(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】医薬剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 31/485 20060101AFI20230823BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230823BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230823BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20230823BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20230823BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230823BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230823BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230823BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230823BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230823BHJP
A61K 31/137 20060101ALN20230823BHJP
A61P 29/02 20060101ALN20230823BHJP
【FI】
A61K31/485
A61K47/10
A61K9/20
A61K9/28
A61K47/20
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/18
A61K47/24
A61P25/04
A61K31/137
A61P29/02
(21)【出願番号】P 2020512436
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 US2018048904
(87)【国際公開番号】W WO2019046611
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-25
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508150854
【氏名又は名称】パーデュー、ファーマ、リミテッド、パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アクジャ,オズギュル
(72)【発明者】
【氏名】マニオン,リチャード
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-510094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0275658(US,A1)
【文献】特表2011-521927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0255157(US,A1)
【文献】特表2003-526598(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0281016(US,A1)
【文献】特表2010-519201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0039957(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/00-33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
持続放出マトリックス製剤を含む固形経口持続放出医薬剤形であって、前記持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)10重量%~25重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも40重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含
み、
前記少なくとも1種の活性薬剤がオキシコドン塩酸塩である、前記固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項2】
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比が、1:2~10:1、8:10~8:1、8:10~5:1、2:1~8:1、2:1~5:1、もしくは3:1~4:1である、請求項1に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量が、レオロジー的測定に基づいて、900,000~8,000,000、1,000,000~8,000,000、1,000,000、2,000,000、4,000,000、5,000,000、7,000,000、8,000,000、または4,000,000~8,000,000である、請求項1
または2に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項4】
前記持続放出マトリックス製剤が、50重量%~90重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)、60重量%~90重量%、70重量%~85重量%、または70重量%~80重量%の前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項5】
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、アルキルカルボン酸塩及び脂肪酸塩、脂肪酸のエステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、スルホン化脂肪酸エステル、エトキシル化アルキル硫酸塩、アルキル硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、アシル乳酸塩、N-アシルサルコシン酸塩、アルキル炭酸塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、またはそれらの混合物からなる群から選択される、または、
8~18炭素原子の鎖長を有する(C
7~C
17)アルキルカルボン酸塩及び脂肪酸塩、一級もしくは二級の(C
10~C
18)アルキルスルホン酸塩、一級(C
10~C
18)アルファ-オレフィンスルホン酸塩、(C
8~C
16)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジ(C
4~C
10)アルキルスルホコハク酸塩、式R
1-O(CH
2CH
2O)
p-SO
3M(式中、R
1は、(C
8~C
20)アルキルであり、pは、1~8の整数であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、またはアルカノールアンモニウムである)を有するエトキシル化アルキル硫酸塩、一級もしくは二級の(C
8~C
26)アルキル硫酸塩、またはそれらの混合物からなる群から選択される、または、
一級または二級の(C
8~C
18)アルキル硫酸塩からなる群から選択される、または、
一級(C
8~C
18)n-アルキル硫酸塩からなる群から選択される、または、
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアンモニウム、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウム、及びラウリル硫酸トリエタノールアンモニウム、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、または、
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、または、
ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項1~
4のいずれか1項に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項6】
前記持続放出マトリックス製剤が、15重量%~25重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項7】
前記持続放出マトリックス製剤が、2重量%~35重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)、2重量%~25重量%、または2重量%~20重量%の前記少なくとも1種の活性薬剤を含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項8】
前記持続放出マトリックス製剤が、0.5重量%~5重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)、0.5重量%~2重量%、または0.5重量%~1.5重量%の滑沢剤を含む、請求項1~
7のいずれか1項に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項9】
前記少なくとも1種の活性薬剤、前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、前記少なくとも1種のポリエチレンオキシド、及び任意選択の滑沢剤が、合わせて、前記持続放出マトリックス製剤の95重量%~100重量%または97重量%~100重量%を構成する、請求項1~
8のいずれか1項に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項10】
前記剤形に含まれる前記持続放出マトリックス製剤の全重量が、80mg~320mgである、及び/又は、
前記持続放出マトリックス製剤が、錠剤の形態にある、及び/又は、
前記持続放出マトリックス製剤が、錠剤の形態にあり、フィルムコーティングで覆われている、及び/又は、
前記持続放出マトリックス製剤を、試験前速度:0.5mm/秒、試験速度:0.5mm/秒、自動トリガ力:10グラム、試験後速度:1.0mm/秒、試験距離:3.0mmの条件下、テクスチャ分析器を用いて行った圧入試験に供したときの亀裂発生力が少なくとも100Nである、及び/又は、
前記持続放出マトリックス製剤を、試験前速度:0.5mm/秒、試験速度:0.5mm/秒、自動トリガ力:10グラム、試験後速度:1.0mm/秒、試験距離:3.0mmの条件下、テクスチャ分析器を用いて行った圧入試験に供したときの亀裂発生力が少なくとも120Nである、及び/又は、
前記持続放出マトリックス製剤を、試験前速度:0.5mm/秒、試験速度:0.5mm/秒、自動トリガ力:10グラム、試験後速度:1.0mm/秒、試験距離:3.0mmの条件下、テクスチャ分析器を用いて行った圧入試験に供したときの亀裂発生力が少なくとも140Nである、及び/又は、
前記持続放出マトリックス製剤を、Schleuniger装置を使用して最大400ニュートンの力を加えることによる錠剤硬度試験に供したときの破壊強度が少なくとも140Nである、及び/又は、
前記剤形が、5mg~160mgのオキシコドン塩酸塩(Mw=351.82g/mol)と等モルである総量のオキシコドン塩酸塩を含む
、請求項1~
9のいずれか1項に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項11】
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムであり、
前記剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、次の基準:
(i)2時間において、前記放出量が、5%~30%であること、
(ii)4時間において、前記放出量が、10%~60%であること、
(iii)8時間において、前記放出量が、25%~100%であること、
(iv)12時間において、前記放出量が、40%~100%であること、
(v)18時間において、前記放出量が、60%~100%であること、
(vi)24時間において、前記放出量が、80%~100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす、請求項10に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項12】
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムであり、
前記剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数1】
に従う溶解速度をもたらす、請求項1~11のいずれか1項に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
【請求項13】
固形経口持続放出医薬剤形を調製するプロセスであって、
(a)少なくとも、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)10重量%~25重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも40重量%(持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシド
を混合して組成物を形成するステップと、
(b)前記組成物を成形して持続放出マトリックス製剤を形成するステップと、
(c)前記持続放出マトリックス製剤を、少なくとも1分間の期間にわたり、少なくとも前記ポリエチレンオキシドの軟化温度である温度に供する硬化ステップを少なくとも含む、前記持続放出マトリックス製剤を硬化するステップと
を含
み、
前記少なくとも1種の活性薬剤がオキシコドン塩酸塩である、前記プロセス。
【請求項14】
ステップc)において、前記持続放出マトリックス製剤を1分間~24時間の期間にわたって60℃~90℃の温度に供する、及び/又は、
ステップc)において、前記ポリエチレンオキシドの少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも75%、または100%が融解する、及び/又は、
ステップb)において、錠剤の形態にある持続放出マトリックス製剤を形成するように前記組成物を成形する、及び/又は、
前記プロセスが、前記持続放出マトリックス製剤をコーティングする更なるステップd)を含む、請求項
13に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性薬剤の持続放出をもたらす固形経口医薬剤形に関する。ある特定の実施形態において、活性薬剤の放出速度は、ゼロ次放出速度式に近似する。ある特定の実施形態において、本剤形は、乱用防止特性も呈する。
【背景技術】
【0002】
活性薬剤の持続放出をもたらす医薬剤形が、経時的な薬物曝露の制御を可能にするために開発されており、投与の頻度を低減させることによって患者コンプライアンスを増加させ得る。こうした医薬剤形の中でも、活性薬剤が一定速度で放出される活性薬剤のゼロ次放出をもたらす持続放出医薬剤形は、特別な関心の対象である。そのような剤形は、適切に投薬すれば、その投与及びその後の血漿濃度の初期上昇の後に、最小有効濃度を下限とし最小毒性濃度を上限とする、いわゆる治療域内にある比較的一定した血漿濃度を達成することができる。
【0003】
活性薬剤のゼロ次放出をもたらす医薬剤形を開発及び製造するためには、多大な労力が払われてきた。それぞれの技術は複雑であり、複雑な錠剤構造をもたらすことが多い。例えば、OROS(登録商標)(Osmotic Controlled Release Oral Delivery System)技術を使用したある特定の錠剤は、1つ以上の薬物層に加えて、プッシュ層、及び1つ以上の小さなレーザードリル穴を有する半透膜を呈する。したがって、理想的にはより単純な手段によってゼロ次放出プロファイルを得ることを可能にする代替的な製剤技術を開発することが望ましい。
【0004】
製剤科学者にとっての別の難題は、オピオイド鎮痛薬などの活性薬剤を含有する医薬剤形が時に乱用の対象となることである。これは、即時放出製品と比較して高い用量の活性薬剤を含有する持続放出剤形に特に当てはまる。
【0005】
オピオイド製品は、いくつかの方法で乱用され得る。例えば、丸ごと嚥下したり、粉砕して嚥下したり、粉砕して鼻から吸ったり、粉砕して喫煙したり、または粉砕し、溶解し、注射したりすることができる。オピオイド製品は、様々な投与経路による乱用の目的のために、または持続放出特性を無効化するために操作されることが多いため、今までに開発されたほとんどの乱用防止技術は、操作をより困難にすること、または操作された製品の乱用の魅力もしくは満足感を低下させることを意図している。
【0006】
単純な手段(例えば、剤形の容易な製造を含む)により、活性薬剤の持続放出、特にゼロ次放出速度式に近似する活性薬剤の持続放出をもたらし、かつ、好ましくは乱用防止特性も呈する医薬剤形の必要性が、今なお存在する。
【発明の概要】
【0007】
ある特定の実施形態において、本発明は、中に含有された活性薬剤の持続放出をもたらす固形経口医薬剤形を対象とする。
【0008】
ある特定の実施形態において、本発明は、例えば、少なくとも4時間、例えば4時間~8時間の溶解期間にわたり、中に含有された活性薬剤の実質的にゼロ次の放出をもたらす、固形経口持続放出医薬剤形を対象とする。
【0009】
ある特定の実施形態において、本発明は、乱用防止特性を有する固形経口持続放出医薬剤形を対象とする。
【0010】
ある特定の実施形態において、本発明は、他の剤形よりも鼻腔内乱用されにくい固形経口持続放出医薬剤形を対象とする。
【0011】
ある特定の実施形態において、本発明は、剤形の粉砕または微粉砕を妨げる特徴を呈する固形経口持続放出医薬剤形を対象とする。
【0012】
ある特定の実施形態において、本発明は、持続放出マトリックス製剤を含む固形経口持続放出医薬剤形であって、該持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(該持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、
固形経口持続放出医薬剤形を対象とする。
【0013】
ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、カチオン性活性薬剤分子及び少なくとも1種のアニオン性対イオンを含む活性薬剤の塩である。該固形経口持続放出医薬剤形に含有される少なくとも1種の活性薬剤は、薬学的有効量で存在することが理解される。
【0014】
ある特定の実施形態において、本発明は、固形経口持続放出医薬剤形を調製するプロセスであって、
(a)少なくとも、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシド
を混合して組成物を形成するステップと、
(b)該組成物を成形して持続放出マトリックス製剤を形成するステップと、
(c)場合により、該持続放出マトリックス製剤を、少なくとも約1分間の期間にわたり、少なくとも該ポリエチレンオキシドの軟化温度である温度に供する硬化ステップを少なくとも含む、該持続放出マトリックス製剤を硬化するステップと
を含む、プロセスを対象とする。
【0015】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。
【0016】
ある特定の実施形態において、本発明は、疼痛を処置または防止する方法において使用するための、本明細書において開示される固形経口持続放出医薬剤形であって、少なくとも1種の活性薬剤を薬学的有効量で含有する、固形経口持続放出医薬剤形を対象とする。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、鎮痛効果をもたらす量で存在するオピオイドアゴニストを含む。
【0017】
ある特定の実施形態において、本発明は、疼痛を処置または防止する方法であって、その必要があると特定された患者に、本明細書において開示される固形経口持続放出医薬剤形を投与することを含み、該固形経口持続放出医薬剤形が、鎮痛有効量のオピオイドアゴニストを含む、方法を対象とする。
【0018】
ある特定の実施形態において、本発明は、固形経口持続放出医薬剤形における持続放出マトリックス製剤の使用であって、該持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(該持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含み、
該医薬剤形からの該少なくとも1種の活性薬剤の実質的にゼロ次の放出を達成するために使用される、使用を対象とする。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。
【0019】
ある特定の実施形態において、本発明は、固形経口持続放出医薬剤形における持続放出マトリックス製剤の使用であって、該持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(該持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含み、
該剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における該少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、
x+4である)における該少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数1】
に従う該剤形のインビトロ溶解速度を達成するために使用される、使用を対象とする。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。
【0020】
ある特定の実施形態において、本発明は、固形経口持続放出医薬剤形からの少なくとも1種の活性薬剤の実質的にゼロ次の放出を達成する方法であって、a)該医薬剤形を、それを必要とする対象に提供すること、またはb)37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に該医薬剤形を供することを含み、該医薬剤形が、
(1)該少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、
該持続放出マトリックス製剤を含む、
方法を対象とする。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。
【0021】
ある特定の実施形態において、本発明は、固形経口持続放出医薬剤形からの少なくとも1種の活性薬剤のあるインビトロ溶解速度を達成する方法であって、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における該少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における該少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
該溶解速度が、少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数2】
に従い、
該方法が、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に該医薬剤形を供することを含み、
該医薬剤形が、
(1)該少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、
該持続放出マトリックス製剤を含む、
方法を対象とする。ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。
【0022】
本発明を説明するに当たって、以下の用語が、以下に示されるように使用される。
【0023】
本明細書中で使用する場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数の参照を含む。
【0024】
「乱用」という用語は、本明細書の目的では、望ましい心理学的または生理学的な効果を達成するために、医薬品または物質を一度でも故意かつ非治療的に使用することと定義される。
【0025】
「乱用防止特性」という用語は、本明細書の目的では、乱用を完全に防止することはなくとも、乱用を有意義に阻止することが示される特性と定義される。
【0026】
「持続放出」という用語は、本明細書の目的では、薬物を摂取後の長期間にわたって利用可能にすることにより、従来の剤形として(例えば、溶液または即時放出剤形として)提供される薬物と比較して投薬頻度の低減を可能にするように製剤化される製品を指すものと定義される。
【0027】
「即時放出」という用語は、本発明の目的では、薬物の溶解または吸収を遅延または延長する意図なく、薬物が胃腸内容物中に溶解することを可能にするように製剤化される製品を指すものと定義される。ある特定の実施形態において、「即時放出」剤形という用語は、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解によって測定した場合、活性薬剤の少なくとも約70%を45分以内に放出する剤形を指す。
【0028】
本明細書において使用される「疑似胃液」または「SGF」という用語は、胃の条件を模倣するために溶解試験において用いられる水溶液、例えば、0.1NのHCl溶液を指す。
【0029】
「USP装置1(バスケット)」という用語は、U.S.Pharmacopoeia 39(2016)(特に、Section<711>Dissolutionを参照されたい)に記載の装置1(バスケット装置)を指す。「USP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験」という用語は、U.S.Pharmacopoeia 39(2016)(特に、Section<711>Dissolutionを参照されたい)に記載の装置1(バスケット)を使用したそれぞれの方法を指す。
【0030】
本発明の目的では、「USP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験」は、ポリエチレンオキシド含有錠剤が溶解媒体中で水和されるとバスケット頂部の固形内面またはシャフトの基部に付着する傾向を低減させるために、バスケットの上部(錠剤の上)に配置された留めばねをUSP装置1バスケットに備え付けることにより、わずかに改変された形態で使用される。例えば、外径1.5cm及び長さ2cmの不動態化ステンレス鋼316ばねを使用してよい。
【0031】
「ゼロ次放出速度」という用語は、ある期間にわたって速度が比較的一定であるような、剤形中に残存する活性薬剤の濃度とは無関係である、剤形からの活性薬剤の放出速度を指す。ゼロ次放出を呈する剤形は、時間に対して放出された活性薬剤のパーセントのグラフ表現において比較的真っすぐな線を呈する。
【0032】
本発明のある特定の実施形態において、「実質的にゼロ次の放出」とは、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数3】
に従う溶解速度をもたらす、剤形を指すものと定義される。
【0033】
「少なくとも1つのx及びyの組み合わせで」という表現は、溶解速度が上記の定義による「実質的にゼロ次の放出」速度とみなされるためには、x及びyの1つの組み合わせについてのみ、式(I)及び(II)に従う必要があることを意味する。例えば、上記に規定の条件下で、4時間において20%の量の活性薬剤、及び8時間において30%~50%の間(これらの限界は、正確に比例する40%の値にそれぞれ0.75及び1.25の係数を乗じることによって計算される)にある量の活性薬剤を放出する剤形は、その溶解速度が、少なくともx=4及びy=8の組み合わせで式(I)及び(II)に従うため、上記の「実質的にゼロ次の放出」の定義を満たす。本発明の目的では、かかる剤形は、「4時間から8時間まで実質的にゼロ次の放出」をもたらすと表現され得る。上記に規定の条件下で、8時間において40%の量の活性薬剤、及び12時間において45%~75%の間にある量の活性薬剤を放出する、別の(または同じ)剤形も同様に、少なくともx=8及びy=12の組み合わせで式(I)及び(II)に従うため、上記の「実質的にゼロ次の放出」の定義を満たす。本発明の目的では、かかる剤形は、「8時間から12時間まで実質的にゼロ次の放出」をもたらすと表現され得る。したがって、剤形が、例えば4~8時間の期間以内(x=4及びy=8)に実質的にゼロ次の放出をもたらすかどうかを評価するためには、それぞれの期間の両終点における放出%の値のペア(提示する例では、4時間及び8時間における放出%の値)を考慮することのみが必要である。ただしこの定義は、当該期間以内にある他の放出%の値のペア(例示される4~8時間の期間では、例えば4時間及び6時間における放出%の値)も比例し得ることを否定しない。
【0034】
「固形経口持続放出医薬剤形」という用語は、「持続放出マトリックス製剤」などの持続放出形態における単位用量の活性薬剤と、場合により、保護コーティングまたはカプセルなどの当技術分野において従来的な他のアジュバント及び添加剤と、場合により、剤形において使用される任意の他の付加的な特徴または成分とを含む、投与形態を指す。持続放出医薬剤形は、例えば、持続放出マトリックス製剤を含む錠剤、または多微粒子(multi particulates)の形態にある持続放出マトリックス製剤を含むカプセルであり得る。「持続放出医薬剤形」は、活性薬剤が持続放出形態にある部分と、活性薬剤が即時放出形態にある、例えば、剤形を包む活性薬剤の即時放出層、または剤形中に含まれる即時放出成分としての別の部分とを含み得る。ある特定の実施形態において、本発明に係る「固形経口持続放出医薬剤形」は、投薬レジメンにおいて1日1回または1日2回提供され得る。
【0035】
「固形経口持続放出医薬剤形」は、1種以上の持続放出マトリックス製剤を含み得る。1種より多くの持続放出マトリックス製剤がある場合、それらは、同一であってもよいし(例えば、多微粒子の形態にある持続放出マトリックス製剤の場合)、または異なっていてもよい(例えば、積層/「サンドイッチ型」、またはコア-シェル構成の場合)。本発明の目的では、「固形経口持続放出医薬剤形」という用語は、OROS(登録商標)(Osmotic Controlled Release Oral Delivery System)技術を使用した剤形を包含しない。したがって、「固形経口持続放出医薬剤形」は、好ましくは、半透性コーティングを含む剤形を除外する。しかしながら、「固形経口持続放出医薬剤形」は、例えば、持続放出マトリックス製剤上にコーティングされる外観用(cosmetic)フィルムコーティングを含んでよい。
【0036】
「持続放出マトリックス製剤」という用語は、少なくとも1種の活性薬剤(または活性薬剤の塩)、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び持続放出マトリックス材料などの少なくとも1種の持続放出特徴、例えばポリエチレンオキシドを含む、成形された固体形態の組成物と定義される。少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、例えば少なくとも1種の(C8~C18)アルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)は、放出可能形態において(すなわち、剤形が指示されたとおりに摂取された場合にアニオン性界面活性剤が放出されるように、隔離形態ではなく)、持続放出マトリックス製剤中に存在する。本組成物は、場合により、これら3種より多くの化合物、すなわち、当技術分野において従来的な他のアジュバント及び添加剤、例えば滑沢剤を含むがこれらに限定されない、更なる活性薬剤ならびに付加的な遅延剤及び/または他の物質を含んでよい。
【0037】
「界面活性剤」という用語は、両親媒性構造(疎水性部分及び親水性部分を含む)を有し、それが溶解された媒体(例えば水)の表面張力、及び/または他の相との界面張力を低下させることができる有機物質を指す。界面活性剤は更に、臨界ミセル化濃度(CMC)に達すると水相でミセルを形成する能力を特徴とする。Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,1990,Chapter 19,pages 267-271が参照され、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態において、「界面活性剤」という用語は、更に分子量が5000g/mol未満である物質を指す。ある特定のかかる実施形態では、「界面活性剤」という用語は、分子量が1000g/mol未満である物質を指す。
【0038】
「アニオン性界面活性剤」という用語は、水相において有機の負に帯電した界面活性イオン(アニオン)と対イオン(カチオン)とに解離する界面活性剤を指す。最も一般的に使用されるアニオン性界面活性剤は、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、及び硫酸イオンを含有するものである。
【0039】
アニオン性界面活性剤の例としては、アルキルカルボン酸塩及び脂肪酸塩、脂肪酸のエステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、スルホン化脂肪酸エステル、エトキシル化アルキル硫酸塩、アルキル硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、アシル乳酸塩、N-アシルサルコシン酸塩、アルキル炭酸塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルリン酸塩、及びアルキルエーテルリン酸塩が挙げられる。
【0040】
「アルキル」という用語には、明示的に別段の記載がない限り、分枝状及び直鎖状のアルキル基が含まれる。
【0041】
「ポリエチレンオキシド」(「PEO」)という用語は、当技術分野において従来的に測定した場合、好ましくは以下に更に記載するレオロジー的測定に基づいて測定した場合に、およその分子量が少なくとも25,000、好ましくはおよその分子量が少なくとも100,000であるものと定義される。およその分子量がより低い組成物は、通常、ポリエチレングリコールと呼ばれる。
【0042】
本発明の目的では、ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、レオロジー的測定に基づいて決定される。ポリエチレンオキシドは多分散ポリマーであるため、ポリエチレンオキシドのおよその分子量(レオロジー的測定に基づいて決定される)は、平均分子量に対応する。
【0043】
本発明の目的では、ある特定のおよその分子量(レオロジー的測定に基づいて決定される)を有するポリエチレンオキシドは、単一のグレードの(市販の)ポリエチレンオキシドであってもよいし、または2種以上のグレードの混合物もしくはブレンド物であってもよい。
【0044】
ポリエチレンオキシド(単一のグレードまたは複数のグレードの混合物)のおよその分子量は、次のように、レオロジー的測定に基づいて決定される:
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で50rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVT、スピンドル番号1を使用し、5%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が30~50mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、100,000であるとみなされる;
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で10rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号1を使用し、5%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が600~1,200mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、300,000であるとみなされる;
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で2rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号2を使用し、5%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が4,500~8,800mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、600,000であるとみなされる;
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で2rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号2を使用し、5%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が8,800~17,600mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、900,000であるとみなされる;
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で10rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号1を使用し、2%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が400~800mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、1,000,000であるとみなされる;
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で10rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号3を使用し、2%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が2,000~4,000mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、2,000,000であるとみなされる;
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で2rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号2を使用し、1%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が1,650~5,500mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、4,000,000であるとみなされる;
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で2rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号2を使用し、1%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が5,500~7,500mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、5,000,000であるとみなされる;
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で2rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号2を使用し、1%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が7,500~10,000mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、7,000,000であるとみなされる;
- ポリエチレンオキシドのおよその分子量は、25℃で2rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号2を使用し、1%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液が10,000~15,000mPas(cP)の粘度範囲を示すとき、8,000,000であるとみなされる。
【0045】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤が2種以上のグレードのポリエチレンオキシドを含有する場合、その中に含有される複数のポリエチレンオキシドグレードの混合物全体、あるいはそのサブグループ(単一のポリエチレンオキシドグレードのみを含む)が、レオロジー的測定に基づいて決定される所与のおよその分子量(またはおよその分子量の範囲)の定義を満たしてよい。
【0046】
本発明の目的では、上記のレオロジー試験の2つ以上の基準を満たすポリエチレンオキシド(単一のグレードまたは複数のグレードの混合物)には、それぞれのより高いおよその分子量が割り当てられる。例えば、25℃で2rpmにおいて、Brookfield粘度計Model RVF、スピンドル番号2を使用し、1%(重量による)の該ポリエチレンオキシドの水溶液において、4,000,000~5,000,000のおよその分子量の閾値である5,500mPas(cP)の粘度を示すポリエチレンオキシドには、5,000,000のおよその分子量が割り当てられる。同様に、900,000と1,000,000との両方のおよその分子量について(上記に規定のそれぞれの試験条件下で)レオロジー試験基準を満たすポリエチレンオキシド(単一のグレードまたは複数のグレードのブレンド物)には、より高い1,000,000のおよその分子量が割り当てられる。
【0047】
同様に、上記のレオロジー試験条件を使用してポリエチレンオキシド(単一のグレードまたは複数のグレードのブレンド物)について測定された粘度が、本明細書において特定のおよその分子量に割り当てられない、本明細書において「未定義の」粘度範囲内に含まれる状況が生じ得る。例えば、あるポリエチレンオキシドは、本明細書において1,000,000のおよその分子量に(上記に規定のそれぞれの試験条件下で)割り当てられた粘度範囲を超え、かつその一方で、本明細書において2,000,000のおよその分子量に(上記に規定のそれぞれの試験条件下で)割り当てられた粘度範囲を下回る粘度を示す場合がある。本発明の目的では、そのようなポリエチレンオキシドには、測定された粘度に最も近い粘度範囲に関連するおよその分子量が割り当てられる。
【0048】
「直接圧縮」という用語は、本発明の目的では、例えば、拡散ブレンド及び/または対流混合プロセス(例えば、Guidance for Industry,SUPAC-IR/MR:Immediate Release and Modified Release Solid Oral Dosage Forms,Manufacturing Equipment Addendum)を使用することにより、化合物を乾燥ブレンドするステップと、乾燥ブレンド物を圧縮して剤形を形成するステップとを含むプロセスによって、錠剤または任意の他の圧縮された剤形が作製される、錠剤化プロセスを指すものと定義される。
【0049】
Schleuniger装置を使用し、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th edition,1990,Chapter 89“Oral Solid Dosage Forms”,pages 1633-1665、これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載の破壊強度試験または錠剤硬度試験を実施する場合、平行に配置された一対の平板の間に錠剤/剤形を置き、錠剤の厚さに対して実質的に垂直かつ直径に実質的に沿って力が加えられるように、平板を用いて圧迫することにより、直径をその方向に低減させる。この低減した直径は、破壊強度試験を実施する前の錠剤の直径に基づく直径%において表される。破壊強度または錠剤硬度は、試験される錠剤/剤形が壊れるときの力と定義される。壊れないが、加えられた力に起因して変形する錠剤/剤形は、その特定の力における破壊耐性があるとみなされる。
【0050】
錠剤/剤形の強度を数量化するための更なる試験は、TA-XT.Plus Texture Analyzer(Texture Technologies Corp.,18 Fairview Road,Scarsdale,NY 10583)などのテクスチャ分析器を使用した圧入試験である。この方法では、表面がわずかに凹んだステンレス鋼スタンドの上に錠剤/剤形を置き、その後、テクスチャ分析器の降下プローブ、例えばTA-8A 1/8インチ直径ステンレス鋼ボールプローブなどを貫通させる。測定を開始する前に、降下プローブが錠剤を中心的に(pivotally)、すなわち錠剤の中心を貫通するように、かつ、降下プローブの力が錠剤の直径に対して実質的に垂直かつ厚さに実質的に沿って加えられるように、錠剤の位置をプローブ直下に合わせる。まず、テクスチャ分析器のプローブが、試験前速度で錠剤試料に向かって動き始める。プローブが錠剤表面に接触し、設定されたトリガ力に達すると、プローブは試験速度でその動きを続け、錠剤を貫通する。プローブの各貫通深さ(本明細書では以下「距離」と呼ぶ)に対して、対応する力を測定し、データを収集する。プローブが所望の最大貫通深さに達したら、方向を変えて試験後速度で元に戻り、その間に更なるデータが収集され得る。亀裂発生力は、対応する力/時間の図における到達される第1の極大値の力と定義され、例えばテクスチャ分析器ソフトウェア「Exponent V6,0,7,0」を使用して計算される。いずれかの理論に束縛されることを望むものではないが、この時点において、錠剤/剤形に対するいくらかの構造的損傷が亀裂の形態で起こると考えられる。しかしながら、本発明のある特定の実施形態による亀裂の入った錠剤/剤形は、降下プローブに対する継続的な抵抗から明らかなように、まとまりを保つ。第1の極大値に対応する距離を「亀裂発生までの貫通深さ」距離と呼ぶ。
【0051】
本発明のある特定の実施形態の目的では、「破壊強度」という用語は、好ましくはSchleuniger装置を使用して測定される錠剤/剤形の硬度を指すが、「亀裂発生力」という用語は、好ましくはテクスチャ分析器を使用した圧入試験において測定される錠剤/剤形の強度を反映する。
【0052】
本発明の目的では、「活性薬剤」という用語は、限定されるものではないが、オピオイドアゴニスト、アンタゴニスト、及び/またはオピオイド鎮痛薬を含む、薬学的に活性な物質と定義される。「活性薬剤」という用語は、活性薬剤の遊離塩基形態(別称「活性薬剤遊離塩基」または「活性薬剤遊離形態」)と、その薬学的に許容される塩(すなわち、活性薬剤の塩)との両方を包含する。活性薬剤の遊離塩基及び薬学的に許容される塩は、無溶媒形態において、例えば無水形態において、溶媒和形態において、例えば水和形態において、また錯体として、また前出のものの混合物として存在してよい。
【0053】
本発明の目的では、「オピオイドアゴニスト」という用語は、純粋なオピオイドアゴニスト、混合されたオピオイドアゴニスト-アンタゴニスト、部分的なオピオイドアゴニスト、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を意味する。「オピオイドアゴニスト」という用語は、オピオイドアゴニストの遊離塩基形態及びその薬学的に許容される塩(すなわち、オピオイドアゴニスト塩)を包含する。オピオイドアゴニストの遊離塩基及び薬学的に許容される塩は、無溶媒形態において、例えば無水形態において、溶媒和形態において、例えば水和形態において、また錯体として、また前出のものの混合物として存在してよい。
【0054】
本発明の目的では、「オキシコドン」という用語(単独で使用される場合)は、オキシコドン塩基、及びその薬学的に許容される塩の全てを意味する。オキシコドン塩基及びその薬学的に許容される塩は、無溶媒形態において、例えば無水形態において、溶媒和形態において、例えば水和形態において、また錯体として、また前出のものの混合物として存在してよい。これと同じ意味は、他の具体的に言及されるオピオイドアゴニスト、例えば「コデイン」、「ヒドロコドン」、「ヒドロモルフォン」、「メサドン」、「モルヒネ」、「オキシモルフォン」、「トラマドール」などについて準用する。
【0055】
「オピオイド鎮痛薬」という用語は、純粋なオピオイドアゴニスト、混合されたオピオイドアゴニスト-アンタゴニスト、部分的なオピオイドアゴニスト、及びそれらの混合物からなる群から選択される、鎮痛効果を有する1種以上の化合物を意味する。「オピオイド鎮痛薬」という用語は、オピオイド鎮痛薬の遊離塩基形態及びその薬学的に許容される塩(すなわち、オピオイド鎮痛薬塩)を包含する。オピオイド鎮痛薬の遊離塩基及び薬学的に許容される塩は、無溶媒形態において、例えば無水形態において、溶媒和形態において、例えば水和形態において、また錯体として、また前出のものの混合物として存在してよい。
【0056】
本発明の目的では、「オピオイドアンタゴニスト」という用語は、オピオイドアンタゴニストの遊離塩基形態及びその薬学的に許容される塩(すなわち、オピオイドアンタゴニスト塩)を包含する。オピオイドアンタゴニストの遊離塩基及び薬学的に許容される塩は、無溶媒形態において、例えば無水形態において、溶媒和形態において、例えば水和形態において、また錯体として、また前出のものの混合物として存在してよい。
【0057】
本発明の目的では、「活性薬剤の塩」という用語は、活性薬剤の薬学的に許容される塩に対応する。「活性薬剤の塩」は、無溶媒形態において、例えば無水形態において、溶媒和形態において、例えば水和形態において、また錯体として、また前出のものの混合物として存在してよい。特に、「活性薬剤の塩」という用語は、無溶媒(無水)塩及び/または水和塩を含む。
【0058】
本発明の目的では、「オピオイドアゴニスト塩」という用語及び「塩形態にあるオピオイドアゴニスト」という表現は、オピオイドアゴニストの薬学的に許容される塩を指す。「オピオイドアゴニスト塩」(及び「塩形態にあるオピオイドアゴニスト」)は、無溶媒形態において、例えば無水形態において、溶媒和形態において、例えば水和形態において、また錯体として、また前出のものの混合物として存在してよい。特に、「オピオイドアゴニスト塩」という用語は、無溶媒(無水)塩及び/または水和塩を含む。
【0059】
本発明の目的では、「オピオイドアンタゴニスト塩」という用語は、オピオイドアンタゴニストの薬学的に許容される塩に対応する。「オピオイドアンタゴニスト塩」は、無溶媒形態において、例えば無水形態において、溶媒和形態において、例えば水和形態において、また錯体として、また前出のものの混合物として存在してよい。特に、「オピオイドアンタゴニスト塩」という用語は、無溶媒(無水)塩及び/または水和塩を含む。
【0060】
「塩」という用語は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、及びミリスチン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩などの有機酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、及びアルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩を含む。
【0061】
「コデインリン酸塩」、「ヒドロコドン酒石酸水素塩」、「ヒドロモルフォン塩酸塩」、「メサドン塩酸塩」、「モルヒネ塩酸塩」、「モルヒネ硫酸塩」、「オキシコドン塩酸塩」、「オキシモルフォン塩酸塩」、及び「トラマドール塩酸塩」という用語は、無溶媒形態、例えば無水形態、溶媒和形態、例えば水和形態、及び錯体、及び前出のものの混合物を包含する。特に、前述の用語は、無溶媒(無水)塩及び/または水和塩を包含する。
【0062】
本発明の目的では、オキシコドン塩酸塩について言及するときにMw=351.82g/molの分子量が(括弧ではさまれて)付記されるときは常に、溶媒または錯化剤を含まないオキシコドン塩酸塩を指す。
【0063】
物質のUSP水溶性に関する記述用語は、次のように定義される:1gの極めて溶けやすい物質は、1mL未満の水に溶解し、1gの溶けやすい物質は、1~10mLの水に溶解し、1gのやや溶けやすい物質は、10~30mLの水に溶解し、1gのやや溶けにくい物質は、30~100mLの水に溶解し、1gの溶けにくい物質は、100~1000mLの水に溶解する。2つの溶解性クラス間の重複する閾値に対応する溶解性を有する物質は、本発明の目的では、より高い溶解性のクラスに属するとみなされる。例えば、1gの物質が30mLの水に溶解する場合、これは、やや溶けやすい(やや溶けにくいではない)物質とみなされる。
【0064】
PCT国際公開第WO2005/097801A1号、米国特許第7,129,248B2号、及び米国特許出願公開第2006/0173029A1号は、約25ppm未満、好ましくは約15ppm未満、約10ppm未満、または約5ppm未満、より好ましくは約2ppm未満、約1ppm未満、約0.5ppm未満、または約0.25ppm未満の14-ヒドロキシコデイノンレベルを有するオキシコドン塩酸塩を調製するためのプロセスを記載する。これら全ての前述の特許文献の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
本明細書において使用される「ppm」という用語は、「百万分率」を意味する。14-ヒドロキシコデイノンに関し、「ppm」は、特定の試料製品における14-ヒドロキシコデイノンの百万分率を意味する。14-ヒドロキシコデイノンレベルは、当技術分野において公知の任意の方法によって、好ましくはUV検出を使用したHPLC分析によって決定され得る。
【0066】
活性薬剤がオキシコドン塩酸塩である、本発明のある特定の実施形態では、約25ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満、約0.5ppm未満、または約0.25ppm未満の14-ヒドロキシコデイノンレベルを有するオキシコドン塩酸塩が使用される。
【0067】
「疼痛」という用語は、悪性及び非悪性起源の中等度から重度、急性、及び/または慢性の疼痛、特に悪性及び非悪性起源の重度から最も重度、急性、及び慢性の疼痛を意味し、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、及び内臓痛を含むがこれらに限定されない。例としては、がん、リウマチ、及び関節炎などの疾患に起因する重度疼痛が挙げられるが、これに限定されない。更なる例は、術後痛、群発性頭痛、歯痛、手術痛、重症熱傷に起因する疼痛、第3度熱傷からの疼痛、背部痛、腰痛、ヘルペス神経痛、幻肢痛、中枢性疼痛、骨損傷痛、ならびに陣痛及び分娩痛である。
【0068】
「患者」という用語は、病態について防止的もしくは予防的に処置されているか、または処置されるべき病態と診断されている、処置の必要性を示唆する特定の症状または複数の症状の臨床兆候を提示している対象、例えば哺乳動物、特にヒトを意味する。「対象」という用語は、「患者」という用語の定義を包括するものであり、かつ、あらゆる点で、または特定の病態に関して全く正常である個体を除外しない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】バスケットの上部(錠剤の上)に配置された留めばねを備えるUSPバスケットの概略図である。
【
図2】実施例1~4による未硬化の錠剤の溶解試験の結果を示すグラフである。
【
図3】実施例1~5による30分硬化した錠剤の溶解試験の結果を示すグラフである。
【
図4】実施例1~5の未硬化の錠剤及び硬化した錠剤について測定された亀裂発生力を示す図である。
【
図5】TA-XT.Plus Texture Analyzerを使用した圧入試験後の実施例1~4による硬化錠剤の上方視点を示す写真である。
【
図6】TA-XT.Plus Texture Analyzerを使用した圧入試験後の実施例5による硬化錠剤の上方視点を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
ある特定の実施形態において、本発明は、持続放出マトリックス製剤を含む固形経口持続放出医薬剤形であって、該持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(該持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、
固形経口持続放出医薬剤形を対象とする。
【0071】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。少なくとも1種の活性薬剤は、薬学的有効量で医薬剤形中に存在することが理解される。
【0072】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約8:10~約8:1、または約8:10~約5:1、または約2:1~約8:1、または約2:1~約5:1、または約3:1~約4:1である。
【0073】
いずれかの理論に束縛されることを望むものではないが、ある特定の事例では、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤の存在下における、ゼロ次放出速度式に向かう放出プロファイルの観察可能な直線化は、とりわけ、活性薬剤分子(例えば、そのカチオン性/プロトン化形態)とアニオン性界面活性剤との間の相互作用に起因し得ると考えられる。例えばアニオン性界面活性剤が、二価カチオン性対イオン、例えばCa2+を有する塩として製剤に添加される、ある特定の実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比を決定するために考慮されるモル量は、アニオン性化合物のモル量であり、二価カチオン性対イオンのモル量ではない。同様に、活性薬剤が、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む活性薬剤の塩として含まれる他の実施形態では、カチオン性活性薬剤分子のモル量が決定的である。
【0074】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、レオロジー的測定に基づいて、およその分子量が900,000~8,000,000、または1,000,000~8,000,000、または4,000,000~8,000,000である少なくとも1種のポリエチレンオキシドを、少なくとも約40重量%(持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量は、レオロジー的測定に基づいて、1,000,000、2,000,000、4,000,000、5,000,000、7,000,000、または8,000,000である。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量は、レオロジー的測定に基づいて、4,000,000、5,000,000、7,000,000、または8,000,000である。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量は、レオロジー的測定に基づいて、4,000,000または5,000,000である。ある特定の好ましい実施形態では、少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量は、レオロジー的測定に基づいて、4,000,000である。
【0075】
例えば、以下のポリエチレンオキシドグレードが、Dow Chemical社からPOLYOX(登録商標)Water-Soluble Resins NFの商品名で市販されており、本発明の実施形態において使用され得る。
【表1】
1 レオロジー的測定に基づく
【0076】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、約50重量%~約90重量%の該少なくとも1種のポリエチレンオキシド、または約60重量%~約90重量%の該少なくとも1種のポリエチレンオキシド、または約70重量%~約85重量%の該少なくとも1種のポリエチレンオキシド、または約70重量%~約80重量%の該少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む。示される重量百分率値は、持続放出マトリックス製剤の重量に基づく。かかる実施形態では、上記に示したようなおよその分子量を有するポリエチレンオキシドが使用され得る。
【0077】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、レオロジー的測定に基づいて、およその分子量が4,000,000~8,000,000である少なくとも1種のポリエチレンオキシドを、約50重量%~約90重量%、または約60重量%~約90重量%、または約70重量%~約85重量%、または約70重量%~約80重量%含む。示される重量百分率値は、持続放出マトリックス製剤の重量に基づく。
【0078】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、アルキルカルボン酸塩及び脂肪酸塩、脂肪酸のエステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、スルホン化脂肪酸エステル、エトキシル化アルキル硫酸塩、アルキル硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、アシル乳酸塩、N-アシルサルコシン酸塩、アルキル炭酸塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、またはそれらの混合物からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、アルキルカルボン酸塩及び脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、エトキシル化アルキル硫酸塩、アルキル硫酸塩、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0079】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤のカチオン性対イオンは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム(NH4
+)、アルカノールアンモニウム、またはそれらの混合物から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤のカチオン性対イオンは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、またはそれらの混合物から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤のカチオン性対イオンは、ナトリウム及びカリウム、またはそれらの混合物から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤のカチオン性対イオンは、ナトリウムである。
【0080】
ある特定の実施形態において、アルキルカルボン酸塩は、(C7~C17)アルキルカルボン酸塩であり(すなわち、8~18炭素原子の鎖長を有し)、脂肪酸塩は、8~18炭素原子の鎖長を有する。ある特定の実施形態において、アルキルカルボン酸塩は、(C11~C17)アルキルカルボン酸塩であり、脂肪酸塩は、12~18炭素原子の鎖長を有する。この群の例としては、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、及びオレイン酸ナトリウムが挙げられる。
【0081】
ある特定の実施形態において、アルキルスルホン酸塩は、一級または二級の(C10~C18)アルキルスルホン酸塩である。ある特定の実施形態において、アルキルスルホン酸塩は、一級(C10~C18)n-アルキルスルホン酸塩である。この群の例としては、オクタンスルホン酸ナトリウム、デカンスルホン酸ナトリウム、及びドデカンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0082】
ある特定の実施形態において、アルファ-オレフィンスルホン酸塩は、一級(C10~C18)アルファ-オレフィンスルホン酸塩である。ある特定のかかる実施形態では、アルファ-オレフィンスルホン酸塩は、直鎖状アルケニル部分を有する。この群の一例は、(C14~C16)アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムである。
【0083】
ある特定の実施形態において、アルキルアリールスルホン酸塩は、(C8~C16)アルキルベンゼンスルホン酸塩である。ある特定の実施形態において、アルキルアリールスルホン酸塩は、(C10~C16)n-アルキルベンゼンスルホン酸塩である。この群の一例は、n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0084】
ある特定の実施形態において、スルホコハク酸塩は、ジ(C4~C10)アルキルスルホコハク酸塩である。この群の例としては、ビス-(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムまたはドクサートナトリウム、及びジアミルスルホコハク酸ナトリウムが挙げられる。
【0085】
ある特定の実施形態において、エトキシル化アルキル硫酸塩は、式R1-O(CH2CH2O)p-SO3Mを有し、式中、R1は、(C8~C20)アルキルであり、pは、1~8の整数であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、またはアルカノールアンモニウム(例えば、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム)である。ある特定の実施形態において、エトキシル化アルキル硫酸塩は、式R1-O(CH2CH2O)p-SO3Mを有し、式中、R1は、(C10~C18)アルキルであり、pは、2~6の整数であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、またはアルカノールアンモニウムである。ある特定の実施形態において、エトキシル化アルキル硫酸塩は、式R1-O(CH2CH2O)p-SO3Mを有し、式中、R1は、(C12~C15)アルキルであり、pは、2~4の整数であり、Mは、ナトリウムまたはカリウム、アンモニウム、またはアルカノールアンモニウムである。ある特定のかかる実施形態では、Mは、ナトリウムまたはカリウムである。
【0086】
ある特定の実施形態において、アルキル硫酸塩は、一級または二級の(C8~C26)アルキル硫酸塩である。ある特定の実施形態において、アルキル硫酸塩は、一級または二級の(C8~C22)アルキル硫酸塩である。ある特定の実施形態において、アルキル硫酸塩は、一級(C8~C22)n-アルキル硫酸塩である。この群の例としては、n-オクチル硫酸ナトリウム、n-デシル硫酸ナトリウム、n-ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、n-テトラデシル硫酸ナトリウム、n-ヘキサデシル硫酸ナトリウム、及びn-オクタデシル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0087】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級または二級の(C8~C18)アルキル硫酸塩からなる群から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級もしくは二級の(C8~C18)アルキル硫酸ナトリウム、(C8~C18)アルキル硫酸カリウム、(C8~C18)アルキル硫酸アンモニウム、(C8~C18)アルキル硫酸アルカノールアンモニウム、またはそれらの混合物からなる群から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級もしくは二級の(C8~C18)アルキル硫酸ナトリウム、(C8~C18)アルキル硫酸カリウム、(C8~C18)アルキル硫酸アンモニウム、(C8~C18)アルキル硫酸エタノールアンモニウム、(C8~C18)アルキル硫酸ジエタノールアンモニウム、(C8~C18)アルキル硫酸トリエタノールアンモニウム、またはそれらの混合物からなる群から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級または二級の(C8~C18)アルキル硫酸ナトリウム及び(C8~C18)アルキル硫酸カリウムからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級または二級の(C8~C18)アルキル硫酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0088】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級(C8~C18)n-アルキル硫酸塩から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級(C8~C18)n-アルキル硫酸ナトリウム、(C8~C18)n-アルキル硫酸カリウム、(C8~C18)n-アルキル硫酸アンモニウム、(C8~C18)n-アルキル硫酸アルカノールアンモニウム、またはそれらの混合物からなる群から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級(C8~C18)n-アルキル硫酸ナトリウム、(C8~C18)n-アルキル硫酸カリウム、(C8~C18)n-アルキル硫酸アンモニウム、(C8~C18)n-アルキル硫酸エタノールアンモニウム、(C8~C18)n-アルキル硫酸ジエタノールアンモニウム、(C8~C18)n-アルキル硫酸トリエタノールアンモニウム、またはそれらの混合物からなる群から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級(C8~C18)n-アルキル硫酸ナトリウム及び一級(C8~C18)n-アルキル硫酸カリウムからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、一級(C8~C18)n-アルキル硫酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0089】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸塩から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アルカノールアンモニウム、またはそれらの混合物から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアンモニウム、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアンモニウム、またはそれらの混合物から選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸カリウムから選択される。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0090】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、約5重量%~約25重量%、または約10重量%~約25重量%、または約15重量%~約25重量%の該少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。示される重量百分率値は、持続放出マトリックス製剤の重量に基づく。
【0091】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤に含まれる少なくとも1種の活性薬剤は、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である。
【0092】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤(または活性薬剤の塩)は、やや溶けにくい、やや溶けやすい、溶けやすい、極めて溶けやすい、またはそれらの混合から選択されるUSP水溶性を有する。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種の活性薬剤の塩は、やや溶けやすい、溶けやすい、極めて溶けやすい、またはそれらの混合から選択されるUSP水溶性を有する。
【0093】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、アミン基をその構造に含有する。ある特定の実施形態において、アミン基は、三級アミン基である。ある特定のかかる実施形態では、アミン基は、5員または6員環内に環窒素を含む三級アミン基である。
【0094】
少なくとも1種の活性薬剤が、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である、ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤の塩のカチオン性活性薬剤分子は、アンモニウム基をその構造に含有する。ある特定のかかる実施形態では、アンモニウム基は、三級アンモニウム基である。ある特定の実施形態において、アンモニウム基は、5員または6員環内に環窒素を含む三級アンモニウム基である。
【0095】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、オピオイドアゴニストを含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、例えば、オピオイドアンタゴニストを含み得る。好適なオピオイドアンタゴニストとしては、ナロキソン(例えば、ナロキソン塩酸塩)、ナルトレキソン、メチルナルトレキソン、及びナルメフェンが挙げられる。ある特定の実施形態において、オピオイドアンタゴニストは、塩形態にある。ある特定の実施形態において、医薬剤形は、オピオイドアゴニスト及びオピオイドアンタゴニストを含み、これらはいずれも塩形態にある。
【0096】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、オピオイドアゴニストである。ある特定の実施形態において、オピオイドアゴニストは、塩形態にある。他の実施形態では、オピオイドアゴニストは、遊離形態にある。
【0097】
ある特定の実施形態において、オピオイドアゴニストは、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、タペンタドール、チリジン、トラマドール、またはそれらの混合物からなる群から選択される。ある特定のかかる実施形態では、オピオイドアゴニストは、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、メサドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、及びトラマドールからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、オピオイドアゴニストは、オキシコドンである。ある特定の実施形態において、上記に挙げたオピオイドアゴニストは、塩形態にある。そのようなオピオイドアゴニスト塩の場合、活性薬剤分子は、好ましくは、化学構造内の塩基性基、例えばアミン基のプロトン化に起因して、カチオン性である。ある特定の実施形態において、オピオイドアゴニスト塩は、塩素イオン、酒石酸水素イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びテレフタル酸イオンから選択されるアニオン性対イオンを含む。他の実施形態では、上記に挙げたオピオイドアゴニストは、遊離形態にある。
【0098】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、コデインリン酸塩、ヒドロコドン酒石酸水素塩、ヒドロモルフォン塩酸塩、メサドン塩酸塩、モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、オキシコドン塩酸塩、オキシモルフォン塩酸塩、及びトラマドール塩酸塩からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、この群の化合物のうちの1種以上を含む。
【0099】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、ヒドロコドン酒石酸水素塩、モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、及びオキシコドン塩酸塩からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、この群の化合物のうちの1種以上を含む。
【0100】
ある特定の好ましい実施形態では、少なくとも1種の活性薬剤は、オキシコドン塩酸塩であるか、またはそれを含む。ある特定のかかる実施形態では、剤形は、約5mg~約160mgのオキシコドン塩酸塩(Mw=351.82g/mol)と等モルである総量のオキシコドン塩酸塩を含む。ある特定のかかる実施形態では、剤形は、約5mg~約120mgのオキシコドン塩酸塩(Mw=351.82g/mol)と等モルである総量のオキシコドン塩酸塩を含む。ある特定のかかる実施形態では、剤形は、約10mg~約80mgのオキシコドン塩酸塩(Mw=351.82g/mol)と等モルである総量のオキシコドン塩酸塩を含む。
【0101】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、抗ヒスタミン薬(例えば、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン及びマレイン酸デクスクロルフェニラミン);非ステロイド性抗炎症剤(例えば、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、スリンダク、Cox-2阻害剤)及びアセトアミノフェン;制吐薬(例えば、メトクロプラミド、メタ-5-イルナルトレキソン(meth-5-ylnaltrexone));抗てんかん薬(例えば、フェニロイン(phenyloin)、メプロバメート(meprobmate)及びニトラゼパム);血管拡張薬(例えば、ニフェジピン、パパベリン、ジルチアゼム及びニカルジピン);鎮咳剤及び去痰薬(例えばコデインリン酸塩);抗喘息薬(例えば、テオフィリン);制酸薬;鎮痙薬(例えばアトロピン、スコポラミン);抗糖尿病薬(例えば、インスリン);利尿薬(例えば、エタクリン酸、ベンドロフルチアジド);抗低血圧薬(例えば、プロプラノロール、クロニジン);降圧薬(例えば、クロニジン、メチルドパ);気管支拡張薬(例えば、アルブテロール);ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、プレドニゾン);抗生物質(例えば、テトラサイクリン);抗痔核薬(antihemorrhoidals);睡眠薬;向精神薬;止痢薬;粘液溶解薬;鎮静薬;うっ血除去薬(例えばプソイドエフェドリン);緩下剤;ビタミン;CNS刺激薬(例えば、メチルフェニデート、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、及びマジンドール)及び食欲抑制薬(例えばフェニルプロパノールアミン)、及びカンナビノイドを含む刺激薬の群から選択される。上述の活性薬剤は、遊離塩基または塩形態のいずれで使用されてもよく、このいずれも無水形態または溶媒和形態にあってよいことが理解される。ある特定の実施形態において、医薬剤形中に用いられる活性薬剤は、塩形態にある。
【0102】
異なる実施形態では、前述の活性薬剤のうちの1種が、唯一の活性薬剤として医薬剤形中に存在する。他の実施形態では、上述の活性薬剤のうちの1種が、1種以上の他の活性薬剤(例えば、オピオイドアゴニスト及びオピオイドアンタゴニスト)と併せて医薬剤形中に存在する。
【0103】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、約2重量%~約35重量%、または約2重量%~約25重量%、または約2重量%~約20重量%の該少なくとも1種の活性薬剤(または活性薬剤の塩)を含む。示される重量百分率値は、持続放出マトリックス製剤の重量に基づく。
【0104】
ある特定の実施形態において、本剤形及び/または持続放出マトリックス製剤は、上述の少なくとも1種の活性薬剤(または活性薬剤の塩)を唯一の活性薬剤として含む。
【0105】
ある特定の実施形態において、本剤形及び/または持続放出マトリックス製剤は、1種以上のオピオイドアゴニスト(遊離塩基または塩のいずれか)(上述のとおり)を唯一の活性薬剤(複数可)として含む。ある特定の他の実施形態では、本剤形及び/または持続放出マトリックス製剤は、オピオイドアゴニスト(塩)とオピオイドアンタゴニスト(塩)との組み合わせを唯一の活性薬剤として含む。
【0106】
ある特定の実施形態において、本剤形及び/または持続放出マトリックス製剤は、1種以上のオピオイドアンタゴニスト(遊離塩基または塩のいずれかとして)を唯一の活性薬剤(複数可)として含む。ある特定の他の実施形態では、本剤形及び/または持続放出マトリックス製剤は、オピオイドアンタゴニスト(塩形態にある)とオピオイドアゴニスト(塩形態にある)との組み合わせを活性薬剤として含む。
【0107】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、滑沢剤を更に含む。ある特定のかかる実施形態では、持続放出マトリックス製剤は、約0.5重量%~約5重量%の滑沢剤、約0.5重量%~約2重量%の滑沢剤、または約0.5重量%~約1.5重量%の滑沢剤を含む。示される重量百分率値は、持続放出マトリックス製剤の重量に基づく。ある特定の実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。他の好適な滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。滑沢剤が使用される場合、滑沢剤は、アニオン性界面活性剤として使用される化合物(複数可)とは異なる。
【0108】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤(遊離塩基または塩のいずれか)、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種のポリエチレンオキシド、及び任意選択の滑沢剤は、合わせて、持続放出マトリックス製剤の約95重量%~約100重量%を構成する。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種の活性薬剤(遊離塩基または塩のいずれか)、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種のポリエチレンオキシド、及び任意選択の滑沢剤は、合わせて、持続放出マトリックス製剤の約97重量%~約100重量%を構成する。
【0109】
ある特定の実施形態では、持続放出マトリックス製剤は、少なくとも約1分間の期間にわたり、少なくとも該ポリエチレンオキシドの軟化温度である温度に持続放出マトリックス製剤を供することによって硬化される。ある特定の実施形態において、硬化ステップは、大気圧において実施される。
【0110】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、持続放出マトリックス製剤を約1分間~約24時間の期間にわたって約60℃~約90℃の温度に供することによって硬化される。ある特定の実施形態において、硬化ステップは、大気圧において実施される。
【0111】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、持続放出マトリックス製剤を約5分間~約5時間の期間にわたって約62℃~約85℃の温度に供することによって硬化される。ある特定の実施形態において、硬化ステップは、大気圧において実施される。
【0112】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、持続放出マトリックス製剤を約15分間~約2時間の期間にわたって約65℃~約85℃の温度に供することによって硬化される。ある特定の実施形態において、硬化ステップは、大気圧において実施される。
【0113】
ある特定の実施形態において、医薬剤形に含まれる持続放出マトリックス製剤の全重量は、約80mg~約320mg、または約100mg~約300mg、または約120mg~約280mgである。
【0114】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、錠剤の形態にある。ある特定のかかる実施形態では、持続放出マトリックス製剤は、錠剤の形態にあり、(保護及び/または外観用)フィルムコーティングで覆われている。好適なフィルムコーティング材料は当業者に公知である。
【0115】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤を圧入試験に供したときの亀裂発生力は少なくとも約100N、または少なくとも約120N、または少なくとも約140Nである。
【0116】
「亀裂発生力」というパラメータは、上述の圧入試験において、TA-XT.Plus Texture Analyzer(Texture Technologies Corp.,18 Fairview Road,Scarsdale,NY 10583)などのテクスチャ分析器を使用して決定される。亀裂発生力は、コーティングなしまたはコーティングありの持続放出マトリックス製剤を使用して決定され得る。好ましくは、亀裂発生力は、コーティングされていない持続放出マトリックス製剤で決定される。いずれかの理論に束縛されることを望むものではないが、上述のフィルムコーティングなどのコーティングは、観察される亀裂発生力に著しく寄与することはないと考えられる。したがって、特定のコーティングされた持続放出マトリックス製剤について決定される亀裂発生力は、対応するコーティングされていない持続放出マトリックス製剤について決定される値と実質的に異ならないと予想される。
【0117】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤を錠剤硬度試験に供したときの破壊強度は少なくとも約140Nである。
【0118】
好ましくは、持続放出マトリックス製剤の破壊強度を決定するための錠剤硬度試験は、上述のようにSchleuniger装置において行われる。例えば、破壊強度は、Schleuniger 8M装置を使用し、最大約400Nの力を加えて決定される。
【0119】
ある特定の実施形態において、持続放出マトリックス製剤は、錠剤硬度試験において約400Nの最大力に供しても壊れない。
【0120】
いずれかの理論に束縛されることを望むものではないが、持続放出マトリックス製剤中のポリエチレンオキシドの含有量が高ければ、特に、およその分子量が少なくとも1,000,000であるポリエチレンオキシドの含有量が高ければ、持続放出マトリックス製剤の亀裂発生力及び/または破壊強度が増加すると考えられる。
【0121】
インビトロ溶解
ある特定の実施形態において、本明細書に記載の固形経口持続放出医薬剤形は、少なくとも4時間、例えば4時間~8時間の期間にわたり、その中に含有された少なくとも1種の活性薬剤(または活性薬剤の塩)の実質的にゼロ次の放出をもたらす。
【0122】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載の固形経口持続放出医薬剤形は、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数4】
に従う溶解速度をもたらす。
【0123】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載の固形経口持続放出医薬剤形は、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I’)及び(II’):
【数5】
に従う溶解速度をもたらす。
【0124】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載の固形経口持続放出医薬剤形は、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I’’)及び(II’’):
【数6】
に従う溶解速度をもたらす。
【0125】
ある特定のかかる実施形態では、xは、2~8の数から選択される整数であり、yは、8~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である。
【0126】
ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、xが4であり、yが8である場合のx及びyの組み合わせについて、前述の式(すなわち、式(I)及び(II)、または式(I’)及び(II’)、または式(I’’)及び(II’’))に従う。
【0127】
ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、xが2であり、yが8である場合のx及びyの組み合わせについて、前述の式に従う。
【0128】
ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、xが8であり、yが12である場合のx及びyの組み合わせについて、前述の式に従う。
【0129】
ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、xが4であり、yが12である場合のx及びyの組み合わせについて、前述の式に従う。
【0130】
ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、xが2であり、yが12である場合のx及びyの組み合わせについて、前述の式に従う。
【0131】
ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、xが8であり、yが18である場合のx及びyの組み合わせについて、前述の式に従う。
【0132】
ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、xが4であり、yが18である場合のx及びyの組み合わせについて、前述の式に従う。
【0133】
ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、xが8であり、yが24である場合のx及びyの組み合わせについて、前述の式に従う。
【0134】
ある特定のかかる実施形態では、溶解速度は、上記に個々に挙げたx及びyの組み合わせのうちの2つ以上について、前述の式に従う。例えば、ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、(1)xが4であり、yが8である場合、及び(2)xが2であり、yが8である場合の組み合わせについて、前述の式に従う。ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、(1)xが4であり、yが8である場合、及び(2)xが8であり、yが12である場合の組み合わせについて、前述の式に従う。ある特定の実施形態において、溶解速度は、少なくとも、(1)xが4であり、yが8である場合、(2)xが2であり、yが8である場合、及び(3)xが8であり、yが12である場合の組み合わせについて、前述の式に従う。
【0135】
ある特定の実施形態において、本剤形は、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、少なくとも1種の活性薬剤の放出量(例えば少なくとも1種のオピオイドアゴニストの放出量)に関し、次の基準:
(i)2時間において、該放出量が、約5%~約30%であること、
(ii)4時間において、該放出量が、約10%~約60%であること、
(iii)8時間において、該放出量が、約25%~約100%であること、
(iv)12時間において、該放出量が、約40%~約100%であること、
(v)18時間において、該放出量が、約60%~約100%であること、
(vi)24時間において、該放出量が、約80%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす。
【0136】
一実施形態において、本発明の剤形は、基準(i)~(vi)のうちの2つ以上が満たされる溶解プロファイルをもたらす。別の実施形態において、本発明の剤形は、基準(i)~(vi)のうちの3つ以上が満たされる溶解プロファイルをもたらす。更に別の実施形態において、本発明の剤形は、基準(i)~(vi)のうちの4つ以上が満たされる溶解プロファイルをもたらす。なおも別の実施形態において、本発明の剤形は、基準(i)~(vi)のうちの少なくとも5つが満たされる溶解プロファイルをもたらす。特定の実施形態では、本発明の剤形は、基準(i)~(vi)の全てが満たされる溶解プロファイルをもたらす。
【0137】
ある特定の実施形態において、本剤形は、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、少なくとも1種の活性薬剤の放出量(例えば少なくとも1種のオピオイドアゴニストの放出量)に関し、次の基準:
(i)2時間において、該放出量が、約5%~約20%であること、
(ii)4時間において、該放出量が、約10%~約30%であること、
(iii)8時間において、該放出量が、約25%~約60%であること、
(iv)12時間において、該放出量が、約40%~約80%であること、
(v)18時間において、該放出量が、約60%~約95%であること、
(vi)24時間において、該放出量が、約80%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす。
【0138】
ある特定の実施形態において、本剤形は、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、少なくとも1種の活性薬剤の放出量(例えば少なくとも1種のオピオイドアゴニストの放出量)に関し、次の基準:
(i)2時間において、該放出量が、約5%~約20%であること、
(ii)4時間において、該放出量が、約10%~約30%であること、
(iii)8時間において、該放出量が、約25%~約55%であること、
(iv)12時間において、該放出量が、約45%~約75%であること、
(v)18時間において、該放出量が、約70%~約90%であること、
(vi)24時間において、該放出量が、約85%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす。
【0139】
ある特定の実施形態において、本剤形は、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、少なくとも1種の活性薬剤の放出量(例えば少なくとも1種のオピオイドアゴニストの放出量)に関し、次の基準:
(i)2時間において、該放出量が、約5%~約15%であること、
(ii)4時間において、該放出量が、約15%~約30%であること、
(iii)8時間において、該放出量が、約30%~約45%であること、
(iv)12時間において、該放出量が、約45%~約70%であること、
(v)18時間において、該放出量が、約70%~約90%であること、
(vi)24時間において、該放出量が、約90%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす。
【0140】
ある特定の実施形態において、本剤形は、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、少なくとも1種の活性薬剤の放出量(例えば少なくとも1種のオピオイドアゴニストの放出量)に関し、次の基準:
(i)2時間において、該放出量が、約10%~約30%であること、
(ii)4時間において、該放出量が、約25%~約60%であること、
(iii)8時間において、該放出量が、約55%~約100%であること、
(iv)12時間において、該放出量が、約80%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす。
【0141】
剤形の製造
ある特定の実施形態において、本明細書に記載の固形経口持続放出医薬剤形は、
(a)少なくとも、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシド
を混合して組成物を形成するステップと、
(b)該組成物を成形して持続放出マトリックス製剤を形成するステップと、
(c)場合により、該持続放出マトリックス製剤を、少なくとも約1分間の期間にわたり、少なくとも該ポリエチレンオキシドの軟化温度である温度に供する硬化ステップを少なくとも含む、該持続放出マトリックス製剤を硬化するステップと
を含む、プロセスによって製造される。
【0142】
ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1であり、少なくとも1種の活性薬剤は、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である。
【0143】
製造のプロセス、特に成形ステップb)及び硬化ステップc)(硬化温度、硬化の始点及び終点を含む硬化時間、ならびに硬化ステップのために使用されるデバイスを含む)は、PCT公開第WO2008/023261号、特にその段落[0046]、[00126]~[00146]、[00159]~[00161]の教示(この内容は、参照により本明細書に組み込まれる)と同様に実施され得る。
【0144】
ある特定の実施形態では、ステップb)において、錠剤の形態にある持続放出マトリックス製剤を形成するように該組成物を成形する。錠剤の形態にある持続放出マトリックス製剤を成形するためには、直接圧縮プロセスが使用され得る。直接圧縮は、湿式造粒法のようなプロセスステップを回避することによって錠剤を成形するための効率的かつ単純なプロセスである。しかしながら、湿式造粒法及びその後の錠剤を形成するための顆粒の圧縮など、当技術分野において公知の錠剤を製造するための任意の他のプロセスを使用してもよい。成形ステップb)は、押出プロセスによって、または注型プロセスによって実施されてもよい(硬化または注型中に適用される高温に起因して、その後の硬化ステップc)は必要でない場合がある)。
【0145】
ある特定の実施形態において、ステップc)の硬化は、大気圧において実施される。
【0146】
ある特定の実施形態において、ステップc)の硬化は、持続放出マトリックス製剤を約1分間~約24時間の期間にわたって約60℃~約90℃の温度に供することによって実施される。
【0147】
ある特定の実施形態において、ステップc)の硬化は、持続放出マトリックス製剤を約5分間~約5時間の期間にわたって約62℃~約85℃の温度に供することによって実施される。
【0148】
ある特定の実施形態において、ステップc)の硬化は、持続放出マトリックス製剤を約15分間~約2時間の期間にわたって約65℃~約85℃の温度に供することによって実施される。
【0149】
ある特定の実施形態において、ステップc)の硬化は、ポリエチレンオキシドの少なくとも約20%、または少なくとも約40%、または少なくとも約75%、または約100%が融解するように実施される。
【0150】
ある特定の実施形態において、上述のプロセスは、場合により硬化されている持続放出マトリックス製剤をコーティングする更なるステップd)を含む。ある特定のかかる実施形態では、コーティングは、フィルムコーティング(例えば、Opadry(登録商標)コーティングなどの外観用フィルムコーティング)である。
【0151】
ある特定の実施形態では、硬化ステップc)を行う前に最初のフィルムコーティングまたはフィルムコーティングの一部を適用する。このフィルムコーティングは、粘着防止剤として機能するための、すなわち持続放出マトリックス製剤または錠剤がくっつき合うことを回避するための、持続放出マトリックス製剤または錠剤の「オーバーコート」を提供する。ある特定のかかる実施形態では、硬化ステップの前に適用されるフィルムコーティングは、Opadry(登録商標)フィルムコーティングである。硬化ステップc)の後、更なるフィルムコーティングステップを行ってもよい。
【0152】
本発明は、本明細書に記載のプロセスによって得られる固形経口持続放出医薬剤形も対象とする。
【0153】
方法、使用、及び使用のための製品
ある特定の実施形態において、本発明は、疼痛を処置または防止する方法であって、その必要があると特定された患者に、本明細書に記載の固形経口持続放出医薬剤形を治療有効量で投与することを含む、方法を対象とする。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、鎮痛効果をもたらすためのオピオイドアゴニストを含む。
【0154】
ある特定の実施形態において、本発明は、疼痛を処置または防止する方法において使用するための、本明細書に記載の固形経口持続放出医薬剤形を対象とする。かかる実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、鎮痛効果をもたらすためのオピオイドアゴニストを含む。
【0155】
ある特定の実施形態において、本発明は、固形経口持続放出医薬剤形における持続放出マトリックス製剤の使用であって、該持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(該持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含み、
例えば、少なくとも4時間、例えば4時間~8時間の溶解期間にわたる、該剤形からの該少なくとも1種の活性薬剤の実質的にゼロ次の放出を達成するために使用される、使用を対象とする。ある特定のかかる実施形態では、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である。
【0156】
ある特定の実施形態において、本発明は、固形経口持続放出医薬剤形における持続放出マトリックス製剤の使用であって、該持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(該持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含み、
該剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における該少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における該少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数7】
に従う該剤形のインビトロ溶解速度を達成するために使用される、使用を対象とする。ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である。
【0157】
ある特定の実施形態において、本発明は、固形経口持続放出医薬剤形からの少なくとも1種の活性薬剤の(例えば、少なくとも4時間、例えば4時間~8時間の溶解期間にわたる)実質的にゼロ次の放出を達成する方法であって、持続放出マトリックス製剤を含む該剤形を準備することを含み、該持続放出マトリックス製剤が、
(1)該少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(該持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、
方法を対象とする。
【0158】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である。
【0159】
ある特定の実施形態において、本発明は、固形経口持続放出医薬剤形からの少なくとも1種の活性薬剤のあるインビトロ溶解速度を達成する方法であって、該剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における該少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における該少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
該溶解速度が、少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数8】
に従い、
該方法が、持続放出マトリックス製剤を含む該剤形を準備することを含み、該持続放出マトリックス製剤が、
(1)該少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(該持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、
方法を対象とする。
【0160】
ある特定の実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比は、約1:2~約10:1である。ある特定の実施形態において、少なくとも1種の活性薬剤は、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である。
【0161】
上述のある特定の使用及び方法において、持続放出マトリックス製剤及びインビトロ溶解速度は、固形経口持続放出医薬剤形を説明する文脈において本明細書上文に記載した特徴を有し得る。
【実施例】
【0162】
付随する実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。しかしながら、以下の説明は例証に過ぎず、決して本発明を制限するものと解釈されてはならないことを理解されたい。
【0163】
材料及び試験方法
以下の実施例1~5による錠剤の製造には、以下の材料を使用した。
【表2】
【0164】
以下の実施例1~5による錠剤について、インビトロ溶解速度、厚さ、硬度(破壊強度)、及び亀裂発生力を次に記載するように測定した。
【0165】
以下の実施例1~5による錠剤のインビトロ溶解試験を次のように行った:37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmにおいてUSP装置1(バスケット)を使用し、錠剤(未硬化、または示されている期間にわたって硬化したもの)をインビトロで試験した。錠剤が溶解媒体中で水和されるとバスケット頂部の固形内面またはシャフトの基部に付着する傾向を低減させるために、バスケットの上部(錠剤の上)に留めばね(不動態化ステンレス鋼316ばね、外径1.5cm及び長さ2cm)を配置した。試料採取の時点は、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0、12.0、及び18.0時間(または示されるとおり)を含んだ。285nm及び212nmにおけるUV検出を用い、アセトニトリル及びリン酸二水素カリウム、及びヘキサフルオロリン酸アンモニウム緩衝液からなる移動相を用いた勾配法を使用した、60℃に維持したWaters XBridge phenyl、4.6×75mm、3.5μmカラムでの逆相高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により、試料を分析した。
【0166】
未硬化の錠剤で、デジタルキャリパーを使用して、以下の実施例1~5による錠剤の厚さを測定した。
【0167】
以下の実施例1~5による錠剤の破壊強度を次のように測定した:Schleuniger 8M装置を使用して最大約400ニュートンの力を加えることによる破壊強度試験に錠剤(未硬化、または30分硬化したもの)を供して、破壊に対する錠剤の抵抗力を評価した。
【0168】
以下の実施例1~5による錠剤の亀裂発生力を次のように測定した:テクスチャ分析器を用いた圧入試験に錠剤(未硬化、または示されている期間にわたって硬化したもの)を供して、錠剤強度を数量化した。TA-8A 1/8インチ直径ステンレス鋼ボールプローブを備えたTA-XT.Plus Texture Analyzer(Texture Technologies Corp.,18 Fairview Road,Scarsdale,NY 10583)を用いて圧入試験を行った。プローブ高さは、表面がわずかに凹んだステンレススタンドの6mm上に較正した。ステンレススタンドの上に錠剤を置き、プローブ直下に位置を合わせた。各タイプの錠剤を3回(n=3)試験した。報告した値は、3回の測定の平均に対応する。同じタイプの錠剤に対して行った試験は同様の結果をもたらしたが、錠剤及びプローブの位置合わせを誤った場合を除く。そのような場合には、試験した錠剤の目視検査による確認の際にデータを却下する。圧入試験は、次のパラメータを用いて行った:試験前速度:0.5mm/秒、試験速度:0.5mm/秒、自動トリガ力:10グラム、試験後速度:1.0mm/秒、試験距離:3.0mm。
【0169】
測定の結果を以下の各実施例において報告する。
【0170】
実施例1
実施例1(比較実施例)では、40mgのオキシコドン塩酸塩を含みラウリル硫酸ナトリウムを含まない150mgの錠剤を調製した。その組成を表1に示す。
表1:実施例1の組成
【表3】
1 分析証明書によると、使用されたオキシコドンHCl材料は、含水量5.2%+残留溶媒0.08%+全不純物0.2%を有し、合計で5.48(重量)%になる。これに基づいて、調整係数は次のように計算され得る:100%-5.48%=94.52%。
2 純粋なオキシコドンHCl(Mw=351.82g/mol)の標的mg/単位
3 調整係数を適用することによって計算される、純粋なオキシコドンHCl(Mw=351.82g/mol)の標的mg/単位に達するために実際に使用されるオキシコドンHCl材料の量(mg/単位)。
【0171】
実施例1の錠剤を製造するための処理ステップは次のとおりであった。
1.ポリエチレンオキシド(60メッシュスクリーンを通してふるったPolyox WSR-301 NFで、FP材料に対応するスクリーンを通過したポリエチレンオキシドを使用し、60メッシュスクリーンに残った材料は破棄した)を、250mLの琥珀色ガラス瓶に充填した。
2.オキシコドン塩酸塩(30メッシュスクリーンを通してふるった)を添加した。
3.ステップ2の材料を2リットルのBachofen Turbula(登録商標)ミキサーに充填し、70rpmで5分間にわたってブレンドした。
4.ステアリン酸マグネシウム(30メッシュスクリーンを通してふるった)をステップ3のブレンド物に添加した。
5.ステップ4の材料を、Turbula(登録商標)ミキサーにおいて、70rpmで1分間にわたってブレンドした。
6.単一ステーションのManesty Type F3錠剤プレスにおいて、9/32インチ円形標準凹形工具を使用して、ステップ5のブレンド物を標的重量まで圧縮した。
7.ステップ6の錠剤の一部をメッシュスクリーン上に置き、およそ72℃の温度に予熱した重力流対流式オーブンにおいて、30、60、120、または240分間にわたって(示されているとおり)硬化した。ステップ6の錠剤の別の部分は未硬化のままにした。
【0172】
錠剤プレスの上パンチ貫通設定、ならびに平均錠剤重量、厚さ、破壊強度、及び亀裂発生力の測定結果を、表1a)に示す。インビトロ溶解試験の結果を表1b)に示す。
表1a)
【表4】
1 1Kp=9.807ニュートン
2 錠剤は、400Nの最大力に供したとき、変形したが壊れなかった。
表1b):実施例1のインビトロ溶解結果
【表5】
【0173】
実施例2~4
実施例2~4では、40mgまたは10mgのオキシコドン塩酸塩及び30mgのラウリル硫酸ナトリウムを含む3つの異なる錠剤を調製した。それらの組成を以下の表2~4に示す。
表2:実施例2の組成:
【表6】
表3:実施例3の組成
【表7】
表4:実施例4の組成:
【表8】
表2~4の脚注:
1 分析証明書によると、使用されたオキシコドンHCl材料は、含水量5.2%+残留溶媒0.08%+全不純物0.2%を有し、合計で5.48(重量)%になる。これに基づいて、調整係数は次のように計算され得る:100%-5.48%=94.52%。
2 純粋なオキシコドンHCl(Mw=351.82g/mol)の標的mg/単位
3 調整係数を適用することによって計算される、純粋なオキシコドンHCl(Mw=351.82g/mol)の標的mg/単位に達するために実際に使用されるオキシコドンHCl材料の量(mg/単位)。
【0174】
実施例2~4の錠剤を製造するための処理ステップは次のとおりであった:
1.ポリエチレンオキシド(60メッシュスクリーンを通してふるったPolyox WSR-301 NFで、FP材料に対応するスクリーンを通過したポリエチレンオキシドを使用し、60メッシュスクリーンに残った材料は破棄した)を、250mLの琥珀色ガラス瓶に充填した。
2.オキシコドン塩酸塩(30メッシュスクリーンを通してふるった)を添加した。
3.ラウリル硫酸ナトリウム(30メッシュスクリーンを通してふるった)も添加した。
4.ステップ3の材料を2リットルのBachofen Turbula(登録商標)ミキサーに充填し、70rpmで5分間にわたってブレンドした。
5.ステアリン酸マグネシウム(30メッシュスクリーンを通してふるった)をステップ4のブレンド物に添加した。
6.ステップ5の材料を、Turbula(登録商標)ミキサーにおいて、70rpmで1分間にわたってブレンドした。
7.単一ステーションのManesty Type F3錠剤プレスにおいて、9/32インチ円形標準凹形工具を使用して、ステップ6のブレンド物を標的重量まで圧縮した。
8.ステップ7の錠剤の一部をメッシュスクリーン上に置き、およそ72℃の温度に予熱した重力流対流式オーブンにおいて、30、60、120、または240分間にわたって(示されているとおり)硬化した。ステップ7の錠剤の別の部分は未硬化のままにした。
【0175】
実施例2~4について、ラウリル硫酸ナトリウムのオキシコドン塩酸塩(Mw=351.82g/mol)に対するモル比、錠剤プレスの上パンチ貫通設定、ならびに平均錠剤重量、厚さ、破壊強度、及び亀裂発生力の測定結果を、表2a)に示す。インビトロ溶解試験の結果を表2b)、3a)、及び4a)に示す。
表2a)
【表9】
1 1Kp=9.807ニュートン
2 錠剤は、400Nの最大力に供したとき、変形したが壊れなかった。
表2b):実施例2のインビトロ溶解結果
【表10】
表3a):実施例3のインビトロ溶解結果
【表11】
表4a):実施例4のインビトロ溶解結果:
【表12】
【0176】
実施例5
実施例5では、40mgのオキシコドン塩酸塩及び30mgのラウリル硫酸ナトリウムを含む250mgの錠剤を調製した。その組成を以下の表5に示す。
表5:実施例5の組成
【表13】
1 分析証明書によると、使用されたオキシコドンHCl材料は、含水量5.2%+残留溶媒0.08%+全不純物0.2%を有し、合計で5.48(重量)%になる。これに基づいて、調整係数は次のように計算され得る:100%-5.48%=94.52%。
2 純粋なオキシコドンHCl(Mw=351.82g/mol)の標的mg/単位
3 調整係数を適用することによって計算される、純粋なオキシコドンHCl(Mw=351.82g/mol)の標的mg/単位に達するために実際に使用されるオキシコドンHCl材料の量(mg/単位)。
【0177】
実施例5の錠剤を製造するための処理ステップは次のとおりであった:
1.ポリエチレンオキシド(60メッシュスクリーンを通してふるったPolyox WSR N-12K NFで、FP材料に対応するスクリーンを通過したポリエチレンオキシドを使用し、60メッシュスクリーンに残った材料は破棄した)を、500mLの琥珀色ガラス瓶に充填した。
2.オキシコドン塩酸塩(30メッシュスクリーンを通してふるった)を添加した。
3.ラウリル硫酸ナトリウム(30メッシュスクリーンを通してふるった)も添加した。
4.ステップ3の材料を2リットルのBachofen Turbula(登録商標)ミキサーに充填し、70rpmで5分間にわたってブレンドした。
5.ステアリン酸マグネシウム(30メッシュスクリーンを通してふるった)をステップ4のブレンド物に添加した。
6.ステップ5の材料を、Turbula(登録商標)ミキサーにおいて、70rpmで1分間にわたってブレンドした。
7.単一ステーションのManesty Type F3錠剤プレスにおいて、11/32インチ円形標準凹形工具を使用して、ステップ6のブレンド物を標的重量まで圧縮した。
8.ステップ7の錠剤の一部をメッシュスクリーン上に置き、70~72℃の温度に予熱した重力流対流式オーブンにおいて、30分間にわたって硬化した。ステップ7の錠剤の別の部分は未硬化のままにした。
【0178】
ラウリル硫酸ナトリウムのオキシコドン塩酸塩(Mw=351.82g/mol)に対するモル比、錠剤プレスの上パンチ貫通設定、ならびに平均錠剤重量、厚さ、破壊強度、及び亀裂発生力の測定結果を、表5a)に示す。インビトロ溶解試験の結果を表5b)に示す。
表5a)
【表14】
1 1Kp=9.807ニュートン
2 錠剤は、400Nの最大力に供したとき、変形したが壊れなかった。
表5b):実施例5のインビトロ溶解結果
【表15】
【0179】
本発明は、本発明のいくつかの態様の例証として意図される実施例に開示された具体的な実施形態による範囲に限定されるものではなく、機能的に同等であるあらゆる実施形態が本発明の範囲に含まれる。実際、本明細書に示され記載されたものに加えて、本発明の様々な改変形態が、当業者にとって明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0180】
いくつかの参考文献が引用されており、それらの開示内容全体は、あらゆる目的のために参照することにより本明細書に組み込まれる。
なお、本発明は、以下の態様をも含むものである。
<1>
持続放出マトリックス製剤を含む固形経口持続放出医薬剤形であって、前記持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、
前記固形経口持続放出医薬剤形。
<2>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である、上記1に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<3>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比が、約1:2~約10:1である、上記1または2に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<4>
前記剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数1】
に従う溶解速度をもたらす、上記1~3のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<5>
前記溶解速度が、少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I’)及び(II’):
【数2】
に従う、上記4に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<6>
前記溶解速度が、少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I’’)及び(II’’):
【数3】
に従う、上記4に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<7>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対する前記モル比が、約8:10~約8:1である、上記1~6のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<8>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対する前記モル比が、約8:10~約5:1である、上記1~6のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<9>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対する前記モル比が、約2:1~約8:1である、上記1~6のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<10>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対する前記モル比が、約2:1~約5:1である、上記1~6のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<11>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対する前記モル比が、約3:1~約4:1である、上記1~6のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<12>
前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量が、レオロジー的測定に基づいて、900,000~8,000,000である、上記1~11のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<13>
前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量が、レオロジー的測定に基づいて、1,000,000~8,000,000である、上記1~11のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<14>
前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量が、レオロジー的測定に基づいて、1,000,000、2,000,000、4,000,000、5,000,000、7,000,000、または8,000,000である、上記1~11のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<15>
前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量が、レオロジー的測定に基づいて、4,000,000~8,000,000である、上記1~11のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<16>
前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量が、レオロジー的測定に基づいて、4,000,000、5,000,000、7,000,000、または8,000,000である、上記1~11のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<17>
前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドのおよその分子量が、レオロジー的測定に基づいて、4,000,000である、上記1~11のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<18>
前記持続放出マトリックス製剤が、約50重量%~約90重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、上記1~17のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<19>
前記持続放出マトリックス製剤が、約60重量%~約90重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、上記1~17のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<20>
前記持続放出マトリックス製剤が、約70重量%~約85重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、上記1~17のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<21>
前記持続放出マトリックス製剤が、約70重量%~約80重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、上記1~17のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<22>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、アルキルカルボン酸塩及び脂肪酸塩、脂肪酸のエステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、スルホン化脂肪酸エステル、エトキシル化アルキル硫酸塩、アルキル硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、アシル乳酸塩、N-アシルサルコシン酸塩、アルキル炭酸塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、またはそれらの混合物からなる群から選択される、上記1~21のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<23>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、8~18炭素原子の鎖長を有する(C
7
~C
17
)アルキルカルボン酸塩及び脂肪酸塩、一級もしくは二級の(C
10
~C
18
)アルキルスルホン酸塩、一級(C
10
~C
18
)アルファ-オレフィンスルホン酸塩、(C
8
~C
16
)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジ(C
4
~C
10
)アルキルスルホコハク酸塩、式R
1
-O(CH
2
CH
2
O)
p
-SO
3
M(式中、R
1
は、(C
8
~C
20
)アルキルであり、pは、1~8の整数であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、またはアルカノールアンモニウムである)を有するエトキシル化アルキル硫酸塩、一級もしくは二級の(C
8
~C
26
)アルキル硫酸塩、またはそれらの混合物からなる群から選択される、上記1~22のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<24>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、一級または二級の(C
8
~C
18
)アルキル硫酸塩からなる群から選択される、上記1~21のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<25>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、一級(C
8
~C
18
)n-アルキル硫酸塩からなる群から選択される、上記1~21のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<26>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアンモニウム、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウム、及びラウリル硫酸トリエタノールアンモニウム、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、上記1~25のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<27>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記1~25のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<28>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、上記1~25のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<29>
前記持続放出マトリックス製剤が、約5重量%~約25重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む、上記1~28のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<30>
前記持続放出マトリックス製剤が、約10重量%~約25重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む、上記1~28のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<31>
前記持続放出マトリックス製剤が、約15重量%~約25重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む、上記1~28のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<32>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、オピオイドアゴニストを含む、上記1~31のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<33>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、オピオイドアゴニストである、上記1~31のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<34>
前記オピオイドアゴニストが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、タペンタドール、チリジン、トラマドール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、上記32または33に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<35>
前記オピオイドアゴニストが、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、メサドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、及びトラマドールからなる群から選択される、上記32~34のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<36>
前記オピオイドアゴニストが、オキシコドンである、上記32~35のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<37>
前記オピオイドアゴニストが、塩形態にある、上記32~36のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<38>
前記オピオイドアゴニストが、塩形態にあり、塩素イオン、酒石酸水素イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びテレフタル酸イオンからなる群から選択されるアニオン性対イオンを含む、上記32~37のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<39>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、コデインリン酸塩、ヒドロコドン酒石酸水素塩、ヒドロモルフォン塩酸塩、メサドン塩酸塩、モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、オキシコドン塩酸塩、オキシモルフォン塩酸塩、及びトラマドール塩酸塩からなる群から選択される、上記1~38のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<40>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、ヒドロコドン酒石酸水素塩、モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、及びオキシコドン塩酸塩からなる群から選択される、上記1~39のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<41>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、オキシコドン塩酸塩である、上記1~40のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<42>
前記持続放出マトリックス製剤が、約2重量%~約35重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種の活性薬剤を含む、上記1~41のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<43>
前記持続放出マトリックス製剤が、約2重量%~約25重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種の活性薬剤を含む、上記1~41のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<44>
前記持続放出マトリックス製剤が、約2重量%~約20重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記少なくとも1種の活性薬剤を含む、上記1~41のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<45>
前記持続放出マトリックス製剤が、滑沢剤を更に含む、上記1~44のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<46>
前記持続放出マトリックス製剤が、約0.5重量%~約5重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記滑沢剤を含む、上記45に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<47>
前記持続放出マトリックス製剤が、約0.5重量%~約2重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記滑沢剤を含む、上記45に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<48>
前記持続放出マトリックス製剤が、約0.5重量%~約1.5重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の前記滑沢剤を含む、上記45に記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<49>
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、上記45~48のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<50>
前記少なくとも1種の活性薬剤、前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、前記少なくとも1種のポリエチレンオキシド、及び任意選択の滑沢剤が、合わせて、前記持続放出マトリックス製剤の約95重量%~約100重量%を構成する、上記1~49のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<51>
前記少なくとも1種の活性薬剤、前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、前記少なくとも1種のポリエチレンオキシド、及び任意選択の滑沢剤が、合わせて、前記持続放出マトリックス製剤の約97重量%~約100重量%を構成する、上記1~50のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<52>
前記持続放出マトリックス製剤が、前記持続放出マトリックス製剤を約1分間~約24時間の期間にわたって約60℃~約90℃の温度に供することによって硬化される、上記1~51のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<53>
前記持続放出マトリックス製剤が、前記持続放出マトリックス製剤を約5分間~約5時間の期間にわたって約62℃~約85℃の温度に供することによって硬化される、上記1~52のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<54>
前記持続放出マトリックス製剤が、前記持続放出マトリックス製剤を約15分間~約2時間の期間にわたって約65℃~約85℃の温度に供することによって硬化される、上記1~53のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<55>
前記剤形に含まれる前記持続放出マトリックス製剤の全重量が、約80mg~約320mgである、上記1~54のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<56>
前記持続放出マトリックス製剤が、錠剤の形態にある、上記1~55のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<57>
前記持続放出マトリックス製剤が、錠剤の形態にあり、フィルムコーティングで覆われている、上記1~56のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<58>
前記持続放出マトリックス製剤を圧入試験に供したときの亀裂発生力が少なくとも約100Nである、上記1~57のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<59>
前記持続放出マトリックス製剤を圧入試験に供したときの亀裂発生力が少なくとも約120Nである、上記1~58のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<60>
前記持続放出マトリックス製剤を圧入試験に供したときの亀裂発生力が少なくとも約140Nである、上記1~59のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<61>
前記持続放出マトリックス製剤を錠剤硬度試験に供したときの破壊強度が少なくとも約140Nである、上記1~60のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<62>
前記剤形が、約5mg~約160mgのオキシコドン塩酸塩(Mw=351.82g/mol)と等モルである総量のオキシコドン塩酸塩を含む、上記1~61のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<63>
前記剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、次の基準:
(i)2時間において、前記放出量が、約5%~約30%であること、
(ii)4時間において、前記放出量が、約10%~約60%であること、
(iii)8時間において、前記放出量が、約25%~約100%であること、
(iv)12時間において、前記放出量が、約40%~約100%であること、
(v)18時間において、前記放出量が、約60%~約100%であること、
(vi)24時間において、前記放出量が、約80%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす、上記1~62のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<64>
前記剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、次の基準:
(i)2時間において、前記放出量が、約5%~約20%であること、
(ii)4時間において、前記放出量が、約10%~約30%であること、
(iii)8時間において、前記放出量が、約25%~約60%であること、
(iv)12時間において、前記放出量が、約40%~約80%であること、
(v)18時間において、前記放出量が、約60%~約95%であること、
(vi)24時間において、前記放出量が、約80%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす、上記1~63のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<65>
前記剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、次の基準:
(i)2時間において、前記放出量が、約5%~約20%であること、
(ii)4時間において、前記放出量が、約10%~約30%であること、
(iii)8時間において、前記放出量が、約25%~約55%であること、
(iv)12時間において、前記放出量が、約45%~約75%であること、
(v)18時間において、前記放出量が、約70%~約90%であること、
(vi)24時間において、前記放出量が、約85%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす、上記1~64のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<66>
前記剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、次の基準:
(i)2時間において、前記放出量が、約5%~約15%であること、
(ii)4時間において、前記放出量が、約15%~約30%であること、
(iii)8時間において、前記放出量が、約30%~約45%であること、
(iv)12時間において、前記放出量が、約45%~約70%であること、
(v)18時間において、前記放出量が、約70%~約90%であること、
(vi)24時間において、前記放出量が、約90%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす、上記1~65のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<67>
前記剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、次の基準:
(i)2時間において、前記放出量が、約10%~約30%であること、
(ii)4時間において、前記放出量が、約25%~約60%であること、
(iii)8時間において、前記放出量が、約55%~約100%であること、
(iv)12時間において、前記放出量が、約80%~約100%であること
のうちの少なくとも1つを満たす溶解速度をもたらす、上記1~63のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<68>
固形経口持続放出医薬剤形を調製するプロセスであって、
(a)少なくとも、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシド
を混合して組成物を形成するステップと、
(b)前記組成物を成形して持続放出マトリックス製剤を形成するステップと、
(c)場合により、前記持続放出マトリックス製剤を、少なくとも約1分間の期間にわたり、少なくとも前記ポリエチレンオキシドの軟化温度である温度に供する硬化ステップを少なくとも含む、前記持続放出マトリックス製剤を硬化するステップと
を含む、前記プロセス。
<69>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、カチオン性活性薬剤分子及び少なくとも1種のアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である、上記68に記載のプロセス。
<70>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比が、約1:2~約10:1である、上記68または69に記載のプロセス。
<71>
ステップc)において、前記持続放出マトリックス製剤を約1分間~約24時間の期間にわたって約60℃~約90℃の温度に供する、上記68~70のいずれかに記載のプロセス。
<72>
ステップc)において、前記持続放出マトリックス製剤を約5分間~約5時間の期間にわたって約62℃~約85℃の温度に供する、上記68~70のいずれかに記載のプロセス。
<73>
ステップc)において、前記持続放出マトリックス製剤を約15分間~約2時間の期間にわたって約65℃~約85℃の温度に供する、上記68~70のいずれかに記載のプロセス。
<74>
ステップc)において、前記ポリエチレンオキシドの少なくとも約20%、少なくとも約40%、または少なくとも約75%が融解する、上記68~73のいずれかに記載のプロセス。
<75>
ステップc)において、前記ポリエチレンオキシドの約100%が融解する、上記68~73のいずれかに記載のプロセス。
<76>
ステップb)において、錠剤の形態にある持続放出マトリックス製剤を形成するように前記組成物を成形する、上記68~75のいずれかに記載のプロセス。
<77>
ステップb)において、前記組成物の直接圧縮によって前記組成物を成形する、上記76に記載のプロセス。
<78>
前記持続放出マトリックス製剤をコーティングする更なるステップd)を含む、上記68~77のいずれかに記載のプロセス。
<79>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、鎮痛効果のあるオピオイドアゴニストを含む、疼痛を処置または防止する方法において使用するための、上記1~67のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形。
<80>
疼痛を処置または防止する方法であって、その必要があると特定された患者に、上記1~67のいずれかに記載の固形経口持続放出医薬剤形を投与することを含み、前記少なくとも1種の活性薬剤が、オピオイドアゴニストを含み、前記オピオイド剤が、鎮痛有効量で存在する、前記方法。
<81>
固形経口持続放出医薬剤形における持続放出マトリックス製剤の使用であって、前記持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含み、
前記剤形からの前記少なくとも1種の活性薬剤の実質的にゼロ次の放出を達成するために使用される、前記使用。
<82>
固形経口持続放出医薬剤形における持続放出マトリックス製剤の使用であって、前記持続放出マトリックス製剤が、
(1)少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含み、
前記剤形を、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に供したとき、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数4】
に従う前記剤形のインビトロ溶解速度を達成するために使用される、前記使用。
<83>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である、上記81または82に記載の使用。
<84>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比が、約1:2~約10:1である、上記81~83のいずれかに記載の使用。
<85>
固形経口持続放出医薬剤形からの少なくとも1種の活性薬剤の実質的にゼロ次の放出を達成する方法であって、持続放出マトリックス製剤を含む前記剤形を準備することを含み、前記持続放出マトリックス製剤が、
(1)前記少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(前記持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、
前記方法。
<86>
固形経口持続放出医薬剤形からの少なくとも1種の活性薬剤のあるインビトロ溶解速度を達成する方法であって、
x時間(ここで、xは、2~12の数から選択される整数である)における前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量、及び
y時間(ここで、yは、6~24の数から選択される整数であり、y≧x+4である)における前記少なくとも1種の活性薬剤の放出量に関し、
前記溶解速度が、少なくとも1つのx及びyの組み合わせで、式(I)及び(II):
【数5】
に従い、
前記方法が、37.0±0.5℃の酵素を含まない疑似胃液(SGF)900ml中で100rpmでのUSP装置1(バスケット)におけるインビトロ溶解試験に前記医薬剤形を供することを含み、
前記医薬剤形が、
(1)前記少なくとも1種の活性薬剤、
(2)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、及び
(3)少なくとも約40重量%(持続放出マトリックス製剤の重量に基づく)の少なくとも1種のポリエチレンオキシドを含む、
前記持続放出マトリックス製剤を含む、
前記方法。
<87>
前記少なくとも1種の活性薬剤が、カチオン性活性薬剤分子及びアニオン性対イオンを含む少なくとも1種の活性薬剤の塩である、上記85または86に記載の方法。
<88>
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の前記少なくとも1種の活性薬剤に対するモル比が、約1:2~約10:1である、上記85~87のいずれかに記載の方法。