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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ウェハ処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
H01L21/68 M
H01L21/68 G
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020086892
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021048382
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】1913356.0
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512221197
【氏名又は名称】エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アッティラ ナジ
(72)【発明者】
【氏名】クリス マーティン
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-192840(JP,A)
【文献】特開2015-26750(JP,A)
【文献】特開2018-92962(JP,A)
【文献】特開2005-5517(JP,A)
【文献】国際公開第2013/133101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空条件下でフレームアセンブリをハンドリングするトランスポート真空チャンバと、
カセットを収容し真空条件下でそのカセットの垂直方向位置を調整する少なくとも1個の真空カセットエレベータロードロックであり、前記トランスポート真空チャンバと真空連通する少なくとも1個の真空カセットエレベータロードロックと、
前記トランスポート真空チャンバと真空連通する少なくとも1個のウェハ処理モジュールと、
を備え、前記トランスポート真空チャンバが、
前記フレームアセンブリの並進及び回動方向位置を調整し前記トランスポート真空チャンバ内で目標位置に整列させるアライメント装置と、
前記トランスポート真空チャンバ内に配置されており、前記フレームアセンブリを、前記少なくとも1個の真空カセットエレベータロードロック、少なくとも1個の前記アライメント装置並びに前記少なくとも1個のウェハ処理モジュール間で、真空条件下で移送するトランスファロボットと、
を備え、前記アライメント装置が、
前記トランスポート真空チャンバ内に配置されており、複数個の案内部材を備え、前記トランスポート真空チャンバ内でフレームアセンブリ受容エリアを画定すべくそれら案内部材が配列された位置決めアセンブリと、
前記フレームアセンブリ受容エリア内で前記フレームアセンブリを支持する少なくとも1個の支持器と、
前記複数個の案内部材を伸長構成から収縮構成へと変化させることで、前記フレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法を減らし且つそのフレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法即ち第1断面寸法に対し垂直なそれを減らすよう、動作させることが可能な駆動アセンブリと、
を備え、前記フレームアセンブリを前記少なくとも1個の支持器上で支持しつつ前記複数個の案内部材を前記伸長構成から前記収縮構成へと変化させているときに、それら複数個の案内部材がそのフレームアセンブリと係合することでそのフレームアセンブリの並進及び/又は回動方向位置が調整されて、前記目標位置に整列するウェハ処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のウェハ処理システムであって、
前記アライメント装置が少なくとも3個の前記案内部材を備えるウェハ処理システム。
【請求項3】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
前記案内部材が、前記フレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法が減るよう前記伸長構成から前記収縮構成へと動かせる第1案内部材を含むウェハ処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載のウェハ処理システムであって、
前記案内部材が第2案内部材を含み、前記第1及び第2案内部材が前記フレームアセンブリ受容エリアを挟みほぼ逆側に配置されたウェハ処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載のウェハ処理システムであって、
前記第2案内部材を、前記フレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法が減るよう前記伸長構成から前記収縮構成へと動かせるウェハ処理システム。
【請求項6】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
前記案内部材が、前記フレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法が減るよう前記伸長構成から前記収縮構成へと動かせる第3案内部材を含むウェハ処理システム。
【請求項7】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
動かせる案内部材それぞれを動かせる距離が、5~30mm、6~20mm又は7.5~15mmの範囲内であるウェハ処理システム。
【請求項8】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
前記少なくとも1個の支持器が複数本の支持ピンを備えるウェハ処理システム。
【請求項9】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
前記位置決めアセンブリが更にボディを備え、前記フレームアセンブリ受容エリアが画定されるよう前記案内部材をそのボディ上に搭載可能なウェハ処理システム。
【請求項10】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
前記フレームアセンブリが前記少なくとも1個の支持器上で支持されているときそのフレームアセンブリが前記ボディから空間的に隔たるよう、当該少なくとも1個の支持器を前記位置決めアセンブリのボディ上に搭載することができ、そのフレームアセンブリが前記ボディから空間的に隔てられているウェハ処理システム。
【請求項11】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
前記ボディがコア及びアームを備え、それらアームがそのコアから径方向外方に延びており、前記案内部材をそれらアーム上に搭載することができ、それにより前記フレームアセンブリ受容エリアが画定されるウェハ処理システム。
【請求項12】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
相異なる複数個の径方向個所にて前記ボディ上に前記案内部材のうち少なくとも1個を搭載可能なウェハ処理システム。
【請求項13】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
付勢手段が前記案内部材を前記収縮構成へと付勢するウェハ処理システム。
【請求項14】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
前記駆動アセンブリのうち一部分が、真空フィードスルーを介し前記トランスポート真空チャンバの壁を貫通するウェハ処理システム。
【請求項15】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、
前記位置決めアセンブリが上昇位置・下降位置間で可動なウェハ処理システム。
【請求項16】
請求項15に記載のウェハ処理システムであって、
前記位置決めアセンブリが上昇位置・下降位置間で可動であり、その距離が10~100mm、25~75mm、30~50mm又は約40mmの範囲内であるウェハ処理システム。
【請求項17】
請求項15に記載のウェハ処理システムであって、更に、
前記位置決めアセンブリが前記下降位置にあるとき前記フレームアセンブリを支持する少なくとも1個の補助フレーム支持器を備えるウェハ処理システム。
【請求項18】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、更に、
前記位置決めアセンブリを回動させる姿勢アジャスタの角度に亘り回動させるそれを備えるウェハ処理システム。
【請求項19】
請求項に記載のウェハ処理システムであって、さらに、
前記アライメント装置を複数個備え、それらが前記トランスポート真空チャンバ内に配置されているウェハ処理システム。
【請求項20】
真空条件下でフレームアセンブリをハンドリングするトランスポート真空チャンバであって、
前記フレームアセンブリの並進及び回動方向位置を調整し本トランスポート真空チャンバ内で目標位置に整列させるアライメント装置と、
前記トランスポート真空チャンバ内に配置されており、前記フレームアセンブリを前記アライメント装置上に移送するトランスファロボットと、
を備え、前記アライメント装置が、
前記トランスポート真空チャンバ内に配置されており、前記トランスポート真空チャンバ内でフレームアセンブリ受容エリアを画定すべく配列された複数個の案内部材を備える位置決めアセンブリと、
前記フレームアセンブリ受容エリア内で前記フレームアセンブリを支持する少なくとも1個の支持器と、
前記複数個の案内部材を伸長構成から収縮構成へと変化させることで、前記フレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法を減らし且つそのフレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法即ち第1断面寸法に対し垂直なそれを減らすよう、動作させうる駆動アセンブリと、
を備え、前記フレームアセンブリが前記少なくとも1個の支持器上で支持されている間に前記複数個の案内部材が前記伸長構成から前記収縮構成へと変化するとき、それら複数個の案内部材がそのフレームアセンブリと係合することでそのフレームアセンブリの並進及び/又は回動方向位置が調整され前記目標位置に整列するトランスポート真空チャンバ。
【請求項21】
請求項20に記載のトランスポート真空チャンバを用い真空条件下でフレームアセンブリの並進及び回動方向位置を調整し目標位置に整列させる方法であって、
a.前記複数個の案内部材を前記伸長構成に構成設定するステップと、
b.前記フレームアセンブリ受容エリア内で前記少なくとも1個の支持器上に前記フレームアセンブリを位置決めするステップと、
c.前記複数個の案内部材を前記伸長構成から前記収縮構成へと変化させることでそれら複数個の案内部材を前記フレームアセンブリに係合させ、それによりそのフレームアセンブリの並進及び/又は回動方向位置を調整して前記目標位置に整列させるステップと、
を有する方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記フレームアセンブリが、径方向に沿い差し向かいにある一対の平行な直線エッジを備える種類のものであり、前記案内部材が、径方向に沿い差し向かいにある少なくともその一対の平行な直線エッジと係合する方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、更に、
i.前記案内部材を前記収縮構成から前記伸長構成へと変化させること、
ii.前記トランスファロボットの一部分をフレームアセンブリ・位置決めアセンブリ間に位置決めすること、並びに
iii.前記位置決めアセンブリを下降させることで前記フレームアセンブリを前記トランスファロボットのエンドエフェクタ上へと下降させること、
によって、前記支持器から前記フレームアセンブリをアンロードするステップを有する方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法であって、
カセット真空チャンバ又はウェハ処理モジュール内に前記フレームアセンブリがロードされるのに先立ち実行される方法。
【請求項25】
請求項1に記載のウェハ処理システムを用い真空条件下でフレームアセンブリをハンドリングする方法であって、
前記トランスポート真空チャンバ内に配置されたトランスファロボット上にフレームアセンブリを供給するステップと、
前記フレームアセンブリを前記トランスファロボットから前記アライメント装置上へと移送するステップと、
前記アライメント装置を用い前記フレームアセンブリの並進及び回動方向位置を揃え前記目標位置に整列させるステップと、
前記フレームアセンブリを前記アライメント装置から前記少なくとも1個の真空カセットエレベータロードロックへと、或いは前記少なくとも1個のウェハ処理モジュールへと、順次移送するステップと、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェハ処理システムに関する。本発明は、フレームアセンブリをハンドリングする真空チャンバ(以下「トランスポート真空チャンバ」)にも関する。本発明は、フレームアセンブリをハンドリングする関連方法にも関する。本発明は、フレームアセンブリの並進及び回動方向位置を調整して目標位置に整列させるアライメント装置、並びにフレームアセンブリの並進及び回動方向位置を調整する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理システムでは、ローディング(装填)ポート例えば前面開口一体化ポッド(FOUP)をロードロック(装填予備室)又はVCE(真空カセットエレベータ)ロードロックで以てトランスポート真空チャンバにつなぎ、それと1個又は複数個の処理モジュールとの間でロボットにより処理対象ワークピースを移送することができる。ロードロックを用いることで、ワークピースを減圧し、所望ならガス抜きしてそれを(大気圧の)ローディングポートからトランスポート真空チャンバへと移送することができ、その一方でそのトランスポート真空チャンバ内を高真空に保つことができる。同様に、ロードロックを用いワークピースを減圧してそれをローディングポートへと逆移送することができる。
【0003】
ワークピースの典型は、図1に示すようにウェハを備えるフレームアセンブリである。フレームアセンブリ100は、通常、接着テープ106で覆われたほぼ環状のフレーム102を備えている。その環状フレーム102の外周縁には4個の直線エッジ104があり、それらは隣り合う直線エッジ104同士が垂直となるよう配列されている。そのためフレームアセンブリ100の直径が計測の角度によって変わり、差し向かいの直線エッジ104間が最短直径となる。接着テープ106には、通常、プラズマダイシングプロセス中に用いられるプラズマ処理条件への耐性がある。処理対象ウェハ108は、通常、接着テープ106上で中央に位置決めされる。
【0004】
フレーム102の直径が変わるため、フレームアセンブリ100は正しい並進及び回動方向姿勢及び整列状態である必要があり、そうでないと処理後にローディングポート(例.カセット)内に首尾よく挿入することができない。しかしながら、トランスファ(移送)ロボットには、通常、そのロボットのエンドエフェクタ上におけるフレームアセンブリの相対姿勢を制御する途がない。ロボットによって処理システム内にフレームアセンブリを収集、載置及び移送する間に、そのフレームアセンブリがロボットアームのエンドエフェクタ上で並進又は回動方向にオフセットする(ずれる)ことがある。従って、ロボットによりフレームアセンブリをローディングポートに戻そうとする際に、そのフレームアセンブリがローディングポート内開口に対し誤整列していて、そのフレームアセンブリをローディングポート(例.カセット)内に首尾よく挿入できないことがあるかもしれない。そうした場合、誤ハンドリング事象が起こることとなろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5509771号明細書
【文献】特開2001-035904号公報
【文献】特開2012-059758号公報
【文献】米国特許出願公開第2003/0161706号明細書
【文献】欧州特許第2282331号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロードロックのなかには、低速旋回テーブルとフレームアセンブリのポジションを判別する光学系とを用いる、アライメント装置を備えるものがある。こうしたものでは、コンピュータにてフレームアセンブリのポジションを計算し、ロボットのポジションを然るべく調整することでフレームアセンブリを正しい整列状態で以て集め、その後にそのフレームアセンブリをローディングポート内に戻すことができる。しかしながら、この種の既知方法を、ツールフットプリントを最小化しつつ真空条件下で実施するのは難題である。真空条件下でフレームアセンブリをより効率的に整列させることができ、より小ツールフットプリント且つ低コストな装置を開発することが、望まれている。
【0007】
本発明、少なくともその実施形態のうち幾つかにて狙っているのは、上述した問題、期待及び需要のうち幾つかに対処することである。とりわけ、本発明の諸実施形態にて狙っているのは、フレームアセンブリの並進及び回動方向整列を改善して誤ハンドリング事象の頻度を低下させることである。加えて、本発明にて狙っているのは、真空条件下でフレームアセンブリを整列させるのにより適する装置であり、より小さなツールフットプリントを有する処理システムにつながりうる装置を、開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様では、
真空条件下でフレームアセンブリをハンドリングするトランスポート真空チャンバと、
カセットを収容し真空条件下でそのカセットの垂直方向位置を調整する少なくとも1個の真空カセットエレベータロードロックであり、トランスポート真空チャンバと真空連通する少なくとも1個の真空カセットエレベータロードロックであるものと、
トランスポート真空チャンバと真空連通する少なくとも1個のウェハ処理モジュールと、
を備え、そのトランスポート真空チャンバが、
フレームアセンブリの並進及び回動方向位置を調整してトランスポート真空チャンバ内で目標位置に整列させるアライメント装置と、
トランスポート真空チャンバ内に配置されており、フレームアセンブリを少なくとも1個のカセット真空チャンバ、少なくとも1個のアライメント装置及び少なくとも1個のウェハ処理モジュール間にて真空条件で移送するトランスファロボットと、
を備え、そのアライメント装置が、
トランスポート真空チャンバ内に配置されており、そのトランスポート真空チャンバ内でフレームアセンブリ受容エリアを画定するよう配列された複数個の案内部材を備える位置決めアセンブリと、
フレームアセンブリ受容エリア内でフレームアセンブリを支持する少なくとも1個の支持器と、
複数個の案内部材を伸長構成から収縮構成へと変化させてフレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法を縮め且つそのフレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法即ち第1断面寸法に対し垂直なそれを縮めるよう、動作させうる駆動アセンブリと、
を備え、フレームアセンブリが少なくとも1個の支持器上で支持されている間に複数個の案内部材を伸長構成から収縮構成へと変化させる際、それら複数個の案内部材がそのフレームアセンブリと係合することでそのフレームアセンブリの並進及び/又は回動方向位置が調整されて目標位置に整列するウェハ処理システムが提供される。使用時には、トランスポート真空チャンバを抜気することでそのトランスポート真空チャンバ内に真空状態を形成することができる。トランスポート真空チャンバは真空条件下、例えば約100Torr未満の圧力にて動作させるのに適するものにする。並進方向位置の典型は、フレームアセンブリ受容エリアの平面内における並進方向位置である。回動方向位置の典型は、フレームアセンブリ受容エリアの平面に対し垂直な軸周りでの回動方向位置である。複数個の案内部材を伸長構成から収縮構成へと変化させていくと、それら案内部材により、支持器上で支持されているフレームアセンブリが目標位置へと押されていく。目標位置とは、アライメント装置上におけるフレームアセンブリの所望並進及び回動方向位置のことである。アライメント装置を用いフレームアセンブリの並進方向位置を調整し、±1mmの公差にて目標位置に対し整列させることができる。第1態様の装置を用いフレームアセンブリの回動方向位置を調整し、±1°の公差にて目標位置に対し整列させることができる。フレームアセンブリが所望の目標位置に対し並進及び回動方向に沿い整列した暁には、そのフレームアセンブリを、トランスファロボット上に、より良好な正確度及び精度で以て位置決めすることができる。従って、誤ハンドリング事象の頻度を顕著に低下させることができる。加えて、トランスファロボットにより、そのフレームアセンブリを高い正確度及び精度で以て例えばウェハ処理モジュール内に置くことができる。支持器がフレームアセンブリを支持しているときに、複数個の案内部材の配列により、フレームアセンブリの位置をフレームアセンブリ受容エリア内に閉じ込めることができる。使用の際には、収縮構成時に複数個の案内部材それぞれをフレームアセンブリに接触させることができる。使用の際には、伸長構成時に複数個の案内部材それぞれをフレームアセンブリから分離させることができる。伸長構成時に複数個の案内部材により画定されるフレームアセンブリ受容エリアは、収縮構成時に複数個の案内部材により画定されるエリアよりも広くなる。収縮構成にて複数個の案内部材により画定されるフレームアセンブリ受容エリアは、目標位置の形状にほぼ相応させることができる。収縮構成は、複数個の案内部材を目標位置の周縁のうち少なくとも一部分にほぼ対応するよう配列することで、構成することができる。複数個の案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアの外周を巡り均一分布させても不均一分布させてもよい。
【0009】
複数個の案内部材に、フレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法が減るよう伸長構成から収縮構成へと動かせる第1案内部材を、含めることができる。
【0010】
第1案内部材を、第1断面寸法(又は第1軸)に沿い径方向外寄り位置から径方向内寄り位置へと動かせる(例.スライドさせうる)ものとすることができる。少なくとも1個の支持器によりフレームアセンブリを支持しつつ第1案内部材を伸長構成から収縮構成へと動かす際、その第1案内部材をフレームアセンブリと係合させてそのフレームアセンブリの並進方向位置、付随的には更に回動方向位置を調整し、目標位置に対し整列させることができる。例えば、第1案内部材により、第1断面寸法沿い方向におけるフレームアセンブリの並進方向位置を調整することができる。
【0011】
複数個の案内部材に第2案内部材を含め、第1及び第2案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを挟みほぼ逆側に配置することができる。第1及び第2案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを巡り互いに90°超隔て配置することができる。
【0012】
第2案内部材を制止部材とし、第1案内部材の運動方向(例.第1寸法沿い)におけるフレームアセンブリの更なる調整を、それにより妨げることができる。
【0013】
第2案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法が減るよう伸長構成から収縮構成へと動かせるものに、することができる。
【0014】
第2案内部材を、伸長構成での径方向外寄り位置から収縮構成での径方向内寄り位置へと第1断面寸法に沿い動かせるものに、することができる。収縮位置時には、フレームアセンブリ受容エリアを挟みほぼ逆側にて第1及び第2案内部材をフレームアセンブリと係合させることで、第1断面寸法に沿った更なる位置調整を妨げることができる。収縮構成での第1及び第2案内部材の位置は、例えば校正又は計算により求め又は決めることができる。収縮構成では、第1及び第2案内部材により、フレームアセンブリの並進方向位置を第1断面寸法に沿い目標位置に限ることができる。付随的には、収縮構成時に、第1及び第2案内部材により、フレームアセンブリの回動方向位置をも目標位置に限ることができる。第1及び第2案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを巡り互いに鈍角に配列することができる。第1及び第2案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを挟みほぼ径方向差し向かい(例.約180°)にすることができる。伸長構成時には、第1・第2案内部材間距離を、整列対象フレームアセンブリの最小直径から整列対象フレームアセンブリの最大直径に及ぶ範囲内とすることができる。
【0015】
第1案内部材は長尺パドルで以て構成することができる。第2案内部材は長尺パドルで以て構成することができる。第1及び第2案内部材は、それぞれ長尺パドルで以て構成することができる。
【0016】
使用時には、長尺パドルを助力にして、フレームアセンブリの回動方向位置を整列させることができる。例えば、長尺パドルがフレームアセンブリの直線エッジと係合しているのであれば、そのパドルの動きによりそのフレームアセンブリを回動させることで、そのフレームアセンブリの直線エッジを長尺パドルに対し全面整列させることができる。第1案内部材に備わる長尺パドルに案内面を設けることができる。第1案内部材の案内面を、第1案内部材を動かせる(例.第1断面寸法沿い)方向に対しほぼ直交させることができる。第2案内部材に備わる長尺パドルに案内面を設けることができる。第2案内部材の案内面を、第2案内部材を動かせる(例.第1断面寸法沿い)方向に対しほぼ直交させることができる。当該第1長尺パドルの案内面を、当該第2長尺パドルの案内面に対しほぼ平行にすることができる。第1案内部材の幅を40~150mmの範囲内とすることができる。第2案内部材の幅を40~150mmの範囲内とすることができる。第1及び第2案内部材の幅を同一にすることができる。
【0017】
複数個の案内部材に、フレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法が減るよう伸長構成から収縮構成へと動かせる第3案内部材を含めることができる。
【0018】
第3案内部材を、伸長構成での径方向外寄り位置から収縮構成での径方向内寄り位置へと第2断面寸法(又は第2軸)に沿い動かせる(例.スライドさせうる)ものに、することができる。第3案内部材を動かせる方向を、第1案内部材を動かせる方向に対しほぼ直交させることができる。少なくとも1個の支持器によりフレームアセンブリを支持しつつ第3案内部材を伸長構成から収縮構成へと動かす際に、その第3案内部材をフレームアセンブリと係合させることでそのフレームアセンブリの並進方向位置、付随的には更に回動方向位置を調整して、目標位置に対し整列させることができる。例えば、第3案内部材により、第2断面寸法沿い方向におけるフレームアセンブリの並進方向位置を調整することができる。
【0019】
第1及び第3案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを巡り互いに約90°以上隔て配置することができる。第2及び第3案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを挟みほぼ逆側に(例.フレームアセンブリ受容エリアを巡り互いに90°超隔て)配置することができる。複数個の案内部材に第4案内部材を含め、第3及び第4案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを挟みほぼ逆側に配置することができる。第1及び第4案内部材を、フレームアセンブリを挟みほぼ逆側に配置することができる。
【0020】
第4案内部材を制止部材とし、第3案内部材の運動方向(例.第2軸沿い)におけるフレームアセンブリの更なる調整を、それにより妨げることができる。
【0021】
第4案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法が減るよう伸長構成から収縮構成へと動かせるものに、することができる。
【0022】
第4案内部材を、第1及び/又は第2断面寸法に沿い諸部材と共に径方向外寄り位置・径方向内寄り位置間で動かせるものに、することができる。第4案内部材を、伸長構成での径方向外寄り位置から収縮構成での径方向内寄り位置へと第2断面寸法に沿い動かせるものに、することができる。収縮位置時には、第3及び第4案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを挟みほぼ逆側にてフレームアセンブリと係合させることで、第2断面寸法に沿った更なる位置調整を妨げることができる。収縮構成での第3及び第4案内部材の位置は、例えば校正又は計算により求め又は決めることができる。収縮構成では、第3及び第4案内部材により、フレームアセンブリの並進方向位置を第2断面寸法に沿い目標位置に限ることができる。付随的には、収縮構成時に、第3及び第4案内部材により、フレームアセンブリの回動方向位置をも目標位置に限ることができる。第3及び第4案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを巡り互いに鈍角に配列することができる。例えば、フレームアセンブリ受容エリアを巡り第3及び第4案内部材が互いに110~160°、120~150°、130~140°又は約135°をなしうる。或いは、第3及び第4案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアを挟みほぼ径方向差し向かい(例.約180°)にすることができる。
【0023】
複数個の案内部材を、フレームアセンブリ受容エリアの周縁のうち一部分に案内部材が全く含まれないよう配列することができる。フレームアセンブリ受容エリアのその部分、即ち案内部材を全く含まない部分を、開領域とすることができる。その開領域を、フレームアセンブリ受容エリアの周縁の一部分とし、その広がりをそのフレームアセンブリ受容エリアの周に沿い110~160°、120~150°、130~140°又は約135°とすることができる。その開領域により開口を提供することができ、その開口を通じ、トランスファロボットのエンドエフェクタを進ませフレームアセンブリをアライメント装置上にロードすること及びそこからアンロード(抜出)することができる。
【0024】
第3案内部材を、案内面を有する長尺パドル又は筒とすることができる。第4案内部材を、案内面を有する長尺パドル又は筒とすることができる。使用時には、長尺パドルを助力にしてフレームアセンブリの回動方向位置を整列させることができる。当該第3長尺パドルの案内面を、当該第4長尺パドルの案内面に対しほぼ平行にすることができる。或いは、当該第3長尺パドルの案内面を、当該第4長尺パドルの案内面に対し約45°にすることができる。第3案内部材の幅を、第1及び/又は第2案内部材の幅未満とすることができる。第4案内部材の幅を、第1、第2及び第3案内部材それぞれの幅未満とすることができる。
【0025】
収縮構成でのフレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法を、伸長構成でのフレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法よりも、5~30mm、6~20mm又は7.5~15mmの範囲内の距離分だけ、短くすることができる。
【0026】
収縮構成でのフレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法を、伸長構成でのフレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法よりも、5~30mm、6~20mm又は7.5~15mmの範囲内の距離分だけ、短くすることができる。
【0027】
動かせる少なくとも3個の案内部材中の案内部材それぞれを、5~30mm、6~20mm又は7.5~15mmの範囲内の距離に亘り動かせるようにすることができる。
【0028】
それら可動案内部材それぞれの進行距離により、アライメント装置により補正できる最大並進及び回動オフセットを決めることができる。
【0029】
複数個の案内部材に少なくとも3個、付随的には4個の案内部材を含めることができる。それら少なくとも3個の案内部材が動けるところを、伸長構成での径方向外寄り位置と、収縮構成での径方向内寄り位置との間に、することができる。少なくとも3個の案内部材の動きを径方向の動きとすることができる。ここでは、語「径方向」を、目標位置の中央領域の方を指す意味で用いている。目標位置の中央領域は、案内部材が収縮構成であるときには、フレームアセンブリ受容エリアの中央領域となりうる。
【0030】
収縮構成では、複数個の案内部材それぞれをフレームアセンブリと係合させることができる。例えば、案内部材をフレームアセンブリの外縁と係合させることができる。収縮構成では、複数個の案内部材によりフレームアセンブリをクランプ(挟持)することができる。
【0031】
少なくとも1個の支持器を、複数本の支持ピンを備えるものとすることができる。それら複数本の支持ピンを、フレームアセンブリのうちフレームを支持しうるよう配列することができる。フレームを支持しうるよう少なくとも1個の支持器を配置することで、そのフレームアセンブリに備わるテープを受傷から保護することができる。
【0032】
位置決めアセンブリを、更にボディを備えるものとすることができる。複数個の案内部材をボディ上に搭載可能とし、それらによりフレームアセンブリ受容エリアが画定されるようにすることができる。少なくとも1個の支持器を位置決めアセンブリのボディ上に搭載可能とし、フレームアセンブリが少なくとも1個の支持器上で支持されているときにそのフレームアセンブリがボディから空間的に隔てられるようにすることができる。少なくとも1個の支持器により、位置決めアセンブリのボディの上面より上方に、支持面を設けることができる。フレームアセンブリ・ボディ間にスペースを設けることで、トランスファロボットのエンドエフェクタを、そのフレームアセンブリの位置をずらすことなくその空間内に位置決め可能とすることができる。これにより、アライメント装置からのフレームアセンブリのアンロードを容易化することができる。
【0033】
ボディがコア及びアームを備え、そのアームがコアから径方向外方に延びる構成にすることができる。アームは複数本とする。複数個の案内部材をそれらアーム上に搭載可能とし、それによりフレームアセンブリ受容エリアが画定されるようにすることができる。
【0034】
少なくとも1個の支持器をアーム上に搭載し、フレームアセンブリが少なくとも1個の支持器上で支持されているときにそのフレームアセンブリがそれらアームから空間的に隔てられるようにすることができる。フレームアセンブリをアームから空間的に隔てることで、そのフレームアセンブリの位置をずらすことなく、フレームアセンブリ・アーム間にトランスファロボットを位置決め可能とすることができる。これにより、アライメント装置からのフレームアセンブリのアンロードを容易化することができる。各アームに案内部材及び支持器例えば支持ピンを担持させてもよい。同じアームにより担持されている案内部材及び支持器は、伸長・収縮構成間変化なしで、歩調を合わせ動かすことができる。
【0035】
複数個の案内部材のうち少なくとも1個の案内部材を、相異なる複数個の径方向沿い個所、付随的にはアーム沿いのそれらにて、ボディ上に搭載可能とすることができる。
【0036】
駆動アセンブリがカムを備え、それが複数個の案内部材と連携する構成にすることができる。そのカムを回動させることで、少なくとも3個の案内部材が伸長構成から収縮構成へと変化するように、することができる。カムによって、各案内部材の位置を制御できる高信頼で再現性のある機構が提供される。そのカムを、そのカムから径方向外方に延びる複数本のロッドを介し、複数個の案内部材に含まれる個々の案内部材と連携させることができる。
【0037】
付勢手段によって、複数個の案内部材を収縮構成へと付勢することができる。その付勢手段はスプリング(ばね)、例えば引張スプリングとすることができる。その付勢手段の助力により、それら可動案内部材を、伸長構成での径方向外寄り位置と、収縮構成での径方向内寄り位置と、の間で確と動かせるようにすることができる。
【0038】
駆動アセンブリのうち一部分を、真空フィードスルーを介しトランスポート真空チャンバの壁(例.底部壁)に貫通させることができる。真空フィードスルーがあるため、真空の無欠性を保ちながら、トランスポート真空チャンバ外に配置されたコントローラにより、駆動アセンブリを通じ位置決めアセンブリを動作させることができる。真空フィードスルーがトランスポート真空チャンバの壁に対する真空シールを備えるのでもよい。
【0039】
アライメント装置を、更に、自アライメント装置をトランスポート真空チャンバの底部壁に装着するためのベースを、備えるものとすることができる。位置決めアセンブリを、そのベースに対し昇降させることができる。そのベースにより、チャンバの底部壁に対する真空シールを形成することができる。そのベースを、真空フィードスルーを備えるものとすることができる。
【0040】
位置決めアセンブリを、トランスポート真空チャンバの底部壁に対し、上昇位置・下降位置間で動かせるものとすることができる。
【0041】
位置決めアセンブリを、上昇位置・下降位置間で、10~100mm、25~75mm、30~50mm又は約40mmの範囲内の距離に亘り動かせるものとすることができる。
【0042】
位置決めアセンブリを下降させることには少なくとも2個の利点がある。第1に、トランスファロボットがフレームアセンブリ・位置決めアセンブリ(例.アーム)間、フレームアセンブリ受容エリアより下方に位置しているときに、そのフレームアセンブリを良好な整列状態に保ちながら、フレームアセンブリをトランスファロボット上へと下降させることができる。第2に、位置決めアセンブリを下降させた後に、トランスファロボットを、阻害なしに、カセット・トランスポート真空チャンバ間で動かすことができる。
【0043】
トランスポート真空チャンバを、更に、位置決めアセンブリが下降位置にあるときフレームアセンブリを支持する少なくとも1個の補助フレーム支持器を、備えるものとすることができる。その補助フレーム支持器を、複数本の支持ピン、付随的にはベースから立ち上がる支持ピンを、備えるものとすることができる。その補助フレーム支持器を、フレームアセンブリのフレームを支持するよう配置・配列することができる。その補助フレーム支持器により、フレームアセンブリのフレームに対する支持を行うことで、そのフレームアセンブリに備わるテープを、位置決めアセンブリ下降時における受傷から保護することができる。その補助フレーム支持器により、少なくとも1個の支持器の支持面より低いところに支持面を設けることができる。
【0044】
トランスポート真空チャンバを、更に、位置決めアセンブリを回動させる姿勢アジャスタ、付随的には±1~3°又は±1°の角度に亘り回動させるそれを、備えるものとすることができる。その姿勢アジャスタにより、フレームアセンブリ受容エリアの平面に対し垂直な軸(例.垂直軸)周りで目標位置の回動方向位置を微調整することが、可能となる。
【0045】
トランスポート真空チャンバを、アライメント装置を複数個備えるものとすることができる。
【0046】
本発明の第2態様では、真空条件下でフレームアセンブリをハンドリングするトランスポート真空チャンバであって、
フレームアセンブリの並進及び回動方向位置を調整しトランスポート真空チャンバ内で目標位置に整列させるアライメント装置と、
トランスポート真空チャンバ内に配置されており、フレームアセンブリをアライメント装置上に移送するトランスファロボットと、
を備え、そのアライメント装置が、
トランスポート真空チャンバ内に配置されており、トランスポート真空チャンバ内でフレームアセンブリ受容エリアを画定するよう配列された複数個の案内部材を備える位置決めアセンブリと、
フレームアセンブリ受容エリア内でフレームアセンブリを支持する少なくとも1個の支持器と、
複数個の案内部材を伸長構成から収縮構成へと変化させることで、フレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法を減らし且つそのフレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法即ち第1断面寸法に対し垂直なそれを減らすよう、動作させうる駆動アセンブリと、
を備え、フレームアセンブリを少なくとも1個の支持器上で支持しつつ複数個の案内部材を伸長構成から収縮構成へと変化させる際に、それら複数個の案内部材がそのフレームアセンブリと係合することでそのフレームアセンブリの並進及び/又は回動方向位置が調整され、目標位置に整列するトランスポート真空チャンバが提供される。
【0047】
真空カセットエレベータロードロックには、典型的には、垂直スタック(縦積載)されたマルチウェハカセットが収容される。マルチウェハカセットでは、複数個のフレームアセンブリを縦積み配列の態で保持することができる。そのカセットを、VCEロードロックの真空チャンバ内で垂直方向に動かせるようにすることで、例えば、そのカセットを動かしスロットバルブ(弁)に対し整列させることが可能となる。スロットバルブを介する等して、トランスポート真空チャンバと真空連通するVCEロードロックを設けることで、フレームアセンブリを加圧及び減圧するための個別ロードロック、例えばFOUPシステムで以て必要とされていたそれの必要性が、回避される。これにより、ツール製造コスト、コストオブオーナシップ、ツールフットプリントを顕著に低減すること及びスループットを改善することができる。トランスポート真空チャンバ内にアライメント装置の位置決めアセンブリを設けることで、効率的且つ高信頼なフレームアセンブリ整列改善手段が提供される。これにより、真空条件を保ちつつ誤ハンドリング事象を減らすことができる。
【0048】
本発明の第3態様では、本発明の第2態様に係るトランスポート真空チャンバを用い真空条件下でフレームアセンブリの並進及び回動方向位置を調整して、目標位置に整列させる方法であって、
(a)複数個の案内部材を伸長構成に構成設定するステップと、
(b)フレームアセンブリ受容エリア内で少なくとも1個の支持器上にフレームアセンブリを位置決めするステップと、
(c)複数個の案内部材を伸長構成から収縮構成へと変化させることでそれら少なくとも3個の案内部材をフレームアセンブリに係合させ、それによりそのフレームアセンブリの並進及び/又は回動方向位置を調整して目標位置に整列させるステップと、
を有する方法が提供される。
【0049】
フレームアセンブリを、フレーム上に位置決めされたウェハを備えるものにすることができる。そのウェハを半導体ウェハ、例えばシリコンウェハとすることができる。フレームアセンブリを、径方向差し向かいにある平行な直線エッジを少なくとも一対備える種類のものと、することができる。複数個の案内部材を、径方向差し向かいにある少なくともその対の平行な直線エッジと係合させることができる。
【0050】
複数個の案内部材それぞれを、収縮構成にてフレームアセンブリと係合させることができる。
【0051】
本方法を、更に、
i.複数個の案内部材を収縮構成から伸長構成へと変化させること、
ii.トランスファロボットの一部分(例.エンドエフェクタ)をフレームアセンブリ・位置決めアセンブリ間に位置決めすること、並びに
iii.位置決めアセンブリを下降させることでフレームアセンブリをトランスファロボットのエンドエフェクタ上へと下降させること、
によって、支持器からフレームアセンブリをアンロードするステップを、有するものとすることができる。
【0052】
エンドエフェクタをフレームアセンブリ・位置決めアセンブリ(例.位置決めアセンブリのボディ又はアーム)間に位置決めすることで、フレームアセンブリを目標位置に保ちながらアライメント装置からそのフレームアセンブリをアンロード可能とすることができる。
【0053】
第3態様に係る方法はカセット真空チャンバ、例えば真空カセットエレベータ(VCE)ロードロック内にフレームアセンブリがロードされるのに先立ち、実行することができる。例えば、本方法を、フレームアセンブリがカセット内、例えばカセット真空チャンバ内に収容されたマルチウェハカセット内にロードされるのに先立ち、実行することができる。第3態様に係る方法は、ウェハ処理モジュール内にフレームアセンブリがロードされるのに先立ち、実行することができる。
【0054】
本発明の第4態様では、第1態様に係るウェハ処理システムを用い真空条件下でフレームアセンブリをハンドリングする方法であって、
トランスポート真空チャンバ内に配置されたトランスファロボット上にフレームアセンブリを供給するステップと、
フレームアセンブリをトランスファロボットからアライメント装置上へと移送するステップと、
アライメント装置を用いフレームアセンブリの並進及び回動方向位置を揃え目標位置に整列させるステップと、
フレームアセンブリをアライメント装置から少なくとも1個の真空カセットエレベータロードロックへと、或いは少なくとも1個のウェハ処理モジュールへと、順次移送するステップと、
を有する方法が提供される。
【0055】
フレームアセンブリの並進及び回動方向位置を揃えるステップは、第3態様に係る方法を用い実行することができる。
【0056】
本発明について上述してきたが、本発明は、以上説明された、或いは後掲の記述、図面及び特許請求の範囲中にある、諸特徴のあらゆる組合せに拡張される。例えば、本発明の一態様との関連で開示された何れの特徴を、本発明の他の何れの態様の何れの特徴と組み合わせてもよい。
【0057】
本発明の諸実施形態について、以下の添付図面を参照し、専ら例示の手法によって以下記述することにする。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】フレームアセンブリの斜視図である。
図2】ウェハ処理システムの模式的平面図である。
図3】マルチウェハカセットの斜視図である。
図4】並進方向誤整列の平面図及び前面図である。
図5】回動方向誤整列の平面図及び前面図である。
図6】アライメント装置の側面図である。
図7】アライメント装置の外観図である。
図8】下降位置でのアライメント装置の模式的断面図である。
図9】上昇位置でのアライメント装置の模式的断面図である。
図10】アライメント装置上で支持されているフレームアセンブリの平面図である。
図11】アライメント装置上で支持されているフレームアセンブリの平面図である。
図12】正整列の平面図及び前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1に、半導体処理法例えばプラズマダイシングにて用いられる典型的なフレームアセンブリ100を示す。フレームアセンブリ100は、ほぼ環状の形状を有するフレーム102を備えている。フレーム102の外周縁はほぼ円形である。とはいえ、フレーム102の外周縁は4個の直線エッジ104を有しており、ほぼ径方向に沿い向かい合う平行な直線エッジからなる2個の対としてそれらが配列されている。隣り合う直線エッジ104同士はほぼ垂直である。そのため、フレームアセンブリ100の直径が計測の角度によって異なり、差し向かいにある直線エッジ104間が最短直径となっている。通常、これら4個の直線エッジ104はほぼ同じ長さである。4個の直線エッジ104それぞれの長さは、300mmウェハを担持するのに適したフレームアセンブリでは約100~150mm、200mmウェハを担持するのに適したフレームアセンブリでは約50~100mmとすることができる。フレーム(及び対応するカセット)の形状及びサイズは産業標準により決定することができるが(例.SEMI G74-0699では300mm直径ウェハ向けテープフレームに関しスペックを提示している)、そうした標準における変動も考慮されうる。
【0060】
フレーム102は、通例通りプラズマ処理条件(例.プラズマダイシング条件)に対し耐性があるプラスチック素材で作成された接着テープ106で以て、通例通り覆われている。処理対象ウェハ108がその接着テープ106の中央に置かれている。フレームアセンブリ100のサイズは様々であり、処理対象ウェハ108のサイズによって変わってくる。例えば400mm径フレームアセンブリでは、通常、約300mmに及ぶ直径のウェハを担持することができる。また例えば、296mm径フレームアセンブリでは、通常、約200mmに及ぶ直径のウェハを担持することができる。他のサイズも想定されうる。ご想像通り、多数の小型ウェハ例えば化合物半導体ウェハを、その環状フレームの内法内でそのテープに接着することができよう。
【0061】
図2に、本発明の実施形態に係るウェハ処理システム200を示す。本システム200は、少なくとも1個のカセット真空チャンバ202と、トランスポート真空チャンバ204内に配置された少なくとも1個のアライメント装置600を備える装置201と、1個又は複数個のウェハ処理モジュール206とを備えている。処理モジュール206の例はプラズマダイシングモジュールである。専ら例としてではあるが、本ウェハ処理システム200に備わるアライメント装置600を1個とすることも2個とすることもできる。
【0062】
カセット真空チャンバ202にはカセット、例えばマルチウェハカセットを収容することができ、そのマルチウェハカセット、例えば図3に示すマルチウェハカセット300には13個に及ぶフレームアセンブリを保持させることができる。カセット真空チャンバ202の典型は真空カセットエレベータ(VCE)ロードロックである。使用時には、カセット真空チャンバ例えばVCEロードロックが真空条件下に保たれる。カセット真空チャンバ(例.VCEロードロック)を用いることで、大気圧下のカセット又はFOUPと、真空下に保持されるトランスポート真空チャンバとの間に、ロードロックが必要なくなる。カセット・輸送モジュール間にロードロックが必要ないシステム200であるので、ツールフットプリントを小さくすることができ、ウェハスループットを高めること、即ちカセットに入っている多数のウェハ全てを同時に抜気し真空達成後に引き続き真空ロボットで利用可能とすることができ、且つ製造コストを下げることができる。これらの利点はVCEロードロックを用いることで達成できる。とはいえ、VCEロードロック使用時には真空条件下でフレームアセンブリ整列工程を実行することが、フレームアセンブリをカセットに戻す際の誤ハンドリング事象の頻度を低下させる上で望ましい。
【0063】
誤ハンドリング事象を起こしうるものに、カセット真空チャンバ例えばVCEロードロック内に収容されているカセット内にフレームアセンブリをロードする際の並進方向誤整列又は回動方向誤整列がある。図4に並進方向誤整列、特にフレームアセンブリがx軸に沿い横方向にずれているそれを平面図及び前面図で示す。横方向誤整列があるとフレームアセンブリ100をカセット300内に挿入する際に妨げになり、誤ハンドリング事象が生じることとなろう。一般に、フレームアセンブリの中心が、x,y軸双方に沿いカセットの中点から±約1.5mmの公差以内にないと、そのフレームアセンブリをそのカセット内に上首尾に挿入して誤ハンドリング事象を避けることができない。フレームアセンブリ最適整列時には、フレームアセンブリの外縁とカセットとの間のクリアランスが通常は約1.5mmとなる。
【0064】
図5に回動方向誤整列を平面図及び前面図で示す。フレームアセンブリ100の直径は、その直径が計測される角度姿勢により変わりうる。即ち、フレームアセンブリ100は回動軸について(即ち図5に示すz軸について)非対称である。従って、必要なのはフレーム102を確と正しい回動方向整列状態にすることであり、そうすることで、誤ハンドリング事象を起こすことなく上首尾に、カセット300にフレームアセンブリ100を挿入することが可能となる。一般に、回動方向整列状態は±約1°の公差以内でなければならない。
【0065】
本件開示のアライメント装置600を備える装置201は、真空条件下でフレームアセンブリ整列工程を実行するのに適している。
【0066】
トランスポート真空チャンバ204は、通常は真空下に保持されており、例えば約100Torr未満の圧力といった低圧である。スロットバルブ208があるので、カセット真空チャンバ202内に収容されているカセットからフレームアセンブリ100を移送しトランスポート真空チャンバ204内に入れる際及びそこから出す際に、トランスポート真空チャンバ204,カセット真空チャンバ202それぞれの圧力を保つことができる。アライメント装置600とカセット302の開口は、通常は整列していてスロットバルブ208を挟み向かい側にある。
【0067】
そのトランスポート真空チャンバ204内にはトランスファロボット210が配置されている。ロボット210はロボットアーム212及びエンドエフェクタ214を備えている。ロボット210は、フレームアセンブリ100を、カセット真空チャンバ202内に収容されているカセットと、少なくとも1個のアライメント装置600と、処理モジュール206との間で移送する。フレームアセンブリは、望むところに従い、これら部材のうち何れの間でも、またどのような順序でも、移送することができる。例えば、ロボット210により、フレームアセンブリ100をカセット202から処理モジュール206のうち1個へと移送し、次いでアライメント装置600のうち1個へと移送し、その後にカセット202へと戻すことができる。ロボット210により、フレームアセンブリ100を、ある処理モジュール206から別の処理モジュールへと移送することもできる。
【0068】
図6及び図7にアライメント装置600の外観を示す。アライメント装置600は、フレームアセンブリ100の並進及び回動方向位置を目標位置に対し整列させるのに適している。目標位置とは、そのフレームアセンブリ100を整列させた後における、アライメント装置600上でのフレームアセンブリ100の所望並進及び回動方向位置のことである。フレームアセンブリ100を目標位置に位置決めすることで、誤ハンドリング事象生起確率を顕著に低下させることができる。アライメント装置600はベース602及び位置決めアセンブリ604を備えている。使用時には、それらベース602及び位置決めアセンブリ604がトランスポート真空チャンバ204内に配置される。ベース602は、例えば複数本のボルト605を用い、トランスポート真空チャンバ204の底部壁の内表面に固定されている。そのベース602とトランスポート真空チャンバ204の壁との間には真空シールがある。アライメント装置600は、更に、トランスポート真空チャンバ204外に座する一連のアクチュエータを備えている。それらアクチュエータによりアライメント装置600の動作が制御される。ベース602には真空フィードスルー606が備わっているので、それらアクチュエータがアライメント装置600のチャンバ204内部分を制御する際に、そのトランスポート真空チャンバ204内を高い真空度に保つことができる。ベースは更にフレーム保護スタンド(別称補助フレーム支持器)607を備えている。真空フィードスルー606は壁205を貫通しており、(図8及び図9に示すように)トランスポート真空チャンバ内に至っている。
【0069】
位置決めアセンブリ604はシャフト608上に担持されている。その位置決めアセンブリ604の姿勢を、姿勢アジャスタ609を用い微調整することができる。典型的には、姿勢アジャスタ609により位置決めアセンブリ604を±約1~3°、或いは±約1°に亘り(垂直軸周りで)回動させることができる。位置決めアセンブリ604は、下降位置・上昇位置間で垂直方向に動かすことができる。下降位置(図8に模式的に示したそれ)においては、位置決めアセンブリ604がロボットアーム212の動きにとり妨げにならない。従って、ロボットアーム212は、邪魔されることなく(スロットバルブ208を通り)カセット真空チャンバとの間を自在に往来することができる。上昇位置(図9に示すそれ)においては、ロボット210により整列対象フレームアセンブリを位置決めアセンブリ604上に降ろすことができる。上昇位置・下降位置間距離の範囲は20mm~100mm、30mm~75mm、或いは40mm~50mm(或いはこれら上限及び下限の任意の組合せ)とすることができる。フレームアセンブリ100を位置決めアセンブリ604上にロードするときには、そのフレームアセンブリ100を担持しているエンドエフェクタを、その位置決めアセンブリが上昇位置にあるときに位置決めアセンブリ604上に載置する。その後はそのエンドエフェクタを除けることができる。これに代え、位置決めアセンブリ604をトランスファロボット210で以て適切な位置に上昇させて、フレームアセンブリ100をその位置決めアセンブリ604上にロードすることもできる。
【0070】
フレームアセンブリ100を位置決めアセンブリ604からアンロードするときには、エンドエフェクタ214をフレームアセンブリ100・位置決めアセンブリ604間に位置決めしておいて、その位置決めアセンブリ604を上昇位置から下降位置へと下降させることで、そのフレームアセンブリをエンドエフェクタ214上に下降させることができる。本方法を助力にして、フレームアセンブリをトランスファロボット210へと移送する際そのフレームアセンブリの整列状態を保つことができる。
【0071】
位置決めアセンブリ604の垂直運動は第1アクチュエータ610により制御される。第1アクチュエータ610の典型は空気圧アクチュエータである。とはいえ、これに代わる種類のアクチュエータ、例えば電子アクチュエータも用いることができる。第1アクチュエータ610は真空チャンバ204外に配置されており、それに備わるピストン612を延ばすことで、位置決めアセンブリ604の垂直方向位置を制御することができる。図6及び図7に示した実施形態では、そのピストン612がプレート614を介しシャフト608に結合されているので、ピストン612が延びるとシャフト608が歩調を合わせて動く。従って、ピストン612が下方に延びるとシャフト608も下方に動き、位置決めアセンブリ604が然るべく下降する。真空フィードスルー606があるので、真空の無欠性を保ちつつこの垂直運動を発生させることができる。
【0072】
位置決めアセンブリ604のボディは、コア616及びそこから外方に延びる複数本のアームを有している。図7に示した例では4本のアーム618a~dが備わっている。とはいえ、これに代わる諸実施形態ではより多数又は少数のアームが設けられることもあろう。アーム618a~dは、水平面(例.xy平面)に沿いコア616から径方向外方に延びている。第1及び第2アーム618a~bは、ある共通の第1座標軸(例.x軸)に沿いコア616から径方向外方に、但し逆方向に延びるよう配列されている。第3アーム618cは、その第1座標軸に対し垂直な方向に沿いコア616から径方向外方に延びるよう配置されている。即ち、第3アーム618cは第2座標軸(例.y軸)に沿い延びている。第4アーム618dは、xy平面に沿いコアから径方向外方に、第3アーム618cに対し90°超180°以下の角度で延びている。図7に示した例では第3・第4アーム間の角度が約135°である。加えて、第1・第4アーム間の角度は約135°である。これにより、フレームアセンブリを巡り、案内部材が全く備わっていない(約135°の)開領域が提供される。こうした開領域により有益にも開口を提供でき、それを通じてロボット210のトランスファアームを入れること、ひいてはフレームアセンブリ100をアライメント装置600上にロードすること及びそこからアンロードすることができる。本発明は、例示した分布及び配列のアーム618a~dにより限定されるものではない。
【0073】
各アーム618a~dはフレーム支持構造を備えている。図7に示した例では、そのフレーム支持構造が4本のフレーム支持ピン620なる形態を採っている(明瞭性のためそのうち1個だけに付番してある)。それらフレーム支持ピン620はアーム618a~dから立ち上がっている。フレーム支持ピン620は、フレームアセンブリ100のフレーム102を支持しうるよう配列されている。フレーム支持構造を、これに代わる幾何形状及びサイズにすることもできよう。例えば、フレーム支持構造を単一片の支持器にすることができよう。その支持器を、ギャップを有するものにすることで、フレームアセンブリ100・アーム618a~d間にエンドエフェクタを挿入可能とすることができる。
【0074】
各アーム618a~dは、更に、案内部材622a~dを担持するロッドを備えている。案内部材622a~dは、典型的にはそのロッド内の補助ソケット623に入れられ固持される。そのロッドを、そうしたソケット623を複数個備えるものとすることで、ユーザが案内部材622a~dの位置を各アーム618a~dに沿い径方向に変化させることが可能となる。これにより、同じアライメント装置600を用い、様々なサイズ及び直径のフレームアセンブリを整列させることが可能となる。これにより、付加的なハードウェアが必要とされないため処理時間及び出費が節約される。これによりアライメント装置600の実用性が顕著に高まる。
【0075】
複数個の案内部材622a~dは、フレームアセンブリ100の形状にほぼ相応するよう配列されている。それら複数個の案内部材622a~dによりフレームアセンブリ受容エリアが画定されている。案内部材622a~dのうち少なくとも一部又は全てを動かすことができ、それによりフレームアセンブリ受容エリアのサイズを変化させることができる。個々の可動案内部材には径方向外寄り位置及び径方向内寄り位置がある。複数個の案内部材が伸長構成を採っているときには、それら可動案内部材それぞれが径方向外寄り位置にある。伸長構成におけるフレームアセンブリ受容エリアは、そのフレームアセンブリ受容エリア内にフレームアセンブリ100、例えば400mm径又は296mm径のフレームアセンブリを置くことが可能なサイズである。複数個の案内部材が収縮構成を採っているときには、それら可動案内部材それぞれが径方向内寄り位置にある。収縮構成ではそれら案内部材622a~dにより目標位置の周縁が画定される。伸長構成にて案内部材622a~dにより画定されるエリアは、収縮構成にてそれら案内部材622a~dにより画定されるエリアよりも広い。
【0076】
それら可動案内部材を動かすことで、フレームアセンブリ受容エリアの相垂直な第1及び第2断面寸法を変化させることができる。例えば伸長構成から収縮構成へと変化させる際には、第1及び第2断面寸法を小さくすることで、フレームアセンブリ受容エリアの面積を縮小させる。第1断面寸法の例は第1座標軸(例.x軸)に対応するものである。第2断面寸法の例は第2座標軸(例.y軸)に対応するものである。
【0077】
案内部材622a及び622bは長尺パドルなる形態である。案内部材622a及び622bは、フレームアセンブリ受容エリアを過り径方向差し向かいにある。案内部材622a及び622bのパドル同士はほぼ平行である。案内部材622a及び622bのパドルはその運動方向に対しほぼ直交している。案内部材622cは比較的短尺なパドルなる形態である。案内部材622cのパドルはその運動方向に対しほぼ直交している。案内部材622cは案内部材622a及び622bに対しほぼ垂直である。案内部材622dは円筒なる形態である。案内部材622a~dの幅は、典型的には、整列対象フレームアセンブリ100の直線エッジ104の幅未満とされる。とはいえ、案内部材622a~dの幅を、フレームアセンブリ100の直線エッジ104の幅超とすることもできる。各案内部材622a~dの幅は、整列されるフレームアセンブリ100の寸法を踏まえ誂えることができる。それらのロッドをアーム618a~d沿いチャネル内でスライドさせることで、案内部材622a~dを動かしアーム618a~dに沿い径方向内方及び外方に向かわせることができる。例えば、第1案内部材622aを第1座標軸(例.x軸)に沿いコア616に近づく方及びそこから離れる方へ動かし、フレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法を変化させることができ、また、第3案内部材622cを第2座標軸(例.y軸)に沿いコア616に近づく方及びそこから離れる方へ動かし、フレームアセンブリ受容エリアの第2断面寸法を変化させることができる。第4案内部材622dを、第4アーム618dに沿いコア616に近づく方向及びそこから離れる方向に動かすことができる。例えば、第4案内部材622dを動かせる方向にはy軸沿い成分及びx軸沿い成分が含まれるので、フレームアセンブリ受容エリアの第1及び第2断面寸法を変化させることができる。各案内部材の進行距離、例えば個々のアームに沿ったそれは3~20mm、5~15mm、7~10mm又は約7.5mmである。従って、例示実施形態では、伸長構成でのフレームアセンブリ受容エリアの第1断面寸法が、収縮構成での第1断面寸法よりも、6~40mm、10~30mm、14~20mm又は約15mmの範囲内の距離分だけ大きくなる。
【0078】
フレーム支持構造620を、案内部材622a~dと歩調を合わせ動かすことができる。これに代わる諸実施形態に従い、案内部材のうち1個又は複数個を静止状態とすることもできる。例えば、第4案内部材を静的端部止めとして働かせることができる。
【0079】
案内部材622a~dの動きは駆動アセンブリにより制御される。その駆動アセンブリは、コア616内に配置されたカム624を備えている。図7に示した実施形態では、付勢手段例えばスプリング628によってロッドがその径方向沿い最内寄り位置へと付勢される。スプリング628は引張スプリングとすることができる。従って、そのカムローブを回動させてアーム618bから遠ざけると、そのロッド(ひいては案内部材622b)が径方向内方に動いて収縮構成となる。
【0080】
動作時には、ロボット210のエンドエフェクタ214によって、カセット真空チャンバ202内に収容されているカセット又は処理モジュール206から、フレームアセンブリ100がピックアップされる。エンドエフェクタ214上におけるフレームアセンブリ100の位置は変動又はオフセットしうる。アライメント装置600の位置決めアセンブリ604が動き、それ自体が上昇位置にくる。カム624を駆動することで、案内部材622a~dを径方向外寄り位置(即ち伸長構成)にすることができる。アライメント装置600がこの伸長構成であるときには、ロボット210によりそのフレームアセンブリ100をフレーム支持器上、例えばフレーム支持ピン620上に置くことができる。フレームアセンブリ100には、ロボット210によりフレーム支持器620上に初期載置されたときに幾ばくかの並進及び回動方向誤整列が生じがちである。
【0081】
フレームアセンブリ100がアライメント装置上で支持されているときにカム624を駆動し、案内部材622a~dを径方向内方、フレームアセンブリ100に近づく方に動かすことができる。図7に示した実施形態では案内部材622a~dが歩調を合わせて動く。案内部材622a~dが径方向内方に動くと、それら案内部材622a~dがフレームアセンブリ100の外周縁に係合することとなる。とりわけ、案内部材622a~cはフレーム102の直線エッジ104と係合するよう配列され、案内部材622dはフレーム102の湾曲エッジと係合するよう配置されている。案内部材622a~dの表面のうちフレームアセンブリ100と係合するところは、個々の案内部材を動かせる方向に対しほぼ直交している。
【0082】
並進方向誤整列(即ちx軸及び/又はy軸沿い誤整列)の場合、フレームアセンブリ100に最も近い(可動)案内部材が、そのフレームアセンブリに最初に係合することとなる。この案内部材によりそのフレームアセンブリがより中央寄りの位置へ(即ち目標位置の方へ)と案内され、そもそもの並進方向誤整列が打ち消されることになる。例えば、フレームアセンブリ100が第1案内部材622aの方にオフセットしているのであれば、可動案内部材622aが最寄りの直線エッジ104と係合することとなり、それによりそのフレームアセンブリ100がより中央寄りの位置へと押されることとなる。案内部材622a及び622bが内方に動き続けていくと、やがては第2案内部材622bがフレームアセンブリ受容エリアのほぼ逆側にてフレームアセンブリ100と接触することとなる。この時点で、フレームアセンブリ100の中央がx軸に沿い整列するため、そのフレームアセンブリの中央が第1及び第2案内部材622a,622b間の中点にほぼ相応することとなる。即ち、フレームアセンブリがx軸に沿い目標位置と整列することとなる。案内部材622c及び622dも同じ要領でy軸に沿いフレームアセンブリ100を整列させる。これにより、x方向及びy方向の双方に沿いフレームアセンブリ100を並進整列させる効果がもたらされる。フレームアセンブリ100をx及びy方向の双方に沿い同時に整列させることができる。補正可能なx軸沿い最大初期オフセットは、±3~20mm、±5~15mm、±7~10mm又は±約7.5mmの範囲内となりうる。補正可能なy軸沿い最大初期オフセットは、±3~20mm、±5~15mm、±7~10mm又は±約7.5mmの範囲内となりうる。
【0083】
回動方向誤整列(図10に示すそれ)の場合も、それら案内部材が同じ要領で動作する。しかしながら、その又はそれらの案内部材が、初期的に、フレームアセンブリの直線エッジ104のうち一部分にしか係合しないこととなる。図10に、回動方向誤整列がある(並進方向誤整列は全くない)場合について、初期係合時点における2個の相対向する案内部材622a及び622bを示す。直線エッジ104にてフレームアセンブリ100の直径が変化するため、回動方向誤整列があると、案内部材622a,622bの一端がフレームアセンブリ100の直線エッジ104に係合した後に、案内部材の中央が係合することとなる。従って、案内部材622a~dが径方向内方に動くにつれてフレームアセンブリ100にトルクが加わり、その働きで回動方向誤整列が補正される。このトルクは、1個の案内部材で加えることも(例.回動及び並進方向誤整列の場合)、複数個の案内部材で加えることもできる(例.図10に示した例)。
【0084】
トルクが印加されることでフレームアセンブリ100が回動し、やがてはその直線エッジ104が案内部材の平坦な案内面と全面係合することとなる。直線エッジ104がその案内面と全面係合したらそれ以上のトルクは印加されない。案内部材に備わる案内面の向きと、その案内部材の幅(例.そのアームの両側、横方向に広がる幅)と、そのフレームアセンブリの逆側に作用する別の案内部材の存在と、が結びつくため、そのフレームアセンブリには過回動が生じない。運動方向に直交する案内面(例.パドル)を設けることで、フレームアセンブリ100の過回動の防止を助けることができる。案内部材を設けその中点にてアーム上に搭載する(即ち案内部材をそのアームの両側にて等幅にする)ことで、フレームアセンブリ100の過回動の防止を助けることができる。
【0085】
図11及び図12に、アライメント装置600上のフレームアセンブリ100であり、目標位置に整列しているフレームアセンブリ100を示す。図11に示す複数個の案内部材622a~dは伸長構成である。図11に示す例では、それら案内部材が、目標位置から見て径方向外方に、7.5mmなる距離で以て位置決めされている。複数個の案内部材622a~dそれぞれを、7.5mmなる距離に亘り径方向に動かすことができる。
【0086】
フレームアセンブリ100が整列され終えた後、駆動アセンブリ(例.カム624)は複数個の案内部材622a~dを動かし伸長構成に復帰させる。これにより案内部材622a~dがフレームアセンブリ100から分離される。
【0087】
トランスファロボット210のエンドエフェクタ214を、フレームアセンブリ100の下側とボディの上側(即ちコア616とアーム618a~d)の間に位置決めすることができる。より具体的には、エンドエフェクタ214が目標位置の下側にある既知位置に置かれ、フレームアセンブリ100から空間的に隔てられる。その後は、位置決めアセンブリ604を下降させることで、フレームアセンブリ100を既知位置にてエンドエフェクタ上へと下降させることができる。このやり方でトランスファロボット210上にフレームアセンブリ100を移送することは、フレームアセンブリ100が移送されることに伴うあらゆる滑り又は誤配置を回避する助けとなりうる。続いて、トランスファロボット210により、そのフレームアセンブリ100を、カセット真空チャンバ202例えばVCEロードロック内に収容されているカセット内へ、或いはウェハ処理モジュール内へと移送することができる。フレームアセンブリ100の並進及び回動方向位置が既知の目標位置と既に整列されているので、低い誤ハンドリング事象生成リスクで以てそのフレームアセンブリ100をカセット内に移送することができる。
図1
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