(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】腐食抑制剤配合物の相乗的ブレンドを含む熱伝達流体
(51)【国際特許分類】
C23F 11/14 20060101AFI20230823BHJP
C09K 5/10 20060101ALI20230823BHJP
C23F 11/12 20060101ALI20230823BHJP
C23F 11/18 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
C23F11/14
C09K5/10 E
C23F11/12 101
C23F11/18
(21)【出願番号】P 2021505692
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019044185
(87)【国際公開番号】W WO2020028393
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-28
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500057423
【氏名又は名称】プレストーン プロダクツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ボー
(72)【発明者】
【氏名】ウォイシースジェス,ピーター・エム
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-501355(JP,A)
【文献】特表2005-539105(JP,A)
【文献】ソ連国特許発明第02290425(SU,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/08,5/10,5/20
C23F 11/06,11/08,11/12,11/14,11/18
F01P 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達流体において使用するための腐食抑制剤配合物であって、
場合によって置換されている安息香酸又はその塩;
ヘプタン酸、オクタン酸、その塩、及びそれらの混合物から選択される第1のn-アルキルモノカルボン酸
;
ノナン酸、デカン酸、その塩、及びそれらの混合物から選択される第2のn-アルキルモノカルボン
酸;及び
アゾール化合物、ここで、前記アゾール化合物が
、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、テトラヒドロトリルトリアゾール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される;
を含み、
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントと、前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントとの比は
、1:0.75
~1:2.00の範
囲であり;
前記安息香酸又はその塩の重量パーセントと、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比は
、1:0.30
~1:2.25の範
囲であ
り;
前記腐食抑制剤配合物が、二塩基脂肪族カルボン酸及び二塩基芳香族カルボン酸を含まない、
前記腐食抑制剤配合物。
【請求項2】
前記場合によって置換されている安息香酸の塩がアルカリ金属を含む、及び/又は
前記場合によって置換されている安息香酸の塩が、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、又はそれらの組み合わせを含む、及び/又は
前記場合によって置換されている安息香酸が、p-トルイル酸、t-ブチル安息香酸、アルコキシ安息香酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、又はそれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載の腐食抑制剤配合物。
【請求項3】
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸の塩及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸の塩が、それぞれアルカリ金属を含む、請求項1に記載の腐食抑制剤配合物。
【請求項4】
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸
がヘプタン酸を含み、かつ前記第2のn-アルキルモノカルボン
酸がノナン酸を含む、又は
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸
がオクタン酸を含み、かつ前記第2のn-アルキルモノカルボン
酸がデカン酸を含む、請求項1に記載の腐食抑制剤配合物。
【請求項5】
モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、又はそれらの組み合わせなどの水溶性モリブデート塩を更に含む、請求項1に記載の腐食抑制剤配合物。
【請求項6】
無機ホスフェート、有機ホスフェート、水溶性アルカリ土類金属
塩、水溶性アルカリ金属
塩、水溶性亜鉛塩、ニトライト、ニトレート、シリケート、シリケート安定剤、アクリレート系ポリマー、ホスホネート、ホスフィネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される更なる成分を更に含
む;
又は
着色剤、殺生物剤、消泡剤、界面活性剤、更なる腐食抑制剤、分散剤、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される更なる成分を更に含む
;又は
少なくとも1種類の更なるカルボン酸又はその塩を更に含む、
請求項1に記載の腐食抑制剤配合物。
【請求項7】
前記安息香酸又はその塩の重量パーセントと、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩、前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩、及び前記少なくとも1種類の更なるカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比が
、1:0.50
~1:2.25の範囲である、請求項
6に記載の腐食抑制剤配合物。
【請求項8】
50%の濃度の腐食抑制剤配合物のpH
が6.8
~9.0である、請求項1に記載の腐食抑制剤配合物。
【請求項9】
エチレングリコールホスフェートエステル、1,2,3-プロパントリオールホスフェート、ホスフェートポリエーテルエステル、C
6~C
12アルキルアルコールエトキシレートリン酸、クレシルエトキシレートのホスフェートエステルのアルカリ金属塩、カリウムクレシルホスフェート、オクチルフェノキシポリエトキシエチルホスフェート、オクチルフェノキシポリエチルホスフェート、ポリエチレングリコールモノ(オクチルフェニル)エーテルホスフェート、R-フェニル(CH
2CH
2O)
xホスフェートのアルキルフェノキシポリエトキシエチルリン酸のアルカリ金属塩(式中、Rは水素又はC
1~C
20アルキルであり、xは1~30の整数である)、又はそれらの組合せを更に含む、及び/又は
少なくとも1種類の更なるカルボン酸又はその塩を更に含み、前記少なくとも1種類の更なるカルボン酸の塩が
、アルカリ金属を含み、前記少なくとも1種類の更なるカルボン酸が
、C
6~C
20の一塩基
性の脂肪族又は芳香族カルボン
酸を含む、及び/又は
水に溶解するとCa
2+、Mg
2+、及びSr
2+の少なくとも1つを生成する水溶性アルカリ土類金属塩を更に含む、及び/又は
アクリレート系ポリマー、及びマグネシウムイオンを生成する水溶性アルカリ土類金属塩を更に含み、前記マグネシウムイオンに対する前記アクリレート系ポリマーの比が5より大きく25未満である、請求項1に記載の腐食抑制剤配合物。
【請求項10】
熱伝達流体において使用するための腐食抑制剤配合物であって、
安息香酸又はそのアルカリ金属塩;
ヘプタン酸、オクタン酸、そのアルカリ金属塩、及びそれらの混合物から選択される第1のn-アルキルモノカルボン
酸、並びにノナン酸、デカン酸、そのアルカリ金属塩、及びそれらの混合物から選択される第2のn-アルキルモノカルボン
酸;
ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、テトラヒドロトリルトリアゾール、及びそれらの組合せからなる群から選択されるアゾール化合物;並びに、
モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、又はそれらの組合せを含むモリブデート塩;
を含み;
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントと、前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントとの比
は1:1.00
~1:1.75の範囲であり;
前記安息香酸又はその塩の重量パーセントと、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比
は1:0.50
~1:2.00の範囲であり、そして
前記腐食抑制剤配合物が、二塩基脂肪族カルボン酸及び二塩基芳香族カルボン酸を含まない、
前記腐食抑制剤配合物。
【請求項11】
熱伝達システムにおいて使用するための熱伝達流体であって、
前記熱伝達流体の総重量を基準とし
て1重量%
~99重量%の範囲の量の凝固点降下剤;
前記熱伝達流体の総重量を基準とし
て1重量%
~99重量%の範囲の量の水;及び
請求項1に記載の腐食抑制剤配合物;
を含
む、前記熱伝達流体。
【請求項12】
前記凝固点降下剤がアルコールを含み、
前記アルコールが
、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フルフロール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エトキシル化フルフリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、グリセロール-1,2-ジメチルエーテル、グリセロール-1,3-ジメチルエーテル、グリセロールのモノエチルエーテル、ソルビトール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、メトキシエタノール、及びそれらの組合せからなる群から選択され、
前記水が
、脱イオン水、脱塩水、軟化水、又はそれらの組み合わせである、請求項
11に記載の熱伝達流体。
【請求項13】
前記腐食抑制剤配合物が、水溶性モリブデート塩、ニトライト、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項
11に記載の熱伝達流体。
【請求項14】
熱伝達システムにおける腐食を抑止する方法であって
前記熱伝達システムの少なくとも一部を熱伝達流体と接触させること;
を含み;
前記熱伝達流体は、
凝固点降下剤、水、又はそれらの組み合わせ;及び
請求項1に記載の腐食抑制剤配合物
;
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2018年8月2日出願の米国仮出願第62/713,866号、及び2018年8月3日出願の米国仮出願第62/714,403号の利益を主張する。これらの文書の両方の全内容は、本明細書と一致しない開示又は規定の場合を除いて参照により本明細書に組み込まれるが、本明細書中の開示又は規定が優位であると見なされる。
【0002】
[0002]本発明は、一般に熱伝達流体に関し、幾つかの実施形態においては、熱伝達システムにおける腐食を抑制するための熱伝達流体に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]現在の自動車エンジンは、一般にそれらの冷却システムの長期的な通年保護を与える熱伝達流体(液体クーラント)を必要とする。熱伝達流体の主要な要件は、それらが、効率的な燃料経済性及び潤滑のためにエンジンの温度を制御及び維持し、凍結、吹きこぼれ、又はオーバーヒートによるエンジンの故障を防ぐために効率的な熱伝達を与えることである。熱伝達流体の更なる主要な要件は、それが広範囲の温度及び運転条件にわたって全ての冷却システムの金属の腐食保護を与えることである。アルミニウム又はアルミニウム合金から製造されるエンジンブロック、シリンダーヘッド、ウォーターポンプ、熱交換器、及び他の部品のためのアルミニウム腐食保護が特に重要である。金属保護に加えて、腐食保護は、熱伝達流体が過剰の熱を放散させるためにエンジンからラジエーターに伝達するその主要な機能を果たすことを助ける。
【0004】
[0004]自動車用冷却システムにおいて生起する可能性がある通常の腐食に関連する問題としては、(1)シリンダーヘッド及びシリンダーブロックのキャビテーション腐食及び発錆;(2)ウォーターポンプにおけるシールの漏れ、ベローズシールの破損、及びキャビテーション腐食;(3)ラジエーター及びヒーターコアにおけるソルダーブルーム(solder bloom)、スケール及び堆積物の形成、並びに孔食;(4)サーモスタットの固着;及び/又は(5)ホース接続部(hose necks)における隙間腐食;が挙げられる。更に、条件によって、冷却システム内の影響を受けやすい位置において、浸食腐食、電解腐食、堆積物下腐食、及び/又は迷走電流腐食が起こる可能性がある。
【0005】
[0005]異なる種類の金属を使用して冷却システムの種々の部品を製造することができる。例として、シリンダーブロック、シリンダーヘッド、インテークマニホールド、クーラントポンプ、及びパワーエレクトロニクスデバイスの筺体のために、鋳鉄及び鋳造アルミニウム合金を使用することができ;ラジエーター及びヒーターコアのために鍛造アルミニウム及び銅合金を使用することができ;黄銅又は銅製のラジエーター又はヒーターコアの部品を接合するためにはんだを使用することができ;シリンダーヘッドガスケット、並びにフリーズプラグ、クーラントポンプハウジング筺体、及びクーラントポンプインペラーのような小さな部品のために鋼鉄を使用することができ;サーモスタットにおいて銅合金を使用することができる。
【0006】
[0006]コンパクト黒鉛鉄(compacted graphite iron)(CGI)は、現代のエンジン(例えばディーゼルエンジン)においてシリンダーブロック及びヘッドのために現在一般的に使用されている材料である。従来のねずみ鋳鉄とは対照的に、CGIは、それに増加した引張強さ、増加した剛性、及び増加した疲労強度を与える異なる金属組織を有する。更に、CGIは、昇温温度においてアルミニウムよりも耐疲労性である。1973年に発表された研究においては、室温において、5%硫酸中におけるCGIの腐食速度はねずみ鋳鉄(例えばフレーク状黒鉛鉄)のもののほぼ半分であることが示された。CGIの機械的及びトライボロジー的性質はエンジン用途のために広く研究されてきたが、エンジン用途におけるCGIの腐食は報告されていない。
【0007】
[0007]研究により、アルミニウム製自動車用熱交換器の製造において一般的に使用される制御雰囲気ろう付け(CAB)のプロセスにおいて導入されるクーラント配合物とフルオロアルミン酸カリウムフラックス残渣との間の相互作用によって、エンジン冷却システムにおけるクーラント溶液中に高腐食性のフッ化物及びアルミニウムイオンが浸出すことがあることが示されている。この相互作用は、クーラントの腐食保護性能に悪影響を及ぼす可能性があり、熱伝達及びクーラントの流れ、並びにエンジン冷却システムの通常の作動に問題を引き起こす可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008]CABプロセスによって製造された熱交換器を含む冷却システムにおいて使用するためのクーラントの腐食保護性能、及び(例えば、シリンダーヘッド及びエンジンブロックのようなエンジン冷却システムにおいて排気ガス再循環又はホットスポットを備える自動車用の冷却システムにおける)高温における腐食保護は、改善の余地がある。自動車用冷却システムにおいて現在使用されている全ての金属及び金属部品の改良された腐食保護を与える新規な抑制されたクーラントに対する必要性が存在ずる。特に、コンパクト黒鉛鉄及びアルミニウム合金の両方に対して効果的な腐食保護を同時に与えるエンジンクーラントにおいて使用するための抑制剤配合物に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、この概要の中の記述によっていかなる程度にも影響されない。
[0010]序論として、熱伝達流体において使用するための本発明による第1の腐食抑制剤配合物は、(a)場合によって置換されている安息香酸又はその塩;(b)少なくとも、第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩、及び第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩(第1のn-アルキルモノカルボン酸と第2のn-アルキルモノカルボン酸とは異なっている);及び(c)アゾール化合物を含む。第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントと第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントとの比は、約1:0.75~約1:2.00の範囲である。安息香酸又はその塩の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比は、約1:0.30~約1:2.25の範囲である。
【0010】
[0011]熱伝達流体において使用するための本発明による第2の腐食抑制剤配合物は、(A)安息香酸又はそのアルカリ金属塩;(b)少なくとも、第1のn-アルキルモノカルボン酸又はそのアルカリ金属塩、及び第2のn-アルキルモノカルボン酸又はそのアルカリ金属塩(第1のn-アルキルモノカルボン酸と第2のn-アルキルモノカルボン酸とは異なっており、第1のn-アルキルモノカルボン酸及び第2のn-アルキルモノカルボン酸は、それぞれ独立して、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される);(c)ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、テトラヒドロトリルトリアゾール、及びそれらの組合せからなる群から選択されるアゾール化合物;並びに(d)モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、又はそれらの組合せを含むモリブデート塩(モリブデン酸塩)(molybdate salt)を含む。第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントと、第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントとの比は、約1:1.00~約1:1.75の範囲である。安息香酸又はその塩の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比は、約1:0.50~約1:2.00の範囲である。
【0011】
[0012]熱伝達システムにおいて使用するための本発明による熱伝達流体は、熱伝達流体の総重量を基準として約1重量%~約99重量%の範囲の量の凝固点降下剤、熱伝達流体の総重量を基準として約1重量%~約99重量%の範囲の量の水、及び上述のタイプの腐食抑制剤配合物を含む。
【0012】
[0013]熱伝達システムにおける腐食を抑止するための本発明による方法は、熱伝達システムの少なくとも一部を上述のタイプの熱伝達流体と接触させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0014]長い耐用年数を確保し、設計機能を実現させるためには、自動車用冷却システムにおいて使用する金属部品は、エンジンクーラントによる腐食から保護されなければならない。更に、エンジンクーラントは、冷却システムにおいて使用される非金属(例えば、ホース、ガスケット、及びプラスチック)と適合性でなければならない。冷却システムにおいて使用される材料の過度の腐食又は劣化は、材料又は部品の強度の相当な減少、システムからのクーラントの損失、及びその後の1以上の冷却システム部品の機能不良を引き起こす可能性がある。これらの事象の全てがエンジンの故障をもたらす可能性がある。更に、比較的軽い腐食であっても腐食生成物の形成を引き起こす可能性があり、これにより熱伝達表面上にスケール又は堆積物が形成される可能性がある。これらのスケール又は堆積物は、熱伝達率を大きく減少させる可能性がある。非多孔質のスケールに関する熱伝導率は25℃において約1.04~3.46W/mKであり、堆積物又は多孔質のスケールのそれは25℃において約0.35W/mKになる可能性がある。これらの値は、冷却システムにおいて使用される種々の金属の熱伝導率(例えば、銅に関しては25℃において401W/mK;アルミニウムに関しては25℃において250W/mK;マグネシウムに関しては25℃において156W/mK;アドミラルティー黄銅に関しては25℃において109W/mK;鋳鉄に関しては25℃において55W/mK;又はステンレススチールに関しては25℃において16W/mK)よりも遙かに低い。要するに、スケール及び堆積物の熱伝導率は、500℃において断熱材料として使用される粘土質耐火レンガの範囲内(1.4W/mK)である。過度のスケール又は腐食生成物の堆積はまた、ラジエーター及びヒーターコアチューブ内におけるクーラントの流れの制限、更にはヒーターコア及び/又はラジエーターの閉塞をも引き起こす可能性もある。相当な熱伝達率の減少及びクーラントの流れの制限は、エンジンのオーバーヒートを引き起こす可能性がある。
【0014】
[0015]冷却システムにおける種々の金属部品に関して信頼できる腐食保護を与えることに加えて、エンジンクーラントはまた、自動車用の通年使用の機能性流体として使用するためのその要件を満たすために、次の特性:高い熱伝導率;高い熱容量又は高い比熱;使用温度範囲内における良好な流動性;高い沸点;低い凝固点;低い粘度;低い毒性及び使用安全性;コスト有効性及び適切な供給量;使用温度及び使用条件にわたる化学的安定性;低い発泡傾向;並びに良好な材料適合性(即ち、システム材料(金属材料及び非金属材料の両方を含む)を腐食せず、浸食せず、又は劣化させない性質);も有していなければならない。下記において記載する腐食抑制剤配合物を使用して、上記に記載の特性の1以上を与えることができる。
【0015】
[0016]本発明によれば、腐食抑制剤配合物、及び腐食抑制剤配合物を含む熱伝達流体は、腐食抑制に関して配合物の複数の成分の間の相乗効果を示す。下記において更に記載するように、相乗効果を有する腐食抑制剤配合物、及びかかる配合物を含む熱伝達流体は、場合によって置換されている安息香酸又はその塩、及び少なくとも2種類のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩を特定の比で含む。
【0016】
[0017]本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体にわたって、以下の定義を理解すべきである。
[0018]「場合によって置換されている安息香酸又はその塩」という句は、非置換の安息香酸、非置換の安息香酸の1種類以上の塩、1以上の置換基で置換されている安息香酸、1以上の置換基で置換されている安息香酸の一種類以上の塩、及びそれらの任意の組み合わせを包含する。
【0017】
[0019]「ヘテロ原子」という用語は、炭素及び水素以外の任意の原子を指す。本発明によるヘテロ原子の代表例としては、窒素、酸素、イオウなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
[0020]「アルキル」という用語は、幾つかの実施形態においては1~24個の炭素原子を含む、置換又は非置換で、直鎖、分岐、又は環式の炭化水素鎖を指す。本発明による非置換アルキル基の代表例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
[0021]「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合、及び幾つかの実施形態においては2~24個の炭素原子を含む、置換又は非置換で、直鎖、分岐、又は環式の不飽和炭化水素鎖を指す。本発明による代表的な非置換アルケニル基としては、エテニル又はビニル(-CH=CH2)、1-プロペニル、2-プロペニル又はアリル(-CH2-CH=CH2)、1,3-ブタジエニル(-CH=CHCH=CH2)、1-ブテニル(-CH=CHCH2CH3)、ヘキセニル、ペンテニル、1,3,5-ヘキサトリエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、シクロアルケニル基は、5~8個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する。本発明による代表的なシクロアルケニル基としては、シクロヘキサジエニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタトリエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
[0022]「アルコキシ」という用語は、置換又は非置換の-O-アルキル基を指す。本発明による代表的な非置換アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
[0023]「シロキシ」及び「シリルオキシ」という用語は、ケイ素置換酸素基を指す。シロキシ基のケイ素含有部分は、置換又は非置換であってよい。本発明による代表的なシロキシ基としては、トリメチルシリルオキシ(-OSi(CH3)3)、トリエチルシリルオキシ(-OSi(CH2CH3)3)、トリイソプロピルシロキシ(-OSi(i-Pr)3)、tert-ブチルジメチルシリルオキシ(-OSi(tert-Bu)(CH3)2)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
[0024]「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合、及び幾つかの実施形態においては2~20個の炭素原子を含む、置換又は非置換で、直鎖、分岐、又は環式の不飽和炭化水素鎖を指す。
【0023】
[0025]「アリール」という用語は、4~20炭素原子の、置換又は非置換の単環式、二環式、又は多環式の芳香環系を指す。本発明による代表的なアリール基としては、ベンゼン、置換ベンゼン(例えば、トルエン、キシレン類、スチレン)、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
[0026]「アミノ」という用語は、非置換又は置換アミノ(-NH2)基を指す。アミンは、第1級(-NH2)、第2級(-NHRa)、又は第3級(-NRaRb)(ここで、Ra及びRbは同じか又は異なる)であってよい。本発明による代表的な置換アミノ基としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、2-プロピルアミノ、1-プロピルアミノ、ジ(n-プロピル)アミノ、ジ(イソプロピル)アミノ、メチル-n-プロピルアミノ、tert-ブチルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
[0027]「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、ヨウ素、又は臭素を指す。
[0028]「複素環式」という用語は、3~24個の炭素原子(幾つかの態様においては4~22個の炭素原子;他の態様においては6~20個の炭素原子)、及び少なくとも1つのヘテロ原子(幾つかの態様においては1~3個のヘテロ原子)を含む、飽和、部分飽和、又は芳香族環系を指す。環は、場合によっては1以上の置換基で置換されていてもよい。更に、環は、単環式、二環式、又は多環式であってよい。本明細書において使用する「複素環式」という用語は、「ヘテロアリール」の用語を包含する。環中に含められる代表的なヘテロ原子としては、窒素、酸素、及びイオウが挙げられるが、これらに限定されない。本発明による代表的な複素環式基としては、アジリジン、アジリン、オキシラン、オキシレン、チイラン、チイレン、ジアジリン、オキサジリジン、ジオキシラン、アゼチジン、アゼト、オキセタン、オキセト、チエタン、チエト、ジアゼチジン、ジオキセタン、ジオキセト、ジチエタン、ジチエト、ピロリジン、テトラヒドロフラン、チオラン、イミダゾリジン、ピラゾリデン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリデン、ジオキソラン、ジチオラン、フラザン、オキサジアゾール、ジチアゾール、テトラゾール、ピペリジン、オキサン、ピラン、チアン、チオピラン、ピペラジン、ジアジン、モルホリン、オキサジン、チオモルホリン、チアジン、ジオキサン、ジオキシン、ジチアン、ジチイン、トリオキサン、トリチアン、テトラジン、アゼパン、アゼピン、オキセパン、オキセピン、チエパン、チエピン、ホモピペラジン、ジアゼピン、チアゼピン、アゾカン、アゾシン、アクリジン、ベンゾチアゾリン、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアペン、ベンズチアゾール、ベンゾチオフェニル、カルバゾール、シンノリン、フラン、イミダゾール、1H-インダゾール、インドール、イソインドール、イソキノリン、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール類(例えば1,2,3-オキサジアゾール)、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、チアゾール、チアジアゾール類(例えば1,3,4-チアジアゾール)、チオフェン、トリアジン(例えば1,3,5-トリアジン)、トリアゾール類(例えば1,2,3-トリアゾール)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
[0029]「置換」という用語は、骨格構造(例えば、アルキル骨格、アルケニル骨格、複素環式骨格等)上への1以上の置換基の随意的な結合を指す。本発明にしたがって使用するための代表的な置換基としては、ヒドロキシル、アミノ(-NH2、-NHRa、-NRaRb)、オキシ(-O-)、カルボニル(-CO-)、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ニトリル、ニトロ、アリール、及びヘテロシクリル基が挙げられるが、これらに限定されない。これらの置換基は、場合によっては1~3個の置換基で更に置換されていてよい。置換された置換基の例としては、カルボキサミド、アルキルメルカプト、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシレート、アルコキシカルボニル、アルキルアリール、アラルキル、アルキルヘテロシクリル、ヘテロシクリルアリール、ハロアルキルなどが挙げられるが、これらに限定されない。置換基は、本発明の反応を実質的に化学的に妨げてはならない(例えば反応物質との交差反応、反応の停止などを起こしてはならない)。
【0027】
[0030]下記に記載する種々の代表的な態様の構成要素及び特徴は、異なるように組み合わせて、同様に本発明の範囲内である新しい態様を生成させることができることを理解すべきである。
【0028】
[0031]序論として、本発明による腐食抑制剤配合物は、以下の構成要素を含むか、又は幾つかの実施形態においては以下の構成要素から構成される:(a)場合によって置換されている安息香酸及び/又はその塩(即ち、非置換安息香酸、非置換安息香酸の1種類以上の塩、1つ以上の置換基で置換された安息香酸、1つ以上の置換基で置換された安息香酸の1種類以上の塩、又はそれらの任意の組み合わせ);(b)2種類以上のn-アルキルモノカルボン酸及び/又はそれらの塩;並びに(c)アゾール化合物。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、(モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、又はそれらの組み合わせなど(しかしながらこれらに限定されない)の)モリブデート化合物を更に含む。
【0029】
[0032]本発明による腐食抑制剤配合物は、非常に相乗的であり、下記の実施例で示されるように、(1)第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントと第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントとの比が約1:0.75~約1:2.00(幾つかの実施形態においては約1:1.00~約1:2.00、他の実施形態においては約1:1.00~約1:1.50)の範囲であり、(2)安息香酸又はその塩の重量パーセントと第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比が約1:0.30~約1:2.25(幾つかの実施形態においては約1:0.50~約1:2.25、他の実施形態においては約1:0.75~約 1:2.00)である場合に、驚くべき且つ予期しなかった良好な結果が得られることが見出された。幾つかの実施形態においては、2種類のn-アルキルカルボン酸(又はn-アルキルカルボキシレート)の重量パーセントの比は、腐食抑制剤配合物中において1:1又は1:1.35の範囲内である。幾つかの実施形態においては、安息香酸(又はアルカリ金属ベンゾエート)の重量パーセントと少なくとも2種類のn-アルキルカルボン酸(又はn-アルキルカルボン酸のアルカリ金属塩)の合計重量パーセントとの比は、1:2~1:1の範囲内である。
【0030】
[0033]本発明による第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントと第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントとの比は限定されず、当業者によって理解されるように、所望の最終用途に基づいて変化させることができる。代表的な実施形態においては、第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントと第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントとの比は、約1:0.75、1:0.80、1:0.85、1:0.90、1:0.95、1:1.00、1:1.10、1:1.15、1:1.20、1:1.25、1:1.30、1:1.35、1:1.40、1:1.45、又は1:1.50である。本発明による第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントと第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントとの比は、幾つかの異なる比の1つであってよく、又は幾つかの異なる比の範囲の1つの中に含まれていてよい。例えば、第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の量及び第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の量を、第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントと第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントとの比が、以下の比の1つになるように選択することは、本開示の範囲内である:約1:0.75、1:0.76、1:0.77、1:0.78、1:0.79、1:0.80、1:0.81、1:0.82、1:0.83、1:0.84、1:0.85、1:0.86、1:0.87、1:0.88、1:0.89、1:0.90、1:0.91、1:0.92、1:0.93、1:0.94、1:0.95、1:0.96、1:0.97、1:0.98、1:0.99、1:1.00、1:1.01、1:1.02、1:1.03、1:1.04、1:1.05、1:1.06、1:1.07、1:1.08、1:1.09、1:1.10、1:1.11、1:1.12、1:1.13、1:1.14、1:1.15、1:1.16、1:1.17、1:1.18、1:1.19、1:1.20、1:1.21、1:1.22、1:1.23、1:1.24、1:1.25、1:1.26、1:1.27、1:1.28、1:1.29、1:1.30、1:1.31、1:1.32、1:1.33、1:1.34、1:1.35、1:1.36、1:1.37、1:1.38、1:1.39、1:1.40、1:1.41、1:1.42、1:1.43、1:1.44、1:1.45、1:1.46、1:1.47、1:1.48、1:1.49、1:1.50、1:1.51、1:1.52、1:1.53、1:1.54、1:1.55、1:1.56、1:1.57、1:1.58、1:1.59、1:1.60、1:1.61、1:1.62、1:1.63、1:1.64、1:1.65、1:1.66、1:1.67、1:1.68、1:1.69、1:1.70、1:1.71、1:1.72、1:1.73、1:1.74、1:1.75、1:1.76、1:1.77、1:1.78、1:1.79、1:1.80、1:1.81、1:1.82、1:1.83、1:1.84、1:1.85、1:1.86、1:1.87、1:1.88、1:1.89、1:1.90、1:1.91、1:1.92、1:1.93、1:1.94、1:1.95、1:1.96、1:1.97、1:1.98、1:1.99、又は1:2.00。
【0031】
[0034]また、第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントと第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントとの比が多くの異なる範囲の1つの中に入ることは、本開示の範囲内である。第1の範囲の組においては、比の範囲は以下の範囲の1つである:1:0.75~1:2.00、1:0.76~1:1.99、1:0.77~1:1.98、1:0.78~1:1.97、1:0.79~1:1.96、1:0.80~1:1.95、1:0.81~1:1.94、1:0.82~1:1.93、1:0.83~1:1.92、1:0.84~1:1.91、1:0.85~1:1.90、1:0.86~1:1.89、1:0.87~1:1.88、1:0.88~1:1.87、1:0.89~1:1.86、1:0.90~1:1.85、1:0.91~1:1.84、1:0.92~1:1.83、1:0.93~1:1.82、1:0.94~1:1.81、1:0.95~1:1.80、1:0.96~1:1.79、1:0.97~1:1.78、1:0.98~1:1.77、1:0.99~1:1.76、1:1.00~1:1.75、1:1.01~1:1.74、1:1.02~1:1.73、1:1.03~1:1.72、1:1.04~1:1.71、1:1.05~1:1.70、1:1.06~1:1.69、1:1.07~1:1.68、1:1.08~1:1.67、1:1.09~1:1.66、1:1.10~1:1.65、1:1.11~1:1.64、1:1.12~1:1.63、1:1.13~1:1.62、1:1.14~1:1.61、1:1.15~1:1.60、1:1.16~1:1.59、1:1.17~1:1.58、1:1.18~1:1.57、1:1.19~1:1.56、1:1.20~1:1.55、1:1.21~1:1.54、1:1.22~1:1.53、1:1.23~1:1.52、1:1.24~1:1.51、1:1.25~1:1.50、1:1.26~1:1.49、1:1.27~1:1.48、1:1.28~1:1.47、1:1.29~1:1.46、1:1.30~1:1.45、1:1.31~1:1.44、1:1.32~1:1.43、1:1.33~1:1.42、1:1.34~1:1.41、1:1.35~1:1.40、1:1.36~1:1.39、又は1:1.37~1:1.38。
【0032】
[0035]第2の範囲の組においては、第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントと第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントとの比の範囲は、以下の範囲の1つである:約1:0.75~1:2.00、1:0.75~1:1.99、1:0.75~1:1.98、1:0.75~1:1.97、1:0.75~1:1.96、1:0.75~1:1.95、1:0.75~1:1.94、1:0.75~1:1.93、1:0.75~1:1.92、1:0.75~1:1.91、1:0.75~1:1.90、1:0.75~1:1.89、1:0.75~1:1.88、1:0.75~1:1.87、1:0.75~1:1.86、1:0.75~1:1.85、1:0.75~1:1.84、1:0.75~1:1.83、1:0.75~1:1.82、1:0.75~1:1.81、1:0.75~1:1.80、1:0.75~1:1.79、1:0.75~1:1.78、1:0.75~1:1.77、1:0.75~1:1.76、1:0.75~1:1.75、1:0.75~1:1.74、1:0.75~1:1.73、1:0.75~1:1.72、1:0.75~1:1.71、1:0.75~1:1.70、1:0.75~1:1.69、1:0.75~1:1.68、1:0.75~1:1.67、1:0.75~1:1.66、1:0.75~1:1.65、1:0.75~1:1.64、1:0.75~1:1.63、1:0.75~1:1.62、1:0.75~1:1.61、1:0.75~1:1.60、1:0.75~1:1.59、1:0.75~1:1.58、1:0.75~1:1.57、1:0.75~1:1.56、1:0.75~1:1.55、1:0.75~1:1.54、1:0.75~1:1.53、1:0.75~1:1.52、or 1:0.75~1:1.51、1:0.75~1:1.50、1:0.75~1:1.49、1:0.75~1:1.48、1:0.75~1:1.47、1:0.75~1:1.46、1:0.75~1:1.45、1:0.75~1:1.44、1:0.75~1:1.43、1:0.75~1:1.42、1:0.75~1:1.41、1:0.75~1:1.40、1:0.75~1:1.39、1:0.75~1:1.38、1:0.75~1:1.37、1:0.75~1:1.36、1:0.75~1:1.35、1:0.75~1:1.34、1:0.75~1:1.33、1:0.75~1:1.32、1:0.75~1:1.31、1:0.75~1:1.30、1:0.75~1:1.29、1:0.75~1:1.28、1:0.75~1:1.27、1:0.75~1:1.26、1:0.75~1:1.25、1:0.75~1:1.24、1:0.75~1:1.23、1:0.75~1:1.22、1:0.75~1:1.21、1:0.75~1:1.20、1:0.75~1:1.19、1:0.75~1:1.18、1:0.75~1:1.17、1:0.75~1:1.16、1:0.75~1:1.15、1:0.75~1:1.14、1:0.75~1:1.13、1:0.75~1:1.12、1:0.75~1:1.11、1:0.75~1:1.10、1:0.75~1:1.09、1:0.75~1:1.08、1:0.75~1:1.07、1:0.75~1:1.06、1:0.75~1:1.05、1:0.75~1:1.04、1:0.75~1:1.03、1:0.75~1:1.02、又は1:0.75~1:1.01、1:0.75~1:1.00、1:0.75~1:0.99、1:0.75~1:0.98、1:0.75~1:0.99、1:0.75~1:0.98、1:0.75~1:0.97、1:0.75~1:0.96、1:0.75~1:0.95、1:0.75~1:0.94、1:0.75~1:0.93、1:0.75~1:0.92、1:0.75~1:0.91、1:0.75~1:0.90、1:0.75~1:0.89、1:0.75~1:0.88、1:0.75~1:0.87、1:0.75~1:0.86、1:0.75~1:0.85、1:0.75~1:0.84、1:0.75~1:0.83、1:0.75~1:0.82、1:0.75~1:0.81、1:0.75~1:0.80、1:0.75~1:0.79、1:0.75~1:0.78、1:0.75~1:0.77、又は1:0.75~1:0.76。
【0033】
[0036]第3の範囲の組においては、第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントと第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の重量パーセントとの比の範囲は、以下の範囲の1つである:約1:0.76~1:2.00、1:0.77~1:2.00、1:0.78~1:2.00、1:0.79~1:2.00、1:0.80~1:2.00、1:0.81~1:2.00、1:0.82~1:2.00、1:0.83~1:2.00、1:0.84~1:2.00、1:0.85~1:2.00、1:0.86~1:2.00、1:0.87~1:2.00、1:0.88~1:2.00、1:0.89~1:2.00、1:0.90~1:2.00、1:0.91~1:2.00、1:0.92~1:2.00、1:0.93~1:2.00、1:0.94~1:2.00、1:0.95~1:2.00、1:0.96~1:2.00、1:0.97~1:2.00、1:0.98~1:2.00、1:0.99~1:2.00、1:1.00~1:2.00、1:1.01~1:2.00、1:1.02~1:2.00、1:1.03~1:2.00、1:1.04~1:2.00、1:1.05~1:2.00、1:1.06~1:2.00、1:1.07~1:2.00、1:1.08~1:2.00、1:1.09~1:2.00、1:1.10~1:2.00、1:1.11~1:2.00、1:1.12~1:2.00、1:1.13~1:2.00、1:1.14~1:2.00、1:1.15~1:2.00、1:1.16~1:2.00、1:1.17~1:2.00、1:1.18~1:2.00、1:1.19~1:2.00、1:1.20~1:2.00、1:1.21~1:2.00、1:1.22~1:2.00、1:1.23~1:2.00、1:1.24~1:2.00、1:1.25~1:2.00、1:1.26~1:2.00、1:1.27~1:2.00、1:1.28~1:2.00、1:1.29~1:2.00、1:1.30~1:2.00、1:1.31~1:2.00、1:1.32~1:2.00、1:1.33~1:2.00、1:1.34~1:2.00、1:1.35~1:2.00、1:1.36~1:2.00,1:1.37~1:2.00,1:1.38~1:2.00,1:1.39~1:2.00、又は1:1.40~1:2.00。
【0034】
[0037]本発明による、場合によって置換されている安息香酸又はその塩(即ち、非置換安息香酸、非置換安息香酸の1種類以上の塩、1つ以上の置換基で置換された安息香酸、1つ以上の置換基で置換された安息香酸の1種類以上の塩、又はそれらの任意の組み合わせ)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はそれらの塩)及び第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はそれらの塩)の合計重量パーセントとの比、幾つかの実施形態においては、場合によって置換されている安息香酸(又はそれらの塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はそれらの塩)、第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はそれらの塩)、及び1種類以上の場合によって存在する更なるn-アルキルモノカルボン酸(又はそれらの塩)の合計重量パーセントとの比は、限定されず、当業者によって理解されるように、所望の最終用途に基づいて変化させることができる。代表的な実施形態においては、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)及び第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比、幾つかの実施形態においては、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、及び場合によって存在する更なるn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントと比は、約1:0.30、1:0.35、1:0.40、1:0.45、1:0.50、1:0.55、1:0.60、1:0.65、1:0.70、1:0.75、1:0.80、1:0.85、1:0.90、1:0.95、1:1.00、1:1.05、1:10、1:1.15、1:1.20、1:1.25、1:1.30、1:1.35、1:1.40、1:1.45、1:1.50、1:1.55、1:1.60、1:1.65、1:1.70、1:1.75、1:1.80、1:1.85、1:1.90、1:1.95、1:2.00、1:2.05、1:2.10、1:2.15、又は1:2.20である。本発明による、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)と、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)及び第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比、幾つかの実施形態においては、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)と、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、及び場合によって存在する更なるn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比は、幾つかの異なる比の1つであってよく、又は幾つかの異なる比の範囲の1つの中であってよい。例えば、場合によって置換されている安息香酸(及び/又はその塩)の量、第1のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の量、第2のn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)の量、及び2種類より多いn-アルキルモノカルボン酸(及び/又はその塩)が存在する場合には、場合によって存在する更なるn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の量を、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、及び場合によって存在する更なるn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比が、以下の比の1つであるように選択することは、本発明の範囲内である:約1:0.30、1:0.31、1:0.32、1:0.33、1:0.34、1:0.35、1:0.36、1:0.37、1:0.38、1:0.39、1:0.40、1:0.41、1:0.42、1:0.43、1:0.44、1:0.45、1:0.46、1:0.47、1:0.48、1:0.49、1:0.50、1:0.51、1:0.52、1:0.53、1:0.54、1:0.55、1:0.56、1:0.57、1:0.58、1:0.59、1:0.60、1:0.61、1:0.62、1:0.63、1:0.64、1:0.65、1:0.66、1:0.67、1:0.68、1:0.69、1:0.70、1:0.71、1:0.72、1:0.73、1:0.74、1:0.75、1:0.76、1:0.77、1:0.78、1:0.79、1:0.80、1:0.81、1:0.82、1:0.83、1:0.84、1:0.85、1:0.86、1:0.87、1:0.88、1:0.89、1:0.90、1:0.91、1:0.92、1:0.93、1:0.94、1:0.95、1:0.96、1:0.97、1:0.98、1:0.99、1:1.00、1:1.01、1:1.02、1:1.03、1:0.04、1:1.05、1:1.06、1:1.07、1:1.08、1:1.09、1:1.10、1:1.11、1:1.12、1:1.13、1:1.14、1:1.15、1:1.16、1:1.17、1:1.18、1:1.19、1:1.20、1:1.21、1:1.22、1:1.23、1:1.24、1:1.25、1:1.26、1:1.27、1:1.28、1:1.29、1:1.30、1:1.31、1:1.32、1:1.33、1:1.34、1:1.35、1:1.36、1:1.37、1:1.38、1:1.39、1:1.40、1:1.41、1:1.42、1:1.43、1:1.44、1:1.45、1:1.46、1:1.47、1:1.48、1:1.49、1:1.50、1:1.51、1:1.52、1:1.53、1:1.54、1:1.55、1:1.56、1:1.57、1:1.58、1:1.59、1:1.60、1:1.61、1:1.62、1:1.63、1:1.64、1:1.65、1:1.66、1:1.67、1:1.68、1:1.69、1:1.70、1:1.71、1:1.72、1:1.73、1:1.74、1:1.75、1:1.76、1:1.77、1:1.78、1:1.79、1:1.80、1:1.81、1:1.82、1:1.83、1:1.84、1:1.85、1:1.86、1:1.87、1:1.88、1:1.89、1:1.90、1:1.91、1:1.92、1:1.93、1:1.94、1:1.95、1:1.96、1:1.97、1:1.98、1:1.99、1:2.00、1:2.01、1:2.02、1:2.03、1:2.04、1:2.05、1:2.06、1:2.07、1:2.08、1:2.09、1:2.10、1:2.11、1:2.12、1:2.13、1:2.14、1:2.15、1:2.16、1:2.17、1:2.18、1:2.19、1:2.20、1:2.21、1:2.22、1:2.23、1:2.24、又は1:2.25。
【0035】
[0038]また、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)及び第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比、幾つかの実施形態においては、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、及び場合によって存在する更なるn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比が多くの異なる範囲の1つに入ることは本開示の範囲内である。第1の範囲の組においては、比の範囲は以下の範囲の1つである:1:0.36~1:2.25、1:0.37~1:2.25、1:0.38~1:2.24、1:0.39~1:2.23、1:0.40~1:2.22、1:0.41~1:2.21、1:0.42~1:2.20、1:0.43~1:2.19、1:0.44~1:2.18、1:0.45~1:2.17、1:0.46~1:2.16、1:0.47~1:2.15、1:0.48~1:2.14、1:0.49~1:2.13、1:0.50~1:2.12、1:0.51~1:2.11、1:0.52~1:2.10、1:0.53~1:2.09、1:0.54~1:2.08、1:0.55~1:2.07、1:0.56~1:2.06、1:0.57~1:2.05、1:0.58~1:2.04、1:0.59~1:2.03、1:0.60~1:2.02、1:0.61~1:2.01、1:0.62~1:2.00、1:0.63~1:1.99、1:0.64~1:1.98、1:0.65~1:1.97、1:0.66~1:1.96、1:0.67~1:1.95、1:0.68~1:1.94、1:0.69~1:1.93、1:0.70~1:1.92、1:0.71~1:1.91、1:0.72~1:1.90、1:0.73~1:1.89、1:0.74~1:1.88、1:0.75~1:1.87、1:0.76~1:1.86、1:0.77~1:1.85、1:0.78~1:1.84、1:0.79~1:1.83、1:0.80~1:1.82、1:0.81~1:1.81、1:0.82~1:1.80、1:0.83~1:1.79、1:0.84~1:1.78、1:0.85~1:1.77、1:0.86~1:1.76、1:0.87~1:1.75、1:0.88~1:1.74、1:0.89~1:1.73、1:0.90~1:1.72、1:0.91~1:1.71、1:0.92~1:1.70、1:0.93~1:1.69、1:0.94~1:1.68、1:0.95~1:1.67、1:0.96~1:1.66、1:0.97~1:1.65、1:0.98~1:1.64、1:0.99~1:1.63、1:1.00~1:1.62、1:1.01~1:1.61、1:1.02~1:1.60、1:1.03~1:1.59、1:1.04~1:1.58、1:1.05~1:1.57、1:1.06~1:1.56、1:1.07~1:1.55、1:1.08~1:1.54、1:1.09~1:1.53、1:1.10~1:1.52、1:1.11~1:1.51、1:1.12~1:1.50、1:1.13~1:1.49、1:1.14~1:1.48、1:1.15~1:1.47、1:1.16~1:1.46、1:1.17~1:1.45、1:1.18~1:1.44、1:1.19~1:1.43、1:1.20~1:1.42、1:1.21~1:1.41、1:1.22~1:1.40、1:1.23~1:1.39、1:1.24~1:1.38、1:1.25~1:1.37、1:1.26~1:1.36、1:1.27~1:1.35、1:1.28~1:1.34、1:1.29~1:1.33、又は1:1.30~1:1.32。
【0036】
[0039]第2の範囲の組においては、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)及び第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比、幾つかの実施形態においては、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、及び場合によって存在する更なるn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比の範囲は、以下の範囲の1つである:約1:0.30~1:2.24、1:0.30~1:2.23、1:0.30~1:2.22、1:0.30~1:2.21、1:0.30~1:2.20、1:0.30~1:2.19、1:0.30~1:2.18、1:0.30~1:2.17、1:0.30~1:2.16、1:0.30~1:2.15、1:0.30~1:2.14、1:0.30~1:2.13、1:0.30~1:2.12、1:0.30~1:2.11、1:0.30~1:2.10、1:0.30~1:2.09、1:0.30~1:2.08、1:0.30~1:2.07、1:0.30~1:2.06、1:0.30~1:2.05、1:0.30~1:2.04、1:0.30~1:2.03、1:0.30~1:2.02、1:0.30~1:2.01、1:0.30~1:2.00、1:0.30~1:1.99、1:0.30~1:1.98、1:0.30~1:1.97、1:0.30~1:1.96、1:0.30~1:1.95、1:0.30~1:1.94、1:0.30~1:1.93、1:0.30~1:1.92、1:0.30~1:1.91、1:0.30~1:1.90、1:0.30~1:1.89、1:0.30~1:1.88、1:0.30~1:1.87、1:0.30~1:1.86、1:0.30~1:1.85、1:0.30~1:1.84、1:0.30~1:1.83、1:0.30~1:1.82、1:0.30~1:1.81、1:0.30~1:1.80、1:0.30~1:1.79、1:0.30~1:1.78、1:0.30~1:1.77、1:0.30~1:1.76、1:0.30~1:1.75、1:0.30~1:1.74、1:0.30~1:1.73、1:0.30~1:1.72、1:0.30~1:1.71、1:0.30~1:1.70、1:0.30~1:1.69、1:0.30~1:1.68、1:0.30~1:1.67、1:0.30~1:1.66、1:0.30~1:1.65、1:0.30~1:1.64、1:0.30~1:1.63、1:0.30~1:1.62、1:0.30~1:1.61、1:0.30~1:1.60、1:0.30~1:1.59、1:0.30~1:1.58、1:0.30~1:1.57、1:0.30~1:1.56、1:0.30~1:1.55、1:0.30~1:1.54、1:0.30~1:1.53、1:0.30~1:1.52、1:0.30~1:1.51、1:0.30~1:1.50、1:0.30~1:1.49、1:0.30~1:1.48、1:0.30~1:1.47、1:0.30~1:1.46、1:0.30~1:1.45、1:0.30~1:1.44、1:0.30~1:1.43、1:0.30~1:1.42、1:0.30~1:1.41、1:0.30~1:1.40、1:0.30~1:1.39、1:0.30~1:1.38、1:0.30~1:1.37、1:0.30~1:1.36、1:0.30~1:1.35、1:0.30~1:1.34、1:0.30~1:1.33、1:0.30~1:1.32、1:0.30~1:1.31、1:0.30~1:1.30、1:0.30~1:1.29、1:0.30~1:1.28、1:0.30~1:1.27、1:0.30~1:1.26、1:0.30~1:1.25、1:0.30~1:1.24、1:0.30~1:1.23、1:0.30~1:1.22、1:0.30~1:1.21、1:0.30~1:1.20、1:0.30~1:1.19、1:0.30~1:1.18、1:0.30~1:1.17、1:0.30~1:1.16、1:0.30~1:1.15、1:0.30~1:1.14、1:0.30~1:1.13、1:0.30~1:1.12、1:0.30~1:1.11、1:0.30~1:1.10、1:0.30~1:1.09、1:0.30~1:1.08、1:0.30~1:1.07、1:0.30~1:1.06、1:0.30~1:1.05、1:0.30~1:1.04、1:0.30~1:1.03、1:0.30~1:1.02、1:0.30~1:1.01、1:0.30~1:1.00、1:0.30~1:0.99、1:0.30~1:0.98、1:0.30~1:0.97、1:0.30~1:0.96、1:0.30~1:0.95、1:0.30~1:0.94、1:0.30~1:0.93、1:0.30~1:0.92、1:0.30~1:0.91、1:0.30~1:0.90、1:0.30~1:0.89、1:0.30~1:0.88、1:0.30~1:0.87、1:0.30~1:0.86、1:0.30~1:0.85、1:0.30~1:0.84、1:0.30~1:0.83、1:0.30~1:0.82、1:0.30~1:0.81、1:0.30~1:0.80、1:0.30~1:0.79、1:0.30~1:0.78、1:0.30~1:0.77、1:0.30~1:0.76、1:0.30~1:0.75、1:0.30~1:0.74、1:0.30~1:0.73、1:0.30~1:0.72、1:0.30~1:0.71、1:0.30~1:0.70、1:0.30~1:0.69、1:0.30~1:0.68、1:0.30~1:0.67、1:0.30~1:0.66、1:0.30~1:0.65、1:0.30~1:0.64、1:0.30~1:0.63、1:0.30~1:0.62、1:0.30~1:0.61、1:0.30~1:0.60、1:0.30~1:0.59、1:0.30~1:0.58、1:0.30~1:0.57、1:0.30~1:0.56、1:0.30~1:0.55、1:0.30~1:0.54、1:0.30~1:0.53、1:0.30~1:0.52、1:0.30~1:0.51、1:0.30~1:0.50、1:0.30~1:0.49、1:0.30~1:0.48、1:0.30~1:0.47、1:0.30~1:0.46、1:0.30~1:0.45、1:0.30~1:0.44、1:0.30~1:0.43、1:0.30~1:0.42、1:0.30~1:0.41、1:0.30~1:0.40、1:0.30~1:0.39、1:0.30~1:0.38、1:0.30~1:0.37、1:0.30~1:0.36、1:0.30~1:0.35、1:0.30~1:0.34、1:0.30~1:0.33、1:0.30~1:0.32、又は1:0.30~1:0.31。
【0037】
[0040]第3の範囲の組においては、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、及び第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比の範囲、幾つかの実施形態においては、場合によって置換されている安息香酸(又はその塩)の重量パーセントと、第1のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、第2のn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)、及び場合によって存在する更なるn-アルキルモノカルボン酸(又はその塩)の合計重量パーセントとの比の範囲は、以下の範囲のうちの1つである:約1:0.36~1:2.25、1:0.37~1:2.25、1:0.38~1:2.25、1:0.39~1:2.25、1:0.40~1:2.25、1:0.41~1:2.25、1:0.42~1:2.25、1:0.43~1:2.25、1:0.44~1:2.25、1:0.45~1:2.25、1:0.46~1:2.25、1:0.47~1:2.25、1:0.48~1:2.25、1:0.49~1:2.25、1:0.50~1:2.25、1:0.51~1:2.25、1:0.52~1:2.25、1:0.53~1:2.25、1:0.54~1:2.25、1:0.55~1:2.25、1:0.56~1:2.25、1:0.57~1:2.25、1:0.58~1:2.25、1:0.59~1:2.25、1:0.60~1:2.25、1:0.61~1:2.25、1:0.62~1:2.25、1:0.63~1:2.25、1:0.64~1:2.25、1:0.65~1:2.25、1:0.66~1:2.25、1:0.67~1:2.25、1:0.68~1:2.25、1:0.69~1:2.25、1:0.70~1:2.25、1:0.71~1:2.25、1:0.72~1:2.25、1:0.73~1:2.25、1:0.74~1:2.25、1:0.75~1:2.25、1:0.76~1:2.25、1:0.77~1:2.25、1:0.78~1:2.25、1:0.79~1:2.25、1:0.80~1:2.25、1:0.81~1:2.25、1:0.82~1:2.25、1:0.83~1:2.25、1:0.84~1:2.25、1:0.85~1:2.25、1:0.86~1:2.25、1:0.87~1:2.25、1:0.88~1:2.25、1:0.89~1:2.25、1:0.90~1:2.25、1:0.91~1:2.25、1:0.92~1:2.25、1:0.93~1:2.25、1:0.94~1:2.25、1:0.95~1:2.25、1:0.96~1:2.25、1:0.97~1:2.25、1:0.98~1:2.25、1:0.99~1:2.25、1:1.00~1:2.25、1:1.01~1:2.25、1:1.02~1:2.25、1:1.03~1:2.25、1:1.04~1:2.25、1:1.05~1:2.25、1:1.06~1:2.25、1:1.07~1:2.25、1:1.08~1:2.25、1:1.09~1:2.25、1:1.10~1:2.25、1:1.11~1:2.25、1:1.12~1:2.25、1:1.13~1:2.25、1:1.14~1:2.25、1:1.15~1:2.25、1:1.16~1:2.25、1:1.17~1:2.25、1:1.18~1:2.25、1:1.19~1:2.25、1:1.20~1:2.25、1:1.21~1:2.25、1:1.22~1:2.25、1:1.23~1:2.25、1:1.24~1:2.25、1:1.25~1:2.25、1:1.26~1:2.25、1:1.27~1:2.25、1:1.28~1:2.25、1:1.29~1:2.25、1:1.30~1:2.25、1:1.31~1:2.25、1:1.32~1:2.25、1:1.33~1:2.25、1:1.34~1:2.25、1:1.35~1:2.25、1:1.36~1:2.25、1:1.37~1:2.25、1:1.38~1:2.25、1:1.39~1:2.25、1:1.40~1:2.25、1:1.41~1:2.25、1:1.42~1:2.25、1:1.43~1:2.25、1:1.44~1:2.25、1:1.45~1:2.25、1:1.46~1:2.25、1:1.47~1:2.25、1:1.48~1:2.25、1:1.49~1:2.25、又は1:1.50~1:2.25。
【0038】
[0041]本発明による腐食抑制剤配合物は、場合によって置換されている安息香酸及び/又はその塩を含む。幾つかの実施形態においては、塩はアルカリ金属塩である。幾つかの実施形態においては、場合によって置換されている安息香酸(又はそれから誘導される金属ベンゾエート)は、パラトルイル酸、tert-ブチル安息香酸、アルコキシ安息香酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、又はそれらの組み合わせを含む。他の実施形態においては、安息香酸は非置換である。
【0039】
[0042]本発明による腐食抑制剤配合物は、少なくとも2種類のn-アルキルモノカルボン酸及び/又はその塩を含む。他の実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、2種類より多いn-アルキルモノカルボン酸及び/又はその塩を含む。幾つかの実施形態においては、塩は独立してアルカリ金属を含む。幾つかの実施形態においては、少なくとも2種類のn-アルキルモノカルボン酸は、それぞれ独立して、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。幾つかの実施形態においては、少なくとも2種類のn-アルキルモノカルボン酸は、ヘプタン酸及びノナン酸である。他の実施形態においては、少なくとも2種類のn-アルキルモノカルボン酸は、オクタン酸及びデカン酸である。幾つかの実施形態においては、2種類のn-アルキルモノカルボン酸は、ヘプタン酸及びノナン酸又はそのアルカリ金属塩である。幾つかの実施形態においては、阻害剤配合物において、選択される2種類のn-アルキルカルボン酸(又はn-アルキルカーボネート)の重量パーセント比は1:1又は1:1.35の範囲内である。幾つかの実施形態においては、安息香酸(又はアルカリ金属ベンゾエート)の重量パーセントと、少なくとも2種類のn-アルキルモノカルボン酸(又はn-アルキルモノカルボン酸のアルカリ金属塩)の合計重量パーセントとの比は、1:2~1:1の範囲内である。
【0040】
[0043]本発明による腐食抑制剤配合物は、1種類又は複数のアゾール化合物を含む。本発明にしたがって使用することができる代表的なアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール(例えば、4-メチルベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール)、ブチルベンゾトリアゾール、他のアルキルベンゾトリアゾール(例えば、アルキル基は2~20個の炭素原子を含む)、メルカプトベンゾチアゾール、チアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、テトラゾール、テトラヒドロトリルトリアゾール、四水素化ベンゾトリアゾール類(例えば、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾトリアゾール)、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、テトラヒドロベンゾトリアゾールなど、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中において使用されるアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、テトラヒドロトリルトリアゾール、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
[0044]本発明にしたがって使用されるアゾール化合物は、置換又は非置換であってよい。代表的な置換アゾール化合物としては、置換チアゾール、置換イミダゾール、置換インダゾール、置換テトラゾールなど、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
[0045]アゾール化合物の濃度は、用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、アゾール化合物の量は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.01重量%~約10重量%の範囲である。この範囲内において、アゾール化合物は、約0.05重量%以上、幾つかの実施形態においては約0.1重量%以上の量で存在させることができる。また、この範囲内において、アゾール化合物は、約5重量%以下、幾つかの実施形態においては約2重量%以下、幾つかの実施形態においては約1重量%以下の量で存在させることができる。
【0043】
[0046]本発明による腐食抑制剤配合物には、場合により、以下のリストから選択される1つ又は1以上の成分の組合せを含ませることができる:水溶性モリブデート塩(例えば、モリブデン酸カリウム及び/又はモリブデン酸ナトリウム);無機ホスフェート;有機ホスフェート;アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなど)(幾つかの実施形態においては水溶性である);アルカリ土類金属酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;リチウム塩(幾つかの実施形態においては水溶性である);リチウム酸化物;リチウム水酸化物;亜鉛塩(幾つかの実施形態においては水溶性である);ニトライト及び/又はニトレート(例えば、少なくとも1種類又はそれ以上の無機又は有機ホスフェートも配合物中に存在する場合);シリケート;シリケート安定剤;アクリレート系ポリマー;ホスホネート;ホスフィネート;染料又は着色剤;殺生物剤;消泡剤又は脱泡剤;界面活性剤;更なる腐食又はスケール抑制剤(例えば、カルボキシレート;銅及び銅合金腐食抑制剤);分散剤;及び他のクーラント添加剤。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、上述の成分の任意の1以上を特に排除することができる(例えば、上述の成分の1以上を実質的に「含まなく」てよい)。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、特にシリケートを排除することができる。他の実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物はニトレートを特に排除することができる。他の実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、シリケート及びニトレートの両方を特に除外することができる。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、約80ppm未満のニトレート、幾つかの実施形態においては約70ppm未満、他の実施形態においては約60ppm未満、他の実施形態においては約50ppm未満、他の実施形態においては約40ppm未満、他の実施形態においては約30ppm未満、他の実施形態においては約20ppm未満、他の実施形態においては約10ppm未満のニトレートを含み得る。
【0044】
[0047]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合によってモリブデートイオンを含ませることができる。幾つかの実施形態においては、モリブデートイオンは、モリブデン酸の1種類又は複数の塩(例えば、水溶性モリブデート塩)から誘導される。代表的なモリブデン酸の塩としては、アルカリ金属モリブデート、アルカリ土類金属モリブデート、三酸化モリブデン、アルカリ金属ヘテロポリモリブデート、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明による腐食抑制剤配合物中における随意的な添加剤として使用するのに好適な代表的なモリブデートとしては、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸リチウム、シリコヘテロポリモリブデン酸ナトリウム、ホスホロヘテロポリモリブデン酸ナトリウムなど、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。更に、アルカリ金属モリブデート、アルカリ土類金属モリブデート、及び/又はアルカリ金属ヘテロポリモリブデートの水和物(例えばモリブデン酸ナトリウム二水和物)を使用することもできる。幾つかの実施形態においては、モリブデートイオンが場合によって本発明による腐食抑制剤配合物中に存在する場合には、モリブデートイオンは、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸ストロンチウム、モリブデン酸マグネシウム、及び/又はモリブデン酸亜鉛からは誘導されない。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸ストロンチウム、モリブデン酸マグネシウム、及び/又はモリブデン酸亜鉛を含まない。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中において使用するためのモリブデート化合物は、モリブデン酸ナトリウム及び/又はモリブデン酸ナトリウム二水和物である。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0045】
[0048]モリブデートイオンの濃度は、用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中に存在する1種類以上のモリブデート化合物は、腐食抑制剤配合物中に可溶である。幾つかの実施形態においては、モリブデート化合物は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0重量%~約10重量%(即ち約10重量%以下)、幾つかの実施形態においては約0重量%~5重量%(即ち約5重量%以下)、幾つかの実施形態においては約0重量%~1重量%(即ち約1重量%以下)、幾つかの実施形態においては腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.01重量%~0.6重量%の量で存在する。
【0046】
[0049]本発明による腐食抑制剤配合物には、場合によっては1種類又は複数の無機ホスフェートを更に含ませることができる。本発明にしたがって使用される無機ホスフェートは、水溶液中に溶解するとホスフェートイオンを生成するように構成される。本発明にしたがって使用するための代表的な無機ホスフェートとしては、リン酸のようなオルトホスフェート、アルカリ金属オルトホスフェート(例えば、オルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸カリウムなど)、他の水溶性アルカリ金属ホスフェート塩など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、本発明にしたがって使用するための無機ホスフェートは、リン酸、オルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウムなど、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。幾つかの実施形態においては、無機ホスフェートとしては、リン酸、及びアルカリ金属オルトホスフェートなど(しかしながら、これに限定されない)の1種類以上の更なるオルトホスフェート、及び/又は他の水溶性アルカリ金属ホスフェート塩が挙げられる。
【0047】
[0050]無機ホスフェートの濃度は、用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、ホスフェートイオンは、約5重量%以下の量で本発明による腐食抑制剤配合物中に存在する。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のホスフェートイオン濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.002重量%~約5重量%の範囲である。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のホスフェートイオン濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.05重量%~約5重量%の範囲である。幾つかの実施形態においては、ホスフェートイオン濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.05重量%~約3重量%の範囲である。幾つかの実施形態においては、ホスフェートイオン濃度は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.01重量%~約1重量%の範囲である。幾つかの実施形態においては、無機ホスフェートは、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.10重量%~約0.60重量%の間の量で腐食抑制剤配合物中に存在させることができる。この範囲内において、この量は、約0.11重量%以上、幾つかの実施形態においては約0.12重量%以上であってよい。また、この範囲内において、この量は、約0.45重量%以下、幾つかの実施形態においては約0.40重量%以下であってよい。
【0048】
[0051]本発明による腐食抑制剤配合物は、場合によって1種類以上の有機ホスフェート(ホスフェートエステルとしても知られる)を含む。幾つかの実施形態においては、本発明にしたがって使用するための有機ホスフェートは、下記の構造(1)を有する:
【0049】
【0050】
(式中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、水素、場合によって置換されているヘテロ原子含有アルキル、場合によって置換されているヘテロ原子含有アルケニル、場合によって置換されているカルボニル含有アルキル、場合によって置換されているカルボニル含有アルケニル、又はアルキル、アルケニル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、ホスホノ、ホスフィノ、アルキルアミノ、アミノ、カルボニル、及びこれらの組合せからなる群から選択される場合によって置換されている基である)
を有する。有機ホスフェートのR基(即ち、R1、R2、及び/又はR3)が1以上のヘテロ原子を含む幾つかの実施形態に関しては、1以上のヘテロ原子によって、エーテル結合(例えば-C-O-C-)、スルフィド結合(-C-S-C-)、アミノ結合(-C-N-C)、又はこれらの組合せが形成されていてよい。
【0051】
[0052]本発明にしたがって使用するための代表的な有機ホスフェートとしては、エチレングリコールホスフェート;1,2,3-プロパントリオールホスフェート(CAS#:12040-65-2);ホスフェートポリエーテルエステル;C6~C12アルキルアルコールエトキシレートリン酸(CAS#:68921-24-4);クレシルエトキシレートのホスフェートエステルのアルカリ金属塩(CAS#:66057-30-5);カリウムクレシルホスフェート(CAS#:37281-48-4);オクチルフェノキシポリエトキシエチルホスフェート;オクチルフェノキシポリエチルホスフェート;ポリエチレングリコールモノ(オクチルフェニル)エーテルホスフェート;式:R-フェニル(CH2CH2O)xホスフェート(式中、Rは水素又はC1~C20(幾つかの実施形態においてはC1~C12)アルキルであり、xは1~30(幾つかの実施形態においては2~10)に等しい)を有するアルキルフェノキシポリエトキシエチルリン酸のアルカリ金属塩;アルキル又はアリールアシッドホスフェート、例えばイソオクチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、アミルアシッドホスフェート、アミルジハイドロジェンホスフェート、ジアミルハイドロジェンホスフェート、ブチルアシッドホスフェート;及び/又は同類のもの;並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
[0053]本発明にしたがって使用するのに好適な代表的なホスフェートエステルは、Dow Chemical Company (Midland, MI)、Stepan Company (Northfield, IL)、Solvay S.A./Rhodia Inc. (Brussels,ベルギー)、Ashland Inc. (Covington, KY)、Clariant Corporation (Muttenz,スイス)、PCC Chemax Inc. (Piedmont, SC)、IsleChem LLC (Grand Island, NY)、及びLakeland Laboratories Limited (Manchester,英国)など(しかしながらこれらに限定されない)の多くの供給業者から入手することができる。
【0053】
[0054]幾つかの実施形態においては、本発明にしたがって使用する有機ホスフェートは、(a)Dow Chemical CompanyからのTriton(登録商標)H-66、Triton(登録商標)H-55、Triton(登録商標)QS-44、及び/又はTriton(登録商標)XQS-20界面活性剤;(b)RhodiaからのRhodafac(登録商標)H-66又はクレシルエトキシレートのホスフェートエステルのカリウム塩(CAS No. 66057-30-5)、Rhodafac H-66-E又は芳香族エトキシレートホスフェートエステルのカリウム塩、Rhodafac HA-70又はポリオキシエチレンフェニルエステルホスフェートの酸形態(CAS No. 39464-70-5)、Rhodafac PA23又はエトキシル化脂肪アルコールホスフェートエステル(CAS No. 68585-36-4)、及び/又はRhodafac LO/529-E又はエトキシル化アルキルフェノールホスフェートのナトリウム塩(CAS No. 68954-84-7);Stepan CompanyからのC6~C12アルキルアルコールエトキシレートリン酸を含むCedephos FA-600(CAS No. 68921-24-4或いはCAS No.68130-47-2)及び/又はMERPOL A(アルコールホスフェート);(d)PCC Chemax Inc.からのChemfac NF-100(98%ポリリン酸、エチレングリコールとのエステル、CAS No.68553-96-8)又はエチレングリコールホスフェート、Chemfac NA-350又は1,2,3-プロパントリオールホスフェート(CAS No. 12040-65-2、Chemfac NA-350中の主成分として)、Chemfac PB-106K(ポリオキシエチレンデシルホスフェート,カリウム塩、又はポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-イソデシル-ω-ヒドロキシ,ホスフェート,カリウム塩、CAS No. 68071-17-0)、Chemfac PB-184(POEオレイルホスフェート又はポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-9-オクタデセニル-ω-ヒドロキシ-(Z)-,ホスフェート、CAS No. 39464-69-2)、Chemfac PF-636(ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-ヒドロ-ω-ヒドロキシ,ホスフェート、CAS No. 9056-42-2)、Chemfac PB-264(POEエーテルホスフェート又はポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-ヒドロ-ω-ヒドロキシ,モノ-C12~C14アルキルエーテル,ホスフェート(CAS No. 68511-37-5)、Chemfac NC-096(POE(6)ノニルフェノールホスフェート、又はポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-(ノニルフェニル)-ω-ヒドロキシ,分岐,ホスフェート、CAS No. 68412-53-3)、Chemfac NB-041(POE脂肪族ホスフェートエステル)、Chemfac NB-042(POE脂肪族ホスフェートエステル)、Chemfac 126(POE脂肪族ホスフェートエステル)、Chemfac NB-159(POE脂肪族ホスフェートエステル)、Chemfac NC-006E(POE脂肪族ホスフェートエステル)、Chemfac NC-0910(POE脂肪族ホスフェートエステル)、Chemfac PB-082(POE脂肪族ホスフェートエステル)、Chemfac PB-104(POE脂肪族ホスフェートエステル)、Chemfac PB-109、Chemfac PB-133、Chemfac PB-135、Chemfac PB-136、Chemfac PB-139、Chemfac PB-253、Chemfac PC-006、Chemfac PC-099、Chemfac PC-188、Chemfac PD-600、Chemfac PD-990、及び/又はChemfac PF-623;(e)Lakeland Laboratories Ltd.からのPA 100、PA 800、PA 800K、及びPA 801のようなホスフェート化アルコール;(f)Lakeland Laboratories Ltd.からのPAE 802、PAE 106、PAE 126、PAE 136、PAE 147、PAE 176、PAE 185、及びPAE 1780のようなホスフェート化アルコールエトキシレート;(g)Lakeland Laboratories Ltd.からのPPE 604、PPE 604K、PPE 154、PPE 156、PPE 159、及びPPE 1513のようなホスフェート化フェノールエトキシレート;(h)及び/又は同類のもの;並びに(i)これらの組合せ;など(しかしながらこれらに限定されない)のホスフェートポリエーテルエステル又はアルコールホスフェートエステルからなる群から選択することができる。
【0054】
[0055]幾つかの実施形態においては、本発明にしたがって使用するための有機ホスフェートとしては、アルキル及びアリールアシッドホスフェートが挙げられる。本発明にしたがって使用することができる代表的なアルキル又はアリールアシッドホスフェートとしては、アミルアシッドホスフェート、n-ブチルアシッドホスフェート、メチルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、イソオクチルアシッドホスフェート、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。モノアルキル/アリールアシッドホスフェート、ジアルキル/アリールアシッドホスフェート、又はこれらの組合せを、本発明にしたがって使用することができる。
【0055】
[0056]幾つかの実施形態においては、本発明にしたがって使用するための有機ホスフェートとしては、エチレングリコールホスフェート(例えばChemfac NF-100)、ホスフェートポリエーテルエステル(例えばTriton H-66)、又はこれらの組合せが挙げられる。本発明にしたがって使用するのに好適なホスフェートポリエーテルエステルとしては、米国特許第3,235,627号;3,462,520号;3,294,693号;及び3,462,520号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
[0057]有機ホスフェートの量は用途に応じて変化させることができる。例として、1種類以上の有機ホスフェートの濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.0025重量%~約10重量%(例えば、約0.005重量%~約5重量%、約0.01重量%~約3重量%、約0.05重量%~約2重量%、又は約0.05重量%~約0.5重量%)の範囲であってよい。この範囲内において、この量は、約0.005重量%以上、幾つかの実施形態においては約0.01重量%以上であってよい。またこの範囲内において、この量は、約1重量%以下、幾つかの態様においては約0.5重量%以下であってよい。
【0057】
[0058]本発明によれば、腐食抑制剤配合物には、場合によって少なくとも1種類の金属イオン(例えば、水溶性金属塩、不溶性又は難水溶性金属化合物、金属酸化物、金属水酸化物、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せ)を含ませることができる。幾つかの実施形態においては、金属イオンは、水溶性アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、及び/又はストロンチウム塩)、アルカリ土類金属化合物(例えば、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、及び/又はストロンチウム化合物)、アルカリ土類金属酸化物(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び/又は酸化ストロンチウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び/又は水酸化ストロンチウム)、水溶性アルカリ金属塩(例えばリチウム塩)、アルカリ金属化合物(例えばリチウム化合物)、アルカリ金属酸化物(例えば酸化リチウム)、アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化リチウム)、遷移金属塩(例えば亜鉛塩)、遷移金属化合物(例えば亜鉛化合物)、遷移金属酸化物(例えば酸化亜鉛)、遷移金属水酸化物(例えば水酸化亜鉛)、及び/又はこれらの組合せから誘導することができる。
【0058】
[0059]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、場合により、水中に溶解するとアルカリ土類金属イオン(幾つかの実施形態においては、Ca2+、Mg2+、及び/又はSr2+)を生成する1種類以上の水溶性アルカリ土類金属塩を含む。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、腐食抑制剤配合物の他の酸性成分(例えば、安息香酸及び/又は2種類以上のn-アルキルモノカルボン酸)と混合することによって、腐食抑制剤配合物中にアルカリ土類金属イオン(幾つかの実施形態においては、Ca2+、Mg2+、及び/又はSr2+)を生成する1種類以上の水溶性アルカリ土類金属酸化物及び/又は1種類以上のアルカリ土類金属水酸化物を含む。幾つかの実施形態においては、1種類以上の水溶性アルカリ土類金属塩及び/又は1種類以上のアルカリ土類金属酸化物及び/又は一種類以上のアルカリ土類金属水酸化物から誘導されるアルカリ土類金属イオンの濃度は、腐食抑制剤配合物中において約0mg/L~約200mg/L(即ち約200mg/L以下)の範囲である。
【0059】
[0048]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合により、カルシウムイオンの源を与える水溶性アルカリ土類金属塩及び/又はアルカリ金属化合物を含ませることができる。幾つかの実施形態においては、カルシウムイオンは、1種類又は複数のカルシウム化合物又は塩(例えば、1種類以上の水溶性カルシウム塩)から誘導される。幾つかの実施形態においては、カルシウムイオンは、室温において水溶液中で少なくとも部分的に解離するように構成される1種類又は複数の水溶性カルシウム塩から誘導される。幾つかの実施形態においては、1種類又は複数のカルシウム塩は、溶解すると腐食抑制剤配合物中で約1~約60mg/Lの間のカルシウムイオン(Ca2+)を生成するように構成される。
【0060】
[0061]本発明にしたがって使用するためのカルシウム化合物としては、無機カルシウム化合物、及び1つ又は複数のカルボン酸基を含む有機酸のカルシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な無機カルシウム化合物としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、モリブデン酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、タングステン酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、塩化カルシウム、及び/又は同類のもの、任意の上述の塩の水和物、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な有機酸のカルシウム塩としては、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ポリマレイン酸カルシウム、ポリアクリル酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリコール酸カルシウム、グルコヘプトン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、グルカ酸カルシウム、コハク酸カルシウム、ヒドロキシコハク酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、マロン酸カルシウム、スルファミン酸カルシウム、脂肪族トリカルボン酸のカルシウム塩、脂肪族テトラカルボン酸のカルシウム塩、及び/又は同類のもの、任意の上述のカルシウム塩の水和物、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
[0062]幾つかの実施形態においては、カルシウム化合物は、カルシウムイオンとホスホネート又はホスフィネートの間で形成されるカルシウム塩、例えばカルシウム-PBTC塩(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)、カルシウム-HEDP塩(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)、カルシウム-HPA塩(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)、カルシウムホスホノコハク酸塩、カルシウム-PSO塩(ここでPSOは、米国特許6,572,789B1に記載されている単量体、二量体、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せであってよい。
【0062】
[0063]カルシウムイオン(Ca2+)の濃度は用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中に存在する1種類以上のカルシウム化合物は、腐食抑制剤配合物中に可溶である。本明細書において使用する「可溶」という用語は、粒子状の物質が肉眼で視認できる状態で残存してないような溶解の程度を指す。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のCa2+の濃度は、約0mg/L~約200mg/Lの間(即ち約200mg/L以下)である。他の実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のCa2+の濃度は、約0.1mg/L~約150mg/Lの間、約0.1mg/L~約80mg/Lの間、約0.2mg/L~約60mg/Lの間、0.2mg/L~約40mg/L、又は約1mg/L~約60mg/Lの間である。更なる実施形態においては、カルシウムイオンの濃度は約3mg/L~約40mg/Lの間である。更なる実施形態においては、カルシウムイオンの濃度は約4mg/L~約30mg/Lの間である。
【0063】
[0064]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合により、マグネシウムイオンの源を与える水溶性アルカリ土類金属塩及び/又はアルカリ土類金属化合物を含ませることができる。幾つかの実施形態においては、マグネシウムイオンは、1種類又は複数のマグネシウム化合物又は塩(例えば1種類以上の水溶性マグネシウム塩)から誘導される。幾つかの実施形態においては、マグネシウムイオンは、室温において水溶液中で少なくとも部分的に解離するように構成される1種類又は複数の水溶性マグネシウム塩から誘導される。幾つかの実施形態においては、1種類又は複数のマグネシウム塩は、溶解すると、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約150mg/L以下のマグネシウムイオンを腐食抑制剤配合物中に生成するように構成される。
【0064】
[0065]本発明にしたがって使用するためのマグネシウム化合物としては、無機マグネシウム化合物、及び1つ又は複数のカルボン酸基を含む有機酸のマグネシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な無機マグネシウム化合物としては、モリブデン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タングステン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、バナジン酸マグネシウム、及び/又は同類のもの、任意の上述のマグネシウム塩の水和物、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な有機酸のマグネシウム塩としては、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、ポリアクリル酸マグネシウム、ポリマレイン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、グリコール酸マグネシウム、グルコヘプトン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、グルカ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、ヒドロキシコハク酸マグネシウム、アジピン酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、マロン酸マグネシウム、スルファミン酸マグネシウム、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
[0066]幾つかの実施形態においては、マグネシウム化合物は、マグネシウムイオンとホスホネート又はホスフィネートの間で形成されるマグネシウム塩、例えばマグネシウム-PBTC塩(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)、マグネシウム-HEDP塩(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)、マグネシウム-HPA塩(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)、マグネシウムホスホノコハク酸塩、マグネシウム-PSO塩(ここでPSOは、米国特許6,572,789B1に記載されている単量体、二量体、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)、及び/又は同類のもの、上述の塩の水和物、又はこれらの組合せであってよい。
【0066】
[0067]マグネシウムイオンの濃度は用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中に存在する1種類以上のマグネシウム化合物は、腐食抑制剤配合物中に可溶である。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のマグネシウムイオン(Mg2+)の濃度は、約0mg/L~約200mg/Lの間(即ち約200mg/L以下)である。他の実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のMg2+の濃度は、約0mg/L~約150mg/Lの間(即ち約150mg/L以下)、約1mg/L~約100mg/Lの間、約0.1mg/L~約80mg/Lの間、約0.2mg/L~約40mg/Lの間、又は約1mg/L~約50mg(例えば1mg/L~25mg/L)の間である。更なる実施形態においては、マグネシウムイオンの濃度は約3mg/L~約80mg/Lの間である。他の実施形態においては、マグネシウムイオンの濃度は約2mg/L~約35mg/Lの間である。更なる実施形態においては、マグネシウムイオンの濃度は約4mg/L~約30mg/Lの間である。
【0067】
[0068]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、ストロンチウムイオンの源を与える水溶性アルカリ土類金属塩及び/又はアルカリ土類金属化合物を含ませることができる。幾つかの実施形態においては、ストロンチウムイオンは、1種類又は複数のストロンチウム化合物又は塩(例えば1種類以上の水溶性ストロンチウム塩)から誘導される。幾つかの実施形態においては、ストロンチウムイオンは、室温において水溶液中で少なくとも部分的に解離するように構成される1種類又は複数の水溶性ストロンチウム塩から誘導される。幾つかの実施形態においては、1種類又は複数のストロンチウム塩は、溶解すると、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約50mg/L以下のストロンチウムイオンを腐食抑制剤配合物中に生成するように構成される。
【0068】
[0069]本発明にしたがって使用するためのストロンチウム化合物としては、無機ストロンチウム化合物、及び1つ又は複数のカルボン酸基を含む有機酸のストロンチウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な無機ストロンチウム化合物としては、水酸化ストロンチウム、酸化ストロンチウム、塩化ストロンチウム、過塩素酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、ホウ酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、リン酸二水素ストロンチウム、モリブデン酸ストロンチウム、タングステン酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、及び/又は同類のもの、任意の上述のストロンチウム塩の水和物、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ストロンチウム化合物はまた、ストロンチウムイオンと、1以上のカルボン酸基、又は1以上のホスホン酸基、又は1以上のホスフィン酸基、或いはこれらの官能基の組合せを含む有機酸との間に形成されるストロンチウム塩であってよい。代表的な有機酸のストロンチウム塩としては、ギ酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、プロピオン酸ストロンチウム、酪酸ストロンチウム、ポリアクリル酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、ポリマレイン酸ストロンチウム、グルコン酸ストロンチウム、グリコール酸ストロンチウム、グルコヘプトン酸ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、酒石酸ストロンチウム、グルカ酸ストロンチウム、コハク酸ストロンチウム、ヒドロキシコハク酸ストロンチウム、アジピン酸ストロンチウム、シュウ酸ストロンチウム、マロン酸ストロンチウム、スルファミン酸ストロンチウム、セバシン酸ストロンチウム、安息香酸ストロンチウム、フタル酸ストロンチウム、サリチル酸ストロンチウム、ストロンチウム-PBTC(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)の塩、ストロンチウム-HEDP(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)の塩、ストロンチウム-HPA(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)の塩、ストロンチウムホスホノコハク酸塩、ストロンチウム-PSO(ここでPSOは、単量体、二量体、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)の塩、又はこれらの塩の水和物、或いは上述のストロンチウム化合物の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
[0070]ストロンチウムイオンの濃度は用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中に存在する1種類以上のストロンチウム化合物は、腐食抑制剤配合物中に可溶である。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のストロンチウムイオン(Sr2+)の濃度は、約0mg/L~約50mg/Lの間(即ち約50mg/L以下)である。他の実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のSr2+の濃度は、約0.1mg/L~約40mg/Lの間、約0.5mg/L~約30mg/Lの間、約1mg/L~約25mg/Lの間、約2mg/L~約20mg/Lの間、又は約4mg/L~約16mgの間である。
【0070】
[0071]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合によりリチウムイオンを含ませることができる。幾つかの実施形態においては、リチウムイオンは、1種類又は複数のリチウム化合物又は塩(例えば、1種類以上の水溶性リチウム塩)から誘導される。幾つかの実施形態においては、リチウムイオンは、室温において水溶液中で少なくとも部分的に解離するように構成される1種類又は複数の水溶性リチウム塩から誘導される。幾つかの実施形態においては、1種類又は複数のリチウム塩は、溶解すると腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0ppm~約6000ppm(即ち約6000ppm以下)の範囲の濃度のリチウムイオンを腐食抑制剤配合物中に生成するように構成される。
【0071】
[0072]本発明にしたがって使用するためのリチウム化合物としては、無機リチウム化合物、及び1つ又は複数のカルボン酸基を含む有機酸のリチウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な無機リチウム化合物としては、水酸化リチウム、酸化リチウム、リン酸リチウム、ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、硫酸リチウム、モリブデン酸リチウム、バナジン酸リチウム、タングステン酸リチウム、炭酸リチウム、及び/又は同類のもの、任意の上述のリチウム塩の水和物、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な有機酸のリチウム塩としては、酢酸リチウム、安息香酸リチウム、ポリアクリル酸リチウム、ポリマレイン酸リチウム、乳酸リチウム、クエン酸リチウム、酒石酸リチウム、グルコン酸リチウム、グルコヘプトン酸リチウム、グリコール酸リチウム、グルカ酸リチウム、コハク酸リチウム、ヒドロキシルコハク酸リチウム、アジピン酸リチウム、シュウ酸リチウム、マロン酸リチウム、スルファミン酸リチウム、ギ酸リチウム、プロピオン酸リチウム、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
[0073]幾つかの実施形態においては、リチウム化合物は、リチウムイオンとホスホネート又はホスフィネートの間で形成されるリチウム塩、例えばリチウム-PBTC塩(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)、リチウム-HEDP塩(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)、リチウム-HPA塩(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)、リチウムホスホノコハク酸塩、リチウム-PSO塩(ここでPSOは、米国特許6,572,789B1に記載されている単量体、二量体、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)、及び/又は同類のもの、上述の塩の水和物、並びにこれらの組合せであってよい。
【0073】
[0074]リチウムイオンの濃度は用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中に存在する1種類以上のリチウム化合物は、腐食抑制剤配合物中に可溶である。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のリチウムイオン(Li+)の濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0ppm~約6000ppmの間(例えば約0ppm~約5000ppmの間)である。この範囲内において、リチウムイオンの濃度は、約4000ppm未満、幾つかの実施形態においては約3000ppm以下であってよい。またこの範囲内において、リチウムイオンの濃度は、約50ppm以上、幾つかの実施形態においては約100ppm以上、他の実施形態においては約200ppm以上であってよい。
【0074】
[0075]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合により亜鉛イオンを含ませることができる。幾つかの実施形態においては、亜鉛イオンは、1種類又は複数の亜鉛化合物又は塩(例えば、1種類以上の水溶性亜鉛塩)から誘導される。幾つかの実施形態においては、亜鉛イオンは、室温において水溶液中で少なくとも部分的に解離するように構成される1種類又は複数の水溶性亜鉛塩から誘導される。幾つかの実施形態においては、1種類又は複数の亜鉛塩は、溶解すると腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0ppm~約50ppm(即ち約50ppm以下)の範囲の濃度の亜鉛イオンを腐食抑制剤配合物中に生成するように構成される。本発明にしたがって使用するための亜鉛化合物としては、無機亜鉛化合物、及び1つ又は複数のカルボン酸基を含む有機酸の亜鉛塩が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な無機亜鉛化合物としては、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、過塩素酸亜鉛、塩素酸亜鉛、臭化亜鉛、臭素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、及び/又は同類のもの、任意の上述の亜鉛塩の水和物、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。使用するのに好適な亜鉛化合物はまた、亜鉛イオンと、1以上のカルボン酸基、1以上のホスホン酸基、1以上のホスフィン酸基、又はこれらの官能基の組合せを含む有機酸との間に形成される亜鉛塩であってよい。代表的な有機酸の有機亜鉛塩としては、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、乳酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グルコヘプトン酸亜鉛、マロン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、グルカ酸亜鉛、ヒドロキシコハク酸亜鉛、クエン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、フタル酸亜鉛、アジピン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ポリアクリル酸亜鉛、ポリマレイン酸亜鉛、亜鉛-PBTC(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)の塩、亜鉛-HEDP(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、又は1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸である)の塩、亜鉛-HPA(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)の塩、亜鉛ホスホノコハク酸塩、亜鉛ホスフィノコハク酸塩、亜鉛-PSO塩(ここでPSOは、単量体、二量体、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)、及び/又は同類のもの、上述の塩の水和物、又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
[0076]亜鉛イオンの濃度は用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中に存在する1種類以上の亜鉛化合物は、腐食抑制剤配合物中に可溶である。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中の亜鉛イオン(Zn2+)の濃度は、約0mg/L~約50mg/Lの間(即ち約50mg/L以下)の間である。他の実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中のZn2+の濃度は、約0.1mg/L~約40mg/Lの間、約0.5mg/L~約30mg/Lの間、約1mg/L~約25mg/Lの間、約2mg/L~約20mg/Lの間、又は約4mg/L~約16mg/Lの間である。
【0076】
[0077]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合により1種類又は複数のニトライトを含ませることができる。幾つかの実施形態においては、少なくとも1種類又はそれ以上の無機ホスフェート及び/又は有機ホスフェートも腐食抑制剤配合物中に存在する場合には、ニトライトが存在する。幾つかの実施形態においては、ニトライトイオンは、1種類又は複数のニトライト塩(例えば、1種類又は複数の水溶性ニトライト塩)から誘導される。本発明にしたがって使用するための代表的なニトライトとしては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸ストロンチウムなどのアルカリ金属ニトライト及びアルカリ土類金属ニトライト、前述の塩の水和物、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。本発明にしたがって使用するための代表的なニトライトとしては、硝酸ランタン(III)のような希土類金属ニトライト、及び他の希土類金属(例えば、Sc、Y、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、及びYbなど)のニトライト、及び/又は同様のもの、前述の塩の水和物、又はそれらの組合せも挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
[0078]ニトライトイオンの濃度は、用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中に存在する1種類以上のニトライト化合物は、腐食抑制剤配合物中に可溶性ある。幾つかの実施形態においては、ニトライト化合物は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0重量%~約4重量%(即ち約4重量%以下)、幾つかの実施形態においては約0重量%~1重量%(即ち約1重量%以下)、幾つかの実施形態においては約0重量%~0.5重量%(即ち約0.5重量%以下)の量で存在する。
【0078】
[0079]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合により、1種類又は複数のニトレートを含ませることができる。幾つかの実施形態においては、少なくとも1種類又はそれ以上の無機ホスフェート及び/又は有機ホスフェートも腐食抑制剤配合物中に存在する場合には、ニトレートが存在する。幾つかの実施形態においては、ニトレートイオンは、1種類又は複数のニトレート(例えば1種類又は複数の水溶性ニトレート)から誘導される。本発明にしたがって使用するための代表的なニトレートとしては、アルカリ金属ニトレート及びアルカリ土類金属ニトレート、例えば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム、及び/又は同様のもの、上記の塩の水和物、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明にしたがって使用するための代表的なニトレートとしては、硝酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(III)、及び他の希土類金属(例えば、Sc、Y、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、及びYb)のニトレートのような希土類金属ニトレート、及び/又は同様のもの、前述の塩の水和物、又はそれらの組合せも挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
[0080]ニトレートイオンの濃度は、用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中に存在する1種類以上のニトレート化合物は、腐食抑制剤配合物中に可溶である。幾つかの実施形態においては、ニトレート化合物は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として、0重量%~約4重量%(即ち約4重量%以下)、幾つかの実施形態においては約0重量%~約1重量%(即ち約1重量%以下)、幾つかの実施形態においては約0重量%~約0.5重量%(即ち約0.5重量%以下)の量で存在する。
【0080】
[0081]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合によりシリケートを含ませることができる。本発明にしたがって使用するのに好適なシリケートとしては、無機シリケート及び有機シリケートが挙げられる。有用な無機シリケートは、一般式(2):
(MO)mSiO(4-n/2)(OH)l (2)
(式中、Mは、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、及びテトラオルガノアンモニウムカチオンからなる群から選択される、グリコール又は水溶性シリケートを形成する一価カチオンであり;mは1~4(端点を含む)の値を有し;lは0~3(端点を含む)の値を有し;nは1~4(端点を含む)の値を有して、mとlの合計に等しい)
によって表される。
【0081】
[0082]腐食抑制剤配合物中に存在するシリケートの濃度は用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、シリケートは、Siとして約0ppm~約8,000ppm(即ち約8,000ppm以下)、幾つかの実施形態においてはSiとして約0ppm~約2,000ppm(即ち約2,000ppm以下)、幾つかの実施形態においてはSiとして約0ppm~約1000ppm(即ち約1,000ppm以下)の量で腐食抑制剤配合物中に、幾つかの実施形態においては腐食抑制剤配合物中にSiとして約700ppm未満の量で存在させることができる。
【0082】
[0083]有用な有機シリケートとしては、一般式(3):
Si(OR)4 (3)
(式中、Rは、C1~C36のアルキル、アリール、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、ヒドロキシアルコキシ、及びこれらの混合物からなる群から選択される)
によって表されるシリケートエステルが挙げられる。幾つかの実施形態においては、1~20個の炭素原子を含むアルキル基を有するテトラアルキルオルトシリケートエステル(例えば、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケートなど)を使用することができる。シリケートエステルは、熱伝達流体の総重量を基準として約0重量%~約5重量%(即ち約5重量%以下)、例えば約0.01~約5重量%の量で腐食抑制剤配合物配合物中に存在する。
【0083】
[0084]場合によっては、本発明による腐食抑制剤として使用するためにコロイダルシリカを含ませることができる。コロイダルシリカは、約1nm~約200nmの間の呼び粒径(nominal particle size)を有する。幾つかの実施形態においては、コロイダルシリカの粒径は約1nm~約100nmである。他の実施形態においては、コロイダルシリカの粒径は約1nm~約40nmの間である。本発明にしたがって使用するのに好適なコロイダルシリカとしては、DuPont又はGrace DavidsonからのLudoxコロイダルシリカ、Akzo Nobel-Eka ChemicalsからのNyacol及び/又はBindzilコロイダルシリカ、Nissan ChemicalからのSnowtexコロイダルシリカ、並びにNalco及び他の供給業者からのコロイダルシリカが挙げられるが、これらに限定されない。いかなる特定の理論によっても縛られることは望まず、添付の特許請求の範囲又はそれらの均等範囲をいかなる程度でも限定することは意図しないが、現時点では、熱伝達流体中においてコロイダルシリカを使用することにより、ナノ粒子によって熱伝達流体の熱伝達効率及び/又は熱容量を増加させることができると考えられる。幾つかの実施形態においては、コロイダルシリカは、腐食抑制剤配合物の約0ppm~約20,000ppm(即ち約20,000ppm以下)、幾つかの実施形態においては約0ppm~約2,000ppm(即ち約2,000ppm以下)の量で配合物中に存在する。
【0084】
[0085]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合によりシリケート安定剤を含ませることができる。本発明にしたがって使用するための代表的なシリケート安定剤としては、シリケート安定化(silicate stabilizing)有機シラン化合物が挙げられるが、これに限定されない。本明細書において使用する「有機シラン」という用語は、少なくとも1つの炭素-ケイ素結合(Si-C)構造を含むシラン(即ちモノマーケイ素化合物)を指す。本発明にしたがって使用するためのシリケート安定化有機シラン化合物としては、ナトリウム-3-(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルホスホネート(CAS No.84962-98-1又はMidland, MIのDow-Corning Corp.からのQ1-6083);ポリアルキレンオキシドアルコキシシラン[例えば、式:CH3O(CH2CH2O)mC3H6Si(OCH3)3(式中、mは7.2の平均値を有する)を有するメトキシポリエチレンオキシプロピルトリメトキシシラン、又は式:CH3O(CH2CH2O)7C3H6Si(OC3H7)3を有するメトキシポリエチレンオキシプロピルトリプロポキシシラン];Momentive Performance Materials Inc. (Waterford, NY)からのSilquest(登録商標)Y-5560又はSilquest(登録商標)Y-5630;3-(トリヒドロキシシリル)プロピルエトキシルホスホネートのナトリウム塩[例えば(HO)3-Si-C3H6-P(O)(ONa)(OC2H5)];米国特許4,370,255に記載されている1種類以上のアルカリ金属シリコネートシリルアルキルホスホネート;EP特許0061694B1に記載されている1種類以上のアリールアルキルシリコーンスルホネート;米国特許4,629,602に記載されている1種類以上の有機シランシリケート安定剤;米国特許3,337,496及び3,341,469に記載されている1種類以上のシリケート安定剤;及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
[0086]シリケート安定剤の濃度は用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、シリケート安定剤の量は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0重量%~約5重量%(即ち約5重量%以下)の範囲である。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中に存在するシリケート安定剤の量は、腐食抑制剤配合物中に存在するシリケートの量に比例し、ここで、シリケート:シリケート安定剤の比は、重量基準で約20:1~約1:10の範囲である。幾つかの実施形態においては、シリケート:シリケート安定剤の比は、重量基準で約10:1~約1:2の範囲である。
【0086】
[0087]幾つかの実施形態においては、熱伝達流体中のシリケート成分は、シリケートと有機シランのコポリマーであってよい。例としては、シリケート含有凍結防止剤/クーラント組成物中で使用するホスホネート-シリケート、スルホネート-シリケート、カルボキシレート-シリケート、及びシロキサン-シリケートコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。これらのコポリマーは、予め形成することができ、或いは雰囲気温度において水溶液中で、水溶性シリケートと、水溶性のホスホネートシラン、スルホネートシラン、又はカルボキシレートシランとを混合することによってin situで形成することができる。いかなる特定の理論にも縛られることは望まず、添付の特許請求の範囲又はそれらの均等範囲をいかなる程度でも限定することは意図しないが、現時点において、有機シラン-シリケートコポリマーは、グリコール-水ベースの凍結防止剤/クーラント溶液中において約7~約11の間のpHで水溶性シリケートのゲル化傾向を実質的に抑制するので、これらのコポリマーは単純なアルカリ金属シリケートの使用を凌ぐ向上した金属腐食抑制を与えることができると考えられる。本発明にしたがって使用することができる代表的なシリケート-有機シランコポリマーとしては、米国特許3,198,820;3,337,496;3,341,496;3,312,622;3,248,329;3,203,969;4,093,641;4,287,077;4,333,843;4,352,742;4,354,002;4,362,644;4,434,065;4,370,255;4,629,602;4,701,277;4,772,408;及び4,965,344;ヨーロッパ特許0,061,694B1;及び米国特許出願公開2006/0017044A1;に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
[0088]本発明による腐食抑制剤配合物には、場合により1種類又は複数の水溶性(高分子電解質)ポリマーを含ませることができる。本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するのに好適な水溶性ポリマーの代表例としては、重合性モノマーから誘導される高分子電解質分散液のような水溶性ポリマーが挙げられる。重合性モノマーは、不飽和カルボン酸又は塩、不飽和アミド、不飽和酸無水物、不飽和ニトリル、不飽和カルボニルハロゲン化物、不飽和カルボキシレートエステル、不飽和エーテル、不飽和アルコール、不飽和スルホン酸又は塩、不飽和ホスホン酸又は塩、不飽和ホスフィン酸又は塩、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの基を含む。
【0088】
[0089]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するのに好適な水溶性ポリマーとしては、(1)C3~C16のモノエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸又はこれらのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩を含む少なくとも1つのモノマー単位;或いは(2)アミド、ニトリル、カルボキシレートエステル、酸ハロゲン化物(例えば酸塩化物)、酸無水物、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せのようなC3~C16のモノエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸誘導体を含む少なくとも1つのモノマー単位;を有する、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及びインターポリマーが挙げられる。幾つかの実施形態においては、本発明において使用するのに好適な水溶性ポリマーは、少なくとも5%の(1)又は(2)のマー単位(mer units)、幾つかの実施形態においては少なくとも10%の(1)又は(2)のマー単位を含んでいてよい。
【0089】
[0090]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる水溶性ポリマーの製造において使用するのに好適な代表的なモノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、及びクロトン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
[0091]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる水溶性ポリマーの製造において使用するのに好適な代表的なモノカルボン酸エステルとしては、ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、及び酢酸ビニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
[0092]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる水溶性ポリマーの製造において使用するのに好適な代表的なジカルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、及びメチレンマロン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
[0093]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる水溶性ポリマーの製造において使用するのに好適な代表的なアミドとしては、アクリルアミド(又は2-プロペンアミド)、メタクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、tert-ブチルメタクリルアミド、tert-オクチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(又は、N,N-ジメチル-2-プロペンアミド)、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ビニルアセトアミド、スルホメチルアクリルアミド、スルホエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-スルホプロピルアクリルアミド、スルホフェニルアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、2-ヒドロキシ-3-スルホプロピルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン(環式アミド)、2-ビニルピリデン(vinylpyridene)、4-ビニルピリデネン(vinylpyridenem)、及びカルボキシメチルアクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
[0094]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる水溶性ポリマーの製造において使用するのに好適な代表的な無水物としては、無水マレイン酸(又は2,5-フランジオン)、及び無水コハク酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
[0095]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる水溶性ポリマーの製造において使用するのに好適な代表的なニトリルとしては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
[0096]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる水溶性ポリマーの製造において使用するのに好適な代表的な酸ハロゲン化物としては、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
[0097]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するための水溶性ポリマーは、アリルヒドロキシプロピルスルホネート、AMPS又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、1,2-ジヒドロキシ-3-ブテン、アリルアルコール、アリルホスホン酸、エチレングリコールジアクリレート、アスパラギン酸、ヒドロキサム酸、2-エチルオキサゾリン、アジピン酸、ジエチレントリアミン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、アンモニア、エチレンジアミン、ジメチルアミン、ジアリルフタレート、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ナトリウムスチレンスルホネート、アルコキシル化アリルアルコールスルホネート、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのモノマー単位を含む。
【0097】
[0098]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するのに好適な水溶性ポリマーは、(a)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、4-メチル-4-ペンテン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、ビシクル[2,2,2]-5-オクテン-2,3-ジカルボン酸無水物、3-メチル-1,2,6-テトラヒドロフタル酸無水物、2-メチル-1,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、イタコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、フマル酸、シトラコン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルホスホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、他のアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタリルスルホン酸、イソプロ-フェニルスルホン酸(isopro-phenylsulfonic acid)、ビニルホスホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アスパラギン酸、ヒドロキサム酸、アジピン酸、及び上記の任意のもののアルカリ金属又はアンモニウム塩;(b)メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ホスホエチルメタクリレート、及び酢酸ビニル;(c)アクリルアミド(又は2-プロペンアミド)、メタクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、tert-ブチルメタクリルアミド、tert-オクチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(又は、N,N-ジメチル-2-プロペンアミド)、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ビニルアセトアミド、スルホメチルアクリルアミド、スルホエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-スルホプロピルアクリルアミド、スルホフェニルアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、2-ヒドロキシ-3-スルホプロピルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン(環式アミド)、2-ビニルピリデン、4-ビニルピリデネン、及びカルボキシメチルアクリルアミド;(d)無水マレイン酸(又は2,5-フランジオン)及び無水コハク酸:アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル;(e)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド;(f)1,2-ジヒドロキシ-3-ブテン、アリルアルコール、エチレングリコールジアクリレート、2-エチルオキサゾリン、ジエチレントリアミン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、アンモニア、スチレン、エチレンジアミン、ジメチルアミン、ジアリルフタレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ナトリウムスチレンスルホネート、及びアルコキシル化アリルアルコールスルホネート;並びに(g)これらの組合せ;からなる群から選択される1種類以上のモノマーの重合から得られる少なくとも5モル%のマー単位(例えば重合単位)を含む。
【0098】
[0099]幾つかの実施形態においては、本発明による水溶性ポリマーの製造において使用するための代表的なアルコキシル化アリルアルコールスルホネートモノマーは、一般式(4):
【0099】
【0100】
(式中、R1は1~約10個の炭素原子を有するヒドロキシル置換アルキル又はアルキレン基であるか、又はR1は1~約10個の炭素原子を有する非置換アルキル又はアルキレン基であるか、或いはR1は-(CH2-CH2-O)n-、-[CH2-CH(CH3)-O]n-、又はこれらの組合せであり;nは約1~約50の整数であり;R2はH又は低級アルキル(C1~C3)基であり;Xは、存在する場合には、-SO3、-PO3、-PO4、及び-COOからなる群から選択されるアニオン性基であり;Yは、存在する場合には、H、又は一緒になってアニオン性基の価数を相殺する任意の1種類又は複数の水溶性カチオンであり;aは0又は1である)
で示される構造を有する。幾つかの実施形態においては、a=1である。
【0101】
[00100]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するのに好適な代表的な水溶性高分子電解質ポリマーは、幾つかの実施形態においては約200ダルトン~約200,000ダルトンの範囲の分子量(MW)を有していてよい。他の実施形態においては、好適な水溶性高分子電解質ポリマー分散剤は、約500ダルトン~約20,000ダルトンの範囲の分子量(MW)を有する。
【0102】
[00101]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するのに好適な代表的な水溶性高分子電解質ポリマーとしては、ポリカルボキシレートが挙げられるが、これに限定されない。代表的なポリカルボキシレートとしては、(1)ポリアクリル酸又はポリアクリレート、アクリレートベースのポリマー、コポリマー、ターポリマー、及び四元共重合体、例えばアクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/AMPS(アクリルアミドメチレンスルホン酸又は2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)又はアクリルアミドアルカンスルホン酸コポリマー、アクリレート/スルホネートコポリマー、アクリレート/ヒドロキシアルキルアクリレートコポリマー、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマー、アクリレート/AMPS/アルキルアクリルアミドターポリマー、アクリレート/アクリルアミドアルカンスルホン酸/スチレンスルホン酸(又は水溶性塩)ターポリマー、アクリレート/アクリルアミド/スルホアルキルアクリルアミドターポリマー、アクリル酸/アリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸(AHPSE)/ポリエチレングリコールアリルエーテルターポリマー、アクリレート/メタクリレートメチルエステル/2-プロパン-1-スルホン酸,2-メチル-,ナトリウム塩/ベンゼンスルホン酸,4-[(2-メチル-2-プロペニル)オキシ]-,ナトリウム塩四元共重合体;(2)ポリメタクリル酸又はポリメタクリレート、(1)に列記されている対応するアクリレートベースのポリマーの1つのモノマーがメタクリレート又はメタクリル酸で置き換えられているメタクリレートベースのポリマー、コポリマー、ターポリマー、及び四元共重合体;(3)ポリマレイン酸又は無水マレイン酸ポリマー、(1)に列記されている対応するアクリレートベースのポリマーの1つのモノマーがマレイン酸又は無水マレイン酸で置き換えられているマレイン酸ベースのポリマー、これらのコポリマー、ターポリマー、及び四元共重合体;(4)ポリアクリルアミド、(1)に列記されている対応するアクリレートベースのポリマーの1つのモノマーがアクリルアミドで置き換えられている変性アクリルアミドベースのポリマー、及びアクリルアミドベースのコポリマー、ターポリマー、及び四元共重合体;(5)スルホン酸ベースのコポリマー、ターポリマー、及び四元共重合体、又はそれらの水溶性塩;ホスホン酸ベースのコポリマー、ターポリマー、四元共重合体、又はそれらの水溶性塩;ホスフィン酸ベースのコポリマー、ターポリマー、及び四元共重合体、又はそれらの水溶性塩;(6)ビニルピロリドンベースのホモポリマー及びコポリマー;(7)アルキレンオキシドベースのコポリマー及びターポリマー;並びに上記の1以上を含む組合せ;が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
[00102]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するための水溶性ポリマーはまた、米国特許5,338,477に記載されているポリエーテルポリアミノメチレンホスホネート、又はホスフィノポリアクリル酸のいずれかであってよい。
【0104】
[00103]本発明による腐食抑制剤配合物中において水溶性高分子電解質ポリマーとして使用するのに好適な商業的に入手できるポリマーの代表例としては、(a)Noveon(又はLubrizol)から入手できる表1に示されるGood-Rite(登録商標)K-700シリーズのポリマー、(b)AkzoNobelから入手できる表2に示されるポリマー、及び(c)Dow(Rohm & Haas)から入手できる表3に示されるポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
[00104]本腐食抑制剤配合物中において水溶性高分子電解質ポリマーとして使用することができるNoveon(又はLubrizol)によって供給されるポリマーとしては、下表1に示されるものが挙げられる。
【0106】
【0107】
[00105]本腐食抑制剤配合物中において水溶性高分子電解質ポリマーとして使用することができるAkzoNobelから供給されるポリマーとしては、下表2に示されるものが挙げられる。
【0108】
【0109】
[00106]AR-335はポリアクリルアミドであり;AR-545及びAR-546はAA/AMPSコポリマーであり;Aquatreat AR-540はアクリル酸(AA)/2-プロペン酸,2-メチル,メチルエステル/ベンゼンスルホン酸,4-[(2-メチル-2-プロペニル)オキシ]-,ナトリウム塩/2-プロペン-1-スルホン酸,2-メチル,ナトリウム塩ターポリマーである。Versa TL-4=スルホン化スチレン/無水マレイン酸コポリマーである。Versa TL-3はVersa TL-4の乾燥形態である。AR-978はアクリル酸/マレイン酸コポリマーである。AR-980はアクリル酸/マレイン酸/非イオン性モノマーターポリマーである。
【0110】
[00107]腐食抑制剤配合物中において水溶性高分子電解質ポリマーとして使用することができるDow(Rohm & Haas)から供給されるポリマーとしては、下表3に示すものが挙げられる。
【0111】
【0112】
[00108]注:Acumer 2000及び2100はカルボン酸/スルホン酸コポリマー(即ちAA/AMPSコポリマー)であり;Acumer 3100及びAcumer 5000はアクリル酸/t-ブチルアクリルアミド/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ターポリマーである。Optidose 1000、2000及びOptidose 3100は、それぞれAcumer 1000、2000、及び3100の標識型である。
【0113】
[00109]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するのに好適な水溶性ポリマーは、次の商業的に入手できるポリマー:(1)BASFからSOKALAN及びTAMOLのブランドで入手できるポリマー、例えばSokalan CP9(マレイン酸ベースのポリマー)、Sokalan CP10、CP42、10S、12S(全てアクリルベースのポリマーである)、13S、Sokalan HP22G、HP25、HP59、及びHP165(ポリビニルピロリドン)、Sokalan PA15、PA20、PA25Cl、PA30Cl、PA40、Sokalan PM10I、PM70、Tamol VS、及び他の同様の製品(しかしながらこれらに限定されない);(2)CytecからCYANAMERのブランドで入手できるポリマー、例えばP-35、P-70、P-80、A-100L、及びA-15(全てアクリレート又はアクリルアミドベースのポリマー又はコポリマーである)など(しかしながらこれらに限定されない);(3)Biolab AdditivesからBLECLENE及びBELSPERSEブランドで入手できるポリマー、例えばBeclene 200(マレイン酸ホモポリマー)、283(マレイン酸ターポリマー)、400(スルホン化ホスフィノポリカルボン酸)、及び499(スルホン化ホスホノポリカルボン酸);及びBelsperse 161(ホスフィノポリカルボン酸)、及び164(ホスフィノポリカルボン酸)など(しかしながらこれらに限定されない);及び(4)Nalco(例えば、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸コポリマー、米国特許5,338,477に記載されているポリエーテルポリアミノホスホネート、及びアクリル酸/アクリルアミド/アクリルアミドメタンスルホン酸ターポリマー)、GE Betz(例えば、アクリル酸/ポリエチレングリコールアリルエーテルコポリマー、アクリル酸/アリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸(又はAHPSE)/ポリエチレングリコールアリルエーテルターポリマー、及びアクリル酸/AHPSEコポリマー)、Chemtreat[例えば、アリルオキシベンゼンスルホン酸(約3.5モル%)/メタリルスルホン酸(約2.5モル%)/メチルメタクリレート(13~18モル%)/アクリル酸(76~81モル%)四元共重合体]、Ciba、SNF Floerger、Rhone-Poulenc、Stockhausen、Hercules、Henkel、Allied Colloids、Hoechst Celanese、Ashland Chemical Company、Kurita Water Industries Ltd.、Nippon Shokubai Co.、及び他の供給業者から入手できる水溶性ポリマー製品;から選択される。
【0114】
[00110]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる更なる水溶性ポリマーとしては、次の米国特許:3,085,916;3,578,589;3,709,815;3,806,367;4,499,002;4,510,059;4,532,048;4,563,284;4,566,973;4,566,974;4,640,793;4,707,271;4,762,621;4,784,774;4,885,097;4,952,326;4,952,327;5,023,001;5,658,465;6,361,768B1;4,556,493;4,581,145;4,457,847;4,703,092;4,801,388;4,919,821;4,929,425;5,035,806;5,049,310;5,080,801;5,128,419;5,167,828;5,171,459;5,213,691;5,216,086;5,260,386;5,422,408;5,403,493;5,534,611;5,726,267;5,736,405;5,776,875;5,750,070;5,788,866;5,858,244;5,876,623;6,005,040;6,017,994;6,022,401;6,153,106;6,225,430B1;6,232,419B1;6,312,644B1;6,344,531B1;6,380,431B1;6,426,383B1;6,440,327B1;6,461,518B1;6,645,428B1;7,115,254B1;4,443,340;4,659,480;4,659,482;4,913,822;4,929,362;4,929,695;4,931,206;4,944,885;5,030,748;5,078,891;5,100,558;5,102,555;5,108,619;5,128,427;5,139,643;5,147,555;5,158,622;5,158,685;5,169,537;5,180,498;5,194,620;5,211,845;5,234,604;5,248,438;5,242,599;5,256,302;5,264,155;5,271,847;5,271,862;5,282,905;5,320,757;5,332,505;5,342,540;5,350,536;5,374,336;5,378,327;5,378,372;5,393,456;5,445,758;5,512,183;5,518,630;5,527,468;5,575,920;5,601,754;6,228,950B1;6,444,747B1;6,641,754B2;4,517,098;4,530,766;4,711,725;5,055,540;5,071,895;5,185,412;5,223,592;5,277,823;5,342,787;5,395,905;5,401,807;5,420,211;5,451,644;5,457,176;5,516,432;5,531,934;5,552,514;5,554,721;5,556,938;5,597,509;5,601,723;5,658,464;5,755,972;5,866,664;5,929,098;6,114,294;6,197,522B1;6,207,780B1;6,218,491B1;6,251,680B1;6,335,404B1;6,395,185;5,023,368;5,547,612;5,650,473;5,654,198;5,698,512;5,789,511;5,866,012;5,886,076;5,925,610;6,040,406;6,995,120B2;7,087,189B2;5,346,626;5,624,995;5,635,575;5,716,529;5,948,268;6,001,264;6,162,391;6,368,552B1;6,656,365B2;6,645,384B1;5,000,856;5,078,879;5,087,376;5,124,046;5,153,390;5,262,061;5,322,636;5,338,477;5,378,368;5,391,303;5,407,583;5,454,954;5,534,157;5,707,529;6,691,715B2;6,869,998B2;4,372,870;5,124,047;4,797,224;4,485,223;5,254,286;4,460,477;5,015,390;4,933,090;4,868,263;4,895,664;4,895,916;5,000,856;4,900,451;4,584,105;4,872,995;4,711,726;4,851,490;4,849,129;4,589,985;4,847,410;4,657,679;4,801,387;4,889,637;4,604,211;4,710,303;4,589,985;4,324,664;3,752,760;4,740,314;4,647,381;4,836,933;4,814,406;4,326,980;4,008,164;5,246,332;及び5,187,238に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる更なる水溶性ポリマーとしては、次のヨーロッパ特許:EP-0,297,049B1;EP-0360746B1;及びEP-0,879,794B1に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明による腐食抑制剤配合物中において使用することができる更なる水溶性ポリマーとしては、次の米国特許出願公開:2006/0191852A1;2005/0202995A1;2002/0195583A1;2004/00225093A1;2005/0009959A1;及び2005/0092211A1に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
[00111]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中において使用する水溶性ポリマーとしてはアクリレートベースのポリマーが挙げられる。本発明にしたがって使用するのに好適な代表的なアクリレートベースのポリマーとしては、アクリレートベースのホモポリマー、アクリレートベースのコポリマー、アクリレートベースのターポリマー、アクリレートベースの四元共重合体、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、アクリレートベースのポリマーはポリアクリレートを含む。
【0116】
[00112]本発明による腐食抑制剤配合物がマグネシウムイオンを更に含み、水溶性ポリマーがアクリレートベースのポリマーを含む幾つかの実施形態に関しては、マグネシウムイオン濃度に対する活性のアクリレートベースのポリマー安定剤の濃度の比は約1~約25の間であり、他の実施形態においては場合によっては約5より大きく約25未満である。本発明による腐食抑制剤配合物がカルシウムイオンを更に含み、水溶性ポリマーがアクリレートベースのポリマーを含む幾つかの実施形態に関しては、腐食抑制剤配合物中におけるカルシウムイオンの濃度に対する活性のアクリレートベースのポリマーの濃度の比は4より大きく約110未満である。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物中におけるカルシウムイオンの濃度に対する活性のアクリレートベースのポリマーの濃度の比は、約7より大きく約80未満である。
【0117】
[00113]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合によって1種類又は複数のホスホノカルボキシレートを更に含ませることができる。ホスホノカルボキシレートは、一般式(5):
H[CHRCHR]n-PO3M2 (5)
(式中、それぞれの単位中の少なくとも1つのR基は、COOM、CH2OH、スルホノ、又はホスホノ基であり、他のR基(第1のR基と同一又は異なっていてよい)は、水素、又はCOOM、ヒドロキシル、ホスホノ、スルホノ、スルファト、C1~C7アルキル、C1~C7アルケニル基、或いはカルボキシレート、ホスホノ、スルホノ、スルファト、及び/又はヒドロキシル置換C1~C7アルキル又はC1~C7アルケニル基であり;nは1又は1より大きい整数であり;それぞれのMは、水素、又はアルカリ金属イオン、例えばナトリウムイオン、カリウムイオンなどである)
を有するホスホン化化合物である。更に、少なくとも1つのCOOM基がR基の1つの中に存在する。幾つかの実施形態においては、ホスホノカルボキシレートは、式(6):
H[CH(COOM)CH(COOM)]n-PO3M2 (6)
(式中、nは1又は1より大きい整数であり、Mは、化合物が水溶性になるようなカチオン種(例えばアルカリ金属カチオン)である)
のマレイン酸のホスホン化オリゴマー又は複数のホスホン化オリゴマーの混合物である。代表的なホスホノカルボキシレートとしては、ホスホノコハク酸、1-ホスホノ-1,2,3,4-テトラカルボキシブタン、及び1-ホスホノ-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボキシヘキサンが挙げられるが、これらに限定されない。ホスホノカルボキシレートは、「n」に関して異なる値を有する式(6)を有する複数の化合物の混合物であってよい。「n」の平均値は、1~2、或いは幾つかの実施形態においては1.3~1.5であってよい。ホスホノカルボキシレートの合成は公知であり、米国特許5,606,105に記載されている。ホスホノカルボキシレートは、上記に記載したカルボキシレートとは別の異なるものである。
【0118】
[00114]本発明による腐食抑制剤配合物において、ホスホノカルボキシレートは、場合によっては腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約10ppm~約500ppmの範囲の量で存在させることができる。この範囲内において、ホスホノカルボキシレートは、約20ppm以上、幾つかの実施形態においては約40ppm以上の量で存在させることができる。またこの範囲内において、ホスホノカルボキシレートは、約400ppm以下、幾つかの実施形態においては約300ppm以下の量で存在させることができる。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物はホスホノカルボキシレートを含まない。
【0119】
[00115]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合によって1種類又は複数のホスフィノカルボキシレートを更に含ませることができる。ホスフィノカルボキシレートは、一般式(7):
H[CHR1CHR1]n-P(O2M)-[CHR2CHR2]mH (7)
(式中、それぞれの単位中の少なくとも1つのR1基は、COOM、CH2OH、スルホノ、又はホスホノ基であり、他のR1基(第1のR1基と同一か又は異なっていてよい)は、水素、又はCOOM、ヒドロキシル、ホスホノ、スルホノ、スルファト、C1~C7アルキル、C1~C7アルケニル基、或いはカルボキシレート、ホスホノ、スルホノ、スルファト、及び/又はヒドロキシル置換C1~C7アルキル又はC1~C7アルケニル基であり;nは1以上の整数であり;それぞれのMは、水素、又はアルカリ金属イオン、例えばナトリウムイオン、カリウムイオンなどである)
を有する化合物である。同様に、それぞれの単位中の少なくとも1つのR2基は、COOM、CH2OH、スルホノ、又はホスホノ基であり、他のR2基(第1のR2基と同一か又は異なっていてよい)は、水素、又はCOOM、ヒドロキシル、ホスホノ、スルホノ、スルファト、C1~C7アルキル、C1~C7アルケニル基、或いはカルボキシレート、ホスホノ、スルホノ、スルファト、及び/又はヒドロキシル置換C1~C7アルキル又はC1~C7アルケニル基であり;mは0以上の整数である。更に、少なくとも1つのCOOM基がR1及びR2基の1つの中に存在する。代表的なホスフィノカルボキシレートとしては、米国特許6,572,789及び5,018,577に記載されている、ホスフィノコハク酸及びその水溶性塩、ホスフィニコビス(コハク酸)及びその水溶性塩、並びにホスフィニココハク酸オリゴマー及びその塩が挙げられるが、これらに限定されない。ホスホノカルボキシレートは、「n」及び「m」に関して異なる値を有する式(6)を有する複数の化合物の混合物であってよい。ホスフィノカルボキシレートは、上記に記載のカルボキシレートとは別の異なるものである。
【0120】
[00116]本発明による腐食抑制剤配合物中において、ホスフィノカルボキシレートは、場合によっては腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約10ppm~約500ppmの範囲の量で存在させることができる。この範囲内において、ホスフィノカルボキシレートは、約20ppm以上、幾つかの実施形態においては40ppm以上の量で存在させることができる。またこの範囲内において、ホスフィノカルボキシレートは、約400ppm以下、幾つかの実施形態においては約300ppm以下の量で存在させることができる。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物はホスフィノカルボキシレートを含まない。
【0121】
[00117]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合によって1種類以上の更なる成分を更に含ませることができる。随意的な更なる成分の合計の全濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.0重量%~約15重量%(即ち約15重量%以下)の範囲であってよい。幾つかの実施形態においては、随意的な更なる成分の合計の全濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.0001重量%~約10重量%の間である。他の実施形態においては、随意的な更なる成分の合計の全濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.001重量%~約5重量%の間である。更なる実施形態においては、随意的な更なる成分の合計の全濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.01重量%~約3重量%の間である。
【0122】
[00118]本発明による腐食抑制剤配合物中に場合によって存在させることができる代表的な更なる成分としては、着色剤、消泡剤又は泡止め剤、pH調節剤、ホスホネート(例えば、AMP又はアミノトリメチレンホスホン酸;HEDP又は1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸;HPA又はヒドロキシホスホノ酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸;PBTC又は2-ブタンホスホノ-1,2,4-トリカルボン酸;PCAM又はホスホノカルボキシレート酸混合物;及び/又はBricorr 288(有機ホスホン酸のナトリウム塩:H-[CH(COONa)CH(COONa)]n-PO3Na2(式中、n<5であり、nの平均は1.4である)と他のホスホネートとの混合物)、ホスフィネート(例えば、単量体、二量体、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体と他のホスフィネートとの混合物であるPSO又はホスフィン酸オリゴマー)、殺生物剤、ポリマー分散剤、スケール抑制剤、界面活性剤、苦味物質、更なる腐食抑制剤、脱イオン水又は軟化水のような水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、他のクーラント/凍結防止添加剤、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、これらの随意的な更なる成分の1以上を明確に排除することができる(例えば、上述の更なる成分の1以上を実質的に「含まなく」てよい)。幾つかの実施形態においては、50%濃度における本発明による腐食抑制剤配合物のpHは、約6.8~約10.0の間、幾つかの実施形態においては約6.8~約9.0の間である。
【0123】
[00119]本発明による腐食抑制剤配合物中に場合によって含ませることができる更なる腐食抑制剤としては、トール油脂肪酸から誘導されるシクロヘキセン系カルボキシレート化合物の塩(例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び/又は同類のもの)、並びにアミン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアミン化合物としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ヘキシルアミン、AMP(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール又はイソブタノールアミン)、DEAE(ジエチルエタノールアミン)、DEHA(ジエチルヒドロキシルアミン)、DMAE(2-ジメチルアミノエタノール)、DMAP(ジメチルアミノ-2-プロパノール)、MOPA(3-メトキシプロピルアミン)、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
[00120]本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するのに好適な代表的な着色剤又は染料としては、Abbeys Color Inc.又はChromatech Incorporatedからの「ウラニンイエロー」、「ウラニン染料」、「アリザリングリーン」、「Chromatintオレンジ1735」、又は「グリーンAGS液」、Chromatech Incorporatedからの「Chromatintイエロー0963液体染料」、「Chromatintイエロー2741液体染料」、「Chromatintグリーン1572染料」、「Chromatintグリーン2384染料」、「Chromatintバイオレット1579染料」、Tokyo Chemical Industry Co.又はTCI Americaからの「アシッドレッド#52」又はスルホローダミンB、Sensient Technologies又は他の供給業者からの「オレンジII(アシッドオレンジ7)」又は「IntraacidローダミンWT(アシッドレッド388)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
[00121]任意の好適な消泡剤又は泡消剤(従来公知のかかる薬剤が含まれるが、これらに限定されない)を本発明による熱伝達流体中で使用することができる。本発明による腐食抑制剤配合物中で使用することができる代表的な消泡剤としては、有機変性ポリジメチルシロキサン含有ポリアルキレングリコール、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー、ポリアルキレンオキシド、Prestone Products Corp.から入手できる「PM-5150」、BASF Corp.からの「Pluronic L-61」及び「Plurafac(登録商標)LF224」、Hydrite Chemical Co.及び他の供給業者から入手できる「Patcote 492」、「Patcote 415」、及び他のPatcoteブランドの消泡剤、並びにMunzing Chemie GmbH又は関連会社から入手できる「Foam Ban 136B」及び他のFoam Ban消泡剤が挙げられるが、これらに限定されない。随意的な消泡剤としてはまた、Boscawen, NHのPerformance Chemicals, LLCからのPC-5450NF;及びWoonsocket, RIのCNC InternationalからのCNC消泡剤XD-55NF及びXD-56など(しかしながらこれらに限定されない)のポリジメチルシロキサンエマルジョンベースの消泡剤を挙げることもできる。幾つかの実施形態においては、随意的な消泡剤としては、シリコーン又は有機変性ポリジメチルシロキサン、例えばOSI Specialties Inc.、Waterford, NYのMomentive Performance Materials Inc.、Dow Corning、及び他の供給業者からのSAGブランドのシリコーンベースの消泡剤(例えば、SAG-10、Silbreak(登録商標)320);エチレンオキシド-プロピレンオキシド(EO-PO)ブロックコポリマー、及びプロピレンオキシド-エチレンオキシド-プロピレンオキシド(PO-EO-PO)ブロックコポリマー(例えば、Pluronic L61、Pluronic L81、及び他のPluronic及びPluronic C製品);ポリ(エチレンオキシド)又はポリ(プロピレンオキシド)、例えばPPG2000(例えば、2000ダルトンの平均分子量を有するポリプロピレンオキシド);ポリジオルガノシロキサンベースの製品(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む製品など);脂肪酸又は脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸など);脂肪アルコール、アルコキシル化アルコール、及びポリグリコール;ポリエーテルポリオールアセテート、ポリエーテルエトキシル化ソルビタールヘキサオレエート、及びポリ(エチレンオキシド-プロピレンオキシド)モノアリルエーテルアセテート;ワックス、ナフサ、ケロシン、芳香族オイル;及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せを挙げることができる。
【0126】
[00122]本発明による腐食抑制剤配合物中で使用するのに好適な代表的な殺生物剤としては、種々の非酸化性殺生物剤、例えばグルタルアルデヒド、イソチアゾリン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、メチレンビス(チオシアネート)、テルブチラジン、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルフェート、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
[00123]本発明による腐食抑制剤配合物中で使用するのに好適な代表的なpH調節剤としては、アルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物又は酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、無機ホスフェート(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、及びピロリン酸カリウム)、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
[00124]本発明による腐食抑制剤配合物中で使用するのに好適な代表的な非イオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステルのような脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)のコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン誘導体、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、非イオン界面活性剤の平均分子量は、約55~約300,000の間、幾つかの実施形態においては約110~約10,000の間である。代表的なソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウレート(例えば、Span(登録商標)20、Arlacel(登録商標)20、S-MAZ(登録商標)20M1の商品名で販売されているもの)、ソルビタンモノパルミテート(例えば、Span(登録商標)40又はArlacel(登録商標)40)、ソルビタンモノステアレート(例えば、Span(登録商標)60、Arlacel(登録商標)60、又はS-MAZ(登録商標)60K)、ソルビタンモノオレエート(例えば、Span(登録商標)80又はArlacel(登録商標)80)、ソルビタンモノセスキオレエート(例えば、Span(登録商標)83又はArlacel(登録商標)83)、ソルビタントリオレエート(例えば、Span(登録商標)85又はArlacel(登録商標)85)、ソルビタントリステアレート(sorbitan tridtearate)(例えばS-MAZ(登録商標)65K)、及びソルビタンモノトール油酸エステル(例えばS-MAZ(登録商標)90)が挙げられるが、これらに限定されない。代表的なポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なポリエチレングリコールとしては、Dow Chemical CompanyからのCARBOWAX(登録商標)ポリエチレングリコール及びメトキシポリエチレングリコール(例えば、CARBOWAX PEG200、300、400、600、900、1000、1450、3350、4000、及び8000等)、又はBASF Corp.からのPLURACOL(登録商標)ポリエチレングリコール(例えば、Pluracol(登録商標)E200、300、400、600、1000、2000、3350、4000、6000、及び8000等)が挙げられるが、これらに限定されない。代表的なポリアルキレングリコールエステルとしては、種々の脂肪酸のモノ及びジエステル、例えばBASFからのMAPEG(登録商標)ポリエチレングリコールエステル(例えば、MAPEG(登録商標)200ML又はPEG200モノラウレート、MAPEG(登録商標)400DO又はPEG 400ジオレエート、MAPEG(登録商標)400MO又はPEG400モノオレエート、及びMAPEG(登録商標)600DO又はPEG600ジオレエート等)が挙げられるが、これらに限定されない。代表的なエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)のコポリマーとしては、BASFからの種々のPluronic及びPluronic Rブロックコポリマー界面活性剤、DOW ChemicalからのDOWFAX非イオン界面活性剤、UCON(登録商標)液、及びSYNALOX潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されない。代表的なソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン誘導体としては、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート(例えば、TWEEN(登録商標)20又はT-MAZ20の商品名で販売されている製品)、ポリオキシエチレン4ソルビタンモノラウレート(例えばTWEEN21)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート(例えばTWEEN40)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアレート(例えば、TWEEN60又はT-MAZ60K)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート(例えば、TWEEN80又はT-MAZ80)、ポリオキシエチレン20トリステアレート(例えば、TWEEN65又はT-MAZ65K)、ポリオキシエチレン5ソルビタンモノオレエート(例えば、TWEEN81又はT-MAZ81)、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート(例えば、TWEEN85又はT-MAZ85K)、及び/又は同類のもの、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
[00125]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、場合により、1種類又は複数の更なるカルボキシレート(即ち、安息香酸及び/又はその塩、並びに2種類以上のn-アルキルモノカルボン酸及び/又はそれらの塩に加えて)を更に含む。本明細書において、「カルボキシレート」という用語は、カルボン酸、その塩、及び1種類以上のカルボン酸と1種類以上のカルボン酸塩の組み合わせを包含する。使用するのに好適な更なるカルボキシレートとしては、アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、及びカリウム)の塩、並びにアルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム、及びストロンチウム)の塩が挙げられる。更なるカルボキシレートは、単一又は複数のカルボキシル基を含んでいてよく、線状又は分枝であってよい。更なるカルボキシレートの組み合わせを使用することができ、かかる組み合わせは「カルボキシレート」及び「カルボン酸」という用語に包含されることが明確に意図される。幾つかの実施形態においては、本発明による更なるカルボキシレートは、4~24個の炭素原子(例えば4~22個の炭素原子)を有する。他の実施形態においては、本発明による更なるカルボキシレートは、6~20個の炭素原子を有する。更なるカルボキシレートは、脂肪族、芳香族、又は両方の組み合わせであってよい。幾つかの実施形態においては、更なるカルボン酸はC6~C20の一塩基又は二塩基脂肪族又は芳香族カルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩である。幾つかの実施形態においては、本発明による更なるカルボキシレートは、炭素、水素、及び酸素から構成され、非酸素ヘテロ原子を含まない。本発明にしたがって使用するための代表的な脂肪族カルボン酸としては、2-エチルヘキサン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ネオデカン酸、デカン酸、ノナン酸、イソノナン酸(例えば、7-メチルオクタン酸、6,6-ジメチルヘプトン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、3,4,5-トリメチルヘキサン酸、2,5,5-トリメチルヘキサン酸、2,2,4,4-テトラメチルペンタン酸、及び/又は同様のもの、並びにそれらの組合せ)、イソヘプタン酸、ドデカン酸、セバシン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、及び/又は同様のもの、並びにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な芳香族カルボキシレートとしては、安息香酸、トルイル酸(メチル安息香酸)、tert-ブチル安息香酸、アルコキシ安息香酸(例えば、o-、p-、又はm-アニシン酸のようなメトキシ安息香酸)、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(又はトリメリット酸)、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸(又はヘミメリット酸)、及び/又は同様のもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
[00126]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物中において使用される更なるカルボキシレートは、複数のカルボキシレートを含む。幾つかの実施形態においては、更なるカルボキシレートとしては、脂肪族モノカルボキシレート、脂肪族ジカルボキシレート、芳香族モノカルボキシレート、芳香族ジカルボキシレート、又はそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態において、更なるカルボキシレートとしては、1種類又は複数のC6~C20カルボキシレートが挙げられ、1種類又は複数のC6~C20のそれぞれは、個々に、脂肪族モノカルボキシレート、脂肪族ジカルボキシレート、芳香族モノカルボキシレート、芳香族ジカルボキシレート、及びそれらの組合せからなる群から選択される。幾つかの実施形態においては、更なるカルボキシレートとしては、少なくとも1種類の更なるC6~C20の一塩基又は二塩基脂肪族又は芳香族カルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩が挙げられる。幾つかの実施形態においては、更なるカルボキシレートとしては、2-エチルヘキサン酸、アジピン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、安息香酸、p-トルイル酸、t-ブチル安息香酸、アルコキシ安息香酸、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0131】
[00127]更なるカルボキシレートの濃度は、用途に応じて変化させることができる。幾つかの実施形態においては、カルボキシレートは、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.1重量%~約25重量%、幾つかの実施形態においては約1重量%~約10重量%の量で存在する。この範囲内において、この量は、約1.5重量%以上、幾つかの実施形態においては約2重量%以上であってよい。また、この範囲内において、この量は、約7重量%以下、幾つかの実施形態においては約5重量%以下であってよい。
【0132】
[00128]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物には、場合により、銅及び銅合金のための腐食抑制剤を含ませることができる。代表的な銅及び銅合金腐食抑制剤としては、活性官能基として5員又は6員のヘテロ環を含む化合物が挙げられるが、これらに限定されず、ヘテロ環は少なくとも1個の窒素原子を含む(例えば、上記のタイプのアゾール化合物)。幾つかの実施形態においては、銅及び銅合金腐食抑制剤としては、ベンゾトリアゾール、ヒドロベンゾトリアゾール(例えばテトラヒドロベンゾトリアゾール)、トリルトリアゾール、ヒドロトリルトリアゾール(例えば、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール)、及び米国特許8,236,205B1に記載の他のテトラヒドロベンゾトリアゾール),メチルベンゾトリアゾール(例えば、4-メチルベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール)、アルキルベンゾトリアゾール(例えば、ブチルベンゾトリアゾールなど(しかしながら、これに限定されない)のC2~C20アルキル基を有するベンゾトリアゾール)、メルカプトベンゾチアゾール、チアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、テトラゾール、及び/又は同様のもの、並びにこれらの組合せからなる群から選択される置換又は非置換の化合物、及び/又はそれらの塩が挙げられる。幾つかの実施形態においては、上述の銅及び銅合金腐食抑制剤の1以上は、場合によっては置換されてもよい。幾つかの実施形態においては、銅及び銅合金腐食抑制剤は、約0.01重量%~約5重量%の量で組成物中に存在させることができる。幾つかの実施形態においては、銅及び銅合金腐食抑制剤の量は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.01重量%~約4重量%の範囲である。この範囲内において、銅及び銅合金腐食抑制剤は、約0.05重量%以上、幾つかの実施形態においては約0.1重量%以上の量で存在させることができる。また、この範囲内において、銅及び銅合金腐食抑制剤は、約2重量%以下、幾つかの実施形態においては約1重量%以下の量で存在させることができる。
【0133】
[00129]熱伝達システムにおいて使用するための本発明による熱伝達流体は、凝固点降下剤及び/又は水、並びに上述のタイプの腐食抑制剤配合物を含む。本発明による腐食抑制剤配合物中において使用するのに好適な代表的な凝固点降下剤としては、アルコール及び複数のアルコールの混合物(例えば、一価アルコール、多価アルコール、及びそれらの混合物)が挙げられるが、これらに限定されない。凝固点降下剤として使用するための代表的なアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フルフロール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エトキシル化フルフリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、グリセロール-1,2-ジメチルエーテル、グリセロール-1,3-ジメチルエーテル、グリセロールのモノエチルエーテル、ソルビトール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチルロールプロパン、アルコキシアルカノール(例えばメトキシエタノール)など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
[00130]幾つかの実施形態においては、凝固点降下剤は、幾つかの実施形態においてはエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセロール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルコールを含む。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、グリコール凝固点降下剤を含む。凝固点降下剤の濃度は、用途に応じて変化させることができる。一例として、幾つかの実施形態においては、凝固点降下剤の濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0重量%~約60重量%(例えば、約0重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、又は約11重量%~約25重量%)であってよい。他の実施形態においては、凝固点降下剤の濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約1重量%~約99重量%、幾つかの実施形態においては約10重量%~約99.9重量%(例えば、約30重量%~約99.5重量%、又は約40重量%~約99重量%)であってよい。幾つかの実施形態においては、凝固点降下剤の濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約15重量%~約99重量%の範囲である。他の実施形態においては、凝固点降下剤の濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約20重量%~約98重量%の範囲である。更なる実施形態においては、凝固点降下剤の濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約20重量%~約96重量%の範囲である。
【0135】
[00131]本発明による腐食抑制剤配合物には、凝固点降下剤に加えて、又はその代わりに、水を含ませることができる。腐食抑制剤配合物を含む熱伝達流体は、通常は水を含む。幾つかの実施形態においては、凝固点降下剤を含む本発明による腐食抑制剤配合物は、水で30体積%~60体積%の溶液に希釈することができる。
【0136】
[00132]本発明にしたがって使用される水のタイプは限定されない。しかしながら、幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物及び/又は熱伝達流体中において使用される水としては、脱イオン水、脱塩水、軟化水、又はそれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態においては、CaCO3による水の硬度は約20ppm未満である。他の実施形態においては、水の導電率は約300μS/cm未満である。更なる実施形態においては、CaCO3による水の硬度は約20ppm未満であり、水の導電率は約300μS/cm未満である。水の量は、用途に応じて変化させることができる。例として、水の濃度は、腐食抑制剤配合物の総重量を基準として約0.1重量%~約90重量%(例えば、約0.5重量%~約70重量%、又は約1重量%~約60重量%)であってよい。
【0137】
[00133]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、冷却システムにおいて使用することができ、腐食抑制特性を与えることができる。幾つかの実施形態においては、本発明による熱伝達流体は、(a)熱伝達流体の総重量を基準として約1重量%~約99重量%の範囲の量の凝固点降下剤(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセロールなど、及び/又はそれらの組合せ);(b)熱伝達流体の総重量を基準として約1重量%~約99重量%(幾つかの実施形態においては約0.1重量%~約90重量%、他の実施形態においては約0.5重量%~約70重量%、更なる実施形態においては約1重量%~約60重量%)の範囲の量の水;(c)上述のタイプの腐食抑制剤配合物;及び(d)場合によりクーラント添加剤(着色剤、消泡剤、他の腐食抑制剤(例えば、ニトレート及び/又はニトライト)、分散剤、スケール抑止剤、界面活性剤、湿潤剤、殺生物剤など、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない);を含む。。
【0138】
[00134]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、米国特許8,617,415;8,617,416;9,145,613;9,453,153;及び9,994,755に記載されている組成物など(しかしながら、これらに限定されない)の他の腐食抑制剤配合物と組み合わせて使用することができる。。
【0139】
[00135]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、室温において単一相の均質な溶液である。幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、約-10℃~+100℃の間の温度において貯蔵安定性である。幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物及び/又は腐食抑制剤配合物を含む熱伝達流体は、ASTM-D3306の特性及び性能要件を満足する。
【0140】
[00136]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物を、(例えば、水及び/又は凝固点降下剤で)希釈して熱伝達流体を形成することができる。例えば、幾つかの実施形態においては、腐食抑制剤配合物を約10体積%~約75体積%まで希釈して熱伝達流体を形成することができる。幾つかの実施形態においては、希釈のために使用される水は、ASTM-D3306-10のセクション4.5に記載される脱イオン水である。
【0141】
[00137]幾つかの実施形態においては、本発明による腐食抑制剤配合物は、商業的に入手できる製品として与えることができる。他の実施形態においては、腐食抑制剤配合物を水及び/又は凝固点降下剤で約50体積%に予備希釈した熱伝達流体を、商業的に入手できる製品として与えることができる。希釈によって熱伝達流体を調製する際には、使用条件において熱伝達濃縮物に加えられる水の最適のレベルは、所望の凍結、吹きこぼれ、及び腐食保護の要件によって定めることができる。
【0142】
[00138]水を加えることによって希釈されていない腐食抑制剤配合物は、通常はその比較的低い熱伝達係数(又は比熱)、高い粘度、及び高い凝固点のために、エンジン冷却システムにおいて熱伝達流体として使用されない。而して、水を加えることによって腐食抑制剤配合物を(例えば30体積%~60体積%の溶液に)希釈した後に、エンジン冷却システムにおいて熱伝達流体として使用することができる。自動車製造業者は、通常は、自動車冷却システムにおける工場充填液として、水で希釈された50体積%の熱伝達濃縮液を使用する。約30体積%~約60体積%、幾つかの実施形態においては35体積%~65体積%の腐食抑制剤配合物を含むように水で予め希釈された熱伝達流体製品は、自動車冷却システム中に加えられる際に更なる水を必要としないので、すぐに使用できるクーラントである。
【0143】
[00139]熱伝達流体において、凝固点降下剤は、熱伝達流体の総重量を基準として約1重量%乃至約90重量%未満の量で存在させることができる。この範囲内において、凝固点降下剤の量は、熱伝達流体の総重量を基準として約25重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上、約86重量%以上、約87重量%以上、約88重量%以上、又は約89重量%以上で、しかしながら約90重量%未満であってよい。また、この範囲内において、凝固点降下剤の量は、熱伝達流体の総重量を基準として約30重量%以下、約40重量%以下、約50重量%以下、約55重量%以下、約60重量%以下、約70重量%以下、約75重量%以下、約80重量%以下、約85重量%以下、約86重量%以下、約87重量%以下、約88重量%以下、又は約89重量%以下で、しかしながら約1重量%より多くてよい。
【0144】
[00140]熱伝達流体において、アゾール化合物の総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.005重量%~約2重量%の範囲であってよい。この範囲内において、アゾール化合物は、約0.007重量%以上、又は幾つかの実施形態においては約0.01重量%以上の量で存在させることができる。また、この範囲内において、アゾール化合物は、約1.5重量%以下、又は幾つかの実施形態においては約1重量%以下の量で存在させることができる。
【0145】
[00141]熱伝達流体がモリブデートを含む実施形態に関しては、モリブデートの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001ppmより多くてよい。この範囲内において、モリブデートの量は約20,000ppm未満であってよい。また、この範囲内において、モリブデートの量は約2000ppm以下であってよい。
【0146】
[00142]熱伝達流体が水溶性無機ホスフェートを含む実施形態に関しては、水溶性無機ホスフェートの総量は、熱伝達流体の総重量を基準としてPとして約0.5ppmより多くてよい。この範囲内において、水溶性無機ホスフェートの量は、Pとして約2000ppm未満であってよい。また、この範囲内において、水溶性無機ホスフェートの量は、Pとして約800ppm以下であってよい。
【0147】
[00143]熱伝達流体が有機ホスフェートを含む実施形態に関しては、有機ホスフェートの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.001重量%~約5重量%の量で存在させることができる。この範囲内において、この量は、約0.005重量%以上、又は幾つかの実施形態においては約0.01重量%以上であってよい。また、この範囲内において、この量は、約3重量%以下、又は幾つかの実施形態においては約1重量%以下であってよい。
【0148】
[00144]熱伝達流体が1種類以上のアルカリ土類金属イオンを含む実施形態に関しては、アルカリ土類金属イオンの総量がは、熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001重量%~約0.02重量%であってよい。この範囲内において、この量は、約0.001重量%以上、又は幾つかの実施形態においては約0.002重量%以上であってよい。また、この範囲内において、この量は、約0.01重量%以下、又は幾つかの実施形態においては約0.006重量%以下であってよい。
【0149】
[00145]熱伝達流体がカルシウムイオンを含む実施形態に関しては、カルシウムイオンの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.5ppmより多くてよい。この範囲内において、カルシウムイオンの量は約50ppm未満であってよい。また、この範囲内において、カルシウムイオンの量は約20ppm以下であってよい。
【0150】
[00146]熱伝達流体がマグネシウムイオンを含む実施形態に関しては、マグネシウムイオンの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.5ppmより多くてよい。この範囲内において、マグネシウムイオンの量は約60ppm未満であってよい。また、この範囲内において、マグネシウムイオンの量は約25ppm以下であってよい。
【0151】
[00147]熱伝達流体がストロンチウムイオンを含む実施形態に関しては、ストロンチウムイオンの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.1ppmより多くてよい。この範囲内において、ストロンチウムイオンの量は約40ppm未満であってよい。また、この範囲内において、ストロンチウムイオンの量は約20ppm以下であってよい。
【0152】
[00148]熱伝達流体がリチウムイオンを含む実施形態に関しては、リチウムイオンの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001ppmより多くてよい。この範囲内において、リチウムイオンの量は約6000ppm未満であってよい。また、この範囲内において、リチウムイオンの量は約2500ppm以下であってよい。
【0153】
[00149]熱伝達流体が亜鉛イオンを含む実施形態に関しては、亜鉛イオンの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001ppmより多くてよい。この範囲内において、亜鉛イオンの量は約30ppm未満であってよい。また、この範囲内において、亜鉛イオンの量は約15ppm以下であってよい。
【0154】
[00150]熱伝達流体がニトライトを含む実施形態に関しては、ニトライトの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001ppmより多くてよい。この範囲内において、ニトライトの量は、約20,000ppm未満であってよい。また、この範囲内において、ニトライトの量は、約5000ppm以下であってよい。
【0155】
[00151]熱伝達流体がニトレートを含む実施形態に関しては、ニトレートの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001ppmより多くてよい。この範囲内において、ニトレートの量は約20,000ppm未満であってよい。また、この範囲内において、ニトレートの量は約5000ppm以下であってよい。
【0156】
[00152]熱伝達流体がシリケートを含む実施形態に関しては、シリケートの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001ppmより多くてよい。この範囲内において、シリケートの量はSiとして約1000ppm未満であってよい。また、この範囲内において、シリケートの量はSiとして約600ppm以下であってよい。
【0157】
[00153]熱伝達流体がシリケート安定剤を含む実施形態に関しては、シリケート安定剤は熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001ppmより多い量で存在させることができる。この範囲内において、シリケート安定剤の量は約3000ppm未満であってよい。また、この範囲内において、シリケート安定剤の量は約800ppm以下であってよい。
【0158】
[00154]熱伝達流体がアクリレート系ポリマーを含む実施形態に関しては、アクリレート系ポリマーの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001ppmより多くてよい。この範囲内において、アクリレート系ポリマーの量は約5000ppm未満であってよい。また、この範囲内において、アクリレート系ポリマーの量は約1500ppm以下であってよい。
【0159】
[00155]熱伝達流体が1種類以上の更なるカルボキシレートを含む実施形態に関しては、更なるカルボキシレートの総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.5重量%~約8重量%の量で存在させることができる。この範囲内において、この量は、約0.6重量%以上、又は幾つかの実施形態においては約0.7重量%以上であってよい。また、この範囲内において、この量は、約7重量%以下、又は幾つかの実施形態においては約6重量%以下であってよい。
【0160】
[00156]熱伝達流体が銅及び銅合金腐食抑制剤を含む実施形態に関しては、銅及び銅合金腐食抑制剤の総量は、熱伝達流体の総重量を基準として約0.0001ppmより多くてよい。この範囲内において、銅及び銅合金腐食抑制剤の量は約10,000ppm未満であってよい。また、この範囲内において、銅及び銅合金腐食抑制剤の量は約2500ppm以下であってよい。
【0161】
[00157]熱伝達流体のpHは、室温において約6.8~約10.0の間であってよい。この範囲内において、pHは約7.5以上、又は幾つかの実施形態においては約7.8以上であってよい。また、この範囲内において、pHは約9.0以下、又は幾つかの実施形態においては約8.8以下であってよい。
【0162】
[00158]本発明にしたがって腐食を抑止する方法は、本明細書に記載されているタイプの熱伝達流体を熱伝達システムと接触させることを含む。熱伝達システムは、CABによって製造された1つ又は複数の部品を含んでもよい。幾つかの実施形態においては、熱伝達システムは、アルミニウム及び/又はCGIを含んでいてよい。
【0163】
[00159]本発明による熱伝達流体を、下記の非限定的な実施例によって更に示す。下記の実施例は本発明による特徴を例示するものであり、単に例示として与えるものである。それらは、添付の特許請求の範囲又はそれらの均等物の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0164】
[00160]Bayhibit AMは、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(又はPBTC)である。Na-TTはトリルトリアゾールのナトリウム塩である。トリルトリアゾールは、約60%の5-メチルベンゾトリアゾールと及び40%の4-メチルベンゾトリアゾールの混合物である。Bricorr 288は、ホスホノコハク酸、その二量体、及びオリゴマーの混合物である。米国特許6,572,789に記載されているように、かかる抑制剤の活性成分は、有機ホスホン酸、H-[CH(COONa)CH(COONa)]n-PO3Na2(式中、n<5、及びn(平均)=1.4である)(以下PCAMと呼ぶ)の混合物である。
【0165】
[00161]2EHAは2-エチルヘキサン酸である。セバシン(K塩)は、セバシン酸のカリウム塩である。Tenex WS-5520(CAS Reg.No.=154730-82-2)は、Tenax 2010の特許技術に基づく精製トール油脂肪酸無水物(密度=9.6ポンド/ガロン;酸価=75.0~90.0;固形分86%)である。Tenax WS-5520は、適切なアミンで中和した場合には優れた水溶性を維持し、強靭なフィルム持続性を与える。Tenax 2010(CAS Reg. No.=68139-89-9)は、構造(8):
【0166】
【0167】
を有するマレエート化トール油脂肪酸
[00162](式中、x+yは12に等しい)であり、これは蒸留によって10%未満のモノマー含量に精製されている(密度=8.4ポンド/ガロン;最小酸価=250;最大酸価=280)。Tenax 2010及びそのアミン誘導体は、高温及び高圧において化学的に安定である。適切なアミンで中和した場合には、Tenax 2010は、標準的な二量体/三量系よりも優れたフィルム持続性を示す。Tenax 2010は、腐食抑制剤配合物のための中間化学物質としてダウンホール用途において優れたコストパフォーマンスの有利性を示す。
【0168】
[00163]試験クーラント配合物の代表的な組成及び対応する分析結果を、表4、5、6及び7に示す。
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
[00164]試験結果-138℃の電極表面温度を用いた砂鋳造アルミニウムAA319についての修正GM9066P試験結果を表8に示す。
[00165]試験結果-152℃の電極表面温度を用いたコンパクト黒鉛鉄上についての修正GM9066Pを表9に示す。
【0176】
【0177】
【0178】
[00167]表8及び9から明らかなように、実施例1、3、及び4は、高温において鋳造アルミニウム及びコンパクト黒鉛鉄について予想外に低い腐食速度をもたらす。本発明による3種類のカルボン酸の組み合わせは、選択された試験条件下において砂鋳造アルミニウムについて最も低い腐食速度をもたらした。一方で、実施例3及び4もまた、比較例4、5、及び8に対応するものよりも低い腐食速度をもたらす。これらの結果は、本発明によるカルボン酸の組み合わせを使用すると、エンジン冷却システムにおいて鋳造アルミニウム及びコンパクト黒鉛鉄の両方の腐食保護を同時に与えるという予想外の相乗効果が得られることを示している。
【0179】
[00168]表6に示すように、腐食抑制剤の相乗的組合せを試験クーラント中に配合する。50体積%のクーラントを使用し、2017年のフォード・エクスプローラー、2016年のフォード・エクスプローラー、及び2015年のフォード・タウルス(全て、アルミニウムブロック及びアルミニウムシリンダーヘッドを備えた3.7LのV6サイクロンエンジンを装備)を使用して、3台の警察車両において、実施例のクーラント(実施例6及び実施例7の試験クーラント)、及び2つの比較例の試験クーラント(比較例11及び比較例13の試験クーラント)のフリートテストを行った。フリートテストの結果の幾つかを表10に示す。比較例11は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、及び天然ガスエンジンの全部に関してエンジン寿命の100万マイルクーラントを与えると主張されている商用のヘビーデューティーの交換不要なエンジンクーラントである。
【0180】
[00169]データから明らかなように、本発明による実施例のクーラント(実施例6及び実施例7の試験クーラント)は、比較例11の商用の交換不要クーラント及び比較例13の試験クーラントよりも、試験された車両の冷却システムに対して実質的に良好な腐食保護を与える。エチレングリコール分解酸の濃度、グリコール酸、ギ酸、及び酢酸の濃度の合計は、実施例の試験クーラントを使用した試験車両において、比較例の試験クーラント11及び13を使用したものよりも遙かに低い。更に、試験クーラントの(約50体積%における)pHの低下は、比較例の試験クーラント11及び13を使用した試験車両において観察されたものよりも遙かに遅かった。いかなる特定の理論によっても縛られることは望まず、更に添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲を幾らかでも限定することは意図しないが、試験クーラントのpHは、エンジンクーラントの腐食保護性能を維持する上で重要な役割を果たすと現在考えられる。幾つかの実施形態においては、カルボン酸系腐食抑制剤についての最適のpHは、一般に7.5~9の間である。pHが7より低く低下すると、相当量のカルボン酸が酸形態で存在し、その結果、抑制剤配合物の腐食保護性能が低下する。
【0181】
【0182】
【0183】
[00170]実施例6において開示されたC7、C9、及びベンゾエート抑制剤の組み合わせ(試験クーラント又は熱伝達流体中の安息香酸の重量パーセントとヘプタン酸及びノナン酸の合計との比は、約1.27:1.6である)、並びに実施例7において開示されたC8、C10、及びベンゾエート抑制剤の組み合わせ(試験クーラント又は熱伝達流体中の安息香酸の重量パーセントとオクタン酸及びデカン酸の合計との比は、約1:27:1.56である)は、エンジン冷却システム中のアルミニウム及びコンパクト黒鉛鉄の両方の予想外に相乗的で最適な腐食保護を与える熱伝達流体又はエンジンクーラントを配合する際に使用するための現在好ましい抑制剤の組み合わせである。
【0184】
[00171]下表11は、キャビテーション腐食及び浸食腐食に対する腐食保護性能に関する修正ASTM-D2809アルミニウムポンプ試験の結果を示す。
【0185】
【0186】
[00172]実施例8及び9に開示されるベンゾエート抑制剤の組み合わせは、実施例6及び7に開示されるベンゾエート抑制剤組成物と共に、エンジン冷却システムなど(しかしながらこれに限定されない)の冷却システムにおいてアルミニウム及びコンパクト黒鉛鉄の両方の予想外に相乗的で最適な腐食保護を与える熱伝達流体又はエンジンクーラントを配合する際に使用するための現在好ましい抑制剤の組み合わせである。
【0187】
[00173]ここで引用したありとあらゆる特許及び非特許文献の全ての内容は、本明細書と不一致の開示事項又は規定の場合(この場合には、本明細書における開示事項又は規定が優先するとみなされる)を除いて、参照として本明細書中に包含する。
【0188】
[00174]構成要素に関する不定冠詞の「a」及び「an」(例えば、「第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩」、「第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩」、「アゾール化合物」等)の使用は、幾つかの実施形態においては複数のかかる構成要素の存在を排除しないことを理解すべきである。
【0189】
[00175]上記の詳細な記載は例示及び例証の目的で与えたものであり、添付の特許請求の範囲を限定することは意図しない。本明細書に示されている現在好ましい態様における多くのバリエーションは当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等範囲内に含まれる。
【0190】
[00176]添付の特許請求の範囲において示す構成要素及び特徴を異なるように組み合わせて、これも本発明の範囲内に含まれる新しい請求項を形成することができることを理解すべきである。而して、下記に添付した従属請求項は単一の独立又は従属請求項のみに従属しているが、これらの従属請求項は、或いは別形態においては任意の先行する請求項(独立か従属かにかかわらず)に従属させることができ、かかる新しい組合せは本明細書の一部を形成すると理解すべきであることを理解すべきである。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[態様1]
熱伝達流体において使用するための腐食抑制剤配合物であって、
場合によって置換されている安息香酸又はその塩;
少なくとも、第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩、及び第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩、ここで前記第1のn-アルキルモノカルボン酸と前記第2のn-アルキルモノカルボン酸は異なっている;及び
アゾール化合物;
を含み、
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントと、前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントとの比は、約1:0.75~約1:2.00の範囲であり;
前記安息香酸又はその塩の重量パーセントと、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比は、約1:0.30~約1:2.25の範囲である、前記腐食抑制剤配合物。
[態様2]
前記場合によって置換されている安息香酸の塩がアルカリ金属を含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様3]
前記場合によって置換されている安息香酸の塩が、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、又はそれらの組み合わせを含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様4]
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸の塩及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸の塩が、それぞれアルカリ金属を含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様5]
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸が、それぞれ独立して、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様6]
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸の一方がヘプタン酸を含み、他方がノナン酸を含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様7]
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸の一方がオクタン酸を含み、他方がデカン酸を含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様8]
前記アゾール化合物が、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、テトラヒドロトリルトリアゾール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様9]
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントと、前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントとの比が、約1:1.00~約1:2.00の範囲である、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様10]
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントと、前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントとの比が、約1:1.00~約1:1.50の範囲である、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様11]
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントと、前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントとの比が、約1:1である、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様12]
前記安息香酸又はその塩の重量パーセントと、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比が、約1:0.50~約1:2.25の範囲ある、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様13]
前記安息香酸又はその塩の重量パーセントと、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比が、約1:0.75~約1:2.00の範囲である、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様14]
前記安息香酸又はその塩の重量パーセントと、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比が、約1:1である、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様15]
水溶性モリブデート塩を更に含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様16]
モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、又はそれらの組み合わせを更に含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様17]
無機ホスフェート、有機ホスフェート、水溶性アルカリ土類金属塩、水溶性アルカリ金属塩、水溶性亜鉛塩、ニトライト、ニトレート、シリケート、シリケート安定剤、アクリレート系ポリマー、ホスホネート、ホスフィネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される更なる成分を更に含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様18]
アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、又はそれらの組み合わせを更に含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様19]
前記アルカリ土類金属が、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、又はそれらの組み合わせを含む、態様18に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様20]
酸化リチウム、水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせを更に含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様21]
着色剤、殺生物剤、消泡剤、界面活性剤、更なる腐食抑制剤、分散剤、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される更なる成分を更に含む、態様17に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様22]
少なくとも1種類の更なるカルボン酸又はその塩を更に含む、態様17に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様23]
前記安息香酸又はその塩の重量パーセントと、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩、前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩、及び前記少なくとも1種類の更なるカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比が、約1:0.50~約1:2.25の範囲である、態様22に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様24]
50%の濃度の腐食抑制剤配合物のpHが約6.8~約9.0である、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様25]
無機ホスフェート、有機ホスフェート、又はそれらの組み合わせを更に含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様26]
エチレングリコールホスフェートエステル、1,2,3-プロパントリオールホスフェート、ホスフェートポリエーテルエステル、C
6
~C
12
アルキルアルコールエトキシレートリン酸、クレシルエトキシレートのホスフェートエステルのアルカリ金属塩、カリウムクレシルホスフェート、オクチルフェノキシポリエトキシエチルホスフェート、オクチルフェノキシポリエチルホスフェート、ポリエチレングリコールモノ(オクチルフェニル)エーテルホスフェート、R-フェニル(CH
2
CH
2
O)
x
ホスフェートのアルキルフェノキシポリエトキシエチルリン酸のアルカリ金属塩(式中、Rは水素又はC
1
~C
20
アルキルであり、xは1~30の整数である)、又はそれらの組合せを更に含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様27]
少なくとも1種類の更なるカルボン酸又はその塩を更に含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様28]
前記少なくとも1種類の更なるカルボン酸の塩がアルカリ金属を含み、前記少なくとも1種類の更なるカルボン酸が、C
6
~C
20
の一塩基性又は二塩基性の脂肪族又は芳香族カルボン酸を含む、態様27に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様29]
前記少なくとも1種類の更なるカルボン酸が、2-エチルヘキサン酸、アジピン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、安息香酸、パラトルイル酸、tert-ブチル安息香酸、アルコキシ安息香酸、イソノナン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、又はそれらの組み合わせを含む、態様28に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様30]
水に溶解するとCa
2+
、Mg
2+
、及びSr
2+
の少なくとも1つを生成する水溶性アルカリ土類金属塩を更に含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様31]
アクリレート系ポリマー、及びマグネシウムイオンを生成する水溶性アルカリ土類金属塩を更に含み、前記マグネシウムイオンに対する前記アクリレート系ポリマーの比が5より大きく25未満である、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様32]
前記場合によって置換されている安息香酸が、p-トルイル酸、t-ブチル安息香酸、アルコキシ安息香酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、又はそれらの組み合わせを含む、態様1に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様33]
熱伝達流体において使用するための腐食抑制剤配合物であって、
安息香酸又はそのアルカリ金属塩;
少なくとも、第1のn-アルキルモノカルボン酸又はそのアルカリ金属塩、及び第2のn-アルキルモノカルボン酸又はそのアルカリ金属塩、ここで前記第1のn-アルキルモノカルボン酸と前記第2のn-アルキルモノカルボン酸は異なっており、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸は、それぞれ独立して、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される;
ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、テトラヒドロトリルトリアゾール、及びそれらの組合せからなる群から選択されるアゾール化合物;並びに、
モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、又はそれらの組合せを含むモリブデート塩;
を含み;
前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントと、前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の重量パーセントとの比は約1:1.00~約1:1.75の範囲であり;
前記安息香酸又はその塩の重量パーセントと、前記第1のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩及び前記第2のn-アルキルモノカルボン酸又はその塩の合計重量パーセントとの比は約1:0.50~約1:2.00の範囲である、前記腐食抑制剤配合物。
[態様34]
無機ホスフェート、有機ホスフェート、水溶性アルカリ土類金属塩、水溶性アルカリ金属塩、水溶性亜鉛塩、ニトライト、ニトレート、シリケート、シリケート安定剤、アクリレート系ポリマー、ホスホネート、ホスフィネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される更なる成分を更に含む、態様33に記載の腐食抑制剤配合物。
[態様35]
熱伝達システムにおいて使用するための熱伝達流体であって、
前記熱伝達流体の総重量を基準として約1重量%~約99重量%の範囲の量の凝固点降下剤;
前記熱伝達流体の総重量を基準として約1重量%~約99重量%の範囲の量の水;及び
態様1に記載の腐食抑制剤配合物;
を含む、前記熱伝達流体。
[態様36]
着色剤、消泡剤、ニトレート、ニトライト、分散剤、スケール抑止剤、界面活性剤、湿潤剤、殺生物剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの更なる成分を更に含む、態様35に記載の熱伝達流体。
[態様37]
前記凝固点降下剤がアルコールを含む、態様35に記載の熱伝達流体。
[態様38]
前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フルフロール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エトキシル化フルフリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、グリセロール-1,2-ジメチルエーテル、グリセロール-1,3-ジメチルエーテル、グリセロールのモノエチルエーテル、ソルビトール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、メトキシエタノール、及びそれらの組合せからなる群から選択される、態様37に記載の熱伝達流体。
[態様39]
前記水が、脱イオン水、脱塩水、軟化水、又はそれらの組み合わせである、態様37に記載の熱伝達流体。
[態様40]
前記腐食抑制剤配合物が、水溶性モリブデート塩、ニトライト、又はそれらの組み合わせを更に含む、態様35に記載の熱伝達流体。
[態様41]
熱伝達システムにおける腐食を抑止する方法であって
前記熱伝達システムの少なくとも一部を熱伝達流体と接触させること;
を含み;
前記熱伝達流体は、
凝固点降下剤、水、又はそれらの組み合わせ;及び
態様1に記載の腐食抑制剤配合物;
を含む、前記方法。
[態様42]
前記熱伝達システムが、制御雰囲気ろう付けによって製造された部品、コンパクト黒鉛鉄(CGI)を含む部品、アルミニウムを含む部品、又はそれらの組み合わせを含む、態様41に記載の方法。