(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】誘導加熱ラインビレット押出システム及びジョイント押出ロッドアセンブリを用いた方法
(51)【国際特許分類】
B21B 39/06 20060101AFI20230823BHJP
B21J 1/06 20060101ALI20230823BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B21B39/06
B21J1/06 Z
H05B6/10 371
(21)【出願番号】P 2021505622
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 US2019026994
(87)【国際公開番号】W WO2019200101
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-16
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520397301
【氏名又は名称】クリントン・マシーン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CLINTON MACHINE,INC.
【住所又は居所原語表記】1300 S. Main Street,Ovid,Michigan 48866 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】テッド・エル・ロズナック
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・スタンリー・ドマガラ
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-029086(JP,B1)
【文献】特開昭58-107419(JP,A)
【文献】特公昭46-027645(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 39/00 - 41/12
B21J 1/06
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気誘導加熱ラインビレット押出ロッド
のセットであって、
各押出ロッドは、
長手方向に配向された中央断面軸を有する中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションと、
前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの第1の対向する長手方向に配向された断面端部に形成された雌の押出ロッド端部セクションと、
前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの第2の対向する長手方向に配向され
た断面端部に形成された雄の押出ロッド端部セクションと
を含み、
前記雌の押出ロッド端部セクションは、前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する中央に配置されたヨークを含み;前記中央に配置されたヨークは、前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する第1の側壁及び第2の側壁と、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の間において、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から形成された内壁を有し;前記第1の側壁及び前記第2の側壁は、長手方向に配向された断面軸から垂直に中心から外れて配置された第1の横方向ピボット穴及び第2の横方向ピボット穴を有し;前記第1の横方向ピボット穴及び前記第2の横方向ピボット穴は互いに横方向に整列しており;
前記雄の押出ロッド端部セクションは、前記第2の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する中央に配置された垂直タブを含み、前記中央に配置された垂直タブは、長手方向に配向された中央断面軸から垂直に中心から外れて配置された第3の横方向ピボット穴を有し、前記中央に配置された垂直タブが前記中央に配置されたヨークの第1側壁と第2側壁の間に挿入されると、前記第3の横方向ピボット穴は横方向において前記第1の横方向ピボット穴及び前記第2の横方向ピボット穴と整列
し、
前記第1、第2、及び第3の横方向ピボット穴が整列すると、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の先端が回転制限を提供する、
電気誘導加熱ラインビレット押出ロッド
のセット。
【請求項2】
さらに、少なくとも1つの長手方向に配向された溝付き領域から形成され、少なくとも部分的に前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションに沿って形成された磁場破壊機構を含む、請求項1に記載の電気誘導加熱ラインビレット押出ロッド
のセット。
【請求項3】
連続的かつ回転可能に一緒にジョイントされた複数の押出ロッドと、ピボットジョイント固定要素とを含む、電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリであって、
前記複数の押出ロッドのそれぞれが、長手方向に配向された中央断面軸を有する中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションと、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの第1の対向する長手方向に配向された断面端部に形成された雌の押出ロッド端部セクションと、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの第2の対向する長手方向に配向され
た断面端部に形成された雄の押出ロッド端部セクションとを含み、
前記雌の押出ロッド端部セクションは、前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する中央に配置されたヨークを含み;前記中央に配置されたヨークは、前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する第1の側壁及び第2の側壁と、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の間において、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から形成された内壁を有し;前記第1の側壁及び前記第2の側壁は、長手方向に配向された中央断面軸から垂直に中心から外れて配置された第1の横方向ピボット穴及び第2の横方向ピボット穴を有し;前記第1の横方向ピボット穴及び前記第2の横方向ピボット穴は互いに横方向に整列しており;
前記雄の押出ロッド端部セクションは、前記第2の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する中央に配置された垂直タブを含み、前記中央に配置された垂直タブは、長手方向に配向された中央断面軸から垂直に中心から外れて配置された第3の横方向ピボット穴を有し、前記中央に配置された垂直タブが前記中央に配置されたヨークの第1側壁と第2側壁の間に挿入されると、前記第3の横方向ピボット穴は横方向において前記第1の横方向ピボット穴及び前記第2の横方向ピボット穴と整列し、
前記ピボットジョイント固定要素は、前記複数の押出ロッドの隣接する押出ロッドの前記第1、第2、及び第3の横方向ピボット穴を横方向から通過し、
前記第1の側壁及び前記第2の側壁の先端による回転制限付きの回転ジョイントを形成する、
電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリ。
【請求項4】
前記ピボットジョイント固定要素は、クレビスピンの両端に固定された
スナップリングを含み、前記第1、第2及び第3の横方向ピボット穴を通して前記クレビスピンを保持する、請求項3に記載の電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリ。
【請求項5】
さらに、前記複数の押出ロッドのヘッドの押出ロッドに回転可能に接続されたノーズアダプタを含む、請求項3に記載の電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の押出ロッドのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの長手方向に配向された溝付き領域から形成され、少なくとも部分的に前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションに沿って形成された磁場破壊機構を含む、請求項3に記載の電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の押出ロッドのそれぞれの前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの長さは等しい、請求項3に記載の電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリ。
【請求項8】
電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリと、押出ロッドアセンブリ格納エンクロージャと、押出ロッドアセンブリドライバシステムとを含む、電気誘導加熱ラインビレット押出システムであって、
前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリは、連続的かつ回転可能に一緒にジョイントされた複数の押出ロッドと、ピボットジョイント固定要素とを含み、
前記複数の押出ロッドのそれぞれが、長手方向に配向された中央断面軸を有する中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションと、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの第1の対向する長手方向に配向された断面端部に形成された雌の押出ロッド端部セクションと、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの第2の対向する長手方向に配向され
た断面端部に形成された雄の押出ロッド端部セクションとを含み、
前記雌の押出ロッド端部セクションは、前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する中央に配置されたヨークを含み;前記中央に配置されたヨークは、前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する第1の側壁及び第2の側壁と、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の間において、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から形成された内壁を有し;前記第1の側壁及び前記第2の側壁は、長手方向に配向された断面軸から垂直に中心から外れて配置された第1の横方向ピボット穴及び第2の横方向ピボット穴を有し;前記第1の横方向ピボット穴及び前記第2の横方向ピボット穴は互いに横方向に整列しており;
前記雄の押出ロッド端部セクションは、前記第2の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する中央に配置された垂直タブを含み、前記中央に配置された垂直タブは、長手方向に配向された中央断面軸から垂直に中心から外れて配置された第3の横方向ピボット穴を有し、前記中央に配置された垂直タブが前記中央に配置されたヨークの第1側壁と第2側壁の間に挿入されると、前記第3の横方向ピボット穴は横方向において前記第1の横方向ピボット穴及び前記第2の横方向ピボット穴と整列し、
前記ピボットジョイント固定要素は、前記複数の押出ロッドの隣接する押出ロッドの前記第1、第2、及び第3の横方向ピボット穴を横方向から通過し、
前記第1の側壁及び前記第2の側壁の先端による回転制限付きの回転ジョイントを形成し、
前記押出ロッドアセンブリ格納エンクロージャは、前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリの使用準備完了格納のための線形の格納セクションと円弧状の格納セクションを含み、前記円弧状の格納セクションは、前記線形の格納セクションの第1端部に接続され、電気誘導加熱ラインに隣接して配置された前記円弧状の格納セクションの開口端を通って移動する前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリの方向を逆にするように構成され、前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリのヘッドの押出ロッドは、前記円弧状の格納セクションの前記開口端に配置され、前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリのテールの押出ロッドは、前記第1端部とは反対の、前記線形の格納セクションの第2端部に配置されており、
前記押出ロッドアセンブリドライバシステムは、前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリに係合し、交互に、前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリを押出ロッドアセンブリ格納エンクロージャから前記電気誘導加熱ラインに展開し、及び前記電気誘導加熱ラインから後退させる、
電気誘導加熱ラインビレット押出システム。
【請求項9】
前記押出ロッドアセンブリドライバシステムは、前記押出ロッドアセンブリ格納エンクロージャ内の前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリに選択的に係合及び解放する1対のピンチロールを含む、請求項8に記載の電気誘導加熱ラインビレット押出システム。
【請求項10】
前記複数の押出ロッドのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの長手方向に配向された溝付き領域から形成され、少なくとも部分的に前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションに沿って形成された磁場破壊機構を含む、請求項8に記載の電気誘導加熱ラインビレット押出システム。
【請求項11】
前記ピボットジョイント固定要素は、クレビスピンの両端に固定された
スナップリングを含み、前記第1、第2及び第3の横方向ピボット穴を通して前記クレビスピンを保持する、請求項8に記載の電気誘導加熱ラインビレット押出システム。
【請求項12】
さらに、前記ヘッドの押出ロッドに回転可能に接続されたノーズアダプタを含む、請求項8に記載の電気誘導加熱ラインビレット押出システム。
【請求項13】
前記複数の押出ロッドのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの長手方向に配向された溝付き領域から形成され、少なくとも部分的に前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションに沿って形成された磁場破壊機構を含む、請求項8に記載の電気誘導加熱ラインビレット押出システム。
【請求項14】
電気誘導加熱ラインから加熱されたビレットを押し出す方法であって、
前記電気誘導加熱ラインに、最終バッチビレットで終了する電気誘導加熱用のビレットのバッチを装填すること、
押出ロッドアセンブリドライバシステムを用いて、押出ロッドアセンブリ格納器の円弧状の格納セクションから「使用準備完了」位置に電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリを展開すること、
ビレット押出システムコントローラを用いて、誘導加熱ラインドライバの速度とトルクに応答して押出ロッドアセンブリドライバシステムの展開速度とトルクを調整し、ヘッドの押出ロッド又はヘッドアダプタと前記最終バッチビレットと接触させ、前記最終バッチビレットが前記電気誘導加熱ラインを出るまで、前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリを前記最終バッチビレットの後ろに展開させること、及び
前記押出ロッドアセンブリドライバシステムを用いて、前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリを前記押出ロッドアセンブリ格納器の前記円弧状の格納セクションの「使用準備完了」の位置に後退させること、
を含み、
前記電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリは、連続的かつ回転可能に一緒にジョイントされた複数の押出ロッドと、ピボットジョイント固定要素とを含み、
前記複数の押出ロッドのそれぞれが、長手方向に配向された中央断面軸を有する中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションと、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの第1の対向する長手方向に配向された断面端部に形成された雌の押出ロッド端部セクションと、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの第2の対向する長手方向に配向され
た断面端部に形成された雄の押出ロッド端部セクションとを含み、
前記雌の押出ロッド端部セクションは、前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する中央に配置されたヨークを含み;前記中央に配置されたヨークは、前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する第1の側壁及び第2の側壁と、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の間において、前記中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションの前記第1の対向する長手方向に配向された断面端部から形成された内壁を有し;前記第1の側壁及び前記第2の側壁は、長手方向に配向された中央断面軸から垂直に中心から外れて配置された第1の横方向ピボット穴及び第2の横方向ピボット穴を有し;前記第1の横方向ピボット穴及び前記第2の横方向ピボット穴は互いに横方向に整列しており;
前記雄の押出ロッド端部セクションは、前記第2の対向する長手方向に配向された断面端部から軸方向に延在する中央に配置された垂直タブを含み、前記中央に配置された垂直タブは、長手方向に配向された中央断面軸から垂直に中心から外れて配置された第3の横方向ピボット穴を有し、前記中央に配置された垂直タブが前記中央に配置されたヨークの第1側壁と第2側壁の間に挿入されると、前記第3の横方向ピボット穴は横方向において前記第1の横方向ピボット穴及び前記第2の横方向ピボット穴と整列し、
前記ピボットジョイント固定要素は、前記複数の押出ロッドの隣接する押出ロッドの前記第1、第2、及び第3の横方向ピボット穴を横方向から通過し、
前記第1の側壁及び前記第2の側壁の先端による回転制限付きの回転ジョイントを形成する、
電気誘導加熱ラインから加熱されたビレットを押し出す方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2018年4月12日に出願された米国仮出願第62/656,630号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、一般に、加熱ビレット鍛造ラインなどの工業用ビレット加熱プロセスラインからビレットをパージするためのシステム及び方法に関する。ここで、ビレットは、物品に鍛造される前に、電気誘導加熱される。本発明は、特にマルチジョイント押出ロッドアセンブリが使用されるそのようなシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許第9,604,274号では、往復押出ロッドラックを使用して、誘導加熱ライン内の下流ビレットに当接してこれを「クリアする」(取り除く)ために使用される少なくとも2つの押出ロッドを順次装填及び除去する。押出ロッド前進装置は、アセンブリ内の隣接する押出ロッド間の回転ジョイントなしで、加熱ラインのビレットトラックに配置された独立した順次の押出ロッドを連結するために使用される。ビレットが取り除かれると、押出ロッドアセンブリを構成する個々の押出ロッドが後退し、ビレットトラックから一度に1つずつ除去され、次の使用のために押出ロッドラックに保管される。このタイプの押出ロッドアセンブリでは、押出ロッドを連結する回転ジョイントなしでビレット搬送ラインに配置されると、押出ロッドが相互に連結される。そのため、多点故障の影響を受けやすい複雑な電気機械式押出ロッドラックを使用する必要がある。
【0004】
ビレットプッシャーの分野において、格納のために巻き取られ、格納リール上のジョイント押出ロッドアセンブリをスプールアウトすることも知られている。リールで巻き取ってスプールする要求は、回転ジョイントで接続された各押出ロッドの長手方向の長さを制限する。それは、リールに巻いてスプールするときに、押出ロッドアセンブリを構成するジョイント押出ロッドの小半径の曲げをサポートすることが求められるためである。相互接続された押出ロッドリンクアセンブリを構成する個々の押出ロッドに必要な短い長さは、ビレットの押し付け力の大きさを制限する。それは、短い長さの押出ロッドリンクによる大きなビレット押し付け力は、既知のジョイント押出ロッドアセンブリの回転ジョイントでの隣接押出ロッド間の座屈(ジャミング)の可能性を高めるためである。例えば、スプールされていない接合された押出ロッドアセンブリ100は、
図1(a)に示される。短い長さの押出ロッド102aと102bは、回転ジョイント104によってジョイント(結合)され、加熱ラインで3つのビレット106を移動するために、ビレット押出ロッドアセンブリの低い力F1で問題なく動作できる。一方、
図1(b)では、十分に大きいビレット押出ロッドアセンブリの力F2を加えると、短い長さの押出ロッド102aと102bの間の座屈をもたらす。失敗することなく、より大きな水準のビレット押出ロッドアセンブリの力を適用するという押出ロッドアセンブリの能力は、加熱ラインの要求(例えば、特定の電気誘導加熱ラインを通過するビレットの数とサイズの必要な範囲)に応じて、ビレット押出システムをより堅牢にする。さらに、押出ロッドアセンブリ内のジョイント押出ロッドの繰返しの巻取り/スプール及び巻き出し/スプールアウトは、ジョイントのストレス故障により、短い長さの押出ロッド間の回転ジョイントの耐用年数を短くする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、アセンブリ内のジョイント押出ロッドの大部分の線形格納も可能にする、長い長さの押出ロッドからの回転ジョイント押出ロッドアセンブリを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、アセンブリ内の押出ロッドが一方向に曲がることを可能にする回転ジョイント押出ロッドアセンブリを提供することである。当該曲げにより、アセンブリは、線形格納器から円弧状に送り出され、非使用時に誘導加熱ラインのビレット移動トラックから線形格納器に後退することを可能にする。
【0007】
本発明の別の目的は、誘導加熱ライン内のインダクタによって生成される電磁場が存在する場合に、押出ロッドの渦電流加熱を低減する電磁的に非伝導性の長い押出ロッドを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、回転ジョイント押出ロッドアセンブリを使用して工業用ビレット加熱プロセスラインからビレットをパージする電気誘導加熱ラインビレット押出システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一側面では、本発明は、一連のビレット内の1つ又は複数のビレットを加熱ラインを通して押すために電気誘導ビレット誘導加熱ラインで使用されるジョイントビレット押出システムである。
【0010】
別の側面では、本発明は、ビレット押出プロセス中の座屈による影響を受けにくい、一連の長い長さのジョイント線形押出ロッドを含む、ジョイントビレット押出ロッドアセンブリである。
【0011】
別の側面では、本発明は、ジョイントビレット押出ロッドアセンブリで使用するための長い長さの線形押出ロッドである。
【0012】
別の側面では、本発明は、回転ジョイント押出ロッドアセンブリを使用して工業用ビレット加熱プロセスラインからビレットをパージする誘導加熱ラインビレット押出システム及び方法である。
【0013】
本発明の上記及び他の側面は、本明細書及び添付の特許請求の範囲でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は、以下に簡単に要約されるように、本発明の例示的な理解のために提供されており、本明細書でさらに説明される本発明を限定するものではない。
【0015】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、短い長さの押出ロッドから形成された従来技術のジョイント押出ロッドアセンブリを示し、それにより、ジョイント押出ロッドアセンブリは、格納スプールから巻き取り及び巻き戻しが可能であるが、そのようなジョイント押出ロッドアセンブリは、高いビレット押し付け力が加えられたときに座屈しやすい。
【
図2(a)】
図2(a)は、一緒にジョイントされて、本発明の回転ジョイント押出ロッドアセンブリのセクションを形成する、2つの同一の本発明に係る押出ロッドの一例である。押出ロッドアセンブリの全長は、一緒にジョイントされた押出ロッドの総数と、アセンブリ内のすべてのジョイント押出ロッドの軸長によって決まる。
【
図2(b)】
図2(b)は、高いビレット押し付け力が加わったときに、ジョイント押出ロッドが座屈しないための、
図2(a)の2つの隣接する押出ロッドの間の回転ジョイントにおける限られた範囲のピボット運動を示す。
【
図2(c)】
図2(c)は、
図2(a)の各押出ロッドの相補的な反対端部構造の一例を示す。
【
図2(d)】
図2(d)は、本発明のジョイント押出ロッドで利用されるピボットジョイント固定要素の一例を示す。
【
図3】
図3(a)~
図3(d)は、電気誘導加熱ラインに使用されるとき、ビレットピンチロールを介した押出ロッドアセンブリの円滑な移行運動を容易にするために、本発明のジョイント押出ロッドアセンブリの先端(ヘッド)押出ロッドとして使用でき、また、加熱されているビレットのバッチの断面寸法が変化したときに、押されているビレットの後端面の面積全体にビレットの押し付け力を均等に分散できる、ノーズアダプタの代替可能な例を示す。
【
図3(e)】
図3(e)は、他のすべての押出ロッドアセンブリ内の押出ロッドに使用できる、
図2(c)に示される押出ロッドの一例の先端にジョイントされている
図3(d)に例示のノーズアダプタの一例を示す。
【
図4】
図4(a)は、本発明のビレット押出システムの一例を示しており、ジョイント押出ロッドアセンブリが格納位置に示されている。
図4(b)は、
図4(a)に示されるアセンブリで使用される2つの同一の押出ロッドの拡大詳細図である。
【
図4(c)】
図4(c)は、押出ロッドアセンブリの展開及び後退用の、
図4(a)のビレット押出システムで使用される押出ロッドアセンブリドライバシステムの拡大詳細図である。
【
図5】
図5は、押出ロッドアセンブリが格納位置にある状態で電気誘導加熱ラインに設置された、
図4(a)に示されるビレット押出システムの一例を示す。
【
図6】
図6は、押出ロッドアセンブリが部分的に展開された位置にある、
図5に示されるビレット押出システムを示す。アセンブリのノーズアダプタの先端は、電気誘導加熱ラインで誘導加熱処理される、ビレットのバッチ内の最終ビレットの後端と最初に接触する。
【
図7】
図7は、押出ロッドアセンブリが完全に展開された位置にある、
図5に示されるビレット押出システムを示す。アセンブリのノーズアダプタは、ビレットのバッチ内の最終ビレットを電気誘導加熱ラインから押し出す。
【
図8】
図8は、本発明のビレット押出システムと共に使用されるプロセス制御システムの一例の簡略ブロック図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、本発明のジョイントビレット押出ロッドアセンブリ及びビレット押出システムを使用する1つの方法を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の電気誘導加熱ラインビレット押出システム10の一実施形態が
図4(a)に示されている。この実施形態では、システムは、押出ロッドアセンブリ格納エンクロージャ、ジョイント押出ロッドアセンブリ、及び押出ロッドアセンブリドライバシステム16(
図4(c)に拡大詳細で示される)を含み、ビレット押出プロセス制御システムによって制御される。
【0017】
図4(a)に示されるジョイント押出ロッドアセンブリは、アセンブリの先端(ヘッド)を形成する任意的なノーズアダプタ42a(
図3(a)に示される)を備えた複数の連続的に接続された同一の押出ロッドを含む。ジョイント押出ロッドアセンブリの動作中、ノーズアダプタの先端は、押出ロッドアセンブリが格納エンクロージャから展開されたときに、電気誘導加熱ラインで誘導加熱処理されるビレットのバッチ内の最終(最後に装填された)ビレットの後端面と接触する。
【0018】
図4(a)の押出ロッドのそれぞれに使用できる本発明のジョイント押出ロッドの一例は
図2(c)に示されている。同一の押出ロッドは、隣接してジョイントされた同一の押出ロッドを区別するために、交互に押出ロッド40a又は40bとして識別される。2つの同一の押出ロッドは、
図2(a)において隣接する押出ロッド40a及び40bとして一緒にジョイントされて示されている。
図2(c)で最もよく分かるように、押出ロッド40a又は40bは、反対端部40’及び40”において構造的に構成されているため、押出ロッド40aの押出ロッド端部40’は、
図2(a)で最もよく分かるように、回転ジョイント55によって隣接する押出ロッド40bの押出ロッド端部40”に接続できる。
図2(c)において、全体的な長手方向の中心軸(A)を有する押出ロッド(長さX
L)は、反対端部セクション40’及び40”を有する長手方向に配向された中央の押出ロッドセクション(長さX
C)を含む。
【0019】
押出ロッド端部40’は、雌押出ロッド端部と呼ばれ、この例では、中央に配置されたフォーク又はヨーク50、及び側壁52a及び52bから形成される。側壁52a及び52bは、端部セクション40’に隣接する中央の長手方向に配向されたプッシュロッドセクションの断面端部から軸方向に延びる。中央の長手方向に配向されたプッシュロッドセクションの断面端の一部は、ヨークの内壁52cを形成する。側壁52a及び52bは、押出ロッドの中心長手軸A-A(
図2(c)に示される)から中心を外して垂直(Z軸)に配置された、それぞれ整列した横方向ピボット穴53a及び53bを有する。
【0020】
図面では、本発明を理解するために、図面に示された本発明の特徴に対して、垂直方向(Z軸)、横方向(Y軸)、及び縦方向(X軸)を示すために3次元直交座標系が使用されているが、本発明の特徴の向きを限定しない。
【0021】
押出ロッド端部40”は、雄押出ロッド端部と呼ばれ、この例では、中央に配置された
垂直タング又はタブ54から形成される。垂直タング又はタブ54は、端部セクション40”に隣接する中央の長手方向に配向されたプッシュロッドセクションの断面端部から軸方向に延び、押出ロッドの中心長手軸A-A(
図2(c)に示される)から中心を外して垂直(Z軸)に配置された、横方向ピボット穴54aを有する。押出ロッド(例えば、
図2(a)の押出ロッド40b)に横穴54aを有するタブ54は、隣接する押出ロッド(例えば、
図2(a)の押出ロッド40a)のヨーク50の内側に整列配置するように構成される。それにより、横方向ピボット穴54aは横方向ピボット穴53a及び53bと横方向に整列し、回転ピボットジョイント固定要素が3つの横方向ピボット穴を通過できるようにする。
【0022】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、タブ54がヨーク50の側壁の内側に整列されるとき、ピボットジョイント固定要素56は、整列された横方向ピボット穴53a、53b及び54aを通して固定される。
図2(b)において、一つの押出ロッド40aは、3つの異なる位置で示されている:押出ロッド40aの回転の反対の限界を示す、破線の位置P1及びP3、並びに回転の限界の間の1つの位置にある実線の位置P2。ピボットジョイント固定要素は、ヨーク50の内側にタブ54を保持するファスナーであり、横(Y)軸B-Bを中心とした水平方向からの最大回転(
図2(b)の向きでは時計回り)を90°に制限する。この回転拘束は、隣接する押出ロッドの垂直中心から外れたピボット方向で、例えば
図2(b)に示されるように、押出ロッド40bが水平位置にあるとき、押出ロッド40aと40bとの間で達成される。垂直中心から外れたピボットは、水平から下向きの反時計回り回転を制限する。3つの横方向ピボット穴53a、53b及び54aが、押出ロッドの中心長手軸から垂直に中心から外れているため、押出ロッド40b上のタブ54の先端54’は、
図2(b)の押出ロッド40aの水平位置P1より下の押出ロッド40aの反時計回りの回転を阻止する。ジョイントされた隣接する押出ロッド(例えば、
図2(a)の押出ロッド40a)のヨーク50の内壁52cに先端54’が接触するためである。したがって、全体的に、横方向回転ジョイント55は、本発明の押出ロッドアセンブリ内の隣接する押出ロッド間で最大90°の回転角度を可能にし、円弧状の格納セクション12bを介して押出ロッドアセンブリの展開又は後退を可能にし(例えば、
図4(a))、電気誘導加熱ラインで展開されたときに、アセンブリのより大きな無制限の回転によって引き起こされる隣接する押出ロッドの座屈を回避する。
【0023】
図面に示される本発明の実施形態では、ピボットジョイント固定要素56は、横方向ピボット穴53a、53b及び54aを通過し、3つの横方向ピボット穴内に固定されるクレビスピン56aを備える。この例では、クレビスピン56aの反対端部は、
図2(d)に示されるように、ピンを適所に保持するために端部溝に固定された保持スナップリング56bを備えた反対端部溝を有する。明確にするために、ピボットジョイント固定要素56が回転ジョイントから取り外されている。他の実施形態では、ピボットジョイント固定要素は、ピボット穴を通過し、コッターピンなどの適切なファスナーで両端部が固定されたピン、又は一方の端部にヘッドがあり、反対側の端部に適切な留め具があるピンであってもよい。
【0024】
本発明の押出ロッドアセンブリの各押出ロッドは、それが通過する工業用電気誘導加熱ライン内の環境に耐える必要に応じて、高温材料から形成される。本発明の一例では、各押出ロッドは、適切なステンレス鋼ファミリー及びグレードから形成される。図面に示される本発明の実施形態において、各押出ロッドの形態は、インターロッキング横回転ジョイントのための構成された反対端部40’及び40”を除いて、中実の直円柱であり、インターロッキング横回転ジョイントの構成により、限られた回転を実現する。他の実施形態では、本発明の押出ロッドは、他の形態、例えば、特定の用途に必要な場合、中空の直円筒又は長方形の断面形状により、中央の長手方向に配向された押出ロッドセクションを形成することができる。
【0025】
押出ロッドが電磁伝導性材料から形成される本発明のいくつかの実施形態では、ジョイント押出ロッドアセンブリを形成する1つ以上の押出ロッドは、少なくとも押出ロッドの部分セクションに構造的に構成された磁場破壊機構を有する。例えば、
図2(a)から
図2(c)に示される押出ロッド40a及び40bに、1つ以上の磁場破壊縦溝58があり、押出ロッドアセンブリの押出ロッドが、電気誘導加熱ラインで利用されるエネルギーを与えられた電気誘導コイルを通過するときに、押出ロッドの誘導渦電流加熱を低減する。
【0026】
図3(a)~
図3(d)は、本発明で利用できる任意的なノーズアダプタの代替可能な例を示している。任意のノーズアダプタは、例えば、
図3(e)の詳細図に示されるように、押出ロッドアセンブリの先端押出ロッドの先端にジョイントすることができる。ノーズアダプタ42dのオス端部は、先端押出ロッド40a又は40bの先端のメス端部にジョイントされている。ノーズアダプタの後端(オス又はメスの端部として構成される)は、隣接する押出ロッドのために同様に形成され(メス又はオスの端部として構成される(それぞれ))、ノーズアダプタと押出ロッドの間に形成された回転ジョイント55’は、アセンブリ内の隣接する押出ロッド間の回転ジョイントと同様である。
【0027】
ノーズアダプタの先端の断面形状及び寸法は、許容範囲内で、加熱ラインで加熱されるビレットバッチ内の最終ビレットの後端の断面形状に一致するように選択することができる。例えば、最終ビレットの断面が円柱形で、押出ロッド40a又は40bの断面直径(d
s)が1.69インチの場合、円形表面のノーズアダプタ42a~42dには、次の先端円形表面直径を有し得る:アダプタ42aの場合、許容直径範囲が1.5~2.00インチの円柱ビレットで使用するための直径(d
1)として1.69インチ;アダプタ42bの場合、許容直径範囲が2.00~2.50インチの円柱ビレットで使用するための直径(d
2)として1.88インチ;許容直径範囲が2.50~3.00インチの円柱ビレットで使用するための直径(d
3)として2.41インチ;及び許容直径範囲が3.00~3.50インチの円柱ビレットで使用するための直径(d
4)として2.82インチ。
図3(a)~
図3(e)に示されるように、押出ロッドの一定の断面直径(ds)とは異なり、本発明の一実施形態では、ノーズアダプタの断面直径は、先端から後端へと直線的に減少し、その結果、後端は、ジョイントされた押出ロッドの断面直径(d
s)と少なくとも略一致する。
【0028】
任意のノーズアダプタは、電気誘導加熱システムが加熱ラインを通してビレットのバッチを進めるための手段を提供するときに有利である。例えば、
図5~
図7に示す本発明の実施形態の場合、誘導加熱システムの加熱ラインのピンチロールドライバ92a(
図9(a)及び
図9(b)に示される)は、加熱ライン90の始点90aの上流に配置されたエンクロージャ93(
図5~
図7に示される)に設置される。
図9(a)又は
図9(b)に示す閉位置では、加熱ラインのピンチロールドライバ92aは、ビレットバッチ内のビレットの上部に圧力を加えながら回転することにより、加熱ラインの中を通してビレットを前進させる。ノーズアダプタを使用すると、押出ロッドアセンブリが加熱ラインのピンチロールドライバを通過するときに、ビレットバッチ内の最終ビレット88aと押出ロッドアセンブリの押出ロッドの間の断面の急激な変化を回避し、また、ビレットのバッチ内の最終ビレットの後端の断面全体に押出ロッドアセンブリの押し付け力を分散するのに役立つ。ノーズアダプタを使用すると、熱処理すべきバッチ内のビレットの断面が変化しても、アセンブリにおいて断面が異なる押出ロッドを交換する必要がなくなる。
【0029】
本明細書では、「下流」という用語は、電気誘導加熱ラインの開始位置90aから終了位置90bまでの電気誘導加熱ラインにおけるビレットの方向を含む図面の正のX方向を説明するために使用される。
【0030】
本発明の押出ロッドの場合と同様に、ノーズアダプタは、
図3(a)~
図3(d)の長手方向に配向されたスリット42’などの1つ以上の磁場破壊機構を任意に含むことができる。これらは、少なくとも部分的にノーズアダプタの軸方向長さに沿って延びる。
【0031】
図4(a)に見られるように、本発明のジョイントビレット押出システム10の一実施形態では、押出ロッドアセンブリは、本発明の23本の押出ロッドから組み立てられ、後端(テール)の最終押出ロッド40zと先端(ヘッド)の押出ロッド40hを有し、任意のノーズアダプタ42aがヘッドの押出ロッド40hの先端にジョイントされる。
【0032】
図4(b)は、
図4(a)に示される押出ロッドアセンブリにおける本発明の押出ロッド40a及び40bの詳細図である。本発明のこの例では、ヘッドの押出ロッド40hからテールの押出ロッド40zまでのアセンブリ内のすべてのジョイント押出ロッドは、
図2(a)~
図2(c)に示されるジョイント押出ロッド40a又は40bとして構成され、したがって、本発明のこの実施形態では、それぞれ代替可能な押出ロッドとして説明される。
【0033】
図4(a)に示すジョイントビレット押出システム10の実施形態では、押出ロッドアセンブリ用の「使用準備完了」格納エンクロージャは、線形の格納セクション12a及び円弧状の状格納セクション12bを含む。
図4(a)では、円弧状の格納セクション12bに接続する線形格納セクションの部分が、ドライバ線形格納サブセクション12cとして示されている。好ましくは、限定的ではないが、12cは、押出ロッドアセンブリを格納エンクロージャから電気誘導加熱ラインに展開し、ビレット押出プロセスが完了した後に、電気誘導加熱ラインから格納エンクロージャへ押出ロッドアセンブリを後退させる押出ロッドアセンブリドライバシステム16の場所である。
【0034】
押出ロッドアセンブリを形成する押出ロッドの大部分は、格納エンクロージャの線形格納セクション12aに格納され、より少ない数の押出ロッドが、円弧状の格納セクション12bに格納される。この例では、アセンブリは、円弧状セクション12bの開口12b’にあるノーズアダプタ42aで終端する。この例では、円弧状の格納セクションに格納されている押出ロッドのより少ない数は、押出ロッドの軸の長さと円弧状の格納セクションの構成によって決まる。格納セクションは、
図7の+X及び-X矢印によって示されるように、線形格納セクション内の押出ロッドの方向から、押出ロッドの展開で約180度方向を逆にし、誘導加熱ラインから押出ロッドを後退させる方向も逆にする。あるいは、押出ロッドアセンブリの展開前に誘導加熱ラインに装填されているビレットがアセンブリの突出された先端を取り除くことができる限り、押出ロッドアセンブリの先端は、「使用準備完了」の位置で開口12b’から部分的に突出してもよい。
【0035】
本発明の好ましいが非限定的な実施形態では、線形格納セクション12aは、電気誘導加熱ラインの上方に(又は代わりに)電気誘導加熱ラインから水平方向にオフセットして構造的に取り付けられるように構成される。これは、特に本発明のビレット押出システムが既存の加熱ラインに後付けされるときに、コンパクトな加熱ラインの設置を容易にする。ジョイントビレット押出システム10の電気誘導加熱ラインへの構造的取り付けは、例えば、図面に示されるような構造的支持体98a~98dを用いて達成することができる。
【0036】
線形格納セクション12aは、例えば、電気誘導加熱ラインの全長の変化に対応するために、押出ロッドアセンブリに押出ロッドを追加又は除去することにより、格納された押出ロッドアセンブリの全長を変更することを可能にする相互接続されたモジュール式線形セクションから任意に形成されてもよい。例えば、(
図4(a)に示されるような)任意の格納フランジ12a’は、線形格納セクション12aの長さの迅速な変更のために提供され得る。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、線形格納セクション12a及び円弧状の格納セクション12bは、例えば、押出ロッドアセンブリの格納のための十分な内径を有する管から形成される完全に囲まれた構造である。
【0038】
図面に示される本発明の実施形態では、線形格納セクションのドライバ線形格納サブセクション12cは、押出ロッドアセンブリの加熱ラインへの展開及び加熱ラインからの後退のために、少なくとも部分的に開いて、ドライバコンポーネントと押出ロッドアセンブリ格納エンクロージャ内の押出ロッドアセンブリとの接触を可能にする。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、線形格納セクション12aは、ジョイント押出ロッドアセンブリからの、又はジョイント押出ロッドアセンブリへの押出ロッドの取り外し又は追加に対応するため、開放された上半分セクションを有し得る。
【0040】
図4(a)に示される本発明の例では、本発明のすべての押出ロッドが同じ長手方向長さX
Lを有するが、これは本発明の限定的な特徴ではない。他の用途では、アセンブリ内の押出ロッドは、長手方向に配向された中央の押出ロッドセクションのさまざまな長手方向長さを有し得る。ジョイント押出ロッドアセンブリの長手方向の変化する長さが、特定の用途で必要とされるように、円弧状の格納セクション12bを通って、押出ロッドアセンブリの必要な長さの移動が可能であれば足りる。
図2(a)は、電気誘導加熱ラインへの展開及び電気誘導加熱ラインからの後退の際に、押出ロッドが円弧状の格納セクションを通過するために必要な、隣接する押出ロッド間の回転を提供する、ジョイント押出ロッド間の回転ジョイント55を示す。回転ジョイント55は、押出ロッドが電気誘導加熱ラインに展開されるとき、押出ロッド間の座屈も防ぐ。
【0041】
図面に示されている本発明の実施形態では、
図4(c)の図で最もよく分かるように、押出ロッドアセンブリドライバシステム16は、上部ロール16a及び下部ロール16bから形成された2つ(1対)のピンチロールを含む。上部ロール16aと下部ロール16bは、クラッチ16cの操作によって格納エンクロージャ内の押出ロッドアセンブリのセクション14a(破線で示される)を選択的に係合及び解放して、電気モーター16dの出力シャフトから、回転チェーン、ベルト、又はギアドライブ(図には示されていない)を介して回転出力する90度ギアボックス16eを介して、下部ロール16b及び/又は上部ロール16aに伝達する。押出ロッドアセンブリと、上下のピンチロールが反対方向に回転する状態での係合(図面に示されている構成では、上部ロールは反時計回り、下部ローラーは時計回り)は、ビレットの押出操作のために、押出ロッドアセンブリを格納エンクロージャから加熱ラインに展開する。一方、逆の反対方向に回転する係合した1対のピンチロール(上部ロールは時計回り、下部ロールは反時計回り)は、ビレットの押出操作の完了後に、押出ロッドアセンブリを加熱ラインから格納エンクロージャに後退させる。
【0042】
押出ロッドアセンブリは、少なくとも十分な長手方向全長を有し、それにより、特定の加熱ラインの全長によって決定される最大押出距離まで展開されると、
図7に示されるように、押出ロッドアセンブリ(図中の押出ロッド40z)の尾端は、加熱ラインから後退させるために1対のピンチロールの制御下に留まる。リミットスイッチセンサーや光電ビームセンサなどの完全伸展センサー(full extension sensor、FES)は、押出ロッドアセンブリの尾端が格納エンクロージャの完全伸長位置に達したときにビレット押出制御システムに信号を入力するために、任意に提供し得る。
【0043】
本発明のビレット押出システムを誘導加熱ライン90で使用する1つの方法が
図5~
図7に示されている。
図5において、押出ロッドアセンブリは、
図4(a)のように格納位置で示されており、ジョイントビレット押出システム10が加熱ラインの上方に設置されている。電気誘導加熱ラインでの誘導加熱用のビレットバッチを形成する、最初に装填されたビレット88zから最後に装填されたビレット88aまでの一連の個々のビレットは、加熱ラインに装填するプロセスで示されている。ビレット押出システムとは独立したビレットコンベヤ92は、一連のビレットを電気誘導加熱ラインの始点90aの上流のピンチロール92a(加熱ラインシステムのコンポーネントである)に搬送する。ビレットコンベヤへのビレットの運搬は、当技術分野で知られているとおりであり、例えば、ビレットソーター機器からの手動又は自動供給、又は予熱ビレット加熱ラインからの移送がある。ビレットコンベヤ92は、当技術分野で知られている任意のビレットコンベヤとすることができる。コンベヤ92によって運搬される一連の背中合わせの個々のビレットは、加熱すべきビレットバッチ内の所定数のビレットを、密閉された誘導加熱器94a及び94bの上流のピンチロール92aに押し込む。ビレットは、加熱ラインの誘導加熱器94a及び94bを形成する1つ以上の密閉された電気誘導コイルを通って、誘導加熱ラインレール96又は当技術分野で既知の他の適切なビレット支持構造上を前進する。また、ビレットは、誘導加熱されたビレットが加熱ラインを出る加熱ラインの端部90bにおいて、さらなる工業的処理のために必要な温度プロファイルに誘導加熱される。当技術分野で知られている2つの誘導加熱器が、例示のために図面に加熱線として示されている。図面において、誘導加熱器は、加熱ボックスに沿った本発明のビレット押出システムの動きを示すために、オープンボックス構造として示されており、これらは、例えば、当技術分野ではビレット誘導加熱炉とも呼ばれる、熱的に密閉された誘導加熱コイルである。加熱ラインは、本発明の別の実施形態では、例えば、本発明のビレット押出システムの要求がある限り、密閉された誘導及び化石燃料ヒーターが混合された混合加熱ライン、又は密閉されたヒーター間の密閉された非加熱ビレット均熱領域が混合された混合加熱ラインであってもよい。
【0044】
図面に示される本発明の実施形態では、誘導加熱ラインピンチドライバ92a(
図9(a)及び
図9(b)に示される)は、
図5~
図7のエンクロージャ93内に設置され、ビレットのバッチを加熱ラインに進めさせる。
【0045】
所定数のビレットがビレット押出システムの格納エンクロージャの開口12b’の下流の少なくとも加熱ライン位置X1(
図5)に運搬された後、押出ロッドアセンブリドライバシステム16は、格納エンクロージャ中の押出ロッドアセンブリを開口12b’の外へ駆動させる。好ましくは、
図6に示されるように、ビレットバッチにおいて最後に装填されたビレット88aの後端に追いつき、ビレット押出ロッドの力を加えるのに十分な加速速度で駆動させる。
図5に示す光電ビームセンサのようなゾーンクリアセンサ(zone clear sensor、ZCS)は、格納エンクロージャから展開される押出ロッドアセンブリに干渉する可能性のあるビレットがビレットコンベヤから取り除かれているときに、ビレット押出制御システムに信号を入力するために、任意に提供され得る。
【0046】
押出ロッドアセンブリ及び最終の最後に装填されたビレット88aの両方が、押出ロッドアセンブリのドライバシステム16又は独立した加熱ラインビレットドライバシステムによって制御される所定の速度で前進し続けるとき、押出ロッドアセンブリは、最後に装填されたビレット88aの後端との確実な接触を維持し続ける。
【0047】
密閉された誘導加熱器を通るビレットの(ライン加熱)速度の所定の速度が、加熱ラインピンチドライバ92aなどの別個の誘導加熱ラインビレットドライバシステムによって制御される電気誘導加熱ラインシステムでは、押出ロッドアセンブリの先端(この例ではノーズアダプタ42a)が、エンクロージャ93内の加熱ラインピンチドライバ92aの下でX方向の下流に移行すると、本発明の一実施形態では、押出ロッドアセンブリドライバシステム16は、電子スリップクラッチモードに移行し、同時に加熱ラインのピンチドライバ92aが引き継ぎ、装填されたすべてのビレットが加熱ラインの端部90bに押し出されるまで、押出ロッドアセンブリと残りのビレットの両方を同じ速度で加熱ラインを通して駆動し続ける。本発明のこの実施形態では、所定のライン加熱速度が誘導加熱ラインシステムによって設定され、装填されたすべてのバッチビレットは、ラインの最後に実行される工業プロセス(又は他のプロセスステップ)に必要なビレット温度プロファイルの状態で加熱ラインを出る。
【0048】
図7は、ビレットバッチに最後に装填されたビレット88aが加熱され、加熱ラインの端部90bから押された直後の、加熱ラインで完全に伸展された(展開された)押出ロッドアセンブリを示す。プロセスのこの時点で、加熱ラインピンチドライバ92aが開いて、押出ロッドアセンブリの移動制御を解放し、また、押出ロッドアセンブリドライバシステム16は方向を逆にし、押出ロッドアセンブリを格納エンクロージャに戻す。戻す速度は、好ましくは、バッチビレットの次の所定のロードが加熱ラインに装填され、本発明のビレット押出システムのための上記のプロセスが最小限の切り替え時間で繰り返され得る最適な速度である。
【0049】
図8は、本発明のジョイントビレット押出システムのための制御システムの一実施形態をブロック図形式で示す。この実施形態では、ビレット押出ステムコントローラ60は、システムオペレータによる使用のために適切に配置されたプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller、PLC)及び制御モジュールを含む。加熱すべきビレットバッチのうち最後に装填されたビレット88aが
図6の加熱ライン90に装填された後、ビレット押出システムコントローラ60は、押出ロッドアセンブリドライバシステム16に、1対の上部及び下部ピンチロール16a及び16bを、円弧状の格納セクション12bの開口12b’から押出ロッドアセンブリを進展させる(展開する)方向に回転させるように命令する。回転は、アセンブリの先端(この例ではノーズアダプタ42a)が、加熱ライン90の入口端の上流にある加熱ラインピンチロールドライバ92aの上流のビレットバッチのうち最後に装填されたビレットの後端に接触するまでである。任意のゾーンクリアセンサー(ZCS)が使用されている場合、ビレットが展開を妨げる位置でコンベアライン上で感知された場合、禁止信号をビレット押出システムコントローラ60に送信して、押出ロッドアセンブリの展開を無効にする。
【0050】
本発明の図示の実施形態では、加熱ラインピンチロールドライバ92aは、誘導加熱ラインを通るビレットバッチ及び押出ロッドアセンブリの動きを制御する。押出ロッドアセンブリの先端が最後に装填されたビレット88aに係合すると、ビレット押出システムコントローラ60は、事前設定されたパラメータに基づいてトルクの増加の電気入力信号を受け取る。その時点でビレット押出システムコントローラ60は、押出ロッドアセンブリドライバシステム16がトルク監視(スリップクラッチ)モードに入るための信号を実行する。当該モードでは、押出ロッドアセンブリドライバシステムがスリップクラッチのように機能し、ビレット加熱ラインのピンチロールドライバ92aによって決定される供給速度に対して、押出ロッドアセンブリに依然としてトルクを加える。この動作プロセスにより、すべての装填されたビレットと押出ロッドアセンブリの先端が、その両方が加熱ラインのピンチロールドライバ92aの下で搬送されるときに、互いに確実に接触する。ビレットバッチと押出ロッドアセンブリの最後に装填されたビレットが加熱ラインピンチロールドライバ92aの下になると、加熱ラインのピンチロールドライバが引き継ぎ、押出ロッドアセンブリがバッチビレットと一緒に加熱ラインを通過するときに、押出ロッドアセンブリの所定の送り速度を制御し、そして最終的に、加熱ラインの誘導コイルからバッチ内のすべてのビレットをパージする。
【0051】
本発明のこの実施形態では、ビレットバッチ内のビレットが密閉された誘導加熱ライン内で詰まり、電気誘導加熱ラインシステムに障害が発生した場合、加熱ラインピンチロールドライバは、押出ロッドアセンブリを解放するために開くことができ、押出ロッドドライバシステム16の変動により、詰まったビレットを押し出すために加熱ライン速度制御を再開することができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、押出ロッドアセンブリ完全伸展センサー(FES)は、線形の格納セクション12aの長さに沿った寸法距離(加熱ラインの長さによって決定される)に配置され、加熱ラインの長さに残っているすべてのビレットを完全に押し出すかパージして、加熱ラインシステムを空にするため、押出ロッドアセンブリの十分な長さが繰り出された時点を検出する。完全な伸展を感知すると、FESはビレット押出ステムコントローラ60に完全伸展信号を送り、ビレット押出ステムコントローラ60は、格納エンクロージャからの押出ロッドアセンブリの繰り出しを停止するように押出ロッド駆動システム16に命令する。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、押出ロッドアセンブリの完全後退センサー(fully retracted sensor、FRS)は、線形の格納セクション12aの長さに沿った寸法距離(加熱ラインの長さ又は線形の格納セクションの長さによって決定される)に配置され、十分な長さの押出ロッドアセンブリが完全に格納エンクロージャ内に後退された時点を検出する。
【0054】
本発明の一実施形態では、押出ロッド制御システムは、スリップクラッチ又は速度制限トルク調整可能(Speed Limited Torque Adjustable、SLTA)モードで動作する。SLTAモードは、ビレット押出システムの特定の用途に対してビレット押出システムのオペレータによって指定された設定速度を維持するのに必要なトルクの大きさに基づいて、押出ロッドアセンブリドライバシステム16の展開速度を調整する。速度とトルクは、押出ロッドアセンブリドライバシステムのパラメータを使用して調整される。
【0055】
加熱されたビレットを電気誘導加熱ラインから押し出す以下の方法の要約では、電気誘導加熱用のビレットのバッチは、電気誘導加熱ラインに装填され、ビレットのバッチは最終バッチビレットで終了する。「使用準備完了」位置にある電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリは、押出ロッドアセンブリドライバシステムにより、押出ロッドアセンブリ格納器の円弧状の格納セクションから展開される。押出ロッドアセンブリドライバシステムの展開速度とトルクは、ヘッドのビレット押出ロッド又はヘッドのアダプタが最終ビレットと接触するように、誘導加熱ラインドライバの速度とトルクに応答するビレット押出システムコントローラで調整され、最終ビレットが電気誘導加熱ラインを出るまで、電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリが最終ビレットの後ろに展開される。プロセスのその時点で、バッチビレットの誘導加熱が完了し、押出ロッドアセンブリドライバシステムは、電気誘導加熱ラインジョイントビレット押出ロッドアセンブリを押出ロッドアセンブリ格納器の円弧状の格納セクションに後退させ、「使用準備完了」位置に戻す。
【0056】
図9(a)及び
図9(b)は、本発明のビレット押出プロセスにおけるSLTAモードの一例を示す。
図8の誘導加熱ラインシステムコントローラ70は、この例では、本発明のジョイントビレット押出システムから独立することができる電気誘導加熱システムを備えている。
図8に示すように、誘導加熱ラインシステムコントローラ70は、ピンチドライバ92aのトルク「T」及びビレットバッチ速度「S」のデータをビレット押出システムコントローラ60に送信して、以下に説明するSLTAモードを実行する。
【0057】
誘導加熱ラインシステムコントローラ70は、誘導加熱ラインピンチドライバ92aのトルク「T」を制御する。これにより、ビレットバッチ速度「S」が必要に応じて達成されるため、ビレットバッチ内のビレットは、誘導加熱ライン90を通って進み、必要な加熱プロファイルで端部90bに到達する。本発明のこの例では、誘導加熱ラインシステムコントローラ70及び加熱ラインピンチドライバ92aは、最後に装填されたビレット88aの後端が押出ロッドアセンブリの先端(この例では、
図9(a)及び
図9(b)のノーズアダプタ42aの先端)と接触する前及び接触した後、ビレット加熱ラインの速度を制御する。
【0058】
図9(a)において、押出ロッドアセンブリが最後に装填されたビレットと接触する前に、押出ロッドアセンブリドライバシステム16は、押出ロッドアセンブリの繰り出し(展開)の速度を、例えば、
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、ビレットバッチの速度「S」の3倍に制御し、1対の上部及び下部ピンチロール(16a及び16b)は、ピンチドライバ92aのトルク「T」の半分以下に維持される。これにより、押出ロッドアセンブリは、ピンチドライバ92aによって係合される前に、最後に装填されたビレットと迅速に接触する。ノーズアダプタの先端が最後に装填されたビレット88aの後端に接触したとき、押出ロッドアセンブリドライバシステム16は、1対の上部及び下部ピンチロール16a及び16bのトルクをピンチドライバ92aのトルク「T」の半分に設定して、ピンチドライバ92aの下で下流に進むときに、押出ロッドアセンブリの速度をビレットバッチの速度「S」に維持する。押出ロッドアセンブリがピンチドライバ92aの制御下にあると、加熱ラインの端部90bで必要なビレット加熱プロファイルを達成するために必要な速度で、ビレットバッチが誘導加熱ラインを移動し続けることを保証するため、押出ロッドアセンブリドライバシステム16の速度制御は電子的に移行し、ピンチドライバ92aを介してトルク「T」及び速度「S」で加熱ラインコントローラと同期する。
【0059】
押出ロッドアセンブリの先端が最後に装填されたビレットの後端と接触すると、押出ロッドアセンブリを押すのに必要なトルクの量は、ピンチドライバのトルク「T」の半分以下であった設定ポイントを超える。1対の上部と下部のピンチロール16aと16bが生成するトルクの量を制限するため、押出ロッドアセンブリドライバシステム16は、押出ロッドアセンブリの出力速度を調整して、ビレット押出システムのオペレータによって設定された設定最大トルクを下回るトルクを維持する。ビレットバッチのうち最後に装填されたビレットの後端が押出ロッドアセンブリの先端から離れるとき、現在の速度を維持するために必要なトルクが低下し、したがって、押出ロッドアセンブリドライバシステム16の出力速度が上昇する。その結果、押出ロッドアセンブリの先端は、最後に装填されたビレットの後端と接触したままで、最後に装填されたビレットの送り速度と一致し、そのために必要なトルクを維持する。
【0060】
本発明の押出ロッドアセンブリで利用される押出ロッドの長手方向の長さ(XL)は、特定の用途における円弧状の格納セクション12bの寸法によって制限される。例えば、押出ロッドの軸長さ(XL)が約10インチの場合、円弧状の格納セクションの断面直径として、押出ロッドアセンブリの展開と後退のために、円弧状の格納セクションに約22インチの半径が必要であり、押出ロッドの軸長(XL)が約18インチの場合、押出ロッドアセンブリの展開及び後退のために、円弧状の格納セクションに約42インチの半径が必要である。本発明の他の実施形態は、システムの特定の環境がこのおおよその範囲外の円弧状半径をサポートすることができるならば、10~22インチ以外の押出ロッドの軸長さを利用することができる。
【0061】
本発明の他の実施形態では、ピンチローラ92aなどの独立した誘導加熱ラインビレット速度制御要素が設けられておらず、変動を伴う押出ロッドアセンブリ駆動システム16は、必要なビレット加熱プロファイルを達成するためにビレットバッチに力を直接押すことにより、加熱ラインを通るビレット加熱の速度を制御することができる。
【0062】
本発明の説明された実施形態は、円筒形ビレットを想定するが、例えば長方形の棒などの他の構成のビレットは、適切な変更を加えて対応することができる。
【0063】
本発明は、好ましい例及び実施形態に関して説明されてきた。明示的に述べられたものを除いて、均等物、代替、及び修正が可能であり、本発明の範囲内である。本明細書の教示の利益を受ける当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、それに変更を加えることができる。