(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】サイロ用投入装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/32 20060101AFI20230823BHJP
B65D 88/26 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B65G65/32 B
B65D88/26 Z
(21)【出願番号】P 2019237707
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】則武 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政登
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-131350(JP,A)
【文献】特表2013-523446(JP,A)
【文献】特開2015-42572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/32
B65D 88/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留物を内部に落下投入可能な投入口が上端部に形成されたサイロに設置されるサイロ用投入装置であって、
エア搬送により貯留物を搬送する搬送管が接続される投入路部と、
前記投入路部が前記投入口を介して前記サイロの内外を連通した状態となる使用位置と、貯留物の落下投入領域よりも外側に前記投入路部が退避した状態となる退避位置との間で、前記投入路部を前記サイロに対して移動させる移動機構と、を備えるサイロ用投入装置。
【請求項2】
前記移動機構は、
前記サイロに対して前記投入路部を、前記使用位置と、当該使用位置よりも上方の上方位置との間で上下移動させる上下移動機構部と、
前記投入路部を、前記上方位置と前記退避位置との間で水平移動させる水平移動機構部と、を有する、請求項1に記載のサイロ用投入装置。
【請求項3】
前記投入路部は、配管であり、
前記移動機構は、
前記配管を支持する支持体と、
前記支持体を前記サイロに対して水平軸回りに上下回動させることで、前記配管を前記使用位置と前記退避位置との間で移動させる上下回動機構部と、を有し、
前記支持体は、前記配管を前記水平軸の近くで支持している、請求項1に記載のサイロ用投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイロ用投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、寒冷地等では、暖房装置の熱源として使用される木質のペレットを貯蔵するサイロが屋外に設置されている。一般的に、このようなサイロは、上端部に形成された投入口と、下端部に形成された開閉可能な取出口とを備えている。これにより、ペレットは、前記投入口から投入されることによってサイロ内に貯蔵され、前記取出口を開放することで、外部へ取り出されるようになっている。
【0003】
上記サイロにペレットを投入する方法としては、投入口の上方からペレットをサイロ内に落下投入する落下投入方法と、地上側からホース等によりエア搬送したペレットをサイロ内に投入するエア搬送方法とがある。このため、従来のサイロには、落下投入方法およびエア搬送方法のどちらであってもペレットをサイロ内に投入できるサイロ用投入口装置が設置される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のサイロ用投入口装置は、ペレットをサイロ内に落下投入可能な投入口が形成された筒体と、投入口を開閉可能な蓋体と、ペレットをエア搬送するホースを接続可能な投入管と、を備えている。これにより、落下投入方法を用いる場合には、蓋体により投入口を開放することで、ペレットを投入口からサイロ内に落下投入することができる。また、エア搬送方法を用いる場合には、蓋体により投入口を閉鎖した状態で投入管にホースを接続することで、地上側からホースによりエア搬送されたペレットを投入管からサイロ内に投入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記サイロ用投入口装置では、筒体の投入口よりも下方の領域、つまりペレットの落下投入領域に投入管が配置されているので、ペレットを投入口から落下投入すると、ペレットが投入管の外面に付着する場合がある。また、投入管の替わりに、筒体の側壁に前記ホースが接続される貫通孔が形成されている場合、その貫通孔の内側の開口(筒体の内周面側の開口)はペレットの落下投入領域に接しているので、前記開口から貫通孔の内部にペレットが入り込んで付着する場合がある。このように、投入管や貫通孔にペレットが付着すると、ペレットを落下投入した後に、投入管や貫通孔に付着したペレットを取り除く清掃作業が必要になり、非常に面倒であった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、落下投入及びエア搬送のいずれの方法でも貯留物をサイロ内に投入することができ、かつサイロ内に落下投入される貯留物がエア搬送用の投入路部に付着するのを抑制することができるサイロ用投入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、貯留物を内部に落下投入可能な投入口が上端部に形成されたサイロに設置されるサイロ用投入装置であって、エア搬送により貯留物を搬送する搬送管が接続される投入路部と、前記投入路部が前記投入口を介して前記サイロの内外を連通した状態となる使用位置と、貯留物の落下投入領域よりも外側に前記投入路部が退避した状態となる退避位置との間で、前記投入路部を前記サイロに対して移動させる移動機構と、を備えるサイロ用投入装置である。
【0009】
本発明によれば、移動機構により投入路部を使用位置に移動させ、エア搬送により貯留物を搬送する搬送管を投入路部に接続することで、搬送管でエア搬送された貯留物を投入路部からサイロ内に投入することができる。また、移動機構により投入路部を退避位置に移動させることで、貯留物を投入口からサイロ内に落下投入することができる。その際、投入路部は、貯留物の落下投入領域よりも外側に退避しているので、サイロ内に落下投入される貯留物がエア搬送用の投入路部に付着するのを抑制することができる。
【0010】
(2)前記移動機構は、前記サイロに対して前記投入路部を、前記使用位置と、当該使用位置よりも上方の上方位置との間で上下移動させる上下移動機構部と、前記投入路部を、前記上方位置と前記退避位置との間で水平移動させる水平移動機構部と、を有するのが好ましい。
この場合、投入路部を、上下移動機構部により使用位置から上方位置まで上方移動させてから、水平移動機構部により上方位置から退避位置まで水平移動させることで、投入路部を使用位置から退避位置へ移動させることができる。これにより、投入路部を上方移動だけで使用位置から退避位置へ移動させる場合に比べて、投入路部の持ち上げ量を抑えることができるので、投入路部を使用位置から退避位置へ移動させる労力を軽減することができる。
【0011】
(3)前記投入路部は、配管であり、前記移動機構は、前記配管を支持する支持体と、前記支持体を前記サイロに対して水平軸回りに上下回動させることで、前記配管を前記使用位置と前記退避位置との間で移動させる上下回動機構部と、を有し、前記支持体は、前記配管を前記水平軸の近くで支持しているが好ましい。
この場合、配管は水平軸の近くで支持体に支持されているため、配管が使用位置において投入口よりも下方に長く突出していても、上下回動機構部により支持体を上下回動させるときに配管がサイロと干渉するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、落下投入及びエア搬送のいずれの方法でも貯留物をサイロ内に投入することができ、かつサイロ内に落下投入される貯留物がエア搬送用の投入路部に付着するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るサイロ用投入システムを示す側面図であり、落下投入方法によりペレットをサイロ内に投入している状態を示している。
【
図2】前記サイロ用投入システムを示す側面図であり、エア搬送方法によりペレットをサイロ内に投入している状態を示している。
【
図3】前記サイロ用投入装置を上方から見た平面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るサイロ用投入装置を示す断面図である。
【
図7】投入管がサイロと干渉する場合の説明図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係るサイロ用投入装置を示す断面図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係るサイロ用投入装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[第1実施形態]
<サイロ用投入システム>
図1は、本発明の第1実施形態に係るサイロ用投入装置1およびエア搬送装置2を備えたサイロ用投入システムを示す側面図である。
図1において、本実施形態のサイロ用投入システムは、寒冷地において屋外に設置されたサイロ3内に、図示しない暖房装置の熱源として使用される木質のペレット(貯蔵物)を投入して貯蔵する際に用いられる。
【0015】
サイロ3は、縦長円筒状に形成されており、地上に設置された格子状の架台4によって、地上から所定の高さ位置で支持されている。サイロ3は、その上端部に筒部3aを有している。筒部3aは、サイロ3の天井壁3dに固定されており、筒部3aの上端には、ペレットを落下投入するための投入口3bが形成されている。すなわち、サイロ3は、落下投入方法によりペレットが投入されるものである。
【0016】
サイロ3の下部は円錐円筒状に形成されており、サイロ3の下端には開閉可能な取出口3cが形成されている。これにより、サイロ3は、投入口3bから内部に投入されたペレットを貯蔵し、取出口3cを開放することで、内部に貯蔵されているペレットを外部へ取り出すことができるようになっている。
【0017】
サイロ3に投入されるペレットは、複数のフレキシブルコンテナバック5に所定量ずつ収容されている。フレキシブルコンテナバック5は、ペレットが収容されるコンテナバック本体5aと、コンテナバック本体5aに固定された引掛部5bと、を有する。コンテナバック本体5aは略直方体状に形成され、コンテナバック本体5aの底面には、内部に収容されたペレットを排出可能な排出口5cが開閉可能に設けられている。
【0018】
前記複数のフレキシブルコンテナバック5は、トラック6の荷台6a上に積み込まれてサイロ3の設置場所まで輸送される。トラック6には、多段式のブーム7aと、ブーム7aの先端部に設けられた吊下フック7bと、を備えたクレーン7が搭載されている。クレーン7は、吊下フック7bにフレキシブルコンテナバック5の引掛部5bを引っ掛けることで、フレキシブルコンテナバック5を吊り上げることができるようになっている。
【0019】
これにより、
図1に示すように、フレキシブルコンテナバック5をトラック6のクレーン7によりサイロ3の投入口3bの真上まで吊り上げ、その状態でフレキシブルコンテナバック5の排出口5cを開放することで、フレキシブルコンテナバック5内のペレットは、投入口3bを介してサイロ3内へ落下投入される。
【0020】
<サイロ用投入装置>
図2は、サイロ用投入システムを示す側面図であり、サイロ用投入装置1を用いたエア搬送方法によりフレキシブルコンテナバック5内のペレットをサイロ3内に投入している状態を示している。
図2において、サイロ用投入装置1は、サイロ3の筒部3a付近に設置されており、上述のように落下投入方法によりペレットを投入する既設のサイロ3に対して、落下投入方法およびエア搬送方法のどちらであっても、ペレットをサイロ3内に投入できるようにしたものである。
【0021】
サイロ用投入装置1を用いたエア搬送方法では、例えば、トラック6の荷台6a上に搭載されたエア搬送装置2の送風管(図示省略)から延びる接続ホース(搬送管)8を、サイロ用投入装置1の投入管12(後述)に接続する。そして、トラック6のクレーン7により、フレキシブルコンテナバック5を吊り上げてエア搬送装置2のホッパ(図示省略)の真上まで移動させ、その状態でフレキシブルコンテナバック5の排出口5cを開放してフレキシブルコンテナバック5内のペレットをエア搬送装置2に投入する。これにより、エア搬送装置2を駆動することで、エア搬送装置2に投入されたペレットは、エア搬送により接続ホース8及び投入管12を介してサイロ3内に投入される。
【0022】
図3は、サイロ用投入装置1を上方から見た平面図である。
図4は、
図3のI-I矢視断面図である。
図3及び
図4において、サイロ用投入装置1は、支持体10と、投入管(投入路部)12と、排出管(排出路部)13と、ブロワ14と、を備えている。なお、
図4では、排出管13及びブロワ14の図示を省略している。
【0023】
<支持体>
支持体10は、投入管12、排出管13及びブロワ14を支持するものである。本実施形態の支持体10は、円板状に形成された支持板11により構成されている。支持板11の外径は、サイロ3の筒部3aの外径よりも大きく形成されている。これにより、支持板11は、筒部3aの上端面(投入口3bの縁部)に載置されることで、投入口3bを塞ぐようになっている。
【0024】
支持板11には、複数の吸気孔11cが上下方向に貫通して形成されている。これらの吸気孔11cは、後述するようにペレットと共にサイロ3内に投入された搬送エアをブロワ14によりサイロ3外に強制的に排出する際に、大気中のエアをサイロ3内に引き込む機能を有している。これにより、サイロ3内が過度に負圧になるのを抑制することができる。
【0025】
<投入管>
投入管12は、接続ホース8を接続し、接続ホース8によりエア搬送されるペレットをサイロ3内に案内するものである。投入管12は、上下方向に延びる縦管部12aと、縦管部12aの上端に一端が接続されて屈曲しているエルボ管12bと、エルボ管12bの他端に接続されて水平方向に延びる横管部12cとを備えている。本実施形態では、縦管部12a、エルボ管12b、及び横管部12cは、いずれも断面円状の配管により形成されている。
【0026】
縦管部12aの上端部は、支持板11に形成された第1取付孔11aを貫通して当該支持板11に固定されている。これにより、支持板11が筒部3aの上端面に載置されると、縦管部12aの支持板11よりも下方に突出している部分は、サイロ3内において上下方向に延びて配置され、支持板11よりも上方に位置するエルボ管12b及び横管部12cは、サイロ3外に配置される。したがって、投入管12は、支持板11が筒部3aの上端面に載置されたときに、投入口3bを介してサイロ3の内外を連通するように支持板11に設けられている。
【0027】
横管部12cの開口端12c1は、上記接続ホース8が接続される接続口とされている。これにより、接続ホース8によりエア搬送されたペレットは、横管部12c、エルボ管12b及び縦管部12aを通過してサイロ3内に投入される。その際、ペレットは、搬送エアから慣性力(重力)により分離される。したがって、サイロ用投入装置1は、ペレットと搬送エアとを分離する分離装置としての機能を兼ね備えている。
【0028】
<排出管>
図5は、
図3のII-II矢視断面図である。なお、
図5では、後述する移動機構Mの図示を省略している。
図3及び
図5において、排出管13は、上下方向に延びる縦管部13aと、縦管部13aの上端部から水平方向に突出する横管部13bとを備えている。本実施形態の縦管部13aは、ボックス状に形成されており、支持板11の上面に載置された状態で固定されている。
【0029】
縦管部13aの一側面(支持板11の中心側に向いている側面)の上端部には、横管部13bと連通する連通口13a1が形成されている。縦管部13aの下端には、開口端13a2が形成されており、その開口端13a2の真下における支持板11には、第2取付孔11bが形成されている。
【0030】
これにより、支持板11が筒部3aの上端面に載置されると、縦管部13aの開口端13a2は、支持板11の第2取付孔11bを介して筒部3aの投入口3bと連通し、横管部13bの開口端13b1は、サイロ3外に配置される。したがって、排出管13は、投入口3bを介してサイロ3の内外を連通するように支持板11に設けられている。
【0031】
<ブロワ>
ブロワ14は、ペレットと共に投入管12からサイロ3内に投入されて上記のように分離された搬送エアを、排出管13を介してサイロ3外に強制的に排出するものである。本実施形態のブロワ14は、支持板11の上面にブラケット15を介して固定されており、支持板11を筒部3aの上端面に載置した状態でサイロ3外に配置される。
【0032】
ブロワ14は、搬送エアを吸い込む吸気口14aと、搬送エアを外部に排出する排気口14bとを有している。ブロワ14の吸気口14aは、例えば管継手17を介して排出管13における横管部13bの開口端13b1に接続されている。なお、
図3では管継手17の図示を省略している。
【0033】
ブロワ14の排気口14bには、当該排気口14bから排気される搬送エアに含まれる粉塵等を除去するバグフィルタ(図示省略)が接続されている。これにより、投入管12からペレットと共にサイロ3内に投入されて分離された搬送エアは、排出管13及び管継手17を介してブロワ14により吸引され、バグフィルタを介してサイロ3外へ強制的に排出される。
【0034】
<移動機構>
図3及び
図4において、サイロ用投入装置1は、投入管12、排出管13及びブロワ14(以下、「投入管12等」ともいう)をサイロ3に対して移動させる移動機構Mをさらに備えている。本実施形態の移動機構Mは、前記支持体10である支持板11と、支持板11を上下移動させる上下移動機構部20と、支持板11を水平移動させる水平移動機構部30と、によって構成されている。
【0035】
上下移動機構部20は、一対の第1アーム21と、一対の第2アーム22と、一対の連結体23と、を有している。第1アーム21の基端部は、基体32(後述)に対して水平軸C1回りに回動可能に連結されている。第2アーム22の基端部は、基体32に対して水平軸C2回りに上下回動可能に連結されている。第1アーム21の先端部及び第2アーム22の先端部には、連結体23が水平軸C3,C4回りに回動可能に連結されている。連結体23は、支持板11の外周部に固定されている。
【0036】
第1アーム21及び第2アーム22は、水平軸C1~C4を結ぶ四角形が平行四辺形となる平行リンクを構成している。これにより、第1アーム21及び第2アーム22が水平軸C1,C2回りに上下回動することで、連結体23を介して支持板11が水平姿勢を保ちながらサイロ3に対して上下移動する。その際、投入管12等は、投入管12が投入口3bを介してサイロ3の内外を連通した状態となる使用位置(
図4の実線で示す位置)と、当該使用位置よりも上方の上方位置(
図4の2点鎖線で示す位置)との間で上下移動する。その上方位置において、投入管12の下端は、サイロ3の筒部3aの上端面よりも上方に位置する。
【0037】
水平移動機構部30は、支柱31と、一対の基体32と、を有している。支柱31は、円柱状に形成されており、その軸線が上下方向に延びて配置された状態でサイロ3の天井壁3dの上面に固定されている。一対の基体32は支柱31を挟んで配置されており、各基体32は、支柱31に対してその軸線である鉛直軸X回りに回転可能に取り付けられている。これにより、支柱31に対して一対の基体32が回転することで、上下移動機構部20を介して支持板11が水平回動するようになっている。その際、投入管12等は、前記上方位置(
図4の2点鎖線で示す位置)と、ペレットの落下投入領域Rよりも外側に投入管12等が退避した状態となる退避位置(
図3の2点鎖線で示す位置)との間で水平移動する。
【0038】
「落下投入領域R」は、投入口3bの上方からペレット3を落下投入するときに当該ペレットが通過する領域であり、投入口3bと、投入口3bの上側の領域R1と、投入口3bの下側の領域R2と、を含む領域である。本実施形態では、投入口3bの直径Dからなる円柱状の領域である。また、「落下投入領域Rよりも外側」とは、落下投入領域Rの外側であって、かつ落下投入領域Rに接しないことを意味する。
【0039】
以上の構成により、投入管12等を、上下移動機構部20により使用位置から上方位置まで上方移動させてから、水平移動機構部30により
図3の時計回り方向に水平回動させることで、投入管12等を使用位置から退避位置へ移動させることができる。
また、投入管12等を、水平移動機構部30により退避位置から上方位置まで
図3の反時計回り方向に水平回動させてから、上下移動機構部20により上方位置から使用位置まで下方移動させることで、投入管12等を退避位置から使用位置へ移動させることができる。
【0040】
<作用効果>
第1実施形態のサイロ用投入装置1によれば、移動機構Mにより投入管12等を使用位置に移動させ、エア搬送によりペレットを搬送する接続ホース8を投入管12に接続することで、接続ホース8でエア搬送されたペレットを投入管12からサイロ3内に投入することができる。また、移動機構Mにより投入管12等を退避位置に移動させることで、ペレットを投入口3bからサイロ3内に落下投入することができる。その際、投入管12等は、ペレットの落下投入領域Rよりも外側に退避しているので、サイロ3内に落下投入されるペレットが、エア搬送用の投入管12等の外面に付着するのを抑制することができる。
【0041】
また、投入管12等を、上下移動機構部20により使用位置から上方位置まで上方回動させてから、水平移動機構部30により上方位置から退避位置まで水平回動させることで、投入管12等を使用位置から退避位置へ移動させることができる。これにより、投入管12等を上下移動だけで使用位置から退避位置へ移動させる場合に比べて、投入管12等の持ち上げ量を抑えることができるので、投入管12等を使用位置から退避位置へ移動させる労力を軽減することができる。
【0042】
また、移動機構Mにより投入管12等を退避位置から使用位置に移動させるだけで、ペレットの投入方法を落下投入からエア搬送に変更することができるので、その変更時に投入管12等を支持する支持体10を、地上からサイロ3の上端部に持ち上げる装置(クレーン等)が不要になる。
【0043】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係るサイロ用投入装置1を示す断面図である。
図6において、本実施形態のサイロ用投入装置1は、移動機構Mの構成が第1実施形態と相違する。本実施形態の移動機構Mは、支持体10と、支持体10を上下回動させる上下回動機構部40と、によって構成されている。
【0044】
上下回動機構部40は、サイロ3の筒部3aの外周面に固定された支持ブラケット41と、支持ブラケット41に対して水平軸C5回りに上下回動可能な回動部42と、を有している。本実施形態では、投入口3bを塞ぐ円板状の支持板11における外周部の一部が、前記回動部42として機能としている。支持ブラケット41は、筒部3aの外周面に対して水平方向に突出して固定された固定部41aと、固定部41aの先端部から上方に延びる回動支持部41bと、を有している。回動支持部41bの上端部には、回動部42が水平軸C5回りに上下回動可能に連結されている。
【0045】
支持体11における回動部42を除く部分は、投入管12等を支持する支持体10として機能する。なお、
図6では、排出管13及びブロワ14の図示を省略している。支持体10は、投入管12の縦管部12aを、後述する水平軸C5の近くで支持している。縦管部12aは、第1実施形態の縦管部12aに比べて、支持体10よりも下方に長く突出している。
ここで、「水平軸の近く」とは、側面視において縦管部12aの軸線X1が落下投入領域Rの中心線X2よりも水平軸側に位置することを意味する。好ましくは、縦管部12aにおける水平軸から最も遠い外端面が、中心線X2よりも水平軸側に位置する。
【0046】
上記構成により、支持体10を回動部42とともに支持ブラケット41に対して水平軸C5回りに上下回動させることで、投入管12等は、支持体10と共に上下回動する。その際、投入管12等は、投入管12が投入口3bを介してサイロ3の内外を連通した状態となる使用位置(
図6の実線で示す位置)と、ペレットの落下投入領域Rよりも外側に投入管12等が退避した状態となる退避位置(
図6の2点鎖線で示す位置)との間で上下回動する。本実施形態の他の構成については、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
以上、第2実施形態のサイロ用投入装置1においても、移動機構Mにより投入管12等を使用位置に移動させ、エア搬送によりペレットを搬送する接続ホース8を投入管12に接続することで、接続ホース8でエア搬送されたペレットを投入管12からサイロ3内に投入することができる。また、移動機構Mにより投入管12等を退避位置に移動させることで、ペレットを投入口3bからサイロ3内に落下投入することができる。その際、投入管12等は、ペレットの落下投入領域Rよりも外側に退避しているので、サイロ3内に落下投入されるペレットが、エア搬送用の投入管12等の外面に付着するのを抑制することができる。
【0048】
図7に示すように、投入管12が水平軸C5から離れた位置で支持体10に支持されていると、上下回動機構部40により支持体10を上下回動させるときに、投入管12の縦管部12aがサイロ3の筒部3aと干渉してしまう。これに対して、
図6に示すように、本実施形態の投入管12は水平軸C5の近くで支持体10に支持されているため、投入管12の縦管部12aが支持体10よりも下方に長く突出していても、上下回動機構部40により支持体10を上下回動させるときに、投入管12の縦管部12aがサイロ3の筒部3aと干渉するのを抑制することができる。
【0049】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係るサイロ用投入装置1を示す断面図である。
図8において、本実施形態のサイロ用投入装置1は、第2実施形態の変形例であり、移動機構Mの支持体10及び上下回動機構部40の構成が第2実施形態と相違する。本実施形態の上下回動機構部40は、サイロ3の天井壁3dの上面に固定された支持ブラケット44と、基端部が支持ブラケット44に対して水平軸C6回りに上下回動可能に連結された支持アーム(回動部)45と、を有している。
【0050】
本実施形態の支持体10は、第1実施形態と同様に円板状の支持板11により構成されている。支持板11の外周部には、支持アーム45の先端部が固定されている。支持板11は、投入管12の縦管部12aを、水平軸C6の近くで支持している。なお、支持板11には、第1実施形態と同様に排出管13及びブロワ14も設けられているが、
図8では、排出管13及びブロワ14の図示を省略している。
【0051】
上記構成により、支持アーム45が水平軸C6回りに上下回動することで、支持板11と共に投入管12等が上下回動する。その際、投入管12等は、投入管12が投入口3bを介してサイロ3の内外を連通した状態となる使用位置(
図8の実線で示す位置)と、ペレットの落下投入領域Rよりも外側に投入管12等が退避した状態となる退避位置(
図8の2点鎖線で示す位置)との間で上下回動する。本実施形態の他の構成については、第2実施形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
以上、第3実施形態のサイロ用投入装置1においても、移動機構Mにより投入管12等を使用位置に移動させ、エア搬送によりペレットを搬送する接続ホース8を投入管12に接続することで、接続ホース8でエア搬送されたペレットを投入管12からサイロ3内に投入することができる。また、移動機構Mにより投入管12等を退避位置に移動させることで、ペレットを投入口3bからサイロ3内に落下投入することができる。その際、投入管12等は、ペレットの落下投入領域Rよりも外側に退避しているので、サイロ3内に落下投入されるペレットが、エア搬送用の投入管12等の外面に付着するのを抑制することができる。
【0053】
また、投入管12は水平軸C6の近くで支持板11に支持されているため、投入管12の縦管部12aが支持板11よりも下方に長く突出していても、上下回動機構部40により支持板11を上下回動させるときに、投入管12の縦管部12aがサイロ3の筒部3aと干渉するのを抑制することができる。
【0054】
[第4実施形態]
図9は、本発明の第4実施形態に係るサイロ用投入装置1を示す断面図である。
図9において、本実施形態のサイロ用投入装置1は、移動機構Mの構成が第1実施形態と相違する。本実施形態の移動機構Mは、支持体10である支持板11と、支持板11を水平移動可能に支持する水平スライド機構部50と、によって構成されている。支持板11は、投入管12の縦管部12aの下端部を支持しており、縦管部12aの下端面12a1は、支持板11の下面11dと面一に配置されている。なお、支持板11には、第1実施形態と同様に排出管13及びブロワ14も設けられているが、
図9では、排出管13及びブロワ14の図示を省略している。
【0055】
水平スライド機構部50は、サイロ3の天井壁3dの上面において水平方向に延びて固定されたレール51と、レール51に対して水平方向にスライド可能に支持されたスライダ52と、を有している。スライダ52の端部は、支持板11の外周部に固定されている。なお、図示を省略するが、レール51及びスライダ52は、
図9の紙面垂直方向に所定間隔をあけてそれぞれ一対配置されている。
【0056】
上記構成により、レール51に対してスライダ52を水平方向にスライドさせることで、支持板11と共に投入管12等が水平方向にスライドする。その際、投入管12等は、投入管12が投入口3bを介してサイロ3の内外を連通した状態となる使用位置(
図9の実線で示す位置)と、ペレットの落下投入領域Rよりも外側に投入管12等が退避した状態となる退避位置(
図9の2点鎖線で示す位置)との間でスライドする。本実施形態の他の構成については、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
以上、第4実施形態のサイロ用投入装置1においても、移動機構Mにより投入管12等を使用位置に移動させ、エア搬送によりペレットを搬送する接続ホース8を投入管12に接続することで、接続ホース8でエア搬送されたペレットを投入管12からサイロ3内に投入することができる。また、移動機構Mにより投入管12等を退避位置に移動させることで、ペレットを投入口3bからサイロ3内に落下投入することができる。その際、投入管12等は、ペレットの落下投入領域Rよりも外側に退避しているので、サイロ3内に落下投入されるペレットが、エア搬送用の投入管12等の外面に付着するのを抑制することができる。
【0058】
また、投入管12等を水平方向にスライドすることで、投入管12等を使用位置から退避位へ移動させることができるので、第1~第3実施形態のように投入管12等を持ち上げる作業が不要になる。これにより、投入管12等を使用位置から退避位置へ移動させる労力をさらに軽減することができる。
【0059】
[その他]
上記実施形態では、木質のペレットをサイロ3の貯留物として説明したが、木質以外のペレットや家畜飼料等をサイロ3の貯留物としてもよい。また、上記実施形態のサイロ用投入装置1は、慣性力によりペレットと搬送エアとを分離しているが、サイクロンによってペレットと搬送エアとを分離してもよい。
【0060】
上記実施形態の支持体10は、投入管12が使用位置にあるときにサイロ3の上端部(筒部3aの上端面)に載置されているが、その載置状態でパッチン錠等のロック手段により支持体10をサイロ3の上端部にロックしてもよい。また、支持体10には、当該支持体10とサイロ3の上端部との間をシールするシール部材を設けてもよい。また、支持板11は、サイロ3の上端部に載置された状態で投入口3bを塞いでいるが、必ずしも投入口3bを塞ぐ必要はなく、投入管12等を支持するアーム部材で構成されていてもよい。また、第3実施形態では、支持板11の替わりに、支持アーム45により投入管12等を支持してもよい。その場合、支持アーム45の基端側が、上下回動機構部40の回動部として機能し、支持アーム45の先端側が、投入管12等を支持する支持体として機能する。
【0061】
投入路部及び排出路部の具体構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では投入路部として投入管12を用いているが、投入管12を用いずに、支持板11に形成された第1取付孔11aを投入路部としてもよい。また、上記実施形態では排出路部として排出管13を用いているが、排出管13を用いずに、支持板11に形成された第2取付孔11bを排出路部としてもよい。
上記実施形態では、投入路部(投入管12)に接続される搬送管として、接続ホース8を用いているが、これに限定されるものではなく、配管等を用いてもよい。
【0062】
上記実施形態のブロワ14は、排出管13に設けられているが、地上に設置されていてもよい。その場合、排出管13とブロワ14とをホース等で接続すればよい。また、サイロ用投入装置1は、ブロワ14を必ずしも備える必要はない。また、サイロ3自体が内部に投入された搬送エアをサイロ3外に排出する機構を備えていれば、サイロ用投入装置1は、排出管13を備える必要はない。
【0063】
第1実施形態(
図4参照)において、使用位置と上方位置との間で投入管12等を上下移動させる上下移動機構部20は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、第2又は第3実施形態の上下回動機構部40を上下移動機構部20として用いてもよい。また、上方位置と退避位置との間で投入管12等を水平移動させる水平移動機構部30は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、第4実施形態の水平スライド機構部50を水平移動機構部30として用いてもよい。
【0064】
上記第2実施形態(
図6参照)では、支持ブラケット41を、サイロ3の筒部3aの外周面に固定しているが、サイロ3の天井壁3dの上面に固定してもよい。
上記第3実施形態(
図8参照)では、支持ブラケット41を、サイロ3の天井壁3dの上面に固定しているが、サイロ3の筒部3aの外周面に固定してもよい。
【0065】
上記第4実施形態(
図9参照)の移動機構Mは、投入管12等を使用位置と退避位置との間で水平移動させる機構として、水平スライド機構部50を用いているが、第1実施形態の水平移動機構部30を用いてもよい。
【0066】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 サイロ用投入装置
3 サイロ
3b 投入口
8 接続ホース(搬送管)
10 支持体
12 投入管(投入路部,配管)
20 上下移動機構部
30 水平移動機構部
40 上下回動機構部
C5,C6 水平軸
M 移動機構
R 落下投入領域