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特許7335566呼出しシステムおよび呼出しシステムの区域情報設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】呼出しシステムおよび呼出しシステムの区域情報設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/02 20060101AFI20230823BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
H04M11/02
H04M9/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020087205
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021182688
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】514329042
【氏名又は名称】ベストスキップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】徐 慶黎
(72)【発明者】
【氏名】董 江
(72)【発明者】
【氏名】宋 ▲よう▼
(72)【発明者】
【氏名】馬 志
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046096(JP,A)
【文献】特開2002-366839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0099971(US,A1)
【文献】特開2004-070595(JP,A)
【文献】特開2011-048493(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1992301(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
9/00- 9/10
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼出信号と呼出端末の位置を特定可能とする位置信号とを送信可能な呼出端末と、
所定の施設内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報を記憶する区域情報記憶部と、
前記位置信号と前記区域情報とに基づいて、前記複数の区域の中から、前記呼出端末が存在している区域である所在区域を特定する処理を実行可能な所在区域特定部と、
表示部を有する受信端末と、
前記区域情報記憶部に記憶される前記区域情報を設定可能なコンピュータと、を備え、
前記表示部は、前記呼出端末が前記呼出信号と前記位置信号とを送信した場合に、前記呼出端末から呼出しがあったことを認識可能とする表示をするとともに、前記所在区域特定部によって特定される前記所在区域を知らせる表示をし、
前記コンピュータは、
前記施設の地図を表示する地図表示部と、前記区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部と、を備え、
前記区域情報設定操作部を用いて実行される、前記地図表示部に表示される前記地図上における所定範囲を囲う操作に基づいて、前記複数の区域のうちの各区域の範囲を設定可能であることを特徴とする呼出しシステム。
【請求項2】
呼出信号と呼出端末の位置を特定可能とする位置信号とを送信可能な呼出端末と、
所定の施設内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報を記憶する区域情報記憶部と、
前記位置信号と前記区域情報とに基づいて、前記複数の区域の中から、前記呼出端末が存在している区域である所在区域を特定する処理を実行可能な所在区域特定部と、
表示部を有する受信端末と、
前記区域情報記憶部に記憶される前記区域情報を設定可能なコンピュータと、を備え、
前記表示部は、前記呼出端末が前記呼出信号と前記位置信号とを送信した場合に、前記呼出端末から呼出しがあったことを認識可能とする表示をするとともに、前記所在区域特定部によって特定される前記所在区域を知らせる表示し、
前記コンピュータは、
前記施設の地図を表示する地図表示部と、前記区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部と、を備え、
前記区域情報設定操作部を用いて入力される座標情報であって、前記地図表示部に表示される前記地図に紐づけられた座標情報に基づいて、前記複数の区域のうちの各区域の範囲を設定可能であることを特徴とする呼出しシステム。
【請求項3】
呼出信号と呼出端末の位置を特定可能とする位置信号とを送信可能な呼出端末と、
所定の施設内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報を記憶する区域情報記憶部と、
前記位置信号と前記区域情報とに基づいて、前記複数の区域の中から、前記呼出端末が存在している区域である所在区域を特定する処理を実行可能な所在区域特定部と、
表示部を有する受信端末と、
前記施設の地図を表示する地図表示部と、
前記区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部と、を備え、
前記表示部は、前記呼出端末が前記呼出信号と前記位置信号とを送信した場合に、前記呼出端末から呼出しがあったことを認識可能とする表示をするとともに、前記所在区域特定部によって特定される前記所在区域を知らせる表示をする呼出しシステムにおける区域情報設定方法であって、
前記区域情報設定操作部を用いて実行される、前記地図表示部に表示される前記地図上における所定範囲を囲う操作を検出するステップと、
前記所定範囲を、前記複数の区域のうちの所定区域の範囲として設定するステップと、を含むことを特徴とする区域情報設定方法。
【請求項4】
呼出信号と呼出端末の位置を特定可能とする位置信号とを送信可能な呼出端末と、
所定の施設内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報を記憶する区域情報記憶部と、
前記位置信号と前記区域情報とに基づいて、前記複数の区域の中から、前記呼出端末が存在している区域である所在区域を特定する処理を実行可能な所在区域特定部と、
表示部を有する受信端末と、
前記施設の地図を表示する地図表示部と、
前記区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部と、を備え、
前記表示部は、前記呼出端末が前記呼出信号と前記位置信号とを送信した場合に、前記呼出端末から呼出しがあったことを認識可能とする表示をするとともに、前記所在区域特定部によって特定される前記所在区域を知らせる表示をする呼出しシステムにおける区域情報設定方法であって、
前記区域情報設定操作部を用いて実行される、前記地図表示部に表示される前記地図に紐づけられた座標情報の入力を受け付けるステップと、
入力された前記座標情報に基づいて、前記複数の区域のうちの所定区域の範囲を設定するステップと、を含むことを特徴とする区域情報設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の施設等において呼出しをするためのシステム、および、このシステムが用いられる施設内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報を設定するための区域情報設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療施設あるいは介護施設等に設置され、患者が医師や看護師を呼び出すため等に使用されるナースコールシステム(呼出しシステム)が知られている。例えば、特許文献1には、患者が使用するナースコール子機から呼出しを行うと、看護師が携行する携帯端末に通知がされるナースコールシステムが記載されている。
【0003】
また、工場等の施設において使用される呼出しシステムとして特許文献2に記載のものが知られている。このシステムは、GPSやUWB(Ultra Wide Band)通信等を利用した位置情報の取得が可能であるとともに互いに通信可能な複数の携帯端末を備えている。そして、携帯端末を携行する作業者は、携帯端末を使用して、他の携帯端末を携行する他の作業者を呼び出すことができるようになっている。
【0004】
また、UWB通信を用いた位置情報の取得では、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等を用いた位置情報の取得に比べ、位置の測定誤差を小さく(例えば、数cm以下に)することができ、正確な位置情報を取得できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-193016号公報
【文献】特開2017-147627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の呼出しシステムでは、どこから呼出しがあったのかを呼出しを受ける受信端末において確認することが困難となっていた。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、どこから呼出しがあったのかを呼出しを受ける受信端末において容易に把握できる呼出しシステム、および、当該呼出しシステムにおいて後述する区域情報を設定するための区域情報設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の呼出しシステムは、
呼出信号と呼出端末の位置を特定可能とする位置信号とを送信可能な呼出端末と、
所定の施設内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報を記憶する区域情報記憶部と、
前記位置信号と前記区域情報とに基づいて、前記複数の区域の中から、前記呼出端末が存在している区域である所在区域を特定する処理を実行可能な所在区域特定部と、
表示部を有する受信端末と、を備え、
前記表示部は、前記呼出端末が前記呼出信号と前記位置信号とを送信した場合に、前記呼出端末から呼出しがあったことを認識可能とする表示をするとともに、前記所在区域特定部によって特定される前記所在区域を知らせる表示をすることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、呼出端末から呼出信号と位置信号とが送信された際に、受信端末の表示部には、呼出しがあったことを認識可能とする表示がされるとともに、所在区域特定部によって特定される所在区域を知らせる表示がされる。すなわち、表示部には、予め設定されている複数の区域の中から、現在呼出端末が存在している(呼出端末のユーザーが滞在している)所在区域を示す情報が表示されるようになっている。このため、各区域を受信端末のユーザーにとって分かりやすいように予め定義しておくことで、どこから呼出しがあったのかを受信端末から確認することが容易となる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、
前記区域情報記憶部に記憶される前記区域情報を設定可能なコンピュータを備え、
前記コンピュータは、
前記施設の地図を表示する地図表示部と、前記区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部と、を備え、
前記区域情報設定操作部を用いて実行される、前記地図表示部に表示される前記地図上における所定範囲を囲う操作に基づいて、前記複数の区域のうちの各区域の範囲を設定可能であることとしてもよい。
【0011】
また、本発明の区域情報設定方法は、
呼出信号と呼出端末の位置を特定可能とする位置信号とを送信可能な呼出端末と、
所定の施設内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報を記憶する区域情報記憶部と、
前記位置信号と前記区域情報とに基づいて、前記複数の区域の中から、前記呼出端末が存在している区域である所在区域を特定する処理を実行可能な所在区域特定部と、
表示部を有する受信端末と、
前記施設の地図を表示する地図表示部と、
前記区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部と、を備え、
前記表示部は、前記呼出端末が前記呼出信号と前記位置信号とを送信した場合に、前記呼出端末から呼出しがあったことを認識可能とする表示をするとともに、前記所在区域特定部によって特定される前記所在区域を知らせる表示をする呼出しシステムにおける区域情報設定方法であって、
前記区域情報設定操作部を用いて実行される、前記地図表示部に表示される前記地図上における所定範囲を囲う操作を検出するステップと、
前記所定範囲を、前記複数の区域のうちの所定区域の範囲として設定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、地図表示部に表示される地図上において所定範囲を囲うことで各区域の範囲を設定することが可能となるので、各区域の範囲を任意に設定することができる。また、各区域の範囲を設定する作業を感覚的に行うことが可能となるので作業が容易となる。
【0013】
また、本発明の前記構成において、
前記区域情報記憶部に記憶される前記区域情報を設定可能なコンピュータを備え、
前記コンピュータは、
前記施設の地図を表示する地図表示部と、前記区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部と、を備え、
前記区域情報設定操作部を用いて入力される座標情報であって、前記地図表示部に表示される前記地図に紐づけられた座標情報に基づいて、前記複数の区域のうちの各区域の範囲を設定可能であることとしてもよい。
【0014】
また、本発明の区域情報設定方法は、
呼出信号と呼出端末の位置を特定可能とする位置信号とを送信可能な呼出端末と、
所定の施設内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報を記憶する区域情報記憶部と、
前記位置信号と前記区域情報とに基づいて、前記複数の区域の中から、前記呼出端末が存在している区域である所在区域を特定する処理を実行可能な所在区域特定部と、
表示部を有する受信端末と、
前記施設の地図を表示する地図表示部と、
前記区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部と、を備え、
前記表示部は、前記呼出端末が前記呼出信号と前記位置信号とを送信した場合に、前記呼出端末から呼出しがあったことを認識可能とする表示をするとともに、前記所在区域特定部によって特定される前記所在区域を示す情報を表示する呼出しシステムにおける区域情報設定方法であって、
前記区域情報設定操作部を用いて実行される、前記地図表示部に表示される前記地図に紐づけられた座標情報の入力を受け付けるステップと、
入力された前記座標情報に基づいて、前記複数の区域のうちの所定区域の範囲を設定するステップと、を含むこととしてもよい。
【0015】
このような構成によれば、地図表示部に表示される地図上に紐付けられた座標情報を入力することで各区域の範囲を設定することが可能となるので、各区域の範囲を任意に設定することができる。また、各区域の範囲を座標によって指定することが可能となるので、各区域の範囲を細かく指定することが容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、どこから呼出しがあったのかを呼出しを受ける受信端末において容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る呼出しシステムを示す概略ブロック図である。
図2】同、呼出端末の外観を示す図であって(a)は正面図、(b)は背面図である。
図3】同、呼出しシステムが設置された施設の概略平面図である。
図4】同、位置情報の取得について説明するための図である。
図5】同、区域の一覧画面について説明するための図である。
図6】同、区域範囲設定画面について説明するための図である。
図7】同、受信端末を示す図であって(a)は正面図であって表示部の表示を説明するための図、(b)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、本発明を医療施設に適用した場合を例に説明するが、本発明は介護施設、工場、その他の施設にも適用することができる。
【0019】
図1は、本実施形態のシステム(呼出しシステム)10のブロック図である。システム10は、固定機(アンカー)12と、呼出端末(移動機)(タグ)14と、サーバ16と、発信機17と、受信端末18と、コンピュータ60と、を備えている。
【0020】
呼出端末14は、各患者が1台ずつ所有するようになっている。呼出端末14は、制御部(呼出端末制御部)20と、通信部(呼出端末通信部)22と、記憶部(呼出端末記憶部)24と、操作部26とを備えている。また、呼出端末14は、図2に示すように、筐体27と、操作部26としてのボタン26と、給電用の端子28とを備えている。呼出端末14は、筐体27の外面にボタン26と端子28としか現れないため、防水性能を容易に高めることができる。
なお、呼出端末14は、電子マネー取引ができる機能を有していてもよい。また、呼出端末14は、携帯可能な携帯端末であるとよいが、例えば、スマートフォンや、時計型、眼鏡型等のウェアラブル端末であってもよくカード型等であってもよい。
なお、以下では、呼出端末14を携行する人(患者)を第1ユーザーということとする。
【0021】
制御部20は、通信部22を介した信号の送受信を制御する。
【0022】
通信部22は、第1の帯域(UWB帯)を用いた信号の送受信と、第2の帯域(433MHz帯)を用いた信号の送受信とが可能となっている。具体的には、通信部22は、固定機12の通信部32から送られてくる第1の帯域の信号を受信可能であるとともに、固定機の通信部32に対して第1の帯域の信号および第2の帯域の信号を送信することができるようになっている。より具体的には、通信部22は、後述するUWB信号を固定機12から受信するようになっているとともに、後述するUWB信号、第1の呼出信号および第2の呼出信号を固定機12に対して送信するようになっている。
【0023】
ここで、第1の帯域とは、例えば、UWB通信において使用される帯域(UWB帯)であり、具体的には3.1GHz~10.6GHzや、3.4GHz~4.8GHz、7.25GHz~10.25GHz、22GHz~29GHz等の帯域が挙げられる。第1の帯域は、帯域幅が500MHz以上であればよく、1.5GHz以上の帯域幅を備えていてもよい。また、第1の帯域は、中心周波数が1GHz以上となっている。
【0024】
また、第2の帯域は、例えば433MHz帯であり、第1の帯域よりも低周波側の帯域となっている。第2の帯域は、第1の帯域よりも帯域幅が狭くなっている。また、第2の帯域は、中心周波数が1GHz未満となっている。なお、第2の帯域の中心周波数は500MHz未満としてもよい。
【0025】
操作部26は、第1ユーザーが他者を呼び出すための操作を受け付けるボタンとなっている。制御部20は、操作部26が押下操作されたことに基づき、呼出信号を生成し、当該呼出信号を通信部22を介して固定機12に送信するようになっている。ここで、呼出信号は、操作部26が操作されたことを示す信号であり、第1ユーザーが他者を呼んでいることを示す信号である。また、呼出信号は、各呼出端末14(各呼出端末14のユーザー)を識別可能な情報(識別情報)を含んでいる。
なお、当該識別情報は、呼出端末14の記憶部24に記憶しておくこととすればよい。また、当該識別情報は、呼出端末14の製造ID等であってもよい。また、当該識別情報と第1ユーザーとの対応関係(当該識別情報によって特定される第1ユーザーの名前等の第1ユーザーに関する情報)を、サーバ16の記憶部44に記憶しておいてもよい。
【0026】
また、制御部20は、呼出信号を2つの帯域を利用して送信する。具体的には、制御部20は、操作部26が押下されると、第1の呼出信号を第1の帯域を利用して前記通信部22から送信するとともに、第2の呼出信号を第2の帯域を利用して前記通信部22から送信する。換言すると、呼出信号には、第1の帯域を用いて送信される第1の呼出信号と、第2の帯域を用いて送信される第2の呼出信号とがある。
【0027】
固定機12は、制御部(固定機制御部)30と、通信部(固定機通信部)32とを備えている。
【0028】
通信部32は、第1の帯域(UWB帯)を用いた信号の送受信と、第2の帯域(433MHz帯)を用いた信号の送受信とが可能となっている。具体的には、通信部32は、呼出端末14の通信部22に対して第1の帯域の信号を送信可能であるとともに、呼出端末14の通信部22から第1の帯域の信号および第2の帯域の信号を受信することができるようになっている。より具体的には、通信部32は、後述するUWB信号を呼出端末14に送信するようになっているとともに、第1の呼出信号、第2の呼出信号および後述するUWB信号を呼出端末14から受信するようになっており、かつ、呼出信号および呼出端末14と固定機12との距離に関する情報をサーバ16に送信するようになっている。
【0029】
制御部30は、通信部32を介した信号の送受信を制御する。具体的には、制御部30は、通信部32が、呼出端末14から第1の呼出信号、第2の呼出信号または後述するUWB信号を受信すると、呼出信号または呼出端末14と固定機12との距離に関する情報をサーバ16に送信する。
【0030】
固定機12は、施設1内に複数設置される。施設1は、図3に示すように、複数の部屋2a~2dと、共用部3と、各部屋2a~2dおよび共用部3を繋ぐ通路4とを備えている。また、部屋2a~2dは、それぞれ居室5a~5dとトイレ6a~6dとを有している。また、各部屋2a~2dにおいて、居室5a~5dとトイレ6a~6dとの間には隔壁7が設けられている。また、部屋2a~2dの入り口(部屋2a~2dと通路4との間)およびトイレ6a~6dの入り口(居室5a~5dとトイレ6a~6dの間には、ドアが設けられている。
【0031】
各部屋2a~2dは、第1ユーザーが寝泊まりする病室となっており、各部屋2a~2dには、ベッドが設けられている。なお、トイレ6a~6dには風呂が付いていてもよい。また、共用部3は、各部屋2a~2dの第1ユーザーやそれ以外の人(医師や来院者等)が共用する空間となっている。なお、ここでは各部屋2a~2dは、1人の第1ユーザーが生活するようになっている。換言すると、各部屋2a~2dには、1人の第1ユーザーが対応付けられている。しかし、各部屋2a~2dに、複数の第1ユーザーが対応付けられていてもよい。
【0032】
固定機12は、各部屋2a~2dに1つずつ設けられている。具体的には、固定機12は、各部屋2a~2dの居室5a~5dに設けられており、トイレ6a~6dには設けられていない。すなわち、各部屋2a~2dは隔壁7によって区切られた複数の空間5a~5d,6a~6dを有するが、この複数の空間5a~5d,6a~6dには、固定機12が設けられた空間5a~5dと設けられていない空間6a~6dとがある。また、固定機12は、1つの通路4および共用部3に複数設けられている。
なお、本実施形態においては、固定機12は天井に設置されるものとするが、壁等に設置されてもよい。
【0033】
発信機17は、制御部(発信機制御部)100と、通信部(発信機通信部)102とを備えている。
【0034】
通信部102は、呼出端末14からの呼出しがあると、受信端末18が呼出しに関する表示(報知)をするために必要な情報を受信端末18に送信する。この点について詳しくは後述する。また、制御部100は、通信部102を介した信号の送受信を制御する。
【0035】
また、発信機17は、施設1内に複数設置される。なお、固定機12と発信機17とは、一体的に設けられていてもよく、固定機12が発信機17を兼ねていてもよい。
【0036】
受信端末18は、呼出端末14からの呼出しを受ける者(本実施形態においては、医師や看護師等)がそれぞれ1台ずつ所有するようになっている。受信端末18は、制御部(受信端末制御部)112と、通信部(受信端末通信部)114と、表示部(受信端末表示部)116とを備えている。また、受信端末18は、図7に示すように、筐体120と、給電用の端子122とを備えている。
なお、受信端末18は、電子マネー取引ができる機能を有していてもよい。また、受信端末18は、携帯可能な携帯端末であるとよいが、例えば、時計型、眼鏡型等のウェアラブル端末であってもよくカード型等であってもよい。また、汎用のスマートフォン等を受信端末18として用いてもよいが、本システム用の専用機器であることが好ましい。
なお、以下では、受信端末18を携行する人(医師、看護師等)を第2ユーザーということとする。
【0037】
サーバ16は、制御部(サーバ制御部)40と、通信部(サーバ通信部)42と、記憶部(サーバ記憶部)44とを備えている。通信部42は、複数の固定機12(通信部32)および複数の発信機17(通信部102)とネットワーク(インターネットまたはイントラネット)を介して接続されている。そして、通信部42は、ネットワークを介して通信部32から送られてくる呼出信号および呼出端末14と固定機12との距離に関する情報を受信可能となっている。また、通信部42は、ネットワークを介して通信部102に対して各種情報を送信可能となっている。
【0038】
制御部40は、通信部42を介した信号の送受信を制御する。また、制御部40は、固定機12から送られる信号に基づいて、呼出端末14の位置を検出する処理と、呼出端末14からの呼出しを検出する処理とを行う。具体的には、制御部40は、第1の呼出信号または第2の呼出信号を受信すると、呼出端末14から呼出しがあったことを検出する。
また、制御部40は、第1の呼出信号または第2の呼出信号を受信すると、呼出信号に含まれる識別情報に基づいて、どの呼出端末14(どの第1ユーザー)から呼出しがあったのかを特定する。また、制御部40は、複数の固定機12から送られた呼出端末14と固定機12との距離に関する情報に基づいて、呼出端末14の位置を特定し、当該位置を示す位置情報を作成する。
【0039】
ここで、UWBを用いた位置情報の取得(距離測定)の一例について説明する。なお、UWBを用いた位置情報の取得(距離測定)の手法は周知であるため、ここでの説明は簡潔なものとする。また、ここで説明する手法以外の手法を用いて位置情報の取得を行ってもよい。
【0040】
まず、図4に示すように、固定機12は、通信部32から呼出端末14の通信部22に対して、UWB信号を送信する。この送信をしたときの時刻を「T1」とする。なお、ここでUWB信号は、第1の帯域の周波数成分を持つ信号であってパルス信号である。換言すると、UWB信号は、第1の帯域を用いて送信される信号である。
【0041】
次いで、呼出端末14の通信部22は、固定機12から送信されたUWB信号を受信する。この受信をしたときの時刻を「T2」とする。
【0042】
次いで、呼出端末14は、通信部22がUWB信号を受信してから一定時間経過後に、受信したUWB信号に対する回答としてのUWB信号(位置信号)を、通信部22から固定機12の通信部32に対して送信する。この送信をした時の時刻を「T3」とする。
【0043】
次いで、固定機12の通信部32は、呼出端末14から送信されたUWB信号(位置信号)を受信する。この受信をしたときの時刻を「T4」とする。
【0044】
このとき、時刻T1~時刻T4までの間に呼出端末14が(ほとんど)移動していないとすると、固定機12から送信されたUWB信号が呼出端末14に届くまでの時間(T2-T1)と、呼出端末14から送信されたUWB信号が固定機12に届くまでの時間(T4-T3)とは、同じ時間「Td」となる。ここで、Td=((固定機12がUWB信号を送信してから呼出端末14からの回答を受信するまでの総時間)-(呼出端末14がUWB信号を受信してから回答を送信するまでに要する時間Ta))/2=((T4-T1)-(T3-T2))/2で表すことができる。また、UWB信号の伝搬速度を光の速度cとすると、固定機12と呼出端末14との距離dは、(d=Td×c)で表すことができる。したがって、Taを予め把握しておくか、あるいは計測して求めた上で、T1とT4と(T1からT4までの時間間隔)を計測すること等により、固定機12と呼出端末14との距離dを算出することができる。なお、距離dの算出は、固定機12の制御部30で行ってもよく、サーバ16の制御部40で行ってもよい。
【0045】
固定機12は、呼出端末14からUWB信号(位置信号)を受信すると、距離dに関する情報(距離dそのものの情報あるいは距離dを算出可能な情報)をサーバ16に送信する。そして、サーバ16は当該情報に基づいて呼出端末14の位置を算出する。具体的には、サーバ16には、呼出端末14との間でUWB信号のやり取りをした3個の固定機12から距離dに関する情報が送られ、サーバ16は、3個の固定機12から送信された距離dに関する情報に基づいて位置情報を算出する。すなわち、互いに異なる3点(固定機12が設けられた位置)それぞれと特定の呼出端末14との距離が分かれば当該特定の呼出端末14の位置が特定できるので、このような手法により呼出端末14の位置情報を得ることができる。
【0046】
なお、位置情報の算出に当たっては、必ずしも3個の固定機12と呼出端末14との距離を求める必要があるわけではない。例えば、2個の固定機12と呼出端末14との位置関係(固定機12と呼出端末14との距離および固定機12と呼出端末14との成す角度(固定機12から見てどの方向に呼出端末14があるか))に基づいて位置情報を算出することもできる。すなわち、少なくとも2個以上の固定機12と呼出端末14との位置関係を示す情報があれば、サーバ16は当該情報に基づいて呼出端末14の位置をある程度把握することができ、固定機12が3個以上であれば、呼出端末14の位置を正確に把握することができる。また、位置情報として欲しい情報が、単に固定機12から所定の範囲内に呼出端末14があるか(部屋2a~2d内に呼出端末14があるか等)という情報程度で良い場合には、1個の固定機12と呼出端末14との間で行われるUWB通信によって取得することもできる。
【0047】
また、固定機12と呼出端末14との距離dを算出する上で、必ずしも固定機12から呼出端末14へのUWB信号の送信と、呼出端末14から固定機12へのUWB信号の送信との両方が必要なわけではない。例えば、固定機12と呼出端末14との間で時刻の同期を取る等すれば、呼出端末14から固定機12にUWB信号(位置信号)を送信するだけで距離dを算出することができる。すなわち、呼出端末14から固定機12に送られるUWB信号は、呼出端末14と固定機12との距離dを算出し、呼出端末14の位置情報を得るために用いられる信号(位置信号)であるが、当該位置信号の発信は、必ずしも固定機12から呼出端末14へのUWB信号の送信に基づいて行われるものでなくてもよく、また、当該位置信号は、必ずしも固定機12から呼出端末14へ送られるUWB信号とともに位置情報の算出に使用されるものでなくてもよい。
【0048】
また、呼出端末14から固定機12に送られる、呼出端末14の位置情報を得るための位置信号は、当該位置信号自体が位置情報を有するものであってもよい。すなわち、例えば、呼出端末14がGPS機能等を有しており、当該GPS機能によって得られる位置情報がサーバ16に送信されるようになっていてもよい。ただし、前述のようにUWB信号等に基づいて位置情報を算出する構成の方が呼出端末14等の構成を簡潔にできる上、屋内においてより正確な位置情報を取得することが可能となる。
【0049】
また、サーバ16の記憶部(区域情報記憶部)44には、施設1内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報が登録されている。本実施形態のシステムでは、区域情報として、各区域を識別可能とする識別番号(区域番号)72、各区域の名称(区域名)74および各区域の範囲を示す情報等が登録されている。ここで、各区域の範囲を示す情報とは、施設1の全空間のうちの一部を構成する所定空間と、各区域との対応関係を示す情報となっている。換言すると、各区域の範囲を示す情報とは、呼出端末14から送信される位置信号に基づいて算出される位置情報によって示される地点(位置信号に基づいて特定される位置)と、当該地点が属する区域との対応関係を示す情報である。
【0050】
本実施形態のシステムにおいては、区域情報は、サーバ16に接続されるコンピュータ60(例えばパーソナルコンピュータ)から設定(登録)することが可能となっている。図1に示すように、コンピュータ60は、制御部62と、通信部64と、表示部66と、操作部68とを有している。
なお、サーバ16自体が、コンピュータ60の一部または全部を兼ねることとしてもよい。
【0051】
通信部64は、サーバ16の通信部42と例えばネットワーク(インターネットまたはイントラネット)を介して接続されている。そして、通信部64は、サーバの通信部42とデータの送受信をすることが可能となっている。
【0052】
制御部62は、通信部64を介した信号の送受信を制御する。また、制御部62は、操作部68に対する操作や、通信部64が受信する信号等に基づいて各種の演算を行い、演算結果に基づいて、通信部64から信号を送信したり、表示部66に所定の表示をさせたりする。
【0053】
表示部66は、例えば、液晶ディスプレイ等であってもよい。また、操作部68は、例えば、マウスやキーボード、あるいはタッチパネル等であってもよい。
【0054】
区域情報の設定方法について図5および図6を参照しながら説明する。図5図6は、区域情報の設定に係る表示部66の表示画面を示す図である。
【0055】
区域情報の設定に際しては、まず表示部66には、初期画面としての一覧画面70が表示される。図5に示すように、一覧画面70は、現在登録されている各区域の一覧を表示する画面である。具体的には、一覧画面70には、各区域の識別番号72や各区域の区域名74等が一覧で表示される。なお、当該一覧画面70の表示は、サーバ16の記憶部(区域情報記憶部)44に記憶された区域情報に基づいて実行される。
【0056】
一覧画面70に表示される区域は、一覧画面70に表示される追加ボタン80の押下に基づいて表示される登録画面(図示せず)において、各区域についての各種情報(例えば、区域名74等)を入力することで新たに追加することが可能となっている。また、一覧画面70に表示される各区域についての各種情報は、一覧画面70に表示される編集ボタン82の押下に基づいて表示される編集画面(図示せず)において、各区域についての各種情報を入力することで、修正あるいは追加することが可能となっている。
【0057】
また、一覧画面70に表示される各区域の範囲は、一覧画面70に表示される区域範囲設定ボタン84の操作に基づいて表示される区域範囲設定画面86において、範囲を指定することで設定することが可能となっている。具体的には、まず、操作部68に対する操作によって、表示部66に表示されている一覧画面70の区域範囲設定ボタン84が選択されると、表示部66は、図6に示す区域範囲設定画面86を表示する。
【0058】
区域範囲設定画面86には、施設1の地図(平面図)が表示される。なお、区域範囲設定画面86に表示される地図は、施設1の所定の範囲毎(例えば、棟や階毎)に分けて複数用意されており、各地図を選択して表示させることが可能となっていてもよい。区域範囲設定画面86の表示中においては、コンピュータ60は、操作部68に対する操作であって、地図上に図形90を描く操作を受け付けるようになっている。すなわち、区域範囲設定画面86の表示中においては、操作部68を操作して、地図上に図形90を描くことが可能となっている。当該図形90は、例えば、多角形であるが、地図上の所定範囲を囲う図形であればよく、円形等であってもよい。そして、地図上の図形90によって囲われる範囲が、各区域の範囲として設定(定義)されるようになっている。本実施形態のシステムにおいては、例えば、操作部68としてのマウスで、多角形の各頂点91を順次指定していくことで、図形90を描くことができるようになっている。また、図形90の各頂点91をドラッグして動かしたりすることで、図形90を変形させたりすることが可能となっている。また、本実施形態のシステムにおいては、例えば、操作部68としてのキーボードで、図形90の頂点91の座標情報(座標の数値)92を直接入力することも可能となっており、座標情報の直接入力に基づいて当該図形を描くことも可能となっている。すなわち、区域範囲設定画面86に表示される地図には所定の座標系が設定されており、地図上の各点は当該座標系における座標で示すことが可能となっている。また、本実施形態のシステムでは、地図上に描かれた図形90の各頂点91に対応する位置に、各頂点91の座標情報92が表示されるようになっている。
なお、図6においては、図形90を破線で示しているが、図形90は、目立つ色(例えば、赤色や橙色等の地図に使用されていない色)の実線等で描かれるようになっていてもよい。
【0059】
区域範囲設定画面86において、地図上の所定範囲を選択する処理が完了すると、選択された範囲が、区域の範囲として設定(定義)されるようになっている。換言すると、区域範囲設定画面86において、地図上の所定範囲を囲う図形が描かれ、当該図形が確定されると(例えば、区域範囲設定画面86に表示される登録ボタン(図示せず)が押下されると)当該図形によって囲われた範囲が、区域の範囲として設定(定義)されるようになっている。
【0060】
コンピュータ60において入力された各区域の範囲についての情報を含む各区域についての情報は、サーバ16に送信され、区域情報として記憶部(区域情報記憶部)44に記憶されるようになっている。
【0061】
以上から明らかなように、本実施形態においては、コンピュータ60(制御部62)は、操作部(区域情報設定操作部)68を用いて実行される、表示部(地図表示部)66に表示される地図上における所定範囲を囲う操作を検出する処理を実行するようになっており、サーバ16(記憶部44)は、当該所定範囲を、所定区域の範囲として記憶する処理を実行するようになっている。また、コンピュータ60(制御部62)は、操作部(区域情報設定操作部)68を用いて実行される、表示部(地図表示部)66に表示される地図に紐づけられた座標情報の入力を受け付ける処理を実行するようになっており、サーバ16(記憶部44)は、入力された座標情報によって指定される地図上における所定範囲を、所定区域の範囲として記憶する処理を実行するようになっている。
【0062】
サーバ16の制御部40は、固定機12から送られた呼出端末14と固定機12との距離に関する情報に基づいて、呼出端末14の位置を特定し、当該位置を示す位置情報を作成すると、当該位置情報と記憶部44に記憶された区域情報とに基づいて、複数の区域の中から呼出端末14が存在している区域である所在区域を特定する。すなわち、サーバ16は、位置信号と区域情報とに基づいて、複数の区域の中から、呼出端末14が存在している区域である所在区域を特定する処理を実行する所在区域特定部として機能するようになっている。
【0063】
具体的には、サーバ16(所在区域特定部)は、固定機12から送られた呼出端末14と固定機12との距離に関する情報に基づいて、位置情報を作成すると、記憶部44に記憶されている区域情報に基づいて、当該位置情報によって示される位置が属する区域を特定する。また、サーバ16(所在区域特定部)は、特定した区域の区域名74を抽出する。
【0064】
続いて、呼出端末14から行う呼出しについて説明する。
まず、呼出端末14は、操作部26が操作されると、通信部22から固定機12の通信部32に対して、呼出信号を送信する。具体的には、呼出端末14は、第1の呼出信号を第1の帯域を用いて送信するとともに、第2の呼出信号を第2の帯域を用いて送信する。
【0065】
次いで、固定機12の通信部22は、呼出端末14から送信された第1の呼出信号および/または第2の呼出信号をそれぞれ受信する。次いで、固定機12は、受信した呼出信号をサーバ16に送信する。ここで、固定機12は、第1の呼出信号と第2の呼出信号とのうち一方のみを受信する可能性がある。すなわち、例えば部屋2cのトイレ6c内において第1ユーザーが操作部26を押下した場合、第1ユーザー(呼出端末14)と居室5c内の固定機12との間には、隔壁7が存在するため、第1の帯域を用いて送信される第1の呼出信号は、隔壁7に遮られて固定機12に届かないおそれがある(図3参照)。しかし、このような場合であっても、本実施形態の呼出しシステムでは、第2の呼出信号が第2の帯域を用いて送られるので、第2の呼出信号は固定機12に届くこととなる。したがって、固定機12は、サーバ16に対し、第1の呼出信号または第2の呼出信号の少なくとも一方を送信することができる。なお、固定機12が第1の呼出信号と第2の呼出信号とを受信した場合に、両信号をそれぞれサーバ16に送信することとしなくてもよく、例えば、どちらかの呼出信号を受信した旨を送信するようにする等としてもよい。
【0066】
サーバ16は、固定機12から呼出信号を受信すると、この受信した呼出信号に基づいて呼出端末14からの呼出しを検出する。また、サーバ16は、固定機12から呼出信号を受信すると、固定機12から送信される距離dに関する情報に基づいて呼出端末14の現在の位置を示す位置情報を作成し、所在区域を特定する。また、サーバ16は、呼出信号に含まれる識別情報に基づいて、呼出しをした呼出端末14(第1ユーザー)を特定する。そして、サーバ16は、呼出端末14からの呼出しの検出、呼出しをした呼出端末14(第1ユーザー)の特定および呼出端末14の所在区域の特定を行うと、呼び出しがあったこと、特定された第1ユーザーおよび所在区域についての情報を、発信機17を介して受信端末18に送信する。
【0067】
受信端末18の制御部112は、これらの情報を受け取ると、すなわち呼出端末14からの呼出しがあると(呼出端末14が呼出信号と位置信号とを送信すると)、呼出しがあった旨を報知する処理を行う。具体的には、図7に示すように、制御部112は、表示部116に、「緊急コール」という文字を表示させ、呼出しがあったことを報知するとともに、所在区域特定部としてのサーバ16で特定された所在区域を示す文字(図7においては、「3階3022号室」)を表示させる。また、制御部112は、表示部116に、第1ユーザーの名前や、呼出しがあった時刻を表示させる。なお、表示部116に表示される呼出があった時刻は、呼出端末14、サーバ16、受信端末18、固定機12および発信機17のいずれで取得されてもよい。
なお、受信端末18は、スピーカまたはバイブレーション機能等を有していてもよく、呼出端末14からの呼出しがあった際に、音(アラーム)や振動によって、呼出しがあった旨を報知するようになっていてもよい。
【0068】
本実施形態のシステムは、サーバ16と、所定の位置に設けられ、サーバ16と通信可能な複数の固定機12と、固定機12と通信可能な呼出端末14と、を備え、呼出端末14は、固定機12に対して、第1の帯域を用いて第1の呼出信号とUWB信号(位置信号)とを送信可能であるとともに、第1の帯域よりも低周波側の第2の帯域を用いて第2の呼出信号を送信可能であり、サーバ16は、固定機12が受信するUWB信号に基づいて呼出端末14の位置を特定可能であるとともに、固定機12が受信する第1の呼出信号または第2の呼出信号に基づいて呼出端末14から呼出しがあったことを認識可能である。したがって、高周波側の第1の帯域(UWB帯)を用いて送信される位置信号に基づいて呼出端末14の位置を特定することができるので、呼出端末14の位置を正確に特定することができる。また、固定機12は、高周波側の第1の帯域を用いて送信される第1の呼出信号を受信できない場合であっても、低周波側の第2の帯域(433MHz帯)を用いて送信される第2の呼出信号を受信することができるので、サーバ16は、第2の呼出信号に基づいて呼出端末14から呼出しがあったことを認識できる。ここで、第1の帯域の中心周波数が1GHz以上であることから取得される位置情報の精度が高く、第2の帯域の中心周波数が1GHz未満であることから呼出信号の送信における隔壁7の影響を軽減できる。
【0069】
また、固定機12は施設1内に設けられ、施設1は部屋2a~2dを有し、部屋2a~2dは、隔壁7によって区切られた複数の空間5a~5d,6a~6dを有し、固定機12は、部屋2a~2dの内側に1個設けられるとともに、部屋2a~2dの外側に複数個設けられる。したがって、部屋2a~2dの外側では、呼出端末14から送信されるUWB信号(位置信号)を複数の固定機12によって受信し、呼出端末14の位置を正確に特定することができる。また、本実施形態のシステム10によれば、部屋2a~2dの外側に設けられた複数個の固定機12と、部屋2a~2dの内側に設けられた1個の固定機12とによって、部屋2a~2dの内側にいるか外側にいるかを把握することができる。また、部屋2a~2dの内側に設ける固定機12を少なくすることで、固定機12の設置コストを低減することができる。また、部屋2a~2dは、隔壁7によって区切られた複数の空間を有するので、呼出端末14から固定機12に送られる第1の帯域の信号が、隔壁7によって妨げられてしまうこともあり得るが、本実施形態のシステム10によれば、隔壁7の影響を受けにくい低周波側の第2の帯域を用いて第2の呼出信号が送られるので、呼出端末14と固定機12との間に隔壁7がある場合でも、呼出しを行うことができる。
【0070】
なお、サーバ16は、複数の固定機12から送られる情報に基づいて呼出端末14の位置を検出した場合に、当該位置を示す位置情報を記憶部44に記憶することとしてもよい。また、この場合に、今回取得した位置情報とともに過去の位置情報も記憶部44に記憶するとともに、各位置情報に関連付けて位置情報を取得した時間を記憶しておくこととしてもよい。このようにすることで、呼出端末14の移動経路等に関する情報を取得することが可能となる。
また、位置情報の取得は、呼出端末14から呼出信号が発せられたとき(操作部26が操作されたとき)に行うこととしてもよく、所定の間隔(例えば数秒おきや数分おき)で行うこととしてもよい。すなわち、サーバ16が、呼出端末14から呼出しがあった旨の報知をする際に報知する所在区域(位置情報)は、操作部26の操作に基づいて取得されるものであってもよく、所定の間隔で取得されているものであってもよい。
【0071】
また、本実施形態のシステムは、呼出信号と呼出端末14の位置を特定可能とする位置信号とを送信可能な呼出端末14と、施設1内の空間を複数の区域に区分けした各区域についての区域情報を記憶する区域情報記憶部44と、位置信号と区域情報とに基づいて、複数の区域の中から、呼出端末14が存在している区域である所在区域を特定する処理を実行可能な所在区域特定部16と、表示部116を有する受信端末18と、を備え、表示部116は、呼出端末14が呼出信号と位置信号とを送信した場合に、呼出端末14から呼出しがあったことを認識可能とする表示をするとともに、所在区域特定部16によって特定される所在区域を知らせる表示をする。したがって、呼出端末14から呼出信号と位置信号とが送信された際に、受信端末18の表示部116には、呼出しがあったことを認識可能とする表示がされるとともに、所在区域特定部16によって特定される所在区域を知らせる表示がされる。すなわち、表示部116には、予め設定されている複数の区域の中から、現在呼出端末が存在している(呼出端末のユーザーが滞在している)所在区域を示す情報が表示されるようになっている。このため、どこから呼出しがあったのかを受信端末から確認することが容易となる。
なお、各区域の範囲は、任意に設定することが可能であるが、例えば部屋毎に区域を設定することで第1ユーザーがどの部屋にいるのか特定することが可能となる。また、例えば共用部3が食堂の場合に、食堂の各テーブルを囲う所定範囲毎に区域を設定することで、第1ユーザーがどのテーブルに座っているか(どのテーブルの付近にいるか)を特定することが可能となる。また、例えば通路4が複数の区域に分割されるように各区域を設定することで、第1ユーザーが通路4のどの部分にいるのかを特定することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態のシステムは、区域情報記憶部44に記憶される区域情報を設定可能なコンピュータ60を備え、コンピュータ60は、施設1の地図を表示する地図表示部66と、区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部68と、を備え、区域情報設定操作部68を用いて実行される、地図表示部66に表示される地図上における所定範囲を囲う操作に基づいて、各区域の範囲を設定可能となっている。また、本実施形態の区域情報設定方法は、区域情報設定操作部68を用いて実行される、地図表示部66に表示される地図上における所定範囲を囲う操作を検出するステップと、当該所定範囲を、所定区域の範囲として設定するステップと、を含んでいる。したがって、地図表示部66に表示される地図上において所定範囲を囲うことで各区域の範囲を設定することが可能となるので、各区域の範囲を任意に設定することができる。また、各区域の範囲を設定する作業を感覚的に行うことが可能となるので作業が容易となる。
【0073】
また、本実施形態のシステムは、区域情報記憶部44に記憶される区域情報を設定可能なコンピュータ60を備え、コンピュータ60は、施設1の地図を表示する地図表示部66と、区域情報を設定するための操作を受け付ける区域情報設定操作部68と、を備え、区域情報設定操作部68を用いて入力される座標情報であって、地図表示部66に表示される地図に紐づけられた座標情報に基づいて、各区域の範囲を設定可能となっている。また、本実施形態の区域情報設定方法は、区域情報設定操作部68を用いて実行される、地図表示部66に表示される地図に紐づけられた座標情報の入力を受け付けるステップと、入力された座標情報に基づいて、所定区域の範囲を設定するステップと、を含んでいる。したがって、地図表示部66に表示される地図上に紐付けられた座標情報を入力することで各区域の範囲を設定することが可能となるので、各区域の範囲を任意に設定することができる。また、各区域の範囲を座標によって指定することが可能となるので、各区域の範囲を細かく指定することが容易となる。
【0074】
なお、前述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を置換、削除する等、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
14 呼出端末
16 サーバ(所在区域特定部)
18 受信端末
44 記憶部(区域情報記憶部)
60 コンピュータ
66 表示部(地図表示部)
68 操作部(区域情報設定操作部)
116 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7