、2-ウンデシルテトラデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、2-ウンデシルヘキサデカノール、2-ウンデシルヘプタデカノールが挙げられる。
【0031】
一般式(1)で表される化合物の総炭素数は、27~35が好ましく、特に29~34が好ましい。2-メチル脂肪族モノカルボン酸エステルの総炭素数が27より小さくなると、流体軸受用潤滑油基油の耐蒸発性が悪くなり、また2-メチル脂肪族モノカルボン酸エステルの総炭素数が35より大きくなると流体軸受用潤滑油基油の粘度が高くなる。
【0032】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、2-メチルブタン酸(2-ヘキシルヘキサデシル)、2-メチルブタン酸(2-オクチルテトラデシル)、2-メチルブタン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルブタン酸(2-デシルドデシル)、2-メチルブタン酸(2-ヘプチルヘキサデシル)、2-メチルブタン酸(2-ノニルテトラデシル)、2-メチルブタン酸(2-オクチルヘキサデシル)、2-メチルブタン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルブタン酸(2-ノニルヘキサデシル)、2-メチルブタン酸(2-ウンデシルテトラデシル)、2-メチルブタン酸(2-デシルヘキサデシル)、2-メチルブタン酸(2-ウンデシルペンタデシル)、2-メチルブタン酸(2-デシルヘプタデシル)、2-メチルブタン酸(2-ウンデシルヘキサデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ノニルドデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ヘキシルヘキサデシル)、2-メチルペンタン酸(2-オクチルテトラデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルペンタン酸(2-デシルドデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ヘプチルヘキサデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ノニルテトラデシル)、2-メチルペンタン酸(2-オクチルヘキサデシル)、2-メチルペンタン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ノニルヘキサデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ウンデシルテトラデシル)、2-メチルペンタン酸(2-デシルヘキサデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ウンデシルペンタデシル)、2-メチルペンタン酸(2-デシルヘプタデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ウンデシルヘキサデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ブチルヘキサデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ヘキシルテトラデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ノニルウンデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ノニルドデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ヘキシルヘキサデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-オクチルテトラデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-デシルドデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ヘプチルヘキサデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ノニルテトラデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-オクチルヘキサデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ノニルヘキサデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ウンデシルテトラデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-デシルヘキサデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ウンデシルペンタデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-デシルヘプタデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ウンデシルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-プロピルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ペンチルテトラデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ヘプチルドデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-オクチルウンデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ブチルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ヘキシルテトラデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ノニルウンデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ノニルドデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ヘキシルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-オクチルテトラデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-デシルドデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ヘプチルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ノニルテトラデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-オクチルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ノニルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ウンデシルテトラデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-デシルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ウンデシルペンタデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-デシルヘプタデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ウンデシルヘキサデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ブチルテトラデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ヘキシルドデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルオクタン酸(2-オクチルデシル)、2-メチルオクタン酸(2-プロピルヘキサデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ペンチルテトラデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ヘプチルドデシル)、2-メチルオクタン酸(2-オクチルウンデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ブチルヘキサデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ヘキシルテトラデシル)、2-メチルオクタン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ノニルウンデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ノニルドデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ヘキシルヘキサデシル)、2-メチルオクタン酸(2-オクチルテトラデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルオクタン酸(2-デシルドデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ヘプチルヘキサデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ノニルテトラデシル)、2-メチルオクタン酸(2-オクチルヘキサデシル)、2-メチルオクタン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルオクタン酸(2-オクチルヘプタデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ノニルヘキサデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ウンデシルテトラデシル)、2-メチルオクタン酸(2-デシルヘキサデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ウンデシルペンタデシル)、2-メチルノナン酸(2-プロピルテトラデシル)、2-メチルノナン酸(2-ペンチルドデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘキシルウンデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘプチルデシル)、2-メチルノナン酸(2-ブチルテトラデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘキシルドデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルノナン酸(2-オクチルデシル)、2-メチルノナン酸(2-プロピルヘキサデシル)、2-メチルノナン酸(2-ペンチルテトラデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘプチルドデシル)、2-メチルノナン酸(2-オクチルウンデシル)、2-メチルノナン酸(2-ブチルヘキサデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘキシルテトラデシル)、2-メチルノナン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルノナン酸(2-ノニルウンデシル)、2-メチルノナン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルノナン酸(2-ノニルドデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘキシルヘキサデシル)、2-メチルノナン酸(2-オクチルテトラデシル)、2-メチルノナン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルノナン酸(2-デシルドデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘプチルヘキサデシル)、2-メチルノナン酸(2-ノニルテトラデシル)、2-メチルノナン酸(2-オクチルヘキサデシル)、2-メチルノナン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルノナン酸(2-オクチルヘプタデシル)、2-メチルノナン酸(2-ノニルヘキサデシル)、2-メチルノナン酸(2-ウンデシルテトラデシル)、2-メチルデカン酸(2-ブチルドデシル)、2-メチルデカン酸(2-ペンチルウンデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘプチルノニル)、2-メチルデカン酸(2-プロピルテトラデシル)、2-メチルデカン酸(2-ペンチルドデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘキシルウンデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘプチルデシル)、2-メチルデカン酸(2-ブチルテトラデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘキシルドデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルデカン酸(2-オクチルデシル)、2-メチルデカン酸(2-プロピルヘキサデシル)、2-メチルデカン酸(2-ペンチルテトラデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘプチルドデシル)、2-メチルデカン酸(2-オクチルウンデシル)、2-メチルデカン酸(2-ブチルヘキサデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘキシルテトラデシル)、2-メチルデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルデカン酸(2-ノニルウンデシル)、2-メチルデカン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルデカン酸(2-ノニルドデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘキシルヘキサデシル)、2-メチルデカン酸(2-オクチルテトラデシル)、2-メチルデカン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルデカン酸(2-デシルドデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘキシルヘプタデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘプチルヘキサデシル)、2-メチルデカン酸(2-ノニルテトラデシル)、2-メチルデカン酸(2-オクチルヘキサデシル)、2-メチルデカン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-プロピルドデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ブチルウンデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ペンチルデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘキシルノニル)、2-メチルウンデカン酸(2-ブチルドデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ペンチルウンデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘプチルノニル)、2-メチルウンデカン酸(2-プロピルテトラデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ペンチルドデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘキシルウンデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘプチルデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ブチルテトラデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘキシルドデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-オクチルデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-プロピルヘキサデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ペンチルテトラデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘプチルドデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-オクチルウンデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ブチルヘキサデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘキシルテトラデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ノニルウンデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ノニルドデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘキシルヘキサデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-オクチルテトラデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-デシルドデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘキシルヘプタデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘプチルヘキサデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ノニルテトラデシル)、
2-メチルドデカン酸(2-プロピルウンデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ブチルデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘキシルオクチル)、2-メチルドデカン酸(2-プロピルドデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ブチルウンデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ペンチルデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘキシルノニル)、2-メチルドデカン酸(2-ブチルドデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ペンチルウンデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘプチルノニル)、2-メチルドデカン酸(2-プロピルテトラデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ペンチルドデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘキシルウンデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘプチルデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ブチルテトラデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘキシルドデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルドデカン酸(2-オクチルデシル)、2-メチルドデカン酸(2-プロピルヘキサデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ペンチルテトラデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘプチルドデシル)、2-メチルドデカン酸(2-オクチルウンデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ブチルヘキサデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘキシルテトラデシル)、2-メチルドデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ノニルウンデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ノニルドデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘキシルヘキサデシル)、2-メチルドデカン酸(2-オクチルテトラデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルドデカン酸(2-デシルドデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-プロピルデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ブチルノニル)、2-メチルトリデカン酸(2-ペンチルオクチル)、2-メチルトリデカン酸(2-プロピルウンデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ブチルデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘキシルオクチル)、2-メチルトリデカン酸(2-プロピルドデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ブチルウンデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ペンチルデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘキシルノニル)、2-メチルトリデカン酸(2-ブチルドデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ペンチルウンデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘプチルノニル)、2-メチルトリデカン酸(2-プロピルテトラデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ペンチルドデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘキシルウンデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘプチルデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ブチルテトラデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘキシルドデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-オクチルデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-プロピルヘキサデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ペンチルテトラデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘプチルドデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-オクチルウンデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ブチルヘキサデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘキシルテトラデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ノニルウンデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ノニルドデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-プロピルノニル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ブチルオクチル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ペンチルへプチル)、2-メチルテトラデカン酸(2-プロピルデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ブチルノニル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ペンチルオクチル)、2-メチルテトラデカン酸(2-プロピルウンデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ブチルデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘキシルオクチル)、2-メチルテトラデカン酸(2-プロピルドデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ブチルウンデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ペンチルデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘキシルノニル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ブチルドデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ペンチルウンデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘプチルノニル)、2-メチルテトラデカン酸(2-プロピルテトラデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ペンチルドデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘキシルウンデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘプチルデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ブチルテトラデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘキシルドデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-オクチルデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-プロピルヘキサデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ペンチルテトラデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘプチルドデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-オクチルウンデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ブチルヘキサデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘキシルテトラデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ノニルウンデシル)、2-メチルペンタデカン酸(2-ブチルオクチル)、2-メチルペンタデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルペンタデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルペンタデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-プロピルヘプチル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-プロピルオクチル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ブチルヘプチル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-プロピルノニル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ブチルオクチル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ペンチルへプチル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-プロピルデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ブチルノニル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ペンチルオクチル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-プロピルウンデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ブチルデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルオクチル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-プロピルドデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ブチルウンデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ペンチルデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルノニル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ブチルドデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ペンチルウンデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘプチルノノニル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-プロピルテトラデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ペンチルドデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルウンデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘプチルデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ブチルテトラデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルドデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-オクチルデシル)、2-メチルヘプタデカン酸(2-プロピルへプチル)、2-メチルヘプタデカン酸(2-ブチルオクチル)、2-メチルヘプタデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルヘプタデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-プロピルヘプチル)、2-メチルオクタデカン酸(2-プロピルオクチル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ブチルヘプチル)、2-メチルオクタデカン酸(2-プロピルノニル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ブチルオクチル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ペンチルへプチル)、2-メチルオクタデカン酸(2-プロピルデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ブチルノニル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ペンチルオクチル)、2-メチルオクタデカン酸(2-プロピルウンデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ブチルデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ヘキシルオクチル)、2-メチルオクタデカン酸(2-プロピルドデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ブチルウンデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ペンチルデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ヘキシルノニル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ブチルドデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ペンチルウンデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルオクタデカン酸(2-ヘプチルノニル)が挙げられる。
その中でも、2-メチルブタン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルペンタン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルペンタン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルヘキサン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ペンチルヘキサデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ヘプチルテトラデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルヘプタン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルオクタン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルオクタン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルオクタン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルノナン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルノナン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルノナン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルノナン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルデカン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルデカン酸(2-デシルテトラデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルウンデカン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルドデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルドデカン酸(2-ノニルトリデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルトリデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ブチルオクチル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルテトラデカン酸(2-オクチルドデシル)、2-メチルペンタデカン酸(2-ブチルオクチル)、2-メチルペンタデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルペンタデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルペンタデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ブチルオクチル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ペンチルノニル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルデシル)、2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘプチルウンデシル)が好ましい。
【0033】
流体軸受用潤滑油基油中において、一般式(1)で表される化合物の含有量は90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が特に好ましい。
【0034】
流体軸受用潤滑油基油の40℃での動粘度は、8mm/s以上17mm/s未満が好ましく、10mm/s以上14mm/s未満が特に好ましい。40℃での動粘度が8mm/s以上であると流体潤滑膜の剛性が良好であり、17mm/s未満であるとエネルギー損失が小さい。なお、上記動粘度は、後記実施例に記載した方法にて得られる値である。
【0035】
流体軸受用潤滑油基油の粘度指数は、130以上の粘度指数が好ましく、140以上の粘度指数が特に好ましい。粘度指数が高いものほど粘度-温度特性に優れる。なお、上記粘度指数は、後記実施例に記載した方法にて得られる値である。
【0036】
流体軸受用潤滑油基油の耐蒸発性は、例えば、TG-DTA装置を用いた5%質量減少した時の温度を指標として評価することができる。流体軸受用潤滑油基油の5%質量減の温度は、250℃以上が好ましく、260℃以上が特に好ましい。5%質量減の温度が高いものほど耐蒸発性に優れる。なお、上記5%質量減の温度は、後記実施例に記載した耐蒸発性試験にて得られる値である。
【0037】
流体軸受用潤滑油基油の加水分解安定性(耐加水分解性)は、例えば、加水分解試験後の酸価の上昇量によって評価することができる。流体軸受用潤滑油基油の加水分解試験後の酸価の上昇量は、0.5mgKOH/g以下が好ましく、特に0.15mgKOH/g以下が好ましい。加水分解試験後の酸価の上昇量が小さいほど加水分解安定性に優れていると評価される。なお、上記加水分解試験後の酸価の上昇量は、後記実施例に記載した加水分解安定性試験にて得られる値である。
【0038】
流体軸受用潤滑油基油の低温流動性は、例えば、融点によって評価することができる。流体軸受用潤滑油基油の融点は、0℃以下が好ましく、-10℃以下が特に好ましい。融点が低いものほど低温流動性に優れる。なお、上記融点は、後記実施例に記載した方法にて得られる値である。
【0039】
流体軸受用潤滑油基油は、加水分解安定性に優れ、低温流動性に優れ、粘度指数が高く、且つ、耐蒸発性が良好なことから、流体軸受用潤滑油基油として好適に用いられる。
【0040】
流体軸受用潤滑油基油は、一般式(1)で表される化合物以外の基油(併用基油)を含んでいてもよい。当該基油としては、例えば、鉱物油(石油の精製によって得られる炭化水素油);ポリ-α-オレフィン;ポリブテン;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;脂環式炭化水素油;フィッシャートロプシュ法によって得られる合成炭化水素の異性化油などの合成炭化水素油;動植物油、一般式(1)で表される化合物以外の有機酸エステル;ポリアルキレングリコール;ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテルなどのエーテル系基油、併用基油の少なくとも1種を適宜併用することができる。
【0041】
鉱物油としては、例えば、溶剤精製鉱油、水素化精製鉱油、ワックス異性化油が挙げられるが、通常、100℃における動粘度が1~25mm/s、好ましくは2~20mm/sの範囲にあるものが用いられる。
【0042】
ポリ-α-オレフィンとしては、例えば、炭素数2~16のα-オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン等)の重合体又は共重合体であって、100℃における動粘度が1~25mm/s、粘度指数が100以上のものが例示され、特に100℃における動粘度が1.5~20mm/sで、粘度指数が120以上のものが好ましい。
【0043】
ポリブテンとしては、例えば、イソブチレンを重合したもの、イソブチレンをノルマルブチレンと共重合したものがあり、一般に100℃の動粘度が2~40mm/sの広範囲のものが挙げられる。
【0044】
アルキルベンゼンとしては、例えば、炭素数1~40の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されたベンゼンが挙げられ、例えば、分子量が200~450であるモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン等が例示される。
【0045】
アルキルナフタレンとしては、例えば、炭素数1~30の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されたナフタレンが挙げられ、例えば、モノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン等が例示される。
【0046】
動植物油としては、例えば、牛脂、豚脂、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油等が例示される。
【0047】
有機酸エステルとしては、例えば、脂肪酸モノエステル(一般式(1)で表される化合物を除く)、脂肪族二塩基酸ジエステル、ポリオールエステル、及びその他のエステルが例示される。
【0048】
脂肪酸モノエステル(一般式(1)で表される化合物を除く)としては、例えば、炭素数5~22の脂肪族直鎖状又は分岐鎖状モノカルボン酸と炭素数3~22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのエステル化合物が挙げられる。
【0049】
脂肪族二塩基酸ジエステルとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナメチレンジカルボン酸、1,10-デカメチレンジカルボン酸等脂肪族二塩基酸若しくはその無水物と炭素数3~22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのジエステルが挙げられる。
【0050】
ポリオールエステルとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、2,2-ジエチルプロパンジオール、2-ブチル2-エチルプロパンンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のネオペンチル型構造のポリオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール、1,6-ヘプタンジオール、2-メチル-1,7-ヘプタンジオール、3-メチル-1,7-ヘプタンジオール、4-メチル-1,7-ヘプタンジオール、1,7-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,8-オクタンジオール、4-メチル-1,8-オクタンジオール、1,8-ノナンジオール、2-メチル-1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,9-ノナンジオール、4-メチル-1,9-ノナンジオール、5-メチル-1,9-ノナンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール等の非ネオペンチル型構造のポリオールと炭素数3~22の直鎖状及び/又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸とのフルエステルを使用することが可能である。
【0051】
その他のエステルとしては、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、或いは、縮合ヒマシ油脂肪酸、水添縮合ヒマシ油脂肪酸などのヒドロキシ脂肪酸と炭素数3~22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのエステル化合物が挙げられる。
【0052】
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、アルコールと炭素数2~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレンオキシドの開環重合体が例示される。アルキレンオキシドとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられ、これらの1種を用いた重合体、若しくは2種以上の混合物を用いた共重合体が使用可能である。又、片端又は両端の水酸基部分がエーテル化若しくはエステル化した化合物も使用可能である。重合体の動粘度としては、5~1,000mm/s(40℃)、好ましくは5~500mm/s(40℃)である。
【0053】
ポリビニルエーテルとしては、ビニルエーテルモノマーの重合によって得られる化合物であり、モノマーとしてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec-ブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、n-ペンチルビニルエーテル、n-ヘキシルビニルエーテル、2-メトキシエチルビニルエーテル、2-エトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。重合体の動粘度としては、5~1,000mm/s(40℃)、好ましくは5~500mm/s(40℃)である。
【0054】
ポリフェニルエーテルとしては、例えば、2個以上の芳香環のメタ位をエーテル結合又はチオエーテル結合でつないだ構造を有する化合物が挙げられ、具体的には、ビス(m-フェノキシフェニル)エーテル、m-ビス(m-フェノキシフェノキシ)ベンゼン、及びそれらの酸素の1個若しくは2個以上を硫黄に置換したチオエーテル類等が例示される。
【0055】
アルキルフェニルエーテルとしては、例えば、ポリフェニルエーテルを炭素数6~18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換した化合物が挙げられ、特に1個以上のアルキル基で置換したアルキルジフェニルエーテルが好ましい。
【0056】
流体軸受用潤滑油基油中における併用基油の含有量としては、10質量%以下が推奨されるが、物性のバランスを良くする為には5質量%以下であることがより好ましい。流体軸受用潤滑油基油は、一般式(1)で表される化合物のみからなることが特に好ましい。
【0057】
<流体軸受用潤滑油組成物>
本発明の流体軸受用潤滑油組成物は、上記流体軸受用潤滑油基油を含む。当該組成物には、上記流体軸受用潤滑油基油の性能を向上させるために、上記流体軸受用潤滑油基油に加えて、添加剤(例えば、酸化防止剤等)を配合することができる。
【0058】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。その中でも、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が推奨される。
【0059】
フェノール系酸化防止剤としては、この分野で使用されている公知のものが特に制限されることなく使用できる。これらフェノール系酸化防止剤のうちでも、好ましくは総炭素数6~100、より好ましくは20~80のものが推奨される。
【0060】
具体的には、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビスフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチル-ジフェニルメタン、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、2,6-ビス(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、1,4-ジヒドロキシアントラキノン、3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2,4-ジベンゾイルレゾルシノール、4-tert-ブチルカテコール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,5-トリヒドロキシベンゾフェノン、α-トコフェロール、ビス[2-(2-ヒドロキシ-5-メチル-3-tert-ブチルベンジル)-4-メチル-6-tert-ブチルフェニル]テレフタレート、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が例示される。この中でも、特に、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビスフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、ビス[2-(2-ヒドロキシ-5-メチル-3-tert-ブチルベンジル)-4-メチル-6-tert-ブチルフェニル]テレフタレート、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましく、更には、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールが最も好ましい。
【0061】
フェノール系酸化防止剤は1種単独で若しくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、その添加量は、通常、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、0.01~5質量部であり、好ましくは0.1~2質量部である。
【0062】
アミン系酸化防止剤としては、この分野で使用されている公知のものが特に制限されることなく使用できる。これらアミン系酸化防止剤のうちでも、好ましくは総炭素数6~60、より好ましくは20~40のものが推奨される。
【0063】
具体的には、ジフェニルアミン、モノブチルジフェニルアミン、モノペンチルジフェニルアミン、モノヘキシルジフェニルアミン、モノヘプチルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン等のモノアルキルジフェニルアミン、特にモノ(C-Cアルキル)ジフェニルアミン(即ち、ジフェニルアミンの二つのベンゼン環の一方が、アルキル基、特にC-Cアルキル基でモノ置換されているもの、即ち、モノアルキル置換されたジフェニルアミン)、p,p’-ジブチルジフェニルアミン、p,p’-ジペンチルジフェニルアミン、p,p’-ジヘキシルジフェニルアミン、p,p’-ジヘプチルジフェニルアミン、p,p’-ジオクチルジフェニルアミン、p,p’-ジノニルジフェニルアミン等のジ(アルキルフェニル)アミン、特にp,p’-ジ(C-Cアルキルフェニル)アミン(即ち、ジフェニルアミンの二つのベンゼン環の各々が、アルキル基、特にC-Cアルキル基でモノ置換されているジアルキル置換のジフェニルアミンであって、二つのアルキル基が同一であるもの)、ジ(モノC-Cアルキルフェニル)アミンであって、一方のベンゼン環上のアルキル基が他方のベンゼン環上のアルキル基と異なるもの、ジ(ジ-C-Cアルキルフェニル)アミンであって、二つのベンゼン環上の4つのアルキル基のうちの少なくとも1つが残りのアルキル基と異なるもの等のジフェニルアミン類;N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、4-オクチルフェニル-1-ナフチルアミン、4-オクチルフェニル-2-ナフチルアミン等のナフチルアミン類;p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン類等が例示される。この中でも、特に、p,p’-ジオクチルジフェニルアミン、p,p’-ジノニルジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミンが好ましい。
【0064】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、アルキルとしては、例えば、炭素数1~20の直鎖又は分岐鎖のアルキルが挙げられ、好ましくは炭素数1~12の直鎖又は分岐鎖のアルキルが挙げられる。同一分子内に複数のアルキルを有する場合、当該複数のアルキルは同一又は異なっていてもよい。また、同一分子内に複数の同じ炭素数のアルキルを有する場合、当該複数のアルキルは、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。
【0065】
アミン系酸化防止剤は1種で若しくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、その添加量は、流体軸受潤滑油基油100質量部に対して、通常、流体軸受用潤滑油基油に対して、0.01~5質量部であり、好ましくは0.1~2質量部である。
【0066】
フェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤とを組み合わせた場合、それらの添加量の合計は、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、0.01~5質量部であり、好ましくは0.1~2質量部である。また、当該フェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤の比率(質量比)としては、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくはフェノール系酸化防止剤(I)とアミン系酸化防止剤(II)との質量比が(I):(II)=1:0.05~20、より好ましくは1:0.2~5となる範囲が推奨される。
【0067】
好ましいフェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤の組み合わせとしては、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールからなる群から選ばれる1種若しくは2種以上と、p,p’-ジオクチルジフェニルアミン、p,p’-ジノニルジフェニルアミン、及びN-フェニル-1-ナフチルアミンからなる群から選ばれる1種若しくは2種以上との組み合わせが例示される。
【0068】
具体的には、以下の組み合わせが好ましい。2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールとp,p’-ジオクチルジフェニルアミンとの組み合わせ、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールとp,p’-ジノニルジフェニルアミンとの組み合わせ、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールとN-フェニル-1-ナフチルアミンとの組み合わせ、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)とp,p’-ジオクチルジフェニルアミンとの組み合わせ、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)とp,p’-ジノニルジフェニルアミンとの組み合わせ、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)とN-フェニル-1-ナフチルアミンとの組み合わせ、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールとp,p’-ジオクチルジフェニルアミンとの組み合わせ、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールとp,p’-ジノニルジフェニルアミンとの組み合わせ、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールとN-フェニル-1-ナフチルアミンとの組み合わせ等が例示される。この中でも耐熱性に優れる点で、より効果的な組み合わせとして、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)とp,p’-ジオクチルジフェニルアミンとの組み合わせ、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)とp,p’-ジノニルジフェニルアミンとの組み合わせ、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)とN-フェニル-1-ナフチルアミンとの組み合わせ等が推奨される。
【0069】
上記記載の酸化防止剤を流体軸受用潤滑油基油に配合することにより、空気存在下での当該流体軸受用潤滑油基油の分解等が抑えられることにより、流体軸受用潤滑油組成物の耐熱性が向上する。
【0070】
上記の流体軸受用潤滑油組成物の性能をさらに向上させるために、金属清浄剤、無灰分散剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、加水分解抑制剤等の添加剤の少なくとも1種を適宜配合することも可能である。これらの配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されるものではないが、その具体的な例を以下に示す。
【0071】
金属清浄剤としては、Ca-石油スルフォネート、過塩基性Ca-石油スルフォネート、Ca-アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ca-アルキルベンゼンスルフォネート、Ba-アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ba-アルキルベンゼンスルフォネート、Mg-アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Mg-アルキルベンゼンスルフォネート、Na-アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Na-アルキルベンゼンスルフォネート、Ca-アルキルナフタレンスルフォネート、過塩基性Ca-アルキルナフタレンスルフォネート等の金属スルフォネート、Ca-フェネート、過塩基性Ca-フェネート、Ba-フェネート、過塩基性Ba-フェネート等の金属フェネート、Ca-サリシレート、過塩基性Ca-サリシレート等の金属サリシレート、Ca-フォスフォネート、過塩基性Ca-フォスフォネート、Ba-フォスフォネート、過塩基性Ba-フォスフォネート等の金属フォスフォネート、過塩基性Ca-カルボキシレート等が使用可能である。これらの金属清浄剤は、使用する場合、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、1~10質量部、好ましくは2~7質量部添加することができる。
【0072】
無灰分散剤としては、ポリアルケニルコハク酸イミド、ポリアルケニルコハク酸アミド、ポリアルケニルベンジルアミン、ポリアルケニルコハク酸エステル等が例示される。これらの無灰分散剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、1~10質量部、好ましくは2~7質量部添加することができる。
【0073】
油性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコールなどのグリセリンエーテル、ラウリルポリグリセリンエーテル、オレイルポリグリセリルエーテルなどのアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、ジ(2-エチルヘキシル)モノエタノールアミン、ジイソトリデシルモノエタノールアミンなどのアルキル若しくはアルケニルアミンのポリ(アルキレンオキサイド)付加物等が例示される。これらの油性剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、0.01~5質量部、好ましくは0.1~3質量部添加することができる。
【0074】
摩耗防止剤及び/又は極圧剤としては、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート類、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリブチルホスファイト、ジブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等の亜リン酸エステル類及びこれらのアミン塩等のリン系、硫化油脂、硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフィン、ジアルキルジスルフィドなどの硫黄系、Zn-ジアルキルジチオフォスフェート、Zn-ジアルキルジチオフォスフェート、Mo-ジアルキルジチオフォスフェート、Mo-ジアルキルジチオカルバメートなどの有機金属系化合物等が例示される。これらの摩耗防止剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、0.01~10質量部、好ましくは0.1~5質量部添加することができる。
【0075】
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が例示される。これらの金属不活性剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、0.01~0.4質量部、好ましくは0.01~0.2質量部添加することができる。
【0076】
防錆剤としては、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca-石油スルフォネート、Ca-アルキルベンゼンスルフォネート、Ba-アルキルベンゼンスルフォネート、Mg-アルキルベンゼンスルフォネート、Na-アルキルベンゼンスルフォネート、Zn-アルキルベンゼンスルフォネート、Ca-アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N-オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が例示される。これらの防錆剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、0.01~5質量部、好ましくは0.05~2質量部添加することができる。
【0077】
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ジエン共重合体、スチレン-無水マレイン酸エステル共重合体などのオレフィン共重合体が例示される。これらの粘度指数向上剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、0.1~15質量部、好ましくは0.5~7質量部添加することができる。
【0078】
流動点降下剤としては、塩素化パラフィンとアルキルナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、既述の粘度指数向上剤であるポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン等が例示される。これらの流動点降下剤は、単独で又は組み合わせて用いてもよく、これを使用する場合、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、0.01~5質量部、好ましくは0.1~3質量部添加することができる。
【0079】
加水分解抑制剤としては、アルキルグリシジルエーテル類、アルキルグリシジルエステル類、アルキレングリコールグリシジルエーテル類、脂環式エポキシ類、フェニルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物、ジ-tert-ブチルカルボジイミド、1,3-ジ-p-トリルカルボジイミドなどのカルボジイミド化合物が使用可能であり、流体軸受用潤滑油基油100質量部に対して、通常、0.05~2質量%添加することができる。
【0080】
<流体軸受>
本発明は、上記の流体軸受用潤滑油組成物を用いた流体軸受をも提供し得る。本発明の流体軸受の具体的な例としては、図18に示すものが挙げられる。図18は、本発明の流体軸受の概略構成を模式的に示した断面図の一例である。
【0081】
本発明の流体軸受は、ボールベアリング等の機構を有さず、軸とスリーブとからなり、それらの間に収容された潤滑油組成物によって互いに直接接触することがないように間隔が保持される流体軸受である。このような軸受けであれば、機械的に特に限定されるものではない。図1の流体軸受は、軸(1)に、ラジアル動圧発生溝(3)及び(4)とスラストプレート(7)の上下に、スラスト動圧発生溝(5)及び(6)が設けた流体軸受の例である。これらの動圧溝(3)、(4)、(5)及び(6)は、本例ではヘリングボーン形状に形成されているが、必ずしもこの形状に限定されず、スパイラル形状、円弧形状、直線形状などに形成されてもよい。
【0082】
また、ラジアル動圧発生溝(3)及び(4)は軸(1)の外周面の代わりにスリーブ(2)の内周面に形成されても良く、ストラス動圧発生溝(5)及び(6)は、それぞれスリーブ(2)の下端面とカウンタープレート(8)の上面の代わりにスラストプレート(7)の上面と下面に形成してもよい。これらの動圧溝(3)、(4)、(5)及び(6)と、それぞれが臨む各対向面との間の微小隙間には、本発明の潤滑油組成物(9)が封入されている。
【0083】
以上の構成を有する流体軸受において、例えば軸(1)が回転駆動されると、動圧溝(3)及び(4)によって微小隙間内の潤滑油組成物にラジアル方向の動圧が発生するとともに、軸受面によって微小隙間内の潤滑油組成物にアキシャル方向の動圧(スラスト力)が発生するため、これらの動圧によってスラストプレート(7)付き軸(1)がスリーブ(2)及びカウンタープレート(8)に対して非接触状態で高速回転する。
【0084】
本発明の流体軸受は、基油自体の安定性、粘度特性、低温特性、且つ耐揮発性が良好な流体軸受用潤滑油基油を用いた軸受用潤滑油組成物を潤滑油(9)として用いているので、潤滑油組成物の保持量を増やさずに従来の潤滑油組成物を用いた流体軸受よりも長い軸受寿命が得られる。従って、小型で高精度及び高速回転が求められるスピンドルモータ等に適用される流体軸受として好適である。
【0085】
<スピンドルモータ>
本発明は、上記の流体軸受を用いる本発明のスピンドルモータをも提供する。本発明のスピンドルモータの具体的な例としては、図19に示すものが挙げられる。図19は、本発明のスピンドルモータの概略構成を模式的に示した断面図の一例である。
【0086】
本発明のスピンドルモータは、ベース(11)に形成された壁にステータコイル(12)が設けられ、ハブ(10)の内周面にステータコイル(12)と対向してロータマグネット(13)が取り付けられて、モータ駆動部が構成されている。このモータ駆動部により回転部が回転駆動すると、ラジアル方向、スラスト方向ともに、潤滑油組成物(9)に動圧が発生し、回転部と固定部とが非接触で回転が支持される。
【実施例
【0087】
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、各例における流体軸受用潤滑油基油及び流体軸受用潤滑油組成物の物理特性及び化学特性は以下の方法により評価した。特に言及していない化合物は試薬を使用した。
【0088】
<化合物>
原料
・2-メチルペンタン酸(東京化成工業株式会社製)
・2-メチルブタン酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
・2-デシルテトラデカノール:「エヌジェコール 240A」(新日本理化株式会社製)
・2-オクチルドデカノール:「ISOFOL 20」(SASOL製)
・2-ヘキシルデカノール:「ISOFOL 16」(SASOL製)
酸化防止剤
・アミン系酸化防止剤
p,p’-ジオクチルジフェニルアミン:「ビス(4-オクチルフェニル)アミン」(Ark Pharm社製)以下「DODPA」と略す。
・フェノール系酸化防止剤
4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)(東京化成工業株式会社製)以下「MBDBP」と略す。
【0089】
(a)酸価
JIS K 2501(2003)に準拠して測定した。なお検出限界は0.01mgKOH/gである。
【0090】
(b)原料の2-メチル脂肪酸の純度
<ガスクロマトグラフィー(GC)による分析>
2-メチル脂肪酸の純度(GC面積%)はガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。
[測定条件]
機器:島津製作所製 GC-2010
カラム:ジーエルサイエンス株式会社製TC-5 30m×0.25mm×0.25μm
カラム温度:60~300℃(昇温速度10℃/min)
インジェクション温度/検出器温度:305℃/305℃
検出器:FID
キャリアガス:ヘリウム
ガス線速度:27.4cm/sec
試料:1質量%のアセトン溶液
注入量:1μl
【0091】
(c)動粘度
JIS K 2283(2000)に準拠して、40℃、100℃における動粘度を測定した。
<40℃での動粘度の評価>
(I):10mm/s以上14mm/s未満
(II):8mm/s以上10mm/s未満 又は 14mm/s以上17mm/s未満
(III):8mm/s未満 又は 17mm/s以上
【0092】
(d)粘度指数
JIS K 2283(2000)に準拠して算出した。粘度指数140以上のときは粘度-温度特性が優れていると評価される。
<粘度指数の評価>
(I):140以上
(II):130以上140未満
(III):130未満
【0093】
(e)耐蒸発性
流体軸受用潤滑油基油又は流体軸受用潤滑油組成物約10mgを精秤し(小数点以下第3位まで)、TG-DTA装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 装置名;TG/DTA6200)にセットし、下記の測定条件下で、初期の質量から5%の質量が減少した時の温度(5%質量減の温度)を耐蒸発性の指標とした。
[測定条件]
昇温速度:10℃/分
流通窒素量:200ml/分
測定開始温度:50℃
<耐蒸発性の評価(5%質量減の温度)>
(I):260℃以上
(II):250℃以上260℃未満
(III):250℃未満
【0094】
(f)加水分解安定性試験
加水分解試験として、流体軸受用潤滑油基油又は流体軸受用潤滑油組成物2g及びイオン交換水0.2gをステンレス製耐圧容器に秤量し、凍結脱気後窒素置換して密閉した。密閉したステンレス製耐圧容器を160℃のファインオーブン内で24時間静置した後、試験管から試験液を全量抜き出し、酸価を測定した。加水分解安定性の指標として、加水分解試験前後の酸価の上昇量を算出した。
<加水分解安定性の評価(酸価の上昇量)>
(I):0.15mgKOH/g以下
(II):0.15mgKOH/gを越え0.5mgKOH/g以下
(III):0.5mgKOH/gを越える
【0095】
(g)融点
2-メチル脂肪族モノカルボン酸エステル5μLを精秤し、DSC装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 装置名;DSC6220)にセットして-65℃まで冷却後、下記の測定条件下で測定した。
[測定条件]
昇温速度:1℃/分
流通窒素量:50ml/分
測定温度範囲:-65℃から20℃
<低温流動性の評価(融点)>
(I):-10℃以下
(II):-10℃を超え0℃以下
(III):0℃を超える
【0096】
(h)流体軸受用潤滑油基油の評価
流体軸受用潤滑油基油及び流体軸受用潤滑油組成物の評価としては、40℃での動粘度の評価、粘度指数の評価、耐蒸発性の評価、加水分解安定性の評価及び低温流動性の評価の結果において、(III)が1以上あれば不適と、(II)が1以下(他の評価は(I))であれば良好と、すべての評価が(I)であれば特に良好と評価される。
【0097】
<赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)>
2-メチル脂肪族モノカルボン酸エステルのIRスペクトルは、赤外分光分析装置(株式会社パーキンエルマージャパン製Spectrum400)を用い、ATR法(減衰全反射法)で行った。
【0098】
<プロトン核磁気共鳴スペクトル(H-NMR)>
2-メチル脂肪族モノカルボン酸エステルのH-NMRは、重クロロホルムに溶かした後、核磁気共鳴装置(Bruker社製DRX-500)を用い、H-NMR(500MHz)測定で行った。
【0099】
[製造例1]
(2-メチルヘプタン酸)
Journal of chemical ecology,37(7),714-716(2011年)を参考に、2-メチルヘプタン酸の合成を行った。撹拌器、温度計、冷却管、滴下ロートを備えた5リットルの四ツ口フラスコにナトリウムエトキシド3.44mol、エタノール 1.5リットルを仕込み、室温条件下、滴下にてメチルマロン酸ジエチル2.87molを加えた。次いで1-ブロモペンタン2.87molを加え、滴下終了後常圧下3時間還流させた。還流後エタノールを留去し、水洗により臭化ナトリウムを除去して、加えたメチルマロン酸ジエチルに対して2当量の水酸化カリウムを水溶液として加えて、95℃で発生するエタノールを留去しながら加水分解を行った。得られたカリウム塩の水溶液に10%硫酸水溶液を加えて室温で中和後、析出したジカルボン酸を濾過し、水で洗浄した。得られたジカルボン酸の含水粉末は撹拌器、温度計、冷却管付き水分分留受器を備えた3リットルの四ツ口フラスコに入れ、160℃まで徐々に昇温しながら加熱溶解し、発泡が見られなくなるまで脱炭酸させ、モノカルボン酸粗物を得た。得られた粗物を精留し、収率66%で純度99.6GC面積%の2-メチルヘプタン酸を得た。
【0100】
[製造例2]
(2-メチルオクタン酸)
1-ブロモペンタンの代わりに1-ブロモヘキサンを使用した以外は製造例1と同様の方法により、収率70%で純度99.5GC面積%の2-メチルオクタン酸を得た。
【0101】
[製造例3]
(2-メチルウンデカン酸)
1-ブロモペンタンの代わりに1-ブロモノナンを使用した以外は製造例1と同様の方法により、収率71%で純度99.7GC面積%の2-メチルウンデカン酸を得た。
【0102】
[製造例4]
(2-メチルヘキサデカン酸)
1-ブロモペンタンの代わりに1-ブロモテトラデカンを使用した以外は製造例1と同様の方法により、収率52%で純度99.4GC面積%の2-メチルヘキサデカン酸を得た。
【0103】
[製造例5]
(2-メチルノナン酸)
1-ブロモペンタンの代わりに1-ブロモヘプタンを使用した以外は製造例1と同様の方法により、収率66%で純度99.6GC面積%の2-メチルノナン酸を得た。
【0104】
[製造例6]
(2-ペンチルヘキサデカノール及び2-ヘプチルテトラデカノールの混合物(50:50))
特開昭49-35308号公報を参考に、1-テトラデカノール及び1-ヘプタノールを用いてアルコールの二量化反応を行った。具体的には、1-テトラデカノール 9.34モルと1-ヘプタノール 9.34モル及び水酸化カリウム92.0g、銅クロム触媒6.2g、活性炭18.6gを仕込み、250℃で二量化反応を行った。反応後、濾過により、銅クロム触媒、活性炭及びカルボン酸カリウム塩を除去して、2-ペンチルノナノール、2-ペンチルヘキサデカノール、2-ヘプチルテトラデカノール及び2-ドデシルヘキサデカノールの4種の二量化アルコール粗物を得た。得られた二量化アルコール粗物を精留し、前留分として2-ペンチルノナノールを分取し、主留分として2-ヘプチルデカノールと、次いで留出する2-ペンチルヘキサデカノールとを分取した。分取した2-ペンチルヘキサデカノール及び2-ヘプチルテトラデカノールを目的の比率となるよう混合して以下のエステル原料として使用した。
【0105】
[実施例1]
撹拌器、温度計、冷却管付き水分分留受器を備えた500ミリリットルの四ツ口フラスコに2-メチルペンタン酸0.432molと2-デシルテトラデカノール0.404mol、キシレン(原料の総量に対し20質量%)及び触媒として酸化スズ触媒(原料の総量に対し0.1質量%)を仕込み、窒素置換した後、徐々に220℃まで昇温した。理論生成水量(7.28g)を目処にして留出してくる生成水を水分分留受器で除去しつつ、還流が起こるように減圧度を調整しながら、エステル化反応を行い、理論量の水が留出するまで反応を行った。反応終了後、キシレンを留去してエステル化粗物を得た。次いで、得られたエステル化粗物の酸価に対して2当量の苛性ソーダ水溶液で中和した後、水洗水が中性になるまで繰り返し水洗した。更に、得られたエステル化粗物を活性炭で吸着処理した後、濾過により活性炭を除去して、2-メチルペンタン酸(2-デシルテトラデシル)を得た。酸価は、0.01mgKOH/g以下であった。以下得られた2-メチルペンタン酸(2-デシルテトラデシル)を「エステル(A)」とし、流体軸受用潤滑油基油として評価した。結果を表1に示した。
【0106】
2-メチルペンタン酸(2-デシルテトラデシル)について、IRスペクトル及びH-NMRスペクトルを測定し、図1及び図2に示した。なお、H-NMRスペクトルの7.26ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルムに由来するピークであり、1.58ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルム中に含有する水に由来するピークである。
【0107】
IR(cm-1):2957,2922,2853,1735,1465,1378,1272,1242,1176,1148,1084,1053,1032,928,721
【0108】
H-NMR(500MHz,ppm):0.87-0.92(m,9H),1.13-1.15(d,3H),1.26-1.42(m,43H),1.60-1.68(m,2H),2.41-2.48(m,1H),3.93-3.99(m,2H)
【0109】
[実施例2]
2-メチルペンタン酸の代わりに2-メチルヘプタン酸を使用した以外は実施例1と同様の方法により、酸価が0.01mgKOH/g以下の2-メチルヘプタン酸(2-デシルテトラデシル)を得た。以下得られた2-メチルヘプタン酸(2-デシルテトラデシル)を「エステル(B)」とし、流体軸受用潤滑油基油として評価した。結果を表1に示した。
【0110】
2-メチルヘプタン酸(2-デシルテトラデシル)について、IRスペクトル及びH-NMRスペクトルを測定し、図3及び図4に示した。なお、H-NMRスペクトルの7.26ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルムに由来するピークであり、1.58ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルム中に含有する水に由来するピークである。
【0111】
IR(cm-1):2955,2922,2853,1735,1464,1378,1253,1171,1146,1087,1046,981,722,657
【0112】
H-NMR(500MHz,ppm):0.87-0.89(m,9H) ,1.13-1.15(d,3H),1.26-1.28(m,46H),1.37-1.42(m,1H),1.61-1.67(m,2H),2.40-2.46(m,1H),3.93-4.00(m,2H)
【0113】
[実施例3]
2-メチルペンタン酸の代わりに2-メチルオクタン酸を使用した以外は実施例1と同様の方法により、酸価が0.01mgKOH/g以下の2-メチルオクタン酸(2-デシルテトラデシル)を得た。以下得られた2-メチルオクタン酸(2-デシルテトラデシル)を「エステル(C)」とし、流体軸受用潤滑油基油として評価した。結果を表1に示した。
【0114】
2-メチルオクタン酸(2-デシルテトラデシル)について、IRスペクトル及びH-NMRスペクトルを測定し、図5及び図6に示した。なお、H-NMRスペクトルの7.26ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルムに由来するピークであり、1.58ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルム中に含有する水に由来するピークである。
【0115】
IR(cm-1):2955,2922,2853,1735,1464,1378,1246,1169,1146,1087,1046,981,722,657
【0116】
H-NMR(500MHz,ppm):0.87-0.89(m,9H) ,1.13-1.14(d,3H),1.26-1.28(m,48H),1.37-1.44(m,1H),1.61-1.68(m,2H),2.39-2.46(m,1H),3.93-4.00(m,2H)
【0117】
[実施例4]
2-メチルペンタン酸の代わりに2-メチルウンデカン酸を使用し、2-デシルテトラデカノールの代わりに2-オクチルドデカノールを使用した以外は実施例1と同様の方法により、酸価が0.01mgKOH/g以下の2-メチルウンデカン酸(2-オクチルドデシル)を得た。以下得られた2-メチルウンデカン酸(2-オクチルドデシル)を「エステル(D)」とし、流体軸受用潤滑油基油として評価した。結果を表1に示した。
【0118】
2-メチルウンデカン酸(2-オクチルドデシル)について、IRスペクトル及びH-NMRスペクトルを測定し、図7及び図8に示した。なお、H-NMRスペクトルの7.26ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルムに由来するピークであり、1.58ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルム中に含有する水に由来するピークである。
【0119】
IR(cm-1):2956,2922,2853,1735,1464,1378,1252,1163,1084,721
【0120】
H-NMR(500MHz,ppm):0.87-0.89(m,9H) ,1.13-1.14(d,3H),1.26-1.28(m,46H),1.37-1.42(m,1H),1.62-1.68(m,2H),2.39-2.46(m,1H),3.93-4.00(m,2H)
【0121】
[実施例5]
2-メチルペンタン酸の代わりに2-メチルヘキサデカン酸を使用し、2-デシルテトラデカノールの代わりに2-ヘキシルデカノールを使用した以外は実施例1と同様の方法により、酸価が0.01mgKOH/g以下の2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルデシル)を得た。以下得られた2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルデシル)を「エステル(E)」とし、流体軸受用潤滑油基油として評価した。結果を表1に示した。
【0122】
2-メチルヘキサデカン酸(2-ヘキシルデシル)について、IRスペクトル及びH-NMRスペクトルを測定し、図9及び図10に示した。なお、H-NMRスペクトルの7.26ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルムに由来するピークであり、1.58ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルム中に含有する水に由来するピークである。
【0123】
IR(cm-1):2955,2922,2853,1735,1464,1378,1248,1169,1084,722,657
【0124】
H-NMR(500MHz,ppm):0.87-0.89(m,9H) ,1.13-1.14(d,3H),1.25-1.28(m,48H),1.37-1.42(m,1H),1.62-1.66(m,2H),2.39-2.46(m,1H),3.93-4.00(m,2H)
【0125】
[実施例6]
2-メチルペンタン酸の代わりに2-メチルブタン酸を使用した以外は実施例1と同様の方法により、酸価が0.01KOH/g以下の2-メチルブタン酸(2-デシルテトラデシル)を得た。以下得られた2-メチルブタン酸(2-デシルテトラデシル)を「エステル(F)」とし、流体軸受用潤滑油基油として評価した。結果を表1に示した。
【0126】
2-メチルブタン酸(2-デシルテトラデシル)について、IRスペクトル及びH-NMRスペクトルを測定し、図11及び図12に示した。なお、H-NMRスペクトルの7.26ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルムに由来するピークであり、1.59ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルム中に含有する水に由来するピークである。
【0127】
IR(cm-1):2957,2922,2853,2158,1735,1462,1379,1354,1298,1262,1238,1181,1151,1081,1012,977,866,792,751,721,678
【0128】
H-NMR(500MHz,ppm):0.87-0.92(m,9H) ,1.13-1.15(d,3H),1.26-1.28(m,40H),1.43-1.51(m,1H),1.62-1.72(m,2H),2.33-2.40(m,1H),3.94-4.00(m,2H)
【0129】
[実施例7]
2-メチルペンタン酸の代わりに2-メチルオクタン酸を使用し、2-デシルテトラデカノールの代わりに2-オクチルドデカノールを使用した以外は実施例1と同様の方法により、酸価が0.01KOH/g以下の2-メチルオクタン酸(2-オクチルドデシル)を得た。以下得られた2-メチルオクタン酸(2-オクチルドデシル)を「エステル(G)」とし、流体軸受用潤滑油基油として評価した。結果を表1に示した。
【0130】
2-メチルオクタン酸(2-オクチルドデシル)について、IRスペクトル及びH-NMRスペクトルを測定し、図13及び図14に示した。なお、H-NMRスペクトルの7.26ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルムに由来するピークであり、1.59ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルム中に含有する水に由来するピークである。
【0131】
IR(cm-1):2956,2922,2854,1735,1464,1378,1246,1168,1146,1087,1038,722
【0132】
H-NMR(500MHz,ppm):0.86-0.89(m,9H) ,1.13-1.14(d,3H),1.26-1.28(m,40H),1.37-1.44(m,1H),1.61-1.67(m,2H),2.39-2.46(m,1H),3.93-4.00(m,2H)
【0133】
[実施例8]
2-メチルペンタン酸の代わりに2-メチルノナン酸を使用し、2-デシルテトラデカノールの代わりに2-オクチルドデカノールを使用した以外は実施例1と同様の方法により、酸価が0.01KOH/g以下の2-メチルノナン酸(2-オクチルドデシル)を得た。以下得られた2-メチルノナン酸(2-オクチルドデシル)を「エステル(H)」とし、流体軸受用潤滑油基油として評価した。結果を表1に示した。
【0134】
2-メチルノナン酸(2-オクチルドデシル)について、IRスペクトル及びH-NMRスペクトルを測定した。図15及び図16に示した。なお、H-NMRスペクトルの7.26ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルムに由来するピークであり、1.58ppm付近のシングレットピークは溶媒の重クロロホルム中に含有する水に由来するピークである。
【0135】
IR(cm-1):2956,2922,2854,1735,1463,1378,1247,1166,1086,721
【0136】
H-NMR(500MHz,ppm):0.86-0.89(m ,9H),1.13-1.14(d,3H),1.26(m,42H),1.38-1.43(m,1H),1.62-1.67(m,2H),2.39-2.45(m,1H),3.93-4.00(m,2H)
【0137】
[実施例9]
2-メチルペンタン酸の代わりに2-メチルヘプタン酸を使用し、2-デシルテトラデカノールの代わりに2-ペンチルヘキサデカノール及び2-ヘプチルテトラデカノールの混合物(50:50)を使用した以外は実施例1と同様の方法により、酸価が0.01KOH/g以下の2-メチルヘプタン酸(2-ペンチルヘキサデシル)及び2-メチルヘプタン酸(2-ヘプチルテトラデシル)の混合物(50:50)を得た。以下得られた2-メチルヘプタン酸(2-ペンチルヘキサデシル)及び2-メチルヘプタン酸(2-ヘプチルテトラデシル)の混合物(50:50(モル比))を「エステル(I)」とし、流体軸受用潤滑油基油として評価した。結果を表1に示した。
【0138】
2-メチルヘプタン酸(2-ペンチルヘキサデシル)及び2-メチルヘプタン酸(2-ヘプチルテトラデシル)の混合物(50:50)について、IRスペクトルを測定した。図17に示した。
【0139】
IR(cm-1):2956,2923,2854,1735,1463,1378,1252,1170,1146,1087,1044,982,722
【0140】
【表1】
【0141】
[比較例1~12]
比較例として、セバシン酸ジ(2-エチルヘキシル)「DOS」、n-デカン酸とトリメチロールプロパンとのエステル化合物「エステル(a)」、n-ドデカン酸と2-オクチルドデカノールとのエステル化合物「エステル(b)」、n-ヘキシルデカン酸(2-ヘキシルデシル)「エステル(c)」、2-オクチルドデカン酸(n-ウンデシル)「エステル(d)」、2-オクチルドデカン酸と3,7-ジメチルオクタノールとのエステル化合物「エステル(e)」、2-デシルテトラデカン酸(n-ノニル)「エステル(f)」、2-ブチルテトラデカン酸(2-ヘキシルデシル)「エステル(g)」、2-エチルヘキサン酸(2-デシルテトラデシル)「エステル(h)」、2-エチルヘキサン酸(2-オクチルドデシル)「エステル(i)」、n-オクタン酸(2-デシルテトラデシル)「エステル(j)」、2-メチルヘキサデカン酸(n-ヘキサデシル)「エステル(k)」を流体軸受用潤滑油基油として評価した。それらの結果を表2に示した。
【0142】
【表2】
【0143】
[実施例10~12]
流体軸受用潤滑油基油としてエステル(B)100質量部に対して、酸化防止剤を1質量部添加して本発明の流体軸受用潤滑油組成物を調製した。調製したそれぞれの流体軸受用潤滑油組成物を評価した。結果を表3に示した。
【0144】
[実施例13~15]
流体軸受用潤滑油基油としてエステル(C)100質量部に対して、酸化防止剤を1質量部添加して本発明の流体軸受用潤滑油組成物を調製した。調製したそれぞれの流体軸受用潤滑油組成物を評価した。結果を表3に示した。
【0145】
[実施例16~18]
流体軸受用潤滑油基油としてエステル(H)100質量部に対して、酸化防止剤を1質量部添加して本発明の流体軸受用潤滑油組成物を調製した。調製したそれぞれの流体軸受用潤滑油組成物を評価した。結果を表3に示した。
【0146】
【表3】
【0147】
表1から、本発明の流体軸受用潤滑油基油は、粘度指数が高く、且つ、耐蒸発性、加水分解安定性及び低温流動性に優れた流体軸受用潤滑油基油であることがわかる。また、表3から、本発明の流体軸受用潤滑油組成物も、粘度指数が高く、且つ、耐蒸発性、加水分解安定性及び低温流動性に優れた流体軸受用潤滑油組成物であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明の流体軸受用潤滑油基油は、粘度指数が高く、且つ、耐蒸発性、加水分解安定性及び低温流動性に優れていることから、流体軸受用潤滑油基油として好適に用いられる。
図1
図2
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