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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】突極形回転子および突極形回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20230823BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20230823BHJP
   H02K 3/18 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
H02K3/52 F
H02K3/34 Z
H02K3/18 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020085932
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021180593
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神山 博夢
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-135876(JP,U)
【文献】実開昭57-014648(JP,U)
【文献】特開昭51-047201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/00- 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突極形回転電機の突極形回転子であって、
軸方向に延びて回転可能に支持されたロータシャフトと、
前記ロータシャフトの径方向外側に取付けられて周方向に互いに間隔をおいて配されて軸方向に延びた複数の突極部が形成された回転子鉄心と、
前記突極部に巻回された回転子巻線と、
軸方向に互いに間隔をあけて配されて、互いに対向する前記回転子巻線を保持する複数のコイルブラケットと、
前記コイルブラケットを前記回転子鉄心に固定する複数のボルトと、
前記回転子巻線と前記コイルブラケット間に介在するコイルブラケット側絶縁と、
を備え、
前記回転子巻線は、
前記複数の突極部の長手方向に配されて、複数の第1導体と複数の第2導体とを有する側部導体部と、
前記複数の突極部の軸方向端部に配されて、前記側部導体部と接続する端部導体と、
を具備し、
前記複数の第1導体のそれぞれは、軸方向に延びた長方形であり、
前記複数の第2導体のそれぞれは、軸方向に延びた長方形であって、前記コイルブラケット側絶縁が設けられる軸方向位置に切り欠き部が形成され、前記切り欠き部における導体幅は前記第1導体の導体幅と実質的に等しく形成されており、
前記コイルブラケット側絶縁は、長方形で前記第2導体の前記切り欠き部に収納される長手部と、前記第1導体が設けられた部分において幅が広がっている支持部とを有する、
ことを特徴とする突極形回転子。
【請求項2】
前記突極部は、断面が長方形で径方向外側に延びるように形成された直方体部と、前記直方体部の径方向外側に形成されて周方向に広がったポールヘッドとを有し、
前記ポールヘッドの周方向の端部の周方向の位置は、前記側部導体部の外側位置と実質的に一致する位置あるいはそれより内側であることを特徴とする請求項1に記載の突極形回転子。
【請求項3】
前記支持部の径方向の外側に隣接する前記第2導体は、前記支持部からの荷重に抗する強度を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の突極形回転子。
【請求項4】
前記支持部は、前記長手部の径方向内側に配されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の突極形回転子。
【請求項5】
前記支持部は、前記長手部の径方向の中間位置に配されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の突極形回転子。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の突極形回転子と、
前記回転子鉄心の径方向外側に空隙を介して配された固定子と、
前記回転子鉄心の軸方向の両側において前記ロータシャフトを回転可能に支持する軸受と、
前記固定子の径方向外側に配されて前記固定子および前記回転子鉄心を収納する筒状のフレームと、
前記フレームの軸方向の両端に取り付けられて、前記軸受のそれぞれを支持する軸受けブラケットと、
を備えることを特徴とする突極形回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突極形回転子およびこれを用いた突極形回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の回転電機では、径が大きいことから回転子に取り付けられている部材に働く遠心力が大きくなる。
【0003】
たとえば、突極形回転子の場合には、界磁巻線としての回転子巻線が遠心力により径方向外側に飛び出すのを防止するために、回転子巻線を拘束するコイルブラケットが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭55-82051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイルブラケットと回転子巻線の間には、絶縁板が設けられている。絶縁板にも遠心力がかかるが、従来、遠心力に抗するために、絶縁板の径方向の外側を、回転子鉄心の磁極部分の先端であるポールヘッドを周方向に広げたポールチップで押さえる構成がとられている。また、ポールチップが、さらにコイルブラケットを抑えるように周方向に長くなっている構成も知られている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、ポールチップが周方向に長くなるということは、互いに隣接する磁極間の間隔が減少することを意味する。この場合、互いに隣接する磁極間に生ずる磁束が増加する。この結果、回転子と固定子との結合に寄与しない漏れ磁束が増加することになり、回転電機の効率低下をもたらす。
【0007】
そこで、本発明は、回転電機の効率を低下させることなく絶縁板を拘束可能な突極形回転子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明に係る突極形回転子は、突極形回転電機の突極形回転子であって、軸方向に延びて回転可能に支持されたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に取付けられて周方向に互いに間隔をおいて配されて軸方向に延びた複数の突極部が形成された回転子鉄心と、前記突極部に巻回された回転子巻線と、軸方向に互いに間隔をあけて配されて、互いに対向する前記回転子巻線を保持する複数のコイルブラケットと、前記コイルブラケットを前記回転子鉄心に固定する複数のボルトと、前記回転子巻線と前記コイルブラケット間に介在するコイルブラケット側絶縁と、を備え、前記回転子巻線は、前記複数の突極部の長手方向に配されて、複数の第1導体と複数の第2導体とを有する側部導体部と、前記複数の突極部の軸方向端部に配されて、前記側部導体部と接続する端部導体と、を具備し、前記複数の第1導体のそれぞれは、軸方向に延びた長方形であり、前記複数の第2導体のそれぞれは、軸方向に延びた長方形であって、前記コイルブラケット側絶縁が設けられる軸方向位置に切り欠き部が形成され、前記切り欠き部における導体幅は前記第1導体の導体幅と実質的に等しく形成されており、前記コイルブラケット側絶縁は、長方形で前記第2導体の前記切り欠き部に収納される長手部と、前記第1導体が設けられた部分において幅が広がっている支持部とを有する、
ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る突極形回転電機は、上述の突極形回転子と、前記回転子鉄心の径方向外側に空隙を介して配された固定子と、前記回転子鉄心の軸方向の両側において前記ロータシャフトを回転可能に支持する軸受と、前記固定子の径方向外側に配されて前記固定子および前記回転子鉄心を収納する筒状のフレームと、前記フレームの軸方向の両端に取り付けられて、前記軸受のそれぞれを支持する軸受けブラケットと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転電機の効率を低下させることなく絶縁板を拘束可能な突極形回転子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る突極形回転電機の構成を示す縦断面図である。
図2】第1の実施形態に係る突極形回転子の構成を示す図3のII-II線矢視断面図である。
図3】第1の実施形態に係る突極形回転子の構成を示す図2のIII-III線矢視断面図である。
図4】第1の実施形態に係る突極形回転子の回転子巻線を構成する第1導体を示す平面図である。
図5】第1の実施形態に係る突極形回転子の回転子巻線を構成する第2導体を示す平面図である。
図6】第1の実施形態に係る突極形回転子の回転子巻線における第1導体と第2導体の積層状態を示す図7のVI-VI線矢視断面図である。
図7】第1の実施形態に係る突極形回転子の回転子巻線における第1導体と第2導体の積層状態を示す図6のVII-VII線矢視断面図である。
図8】第1の実施形態に係る突極形回転子の回転子巻線における第1導体と第2導体の積層状態を示す図7のVIII-VIII線矢視断面図である。
図9】第2の実施形態に係る突極形回転子の回転子巻線における第1導体と第2導体の積層状態を示す側面図である。
図10】第3の実施形態に係る突極形回転子の回転子巻線における第1導体と第2導体の積層状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る突極形回転子および突極形回転電機について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る突極形回転電機200の構成を示す縦断面図である。
【0014】
突極形回転電機200は、突極形回転子100、固定子20、軸受30、フレーム40、および軸受ブラケット45を有する。
【0015】
突極形回転子100は、軸方向に延びたロータシャフト110、ロータシャフト110の径方向外側に取り付けられた回転子鉄心120を有する。ロータシャフト110は、軸方向の両側において軸受30により回転可能に支持されている。ロータシャフト110には、内扇15が取り付けられている。回転子鉄心120及びその周辺部分については、後に、図2および図3以降を参照しながら説明する。
【0016】
固定子20は、回転子鉄心120の径方向外側に空隙18を介して配された円筒形上の固定子鉄心21と、固定子鉄心21の径方向内側に形成された固定子スロット(図示しない)内を貫通して固定子鉄心21に巻回される固定子巻線22を有する。
【0017】
固定子20の径方向外側には、固定子20を囲むようにフレーム40が設けられている。フレーム40の軸方向の両側の端部にはそれぞれ軸受ブラケット45が取り付けられている。それぞれの軸受ブラケット45は、それぞれの軸受30を静止支持する。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係る突極形回転子100の構成を示す図3のII-II線矢視断面図、図3は、図2のIII-III線矢視断面図である。なお、以降の説明の便のために、円筒座標系で座標の方向を示している。具体的には、中心軸Cから径方向をr方向、周方向をθ方向、軸方向をz方向と呼ぶこととする。
【0019】
回転子鉄心120は、たとえば、回転子鉄心120の軸方向(z方向)に垂直な断面形状と同一形状に形成された電磁鋼板(図示しない)がz方向に積層された積層構造、あるいは、一体で形成された塊状構造である。
【0020】
回転子鉄心120は、周方向(θ方向)の4つの方向において、それぞれ径方向(r方向)外側に向かって広がる突極部121を有する。
【0021】
それぞれの突極部121は、長方形の断面積でr方向に直線的に延びるように形成された直方体部124、直方体部124のr方向外側に設けられθ方向に広がるように形成されたポールヘッド122を有する。
【0022】
直方体部124には、界磁巻線としての回転子巻線130が巻回されている。図2では、回転子巻線130の側部導体部131が示されている。
【0023】
突極形回転子100が回転中には、回転子巻線130には径方向(r方向)外側に向かう遠心力が作用する。ポールヘッド122の周方向(θ方向)外側に突出する部分であるポールチップ123により回転子巻線130の側部導体部131の径方向外側への移動が阻止される。
【0024】
回転子巻線130は、突極部121側とθ方向に反対側の側部において、z方向に互いに間隔をおいて配されたコイル押さえ部150により拘束されている。図3では、コイル押さえ部150が3か所に設けられている場合を例にとって示したが、これに限定されない。設置個所数は、配置上のスペースの条件、耐荷重条件、放熱条件等を考慮して設定される。
【0025】
コイル抑え部150は、コイルブラケット151およびボルト152を有する。コイルブラケット151は、θ方向に互いに対向する回転子巻線130間に配されて、これらの回転子巻線130の側部に接している。コイルブラケット151のz方向に垂直な断面の形状は、ほぼ二等辺三角形である。図2に示す4極の例では二等辺直角三角形である。コイルブラケット151のθ方向の中央にはボルト152の貫通用の図示しない貫通孔が形成されている。
【0026】
ボルト152は、コイルブラケット151の貫通孔を貫通して、ロータシャフト110に形成されためねじであるボルト孔111に螺合し、コイルブラケット151をロータシャフト110側に押し付けるように締め付け、回転子巻線130を回転子鉄心120側に押し付ける。
【0027】
回転子巻線130においては、側部導体部131と突極部121の側面との間にはポール側面側絶縁136が、側部導体部131とポールチップ123の径方向の内側面との間にはポールチップ側絶縁137が、また、側部導体部131の径方向内側にはコイル内側絶縁138が、設けられている。また、z方向にコイルブラケット151が設けられている位置においては、側部導体部131とコイルブラケット151との間にはコイルブラケット側絶縁140が設けられている。この場合、ポール側面側絶縁136、ポールチップ側絶縁137およびコイルブラケット側絶縁140は、電気的な絶縁物である。
【0028】
図4は、第1の実施形態に係る突極形回転子100の回転子巻線130を構成する第1導体132を示す平面図であり、図5は、第2導体133を示す平面図である。
【0029】
側部導体部131は、第1導体132および第2導体133を有する。第1導体132は、図4に示すように、θ方向の幅である導体幅がW、z方向の長さがLの長方形である。また、第2導体133は、図5に示すように、導体幅が第1導体の導体幅Wより大きなW、z方向の長さがLの長方形であり、軸方向に間隔をおいて、切り欠き部133aが形成されている。切り欠き部133aのz方向の切り欠き幅dは、コイルブラケット側絶縁140のz方向の幅に対応している。切り欠き部133aのθ方向の深さは、切り欠き後の第2導体133の導体幅が、第1導体132の導体幅Wとなる深さである。すなわち、切り欠き部133aの深さは、(W-W)である。詳細には、切り欠き後の第2導体133は、第1導体132と実質的に同じ導体幅である。ここで、実質的にとは、製作および計測公差の範囲内であることを意味する。
【0030】
なお、第2導体133は、第1導体132とは、回転子巻線130の組み立て状態においては、電気的に互いに直列に結合されることから、限定はされないが、通常は同じ板厚である。
【0031】
図6は、第1の実施形態に係る突極形回転子100の回転子巻線130における第1導体132と第2導体133の積層状態を示す図7のVI-VI線矢視断面図、図7は、図6のVII-VII線矢視断面図、また、図8は、図7のVIII-VIII線矢視断面図である。
【0032】
図7は、突極部121のr方向に垂直な方向の断面であるが、図7に示されているように、直方体部124の周囲に、回転子巻線130が巻回されている。詳細には、直方体部124のθ方向の両側にz方向に延びるように第1導体132および第2導体133が配され、直方体部124のz方向の両側にθ方向に延びるように端部導体134が配されている。
【0033】
端部導体134は、第1導体132または第2導体133と接続されている。また、図6および図8に示すように、r方向に積層されている。第1導体132または第2導体133とは、互いに交互に積層されているが、r方向の内側部分においては、第1導体132のみが積層されている。
【0034】
この結果、図7を例にとれば、回転子巻線130の直方体部124の周囲に巻回される状況は、たとえば、反時計回りに、第1導体132(図7において直方体部124の右側)、端部導体134(図7において直方体部124の上側)、第2導体133(図7において直方体部124の左側)、端部導体134(図7において直方体部124の下側)、さらに、第2導体133(図7において直方体部124の右側)のように順次接続され、コイルが形成される。
【0035】
巻回されるこれらの導体の径方向の内外間は、図示しない絶縁材により電気的に絶縁されている。
【0036】
なお、図6および図8では、第1導体132または第2導体133とは、互いに交互に積層されている部分では、それぞれが1枚単位となっているが、これに限定されない。たとえば、第1導体132および第2導体133がそれぞれ2枚以上の所定の枚数ずつ単位で積層されたものが、交互に積層されることでもよい。さらに、第2導体133のr方向の最内層においては、第2導体133が複数枚積層されていることでもよい。第2導体133のr方向の最内層の枚数は、後述する支持部142からの径方向外側に向けての荷重に対して十分な強度を有する枚数とする。
【0037】
以上のように、第2導体133は、コイルブラケット側絶縁140の支持部142からの径方向外側に向けての荷重を保持する機能を有する。したがって、第2導体133は、例えば、コイルブラケット側絶縁140の支持部142のr方向外側に隣接する位置に1枚ないし複数枚、あるいは、たとえば2か所にそれぞれ1枚ないし複数枚が設けられていればよく、第1導体132と同数を積層する必要はない。
【0038】
図8に示すように、コイルブラケット側絶縁140は、長手部141および支持部142を有する。長手部141は、長方形の部分であり、第2導体133の切り欠き部133aに収納される。支持部142は、長手部141のr方向の内側に成されており、第1導体132のみが積層されている部分で、z方向の前後に広がっている。
【0039】
上述のように構成された本実施形態による突極形回転子100においては、コイルブラケット側絶縁140は支持部142を有しており、コイルブラケット側絶縁140のr方向への移動は、第2導体133の支持部142に対する第2導体133のr方向の最内層の反力により阻止される。このため、従来のように、コイルブラケット側絶縁140の径方向の外側をポールチップ123で覆いコイルブラケット側絶縁140のr方向への移動を拘束する必要がなくなる。
【0040】
この結果、ポールチップ123のθ方向の端部位置は、コイルブラケット側絶縁140を覆う位置から、コイルブラケット側絶縁140を覆わない位置まで、さらには、回転子巻線130の周方向の幅全体を覆わずに周方向にその一部のみを覆う位置まで、短縮することができる。これは、θ方向に互いに隣接するポールチップ123間の間隔が広げることになり、磁極間に生ずる漏れ磁束を低減し、突極形回転子100の効率向上をもたらすことになる。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、回転電機の効率を低下させることなく絶縁板を拘束可能な突極形回転子を提供することができる。
【0042】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態に係る突極形回転子100の回転子巻線130aにおける第1導体132と第2導体133の積層状態を示す側面図である。
【0043】
本第2の実施形態は、第1の実施形態の変形である。本第2の実施形態においては、第1の実施形態のコイルブラケット側絶縁140に代えてコイルブラケット側絶縁140aが設けられ、これに対応して、第1導体132と第2導体133の積層状態が異なっている。これ以外の点では、第1の実施形態と同様である。
【0044】
本実施形態におけるコイルブラケット側絶縁140aは、長手部141と支持部143を有するが、支持部143が、r方向に長手部141の途中に形成されている。このため、少なくとも支持部143が形成されている範囲は第1導体132が積層されており、また、その径方向外側に隣接する位置には、1枚または複数枚の第2導体133が積層されている。
【0045】
このように構成された本実施形態により、第1導体132および第2導体133の積層の形態の多様性が確保でき、かつ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態に係る突極形回転子100の回転子巻線130bにおける第1導体132と第2導体133の積層状態を示す側面図である。
【0047】
本第3の実施形態は、第1の実施形態および第2の実施形態の組み合わせである。本第3の実施形態におけるコイルブラケット側絶縁140bは、長手部141と支持部144、145を有する。支持部144は、r方向に長手部141の内側に形成されている。また、支持部145は、r方向に長手部141の途中に形成されている。
【0048】
この結果、コイルブラケット側絶縁140bにかかる遠心力を、支持部144および支持部145に分散させることができ、遠心力を支持する第2導体133の負担を分散し、例えば、分散前に必要だった第2導体133の枚数を分割することができる。
【0049】
このように構成された本実施形態により、第1導体132および第2導体133の積層の形態のさらなる多様性が確保でき、かつ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
【0051】
また、実施形態は、組み合わせてもよい。さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
15…内扇、18…空隙、20…固定子、21…固定子鉄心、22…固定子巻線、30…軸受、40…フレーム、45…軸受ブラケット、100…突極形回転子、110…ロータシャフト、111…ボルト穴、120…回転子鉄心、121…突極部、122…ポールヘッド、123…ポールチップ、124…直方体部、130…回転子巻線,131…側部導体部、132…第1導体、133…第2導体、133a…切り欠き部、133b…突出部、134…端部導体、135…導体間絶縁、136…ポール側面側絶縁、137…ポールチップ側絶縁、138…コイル内側絶縁、140、140a、140b…コイルブラケット側絶縁、141…長手部、142、143、144、145…支持部、150…コイル押さえ部、151…コイルブラケット、152…ボルト、200…突極形回転電機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10