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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】抱っこ補助機能付きバッグ
(51)【国際特許分類】
   A45C 9/00 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
A45C9/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021128675
(22)【出願日】2021-08-05
(65)【公開番号】P2022126576
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】P 2021024362
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516219244
【氏名又は名称】株式会社ワンスレッド
(74)【代理人】
【識別番号】718001621
【氏名又は名称】半田 真哉
(72)【発明者】
【氏名】半田 真哉
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0016720(KR,A)
【文献】特開平09-299198(JP,A)
【文献】特開2001-137082(JP,A)
【文献】特開2003-000401(JP,A)
【文献】特開2018-175607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 9/00
A45F 3/02
A47D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の肩に掛けて装着することが可能な第1の装着部材が設けられたバッグ本体を有し、乳幼児を抱っこする機能を備えるバッグであって、前記バッグ本体に設けられた収納部と、前記バッグ本体の収納部に取り出し可能に収納されるとともに一端が前記バッグ本体側に接続されている背あてと、前記背あての上部に設けられ輪になって片手で首にかけることが出来る背あてストラップと、前記背あての下部には乳幼児の落下を防止するため乳幼児の胴回りに設けられる落下防止ベルトと、前記バッグ本体に設けられ身体の胴体に巻き付けられる第2の装着部材とを具備することを特徴とする抱っこ補助機能付きバッグ。
【請求項2】
前記背あては、一端が前記バッグ本体側に接続され、他端にはストラップが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の抱っこ補助機能付きバッグ。
【請求項3】
前記第1の装着部材は、前記バッグ本体の鉛直方向に対して傾斜して接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の抱っこ補助機能付きバッグ。
【請求項4】
前記バッグ本体の両側端には三角状のサポート部を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の抱っこ補助機能付きバッグ。
【請求項5】
前記バッグ本体には、前記第2の装着部材が収納される収納部が設けられており、前記第2の装着部材は、前記収納部に取り出し可能に収納されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の抱っこ補助機能付きバッグ。
【請求項6】
前記背あてには、前背あての他端側の長さを調節できる調節具が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の抱っこ補助機能付きバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は抱っこ補助機能付きバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抱っこ機能付きのショルダーバッグは、バッグ本体に取り付けられたショルダーベルトを分離して、幼児の背中を保持する背あてとすることを特徴とするものである。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のバッグは、バッグ本体と背あての間に隙間ができ、例えば2歳未満の乳幼児を抱っこする際には乳幼児を確実に保持することが難しい。
また上述した従来のバッグは小物類を収納するには十分なスペースがあるが、乳幼児との外出の際に必要となる哺乳瓶や水筒、おむつや着替えなどの子育て用品を持って出かける場合には、別途バッグを持つ必要があった。
【0005】
本発明は、哺乳瓶や水筒、おむつや着替えなどの子育て用品を収納できる収納スペースを有し、普段使いもできるバッグで、抱っこ補助具として使用する際には乳幼児を安定して保持できる抱っこ補助機能付きバッグの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の抱っこ補助機能付きバッグは、身体に装着することが可能なバッグ本体を有し、乳幼児を抱っこする機能を備えるバッグであって、前記バッグ本体に設けられた収納部と、前記バッグ本体の収納部に取り出し可能に収納されるとともに一端が前記バッグ本体側に接続されている背あてと、前記バッグ本体に設けられ身体の胴体に巻き付けられる装着部材とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の抱っこ補助機能付きバッグによれば、乳幼児との外出の際に必要なものを収納し持ち運ぶことができ、抱っこの補助具として使用する際は乳幼児を安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る抱っこ補助機能付きバッグの斜視図
図2】前記バッグの背面収納部から背あてを取り出した斜視図
図3】前記バッグの背面図
図4】前記バッグの底面斜視図
図5】前記バッグの底面収納部を開いた状態の底面斜視図
図6】前記バッグの要部側面図
図7】前記バッグを肩掛けバッグとして使用する場合の正面図
図8】前記バッグをウエストバッグとして使用する場合の正面図
図9】前記バッグの持ち手を持った状態の正面図
図10】前記バッグの大型収納部の収納例を示す斜視図
図11】前記バッグを肩掛けバッグとして使用する場合のパッドの使用状態を示す斜視図
図12】前記バッグをウエストバッグとして使用する場合のパッドの使用状態を示す斜視図
図13】前記バッグを抱っこ補助具として使用する場合の使用状態を示す正面図
図14】前記バッグを抱っこ補助具として使用する場合で、背あてストラップをベルトに接続した状態を示す正面図
図15】前記バッグの背面収納部から背あてを取り出した状態の正面図
図16】前記バッグを抱っこ補助具として使用し、乳幼児を寝かせたまま布団おろす状態を示す斜視図
図17】前記バッグの底面収納部から身体の胴体に巻き付けられる装着部を取り出した状態を示す正面図
図18】前記バッグを抱っこ補助具として使用する際に、乳幼児をバッグに乗せる状態を示す斜視図
図19】前記バッグの装着部の長さ調整をする状態を示す斜視図
図20】前記バッグを抱っこ補助具として使用し、バッグ本体から背あてを取り出した状態を示す斜視図
図21】前記バッグを抱っこ補助具として使用し、背あてストラップを使用者の首にかけてから長さを調節する状態を示す斜視図
図22】前記バッグを抱っこ補助具として使用した状態を示す斜視図
図23】前記バッグを抱っこ補助具として使用し、落下防止ベルトを装着する状態を示す斜視図
図24】他の実施形態のバッグの背面収納部から背あてを取り出した状態の正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1ないし図2はこの発明の実施形態である抱っこ補助機能付きバッグを示す図である。これらの図に示すように、このバッグはバッグ本体1とそのバッグ本体の上部には持ち手30と、バッグ本体1の両側端に接続された第1の装着部材としてのベルト2を備えている。ベルト2には脱着可能なクッション性を有したパッド3が設けられている。
【0010】
このバッグは、図7に示すように、ベルト2をたすき掛けにし、ショルダーバッグとして使うことができる。
また、図8に示すように、ベルト2を腰に巻くことでウエストバッグとして使うこともできる。
さらに車などで移動する際は、図9に示すように、上部の持ち手30を持つことでハンドバッグのように容易に持ち運びができる。
【0011】
本実施形態のバッグ本体1は横長の略直方体形状をなすものであり、前面、背面、上面、底面及び両側面を有し、大型収納部4の開口部は上部長辺部に設けられる。これにより開口部が大きく開き、収納物が取り出しやすく、また抱っこ補助具として使用した際も、乳幼児を抱っこした状態で収納物を取り出すことができる。
尚、バッグ本体の形状は略直方体形状にかぎられず、楕円体や他の多面体形状でもよい。
【0012】
バッグ本体には大型収納部4、前面収納部5、背面収納部6、底面収納部8など複数の収納部が設けられている。
大型収納部内はいくつかの収納スペースに仕切られておりそれぞれ対応した収納物を整理して収納することができる。図10は哺乳瓶や水筒などの容器を立てた状態で固定収納し、おむつやウェットティッシュも取り出しやすいよう、重ねずに収納している例である。
【0013】
大型収納部4は角をなくした曲線状のファスナーにすることで、開閉時にひっかかりがなく、開口部を広く開けることができる。これにより、抱っこ補助具として使用する際にも、乳幼児を抱っこしながらの開閉がスムーズに行え、収納物が取り出しやすい。
【0014】
前面収納部5には左ファスナー23と右ファスナー24が設けられているが、収納部は貫通しているため、左右のどちらからでも収納物の出し入れが可能となっている。
【0015】
ベルト2に設けられたパッド3は、バッグを肩掛けバッグとして使う場合は、図11のように、肩にかかる負担を軽減する肩当てとなり、ウエストバッグとして使用する際は、図12のように、余ったベルトをまとめる留め具として使用することができる。
【0016】
そして本実施形態のバッグは、図13に示すとおり、乳幼児等を抱っこする際には抱っこ補助具として使用することができる。
バッグ本体1の両側端に接続されたベルト2は、高い耐久性の素材で、幅広で引張強度に優れるポリエステルなどの素材を編んで帯状にしたものが望ましい。
【0017】
バッグ本体1の両側端には三角状のサポート部9が設けられており、サポート部の表地と裏地の間にはクッション性のある素材を挟み込んでいる。
【0018】
バッグ本体1の両側端に接続されたベルト2の一端は、この三角状のサポート部9の付け根13に挟み込んで縫合している。また、ベルト2には長さ調節が可能な調節具10を設けている。この調節具10は長さ調節のほかに、連結及び分離ができる連結具をもちいてもよい。
【0019】
尚、この調節具10はバッグ装着時に、ショルダーバッグとして使用する際は、装着者の脇または肩の前に位置することを想定しており、ウエストバッグとして使用する際は、装着者の腰骨あたりに位置することを想定している。これにより装着した状態で長さの調節が可能となる。
【0020】
バッグ本体1の両側端に設けられた三角状のサポート部9は、図5に示すように、上辺11はバッグ本体と一直線上にデザインされ、下辺12は約35度~45度の角度で形成され、側辺は、側面の略全長に亘って形成されている。また、サポート部の縦中心部分の付け根13から、この三角状のサポート部の頂点14に向けてベルトは縫合されている。
ベルト2はバッグ本体1の側面から鉛直方向ではなく、サポート部9の縦中心部分の付け根13から斜め上方に向けて接続することで、ショルダーバッグとして装着する際のバッグの傾きを保ち、抱っこ補助として使用した際には座面となる背面の角度を適切に保ち、乳幼児を抱っこ状態で安定して維持でき、左右のサポート部9が乳幼児の腰部を両サイドから覆うような形状となる。
つまりベルト2はバッグ本体1の鉛直方向に対して所定の角度θ、例えば55度~65度傾斜して接続されている。
【0021】
また、ベルト2はサポート部9と接する外側をコの字状に縫製した外周部15と、さらにその内側を縫製した内周部16による複数の縫製を組み合わせた構成により、抱っこ補助具として使用する際の強度を高めている。
この縫製についてはコの字に限らず、四角状などほかの形状でもよい。
【0022】
バッグ本体の背面7は使用者の身体にあたる部分となるため、表地と裏地の間にクッション性のある素材を入れて縫合している。
また、図13に示すとおり、バッグ本体の背面7は、抱っこ補助具として使用する際は乳幼児の座面および腰当てとなる。
【0023】
バッグ本体の背面7は、抱っこ補助具として使用する際の強度を保つため、ハギを入れずに一枚布で構成することが望ましい。
また表地と裏地の間にはクッション性のある素材を入れ、クッション性のある素材には不織布ではなく、密度の高い芯地を挟み縫合することが望ましい。
【0024】
背面収納部6には背あて17が収納されている。
この背あて17は、上辺25の広い台形状で、一端の下辺26側はバッグ本体1における背面収納部6の開口部内側と接続されており、他端の上辺25の両端にはテープ状の背あてストラップ21が設けられている。
【0025】
背あて17にはダーツ27を入れることで背あてとして使用する際に乳幼児の背中を立体的に覆うことができ、収納の際には畳みやすく収納しやすくなる。

背あてストラップ21は輪になっているため、片手で首にかけることができる。
抱っこをしながら装着することが容易である。
【0026】
この背あてストラップ21には連結および分離ができ、長さ調節が可能な調節具22を設けており、装着後に長さの調節が可能である。尚、連結および分離の方法にはホックや面ファスナーなどの方法をもちいてもよい。
【0027】
抱っこ補助具として使用する際に、この背あてストラップ21を装着者の首にかけることで、乳幼児の背中から頭を覆う背あてとなり、サポート部9と組み合わせて、乳幼児の体全体を包み込むように保持できる。
また、背あてストラップ21は装着者の首にかけるのではなく、図14に示すように、バッグ本体1の両側端に接続されたベルト2に接続する方法をもちいてもよい。
尚、図14のバッグは図13のバッグの色違いで、背あてストラップの長さを図13のバッグより短くして、ベルト2に接続した例である。
【0028】
背面収納部6にはおむつやタオルを収納することで、座面のクッション性を高めることができる。
【0029】
底面収納部8には、開閉可能なフラップ18が設けられており、フラップ18を開くと着用者のウエストに巻く第2の装着部材としての腰ベルト19を取り出すことができ、フラップを閉じることで収納部を隠すことができる。
【0030】
このフラップ18は抱っこ補助具として使用する際に、開いて下にぶらさがらないよう、バッグ本体の背面側28が接続され、前面側29が開閉する。
本実施形態ではフラップ18の開閉に面ファスナーを用いているが、ホックやファスナー、マグネットなど、他の留め具をもちいてもよい。
【0031】
腰ベルト19には連結および分離ができ、長さ調節が可能な調節具20を設けている。本実施形態では調節具20としてバックルを使用しているが、面ファスナー、ホックなど、連結及び分離ができ、長さ調節ができるものであれば他のものでもよい。
【0032】
底面収納部8に収納された腰ベルト19を広げ、着用者のウエストに回し、腰ベルト19と装着者に隙間ができないように長さを調節することで、抱っこ補助具として使用する際に、乳幼児が落下することを防ぐことができる。
【0033】
腰ベルト19はベルト2と同様に、幅広で引張強度に優れるポリエステルなどの素材を編
んで帯状にしたものが望ましい。
【0034】
本実施形態のバッグは、寝かしつけの際にも有効である。
図16に示すとおり、抱っこをした状態で乳幼児が眠ってしまった時、乳幼児の背中を支えた状態でそっとベッドや布団に仰向けにおろし、背あてストラップ21をはずし、さらに腰ベルト19を外すことで、乳幼児を寝かせた状態でおろすことができる。
【0035】
抱っこ補助具としての使用法は、まず図17に示すとおりバッグをたすきがけにした状態で前に持ち、底面収納部8から腰ベルト19を取り出し、着用者の腰に巻いてベルトを留め、着用者とバッグの間に隙間ができないように腰ベルト19の長さを調節する。この状態でバッグ本体1の背面7が乳幼児を乗せる座面となる。
【0036】
次に着用者は図18に示すとおり、膝を曲げ、腰を下ろした状態で乳幼児をバッグ本体1の背面7、つまり座面に乗せ、図19に示すとおりベルト2の長さを調整することで、座面の傾きや乳幼児の保持姿勢を調整する。
乳幼児が確実に保持できていることを確認した後、図20に示すとおり背面収納部6から背あて17を取り出し、図21に示すとおり背あてストラップ21を着用者の首にかけ長さを調整する。このように装着することで、図22に示すとおり本実施形態のバッグは乳幼児を包み込むように保持できる抱っこ補助具として使用できる。
【0037】
異なる実施形態として図23図24に示す通り、背当ての他端側にある上辺には、ひも状のものを通し、乳幼児を抱っこした際に上辺の長さをすぼめて調節できる調節具31を付けることで、乳幼児を抱っこした際に背あてのサイズ調整が容易になり、乳幼児をより立体的に覆うことができ、背あてのずり落ちを防ぐことができる。

また、背あての下部には、抱っこ補助具として使用する場合に乳幼児の落下を防止するため、落下防止ベルト32が設けられている。
落下防止ベルト32の先端には留め具33を設け、背あての落下防止ベルトが接合されている逆側には留め具34が設けられている。
図23に示す通り、抱っこ補助具として使用する際には落下防止ベルト32を乳幼児の胴の前から通し、落下防止ベルト32の先端に設けられた留め具33を背あてに設けられた留め具34と接合することで、乳幼児の落下を防ぐ構造となる。

図16に示す通り、抱っこ補助具として使用する際、着用者が前かがみになったときに、装着した落下防止ベルト32が背あて17と乳幼児を密着させ、また乳幼児のウエスト部分を保持できるように作用する。
【符号の説明】
【0038】
1 バッグ本体
2 ベルト
3 パッド
4 大型収納部
5 前面収納部
6 背面収納部
7 背面
8 底面収納部
9 サポート部
10 調節具
11 上辺
12 下辺
13 付け根
14 頂点
15 外周部
16 内周部
17 背あて
18 フラップ
19 腰ベルト
20 調節具
21 背あてストラップ
22 調節具
23 左ファスナー
24 右ファスナー
25 上辺
26 下辺
27 ダーツ
28 背面側
29 前面側
30 持ち手
31 調節具
32 落下防止ベルト
33 留め具
34 留め具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
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図20
図21
図22
図23
図24