(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】乾燥コンテナ
(51)【国際特許分類】
B27K 5/00 20060101AFI20230823BHJP
F26B 9/06 20060101ALI20230823BHJP
F26B 3/06 20060101ALI20230823BHJP
B65D 88/12 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B27K5/00 F
F26B9/06 H
F26B3/06
B65D88/12 E
B65D88/12 T
(21)【出願番号】P 2019125227
(22)【出願日】2019-07-04
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柏原 一仁
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0116213(US,A1)
【文献】特公昭49-008879(JP,B1)
【文献】実開昭51-113871(JP,U)
【文献】実公昭42-008478(JP,Y2)
【文献】特開2017-132146(JP,A)
【文献】実開平03-067892(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27K 1/00- 9/00
F26B 1/00-25/22
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナにおいて、
底壁の周縁から起立した側壁を有する箱状に構成されたコンテナ本体と、
複数の貫通孔を有する板状に構成され、前記コンテナ本体の底壁の上面から一定高さを空けて設けられたデッキと、
前記デッキを支持する支持体と、
前記コンテナ本体の側壁に、前記コンテナ本体の底壁の上面と前記デッキとの間へ送風するように、前記コンテナ本体の外部へと連通するように設けられた送風口と、
前記送風口からの送風を前記コンテナ本体の内部において前記側壁よりも手前の位置へ誘導する誘導板と、を備え、
前記誘導板は、前記デッキから前記底
壁まで延びる垂直板部を備え、該垂直板部は、前記送風口からの送風が前記側壁よりも手前の位置で当たって上方へ案内するための案内面を構成し、
前記支持体が前記誘導板を兼用していることを特徴とする乾燥コンテナ。
【請求項2】
前記誘導板は、前記送風口からの送風が前記デッキの周縁部に形成された貫通孔から上方へ抜けないように該貫通孔を塞ぐ閉塞部を有していることを特徴とする請求項1に記載の乾燥コンテナ。
【請求項3】
前記側壁は、前記コンテナ本体の前側に位置する前側壁と、前記コンテナ本体の後側に位置する後側壁と、前記コンテナ本体の左側に位置する左側壁と、前記コンテナ本体の右側に位置する右側壁と、を備え、前記誘導板は、前記前側壁に固定された前側支持体と、前記左側壁に固定された左側支持体と、前記右側壁に固定された右側支持体と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥コンテナ。
【請求項4】
前記左側支持体は、前記前側支持体の左端から連続して後方へ延びるように配置され、前記右側支持体は、前記前側支持体の右端から連続して後方へ延びるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の乾燥コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材チップ等の多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材チップ用の乾燥コンテナとして、例えば特許文献1に従来例として開示された構造が存在している(特許文献1の
図4)。この乾燥コンテナは、底壁の周縁から起立した側壁を有する箱状に構成され、内外を連通する送風口を有するコンテナ本体と、前記コンテナ本体の底壁の上面から一定高さを空けて設けられ、多数の貫通孔が設けられた多孔板と、を備えている。この乾燥コンテナでは、コンテナ本体の底壁の上面と多孔板との間に形成される空間にコンテナ外部から送風口を介して熱風を供給し、多孔板を通り抜けた熱風により、多孔板上に収容された木材チップが乾燥される。
【0003】
ところで、コンテナ本体に積み重ねて収容されている木材チップを見てみると、コンテナ本体の側壁と該側壁付近の木材チップとの間に発生する隙間が上方に直線状に連続しやすい傾向にある。そのため、多孔板を通り抜けた熱風が、コンテナ本体の側壁に沿って抜けやすくなり、木材チップに十分に当たらずに抜けてしまう。このため、コンテナ本体の側壁付近の木材チップが他の箇所の木材チップよりも乾燥され難く、乾燥ムラが大きくなってしまうという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、乾燥ムラを抑制できる乾燥コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乾燥コンテナは、多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナにおいて、底壁の周縁から起立した側壁を有する箱状に構成されたコンテナ本体と、複数の貫通孔を有する板状に構成され、前記コンテナ本体の底壁の上面から一定高さを空けて設けられたデッキと、前記コンテナ本体の側壁に、前記コンテナ本体の底壁の上面と前記デッキとの間へ送風するように、前記コンテナ本体の外部へと連通するように設けられた送風口と、前記送風口からの送風を前記コンテナ本体の内部において前記側壁よりも手前の位置へ誘導する誘導板と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、送風口からの送風が誘導板で側壁よりも手前の位置へ誘導されるため、側壁に沿って上方へ抜けてしまうことを抑制できる。
【0008】
また、本発明の乾燥コンテナは、前記誘導板が、前記送風口からの送風が前記側壁よりも手前の位置で当たって上方へ案内するための案内面を有していてもよい。
【0009】
上記のように、送風口からの送風は、側壁よりも手前の位置で案内面に当たって上方へ確実に案内される。
【0010】
また、本発明の乾燥コンテナは、前記誘導板が、前記送風口からの送風が前記デッキの周縁部に形成の貫通孔から上方へ抜けないように該貫通孔を塞ぐ閉塞部を有していてもよい。
【0011】
上記のように、板部材でデッキの周縁部の孔を塞ぐことによって、送風口からの送風がデッキの周縁部の孔から上方へ移動することができない。そのため、デッキの周縁部よりも内側の貫通孔から送風口からの送風が上方へ移動する。これにより、側壁に沿って上方へ抜けてしまうことを抑制できる。
【0012】
また、本発明の乾燥コンテナは、前記デッキを支持する支持板を設け、該支持板が前記誘導板を兼用していてもよい。
【0013】
上記のように、デッキを支持する支持板が誘導板を兼用することによって、部品点数の削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、誘導板で送風口からの送風を側壁よりも手前の位置へ誘導することによって、側壁に沿って上方へ抜けてしまうことを抑制することができる。よって、乾燥ムラを抑制できる乾燥コンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥コンテナを含む乾燥コンテナシステムを示す側面図である。
【
図2】同乾燥コンテナシステムを示す平面図である。
【
図7】
図6におけるVIIの部分の拡大断面図である。
【
図8】乾燥コンテナの右側壁付近のデッキの支持構造を示す断面図である。
【
図9】
図7で示した部分の別の第1の形態を示す断面図である。
【
図10】
図7で示した部分の別の第2の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る乾燥コンテナについて説明する。なお、説明の都合上、以下の方向の表現は、上下方向については
図1に示す方向を基準とする。また、前後方向については、
図1及び
図2に示す状態における左方が車載時に車両前方に位置することから前方とし、同右方が車載時に車両後方に位置することから後方とする。また、幅方向とは車載時の車幅方向(左右方向)に一致する方向である。
【0017】
多数の粒状体である木材チップ(以下「チップ」)を収容する乾燥コンテナ1は、
図1及び
図2に示すような乾燥コンテナシステムSの一構成要素である。ここで、乾燥コンテナシステムSについて説明する。乾燥コンテナシステムSは主に、乾燥コンテナ1、気流供給機構2、連結管3から構成されている。乾燥コンテナ1は、図示していない車両に搭載可能に構成されている。具体的には、図示していない車両に設けたフックアームのフックを、乾燥コンテナ1に備えるフック係合部4(
図1、
図2参照)に係止した状態で持ち上げて車両側に移動させることで乾燥コンテナ1を車両に搭載させることができる。乾燥コンテナ1内に収容された多数のチップは送風により、外面に付着した水分及び木材組織内に含まれた水分が蒸発することで乾燥させられる。乾燥したチップは、例えば木質バイオマス発電に用いられる。乾燥により、発電時の燃焼がしやすくなり、かつ、水分が抜けた分軽量化されるため、例えば運搬時において有利である。
【0018】
気流供給機構2は、例えば熱風を発生できる機構であって、図示していないが、送風機とヒーターとを備えている。なお、気流を加熱するための熱源は、例えば、他の装置の排熱を利用して加熱を行う場合、気流供給機構2の外部に設けることもできる。気流の加熱温度及び加熱時間は、乾燥コンテナ1に収容されたチップの乾燥度合や収容量に応じて適宜設定することになる。また、状況によっては加熱を行わず、送風だけを行うこともできる。連結管3は、気流供給機構2で生じた気流(熱風)を乾燥コンテナ1に送るため、乾燥コンテナ1と気流供給機構2とを連結する管であって、パイプやホースを用いることができる。本実施形態では、断面形状が円形のホース(ダクトホース)が用いられている。
【0019】
乾燥コンテナ1は、一般的な車載コンテナと同様の略直方体形状であって、
図1~
図3に示す乾燥コンテナシステムSとしての使用状態において上面が開口した箱状に構成され、外部からの送風を内部に供給する送風口5Kを有するコンテナ本体5と、コンテナ本体5の底壁51の上面から一定高さを空けて設けられるデッキ6(
図5参照)と、を備えている。チップは、乾燥コンテナ1の上面から内部に投入される。
【0020】
乾燥コンテナ1は、気流供給機構2から連結管3を経由して送られた気流(熱風)が送風口5Kを介して底壁51の上面とデッキ6の下面との間に形成される気流滞留空間7(
図5参照)に供給される。前記供給された気流は、デッキ6に形成されている多数の貫通孔6Aからデッキ6上に収容された多数のチップに気流を当てることでチップを乾燥させる。
【0021】
コンテナ本体5は、
図1及び
図4に示すように、前後方向に長い長方形状の底壁51と、底壁51の周縁から起立した側壁52と、底壁51の後方に取り付けられた左右一対のローラ53,53と、底壁51の前方に取り付けられた左右一対の脚部54,54と、を備えている。
【0022】
側壁52は、前側に位置する前側壁52Aと、後側に位置する後側壁52Bと、左側に位置する左側壁52Cと、右側に位置する右側壁52Dと、を備えている。後側壁52Bは、開閉自在な左右一対の扉52b,52bから構成されている(
図3参照)。それら扉52b,52bにおける下部で幅方向中央の位置には、
図3に示すように、コンテナ本体5の内外を連通するものであって、連結管3を接続できる送風口5Kが設けられている。扉52b,52bを送風口5Kの周囲部分を除いて開放することによって、例えばチップの取り出しを行う、または、コンテナ本体5の内部を清掃することができる。また、コンテナ本体5の底壁51及び側壁52は、リブ等が形成されることで補強されている。
【0023】
次に、デッキ6は、
図2に示すように、厚さ方向(上下方向)に貫通した複数の円形状(楕円形状や多角形状等、どのような形状であってもよい)の貫通孔6A…を有する板状に構成され、コンテナ本体5の底壁51の上面から一定高さを空けて、底壁51の上面と平行に配置されている。貫通孔6A…は、デッキ6の左右方向中心部(後述の中央支持体13で支持される部分)を除く略全域に形成され、前後方向及び左右方向に間隔(ここでは等間隔)を置いて多数形成され、左右方向において隣り合う孔の位置が異なる千鳥状(格子状でもよい)に形成されている。コンテナ本体5の底壁51の上面とデッキ6の下面との間に前記気流滞留空間7が形成される(
図5、
図6参照)。送風口5Kは、コンテナ本体5の底壁51の上面とデッキ6の下面との間へ送風するように、コンテナ本体5の外部へと連通するように設けられている。なお、大風量の気流を導入するために、コンテナ本体5の底壁51の上面とデッキ6の下面との高さ方向の距離に比べ、送風口5Kの高さ寸法が大きく設定されている。このため、コンテナ本体5の内部に、高さ寸法を調整するための送風ガイド部8が設けられている。したがって、送風口5Kから導入された気流(熱風)は、送風ガイド部8を介して気流滞留空間7に流れ、デッキ6の複数の貫通孔6A…を通して多数のチップに供給される。
【0024】
デッキ6は、
図2に示すように、複数のデッキ単板6a…が並べられて構成されている。本実施形態では、前後方向に並べられた4枚のデッキ単板6a…からデッキ6が構成されている。各デッキ単板6aとして、本実施形態では、パンチングプレートが用いられている。ただしこれに限らず、例えば、金網と開口率を調整するための部材(スリットを設けた板状体等)との組み合わせを用いてもよく、構成は種々に選択できる。
【0025】
デッキ6は、複数の支持体で支持されており、その支持体は、
図4に示すように、底壁51の前端部に固定される前側支持体9と、底壁51の後端部に固定される後側支持体10と、底壁51の左端部に固定される左側支持体11と、底壁51の右側端部に固定される右側支持体12と、底壁51の左右幅方向中央に固定される前後方向に延びる中央支持体13と、中央支持体13の左側端と左側支持体11の右側端とを前後方向複数個所(3か所)で連結する複数(3つ)の左側補助支持体14と、中央支持体13の右側端と右側支持体12の左側端とを前後方向複数個所(3か所)で連結する複数(3つ)の右側補助支持体15と、を備えている。
【0026】
前側支持体9は、
図2、
図4及び
図5に示すように、コンテナ本体5の左右幅方向に延びる板状の部材から構成され、前側壁52Aに溶接等で固定され、前端に位置するデッキ単板6aの前端部を下方から当接支持する水平板部9Aと、水平板部9Aの後端から下方に延びて底壁51の上面に溶接等により固定される垂直板部9Bと、を備えている。デッキ単板6aは、水平板部9Aに載置支持された状態でボルトとナットにより固定されている。また、水平板部9Aは、前端に位置するデッキ6の前端部に形成の前後2列の貫通孔6A,6Aを下方から塞いでいる。また、垂直板部9Bは、送風口1Kから導入された気流(熱風)が前側壁52Aよりも手前の位置で当たって上方へ案内するための案内面9bを有する誘導板として機能する(
図5の矢印Y1参照)。したがって、送風口5Kからの送風(熱風)が誘導板(垂直板部9B)で前側壁52Aよりも手前の位置で上方へ誘導されるため、前側壁52Aに沿って上方へ抜けてしまうことを抑制できる。
【0027】
後側支持体10は、左右一対の板状の部材16,16から構成され、各部材16は、後端に位置するデッキ6の後端部を下方から当接支持する水平板部16Aと、水平板部16Aの後端から下方に延びて底壁51の上面に溶接等により固定される垂直板部16Bと、を備えている。デッキ単板6aは、水平板部16Aに載置支持された状態でボルトとナットにより固定されている。なお、扉52bが閉じられた時に水平板部16Aの後端面に当接するように構成されている。水平板部16Aは、後端に位置するデッキ6の後端部に形成の前後2列の貫通孔6A,6Aを下方から塞いでいる。また、垂直板部16Bは、送風口5Kから導入された気流(熱風)が後側壁52Bよりも手前の位置で当たって上方へ案内するための案内面16bを有する誘導板として機能する(
図5の矢印Y2参照)。したがって、送風口5Kからの送風(熱風)が誘導板(垂直板部16B)で後側壁52Bよりも手前の位置へ誘導されるため、後側壁52Bに沿って上方へ抜けてしまうことを抑制できる。ここで、側壁よりも手前の位置とは、コンテナ本体5の中心側(内側)方向の位置である。また、側壁よりも手前の位置へ誘導するとは、誘導板で側壁に送風が近づくのを阻止すること、又は誘導板で送風が側壁に沿って上方に上がるのを阻止することを含む。本実施形態では、誘導板で側壁よりも手前の位置で送風を上方へ誘導している。
【0028】
左側支持体11は、
図6及び
図7に示すように、左側壁52Cに溶接等で固定され、全てのデッキ6の左端部を下方から当接支持する前後方向に延びる水平板部11Aと、水平板部11Aの右端から下方に延びて底壁51の上面に溶接等により固定される垂直板部11Bと、を備えている。左側壁52Cは、下端から上方に向かうほど外側に位置する傾斜部52eと、傾斜部52eの上端から上方に延びる垂直部52fと、を備え、傾斜部52eの上端側に水平板部11Aが固定されている。水平板部11Aは、全てのデッキ6の左端部に形成の左右3列の貫通孔6A,6A,6Aを下方から塞いでいる(
図2参照)。デッキ単板6aは、水平板部11Aに載置支持された状態でボルトとナットにより固定されている。また、垂直板部11Bは、送風口5Kから導入された気流(熱風)が左側壁52Cよりも手前の位置で当たって上方へ案内するための案内面11bを有する誘導板として機能する(
図7の矢印Y3参照)。したがって、送風口5Kからの送風(熱風)が誘導板(垂直板部11B)で左側壁52Cよりも手前の位置で上方へ誘導されるため、左側壁52Cに沿って上方へ抜けてしまうことを抑制できる。
【0029】
右側支持体12は、左側支持体11と左右が逆になるだけで、同一構成である。
図8に示すように、右側支持体12は、右側壁52Dに溶接等で固定され、全てのデッキ6の左端部を下方から当接支持する前後方向に延びる水平板部12Aと、水平板部12Aの右端から下方に延びて底壁51の上面に溶接等により固定される垂直板部12Bと、を備えている。右側壁52Dは、下端から上方に向かうほど外側に位置する傾斜部52gと、傾斜部52gの上端から上方に延びる垂直部52hと、を備え、傾斜部52gの上端側に水平板部12Aが固定されている。水平板部12Aは、全てのデッキ6の左端部に形成の左右3列の貫通孔6A,6A,6Aを下方から塞いでいる(
図2参照)。デッキ単板6aは、水平板部12Aに載置支持された状態でボルトとナットにより固定されている。また、垂直板部12Bは、送風口5Kから導入された気流(熱風)が右側壁52Dよりも手前の位置で当たって上方へ案内するための案内面12bを有する誘導板として機能する(
図8の矢印Y6参照)。したがって、送風口5Kからの送風(熱風)が誘導板(垂直板部12B)で右側壁52Dよりも手前の位置で上方へ誘導されるため、右側壁52Dに沿って上方へ抜けてしまうことを抑制できる。
【0030】
中央支持体13は、
図2、
図4及び
図6に示すように、下方が開放された縦断面形状がアーチ形状に構成され、前記送風ガイド部8から前側壁52Aの手前までの前後長さを有している。中央支持体13の前端は、開放された通風口13K(
図4参照)を備えている。この通風口13Kは、気流滞留空間7を、中央支持体13を挟んで幅方向に連通する。中央支持体13に通風口13Kが設けられたことで、中央支持体13で仕切られた気流滞留空間7を、チップを乾燥させるための気流(熱風)が通風口13Kを通って、
図4に矢印Xで示すように、幅方向に行き来できる。このため、中央支持体13により2つに仕切られたうちの一方の気流滞留空間7に気流が偏って通り、粒状体の乾燥が部分的により偏ることを抑制できる。
【0031】
左側補助支持体14は、
図4及び
図6に示すように、中央支持体13に直交しており、中央支持体13と左側支持体11とを連結している。
【0032】
右側補助支持体15は、左側補助支持体14と同一構成であり、中央支持体13に直交しており、中央支持体13と右側支持体12とを連結している。複数の左側補助支持体14の中央支持体13への前後方向の取付位置は、複数の左側補助支持体14と同一の位置にしている。
【0033】
デッキ6を支持する支持体である前側支持体9、後側支持体10、左側支持体11、右側支持体12が、誘導板を兼用することによって、部品点数の削減を図ることができる。
【0034】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。例えば、前記実施形態の乾燥コンテナ1は車載が可能に構成されていたが、これに限られず、車載しないものであってもよい。この場合、フック係合部4及びローラ53を省略して、乾燥コンテナ1を一定位置で動かさない固定式としてもよいし、適宜移動できる可搬式としてもよい。特に、車載を前提としない場合、乾燥コンテナ1は、前記実施形態のような略直方体形状に限られず、例えば円筒形状とする等、種々の形状とできる。
【0035】
また、前記実施形態では、4つ全ての側壁52A,52B,52C,52Dに誘導板を設けたが、誘導板を設けなくても乾燥ムラに大きな影響が出にくい送風口5Kのある後側壁52Bの誘導板を、省略してもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、側壁52とデッキ6の側壁側端面との間の隙間を覆うとともにデッキ6の周縁部の貫通孔6Aを覆うための水平板部と、送風口5Kからの送風(熱風)を上方へ誘導するための垂直板部とから誘導板を構成したが、
図9に示すように、誘導板を、側壁(例えば前側壁52A)から所定距離離れた位置に設けた垂直板17から構成してもよい。この垂直板17の上端が、デッキ6の下面に溶接等により固定され、垂直板17の下端が底壁51の上面に溶接等により固定される。したがって、送風口5Kからの送風は、側壁(例えば前側壁52A)よりも手前の位置で垂直板17の案内面17Aに当たって上方へ確実に案内される(
図9の矢印Y4参照)。この場合、垂直板17がデッキ6を支持する支持部材に兼用できる。また、誘導板を、
図10に示すように、側壁(例えば前側壁52A)に溶接等により固定される水平板18から構成してもよい。この水平板18は、送風口5Kからの送風がデッキ6の周縁部に形成の孔6Aから上方へ抜けないように該孔6Aを塞ぐ閉塞部である。このように、板部材(水平板18)でデッキ6の周縁部の孔6Aを塞ぐことによって、送風口5Kからの送風が側壁52に当たってデッキ6の周縁部の孔6Aから上方へ移動することができない。そのため、側壁52に当たって戻ってきた送風(側壁52よりも手前の位置へ誘導した送風)がデッキ6の周縁部よりも内側の貫通孔6Aから送風口5Kからの送風が上方へ移動する(
図10の矢印Y5参照)。これにより、側壁(例えば前側壁52A)に沿って上方へ抜けてしまうことを抑制できる。デッキ単板6aは、水平板18に載置支持された状態でボルトとナットにより固定されている。尚、前記水平板18は、デッキ6から側壁(例えば前側壁52A)に向かって延びるように溶接等によりデッキ6に固定された板部材であってもよい。また、前記水平板18をデッキ6の上面側から当接するようにデッキ6の上面側に配置してもよい。この場合、側壁に固定された水平板18にデッキ6をボルトで連結して支持させてもよい。また、側壁52とデッキ6の側壁側端面との間の隙間を覆う板部材を設けて実施してもよい。この場合、デッキ6の周縁部に貫通孔を形成しない又はデッキ6の周縁部に形成された貫通孔6Aを熱に耐える材料で塞ぐか覆うことになる。また、水平板を、デッキ6よりも上方位置又は下方位置、つまりデッキ6から上下方向に離れた位置で側壁に固定してコンテナ本体5の内側に突出させてもよい。したがって、側壁に沿って上方に移動しようとする送風をデッキ6よりも上方位置又は下方位置に配置した水平板で阻止することができる。
【0037】
また、前記実施形態では、送風口5Kを、コンテナ本体5の後側壁52Bに設ける方が好ましいが、これに限定されず、送風口1Kをコンテナ本体5の他の側壁52A又は52C又は52D、底壁51、また、コンテナ本体5の角部に設けることもできる。
【0038】
また、乾燥コンテナシステムSの被乾燥物は、前記実施形態では木材チップであったが、これに限定されず、例えば鉱石、石材、樹脂、金属、木材以外の動植物由来の素材、食品材料、燃料等、種々の粒状体であってもよい。また、水分が外面にのみ存在するものであってもよいし、外面及び内部に存在するものであってもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、誘導板の案内面を垂直面に構成したが、上方に向かうほどコンテナ本体5の内側に位置する傾斜面に構成してもよい。この傾斜面は、フラット面でもよいし、湾曲面であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…乾燥コンテナ、1K…送風口、2…気流供給機構、3…連結管、4…フック係合部、5…コンテナ本体、5K…送風口、6…デッキ、6A…貫通孔、6A…貫通孔、6a…デッキ単板、7…気流滞留空間、8…送風ガイド部、9…前側支持体(誘導板)、9A…水平板部、9B…垂直板部、9b…案内面、10…後側支持体(誘導板)、11…左側支持体(誘導板)、11A…水平板部、11B…垂直板部、11b…案内面、12…右側支持体(誘導板)、13…中央支持体、13K…通風口、14…左側補助支持体、15…右側補助支持体、16…部材、16A…水平板部、16B…垂直板部、16b…案内面、17…垂直板(誘導板)、17A…案内面、18…水平板(誘導板)、51…底壁、52…側壁、52A…前側壁、52B…後側壁、52C…左側壁、52D…右側壁、52b…扉、52e,52g…傾斜部、52f,52h…垂直部、53…ローラ、54…脚部、S…乾燥コンテナシステム、X,Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6…矢印