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特許7335651顔認証決済システムおよび顔認証決済方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】顔認証決済システムおよび顔認証決済方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/20 20120101AFI20230823BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20230823BHJP
   G06Q 20/40 20120101ALI20230823BHJP
   G06V 40/50 20220101ALI20230823BHJP
   G06V 40/70 20220101ALI20230823BHJP
【FI】
G06Q20/20 340
G06F21/32
G06Q20/40
G06V40/50
G06V40/70
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022125523
(22)【出願日】2022-08-05
【審査請求日】2022-08-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519378182
【氏名又は名称】株式会社INTERIOR HARAGUCHI
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】原口 祐二
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/033219(WO,A1)
【文献】特開2019-067075(JP,A)
【文献】特開2021-107979(JP,A)
【文献】特開2018-180660(JP,A)
【文献】特表2018-508799(JP,A)
【文献】特表2019-525325(JP,A)
【文献】特開2017-021450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0374373(US,A1)
【文献】特開2014-67171(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0124620(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 21/32
G06V 40/50
G06V 40/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗に設置された顔認証決済用端末装置と、該顔認証決済用端末装置と通信接続される顔認証決済用サーバを備え、前記顔認証決済用端末装置は少なくとも顔画像を含む複数種類の生体データを取得する少なくともカメラを含む複数の生体データ取得部と、顔認証決済用サーバに対して決済要求を行う決済要求部と、顔認証決済用サーバからの追認証要求を受け付ける追認証受付部を有し、前記顔認証決済用サーバは、顔認証決済のための種々の演算処理を行う制御部と、前記顔認証決済用端末装置からの決済要求を受け付ける決済要求受付部と、予め登録された顔画像を含む複数種類の登録生体データが蓄積された登録生体データ蓄積部と、該登録生体データ蓄積部に登録されている生体データと関連付けられた決済情報が蓄積された決済情報蓄積部と、前記顔認証決済用端末装置の生体データ取得部で取得された生体データと前記登録生体データ蓄積部で蓄積されている登録生体データのそれぞれの特徴点を抽出照合して同一人物度を判定する同一人物AI判定部を有し、該同一人物AI判定部が、生体認証を実行する生体認証部と、前記生体データ取得部で取得された顔画像と前記登録生体データ蓄積部に蓄積されている顔画像とを解析して同一人物度をランク付けするランク付け手段と、該ランク付け手段で判定されたランクによって、追加の生体データの要否を判断する追認証判断手段と、追認証判断手段で要追認証と判断された場合に、前記顔認証決済用端末装置に対して追認証を要求する追認証要求手段と、前記追認証判断手段での認証結果に基づいて決済判定を行う決済判定手段を有しており、更に前記顔認証決済用サーバは、前記決済判定手段での決済判定に基づいて決済処理を実行する決済実行部と、決済登録者の個人情報、顔画像を含む生体データおよび決済情報の登録を受け付ける登録情報受付部を備え、前記同一人物AI判定部が登録生体データ蓄積部で蓄積されている生体データを教師データとして機械学習によるディープニューラルネットワークを実行する機能を有しており、更に、前記顔認証決済用サーバが、登録生体データ蓄積部に蓄積されている顔画像を更新する顔画像更新部を有し、該顔画像更新部は、タイマー手段と顔画像の置換手段を有し、前記タイマー手段で各顔画像の所定の更新期間の経過がカウントされ、その経過後において、同一人物AI判定部のランク付け手段でランク付けした顔画像が高ランクであった場合に、前記置換手段によって、前記顔認証決済用端末装置から送信されてきた前記顔画像を前記登録生体データ蓄積部に登録されている顔画像と置換することを特徴とする、顔認証決済システム。
【請求項2】
生体データが、顔画像の他に、指の静脈データ、声帯の声紋データまたは眼の虹彩データのうちの一以上のデータを含み、該データを生体データ取得部が取得することを特徴とする、請求項1記載の顔認証決済システム。
【請求項3】
顔認証決済用サーバの登録生体データ蓄積部に蓄積されている登録生体データが暗号化されている、請求項1または請求項2記載の顔認証決済システム。
【請求項4】
生体データ取得部のカメラが3Dカメラであり、顔画像が3Dデータである、請求項1または請求項2記載の顔認証決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品やサービスの提供を受ける消費者が顔認証によって料金の決済を行うための顔認証決済システムおよび顔認証決済方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
顔認証による決済サービスは、消費者が現金やクレジットカードを携行する必要がなく、また決済端末で暗証番号を入力したり、サインを行ったりする必要もなく、また商品やサービスの提供を受ける店舗で、該店舗の従業員と消費者が非接触で決済が完了するために、利便性が高いとされている。
【0003】
また、顔画像データを使った電子商取引システムとして、予め登録された利用者による無人店舗の利用状況を顔認証により管理する無人店舗システムであって、 利用者の入店時の顔画像を第1のカメラにより取得して、入店時の前記顔画像に基づいて、利用者の入店を許可するための顔認証に関する処理を行う第1の顔認証機と、利用者の決済時の顔画像を第2のカメラにより取得して、決済時の前記顔画像に基づいて、利用者の決済を許可するための顔認証に関する処理を行う第2の顔認証機と、 利用者の退店時の顔画像を第3のカメラにより取得して、退店時の前記顔画像に基づいて、利用者の退店を確認するための顔認証に関する処理を行う第3の顔認証機とを備え、前記第1のカメラは、ゲート装置の近傍に設置され、入店する利用者の顔が撮影領域に含まれるように設置され、 前記第1の顔認証機は、顔認証結果に応じて前記ゲート装置の開閉を制御するように制御され、更に精算及び顔認証に関する情報を表示する表示部を備え、前記第2のカメラは、前記表示部の近傍に配置されて、前記表示部を目視する利用者の顔が撮影領域に含まれるように設置された無人店舗システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-166638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した通り、顔認証による決済は、種々の面で利便性が高いが、顔認証の設定精度その他において後述するような課題があった。
【0006】
すなわち、顔認証は、予めデータベースに登録された顔画像データと店舗等に設置された顔撮影用カメラで実際に撮影された顔画像データの各々の特徴点検出を行って、その一致度によって認証を行うのであるが、その際、画像処理における閾値が高いと本人が認証を行っているにもかかわらず、「他人」と判断する誤認証(偽陰性)が発生し易く、前記閾値が低いと他人であるにもかからず、「本人」であると誤認証(偽陽性)してしまい易い。また、認証する際に、認証対象者がマスクをしていたり、撮影現場が影になっていたり、反射光が強い場合等々、撮影環境の問題や撮影対象者の容姿の経年変化等の容姿上の問題で、誤認証が発生するという欠点があった。
【0007】
また、前述した無人店舗システムでは、無人店舗における買い物客の挙動が撮影されて無人での買い物が行えるものの、前述した顔認証の精度については、全く考慮されていなかった。
【0008】
本発明の目的は、前述した顔認証による決済の問題を一挙に解決することができる顔認証決済システムおよび顔認証決済方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、店舗に設置された顔認証決済用端末装置と、該顔認証決済用端末装置と通信接続される顔認証決済用サーバを備え、前記顔認証決済用端末装置は少なくとも顔画像を含む複数種類の生体データを取得する少なくともカメラを含む複数の生体データ取得部と、顔認証決済用サーバに対して決済要求を行う決済要求部と、顔認証決済用サーバからの追認証要求を受け付ける追認証受付部を有し、前記顔認証決済用サーバは、顔認証決済のための種々の演算処理を行う制御部と、前記顔認証決済用端末装置からの決済要求を受け付ける決済要求受付部と、予め登録された顔画像を含む複数種類の登録生体データが蓄積された登録生体データ蓄積部と、該登録生体データ蓄積部に登録されている生体データと関連付けられた決済情報が蓄積された決済情報蓄積部と、前記顔認証決済用端末装置の生体データ取得部で取得された生体データと前記登録生体データ蓄積部で蓄積されている登録生体データのそれぞれの特徴点を抽出照合して同一人物度を判定する同一人物AI判定部を有し、該同一人物AI判定部が、生体認証を実行する生体認証部と、前記生体データ取得部で取得された顔画像と前記登録生体データ蓄積部に蓄積されている顔画像とを解析して同一人物度をランク付けするランク付け手段と、該ランク付け手段で判定されたランクによって、追加の生体データの要否を判断する追認証判断手段と、追認証判断手段で要追認証と判断された場合に、前記顔認証決済用端末装置に対して追認証を要求する追認証要求手段と、前記追認証判断手段での認証結果に基づいて決済判定を行う決済判定手段を有しており、更に前記顔認証決済用サーバは、前記決済判定手段での決済判定に基づいて決済処理を実行する決済実行部と、済登録者の個人情報、顔画像を含む生体データおよび決済情報の登録を受け付ける登録情報受付部を備え、前記同一人物AI判定部が登録生体データ蓄積部で蓄積されている生体データを教師データとして機械学習によるディープニューラルネットワークを実行する機能を有しており、更に、前記顔認証決済用サーバが、登録生体データ蓄積部に蓄積されている顔画像を更新する顔画像更新部を有し、該顔画像更新部は、タイマー手段と顔画像の置換手段を有し、前記タイマー手段で各顔画像の所定の更新期間の経過がカウントされ、その経過後において、同一人物AI判定部のランク付け手段でランク付けした顔画像が高ランクであった場合に、前記置換手段によって、前記顔認証決済用端末装置から送信されてきた前記顔画像を前記登録生体データ蓄積部に登録されている顔画像と置換することを特徴とする顔認証決済システムである。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の顔認証決済システムについて、生体データが、顔画像の他に、指の静脈データ、声帯の声紋データまたは眼の虹彩データのうちの一以上のデータを含み、該データを生体データ取得部が取得することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の顔認証決済システムについて、顔認証決済用サーバの登録生体データ蓄積部に蓄積されている登録生体データが暗号化されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の顔認証決済システムについて、生体データ取得部のカメラが3Dカメラであり、顔画像が3Dデータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、店舗に設置された顔認証決済用端末装置と、該顔認証決済用端末装置と通信接続される顔認証決済用サーバを備えた顔認証決済システムにおいて、人工知能AIによって、単に顔認証による決済の可否を判定して決済処理を行うのではなく、先ず顔認証における類似性をランク付けし、該ランク付けによって追認証の要否判断を行い、必要に応じて、顔認証以外の静脈認証や虹彩認証等の他の認証を適宜組み合わせることにより、認証精度が高く、且つ利用者にとっても利便性の高い認証決済が実現され得る。
【0014】
そのため、従来の顔認証決済において、課題であった所謂、偽陽性や偽陰性の問題も解消され、システムの運営者にとってもシステムの利用者にとっても信頼性の高い顔認証決済が実現される。
【0015】
更に、前記顔認証決済用サーバで、登録蓄積されている顔画像データを所定期間ごとに更新する本発明においては、顔認証の対象者の顔画像が適宜、近況のものに更新されていくため、より精度の高い顔認証が実現され得るという実用的利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る顔認証決済システムの全体構成を示す概要図である。
図2】顔認証決済用端末装置の実施形態を示す機能ブロック図である。
図3】顔認証決済用サーバの実施形態を示す機能ブロック図である。
図4】顔認証決済用サーバの登録生体データ蓄積部に記憶されている登録情報の一例をテーブルである。
図5】顔認証決済用サーバの決済情報蓄積部に記憶されている決済情報の一例を示すテーブルである。
図6】顔認証決済用サーバのランク付け手段によるランク付けの一例を示すテーブルである。
図7】顔認証決済用サーバの追認証判断手段におけるランク付けと追認証の関連付けを示すテーブルである。
図8】顔認証決済用サーバの決済判定手段による決済判定の要領を示すフローチャートである。
図9】顔認証決済用サーバの生体認証部の構成を示す機能ブロック図である。
図10】生体データのセグメンテーション例を示す模式図である。
図11】ディープラーニング部における識別部の機械学習(教師あり学習)の一例を示す模式図である。
図12】顔認証決済用サーバの生体認証部における顔画像認証の要領を示すフローチャートである。
図13】本発明に係る顔認証決済システムによる顔認証決済方法の一例を示すフローチャートである。
図14】本発明に係る顔認証決済システムでのクラウドの構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る顔認証決済システムは、各店舗(ST1~ST4)に設置された顔認証決済用端末装置(0001)と、該顔認証決済用端末装置(0001)と通信接続されて顔認証による決済処理を行う顔認証決済用サーバ(0002)を備えている。
【0019】
当該顔認証決済システムは、通常、全体構成が所謂クラウドサーバシステムであって、後述する通り、クラウドを構成する前記顔認証決済用サーバ(0002)を含むサーバ群(0003)と、該サーバ群(0003)との間で本実施形態に係る顔認証決済システムに係る種々の処理が行われる前記顔認証決済用端末装置(0001)等で構成される。
【0020】
前記サーバ群(0003)は、前記顔認証決済用サーバ(0002)の他、例えばDNSサーバ(0005)やアプリケーションサーバ(0006)等を有する。
【0021】
ただし、本発明のシステムは、クラウドサーバシステム以外のもので構成される場合もある。
【0022】
図14に示すように、本実施形態に係るクラウドサーバシステムにおけるクラウドは、例えば、クラウド基盤層(6001)と、その上層のクラウドサービス提供層(6002)およびクラウドアプリケーション層(6003)といった階層で構成され、後述するような種々の情報処理を行うものである。
【0023】
また、本発明で使用する前記顔認証決済用サーバ(0002)は、少なくともコンピュータハードウェアおよびその上で実行されるコンピュータプログラムによって機能するものである。
【0024】
図2に示すように、前記顔認証決済用端末装置(0001)は、少なくとも顔画像を含む複数種類の生体データを取得する少なくともカメラ(0004)を含む複数の生体データ取得部(2001)と、インターネットまたは専用回線を介して前記顔認証決済用サーバ(0002)等と通信接続するための通信モジュール(2004)と、種々の表示を行うための顔認証用表示装置(2005)と、顔認証等に係る種々の演算処理を行うMPU(Micro-Processing Unit)(2006)と、顔認証決済処理に係る種々のデータを適宜記憶するメモリ部(2007)と、当該顔認証決済を行うための種々の入力を実行する入力部(2008)と、前記顔認証決済用サーバ(0002)に対して決済要求を行う決済要求部(2011)と、後述する顔認証決済用サーバ(0002)からの追認証要求を受け付ける追認証受付部(2009)等を有する。
【0025】
そして、本実施形態では、前記生体データ取得部(2001)は、認証対象者の顔を撮影したり、認証対象者の眼の虹彩を撮影する前記カメラ(0004)の他、認証対象者の指の静脈パターンを検知する赤外線センサ(2002)と、認証対象者の声を取得するマイク(2003)等を有する。また、これら各認証機器は、通常、公知の付属機器等と共にユニット化されている。また、カメラ(0004)は、通常、3D機能を有するものが好ましく、撮影された顔画像の奥行等の認証も可能とする。
【0026】
図3に示すように、前記顔認証決済用サーバ(0002)は、前記顔認証決済用端末装置(0001)等との通信を行う通信機能部(3011)と、顔認証決済のための種々の演算処理を行うCPU等の制御部(3009)と、決済登録者の個人情報、顔画像を含む生体データおよび決済情報等の登録を受け付ける登録情報受付部(3005)と、決済要求を受け付ける決済要求受付部(3006)と、予め登録された顔画像を含む複数種類の登録生体データが蓄積された登録生体データ蓄積部(3001)と、該登録生体データ蓄積部(3001)で登録されている生体データと関連付けられた決済情報が蓄積された決済情報蓄積部(3007)と、前記顔認証決済用端末装置(0001)の生体データ取得部(2001)で取得された生体データと前記登録生体データ蓄積部(3001)で蓄積されている登録生体データのそれぞれの特徴点を抽出照合して同一人物度を判定する同一人物AI判定部(3002)を有し、該同一人物AI判定部(3002)が、生体認証を実行する生体認証部(3010)と、前記生体データ取得部(2001)で取得された顔画像と前記登録生体データ蓄積部(3001)に登録蓄積されている顔画像とを解析して同一人物度をランク付けするランク付け手段(3003)と、該ランク付け手段(3003)で判定されたランクによって、追加の生体データの要否を判断する追認証判断手段(3004)と、追認証判断手段で要追認証と判断された場合に、前記顔認証決済用端末装置(0001)に対して追認証を要求する追認証要求手段(3015)と、前記追認証判断手段での認証結果に基づいて決済判定を行う決済判定手段(3016)等を有している。また更に、顔認証決済用サーバ(0002)は、同一人物AI判定部(3002)の前記決済判定手段(3016)による決済判定に基づいて決済処理を実行する決済実行部(3017)と、登録生体データ蓄積部(3001)に蓄積されている顔画像を更新する顔画像更新部(3012)を有する。
【0027】
前記顔画像更新部(3012)は、所定の顔画像更新期間をカウントするタイマー手段(3013)と、顔認証決済用端末装置(0001)から送信された顔画像を登録されている顔画像と置換する置換手段(3014)を有する 。
【0028】
そして、顔画像更新部(3012)では、前記タイマー手段(3013)で所定の更新期間の経過がカウントされ、その経過後において、前記同一人物AI判定部(3002)におけるランク付け手段(3003)で、ランクAと判定された場合に、前記置換手段(3014)によって、前記顔認証決済用端末装置(0001)から送信されてきた顔画像が登録生体データ蓄積部(3001)に記憶されている顔画像と置換される。
【0029】
なお、前記顔画像更新部(3012)は、通常、ソフトウェアによって実現されるものである。
【0030】
前記同一人物AI判定部(3002)は、後述する通り、登録生体データ蓄積部(3001)に蓄積されている生体データを教師データとする機械学習によるディープニューラルネットワークの機能を有する。
【0031】
図4に示すように、前記登録生体データ蓄積部(3001)は、本実施形態では、当該システムを利用する登録者の登録番号と共に、顔画像、指の静脈データ、眼の虹彩データおよび声の声紋データが蓄積されたデータベースである。前述した各生体データは暗号化されているのが好ましい。
【0032】
図5に示すように、前記決済情報蓄積部(3007)は、より詳細には、登録者の登録番号とクレジットカードまたはデビットカード等の決済情報と前記顔画像等の生体データが対となって関連付けされて蓄積されているデータベースである。
【0033】
前記ランク付け手段(3003)は、登録生体データ蓄積部(3001)で登録蓄積されている顔画像と前記顔認証決済用端末装置(0001)の生体データ取得部(2001)で得られた顔画像のそれぞれの特徴点を抽出して比較し、その類似度によってランク付けを行う機能を有するものであり、通常、ソフトウェアによって実現される。
【0034】
図6に示すように、前記ランク付け手段(3003)は、本実施形態では、A~Dの合計4段階のランク付けを行う。より詳細には、前記ランク付け手段(3003)において、Aが、前述した登録された顔画像と取得された顔画像との特徴点の一致度が非常に高く、類似性が非常に強い場合である。Bは、登録された顔画像と取得された顔画像との特徴点の一致度が高いものの、一部に相違点があるため、類似性がある程度強い場合である。Cは、登録された顔画像と取得された顔画像との特徴点の一致性が認められるものの、相違点もあり、類似性が弱い場合である。Dは、登録された顔画像と取得された顔画像との特徴点の一致度が認められず、相違点が多く、類似性が認められない場合である。そして、これらランク付けは、通常、所定のパラメータ設定によって行われる。
【0035】
前記追認証判断手段(3004)は、前記ランク付け手段(3003)によるランク付けに基づいて、追認証の要否を判断する機能を有するものであり、通常、ソフトウェアによって実現されるが、回路で構成しても良い。
【0036】
図7に示すように、より詳細には、追認証判断手段(3004)は、前記ランク付け手段(3003)でランクAの場合には追認証不要と判断し、ランクBの場合には、追認証として他の静脈認証、虹彩認証または声紋認証のいずれか一つが必要と判断し、ランクCの場合には、追認証として他の静脈認証、虹彩認証または声紋認証のいずれか二つが必要と判断し、ランクDの場合には、追認証不可と判断する。
【0037】
そして、前記追認証要求手段(3015)は、前記追認証判断手段(3004)で、ランクBまたはランクCと判断された場合に、これをトリガーとして、前記顔認証決済用端末装置(0001)に対して所定の追認証要求を行う機能を有するものであり、通常、ソフトウェアによって実現されるが、ハードで構築しても良い。
【0038】
前記決済判定手段(3006)は、前述した通り、前記追認証判断手段での認証結果に基づいて決済判定を行う機能を有するものであり、通常、ソフトウェアによって実現されるが、回路で構成しても良い。
【0039】
図8に示すように、より詳細には、決済判定手段(3006)は、前述した生体認証部(3010)、前記ランク付け手段(3003)、前記追認証判断手段(3004)および前記追認証要求手段(3015)による認証処理において、前記ランクAの場合には、直ちに決済可能判定を行い、前記ランクDの場合には、直ちに決済不可判定を行う。また、前記ランクBまたはランクCであった場合には、一または二の追認証の結果によって、決済実行の可否を判定する。すなわち、追認証で同一人物と認証された場合には、決済実行判定を行い、追認証で同一人物と認証されなかった場合には、決済不可判定を行う。
【0040】
前記生体認証部(3010)は、同一人物AI判定部(3002)における認証エンジンとして機能するものであり、通常、ソフトウェアによって実現される。
【0041】
そして、生体認証部(3010)は、前記制御部(3009)と協働して、前述した登録生体データ蓄積部(3001)に蓄積されている顔画像や静脈データ、虹彩データ、声紋データ等の生体データを教師データとして機械学習によるディープニューラルネットワーク機能によって、生体認証を実行するものである。
【0042】
図9に示すように、前記生体認証部(3010)は、全体の制御コントロールを担う機械学習制御部(9001)と、教師用データを作成する教師用データ作成部(9002)と、ディープラーニングによるAIを実行するディープラーニング部(9003)を有する。
【0043】
前記ディープラーニング部(9003)は、例えば、学習部(9101)、評価部(9102)および識別部(9103)を有する。そして、前記学習部(9101)は、学習完了前の識別部(9103)に対して、生体データに係る教師用データ(9104)を与えて教師有り学習をさせ、所定の正解率となったことで、前記識別部(9103)を学習済み識別部(9103)として構築するものとする。
【0044】
すなわち、本実施形態における前記ディープラーニング部(9003)は、教師有り学習を行うディープラーニング(深層学習)である。そして、前記学習部(9101)は、前記教師用データ作成部(9002)が作成した教師用データを前記識別部(9103)に与えて教師有り学習を行うことで、重み係数等のパラメータを最適値に調整する機能を有する。
【0045】
図10に示すように、本実施形態では、教師用データ作成部(9002)は、顔認証、静脈認証、虹彩認証および声紋認証に係る各生体データをグループa1~グループanにグループ化して、複数のフォルダaDを作成するものである。より詳細にはフォルダaDのファイルは、顔画像、静脈データ、虹彩データおよび声紋データといったデータファイル化されている。そして、これらグループ分けされた教師用データは畳み込み画像分析処理(チャンネル)に供される。この場合、FCN(Fully Convolutional Networks ; FCN),CNN(Convolutional Neural Network)等が用いられる。
【0046】
また、前記評価部(9102)は、前述した通り、前記構築される識別部(9103)が前記教師用データを用いてディープラーニングによる教師有りの機械学習を行って最終的に抽出された生体データの特定を行った結果に基づいて正解率を算出し、所定の正解率に達した時点で識別部(9103)が学習済みとなったことを評価する機能を有するものであり、通常、ソフトウェアによって実現される。
【0047】
図11に示すように、前記ディープラーニング部(9003)における前記識別部(9103)は、ニューラルネットワークのモデルを有し、例えば畳み込みニューラルネットワーク等が採用される。識別部(9103)は、入力層(1701)と、中間層(1702)と、出力層(1703)を有する。入力層(1701)は、複数のパーセプトロンa1、a2、・・・,aj,an=計n個を有する。すなわち、本実施形態では、入力層(1701)は、ある特定個のパーセプトロンa1~anを有し、そして、前記中間層(1702)は、前記複数のパーセプトロンで構成される複数層となる(畳み込み)。また、前記出力層(1703)は、最終的な顔画像等の生体データのAI分析による出力結果を出力b1~b3として検出し、その結果に基づいて生体認証が行われる。
【0048】
そして、本発明では前述したようなディープラーニングニューラルネットワークによって、顔認証、静脈認証、虹彩認証および声紋認証が行われる。
【0049】
図12に示すように、前記生体認証部(3010)において、例えば、前述したようなディープラーニングニューラルネットワークによる顔認証を行う場合、店舗(ST1~ST4)に設置された前記顔認証決済用端末装置(0001)のカメラ(0004)で撮影された顔画像FIと前記顔認証決済用サーバ(0002)の登録生体データ蓄積部(3001)に蓄積されている登録顔画像F2の検出が行われ(S1201)、その後、それぞれの特徴点抽出が行われて(S1202)、それら特徴のデータ化(S1203)の後、特徴データの照合処理がされて(S1204)、前記類似度が算出される(S1205)。そして、該類似度によって、所定のパラメータ等で前記ランク付け手段(3003)によるランク付けが行われる。
【0050】
次に、図13に示すように、本実施形態に係る顔認証決済システムによる顔認証決済方法について説明すると、先ず、前記顔認証決済用端末装置(0001)の生体データ取得部(2001)で顔画像を撮影し(S1301),該顔画像を付した決済要求を前記顔認証決済用サーバ(0002)に対して送信し(S1302)、該顔認証決済用サーバ(0002)では前記決済要求を受信して受付け(S1303)、その後、前記撮影された顔画像を同一人物AI判定部(3002)の生体認証部(3010)で認証し(S1304)、その該認証結果に基づいてランク付け手段(3003)によるランク付けを行い(S1305)、その後、該ランク付けに基づいて追認証判断手段(3004)で追認証の要否を判断し(S1306)、ランクBまたはランクCの場合に要追認証と判断されて、追認証要求手段(3015)から前記顔認証決済用端末装置(0001)に対して、追認証要求が送信され(S1307)、該追認証要求を顔認証決済用端末装置(0001)の追認証受付部(2009)で受け付け(S1308)、その後、顔認証決済用端末装置(0001)の生体データ取得部(2001)で顔画像以外の静脈データ等の所定数の生体データを取得し(S1309)、該生体データを前記顔認証決済用サーバ(0002)に対して送信し(S1310)、その後、顔認証決済用サーバ(0002)の生体認証部(3010)で追認証に係る一または二の生体データの認証を行い(S1311)、該追認証に基づいて決済判定手段(3006)で決済判定を行い(S1312)、決済可能と判定した場合には、決済実行部(3017)で所定の決済処理が実行される(S1313)。
【0051】
なお、前記ランク付け手段(3003)によるランク付けで(S1305)、ランクがAであった場合には、追認証要求手段(3015)で追認証要求不要と判断すると共に、決済実行部(3017)による決済処理が実行される(S1313)。一方、前記ランク付け手段(3003)によるランク付けで(S1305)、ランクがDであった場合には、追認証要求手段(3015)で追認証不可と判断すると共に、前記開始処理に戻される。
【0052】
また、顔認証決済用端末装置(0001)からの決済要求に際し、送信されてきた顔画像が前記ランク付け手段(3003)でランクAであった場合には、前記顔画像更新部(3012)のタイマー手段(1313)で予め設定されている更新期間の経過を検知し(S1314)、経過している場合には、前記送信されてきた顔画像が、前記顔画像更新部(3012)の置換手段(3014)によって、登録生体データ蓄積部(3001)に記憶されている顔画像と置換されて更新される(S1315)。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る顔認証決済システムは、人工知能AIを使って認証のランク付けを行い、その後に追認証を要求するという二段階の生体認証によって、適切な決済処理が可能となるため、顔認証決済の分野において幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0054】
(0001) 顔認証決済用端末装置
(0002) 顔認証決済用サーバ
(0004) カメラ
(2001) 生体データ取得部
(2009) 追認証受付部
(2011) 決済要求部
(3001) 登録生体データ蓄積部
(3002) 同一人物AI判定部
(3003) ランク付け手段
(3004) 追認証判断手段
(3006) 決済要求受付部
(3007) 決済情報蓄積部
(3009) 制御部
(3010) 生体認証部
(3015) 追認証要求手段
(3016) 決済判定手段
(3017) 決済実行部
【要約】
【課題】 人工知能AIを使った顔認証決済における偽陽性や偽陰性の問題を解消しつつ、信頼性が高く、且つ利便性も高い顔認証決済が行えるようにする。
【解決手段】 各店舗(ST1~ST4)に設置された顔認証決済用端末装置(0001)と、該顔認証決済用端末装置(0001)と通信接続されて顔認証による決済処理を行う顔認証決済用サーバ(0002)を備え、前記顔認証決済用端末装置(0001)は、顔画像を含む他の生体データを取得する生体データ取得部(2001)を有し、前記顔認証決済用サーバ(0002)は同一人物AI判定部(3002)や顔認証のランク付けを行うランク付け手段(3010)、追認証判断手段(3004)等を有する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14