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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20230823BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20230823BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20230823BHJP
   A23B 4/052 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
A47J37/06 361
F24C3/12 A
F24C3/02 E
A23B4/052 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019011657
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020116288
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶太
(72)【発明者】
【氏名】横山 敬仁
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-022944(JP,A)
【文献】実開平03-005383(JP,U)
【文献】特開2019-007630(JP,A)
【文献】特開2008-054893(JP,A)
【文献】特開2002-209760(JP,A)
【文献】特開2013-070625(JP,A)
【文献】実開昭55-180390(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 3/12
F24C 3/02
A23B 4/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、
前記加熱部を制御して、前記加熱部でくん製材を加熱する自動くん製運転を実行可能な制御部とを備え、
前記自動くん製運転は、
発煙工程と、
前記発煙工程に続いて実行されるいぶし工程とを含み、
前記制御部は、前記発煙工程においては、前記くん製材の温度が前記くん製材の発煙温度以上になるように前記加熱部を制御し、前記いぶし工程においては、前記くん製材の温度が前記発煙温度未満になるように前記加熱部を制御し、
前記制御部は、前記自動くん製運転において、前記いぶし工程に続いて前記発煙工程を再び実行し、
前記制御部は、前記自動くん製運転において、前記発煙工程と前記いぶし工程とからなる発煙・いぶし工程を繰り返し実行し、
前記自動くん製運転における前記発煙・いぶし工程の実行回数を変更するための操作部を更に備えた、
加熱調理器。
【請求項2】
前記加熱部は、前記くん製材及び食材が配置された調理容器を加熱することで、前記調理容器に配置された前記くん製材を加熱するものである、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記制御部は、前記発煙工程を、前記調理容器の温度を検知する温度検知部の検知結果に基づいて終了する、
請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記制御部は、前記発煙工程を所定時間実行した時点で終了する、
請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記いぶし工程では、前記発煙工程における前記加熱部の加熱量よりも小さい加熱量で、前記加熱部で前記くん製材を加熱する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記制御部は、前記自動くん製運転の最後に、前記いぶし工程を実行する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、くん煙装置が開示されている。このくん煙装置では、煙発生室内に収容されたくん製材をくん煙用ヒーターによって継続して加熱して、煙を発生させる。これにより、煙発生室に連通するくん煙室内に収容された、くん製食品の原料が、煙発生室内で発生した煙によっていぶされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/033388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したくん煙装置は、くん製材がくん煙用ヒーターによって継続して加熱されるため、エネルギー使用量が少なくないという課題がある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、くん製を作成するにあたって、省エネルギー化を図ることができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る加熱調理器は、加熱部と、制御部とを備えている。前記制御部は、前記加熱部を制御して、前記加熱部でくん製材を加熱する自動くん製運転を実行可能である。前記自動くん製運転は、発煙工程と、いぶし工程とを含んでいる。前記いぶし工程は、前記発煙工程に続いて実行される。前記制御部は、前記発煙工程においては、前記くん製材の温度が前記くん製材の発煙温度以上になるように前記加熱部を制御し、前記いぶし工程においては、前記くん製材の温度が前記発煙温度未満になるように前記加熱部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る加熱調理器は、くん製を作成するにあたって、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態の加熱調理器の斜視図である。
図2図2は、同上の加熱調理器が備えた加熱室を前後方向と直交する断面で示した断面図である。
図3図3は、同上の加熱室を一部断面で示した斜視図である。
図4図4は、同上の加熱調理器が備えた調理容器を左右方向と直交する断面で示した断面図である。
図5図5は、同上の加熱調理器が備えたガス供給路を示した説明図である。
図6図6は、同上の加熱調理器のブロック図である。
図7図7は、同上の加熱調理器によって自動くん製運転を実行したときにおける、経過時間と、温度検知部によって検知した温度との関係を示したグラフである。
図8図8は、同上の加熱調理器のフローチャートである。
図9図9は、変形例1の加熱調理器のフローチャートである。
図10図10は、変形例2の加熱調理器のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
図1に示す本実施形態の加熱調理器1は、グリル装置として利用可能なガスグリル付こんろであって、詳しくは、キッチンカウンター(図示せず)に形成された孔に上方より挿入されて設置されるドロップインこんろである。加熱調理器1は、一般的なグリル装置と同様、調理対象物又は調理対象物が配置される容器を直接火で加熱するグリル調理が可能な装置であり、このグリル調理に加えて、くん製材(くん煙材)を加熱して発生する煙により食材をいぶす自動くん製運転を実行可能である。
【0010】
以下、加熱調理器1について、加熱調理器1の設置状態における方向を用いて説明する。具体的には、加熱調理器1から見て、設計上、利用者が位置する方向を前方と規定する。また、加熱調理器1を前方から見たときを基準にして、左右方向を規定する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の加熱調理器1は、ケーシング10、複数のこんろバーナー11及び天板12を備えている。ケーシング10は、上方に開口した箱状に形成されている。ケーシング10の内部には、複数のこんろバーナー11が設置されている。天板12はケーシング10上に設置されている。天板12はケーシング10の上面を覆っている。複数のこんろバーナー11の各々は、天板12に形成された孔を貫通して、天板12の上方に向かって突出している。
【0012】
加熱調理器1は、複数のこんろ用操作部13を備えている。複数のこんろ用操作部13は、複数のこんろバーナー11にそれぞれ一対一で対応している。利用者は、各こんろ用操作部13を操作することで、対応するこんろバーナー11の点火と消火の切換え及び火力の変更を行うことができる。
【0013】
加熱調理器1は、加熱室30を有している。本実施形態の加熱室30は、グリル庫であって、前方に開口した箱状に形成されている。加熱室30は、ケーシング10と天板12とで囲まれた空間に位置している。
【0014】
図2及び図3に示すように、加熱室30は、底部300、左右の側壁部301、後壁部302及び天井部303を有している。加熱室30の内側には、底部300、左右の側壁部301、後壁部302及び天井部303で囲まれた加熱空間が形成されている。加熱室30の前端部には、開口部304が形成されている。加熱室30の内部空間は、開口部304を介してケーシング10(図1参照)の前方に開放される。
【0015】
本実施形態の加熱調理器1は、開口部304を開閉する扉31(図1参照)と、扉31を支持した支持機構32(図2)とを更に有している。支持機構32は、加熱室30に設置されており、扉31を前後方向に移動可能に支持している。支持機構32は、例えば、左右一対のスライドレールで構成される。利用者は、扉31を前後方向に移動することで、加熱室30の開口部304を扉31によって開閉することができる。
【0016】
本実施形態の加熱調理器1は、加熱室30(加熱空間)に出入可能に配置される調理容器4を更に有している。調理容器4は、魚、鶏等のグリル調理の対象となる調理対象物を収容可能である。自動くん製運転では、グリル調理の対象となる調理対象物に代えて、くん製材と食材とが配置される。自動くん製運転において、食材は、くん製材を加熱することによって発生する煙によっていぶされる。すなわち、調理容器4には、内容物として、グリル調理の対象となる調理対象物、あるいはくん製材及び食材が配置される。調理容器4は、開口部304を通過して加熱室30に出し入れされる。
【0017】
自動くん製運転において調理容器4に配置されるくん製材は、例えば、スモークチップ、スモークウッド又は木の枝等である。くん製材の材料は、例えば、サクラ、ウイスキーオーク、ヒッコリー、ブナ、りんご、ナラ、クルミ等である。くん製材には、木材の他、スモークピート(促進剤)、ザラメ糖等の添加物が含まれていてもよい。また、自動くん製運転において調理容器4に配置される食材は、例えば、チーズ、魚、ハム、ナッツ、手羽先、ゆで卵等である。
【0018】
本実施形態の調理容器4は、図4に示すように、容器本体40と、蓋41とを有している。容器本体40は、金属製であり、詳しくは、アルミニウム合金製である。容器本体40は、上面に開口部400が形成された容器状に形成されている。容器本体40は、上方から見て矩形状で水平面に沿って広がった板状の底部401と、底部401の周縁から上方に向かって突出した周壁部402とを有している。蓋41は、容器本体40の上端部に着脱可能に取り付けられ、開口部400を閉塞する。
【0019】
本実施形態の加熱調理器1は、支持体42を更に備えている。支持体42は、自動くん製運転が行われる際に調理容器4内に配置され、いぶされる食材を調理容器4内において底部401から上方に離れた位置で支持する。これにより、容器本体40の底部401にくん製材が載せられた状態において、食材をくん製材から上方に離れた位置に配置することができる。
【0020】
本実施形態の支持体42は、金属製の線材から形成された網であって、食材を支持する水平面に沿って広がった支持部分420と、支持部分420から下方に向かって突出した複数の脚部421とを有している。支持体42は、図4に示すように、複数の脚部421が容器本体40の底部401の上面に接した状態で調理容器4内に配置される。支持部分420には、網目である、上下方向に貫通した孔422が複数形成されている。くん製材から出た煙は、複数の孔422を通過することができる。
【0021】
図3に示すように、本実施形態の加熱調理器1は、調理容器4を支持する支持枠5を更に有している。調理容器4は、支持枠5に対して着脱可能に取り付けられている。支持枠5は、調理容器4を下方から支持している。支持枠5は、上方から見て矩形の枠状に形成されている。支持枠5は、例えば、金属製の線材から形成される。
【0022】
支持枠5の前端部は、扉31に対して着脱可能に連結されている。調理容器4が支持枠5に支持され、かつ、支持枠5が扉31に連結された状態において、支持枠5及び調理容器4は、扉31と連動して前後方向に移動する。
【0023】
調理容器4が支持枠5に支持され、かつ、支持枠5が扉31に連結された状態において、扉31が開口部304を閉じる閉位置に配置されたとき、支持枠5及び調理容器4は、図3に示すように、加熱室30内の所定位置に配置される。利用者は、扉31を閉位置より前方に動かして開くことで、支持枠5及び調理容器4を、加熱室30の開口部304よりも前方に配置することができる。
【0024】
加熱調理器1は、加熱部33を更に有している。加熱部33は、加熱室30に配置された調理容器4及びこの調理容器4に配置された内容物を加熱する。グリル調理の際には、調理容器4及び調理容器4に配置された調理対象物が、加熱部33によって加熱される。自動くん製運転の際には、調理容器4及び調理容器4に配置された、くん製材並びに食材が、加熱部33によって加熱される。これにより、くん製材を加熱することによって発生した煙により、食材がいぶされて、くん製が作られる。
【0025】
本実施形態の加熱部33は、複数のバーナー330,331を有している。具体的に加熱部33は、複数のバーナーとして、上バーナー330及び下バーナー331を有している。上バーナー330及び下バーナー331の各々は、ブンゼンバーナーである。上バーナー330は、加熱室30の上部(詳しくは天井部303)に取り付けられている。上バーナー330は、加熱室30内に配置された調理容器4の上方に位置し、調理容器4及び調理容器4の内容物を上方から加熱する。
【0026】
下バーナー331は、加熱室30の下部(詳しくは底部300)に設置されている。下バーナー331は、加熱室30内に配置された調理容器4の下方に位置し、調理容器4及び調理容器4に配置された内容物を下方から加熱する。下バーナー331で生じた炎は、調理容器4の底部401に当たる。
【0027】
本実施形態の加熱部33は、図5に示すガス供給路34を更に有している。ガス供給路34は、上バーナー330及び下バーナー331に都市ガス等の燃料ガスを供給する。本実施形態のガス供給路34は、主流路340と、主流路340から分岐した一対の分岐路341,342とを有している。主流路340には、燃料ガスが供給される。一対の分岐路341,342のうちの一方は、上バーナー330に通じる上バーナー用流路341であり、他方は下バーナー331に通じる下バーナー用流路342である。
【0028】
本実施形態の加熱部33は、加熱部33の単位時間当たりの加熱量(火力)を変更する加熱量変更部35を更に有している。なお、本開示における加熱部33の単位時間当たりの加熱量とは、加熱部33から単位時間当たりに発生する熱量である。また、本実施形態のように、加熱部33が複数の加熱手段(上バーナー330及び下バーナー331)を有する場合、加熱部33の単位時間当たりの加熱量とは、全ての加熱手段から発生する単位時間当たりの熱量の合計である。以下、加熱部33の単位時間当たりの加熱量を、単に加熱量という。
【0029】
本実施形態の加熱量変更部35は、上バーナー330の火力及び下バーナー331の火力を変更する火力変更部であって、上バーナー用点火プラグ351、上バーナー用火力調節部352、下バーナー用点火プラグ353及び下バーナー用火力調節部354を有している。
【0030】
上バーナー330には、上バーナー330を点火するための上バーナー用点火プラグ351が設置されている。下バーナー331には、下バーナー331を点火するための下バーナー用点火プラグ353が設置されている。
【0031】
ガス供給路34から上バーナー330に燃料ガスが供給されている状態で、上バーナー用点火プラグ351が作動してスパークが生じることにより、上バーナー330は点火される。ガス供給路34から下バーナー331に燃料ガスが供給されている状態で、下バーナー用点火プラグ353が作動してスパークが生じることにより、下バーナー331は点火される。
【0032】
本実施形態の上バーナー用火力調節部352は、上バーナー用流路341に設けられた、電磁弁352a及び電磁弁352bを有している。上バーナー用流路341において、電磁弁352bは、電磁弁352aよりも下流側に設けられている。ガス供給路34は、上バーナー用流路341において、電磁弁352aよりも下流側でかつ電磁弁352bよりも上流側の箇所と、電磁弁352bよりも下流側の箇所とを接続するバイパス路343を更に有している。バイパス路343の一部は、上バーナー用流路341よりも流路断面積が小さい流路344である。
【0033】
上バーナー330の火力は、電磁弁352a及び電磁弁352bの各々を開閉することによって調節される。電磁弁352aが開き、かつ、電磁弁352bが開いた状態では、主流路340から上バーナー用流路341に供給された燃料ガスは、電磁弁352bと流路344との両者を通過して上バーナー330に供給される。この場合、上バーナー330の火力は、「強」になる。また、電磁弁352aが開き、かつ、電磁弁352bが閉じた状態では、主流路340から上バーナー用流路341に供給された燃料ガスは、電磁弁352b及び流路344のうちの流路344のみを通過して上バーナー330に供給される。この場合、上バーナー330に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁352bが開いた状態にあるときよりも少なくなり、上バーナー330の火力は、「弱」になる。また、電磁弁352aが閉じた状態では、上バーナー330には燃料ガスが供給されず、上バーナー330は消火される。すなわち、この場合、上バーナー330の火力は、「切」になる。
【0034】
本実施形態の下バーナー用火力調節部354は、下バーナー用流路342に設けられた、電磁弁354a及び電磁弁354bを有している。下バーナー用流路342において、電磁弁354bは、電磁弁354aよりも下流側に設けられている。ガス供給路34は、下バーナー用流路342において、電磁弁354aよりも下流側でかつ電磁弁354bよりも上流側の箇所と、電磁弁354bよりも下流側の箇所とを接続するバイパス路345を更に有している。バイパス路345の一部は、下バーナー用流路342よりも流路断面積が小さい流路346である。
【0035】
下バーナー331の火力は、電磁弁354a及び電磁弁354bの各々を開閉することによって調節される。電磁弁354aが開き、かつ、電磁弁354bが開いた状態では、主流路340から下バーナー用流路342に供給された燃料ガスは、電磁弁354bと流路346との両者を通過して下バーナー331に供給される。この場合、下バーナー331の火力は、「強」になる。また、電磁弁354aが開き、かつ、電磁弁354bが閉じた状態では、主流路340から下バーナー用流路342に供給された燃料ガスは、電磁弁354b及び流路346のうちの流路346のみを通過して下バーナー331に供給される。この場合、下バーナー331に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁354bが開いた状態にあるときよりも少なくなり、下バーナー331の火力は、「弱」になる。また、電磁弁354aが閉じた状態では、下バーナー331には燃料ガスが供給されず、下バーナー331は消火される。すなわち、この場合、下バーナー331の火力は、「切」になる。
【0036】
加熱調理器1は、図2及び図3に示す温度検知部36を更に有している。温度検知部36は、加熱室30に配置された調理容器4の温度を検知する。本実施形態の温度検知部36は、下バーナー331の平面視における中央部に設置された温度センサーであり、加熱室30内に配置された調理容器4の下方に位置する。
【0037】
温度検知部36は、温度検知部36の上端部に位置する検知部分360を有している。検知部分360は、温度検知部36における他部に対して上下方向に移動可能である。検知部分360には、例えば、ばね等の付勢部材により、上方に向かう力が加えられている。
【0038】
加熱室30内に調理容器4が配置されたとき、検知部分360は、調理容器4の底部401の中央部の下面に接触する。これにより、温度情報として、調理容器4の底部401の温度が、温度検知部36によって検知可能になる。
【0039】
本実施形態の加熱調理器1は、利用者によって操作される操作部として、図1に示すグリル用操作部14を備えている。利用者は、グリル用操作部14を操作することにより、自動調理運転の設定と実行、並びに自動くん製運転の設定と実行を行うことができる。
【0040】
本実施形態の自動調理運転の設定では、鶏、パン等の調理対象物の種類の違い、切り身、姿焼き等の調理対象物の状態の違い、調理方法等に応じて設定された複数の調理メニューの中から選択された任意の調理メニューが設定され、かつ、任意の火加減が設定される。
【0041】
自動調理運転は、調理対象物が収容された調理容器4が加熱室30に配置された状態で行われる。ただし、この場合、加熱室30に配置される調理容器4は、調理対象物が収容された容器本体40の開口部400が蓋41によって塞がれた状態であってもよいし、調理対象物が収容された容器本体40に蓋41が取り付けられていない状態であってもよい。
【0042】
本実施形態の自動くん製運転の設定では、いぶし加減、食材の種類、くん製材の種類又はこれらのうち2以上の組み合わせが設定される。自動くん製運転は、くん製材及び食材が収容された調理容器4(図4参照)が加熱室30に配置された状態で行われる。この場合、くん製材は、容器本体40の底部401に載せられ、食材は上述したように調理容器4内に配置された支持体42によって、くん製材から上方に離れた位置に配置される。また、容器本体40の開口部400は、蓋41で塞がれた状態とされる。
【0043】
図6に示すように、本実施形態の加熱調理器1は、制御部20を更に備えている。制御部20は、例えば、マイクロコンピューターで構成される。制御部20は、上バーナー用点火プラグ351、上バーナー用火力調節部352(電磁弁352a,352b)、下バーナー用点火プラグ353及び下バーナー用火力調節部354(電磁弁354a,354b)に、電気的に接続されている。また、制御部20は、温度検知部36及びグリル用操作部14にも、電気的に接続されている。
【0044】
制御部20は、グリル用操作部14が操作されて自動調理運転の実行の指令がなされたとき、加熱部33を制御することにより、図3に示すように、加熱室30内に配置された調理容器4及びこの調理容器4に配置された調理対象物を加熱する。自動調理運転において、制御部20は、上述した自動調理運転の設定において設定された事項(調理メニュー及び火加減)及び温度検知部36の検知結果に基づき、加熱量変更部35を制御し、調理容器4及び調理容器4に配置された調理対象物を加熱部33によって加熱する。
【0045】
図6に示す制御部20は、グリル用操作部14が操作されて自動くん製運転の実行の指令がなされたとき、加熱部33を制御することにより、加熱室30内に配置された調理容器4、並びにこの調理容器4に配置されたくん製材及び食材を加熱する。自動くん製運転において、制御部20は、上述した自動くん製運転の設定において設定された事項(いぶし加減、食材の種類、くん製材の種類又はこれらのうち2以上の組み合わせ)及び温度検知部36の検知結果に基づき、加熱量変更部35を制御して、加熱部33による調理容器4及び調理容器4に配置されたくん製材並びに食材を加熱する。
【0046】
図7は、自動くん製運転を実行したときにおける、自動くん製運転の開始から経過した時間Tと、温度検知部36によって検知した温度tとの関係を示したグラフである。制御部20は、自動くん製運転において、発煙工程といぶし工程とを実行する。発煙工程において制御部20は、調理容器4に配置されたくん製材の温度が、当該くん製材の発煙温度以上になるように加熱部33を制御する。制御部20は、発煙工程において調理容器4に配置されたくん製材の温度が当該くん製材の発煙温度以上の温度になったと推測される時点で、発煙工程を終了する。このような発煙工程が実行されることで、調理容器4に配置されたくん製材が加熱されて発煙し、このくん製材から出た煙が略密閉された調理容器4内において充満する。
【0047】
いぶし工程は、発煙工程に続いて実行される工程である。いぶし工程において制御部20は、調理容器4に配置されたくん製材の温度が、くん製材の発煙温度未満になるように加熱部33を制御する。制御部20は、いぶし工程において調理容器4に配置されたくん製材の温度が当該くん製材の発煙温度未満の温度となったと推測される時点で、いぶし工程を終了する。このようないぶし工程が実行されることで、調理容器4に配置された食材は、先の発煙工程においてくん製材から発生した煙でいぶされ、当該食材に香味及び風味が付けられる。以下、上述した発煙工程とこの発煙工程の後に行われるいぶし工程とからなる一連の工程を発煙・いぶし工程という。
【0048】
制御部20は、上述した自動くん製運転の設定において設定された事項に基づき、自動くん製運転において実行される発煙・いぶし工程の回数である実行予定回数NAを決定する。例えば、自動くん製運転の設定において、強く香味付けされるように、いぶし加減等が設定された場合、弱く香味付けされるようにいぶし加減等が設定された場合よりも、実行予定回数NAを多くする。そして、制御部20は、自動くん製運転において発煙・いぶし工程を実行予定回数NAだけ実行した時点で自動くん製運転を終了する。
【0049】
具体的に本実施形態の制御部20は、図8に示すフローチャートに従って加熱部33を制御することにより、自動くん製運転を実行する。
【0050】
制御部20は、利用者によりグリル用操作部14が操作されて、自動くん製運転の実行の指令がなされたとき、ステップS1の処理を実行する。ステップS1において、制御部20は、発煙工程を開始する。制御部20は、発煙工程の開始時に加熱量変更部35を制御して、下バーナー331を火力が「強」となる点火状態とする。なお、本実施形態の自動くん製運転では、上バーナー330は用いられず、上バーナー330の火力は、常時「切」とされる。
【0051】
制御部20は、ステップS1に続いてステップS2の処理を実行する。ステップS2において、制御部20は、温度検知部36により調理容器4の温度tを検知し、この温度tが予め設定された所定温度ta以上であるか否かを判定する。所定温度taは、調理容器4に配置されたくん製材の温度が当該くん製材の発煙温度以上の温度になる温度である。本実施形態の所定温度taは、調理容器4に配置されたくん製材の温度が、当該くん製材の発火温度(例えば、350℃)未満で、かつ、当該くん製材がタールを発生するタール発生温度(例えば、320℃)未満となる温度に設定されており、具体的には、280℃である。
【0052】
ステップS2において温度tが所定温度ta以上でなければ、制御部20は、ステップS3において一定時間待機した後、ステップS2の処理を実行する。ステップS2において温度tが所定温度ta以上であれば、制御部20はステップS4の処理を実行する。
【0053】
ステップS4において、制御部20は、発煙工程を終了していぶし工程を開始する。制御部20は、いぶし工程の開始時に加熱量変更部35を制御して、下バーナー331の火力を「弱」とする。
【0054】
制御部20は、ステップS4の処理に続いてステップS5の処理を実行する。ステップS5において、制御部20は、当該自動くん製運転において実行された発煙・いぶし工程の実行回数Nが、当該自動くん製運転の設定に基づいて決定された実行予定回数NAであるか否かを判定する。
【0055】
ステップS5において、実行回数Nが実行予定回数NAでなければ、制御部20は、ステップS6の処理を実行する。ステップS6において、制御部20は、温度検知部36により調理容器4の温度tを検知し、この温度tが予め設定された所定温度tb以下であるか否かを判定する。所定温度tbは、調理容器4に配置されたくん製材の温度が当該くん製材の発煙温度未満の温度になる温度である。具体的に本実施形態の所定温度tbは、230℃である。
【0056】
ステップS6において、温度tが所定温度tb以下でなければ、制御部20は、ステップS7において一定時間待機した後、ステップS6の処理を実行する。ステップS6において、温度tが所定温度tb以下であれば、制御部20は、ステップS1の処理を実行し、いぶし工程を終了すると共に、再び発煙工程を開始する。
【0057】
ステップS5において、実行回数Nが実行予定回数NAであれば、制御部20は、ステップS8の処理を実行する。ステップS8において、制御部20は、当該いぶし工程を開始した時点から予め設定された所定時間TAが経過したか否かを判定する。所定時間TAは、調理容器4内の煙がほぼなくなる程度まで減少したことが推測される時間であり、実験により求められる。本実施形態の所定時間TAは、2分である。
【0058】
ステップS8において所定時間TAが経過していなければ、制御部20は、ステップS9において一定時間待機した後、ステップS8の処理を実行する。ステップS8において所定時間TAが経過していれば、制御部20は、ステップS10の処理を実行する。ステップS10において、制御部20は、下バーナー331を消火して、いぶし工程及び自動くん製運転を終了する。
【0059】
図7からも明らかなように、本実施形態の加熱調理器1は、発煙工程ではくん製材の温度が発煙温度以上になるように加熱部33が制御され、いぶし工程ではくん製材の温度が発煙温度未満になるように加熱部33が制御される。このため、いぶし工程における加熱部33の加熱量を、発煙工程における加熱部33の加熱量よりも小さくすることができ、エネルギー使用量を抑制することができる。また、くん製材から効率よく煙を発生させてくん製を作ることができ、くん製材の使用量を抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態の加熱調理器1では、いぶし工程に続いて発煙工程を実行可能である。すなわち、発煙工程といぶし工程とは、交互に実行される。このため、いぶし工程において調理容器4内の煙が時間の経過と共に減少した後に、発煙工程を実行して調理容器4内に再び多くの煙を発生させることができ、食材を長時間いぶして強く香味付けすることができる。また、本実施形態の加熱調理器1では、発煙工程といぶし工程とからなる発煙・いぶし工程を繰り返し実行可能である。このため、エネルギー使用量を抑制しつつ、食材を強く香味付けすることができる。また、本実施形態では、自動くん製運転の最後にいぶし工程が実行される。このため、エネルギー使用量を一層抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、利用者はグリル用操作部14を操作していぶし加減等を設定することにより、自動くん製運転における発煙・いぶし工程の実行回数を変更できる。このため、利用者の好みに応じて、食材に香味付けすることができる。
【0062】
次に上記実施形態の変形例1、2について説明する。なお、以下の変形例1、2の説明では、上記実施形態と共通する要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
(変形例1)
変形例1の加熱調理器1における制御部20は、図9に示すフローチャートに従って加熱部33を制御することにより、自動くん製運転を実行する。
【0064】
制御部20は、利用者によりグリル用操作部14が操作されて、自動くん製運転の実行の指令がなされたとき、ステップS11の処理を実行する。ステップS11において、制御部20は、発煙工程を開始する。制御部20は、発煙工程の開始時に加熱量変更部35を制御して、下バーナー331を火力が「強」となる点火状態とする。
【0065】
制御部20は、ステップS11に続いてステップS12の処理を実行する。ステップS12において、制御部20は、当該発煙工程を開始した時点から経過した時間T1が予め設定された所定時間T1A以上であるか否かを判定する。所定時間T1Aは、調理容器4に配置されたくん製材の温度が当該くん製材の発煙温度以上の温度になることが推測される時間であり、実験により求められる。本変形例の所定時間T1Aは、調理容器4に配置されたくん製材の温度が、当該くん製材の発火温度未満で、かつ、当該くん製材がタールを発生するタール発生温度未満となる時間に設定されている。
【0066】
ここで、所定時間T1Aは、発煙工程毎に設定される。具体的に本実施形態では、1回目の発煙工程における所定時間T1Aが6分に設定され、2回目以降の発煙工程における所定時間T1Aが2分に設定されている。
【0067】
ステップS12において時間T1が所定時間T1A以上でなければ、制御部20は、ステップS13において一定時間待機した後、ステップS12の処理を実行する。ステップS12において時間T1が所定時間T1A以上であれば、制御部20はステップS14の処理を実行する。
【0068】
ステップS14において、制御部20は、発煙工程を終了していぶし工程を開始する。制御部20は、いぶし工程の開始時に加熱量変更部35を制御して、下バーナー331の火力を「弱」とする。
【0069】
制御部20は、ステップS14の処理に続いてステップS15の処理を実行する。ステップS15において、制御部20は、当該自動くん製運転において実行された発煙・いぶし工程の実行回数Nが、当該自動くん製運転の設定に基づいて決定された実行予定回数NAであるか否かを判定する。
【0070】
ステップS15において、実行回数Nが実行予定回数NAでなければ、制御部20は、ステップS16の処理を実行する。ステップS16において制御部20は、当該いぶし工程を開始した時点から経過した時間T2が予め設定された所定時間T2A以上であるか否かを判定する。所定時間T2Aは、調理容器4に配置されたくん製材の温度が当該くん製材の発煙温度未満の温度になることが推測される時間であり、実験により求められる。
【0071】
ここで、所定時間T2Aとしては、全てのいぶし工程において同じ時間が設定されてもよいし、いぶし工程毎に設定されてもよい。本変形例では、各回のいぶし工程の所定時間T2Aが2分に設定されている。
【0072】
ステップS16において、時間T2が所定時間T2A以上でなければ、制御部20は、ステップS17において一定時間待機した後、ステップS16の処理を実行する。ステップS16において時間T2が所定時間T2A以上であれば、制御部20は、ステップS11の処理を実行し、いぶし工程を終了すると共に再び発煙工程を開始する。
【0073】
ステップS15において、実行回数Nが実行予定回数NAであれば、制御部20は、ステップS18の処理を実行する。ステップS18において、制御部20は、当該いぶし工程を開始した時点から所定時間TAが経過したか否かを判定する。所定時間TAは、調理容器4内の煙がほぼなくなる程度まで減少したことが推測される時間であり、実験により求められる。本変形例の所定時間TAは、2分である。
【0074】
ステップS18において所定時間TAが経過していなければ、制御部20は、ステップS19において一定時間待機した後、ステップS18の処理を実行する。ステップS18において所定時間TAが経過していれば、制御部20は、ステップS20の処理を実行する。ステップS20において、制御部20は、下バーナー331を消火して、自動くん製運転を終了する。
【0075】
本変形例では、発煙工程及びいぶし工程の各々の工程が、所定時間実行された時点で終了する。このように、発煙工程及びいぶし工程の終了のタイミングは、時間によって制御することもできる。
【0076】
(変形例2)
変形例2の加熱調理器1における制御部20は、上述した自動くん製運転の設定において設定された事項(いぶし加減、食材の種類、くん製材の種類又はこれらのうち2以上の組み合わせ)に基づき、自動くん製運転の実行予定時間TBを決定する。例えば、自動くん製運転の設定において、強く香味付けされるようにいぶし加減等が設定された場合、弱く香味付けされるようにいぶし加減等が設定された場合よりも、実行予定時間TBを長くする。そして、制御部20は、自動くん製運転を実行予定時間TBだけ実行した時点で自動くん製運転を終了する。
【0077】
本変形例の加熱調理器1における制御部20は、図10に示すフローチャートに従って加熱部33を制御することにより、自動くん製運転を実行する。制御部20は、利用者によりグリル用操作部14が操作されて、自動くん製運転の実行の指令がなされたとき、ステップS21の処理を実行する。ステップS21の処理は、上記実施形態におけるステップS1の処理と同じである。すなわち、制御部20は、ステップS21において、加熱量変更部35を制御して、下バーナー331を火力が「強」となる点火状態とし、発煙工程を開始する。
【0078】
制御部20は、ステップS21に続いてステップS22の処理を実行する。ステップS22において、制御部20は、自動くん製運転を開始した時点から経過した時間Tが、当該自動くん製運転の設定に基づいて決定された実行予定時間TB以上であるか否かを判定する。
【0079】
ステップS22において時間Tが実行予定時間TB以上でなければ、制御部20はステップS23の処理を実行する。ステップS23の処理は、上記実施形態におけるステップS2の処理と同じである。すなわち、制御部20は、ステップS23において、温度検知部36により調理容器4の温度tを検知し、この温度tが予め設定された所定温度ta以上であるか否かを判定する。
【0080】
ステップS23において温度tが所定温度ta以上でなければ、制御部20は、ステップS24において一定時間待機した後、ステップS22の処理を実行する。ステップS23において温度tが所定温度ta以上であれば、制御部20はステップS25の処理を実行する。
【0081】
ステップS25の処理は、上記実施形態におけるステップS4の処理と同じである。すなわち、制御部20は、ステップS25において、加熱量変更部35を制御して、下バーナー331の火力を「弱」とし、発煙工程を終了し、かつ、いぶし工程を開始する。
【0082】
制御部20は、ステップS25の処理に続いてステップS26の処理を実行する。ステップS26の処理は、ステップS22の処理と同じである。すなわち、制御部20は、ステップS26において、自動くん製運転を開始した時点から経過した時間Tが実行予定時間TB以上であるか否かを判定する。
【0083】
ステップS26において時間Tが実行予定時間TB以上でなければ、制御部20はステップS27の処理を実行する。ステップS27の処理は、上記実施形態におけるステップS6と同じ処理である。すなわち、制御部20は、ステップS27において、温度検知部36により調理容器4の温度tを検知し、この温度tが予め設定された所定温度tb以下であるか否かを判定する。
【0084】
ステップS27において温度tが所定温度tb以下でなければ、制御部20は、ステップS28において一定時間待機した後、ステップS26の処理を実行する。ステップS28において、温度tが所定温度tb以下であれば、制御部20は、ステップS21の処理を実行し、いぶし工程を終了すると共に発煙工程を再び開始する。
【0085】
ステップS22において時間Tが実行予定時間TB以上である場合、制御部20は、ステップS29において下バーナー331を消火して自動くん製運転を終了する。また、ステップS26において、時間Tが実行予定時間TB以上である場合、制御部20は、ステップS30において下バーナー331を消火して自動くん製運転を終了する。
【0086】
上述したように、本変形例では、自動くん製運転を所定時間TBだけ実行した時点で終了する。このように、自動くん製運転の終了のタイミングは、時間によって制御することもできる。
【0087】
(他の変形例)
上記実施形態及び各変形例の加熱調理器1は、適宜設計変更可能である。例えば、加熱調理器1は、自動くん製運転の終了を報知する報知部を備えてもよい。報知部は、例えば、ブザー、スピーカー等の発音装置、文字、図柄等を表示する表示装置、光を発する電灯、あるいはこれら複数の装置の組み合わせである。
【0088】
また、上記実施形態及び変形例2における所定温度ta及び所定温度tb、変形例1における所定時間T1A及び所定時間T2A、上記実施形態及び変形例1における所定時間TAは限定されず、調理容器4の材質及び形状、食材の種類、くん製材の種類、加熱部33の能力等に応じて適宜変更可能である。
【0089】
また、上記実施形態及び各変形例の発煙工程及びいぶし工程における下バーナー331の火力も限定されない。例えば、いぶし工程における下バーナー331の火力を「切」としたり、発煙工程における下バーナー331の火力を「弱」とし、かつ、いぶし工程における下バーナー331の火力を「切」としてもよい。また、いぶし工程における加熱部33の加熱量は、発煙工程における加熱部33の加熱量よりも小さければよく、発煙工程及びいぶし工程の各々では、下バーナー331に加えて上バーナー330が点火されてもよいし、上バーナー330のみが点火されてもよい。また、上記実施形態及び各変形例における加熱部33は、下バーナー331のみを有してもよいし、上バーナー330のみを有してもよい。また、上記実施形態及び変形例1では、自動くん製運転の最後にいぶし工程を実行しているが、自動くん製運転の最後に発煙工程を所定時間実行してもよい。
【0090】
また、上記実施形態及び各変形例における自動くん製運転の設定では、前述したいぶし加減、食材の種類、くん製材の種類又はこれらのうち2以上の組み合わせの設定に代えて、グリル用操作部14の操作により、発煙・いぶし工程の実行回数等が設定されるようにしてもよい。この場合も、加熱調理器1が、自動くん製運転における発煙・いぶし工程の実行回数を変更するための操作部を備えたことに含まれる。
【0091】
また、上記実施形態及び各変形例の温度検知部36は、調理容器4の底部401に接触する温度センサーであるが、周壁部402等、調理容器4における底部401以外の箇所に接触する温度センサーであってもよい。また、温度検知部36は、調理容器4の温度を直接検知するものに限られず、例えば、調理容器4に接触しない状態で加熱室30内の配置される温度センサー等、調理容器4の温度と相関する温度を検知するものであってもよい。すなわち、本開示における調理容器4の温度を検知する温度検知部36には、調理容器4の温度を直接検知するものだけでなく、調理容器4の温度と相関する温度を検知するものも含まれる。
【0092】
また、上バーナー用火力調節部352は、電磁弁352a及び電磁弁352bに限られず、下バーナー用火力調節部354は、電磁弁354a及び電磁弁354bに限られない。例えば、上バーナー用火力調節部352は、上バーナー用流路341に設けられた流量制御弁等であってもよい。また、下バーナー用火力調節部354は、下バーナー用流路342に設けられた流量制御弁等であってもよい。
【0093】
また、調理容器4は蓋41を有さなくてもよい。この場合、利用者は、例えば、容器本体40に蓋41に代わるアルミ箔等の部材を取り付けて、自動くん製運転を行ってもよい。また、加熱調理器1は、支持体42を備えてなくてもよい。
【0094】
また、本開示の技術は、例えば、グリルを備えたテーブルこんろ、こんろを備えないガスグリル等、食材又は食材が配置される容器等が直接火で加熱されるその他の加熱調理器にも適用可能である。すなわち、本開示における加熱調理器1は、自動くん製運転に加えて、食材又は食材が配置される容器を直接火で加熱する工程を実行可能な装置であればよい。更に言えば、本開示の技術は、グリルを備えない加熱調理器にも適用可能であり、例えば、グリルを備えず、加熱部としてこんろバーナーを備えたガスこんろ、又は加熱対象物を電磁誘導加熱により加熱する加熱部を備えた電磁調理器等にも適用可能である。
【0095】
(態様)
以上説明した実施形態及び各変形例から明らかなように、第1の態様の加熱調理器(1)は、以下に示す構成を有する。加熱調理器(1)は、加熱部(33)と制御部(20)とを備えている。制御部(20)は、加熱部(33)を制御して、加熱部(33)でくん製材を加熱する自動くん製運転を実行可能である。自動くん製運転は、発煙工程と、いぶし工程とを含んでいる。いぶし工程は、発煙工程に続いて実行される。制御部(20)は、発煙工程においては、くん製材の温度がくん製材の発煙温度以上になるように加熱部(33)を制御し、いぶし工程においては、くん製材の温度が発煙温度未満になるように加熱部(33)を制御する。
【0096】
この態様によれば、いぶし工程における加熱部(33)の加熱量を、発煙工程における加熱部(33)の加熱量よりも小さくすることができ、エネルギー使用量を抑制することができる。また、くん製材から煙を効率よく発生させて、くん製を作ることができ、くん製材の使用量を抑制することができる。
【0097】
第2の態様の加熱調理器(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様は、以下に示す構成を有している。加熱部(33)は、調理容器(4)を加熱することで、調理容器(4)に配置されたくん製材を加熱する。加熱調理器(1)は、調理容器(4)の温度を検知する温度検知部(36)を更に備えている。制御部(20)は、発煙工程を温度検知部(36)の検知結果に基づいて終了する。
【0098】
この態様によれば、調理容器(4)を利用してくん製を作ることができる。また、調理容器(4)の温度を検知する温度検知部(36)の検知結果に基づいて、発煙工程を終了することができる。
【0099】
第3の態様の加熱調理器(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の制御部(20)は、発煙工程を所定時間(T1A)実行した時点で終了する。
【0100】
この態様によれば、発煙工程の実行時間に基づいて発煙工程を終了することができる。
【0101】
第4の態様の加熱調理器(1)は、第1~第3のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様の制御部(20)は、自動くん製運転において、いぶし工程に続いて発煙工程を再び実行する。
【0102】
この態様によれば、いぶし工程において調理容器(4)内の煙が時間の経過と共に減少した後に、発煙工程を実行して調理容器(4)内に再び多くの煙を発生させることができる。このため、食材を長時間いぶして強く香味付けすることができる。
【0103】
第5の態様の加熱調理器(1)は、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様の制御部(20)は、自動くん製運転において、発煙工程といぶし工程とからなる発煙・いぶし工程を繰り返し実行する。
【0104】
この態様によれば、エネルギー使用量を抑制しつつ、食材を強く香味付けすることができる。
【0105】
第6の態様の加熱調理器(1)は、第5の態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様は、以下の構成を有する。加熱調理器(1)は、自動くん製運転における発煙・いぶし工程の実行回数を変更するための操作部(14)を更に備えている。
【0106】
この態様によれば、利用者は操作部(14)を操作して発煙・いぶし工程の実行回数を変更することで、食材に香味付けする強さを変更することができる。
【0107】
第7の態様の加熱調理器(1)は、第1~第6のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様の制御部(20)は、自動くん製運転の最後に、いぶし工程を実行する。
【0108】
この態様によれば、エネルギー使用量を一層抑制することができる。
【符号の説明】
【0109】
T1A 所定時間
1 加熱調理器
14 グリル用操作部(操作部)
20 制御部
33 加熱部
36 温度検知部
4 調理容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10