(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】車体構造物及びこれを含む車両
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20230823BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20230823BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230823BHJP
【FI】
B62D25/20 H
B62D25/08 E
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2019194013
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0076366
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔志鎬
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-035435(JP,A)
【文献】特開2018-170100(JP,A)
【文献】特開2016-016781(JP,A)
【文献】特開2017-043116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B62D 25/08
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後列シートの後方のフロアに設けられ、バッテリーが装着されるバッテリー装着部と、
前記バッテリー装着部の前方
の前記フロアを補強するクロスメンバーと、
前記バッテリー装着部の下側の前記フロアを補強し、前記クロスメンバーおよび両側のサイドメンバーに支持される下側補強部と、
前記バッテリーを結束した状態で、前記下側補強部に締結される上側結束部と、を含むことを特徴とする車体構造物。
【請求項2】
前記バッテリー装着部は、前記フロアから下方に陥没するように形成され、前記バッテリーの下側を収容する陥没部を含むことを特徴とする請求項1に記載の車体構造物。
【請求項3】
前記下側補強部は、
前記クロスメンバーから後方へ離間された位置から横方向に延び、両端が前記両側のサイドメンバーに支持される第1の補強フレームと、
前記クロスメンバーと前記第1の補強フレームとを連結するように縦方向に延び 、横方向に互に離隔されるように配置された複数の第2の補強フレームと、
前記クロスメンバーと前記第1の補強フレームとの間で、前記両側のサイドメンバーとこれに隣接する前記第2の補強フレームとを連結するように、両側にそれぞれ設けられ、横方向に延びた第3の補強フレームと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の車体構造物。
【請求項4】
前記第1の補強フレームは、前記バッテリーの後端に一致した位置に設けられることを特徴とする請求項3に記載の車体構造物。
【請求項5】
前記第1の補強フレームと前記複数の第2の補強フレームとが連結される位置からそれぞれ後方に延びてリアバンパーに支持され、前記第1及び第2の補強フレームより剛性の弱い素材からなる複数の緩衝フレームをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の車体構造物。
【請求項6】
前記上側結束部は、
前記バッテリーを結束するために横方向に延び、両端が前記第3の補強フレームに締結される第1の結束フレームと、
前記バッテリーを結束するため横方向に延び、両端が前記第1の補強フレームに締結される第2の結束フレームと、
前記バッテリーを結束するために縦方向に延び、前記第1及び第2の結束フレームと交差状態で結合され、前端が前記複数の第2の補強フレームにそれぞれ締結される複数の第3の結束フレームと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の車体構造物。
【請求項7】
前記下側補強部は、
前記第1ないし第3の補強フレームに設けられ、前記第1ないし第3の結束フレームが締結される部分を、それぞれ補強する複数の補強部材をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の車体構造物。
【請求項8】
前記後列シートの移動を案内するように前記フロアに装着され、前記第1の結束フレームの各々に延びた状態で、前記第1の結束フレームに締結される複数のシートレールをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の車体構造物。
【請求項9】
前記後列シートの移動を案内するように前記フロアに装着され、前記上側結束部の上方に延びた状態で、前記上側結束部に締結される複数のシートレールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車体構造物。
【請求項10】
前記下側補強部からそれぞれ後方に延びてリアバンパーに支持され、前記下側補強部より剛性の弱い素材で設ける複数の緩衝フレームをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の車体構造物。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の車体構造物を含むことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体構造物及びこれを含む車両に係り、より詳細には、積載スペースを低減して大容量バッテリーを取り付けることができ、バッテリー装着部の剛性を高めて衝突からバッテリーを保護することができる車体構造物及びこれを含む車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrids Electric Vehicle、PHEV)のように、駆動源として電動モータを用いる車両は、大容量バッテリーを含む。環境規制の強化にしたがって、これらの車両は、セダン(Seden)、SUV(Sports Utility Vehicle)、MPV(Multi-Purpose Vehicle)などの様々な形式で発展しているが、車種に応じて、バッテリーの設置に制約が生じることがある。例えば、5人乗りのセダンは、2列シートの後方(積載スペース)または2列シートの下側に、バッテリーを取り付けることができる。しかし、SUVやMPVは、乗車空間の後方に3列または4列のシートが設けられたり、4WDのためのプロペラシャフトが適用されたりするため、大容量バッテリーの取り付けに困難がある。
【0003】
最近の大容量バッテリー装着車に関する法規は、車両の衝突がバッテリーに与える影響を最小限に抑えて、バッテリーの安全を確保できるように、バッテリーの周辺の緩衝空間の確保及び堅固な車体構造を必要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、バッテリー装着部の剛性を高めるとともに緩衝領域を確保して、衝突からバッテリーの安全を確保できる車体構造物及びこれを含む車両を提供することにある。本発明の他の目的は、積載スペースを低減しながら、大容量バッテリーを取り付けできる車体構造物及びこれを含む車両を提供することにある。本発明のさらの他の目的は、大容量バッテリーの取り付けにもかかわらず、後列シートの設置および移動の制約を最小限に抑えることができる車体構造物及びこれを含む車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による車体構造物は、後列シートの後方のフロアに設けられ、バッテリーが装着されるバッテリー装着部と、前記バッテリー装着部の前方に前記フロアを補強するクロスメンバーと、前記バッテリー装着部の下側の前記フロアを補強し、前記クロスメンバーおよび両側のサイドメンバーに支持される下側補強部と、前記バッテリーを結束した状態で、前記下側補強部に締結される上側結束部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
前記バッテリー装着部は、前記フロアから下方に陥没するように形成され、前記バッテリーの下側を収容する陥没部を含むことを特徴とする。
【0008】
前記下側補強部は、前記クロスメンバーから後方へ離間された位置から横方向に延び、両端が前記両側のサイドメンバーに支持される第1の補強フレームと、前記クロスメンバーと前記第1の補強フレームとを連結するように縦方向に延び 、横方向に互に離隔されるように配置された複数の第2の補強フレームと、前記クロスメンバーと前記第1の補強フレームとの間で、前記両側のサイドメンバーとこれに隣接する前記第2の補強フレームとを連結するように、両側にそれぞれ設けられ、横方向に延びた第3の補強フレームと、を含むことを特徴とする。
【0009】
前記第1の補強フレームは、前記バッテリーの後端に一致した位置に設けられることを特徴とする。
【0010】
前記第1の補強フレームと前記複数の第2の補強フレームとが連結される位置からそれぞれ後方に延びてリアバンパーに支持され、前記第1及び第2の補強フレームより剛性の弱い素材で設ける複数の緩衝フレームをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
前記上側結束部は、前記バッテリーを結束するために横方向に延び、両端が前記第3の補強フレームに締結される第1の結束フレームと、前記バッテリーを結束するため横方向に延び、両端が前記第1の補強フレームに締結される第2の結束フレームと、前記バッテリーを結束するために縦方向に延び、前記第1及び第2の結束フレームと交差状態で結合され、前端が前記複数の第2の補強フレームにそれぞれ締結される複数の第3の結束フレームと、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記下側補強部は、前記第1ないし第3の補強フレームに設けられ、前記第1ないし第3の結束フレームが締結される部分を、それぞれ補強する複数の補強部材をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
前記後列シートの移動を案内するように前記フロアに装着され、前記第1の結束フレームの各々に延びた状態で、前記第1の結束フレームに締結される複数のシートレールをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
前記後列シートの移動を案内するように前記フロアに装着され、前記上側結束部の上方に延びた状態で、前記上側結束部に締結される複数のシートレールをさらに含むことを特徴とする。
【0015】
前記下側補強部からそれぞれ後方に延びてリアバンパーに支持され、前記下側補強部より剛性の弱い素材で設ける複数の緩衝フレームをさらに含むことを特徴とする。
【0016】
本発明による車両は、前記の車体構造物を含む車両であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態に係る車体構造物は、下側補強部と上側結束部とを備えるため、バッテリー装着部の剛性を高めることができる。本発明の実施形態に係る車体構造物は、横方向荷重P1が、下側補強部の第1及び第3の補強フレームと上側結束部の第1および第2の結束フレームとに分散伝達され、縦方向の荷重P2が、下側補強部の第2の補強フレームと上側結束部の第3結束フレームに分散伝達されるため、衝突からバッテリーを安定的に保護することができる。本発明の実施形態に係る車体構造物は、後方のリアバンパー側から縦方向の荷重P3が作用する場合、第1および第2の補強フレームより剛性の弱い複数の緩衝フレームが変形されながらエネルギーを吸収するので、後方衝突からバッテリーを安定的に保護することができる。本発明の実施形態に係る車体構造物は、後列シートの後方にバッテリー装着部が設けられ、リアフロアにバッテリーの下側を収容するために下方へ陥没した陥没部を備えるので、搭乗及び積載スペースの占有を低減しながら、大容量バッテリーを装着することができる。本発明の実施形態に係る車体構造物は、バッテリーの上部を結束する上側結束部が後列シートのシートレールによって支持されるため、車両の前方衝突が発生しても、バッテリーが慣性によって持ち上がる現象を防止することができる。本発明の実施形態の車体構造物は、バッテリー装着部が後列シートの後方に設けされるため、大容量バッテリーの取り付けにもかかわらず、後列シートの設置および移動の制約を最小限に抑えることができ、4WD適用の際に、プロペラシャフトとバッテリーとの干渉を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る車体構造物の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車体構造物のバッテリー装着部周辺の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る車体構造物の下側補強部を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る車体構造物の上側結束部示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1~
図3を参照すると、本発明の実施形態に係る車体構造物は、搭乗スペースの低部を構成するセンターフロア10と、後尾の底部を構成するリアフロア20と、後列シート30の後方のリアフロア20に設けられ、バッテリー40が装着されるバッテリー装着部50と、バッテリー装着部50の下方のリアフロア20を補強する下側補強部60と、バッテリー40の上方にバッテリー40を結束する上側結束部70と、バッテリー装着部50の前方にリアフロア20を補強するクロスメンバー80と、後尾に装着されるリアバンパー90と、を有している。
【0021】
なお、後列シート30は、搭乗空間の最後方に設置するシートである。例えば、本実施形態の車体構造物がSUVやMPVに適用される場合、後列シート30は、3列または4列シートであることができる。また、車体構造物が1列シートと2列シートとを持つ小型SUVの適用される場合、後列シート30は、2列シートであることができる。
【0022】
クロスメンバー80は、横方向に長く延び、両端が左側のリアサイドメンバー82と右側のリアサイドメンバー83とにそれぞれ連結される。クロスメンバー80は、リアフロアパネル21の下面に付着された状態で、両端が左右側のリアサイドメンバー82、83に支持されることにより、リアフロア20の方の横方向の剛性を高める。
【0023】
バッテリー装着部50は、
図2と
図6に示すように、バッテリー40の下側を収容できるようリアフロアパネル21の表面から下方へ所定の深さで陥没するように形成されることができる。具体的には、バッテリー装着部50の位置するリアフロアパネル21には、下方へ陥没されてバッテリー40の下側を収容する陥没部52が設けられる。
【0024】
下側補強部60は、
図2と
図3に示すように、バッテリー装着部50の位置するリアフロアパネル21の下部に結合された状態で、クロスメンバー80および両側のリアサイドメンバー82、83に支持されることで、車体構造物の縦方向と横方向の剛性を高める。下側補強部60は、
図3に示すように、第1の補強フレーム61と、複数の第2の補強フレーム62a、62b、62cと、左側および右側の第3の補強フレーム63a、63bとを含むことができる。
【0025】
第1の補強フレーム61は、クロスメンバー80から後方へ離隔された位置に設けられ、クロスメンバー80と平行するように横方向に延びる。具体的には、第1の補強フレーム61は、バッテリー40の後端と一致する位置に設けることができる。第1の補強フレーム61の両端は、左右側のリアサイドメンバー82、83にそれぞれ連結される。
【0026】
複数の第2の補強フレーム62a、62b、62cは、クロスメンバー80と第1の補強フレーム61とを連結するように縦方向に延長し、互に横方向に離隔されるように配置される。複数の第2の補強フレーム62a、62b、62cは、互に平行に離隔された状態で、前端がクロスメンバー80に支持され、後端が第1の補強フレーム61に支持されることにより、バッテリー装着部50の下部の縦方向の剛性を高める。
【0027】
左側と右側の第3の補強フレーム63a、63bは、クロスメンバー80と第1の補強フレーム61との間で横方向に延び、左右側のリアサイドメンバー82、83とこれに隣接する第2の補強フレーム62a、62cとをそれぞれ連結する。左側の第3の補強フレーム63aは、左側のリアサイドメンバー82とこれに隣接する第2の補強フレーム62aとを連結し、右側の第3の補強フレーム63bは、右側のリアサイドメンバー83とこれに隣接する右側の第2の補強フレーム62cとを連結する。
【0028】
第1の補強フレーム61と左右側の第3の補強フレーム63a、63bとは、それぞれ左右側のリアサイドメンバー82、83に支持されることにより、バッテリー装着部50の下部の横方向の剛性を高める。リアバンパー90と下側補強部60の第1の補強フレーム61との間には、複数の緩衝フレーム111、112、113が設置される。複数の緩衝フレーム111、112、113は、第1の補強フレーム61と複数の第2の補強フレーム62a、62b、62cとが連結される位置からそれぞれの後方へ延びて、リアバンパー90に支持される。複数の緩衝フレーム111、112、113は、第1および第2の補強フレーム61、62a、62b、62cより剛性の弱い素材で設けられる。
【0029】
複数の緩衝フレーム111、112、113は、
図6に示すように、第1および第2の補強フレーム61、62a、62b、62cより相対的に剛性の弱い素材で設けられ、バッテリー装着部50の後方に位置するため、後方からの衝突が発生した場合、変形しながらエネルギーを吸収して、バッテリー装着部50を保護することができる。
【0030】
このような車体構造物は、
図6に示すように、バッテリー装着部50が位置するクロスメンバー80と第1の補強フレーム61との間の高強度領域Dと、リアバンパー90と第1の補強フレーム61との間の低強度領域Eに区分することができる。
【0031】
高強度領域Dは、相対的に剛性の高い第1の補強フレーム61と、複数の第2の補強フレーム62a、62b、62cと、左右側の第3の補強フレーム63a、63bと、を含むため、バッテリー装着部50の変形を抑制して、バッテリー40を安定的に保護することができる。低強度領域Eは、比較的に剛性の弱い複数の緩衝フレーム111、112、113を含むため、後方からの衝突が発生した場合、複数の緩衝フレーム111、112、113が変形しながら衝突エネルギーを吸収することができる。後方衝突からバッテリー40を安定的に保護するためには、高強度領域Dと低強度領域Eとの境界を形成する第1の補強フレーム61を、バッテリー40の後端に一致する位置に配置して、バッテリー装着部50の後方に十分な大きさの低強度領域(E、緩衝領域)を確保することがよい。
【0032】
上側結束部70は、
図1、
図2、
図4に示すように、バッテリー装着部50に置かれたバッテリー40の上側の外面を結束した状態で、下側補強部60に締結される。上側結束部70は、バッテリー40を結束するように横方向に延び、両端が第3の補強フレーム63a、63bに締結される第1の結束フレーム71と、第1の結束フレーム71の後方にバッテリー40を結束するように横方向に延び、両端が第1の補強フレーム61に締結される第2の結束フレーム72と、バッテリー40を結束するように縦方向に延び、第1および第2の結束フレーム71、72に交差状態で結合され、前端が複数の第2の補強フレーム62a、62b、62cにそれぞれ締結される複数の第3の結束フレーム73a、73b、73cとを含む。
【0033】
第1の結束フレーム71と第2の結束フレーム72とは、
図4と
図5に示すように、バッテリー40の上側を結束した状態で、両端が第1の補強フレーム61と第3の補強フレーム63a、63bとに締結されることにより、バッテリー40を結束する機能の他に、第1及び第3の補強フレーム61、63a、63bとともに車体構造物の横方向の剛性を向上させる。複数の第3の結束フレーム73a、73b、73cは、
図4と
図6に示すように、バッテリー40の上側を結束した状態で、前端が複数の第2の補強フレーム62a、62b、62cの前端に締結されることにより、バッテリー40を結束する機能の他に、下側の第2の補強フレームに62a、62b、62cとともに車体構造物の縦方向の剛性を向上させる。
【0034】
図5と
図6を参照すると、上側結束部70の第1~第3の結束フレーム71、72、73a、73b、73cは、実際にそれぞれ下側補強部60の第1~第3の補強フレーム61、62a、62b、62c、63a、63bが結合された位置のリアフロアパネル21の上面に締結される。しかし、通常の車体構造物のがそうであるように、リアフロアパネル21の下面に溶接された第1~第3の補強フレーム61、62a、62b、62c、63a、63bは、構造的な観点において、第1~第3の補強フレーム61、62a、62b、62c、63a、63bの上方のリアフロアパネル21の一部分を含む、閉四角の断面のように見える。したがって、第1~第3の結束フレーム71、72、73a、73b、73cは、第1~第3の補強フレーム61、62a、62b、62c、63a、63bに結合されるものと見ることができる。
【0035】
第1ないし第3の結束フレーム71、72、73a、73b、73cが締結される位置の第1ないし第3の補強フレーム61、62a、62b、62c、63a、63bの内には、
図5と
図6に示すように、締結部分の剛性を高める補強部材65が、それぞれ設置されることができる。補強部材65は、第1ないし第3の補強フレーム61、62a、62b、62c、63a、63bの 閉四角の断面の内に収容された状態で、第1ないし第3の補強フレーム61、62a、62b、62c 、63a、63bまたはリアフロアパネル21の底面に溶接されることができる。
【0036】
これらの車体構造物は、
図4と
図5に示すように、車両に作用する横方向の荷重P1が、バッテリー装着部50に至って下側補強部60の第1および第3の補強フレーム61、 62a、62b、62c、63a、63bと、上側結束部70の第1および第2の結束フレーム71、72とに分散して伝達されるため、横方向の衝突からバッテリー40を安定的に保護することができるだけでなく、横方向の剛性を高めることもできる。
【0037】
また、これらの車体構造物は、
図4と
図6に示すように、車両の前方から作用する縦方向の荷重P2が、バッテリー装着部50に至って、下側補強部60の第2の補強フレームの62a、62b、62cと上側結束部70の第3の結束フレームに73a、73b、73cとに分散して伝達されるため、縦方向の衝突からバッテリー40を安定的に保護することができるだけでなく、縦方向の剛性を高めることもできる。
【0038】
また、
図6に示すように、後方のリアバンパー90の方から縦方向の荷重P3が作用する場合には、第1および第2の補強フレーム61、62a、62b、62cより剛性の弱い複数の緩衝フレーム111、112、113が変形しながら、エネルギーを吸収するため、後方の衝突からバッテリー40を安定的に保護することができる。
【0039】
図1、
図2、
図4を参照すると、リアフロアパネル21の上方には、後列シート30(3列または4列シート)を支持しながら、移動を案内する複数のシートレール31、32、33、34が設置されることができる。シートレールに31、32、33、34は、互に平行に縦方向に延びる。また、シートレール31、32、33、34の各々は、後端が上側結束部70の第1の結束フレーム71の上方に延びた後、第1の結束フレーム71に締結される。
【0040】
このように、複数のシートレール31、32、33、34がバッテリー40の上部を結束する第1の結束フレーム71に結合されると、後列シート30および後列シート30に着座した乗員の重量が、複数のシートレール31、32、33、34を介して第1の結束フレーム71に伝達されて、第1の結束フレーム71を下方へ加圧する。すなわち、バッテリー40が後列シート30および後列シート30に着座した乗員の重量により、下方へ加圧されることができる。したがって、車両の前方の衝突が発生する場合にも、バッテリー40が、慣性によって持ち上がる現象を防止することができる。
【0041】
本実施形態の車体構造物は、
図6に示すように、搭乗スペースの最後方に設置された後列シート30の後方にバッテリー装着部50が設けられ、リアフロアパネル21にバッテリー40の下側を収容するように下方へ陥没した陥没部52を備えるため、搭乗及び積載スペースの占有を低減しながら、大容量バッテリー40を取り付けることができる。また、本実施形態の車体構造物は、バッテリー装着部50が後列シート30の後方に設けされるため、大容量バッテリー40の設置にもかかわらず、後列シート30の設置及び移動の制約を最小限に抑えることができ、4WDの適用の際、プロペラシャフト(図示せず)とバッテリー40との干渉を防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
10・・・センターフロア
20・・・リアフロア
21・・・リアフロアパネル
30・・・後列シート
31、32、33、34・・・シートレール
40・・・バッテリー
50・・・バッテリー装着部
52・・・陥没部
60・・・下側補強部
61・・・第1の補強フレーム
62a、62b、62c・・・第2の補強フレーム
63a、63b・・・第3の補強フレーム
65・・・補強部材
70・・・上側結束部
71・・・第1の結束フレーム
72・・・第2の結束フレーム
73a、73b、73c・・・第3の結束フレーム
80・・・クロスメンバー
82・・・左側のリアサイドメンバー
83・・・右側のリアサイドメンバー
90・・・リアバンパー
111、112、113・・・緩衝フレーム