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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】水分硬化性ワイヤおよびケーブル構造
(51)【国際特許分類】
   C08L 51/06 20060101AFI20230823BHJP
   C08F 255/02 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
C08L51/06
C08F255/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019570069
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018036247
(87)【国際公開番号】W WO2019005439
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】62/526,491
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、バァラァトゥ アイ.
(72)【発明者】
【氏名】タルレジャ、マニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イーチー
(72)【発明者】
【氏名】バウィスカル、サントッシュ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ドルー、ペーター シー.
(72)【発明者】
【氏名】マンドラ、マニッシュ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ-ダスティダー、アビジット
(72)【発明者】
【氏名】パテル、ラジャン エム.
(72)【発明者】
【氏名】セハノビシュ、カルヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヒー、チー イン
(72)【発明者】
【氏名】オン、ケニス ヒン-レオン
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-501970(JP,A)
【文献】特表平11-513427(JP,A)
【文献】特表2010-540697(JP,A)
【文献】国際公開第2016/176034(WO,A1)
【文献】特表2018-514620(JP,A)
【文献】国際公開第2015/195267(WO,A1)
【文献】特表2017-519866(JP,A)
【文献】特開2013-004646(JP,A)
【文献】特開2001-126535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 51/00 - 51/10
C08F 255/00 - 255/10
c08L 23/00 - 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分架橋性ポリマー組成物であって、前記組成物の重量に基づき重量パーセント(重量%)で、
(A)10~99.99重量%のシラン官能基でグラフト化された非極性エチレン性ポリマー(Si-g-npPE)であって、前記npPEが、グラフト化前に、
(1)1,000個の炭素原子あたり、0.2~0.7のビニル含有量、
(2)1.5~7.0デシグラム/分(dg/分)のメルトインデックス(MIまたはI)、
(3)0.913~0.965グラム/立方センチメートル(g/cc)の密度、および
(4)(≦)8以下の分子量分布(MWDまたはMw/Mn)、の特性を有する、Si-g-npPEと、
(B)0.01~20重量%のシラノール縮合触媒と、
(C)0~70重量%の難燃性添加剤と、を含む、組成物であって
前記メルトインデックス(MIまたはI)は、ASTM D-1238、条件Eで決定され、190℃および2.16kgで測定される、組成物。
【請求項2】
前記Si-g-npPEの非極性エチレン性ポリマー成分が、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、分岐した直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマー、および分岐した実質的に直鎖状のエチレン/α-オレフィンポリマーのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
シラングラフト化エチレンプラストマー/エラストマーをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記Si-g-npPEのシラン含有成分が、次式の化合物から誘導され、
【化1】
式中、R’が、水素原子またはメチル基であり、xおよびyは、0または1であるが、xが1の場合、yが1であることを条件とし、nが、1~12(境界値を含む)の整数であり、各R’’が独立して、1~12個の炭素原子を有する加水分解性有機基であるが、3つのR’’基のうちの1つ以下がアルキルであることを条件とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
水分架橋性ポリマー組成物であって、前記組成物の重量に基づき重量パーセントで、
(A)4.00~99.67重量%の非極性エチレン性ポリマー(npPE)であって、
(1)1,000個の炭素原子あたり、0.2~0.7のビニル含有量、
(2)1.5~7.0dg/分のI
(3)0.913~0.965g/ccの密度、
(4)(≦)8以下のMWD、を有する、npPEと、
(B)0.3~5重量%のグラフト性シラン含有化合物と、
(C)0.01~20重量%のシラノール縮合触媒と、
(D)0.02~1.0重量%の過酸化物開始剤と、
(E)0~70重量%の難燃性添加剤と、を含む、組成物であって、
前記Iは、ASTM D-1238、条件Eで決定され、190℃および2.16kgで測定される、組成物。
【請求項6】
前記npPEが、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、分岐した直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマー、および分岐した実質的に直鎖状のエチレン/α-オレフィンポリマーのうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
エチレンプラストマー/エラストマーをさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記シラン含有化合物が、次式のものであり、
【化2】
式中、R’が、水素原子またはメチル基であり、xおよびyは、0または1であるが、xが1の場合、yが1であることを条件とし、nが、1~12(境界値を含む)の整数であり、各R’’が独立して、1~12個の炭素原子を有する加水分解性有機基であるが、3つのR’’基のうちの1つ以下がアルキルであることを条件とする、請求項5~7のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤおよびケーブル構造に関し、具体的にはワイヤおよびケーブル絶縁シースおよび保護外被に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンシランコポリマー(適切なシラノール縮合触媒と組み合わせて)は、低電圧ケーブル構造の絶縁体/外被層を作製するために広く用いられている(押出プロセスによる)。これらのコポリマーは、反応器内でエチレンと好適なアルコキシシランを共重合するか(SI-LINK(商標)AC DFDB-5451NTのような「反応器エチレンシランコポリマー」を作製するため)、またはアルコキシシランをエチレンポリマーに後反応器でグラフト化することのいずれかで作製できる。後者のアプローチで作製されたエチレンシランコポリマーは、「シラングラフト化エチレン性ポリマー」と呼ばれ、次の2種類のいずれかに分類できる。
1.SIOPLAS(商標)プロセス(ケーブル押出プロセスで使用する前に別のステップで作製)、または
2.MONOSIL(商標)プロセス(ケーブル製造プロセス中にその場で作製-過酸化物、シラン、触媒を含有するエチレン性ポリマー組成物の一段階溶融ブレンド、反応、押出により)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
押出後、ポリマー層の架橋をもたらすためにケーブルは湿潤状態で調整される(150℃または200℃で測定した十分に低いホットクリープ値を得るため)。ケーブル全体の構造は、十分に高い耐酷使性特性(特に、耐圧潰性および斜め衝撃(glancing impact)後の絶縁耐力の保持)を実証する必要がある。組成物が高充填量の難燃性添加剤のような充填剤を含む場合、これらの性能要件を満たすことが特に難しい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、本発明は、水分架橋性ポリマー組成物であって、組成物の重量に基づく重量パーセント(重量%)で、
(A)10~99.99重量%のシラン官能基でグラフト化された非極性エチレン性ポリマー(Si-g-npPE)であって、npPEが、グラフト化前に、
(1)1,000炭素原子あたり0.2~0.7のビニル含有量、
(2)1.5~7.0デシグラム/分(dg/分)のメルトインデックス(MIまたはl)、
(3)0.913~0.965グラム/立方センチメートル(g/cc)の密度、
(4)(≦)8以下の分子量分布(MWDまたはMw/Mn)、の特性を有する、Si-g-npPEと、
(B)0.01~20重量%のシラノール縮合触媒と、
(C)0~70重量%の難燃性添加剤と、を含む、組成物である。
一実施形態では、非極性エチレン性ポリマーは、触媒プロセス、すなわち、無触媒プロセス、例えば、高圧プロセスによって作製された低密度ポリエチレン(LDPE)とは対照的に、触媒を採用するプロセスによって作製される。一実施形態では、水分架橋性ポリマー組成物は、熱可塑性である。一実施形態では、水分架橋性ポリマー組成物は、難燃性添加剤をさらに含む。一実施形態では、難燃性添加剤は、有機難燃剤である。一実施形態では、難燃性添加剤は、無機難燃剤である。一実施形態では、難燃性添加剤は、非ハロゲン化であるかまたはハロゲンを含まない。
【0005】
一実施形態では、本発明は、水分架橋性ポリマー組成物であって、組成物の重量に基づき重量パーセントで、
(A)4.00~99.67重量%の非極性エチレン性ポリマー(npPE)であって、
(1)1,000炭素原子あたり0.2~0.7のビニル含有量、
(2)1.5~7.0dg/分のI
(3)0.913~0.965g/ccの密度、
(4)(≦)8以下のMWD、の特性を有する、npPEと、
(B)0.3~5重量%のグラフト性シラン含有化合物、例えば、アルコキシシランと、
(C)0.01~20重量%のシラノール縮合触媒と、
(D)0.02~1.0重量%の過酸化物開始剤と、
(E)0~70重量%の難燃性添加剤と、を含む、組成物である。
一実施形態では、非極性エチレン性ポリマーは、非触媒プロセス、例えば高圧プロセスにより作製されたLDPEとは対照的に、触媒プロセスにより作製される。一実施形態では、水分架橋性ポリマー組成物は、熱可塑性である。一実施形態では、水分架橋性ポリマー組成物は、難燃性添加剤をさらに含む。一実施形態では、難燃性添加剤は、有機難燃剤である。一実施形態では、難燃性添加剤は、無機難燃剤である。一実施形態では、難燃性添加剤は、非ハロゲン化であるかまたはハロゲンを含まない。
【0006】
一実施形態では、本発明は、上述の実施形態のうちの1つの組成物から作製されたコーティング含むワイヤまたはケーブルである。一実施形態では、コーティングは、絶縁シースおよび/または保護外側外被である。一実施形態では、上記の実施形態の組成物のうちの1つから作製されたコーティングを含むワイヤまたはケーブルは、(≧)2%以上、または≧5%、または≧10%、または≧15%、または≧20%、または≧25%、または≧30%、または>35%、または≧40%、または≧45%、または≧50%、または≧55%の斜め衝撃後の保持された交流絶縁破壊(ACBD)を示す。
【0007】
本発明の組成物は、以下の特性の1つ以上において驚くべき改善を示す:(a)シラングラフト化効率、(b)水分架橋後のケーブル外被/絶縁体の高温クリープ性能、(c)水分架橋ケーブル構造の斜め衝撃後の保持された絶縁耐力、および(d)水分架橋ケーブル構造の耐圧潰性。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
元素周期表へのいかなる参照も、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この周期律表の元素族について記載される場合、番号順に並べた族に関する新しい表記法に依拠している。
【0009】
米国特許実務を目的として、任意の参照される特許、特許出願、または刊行物の内容は、特に定義の開示(本開示に具体的に提供される任意の定義に矛盾しない範囲で)、およびこの技術分野における一般的知識に関して、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる(または、その同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0010】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値の全ての値を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、2、または3~5、または6、または7の範囲)の場合、2つの明示的な値の間の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6等)。
【0011】
相反して述べられていないか、文脈から暗黙的であるか、または当該技術分野で習慣的でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づき、全ての試験方法は、本開示の出願日の時点で最新のものある。
【0012】
「備える」、「含む」、「有する」という用語、およびそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の構成成分、工程、または手順の存在を除外することを意図しない。いかなる疑義も回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して請求される全ての構成要素は、特段の記述がない限り、ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらず、任意の追加の添加剤、補助剤、または化合物を含んでもよい。その一方、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、いかなる後続の列挙の範囲から他の任意の構成要素、ステップ、または手順を考慮しない。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を考慮しない。「または(or)」という用語は、特段の記述がない限り、列挙されたメンバーを個別におよび任意の組み合わせを指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、またその逆も含まれる。
【0013】
「組成物」という用語は、組成物を構成する材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を意味する。
【0014】
「ポリマー」および同様の用語は、同じまたは異なる種類のモノマーを反応させる(すなわち、重合させる)ことによって調製された巨大分子化合物を意味する。「ポリマー」は、ホモポリマーおよびインターポリマーを含む。例えば、触媒残渣等の微量の不純物が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。この用語は、全ての形態のコポリマー、例えば、ランダム、ブロックなども包含する。ポリマーは多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」もの、特定のモノマーまたはモノマーの種類「に基づく」もの、特定のモノマー含有量「を含有する」ものなどと称されるが、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合残余物を指していることが理解される。一般に、ポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものと称される。
【0015】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されたポリマーを意味する。この総称は、2種の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマー、および3種以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマー等を含む。
【0016】
「エチレン性ポリマー」、「エチレン系ポリマー」、「エチレンポリマー」、「ポリエチレン」などの用語は、ポリマーの重量に基づいて、50重量パーセント(重量%)以上、または過半量の重合エチレンを含有するポリマーを意味し、任意選択で、1つ以上のコモノマーを含み得る。したがって、一般用語「エチレン系ポリマー」は、エチレンホモポリマーおよびエチレンインターポリマーを含む。これらの用語には、シラン基以外の極性官能基を持つエチレン性ポリマーは含まれない。好適なコモノマーは、アルファオレフィンである。「エチレン系ポリマー」および用語「ポリエチレン」は、互換可能に使用される。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状ポリエチレンが挙げられる。直鎖状ポリエチレンの非限定的な例には、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても知られる)、シングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、実質的に直鎖状、または直鎖状のプラストマー/エラストマー、中密度ポリエチレン(MDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)が含まれる。
【0017】
「エチレン/α-オレフィンポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて過半量の重合エチレン、および1つ以上のα-オレフィンコモノマーを含有するポリマーである。
【0018】
「エチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレンから誘導される単位および少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む均一な短鎖分岐分布を含有する、実質的に直鎖状または直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。エチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/cc~0.917g/ccの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な例には、AFFINITY(商標)プラストマーおよびエラストマー(Dow Chemical Companyから市販されている)、EXACT(商標)プラストマー(ExxonMobil Chemicalから市販されている)、Tafmer(商標)(Mitsuiから市販されている)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から市販されている)、ならびにLucene(商標)(LG Chem Ltd.から市販されている)が挙げられる。
【0019】
「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)は、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマーもしくはC4-α-オレフィンコモノマーを有するエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、0.940g/cc、もしくは0.945g/cc、もしくは0.950g/cc、0.953g/cc~0.955g/cc、もしくは0.960g/cc、もしくは0.965g/cc、もしくは0.970g/cc、もしくは0.975g/cc、もしくは0.980g/ccの密度を有する。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。「単峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C~C10α-オレフィンコポリマーである。「多峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すGPC中に少なくとも2つの異なるピークを有するエチレン/C~C10α-オレフィンコポリマーである。多峰性は、2つのピークを有するコポリマー(二峰性)ならびに3つ以上のピークを有するコポリマーを含む。HDPEの非限定的な例には、DOW(商標)HDPE Resins(Dow Chemical Companyから市販されている)、ELITE(商標)Enhanced Polyethylene Resins(Dow Chemical Companyから市販されている)、CONTINUUM(商標)Bimodal Polyethylene Resins(Dow Chemical Companyから市販されている)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasellから市販されている)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobilからのHDPE製品が含まれる。
【0020】
「直鎖状低密度ポリエチレン」(または「LLDPE」)は、エチレンに由来する単位および少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマーに由来する単位を含む不均一な短鎖分岐分布を含有する直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、たとえあったとしても少しの長鎖分岐を特徴とする。LLDPEは、0.910g/cc~0.940g/cc未満の密度を有する。
【0021】
「低密度ポリエチレン」(または「LDPE」)は、エチレンホモポリマー、または0.915g/cc~0.940g/cc未満の密度を持つ少なくとも1つのC-C10α-オレフィンを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーで構成され、幅広い分子量分布(MWD)を持つ長鎖分岐を含有する。LDPEは、典型的に、高圧フリーラジカル重合(フリーラジカル開始剤を有する管状反応器またはオートクレーブ)によって生成される。LDPEの非限定的な例としては、MarFlex(商標)(Chevron Phillips)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasell)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobilなどからのLDPE製品が挙げられる。
【0022】
「中密度ポリエチレン」(または「MDPE」)は、エチレンホモポリマーまたは少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマー、またはC-Cα-オレフィンコモノマーおよび0.926g/cc、または0.930g/cc~0.935g/cc、または0.940g/ccの密度を持つエチレン/α-オレフィンコポリマーである。MDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。MDPEの非限定的な例には、Dow Chemical Companyから市販されているRESILITY(商標)XDPDB-3162が含まれる。
【0023】
「多成分エチレン系コポリマー」(または「EPE」)は、特許文献USP第6,111,023号、USP第5,677,383号、およびUSP第6,984,695号に記載されているように、エチレンに由来する単位と少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマーに由来する単位を含む。EPE樹脂は、0.905g/cc~0.962g/ccの密度を有する。EPE樹脂の非限定的な例には、ELITE(商標)強化ポリエチレン(Dow Chemical Companyから市販されている)、ELITEAT(商標)先端技術樹脂(Dow Chemical Companyから市販されている)、SURPASS(商標)ポリエチレン(PE)樹脂(Nova Chemicalsから市販されている)、およびSMART(商標)(SK Chemicals Co.から市販されている)が挙げられる。
【0024】
「極性」、「極性ポリマー」、および同様の用語は、永久双極子を持つポリマー分子を指し、すなわち、ポリマー分子は正の端と負の端を有する。言い換えれば、極性分子中の電子は、分子の原子間で等しく共有されていない。対照的に、「非極性」、「非極性ポリマー」および同様の用語は、永久双極子を有さないポリマー分子を指し、すなわち、ポリマーは、正の末端および負の末端を有さない。非極性分子中の電子は、分子の原子間で本質的に等しく共有されている。ほとんどの炭化水素液体およびポリマーは、非極性である。
【0025】
「超低密度ポリエチレン(または「ULDPE」)」、および「極低密度ポリエチレン(または「VLDPE」)」は各々、エチレンから誘導される単位および少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む不均一な短鎖分岐分布を含む、直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPEおよびVLDPEはそれぞれ、0.885g/cc~0.915g/ccの密度を有する。ULDPEおよびVLDPEの非限定的な例には、ATTANE(商標)ULDPE樹脂(Dow Chemical Company)およびFLEXOMER(商標)VLDPE樹脂(Dow Chemical Company)が含まれまる。
【0026】
「導体」は、任意の電圧(DC、AC、または過渡的)でエネルギーを伝達するための細長い形状の要素(ワイヤ、ケーブル、光学ファイバ)である。導体は、典型的に、少なくとも1本の金属ワイヤまたは少なくとも1本の金属ケーブル(アルミニウムまたは銅など)であるが、光学ファイバであってもよい。導体は、単一のケーブルでも、一緒に束ねられた複数のケーブル(すなわち、ケーブルコアまたはコア)でもよい。
【0027】
「シース」は総称であり、ケーブルに関連して使用される場合、絶縁被覆または層、保護外被などを含む。
【0028】
「ワイヤ」は、単一撚線の伝導性金属、例えば、銅もしくはアルミニウムまたは単一撚線の光学ファイバである。
【0029】
「ケーブル」は、保護外被またはシース内の少なくとも1つの導体、例えば、ワイヤ、光学ファイバなどである。典型的には、ケーブルは、一般的な保護外被またはシース内で共に結合した2つ以上のワイヤまたは2つ以上の光学ファイバである。組み合わせケーブルは、電気ワイヤおよび光学ファイバの両方を含有し得る。外被またはシース内部の個々のワイヤまたはファイバは、むき出しであってもよく、カバーされてもよく、または絶縁されてもよい。典型的なケーブル設計は、USP第5,246,783号、同第6,496,629号、および同第6,714,707号に例証される。
【0030】
「架橋性」、「硬化性」、および同様の用語は、物品に成形される前または後のポリマーが、硬化も架橋もされておらず、実質的な架橋を誘発した処理に供されても曝露されてもいないが、ポリマーが、そのような処理に供されるか、または曝露されると(例えば、水への曝露)、実質的な架橋を生じさせる、促進させる、または可能にする添加剤(複数可)または機能性を含むことを示す。
【0031】
「水分架橋性ポリマー組成物」および同様の用語は、適切な温度で湿度または水に曝されると架橋できるポリマーを含む組成物を意味する。好ましくは、組成物中のポリマーのうちの1つは、加水分解性シラン基を有する。
【0032】
「加水分解性シラン基」等の用語は、水と反応するシラン基を意味する。これらには、加水分解してシラノール基を生じさせることができ、次いで縮合してモノマーまたはポリマーを架橋することができる、モノマーまたはポリマー上のアルコキシシラン基が含まれる。
【0033】
「ハロゲン」とは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、アスタチン(At)を含む元素周期表のlUPACグループ17の元素である。
【0034】
「ハロゲンを含まない」などの用語は、難燃剤がハロゲンを含まないか、実質的に含まないことを意味し、すなわち、イオンクロマトグラフィー(IC)または同様の分析方法で測定したハロゲン含有量は、2000mg/kg未満である。この量未満のハロゲン含有量は、例えば、ワイヤまたはケーブルの被覆における難燃剤の効果に重要ではないと見なされる。
【0035】
「室温」等の用語は、23℃を意味する。
【0036】
加水分解性シラン基を有するエチレンポリマー
一実施形態では、本発明の組成物は、シラングラフト化エチレン性ポリマーを含む。本発明の組成物は、反応器内でのエチレンとシラン含有化合物、例えばビニルトリメトキシシランとの共重合から作製されたエチレン性ポリマーを含まない。
【0037】
エチレン性ポリマー
本発明の実施において使用される非極性エチレン性ポリマーは、分岐、直鎖状、または実質的に直鎖状であり得、任意の重合または共重合プロセス、例えば、溶液、気相、スラリー、高圧などによって作製され得る。分岐エチレン性ポリマーの代表的なものはLDPEであり、これは典型的には、高圧気相プロセスで作製され、広範囲の長鎖分岐が特徴である。本明細書で使用される「高圧反応器」または「高圧プロセス」という用語は、少なくとも5,000ポンド/平方インチ(psi)(34.47メガパスカルまたはMPa)の圧力で動作する任意の反応器またはプロセスである。
【0038】
直鎖状エチレン性ポリマーの代表例は、典型的には低圧プロセスで作製され、長鎖分岐がないことを特徴とする直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。プロセスは典型的には、ブテンやヘキセンなどのエチレンと共重合されるモノマーが、典型的には、(唯一のモノマーではない)気相プロセスでエチレンと共重合していることに応じて気相または液相であり、一方、オクテンは、一般に(唯一のモノマーではない)液相プロセスでエチレンと共重合される。
【0039】
実質的に直鎖状のエチレン性ポリマーの代表例は、典型的には溶液プロセスで作製され、1,000個の炭素原子当たり0.01~3個の長鎖分岐で置換された骨格を持つことを部分的に特徴とする実質的に直鎖状のポリエチレン(SLEP)である。いくつかの実施形態では、エチレン性ポリマーは、1,000個の炭素原子当たり0.01~1個の長鎖分岐、または1,000個の炭素原子当たり0.05~1個の長鎖分岐で置換されている主鎖を有することができる。
【0040】
本発明の実施において使用されるエチレン性ポリマーは、チーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒、クロム触媒、および分子触媒を含むオレフィン重合触媒を使用して作製される。TiCl/MgClなどのチーグラー・ナッタ(Z-N)触媒および酸化クロム/シリカゲルなどのクロム触媒は、それらの触媒部位が単一の分子種に由来しないという点で不均一である。不均一触媒は、広い分子量分布(MWD)および広い化学組成分布(CCD)を有するポリオレフィンをもたらす。分子触媒は、理論的に、定義された配位子および構造を有する配位子-金属錯体分子から誘導される単一の触媒部位を有するという点で均質である。結果として、分子触媒は狭いCCDおよび狭いMWDを有するポリオレフィンをもたらし、これは理論的限界のMw/Mn=2に近づいてはいるものの、実際には達していない。メタロセンは、非置換シクロペンタジエニル配位子(Cp)を含有する分子触媒である。ポストメタロセンは、拘束幾何触媒等の1つ以上の置換CP配位子を含有するメタロセンの誘導体、または非サンドイッチ錯体である。ポストメタロセン触媒の例として、ビス-フェニルフェノキシ触媒、拘束幾何触媒、イミノ-アミド型触媒、ピリジル-アミド触媒、イミノ-エナミド触媒、アミノトロポニミナト触媒、アミドキノリン触媒、ビス(フェノキシ-イミン)触媒、およびホスフィンイミド触媒がある。
【0041】
本発明の一実施形態では、シラン化合物でグラフト化されたエチレン性ポリマーは、チーグラー・ナッタ、メタロセンおよび/または拘束幾何触媒を使用して溶液プロセスで作製される。一実施形態では、非極性エチレン性ポリマーは、溶液プロセスにより作製されたエチレン-オクテンコポリマーである。酸化クロムを触媒とする気相プロセスまたはスラリープロセス、または非触媒高圧気相プロセスで作製されたエチレン性ポリマーは好ましくない。
【0042】
本発明の実施において使用されるエチレン性ポリマーには、ホモポリマーとインターポリマーの両方が含まれ、インターポリマーの場合、ランダムおよびブロックインターポリマーの両方が含まれる。本発明の実施に使用されるエチレン性ポリマーは、シラン化合物でグラフト化する前は非極性(np)であるため、エチレンビニルアセテート、エチレンエチルアクリレートなどの極性官能化ポリマーは本発明の実施には使用されない。エチレンポリマーは、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも80重量%のエチレンから誘導される単位を含む。コポリマーである場合、エチレン性ポリマーの他の単位は、典型的には、α-オレフィンを含む(ただしこれに限定されない)1つ以上の重合性モノマーから誘導される。
【0043】
α-オレフィンとしては、C3~20の直鎖状、分岐状または環状のα-オレフィンが好ましい。C3~20α-オレフィンとしては、プロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセンおよび1-オクタデセンが挙げられる。α-オレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を含み、3-シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα-オレフィンをもたらすことができる。この用語の伝統的な意味におけるα-オレフィンではないが、本発明の目的で、ノルボルネンおよび関連するオレフィン、特に5-エチリデン-2-ノルボルネンなどのある特定の環状オレフィンは、α-オレフィンであり、上記のα-オレフィンの一部または全部の代わりに使用され得る。同様に、スチレンおよびその関連するオレフィン(例えば、α-エチルスチレンなど)は、本発明の目的のためのα-オレフィンである。例示的なエチレン性インターポリマーとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテン、エチレン/スチレンなどのコポリマーが挙げられる。例示的なエチレン系ターポリマーには、エチレン/プロピレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)およびエチレン/ブテン/スチレンが含まれる。
【0044】
本発明の実施に有用なエチレン性ポリマーの例には、HDPE、MDPE、LLDPE、LDPE、均一に分岐した直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマー(例:Mitsui Petrochemicals Company LimitedのTAFMER(商標)およびDEX-PlastomersのEXACT(商標))、均一に分岐した実質的に直鎖状のエチレン/α-オレフィンポリマー(例えば、Dow Chemical Companyから市販されているAFFINITY(商標)ポリオレフィンプラストマーおよびエラストマー)、エチレンブロックコポリマー(例えば、Dow Chemical Companyからも市販されているINFUSE(商標))、およびそれらの組み合わせが含まれる。実質的に直鎖状のエチレンコポリマーは、USP第5,272,236号、同第5,278,272号、および同第5,986,028号により詳細に記載され、エチレンブロックコポリマーは、USP第7,579,408号、同第7,355,089号、同第7,524,911号、同第7,514,517号、同第7,582,716号、および同第7,504,347号により詳細に記載されている。
【0045】
本発明の実施における使用に特に関心のあるエチレン性インターポリマーは、LLDPE、HDPE、エチレンプラストマー/エラストマー、およびそれらの組み合わせである。これらのエチレン系コポリマーは、DOWLEX(商標)、ATTANE(商標)、FLEXOMER(商標)、およびAFFINITY(商標)などの商標で、Dow Chemical Companyを含む多くの異なる供給元から市販されている。1つの好ましいポリマーは、LLDPEである。
【0046】
本発明の組成物中に存在するエチレン性ポリマーの量は、広く変動し得るが、その量は、典型的には組成物総重量に基づいて10~99.99、または20~99.5、より典型的には30~99.3、さらにより典型的には35~99.0重量%である。エチレンポリマーは、単一のポリマー、例えばLLDPEとして、または2つ以上のポリマーのブレンド、例えばLLDPEとHDPE、またはLLDPEおよびエチレンエラストマー/プラストマーとして存在することができる。
【0047】
エチレン性ポリマーは、グラフト化前の密度がASTM D-792で測定したg/ccで、0.870~0.965、または0.890~0.965、または0.890~0.920、または0.913~0.965、または0.915~0.945、または0.917~0.930、または0.916~0.920の範囲にある。一実施形態では、少なくとも1つのエチレン性ポリマーは、グラフト化前の密度が0.913~0.965、または0.915~0.945、または0.917~0.930、または0.916~0.920、g/ccの範囲を有する。
【0048】
エチレン性ポリマーのグラフト化前のメルトインデックス(l)は、1.5~7.0デシグラム/分(dg/分)、1.5~6.0dg/分、1.5~5.0dg/分、または2.0~6.0dg/分である。Iは、ASTM D-1238、条件Eで決定され、190℃および2.16kgで測定される。
【0049】
エチレン性ポリマーは、1,000炭素原子あたりのビニルのグラフト化前のビニル含有量が、(≧)0.20以上、または≧0.22、または≧0.24、0.70以下(≦)、または≦0.65、または≦0.60である。一実施形態では、エチレン性ポリマーは、1,000炭素原子当たりのビニルのグラフト化前の0.20~0.60、または0.22~0.59、または0.25~0.58、または0.26~0.57のビニル含有量を有する。ビニル含有量は、実施例の試験方法に記載されているように
【0050】
実施例の試験方法
エチレン性ポリマーは、グラフト前の分子量分布(MWDまたはMw/Mn)が、8.0以下(≦)、または≦7.5、または≦7.0、または≦6.5、または≦6.0、または≦5.5、または≦5.0、または≦4.5、または≦4.0、または≦3.5、である。一実施形態では、エチレン性ポリマーは、グラフト化前に0.1~8.0、または0.5~7.0、または1.0~6.5、または2.3~6.4のMw/Mnを有する。MWDは、実施例の試験方法に記載されているように計算または測定される。
【0051】
一実施形態では、グラフト化前のエチレン性ポリマーの室温での結晶化度は、25%~80%、または27%~80%、または40%~80%、または42%~70%、または44%~55%、または45%~50%の範囲である。一実施形態では、室温での結晶化度は、40%~70%、または~60%、または~55%、または~54%、または~53%、または~52%、または~51%、または~50%、または~49%、または~48%、または~47%、または~46%、または~45%、または~44%、または~43%、または~42%、または~41%の範囲である。一実施形態では、室温での結晶化度は、55%~40%、または~41%、または~42%、または~43%、または~44%、または~45%、または~46%、または~47%、または~48%、または~49%、または~50%、または~51%、または~52%、または~53%、または~54%範囲である。一実施形態では、室温での結晶化度は、45%~54%、または46%~53%、または47%~52%、または48%~51%、または49%~50%の範囲である。結晶化度は、実施例に記載されているように測定/計算される。
【0052】
一実施形態では、グラフト化前のエチレン性ポリマーは、室温で任意の結晶性を有する。一実施形態では、グラフト化前のエチレン性ポリマーの室温での結晶化度は、(≧)0%以上から(≦)80%以下の範囲である。一実施形態では、グラフト化前の少なくとも1つのエチレン性ポリマーは、グラフト化前の室温で40%~80%、または42%~70%、または44%~55%、または45%~50%の結晶化度を有する。
【0053】
一実施形態では、エチレン系インターポリマーは、エチレンプラストマー/エラストマーとLLDPEのブレンドである。一実施形態では、エチレンプラストマー/エラストマーはエチレン/ブテンコポリマーである。エチレン/ブテンコポリマーは、グラフト化前に以下の特性の1つ、いくつか、または全てを有する:(i)0.880g/cc、または0.885g/cc、または0.890g/cc~0.892g/cc、または0.895g/cc、または0.900g/ccの密度、および/または(ii)1dg/分、または2dg/分、または3dg/分、または4dg/分~5dg/分、または6dg/分、または10dg/分のメルトインデックス(I)、および/または(iii)25%、26%、または27%~28%、または29%、または30%、または35%の室温での結晶化度。
【0054】
シラン官能基
エチレンと効果的に共重合するか、またはエチレン性ポリマーにグラフトし、したがってエチレン性ポリマーの架橋を可能にする任意のシラン(またはシラン含有化合物)が、本発明の実施で使用され得、以下の式によって記載されるものは、例示的であり、
【化1】
式中、R’は、水素原子またはメチル基であり、xおよびyは、0または1であるが、xが1の場合、yが1であることを条件とし、nが、1~12(境界値を含む)の整数、好ましくは1~4の整数であり、各R’’が独立して、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、1~12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノもしくは置換アミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ)、または1~6個(境界値を含む)の炭素原子を有する低級アルキル基であるなどの加水分解性有機基であるが、3つのR’’基のうちの1つ以下がアルキルであることを条件とする。そのようなシランは、成形または成型操作の前または最中に好適な量の有機過酸化物を使用することにより、上記もののような好適な非極性エチレン性ポリマーにグラフト化され、Si-g-npPEまたは加水分解性シラン基を有するシラングラフト化エチレン性ポリマー(Si-g-EP)を作製することができる。
【0055】
好適なシランとしては、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、またはガンマ-(メタ)アクリルオキシアリル基などのエチレン性不飽和ヒドロカルビル基、および例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシ、またはヒドロカルビルアミノ基などの加水分解性基を含む不飽和シランが挙げられる。加水分解性基の例としては、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロプリオニルオキシ、およびアルキルまたはアリールアミノ基が挙げられる。好ましいシランは、ポリマーにグラフト化できる不飽和アルコキシシランである。これらのシランおよびそれらの調製方法は、USP5,266,627でより十分に記載されている。ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ガンマ-(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびこれらのシランの混合物は、本発明で使用するのに好ましいシラン架橋剤である。
【0056】
エチレン性ポリマーを官能化するために使用されるシラン(「架橋剤」)の量は、ポリマーの性質、シラン、処理または反応条件、グラフト化効率、最終用途、および同様の要因に応じて大きく変化する場合があるが、典型的には少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも0.7重量%が使用される。利便性と経済性の考慮は、使用されるシランの最大量の主な制限のうちの2つであり、典型的には、シランの最大量は5重量%を超えず、好ましくは3重量%を超えない。
【0057】
シランは、任意の従来の方法によって、典型的にはフリーラジカル開始剤、例えば、ペルオキシドおよびアゾ化合物の存在下で、または電離放射線などによってエチレン系コポリマーにグラフトされる。ペルオキシド開始剤、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、およびtert-ブチルペルアセテートのうちのいずれか1つなどの有機開始剤が好ましい。好適なアゾ化合物は、2,2-アゾビスイソブチロニトリルである。開始剤の量は変えることができるが、典型的には少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.04、より好ましくは少なくとも0.06重量%の量で存在する。典型的には、開始剤は、1.0を超えず、好ましくは0.30、最も好ましくは0.20重量%を超えない。シランと開始剤の比率も大きく異なるが、典型的な架橋剤:開始剤の比率は、0.3:1~250:1、好ましくは5:1~50:1、より好ましくは10:1~30:1、好ましくは13:1と24:1との間である。
【0058】
シランをエチレン性ポリマーにグラフトするために任意の従来の方法が使用され得るが、1つの好ましい方法は、2軸押出機またはBUSS(商標)混練機などの反応押出機の第1の段階で、2つを開始剤とブレンドすることである。Si-g-npPEまたはシラングラフト化エチレン性ポリマー(Si-g-EP)を作製するこのようなプロセスは、SIOPLAS(商標)プロセスと呼ばれ、この中で、シランモノマーが例えば、USP第4,574,133号、同第6,048,935号、および同第6,331,597号に記載されているように、ポリマーを本組成物に組み込む前の押出などのプロセスによって塩基性エチレン性ポリマーの骨格にグラフト化される。グラフト化条件は変化し得るが、溶融温度は、典型的には滞留時間および開始剤の半減期に応じて160~260℃、好ましくは180~230℃である。
【0059】
一実施形態では、シラン官能化エチレン性ポリマーは、その場でのSi-g-npPEまたはSi-g-EPである。その場でのSi-g-npPEまたはSi-g-EPは、本組成物の押出中にシランモノマーが塩基性エチレン性ポリマーの骨格にグラフト化されるMONOSIL(商標)プロセスのようなプロセスによって形成されて、例えば、USP第4,574,133号に記載されているようなコーティングされた導体を形成する。一実施形態では、その場でのSi-g-npPEまたはSi-g-EPは、シラングラフト化LLDPE(Si-g-LLDPE)とシラングラフト化エチレンプラストマー/エラストマーとのブレンドである。
【0060】
組成物がシラングラフト化エチレン性ポリマーを含む本発明の一実施形態では、組成物中のシラングラフト化ポリマーの量は、典型的には10~99.99重量%、または~99.5重量%、または~99.3重量%、または~99.0重量%、または~95重量%、または~90重量%、または~80重量%、または~70重量%、または~60重量%、または~50重量%、または~40重量%、または~30重量%、または~20重量%である。組成物がシラングラフト化エチレン性ポリマーを含む本発明の一実施形態では、組成物中のシラングラフト化ポリマーの量は、典型的には10~、または20~、または35~、または40~、または50~、または60~、または70~、または80~、または90~、または95~、または99.0~、または99.3~、または99.5~99.99重量%である。
【0061】
組成物がエチレン性ポリマーおよびシラン含有ポリマーを含む本発明の一実施形態では、組成物中のエチレン性ポリマーの量は、典型的には4.00~99.67重量%、または~99.5重量%、または~99.3重量%、または~99.0重量%、または~95重量%、または~90重量%、または~80重量%、または~70重量%、または~60重量%、または~50重量%、または~400重量%、または~30重量%、または~20重量%である。組成物がシラングラフト化エチレン性ポリマーを含む本発明の一実施形態では、組成物中のシラングラフト化ポリマーの量は、典型的には4~、10~、または20~、または35~、または40~、または50~、または60~、または70~、または80~、または90~、または95~、または99.0~、または99.3~、または99.5~99.67重量%である。組成物中のシラン含有化合物の量は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、0.3~5重量%、または0.5~5重量%、または1~5重量%、または1~4重量%、または1~3重量%である。
【0062】
シラノール縮合触媒
一実施形態では、本発明の組成物は、架橋を促進し、水分硬化を確実にするために、シラノール縮合触媒を含む。アルコキシシランポリマーを架橋するための当該技術分野において既知のシラノール縮合触媒が、本発明の組成物に用いられ得る。そのような触媒には、有機塩基、カルボン酸、および例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジオクチルスズマレアート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、酢酸スズ、オクタン酸スズ、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト等のようなものを含む鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛およびスズの有機チタン化合物ならびに錯体またはカルボン酸塩を含む、有機金属化合物が含まれる。カルボキシレート、特にジブチルスズジラウレートおよびジオクチルスズマレアートは、本発明の組成物にとって特に有用なシラノール縮合触媒である。シラノール縮合触媒は、組成物の総重量に基づき、0.01~20重量%、または0.025~10重量%、または0.05~5重量%、または0.1~3重量%の量で存在する。シラノール縮合触媒は、マスターバッチの形態で導入され得る。一実施形態では、シラノール縮合触媒は、0重量%超、好ましくは40重量%未満の量のマスターバッチの構成成分である。
難燃性添加剤
【0063】
ハロゲン化難燃剤
一実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つのハロゲン化有機難燃剤を含む。有用なハロゲン化有機化合物は、単環式、二環式、または多環式環であり得る芳香環または脂環式環に結合した、少なくとも1個のハロゲン原子、好ましくは臭素または塩素を有する。臭素は、好ましいハロゲンである。ハロゲン化化合物は、組成物の加工特性または物理的特性に悪影響を及ぼさない他の官能基を含有してもよい。
【0064】
上記の種類のハロゲン化化合物の例としては、ペルクロロペンタシクロデカン;ヘキサクロロシクロペンタジエンと無水マレイン酸などの「エン」とのディールスアルダー付加物;ヘキサブロモベンゼン;ペンタブロモエチルベンゼン2,4,6-トリブロモフェノール;トリブロモフェニルアリルエーテル;オクタオブロモジフェニル(octaobromodiphenyl);ポリ(ペンタブロモベンジル)アクリレート;ペンタブロモジフェニルエーテル;オクタブロモジフェニルエーテル;デカブロモジフェニルエーテル;テトラクロロビスフェノールA;テトラブロモビスフェノールA;テトラブロモビスフェノールAのビス(ジブロモプロピル)エーテル;テトラクロロフタル酸無水物;テトラブロモフタル酸無水物;ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸;エチレン-ビス(テトラブロモフタトミド)ethylene-bis(tetrabromophthatmide);ヘキサブロモシクロドデカンなどが挙げられる。本発明の実施に有用な他のハロゲン化化合物は、USP第6,936,655号に記載される。
【0065】
使用される難燃性化合物の量を最小限に抑えるために、高いハロゲン含有量を有するハロゲン化化合物が有利に用いられる。65パーセント超、より好ましくは75パーセント超の臭素含有量を有する臭素化芳香族化合物が、特に望ましい。非常に有用な実施形態では、難燃性化合物は、デカブロモジフェニルエーテルまたはエタン-1,2-ビス(ペンタブロモフェニル)である。
【0066】
一実施形態では、ハロゲン化難燃剤は、全組成物の3~60重量%、または5~55重量%、または10~50重量%、または15~45重量%を構成する。
【0067】
ハロゲンを含まない難燃剤
一実施形態では、本発明の組成物は、火炎の生成を抑制、抑制、または遅延させることができる少なくとも1つのハロゲンを含まない難燃剤(HFFR)を含む。HFFRは、無機材料であり得る。本開示による組成物での使用に適したHFFRの例には、これらに限定されないが、金属水酸化物、赤リン、シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンナノチューブ、タルク、粘土、有機変性粘土、炭酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、三酸化アンチモン、ウォラストナイト、雲母、オクタモリブデン酸アンモニウム、フリット、中空ガラス微小球、膨張性化合物、膨張黒鉛、およびそれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、HFFRは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0068】
HFFRは、場合により、8~24個の炭素原子、または12~18個の炭素原子を有する飽和または不飽和カルボン酸、または酸の金属塩で表面処理(コーティング)することができる。例示的な表面処理は、USP第4,255,303号、同第5,034,442号および同第7,514,489、米国特許公開第2008/0251273号、およびWO第2013/116283号に記載されている。代替的に、酸または塩は、表面処理手順を使用するのではなく、単に同様の量で組成物に添加され得る。シラン、チタネート、ホスフェート、およびジルコネートを含む当該技術分野で既知の他の表面処理も使用され得る。
【0069】
本開示による組成物での使用に適したHFFRの市販の例には、Nabaltec AGから市販されているAPYRAL(商標)40CD、Magnifin Magnesiaprodukte GmbH & Co KGから市販されているMAGNIFIN(商標)H5、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
一実施形態では、HFFRは、全組成物の2~90、または5~80、または10~70重量%を含む。
【0071】
無機難燃剤は、ハロゲン化難燃剤と組み合わせて使用され得る。そのような無機化合物なしで有用な難燃剤配合物が入手可能であるが、それらが含まれる場合に、難燃性は増加し、これは通常、より低レベルのハロゲン化化合物の使用をもたらす。この後者の特徴は、経済的観点から、また物理的特性および加工可能性を最大にする観点からも有利である。無機アンチモン難燃剤、例えば三酸化アンチモンが、典型的には最適な無機難燃剤であるが、他の既知のかつ有用な(非限定的な)無機難燃剤としては、五酸化アンチモン、ケイ酸アンチモン、ホウ素化合物、カーボンブラック、炭酸カルシウム、金属水和物、焼成粘土、酸化スズ、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、硫化亜鉛、三酸化アルミニウム、および三水酸化アルミニウムが挙げられる。無機難燃剤は、無機難燃剤がそうでなければシラン硬化反応を妨げなければならない可能性があるいかなる傾向も防止するか、または遅らせる材料で被覆され得る。ステアリン酸は、そのような被覆材料の例示である。無機難燃剤および触媒の選択は、いかなる望ましくない相互作用および反応も回避するように行われる。ハロゲン化化合物(存在する場合)と無機難燃剤の重量比は、典型的には、0.5:1~5:1、より一般的には0.7:1~4:1、さらにより一般的には1:1~3:1の範囲である。
【0072】
一実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つの無機アンチモン難燃剤を含む。一実施形態では、少なくとも1つの無機アンチモン難燃剤は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、またはケイ酸アンチモンである。一実施形態では、無機アンチモン難燃剤は、三酸化アンチモンである。
【0073】
一実施形態では、本発明の組成物は、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、および硫化亜鉛を含む(がこれらに限定されない)少なくとも1つの亜鉛化合物と組み合わせて、少なくとも1つの無機アンチモン難燃剤を含む。一実施形態では、少なくとも1つの無機アンチモン難燃剤は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、またはケイ酸アンチモンである。一実施形態では、無機アンチモン難燃剤は、三酸化アンチモンである。一実施形態では、本発明の組成物は、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、および硫化亜鉛のうちの少なくとも1つと組み合わせた三酸化アンチモンを含む。一実施形態では、本発明の組成物は、無機アンチモン難燃剤を含むが、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、および硫化亜鉛のいずれも含まない。一実施形態では、本発明の組成物は、無機アンチモン難燃剤を含むが、他の無機難燃剤を含まない。
【0074】
一実施形態では、総無機難燃剤は、本発明の組成物の3~80重量%、または5~70重量%、または10~60重量%、または15~50重量%を含む。一実施形態では、アンチモン難燃剤、好ましくは三酸化アンチモンは、本発明の組成物の3~60重量%、または5~55重量%、または10~50重量%、または15~45重量%を含み、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、および硫化亜鉛のうちの少なくとも1つは、本発明の組成物の0~20重量%、または0を超えて~20重量%、または1~15重量%、または2~10重量%を含む。
【0075】
水分架橋性ポリマー組成物
一実施形態では、本発明の水分架橋性ポリマー組成物は、(A)シラン官能基でグラフト化された非極性エチレン性ポリマー、および(B)シラノール縮合触媒を含む。
【0076】
一実施形態では、本発明の水分架橋性ポリマー組成物は、(A)グラフト化されていないシラン官能基を有する非極性エチレン性ポリマー、(B)非極性エチレン性ポリマーにグラフト化できるシラン含有化合物、例えば不飽和アルコキシシラン、(C)フリーラジカル開始剤、例えば過酸化物、および(D)シラノール縮合触媒を含む。
【0077】
一実施形態では、本発明の水分架橋性ポリマー組成物は、難燃性添加剤をさらに含む。一実施形態では、難燃性添加剤は、ハロゲン化有機難燃剤を含み、別の実施形態では、難燃性添加剤は、ハロゲン化難燃剤と無機難燃剤の両方を含む。一実施形態では、難燃性添加剤は、ハロゲンを含まない難燃剤を含む。
【0078】
一実施形態では、本発明の水分架橋性ポリマー組成物は、0重量%を超え、好ましくは3重量%未満の量の1つ以上の添加剤、例えば酸化防止剤、UV安定剤、加工助剤、硬化促進剤などを含む。
【0079】
上述の組成物の各々における構成成分の合計が、100重量パーセントをもたらすことが理解される。
【0080】
配合および使用
水分架橋性ポリマー組成物の配合は、当業者に既知の標準的な手段によって達成され得る。配合装置の例は、BANBURY(商標)またはBOLLING(商標)などの内部バッチ混合機である。あるいは、FARREL(商標)連続混合機、WERNERおよびPFLEIDERER(商標)二軸スクリュー混合機、またはBUSS(商標)混錬連続押出機などの、連続単軸または二軸スクリュー混合機を使用してもよい。利用される混合機の種類および混合機の動作条件は、粘度、体積抵抗率、および押出表面の滑らかさなどの組成物の特性に影響を及ぼし、これらは、当業者に周知である。
【0081】
本発明の水分架橋性ポリマー組成物は、既知の量で、既知の方法で(例えば、USP第5,246,783号および同第4,144,202号に記載の機器および方法を用いて)シースまたは絶縁体としてケーブルに適用できる。典型的には、ポリマー組成物は、ケーブルコーティングダイを備えた反応押出機で調製され、組成物の成分が配合された後、ケーブルがダイを通して引き出されるときに組成物がケーブル上に押し出される。加水分解性シラン基を有するエチレンポリマーがメルトインデックス(約0.3~7dg/分のI)を有する本発明の好ましい実施形態では、ケーブル上にコーティングされた絶縁シースは、90℃の水浴で室温で60日または24時間以内に硬化する。
【0082】
本発明の水分架橋性ポリマー組成物から、特に高圧および/または高水分条件下で調製され得る他の製品としては、繊維、リボン、シート、テープ、管、パイプ、隙間充填材、シール、ガスケット、発泡体、履物、およびベローズが挙げられる。これらの物品は、既知の設備および技術を仕様して製造され得る。
【0083】
本発明の水分硬化性ポリマー組成物から調製された試験片は、好ましくは、XHHWケーブル用途のためにUnderwriters Laboratories Ink(UL)(UL2556第7.14節、版番号4、版日付:2015年12月15日)によって指定された斜め衝撃試験要件に合格するだけではなく、それらはまた、シラン官能基でグラフト化された非極性エチレン性ポリマーの作製に使用されるエチレン性ポリマーのビニル含有量および/または分子量分布を除くあらゆる点で、組成物に比べて斜め衝撃特性後、ACBDの強化された保持性を示す。一実施形態では、本発明の組成物のうちの1つから作製された試験片は、UL試験で測定したとき斜め衝撃後、≧2%、または≧5%、または≧10%、≧15%、または≧20%、または≧25%、または≧30%、または≧35%、または≧40%、または≧45%、または≧50%、または≧55%のACBD値を保持する。このUL試験の合格基準は、≧20%のACBDの保持である。
【0084】
以下の実施例は、本発明をさらに例示する。全ての部およびパーセンテージは、他に指示がない限り重量による。表1は、組成物を作製するのに用いられるポリマーの特性を示す。
【実施例
【0085】
試験方法
密度をASTM D-792に従って測定する。
【0086】
エチレンホモポリマーおよびエチレンアルファオレフィンコポリマーの室温での結晶化度は、以下の式を使用して計算する。
【数1】
式中、ρ=エチレン性ポリマーの密度(23でのグラム/cc)
ρ=非晶質画分の密度(0.855g/cc)
ρ=結晶画分の密度(1.00g/cc)
【0087】
任意のエチレン性ポリマーの結晶化度を、以下の通り測定する:示差走査熱量計(DSC)機器DSC Q1000(TA Instruments)を使用して、エチレン性ポリマーの溶融ピークおよびパーセント(%)または重量パーセント(重量%)の結晶化度を決定する。
(A)ベースライン較正機器。ソフトウェア較正ウィザードを使用する。まず、アルミニウムDSCパンに試料を入れずに、セルを-80°から280℃に加熱してベースラインを取得する。次いで、較正ウィザードの指示に従ってサファイア標準を使用する。標準試料を180℃に加熱し、10℃/分の冷却速度で120℃に冷却し、標準試料を120℃に等温保持することにより、1~2ミリグラム(mg)の新鮮なインジウム試料を分析し、次に標準試料を等温的に120℃で1分間保持した後、標準試料を10℃/分の加熱速度で120°から180℃に加熱する。インジウム標準試料の融解熱=28.71±0.50ジュール/グラム(J/g)および融解開始=156.6°±0.5℃であることを判定する。
(B)同じDSC機器を使用して、試験試料に対するDSC測定を実施する。160℃の温度で半結晶性エチレン性ポリマーの試験試料を薄膜に押し付ける。DSC皿に5~8mgの試験試料フィルムを秤量する。パンを蓋で閉じてクリンプし、密閉雰囲気を確保する。密閉したパンをDSCセルに入れ、30℃でセルを平衡化し、約100℃/分の速度で190℃まで加熱し、試料を190℃で3分間維持し、試料を10℃/分の速度で60℃まで冷却して冷融解熱曲線(Hf)を取得し、-60℃で3分間等温に保つ。次に、試料を再度10℃/分の速度で190℃に加熱して、第2の融解熱加熱曲線(ΔHf)を取得する。第2の加熱曲線を使用して、-20℃から(エチレンホモポリマー、エチレンと加水分解性シランモノマーのコポリマー、および0.90g/cm以上の密度のエチレンアルファオレフィンコポリマーの場合)または-40℃から(エチレンと不飽和エステルのコポリマー、および密度が0.90g/cm未満のエチレンアルファオレフィンコポリマーの場合)融解の終わりまで積分することにより「総」融解熱(J/g)を計算する。第2の加熱曲線を使用して、23℃(室温)から溶融終了までの23℃で垂直に降下させることにより、「室温」の融解熱(J/g)を計算する。「総結晶化度」(「総」融解熱から計算)ならびに「室温での結晶化度」(「室温」融解熱から計算)を測定して報告する。結晶化度は、試験試料の第2の加熱曲線融解熱(ΔHf)および100%結晶性ポリエチレンの融解熱に対する正規化からのポリマーの結晶化度パーセント(%)または重量パーセント(重量%)として測定および報告され、式中、%結晶化度または重量%結晶化度=(ΔHf*100%)/292J/g、式中、ΔHfは、上記で定義したものであり、*は、数学的な乗算を示し、/は数学的な除算を示し、292J/gは、100%結晶性ポリエチレンの融解熱(ΔHf)の文献値である。
【0088】
メルトインデックス、またはIは、ASTM D1238、190℃/2.16kgの条件に従って測定され、10分あたりの溶出グラム数(g/10分)で報告される。
【0089】
エチレンシランコポリマー(Si-g-npPE)のVTMS含有量は、試料の真空処理後に赤外分光法で分析される。この方法は、キャリブレーションにSI-LINK(商標)DFDA-5451を使用して、1193cm-1(Si-O-O-CH3)および2019cm-1(内部の厚さ)でのFTIR吸光度に基づいている。1193/2019ピーク高さの比率は、VTMSの既知のレベルを持つ標準と比較される。試料を7~10ミルの膜にプレスし、50℃で一晩真空引きして、遊離(グラフト化されていない)VTMSを除去する。
【0090】
ポリエチレンの不飽和含有量(炭素原子1000個あたりの末端ビニルを含む)は、核磁気共鳴(NMR)、フーリエ変換赤外分光法(例えば、USP第8,912,297B2号に記載されている手順に従って)またはその他の既知の方法(またはまだ開発されていない方法)によって決定される。
【0091】
ACBD After Glancing Impact Test Protocolは、絶縁体に損傷のない完成したソリッドNo.14AWGタイプXHHWワイヤの、6つの380ミリメートル(mm)の各試験片の両端を、断面が約50mm×100mmのハードオークボードの広い面の1つに、ワイヤがボードの縦軸に平行でまっすぐになるような方法で固定することを要求している。ボードをしっかりと固定し、ワイヤによって形成された平面は、水平面から45°傾斜し、各ワイヤは、垂直面内にある。直径20mmであり、全表面が滑らかで、一端が半球に丸まった固体の直円錐形鋼シリンダからなる重さ0.454キログラム(kg)を支持し、その縦軸は、垂直であり、ワイヤのうちの1つを含む垂直面内にある。半球形端部は、下向きであり、ワイヤの長さの中点の460mm上を中心とするべきである。内径22mmのまっすぐな垂直管は、シリンダを包囲し、シリンダが落下している間およびそれがワイヤにぶつかった後に、シリンダを垂直に保持するためのガイドとして機能するべきである。案内管の内面は、滑らかであるべきであり、管は、シリンダが案内管から出ないようにする長さを有する。
【0092】
ワイヤの試験片、装置、および周囲の空気が24.0±8.0℃の温度で互いに熱平衡にある間、シリンダが解放され、案内管に自由に落下し、ワイヤを1回たたいた後、すぐに持ち上げて460mmの高さに戻す。このプロセスを、残りの5本のワイヤ試験片の各々について繰り返す。衝撃を受けた試験片の各々は、24.0±8.0℃の温度の水道水に浸漬された衝撃を受けた領域を有する。水は、プラスチック容器内にあり、吊り下げられた金属棒を介して接地されている(または内部の金属表面が直接かつ完全に水と接触しているが、塗装、エナメル加工、または別様に絶縁されていない、アース接地金属容器内)。各試験片の衝撃領域の絶縁体を、試験片の導体とアース接地水容器との間に印加される48~62ヘルツ(Hz)の電位によって破壊されるように電気的にストレスをかける。試験電位を、UL 1581段落820.1に準拠した変圧器によって供給する。
【0093】
印加電位はゼロからほぼ一定の速度に増加し、(i)60秒(s)で製品の電圧定格の100%以上および(ii)10秒で100%以下になる。いかなる場合でも、増加率は、毎秒500ボルト(V/s)を超えるべきではない。破壊が生じるまで、このようにして増加が継続する。衝撃を受けた6個の試験片の各々についての破壊電位を記録する。衝撃を受けていない6個の380mm以上の長さのワイヤ試験片の各々を、絶縁破壊に供し、その長さの中心部分は、上記のように水水中に浸漬されている。破壊電位は、これらの各試験片の各々について記録されるべきであり、これらの電位の平均を計算および記録する(斜め衝撃後に測定された最高値および最低値を除く)。
【0094】
2ジュール(J)または0.207メートル/キログラム/力(m-kgf)の斜め衝撃を個別に受けた、完成したソリッドNo.14AWGタイプXHHWワイヤの平均絶縁破壊電位は、衝撃を受けていない同じワイヤの6つの隣接する試験片の平均絶縁破壊電位の20パーセント未満であってはならない。
【0095】
高温クリープ伸びは、8AWG以下の導体サイズについてUL2556第7.9節に従って測定される。ポリマーシースを損傷することなく導体から絶縁体を取り除くことによって、完成したワイヤから3つの試料を調製する。試験で使用される総重量を、次の等式を使用して決定する。
Wt=CA×29.0lb/インチ
式中、CA=試験片の断面積である。
【0096】
25±2.5mm離れた2つの印を、張力を受けていない試験片上に配置する。印は、試験中の引張方向に対して直角である。試験片の一端が試験アセンブリの上部グリップに取り付けるものとする一方で、計算された重りがもう一方の端部に取り付けられ、印間の距離が記録されるものとする。アセンブリ全体を、150±2℃または200±2℃に予熱した循環空気炉に15分間置く。15分後、重りを付けたまま、マーク間の距離を最短1mmの目盛りで測定するものとする。高温クリープ伸びは、次の式を使用して計算される。
【数2】
式中、C=高温クリープ伸び、%
=得られたベンチマーク間の距離
G=ベンチマーク間の元の距離
【0097】
VW-1燃焼は、特定の製剤の3または5つの硬化試料をUL2556第9.4節のプロトコルに供することで測定される。これには、長さ610mm(24インチ)の垂直方向の試験片に20°の角度で125mmの炎を5、15秒当てる必要がある。12.5±1mm(0.5±0.1インチ)のクラフト紙のストリップを、炎の衝突点より254±2mm(10±0.1インチ)上の試験片に付着させる。綿の連続した水平層を、試験チャンバの床に配置し、試験片の垂直軸を中心とし、綿の上面は、炎の青い内側の円錐の先端部が試験片に衝突する点よりも235±6mm(9.25±0.25インチ)下にある。試験不合格は、クラフト紙テープフラグの25%を燃焼させること、精製綿の点火、または5回の炎適用のうちのいずれかで試験片が60秒を超えて燃焼した場合のいずれかの基準に基づく。燃焼性能の追加の尺度として、試験終了時に未炭化の絶縁体の長さを測定した。
【0098】
引張強度と破断伸びは、試験片が破断する実際の最大荷重を示す装置を使用して、UL2556第3.5節に従って測定される。デバイスは、12~305mm/分の速度および設定速度の20%の精度で、動力駆動ジョーを作動させるものとする。ポリマーシースを損傷することなく導体から絶縁体を取り除くことによって、完成したワイヤから3つの試料を調製する。試験片をまっすぐにし、試験片が初期試験位置にあるときに試験機のジョーの間の0.3mの間隔を可能にするのに十分な長さに切断する。まっすぐな試験片は、250±2mm(10±0.08インチ)離れた2点でゲージマークが付けられるものとする。試験片は、ジョーの間にゲージマークを付けた機械のジョーで把持されるものとし、ジョーは、試験片が破断するまで表2に示される速度で分離されるものとする。有効であると認められるためには、破断は、ゲージマークの間で起こるものとし、いずれのゲージマークにも25mm(1インチ)以上近接してはならない。破断前の最大負荷が記録されるものとする。破断時のゲージマーク間の距離は、2mm(0.08インチ)を最小単位として記録されるものとする。
【0099】
高温変形は、高温でのワイヤ絶縁の変形に対する抵抗を測定し、UL2556第7.8節に従って測定される。±1℃の精度の強制循環空気炉は131℃に設定されている。ワイヤ試験片の長さは、公称25mm(1インチ)であり、裸導体の直径を、第3.1節に従ってダイヤルマイクロメーターを使用して、試験片の端部から150mm(6インチ)以下の導体の隣接部分で測定する。試験片には、500gの重りの下部が試験片を圧迫するべきである位置に印を付ける。平滑化された試験片の初期厚さを、ダイヤルマイクロメーターを使用して0.001mm(0.0001インチ)の精度で測定する。試験装置および試験片を、131℃で1時間、空気炉内で調整する。この時間の終わりに、まだ炉内にある間、印を付けた位置で重りの下部の下に試験片を配置する。試験片は、これらの条件下で0.5時間試験中のままである。
【0100】
この時間の終わりに、試験片を重りの下部の下から慎重に取り除く。取り除いてから15秒(s)以内に、印の付いた位置の厚さを測定する。分裂、割れ目、および露出した導体の証拠を記す。
【0101】
変形率は、以下の式を使用して計算されるものとする。
【数3】
式中、T=試験前の厚さ、mm(インチ)
=試験後の厚さ、mm(インチ)
【0102】
破裂時の圧縮力を2%の精度で測定することが可能な動力駆動圧縮機を使用して、UL 2556セクション7.11に従って、圧縮抵抗を測定する。デバイスは、ワイヤ導体と鋼板との間の接触を示す手段を用いて、幅50mm(2インチ)の2つの平らな鋼板および30ボルトの直流電力を用いて、10±1mm/分(0.5±0.05インチ/分)の動力駆動ジョー速度で動作するものとする。導体の一端をむき出しにし、動力板の片側に接続した2500mm(100インチ)の試料を、圧縮機内の水平に載置した鋼板の間に配置する。試験片上の第1の試験点は、下部プレートを中心とし、50mm(2インチ)の寸法に平行である。試験片の表面と接触するまで、上部鋼板を下げる。インジケータが接触をシグナル伝達するまで、板の下方への動きを指定した速度で継続する。
【0103】
次いで、接触の瞬間に圧縮機によって示される力を記録する。この手順を、少なくとも250mm(10インチ)離れ、かつ試験片の両端から少なくとも125mm(5インチ)の9つの追加試験点において繰り返す。10回の測定の平均が報告され、合格結果と見なされるために1200psiに等しいか、またはそれを超えなければならない。報告した圧縮抵抗値は、最終値であり、初期ピークからのものではない(存在する場合)。
【0104】
分子量は、システム温度140℃で動作する3つの混合気孔率カラム(Polymer Laboratories103、104、105、および106)を備えたWaters150℃高温クロマトグラフィーユニットでのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して決定される。溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、それから試料の約0.3重量%溶液が注入のために調製される。流量は、1.0mL/分であり、注入サイズは、100マイクロリットルある。
【0105】
分子量の決定を、狭い分子量分布のポリスチレン標準(Polymer Laboratoriesから)をそれらの溶出量と組み合わせて使用することにより推測する。同等のポリエチレン分子量は、ポリエチレンとポリスチレンに適切なMark-Houwink係数を使用して決定され(T.Williams&I.M.Ward,The Construction of a Polyethylene Colibrotion Curve for Gel Permeation Chromatography Using Polystyrene Fractions,6J.Polymer Sci.Pt.B:Polymer Letter 621,621-624(1968)に記載されているように)、次の式が導かれる。
【数4】
この等式において、a=0.4316およびb=1.0である。
【0106】
ポリマーの数平均分子量Mは、分子量に対する各分子量範囲の分子数のプロットの第1のモーメントとして表される。実際には、これは全ての分子の総分子量を分子の数で割ったものであり、次の式に従って通常の方法で計算される。
【数5】
式中、n=分子量Miの分子の数
=分子量Mの材料の重量画分
およびΣn=分子の総数である。
【0107】
重量平均分子量Mは、次の式に従って通常の方法で計算される:M=ΣwxM、式中、wおよびMは、GPCカラムから溶出するi番目の画分の重量分率と分子量である。
【0108】
これら2つの平均の比、多分散指数(PDI)または分子量分布(MWDまたはM/M)は、分子量分布の幅を定義する。
本発明の実施例1~9A(IE1~IE9A)および比較例1~7(CE1~CE7)
【0109】
表1は、市販のエチレンシランコポリマー(比較例1)、難燃性マスターバッチのキャリア樹脂として使用されるエチレンエチルアクリレートコポリマー(比較例2)、「シラングラフト化エチレン性ポリマー」の作製に使用される他のエチレン性ポリマー(比較例3~5および本発明の実施例1~9A)の物性を示す。「シラングラフト化エチレン性ポリマー」(エチレンシランコポリマー)は、SIOPLAS(商標)またはMONOSIL(商標)プロセスのいずれかで作製される。
【表1-1】
【表1-2】
【0110】
表2は、比較例5および本発明の実施例1~2のエチレン性ポリマーからSIOPLASTMプロセスにより作製されたエチレンシランコポリマーを記載している。官能化反応は、40ミリメートル(mm)の同方向回転二軸スクリュー押出機で実施される。押出機は、11バレルで構成されている(44の長さと直径(L/D)比)。最大スクリュー速度は、毎分1200回転(rpm)で、最大モーター出力は150馬力(HP)であった押出機には、エチレン性ポリマーを供給するための「減量フィーダー」が装備されている。ビニルトリメトキシシラン(VTMS)およびLUPEROX(商標)101過酸化物を15:1の比率で事前にブレンドし、バレル4のIscoシリンジポンプを使用して1.85重量%の充填量で押出機に計量供給する。稼働率は、毎時125ポンド(lb/h)であり、スクリュー速度は、メルトインデックスを調整するために250~475rpmから変化させる。次のように、標準の温度プロファイルが全ての実験に使用される:150℃でバレル2、各々230℃でバレル3~7、190℃でバレル8~11。6穴ダイと迂回バルブを有するGALA(商標)Model6水中ペレタイザーを使用して、押出製品をペレット化する。水中ペレタイザーダイとアダプターは、190℃に維持され、水温は10~15℃に維持される。不活性雰囲気を維持し、酸化を最小限に抑えるために、窒素ガスが第1のバレルセクションに10~15標準立方フィート/時(SCFH)で注入される。バレル10を真空(水銀柱20インチ(Hg))で吸引する。得られた本発明の実施例10および11の「シラングラフト化エチレン性ポリマー」(エチレンシランコポリマー)は、望ましくも、比較例6よりも高いVTMS含有量を示した。
【表2】
【0111】
表3は、エチレンシランコポリマー(「シラングラフト化エチレンポリマー」または「Si-g-npPE」)のMONOSIL(商標)プロセスを使用して行われた架橋ケーブル絶縁に行われた斜め衝撃を行った後の高温クリープおよび保持絶縁(AC絶縁破壊)耐力の測定値を、エチレン性ポリマーの比較例3~5および本発明の実施例1~9と共に示す。明らかに、本発明の実施例1~9のエチレン性ポリマーの比較的高いビニル含有量は、水分誘導架橋の最終的な程度(ホットクリープで測定-より低い値はより大きな架橋を反映する)および斜め衝撃性能(保持されたACBDによって測定-大きいほど、この形式の衝撃による損傷が少ないことを示す)に関して有益な効果を有する。
【0112】
表3のワイヤ試験片の作製に使用された実験手順は、以下の通りある。
【0113】
ワイヤの第1のセット:その場でのシラングラフト化のMONOSIL(商標)プロセスを模倣する視点で、液体添加剤(VTMSおよびLUPEROX(商標)101過酸化物)を表1に示す樹脂に浸す。これは、ガラス瓶内で樹脂を70℃で1時間予熱した後、VTMSおよびLUPEROX(商標)101を加えて10分間タンブル混合することにより行われる。混合物が入ったガラス瓶を炉に一晩放置して、浸漬を完了する。その後、得られた樹脂を乾燥させた(60℃の真空下で一晩)DFDA-5481触媒マスターバッチと物理的にブレンドする。次に、物理ブレンドを押出中に溶融混合し、壁厚が公称30ミルの14AWGソリッド銅上にワイヤ構造を作製する。ユニットは、可変速駆動のBRABENDER3/4”押出機、24:1「ダブルパイナップル」混合ヘッドスクリュー、BRABENDERクロスヘッドワイヤダイ、エアワイプ付きラボ水冷トラフ、レーザーマイクロメーター、および可変速度ワイヤプラーで構成されている。試料は、150℃/170℃/190℃/195℃の温度プロファイル(ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3およびヘッド/ダイ全体)および40/40メッシュスクリーンパックを使用して、40rpmスクリュー速度および毎分約8フィートの巻き取り速度で押し出される。その後、全てのワイヤを90℃の水浴で4~6時間硬化させて、物理的テストの前に完全に架橋することを確実にする。
【0114】
ワイヤの第2のセット:その場でのシラングラフト化のMONOSIL(商標)プロセスを模倣する視点で、液体添加剤(VTMSおよびLUPEROX(商標)101過酸化物)を表1に示す樹脂に浸す。これは、ガラス瓶内で樹脂を70℃で1時間予熱した後、VTMSおよびLUPEROX(商標)101を加えて10分間タンブル混合することにより行われる。混合物が入ったガラス瓶を炉に一晩放置して、浸漬を完了する。次に、得られた浸漬樹脂を乾燥した(60℃の真空下で一晩)DFDA-5481触媒マスターバッチと物理的にブレンドする。次に、物理ブレンドを押出中に溶融混合し、壁厚が公称30ミルの14AWGソリッド銅上にワイヤ構造を作製する。ユニットは、可変速駆動のBRABENDER3/4”押出機、24:1「ダブルパイナップル」混合ヘッドスクリュー、BRABENDERクロスヘッドワイヤダイ、エアワイプ付きラボ水冷トラフ、レーザーマイクロメーター、および可変速度ワイヤプラーで構成されている。試料は、150℃/160℃/170℃/180℃の温度プロファイル(ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3およびヘッド/ダイ全体)および20/40メッシュスクリーンパックを使用して、40rpmスクリュー速度および毎分8フィートの巻き取り速度で押し出される。その後、全てのワイヤを90℃の水浴で4~6時間硬化させて、物理的テストの前に完全に架橋することを確実にする。
【表3-1】
【表3-2】
【0115】
表4は、表1および2のエチレンシランコポリマーのいくつかで作製された、水分架橋および難燃性ワイヤ絶縁構造の特性を報告している。高温変形抵抗値、斜め衝撃後の保持された絶縁(AC絶縁破壊)強度値および耐圧潰性の改善は、本発明の実施例10および11のSi-g-npPEの使用によって論証される(比較例1のエチレンシランコポリマーの代わりに)。
【0116】
表4のワイヤ試験片の作製に使用した実験手順は次の通りある:表4に列挙されている成分は、ワイヤ押出中に溶融混合されて、その後90℃に設定された温水浴で少なくとも8時間硬化させることにより架橋化されるワイヤ構造(14AWGソリッド銅ワイヤ、公称壁厚30ミル)を作製する。ワイヤは、ダブルフライトマドックスクリューと20/40/60/20メッシュスクリーンを備えた2.5インチDavis Standardエクストルーダーを使用して、ゾーン1/ゾーン2/ゾーン3/ゾーン4/ゾーン5/ヘッド/ダイ全体:190.6/198.9/210.0/221.1/229.4/229.4/229.4にわたる次の設定温度(℃)で製作される。スクリューの長さ対直径(L/D)比は、26(スクリューのねじ山の開始からスクリューヘッドまで測定)、または24(供給ケーシングの端部に対応するスクリュー位置からスクリューのねじ山まで測定)である。本発明の実施例21のワイヤ構造を、39rpmのスクリュー速度および毎分300フィートのライン速度を使用して製作する。本発明の実施例22のワイヤ構造を、50rpmのスクリュー速度および毎分300フィートのライン速度を使用して製作する。発明の実施例21および発明の実施例22は両方とも、比較例10(42rpmのスクリュー速度および毎分300フィートのライン速度を使用して製作された)で観察されたものよりも優れたかすめ衝撃後に優れたACBDを示した。
【表4】
【0117】
表5は、比較例3~4および本発明の実施例1~2のエチレン性ポリマーを有するエチレンシランコポリマーSi-g-npPE)のためのMONOSIL(商標)プロセスを使用して作製された水分架橋および難燃性ワイヤまたはケーブル絶縁体構造の特性を示す。水分誘導架橋後、本発明の実施例23および24のケーブルは、比較例11および12のケーブルよりも、斜め衝撃後の耐圧潰性および保持された絶縁(AC破壊)強度の優れた値を示す。
【0118】
表5のワイヤまたはケーブルの試験片を作成するために使用した実験手順は次の通りである:組成を表5に報告する。その場でのシラングラフト化のMONOSIL(商標)プロセスを模倣する視点で、液体添加剤(VTMSおよびLUPEROX(商標)101過酸化物)を表5に示すような、難燃性マスターバッチから導入された樹脂と成分の物理ブレンドに浸す。これは、タンブル混合樹脂(DOW(商標)DFDA-7530NTまたはDOW(商標)DFDA-7059NT7直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂またはDOW(商標)LLDPE1648直鎖状低密度ポリエチレン樹脂またはDOWLEX(商標)2035G直鎖状低密度ポリエチレン樹脂)により、ファイバードラム内の難燃性マスターバッチを使用し、室温でVTMSおよびLUPEROX(商標)101を追加し、さらに5分間タンブルブレンドしして行われる。次いで、液体添加剤を物理ブレンドに室温で少なくとも12時間浸漬するために、ドラムを放置する。次いで、ドラムの蓋は、局所的な象の鼻型ベントまたは局所排気の下で開放される。次に、樹脂(DOW(商標)DFDA-7530NTまたはDOW(商標)DFDA-7059NT7直鎖状低密度ポリエチレン樹脂またはDOW(商標)LLDPE1648状直鎖低密度ポリエチレン樹脂またはDOWLEX(商標)2035G直鎖状低密度ポリエチレン樹脂)を含む物理ブレンド、難燃性マスターバッチ(およびVTMSと過酸化物に浸した)をSI LINK(商標)DFDA-5481とタンブル混合し、得られた物理ブレンドをワイヤ押出時に溶融混合してその後、90℃に設定した熱水浴で少なくとも8時間硬化させることにより架橋ワイヤ構造(14AWGソリッド銅線、公称壁厚30ミル)を作製する。ワイヤは、2インチのMaddockスクリューと20/40/60/20メッシュスクリーンを備えた2.5インチDavis Standard押出機を使用して、ゾーン1/ゾーン2/ゾーン3/ゾーン4/ゾーン5/ヘッド/ダイ全体で次の設定温度(℃)で製作される:176.7/182.2/187.8/193.3/193.3/182.2/182.2。スクリューの長さ対直径(L/D)比は、26(スクリューのねじ山の開始からスクリューヘッドまで測定)、または24(供給ケーシングの端部に対応するスクリュー位置からスクリューのねじ山まで測定)である。比較例11および比較例12のワイヤ構造は、それぞれ、11.75rpmおよび12.0rpmのスクリュー速度および毎分75フィートのライン速度を使用して製造される。本発明の実施例23および本発明の実施例24のワイヤ構造は、それぞれ20.5rpmおよび21.5~22.25rpmのスクリュー速度および毎分150フィートのライン速度を使用して製作される。
【表5】
【0119】
表6は、23℃および70%の相対湿度(RH)または90℃の水浴でのワイヤまたはケーブル試験片の硬化後の絶縁高温クリープの時間依存測定を示している。ワイヤまたはケーブルの絶縁構造は、エチレンエラストマー(発明の実施例9AのPE B)またはエチレンエラストマーと発明の実施例4および5のLLDPEのブレンドのいずれかとMONOSIL(商標)プロセスを使用して作製される。エチレンエラストマーのみ(つまり、LLDPEとブレンドされていない)の例は、エチレンエラストマーの結晶化度が低い(および対応する水分拡散が速い)ため、ブレンドよりも速く硬化すると予想された。しかしながら、結晶化度の高いLLDPEとエチレンエラストマーをブレンドすると、驚くほど組成物の架橋が促進される。
【表6】
【0120】
表6のワイヤまたはケーブルの試験片を作製するために使用した実験手順は、次の通りである:その場でのシラングラフト化のMONOSIL(商標)プロセスを模倣するため、液体添加剤(VTMSおよびLUPEROX(商標)101過酸化物)をエチレンエラストマーに浸す(発明の実施例9AのPE B)。これは、ガラス瓶内で樹脂を70℃で2時間予熱した後、VTMSとLUPEROX(商標)101を加えて10分間タンブル混合することにより行われる。混合物が入ったガラス瓶を一晩炉に戻して浸漬を完了するが、炉の電源は切る。次いで、得られた浸漬樹脂を乾燥させた(60℃の真空下で一晩)DFDA-5481触媒マスターバッチおよび所望により本発明の実施例4および5のLLDPEと室温で物理的にブレンドする。次に、物理ブレンドを押出中に溶融混合し、壁厚が公称40ミルの14AWGソリッド銅上にワイヤ構造を作製する。ユニットは、可変速駆動のBRABENDER3/4”押出機、24:1「ダブルパイナップル」混合ヘッドスクリュー、BRABENDERクロスヘッドワイヤダイ、エアワイプ付きラボ水冷トラフ、レーザーマイクロメーター、および可変速度ワイヤプラーで構成されている。試料は、150℃/170℃/190℃/195℃の温度プロファイル(ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3およびヘッド/ダイ全体)および20/40メッシュスクリーンパックを使用して、40rpmスクリュー速度および毎分約8フィートの巻き取り速度で押し出される。その後、全てのワイヤを90℃の水浴で3時間硬化して完全な架橋を確保するか、23℃および相対湿度70%の湿度チャンバで架橋を経時的に監視する。
【0121】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲に該当するものとして含むことが、特に意図されている。
(態様)
(態様1)
水分架橋性ポリマー組成物であって、前記組成物の重量に基づき重量パーセント(重量%)で、
(A)10~99.99重量%のシラン官能基でグラフト化された非極性エチレン性ポリマー(Si-g-npPE)であって、前記npPEが、グラフト化前に、
(1)1,000個の炭素原子あたり、0.2~0.7のビニル含有量、
(2)1.5~7.0デシグラム/分(dg/分)のメルトインデックス(MIまたはI )、
(3)0.913~0.965グラム/立方センチメートル(g/cc)の密度、および
(4)(≦)8以下の分子量分布(MWDまたはMw/Mn)、の特性を有する、Si-g-npPEと、
(B)0.01~20重量%のシラノール縮合触媒と、
(C)0~70重量%の難燃性添加剤と、を含む、組成物。
(態様2)
非極性エチレン性ポリマーが、無触媒プロセスで作製される、態様1に記載の組成物。
(態様3)
前記Si-g-npPEの非極性エチレン性ポリマー成分が、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、均一に分岐した直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマー、および均一に分岐した実質的に直鎖状のエチレン/α-オレフィンポリマーのうちの少なくとも1つである、態様1または2に記載の組成物。
(態様4)
シラングラフト化エチレンプラストマー/エラストマーをさらに含む、態様3に記載の組成物。
(態様5)
前記Si-g-npPEのシラン含有成分が、次式の化合物から誘導され、
【化1】
式中、R’が、水素原子またはメチル基であり、xおよびyが、0または1であるが、xが1の場合、yが1であることを条件とし、nが、1~12(境界値を含む)の整数であり、各R’’が独立して、1~12個の炭素原子を有する加水分解性有機基であるが、3つのR’’基のうちの1つ以下がアルキルであることを条件とする、態様1~4のいずれかに記載の組成物。
(態様6)
水分架橋性ポリマー組成物であって、前記組成物の重量に基づき重量パーセントで、
(A)4.00~99.67重量%の非極性エチレン性ポリマー(npPE)であっ
て、
(1)1,000個の炭素原子あたり0.2~0.7のビニル含有量、
(2)1.5~7.0dg/分のl
(3)0.913~0.965g/ccの密度、および
(4)(≦)8以下のMWD、を有する、npPEと、
(B)0.3~5重量%のグラフト性シラン含有化合物、例えば、アルコキシシランと、
(C)0.01~20重量%のシラノール縮合触媒と、
(D)0.02~1.0重量%の過酸化物開始剤と、
(E)0~70重量%の難燃性添加剤と、を含む、組成物。
(態様7)
非極性エチレン性ポリマーが、無触媒プロセスで作製される、態様6に記載の組成物。
(態様8)
前記npPEが、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、均一に分岐した直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマー、および均一に分岐した実質的に直鎖状のエチレン/α-オレフィンポリマーのうちの少なくとも1つである、態様6または7に記載の組成物。
(態様9)
エチレンプラストマー/エラストマーをさらに含む、態様8に記載の組成物。
(態様10)
前記シラン含有化合物が、次式のものであり、
【化2】
式中、R’が、水素原子またはメチル基であり、xおよびyは、0または1であるが、xが1の場合、yが1であることを条件とし、nが、1~12(境界値を含む)の整数であり、各R’’が独立して、1~12個の炭素原子を有する加水分解性有機基であるが、3つのR’’基のうちの1つ以下がアルキルであることを条件とする、態様6~9のいずれかに記載の組成物。
(態様11)
前記難燃性添加剤が、ペルクロロペンタシクロデカン、無水マレイン酸を有するヘキサクロロシクロペンタジエンのディールスアルダー付加物、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン2,4,6-トリブロモフェノール、トリブロモフェニルアリルエーテル、エチレン-1,2-ビス(ペンタブロモフェニル)、オクタオブロモジフェニル、ポリ(ペンタブロモベンジル)アクリレート、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAのビス(ジブロモプロピル)エーテル、テトラクロロフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、
ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エチレン-ビス(テトラブロモフタトミド)、およびヘキサブロモシクロドデカン、のうちの少なくとも1つのハロゲン化難燃剤である、態様5または10に記載の組成物。
(態様12)
無機アンチモン難燃剤をさらに含む、態様11に記載の組成物。
(態様13)
前記難燃性添加剤が、ハロゲンを含まない、態様5または10に記載の組成物。
(態様14)
前記シラノール縮合触媒が、有機チタネート、および鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛およびスズの錯体またはカルボキシレートのうちの少なくとも1つである、態様1~13のいずれかに記載の組成物。
(態様15)
態様1~14のいずれかに記載の組成物から作製された物品であって、UL2556第7.14節、版番号:4、版日付:2015年12月15日、「斜め衝撃試験」で測定される、斜め衝撃後のACBD値が20%以上である、態様1~14のいずれかに記載の組成物から作製された物品。
(態様16)
態様1~12の組成物のうちの1つから作製されたコーティングを含むワイヤまたはケーブルとしての、態様13に記載の物品。