(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】紡績および/または撚糸のための方法、紡績および/または撚糸のための機械、ならびに紡績および/または撚糸のための機械を変形する方法。
(51)【国際特許分類】
D01H 1/42 20060101AFI20230823BHJP
D01H 7/18 20060101ALI20230823BHJP
D01H 7/60 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
D01H1/42 Z
D01H7/18
D01H7/60 Z
(21)【出願番号】P 2019535374
(86)(22)【出願日】2017-04-07
(86)【国際出願番号】 IB2017052009
(87)【国際公開番号】W WO2018122625
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-31
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】515147977
【氏名又は名称】トゥイストパーフェクト,ソシエダッド リミターダ
(73)【特許権者】
【識別番号】519228533
【氏名又は名称】カスムコーニ,ソシエダッド リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ガラン ロンゲラス ホルディ
(72)【発明者】
【氏名】ガラン ロンゲラス アルベルト
【合議体】
【審判長】山崎 勝司
【審判官】森本 哲也
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-88631(JP,U)
【文献】特開平9-240918(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第1116413(GB,A)
【文献】英国特許出願公告第1237944(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸手段(1)から糸ピッキング手段(2)の間を糸が走行する紡績または撚糸のための方法であって、
前記糸が、前記糸ピッキング手段(2)および前記給糸手段(1)の間の箇所に置かれた張力手段と、
前記糸ピッキング手段(2)を中心とする直径DBの円形軌道の上を自由に移動可能な撚糸手段であって、前記張力手段と兼用される撚糸手段と、
案内手段(8)と、を通って走行し、
前記糸ピッキング手段(2)が、所定の速度で前記ピッキング手段(2)を回転させる駆動手段に接続されており、
バルーンストレッチが、前記案内手段(8)と前記撚糸手段との間の距離LBの範囲内にある箇所に生成され、
糸巻きプロセスの間中、
前記張力手段によって生成される張力の値は、同じ糸についての伝統的な紡績または撚糸プロセスにおける張力手段よりも低くされており、このことは、リング紡績およびリング撚糸の場合、伝統的な紡績または撚糸プロセスと比べて、カーソルのサイズが減少、したがってカーソルの重量が減少することを意味しており、
前記距離LBが、前記撚糸手段の前記直径DBの5倍から50倍であり、
その結果、
前記距離LBに沿った装置要素に頼ることなく、互いに連続する2つ以上のバルーンストレッチ(B)を形成する少なくとも双曲面構造(E)が前記距離LBに沿って生成される、したがって、前記紡績または撚糸のプロセスをより高速で、かつ前記糸の張力を低くして行うことができる、方法。
【請求項2】
前記距離LBは、前記撚糸手段の前記直径DBの5から25倍であることを特徴とする請求項1に記載の紡績または撚糸のための方法。
【請求項3】
前記距離LBは、前記撚糸手段の前記直径DBの6倍、7倍または8倍であることを特徴とする請求項1に記載の紡績または撚糸のための方法。
【請求項4】
前記案内手段(8)は、前記バルーンの形状の変動を回避するために、前記距離LBを増加または減少させるように移動可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の紡績または撚糸のための方法。
【請求項5】
前記案内手段(8)は、前記撚糸手段の高さ方向の移動に関連して高さ方向に移動することを特徴とする請求項4に記載の紡績または撚糸のための方法。
【請求項6】
前記案内手段(8)は、前記距離LBが不変のままであるように、そして前記バルーンの形状の変動を回避するように、前記撚糸手段の高さ方向の移動に関連して移動可能であることを特徴とする請求項5に記載の紡績または撚糸のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、撚糸機または紡績機を用いて実施するように設計されている、複数のバルーンストレッチを伴う紡績および/または撚糸のための方法(の登録を目的としている)に関する。より具体的には、本発明は、紡績および/または撚糸の過程で生じる糸の張力を増大させることを意味するので無しに、より速く作業することを可能にする紡績および/または撚糸のための方法、ならびにその方法を使用した紡績および/または撚糸のための機械、および紡績および/または撚糸の機械を変形させるための方法を開発することを提案する。
【背景技術】
【0002】
繊維産業において、すなわち紡績および撚糸産業において、連続リングスピナー、リングツイスター、マルチツイストツイスター、ダブルツイストツイスター、垂直ケーブリング、ケーブルツイスターなどの使用はよく知られている。
【0003】
糸に撚りをかけるこれらの機械はすべて、機械の一部によって占められるスペースを節約する目的で回転中心に対してある距離で糸を回転させることを余儀なくされ、これは「バルーン」と呼ばれる回転図形を生成する。このバルーンは、例えば円錐形の体積を有する、中心スピン軸を有する回転の面積または体積によって定義される。
【0004】
紡績機および撚糸機の製造業者の傾向は、バルーンの直径の増大を回避し、かつバルーンの高さを可能な限り減少させるために、バルーンを物理的に制限することによってバルーンを抑制または減少させることにある。このように、撚糸および/または紡績のプロセスのために糸に生じる張力は、糸に起こり得る損傷、その品質に影響を与えること、製造プロセス中の破損を回避するため、より低く、したがって回転または角速度は制限され、減少されなければならならず、言い換えると増加させることはできず、したがって生産性に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Tang他による「リング紡績における糸のバルーン運動のモデリング」、応用数学モデル、Guildford GB vol 31、(2007年2月1日)、第1397-1410頁、(ISSN 0307-904X)
【0006】
【文献】Zheng-Xue Tang et al他による「シミュレートされたリング紡績における糸張力の実験的調査」、Fibers and Polymers vol 5、(2004年12月1日)、第275-279頁(ISSN 1229-9197)
【0007】
【文献】「リング紡績、オーバーエンドアンワインディング、および繊維プロセスにおける2対1撚糸の工学的基礎」(ISBN 978-1-60595-172-0)
【0008】
【文献】https://nptel.ac.in/courses/116102038/25(NPTEL :: 繊維工学 - 糸製造 - II”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
Tang他による「リング紡績における糸のバルーン運動のモデリング」、応用数学モデル、Guildford GB vol 31、(2007年2月1日)、第1397-1410頁、(ISSN 0307-904X)およびZheng-Xue Tang et al他による「シミュレートされたリング紡績における糸張力の実験的調査」、Fibers and Polymers vol 5、(2004年12月1日)、第275-279頁(ISSN 1229-9197)は、自由バルーンモデルが望ましいことを示唆している。しかしながら、「リング紡績、オーバーエンドアンワインディング、および繊維プロセスにおける2対1撚糸の工学的基礎」(ISBN 978-1-60595-172-0)では、両文書の共著者(W Barrie Frasier)は、このモデルは撚糸機や紡績機には容易に適用できないことを認めている。
【0010】
https://nptel.ac.in/courses/116102038/25(NPTEL :: 繊維工学 - 糸製造 - II”には、糸の定在波についての基本的な理解が教示されている。定在波の利点または撚糸機内で定在波をどのように適用するかについての言及はない。
【0011】
本発明は、応用分野における新規性として構成された方法を提供するために開発されたものであり、上述の欠点を解決し、さらに以下の説明から明らかとなる他のさらなる利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
それ故、本発明の目的は、複数のバルーンストレッチを有する紡績および/または撚糸のための方法を提供することであり、ここで糸は、(例えば少なくともボビンのような)給糸手段から糸ピッキング手段に向かって走行する。この糸ピッキングおよび/または巻き取り手段は、糸ピッキング手段を所定の速度で回転させるための駆動手段に接続され、そこでは撚糸手段の存在のために給糸手段とピッキング手段の間にある箇所でバルーンストレッチが生じる。すなわち、本発明は、撚糸手段の回転速度値は、撚糸手段を操作することによって、糸が給糸手段とピッキング(または巻き取り)手段との間をたどる経路が、互いに連続した2つ以上のバルーンストレッチを形成する少なくとも双曲面構造を有する回転体が作られるように、給糸手段と糸ピッキングおよび/または巻き取り手段との間に存在する距離に沿って振動する螺旋径を有する螺旋状経路を生成するような値であることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、この方法は、2~20の範囲の多数の双曲面を定義する多数の双曲面構造によって実施することができる。
【0014】
決定されたパラメータを有する(機械の)動作条件では、バルーンストレッチの増加、すなわち双曲面構造の増加を意味するが、それはバルーンストレッチの高さを増加させることによって達成され、したがって、すでに確立されているバルーンストレッチ生成時の直径の値を増加させ、バルーンストレッチの高さの値は、バルーンストレッチを増加させたいときにバルーンストレッチを生成する直径の5倍から50倍に増やす、したがって、このようなバルーンストレッチの高さが増加されることに応じて2から20になる双曲面構造を増加させる。
【0015】
上記が、張力手段によって生み出される張力が伝統的な紡績および/または撚糸プロセスにおけるよりも低くなるように、機械動作の張力を打ち消す複数のバルーンストレッチによって撚糸が生み出される理由である。
【0016】
本発明はこれらの特徴があるために、紡績および/または撚糸をより高速で、したがってより高い生産性で、糸の張力を低くし、そしてエネルギー消費量を少なくして製造コストを削減するとともに糸の品質を向上させることを可能にする。
【0017】
回転速度の遠心力の影響によって糸に生じることができる張力は、バルーンストレッチ間の変曲点で打ち消される。
【0018】
本発明の方法が提供する別の利点は、低レベルの張力で非常に細い糸を撚ることを可能にすることであり、現在であれば吸収しきれない張力で作業する際に破断される新しい非常に繊細な糸の取り扱いに拡張する。
【0019】
本発明の方法はすべての糸、繊維、フィラメント、ロープ、リボンなど、そして天然、合成および人工の材料に適している。本方法は、より高い速度でそしてより低いレベルの張力で働くことを可能にするので、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などを取り扱うのに特に適している。
【0020】
好ましくは、バルーンストレッチの高さは、バルーンストレッチを生成する直径の2倍以上である。
【0021】
さらにより好ましい実施形態では、バルーンストレッチの高さは、バルーンストレッチを生成する直径の5から50倍、特に5から25倍の範囲である。
【0022】
この高さの範囲は、好ましくは、例えば200mmまたは216mmまたは250mmまたは300mmまたは330mmまたは400mmまたは500mmの直径になるように、処理される糸の太さに応じて、バルーンストレッチを生成する直径の5倍の高さを有する2つのバルーンストレッチ(双曲面構造)を得ることができるように分布され、あるいは糸の太さが増すにつれて、この高さはバルーンストレッチを生成する直径の6倍、またはバルーンストレッチを生成する直径の7倍、バルーンストレッチを生成する直径の8倍にも増加する必要がある。
【0023】
一方、生成直径が、例えば165mm、または140mm、または120mm、または100mmから30mmまでの値に縮小されて2つのバルーンストレッチが得られる場合、高さはバルーンストレッチを生成する直径の5倍、またはバルーンストレッチを生成する直径の6倍、またはバルーンストレッチを発生させる直径の7倍の関係で決定され、大きな生成直径が大きい場合とは異なる方途で変化する。
【0024】
さらに、好ましくは、バルーンストレッチの高さは、(糸)ピッキング手段の高さの2倍以上である。
【0025】
同様に、バルーンストレッチの高さが給糸手段の高さの2倍以上であることもまた好ましい可能性がある。
【0026】
本発明の別の特徴によれば、糸ピッキングおよび/または給糸手段の前の箇所、すなわち、リング紡績およびリング撚糸内にある張力手段を糸は通過する。合撚、ダイレクトケーブリング、および縦型機械の場合、張力は他の外部手段によっても調整される。
【0027】
好ましくは、リングスピナーおよびリングツイスターの張力手段は、巻き取りボビンに接続されたボビンレールに結合されたカーソルを含む。
【0028】
本発明の第2の特徴は、紡績および/または撚糸機であって、
給糸手段と、
糸ピッキング手段と
前記給糸手段と前記糸ピッキング手段との間に置かれ、バルーンストレッチを生成する領域に糸のバルーンストレッチを生成する直径を発生させる撚糸手段と、
前記給糸手段および/または前記糸ピッキング手段に接続された駆動手段と、を含み、
前記紡績および/または撚糸機は、(糸の)案内手段とバルーンストレッチを生成する領域との間に2つ以上のバルーンストレッチが生成されるように、前記案内手段とバルーンストレッチを生成する領域との間に存在する距離がバルーンを生成する直径の2倍以上であることを特徴とする。バルーンが生成される領域において糸と接触するあらゆる要素を、バルーンを限定するものとして理解されるべきである。
【0029】
リングスピナーおよびリングツイスターの場合には、バルーンストレッチ数の増加はカーソルのサイズの減少、したがってカーソル自体の重量の減少に関連し、それはその後の利点を意味する。
【0030】
本発明の第3の特徴は、紡績および/または撚糸機を変形する方法であって、糸の経路のために糸ピッキング手段に対して給糸手段および/または糸案内手段を持ち上げることによって、または給糸手段に対して糸ピッキング手段を持ち上げることによってバルーンストレッチの高さが増加するステップを含むことを特徴とする。
【0031】
その結果、バルーンストレッチの高さを増加させるために、そして撚糸手段を操作することによって、互いに連続する2つ以上のバルーンストレッチを形成する少なくとも双曲面構造を有するバルーンを生成する直径から回転体が作られる。
【0032】
本発明の方法目的の他の特徴および利点は、添付の図面に非限定的な例として示されている、好ましいが排他的ではない実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】カーソルの詳細図を含む、本発明による方法を使用する連続リングスピナーの第1の実施形態の概略図である。
【
図2】カーソルの詳細図を含む、本発明による方法を使用するリング撚糸機(リングツイスター)の第2の実施形態の概略図である。
【
図3】カーソルの詳細図を含む、本発明による方法を使用する別のリング撚糸機の第3の実施形態の概略図である。
【
図4】本発明の方法を使用するダブルツイストツイスターの第4の実施形態の概略図である。
【
図5】本発明の方法を使用する垂直ケーブリング機の第5の実施形態の概略図である。
【
図6】本発明による撚糸プロセス中に糸が取り入れる幾何学的形状の概略図である。
【
図7】本発明による方法において糸がたどることのできる経路の概略図である。
【
図8】案内手段と組み合わされた糸を延伸するための手段(糸延伸手段)を使用する機械を示す概略図である。
【
図9】案内手段の無いリングツイスターを示す概略図である。
【
図10】案内手段なしで糸延伸手段を使用する機械を示す概略図である。
【
図11】案内手段としてローラーを使用するリングツイスターの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
言及された図を考慮しつつ、採用された番号付けに従って、好ましい実施形態の例が見られ、それは以下に詳細に指し示され、説明される部分および要素を含む。
【0035】
以下に記載される紡績および撚糸機のすべての好ましい実施形態において、巻き取りボビンの回転速度の値は、互いに連続した複数のバルーンストレッチ(B)を形成する2つの連続した双曲面構造(E)を有する回転体が形成されるように、給糸手段と巻き取りボビンとの間に存在する距離(LB)に沿って振動する尖頭径(S)で(
図7参照)、螺旋経路が生成されるような値である。
【0036】
本発明の他の特徴は、
図1に示されているように、一般的に参照符号(1)で示される従来型で上部に給糸システムを有するリングスピナーであり、従ってこれ以上詳細には説明しないが、底部には、概略的に示されている従来の駆動手段(4)によってモータ駆動されて回転する糸(3)をピッキングするためのボビン(2)が設けられている。ボビンに巻き取られる糸(3)は、撚られた糸を拾い上げてボビン(2)に収納するボビンレール(6)に配置されたカーソル(5)と名付けられたテンション要素を通過するときにボビン側壁に対して垂直に進入する。前記カーソル(5)は、
図1に含まれる拡大詳細図において最も明らかになる。
【0037】
糸巻きプロセス(3)の間中、本書に示す実施形態では、糸案内手段(8)(略図で示す)の例えば小径リングと、撚糸手段によって誘発されるバルーンストレッチを生成する領域との間に、糸の張力レベルを減少させることを可能にする双曲面ストレッチの2つのストラングリング(E)が定義される、糸のバルーンストレッチを複数有する構造からストレッチ生成直径(DB)が生成されるように、3つのバルーンストレッチ(B)が形成される(バルーンストレッチの数は限定的ではない)。この機械の本質的な特徴は、バルーンを制限する要素が存在しないことである。バルーンが生成されるストレッチ内の糸と接触する要素をバルーンに限定することによって理解されるであろう。
【0038】
糸案内手段とバルーンストレッチを生成する領域との間に存在する距離(LB)は、案内手段とバルーンストレッチを生成する領域との間に2つ以上のバルーンストレッチが生成されるように、バルーンを生成する直径(DB)の2倍以上である。
【0039】
糸案内要素と撚りを引き起こす原因となる要素(この場合はカーソル(5)を表す)との間に存在する距離(LB)を増加または減少させることによって、バルーンストレッチ(B)の数を増加または減少させることができる(最小で2つのバルーンストレッチ)。
【0040】
好ましい実施形態では、バルーンストレッチの高さは、バルーンストレッチ生成直径の5から50倍の範囲である。
【0041】
さらにより好ましい実施形態では、バルーンストレッチの高さは、バルーンストレッチ生成直径の5から25倍の範囲である。
【0042】
実施形態の非限定的な例では、36mmの生成直径(DB)で、8つの双曲面構造(すなわち、9バルーンストレッチ)を得ることができ、バルーンストレッチの高さは、30Nmの力価を有する糸について36mmの生成直径の50倍に相当する。
【0043】
「力価」とは、秤量と糸の長さとの間に存在する関係を意味し、前者は固定値であり、後者は可変値である。
【0044】
図2は、スタティッククリールからの給糸ローラーを備えたリングツイスターを示しており、同一の共通要素は同一の参照番号を有し、給糸手段は概して参照符号(1)で示されて機械の上部に配置され、機械の下部には糸ピッキング(3)とボビン(2)が配置されている。
【0045】
図3は、ファイバーグラスを加工するのに特に適したリングツイスターを示している。ここで、同じ共通要素は、機械の上部に配置されている給糸手段(1)および機械の下部に配置されている糸ピッキング(3)とボビン(2)であり同じ参照符号を付し、したがって、
図1および
図2に示す機械の実施形態のように、糸の方向は下向きである。
【0046】
図4は、同じ共通要素が同一の参照符号を有するダブルツイスト撚糸機を示す。
【0047】
図5は、同じ共通要素が同一の参照符号を有する2つの糸を備えた垂直ケーブリング機を示しており、その動作方向は
図4に示されている機械と同じように上向きであり、矢印(f)で示される。すなわち、ピッキング、ボビンは上部に配置され、下部には互いに噛み合う第1および第2の糸を供給する手段がある。この機械では、糸(3)と追加の糸(H2)とが接合され、追加の糸(H2)がフィーダ(7)によって供給される。
【0048】
図6から
図8は、撚糸プロセス中に採用する幾何学的プロファイルを示し、3つのバルーンストレッチが形成され(
図6)、糸を処理するプロセス中に糸が行い得る実際の経路も示される。
【0049】
好ましい実施形態では、紡績および/または撚糸機は、バルーンストレッチの高さ(LB)を増加または減少させるための手段(図示せず)からなる。この特徴は、機械の操作中に使用者にとって高すぎる位置にあるために容易にアクセスできない給糸手段(1)または糸ピッキング手段(2)へのアクセスを容易にする。かくして、例えばボビンを交換することが必要であるとき、バルーンストレッチの高さ(LB)を増減させる手段は、使用者が給糸手段(1)または糸ピッキング手段(2)へ容易にアクセスできるようにするためにバルーンストレッチの高さを減少させることを可能にする。ボビンを交換した後、バルーンストレッチの高さ(LB)を増減させるための手段は、給糸手段(1)または糸ピッキング手段(2)がそれらの動作位置に戻ることを可能にする。
【0050】
好ましい実施形態では、糸(3)を案内するための案内手段(8)は、ボビンレール(6)およびカーソル(5)の高さ方向の動きに関連して高さ方向に移動する。ボビンレール(6)およびカーソル(5)の高さ方向への移動は、ボビン(2)のような、処理される糸ピッキング手段(3)で糸を拾い易くし、高さを一定に保つ。ボビンレール(6)およびカーソル(5)の高さ方向の移動に関連する案内手段(8)の移動は、バルーンストレッチの高さ(LB)が不変のままであり、したがってバルーンの形状の変動を回避することを可能にする。任意選択で、給糸手段(1)は案内手段(8)と一緒に高さ方向に移動する。
【0051】
好ましい実施形態(
図9)では、給糸手段(1)または糸ピッキング手段は、給糸手段(1)の糸の出口または糸ピッキング手段(2)の糸の入口は、バルーンストレッチのほぼ垂直軸(V)上に位置するように置かれる。
【0052】
糸(3)を案内するための案内手段(8)の好ましい実施形態においては、特に繊細な糸である場合は、ローラー(9)である(
図11)。任意選択的に、ローラー(9)は、糸がローラー(9)に伴い収縮するときに生じる糸の摩擦を減らすために、給糸手段(1)の回転運動に関連する強制的な回転運動を有することができる。
【0053】
好ましい実施形態では、給糸手段(1)は、糸延伸手段(
図8および
図10)を含む。糸延伸手段内で糸がたどる方向は、任意選択で、垂直(V)に対して-20°~+20°の範囲の角度である。さらにより好ましい実施形態では、糸延伸手段内で糸がたどる方向は垂直(V)と一致する。上記の場合のいずれにおいても、案内手段(
図10)は必要とされ得ない。
【0054】
本発明の第3の特徴は、紡績および/または撚糸機を変形させる方法であって、撚糸手段を操作することによって、2つ以上の互いに連続したバルーンストレッチ(B)を形成する少なくとも双曲面構造(E)を有するバルーンを生成する直径から回転体が作り出されるようにバルーンストレッチの高さ(LB)が増大されるステップを含むことを特徴とする。
【0055】
バルーンストレッチ(LB)の増大は、糸ピッキング手段(2)に対して給糸手段(1)および/または糸案内手段(8)を持ち上げることによって、または給糸手段(1)に対して糸ピッキング手段(2)を持ち上げることによって達成される。
【0056】
本発明の方法の製造に使用される細部、形状、大きさおよびその他の付属要素は、添付の特許請求の範囲によって規定される範囲から逸脱しない他のものと適宜置き換えることができる。