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特許7335866自動運転およびバッテリー充電量を表示する車両用灯具システム
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  • 特許-自動運転およびバッテリー充電量を表示する車両用灯具システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】自動運転およびバッテリー充電量を表示する車両用灯具システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20230823BHJP
   F21V 11/12 20060101ALI20230823BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20230823BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230823BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20230823BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
F21V11/12
F21V33/00 300
F21Y115:10
F21W103:00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020500450
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2019004548
(87)【国際公開番号】W WO2019159828
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】P 2018026100
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】杉本 篤
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/073633(WO,A1)
【文献】特開2017-192172(JP,A)
【文献】中国実用新案第205365390(CN,U)
【文献】特開2016-000562(JP,A)
【文献】特開2015-011939(JP,A)
【文献】特開2016-212988(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014222695(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
F21V 11/12
F21V 33/00
F21Y 115/10
F21W 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行中に自動運転状態を車外に表示するランプと、車両の停車中にバッテリーの充電量を前記ランプに表示させるための制御を行う制御部とを備え、
前記ランプが、直線または曲線に沿って連続的に延びる細長い導光体と、導光体の長手方向に間隔をあけて配設された複数の発光素子とを含み、
前記制御部は、自動運転状態に応じて前記発光素子を全点灯または全点滅するように制御し、バッテリーの充電量に応じて導光体の発光範囲が変化するように、各発光素子の光出力を制御することを特徴とする車両用灯具システム。
【請求項2】
前記導光体が、自動運転状態および充電量を車外に表示する主幹部と、主幹部から各発光素子に向かって分岐する複数の分岐部とを含む請求項1記載の車両用灯具システム。
【請求項3】
前記主幹部が、バッテリーの最小充電量を表示する一端と、バッテリーの最大充電量を表示する他端とを備え、前記複数の分岐部が、各発光素子から主幹部の一端側に延びるように主幹部に対して斜状に設けられている請求項2記載の車両用灯具システム。
【請求項4】
前記ランプが、自動運転状態および充電量を異なる発光色で表示する請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具システム。
【請求項5】
前記ランプが、自動運転状態および充電量を異なる発光パターンで表示する請求項1~4の何れか一項に記載の車両用灯具システム。
【請求項6】
前記ランプが、車体の前面に設置されている請求項1~5の何れか一項に記載の車両用灯具システム。
【請求項7】
前記ランプが、車体の充電口近くに設置されている請求項1~6の何れか一項に記載の車両用灯具システム。
【請求項8】
前記ランプが、車体のルーフ部に設置されている請求項1~5の何れか一項に記載の車両用灯具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動運転状態を表示するとともに、その車両に搭載されたバッテリーの充電量を表示するランプを備えた車両用灯具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の自動運転状態を表示するランプが知られている。例えば、特許文献1には、自動運転車両の運転状態に応じてランプの表示パターンを切り替える技術が記載されている。また、従来、電気自動車のバッテリー充電量を表示するランプが知られている。例えば、特許文献2には、複数のLEDを一列に並べ、各LEDの点消灯によってバッテリーの充電量を表示する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-71340号公報
【文献】米国特許公開公報 US2014/0253306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来技術によると、車両の自動運転状態とバッテリー充電量を一つのランプで表示することができなかった。また、特許文献2のランプは、バッテリー充電中に複数のLEDをシーケンシャルに点灯させているが、自動運転状態をバッテリー充電時と同じパターンで表示しようとすると、その表示が車両走行中のターンシグナルランプの発光パターンと区別がつきにくくなるという問題点もあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、車両の自動運転状態とバッテリーの充電量を一つのランプでわかりやすく表示することができる車両用灯具システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用灯具システムは、車両の走行中に自動運転状態を車外に表示するランプと、車両の停車中にバッテリーの充電量をランプに表示させるための制御を行う制御部とを備え、ランプが、直線または曲線に沿って連続的に延びる細長い導光体と、導光体の長手方向に間隔をあけて配設された複数の発光素子とを含み、制御部が、バッテリーの充電量に応じて導光体の発光範囲が変化するように各発光素子の光出力を制御することを特徴とする。
【0007】
ここで、ランプの導光体は、特定の構成に限定されないが、好ましくは、複数の発光素子からの光を導光体の各部にほぼ均等に分配できるように、自動運転状態およびバッテリー充電量を車外に表示する主幹部と、主幹部から各発光素子に向かって分岐する複数の分岐部とを含む。
【0008】
より好ましくは、バッテリーの充電量を導光体の発光範囲によって明確に表示するために、主幹部が最小充電量を表示する一端と最大充電量を表示する他端とを備え、複数の分岐部が、それぞれ発光素子から主幹部の一端側に延びるように、主幹部に対して斜状に設けられる。
【0009】
ランプによる表示パターンは、特に限定されないが、車両の走行時と停車時とで相違させるのが望ましい。例えば、ランプを走行時に緑色で発光させ、充電時に白または黄色で発光させるなど、自動運転状態と充電量を異なる発光色で表示することができる。あるいは、発光素子を走行中に全点灯させ、停車中にシーケンシャルに点灯させるなど、自動運転状態と充電量を異なる発光パターンで表示してもよい。
【0010】
ランプの設置場所も、特に限定されない。例えば、ランプを車体前面に設置された左右の前照灯に搭載することができる。ランプを充電口の近くに設置することもできる。充電量を車体周りの全方向から確認できるように、ランプを車体のルーフ部に設置してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用灯具システムによれば、車両の自動運転状態を表示するランプに細長い導光体と複数の発光素子とを設け、ランプの発光範囲によりバッテリーの充電量を表示するように構成したので、自動運転状態と充電量を一つのランプでわかりやすく表示できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示す車両の部分斜視図である。
図2】車両用前照灯の内部構造を示す図1のII-II線部分断面図である。
図3】前照灯のコミュニケーションランプを示す斜視図である。
図4】前照灯の制御システムを示すブロック図である。
図5】コミュニケーションランプの充電表示パターンを示す特性図である。
図6】同じく充電表示パターンを示す前照灯の正面図である。
図7】本発明の別の実施形態を示す車両の正面図である。
図8】本発明のさらに別の実施形態を示す車両の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示す車両1は、車体2の前面に左右一対の前照灯3を備えている。前照灯3のハウジング11内には、ロービームランプ4、ハイビームランプ5、ターンシグナルランプ(またはデイライト・ランニングランプ)6およびコミュニケーションランプ7が設けられている。そして、この実施形態の車両用灯具システムでは、コミュニケーションランプ7が、車両1の走行中に自動運転状態を歩行者や他車両に表示し、また、停車中には車両1に搭載されたバッテリー31(図4参照)の充電量をドライバーに表示するランプとして機能するようになっている。
【0014】
図2に示すように、ターンシグナルランプ6は、ロービームランプ4の上側に配置され、左右に延びる細長い導光体12と、導光体12を背後から覆うシェード13とを備えている。コミュニケーションランプ7は、ロービームランプ4の下側に配置され、ターンシグナルランプ6と同様に、左右に延びる細長い導光体14と、導光体14を背後から覆うシェード15とを備えている。ハウジング11の前面カバー16の内側に設置されたエクステンション17には、ロービームランプ4の発光を車外に取り出す開口部18と、ターンシグナルランプ6の発光を車外に取り出すスリット19と、コミュニケーションランプ7の発光を車外に取り出すスリット20とが形成されている。
【0015】
図3に示すように、コミュニケーションランプ7は、導光体14の長手方向にLEDからなる例えば5つの発光素子22を備えている。導光体14は、緩やかに湾曲する曲線に沿って連続的に延びる主幹部23と、主幹部23から分岐して発光素子22まで延びる複数の分岐部24とを含み、全体が透明樹脂で一体的に成形されている。また、シェード15は、主幹部23を覆う長尺部25と、分岐部24を覆う短尺部26とからなっている。各発光素子22は、分岐部24の先端面と対向するように、各短尺部26の先端にホルダ27(図2参照)により保持され、主幹部23の長手方向に所定の間隔をあけて配設されている。
【0016】
導光体14の主幹部23は、バッテリー31の最小充電量を表示する一端23aと、バッテリー31の最大充電量を表示する他端23bとを備えている。分岐部24は、各発光素子22から主幹部23の一端23a側つまり最小充電量を表示する側へ延びるように主幹部23に対して斜状に設けられている。そして、充電時には、発光素子22からの光で主幹部23がバッテリー充電量に応じた長さまたは範囲で発光し、その発光範囲がスリット20を介して前面カバー16から車両前方に表れるようになっている。
【0017】
図4に示すように、前照灯3のハウジング11内には、4つのランプ4,5,6,7の光出力を制御する制御部としてのランプECU32が設けられている。ランプECU32は、車両1が自動運転モードで走行するときに、車両ECU33からの指令に応答して、5つの発光素子22を全点灯または全点滅させ、コミュニケーションランプ7に車両1の自動運転状態を表示させる。また、停車中のバッテリー充電時には、充電量に応じて主幹部23の発光範囲が変化するように、ランプECU32が5つの発光素子22の点消灯を個別に制御して、コミュニケーションランプ7にバッテリー31の充電状態を自動運転状態とは異なる発光パターンで表示させる。
【0018】
なお、バッテリー充電量は、バッテリー31に付設の電圧センサー35によって検知され、車両ECU33を介してランプECU32に通知される。充電表示を開始するタイミングは、チャージャー34が車体2の充電口9(図1参照)に接続された時点とすることができる。また、ドライバーが充電中でなくても充電量を確認できるように、車両1の停止時に充電表示を開始してもよい。充電表示を終了するタイミングは、満充電後に所定時間が経過した時点、あるいは、充電表示を開始してから所定時間が経過した時点とすることができる。その他、バッテリー充電量を自動運転表示とは異なる発光色で表示することもでき、充電量に応じて発光色を変化させることも可能である。
【0019】
図5図6は、充電状態を表示するときのコミュニケーションランプ7の発光パターンを例示する。ここでは、バッテリー31の充電量に応じて、発光素子22の点灯数が順次増加する。図5において、充電量が20%のときは、1つの発光素子22が所定の周期で点滅し、図6(a)に示すように、コミュニケーションランプ7の一端部が最小充電量を表示する。充電量が40%になると、2つの発光素子22が順番に点灯したのち同時に消灯し、図6(b)に示すように、コミュニケーションランプ7の発光範囲が増加する。
【0020】
充電量が60%になると、3つの発光素子22が順番に点灯したのち一斉に消灯し、図6(c)に示すように、コミュニケーションランプ7の発光範囲がさらに増加する。充電量が80%になると、4つの発光素子22が順番に点灯したのち一斉に消灯し、図6(d)に示すように、コミュニケーションランプ7の発光範囲がさらに増加する。そして、満充電(100%)になると、5つの発光素子22が順番に点灯したのち一斉に消灯し、図6(e)に示すように、主幹部23の発光範囲が最大(全長発光)となる。したがって、ドライバーは、発光範囲が漸増する様子に基づいて、バッテリー31の充電量を一目瞭然と確認することができる。
【0021】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状や構成を適宜変更して実施することも可能である。
(1)図7に示すように、車体前面の充電口9の近くに標識灯37を裝備し、標識灯37に細長い半円形の導光体38を使用し、この導光体38を図3に示したコミュニケーションランプ7と同様に機能させること。
(2)図8に示すように、車体2のルーフ部にアンテナ40を裝備し、アンテナ40に細長い導光体からなる表示灯41を設け、この表示灯41を図3に示したコミュニケーションランプ7と同様に機能させること。
(3)図4に示す車両用灯具システムにおいて、車両ECU33を制御部として機能させ、車両1の停車中に、車両ECU33がバッテリー31の充電量をコミュニケーションランプ7に表示させるための制御を行うこと。
【符号の説明】
【0022】
1 車両
2 車体
3 前照灯
7 コミュニケーションランプ
14 導光体
22 発光素子
23 主幹部
24 分岐部
32 ランプECU
37 標識灯
38 導光体
40 アンテナ
41 表示灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8