IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジテック株式会社の特許一覧

特許7335560エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法
<>
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図1
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図2
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図3
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図4
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図5
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図6
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図7
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図8
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図9
  • 特許-エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/00 20060101AFI20230823BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B66B11/00 Z
B66B7/00 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022109137
(22)【出願日】2022-07-06
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠田 真也
(72)【発明者】
【氏名】太田 天志
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-118988(JP,U)
【文献】特開昭56-108685(JP,A)
【文献】特開2015-030558(JP,A)
【文献】実開昭57-120566(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00
B66B 7/00;7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベータ用釣合錘の製造方法であって、
前記エレベータ用釣合錘は、
錘と、
前記錘が取り付けられる枠体と、
前記枠体とかごロープの端部とを接続する接続部と、を備え、
前記枠体は、第1横方向へ延びる上枠部を備え、
前記接続部は、
前記かごロープの端部が接続されるロープ接続部と、
前記枠体を吊り上げるために、前記上枠部に下方から引っ掛けられる引掛部と、を備 え、
前記製造方法は、
前記上枠部から既設かごロープを取り外すことと、
前記かごロープと前記枠体の前記上枠部とを、前記接続部によって接続することと、を含み、
前記ロープ接続部は、前記かごロープの端部が挿入される複数の第1貫通孔を備え、
前記上枠部は、前記既設かごロープの端部が挿入される複数の第2貫通孔を備え、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、径の大きさ、個数及び間隔の少なくとも一つで、異なる、エレベータ用釣合錘の製造方法。
【請求項2】
錘と、
前記錘が取り付けられる枠体と、
前記枠体とかごロープとを接続する接続部と、を備え、
前記枠体は、第1横方向へ延びる上枠部を備え、
前記接続部は、
前記かごロープが接続されるロープ接続部と、
前記枠体を吊り上げるために、前記上枠部に下方から引っ掛けられる引掛部と、を備える、エレベータ用釣合錘であって、
前記接続部は、前記上枠部に前記第1横方向で当たる第1及び第2横規制部を備え、
前記第1及び第2横規制部は、前記第1横方向で前記上枠部を挟むように、配置される、エレベータ用釣合錘。
【請求項3】
前記接続部は、前記第1横方向視で、無端環状に形成される環状部を備え、
前記上枠部は、前記環状部の内部に配置され、
前記引掛部は、前記環状部の下部を構成する、請求項に記載のエレベータ用釣合錘。
【請求項4】
前記環状部は、前記第1横方向と直交する第2横方向で前記上枠部を挟む一対の挟み部を備え、
前記ロープ接続部は、前記環状部の上部を構成し、
前記接続部は、前記一対の挟み部と前記ロープ接続部とを固定する第1ネジ機構と、前記一対の挟み部と前記引掛部とを固定する第2ネジ機構と、を備え、
前記第1ネジ機構及び前記第2ネジ機構は、前記第1横方向視において、前記環状部の外部に配置される、請求項に記載のエレベータ用釣合錘。
【請求項5】
前記接続部は、前記上枠部に上方から当たる上規制部を備える、請求項に記載のエレベータ用釣合錘。
【請求項6】
請求項2~5の何れか1項に記載のエレベータ用釣合錘を備える、エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータ用釣合錘は、錘と、錘が取り付けられる枠体と、枠体の上枠部とかごロープとを接続する接続部とを備えている(例えば、特許文献1)。そして、枠体の上枠部は、貫通孔を備えており、接続部は、上枠部の貫通孔に挿入されたボルトによって、上枠部に接続されている。
【0003】
ところで、特許文献1に係るエレベータ用釣合錘においては、接続部と上枠部との接続に、上枠部の貫通孔が用いられているため、接続部のうち、上枠部と接続する部分は、上枠部の貫通孔の位置等に対応した形状(例えば、同じ位置に貫通孔を設ける形状)にする必要がある。これにより、接続部のうち、上枠部と接続する部分の汎用性は、低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-40584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、接続部のうち、上枠部と接続する部分の汎用性を向上させることができるエレベータ用釣合錘、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータ用釣合錘は、錘と、前記錘が取り付けられる枠体と、前記枠体とかごロープとを接続する接続部と、を備え、前記枠体は、第1横方向へ延びる上枠部を備え、前記接続部は、前記かごロープが接続されるロープ接続部と、前記枠体を吊り上げるために、前記上枠部に下方から引っ掛けられる引掛部と、を備える。
【0007】
エレベータは、前記のエレベータ用釣合錘を備える。
【0008】
エレベータ用釣合錘の製造方法は、前記のエレベータ用釣合錘の製造方法であって、前記上枠部から既設かごロープを取り外すことと、前記かごロープと前記枠体の前記上枠部とを、前記接続部によって接続することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るエレベータの全体図
図2】同実施形態に係るエレベータ用釣合錘の全体図
図3図2の要部拡大図
図4図3のIV-IV線断面図
図5図4のV-V線断面図
図6】(a)図5のVIa-VIa線断面図、(b)図5のVIb-VIb線断面図
図7】既設のエレベータ用釣合錘の全体図
図8図7の状態からかごロープを枠体から取り外して錘を追加した図
図9図8の状態から接続部を枠体に取り付けた図
図10図9の状態から接続部にかごロープを取り付けた図
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0011】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0012】
以下、エレベータ及びエレベータ用釣合錘における一実施形態について、図1図10を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の構成等の理解を助けるために例示するものであり、エレベータ及びエレベータ用釣合錘の構成を限定するものではない。
【0013】
図1に示すように、エレベータ1は、例えば、人が乗るためのかご2と、かご2に接続されるかごロープ3と、かごロープ3に接続されるエレベータ用釣合錘(以下、単に「釣合錘」ともいう)4と、かごロープ3を駆動してかご2及び釣合錘4を上下方向D3へ走行させる巻上機5と、かご2を案内するかごレール6と、釣合錘4を案内する錘レール7と、エレベータ1の各部を制御する処理部8とを備えていてもよい。
【0014】
巻上機5は、例えば、本実施形態のように、かごロープ3が巻き掛けられる綱車5aと、綱車5aを回転させる駆動源5b(例えば、モータ)と、綱車5aを制動する制動部5cとを備えていてもよい。なお、本実施形態に係るエレベータ1は、巻上機5を機械室X2の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、機械室X2が備えられておらず、エレベータ1は、巻上機5を昇降路X1の内部に配置する、という構成でもよい。
【0015】
また、各図において、第1方向D1は、第1横方向D1であり、第2方向D2は、第1横方向D1と直交する横方向である第2横方向D2であり、第3方向D3は、各横方向D1,D2とそれぞれ直交する上下方向D3であり、かご2及び釣合錘4が昇降する昇降方向である。なお、特に限定されないが、乗客がかご2に出入りするために進む出入方向は、例えば、本実施形態のように、第2横方方向D2としてもよい。
【0016】
図2に示すように、釣合錘4は、例えば、錘9と、枠体10と、錘9を枠体10に取り付ける錘取付手段11と、かごロープ3と枠体10とを接続する接続部12とを備えていてもよい。なお、釣合錘4に接続されるかごロープ3の本数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、三本としてもよい。
【0017】
かごロープ3は、例えば、変形可能なロープ本体(例えば、ワイヤロープ等)3aと、ロープ本体3aの端部に連結され、釣合錘4の接続部12に接続されるロープ端部3bとを備えていてもよい。なお、特に限定されないが、ロープ端部3bは、例えば、ロープ本体3aよりも、剛性を有していることが好ましい。
【0018】
枠体10は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1へ延びる上枠部13と、第1横方向D1へ延び、上枠部13よりも下方に配置される下枠部14と、上下方向D3へ延び、上枠部13と下枠部14とを接続する縦枠部15,15とを備えていてもよい。これにより、枠体10は、第2横方向D2視において、矩形の無端環状に形成されている。
【0019】
特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、錘9は、板状の錘片9aを複数備えており、複数の錘片9aは、下枠部14の上に、上下方向D3に積まれている、という構成でもよい。これにより、例えば、錘片9aの個数が変更されることによって、錘9の重量、即ち、釣合錘4の重量を変更することができる。
【0020】
図3図6に示すように、上枠部13は、例えば、第2横方向D2で並べられる第1枠板13a及び第2枠板13bと、第1枠板13a及び第2枠板13bの各下端部に固定され、第1枠板13aと第2枠板13bとを接続する接続枠板13cとを備えていてもよい。接続枠板13cは、例えば、溶接や固定材(例えば、ボルト・ナット)等によって、各枠板13a,13bに固定されていてもよい。
【0021】
接続部12は、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2で上枠部13を挟む第1挟み部16及び第2挟み部17と、上枠部13よりも上方に配置され、かごロープ3が接続されるロープ接続部18と、上枠部13に下方から引っ掛けられる引掛部19と、かごロープ3をロープ接続部18に取り付けるロープ取付手段20とを備えていてもよい。
【0022】
そして、接続部12は、例えば、本実施形態のように、一対の挟み部16,17とロープ接続部18と引掛部19とによって、第1横方向D1視で、矩形状の無端環状に形成される環状部12aを備えていてもよい。これにより、ロープ接続部18は、環状部12aの上部を構成し、引掛部19は、環状部12aの下部を構成し、上枠部13は、環状部12aの内部に配置される。
【0023】
したがって、引掛部19が上枠部13を下方から引っ掛けられることによって、枠体10は、吊り上げられる。その結果、枠体10とかごロープ3とは、接続部12によって接続される。しかも、引掛部19が上枠部13に下方から引っ掛けられていることに対して、上枠部13が環状部12aの内部に配置されているため、接続部12が上枠部13から取り外れることを抑制することができる。
【0024】
接続部12は、例えば、本実施形態のように、一対の挟み部16,17とロープ接続部18とを固定する第1ネジ機構21を備えていてもよい。そして、第1ネジ機構21は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1視において、環状部12aの外部に配置されていてもよい。これにより、第1ネジ機構21の操作を環状部12aの外部で行うことができるため、例えば、第1ネジ機構21の操作を容易にすることができる。
【0025】
ロープ接続部18は、例えば、本実施形態のように、かごロープ3に接続される板状の接続本体部18aと、接続本体部18aから上方へ突出する上突出部18b,18bとを備えていてもよい。そして、第1ネジ機構21は、例えば、本実施形態のように、挟み部16,17と上突出部18bとに挿通される雄ネジ材21aと、雄ネジ材21aと螺合する雌ネジ材21bとを備えていてもよい。
【0026】
なお、特に限定されないが、接続本体部18aは、例えば、本実施形態のように、薄い上板材の下に厚い下板材が固定されることによって、形成されていてもよい。例えば、本実施形態のように、上板材は、接続本体部18a及び上突出部18b,18bを備えており、下板材は、接続本体部18aのみを備えている、という構成でもよい。
【0027】
また、接続部12は、例えば、本実施形態のように、一対の挟み部16,17と引掛部19とを固定する第2ネジ機構22を備えていてもよい。そして、第2ネジ機構22は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1視において、環状部12aの外部に配置されていてもよい。これにより、第2ネジ機構22の操作を環状部12aの外部で行うことができるため、例えば、第2ネジ機構22の操作を容易にすることができる。
【0028】
引掛部19は、例えば、本実施形態のように、上枠部13の接続枠板13cに引っ掛けられる板状の引掛本体部19aと、引掛本体部19aから下方へ突出する下突出部19b,19bとを備えていてもよい。そして、第2ネジ機構22は、例えば、本実施形態のように、挟み部16,17と下突出部19bとに挿通される雄ネジ材22aと、雄ネジ材22aと螺合する雌ネジ材22bとを備えていてもよい。
【0029】
ところで、引掛部19が上枠部13に下方から引っ掛かることによって、引掛部19は、上枠部13に接続されている(即ち、完全に固定されていない)。したがって、引掛部19が上枠部13に対して位置ずれすることによって、接続部12が上枠部13に対して位置ずれする場合がある。
【0030】
そこで、接続部12は、例えば、本実施形態のように、上枠部13に上方から当たる上規制部23を備えていてもよい。これにより、上規制部23が上枠部13の枠板13a,13bの上端に上方から当たるため、上枠部13に対する接続部12の下方向への変位が規制される。したがって、上規制部23と引掛部19とが上枠部13を上下方向D3で挟んでいるため、接続部12が上枠部13に対して上下方向D3に変位することを抑制することができる。
【0031】
上規制部23は、例えば、本実施形態のように、挟み部16,17から突出していてもよい。特に限定されないが、上規制部23は、本実施形態のように、挟み部16,17と螺合する雄ネジ材(例えば、ボルト)で構成されていてもよい。
【0032】
さらに、接続部12は、例えば、本実施形態のように、上枠部13に第1横方向D1で当たる横規制部24,25を備えていてもよい。横規制部24,25は、例えば、本実施形態のように、上枠部13の接続枠板13cを第1横方向D1で挟むように、第1横規制部24及び第2横規制部25を備えていてもよい。
【0033】
これにより、横規制部24,25が上枠部13の接続枠板13cに第1横方向D1から当たるため、上枠部13に対する接続部12の第1横方向D1への変位が規制される。そして、第1横規制部24と第2横規制部25とが上枠部13の接続枠板13cを第1横方向D1で挟んでいるため、接続部12が上枠部13に対して第1横方向D1に変位することを抑制することができる。
【0034】
横規制部24,25は、例えば、本実施形態のように、挟み部16,17から突出していてもよい。特に限定されないが、横規制部24,25は、本実施形態のように、挟み部16,17と螺合する雄ネジ材(例えば、ボルト)で構成されていてもよい。
【0035】
なお、本実施形態においては、接続部12の挟み部16,17と上枠部13との第2横方向D2の間に、僅かな隙間が存在しているが、特に限定されない。例えば、一対の挟み部16,17は、それぞれ上枠部13に加圧して接触していてもよい。これにより、一対の挟み部16,17が上枠部13に対して変位することを抑制することができる。
【0036】
ロープ取付手段20は、例えば、本実施形態のように、ロープ端部3bに挿入される弦巻バネ20aと、弦巻バネ20aの弾性復元力をロープ端部3bに伝えるために、弦巻バネ20aを保持するバネ保持部20bとを備えていてもよい。なお、特に限定されないが、バネ保持部20bは、例えば、本実施形態のように、ロープ端部3bの雄ネジと螺合する雌ネジ材(例えば、ナット)としてもよい。
【0037】
また、挟み部16,17は、例えば、本実施形態のように、ロープ取付手段20を操作するための開口部16a,17aを備えていてもよい。特に限定されないが、開口部16a,17aは、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2視において、ロープ端部3b及びロープ取付手段20の一部と重なるように、配置されていてもよい。
【0038】
なお、ロープ接続部18の接続本体部18aは、例えば、本実施形態のように、ロープ端部3bに挿入される複数の第1貫通孔18cを備えていてもよい。また、上枠部13の接続枠板13cは、例えば、本実施形態のように、上下方向D3に貫通する複数の第2貫通孔13dを備えていてもよい。
【0039】
なお、第1貫通孔18cの径の大きさ、個数及び配置(間隔等)の少なくとも一つは、第2貫通孔13dの径の大きさ、個数及び配置(間隔等)と異なっていてもよい。特に限定されないが、図6においては、第1貫通孔18cの配置(間隔)は、第2貫通孔13dの配置(間隔)と異なっている。具体的には、第1貫通孔18c,18c間の間隔は、第2貫通孔13d,13d間の間隔よりも、広くなっている。
【0040】
本実施形態に係るエレベータ用釣合錘4の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るエレベータ用釣合錘4の製造方法について、図7図10を参照しながら説明する。
【0041】
なお、エレベータ用釣合錘4の製造方法は、以下の方法に限定されない。例えば、本実施形態においては、既設エレベータ用釣合錘Y4から、エレベータ用釣合錘4を更新する製造する方法であるが、斯かる方法に限られず、例えば、新たなエレベータ用釣合錘4を新設する製造する方法であってもよい。
【0042】
まず、図7に示すように、既設釣合錘Y4においては、既設かごロープY3のロープ端部Y3bは、既設ロープ取付手段Y20によって、上枠部13の接続枠板13cに接続されている。なお、既設ロープ端部Y3bは、接続枠板13cの第2貫通孔13d(図6(b)参照)に挿入されている。
【0043】
そして、図8に示すように、既設かごロープY3が上枠部13から取り外される。なお、例えば、更新のかご2の仕様(例えば、総重量)が変更される場合には、図8に示すように、錘片9aが追加され、錘9の重量、即ち、釣合錘4の重量が変更されてもよい。
【0044】
その後、図9に示すように、接続部12が上枠部13に取り付けられ、図10に示すように、かごロープ3のロープ端部3bが接続部12に取り付けられることによって、接続部12は、枠体10とかごロープ3とを接続している。なお、例えば、接続部12の上枠部13への取り付けと、ロープ端部3bの接続部12への取り付けとの順番は、どちらが先でもよく、特に限定されない。
【0045】
そして、接続部12の引掛部19(図3図6参照)が枠体10の上枠部13を下方から引っ掛けられるため、枠体10は、吊り上げられる。このように、例えば、上枠部13の第2貫通孔13d(図6(b)参照)を用いることなく、接続部12によって、枠体10とかごロープ3とを接続することができている。したがって、接続部12のうち、上枠部13と接続する部分(引掛部19)の汎用性を向上させることができる。
【0046】
なお、特に限定されないが、本実施形態においては、例えば、巻上機5が更新されることによって、かごロープ3の間隔が既存かごロープY3の間隔から変更されている。そして、かごロープ3の径の大きさ、個数、配置(間隔等)に対応するように、第1貫通孔18cの径の大きさ、個数及び配置(間隔等)が設定されている(図6(a)参照)。
【0047】
また、特に限定されないが、本実施形態においては、ネジ機構(例えば、バネ保持部20b、第1ネジ機構21、第2ネジ機構22、上規制部23、横規制部24,25)によって、釣合錘4が製造されている。これにより、例えば、切断や溶接等を行う必要がないため、昇降路X1の内部で、釣合錘4を容易に更新することができる。
【0048】
[1]
以上より、エレベータ用釣合錘4は、本実施形態のように、錘9と、前記錘9が取り付けられる枠体10と、前記枠体10とかごロープ3とを接続する接続部12と、を備え、前記枠体10は、第1横方向D1へ延びる上枠部13を備え、前記接続部12は、前記かごロープ3が接続されるロープ接続部18と、前記枠体10を吊り上げるために、前記上枠部13に下方から引っ掛けられる引掛部19と、を備える、という構成が好ましい。
【0049】
斯かる構成によれば、かごロープ3は、接続部12のロープ接続部18に接続されている。そして、接続部12の引掛部19が枠体10の上枠部13を下方から引っ掛けられるため、枠体10が吊り上げられる。これにより、接続部12が枠体10とかごロープ3とを接続するため、接続部12のうち、上枠部13と接続する部分の汎用性を向上させることができる。
【0050】
[2]
また、上記[1]のエレベータ用釣合錘4においては、本実施形態のように、前記接続部12は、前記第1横方向D1視で、無端環状に形成される環状部12aを備え、前記上枠部13は、前記環状部12aの内部に配置され、前記引掛部19は、前記環状部12aの下部を構成する、という構成が好ましい。
【0051】
斯かる構成によれば、上枠部13は、第1横方向D1視で無端環状に形成される環状部12aの内部に配置されており、引掛部19は、環状部12aの下部を構成している。これにより、引掛部19が上枠部13に下方から引っ掛けられ、しかも、環状部12aによって、接続部12が上枠部13から取り外れることを抑制することができる。
【0052】
[3]
また、上記[2]のエレベータ用釣合錘4においては、本実施形態のように、前記環状部12aは、前記第1横方向D1と直交する第2横方向D2で前記上枠部13を挟む一対の挟み部16,17を備え、前記ロープ接続部18は、前記環状部12aの上部を構成し、前記接続部12は、前記一対の挟み部16,17と前記ロープ接続部18とを固定する第1ネジ機構21と、前記一対の挟み部16,17と前記引掛部19とを固定する第2ネジ機構22と、を備え、前記第1ネジ機構21及び前記第2ネジ機構22は、前記第1横方向D1視において、前記環状部12aの外部に配置される、という構成が好ましい。
【0053】
斯かる構成によれば、環状部12aは、一対の挟み部16,17、ロープ接続部18及び引掛部19によって、構成されている。そして、第1ネジ機構21及び第2ネジ機構22が、第1横方向D1視において、環状部12aの外部に配置されているため、第1ネジ機構21及び第2ネジ機構22の操作を環状部12aの外部で行うことができる。
【0054】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れか一つのエレベータ用釣合錘4においては、本実施形態のように、前記接続部12は、前記上枠部13に上方から当たる上規制部23を備える、という構成が好ましい。
【0055】
斯かる構成によれば、上規制部23が上枠部13に上方から当たるため、上枠部13に対する接続部12の下方への変位が規制される。これにより、接続部12が上枠部13に対して上下方向D3に変位することを抑制することができる。
【0056】
[5]
また、上記[1]~[4]の何れか一つのエレベータ用釣合錘4においては、本実施形態のように、前記接続部12は、前記上枠部13に前記第1横方向D1で当たる横規制部24,25を備える、という構成が好ましい。
【0057】
斯かる構成によれば、横規制部24,25が上枠部13に第1横方向D1で当たるため、上枠部13に対する接続部12の第1横方向D1への変位が規制される。これにより、接続部12が上枠部13に対して第1横方向D1へ変位することを抑制することができる。
【0058】
[6]
また、エレベータ1は、本実施形態のように、上記[1]~[5]の何れか一つのエレベータ用釣合錘4を備える、という構成が好ましい。
【0059】
斯かる構成によれば、接続部12のうち、上枠部13と接続する部分の汎用性を向上させることができる。
【0060】
[7]
また、エレベータ用釣合錘4の製造方法は、本実施形態のように、[1]~[5]の何れか一つのエレベータ用釣合錘4の製造方法であって、前記上枠部13から既設かごロープY3を取り外すことと、前記かごロープ3と前記枠体10の前記上枠部13とを、前記接続部12によって接続することと、を含む、という方法が好ましい。
【0061】
斯かる方法によれば、接続部12のうち、上枠部13と接続する部分の汎用性を向上させることができる。
【0062】
なお、エレベータ1、エレベータ用釣合錘4及びその製造方法は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1、エレベータ用釣合錘4及びその製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0063】
(A)上記実施形態に係るエレベータ用釣合錘4においては、接続部12は、第1横方向D1視で、無端環状に形成される環状部12aを備え、上枠部13は、環状部12aの内部に配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータ用釣合錘4は、斯かる構成に限られない。例えば、接続部12は、第1横方向D1視で鉤状(例えば、J字状)に形成され、引掛部19は、鉤状の部分の下部を構成する、という構成でもよい。
【0064】
(B)また、上記実施形態に係るエレベータ用釣合錘4においては、ロープ接続部18は、環状部12aの上部を構成している、という構成である。しかしながら、エレベータ用釣合錘4は、斯かる構成に限られない。例えば、ロープ接続部18は、環状部12aから第2横方向D2や上方へ突出するように、環状部12aに固定されている、という構成でもよい。即ち、ロープ接続部18は、環状部12aを構成していない、という構成でもよい。
【0065】
(C)また、上記実施形態に係るエレベータ用釣合錘4においては、一対の挟み部16,17とロープ接続部18とは、第1ネジ機構21によって、固定されている、という構成である。しかしながら、エレベータ用釣合錘4は、斯かる構成に限られない。例えば、一対の挟み部16,17とロープ接続部18とは、溶接によって、固定されている、という構成でもよい。
【0066】
(D)また、上記実施形態に係るエレベータ用釣合錘4においては、一対の挟み部16,17と引掛部19とは、第2ネジ機構22によって、固定されている、という構成である。しかしながら、エレベータ用釣合錘4は、斯かる構成に限られない。例えば、一対の挟み部16,17と引掛部19とは、溶接によって、固定されている、という構成でもよい。
【0067】
(E)また、上記実施形態に係るエレベータ用釣合錘4においては、第1ネジ機構21及び第2ネジ機構22のそれぞれの全体は、第1横方向D1視において、環状部12aの外部に配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータ用釣合錘4は、斯かる構成に限られない。
【0068】
例えば、第1ネジ機構21の少なくとも一部は、第1横方向D1視において、環状部12aの内部に配置されている、という構成でもよい。また、例えば、第2ネジ機構22の少なくとも一部は、第1横方向D1視において、環状部12aの内部に配置されている、という構成でもよい。
【0069】
(F)また、上記実施形態に係るエレベータ用釣合錘4は、上枠部13が乗客の出入方向D2と直交する方向D1へ延びるように、昇降路X1の内部に配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータ用釣合錘4は、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ用釣合錘4は、上枠部13が乗客の出入方向D2へ延びるように、昇降路X1の内部に配置されている、という構成でもよい。
【0070】
(G)なお、例えば、特許請求の範囲、明細書及び図面において示した方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各工程の実行順序は、前の工程での生成物を後の工程で用いるものでない限り、任意の順序で実現できる。例えば、便宜上、「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0071】
1…エレベータ、2…かご、3…かごロープ、3a…ロープ本体、3b…ロープ端部、4…エレベータ用釣合錘、5…巻上機、5a…綱車、5b…駆動源、5c…制動部、6…かごレール、7…錘レール、8…処理部、9…錘、9a…錘片、10…枠体、11…錘取付手段、12…接続部、12a…環状部、13…上枠部、13a…第1枠板、13b…第2枠板、13c…接続枠板、13d…第2貫通孔、14…下枠部、15…縦枠部、16…第1挟み部、16a…開口部、17…第2挟み部、17a…開口部、18…ロープ接続部、18a…接続本体部、18b…上突出部、18c…第1貫通孔、19…引掛部、19a…引掛本体部、19b…下突出部、20…ロープ取付手段、20a…弦巻バネ、20b…バネ保持部、21…第1ネジ機構、21a…雄ネジ材、21b…雌ネジ材、22…第2ネジ機構、22a…雄ネジ材、22b…雌ネジ材、23…上規制部、24…第1横規制部、25…第2横規制部、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向、X1…昇降路、X2…機械室
【要約】
【課題】 接続部のうち、上枠部と接続する部分の汎用性を向上させることができるエレベータ用釣合錘を提供する。
【解決手段】 エレベータ用釣合錘は、錘と、錘が取り付けられる枠体と、枠体とかごロープとを接続する接続部と、を備え、枠体は、第1横方向へ延びる上枠部を備え、接続部は、かごロープが接続されるロープ接続部と、枠体を吊り上げるために、上枠部に下方から引っ掛けられる引掛部と、を備える。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10