(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】透湿防水性布帛
(51)【国際特許分類】
B32B 27/12 20060101AFI20230823BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20230823BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20230823BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20230823BHJP
C08G 18/66 20060101ALI20230823BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20230823BHJP
D06M 15/564 20060101ALI20230823BHJP
D06M 11/76 20060101ALI20230823BHJP
D06M 23/08 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B32B27/12
C08G18/48 033
C08G18/75 010
C08G18/08 038
C08G18/66 074
B32B27/40
D06M15/564
D06M11/76
D06M23/08
(21)【出願番号】P 2022117383
(22)【出願日】2022-07-22
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】392017624
【氏名又は名称】テックワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【氏名又は名称】宇高 克己
(72)【発明者】
【氏名】北野 高広
(72)【発明者】
【氏名】中島 庸介
(72)【発明者】
【氏名】浅野 明
(72)【発明者】
【氏名】板井 仁志
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-221626(JP,A)
【文献】特表2015-502986(JP,A)
【文献】特開2020-022759(JP,A)
【文献】特開2010-030289(JP,A)
【文献】特開2008-081877(JP,A)
【文献】特開昭58-222840(JP,A)
【文献】特開2022-028523(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101858039(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0122064(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0018787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
D06M 10/00 - 11/84
D06M 16/00
D06M 19/00 - 23/18
C08G 18/48
C08G 18/75
C08G 18/08
C08G 18/66
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透湿防水層と布帛との積層体であ
り、JIS L 1099(B-1法)に準拠した測定での透湿性が20000g/m
2
24hrs以上で、20回洗濯を行った後の積層体を用いて、JIS L 1092(B法)に準拠した測定での耐水圧が10000mmH
2
O以上である透湿防水性布帛であって、
前記透湿防水層を構成する樹脂には、ポリエチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとが少なくとも用いられて構成されたポリウレタン樹脂が用いられ
てなり、
前記ポリウレタン樹脂におけるポリエチレングリコール由来の成分の重量比が30~80wt%で、ポリウレタン樹脂に用いられた全イソシアネート由来の成分に対するイソホロンジイソシアネート由来の成分のモル比率が80~100mol%であり、
前記樹脂中には
未焼成貝殻粉末が含有されてな
り、
前記粉末は、前記透湿防水層100質量部に対して、30~50質量部である
透湿防水性布帛。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂は、ポリエチレングリコールと1,4-ブタンジオールとイソホロンジイソシアネートとが少なくとも用いられて構成されたポリウレタン樹脂である
請求項1の透湿防水性布帛。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂は、前記透湿防水層100質量部に対して、50~70質量部である
請求項1の透湿防水性布帛。
【請求項4】
前記粉末は平均粒径が2~9μmである
請求項1の透湿防水性布帛。
【請求項5】
前記透湿防水層と前記布帛との間には接着層が設けられている
請求項1の透湿防水性布帛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアウトドア用衣類などに好適な透湿防水層と布帛との積層体である透湿防水性布帛に関する。
【背景技術】
【0002】
透湿防水性布帛が提案されている。
【0003】
例えば、ポリウレタン樹脂主体の合成重合体よりなる無孔の膜であって、該膜中にセルロースアセテート、親水性高分子、可塑剤のうちの少なくとも一つの化合物を含有してなる透湿性防水膜と、繊維布帛とが、ポリウレタン系接着剤によりラミネートされている透湿性防水布帛が提案(特開昭63-230337号公報:特許文献1)されている。この提案におけるポリウレタン樹脂は、両末端に水酸基を有するポリオールと有機ジイソシアネートとが用いられて構成されたものである。前記ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられている。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられている。ポリエステルポリオールとしては、ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール等)と二塩基酸(アジピン酸、セパチン酸、マレイン酸、テレフタル酸等)との重縮合物が挙げられている。前記有機ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられている。例えば、トリレン-2,4-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6-ヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられている。
【0004】
超微細粉末化した動植物非繊維材料を合成繊維、半合成繊維又は再生繊維の線状重合体或はこれら二種以上の線状重合体の混合からなる化学繊維素材の重合体と混練してなる非繊維粉体を混練した合成樹脂繊維及び合成樹脂シート素材が提案(特開平3-213506号公報:特許文献2)されている。この提案における合成樹脂繊維材料としては、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられている。動植物非繊維材料としては、植物材料(樹皮、樹葉、籾殻、麦藁、米藁、蕎殻、海藻、樹実等)、皮革、骨、角、歯、鱗、貝殻、真珠、珊瑚等が挙げられている。斯の公報の実施例にあっては、「実施例4 溶解したポリウレタン樹脂に2μmに粉末化した真珠パウダーを30%重量比添加し、充分に混練して均一に分散した混練組成物(素材)を調整する。この混練組成物をフィルム抽出機により厚さ150μmのシートとして排出する。」が記載されている。
【0005】
フッ素含有ポリウレタン樹脂の水混和性有機溶剤溶液とセルロース誘導体とよりなる混合液を繊維基材の少なくとも片面にコーティングし、次いで水中に浸漬して水混和性有機溶剤を抽出した後、乾燥することを特徴とする防水性、透湿性に優れたコーティング布帛の製造方法が提案(特開平6-2278号公報:特許文献3)されている。この提案におけるフッ素含有ポリウレタン系樹脂のウレタン構成成分としては、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン尿素樹脂と謂われるもので、分子量400~4000のポリアルキレンエーテルグリコール又は末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、ポリε-カプロラクトンポリオール、又はポリカーボネートジオール等の単独或いは混合物を有機ジイソシアネートと反応させて得られる。必要に応じて、2個の活性水素を有する化合物で鎖延長させて得られる。前記ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンプロピレンオキシド付加物、末端にエチレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール、ビニルモノマーグラフト化ポリエーテルポリオール等がある。ポリエステルポリオールとしては、アルキレングリコール類(エチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等)と、カルボン酸類(コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、トリメリット酸等)とを末端がヒドロキシル基となるように反応して与えられるものがある。有機イソシアネートとしては、2,4-トルイレンジイソシアネート、2,6-トルイレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系イソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5’-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族イソシアネート類が挙げられている。鎖延長剤としては、ヒドラジン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、水、ピペラジン、イソホロンジアミン、エチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられている。尚、特許文献3,1にあっては、特許文献2が提案の貝殻などについては触れる処が無い。斯の公報にあっては、「実施例1 両末端にヒドロキシル基を有する平均分子量3000のエチレンブチレンアジペート300部、エチレングリコール25部、水酸基とフルオロアルキル基とを分子内に有するアクリル樹脂24部を窒素気流下において均一混合し、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)125部を加え、DMF中で加熱反応させて、30%DMF溶液で100000cps/30℃の粘度のフッ素含有ポリウレタン樹脂溶液を得た。上記の水酸基とフルオロアルキル基とを分子内に有するアクリル樹脂は、メタクリル酸メチル236部、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名ビスコート17FM)60部、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル4.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部を懸濁重合することにより得たものである。このフッ素含有ポリウレタン樹脂溶液100部とセルロースアセテート(イーストマンコダック社製、CA-398-3)の20%DMF溶液25部を混和均一化し、更に多官能製ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、コロネートEH)1部、DMF10部を添加混合してコーティング液を調整した。一方、基材として6ナイロン繊維の毛織物(タフタ)にフッ素系撥水剤エマルジョンの1%水溶液でバッティング処理を行い、160℃にて1分間熱処理を行った。かくして撥水処理した基材上に上記で得たコーティング液をフローティングナイフコーターを用い、200g/m2(wet)塗布した後20℃の水浴中に1分間浸漬し樹脂分を凝固させた。その後50℃の温水中で10分間浸漬しDMFを充分に抽出した。続いて乾燥を行ったのち、フッ素系撥水剤エマルジョンの5%水溶液でバッティング処理を行い、160℃にて3分間の熱処理を行ってコーティング布帛を得た。」が記載され、又、「比較例2 両末端にヒドロキシル基を有する平均分子量3000のブチレンアジペート300部、エチレングリコール34部を窒素気流下にて均一混合し、MDI175部を加え、DMF中で加熱反応させて30%DMF溶液で150000cps/30℃のポリウレタン樹脂溶液を得た。この樹脂溶液100部に実施例1のセルロースアセテート溶液25部を混和均一化し、更にコロネートEH1部、DMF20部を添加混合してコーティング液を調整した。これを実施例1と同様の工程を経てコーティング布帛を得た。」「比較例3 比較例2で得たポリウレタン樹脂溶液のみを用い、この溶液100部にコロネートEH1部、DMF20部を添加混合してコーティング液を調整した。これを実施例1と同様の工程を経てコーティング布帛を得た。」が記載されている。そして、フッ素含有ポリウレタン樹脂が用いられなかった比較例2,3のコーティング布帛は耐水圧が悪い事が示されている。又、フッ素含有ポリウレタン樹脂が用いられた実施例のコーティング布帛は耐水圧が良く(洗濯試験前は10500,13500,8000であるのに対して、洗濯試験10回後にあっては7600,11200,5100(何れも単位はmm)、又、透湿度も高い(11000,12000,8500(何れも単位はg/m224hrs))。要するに、フッ素含有ポリウレタン樹脂を用いるのが大事と謂われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭63-230337号公報
【文献】特開平3-213506号公報
【文献】特開平6-2278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1にあっては、該発明の透湿防水性布帛の透湿度が3100~4800g/m224hrs、耐水圧が2000mm以上と記されている。
前記特許文献2にあっては、透湿度の具体的数値は記載されていない。しかも、耐水圧の記載は皆無である。
前記特許文献3にあっては、該発明の透湿防水性布帛の透湿度が8500~12000g/m224hrs、洗濯試験10回後の耐水圧が5100~11200mmと記されている。
【0008】
しかし、例えばアウトドア用途(スポーツ用途とか登山用途)にあっては、更なる透湿性や耐水圧の向上が求められている。
【0009】
従って、本発明が解決しようとする課題は、前記問題点を解決する事である。
第1には、透湿性に優れ、かつ、洗濯耐久性にも優れた透湿防水性布帛を提供することである。より好ましくは、例えば透湿性が20000g/m224hrs以上で、20回洗濯後の耐水圧が10000mmH2O以上の透湿防水性布帛を提供することである。
第2には、長期間ロール状態で保管しても融着が無く、保存安定性に優れた透湿防水性布帛を提供することである。
第3には、環境負荷が小さな透湿防水性布帛を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記特許文献1,2,3にあっては、透湿防水性層にはポリウレタン樹脂が用いられている事から、本発明者もポリウレタン樹脂を透湿防水性層に採用する事を考えた。
【0011】
しかし、上述の通り、前記特許文献1,2,3が提案のポリウレタン樹脂では満足できなかった事は明らかであった。
【0012】
さて、一口にポリウレタン樹脂と雖も、本発明者はポリウレタン樹脂の特徴によって性質も様々であろうと想像した。一口にポリウレタン樹脂と雖も様々な種類のポリウレタン樹脂が存在している。ポリウレタン樹脂はウレタン結合(-NR・CO・O-)を有する重合体である。ウレタン結合はイソシアネート基(-N=C=O)と水酸基(-OH)との付加重合により生成される。複数のイソシアネート基を持つ単量体(通常はジイソシアネート)と複数の水酸基を持つ単量体(ポリオール、通常はジオール)とにより構成される。ポリウレタンに用いられるイソシアネート(RNCO )には、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等が有る。その他にも、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5’-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族イソシアネート類や芳香族系イソシアネート類などが有る。勿論、これ等には限られない。無限と言っても良い程の数のジイソシアネートが現存している。ポリウレタンの製造には多数のポリオールが用いられている。ポリオールはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオールの3種に大別される。ポリエーテルポリオールは、塩基性触媒(水酸化カリウムなど)の存在下、多価アルコールやアミンなどを開始剤に、エポキシ基を持つエチレンオキシド(1,2-エポキシエタン、オキシラン)やプロピレンオキシド(1,2-エポキシプロパン)を付加重合(アニオン開環重合)させた樹脂である。開始剤に官能基数2のグリコールを用いた重合体は直線状になる。官能基数3以上の開始剤(グリセリンなど)を用いると、ヒドロキシル基を起点に、複数の重合が進行し、分枝状のポリオールが得られる。グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させたポリオキシプロピレントリオール((C3H6O)m(C3H6O)n(C3H6O)pC3H8O3 )は最も広く用いられるポリエーテルポリオールである。用いられる開始剤には,官能基数2のエチレングリコール(エタン-1,2-ジオール),プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール),官能基数3のグリセリン(プロパン-1,2,3-トリオール),トリエタノールアミン(2,2’,2”-ニトリロトリエタノール),官能基数4のペンタエリトリトール(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)1,3-プロパンジオール),エチレンジアミン(エタン-1,2-ジアミン)等が有る。ポリエステルポリオールはカルボン酸と多価アルコールとの脱水縮合で得られる。用いられるカルボン酸には、アジピン酸(HOOC-(CH2)4-COOH),フタル酸(C6H4(COOH)2)等、多価アルコールには、エチレングリコール(エタン-1,2-ジオール),1,4-ブタンジオール,1,6-ヘキサンジオール等が用いられる。ポリマーポリオールには、アクリル酸エステルとビニル化合物などを共重合したアクリル樹脂のアクリルポリオール、ビスフェノール形エポキシ樹脂をアミン変性またはアミノアルコール変性したエポキシポリオール、ブタジエンの重合体や、ブタジエンとアクリロニトリルやスチレンとの共重合体の末端に水酸基を有するポリオレフィン系ポリオール、クロロフルオロエチレン(例えばF2C=CFCl)とビニルエーテル類との交互共重合からなるふっ素含有ポリオール等が有る。勿論、これ等には限られない。無限と言っても良い程の数のジオールが現存している。従って、無限の数と言っても差し支えない程の数多くの種類のポリウレタン樹脂が現存している。
【0013】
そして、様々な実験を繰り返して行った結果、前記課題を解決する為のポリウレタン樹脂としては、ポリエチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとが用いられて構成されたものが最適である事が判って来た。
【0014】
上記知見を基にして本発明が達成された。
【0015】
すなわち、本発明は、
透湿防水層と布帛との積層体である透湿防水性布帛であって、
前記透湿防水層を構成する樹脂には、ポリエチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとが少なくとも用いられて構成されたポリウレタン樹脂が用いられ、
前記樹脂中には炭酸カルシウムを成分とする粉末が含有されてなる
透湿防水性布帛を提案する。
【0016】
上記透湿防水性布帛であって、好ましくは、前記ポリウレタン樹脂がポリエチレングリコールと1,4-ブタンジオールとイソホロンジイソシアネートとが少なくとも用いられて構成されたポリウレタン樹脂である透湿防水性布帛を提案する。
【0017】
上記透湿防水性布帛であって、好ましくは、前記ポリウレタン樹脂におけるポリエチレングリコール由来の成分の重量比が30~80wt%であり、ポリウレタン樹脂に用いられた全イソシアネート由来の成分に対するイソホロンジイソシアネート由来の成分のモル比率が80~100mol%である透湿防水性布帛を提案する。
【0018】
上記透湿防水性布帛であって、好ましくは、前記ポリウレタン樹脂は、前記透湿防水層100質量部に対して、50~70質量部である透湿防水性布帛を提案する。
【0019】
上記透湿防水性布帛であって、好ましくは、前記粉末は、前記透湿防水層100質量部に対して、30~50質量部である透湿防水性布帛を提案する。
【0020】
上記透湿防水性布帛であって、好ましくは、前記粉末は平均粒径が2~9μmである透湿防水性布帛を提案する。
【0021】
上記透湿防水性布帛であって、好ましくは、前記粉末は未焼成貝殻粉である透湿防水性布帛を提案する。
【0022】
上記透湿防水性布帛であって、好ましくは、透湿性が20000g/m224hrs以上で、20回洗濯後の耐水圧が10000mmH2O以上の透湿防水性布帛を提案する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の透湿防水性布帛は、透湿性に優れ、かつ、洗濯耐久性にも優れていた。本発明の透湿防水性布帛の透湿性は、例えば20000g/m224hrs以上であった。この値は前記特許文献1,2,3のものよりも遥かに優れている。場合によっては30000g/m224hrs以上、中でも40000g/m224hrs以上、更には45000g/m224hrs以上であった。本発明の透湿防水性布帛の20回洗濯後の耐水圧が、例えば10000mmH2O以上であった。この値は前記特許文献1,2,3のものよりも遥かに優れている。場合によっては15000mmH2O以上、中でも20000mmH2O以上であった。
【0024】
本発明の透湿防水性布帛は、長期間ロール状態で保管しても融着が無く、保存安定性に優れていた。
【0025】
本発明の透湿防水性布帛は環境負荷が小さかった。
【0026】
本発明の透湿防水性布帛は低コストで提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は透湿防水性布帛である。例えば、スポーツ用途とか登山用途などに用いられる透湿防水性布帛である。これ等は一般的にはアウトドア用途に用いられる透湿防水性布帛であると言っても差し支えないであろう。但し、此処で、アウトドア用途は、室内での卓球とかバトミントンに用いられる衣類などもアウトドア用途であると見做される。前記透湿防水性布帛は透湿防水層と布帛との積層体である。
【0028】
前記透湿防水層を構成する樹脂にはポリウレタン樹脂が用いられる。
【0029】
前記ポリウレタン樹脂は、ポリエチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとが用いられて構成されたポリウレタン樹脂である。例えば、イソホロンジイソシアネートが全く用いられなかったポリウレタン樹脂では本発明の特長を到底に奏する事ができなかった。又、ポリエチレングリコールが全く用いられなかったポリウレタン樹脂では本発明の特長を到底に奏する事ができなかった。要するに、無限と言っても良い程の数多くのジオール類からポリエチレングリコールが特別に選択され、又、無限と言っても良い程の数多くのイソシアネート類からイソホロンジイソシアネートが特別に選択され、これ等の両者の組み合わせによるポリウレタン樹脂である事が大事であった。
【0030】
ジオール類としてポリエチレングリコールが用いられるのが大事であったが、ポリエチレングリコールと1,4-ブタンジオールとの併用は更に好ましかった。すなわち、ポリエチレングリコールと1,4-ブタンジオールとの併用によって、洗濯後耐水圧が向上したからである。ポリエチレングリコールと1,4-ブタンジオールとの好ましい割合は、前者100質量部に対して後者が4~65質量部であった。
【0031】
本発明の特長を損なわない範囲で、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸等の多塩基酸とビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールとを脱水縮合して得られるポリエステルポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの水酸基含有化合物と、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネートなどとの脱アルコール反応により得られるポリカーボネートポリオール、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トリレンジイソシアネートなど、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート等のジイソシアネート、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びこれらの混合物を含むポリウレタン樹脂が併用されても差し支えない。又、本発明の特長を損なわない範囲で、ポリウレタン樹脂以外の樹脂が用いられても差し支えない。
【0032】
前記樹脂中には炭酸カルシウムを成分(例えば、主成分)とする粉末が含有されている。
【0033】
前記ポリウレタン樹脂におけるポリエチレングリコール由来の成分の重量比は、好ましくは、30~80wt%であった。ポリエチレングリコール成分が30wt%より低くなった場合には、透湿性が低下する傾向が認められたからである。より好ましくは40wt%以上、更に好ましくは50wt%以上であった。80wt%を越えて多くなった場合には、保存安定性が低下する傾向が認められたからである。より好ましくは80wt%未満であった。前記ポリエチレングリコールの分子量に特別な制限はない。但し、ポリエチレングリコールの分子量(数平均分子量)は、好ましくは、300~4000であった。より好ましくは500以上であった。より好ましくは2000以下であった。分子量はゲル浸透クロマトグラフィー等によって測定できる。ポリウレタン樹脂に用いられた全イソシアネート由来の成分に対するイソホロンジイソシアネート由来の成分のモル比率は、好ましくは、80~100mol%であった。イソホロンジイソシアネート由来の成分が80mol%未満の場合は洗濯後の耐水圧が低下する傾向が認められたからである。
【0034】
前記透湿防水層における前記ポリウレタン樹脂は、好ましくは、50~70質量%であった。前記ポリウレタン樹脂が50質量%より少なくなった場合には、洗濯後の耐水圧が低下する傾向が認められたからである。70質量%を越えて多くなった場合には、保存安定性が低下する傾向が認められたからである。相対的に環境負荷が上がる。
【0035】
前記透湿防水層における前記粉末は、好ましくは、30~50質量%であった。30質量%未満の少なすぎた場合には、保存安定性が低下する傾向が認められたからである。相対的に環境負荷が上がる。50質量%を越えて多すぎた場合には、洗濯後耐水圧が低下する傾向が認められたからである。
【0036】
前記粉末は、好ましくは、平均粒径が2~9μmであった。平均粒径はレーザー回折・散乱式で求める事ができる。平均粒径が2μmより小さな場合は保存安定性が低下する傾向が認められたからである。9μmを越えて大きくなり過ぎた場合には、洗濯後耐水圧が低下する傾向が認められたからである。
【0037】
前記粉末は、好ましくは、未焼成貝殻粉であった。前記貝殻としては、例えばカキ、赤貝、ホタテ等の貝殻が挙げられる。特に好ましくはホタテ貝の貝殻であった。その理由は透湿性に特に優れていたからである。
【0038】
本発明の透湿防水性布帛は、好ましくは、透湿性が20000g/m224hrsであった。より好ましくは30000g/m224hrs以上、更に好ましくは40000g/m224hrs以上、特に好ましくは43000g/m224hrs以上であった。
【0039】
本発明の透湿防水性布帛は、好ましくは、20回洗濯後の耐水圧が10000mmH2O以上であった。より好ましくは15000mmH2O以上、更に好ましくは20000mmH2O以上であった。
【0040】
本発明に用いられる布帛(特に、繊維布帛)には、天然繊維、再生繊維、合成繊維の何れが用いられたものでも良い。例えば、綿、麻、レーヨン等のセルロース系繊維、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の合成繊維の如何なるものでも良い。例えば、ポリエステル、ポリアミドは好ましい。ナイロンが特に好ましい。布帛の組織は織物、編物、不織布の何れでも良い。織物や編み物は特に好ましい。
【0041】
本発明の透湿防水性布帛が透湿防水層と布帛とで構成(透湿防水層と布帛との二層積層構成)される場合は、布帛に、直接、透湿防水層を積層する事で得られる。この場合、透湿防水層は、布帛を構成する繊維間に入り込む為、均一な層形成は困難である。多少の凹凸は有れども、透湿防水層の厚さは、概ね、0.1~5μmであった。好ましくは、0.5~3μmであった。
【0042】
本発明の透湿防水性布帛が透湿防水層と接着層と布帛とで構成(透湿防水層と接着層と布帛との三層(中間層が接着層)積層構成)される場合は、一旦、透湿防水層をフィルム状に作製し、ロール状に巻き取る。この巻き取られたフィルム状帯(透湿防水層)と布帛とを接着層を介して貼り合わせる事で得られる。接着方法は接着層となる樹脂の溶液または分散液を透湿防水層または布帛に塗工し、乾燥後貼り合わせる方法や、ホットメルト樹脂を用いて接着する方法が挙げられる。斯の三層積層構成の場合、透湿防水層の厚さは、好ましくは、3~30μmであった。更に好ましくは5~15μmであった。前記接着層の厚さは、好ましくは、1~10μmであった。更に好ましくは2~6μmであった。
【0043】
本発明の透湿防水性布帛を上記二層構成とするか三層構成とするかは、用途に合わせて、適宜、選択される。例えば、雪の上や濡れた場所に座ることが想定されるパンツなどの場合は高い耐水圧が好ましいから、透湿防水層/接着層/布帛の三層構成が好ましい。これに対して、レインコートの上着などの如く、軽量が求められる場合は、透湿防水層/布帛の二層構成が好ましい。
【0044】
本発明の透湿防水層には、本発明の特長を損なわない範囲で、顔料、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などが含有されていても差し支えない。
【0045】
以下、具体的な実施例が挙げられる。但し、本発明は以下の実施例にのみ限定されない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例や応用例も本発明に含まれる。
【0046】
[ポリウレタン樹脂]
下記表-1,2,3に示されるジオールとジイソシアネートとが用いられてポリウレタン樹脂含有ジメチルホルムアミド溶液が得られた。
表-1
No. PEG2000 PEG4000 14BD IPDI MDI
1 23.9 0 1.0 5.1 0
2 23.8 0 1.0 4.1 1.1
3 9.5 0 5.6 14.9 0
4 15.7 0 3.6 10.7 0
5 27.0 0 0 3.0 0
6 0 28.4 0 1.6 0
表-2
No. PEG2000 14BD MDI TDI HDI XD1 H6XDI NDI NBDI IPDI
7 16.2 3.1 10.7 0 0 0 0 0 0 0
8 14.1 5.2 0 10.7 0 0 0 0 0 0
9 14.2 5.1 0 0 10.7 0 0 0 0 0
10 14.8 4.5 0 0 0 10.7 0 0 0 0
11 15.0 4.3 0 0 0 0 10.7 0 0 0
12 15.4 3.9 0 0 0 0 0 10.7 0 0
13 14.5 4.8 0 0 0 0 0 0 10.7 0
表-3
No. PPG2000 14BD PTMG IPDI
14 27.0 0 0 3.0
15 0 8.6 0 21.4
16 0 0 27.0 3.0
*PEG2000:ポリエチレングリコール(分子量2000)
*PEG4000:ポリエチレングリコール(分子量4000)
*14BD:1,4-ブタンジオール
*PPG2000:ポリプロピレングリコール(分子量2000)
*PTMG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量2000)
*表-1~3のNo.1~16における配合割合の数値の単位はg
【0047】
得られたNo.1~16のポリウレタン樹脂におけるポリエチレングリコール由来の成分の重量比(wt%)と、No.1~16のポリウレタン樹脂に用いられた全イソシアネート由来の成分に対するIPDI由来の成分のモル比率(mol%)が表-4に示される。
表-4
No. ポリエチレングリコール由来成分重量比 IPDI由来成分モル比率
1 79.7 100
2 79.3 80.8
3 31.7 100
4 52.3 100
5 90 100
6 95 100
7 54.0 0
8 47.0 0
9 47.3 0
10 49.3 0
11 50.0 0
12 51.3 0
13 48.3 0
14 0 100
15 0 100
16 0 100
【0048】
[実施例および比較例]
上記No.1~16のポリウレタン樹脂と無機粉末(未焼成貝殻粉またはガラス粒子)とが表-5の割合で配合された。
表-5
No. ポリウレタン 無機粉末
1a No.1:69 貝殻粉1:31
1b No.1:69 貝殻粉2:31
1c No.1:69 ガラス粉:31
2 No.2:69 貝殻粉1:31
3 No.3:69 貝殻粉1:31
4a No.4:69 貝殻粉2:31
4b No.4:51 貝殻粉1:49
5 No.5:69 貝殻粉1:31
6 No.6:69 貝殻粉1:31
7 No.7:69 貝殻粉1:31
8 No.8:69 貝殻粉1:31
9 No.9:69 貝殻粉1:31
10 No.10:69 貝殻粉1:31
11 No.11:69 貝殻粉1:31
12 No.12:69 貝殻粉1:31
13 No.13:69 貝殻粉1:31
14 No.14:69 貝殻粉1:31
15 No.15:69 貝殻粉1:31
16 No.16:69 貝殻粉1:31
*貝殻粉1:未焼成ホタテ貝殻粉(平均粒径が3μm)
*貝殻粉2:未焼成ホタテ貝殻粉(平均粒径が8μm)
*ガラス粉:ガラス粉(平均粒径が6μm)
*No.1におけるポリウレタンの欄の「No.1:69」は「No.1のポリウレタン樹脂の固形分質量が69質量部」で、無機粉末の欄の「貝殻粉1:31」は「未焼成ホタテ貝殻粉1が31質量部」を意味する。その他にあっても同様である。
【0049】
上記No.1a,1b,1c,2,3,4a,4b,5~16の配合のポリウレタン樹脂溶液を、ポリプロピレンからなる離型層を有する離型紙上に乾燥後の膜厚が15μmになるように塗工した。80℃で5分間乾燥して冷却した後、離型紙から剥離し、透湿防水層を得た。得られた透湿防水層を、撥水処理を施した太さ20デニールのナイロン平織の織物上に湿気硬化型ホットメルトウレタン樹脂を介して貼り合わせた。湿度80%,80℃で6時間反応させた後、冷却し、透湿防水層/接着層/繊維布帛の構成の積層体を得た。
【0050】
又、上記No.4の配合のポリウレタン樹脂溶液(固形分が30wt%、70質量部)と上記貝殻粉1(10質量部)とメチルエチルケトン(80質量部)、トルエン(10質量部)とを混合し、撥水処理を施した太さ20デニールのナイロン平織の織物上に乾燥後の膜厚が3ミクロンになるように塗工した。120℃で5分間の乾燥が行われた。冷却され透湿防水層/繊維布帛の構成の積層体が得られた。便宜上、この積層体のサンプルNo.をNo.4cと表記する。
【0051】
上記のようにして得られた積層体について以下の評価が行われた。
透湿性(g/m224hrs):JIS L 1099(B-1法)に準じての測定。
保存安定性:積層体の透湿防水層同士が接するように2枚の積層体を重ねて10g/cm2の荷重を掛けた状態で24時間、80℃で静置した。冷却後、2枚を剥がし、透湿防水層間の膠着の有無を確認した。膠着が無い場合を〇、膠着が有る場合を×で表示。
洗濯後耐水圧(mmH2O):20回洗濯を行った後の積層体を用いて、JIS L 1092(B法)に準じて耐水圧を測定。
環境負荷(%):100-(バイオマス原料/全重量×100)(%)。この値が高いほど環境負荷が大きな材料。
【0052】
評価の結果が表-6に示される。
表-6
No. 透湿性 保存安定性 洗濯後耐水圧 環境負荷
1a 58000 ○ 20000以上 69
1b 55000 ○ 20000以上 69
1c 15000 ○ 20000以上 100
2 57000 ○ 20000以上 69
3 43000 ○ 20000以上 69
4a 51000 ○ 20000以上 69
4b 49000 ○ 20000以上 51
4c 125000 ○ 20000以上 68
5 59000 ○ 19000 69
6 60000 ○ 18000 69
7 50000 ○ 4000 69
8 47000 ○ 2000 69
9 48000 ○ 3000 69
10 48000 ○ 4000 69
11 46000 ○ 3000 69
12 51000 ○ 5000 69
13 45000 ○ 3000 69
14 7000 ○ 20000以上 69
15 5000 ○ 20000以上 69
16 4000 ○ 20000以上 69
【0053】
これに拠れば、透湿防水性布帛の透湿防水層の樹脂はポリウレタン樹脂であれば良いと言う訳では無く、ポリエチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとが用いられて構成されたポリウレタン樹脂、更にはポリエチレングリコールと1,4-ブタンジオールとイソホロンジイソシアネートとが用いられて構成されたポリウレタン樹脂を用いる事の重要性を理解できる。
【要約】
【課題】例えば、透湿性が20000g/m224hrsで、20回洗濯後の耐水圧が10000mmH2O以上の透湿防水性布帛を提供することである。
【解決手段】透湿防水層と布帛との積層体である透湿防水性布帛であって、前記透湿防水層を構成する樹脂には、ポリエチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとが用いられて構成されたポリウレタン樹脂が用いられ、前記樹脂中には炭酸カルシウムを成分とする粉末が含有されてなる透湿防水性布帛
【選択図】なし