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特許7335940車両ステアリングホイールとの接触又は近接を測定するための方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】車両ステアリングホイールとの接触又は近接を測定するための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20230823BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B62D1/06
G01B7/00 S
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021206660
(22)【出願日】2021-12-21
(65)【公開番号】P2022098491
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2022-01-04
(31)【優先権主張番号】2013852
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】ユーセフ-フィリップ・ダバギ
(72)【発明者】
【氏名】ヨスラ・ドライ
(72)【発明者】
【氏名】アデリス・レヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・ポテル-シャルレット
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-023012(JP,A)
【文献】特開2016-217725(JP,A)
【文献】特開2015-231829(JP,A)
【文献】特開2019-166978(JP,A)
【文献】特開2018-047816(JP,A)
【文献】特開2015-068804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
G01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ステアリングホイール(10)へのユーザの接触又は近接を測定する方法であって、
前記車両は、
前記車両ステアリングホイール(10)と、
前記車両ステアリングホイール(10)への前記ユーザの接触又は近接を検出するための少なくとも1つの検出センサ(21、22、23、24)であって、測定信号(SM)を生成するように構成された少なくとも1つの検出センサ(21、22、23、24)と、
少なくとも1つの検出閾値(S2M/1M)を記憶する第1のメモリユニットと、
前記測定信号(SM)の値を記憶するように構成された第2のメモリユニットと、
前記検出センサ(21、22、23、24)から測定信号(SM)を受信するように、及び前記測定信号(SM)を前記検出閾値(S2M/1M)と比較するように、及び前記測定信号(SM)と前記検出閾値(S2M/1M)との前記比較に基づいて前記ユーザに警告メッセージを送信することに関与するように構成された処理ユニットとを備え、
前記方法は、
前記車両ステアリングホイール(10)の使用の段階中の前記車両ステアリングホイール(10)への前記ユーザの接触又は近接を前記検出センサ(21、22、23、24)を用いて測定して、測定信号(SM)の前記生成を行うステップと、
得られた前記測定信号少なくとも1つの測定値が所定のノイズ閾値を超える場合、得られた前記測定値の少なくとも一部を前記第2のメモリユニットに記憶するステップと、
前記記憶された値及び/又は前記記憶された値に実行された処理に基づいて、前記検出閾値(S2M/1M)を調整するステップとを含む、測定方法。
【請求項2】
前記測定値が過渡的なゾーンから除外される場合、前記測定値は前記第2のメモリユニットに記憶される、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
少なくとも2つの連続する測定値が、5%超で異なる場合、測定ゾーンは過渡的であると宣言される、請求項2に記載の測定方法。
【請求項4】
前記調整された検出閾値(S2M/1M)を前記測定信号(SM)の少なくとも1つの測定値と比較するステップと、
前記測定信号(SM)と前記検出閾値(S2M/1M)との前記比較に基づいて前記ユーザに警告メッセージを送信することに関与するステップとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項5】
前記調整された検出閾値(S2M/1M)を前記測定信号(SM)の少なくとも1つの測定値と比較する前記ステップの後、複数の量又は接触性質カテゴリの中からある量又は接触性質カテゴリに前記測定値を分類するステップが続く、請求項4に記載の測定方法。
【請求項6】
前記検出閾値(S2M/1M)は、k平均値パーティショニングを含む前記記憶された値の処理に基づいて調整される、請求項1~5のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項7】
k個のパーティションが判定され、少なくとも2つの隣接するパーティションは各々、重心を有し、前記検出閾値(S2M/1M)は、前記2つの隣接するパーティションの最小重心から最大重心までに及ぶ間隔の45%~85%の範囲内であるように調整される、請求項6に記載の測定方法。
【請求項8】
前記検出閾値(S2M/1M)は、高い値及び/又は低い値によって制限される値の範囲内に調整される、請求項1~7のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項9】
前記方法は初期化段階を含み、前記初期化段階は、
前記検出閾値(S2M/1M)をベース値に初期化するステップと、
前記車両ステアリングホイール(10)の使用の段階中の前記車両ステアリングホイール(10)への前記ユーザの接触又は近接を前記検出センサ(21、22、23、24)を用いて測定して、測定信号(SM)の前記生成を行うステップと、
所定の数の値が達せられるまで、得られた前記測定信号の少なくとも1つの前記測定値を前記第2のメモリユニットに記憶するステップとを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項10】
前記第2のメモリユニットへの測定値の前記記憶は、2つの連続する測定値間の差が5%未満である場合のみ実行される、請求項9に記載の測定方法。
【請求項11】
前記第2のメモリユニットへの測定値の前記記憶は、前記測定値が所定の信頼区間内である場合のみ実行される、請求項9又は10に記載の測定方法。
【請求項12】
前記所定の数の記憶された値が達せられると、第1の検出閾値(S2M/1M)は調整され、第2の検出閾値(S2M/1M)は、前記第1の検出閾値(S2M/1M)に基づいて調整される、請求項9~11のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項13】
前記車両ステアリングホイール(10)は、前記車両ステアリングホイール(10)への前記ユーザの接触又は近接を検出するための2つのセンサを備え、
接触又は近接を測定する前記ステップ、測定値を記憶する前記ステップ、及び前記検出閾値(S2M/1M)を調整する前記ステップは、各センサについて、独立して実行される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項14】
車両の運転者用の運転者支援システムであって、
前記車両ステアリングホイール(10)への前記ユーザの接触又は近接を検出するための少なくとも1つの検出センサ(21、22、23、24)であって、測定信号(SM)を生成するように構成された少なくとも1つの検出センサ(21、22、23、24)と、
少なくとも1つの検出閾値(S2M/1M)を記憶する第1のメモリユニットと、
前記測定信号(SM)の値を記憶するように構成された第2のメモリユニットと、
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御ユニットとを備える運転者支援システム。
【請求項15】
請求項14に記載の運転者支援システムを備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、自動車に取り付けられた車両ステアリングホイールとの接触又は近接を測定するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両ステアリングホイールとの接触又は近接を測定するための方法及びデバイスは、例えば、米国特許出願公開第2017/0029021(A1)号に示されているように、関連技術において既知である。一方で、このシステムは、特に乗員コンパートメント内の環境パラメータが変動する場合、信頼できないことがある。実際、温度及び湿度における変動は、車両ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接の測定において変動を引き起こすことがある。これは、ユーザがグローブを着用している場合、又は複数のユーザが同じ車両を使用している場合にもあてはまり、手のサイズ又は汗の存在は変動し得、車両のステアリングホイールへのユーザの接触又は近接の測定において変動を引き起こし得る。
【0003】
そのような変動は、姿勢又は使用シナリオ(手全体、4つの指、2つの指などでホイールを保持している)が判定されなければならない場合、問題となり得る。この分類は、特に車両の自律運転が可能である又は許可されている場合重要であり、運転者がホイールを保持しているかどうか、どのような条件下で運転者がホイールを保持しているか、及び該運転者が車両の制御を取り戻すことができるかどうかが常にわかっていなければならない。
【0004】
特開第2019-023012(A)号には、車両ステアリングホイール検出センサの測定信号を補正する方法が開示されており、該方法は、特に、ステアリングホイールが手によって保持されていない又はユーザと接触していない状況を表す、閾値未満の値を考慮に入れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、前述の関連技術文献の欠点に対処することであり、特に、第1に、環境条件又はユーザが変動する場合でも信頼できる正確な測定値を提供する、車両ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を測定するための方法及びデバイスを提供することである。
【0006】
このために、本発明の第1の態様は、自動車ステアリングホイールとのユーザの接触又は近接を測定する方法に関し、
車両は、
車両ステアリングホイールと、
自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を検出するための少なくとも1つのセンサであって、測定信号を生成するように構成された少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの検出閾値を記憶する第1のメモリユニットと、
測定信号の値を記憶するように構成された第2のメモリユニットと、
検出センサから測定信号を受信するように、及び測定信号を検出閾値と比較するように、及び測定信号と検出閾値との比較に基づいてユーザに警告メッセージを送信することに関与するように構成された制御ユニットとを備え、
方法は、
自動車ステアリングホイールの使用の段階中の自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を検出センサを用いて測定して、測定信号の生成を行うステップと、
得られた測定の値のうちの少なくともいくつかを第2のメモリユニットに記憶するステップと、
例えば、所定の数の記憶された値が達せられると、記憶された値及び/又は記憶された値に実行された処理に基づいて、検出閾値を調整するステップとを含む。
【0007】
前述の実施態様による方法は、少なくとも1つの検出閾値を調整するステップを含み、該ステップは、既に実行された又は取得されている測定値に応じて、動的適応を提供する。その結果、方法は、閾値を調整することを可能にし、したがって、ステアリングホイールが実際に手によって保持されている又はユーザと接触しているときに、得られた測定値に基づく警告メッセージの送信を可能にし、したがって、調整は、工場事前設定基準に基づいてではなく、ユーザ、ユーザの形態(morphology)、環境条件に基づいて行われる、又は、ステアリングホイールを使用するときにグローブが着用されている場合でも行われる。
【0008】
本発明の別の代替的又は相補的な態様は、自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を測定する方法に関し得、
車両は、
車両ステアリングホイールと、
自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を検出するための少なくとも1つのセンサであって、測定信号を生成するように構成された少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの検出閾値を記憶する第1のメモリユニットと、
測定信号の値を記憶するように構成された第2のメモリユニットと、
検出センサから測定信号を受信するように、及び測定信号を検出閾値と比較するように、及び測定信号と検出閾値との比較に基づいてユーザに警告メッセージを送信することに関与するように構成された制御ユニットとを備えることができ、
方法は、
自動車ステアリングホイールの使用の段階中の自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を検出センサを用いて測定して、測定信号の生成を行うステップと、
得られた測定の値のうちの少なくともいくつかを第2のメモリユニットに記憶するステップと、
例えば、所定の数の記憶された値が達せられると、記憶された値及び/又は記憶された値に実行された処理に基づいて、2つの検出閾値間の距離又は偏差を調整するステップとを含むことができる。
【0009】
前述の実施態様によれば、検出閾値間の差が調整され得る。そのような更新はまた、既に得られた又は取得されている測定値に基づいて、動的適応を提供する。その結果、方法は、閾値を調整することを可能にし、したがって、ステアリングホイールが実際に手によって保持されている又はユーザと接触しているときに、得られた測定値に基づく警告メッセージの送信を可能にし、したがって、調整は、工場事前設定基準に基づいてではなく、ユーザ、ユーザの形態、環境条件に基づいて行われる、又は、ステアリングホイールを使用するときにグローブが着用されている場合でも行われる。
【0010】
検出閾値は各々、ユーザのステアリングホイールハンドリングシナリオ間を区別するように統計的に定義され得る。
【0011】
一実施形態によれば、第1及び/又は第2のメモリユニットは、データを記憶するためのバッファ又は任意の他のデータ記憶デバイス(又はデバイスの領域)であってもよく、データを一時的又は恒久的に記憶することを可能にする。
【0012】
一実施形態によれば、自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を検出するための当該少なくとも1つのセンサは、容量タイプ又は誘導タイプのセンサであり得る。
【0013】
一実施形態によれば、測定値が過渡的な領域から除外される場合、測定値は第2のメモリユニットに記憶され得る。過渡的な段階の測定値を除外する選択は、信頼できる調整を提供し、また、閾値調整における安定性を提供し、これは、誤検出のリスクなしに、姿勢間又は使用間を弁別するのに更に役立つ。
【0014】
一実施形態によれば、少なくとも2つの連続する測定値が、1%超、好ましくは0.5%超で異なる場合、測定ゾーンは過渡的であると宣言され得る。特に、容量センサの場合、少なくとも2つの連続する測定値が、0.5pF超、好ましくは0.3pF超で異なる場合、測定ゾーンは過渡的であると宣言され得る。
【0015】
一実施形態によれば、車両ステアリングホイールの使用の段階中の自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を測定して、測定信号の生成を行うことは、時間的に順次実行され得る。特に、所与の検出センサについて、車両ステアリングホイールの使用の段階中の自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を測定して、測定信号の生成を行うことは、時間的に順次実行され得る。特に、2つの別個の検出センサについて、車両ステアリングホイールの使用の段階中の自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を測定して、各検出センサについて測定信号の生成を行うことは、時間的に順次実行され得、検出センサ間で同期されてもよく、又は検出センサ間で同期されなくてもよい。
【0016】
一実施形態によれば、測定方法は、
調整された検出閾値を測定信号の少なくとも1つの測定値と比較するステップと、
測定信号と検出閾値との比較に基づいてメッセージ又は情報、例えば警告をユーザに送信することに関与するステップとを含むことができる。
【0017】
一実施形態によれば、検出閾値と比較するステップは、
閾値更新の前若しくは後に測定された少なくとも1つの値に、及び/又は
閾値更新の前若しくは後に測定された少なくとも1つの値から計算された平均値又は中央値などの値に実行され得る。
【0018】
一実施形態によれば、調整された検出閾値を測定信号の少なくとも1つの測定値と比較するステップの後に、複数の量又は接触性質カテゴリの中からある量又は接触性質カテゴリに測定された値を分類するステップが続き得る。分類は、典型的には、ユーザが両手(手のひらの接触及び両手の全ての指)、片手(手のひらの接触及び片手の全ての指)、4つの指、3つの指などでステアリングホイールを保持しているかどうかを判定することを可能にする。
【0019】
一実施形態によれば、得られた測定の値が所定のノイズ閾値を超える場合、並びに/又は得られた測定の値が少なくとも所定のノイズ値を超える、及び/若しくは所定の較正間隔内である場合、測定値は第2のメモリユニットに記憶され得る。換言すれば、十分に大きな測定信号値に対応する閾値のみが調整される。ゼロに近い閾値は調整されない。例えば、測定センサのフルスケール値の30%未満である閾値を調整しないよう選択してもよい。換言すれば、ノイズ閾値未満の値は考慮に入らない。これは、ステアリングホイールが手で保持されていない状況を表す。そのような状況では、検出センサによって発出された信号は弱く、該信号を考慮に入れることは、誤差又は有意性がほとんどない若しくは有意性がない計算につながり得る。この実施形態によれば、方法は、ステアリングホイールが手で保持されていないときの信号値を除外する。ステアリングホイールがユーザによってハンドリングされていない又は保持されていない寿命又は使用の段階は、警告閾値を適応させるために考慮に入らない。
【0020】
一実施形態によれば、得られた測定の値が、特定のステアリングホイールハンドリングシナリオに対応する値の範囲内にある場合、測定値は第2のメモリユニットに記憶され得る。例えば、5パーセンタイルから95パーセンタイルまでの範囲の個人について、ステアリングホイールを片手で又は両手でハンドリングすることに対応する値の間隔を定義することが可能である。
【0021】
一実施形態によれば、検出閾値は、k平均値又はk中央値へのパーティショニングを含む記憶された値の処理に基づいて調整され得る。そのようなデータ処理は、堅牢で再現性のある方法で、順次得られる測定値を値のいくつかのクラスに弁別及び分類することを可能にする。
【0022】
一実施形態によれば、k個のパーティションが判定可能であり、少なくとも1つのパーティションが重心を有することができ、検出閾値は、
当該重心の55%~15%、好ましくは当該重心の45%~25%、非常に優先的には当該重心の35%~25%の範囲内、又は
当該重心の115%~155%、好ましくは当該重心の125%~145%、非常に優先的には当該重心の125%~135%の範囲内
であるように調整され得る。
【0023】
出願人は、重心からオフセットする閾値を位置決めすることが、使用シナリオを推定するために測定値を効果的に区別することを可能にすることを見出した。
【0024】
一実施形態によれば、k個のパーティションが判定可能であり、少なくとも2つの隣接するパーティションは各々、重心を有することができ、検出閾値が、2つの隣接するパーティションの最小重心から最大重心までに及ぶ間隔の45%~85%の範囲内、好ましくは2つの隣接するパーティションの最小重心から最大重心までに及ぶ間隔の55%~75%の範囲内、非常に優先的には2つの隣接するパーティションの最小重心から最大重心までに及ぶ間隔の75%~65%の範囲内であるように調整され得る。
【0025】
前述の実施態様によれば、閾値は、2つの重心を分離する範囲の中央に位置決めされておらず、2つの重心のうちのより弱い重心に向かってシフトされており、これは、使用シナリオを推定するために、測定値間を効果的に区別することを可能にする。換言すれば、感度が増大する。
【0026】
一実施形態によれば、検出閾値は、高い値及び/又は低い値によって境界付けられた値の範囲内に調整され得る。この実施態様は、連続する測定値の収束の欠如を補う。
【0027】
一実施形態によれば、測定方法は、初期化段階を含んでもよく、初期化段階は、
検出閾値をベース値に初期化又はリセットするステップと、
自動車ステアリングホイールの使用の段階中の自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を検出センサを用いて測定して、測定信号の生成を行うステップと、
好ましくは得られた測定の値が所定の初期閾値を超える場合又は超えたとき、所定の数の値に達するまで、得られた測定の値を第2のメモリユニットに記憶するとを含む。所定の初期閾値は、ユーザの部位(例えば、少なくとも1つの指、2つの指、親指、及び別の指、手全体など)の最小領域の接触又は近接を表す値に対応し得る。
【0028】
初期化段階は、測定値の数が不十分である又は偽分類の生成を招く場合、初期分類誤差を制限することを可能にし、データ処理が、安定した信頼できる値に向けて可能な限り迅速に収束することを可能にする。
【0029】
一実施形態によれば、第2のメモリユニットへの測定の値の記憶は、2つの連続する測定値間の差が5%未満、好ましくは3%未満である場合のみ実行され得る。
【0030】
一実施形態によれば、第2のメモリユニットへの測定の値の記憶は、値が所定の信頼区間内、例えば、測定センサのフルスケールの50%~100%の値範囲内である場合のみ実行され得る。信頼区間は、誤解釈を回避するために選択され得る。例えば、両手ステアリングは、ケースの95%以上ついて所与の測定信号をもたらすことが統計的に予め判定され得、この所与の測定信号よりも高い測定値のみを考慮に入れるように選択が行われ得、ユーザが次いで両手でステアリングホイールを保持していることが確かである。
【0031】
一実施形態によれば、所定の数の記憶された値が達せられると、第1の検出閾値は調整され得、第2の検出閾値は、第1の検出閾値に基づいて調整され得る。この実施態様によれば、特定の閾値が調整されると、他の閾値が導出され得る。例えば、両手ステアリングについての閾値調整の判定を待ち、その後、両手ステアリングについての閾値に応じて片手閾値を、典型的には閾値を2で除算することによって調整することができる。これは、片手ステアリングホイール測定値を待つことを回避し、加えて、これは、不正確な調整の生成を回避することができる。特に、ステアリングホイールを1つの大きな手で保持することと、ホイールを2つの小さな手で保持することとの間の信号値を区別することは困難であり得る。これは、サイズが95パーセンタイルに対応する片手保持測定信号の値は、サイズが5パーセンタイルに対応する両手保持測定信号と混同され得るからである。
【0032】
一実施形態によれば、検出閾値は、記憶された値及び/又は記憶された値の処理のみに又は排他的に基づいて調整され得る。換言すれば、測定データのみが、閾値を調整するために使用される。更なる情報は必要でなく、プロセスは自律的であり、センサ測定値のみを使用し、次いで、センサ測定値は、調整された閾値に従って分類される。
【0033】
一実施形態によれば、車両ステアリングホイールは、車両ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を検出するための2つ以上のセンサを備えることができ、
接触又は近接を測定するステップ、測定値を記憶するステップ、及び検出閾値を調整するステップは、各センサについて、好ましくは独立して、例えば順次、又は交互に又は同時に実行され得る。これは、左手を右手と区別することを可能にし、片手のみがグローブを着用している場合又は片手のみが高温若しくは低温の空気流に曝されている場合でも、調整された信頼できる閾値を提案することを可能にする。
【0034】
一実施形態によれば、測定方法は、コンピュータ実施され得る。
【0035】
本開示の第2の態様は、車両用の運転者支援システムに関し、運転者支援システムは、
自動車ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を検出するための少なくとも1つのセンサであって、測定信号を生成するように構成された少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの検出閾値を記憶する第1のメモリユニットと、
測定信号の値を記憶するように構成された第2のメモリユニットと、
本開示の第1の態様による方法を実施するように構成された制御ユニットとを備えることができる。
【0036】
本開示の第3の態様は、本発明の第2の態様による支援システムを備えることができる自動車に関する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の実施形態の詳細な説明を読むとより明らかとなり、本発明の実施形態の詳細な説明は、これらに限定されることなく例として提供されており、以下の添付図面によって示されている。
図1図1は、車両ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を測定するためのデバイスを備えるステアリングホイールを有する車両を示す。
図2図2は、車両ステアリングホイールへのユーザの接触又は近接を測定するためのデバイスを備える図1の車両ステアリングホイールを示す。
図3図3は、図2の車両ステアリングホイールのリムの第1の代替形態の簡略断面図を示す。
図4図4は、図2の車両ステアリングホイールのリムの第2の代替形態の簡略断面図を示す。
図5図5は、図1のデバイスを用いて経時的に実行された接触又は近接測定値と、得られた測定値に基づいて測定方法によって調整された警告閾値における変化とを示すグラフを示す。
図6図6は、図5に示す閾値を調整する測定方法の初期化段階を表すグラフを示す。
図7図7は、図5の測定閾値の調整の代替形態又は補足形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、リム11を有する車両ステアリングホイール10と、車両ステアリングホイール10へのユーザの接触又は近接を測定するためのデバイス20とを備える車両を示す。測定デバイス20は、(図1には別個に表されているが)ステアリングホイール10に取り付けられている。
【0039】
測定デバイスは、ユーザとステアリングホイールとの間の接触又は近接を検出するように構成されている。典型的には、測定デバイス20は、運転者がステアリングホイールに触っているかどうか、又は更にどのような条件下で運転者がステアリングホイールに触っているか(片手、両手、リムを2つの指、3つの指で挟んでいる、など)を検出するために使用される。
【0040】
このために、車両は、例えば、中央電子制御ユニット30を更に備え、中央電子制御ユニット30は、測定デバイス20に接続されており、測定デバイスによって検出されたときにステアリングホイールが保持されているかどうか(又はステアリングホイールがどのように保持されているか)に応じて運転者に警告メッセージを送信するように、及び/又は自律運転若しくはある程度の自律運転が、測定デバイス20によって検出されたときにステアリングホイールがどのように保持されているかと適合するかどうかを決定するように構成されている。
【0041】
実際、中央電子制御ユニット30は、測定デバイス20の二次制御ユニット25(図2に示す)に接続され得、車両ステアリングホイール10がどのように保持されているかについての分類された情報を受信することができる。特に、中央電子制御ユニット30は、測定デバイス20が、ステアリングホイールが両手、片手などで保持されているという処理された情報を送信することができるように設けられ得る。
【0042】
このために、図2図3、及び図4に示すように、車両ステアリングホイール10は、特にリム11の領域において、検出センサ21、22、23、24を備え、検出センサ21、22、23、24は各々、車両ステアリングホイール10へのユーザの接触又は近接を検出することができ、検出センサ21、22、23、24の各々は、処理のために車両ステアリングホイール10の二次制御ユニット25に送信される測定信号を生成するように構成されている。実際、図示されていないが、好ましくはステアリングホイールに取り付けられた二次制御ユニット25は、典型的には、処理ユニットと、少なくとも1つの検出閾値を記憶する第1のメモリユニットと、測定信号の値を記憶するように構成された第2のメモリユニットとを備える。
【0043】
図3は、リム11の第1の代替形態の軸III-IIIに沿う断面を示し、リム11の右手側及び左手側が示されている。左手側に、第1の検出センサ21が、運転者の反対側の上部に位置決めされている。同様に、第2の検出センサ22が、右手側に、リム11の上部に位置決めされている。最後に、第3の検出センサ23が、左及び右に、リム11の下部に位置決めされている。下部における2つの別個の右センサ/左センサ、及び上部における単一のセンサである「ミラー」構成が提供され得る。換言すれば、図3のこの実施態様によれば、リム11は、3つの別個の検出センサ、すなわち、リム11の頂部又は底部における右/左、及び反対側の部分における共通の検出センサを備える。
【0044】
図4は、リム11の第2の代替形態の軸III-IIIに沿う断面を示し、リム11の右手側及び左手側が示されている。この実施態様では、4つの検出センサ21、22、23、24が設けられており、リム11の左半分又は右半分毎に2つのセンサ、すなわち、図4のリム11の上部における1つの検出センサ21又は22、及び図4のリム11の下部における1つの検出センサ23又は24が設けられている。
【0045】
他の構成では、より多くの又はより少ない検出センサ(典型的には、1つ又は2つのセンサ)が設けられてもよく、該検出センサは、車両ステアリングホイール10のリム11及び/又はスポークのより多く又はより少ない部分をカバーする。ヒータ、インフォテインメントデバイスのディスプレイ又は制御部などの他の電気機器又は電子機器が、車両ステアリングホイール10又はリム11に設けられてもよい。いずれの場合でも、検出センサは、典型的にはリム11の装飾シースの下に配置された容量タイプの検出センサであり得る。典型的には、電流又は電圧が検出センサに印加して、車両ステアリングホイール10への運転者の接触又は近接に基づいて変動する静電容量を導出する。
【0046】
前述したように、各検出センサからの信号は、二次制御ユニット25によって受信され、情報を評価するために、かつ運転者が車両ステアリングホイール10をどのように保持しているかを情報から推定するために、例えば、値を増幅するステップ、及び/又は値をフィルタリングするステップ、及び/又は値を平滑化するステップ、及び/又は値をサンプリングするステップ、及び/又は値をデジタル化するステップ、及び/又は値を記憶するステップ、及び/又は閾値と比較するステップ、及び/又は比較に基づいて保持を分類するステップ、及び/又は処理された信号若しくは得られた測定値の分類を中央電子制御ユニット30に送信するステップが提供され得る。
【0047】
図5は、経時的な測定信号、及び本開示による方法によって実行される処理の例を示す。
【0048】
詳細には、経時的な表現は、
リム11検出センサのうちの1つ(例えば、図3のセンサ23)の測定信号SMについての実線、
リムが両手で保持されているときの測定値の重心B2M(又は平均)の計算についての小さな点線、
ステアリングホイールが両手又は片手で保持されていることを示す測定値を分類するように適用された閾値S2M/1Mについての破線、
リムが片手で保持されているときの測定値の重心B1M(又は平均)の計算についての一点鎖線、
考慮する最小閾値SB、又はノイズ閾値を示すための二点鎖線
として実現される。
【0049】
時間T1の前に、測定信号SMは弱い又は無(nil)であり、このため、該当の検出センサにおいて、運転者がリム11を保持していないことが推定され得る。グラフに示すように、信号は、考慮する最小閾値SB未満であり、値は無視され、閾値調整について考慮されない。実際、ステアリングホイールが手によって保持されていないときの測定値を考慮に入れることは、適当でない及び/又は有意でない閾値調整を行うことを意味し得る。更に、考慮する最小閾値SBを超える値のみを考慮に入れることは、その後の調整がステアリングホイールハンドリング/保持状況を真に反映することを確実にする。以下のパラメータ、すなわち、ユーザの形態(手が小さい又は大きい)、又は使用の状態(ユーザがグローブを着用している)、又は環境条件(空気が非常に乾燥している又は非常に湿潤である)、又は温度は、信号値に影響を及ぼし得る。
【0050】
しかしながら、時間T1において、測定信号SMは増大し、考慮する最小閾値SBを超え、次いで、ステアリングホイールが両手で保持されていることを示す閾値S2M/1Mを超える。測定信号SMが考慮する最小閾値SBを超え安定化する(すなわち、2つの連続する測定値は、例えば3%未満で異なる)とすぐに、(ステアリングホイールが両手で保持されていることを示す値の)重心B2Mが、T1の少し後に更新されることがわかる。このために、測定信号SMの測定値は、二次制御ユニット25の処理ユニットが閾値S2M/1Mを更新するときに使用されるように、二次制御ユニット25の第2のメモリユニットに記憶され得る。例えば、T1とT2の間の値が安定するとすぐに、T1とT2との間の値の平均値、ローリング平均値、k平均値計算を行うことが可能である。
【0051】
重心B2M(両手保持)がT1後に更新されるとすぐに、閾値S2M/1Mは、実質的に増大されることによって更新されて、重心B2Mから距離D2に配置され、重心B1M(片手保持)から距離D1に配置されることに留意されたい。
【0052】
有効な区別を行うために、重心B2Mと重心B1Mとの間の間隔に対して閾値S2M/1Mをオフセットすることを選択することが可能である。特に、
0.45(B2M-B1M)<D2<0.85(B2M-B1M)
を選択することが可能である。
【0053】
したがって、
0.65(B2M-B1M)<D1<0.15(B2M-B1M)
である。
【0054】
より好ましくは、
0.65(B2M-B1M)<D2<0.75(B2M-B1M)
である。
【0055】
したがって、
0.35(B2M-B1M)<D1<0.25(B2M-B1M)
である。
【0056】
時間T2において、測定信号SMは、更新された閾値S2M/1M未満に低下し、一時的に安定化し、これは、ステアリングホイールリム11が片手で保持されているときに、測定信号値の重心B1Mの値を更新することを可能にする。T2の直後、重心B1Mが更新されている間に、重心B2Mは更新されないが、代わりに、閾値S2M/1Mは、重心B1Mの更新を反映するために、実質的に増大するように調整されることに留意されたい。
【0057】
次いで、T2とT3との間で、ステアリングホイールは、両手又は片手で連続的に保持されており、重心及び閾値がわずかに更新される。
【0058】
しかしながら、時間T3において、考慮する最小閾値SB未満及び閾値S2M/1M未満に低下した測定信号SMは、閾値S2M/1M未満のままでありながら、片手についての以前の値よりも高いレベルへ上昇する。これは、姿勢、温度、又は湿度における変化のためであり得、値は閾値S2M/1Mに近く、これは、ステアリングホイールが片手で保持されているという誤解釈につながり得る。
【0059】
しかしながら、信号が閾値SB未満であるが、次いで自動的に再開及び実行される期間中に更新が停止されるため、重心B1Mが迅速に再計算されて増大して、閾値S2M/1Mが、重心B1Mと閾値S2M/1Mとの間に有意差を提供するように調整されることに留意されたい。片手保持と両手保持との区別は、依然として信頼できる。
【0060】
時間T4において、ステアリングホイールは再び両手で保持され、測定信号SMは再びT1とT2との間の値よりも高く、これは、値が安定化するとすぐに重心B2Mを再び更新し、該重心B2Mに応じて閾値S2M/1Mが調整される。T3とT4との間で重心B2Mは更新されず、T4とT5との間で重心B1Mは更新されず、これは、これらの時間における測定信号SMの値が他のカテゴリに属するためであることに留意されたい。
【0061】
最後に、時間T6において、片手保持範囲における測定信号SMの値の減少が認められ得、これは、重心B2Mが変動しない場合でも、重心B1M、したがって閾値S2M/1Mの減少を自動的に引き起こす。
【0062】
重心B2M及びB1Mの経時的な更新、及び閾値S2M/1Mのその後の調整は、1つの特定のステアリングホイールグリップスタイルを別のものと明確にかつ効果的に区別するように、閾値が運転者(運転者の形態、グローブ着用など)及び車両内の条件(温度、湿度など)に動的に適応されることを確実にする。
【0063】
閾値S2M/1Mが調整されると、4つの指又は3つの指の保持閾値などの別の閾値を、所定の変換率を適用することによって調整することが提供され得ることにも留意されたい。これは、閾値を調整するために、考慮されている領域において測定値を得るのを待たないという利点を有する。これはまた、低い値(すなわち、相対的な測定誤差がより大きい値)での閾値調整、又は範囲の重複のため分類が有害であり得る(大きい手の3つの指は小さな手の4つの指と混同され得る)閾値調整を行うことを回避することができる。
【0064】
図6は、測定値を誤った割り当て又はクラスに分類することを回避するための、閾値の初期化の段階を示す。これは、測定値の最適な特徴付けに向かうより迅速な収束を可能にする。
【0065】
実際、図6は、ステアリングホイールグリップのカテゴリ、割り当て、又はクラスを区切る値を示す。例えば、両手ステアリングホイールグリップについての測定値は、最大M2Mと最小m2Mとの間にある(これらの値は、例えば、95%、又は5パーセンタイルから95パーセンタイルまでをカバーする集団に関する統計に基づいて定義され得る)。次いで、片手ステアリングホイールグリップの測定値は、最大M1Mと最小m1Mとの間にある。
【0066】
次いで、M1Mとm2Mとの間の測定値が曖昧であり、片手ステアリング又は両手ステアリングに割り当てられないことに留意されたい。
【0067】
誤ったカテゴリにおける重心の更新を回避するために、(コールドスタート又は長期間の非アクティブ後の)車両の使用の開始において、所定の閾値が適用され得、所定の閾値は、測定信号SMの値が「信頼」区間内であるまで調整されないことが意図されている。例えば、図6では、ステアリングホイールが両手でのみ保持され得ることが確かであるM1MとM2Mとの間の間隔における測定信号SMの値を待つことが予見され得る。したがって、T1の前に、閾値S2M/1Mは調整されず、M1MとM2Mとの間で(したがって閾値SBも超える)安定した測定値が得られたときにのみ、閾値S2M/1Mの調整が開始される。この初期化段階は、閾値S2M/1Mが(本質的に最大に)調整されると、考慮される値の範囲で測定値が得られなかった場合でも、1つ以上の所定の変換率で全ての他の閾値を自動調整することを含み得る。
【0068】
図7は、いくつかの検出閾値が適用及び監視される場合の、経時的な測定信号、及び本開示による方法によって実行される処理の例を示す。
【0069】
詳細には、経時的な表現は、
図5及び図6と同じである測定信号SMについての実線、
ステアリングホイールが両手又は片手で保持されていることを示す測定値を分類するように適用された閾値S2M/1Mについての大きな破線(図5と同一)、
ステアリングホイールが片手のみで保持されていること、又は手では保持されていない(すなわち、全く保持されていない、又は1つ若しくは2つの指で保持されている)ことを示す測定値を分類するように適用された閾値S1M/0Mについての小さな破線、
それよりも小さい場合測定値が考慮に入らない及び/又は計算記憶ユニットに記憶されないノイズ閾値SBについての二点鎖線
として実現される。
【0070】
図5に示す始動シーケンスの間、閾値S2M/1Mを更新することが可能であることがわかった。図7に示すこの状況の文脈では、閾値S1M/0Mを更新することも選択することができ、このため、これら2つの閾値間の差は、例えば、時間T1、T2、又はT3において見られるように、これら2つの閾値間の差が変動し得る。
【0071】
時間T2において行われるように(閾値S1M/0MはT2の前には変動しない)、閾値S2M/1Mがある値を超える場合のみ閾値S1M/0Mを更新すること、及び/又は時間T2後に行われるように、閾値S2M1Mに対して減少係数(reduction factor)を適用することによって、閾値S1M/0Mを更新することが予見され得る。したがって、運転者の形態、乗員コンパートメント内の温度及び/又は湿度などに対応するステアリングホイールグリップの値に従って更新された2つの進化的な検出閾値を有し、これは検出閾値の関連性を改善する。各閾値は、特定の規則に従って、同時に又は互いに独立して更新され得ることに留意されたい。
【0072】
いずれの場合でも、更新は、好ましくは、ステアリングホイールが全くグリップされていない間ではなく、乗員がステアリングホイールに触っている間に得られた測定値に基づいて行われ、したがって、考慮に入れられる信号が、ゼロを有意に超える、又はそれよりも小さい場合ステアリングホイールがグリップされているかどうかがわからないノイズ閾値を有意に超えることを確実にする。これは、比率が小さく変動が大きい値の計算が行われることを防止する。
【0073】
当業者にとって自明である異なる修正及び/又は改善が、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されている本発明の異なる実施形態になされてもよいことが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7