(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20230823BHJP
B65D 65/34 20060101ALI20230823BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D65/34
B65D85/50 100
(21)【出願番号】P 2019132689
(22)【出願日】2019-07-18
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小澤 智
(72)【発明者】
【氏名】小林 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】大森 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智彦
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 由佳
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-142764(JP,A)
【文献】特開2017-043381(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0108811(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 65/34
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を用いて形成されて物品を収容可能な袋本体と、該袋本体の外側に配置される第一シートとを備えており、
袋本体は、一方向に位置する本体第一端部と、前記一方向において本体第一端部と対向する側に位置する本体第二端部と、袋本体を構成するシート材が切り込まれて形成された本体切込部と、該本体切込部によって形成される本体遊離部とを備えており、
本体切込部は、一方向に対して交差する他方向に間隔を空けて形成される一対の本体切込端部を備えており、
前記第一シートは、本体切込部を覆うように配置されて本体遊離部の少なくとも一部に接合されており、
本体第一端部側から本体第二端部側へ向かう切断方向に第一シートを引っ張ることで、本体遊離部が前記切断方向に引っ張られ、一対の本体切込端部を基点に袋本体が切断されるように構成された包装袋であって、
袋本体の外側に配置される第二シートを更に備えており、
第一シートは、第二シートと重なり合う重合部であって袋本体と第二シートとの間に配置される重合部を備えており、
第二シートは、第一シートの重合部と重なり合う重合部を備えており、
第一シートの重合部の少なくとも一部と第二シートの重合部の少なくとも一部とは、第一シートと本体遊離部との接合位置の近傍で接合される包装袋。
【請求項2】
第一シートの重合部と第二シートの重合部とは、第一シートと本体遊離部との接合位置を覆うように配置される請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記他方向における第二シートの重合部の両端間の長さは、前記他方向における一対の本体切込端部間の長さよりも、長くなるように構成される請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
第二シートの重合部は、一対の本体切込端部よりも本体第二端部側に位置しており、
第二シートにおける本体第一端部側の一端部と一対の本体切込端部と間の前記一方向に沿った間隔は、12mm以下である請求項1乃至3の何れか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
第二シートの重合部は、一対の本体切込端部と重なるように構成される請求項1又は2に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包装する包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等の物品を包装する包装袋として、樹脂製や紙製等のシート材を用いて形成されたものが用いられている。該包装袋は、物品を収容可能な袋本体を備える。該袋本体は、一方向に沿って切断可能に構成される。具体的には、袋本体は、自身を構成するシート材が切り込まれて形成された本体切込部と、該本体切込部が形成されることによって周辺の部位から遊離した本体遊離部とを備える。また、本体切込部は、前記一方向に交差する他方向に間隔を空けて形成された一対の本体切込端部を備える。
【0003】
このように構成される包装袋は、袋本体に物品が収容された状態で、本体遊離部が前記一方向に沿って引っ張られることで、一対の本体切込端部を基点に袋本体が前記一方向に沿って切断される。これにより、袋本体の切断部分から包装袋内の物品を取り出すことができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記本体遊離部に、他のシート材が接合される場合がある。例えば、指などで摘まむことが可能な摘み部を形成するべく、他のシート材(以下、摘み用シートとも記す)が本体切込部を覆うように配置され、該摘み用シートが本体遊離部に接合される場合がある。これにより、袋本体を切断する(即ち、包装袋を開封する)際には、摘み用シートを前記一方向に引っ張ることで、本体遊離部が前記一方向に引っ張られることになり、袋本体が切断される(即ち、包装袋が開封される)ことになる。
【0006】
しかしながら、摘み用シートを引っ張る際の方向等の影響によって、摘み用シートと本体遊離部との接合位置に、意図しない力が加わり、摘み用シートが本体遊離部から分離してしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、本体遊離部に接合されたシート材が本体遊離部から分離してしまうのを防止することができる包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る包装袋は、シート材を用いて形成されて物品を収容可能な袋本体と、該袋本体の外側に配置される第一シートとを備えており、袋本体は、一方向に位置する本体第一端部と、前記一方向において本体第一端部と対向する側に位置する本体第二端部と、袋本体を構成するシート材が切り込まれて形成された本体切込部と、該本体切込部によって形成される本体遊離部とを備えており、本体切込部は、一方向に対して交差する他方向に間隔を空けて形成される一対の本体切込端部を備えており、前記第一シートは、本体切込部を覆うように配置されて本体遊離部の少なくとも一部に接合されており、本体第一端部側から本体第二端部側へ向かう切断方向に第一シートを引っ張ることで、本体遊離部が前記切断方向に引っ張られ、一対の本体切込端部を基点に袋本体が切断されるように構成された包装袋であって、袋本体の外側に配置される第二シートを更に備えており、第一シートは、第二シートと重なり合う重合部であって袋本体と第二シートとの間に配置される重合部を備えており、第二シートは、第一シートの重合部と重なり合う重合部を備えており、第一シートの重合部の少なくとも一部と第二シートの重合部の少なくとも一部とは、第一シートと本体遊離部との接合位置の近傍で接合される。
【0009】
斯かる構成によれば、第一シートは、袋本体と第二シートとの間で第二シートと重なり合う重合部を備える。また、第二シートは、第一シートの重合部と重なり合う重合部を備える。また、第一シートの重合部と第二シートの重合部とは、第一シートと本体遊離部との接合位置の近傍で重なり合った状態で接合される。これらの構成を備えることで、第一シートの重合部と第二シートの重合部とが重なり合った部分は、第一シートにおける第二シートと重なり合わない領域よりも湾曲し難くなる。このため、第一シートと本体遊離部との接合位置の近傍で、第一シートの重合部と第二シートの重合部とが重なり合った状態で接合されることで、袋本体を切断するべく第一シートを引っ張った際に、第一シートと本体遊離部との接合位置の近傍で、第一シートが湾曲するのが抑制される。これにより、第一シートと本体遊離部との接合位置の一部に集中して力(袋本体を切断するべく第一シートを引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シートが本体遊離部から分離してしまうのを抑制することができる。
【0010】
第一シートの重合部と第二シートの重合部とは、第一シートと本体遊離部との接合位置を覆うように配置されてもよい。
【0011】
斯かる構成によれば、第一シートの重合部と第二シートの重合部とは、第一シートと本体遊離部との接合位置を覆うように配置される。これにより、袋本体を切断するべく第一シートを引っ張った際に、第一シートと本体遊離部との接合位置、及び、その近傍で、第一シートが湾曲するのがより確実に抑制される。これにより、第一シートと本体遊離部との接合位置の一部に集中して力(袋本体を切断するべく第一シートを引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シートが本体遊離部から分離してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0012】
前記他方向における第二シートの重合部の両端間の長さは、前記他方向における一対の本体切込端部間の長さよりも、長くなるように構成されてもよい。
【0013】
斯かる構成によれば、前記他方向における第二シートの重合部の両端間の長さは、前記他方向における一対の本体切込端部間の長さよりも、長くなるように構成される。これにより、第一シートと本体遊離部との接合位置の近傍で、第一シートが湾曲するのがより効果的に抑制される。これにより、第一シートと本体遊離部との接合位置の一部に集中して力(袋本体を切断するべく第一シートを引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シートが本体遊離部から分離してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0014】
第二シートの重合部は、一対の本体切込端部よりも本体第二端部側に位置しており、
第二シートの重合部と一対の本体切込端部と間の前記一方向に沿った間隔は、12mm以下であってもよい。
【0015】
斯かる構成によれば、第二シートの重合部と一対の本体切込端部と間の前記一方向に沿った間隔は、12mm以下である。これにより、第一シートと本体遊離部との接合位置の近傍で、第一シートが湾曲するのがより効果的に抑制される。これにより、第一シートと本体遊離部との接合位置の一部に集中して力(袋本体を切断するべく第一シートを引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シートが本体遊離部から分離してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0016】
第二シートの重合部は、一対の本体切込端部と重なるように構成されてもよい。
【0017】
斯かる構成によれば、第二シートの重合部は、一対の本体切込端部と重なるように構成される。これにより、第一シートと本体遊離部との接合位置の少なくとも一部を第二シートの重合部が覆うことになる。このため、第一シートと本体遊離部との接合位置の近傍で、第一シートが湾曲するのがより効果的に抑制される。これにより、第一シートと本体遊離部との接合位置の一部に集中して力(袋本体を切断するべく第一シートを引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シートが本体遊離部から分離してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、第一シートが本体遊離部から分離してしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装袋の構成を示す斜視図。
【
図2】同実施形態に係る包装袋を本体切込部側から見た平面図。
【
図3】同実施形態に係る包装袋の本体切込部周辺を示した平面図。
【
図4】同実施形態に係る包装袋に物品を収容する際の斜視図。
【
図5】同実施形態に係る包装袋を用いて物品が包装されてなる包装体を示した斜視図。
【
図6】同実施形態に係る包装袋の本体切込部の周辺の断面図。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る包装袋の本体切込部の周辺の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について
図1~6を参照しながら説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。また、以下の説明における一方向(第一方向)は、各図における座標軸のx軸に沿った方向であり、前記一方向に直交する他方向(第二方向)は、各図における座標軸のy軸に沿った方向であり、第一方向及び第二方向に直交する第三方向は、各図における座標軸のz軸に沿った方向である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る包装袋1は、シート材を用いて形成されて物品を収容可能な袋本体2と、該袋本体2の外側に配置される第一シート3と、袋本体2の外側に配置される第二シート4とを備える。袋本体2を構成するシート材としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂フィルム、紙材、及び、布材等から選択される少なくとも一つを用いることができる。
【0022】
袋本体2は、一方向(以下、第一方向とも記す)に位置する本体第一端部2aと、第一方向において本体第一端部2aと対向する側に位置する本体第二端部2bとを備える。また、袋本体2は、物品を収容する袋状の収容部2eと、該収容部2eから第一方向における本体第一端部2a側へ延出する延出部2fとを備える。また、袋本体2は、自身を構成するシート材が切り込まれて形成された本体切込部2cと、該本体切込部2cによって形成される本体遊離部2dと、第一方向が長手となるように配置されたカットテープ5とを備える。
【0023】
本実施形態では、袋本体2は、二枚のシート材が重ね合わされた状態で接合されることで形成される。また、袋本体2は、一方のシート材における第二方向の両側端部と、他方のシート材における第二方向の両側端部とが接合されて形成された一対の側端接合部2gを備える。また、袋本体2は、第一方向における両端部から第一方向に離間した位置で二枚のシート材の第二方向に延びる領域同士が接合されて形成された内側接合部2hを備える。これにより、袋本体2は、第一方向における内側接合部2hよりも本体第二端部2b側に収容部2eが形成される。また、袋本体2は、第一方向における収容部2eよりも本体第一端部2a側の領域であって内側接合部2hを含む領域に延出部2fが形成される。つまり、延出部2fが本体第一端部2aを備え、収容部2eが本体第二端部2bを備える。そして、収容部2eの内部空間を外側に開放する本体開口部2iが本体第二端部2bに形成される。
【0024】
なお、一対の側端接合部2gを形成するべく二枚のシート材を接合する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、二枚のシート材を重ねた状態で溶断することで接合する(溶断接着する)方法、ヒートシールする方法、接着剤や粘着テープを用いる方法等が挙げられる。また、内側接合部2hを形成するべく二枚のシート材を接合する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒートシールする方法、接着剤や粘着テープを用いる方法等が挙げられる。
【0025】
本体切込部2cは、一方のシート材が線状に切り込まれることで形成される。また、本体切込部2cは、第二方向に間隔を空けて形成される一対の本体切込端部2c1を備える。また、本体切込部2cは、一対の本体切込端部2c1間の部位が一対の本体切込端部2c1よりも本体第一端部側に位置するように形成される。また、本体切込部2cは、収容部2e(具体的には、内側接合部2hの近傍)に形成される。本体切込部2cの形状としては、特に限定されるものではなく、本実施形態では、X字状に形成される。
【0026】
本体遊離部2dは、X字状の本体切込部2cの交点部と一対の本体切込端部2c1とで囲まれた領域に形成される。そして、本体遊離部2dが本体第一端部2a側から本体第二端部2b側へ引っ張られることで、一対の本体切込端部2c1を起点に、袋本体2(具体的には、収容部2e)が本体第一端部2a側から本体第二端部2b側へ向かって切断されるように構成される。
【0027】
カットテープ5は、袋本体2の内側(具体的には、収容部2eの内側)に配置される。また、カットテープ5は、袋本体2の内面(具体的には、収容部2eの内面)に接合される。また、カットテープ5は、内側接合部2hと交差しないように配置される。つまり、カットテープ5は、収容部2eのみと重なるように配置される。また、カットテープ5の幅は、第二方向における一対の本体切込端部2c1間の間隔よりも狭くなるように構成される。そして、カットテープ5の長手方向の一端部は、本体遊離部2dと重なるように配置されて本体遊離部2dと接合される。
【0028】
なお、カットテープ5を袋本体2の内面(具体的には、収容部2eの内面)に接合する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒートシールする方法、接着剤や粘着テープを用いる方法等が挙げられる。
【0029】
第一シート3は、本体切込部2cを覆うことが可能な大きさに形成される。第一シート3を構成するシート材としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂フィルム、紙材、及び、布材等から選択される少なくとも一つを用いることができる。また、第一シート3は、第二シート4と重なり合う重合部3aを備える。該重合部3aは、第一方向における本体第二端部2b側に形成される。また、第一シート3は、指などで摘まむことが可能な摘み部3bを備える。該摘み部3bは、第一方向における本体第一端部2a側に形成される。第二方向における摘み部3bの長さ(第二方向に沿った長さ)としては、特に限定されるものではなく、例えば、30mm以上40mm以下であってもよい。
【0030】
また、第一シート3は、
図2,3に示すように、本体切込部2cを覆うように配置された状態で、重合部3aが袋本体2と第二シート4との間に配置される。そして、第一シート3は、本体遊離部2dの少なくとも一部(好ましくは、全域)と接合される。また、第一シート3は、本体遊離部2dのみと接合されてもよく、本体切込部2cを覆った状態で全体が袋本体2に接合されてもよい。このように、第一シート3と本体遊離部2dとが連結されることで、本体第一端部2a側から本体第二端部2b側へ向かう切断方向に第一シート3を引っ張ることで、本体遊離部2dが前記切断方向に引っ張られ、一対の本体切込端部2c1を基点に袋本体2が切断されるように構成される。また、第一シート3の重合部3aは、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍(本体切込部2cの近傍)に配置される。また、第一シート3は、重合部3a(具体的には、重合部3aの少なくとも一部)が第二シート4(具体的には、後述する第二シート4の重合部4a)と接合される。具体的には、第一シート3の重合部3aの少なくとも一部が、後述する第二シート4の重合部4aの少なくとも一部と接合される。
【0031】
なお、第一シート3と袋本体2(具体的には、本体切込部2c、及び、その周辺領域)とを接合する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヒートシールする方法、接着剤や粘着テープを用いる方法等が挙げられる。
【0032】
図1に戻り、第二シート4は、第一方向における両端間の長さが第一方向における第一シート3の両端間の長さよりも長くなるように構成される。第二シート4を構成するシート材としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂フィルム、紙材、及び、布材等から選択される少なくとも一つを用いることができる。また、第二シート4は、袋本体2に貼り付けられる粘着ラベル(粘着層を備えるもの)等を用いて構成することができる。該粘着ラベルとしては、商品情報(食材や賞味期限等)が記載されたものであってもよく、図柄が記載されたものであってもよい。
【0033】
また、第二シート4は、第一シート3と重なり合う重合部4aを備える。該重合部4aは、第一方向における本体第一端部2a側に形成される。また、第二シート4は、
図2,3に示すように、第一シート3の重合部3aを覆うように配置される。また、第二方向における第二シート4の重合部4aの両端間の長さは、第二方向における一対の本体切込端部2c1間の長さよりも、長くなるように構成される。また、第二シート4は、第一方向における本体第一端部2a側の一端部(重合部4aを備える一端部)に、第一方向に沿った切り込み4bを複数備える。該切り込み4bは、重合部4a、及び、重合部4aの外側に形成される。つまり、複数の切り込み4bは、第二方向に並列して形成される。また、複数の切り込み4bのうち、第二方向の最も外側に位置する二つの切り込み4bの間隔(第二方向に沿った間隔)としては、特に限定されるものではなく、例えば、40mm以上45mm以下であってもよい。
【0034】
また、第二シート4の重合部4aは、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍(本体切込部2cの近傍)に配置される。そして、第二シート4の重合部4aの少なくとも一部が、第一シート3(具体的には、第一シート3の重合部3aの少なくとも一部)と接合される。つまり、第一シート3の重合部3aの少なくとも一部と第二シート4の重合部4aの少なくとも一部とは、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍で接合される。また、第二シート4の重合部4aは、一対の本体切込端部2c1よりも第一方向における本体第二端部2b側に位置する。第二シート4の重合部4aと、一対の本体切込端部2c1と間の間隔(第一方向に沿った間隔)Lとしては、12mm以下であることが好ましい。
【0035】
なお、第二シート4(重合部4a、及び/又は、その他の領域)を他の部材(袋本体2、及び/又は、第一シート3の重合部3a)に接合する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、第二シート4が粘着ラベルである場合には、粘着層によって接合されてもよく、第二シート4が粘着層を備えないものである場合には、ヒートシールする方法や、接着剤や粘着テープを用いる方法等が挙げられる。
【0036】
上記のように構成される包装袋1を用いて物品を包装する際には、
図4に示すように、本体開口部2iから収容部2eの内側へ物品を挿入する。そして、本体開口部2iを閉塞するように収容部2eの本体開口部2i側の領域を折り込む。これにより、
図5に示すように、包装袋1によって物品が包装されてなる包装体10が形成される。なお包装される物品としては、特に限定されるものではなく、例えば、サンドイッチや米飯加工食品等の食品等が挙げられる。
【0037】
以上のように、本発明に係る包装袋1によれば、第一シート3が本体遊離部2dから分離してしまうのを抑制することができる。
【0038】
即ち、第一シート3は、袋本体2と第二シート4との間で第二シート4と重なり合う重合部3aを備える。また、第二シート4は、第一シート3の重合部3aと重なり合う重合部4aを備える。また、第一シート3の重合部3aと第二シート4の重合部4aとは、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍で重なり合った状態で接合される。これらの構成を備えることで、
図6に示すように、第一シート3の重合部3aと第二シート4の重合部4aとが重なり合った部分は、第一シート3における第二シート4と重なり合わない領域よりも湾曲し難くなる。このため、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍で、第一シート3の重合部3aと第二シート4の重合部4aとが重なり合った状態で接合されることで、袋本体2を切断するべく第一シート3を引っ張った際に、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍で、第一シート3が湾曲するのが抑制される。これにより、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の一部に集中して力(袋本体2を切断するべく第一シート3を引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シート3が本体遊離部2dから分離してしまうのを抑制することができる。
【0039】
また、第二方向における第二シート4の重合部4aの両端間の長さは、第二方向における一対の本体切込端部2c1間の長さよりも、長くなるように構成される。これにより、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍で、第一シート3が湾曲するのがより効果的に抑制される。これにより、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の一部に集中して力(袋本体2を切断するべく第一シート3を引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シート3が本体遊離部2dから分離してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0040】
また、第二シート4の重合部4aと一対の本体切込端部2c1と間の第一方向に沿った間隔Lは、12mm以下である。これにより、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍で、第一シート3が湾曲するのがより効果的に抑制される。これにより、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の一部に集中して力(袋本体2を切断するべく第一シート3を引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シート3が本体遊離部2dから分離してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0041】
なお、本発明に係る包装袋は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、第二シート4の重合部4aは、本体切込部2cから本体第二端部2b側へ離間した位置に配置されている(即ち、第一シート3と本体遊離部との接合位置から離れている)が、これに限定されるものではなく、例えば、
図7に示すように、第一シート3の重合部3aと第二シート4の重合部4aとが第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置を覆う(換言すれば、本体遊離部2dの少なくとも一部を覆う)ように配置されてもよい。
【0043】
斯かる構成によれば、第一シート3の重合部3aと第二シート4の重合部4aとは、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置を覆うように配置される。これにより、袋本体2を切断するべく第一シート3を引っ張った際に、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置、及び、その近傍で、第一シート3が湾曲するのがより確実に抑制される。これにより、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の一部に集中して力(袋本体2を切断するべく第一シート3を引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シート3が本体遊離部2dから分離してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0044】
また、第二シート4の重合部4aが一対の本体切込端部2c1と重なるように構成されてもよい。
【0045】
斯かる構成によれば、第二シート4の重合部4aは、一対の本体切込端部2c1と重なるように構成される。これにより、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の少なくとも一部を第二シート4の重合部4aが覆うことになる。このため、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍で、第一シート3が湾曲するのがより効果的に抑制される。これにより、第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の一部に集中して力(袋本体2を切断するべく第一シート3を引っ張ることによって生じる力)が加わるのが抑制される。このため、第一シート3が本体遊離部2dから分離してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、袋本体2は、二枚のシート材が連結されることで形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、一枚、又は、三枚以上のシート材を用いて形成されてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、袋本体2は、延出部2fを備えるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、収容部2eのみから構成されてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、本体切込部2cは、X字状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、U字状、V字状、直線状等に形成されてもよく、これらの本体切込部2cに線状の他の切込部(例えば、第二方向に延びる一つ又は複数の切込部)が交差する(連なる)ように構成されてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、本体切込部2cは、収容部2eに形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、延出部2fに形成されてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、本体切込部2cは、袋本体2(具体的には、収容部2e)の内側に露出するように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本体切込部2cが袋本体2(具体的には、収容部2e)の内側から他のシート材で覆われるように構成されてもよい。換言すれば、本体切込部2cは、袋本体2(具体的には、収容部2e)の外側から第一シート3で覆われると共に、袋本体2(具体的には、収容部2e)の内側から他のシート材で覆われるように構成されてもよい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
<形態1>
1.包装袋
上記実施形態の
図1~3の包装袋1を作成した。
下記表1の(a)は、上記実施形態における第二方向の摘み部3bの長さであり、(b)は、上記実施形態における第二方向の最も外側に位置する二つの切り込み4bの間隔であり、(c)は、一対の本体切込端部2c1と、第二シート4の重合部4a(第二シート4における本体第一端部2a側の一端部)との間隔Lである。なお、間隔Lの数値は、一対の本体切込端部2c1から本体第二端部2b側がプラス(+)値であり、一対の本体切込端部2c1から本体第一端部2a側がマイナス(-)値(即ち、本体切込部2cの少なくとも一部を第二シート4が覆うということ)である。
2.分離試験
摘み部3bを指で摘まんで、第一方向に対して45℃の角度で第一シート3を引っ張り、第一シート3が本体遊離部2dから分離したか否かを評価した。評価結果については、分離しないものを「〇」、分離したものを「×」として、下記表1に示す。
【0053】
<形態2>
本体切込部2cの形状をU字状にし、下記表1の条件とした包装袋1を用いたこと以外は、実施例1と同一条件で、分離試験を行った。評価結果については、下記表1に示す。
【0054】
【0055】
<まとめ>
表1を見ると、実施例では第一シート3が本体遊離部2dから分離しないことが認められる。つまり、第一シート3の重合部3aの少なくとも一部と第二シート4の重合部4aの少なくとも一部とが第一シート3と本体遊離部2dとの接合位置の近傍で接合されることで、第一シート3が本体遊離部2dから分離するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…包装袋、2…袋本体、2a…本体第一端部、2b…本体第二端部、2c…本体切込部、2c1…本体切込端部、2d…本体遊離部、2e…収容部、2f…延出部、2g…側端接合部、2h…内側接合部、2i…本体開口部、3…第一シート、3a…第一シートの重合部、3b…摘み部、4…第二シート、4a…第二シートの重合部、5…カットテープ、10…包装体、L…間隔