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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】固型トリートメント
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20230823BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230823BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230823BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230823BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230823BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230823BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230823BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230823BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
A61K8/365
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/891
A61Q5/00
A61Q5/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022202874
(22)【出願日】2022-12-20
【審査請求日】2023-03-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000180807
【氏名又は名称】資生堂ホネケーキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】仁科 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】原田 昂輝
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヒドロキシステアリン酸と、
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、
(C)炭素数が18以上である高級アルコールと、
(D)水と、
(E)揮発性アルコールと、
を含み、
上記(A)~(E) 成分を加熱し均一溶解した後に冷却固化し、冷却固化後に1週間~3か月恒温恒湿室で溶媒揮発除去する熟成工程をとり、
揮発溶媒である水及び揮発性アルコールを熟成、揮散させることにより組成物中の水及び揮発性アルコールの総量が20質量%以下であることを特徴とする熟成固型トリートメント。
【請求項2】
請求項1に記載の熟成固型トリートメントにおいて、
製造時の前記(A)ヒドロキシステアリン酸は、組成物中5~15質量%であることを特徴とする熟成固型トリートメント。
【請求項3】
請求項1に記載の熟成固型トリートメントにおいて、
製造時の前記(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、PEG-30水添ヒマシ油及びPEG-60水添ヒマシ油よりなる群より選択されることを特徴とする熟成固型トリートメント。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の熟成固型トリートメントにおいて、
製造時の前記(C)炭素数が18以上である高級アルコールがステアリルアルコール及びベヘニルアルコールよりなる群より選択されることを特徴とする熟成固型トリートメント。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の熟成固型トリートメントにおいて、
シリコーン油を含むことを特徴とする熟成固型トリートメント。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の熟成固型トリートメントにおいて、
製造時の(D)水及び(E)アルコールの総量が15~47質量%であることを特徴とする熟成固型トリートメント。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の熟成固型トリートメントにおいて、
pHが7.0以下であることを特徴とする熟成固型トリートメント。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の熟成固型トリートメントにおいて、
カチオン性ポリマーを含むことを特徴とする熟成固型トリートメント。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の熟成固型トリートメントにおいて、
グリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする熟成固型トリートメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪に塗布する固型トリートメント、特に製造時は水やアルコールなどの溶剤を含み、各種成分を均一溶解、冷却固化後、熟成により溶剤を揮発させる枠練り製造法を活用した固型トリートメントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックごみは海洋汚染問題の大きな原因となっており、SDGsの観点からもプラスチックごみの削減が推奨されている。たとえばプラスチック製の包装容器を紙製に変更することでプラスチックごみの削減が図られており、液体製品も固形化することで、紙製の包装容器を選択できるようになる。ヘアケア製品においてもシャンプーやコンディショナー、トリートメント等も固形化することで包装容器の選択肢が広がり、環境問題の改善、搬送作業・保管スペースの減少など物流面での改善にも大きく貢献することができるといえる。
しかしながら、ヘアケア製品を固形化するためには、毛髪にハリや柔軟性を与えることのできる油剤やコンディショニング成分を大量に配合できない点で、使用性など性能に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-051941号公報
【文献】特開昭63-301808号公報
【文献】特開2022-001554号公報
【文献】特表2004-534807号公報
【文献】特開2010-180164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヘアトリートメント成分は、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高級アルコール、保湿剤、油脂、シリコーン油等が配合されており、これらがゲル構造をとり水が60~80%を占めており、ゲル化するものの固化させることは困難であった。
一方従来の固型ヘアトリートメントの製造方法では、水を含まず高級アルコール等の固形原料を例えば高温下で溶解し、練って固化させるため、シリコーン油、エステル油及び植物抽出物等のコンディショニング成分の均質な配合が困難であった。
本発明は前記従来技術に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題はコンディショニング成分を容易に含むことのできる固型トリートメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明にかかる熟成固型トリートメントは、
(A)ヒドロキシステアリン酸と、
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、
(C)高級アルコールと、
(D)水と、
(E)揮発性アルコールと、
を含み、
揮発溶媒である水及び揮発性アルコールを熟成、揮散させることにより20質量%以下であることを特徴とする熟成固型トリートメントである。
また前記熟成固型トリートメントにおいて、
製造時の前記(A)ヒドロキシステアリン酸は、組成物中5~15質量%であることを特徴とする熟成固型トリートメントである。
また前記熟成固型トリートメントにおいて、
製造時の前記(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、PEG-30水添ヒマシ油及びPEG-60水添ヒマシ油よりなる群より選択されることを特徴とする熟成固型トリートメントである。
また前記熟成固型トリートメントにおいて、
製造時の前記(C)高級アルコールがセタノール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールよりなる群より選択されることを特徴とする熟成固型トリートメントである。
また前記熟成固型トリートメントにおいて、
シリコーン油を含むことを特徴とする熟成固型トリートメントである。
また前記熟成固型トリートメントにおいて、
製造時の(D)水及び(E)アルコールが15~47質量%であることを特徴とする熟成固型トリートメントである。
また前記熟成固型トリートメントにおいて、
pHが7.0以下であり、好ましくは3.0~5.0であることを特徴とする熟成固型トリートメントである。
また前記熟成固型トリートメントにおいて、
カチオン性ポリマーを含むことを特徴とする熟成固型トリートメントである。
また前記熟成固型トリートメントにおいて、
グリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする熟成固型トリートメントである。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる未熟性固形トリートメントは、製造時には水やアルコールなどの溶剤を含むことから、従来の製法では配合することが困難であった成分を均一に溶解できる利点を有する。
また本発明にかかる熟成固型トリートメントは、熟成工程を経ることでアルコール等の溶剤が揮発し、アルコール特有の臭いが残りにくく、適度な硬度、過剰な溶け減り、使用中のべたつきがない、という利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
(A)ヒドロキシステアリン酸
本発明において固化作用剤としてヒドロキシステアリン酸が好適に用いられる。
ヒドロキシステアリン酸を単独で配合した場合またはノニオン性界面活性剤であるPEG-60水添ヒマシ油等を単独で配合した場合には固化効果が低いものの、両者を混合することにより均一で硬度の高い固化物を得られる。
ノニオン性界面活性剤であるPEG-60水添ヒマシ油等との混合を前提に、ヒドロキシステアリン酸は配合量に応じて硬度が高くなる傾向にあり、ヒドロキシステアリン酸の配合量が組成物中5質量%より少ない場合は硬度が不十分であり、15質量%より多いと硬度が高すぎて使用時に溶けにくいという問題が生じる。
そのため、ヒドロキシステアリン酸の仕込み量(未熟成固型トリートメントにおける配合量)は5~15%であることが好ましい。
【0008】
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
本発明において用いられるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、PEG-30水添ヒマシ油及びPEG-60水添ヒマシ油よりなる群から選択されることが好ましい。
ヒドロキシステアリン酸との混合により均一でかつ硬度の高い固化物を得られる。
【0009】
(C)高級アルコール
本発明に用いられる(C)高級アルコールは、具体的にはセタノール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールが好適に用いられる。これらの成分は一種を単独で用いてもよく、二種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
高温安定性(50℃/4週間)の観点から、炭素数18以上の高級アルコールで構成することが好ましく、仕込み量(未熟成固型トリートメントにおける配合量)として5~15質量%、さらに好ましくは5~10質量%配合することが好ましい。
【0010】
(D)水、(E)アルコール
本発明において、揮発性溶媒としては基剤を含め、配合物の均質溶解のために水、エタノールなどが好適に用いられる。
本発明において、揮発性溶媒の仕込み量(未熟成固型トリートメントにおける配合量)は、15~47質量%であることが好ましく、熟成工程を経ることにより20質量%以下程度まで低減させることができる。
【0011】
(F)カチオン性ポリマー
本発明においてカチオン性ポリマーを用いることができる。
特に毛髪のトリートメントやコンディショナーなどのコンディショニング組成物においてカチオン性ポリマーを配合することは有用である。
カチオン性ポリマーとしては、ポリクオタニウム-7(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド+アクリル酸アミド)、ポリクオタニウム-10(カチオン化セルロース)、ポリクオタニウム-39(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド+アクリル酸アミド+アクリル酸)、カチオン化グアガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、ベヘントリモニウムクロリドなどが好適に用いられるが、使用感、硬度の観点からポリクオタニウム-10が特に好ましい。
【0012】
(G)その他のノニオン性界面活性剤
本発明において、成分の均一化や皮膚刺激性低下を目的として、ノニオン性界面活性剤を用いることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、特に限定するものではないが、グリセリン脂肪酸エステルであるステアリン酸グリセリル等が挙げられる。
【0013】
(H)シリコーン油
本発明において、コンディショニング成分としてシリコーン油を用いることができる。
シリコーン油としては、特に限定されるものではないが、高重合ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0014】
〈固型トリートメントの製造方法〉
上記(A)~(E) 成分を含む固型トリートメントを製造するにあたっては、製造釜に上記(A)~(E) 成分を仕込み加熱し均一溶解した後に枠に流しいれ、冷却固化する。
保湿剤等その他の成分を配合する場合には、上記(A)~(E) 成分とともに加熱し均一溶解し、例えば冷却固化枠を用いて冷却固化する。
その後、必要により所定の形状に切断、成形する。枠自体を成形形状とする、いわゆる個取りでもよい。
【0015】
本発明の固型トリートメントは、仕込み成分に比較的大量の溶剤(エチルアルコール、水)を用いるため、冷却固化後に1週間~3か月程度、恒温恒湿室で溶媒の揮発除去を行う、いわゆる熟成工程をとることが好ましい。本発明にかかる熟成固型トリートメントは、未熟成固型トリートメントを熟成する工程を経ることで、さらに硬度が高く、整型性がよく、しかも水に接触しても崩壊しにくいという利点を有する。
この場合、仕込み時の溶媒量にもよるが、20質量%程度の減量が認められる。
【0016】
[その他の成分]
本発明にかかる固型トリートメントには、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、油分、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、植物抽出物、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、着色剤、防腐剤、殺菌剤、水等を必要に応じて適宜配合し製造することができる。
【0017】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0018】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等);ベタイン系界面活性剤(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン等)等が挙げられる。
【0019】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0020】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POE-ソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック類(プルロニックは登録商標);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド、コカミドメチルモノエタノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ラウリン酸ジエチレングリコール;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0021】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、糖アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0022】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0023】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0024】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,0000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、高重合ポリエチレングリコール等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオン性ポリマー等が挙げられる。
【0025】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0026】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノ;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート;2,4-ビス-{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン等が挙げられる。
【0027】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0028】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0029】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0030】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0031】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0032】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0033】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0034】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0035】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0036】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0037】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);殺菌剤(例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0038】
さらに、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リンゴ酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、フルクトース、マンノース、エリスリトール、トレハロース、キシリトール等の糖類等も適宜配合することができる。
【0039】
以下、本発明の好適な実施例について説明する。
なお、以下の実施例において、評価は以下の方法により行った。
【0040】
(1)外観
試作24時間後、常温における外観を官能評価した。
〇:均一(固状)
△:不均一(固状)
×:分離(液状)
【0041】
(2)硬度
試作24時間後及び熟成終了後の固型トリートメントを常温においてレオメーター(2Φ)にて測定した。
なお、未熟成品での最適硬度は75~200であり、熟成品では120以上が望ましい。
【0042】
(3)凝固点
80℃で溶解状態のトリートメントを常温で静置し、固化する際の温度を測定した。
(4)高温安定性
所定条件下の熟成工程を経た固型トリートメントを50℃4W静置し、性状を確認した。
〇:変化なし(固状)
△:半溶解(固状)
×:溶解(液状)
(5)使用性
所定条件下の熟成工程を経た固型トリートメントを毛髪に直接塗布し、40℃の温水で洗い流した前後(使用中・使用後)の官能を評価した。
・使用中: きしみ、指通り、塗りやすさ
・使用後: 絡まり、指通り、ぱさつき、ツヤ
〇:問題なし
△:やや問題あり
×:問題あり
【0043】
まず、本発明者らはヒドロキシステアリン酸と水添ヒマシ油を用いて、両者の固化作用の検討を行った。
結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から明らかなように、ヒドロキシステアリン酸及び水添ヒマシ油をそれぞれ単独で用いた試験例1-4、1-5、1-6では硬度が低く、固化作用が不十分で外観が不適であった。
一方で試験例1-7、1-8のようにヒドロキシステアリン酸及び水添ヒマシ油の両者を用いて混合させると、均一で十分な硬度の固型トリートメントが得られ、熟成後の硬度も十分なものであった。
【0046】
次に本発明者らはヒドロキシステアリン酸の配合量の検討を行った。
結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2から分かるように、ヒドロキシステアリン酸の配合量に応じて未熟成品の硬度が高くなる傾向にある。ヒドロキシステアリン酸の配合量が5.0質量%未満である場合には硬度が不十分であり、15.0質量%を超える場合には硬すぎて溶けないという問題点がある。以上のことから、硬さ・使用性(溶けやすさ)の観点から、ヒドロキシステアリン酸の配合量は5.0~15.0質量%であることが好ましい。
【0049】
次に本発明者らは、水添ヒマシ油の配合量の検討を行った。
結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
表3から分かるように、水添ヒマシ油は、ヒドロキシステアリン酸と異なり配合量に応じて未熟成品の硬度が顕著に高くなるといった傾向は見られなかった。
【0052】
次に本発明者らは、高級アルコールと高級脂肪酸の硬度への影響について比較検討を行った。
表4に結果を示す。
【0053】
【表4】
【0054】
表4から分かるように、各種高級アルコールを高級脂肪酸に置換した未熟成品は、硬度が低く不均一であった。以上のことから、高級アルコールを選択することが硬度、均一性の観点から好ましい。
【0055】
次に本発明者らは、各種高級アルコールを配合した熟成品について、経時高温安定性(50℃/4週間)を比較検討した。
表5に結果を示す。
【0056】
【表5】
【0057】
表5から分かるように、セタノールを用いた試験例3-1、5-1は、作成時は固化しているものの50℃4週間の高温条件下では軟化、融解が見られ安定性に劣っていた。一方でステアリルアルコール及びベヘニルアルコールを用いた試験例5-2、5-3は、作成時の硬度及び熟成品の経時高温安定性(50℃/4週間)に優れていた。
以上のことから、作成時に固化し高温安定性(50℃/4週間)を担保するためには炭素数18以上の高級アルコールを選択する必要がある。
【0058】
次に発明者らは、表5の結果を受けて炭素数18以上の高級アルコールの配合量による高温安定性への影響について検討を行った。
表6に結果を示す。
【0059】
【表6】
【0060】
表6から分かるように、作成時に固化し、優れた高温安定性(50℃/4週間)を有するには、仕込み量(未熟成固型トリートメントにおける配合量)として炭素数18以上の高級アルコールを5~15質量%、さらに好ましくは5~10質量%配合することが好ましい。
【0061】
本発明は、未熟成固型トリートメントにおいて水やアルコール等の溶剤を配合することができ、またヒドロキシステアリン酸やノニオン性界面活性剤や高級アルコール等の存在により、そして熟成の工程を経ることにより、コンディショニング成分を含みかつ均一性及び硬度がともに良好な熟成固型トリートメントを得ることができた。
【0062】
表7に本発明の固型トリートメントの処方例を挙げるが、本発明の技術範囲はこれらにより限定されるものではない。得られた固型トリートメントは、いずれも適度な硬度であり、均一性及び安定性に優れているものであった。
さらに、従来の固型トリートメントの製法では配合できなかったコンディショニング成分(シリコン等)を多量に配合することができた。
【0063】
【表7】
【要約】
【課題】
本発明が解決すべき課題は、熟成工程を経ることにより、コンディショニング成分を含みかつ均一性及び硬度が良好な固型トリートメントを提供することにある。
【解決手段】
(A)ヒドロキシステアリン酸と、
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、
(C)高級アルコールと、
(D)水と、
(E)揮発性アルコールと、
を含み、
揮発溶媒である水及び揮発性アルコールを熟成、揮散させることにより20質量%以下であることを特徴とする熟成固型トリートメント。
【選択図】 なし