(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】GLP-1/GLP-1Rを調節制御する方法および薬剤
(51)【国際特許分類】
A61K 38/48 20060101AFI20230823BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230823BHJP
C12N 9/68 20060101ALN20230823BHJP
【FI】
A61K38/48
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C12N9/68 ZNA
(21)【出願番号】P 2019570460
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 CN2018091838
(87)【国際公開番号】W WO2018233604
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/089067
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518217305
【氏名又は名称】タレンゲン インターナショナル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TALENGEN INTERNATIONAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リ ジナン
【審査官】山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/077380(WO,A1)
【文献】特開2010-155856(JP,A)
【文献】特表2020-502154(JP,A)
【文献】特表2020-502153(JP,A)
【文献】特表2020-502102(JP,A)
【文献】特表2020-502140(JP,A)
【文献】特表2020-510627(JP,A)
【文献】特表2020-502156(JP,A)
【文献】Journal of Thrombosis and Haemostasis,2009年,Vol.8,pp.194-201
【文献】Blood,2012年,119 (24),p. 5879-5887,https://doi.org/10.1182/blood-2012-01-407825
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/48
A61P
C12N 9/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GLP-1/GLP-1Rの発現を促進するための、有効量のプラスミノーゲンを含む医薬組成物であって、前記プラスミノーゲンは配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつプラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、医薬組成物。
【請求項2】
前記プラスミノーゲンが一種以上のその他の薬剤または治療方法と併用される、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記プラスミノーゲンは、糖尿病を治療するための薬剤または治療、アテローム性動脈硬化症を治療するための薬剤または治療、心脳血管疾患を治療するための薬剤または治療、血栓症を治療するための薬剤または治療、高血圧を治療するための薬剤または治療、血中脂質を低下させるための薬剤または治療、脂肪肝を治療するための薬剤または治療、パーキンソン病を治療するための薬剤または治療、アルツハイマー病を治療するための薬剤または治療、および抗感染薬または治療からなる群より選ばれる一つ以上の薬剤または治療と併用して投与される、請求項
2に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GLP-1/GLP-1Rを調節制御することによってGLP-1/GLP-1Rに関連する疾患の治療におけるプラスミノーゲンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
GLP-1は、インスリン分泌を促進する内因性ホルモンであり、主に腸内のL-細胞から分泌される。小腸L細胞のプログルカゴン遺伝子の発現は、プログルカゴン(proglucagon,PG)を生成し、プロホルモンコンバーターゼ1/3(prohormoneconvertase,PC1/3)で処理した後、GLP-1ペプチド前駆体を放出する。エンドペプチダーゼは、GLP-1(1-37)が二つのペプチドフラグメントに分解することを触媒し、GLP-1(7-37)はアミダーゼで処理されてからGLP-1(7-36)アミドを形成する。α細胞内のグルカゴン遺伝子の発現はPGを生成することもできるが、α細胞におけるプロホルモンコンバーターゼ2(PC2)は、PGをグルカゴンに優先的に転化するため、α細胞は正常な状況下でGLP-1を合成することができない。但し、ストレスまたは病理生理学的条件下(例えば、2型糖尿病)で、α細胞はGLP-1を適応的に生成することができる。
【0003】
GLP-1は、低血糖を起こさずに膵島β細胞のインスリン分泌と血糖の正常化を促進し、α細胞によるグルカゴンの生成を抑制し、胃内容排出を遅らせ、食欲を抑え、体重を減らし、β細胞の増殖を促進し、アポトーシスを抑制することができ、膵島細胞の機能の調節において重要な役割を果たしている[1]。
【0004】
糖尿病は肥満と並行して発症する傾向があり、患者の体重を2型糖尿病の治療ガイドラインに含むことも臨床的に認められている。糖尿病の進行中にGLP-1とインスリンの分泌の間に負のフィードバック調節があり、2型糖尿病の患者には腸-膵島軸(enteroinsular axis)の損傷があり、しかも食後の循環血中の脂質の上昇が伴われることは、研究によって発見された[2]。実験性糖尿病マウスモデルでは、β細胞の脂肪毒性損傷によりGLP-1の機能が影響され、高脂血症の治療が、GLP-1によるインスリンの分泌の誘導を促進することができることは発見された[3]。現在、実証済みの治療スキームの中で、グルカゴン様ペプチド‐1受容体作動剤(glucagon-like peptide-1 receptor agonists,GLP-1 RAs)しか、患者の体重と血糖値の同時調節制御を実現することができない。GLP-1は、GLP-1受容体作動剤についての研究の基礎として、血糖依存的にインスリン分泌を促進する役割を果たし、食欲を抑え、胃内容排出を遅らせることで体重を減らす役割を果たすことができる[4]。
【0005】
GLP-1は、末梢の血糖値を低下させて膵島細胞を保護し、症状を改善するだけではなく、中枢神経系において神経伝達物質として、細胞増殖、神経新生および細胞アポトーシスに対して栄養的役割を果たす。GLP-1Rは、げっ歯類動物およびヒトの脳に広く分布しており[5]、視床、小脳、脳幹、脳弓、視床下部後域、外側横隔核、尾状核被殻、海馬、および大脳皮質にいずれも発現している。GLP-1は、血液脳関門を介して対応する脳領域でその受容体に結合して役割を果たすことができる。GLP-1は、神経細胞の複数の生理学的プロセスを調節することができ、例えば、細胞の生存とニューロンの軸索の成長を調節し、インビトロで培養した神経細胞の興奮性、酸化的損傷および死亡に抵抗し、ニューロンβ前駆体タンパク質(βAPP)を低下させ、内因性Aβレベルを低下させ、複数のアポトーシス刺激に抵抗し、インビトロでの培養神経細胞の分化を誘導するニューロンの機能を保護することができる[6]。Aβ毒性損傷に関する動物実験研究から、Aβが重度の長期増強(long-term potention,LTP)阻害を誘発する可能性があり、この損傷はGLP-1の類似体によって逆転でき[7]、げっ歯類動物の脳室にAβを注射した後、Morris水迷路を介して評価すると、空間学習能力と記憶能力が不十分であることが示されるが、GLP-1類似体で処理すると、空間学習能力と記憶能力での動物のパフォーマンスを改善することができることは発見された[8]。また、GLP-1およびその類似体が、記憶と、脳内シナプス可塑性を改善することができると科学者は発見した[9]。
【0006】
GLP-1受容体の機能の調節は非常に複雑であり、様々な内因性および外因性のポリペプチドと相互作用し、複数の下流シグナル経路のカスケード活性化を起こす。GLP-1受容体遺伝子多型はずっと前から発見されており、肥満および糖尿病の発生に関連している可能性がある[10]。
【0007】
本発明は、GLP-1/GLP-1受容体経路の調節制御、およびGLP-1/GLP-1受容体経路に関連する疾患の治療におけるプラスミノーゲンの使用を見出した。
【発明の概要】
【0008】
本発明は下記項に係る。
【0009】
1.被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、GLP-1/GLP-1Rを調節制御することによって疾患を治療する方法。
【0010】
2.前記疾患は、糖質代謝障害に関連する疾患、脂肪代謝障害に関連する疾患、またはGLP-1/GLP-1Rに関連する神経系疾患である、項1に記載の方法。
【0011】
3.前記疾患は、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経痛、糖尿病性網膜症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、冠状動脈性心臓病、心筋梗塞、脳血栓症、脳出血、脳塞栓症、肥満、脂肪肝、肝硬変、骨粗鬆症、認知障害、パーキンソン症候群、脊髄側柱硬化症、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、消化不良、および胃腸潰瘍からなる群より選ばれる一つ以上の疾患である、項2に記載の方法。
【0012】
4.被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、GLP-1/GLP-1Rの機能を調節制御する方法。
【0013】
5.前記プラスミノーゲンはGLP-1および/またはGLP-1Rの発現を促進する、項4に記載の方法。
【0014】
6.被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、GLP-1/GLP-1Rの関連疾患を治療する方法。
【0015】
7.前記GLP-1/GLP-1Rの関連疾患は、血糖値の上昇、耐糖能異常、血中脂質上昇、肥満、脂肪肝、および認知障害からなる群より選ばれる一つ以上を含む、項6に記載の方法。
【0016】
8.前記GLP-1/GLP-1Rの関連疾患は、糖尿病、糖尿病合併症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、冠状動脈性心臓病、心筋梗塞、脳血栓症、脳出血、脳塞栓症、肥満、脂肪肝、肝硬変、骨粗鬆症、認知障害、パーキンソン症候群、側柱硬化症、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、消化不良、および胃腸潰瘍からなる群より選ばれる一つ以上を含む、項6に記載の方法。
【0017】
9.前記プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するタンパク質である、項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【0018】
10.前記プラスミノーゲンは、プラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然としてプラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【0019】
11.前記プラスミノーゲンは、Glu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、艨|プラスミノーゲンまたはそれらのプラスミノーゲン活性を保持した変異体である、項10に記載の方法。
【0020】
12.前記プラスミノーゲンは一種以上のその他の薬剤または治療方法と併用することができる、項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【0021】
13.前記プラスミノーゲンは、糖尿病を治療するための薬剤または治療方法、アテローム性動脈硬化症を治療するための薬剤または治療方法、心脳血管疾患を治療するための薬剤または治療方法、血栓を治療するための薬剤または治療方法、高血圧を治療するための薬剤または治療方法、血脂を低下させるための薬剤または治療方法、脂肪肝を治療するための薬剤または治療方法、パーキンソン病を治療するための薬剤または治療方法、アルツハイマー病を治療するための薬剤または治療方法、および抗感染薬または治療方法からなる群より選ばれる一つ以上の薬剤または治療方法と併用することができる、項12に記載の方法。
【0022】
14.有効量のプラスミノーゲンを含む、GLP-1/GLP-1Rの関連疾患を治療するための薬剤。
【0023】
15.有効量のプラスミノーゲンを収容する容器と、GLP-1/GLP-1Rの関連疾患を治療するためにプラスミノーゲンを使用することを説明するプロトコルとを含む、GLP-1/GLP-1Rの関連疾患を治療するための製品またはキット。
【0024】
16.前記GLP-1/GLP-1Rの関連疾患は、血糖値の上昇、耐糖能異常、血中脂質上昇、肥満、脂肪肝、および認知障害からなる群より選ばれる一つ以上を含む、項14または15に記載の薬剤、製品またはキット。
【0025】
17.前記GLP-1/GLP-1Rの関連疾患は、糖尿病、糖尿病合併症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、冠状動脈性心臓病、心筋梗塞、脳血栓症、脳出血、脳塞栓症、肥満、脂肪肝、肝硬変、骨粗鬆症、認知障害、パーキンソン症候群、側柱硬化症、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、消化不良、および胃腸潰瘍からなる群より選ばれる一つ以上を含む、項14または15に記載の薬剤、製品またはキット。
【0026】
18.GLP-1/GLP-1Rを調節制御することによって疾患を治療するための薬剤の製造におけるプラスミノーゲンの使用。
【0027】
19.前記疾患は、糖質代謝障害に関連する疾患、脂肪代謝障害に関連する疾患、またはGLP-1/GLP-1Rに関連する神経系疾患である、項18に記載の使用。
【0028】
20.前記疾患は、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経痛、糖尿病性網膜症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、冠状動脈性心臓病、心筋梗塞、脳血栓症、脳出血、脳塞栓症、肥満、脂肪肝、肝硬変、骨粗鬆症、認知障害、パーキンソン症候群、側柱硬化症、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、消化不良、および胃腸潰瘍からなる群より選ばれる一つ以上の疾患である、項19に記載の使用。
【0029】
21.GLP-1/GLP-1Rの機能を調節制御するための薬剤の製造におけるプラスミノーゲンの使用。
【0030】
22.前記プラスミノーゲンはGLP-1/GLP-1Rの発現を促進する、項21に記載の使用。
【0031】
23.GLP-1/GLP-1Rの関連疾患を治療するための薬剤の製造におけるプラスミノーゲンの使用。
【0032】
24.前記GLP-1/GLP-1Rの関連疾患は、血糖値の上昇、耐糖能異常、血中脂質上昇、肥満、脂肪肝、および認知障害からなる群より選ばれる一つ以上を含む、項23に記載の使用。
【0033】
25.前記GLP-1/GLP-1Rの関連疾患は、糖尿病、糖尿病合併症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、冠状動脈性心臓病、心筋梗塞、脳血栓症、脳出血、脳塞栓症、肥満、脂肪肝、肝硬変、骨粗鬆症、認知障害、パーキンソン症候群、側柱硬化症、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、消化不良、および胃腸潰瘍からなる群より選ばれる一つ以上を含む、項23に記載の使用。
【0034】
26.前記プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するタンパク質である、項18~25のいずれか1項に記載の使用。
【0035】
27.前記プラスミノーゲンは、プラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然としてプラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、項18~26のいずれか1項に記載の使用。
【0036】
28.前記プラスミノーゲンは、Glu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、艨|プラスミノーゲンまたはそれらのプラスミノーゲン活性を保持した変異体である、項27に記載の使用。
【0037】
29.前記プラスミノーゲンは一種以上のその他の薬剤または治療方法と併用することができる、項18~28のいずれか1項に記載の使用。
【0038】
30.前記プラスミノーゲンは、糖尿病を治療するための薬剤または治療方法、アテローム性動脈硬化症を治療するための薬剤または治療方法、心脳血管疾患を治療するための薬剤または治療方法、血栓を治療するための薬剤または治療方法、高血圧を治療するための薬剤または治療方法、血脂を低下させるための薬剤または治療方法、脂肪肝を治療するための薬剤または治療方法、パーキンソン病を治療するための薬剤または治療方法、アルツハイマー病を治療するための薬剤または治療方法、および抗感染薬または治療方法からなる群より選ばれる一つ以上の薬剤または治療方法と併用することができる、項29に記載の使用。
【0039】
定義:
「糖尿病」は遺伝的要素、免疫機能の乱れ、微生物感染及びその毒素、フリーラジカル毒素、精神要因などの各種病気誘発因子が生体に作用することによる、インスリン減退、インスリン抵抗などによって引き起こされる糖、タンパク質、脂肪、水及び電解質等の一連の代謝に乱れが生じる症候群であり、臨床的には高血糖を主な特徴とする。
【0040】
「糖尿病合併症」は糖尿病プロセスにおける血糖の制御不良によって引き起こされる身体のその他の臓器または組織のダメージまたは機能障害であり、肝臓、腎臓、心臓、網膜、神経系のダメージまたは機能障害等を含む。世界保健機関(WHO)の統計によれば、糖尿病合併症は100種類以上あり、現在における合併症が最も多い疾患である。
【0041】
「プラスミン」は血液中に存在する非常に重要な酵素であり、フィブリン多量体を分解することができる。
【0042】
「プラスミノーゲン(plasminogen,plg)」はプラスミンの酵素前駆体の形であり、swiss prot中の配列に基づいて、シグナルペプチドの天然ヒト由来プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列4)として計算によれば810個のアミノ酸からなり、分子量は約90kDであり、主に肝臓において合成され且つ血液中で循環できる糖タンパク質であり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列3に示される通りである。フルサイズのPLG(プラスミノーゲン)は七つのドメインを含む:C末端に位置するセリンプロテアーゼドメイン、N末端に位置するPan Apple(PAp)ドメイン及び5つのKringleドメイン(Kringle1-5)を含む。swiss prot中の配列を参照すれば、そのシグナルペプチドは残基Met1-Gly19を含み、Papは残基Glu20-Val98を含み、Kringle1は残基Cys103-Cys181を含み、Kringle2は残基Glu184-Cys262を含み、Kringle3は残基Cys275-Cys352を含み、Kringle4は残基Cys377-Cys454を含み、Kringle5は残基Cys481-Cys560を含む。NCBIデータによれば、セリンプロテアーゼドメインは残基Val581-Arg804を含む。
【0043】
Glu-プラスミノーゲンは天然のフルサイズのプラスミノーゲンであり、791個のアミノ酸からなる(19個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを含まない)。該配列をコードするcDNA配列は配列1に示される通りであり、そのアミノ酸配列は配列2に示される通りである。体内において、さらにGlu-プラスミノーゲンの第76-77位のアミノ酸の位置で加水分解することにより形成されたLys-プラスミノーゲンが存在し、例えば配列6に示されるものであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列5が示す通りである。δ-プラスミノーゲン(δ-plasminogen)はフルサイズのプラスミノーゲンにKringle2-Kringle5構造が欠損したフラグメントであり、Kringle1及びセリンプロテアーゼドメインしか含有せず[11、12]、δ-プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列8)を報告している文献があり[12]、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は例えば配列7である。ミニプラスミノーゲン(Mini-plasminogen)はKringle5及びセリンプロテアーゼドメインからなり、残基Val443-Asn791(シグナルペプチドGlu-プラスミノーゲン配列を含まないGlu残基を開始アミノ酸とする)について文献が報告しており[13]、そのアミノ酸配列は配列10に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列9が示す通りである。しかしマイクロプラスミノーゲン(Micro-plasminogen)はセリンプロテアーゼドメインのみ含有し、そのアミノ酸配列は残基Ala543-Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu-プラスミノーゲン配列のGlu残基は開始アミノ酸である)と文献が報告し[14]、特許文献CN102154253Aはその配列が残基Lys531-Asn791を含むと開示し(シグナルペプチドを含まないGlu-プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)、本特許の配列は特許文献CN102154253Aを参照でき、そのアミノ酸配列は配列12に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列11に示される通りである。
【0044】
本発明の「プラスミン」と「フィブリンプラスミン」、「繊維タンパクプラスミン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。「プラスミノーゲン」と「フィブリンプラスミノーゲン」、「繊維タンパクプラスミノーゲン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。
【0045】
当業者は以下のように理解できる。本発明のプラスミノーゲンのすべての技術構成はプラスミンに適用でき、そのため、本発明に記載の技術構成はプラスミノーゲン及びプラスミンをカバーするものである。
【0046】
循環プロセスにおいて、プラスミノーゲンは閉鎖した非活性コンフォメーションであるが、血栓または細胞表面に結合した際、プラスミノーゲン活性化剤(plasminogen activator,PA)の介在下において、開放性のコンフォメーションを有する活性プラスミンとなる。活性を有するプラスミンはさらにフィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD-二量体に加水分解させ、これにより血栓を溶解させる。そのうちプラスミノーゲンのPApドメインはプラスミノーゲンを非活性閉鎖コンフォメーションにする重要なエピトープであり、しかしKRドメインは受容体及び基質上のリジン残基と結合できるものである。プラスミノーゲン活性化剤としての酵素は、既に複数種類知られ、組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤(uPA)、カリクレイン及び凝結因子XII(ハーゲマン因子)などを含む。
【0047】
「プラスミノーゲン活性フラグメント」とはプラスミノーゲンタンパク質において、基質中のターゲット配列と結合してタンパク質加水分解機能を発揮できる活性フラグメントである。本発明のプラスミノーゲンに係る技術構成が、プラスミノーゲン活性フラグメントでプラスミノーゲンの代替とする技術構成を含む。本発明に記載のプラスミノーゲン活性フラグメントはプラスミノーゲンのセリンプロテアーゼドメインを含むタンパク質であり、好ましくは、本発明に記載のプラスミノーゲン活性フラグメントは配列14、配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性のアミノ酸配列を含有するタンパク質を含むものである。そのため、本発明に記載のプラスミノーゲンは該プラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然として該プラスミノーゲン活性を有するタンパク質を含む。
【0048】
現在、血液中のフィブリンプラスミノーゲン及びその活性測定方法は以下を含む:組織フィブリンプラスミノーゲン活性化剤の活性に対する測定(t-PAA)、血漿組織フィブリンプラスミノーゲン活性化剤抗原に対する測定(t-PAAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性に対する測定(plgA)、血漿組織プラスミノーゲン抗原に対する測定(plgAg)、血漿組織フィブリンプラスミノーゲン活性化剤の阻害物活性に対する測定、血漿組織フィブリンプラスミノーゲン活性化剤の阻害物抗原に対する測定、血漿フィブリンプラスミン-抗プラスミン複合物に対する測定(PAP)。最もよく見られる測定方法は発色基質法である:測定対象(被験者)の血漿中にストレプトキナーゼ(SK)と発色基質を添加し、測定対象の血漿中のPLGはSKの作用下においてプラスミンとなり、後者は発色基質に作用し、それから分光光度計で測定し、吸光度の増加はフィブリンプラスミノーゲンの活性と正比例の関係となる。この他にも免疫化学法、ゲル電気泳動法、免疫比濁法、放射免疫拡散法などを用いて血液中のフィブリンプラスミノーゲン活性に対して測定を行うことができる。
【0049】
「オルソログ(ortholog)」とは異なる種どうしのホモログであり、タンパク質の相同物もDNAの相同物も含む。それは具体的に異なる種どうしの同じ祖先の遺伝子から進化して得られるタンパク質または遺伝子を言う。本発明のプラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンを含み、さらには異なる種に由来する、プラスミノーゲン活性を有するプラスミノーゲンオルソログを含む。
【0050】
「保存的置換バリアント」とはそのうちの一つの指定されたアミノ酸残基が改変されたがタンパク質または酵素の全体のコンフォメーション及び機能を変えないものであり、これはペアレントタンパク質中のアミノ酸配列中のアミノ酸を類似の特性(例えば酸性、塩基性、疎水性など)のアミノ酸で置換するものを含むがこれらに限られない。類似の性質を有するアミノ酸は知られている通りである。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性の塩基性アミノ酸であり且つ互いに置き換えることができる。同じように、イソロイシンは疎水アミノ酸であり、ロイシン、メチオニンまたはバリンによって置換されることができる。そのため、機能の類似する二つのタンパク質またはアミノ酸配列の類似性は異なる可能性もある。例えば、MEGALIGNアルゴリズムに基づいて70%~99%の類似性(同一性)を有する。「保存的置換バリアント」はさらにBLASTまたはFASTAアルゴリズムに基づいて60%以上のアミノ酸同一性を有するポリペプチドまたは酵素を含み、75%以上に達すればさらによく、最も好ましくは85%以上に達し、さらには90%以上に達するのが最も好ましく、さらに天然またはペアレントタンパク質または酵素と比較して同じまたは基本的に類似する性質または機能を有する。
【0051】
「分離された」プラスミノーゲンとは天然環境から分離及び/または回収されたプラスミノーゲンタンパク質である。いくつかの実施形態において、前記プラスミノーゲンは(1)90%を超える、95%を超える、または98%を超える純度(重量で計算した場合)になるまで精製し、例えばLowry法によって決まるもので、例えば99%(重量で計算した場合)を超えるまで精製する、(2)少なくともスピニングカップ配列分析装置によりN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基が得られる程度になる精製する、または(3)同質性になるまで精製する。該同質性はクマシーブリリアントブルーまたは銀染色により還元性または非還元性条件下のドデシル硫酸ナトリウムーポリアクリルアミノゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって決まるものである。分離されたプラスミノーゲンはバイオエンジニアリング技術により組み換え細胞から製造することができ、さらに少なくとも一つの精製ステップで分離されたプラスミノーゲンを含む。
【0052】
用語の「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書において互いに置き換えて使用でき、いかなる長さのアミノ酸の重合体を指し、遺伝的にコードされた及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されまたは派生したアミノ酸、及び修飾されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む。該用語は融合タンパク質を含み、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質を含むがこれに限られず、異種性と同種性由来のリーダー配列(N端メチオニン残基を有するか有しない)を含む融合物;等々である。
【0053】
参照ペプチド配列の「アミノ酸配列同一性パーセンテージ(%)」の定義は、必要に応じてギャップを導入することで最大のパーセンテージ配列の同一性を実現した後、如何なる保存的な置換も配列同一性の一部として見なさない場合、候補配列中における参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同じアミノ酸残基のパーセンテージである。パーセンテージのアミノ酸配列の同一性を測定することを目的とした比較は本分野の技術範囲における複数種類の手段によって実現でき、例えば公衆が入手できるコンピュータソフトウエア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアによって実現できる。当業者は配列をアライメントするための適切なパラメータを決めることができ、該パラメータが比較対象の配列のフルサイズに対して最大比較の要求を実現するための如何なるアルゴリズムも含む。しかし、本発明の目的のために、アミノ酸配列の同一性パーセンテージは配列比較コンピュータソフトウエアALIGN-2により得られるものである。
【0054】
ALIGN-2を用いることによりアミノ酸配列を比較する場合、所定のアミノ酸配列Aの所定のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性%(または所定のアミノ酸配列Bに対して、と、またはについてのあるアミノ酸配列と同一性を有するまたは含む所定のアミノ酸配列Aともいう)は以下のように計算される:
分数X/Y×100
【0055】
そのうちXは配列アライメントプログラムALIGN-2において該プログラムのA及びBのアライメントにおいて同一でマッチングすると評価したアミノ酸残基の数であり、且つそのうちYはBにおけるアミノ酸残基の総数である。以下のように理解するべきである:アミノ酸配列Aの長さとアミノ酸配列Bの長さが等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列の同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは異なる。特に断りのない限り、本文中において使用するすべてのアミノ酸配列同一性値%は前記の段落に記載の通りであり、ALIGN-2コンピュータプログラムによって得られるものである。
【0056】
本文において使用されているように、用語の「治療」及び「予防」は期待される薬理及び/または生理的効果が得られることを言う。前記効果は疾患またはその症状を完全または一部予防すること、及び/または疾患及び/またはその症状を一部または完全に治癒するものとすることができる。さらに以下を含む:(a)疾患が被験者の体内で発生することを予防し、前記被験者は疾患の要因を持っているが、該疾患を有すると診断されていない状況であること;(b)疾患を抑制し、その形成を阻害すること;及び(c)疾患及び/またはその症状を減軽し、即ち疾患及び/またはその症状を減退させること。
【0057】
用語の「個体」、「被験者」及び「患者」は本明細書中において互いに置き換えて使用でき、哺乳動物を指し、ネズミ(ラット、マウス)、ヒト以外の霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを含むがこれらに限られない。
【0058】
「治療上有効量」または「有効量」とは、哺乳動物またはその他の被験者に投与して疾患の治療に用いられる際に疾患の前記予防及び/または治療を実現できるプラスミノーゲンの量である。「治療上有効量」は使用するプラスミノーゲン、治療しようとする被験者の疾患及び/または症状の重症度及び年齢、体重などに従って変化するものである。
【0059】
2.本発明のプラスミノーゲンの調製
プラスミノーゲンは治療の使用に用いられるために、自然界から分離及び精製されるものでもよく、標準的な化学ペプチド合成技術によって合成するものでもよい。化学的手法によりポリペプチドを合成する際、液相または固相で合成を行うことができる。固相ポリペプチド合成(SPPS)(配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に附着させ、順番に配列中の残りのアミノ酸を添加する)はプラスミノーゲンの化学的合成に適したものである。各種形式のSPPS、例えばFmoc及びBocは、プラスミノーゲンの合成に用いることができる。固相合成に用いられる技術は以下に記載されている:Barany及びSolid-Phase Peptide Synthesis;3-284ページ、The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.第二巻:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.,Merrifield,tら J.Am.Chem.Soc.,85:2149-2156(1963);Stewartら,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.(1984);及びGanesan A.2006Mini Rev.Med Chem.6:3-10及びCamarero JAら 2005Protein Pept Lett.12:723-8。簡単に言えば、その上にペプチド鎖が構築されている機能性ユニットにより不溶性の多孔ビーズを処理する。カップリング/脱保護の繰り返し循環後に、附着した固相の遊離N末端アミンと単一のN保護を受けているアミノ酸ユニットをカップリングさせる。それから、該ユニットを脱保護し、他のアミノ酸と連結する新しいN末端アミンを露出させる。ペプチドを固相上に固定したままにし、それからそれを切除する。
【0060】
標準的な組み換え方法により本発明のプラスミノーゲンを生産する。例えば、プラスミノーゲンをコードする核酸を発現ベクター中に挿入し、それと発現ベクター中の制御配列を操作可能に連結させる。発現制御配列はプロモーター(例えば天然に関連されているプロモーター、または異種由来のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント及び転写終了配列を含むが、これらに限られない。発現の制御はベクター中の真核プロモーターシステムとすることができ、前記ベクターは真核宿主細胞(例えばCOSまたはCHO細胞)を形質転換またはトランスフェクションさせる。一旦ベクターを適切な宿主に導入すれば、ヌクレオチド配列の高レベル発現及びプラスミノーゲンの収集及び精製に適した条件下において宿主を維持する。
【0061】
適切な発現ベクターは通常宿主体内においてエピソームまたは宿主染色体DNAの組み換え部分として複製される。通常、発現ベクターは選択マーカー(例えばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性またはネオマイシン耐性)を含み、インビトロで所望のDNA配列によって形質転換されたそれらの細胞に対して測定を行うことに有用である。
【0062】
大腸菌(Escherichia coli)は本発明のプラスミノーゲンタンパク質をコードするポリヌクレオチドをクローンすることに用いられる原核宿主細胞の例である。その他の使用に適した微生物宿主は桿菌を含み、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びその他の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えばサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、及び各種シュードモナス属(Pseudomonas)種である。これらの原核宿主において、発現ベクターを生成でき、通常は宿主細胞と相容する発現制御配列(例えば複製開始点)を含むものである。また、多くの公知のプロモーターが存在し、例えば乳糖プロモーターシステム、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、β-ラクタマーゼプロモーターシステム、またはファージλ由来のプロモーターシステムである。プロモーターは一般的に発現を制御し、必要に応じて遺伝子配列を制御する場合に、転写及び翻訳を起動するために、さらにリボソームの結合位置配列を有してもよい。
【0063】
その他の微生物、例えば酵母も発現に用いることができる。酵母(例えばサッカロミセス(S.cerevisiae))及びピキア(Pichia)が適した酵母宿主細胞の例であり、そのうちの適切な担体は必要に応じて発現制御配列(例えばプロモーター)、複製開始点、終止配列など含む。典型的なプロモーターは3-ホスホグリセリン酸キナーゼ及びその他の糖分解酵素を含む。誘導型酵母プロモーターにはアルコール脱水素酵素、イソチトクロムC、及びマルトースとガラクトースの利用のための酵素のプロモーターを含む。
【0064】
微生物以外に、哺乳動物細胞(例えば体外細胞培養物中において培養された哺乳動物細胞)も本発明のプラスミノーゲンの発現に用いることができる。例えばWinnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)参照。適した哺乳動物宿主細胞はCHO細胞系、各種Cos細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系、及び形質転換されたB細胞またはハイブリドーマを含む。これらの細胞に用いられる発現ベクターは発現制御配列、例えば複製開始点、プロモーター、及びエンハンサー(Queenら,Immunol.Rev.89:49(1986))、及び必要とされる加工情報サイト、例えばリボソームの結合サイト、RNAの切断サイト、ポリアデノシン酸化サイト、及び転写ターミネーター配列を含むことができる。適切な発現制御配列の例はウサギ免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウィルス、サイトメガロウイルスなどの派生のプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)を参照すること。
【0065】
一旦合成(化学または組み換え的に)されれば、本分野の標準的な手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、アフィニテイカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液相クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル電気泳動などにより本発明に記載のプラスミノーゲンを精製することができる。該プラスミノーゲンは基本的に純粋なものであり、例えば少なくとも約80%から85%の純度で、少なくとも約85%~90%の純度で、少なくとも約90%~95%の純度で、または98%~99%の純度またはさらに純度が高いものであり、例えば汚染物を含まず、前記汚染物は例えば細胞砕片、本発明のプラスミノーゲン以外の大分子などである。
【0066】
3.薬物配合剤
所望の純度のプラスミノーゲンと必要に応じた薬用担体、賦形剤、または安定化剤(Remington′s Pharmaceutical Sciences,第16版,Osol,A.ed.(1980))を混合して凍結乾燥製剤または水溶液を形成して治療用の配合剤を得る。許容可能な担体、賦形剤、安定化剤は所要の用量及び濃度下において被験者に対して毒性がなく、さらに例えばリン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸などの緩衝剤を含む。抗酸化剤はアスコルビン酸和メチオニンを含む;防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメチレンジアミン;塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブタノールまたはベンジルアルコール;アルキルパラヒドロキシ安息香酸エステル、例えばメチルまたはプロピルのパラヒドロキシ安息香酸エステル;ピロカテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;m-クレゾール);低分子量ポリペプチド(少なくとも10個の残基を有するもの);タンパク質例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンである;単糖、二糖及びその他の炭水化物はグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む;キレート剤は例えばEDTAである;糖類は例えばショ糖、マンニトール、フコースまたはソルビトールである;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば亜鉛-タンパク複合体);及び/または非イオン界面活性剤を含む。
【0067】
本発明の配合剤は治療を必要とする具体的な症状の必要とする一種類以上の活性化合物を含有してもよく、好ましくは活性が相補的で互いに副作用を有しないものである。例えば、糖尿病、糖尿病合併症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、冠状動脈性心臓病、心筋梗塞、脳血栓症、脳出血、脳塞栓症、肥満、脂肪肝、肝硬変、骨粗鬆症、認知障害、パーキンソン症候群、側柱硬化症、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、消化不良、および胃腸潰瘍からなる群より選ばれる一つ以上の疾患を治療するための薬剤である。
【0068】
本発明のプラスミノーゲンは例えば凝集技術または界面重合によって作られるマイクロカプセル中に内包ことができ、例えば、膠質薬物輸送系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン剤、ナノ粒子及びナノカプセル)中に入れまたは粗エマルジョン状液中のヒドロキシメチルセルロースまたはゲルーマイクロカプセル及びポリ―(メタアクリル酸メチル)マイクロカプセル中に入れることができる。これらの技術は、Remington′s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0069】
体内に投与することに用いられる本発明のプラスミノーゲンは必ず無菌である必要がある。これは凍結乾燥及び再度配合する前または後に除菌濾過膜で濾過することで容易に実現できる。
【0070】
本発明のプラスミノーゲンは緩衝製剤を調製できる。緩衝製剤の適切な実例は一定の形状を有し且つ糖タンパクを含む固体の疎水性重合体の半透過マトリックスを含み、例えば膜またはマイクロカプセルである。緩衝基質の実例はポリエステル、水性ゲル(例えばポリ(2-ヒドロキシエチル-メタアクリル酸エステル)(Langerら,J.Biomed.Mater.Res.,15:167-277(1981);Langer,Chem.Tech.,12:98-105(1982))またはポリ(ビニールアルコール)、ポリラクチド(米国特許3773919,EP 58,481)、L-グルタミン酸とエチル-L-グルタミン酸の共重合体(Sidman,ら,Biopolymers 22:547(1983)),分解できないエチレン-ビニルアセテート(ethylene-vinyl acetate)(Langer,ら,出所は前記と同じ)、または分解可能な乳酸-ヒドロキシ酢酸共重合体、例えばLupron DepotTM(乳酸-ヒドロキシ酢酸共重合体及びリュープロレリン(leuprolide)酢酸エステルからなる注射可能なミクロスフェア体)、及びポリD-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。重合体、例えばエチレン-酢酸エチル及び乳酸-ヒドロキシ酢酸は、持続的に分子を100日間以上放出することができ、しかしいくつかの水性ゲルがタンパク質を放出する時間は比較的短い。関連のメカニズムに応じてタンパク質を安定化させる合理的なストラテジーにより設計できる。例えば、凝集のメカニズムが硫化ジスルフィド結合の交換によって分子間S-S結合を形成するであれば、メルカプト基残基を修飾することにより、酸性溶液中から凍結乾燥させ、湿度を制御し、適切な添加剤を用いて、及び特定の重合体基質組成物を開発することで安定化を実現できる。
【0071】
4.投与及び使用量
異なる方式、例えば静脈内、腹膜内、皮下、頭蓋骨内、髄腔内、動脈内(例えば頸動脈)、筋肉内、鼻内、体表または皮内投与または脊髄または脳内輸送により本発明の薬物組成物の投与を実現できる。エアロゾル製剤例えば鼻噴霧製剤は活性化剤を含有する精製した水性またはその他の溶液及び防腐剤と等張剤を含有する。このような製剤を鼻粘膜と相容し得るpH及び等張状態に調整する。
【0072】
一部の場合において、以下の方式により本発明のプラスミノーゲン薬物組成物を修飾または配合することができ、これにより血液脳関門を通過できる能力を提供する。
【0073】
胃腸外での投与に用いられる製造物は無菌水性または非水性溶液、懸濁液及び乳剤を含む。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばオリーブオイルのような植物油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は水、アルコール性/水性溶液、乳剤または懸濁液を含み、食塩水及び緩衝媒介を含む。胃腸外媒介物は塩化ナトリウム溶液、リンガ―デキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、または固定油である。静脈内媒介物は液体及び栄養補充物、電気分解補充物などを含む。されには防腐剤及びその他の添加剤、例えば抗微生物製剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなども存在してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、本発明のプラスミノーゲンは血液脳関門の通過を促進する薬剤と配合されている。いくつかの場合において、本発明のプラスミノーゲンは直接またはリンカーにより血液脳関門の通過を促進する担体分子、ペプチドまたはタンパク質と融合する。一部の実施形態において、本発明のプラスミノーゲンは内在性血液脳関門(BBB)受容体に結合するポリペプチドと融合する。プラスミノーゲンと内在性血液脳関門受容体に結合するポリペプチドは、BBBの通過を促進する。内在性血液脳関門(BBB)受容体に結合するポリペプチドは抗体、例えばモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントを含み、それは特異的に内在性BBB受容体に結合する。一部の場合において、抗体はリポソームに内包されたものである。例えば米国特許公開書類No.2009/0156498を参照すること。
【0075】
医療関係者は各種臨床的要素により用量案を決めることができる。例えば医学分野で公知のように、任意の患者の用量は複数の要素によって決められ、これらの要素は患者の体型、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与回数及び経路、全体の健康度、及び同時に投与するその他の薬物を含む。本発明が含有するプラスミノーゲンの薬物組成物の用量の範囲は例えば被験者体重に対して毎日約0.0001~2000mg/kgであり、または約0.001~500mg/kg(例えば0.02mg/kg,0.25mg/kg,0.5mg/kg,0.75mg/kg,10mg/kg,50mg/kgなど)とすることができる。例えば、用量は1mg/kg体重または50mg/kg体重または1-50mg/kgの範囲とすることができ、または少なくとも1mg/kgである。この例示性の範囲より高いまたは低い用量もカバーされ、特に前記の要素を考慮した場合である。前記範囲中の中間用量も本発明の範囲内に含まれるものである。被験者は毎日、隔日、毎週または経験分析によって決められた任意のスケジュール表に従ってに従ってこのような用量を投与できる。例示的な用量のスケジュール表は連続数日1-10mg/kg投与することである。本発明の薬物の投与過程において治療効果及び安全性はリアルタイムに評価、定期的に評価すべきである。
【0076】
5.製品または薬物キット
本発明の一つの実施形態は製品または薬物キットに係るものであり、本発明のプラスミノーゲンを含有する。前記製品は好ましくは一つの容器、ラベルまたはプロトコルを含む。適切な容器はボトル、バイアル、注射器などである。容器は各種材料例えばガラスまたはプラスチックから作られることができる。前記容器は組成物を含有し、前記組成物は本発明の疾患または症状を有効に治療し且つ無菌の入口を有する(例えば前記容器は静脈輸液用パックまたはバイアルであり、皮下注射針によって貫通される栓を含む)。前記組成物中の少なくとも一種類の活性化剤がプラスミノーゲンである。前記容器上にあるまたは添付されているラベルは前記組成物を本発明の前記疾患の治療に用いられると説明するものである。前記製品はさらに薬用緩衝液を含有する第二容器を含み、前記薬用緩衝液は例えばリン酸塩緩衝の食塩水、リンガー溶液及びグルコース溶液を含む。さらには商業及び使用者の観点から見ると必要とされるその他の物質、即ちその他の緩衝液、希釈剤、濾過物、針及び注射器を含むことができる。また、前記製品は使用説明を有するプロトコルを含み、これは例えば前記組成物の使用者にプラスミノーゲン組成物及び疾患の治療に伴うその他の薬物を患者に投与することを指示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】
図1A~Cは、14~15週齢のdb/dbマウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵臓GLP-1免疫染色の観察結果を示したものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析の結果である。その結果、溶媒PBS投与対照群のマウスの膵島GLP-1の発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが比較的に若い糖尿病マウスの膵島GLP-1の発現を促進できることを示している。
【
図2】
図2A~Bは23~25週齢のdb/dbマウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵臓GLP-1免疫染色の代表的な写真を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、溶媒PBS投与対照群のマウスの膵島GLP-1の発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群より明らかに少ないことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが比較的に老齢の糖尿病マウスの膵島GLP-1の発現を促進できることを示している。
【
図3】
図3A~Cは、T1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵島GLP-1染色の観察結果を示したものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析の結果である。その結果、溶媒PBS投与対照群のマウスの膵島GLP-1の発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(**は、P<0.01を表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンがI型糖尿病マウスの膵島GLP-1の発現を促進できることを示している。
【
図4】
図4A~Cは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島グルカゴン免疫組織化学的観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、グルカゴンは正常対照群マウスにおいて膵島周辺のα細胞の区域に発現されている。プラスミノーゲン投与群と比べ、溶媒PBS投与対照群のグルカゴンの陽性細胞(矢印に表記される)は明らかに増え、陽性細胞は膵島の中央に浸潤している;プラスミノーゲン投与群のグルカゴンの陽性細胞は膵島周辺に散在的に分布し、PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の膵島形態は正常マウスにより近い。これは、プラスミノーゲンが膵島α細胞の増殖およびグルカゴンの分泌を顕著に抑制でき、膵島α細胞の分布の乱れを修正でき、膵島損傷の修復を促進できることを示している。
【
図5】
図5A~Dは27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島グルカゴン免疫組織化学的観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析の結果である。その結果、グルカゴンは正常対照群マウスにおいて膵島周辺のα細胞の区域に発現されている。プラスミノーゲン投与群と比べ、溶媒PBS投与対照群のグルカゴンの陽性細胞(矢印に表記される)は明らかに増え、陽性細胞は膵島の中央に浸潤し、しかも平均光学密度の定量分析の結果には統計学的な差がある(*は、P<0.05を表す);プラスミノーゲン投与群のグルカゴンの陽性細胞は膵島周辺に散在的に分布し、PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の膵島形態は正常マウスにより近い。これは、プラスミノーゲンが膵島α細胞の増殖およびグルカゴンの分泌を顕著に抑制でき、膵島α細胞の分布の乱れを修正でき、膵島損傷の修復を促進できることを示している。
【
図6】
図6A~Dはプラスミノーゲンを28日投与した後のPLG
+/+マウスがT1DMモデルにおける膵島グルカゴン免疫組織化学的観察結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析の結果である。その結果、溶媒PBS投与対照群のグルカゴンの陽性発現はプラスミノーゲン投与群より明らかに多く、しかも平均光学密度の定量分析の結果のその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島α細胞のグルカゴン分泌を顕著に減少させることができ、膵島損傷の修復を促進できることを示している。
【
図7】
図7は24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを投与してから第11日、第32日の血糖測定結果を示したものである。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの血糖は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表し、**は、P<0.01を表す)ことは示されている。また、投与時間が長くなるにつれて、溶媒PBS投与対照群マウスの血糖は上昇する傾向があるに対して、プラスミノーゲン投与群の血糖は徐々に低下する。これは、プラスミノーゲンが血糖を降下する作用があることを示している。
【
図8】
図8はプラスミノーゲンが糖尿病マウスの血清フルクトサミンの濃度に対する影響を示したものである。測定した結果、プラスミノーゲン投与後の血清フルクトサミンの濃度は明らかに低下し、投与前と比べ、その差が統計学的に極めて有意である(**は、P<0.01を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの血清フルクトサミンのレベルを顕著に降下することができることを示している。
【
図9】
図9は27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の血清フルクトサミンの測定結果を示すものである。測定結果によると、プラスミノーゲン投与群の血清フルクトサミンの濃度は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、その差が統計学的に有意に近い(P=0.06)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの血清フルクトサミンのレベルを顕著に低下させることができることを示している。
【
図10】
図10は27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の血漿糖化ヘモグロビンの測定結果を示したものである。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの糖化ヘモグロビンのOD値は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(**は、P<0.01を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの血漿糖化ヘモグロビンを降下する作用があることを示している。
【
図11】
図11は27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを10日投与した後のIPGTT測定結果を示したものである。その結果、グルコースを腹腔に注射した後、プラスミノーゲン投与群マウスの血糖レベルは溶媒PBS投与対照群より低く、しかも溶媒PBS投与対照群と比べてプラスミノーゲン投与群の糖耐性曲線は正常なマウスにより近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの糖耐性能力を明らかに改善できることを示している。
【
図12】
図12はT1DMモデルPLG
+/+マウスにプラスミノーゲンを10日投与してから禁食後の血糖測定結果を示したものである。その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの血糖はプラスミノーゲン投与群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(***は、P<0.001を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが、T1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスの血糖レベルを顕著に低下させることができることを示している。
【
図13】
図13はT1DMモデルPLG
+/+マウスにプラスミノーゲンを28日投与した後のIPGTT測定結果を示したものである。その結果、溶媒PBS投与対照群マウスのグルコース注射後の血糖濃度はプラスミノーゲン投与群より明らかに高く、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の糖耐性曲線は正常なマウスにより近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが、T1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスの糖耐性能力を高めることができることを示している。
【
図14】
図14はT1DMモデルマウスにプラスミノーゲンを20日投与した後の血糖測定結果を示すものである。その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの血糖はプラスミノーゲン投与群マウスより明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(P=0.04)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンがT1DMマウスのグルコース分解能力を促進でき、血糖を降下することができることを示している。
【
図15】
図15は27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の血清インスリンの測定結果を示したものである。その結果、プラスミノーゲン投与群の血清インスリンレベルは溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンがインスリンの分泌を効果的に促進できることを示している。
【
図16】
図16A~Eは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の膵臓のHE染色の写真および膵島面積比の統計分析結果を示したものである。A、Bは溶媒PBS投与対照群であり、CとDはプラスミノーゲン投与群であり、Eは膵島面積の定量分析結果である。その結果、溶媒PBS投与対照群の大部分の膵島が委縮し、委縮した膵島細胞は腺房(矢印に表記される)に置き換えられ、膵島のヘリの腺房が増殖して膵島と腺房との境目があいまいになっている;プラスミノーゲン投与群の大部分の膵島は対照群より面積が大きく、しかも膵島内には腺房増殖がなく、ただ僅かの膵島内に僅かの腺房が残存しており、膵島と腺房との境目がはっきりしていることは示されている。プラスミノーゲン投与群と対照群の、膵島と膵臓との面積比を比較すると、プラスミノーゲン投与群は対照群の倍近くになっていることが分かる。これは、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスの膵島損傷の修復を促進でき、損傷した膵島を修復することにより糖尿病を治療することができることを示している。
【
図17】
図17A~Cは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の膵島シリウスレッド染色の観察結果を示したものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析の結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの膵島コラーゲン沈着(矢印に標記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病動物の膵島の繊維化を改善できることを示している。
【
図18】
図18A~Bは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の膵島Caspase-3免疫組織化学的染色の観察結果を示したものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群のCaspase-3の発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに低いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが膵島細胞のアポトーシスを減少させ、糖尿病マウスの膵臓組織を保護できることを示している。
【
図19】
図19A~Cは17~18週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島インスリン免疫組織化学的染色結果を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析の結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群のインスリンの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意に近い(P=0.15を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが膵島の機能修復を促進でき、インスリンの生成と分泌を促進できることを示している。
【
図20】
図20A~Cは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後のインスリン免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群のインスリンの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが膵島の機能修復を促進でき、インスリンの生成と分泌を促進できることを示している。
【
図21】
図21A~Cは27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後のインスリン免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群のインスリンの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(**は、P<0.01を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが膵島の機能修復を効果的に促進でき、インスリンの生成と分泌を促進できることを示している。
【
図22】
図22A~Dは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の膵臓組織NF-kB免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群のNF-kBの発現(矢印に表記される)は正常対照マウスに近く、溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが多方向核転写因子NF-kBの発現を促進でき、24~25週齢の糖尿病マウスの膵島炎症の修復を促進できることを示している。
【
図23】
図23A~Dは17~18週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島グルカゴン免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析の結果である。その結果、グルカゴンは正常対照群マウスにおいて膵島周辺のα細胞の区域に発現されている。プラスミノーゲン投与群と比べ、溶媒PBS投与対照群のグルカゴンの陽性細胞(矢印に表記される)は明らかに増え、グルカゴンの陽性細胞は膵島の中央に浸潤し、しかも平均光学密度の定量分析の結果にはその差が統計学的に極めて有意である(**は、P<0.01を表す);プラスミノーゲン投与群のグルカゴンの陽性細胞は膵島周辺に散在的に分布し、PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の膵島形態は正常マウスにより近い。これは、プラスミノーゲンが膵島α細胞の増殖およびグルカゴンの分泌を顕著に抑制でき、膵島α細胞の分布の乱れを修正でき、膵島損傷の修復を促進できることを示している。
【
図24】
図24A~Dは17~18週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島IRS-2免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析の結果である。その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの膵島IRS-2陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に極めて有意である(**は、P<0.01を表す);プラスミノーゲン投与群のIRS-2発現レベルは溶媒PBS投与対照群より正常対照群マウスにより近い。これは、プラスミノーゲンが膵島細胞IRS-2の発現を効果的に増加させ、インスリン信号伝達を改善し、17~18週齢の糖尿病マウスの膵島β細胞損傷を減少させることができることを示している。
【
図25】
図25A~Dは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の膵島IRS-2免疫組織化学的観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析の結果である。その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの膵島IRS-2陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す);プラスミノーゲン投与群のIRS-2発現レベルは溶媒PBS投与対照群より正常対照群マウスにより近い。これは、プラスミノーゲンが膵島細胞IRS-2の発現を効果的に増加させ、インスリン信号伝達を改善し、糖尿病マウスの膵島β細胞損傷を減少させることができることを示している。
【
図26】
図26A~Cは27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島IRS-2免疫組織化学的観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの膵島IRS-2陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群より明らかに少ない;プラスミノーゲン投与群のIRS-2発現レベルは溶媒PBS投与対照群より正常対照群マウスにより近い。これは、プラスミノーゲンが膵島細胞IRS-2の発現を効果的に増加させ、インスリン信号伝達を改善し、糖尿病マウスの膵島β細胞損傷を減少させることができることを示している。
【
図27】
図27A~Cはプラスミノーゲンを28日投与した後のPLG
+/+T1DMマウスの膵島IRS-2免疫組織化学的観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの膵島IRS-2陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群より明らかに少ない;プラスミノーゲン投与群のIRS-2発現レベルは溶媒PBS投与対照群より正常対照群マウスにより近い。これは、プラスミノーゲンが膵島細胞IRS-2の発現を効果的に増加させ、インスリン信号伝達を改善し、PLG
+/+T1DMマウスの膵島β細胞損傷を減少させることができることを示している。
【
図28】
図28A~Cは27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島好中球の免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群の陽性発現の細胞(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より少なく、しかもプラスミノーゲン投与群は溶媒PBS投与対照群より正常対照群により近い。これは、プラスミノーゲンが好中球の浸潤を減少させることができることを示している。
【
図29】
図29A~CはT1DMモデルにおけるPLG
-/-マウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵島好中球の免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群の陽性発現の細胞(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より少なく、しかもプラスミノーゲン投与群は溶媒PBS投与対照群よりブランク対照群により近い。これは、プラスミノーゲンがPLG
-/-マウスのT1DMモデルにおける膵島好中球の浸潤を減少させることができることを示している。
【
図30】
図30A~CはT1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵島好中球の免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群の陽性発現の細胞(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より少なく、しかもプラスミノーゲン投与群は溶媒PBS投与対照群よりブランク対照群により近い。これは、プラスミノーゲンがPLG
+/+マウスのT1DMモデルにおける膵島好中球の浸潤を促進できることを示している。
【
図31】
図31A~CはT1DMモデルにおけるPLG
-/-マウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵島インスリンの免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。免疫組織化学的結果は、プラスミノーゲン投与群のインスリンの陽性発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもプラスミノーゲン投与群は溶媒PBS投与対照群よりブランク対照群により近いことを示している。これは、プラスミノーゲンがPLG
-/-マウスのT1DMモデルにおけるインスリンの合成と分泌を促進できることを示している。
【
図32】
図32A~CはT1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵島インスリンの免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。免疫組織化学的結果によると、プラスミノーゲン投与群のインスリン陽性発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもプラスミノーゲン投与群は溶媒PBS投与対照群よりブランク対照群により近い。これは、プラスミノーゲンがPLG
+/+マウスのT1DMモデルにおけるインスリンの合成と発現を促進できることを示している。
【
図33】
図33A~CはT1DMモデルにおけるPLG
-/-マウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵島NF-kBの免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群のNF-kB発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに多いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが炎症修復因子NF-kBの発現を促進することができ、膵島炎症の修復を促進することができることを示している。
【
図34】
図34A~Bは17~18週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島NF-kBの免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群のNF-kB発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに高いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが多方向核転写因子NF-kBの発現を促進することができ、比較的に若い(17~18週齢)糖尿病マウスの膵島炎症の修復を促進することができることを示している。
【
図35】
図35A~Cは27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島NF-kBの免疫組織化学的観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。本発明の実験結果によると、プラスミノーゲン投与群のNF-kB発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに高いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが多方向核転写因子NF-kBの発現を促進することができ、比較的に老齢(27週齢)の糖尿病マウスの膵島炎症の修復を促進することができることを示している。
【
図36】
図36A~Cは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の膵島TNF-αの免疫組織化学的観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。研究結果によると、プラスミノーゲン投与群のTNF-αの陽性発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもプラスミノーゲン投与群は溶媒PBS投与対照群より正常対照群により近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンがTNF-αの発現を促進することができ、24~25週齢の糖尿病マウスの膵島損傷の修復を促進することができることを示している。
【
図37】
図37A~Cは27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の膵島TNF-αの免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。研究結果によると、プラスミノーゲン投与群のTNF-αの陽性発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもプラスミノーゲン投与群は溶媒PBS投与対照群より正常対照群により近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンがTNF-αの発現を促進することができ、27週齢の糖尿病マウスの膵島損傷の修復を促進することができることを示している。
【
図38】
図38A~BはT1DMモデルにおけるPLG
-/-マウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵島TNF-αの免疫組織化学的染色の観察結果を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。研究結果によると、プラスミノーゲン投与群のTNF-αの陽性発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに高い。これは、プラスミノーゲンがTNF-αの発現を促進することができ、T1DMモデルにおけるPLG
-/-マウスの膵島損傷の修復を促進することができることを示している。
【
図39】
図39A~CはT1DMモデルにおけるPLG
-/-マウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵島IgMの免疫組織化学的観察結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。本実験研究の結果によると、プラスミノーゲン投与群のIgMの陽性発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもプラスミノーゲン投与群は溶媒PBS投与対照群より正常対照群により近い。これは、プラスミノーゲンがIgMの発現を低下させることができ、T1DMモデルにおけるPLG
-/-マウスの膵島損傷を減少させることができることを示している。
【
図40】
図40A~Cは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の膵島TUNEL染色の観察結果を示すものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群である。本実験研究の結果によると、正常対照群のTUNEL陽性染色は極めて低い。プラスミノーゲン投与群の陽性細胞数(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ない。正常対照群のアポトーシス率は約8%であり、溶媒PBS投与対照群のアポトーシス率は約93%であり、プラスミノーゲン投与群のアポトーシス率は約16%である。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島細胞のアポトーシスを顕著に減少させることができることを示している。
【
図41】
図41はT1DMモデルマウスにプラスミノーゲンを20日投与した後の血清インスリンの測定結果を示すものである。その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの血清インスリン濃度はプラスミノーゲン投与群マウスより明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意に近い(P=0.08)。これは、プラスミノーゲンがT1DMマウスのインスリン分泌を促進することができることを示している。
【
図42】
図42A~Dは、24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の膵島GLP-1R染色の観察結果を示したものである。Aは正常対照群であり、Bは溶媒PBS対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析の結果である。その結果、溶媒PBS投与対照群のマウスの膵島GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は正常対照群マウスより明らかに少なく、プラスミノーゲン投与群マウスの膵島GLP-1Rの発現は正常対照群よりも少ないが、溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(*は、P<0.05を表し、**は、P<0.01表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島GLP-1Rの発現を促進できることを示している。
【
図43】
図43A~Dは、高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の膵臓GLP-1R免疫染色の観察結果を示したものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析の結果である。その結果、溶媒PBS投与対照群のマウスの膵島GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は正常対照マウスより明らかに少なく、プラスミノーゲン投与群マウスの膵島GLP-1Rの発現はブランク対照群よりも少ないが、溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(**は、P<0.01表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの膵島GLP-1Rの発現を促進できることを示している。
【
図44】
図44A~Cは、14~15週齢のdb/dbマウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の膵臓GLP-1R免疫染色の観察結果を示したものである。Aは溶媒PBS対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析の結果である。その結果、溶媒PBS投与対照群のマウスの膵島GLP-1Rの発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意に近い(P=0.09)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが比較的に若い(14~15週齢)糖尿病マウスの膵島GLP-1Rの発現を促進できることを示している。
【
図45】
図45A~Cはアテローム性動脈硬化モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の肝臓GLP-1R免疫組織化学的染色の観察結果を示したものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析の結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの肝臓GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(***は、P<0.001を表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化モデルマウスの肝臓GLP-1Rの発現を促進でき、肝臓脂肪の合成、分泌、吸収または酸化を促進し、血中脂質レベルを低下させ、高脂血症を改善する可能性があることを示している。
【
図46】
図46A~Cは高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の肝臓GLP-1R免疫染色の代表的写真を示したものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析の結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの肝臓GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもその差が統計学的に有意に近い(P=0.09)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの肝臓GLP-1Rの発現を促進でき、肝臓脂肪の合成、分泌、吸収または酸化を促進し、血中脂質レベルを低下させ、高脂血症を改善する可能性があることを示している。
【
図47】
図47A~Cは、MPTP誘発パーキンソンモデルマウスにプラスミノーゲンを14日投与した後の黒質GLP-1R免疫染色の観察結果を示したものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析の結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの黒質GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンがパーキンソンモデルマウスの黒質GLP-1Rの発現を促進できることを示している。
【
図48】
図48は高カロリー食により誘発された肥満モデルマウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の体重変化の計算結果を示すものである。29日目の体重から1日目の体重を差し引いた数値が結果として示されている。その結果、ブランク対照群の体重変化は明らかではなく、プラスミノーゲン投与群の体重は明らかに低下し、溶媒PBS投与対照群と比べ、その差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスの体重の軽減を促進することができることを示している。
【
図49】
図49は高カロリー食により誘発された肥満モデルマウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の体重指数の統計結果を示すものである。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの体重指数は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表し、**は、P<0.01を表す)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群マウスの体重指数はブランク対照群により近い。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスの体重指数を有意に低め、肥満を軽減することができることを示している。
【
図50】
図50は高カロリー食により誘発された肥満モデルマウスにプラスミノーゲンを28日投与した後のLee’s指数の統計結果を示すものである。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスのLee’s指数は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群マウスのLee’s指数はブランク対照群により近い。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスのLee’s指数を有意に低め、肥満を軽減することができることを示している。
【
図51】
図51は高カロリー食により誘発された肥満モデルマウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の腹腔脂肪係数の統計結果を示すものである。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの腹腔脂肪係数は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群マウスの腹腔脂肪含有量はブランク対照群により近い。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスの腹腔脂肪の沈着を有意に低めることができることを示している。
【
図52】
図52A~Dは高カロリー食により誘発された肥満モデルマウスにプラスミノーゲンを28日投与した後の腹腔脂肪のH&E染色の脂肪空胞面積の統計結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群の平均脂肪空胞の面積は溶媒PBS投与対照群より明らかに小さく、その差が統計学的にとても有意であり(**は、P<0.01を表す)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の脂肪空胞面積はブランク対照群マウスにより近い。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスの脂肪細胞の大きさを有意低め、腹腔脂肪の沈着を減少させることができることを示している。
【
図53】
図53A~Cは24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の肝臓のオイルレッドO染色写真である。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの肝臓における脂質沈着面積は溶媒PBS投与対照群より有意に小さく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの肝臓における脂肪沈着を減少させることができることを示している。
【
図54】
図54A~CはApoEアテローム性動脈硬化モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の肝臓のオイルレッドO染色の代表的写真を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの肝臓における脂肪沈着は溶媒PBS投与対照群より明らかに少なく、しかも定量分析した結果、その差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化モデルマウスの肝臓における脂肪沈着を減少させることができることを示している。
【
図55】
図55A~Cは16週齢の高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の肝臓のオイルレッドO染色の観察結果を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの肝臓における脂肪沈着は溶媒PBS投与対照群より明らかに少なく、しかも定量分析した結果、その差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの肝臓における脂肪沈着を改善できることを示している。
【
図56】
図56A~Dは、Cuprizone誘発性脱ミエリンモデルマウスにプラスミノーゲンを14日投与した後の脳梁LFB染色の結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析結果である。その結果、ブランク対照群の脳梁ミエリンの形態は基本的に正常であり、プラスミノーゲン投与群の脳梁ミエリンの陽性着色(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンがcuprizone誘発性脱ミエリンモデルマウスの脳梁ミエリンの再生を促進できることを示している。
【
図57】
図57A~Dは、Cuprizone誘発性脱ミエリンモデルマウスにプラスミノーゲンを14日投与した後のニューロフィラメントタンパク質(NFP)の免疫染色の観察結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの脳梁NFPの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、その差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の脳梁NFPの発現はブランク対照群により近い。これは、プラスミノーゲンがNFPの発現を促進でき、これによって神経線維の再生を促進できることを示している。
【
図58】
図58A~Cは、糖尿病性熱傷モデルマウスにプラスミノーゲンを投与した後の熱傷した皮膚のタンパク質遺伝子産物9.5(Protein gene product 9.5,PGP 9.5)の免疫染色の結果を示すものである。AはPGP9.5染色の代表的写真である。Aのa~cはそれぞれ、溶媒PBS投与対照群の4、8、15日目の代表的写真であり、d~fはプラスミノーゲン投与群の4、8、15日目の代表的写真である。Bは投与の4日目および8日目の免疫染色の定量分析結果である。Cは投与15日目の定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの熱傷した皮膚のPGP9.5の陽性発現は、溶媒PBS投与対照群より高く、しかも二つの群のマウスのPGP9.5の発現は、8日目にその差が統計学的に有意に近く、15日目にその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病熱傷の皮膚の神経再生を促進できることを示している。
【実施例】
【0078】
下記の実施例で使用されたヒトプラスミノーゲンは、ドナーの血漿に由来し、文献[15-17]に記載されている方法に基づいてプロセスを最適化し、血漿から精製して得られたものである。プラスミノーゲンモノマーの純度は95%を超える。
【実施例1】
【0079】
実施例1は、プラスミノーゲンが14~15週齢の糖尿病マウスの膵島GLP-1の発現を促進することに関するものである。
14~15週齢のdb/dbオスマウスを12匹取り、実験開始当日を0日目とし、体重を計ってdb/dbマウスの体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で各群で6匹ずつとした。一日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスGLP-1抗体(Wuhan Boster Biological Technology,PB0742)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
グルカゴン様ペプチド‐1(glucagon-like peptide-1,GLP-1)は、インクレチンのホルモンであり、正常状況下で発現の量が低く、その発現は、インスリンの分泌を促進し、グルカゴンの分泌を阻害することができる
[18]。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図1A)のマウスの膵島GLP-1の発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群(
図1B)より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(
図1C)(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが比較的に若い(14~15週齢)糖尿病マウスの膵島GLP-1の発現を促進できることを示している。
【実施例2】
【0080】
実施例2は、プラスミノーゲンが23~25週齢の糖尿病マウスの膵島GLP-1の発現を促進することに関するものである。
23~25週齢のdb/dbオスマウスを13匹取り、実験開始当日を0日目とし、体重を計ってdb/dbマウスの体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群(7匹)と溶媒PBS投与対照群(6匹)とした。一日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスGLP-1抗体(Wuhan Boster Biological Technology,PB0742)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図2A)のマウスの膵島GLP-1の発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群(
図2B)より明らかに少ないことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが比較的に老齢(23~25週齢)糖尿病マウスの膵島GLP-1の発現を促進できることを示している。
【実施例3】
【0081】
実施例3は、プラスミノーゲンが、T1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスの膵島GLP-1の発現を促進することに関するものである。
9~10週齢のPLG
+/+オスマウスを8匹取り、ランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群4匹である。この二つの群のマウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kgのSTZ(Sigma S0130)を注射してI型糖尿病を誘導した
[19]。注射して12日後から投薬し始め、投薬開始当日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスGLP-1抗体(Wuhan Boster Biological Technology,PB0742)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図3A)のマウスの膵島GLP-1の発現はプラスミノーゲン投与群(
図3B)より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(**は、P<0.01を表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンがT1DMマウスの膵島GLP-1の発現を促進できることを示している。
【実施例4】
【0082】
実施例4は、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスの膵島α細胞の増殖を減少させ、膵島α細胞の正常な分布を回復し、グルカゴン分泌を低下させることに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを11匹、db/mオスマウスを5匹取り、db/dbマウスの体重を計ってからランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に5匹、溶媒PBS投与対照群に6匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与するか何ら液体も注射せずに、連続して31日投与した。正常対照群マウスに投与処置をしなかった。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスグルカゴン抗体(Abcam、ab92517)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
膵島α細胞はグルカゴンを合成、分泌し、主に膵島の周辺区域に分布されている。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図4C)と比べ、溶媒PBS投与対照群(
図4B)のグルカゴンの陽性細胞(矢印に表記される)は明らかに増え、陽性細胞は膵島の中央に浸潤する;プラスミノーゲン投与群のグルカゴンの陽性細胞は膵島周辺に散在的に分布し、PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の膵島形態は正常対照群(4A)により近い。これは、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスの膵島α細胞の増殖およびグルカゴンの分泌を顕著に抑制でき、膵島α細胞の分布の乱れを修正できることを示し、プラスミノーゲンが膵島損傷の修復を促進できることを示唆している。
【実施例5】
【0083】
実施例5は、プラスミノーゲンが27週齢の糖尿病マウスの膵島α細胞の増殖を抑制させ、膵島α細胞の正常な分布を回復し、グルカゴン分泌を低下させることに関するものである。
27週齢のdb/dbオスマウスを9匹、db/mオスマウスを3匹取り、db/dbマウスの体重を計ってからランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に5匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、プラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。正常対照群マウスに投与処置をしなかった。36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスグルカゴン抗体(Abcam)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
膵島α細胞はグルカゴンを合成分泌し、主に膵島の周辺区域に分布されている。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図5C)と比べ、溶媒PBS投与対照群(
図5B)のグルカゴンの陽性細胞(矢印に表記される)は明らかに増え、陽性細胞は膵島の中央に浸潤し、しかも平均光学密度定量分析の結果の統計学的差異がある(*は、P<0.05を表す)(
図5D);プラスミノーゲン投与群のグルカゴンの陽性細胞は膵島周辺に散在的に分布し、PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の膵島形態は正常対照群(5A)により近い。これは、プラスミノーゲンが27週齢の糖尿病マウスの膵島α細胞の増殖およびグルカゴンの分泌を顕著に抑制でき、膵島α細胞の分布の乱れを修正できることを示し、プラスミノーゲンが膵島損傷の修復を促進できることを示唆している。
【実施例6】
【0084】
実施例6は、プラスミノーゲンがT1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスのグルカゴン分泌を減少させることに関するものである。
9~10週齢のPLG
+/+オスマウスを15匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(5匹)とモデル群(10匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kg体重でSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZ注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群5匹ずつとした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに対して投与処置はしなかった。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスグルカゴン抗体(Abcam、ab92517)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
膵島α細胞はグルカゴンを合成分泌し、主に膵島の周辺区域に分布されている。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図6B)のグルカゴンの陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群(
図6C)より明らかに多く、しかも平均光学密度の定量分析の結果として、その差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)(
図6D)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群はブランク対照群(
図6A)により近い。これは、プラスミノーゲンが、STZに誘導されたT1DMマウスの膵島α細胞のグルカゴンの分泌を顕著に減少させることができることを示している。
【実施例7】
【0085】
実施例7は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの血糖を降下することに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを8匹取り、ランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に5匹と溶媒PBS投与対照群に3匹である。実験開始当日を0日目として体重を測ってから群分けし、一日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して31日投与した。10、31日目に16時間禁食した後、11、32日目に血糖試験紙(Roche,Mannheim,Germany)で血糖検出をした。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの血糖は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表し、**は、P<0.01を表す)。また、投与時間が長くなるにつれて、溶媒PBS投与対照群マウスの血糖は上昇する傾向があるに対して、プラスミノーゲン投与群の血糖は徐々に低下する(
図7)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病動物の血糖を降下する作用があることを示している。
【実施例8】
【0086】
実施例8は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスのフルクトサミンレベルを低下させることに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを5匹取り、血清フルクトサミン濃度の測定のために投薬する前日にマウス1匹ずつ眼球静脈叢から50μl採血し、採血当日を0日目として、1日目にプラスミノーゲンを投与し始め、2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、連続して31日投与した。32日目に眼球を摘出して採血し、血清フルクトサミンの濃度を測定した。フルクトサミン濃度について、フルクトサミン測定キット(南京建成、A037-2)で測定した。
フルクトサミン濃度は1~3週間以内の血糖の平均レベルを反映する。その結果、プラスミノーゲン投与後の血清フルクトサミンの濃度は明らかに低下し、投薬前と比べてその差が統計学的に極めて有意である(**は、P<0.01を表す)(
図8)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病動物の血清フルクトサミンレベルを効果的に降下できることを示している。
【実施例9】
【0087】
実施例9は、プラスミノーゲンが27週齢の糖尿病マウスの血清フルクトサミンレベルを低下させることに関するものである。
27週齢のdb/dbオスマウスを9匹取り、実験開始当日を0日目として体重を測ってから体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹と溶媒PBS投与対照群に5匹である。プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。一日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、連続して35日投与した。36日目にマウスを殺処分し、血清フルクトサミンの濃度を測定した。フルクトサミンの濃度をフルクトサミン測定キット(南京建成、A037-2)で測定した。
測定の結果、プラスミノーゲン投与群の血清フルクトサミンの濃度は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、その差が統計学的に有意に近いことは示されている(P=0.06)(
図9)。これは、プラスミノーゲンが27週齢の糖尿病マウスの血糖フルクトサミンの濃度を降下できることを示している。
【実施例10】
【0088】
実施例10は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの糖化ヘモグロビンレベルを低下させることに関するものである。
27週齢のdb/dbオスマウスを9匹取り、体重を計って体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に5匹である。群分けして投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。35日目にマウスを16時間禁食し、36日目に眼球を摘出して採血し、血漿糖化ヘモグロビンの濃度を測定した。
糖化ヘモグロビンの含有量は通常患者の最近8~12週間内の血糖コントロール状況を反映することができる。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの糖化ヘモグロビンのOD値は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意である(**は、P<0.01を表す)(
図10)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの血漿糖化ヘモグロビンを降下する作用を有することを示している。
【実施例11】
【0089】
実施例11は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの糖耐性能力を改善することに関するものである。
27週齢のdb/dbオスマウスを9匹、及びdb/mマウスを3匹取った。db/dbマウスの体重を計って体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に5匹とし、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して10日投与した。正常対照群マウスに投与処置をしなかった。11日目にマウスを16時間禁食した後、マウス1匹ずつ5g/kg体重で5%グルコース溶液を腹腔注射により投与し、0、30、60、90、120、180分に血糖試験紙(Roche,Mannheim,Germany)で血糖濃度を測定した。
腹腔内ブドウ糖負荷試験(Intraperitoneal glucose test,IPGTT)は、生体がグルコースに対する耐性能力をテストすることができる。従来技術では、糖尿病患者の耐糖能が低下することが知られている。
実験の結果、グルコースを腹腔に注射した後、プラスミノーゲン投与群マウスの血糖レベルは溶媒PBS投与対照群より低く、しかも溶媒PBS投与対照群と比べてプラスミノーゲン投与群の糖耐性曲線は正常マウス群により近いことは示されている(
図11)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの耐糖能を明らかに改善できることを示している。
【実施例12】
【0090】
実施例12は、プラスミノーゲンがT1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスの血糖レベルを低下させることに関するものである。
9~10週齢のPLG
+/+オスマウスを10匹取り、ランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で5匹ずつである。二つの群のマウスを4時間禁食した後、ストレプトゾトシン(STZ)(sigma S0130)200mg/kgを腹腔注射により一回投与してT1DMを誘導した
[19]。STZ注射して12日後に投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して10日投与した。11日目にマウスを16時間禁食した後、血糖試験紙(Roche,Mannheim,Germany)で血糖を測定した。
その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの血糖はプラスミノーゲン投与群マウスより明らかに高く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(***は、P<0.001を表す)(
図12)。これは、プラスミノーゲンがT1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスの血糖レベルを顕著に低下させることができることを示している。
【実施例13】
【0091】
実施例13は、プラスミノーゲンがT1DMモデルマウスの糖耐性能力を改善することに関するものである。
9~10週齢のPLG
+/+オスマウスを15匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(5匹)とモデル群(10匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kgでSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZ注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群5匹ずつとした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに投与処置はしなかった。28日目にマウスを6時間禁食した後、5g/kg体重で5%グルコース溶液を腹腔注射により投与し、注射後0、15、30、60、90分に血糖試験紙(Roche,Mannheim,Germany)で血糖濃度を測定した。
腹腔内ブドウ糖負荷試験(Intraperitoneal glucose test,IPGTT)は、生体がグルコースに対する耐性能力をテストすることができる。従来技術では、糖尿病患者の耐糖能が低下することが知られている。
その結果、グルコース注射後、溶媒PBS投与対照群マウスの血糖濃度はプラスミノーゲン投与群より明らかに高く、しかも溶媒PBS投与対照群と比べてプラスミノーゲン投与群の糖耐性曲線は正常マウス群により近いことは示されている(
図13)。これは、プラスミノーゲンが、PLG
+/+マウスのT1DMモデルにおける糖耐性能力を向上させることができることを示している。
【実施例14】
【0092】
実施例14は、プラスミノーゲンがT1DMモデルにおけるマウスのグルコース分解能力を向上させることに関するものである。
9~10週齢のC57オスマウスを8匹取り、ランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で4匹ずつである。溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群マウスを4時間禁食した後、200mg/kg体重でストレプトゾトシン(STZ)(sigma S0130)を腹腔注射により一回投与してT1DMを誘導した
[19]。STZ注射して12日後に投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して19日投与した。20日目にマウスを6時間禁食した後、2g/kg体重で20%のグルコースを胃管栄養法により投与し、60分間後、眼窩静脈叢から採血して遠心分離して上澄み液を取り、グルコース測定キット(上海栄盛361500)により血糖を測定した。
その結果、溶媒PBS投与対照群マウスの血糖はプラスミノーゲン投与群マウスの血糖より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(P=0.04)(
図14)。これは、プラスミノーゲンがT1DMモデルにおけるマウスのグルコース分解能力を向上させることができ、血糖を低下させることができることを示している。
【実施例15】
【0093】
実施例15は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスのインスリンの分泌を促進することに関するものである。
27週齢のdb/dbオスマウスを9匹取り、実験開始当日を0日目とし、体重を計って体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に5匹である。一日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。35日目にマウスを16時間禁食し、36日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離して上澄み液を取り、インスリン測定キット(Mercodia AB)で取扱説明書に従って血清インスリンレベルを測定した。
測定した結果、プラスミノーゲン投与群の血清インスリンレベルは溶媒PBS投与対照群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(
図15)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスのインスリン分泌を顕著に促進することができることを示している。
【実施例16】
【0094】
実施例16は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵臓に対する保護作用に関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを7匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に3匹である。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して31日投与した。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にした後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに浸水してヘマトキシリン及びエオシンで染色(HE染色)させ、1%塩酸エタノールで分別させ、アンモニア水でブルーイングさせ、さらにアルコールで段階的に脱水させて封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍と400倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図16A、16B)の大部分の膵島が委縮し、委縮した膵島細胞は腺房(矢印に表記される)に置き換えられ、膵島のヘリの腺房が増殖して膵島と腺房との境目があいまいになっている;プラスミノーゲン投与群(
図16C、16D)の大部分の膵島は対照群より面積が大きく、しかも膵島内には腺房増殖がなく、ただ僅かの膵島内に僅かの腺房が残存しており、膵島と腺房との境目がはっきりしていることは示されている。プラスミノーゲン投与群と対照群の、膵島と膵臓との面積比を比較すると、プラスミノーゲン投与群は対照群の倍近くになっていることが分かる(
図16E)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島損傷の修復を促進できることを示している。
【実施例17】
【0095】
実施例17は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島コラーゲンの沈着を減少させることに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを16匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に10匹、溶媒PBS投与対照群に6匹である。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して31日投与した。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗い、0.1%シリウスレッドで60分間染色した後、流水で流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸エタノールとアンモニア水で分別させてブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
シリウスレッド染色はコラーゲンを持続的に染色することができ、病理学的切片の特殊の染色方法として、シリウスレッド染色はコラーゲン組織を特異的に示すことができる。
染色の結果、プラスミノーゲン投与群マウス(
図17B)の膵島コラーゲンの沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図17A)より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(
図17C)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病動物の膵島の繊維化を低下させることができることを示している。
【実施例18】
【0096】
実施例18は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島細胞のアポトーシスを減少させることに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを6匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に2匹である。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して31日投与した。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を丸で囲み、ウサギ抗マウスCaspase-3抗体(Wuhan Boster Biological Technology,BA2142)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。段階的に脱水させて透徹にし、封入させた後、切片を光学顕微鏡下で400倍にて観察した。
Caspase-3は細胞アポトーシス過程において最も主要な末端切断酵素であり、その発現は多ければ多いほど、アポトーシス状態にある細胞が多いことは示される
[20]。
本発明の実験の結果、プラスミノーゲン投与群(
図18B)のCaspase-3の発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図18A)より明らかに低いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが膵島細胞のアポトーシスを減少させることができることを示している。
【実施例19】
【0097】
実施例19は、プラスミノーゲンが17~18週齢の糖尿病マウスのインスリンの発現と分泌を促進することに関するものである。
17~18週齢のdb/dbオスマウスを8匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で4匹ずつである。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を丸で囲み、ウサギ抗マウスインスリン抗体(Abcam、ab63820)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。段階的に脱水させて透徹にし、封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図19B)のインスリンの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図19A)より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意に近い(P=0.15)(
図19C)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが膵島の機能修復を促進でき、インスリンの発現と分泌を促進できることを示している。
【実施例20】
【0098】
実施例20は、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスのインスリンの発現と分泌を促進することに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを8匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に5匹、溶媒PBS投与対照群に3匹である。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して31日投与した。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を丸で囲み、ウサギ抗マウスインスリン抗体(Abcam、ab63820)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。段階的に脱水させて透徹にし、封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図20B)のインスリンの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図20A)より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(P=0.02)(
図20C)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが膵島の機能を効果的に修復でき、インスリンの発現と分泌を促進できることを示している。
【実施例21】
【0099】
実施例21は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスのインスリン合成分泌機能の修復を促進することに関するものである。
27週齢のdb/dbオスマウスを9匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に5匹である。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。35日目にマウスを16時間禁食した後、36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を丸で囲み、ウサギ抗マウスインスリン抗体(Abcam、ab63820)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。段階的に脱水させて透徹にし、封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図21B)のインスリンの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図21A)より明らかに高く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(P=0.005)(
図21C)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島の機能を効果的に修復でき、インスリンの発現と分泌を促進できることを示している。
【実施例22】
【0100】
実施例22は、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスの膵島多方向核転写因子NF-kBの発現を促進することに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを10匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に6匹である。また、db/mを4匹取って正常対照群とし、正常対照群に対して処置しなかった。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して31日投与した。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を丸で囲み、ウサギ抗マウスNF-kB(Cell Signaling,8242)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。段階的に脱水させて透徹にし、封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
NF-kBは転写因子タンパクの家族メンバーであり、炎症修復の過程において重要な役割を果たしている
[21]。
本発明の実験の結果、プラスミノーゲン投与群(
図22C)のNF-kBの発現(矢印に表記される)は正常対照マウス(
図22A)に近く、溶媒PBS投与対照群(
図22B)より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(
図22D)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが多方向核転写因子NF-kBの発現を促進でき、これによって24~25週齢の糖尿病マウスの膵島炎症の修復を促進できることを示している。
【実施例23】
【0101】
実施例23は、プラスミノーゲンが17~18週齢の糖尿病マウスの膵島α細胞の増殖を減少させ、膵島α細胞の正常な分布を回復し、グルカゴン分泌を低下させることに関するものである。
17~18週齢のdb/dbオスマウスを8匹、db/mオスマウスを3匹取り、体重によってdb/dbマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で4匹ずつであり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目として、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。正常対照マウスに対しては投与処置はしなかった。36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスグルカゴン抗体(Abcam、ab92517)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
膵島α細胞はグルカゴンを合成、分泌し、主に膵島の周辺区域に散在している。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図23C)と比べ、溶媒PBS投与対照群(
図23B)のグルカゴンの陽性細胞(矢印に表記される)は明らかに増え、陽性細胞は膵島の中央に浸潤し、しかも平均光学密度の定量分析の結果の統計学的差異がある(**は、P<0.01を表す)(
図23D);プラスミノーゲン投与群のグルカゴンの陽性細胞は膵島周辺に散在的に分布し、PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の膵島形態は正常対照群(
図23A)により近い。これは、プラスミノーゲンが17~18週齢の糖尿病マウスの膵島α細胞の増殖およびグルカゴンの分泌を顕著に抑制でき、膵島α細胞の分布の乱れを修正できることを示し、プラスミノーゲンが膵島損傷の修復を促進できることを示唆している。
【実施例24】
【0102】
実施例24は、プラスミノーゲンが17~18週齢の糖尿病マウスの膵島インスリン受容体基質2(IRS-2)の発現を促進することに関するものである。
17~18週齢のdb/dbオスマウスを7匹、db/mオスマウスを3匹取り、体重によってdb/dbマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に3匹、溶媒PBS投与対照群に4匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。正常対照マウスに対して投与処置はしなかった。36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスIRS-2抗体(Abcam、ab134101)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
インスリン受容体基質2(Insulin Receptor Substrate-2,IRS-2)は活性化され得るインスリン受容体チロシンキナーゼに作用される基質であり、インスリン信号伝達経路における重要な分子であり、しかも膵島β細胞の生存に対して極めて重要である。IRS-2は膵島β細胞の発現の増加時に保護作用があり、機能性膵島β細胞の維持に対して極めて重要である
[22-23]。
IRS-2免疫組織化学的結果によると、溶媒PBS投与対照群マウス(
図24B)の膵島IRS-2の陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群(
図24C)より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に極めて有意であり(**は、p<0.01を表す)(
図24D)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群はブランク対照群(
図24A)により近い。これは、プラスミノーゲンが、17~18週齢の糖尿病マウスの膵島細胞IRS-2の発現を効果的に増加させることができることを示している。
【実施例25】
【0103】
実施例25は、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスの膵島IRS-2の発現を促進することに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを11匹、db/mオスマウスを5匹取り、体重によってdb/dbマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に5匹、溶媒PBS投与対照群に6匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して31日投与した。正常対照マウスに対して投与処置はしなかった。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスIRS-2抗体(Abcam、ab134101)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
IRS-2免疫組織化学的結果によると、溶媒PBS投与対照群マウス(
図25B)の膵島IRS-2の陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群(
図25C)より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)(
図25D)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群は正常対照群(
図25A)により近い。これは、プラスミノーゲンが、24~25週齢の糖尿病マウスの膵島細胞IRS-2の発現を効果的に増加させることができることを示している。
【実施例26】
【0104】
実施例26は、プラスミノーゲンが27週齢の糖尿病マウスの膵島IRS-2の発現を促進することに関するものである。
27週齢のdb/dbオスマウスを9匹、db/mオスマウスを3匹取り、体重によってdb/dbマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に5匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。正常対照マウスに対して投与処置はしなかった。36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスIRS-2抗体(Abcam、ab134101)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
IRS-2免疫組織化学的結果によると、溶媒PBS投与対照群マウス(
図26B)の膵島IRS-2の陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群(
図26C)より明らかに少ない;プラスミノーゲン投与群のIRS-2発現レベルは正常対照群マウス(
図26A)に近い。これは、プラスミノーゲンが、27週齢の糖尿病マウスの膵島細胞IRS-2の発現を効果的に増加させることができることを示している。
【実施例27】
【0105】
実施例27は、プラスミノーゲンが、PLG
+/+T1DMマウスの膵島IRS-2の発現を促進することに関するものである。
9~10週齢のPLG
+/+オスマウスを15匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(5匹)とモデル群(10匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kg体重でSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZ注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群5匹ずつとした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに投与処置はしなかった。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスIRS-2抗体(Abcam、ab134101)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
IRS-2免疫組織化学的結果によると、溶媒PBS投与対照群マウス(
図27B)の膵島IRS-2の陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群(
図27C)より明らかに少なく、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群はブランク対照群(
図27A)により近い。これは、プラスミノーゲンが膵島細胞IRS-2の発現を効果的に増加させ、インスリン信号伝達を改善し、PLG
+/+T1DMマウスの膵島β細胞の損傷を減少させることができることを示している。
【実施例28】
【0106】
実施例28は、プラスミノーゲンが24~26週齢の糖尿病マウスの膵島好中球の浸潤を減少させることに関するものである。
24~26週齢のdb/dbオスマウスを9匹、db/mオスマウスを3匹取り、db/dbオスマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に5匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。実験開始当日を0日目とし、体重を計って群分けをし、実験の2日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、その日を1日目とした。プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。EDTAで30分間修復し、室温で10分間冷却してから水で柔らかく濯いだ。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ラット抗マウス好中球抗体(cedarlane,CL8993AP)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ラットIgG(HRP)抗体(Abcam、ab97057)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で400倍にて観察した。
好中球は非特異的な細胞性免疫系における重要なメンバーであり、炎症が発生する時、好中球は走化性物質により炎症部位に吸引される。
好中球の免疫組織化学的結果によると、プラスミノーゲン投与群(
図28C)の陽性発現細胞は溶媒PBS投与対照群(
図28B)より少なく、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群は正常対照群(
図28A)により近い。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島好中球の浸潤を減少させることができることを示している。
【実施例29】
【0107】
実施例29は、プラスミノーゲンが、PLG
-/-マウスのT1DMモデルにおける膵島好中球の浸潤を減少させることに関するものである。
9~10週齢のPLG
-/-オスマウスを10匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(3匹)とモデル群(7匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kg体重でSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZ注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群(3匹)とプラスミノーゲン投与群(4匹)とした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに投与処置はしなかった。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。EDTAで30分間修復し、室温で10分間冷却してから水で柔らかく濯いだ。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ラット抗マウス好中球抗体(cedarlane,CL8993A)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ラットIgG(HRP)抗体(Abcam、ab97057)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で400倍にて観察した。
好中球の免疫組織化学的結果によると、プラスミノーゲン投与群(
図29C)の陽性発現細胞(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図29B)より少なく、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群はブランク対照群(
図29A)により近い。これは、プラスミノーゲンが、PLG
-/-マウスのT1DMモデルにおける膵島好中球の浸潤を減少させることができることを示している。
【実施例30】
【0108】
実施例30は、プラスミノーゲンが、PLG
+/+マウスのT1DMモデルにおける膵島好中球の浸潤を減少させることに関するものである。
9~10週齢のPLG
+/+オスマウスを15匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(5匹)とモデル群(10匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kg体重でSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZを注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群5匹ずつとした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに対して投与処置はしなかった。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。EDTAで30分間修復し、室温で10分間冷却してから水で柔らかく濯いだ。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ラット抗マウス好中球抗体(cedarlane,CL8993A)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ラットIgG(HRP)抗体(Abcam、ab97057)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で400倍にて観察した。
好中球の免疫組織化学的結果によると、プラスミノーゲン投与群(
図30C)の陽性発現細胞(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図30B)より少なく、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群はブランク対照群(
図30A)により近い。これは、プラスミノーゲンが、PLG
+/+マウスのT1DMモデルにおける膵島好中球の浸潤を減少させることができることを示している。
【実施例31】
【0109】
実施例31は、プラスミノーゲンが、T1DMモデルにおけるPLG
-/-マウスのインスリンの合成と分泌を促進することに関するものである。
9~10週齢のPLG
-/-オスマウスを10匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(3匹)とモデル群(7匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kg体重でSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZ注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群(3匹)とプラスミノーゲン投与群(4匹)とした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに投与処置はしなかった。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスインスリン抗体(Abcam、ab63820)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
免疫組織化学的結果によると、プラスミノーゲン投与群(
図31C)のインスリンの陽性発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図31B)より明らかに多く、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群はブランク対照群(
図31A)により近い。これは、プラスミノーゲンが、T1DMモデルにおけるPLG
-/-マウスのインスリンの合成と分泌を促進できることを示している。
【実施例32】
【0110】
実施例32は、プラスミノーゲンが、T1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスのインスリンの合成と発現を促進することに関するものである。
9~10週齢のPLG
+/+オスマウスを15匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(5匹)とモデル群(10匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kg体重でSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZを注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群5匹ずつとした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに対して投与処置はしなかった。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスインスリン抗体(Abcam、ab63820)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
免疫組織化学的結果によると、プラスミノーゲン投与群(
図32C)のインスリンの陽性発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図32B)より明らかに多く、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群はブランク対照群(
図32A)により近い。これは、プラスミノーゲンが、T1DMモデルにおけるPLG
+/+マウスのインスリンの合成と発現を促進できることを示している。
【実施例33】
【0111】
実施例33は、プラスミノーゲンが、PLG
-/-マウスのT1DMモデルにおける膵島多方向核転写因子NF-kBの発現を促進することに関するものである。
9~10週齢のPLG
-/-オスマウスを10匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(3匹)とモデル群(7匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kg体重でSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZ注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群(3匹)とプラスミノーゲン投与群(4匹)とした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに投与処置はしなかった。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスNF-kB抗体(Cell Signal、8242)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
実験の結果、プラスミノーゲン投与群(
図33C)のNF-kBの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図33B)より明らかに高いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが多方向核転写因子NF-kBの発現を促進でき、これによって膵島炎症の修復を促進できることを示している。
【実施例34】
【0112】
実施例34は、プラスミノーゲンが17~18週齢の糖尿病マウスの膵島多方向核転写因子NF-kBの発現を促進することに関するものである。
17~18週齢のdb/dbオスマウスを7匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に3匹、溶媒PBS投与対照群に4匹である。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスNF-kB抗体(Cell Signal、8242)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
本発明の実験の結果、プラスミノーゲン投与群(
図34B)のNF-kBの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図34A)より明らかに高いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが多方向核転写因子NF-kBの発現を促進でき、これによって比較的に若い(17~18週齢)糖尿病マウスの膵島炎症の修復を促進できることを示している。
【実施例35】
【0113】
実施例35は、プラスミノーゲンが27週齢の糖尿病マウスの多方向核転写因子NF-kBの発現を促進することに関するものである。
27週齢のdb/dbオスマウスを9匹、db/mオスマウスを3匹取り、体重によってdb/dbマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に5匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。正常対照マウスに対して投与処置はしなかった。36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスNF-kB抗体(Cell Signal、8242)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
実験の結果、プラスミノーゲン投与群(
図35C)のNF-kBの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図35B)より明らかに高く、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群は正常対照群(
図35A)により近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが比較的に老齢(27週齢)の糖尿病マウスの多方向核転写因子NF-kBの発現を促進でき、これによってその膵島炎症の修復を促進できることを示している。
【実施例36】
【0114】
実施例36は、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスの膵島TNF-αの発現を促進することに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを11匹、db/mオスマウスを5匹取り、体重によってdb/dbマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に5匹、溶媒PBS投与対照群に6匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与するか何ら液体も注射せずに、連続して31日投与した。正常対照マウスに対して投与処置はしなかった。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスTNF-α抗体(Abcam、ab34674)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
腫瘍壊死因子α(Tumor Necrosis Factor-α、TNF-α)は主に活性化した単核/マクロファージにより発生し、炎症を促進する重要な因子である
[24]。
本実験研究の結果、プラスミノーゲン投与群(
図36C)のTNF-αの陽性発現は溶媒PBS投与対照群(
図36B)より明らかに高く、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群は正常対照群(
図36A)により近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスのTNF-αの発現を促進でき、膵島損傷の修復を促進できることを示している。
【実施例37】
【0115】
実施例37は、プラスミノーゲンが27週齢の糖尿病マウスの膵島TNF-αの発現を促進することに関するものである。
27週齢のdb/dbオスマウスを9匹、db/mオスマウスを3匹取り、体重によってdb/dbマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に4匹、溶媒PBS投与対照群に5匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して35日投与した。正常対照マウスに対して投与処置はしなかった。36日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスTNF-α抗体(Abcam、ab34674)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
研究の結果、プラスミノーゲン投与群(
図37C)のTNF-αの陽性発現は溶媒PBS投与対照群(
図37B)より明らかに高く、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群は正常対照群(
図37A)により近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが27週齢の糖尿病マウスのTNF-αの発現を促進でき、膵島損傷の修復を促進できることを示している。
【実施例38】
【0116】
実施例38は、プラスミノーゲンが、PLG
-/-マウスのT1DMモデルにおける膵島TNF-αの発現を促進することに関するものである。
9~10週齢のPLG
-/-オスマウスを10匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(3匹)とモデル群(7匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kg体重でSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZを注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群(3匹)とプラスミノーゲン投与群(4匹)とした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに投与処置はしなかった。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスTNF-α抗体(Abcam、ab34674)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
本実験研究の結果、プラスミノーゲン投与群(
図38B)のTNF-αの陽性発現は溶媒PBS投与対照群(
図38A)より明らかに高いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが、PLG
-/-マウスのT1DMモデルにおけるTNF-αの発現を促進でき、膵島損傷の修復を促進できることを示している。
【実施例39】
【0117】
実施例39は、プラスミノーゲンが、PLG
-/-マウスのT1DMモデルにおける膵島の損傷を軽減することに関するものである。
9~10週齢のPLG
-/-オスマウスを10匹取り、体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群(3匹)とモデル群(7匹)である。モデル群マウスを4時間禁食した後、一回経腹腔で200mg/kg体重でSTZ(Sigma,S0130)を注射してI型糖尿病を誘導し
[19]、ブランク対照群に対して一回経腹腔で0.25mlのクエン酸ナトリウム溶液(pH4.5)を注射した。STZを注射して12日後、血糖値を血糖計で測定し、モデル群マウスを血糖に基づいてランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群3匹とプラスミノーゲン投与群4匹とした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。ブランク対照群マウスに投与処置はしなかった。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ヤギ抗マウスIgM(HRP)抗体(Abcam、ab97230)を滴加して室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
IgM抗体はアポトーシスと壊死した細胞の除去過程において重要な役割を果たし、組織器官の損傷局所のIgM抗体のレベルは、損傷程度と正相関している
[25-26]。よって、組織器官局所のIgM抗体のレベルは、該組織器官の損傷状況を反映できる。
研究の結果、プラスミノーゲン投与群(
図39C)のIgMの陽性発現は溶媒PBS投与対照群(
図39B)より明らかに低く、溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群はブランク対照群(
図39A)により近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンがIgMの発現を低下させることができることを示し、プラスミノーゲンが、PLG
-/-マウスのT1DMモデルにおける膵島の損傷を軽減できることを示唆している。
【実施例40】
【0118】
実施例40は、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスの膵島細胞のアポトーシスを減少させることに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを11匹、db/mオスマウスを5匹取り、体重によってdb/dbマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に5匹、溶媒PBS投与対照群に6匹であり、db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与するか何ら液体も注射せずに、連続して31日投与した。正常対照マウスに対して投与処置はしなかった。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、プロテアーゼK使用液を滴加して組織を覆い、室温で7分間インキュベーションし、0.01M PBSで3回洗い、毎回3分間であった。TUNELキット(Roche)の試薬1と試薬2との混合液体(5:45)を滴加し、37℃恒温で40分間インキュベーションし、0.01M PBSで3回洗い、毎回3分間であった。メタノールで調製した3%過酸化水素水(過酸化水素:メタノール=1:9)を滴加して室温で遮光して20分間インキュベーションし、0.01M PBSで3回洗い、毎回3分間であった。TUNELキットの試薬3を滴加し、37℃恒温で30分間インキュベーションし、0.01M PBSで3回洗い、DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で400倍にて観察した。
TUNEL染色は、組織細胞がアポトーシスの末期における細胞核DNAの破断状況を検出するために用いることができる。
本実験研究の結果、正常対照群のTUNEL陽性染色は極めて低い(
図40A)。プラスミノーゲン投与群(
図40C)の陽性細胞数(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図40B)より明らかに少ない。正常対照群のアポトーシス率は約8%であり、溶媒PBS投与対照群のアポトーシス率は約93%であり、プラスミノーゲン投与群のアポトーシス率は約16%である。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島細胞のアポトーシスを顕著に減少させることができることを示している。
【実施例41】
【0119】
実施例41は、プラスミノーゲンがT1DMモデルにおけるマウスのインスリン分泌を改善できることに関するものである。
9~10週齢のC57オスマウスを13匹取り、マウスを4時間禁食した後、ストレプトゾトシン(STZ)を(sigma S0130)200mg/kg体重で腹腔注射により一回投与してT1DMを誘導した
[19]。STZを注射して12日後に血糖を測定し、血糖によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群(6匹)とプラスミノーゲン投与群(7匹)とした。群分けしてから投薬し始め、投薬開始当日を一日目とし、プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して20日投与した。21日目にマウスを6時間禁食した後、眼球静脈叢から採血して遠心分離して上澄み液を取り、インスリン測定キット(Mercodia AB)を用いて取扱説明書に従って血清インスリン濃度を測定した。
その結果、溶媒PBS投与対照群マウスのインスリン濃度はプラスミノーゲン投与群マウスより明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意に近い(P=0.08)(
図41)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンがT1DMモデルにおけるマウスのインスリン分泌を促進できることを示している。
【実施例42】
【0120】
実施例42は、プラスミノーゲンが24~25週齢の糖尿病マウスの膵臓GLP-1Rの発現を促進することに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウスを11匹取り、db/mオスマウスを5匹取り、db/dbマウスの体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群で5匹と溶媒PBS投与対照群で6匹とした。db/mマウスを正常対照群とした。投与開始当日を一日目とし、その日からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与するか何ら液体も注射せずに、連続して31日投与した。正常対照群マウスに対して投与処置はしなかった。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスGLP-1R抗体(NOVUS,NBP1-97308)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
グルカゴン様ペプチド‐1受容体(glucagon-like peptide-1 receptor,GLP-1R)は、グルカゴン受容体ファミリーメンバーの一つであり、Gタンパク質共役受容体であり、インスリン分泌を促進することにより血糖レベルを調節することができる
[27-28]。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図42B)のマウスの膵島GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は正常対照群マウス(
図42A)より明らかに少なく、プラスミノーゲン投与群(
図42C)マウスの膵島GLP-1Rの発現は正常対照群よりも少ないが、溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(*は、P<0.05を表し、**は、P<0.01表す)(
図42D)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島GLP-1Rの発現を促進できることを示している。
【実施例43】
【0121】
実施例43は、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの膵臓GLP-1Rの発現を促進することに関するものである。
9週齢のオスC57マウス17匹に3%コレストロール高脂肪食(南通トロフィー飼料科技有限公司)を4週間給餌して高脂血症を誘発し
[29-30]、このモデルを3%コレストロール高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き3%コレストロール高脂肪食を与えた。また、同じ週齢のオス野生型マウス5匹を取ってブランク対照群とし、実験期間中に通常の維持食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロールを測定し、マウスを総コレステロール濃度と体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群(9匹)と溶媒PBS投与対照群(8匹)とした。投与開始当日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して30日間投与した。ブランク対照群マウスに対して投与処置はしなかった。31日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を24~48時間行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスGLP-1R抗体(NOVUS,NBP1-97308)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図43B)のマウスの膵島GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は正常対照群マウス(
図43A)より明らかに少なく、プラスミノーゲン投与群(
図43C)マウスの膵島GLP-1Rの発現はブランク対照群よりも少ないが、溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(**は、P<0.01表す)(
図43D)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの膵島GLP-1Rの発現を促進できることを示している。
【実施例44】
【0122】
実施例44は、プラスミノーゲンが14~15週齢の糖尿病マウスの膵島GLP-1Rの発現を促進することに関するものである。
14~15週齢のdb/dbオスマウスを12匹取り、実験開始当日を0日目とし、体重を計ってdb/dbマウスの体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で各群で6匹ずつとした。一日目からプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、プラスミノーゲン投与群に2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して28日投与した。29日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスGLP-1R抗体(NOVUS,NBP1-97308)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(
図44A)のマウスの膵島GLP-1Rの発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群(
図44B)より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意に近い(
図44C)(P=0.09)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが比較的に若い(14~15週齢)糖尿病マウスの膵島GLP-1Rの発現を促進できることを示している。
【実施例45】
【0123】
実施例45は、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化モデルマウスの肝臓GLP-1Rの発現を促進することに関するものである。
6週齢の18~22gのオスAPOEマウス19匹に高脂肪モデル食(TP2031、南通トロフィー飼料科技有限公司)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化モデルを構築した
[31-32]。投与の3日前に、すべてのマウスの体重を測って眼球の静脈叢から50μLの血液を採取し、血漿TCおよびHDLを測定し、アテローム性動脈硬化指数を計算した。1匹のマウスをランダムに選択し、アテローム性動脈硬化指数によって残りのマウスをランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で各群9匹ずつとした。群分けしてから投与し始め、投与開始当日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して30日間投与した。31日目にマウスを殺処分して肝臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を24~48時間行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスGLP-1R抗体(NOVUS,NBP1-97308)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図45B)のマウスの肝臓GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図45A)より明らかに多く、しかもその差が統計学的に極めて有意である(
図45C)(***は、P<0.001を表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化モデルマウスの肝臓GLP-1Rの発現を促進でき、肝臓脂肪の合成、分泌、吸収または酸化を促進し、血中脂質レベルを低下させ、高脂血症を改善する可能性があることを示している。
【実施例46】
【0124】
実施例46は、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの肝臓GLP-1Rの発現を促進することに関するものである。
9週齢のオスC57マウス17匹に3%コレストロール高脂肪食(南通トロフィー飼料科技有限公司)を4週間給餌して高脂血症を誘発し
[29-30]、このモデルを3%コレストロール高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き3%コレストロール高脂肪食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロールを測定し、マウスを総コレステロール濃度と体重によってランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群(9匹)と溶媒PBS投与対照群(8匹)とした。群分けしてから投与し始め、投与開始当日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して30日間投与した。31日目にマウスを殺処分して肝臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を24~48時間行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスGLP-1R抗体(NOVUS,NBP1-97308)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図46B)マウスの肝臓GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図46A)より明らかに多く、しかもその差が統計学的に有意に近い(P=0.09)(
図46C)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの肝臓GLP-1Rの発現を促進でき、肝臓脂肪の合成、分泌、吸収または酸化を促進し、血中脂質レベルを低下させ、高脂血症を改善する可能性があることを示している。
【実施例47】
【0125】
実施例47は、プラスミノーゲンがパーキンソンモデルマウスの黒質GLP-1Rの発現を促進することに関するものである。
9週齢のC57オスマウスを12匹取り、モデルを構築する1日前に体重を測り、マウスに30mg/kg体重で毎日5mg/ml MPTP溶液を腹腔内注射により投与し、連続して5日間注射してパーキンソンモデルを構築した
[33-34]。MPTP溶液の調製:10mlの脱イオン水をシリンジで吸引して、100mgのMPTP粉末(sigma、M0896)に加えて10mg/mlの母液を作り、そして1mlの母液を吸い取ってアンプルに入れ、1mlの脱イオン水を加え、最終濃度は5mg/mlである。モデル構築後、マウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群6匹ずつとし、投与し始め、投与開始当日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、連続して14日間投与した。15日目にマウスを殺処分して迅速に脳を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を24~48時間行った。固定後の脳組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。黒質を決まった位置で切片し、切片の厚みは4μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗マウスGLP-1R抗体(NOVUS,NBP1-97308)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させた後、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
パーキンソン病は、黒質線条体ニューロンのドーパミン作動性シグナルの喪失を特徴とし、黒質線条体もGLP-1Rを発現する
[35]。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図47B)マウスの黒質GLP-1Rの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図47A)より明らかに多く、しかもその差が統計学的に有意である(
図47C)(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。この結果は、プラスミノーゲンがパーキンソンモデルマウスの黒質GLP-1Rの発現を促進できることを示している。
【実施例48】
【0126】
実施例48は、プラスミノーゲンが肥満マウスの体重および脂肪含有量に対する影響に関するものである。
マウスモデルと群分け
8週齢のC57オスマウス14匹を取って体重によってランダムに二つの群に分け、ブランク対照群で4匹とモデル群で10匹とした。ブランク対照群マウスに通常の維持食を与え、モデル群マウスに45%脂肪カロリー高脂肪食(TP23000、南通トロフィー飼料科技有限公司)を12週間給餌して肥満モデルを建築した
[36]。本文において、45%脂肪カロリー高脂肪食は高カロリー食と略称される。12週間後、モデル群マウスの体重を測って体重によってさらにランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で各群5匹ずつとした。ヒトプラスミノーゲンをPBSに溶けた。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、ブランク対照群に対しては何の処置もしなかった。上記実験動物に連続して28日間投与し(投与開始当日を1日目とし)、29日目に下記処置および測定を行った。
測定と結果
体重測定
上記実験動物に対して1日目、29日目に体重を測って体重の変化を計算した。29日目の体重から1日目の体重を差し引いた数値が結果として示されている。
その結果、ブランク対照群の体重変化は明らかではなく、プラスミノーゲン投与群の体重が溶媒PBS投与対照群より明らかに軽減されて、その差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(
図48)。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスの体重を有意に低めることができることを示している。
体重指数の測定
29日目に上記マウスに対して体重を測ってマウスの体長を量り、体重指数を計算した。体重指数=体重(kg)/体長
2(m)。
体重指数は、現在国際的によく使用されている、人体の太り具合および健康であるか否かを量る基準である。体重指数は肥満モデル動物の太り具合の指標とすることもできる
[37-38]。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの体重指数は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表し、**は、P<0.01を表す)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群マウスの体重指数はブランク対照群により近い(
図49)。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスの体重指数を有意に低め、肥満を軽減することができることを示している。
Lee’s指数の測定
上記マウスに対して29日目に体重を測ってからマウスの体長を量り、Lee’s指数を計算した。Lee’s指数=
3 ̄体重(g)/体長(cm)。
Lee’s指数は肥満程度を反映するための有効な指数である
[39-40]。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスのLee’s指数は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群マウスのLee’s指数はブランク対照群により近い(
図50)。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスのLee’s指数を有意に低め、肥満を軽減することができることを示している。
腹腔内脂肪量の検出
上記マウスに対して29日目に体重を測ってから殺処分し、腹腔脂肪を取って重量を量った。腹腔脂肪係数(%)=(腹腔脂肪重量/体重)*100。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの腹腔脂肪係数は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)、しかもブランク対照群マウスの脂肪係数により近い(
図51)。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスの腹腔脂肪の沈着を有意に低めることができることを示している。
腹腔皮下脂肪の空胞面積の検出
29日目に上記マウスを殺処分し、腹腔脂肪を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24~48時間固定を行った。固定後の組織サンプルをアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは4μmであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに浸水してヘマトキシリン及びエオシンで染色(HE染色)させ、1%塩酸エタノールで分別させ、アンモニア水でブルーイングさせ、さらにアルコールで段階的に脱水させて封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。Image-pro plus画像処理ソフトを使って脂肪空胞の面積を分析した。
肥満体のエネルギー摂取がエネルギー消耗を超えると、大量の脂質が脂肪細胞に蓄積して脂肪組織の拡張、すなわち脂肪細胞の増大を引き起こし、脂肪空胞の面積が増えることになる
[41]。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図52C)の脂肪空胞の面積は溶媒PBS投与対照群(
図52B)より明らかに小さく、その差が統計学的に極めて有意であり(**は、P<0.01を表す)(
図52D)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の脂肪空胞面積はブランク対照群マウスにより近い(
図52A)。これは、プラスミノーゲンが肥満モデルマウスの脂肪細胞の大きさを有意低め、腹腔脂肪の沈着を減少させることができることを示している。
【実施例49】
【0127】
実施例49は、プラスミノーゲンが肝臓における脂質沈着を低減することに関する研究の一である。
24~25週齢のオスdb/dbマウス10匹を取り、実験開始当日を0日目として体重を測り、体重によってランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつとした。1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し始めた。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、35日間投与した。36日目にマウスを殺処分して肝臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24~48時間固定を行った。それぞれ15%、30%スクロース中において4℃で終夜沈めさせ、OCTで包埋処理を行い、凍結切片の厚みは8μmであり、オイルレッドOで15分間染色し、75%アルコールで5秒間分別し、そしてヘマトキシリンで30秒間核を染色し、グリセリンゼラチンに封入させた。切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
オイルレッドO染色は、脂質沈着を表し、脂質沈着の程度を反映することができる
[42]。
染色の結果、プラスミノーゲン投与群(
図53B)のマウスの肝臓における脂肪沈着面積は溶媒PBS投与対照群(
図53A)より明らかに小さく、しかもその差が統計学的に有意である(P=0.02)(
図53C)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの肝臓における脂肪の沈着を低減できることを示している。
【実施例50】
【0128】
実施例50は、プラスミノーゲンが肝臓における脂質沈着を低減することに関する研究の二である。
6週齢のオスApoEマウス13匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症を誘発した
[31-32]。モデル化後のマウスに引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロール(T-CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT-CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、30日間投与した。投与期間中に引き続きモデル食をマウスに与えた。31日目にマウスを殺処分して肝臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24~48時間固定を行った。それぞれ15%、30%スクロース中において4℃で終夜沈めさせ、OCTで包埋処理を行い、凍結切片の厚みは8μmであり、オイルレッドOで15分間染色し、75%アルコールで5秒間分別し、そしてヘマトキシリンで30秒間核を染色し、グリセリンゼラチンに封入させた。切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
染色の結果、プラスミノーゲン投与群(
図54B)マウスの肝臓における脂肪沈着は溶媒PBS投与対照群(
図54A)より明らかに少なく、しかもその定量分析の差が統計学的に有意である(P=0.02)(
図54C)。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症モデルマウスの肝臓における脂肪の沈着を低減できることを示している。
【実施例51】
【0129】
実施例51は、プラスミノーゲンが肝臓における脂質沈着を低減することに関する研究の三である。
6週齢のオスC57マウス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血症のモデルを誘発し
[29-30]、このモデルを16週齢高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロール(T-CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT-CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹とプラスミノーゲン投与群で5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。投与期間中にモデル食を引き続きマウスに与えた。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分して肝臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24~48時間固定を行った。それぞれ15%、30%スクロース中において4℃で終夜沈めさせ、OCTで包埋処理を行い、凍結切片の厚みは8μmであり、オイルレッドOで15分間染色し、75%アルコールで5秒間分別し、そしてヘマトキシリンで30秒間核を染色し、グリセリンゼラチンに封入させた。切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図55B)マウスの肝臓における脂肪沈着は溶媒PBS投与対照群(
図55A)より明らかに少なく、しかもその定量分析の差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(
図55C)。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの肝臓における脂肪の沈着を低減できることを示している。
【実施例52】
【0130】
実施例52は、プラスミノーゲンがcuprizone誘発性脱ミエリンモデルマウスの脳梁ミエリンの再生を促進することに関するものである。
8週齢のC57オスマウスを20匹取り、ランダムに二つの群に分け、ブランク対照群6匹とモデル群14匹とした。ブランク対照群マウスに通常の維持食を与え、モデル群マウスに0.2%cuprizoneモデル食(南通トロフィー飼料科技有限公司)を6週間給餌してマウスミエリン脱落モデルを誘発した
[43]。6週間後、モデル群マウスを体重によってさらにランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で各群7匹とした。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、ブランク対照群マウスに対して注射の処置はしなかった。連続して14日間投与した。投与期間中にすべてのマウスに通常の維持食を与えた。投薬開始当日を1日目とし、15日目にマウスを解剖して脳を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行い、脱水して包埋した。固定後の組織サンプルをアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。脳組織の冠状切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水した後、ミエリン染色液でLFB染色を行った。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で観察して写真を撮った。
LFB(luxol fast blue)染色は、ルクソール‐ファスト‐ブルー染色法を使用してミエリンを染色し、皮質脊髄路の位置決め、ミエリン病変、損傷及び再生修復の形態観察を研究するための効果的な方法である
[44-45]。
その結果、ブランク対照群(
図56A)の脳梁ミエリンの形態は基本的に正常であり、プラスミノーゲン投与群(
図56C)の脳梁ミエリンの陽性着色(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図56B)より明らかに多く、しかもその差が統計学的に有意である(
図56D)(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンがcuprizone誘発性脱ミエリンモデルマウスの脳梁ミエリンの再生を促進できることを示している。
【実施例53】
【0131】
実施例53は、プラスミノーゲンが損傷した神経におけるニューロフィラメントタンパク質の発現を促進することに関するものである。
8週齢のC57オスマウスを20匹取り、ランダムに二つの群に分け、ブランク対照群6匹とモデル群14匹とした。ブランク対照群マウスに通常の維持食を与え、モデル群マウスに0.2%cuprizoneモデル食(南通トロフィー飼料科技有限公司)を6週間給餌してマウスミエリン脱落モデルを誘発した
[43]。6週間後、モデル群マウスを体重によってさらにランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で各群7匹とした。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、ブランク対照群マウスに対して注射の処置はしなかった。連続して14日間投与した。投与期間中にすべてのマウスに通常の維持食を与えた。投薬開始当日を1日目とし、15日目にマウスを解剖して脳を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行い、脱水して包埋した。固定後の組織サンプルをアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。脳組織の冠状切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。クエン酸で30分間修復し、室温で10分間冷却してから水で柔らかく濯いだ。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。10%のヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗NFP抗体(Abcam,ab207176)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間ブルーイングし、そしてPBSで1回洗った。段階的に脱水させて透徹にして封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
ニューロフィラメントタンパク質(Neurofilament protein,NFP)は、神経細胞の軸索の中間フィラメントを形成するタンパク質である。その機能は、弾力性を与えて神経線維を引き伸ばしやすくし、破損を防ぐことであり、細胞骨格の維持、細胞形態の安定化、および軸索輸送において非常に重要である
[46]。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図57C)マウスの脳梁NFPの発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図57B)より明らかに多く、その差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群の脳梁NFPの発現はブランク対照群(
図57A)により近い。これは、プラスミノーゲンがNFPの発現を促進でき、これによって神経線維の再生を促進できることを示している。
【実施例54】
【0132】
実施例54は、プラスミノーゲンが皮膚の神経再生を促進することに関するものである。
メスdb/dbマウスを30匹取り、実験前に、非空腹時血糖(血糖は15mM以上である)を測定して体重を測り、マウスを血糖および体重によって二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群15匹ずつとした。すべてのマウスに50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔内注射してマウスを麻酔した。マウスを麻酔した後、背中の毛の一部を取り除いた。銅ブロックを沸騰した水で95~100℃に加熱し、取り出した直後にマウスの脱毛部分に垂直して6秒間軽く触れた。接触する際に余分な圧力がかからないようにし、皮膚熱傷モデルを構築した
[47]。モデルを構築して5分後に投与し、プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。投薬開始当日を1日目とし、4、8日目に二つの群のマウスから5匹ずつを取り、殺処分して熱傷した皮膚を取った。15日目に残りのマウスを殺処分して熱傷した皮膚を取った。皮膚を4%パラホルムアルデヒド固定液において24~48時間固定を行い、パラフィンで包埋処理を行った。切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水して1回水で洗った。クエン酸で30分間修復し、室温で10分間冷却してから水で柔らかく濯いだ。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。10%のヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ウサギ抗PGP9.5抗体(Abcam,ab10404)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒対比染色をして、流水で5分間ブルーイングし、そしてPBSで1回洗った。段階的に脱水させて透徹にして封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
タンパク質遺伝子産物9.5(Protein gene product 9.5,PGP 9.5)は、神経線維における特異的なユビキチンヒドロキシヒドロラーゼである。神経軸索のマーカーとして、抗PGP9.5抗体は、ミエリンのないまたはミエリンを有するあらゆる神経線維と結合することができる
[48-49]。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの熱傷した皮膚のPGP9.5の陽性発現は、溶媒PBS投与対照群より高く、しかも二つの群のマウスのPGP9.5の発現は、8日目にその差が統計学的に有意に近く、15日目にその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(
図58)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病熱傷の皮膚の神経再生を促進できることを示している。AはPGP9.5染色の代表的写真であり、a~cはそれぞれ、溶媒PBS投与対照群の4、8、15日目の代表的写真であり、d~fはプラスミノーゲン投与群の4、8、15日目の代表的写真である。Bは投与の4日目および8日目の免疫染色の定量分析結果である。Cは投与15日目の定量分析結果である。
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