(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20230823BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20230823BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
H04M9/00 H
A61G12/00 E
A61G12/00 Z
H04M11/00 302
(21)【出願番号】P 2019192114
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【氏名又は名称】扇谷 一
(74)【代理人】
【識別番号】100211487
【氏名又は名称】生澤 里沙
(72)【発明者】
【氏名】水城 元宏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 健太郎
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-033592(JP,A)
【文献】特開2013-090288(JP,A)
【文献】特開2014-171026(JP,A)
【文献】特開2004-147117(JP,A)
【文献】特開2006-303840(JP,A)
【文献】特許第5813199(JP,B1)
【文献】特開2014-036781(JP,A)
【文献】特開2017-152808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00-11/00
A61G 12/00
A61B 5/00
H04N 7/18
H04L 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すためにベッドごとに設置されるナースコール子機と、
患者からの呼出に応答するためにナースステーションに設置されるナースコール親機と、
患者の呼び出しに応答するために看護師が携帯する携帯端末と、
前記ナースコール子機と前記ナースコール親機と前記携帯端末との間の通信を制御するナースコール制御機と、
前記ナースコール制御機を、閉域網接続サービスを提供する通信回線に接続させる閉域網接続装置と、
を備え、
前記携帯端末は、閉域網接続サービスを提供する通信事業者の基地局と無線通信することによって前記閉域網に接続され、
前記ナースコール制御機は、前記ナースコール子機に紐付けられた患者情報、前記患者に紐付けられた看護師情報および前記看護師が携帯する携帯端末情報が記憶された接続情報テーブルを有し、前記ナースコール子機からの呼出信号を受信したときに、前記ナースコール親機を呼び出すとともに、前記接続情報テーブルを参照して、当該ナースコール子機を操作している患者に対応する看護師が携帯する携帯端末に対して、前記ナースコール子機に対応する患者情報が付加された呼出信号を送信する機能を有し、
前記携帯端末は、前記ナースコール制御機から呼出信号を受信したときに、前記呼出信号に付加された患者情報を用いて呼出画面を表示し、前記ナースコール制御機は、前記ナースコール親機が応答しない場合に、前記呼出画面に対して最先で応答することを選択した前記携帯端末と呼出元の前記ナースコール子機との間で通話接続を行うように構成された、ナースコールシステム。
【請求項2】
前記ナースコール子機と前記ナースコール親機と前記携帯端末との間の通信接続を管理する構内交換機を備え、通信接続の保留・転送・グループ通話を行う機能を提供するように構成された、請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記ナースコール制御機は、前記ナースコール子機からのSIP形式の呼出信号を受信してBRI形式の呼出コマンドを送信する機能と、BRI形式の呼出制御コマンドを受信してSIP形式の呼出信号を送信する機能と、BRI形式の通話信号を受信してRTP形式の通話信号を送信する機能と、RTP形式の通話信号を受信してBRI形式の通話信号を送信する機能とを有し、
前記ナースコール制御機と前記閉域網接続装置との間に、SIP形式の呼出信号をBRI形式の呼出コマンドに変換する機能と、BRI形式の呼出コマンドをSIP形式の呼出信号に変換する機能と、SIP形式の呼出制御信号をBRI形式の呼出制御コマンドに変換する機能と、BRI形式の通話信号をRTP形式の通話信号に変換する機能と、RTP形式の通話信号をBRI形式の通話信号に変換する機能とを有する信号形式変換機を備え、
前記ナースコール制御機が接続されるLAN系統と、前記閉域網接続装置が接続されるLAN系統とがBRI接続によって完全に切り離されている、請求項1又は請求項2に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに関し、特に患者からの呼出に対して閉域網接続サービスを提供する通信事業者の閉域網を介して通信を行うナースコールシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、病室のベッド毎に設けられたナースコール子機による呼出を受けて、看護師が携帯する携帯端末に呼出が通知され、呼出を受けた看護師がナースステーションに居なくても携帯端末を使用して応答できるナースコールシステムが普及している。
【0003】
このようなナースコールシステムにおいては、患者の個人情報を取り扱うため、病院内にアクセスポイントを設置して、看護師が携帯する携帯端末を呼び出すことが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。より詳しくは、ナースコール子機から発信された呼出信号をナースコール制御機に送信し、ナースコール制御機において担当する看護師の携帯端末情報を取得して、構内交換機に送信し、構内交換機から病院内に設置されたアクセスポイントを経由して看護師の携帯端末に着信させている。病院内に設置されたアクセスポイントを用いることにより、患者の個人情報が病院外の回線に流出することが防止され、セキュリティが保証されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-61226号公報
【文献】特開2015-61228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような病院内に設置されたアクセスポイントを使用する従来のナースコールシステムにおいては、看護師が携帯端末で会話しながらアクセスポイントの通信範囲を横断した場合に、通話が切断されたり、通話品質が劣化したりするという問題があった。
【0006】
それゆえに、本発明の主たる目的は、セキュリティを保証しつつ、通話切断の発生や通話品質の劣化が抑制された通話接続を可能とするナースコールシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るナースコールシステムは、患者が看護師を呼び出すためにベッドごとに設置されるナースコール子機と、患者からの呼出に応答するためにナースステーションに設置されるナースコール親機と、患者の呼び出しに応答するために看護師が携帯する携帯端末と、ナースコール子機とナースコール親機と携帯端末との間の通信を制御するナースコール制御機と、ナースコール制御機を、閉域網接続サービスを提供する通信回線に接続させる閉域網接続装置と、を備え、携帯端末は、閉域網接続サービスを提供する通信事業者の基地局と無線通信することによって閉域網に接続され、ナースコール制御機は、ナースコール子機に紐付けられた患者情報、患者に紐付けられた看護師情報および看護師が携帯する携帯端末情報が記憶された接続情報テーブルを有し、ナースコール子機からの呼出信号を受信したときに、ナースコール親機を呼び出すとともに、接続情報テーブルを参照して、当該ナースコール子機を操作している患者に対応する看護師が携帯する携帯端末に対して、ナースコール子機に対応する患者情報が付加された呼出信号を送信する機能を有し、携帯端末は、ナースコール制御機から呼出信号を受信したときに、呼出信号に付加された患者情報を用いて呼出画面を表示し、ナースコール制御機は、ナースコール親機が応答しない場合に、呼出画面に対して最先で応答することを選択した携帯端末と呼出元のナースコール子機との間で通話接続を行うように構成されていることを特徴とする。
【0008】
このような構成を有することにより、閉域網を使用して病院内において通信することができる。ここで、閉域網とは、インターネットなどに直接接続されておらず、限られた利用者や拠点のみを接続する広域通信ネットワークであり、通信事業者によって提供される。閉域網を使用することで、インターネットに接続することなく通信することができるため、患者情報等の個人情報について、セキュリティを保証した通信が可能である。また、閉域網接続サービスを提供する通信事業者の基地局は、アクセスポイントの通信可能範囲よりも広い範囲で通信することができるため、アクセスポイントの接続先を切り替える(ハンドオーバー)回数が少なく、通話が切断されたり、通話品質が劣化したりすることなく通話することができる。
【0009】
また、本発明に係るナースコールシステムは、ナースコール子機とナースコール親機と携帯端末との間の通信接続を管理する構内交換機を備え、通信接続の保留・転送・グループ通話を行う機能を提供するように構成されていることが好ましい。
【0010】
このような構成を有することにより、看護師がナースコールを受けたとしても、すぐに対応できない場合に、他の看護師に引継ぎ等をすることができる。他の看護師に引継ぎ等をすることにより、看護師が患者に迅速に対応することができる。
【0011】
また、本発明に係るナースコールシステムのナースコール制御機は、ナースコール子機からのSIP形式の呼出信号を受信してBRI形式の呼出コマンドを送信する機能と、BRI形式の呼出制御コマンドを受信してSIP形式の呼出信号を送信する機能と、BRI形式の通話信号を受信してRTP形式の通話信号を送信する機能と、RTP形式の通話信号を受信してBRI形式の通話信号を送信する機能とを有し、ナースコール制御機と閉域網接続装置との間に、SIP形式の呼出信号をBRI形式の呼出コマンドに変換する機能と、BRI形式の呼出コマンドをSIP形式の呼出信号に変換する機能と、SIP形式の呼出制御信号をBRI形式の呼出制御コマンドに変換する機能と、BRI形式の通話信号をRTP形式の通話信号に変換する機能と、RTP形式の通話信号をBRI形式の通話信号に変換する機能とを有する信号形式変換機を備え、ナースコール制御機が接続されるLAN系統と、閉域網接続装置が接続されるLAN系統とがBRI接続によって完全に切り離されるようにしてもよい。
【0012】
このような構成を有することにより、ナースコール制御機と信号形式変換機との間はアナログ形式の通信となり、ナースコール制御機が接続されるLAN系統と、閉域網接続装置が接続されるLAN系統とが完全に切り離される。したがって、構内LANに対して外部から侵入することが防止され、より強固なセキュリティを実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、セキュリティを保証しつつ、通話切断の発生や通話品質の劣化が抑制された通話接続を可能とするナースコールシステムを提供することができる。
【0014】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るナースコールシステムの構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るナースコール制御機のブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るナースコールシステムの呼出および応答動作を示すデータフロー図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るナースコールシステムにおいてナースコール子機と携帯端末とが通話している状態を示すデータフロー図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るナースコールシステムにおいてナースコール子機と携帯端末とが通話している場合に携帯端末から通話を切断するときの動作を示すデータフロー図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るナースコールシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
(第1の実施形態)
1.ナースコールシステムの構成
本発明の第1の実施形態に係るナースコールシステム10について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るナースコールシステムの構成図である。
【0018】
第1の実施形態に係るナースコールシステム10は、ナースコール子機20と、廊下灯22と、ナースコール親機30と、ナースコール制御機40と、構内交換機50と、閉域網接続装置60と、携帯端末80とを備える。
【0019】
ナースコール子機20は、患者が看護師を呼び出すためにベッドごとに設置されるものである。ナースコール子機20は、例えば、ハンド型子機、握りボタン、呼出ボタンなどを備える。例えば、ナースコール子機20が握りボタンを備える場合は、ナースコール子機20は、呼出握りボタン20aと、通話するためのマイク及びスピーカを備えたプレート子機20bとで構成される。
【0020】
廊下灯22は、病室ごとに設置され、複数のナースコール子機20が接続されている。廊下灯22は、接続されているナースコール子機20から呼出信号が送信されたときに点灯する通知灯22aと、病室の患者情報を表示する患者情報表示部22bとを備える。廊下灯22は、ナースコール子機20からの呼出信号を受信し、構内LANを介してナースコール制御機40へ呼出信号を送信する。
【0021】
ナースコール親機30は、患者からの呼出に応答するためにナースステーションに設置される。ナースコール親機30は、呼出に応答するためのハンドセット32と患者情報等を表示する表示部34とを備える。
【0022】
ナースコール制御機40は、ナースコール子機20とナースコール親機30と携帯端末80との間の通信を制御する。ナースコール制御機40は、ナースコール子機20から送信された呼出信号を、廊下灯22を経由して受信し、ナースコール親機30および携帯端末80に呼出信号を送信する。
【0023】
構内交換機50は、ナースコール子機20とナースコール親機30と携帯端末80との間の通信接続を管理するものである。構内交換機50は、通信接続の保留・転送・グループ通話を行う機能を提供するように構成される。構内交換機50は、例えば、インターネットプロトコルに基づいて動作するIP交換機を用いることができる。構内交換機50は、例えば、ナースコール子機20からの呼出信号を携帯端末80に通知して応答するときに使用される。また、構内交換機50は、例えば、ナースコール親機30または他の携帯端末80を介して看護師と内線通話するときに相互接続を行うために使用される。
【0024】
閉域網接続装置60は、ナースコール制御機40を閉域網に接続させるものである。閉域網接続装置60は、病院内のネットワークから閉域網へ接続するときに使用される接続装置である。閉域網は、インターネットに直接接続されておらず、限られた利用者や拠点のみを接続する広域通信ネットワークである。閉域網は、例えば、MPLS(Multi Protocol Label Switching)を用いて通信される。
【0025】
基地局70は、閉域網通信サービスを提供する通信事業者によって設置される。携帯端末80と基地局70との間で無線通信を行うことで、携帯端末80は閉域網に接続される。単一の基地局70によって、病院の全範囲をカバーすることが好ましい。また、複数の基地局70によって、病院の全部の範囲をカバーするようにしても良い。
【0026】
携帯端末80は、患者の呼出に応答するために看護師が携帯して使用される。携帯端末80は、例えばスマートフォンを用いることができ、操作部としてのタッチパネルを有する表示部82と、通話部(図示せず)とを有する。携帯端末80は、ナースコール子機20を介して患者と通話したり、ナースコール親機30または他の携帯端末80を介して看護師と内線通話をしたりすることができる。携帯端末80は、基地局70との間で無線通信をして閉域網に接続するために、例えば、当該閉域網のみに接続するSIMを備える。
【0027】
さらに、携帯端末80は、ナースコール制御機40からの呼出信号を受信したときに、携帯端末80の表示部82に、呼出信号に付加された患者情報を用いて呼出画面を表示する。そして、ナースコール制御機40からの呼出に対してナースコール親機が応答しない場合に、携帯端末80の表示部82に表示された呼出画面に対して最先で応答することが選択された携帯端末80と呼出元のナースコール子機20との間で、閉域網接続装置60を介した通話接続を行うように構成される。携帯端末80の表示部82に表示される情報は、例えば、患者名、部屋番号、ベッド番号であり、より詳細な情報を得るために病院内のサーバを参照するためのURL情報が表示されるようにしても良い。
【0028】
次に、ナースコール制御機40について、
図2を参照して、より詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施形態に係るナースコール制御機のブロック図である。
ナースコール制御機40は、ナースコール子機20からの呼出信号等を送受信するナースコール制御機インターフェイス(以下、ナースコール制御機I/Fと記載する)42と、ナースコール制御機CPU44と、記憶部46とを備える。
【0029】
ナースコール制御機I/F42は、例えば、ナースコール子機20からの呼出信号を送受信する通信部である。また、ナースコール制御機CPU44は、例えば、記憶部46に記憶される情報の送受信等の管理、ナースコール子機20の呼出に対するナースコール親機30および所定の携帯端末80への接続処理等を行う。
【0030】
記憶部46は、ナースコール子機20に紐付けられた患者情報、患者に紐付けられた看護師情報および看護師が携帯する携帯端末情報が記憶された接続情報テーブル46aを備える。ナースコール制御機40は、ナースコール子機20からの呼出信号を受信したときに、ナースコール親機30を呼び出すとともに、記憶部46の接続情報テーブル46aを参照して、ナースコール子機20を操作している患者に対応する看護師が携帯する携帯端末80に対して、ナースコール子機20に対応する患者情報が付加された呼出信号を、閉域網接続装置60を介して送信する。
【0031】
2.ナースコールシステムの動作
(1)呼出・応答
ナースコール子機20により送信された呼出信号を携帯端末80が受信し、最先で応答することを選択した携帯端末80による応答動作について、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るナースコールシステムの呼出および応答動作を示すデータフロー図である。
【0032】
まず、患者は看護師を呼び出すためにナースコール子機20を操作する。ナースコール子機20が操作されることにより、呼出信号が廊下灯22を経由してナースコール制御機40に送信される。呼出信号は、例えば、SIP形式(Session Initiation Protocol)のデジタル信号が用いられる。
廊下灯22は、ナースコール子機20からの呼出信号を受信すると、通知灯22aを点灯させる。また、ナースコール制御機40は、受信した呼出信号に基づいて、記憶部46からナースコール子機20に対応する患者情報を取得する。さらに、ナースコール制御機40は、記憶部46から患者情報に紐づく看護師情報を取得し、看護師の携帯端末情報を取得する。そして、ナースコール制御機40は、取得した患者情報をナースコール親機30に送信する(呼出コマンド)とともに、取得した患者情報および看護師の携帯端末情報を構内交換機50に送信する(呼出制御コマンド(呼出開始))。
次に、ナースコール親機30は、受信した患者情報を、ナースコール親機30の表示部34に表示させる。また、構内交換機50は、受信した患者情報および看護師の携帯端末情報を閉域網接続装置60へ送信する。
次に、閉域網接続装置60は、看護師の携帯端末80に暗号化された患者情報を、閉域網を経由して送信する。
次に、看護師の携帯端末80は、閉域網通信サービスを提供する通信事業者の基地局70と無線通信することによって、閉域網接続装置60から送信された患者情報を受信する。そして、携帯端末80は、受信した患者情報を携帯端末80の表示部82に表示することにより、看護師に対してナースコール子機20が患者によって操作されたことを通知する。
【0033】
応答方法として、最先で応答することを選択した看護師が携帯する携帯端末80が応答する場合について説明する。
まず、看護師が携帯端末80の表示部82を操作する。携帯端末80は、基地局70を経由して応答信号を閉域網接続装置60へ送信する。
次に、閉域網接続装置60は応答信号を構内交換機50に送信する。
次に、構内交換機50は応答信号をナースコール制御機40に送信する(呼出制御コマンド(呼出キャンセル))。
次に、ナースコール制御機40は、廊下灯22を経由してナースコール子機20へ受信した応答信号を送信する。廊下灯22は応答信号を受信すると、表示灯22aを消灯する。そして、ナースコール子機20は応答信号を受信すると、ナースコール子機20と携帯端末80との間の通信経路が確立され、ナースコール子機20と携帯端末80との間で通話が可能となる。
また、ナースコール制御機40は応答信号をナースコール子機20へ送信するときに、ナースコール親機30へ呼出停止信号を送信する(呼出制御コマンド(呼出キャンセル))。ナースコール親機30は呼出停止信号を受信すると、ナースコール親機30の呼出を停止する。
【0034】
なお、ナースコール親機30が応答する場合は、ナースコール親機30からナースコール制御機40に応答信号が送信され、ナースコール制御機40は廊下灯22を経由してナースコール子機20に応答信号を送信する。また、ナースコール制御機40は同時に携帯端末80へ呼出停止信号を送信し、携帯端末80が呼出停止信号を受信すると、携帯端末80は呼出を停止する。
【0035】
(2)通話
ナースコール子機20と携帯端末80との間で通話する動作について、
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係るナースコールシステムにおいてナースコール子機と携帯端末とが通話している状態を示すデータフロー図である。
【0036】
ナースコール子機20から携帯端末80に音声を送信する動作について説明する。
まず、患者は、看護師と通話するために、ナースコール子機20のマイク及びスピーカを備えたプレート子機20bに向かって話しかける。ナースコール子機20は、リアルタイム転送プロトコル(以下、RTPと記載する)を用いて患者の音声情報を、廊下灯22を経由してナースコール制御機40に送信する。
次に、ナースコール制御機40は、受信した音声情報を構内交換機50へ送信する。
次に、構内交換機50は、受信した音声情報を閉域網接続装置60へ送信する。
次に、閉域網接続装置60は、受信した音声情報を、閉域網を経由して携帯端末80に送信する。
最後に、携帯端末80は音声情報を携帯端末80のスピーカ(図示せず)から音声を出力する。
【0037】
携帯端末80からナースコール子機20に音声を送信する動作について説明する。
まず、看護師は、患者と通話するために、携帯端末80の通話部(図示せず)に向かって話しかける。携帯端末80は、RTPを用いて看護師の音声情報を、閉域網を経由して閉域網接続装置60へ送信する。
次に、閉域網接続装置60は、受信した音声情報を構内交換機50へ送信する。
次に、構内交換機50は、受信した音声情報をナースコール制御機40へ送信する。
最後に、ナースコール制御機40は廊下灯22を経由してナースコール子機20に送信する。ナースコール子機20のプレート子機20bのスピーカ(図示せず)から音声を出力する。
【0038】
(4)通話切断
通話切断方法として、ナースコール子機20と携帯端末80との間で通話している場合について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係るナースコールシステムにおいてナースコール子機と携帯端末とが通話している場合に携帯端末から通話を切断するときの動作を示すデータフロー図である。
【0039】
まず、看護師が携帯端末80の表示部82を操作する。携帯端末80は、基地局70を経由して通話切断信号を閉域網接続装置60へ送信する。
次に、閉域網接続装置60は、通話切断信号を構内交換機50に送信する。
次に、構内交換機50は通話切断信号をナースコール制御機40に送信する(呼出制御コマンド(呼出キャンセル))。
次に、ナースコール制御機40は、受信した通話切断信号をナースコール子機20へ送信する。
最後に、ナースコール子機20は通話切断信号を受信すると、ナースコール子機20と携帯端末80との間の通信経路が切断され、ナースコール子機20と携帯端末80との間で通話切断となる。
【0040】
本発明は閉域網を使用してナースコール子機20と看護師が携帯する携帯端末80とを接続している。閉域網を使用することで、インターネットに接続することなく通信することができるため、患者情報等の個人情報についてセキュリティを保証した通信が可能である。また、閉域網を使用する場合、携帯端末80が閉域網に接続するための基地局70は、従来から使用されているアクセスポイントの通信可能範囲よりも広い範囲で通信が可能である。そのため、アクセスポイントの接続先を切り替える(ハンドオーバー)回数が少なく、通話が切断されたり、通話品質が劣化したりすることなく通話が可能である。
【0041】
本実施形態において構内交換機50を備える構成としたが、ナースコール制御機40が複数の携帯端末80に対し呼出信号を送信する機能を有する場合は、構内交換機50を備えることは必須ではない。
【0042】
また、本実施形態において病院内のネットワークから閉域網接続装置60を経由して閉域網に接続するまでの間にルータやゲートウェイやファイアウォールを備えるようにしても良い。
【0043】
さらに、閉域網接続装置60は、動的ポート開放を行って、ピンホールファイアウォール機能を提供するように構成されることが好ましい。このような構成を有することにより、セキュリティレベルをさらに向上させることができ、コンピュータウイルス等が病院内のネットワークへ侵入することをより効果的に防止することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
1.ナースコールシステムの構成
本発明の第2の実施形態に係るナースコールシステム10Aについて、
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るナースコールシステムの構成図である。
上記第1の実施形態においては、呼出信号等はSIP形式(Session Initiation Protocol)のデジタル信号、通話信号はRTP形式の信号としていているが、信号形式変換機48をナースコール制御機40と構内交換機50との間に設けて、ナースコール制御機40と信号形式変換機48との間はBRI形式(Basic Rate Interface)のアナログ形式とするようにしてもよい。
【0045】
この実施形態においては、ナースコール制御機40は、ナースコール子機20からのSIP形式の呼出信号を受信してBRI形式の呼出コマンドを送信する機能と、BRI形式の呼出制御コマンドを受信してSIP形式の呼出信号を送信する機能と、BRI形式の通話信号を受信してRTP形式の通話信号を送信する機能と、RTP形式の通話信号を受信してBRI形式の通話信号を送信する機能を有する。
【0046】
また、ナースコール制御機40と構内交換機50との間には、SIP形式の呼出信号をBRI形式の呼出コマンドに変換する機能と、BRI形式の呼出コマンドをSIP形式の呼出信号に変換する機能と、SIP形式の呼出制御信号をBRI形式の呼出制御コマンドに変換する機能と、BRI形式の通話信号をRTP形式の通話信号に変換する機能と、RTP形式の通話信号をBRI形式の通話信号に変換する機能とを有する信号形式変換機48を備える。
【0047】
このように、信号形式変換機48を有することにより、ナースコール制御機40が接続されるLAN系統と、閉域網接続装置60が接続されるLAN系統とを、BRI接続によって完全に切り離すことができ、より強固なセキュリティを実現することができる。
【0048】
また、上記第2の実施形態においては、信号形式変換機48はナースコール制御機40と構内交換機50との間に個別に備えるものとして説明したが、構内交換機50に一体化して備えられるようにしても良い。
【0049】
以上のように、本発明の実施形態は、上述した記載によって開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【0050】
また、上記実施形態では、ナースコール子機20にはマイクとスピーカが備えられ、ナースコール親機30および看護師が携帯する携帯端末80との間で音声通話をする場合について説明したが、ナースコール子機20側において患者を撮像するビデオカメラを備え、音声情報とともにビデオカメラの映像情報をナースコール親機30や看護師が携帯する携帯端末90に伝送するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 第1の実施形態のナースコールシステム
10A 第2の実施形態のナースコールシステム
20 ナースコール子機
22 廊下灯
22a 通知灯
22b 患者情報表示部
30 ナースコール親機
32 ハンドセット
34 表示部
40 ナースコール制御機
42 ナースコール制御機I/F
44 ナースコール制御機CPU
46 記憶部
46a 接続情報テーブル
48 信号形式変換機
50 構内交換機
60 閉域網接続装置
70 基地局
80 携帯端末
82 表示部
N ネットワーク