(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】硫酸リチウム製造装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01D 15/06 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
C01D15/06
(21)【出願番号】P 2021505862
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 KR2019009676
(87)【国際公開番号】W WO2020027625
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0090311
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0116489
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(73)【特許権者】
【識別番号】592000705
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート オブ インダストリアル サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 キ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ウンキョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジュン クワン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、 ウ チョル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 クワン ソク
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ヒュン ウ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 サン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 ホク
(72)【発明者】
【氏名】クク、 スン テク
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0039587(KR,A)
【文献】特開2008-261743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01D 15/00-15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸リチウムおよび硫酸の反応が行われ、上部空間および下部空間に区分される反応本体;
前記反応本体の内部に圧力を加える加圧器;
前記上部空間に配置され、前記リン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する攪拌器;
前記反応本体の内部に配置され、前記混合物を濾過して前記リン酸を含む濾過液を前記下部空間に分離するフィルター;
前記上部空間と連結され、前記反応本体内部に溶解液を供給する溶解液供給部
;
前記下部空間と連結された収得配管を通じて、前記溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する収得部;
前記上部空間と連結され、前記反応本体内部に洗浄液を供給する洗浄液供給部;および
前記フィルターを通過した洗浄液を前記下部空間から前記上部空間に循環させる循環部;を含み、
前記循環部は、前記下部空間と前記上部空間を連通させる循環配管;および前記循環配管内部に設置され、前記フィルターを通過した洗浄液の密度を測定する密度測定器を含む硫酸リチウム製造装置。
【請求項2】
前記下部空間と連結され、前記濾過液を回収する回収部;をさらに含む、請求項1に記載の硫酸リチウム製造装置。
【請求項3】
前記洗浄液供給部は、
前記洗浄液が貯蔵される第1貯蔵器;
前記第1貯蔵器と前記上部空間を連通させる第1供給配管;および
前記第1供給配管端部に形成された噴射ノズル;を含む、請求項
1または2に記載の硫酸リチウム製造装置。
【請求項4】
前記洗浄液供給部は、
前記収得配管と前記第1供給配管を連通させる連結配管;および
前記連結配管上に設置される連結ポンプ;をさらに含む、請求項
3に記載の硫酸リチウム製造装置。
【請求項5】
前記循環部は
、前記循環配管上に設置される循環ポンプ;を含む、請求項
1~4のいずれか一項に記載の硫酸リチウム製造装置。
【請求項6】
前記溶解液供給部は、
前記溶解液が貯蔵される第2貯蔵器;および
前記第2貯蔵器と前記上部空間を連通させる第2供給配管;を含む、請求項
1~5のいずれか一項に記載の硫酸リチウム製造装置。
【請求項7】
反応容器に固相のリン酸リチウムおよび硫酸を投入する段階;
前記固相のリン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して固相の硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する段階;
前記混合物を加圧し、濾過して前記リン酸を含む濾過液を回収する段階;および
前記混合物が加圧された状態で洗浄液を噴射して前記混合物の洗浄および濾過を行う段階;を含
み、
前記洗浄液を噴射する段階の後、前記混合物から濾過される濾過液の密度を測定して前記濾過液の密度が1.25g/cc以下になる時、前記洗浄液の噴射を終了する段階をさらに含む硫酸リチウム製造方法。
【請求項8】
前記洗浄液を噴射する段階で、
前記混合物の洗浄および濾過を同時に行う、請求項
7に記載の硫酸リチウム製造方法。
【請求項9】
前記混合物を濾過する段階で、
前記混合物中の液体含有比率である含水率が45~53重量%である時、前記洗浄液の噴射を開始する、請求項
7または8に記載の硫酸リチウム製造方法。
【請求項10】
前記洗浄液を噴射する段階で、
前記混合物の含水率が45~53重量%が維持されるように前記洗浄液を噴射する、請求項
9に記載の硫酸リチウム製造方法。
【請求項11】
前記混合物を濾過する段階で、前記混合物を2~4barで加圧し、
前記洗浄液を噴射する段階で、前記混合物を2~4barで加圧する、請求項
7~10のいずれか一項に記載の硫酸リチウム製造方法。
【請求項12】
前記洗浄液を噴射する段階の後、
前記混合物から濾過される濾過液の密度を測定して前記濾過液の密度が1.51g/cc以下になると、前記混合物の洗浄が行われたと判断する段階;をさらに含む、請求項
7~11のいずれか一項に記載の硫酸リチウム製造方法。
【請求項13】
前記洗浄液を噴射する段階の後、
前記混合物から濾過液が濾過されて残った固相の硫酸リチウムに溶解液を供給する段階:および
前記溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する段階;をさらに含む、請求項
7~12のいずれか一項に記載の硫酸リチウム製造方法。
【請求項14】
前記混合物を濾過する段階で、
前記濾過液のリン(P)および硫黄(S)の合計濃度が5mol/L以上である、請求項
7~13のいずれか一項に記載の硫酸リチウム製造方法。
【請求項15】
前記混合物を製造する段階で、
前記固相のリン酸リチウムおよび硫酸の直接反応を通じて前記混合物が製造され、前記混合物は、硫酸イオンが存在するリン酸溶液を含み、前記リン酸溶液から固相の硫酸リチウムが析出される、請求項
7~14のいずれか一項に記載の硫酸リチウム製造方法。
【請求項16】
前記洗浄液を噴射する段階で、
前記噴射される洗浄液の全体重量は、前記洗浄液噴射前の混合物中に含有されている固相の粒子重量の0.9~1.2倍である、請求項
7~15のいずれか一項に記載の硫酸リチウム製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸リチウム製造装置およびその製造方法に関する。具体的に、リン酸リチウムから高濃度、低不純物の硫酸リチウムおよびリン酸を抽出できる硫酸リチウム製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸リチウムは塩湖からリチウムを直接抽出したり、廃電池からリチウムを抽出するのに効果的な方法である。
【0003】
しなしながら、リン酸は高価であり、リン酸リチウムの形態からリチウムを抽出する方法が経済的であるためには、抽出されたリン酸リチウムから高濃度のリン酸を回収する技術を伴わなければならず、効率的な工程構成および装置の開発が必要である。
【0004】
従来の工程では、固相・液相単位工程の反復で工程効率低下、設備費用および面積増加の問題と共に、水に対する溶解度が非常に高い硫酸リチウムの特性上、不純物を取り除くことが難しいため、有機溶媒を使用するなど複雑な精製過程が必要であるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リン酸リチウムから高濃度、低不純物の硫酸リチウムおよびリン酸を抽出できる硫酸リチウム製造装置および製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置は、リン酸リチウムおよび硫酸の反応が行われ、上部空間および下部空間に区分される反応本体;前記反応本体の内部に圧力を加える加圧器;前記上部空間に配置され、前記リン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する攪拌器;および前記反応本体の内部に配置され、前記混合物を濾過して前記リン酸を含む濾過液を前記下部空間に分離するフィルター;を含む。
【0007】
前記下部空間と連結され、前記濾過液を回収する回収部;をさらに含むことができる。
【0008】
前記上部空間と連結され、前記反応本体内部に洗浄液を供給する洗浄液供給部;および前記フィルターを通過した洗浄液を前記下部空間から前記上部空間に循環させる循環部;をさらに含むことができる。
【0009】
前記上部空間と連結され、前記反応本体内部に溶解液を供給する溶解液供給部;および前記下部空間と連結された収得配管を通じて、前記溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する収得部;をさらに含むことができる。
【0010】
前記洗浄液供給部は、前記洗浄液が貯蔵される第1貯蔵器;前記第1貯蔵器と前記上部空間を連通させる第1供給配管;および前記第1供給配管端部に形成された噴射ノズル;を含むことができる。
【0011】
前記洗浄液供給部は、前記収得配管と前記第1供給配管を連通させる連結配管;および前記連結配管上に設置される連結ポンプ;をさらに含むことができる。
【0012】
前記循環部は、前記下部空間と前記上部空間を連通させる循環配管;および前記循環配管上に設置される循環ポンプ;を含むことができる。
【0013】
前記循環部は、前記循環配管内部に設置され、前記フィルターを通過した洗浄液の密度を測定する密度測定器;をさらに含むことができる。
【0014】
前記溶解液供給部は、前記溶解液が貯蔵される第2貯蔵器;および前記第2貯蔵器と前記上部空間を連通させる第2供給配管;を含むことができる。
【0015】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法は、上部空間と下部空間に区分された反応容器を利用する硫酸リチウム製造方法であって、前記反応容器に固相のリン酸リチウムおよび硫酸を投入する段階;前記上部空間で前記固相のリン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する段階;および前記反応容器内部を加圧し、前記混合物を濾過して前記リン酸を含む濾過液を前記下部空間に分離する段階;を含む。
【0016】
前記混合物を濾過する段階の後、前記反応容器内部が加圧された状態で洗浄液を噴射して前記硫酸リチウムの洗浄および濾過を同時に行う段階;をさらに含むことができる。
【0017】
前記洗浄液を噴射する段階で、前記硫酸リチウムを洗浄して濾過された濾液の密度を測定して前記濾液の密度により前記洗浄液の噴射量を調節することができる。
【0018】
前記洗浄液を噴射する段階で、前記濾液の密度を1.2~1.8g/ccに調節することができる。
【0019】
前記硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する段階で、前記固相のリン酸リチウムおよび硫酸の直接反応を通じて前記混合物が製造され、前記混合物は、硫酸イオンが存在するリン酸溶液を含み、前記リン酸溶液から固相の硫酸リチウムが析出されてもよい。
【0020】
前記濾過液を下部空間に分離する段階で、前記濾過液のリン(P)および硫黄(S)の合計濃度が5mol/L以上であってもよい。
【0021】
前記洗浄液を噴射する段階の後、前記硫酸リチウムを洗浄して濾過された濾液を前記固相のリン酸リチウムおよび硫酸と共に前記反応容器に投入する段階;および前記上部空間で前記濾液、固相のリン酸リチウムおよび硫酸を攪拌する段階;をさらに含むことができる。
【0022】
前記洗浄液を噴射する段階の後、前記洗浄された硫酸リチウムに溶解液を供給する段階;および前記溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する段階;をさらに含むことができる。
【0023】
前記溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する段階の後、前記溶解液に溶解された硫酸リチウムを分離させて前記洗浄液と共に前記硫酸リチウムに噴射する段階;をさらに含むことができる。
【0024】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法は、反応容器に固相のリン酸リチウムおよび硫酸を投入する段階;前記固相のリン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して固相の硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する段階;前記混合物を加圧し、濾過して前記リン酸を含む濾過液を回収する段階;および前記混合物が加圧された状態で洗浄液を噴射して前記混合物の洗浄および濾過を行う段階;を含む。
【0025】
前記洗浄液を噴射する段階で、前記混合物の洗浄および濾過を同時に行うことができる。
【0026】
前記混合物を濾過する段階で、前記混合物中の液体含有比率である含水率が45~53重量%である時、前記洗浄液の噴射を開始することができる。
【0027】
前記洗浄液を噴射する段階で、前記混合物の含水率が45~53重量%が維持されるように前記洗浄液を噴射することができる。
【0028】
前記混合物を濾過する段階で、前記混合物を2~4barで加圧し、前記洗浄液を噴射する段階で、前記混合物を2~4barで加圧することができる。
【0029】
前記洗浄液を噴射する段階の後、前記混合物から濾過される濾過液の密度を測定して前記濾過液の密度が1.51g/cc以下になると、前記混合物の洗浄が行われたと判断する段階;をさらに含むことができる。
【0030】
前記濾過液の密度を測定する段階の後、前記濾過液の密度が1.25g/cc以下になる時、前記洗浄液の噴射を終了する段階;をさらに含むことができる。
【0031】
前記洗浄液を噴射する段階の後、前記混合物から濾過液が濾過されて残った固相の硫酸リチウムに溶解液を供給する段階:および前記溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する段階;をさらに含むことができる。
【0032】
前記混合物を濾過する段階で、前記濾過液のリン(P)および硫黄(S)の合計濃度が5mol/L以上であってもよい。
【0033】
前記混合物を製造する段階で、前記固相のリン酸リチウムおよび硫酸の直接反応を通じて前記混合物が製造され、前記混合物は、硫酸イオンが存在するリン酸溶液を含み、前記リン酸溶液から固相の硫酸リチウムが析出されてもよい。
【0034】
前記洗浄液を噴射する段階で、前記噴射される洗浄液の全体重量は、前記洗浄液噴射前の混合物中に含有されている固相の粒子重量の0.9~1.2倍であってもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置は、一つの容器内で、リン酸リチウムと硫酸の反応、攪拌および濾過を行うことができることによって効率的に硫酸リチウムおよびリン酸の収得が可能である。
【0036】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法は、濾過および洗浄にかかる工程時間を短縮させることができ、ケーキ性状の混合物の厚さに影響を受けずに、固相の粒子と液体を95%以上分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置を示した図面である。
【
図2】本発明の一実施例による濾液の密度に応じたP濃度変化をグラフで示した図面である。
【
図3】本発明の一実施例による固相の硫酸リチウムの量および溶解液に溶解された硫酸リチウムである硫酸リチウムCakeの含水率に応じた硫酸リチウムCakeの総量および液相量を示した図面である。
【
図4】本発明の一実施例による洗浄液噴射の終了後に得られる濾液の密度に応じた硫酸リチウム溶液のP濃度を示した図面である。
【
図5】本発明の一実施例による濾過および洗浄中に回収される濾液の密度を測定した結果を示した図面である。青色線は時間の経過に応じた濾液回収量を示し、赤色点は濾液密度を示したグラフである。
【
図6】本発明の一実施例による濾過/洗浄同時工程の模式図を示した図面である。
【
図7】本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置を示した図面である。
【
図8】リン酸リチウムを利用した硫酸リチウム製造自動化システムを示した図面である。
【
図9】リン酸リチウムを利用した硫酸リチウム製造自動化工程を示した図面である。
【
図10】本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置の主なParameterおよび主なTankの重量変化を示した図面である。
【
図11】混合物の濾過時間に応じた濾過速度の相関関係を示したグラフである。
【
図12】本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法で濾過および洗浄中に回収される濾過液の密度を測定した結果を示した図面である。青色線は時間の経過に応じた濾過液の回収量を示し、赤色点は濾過液の密度を示したグラフである。
【
図13】濾過液内リン(P)および硫黄(S)の濃度に応じたリチウムの溶解度変化を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
第1、第2および第3などの用語は、多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために使用されるが、これらに限定されない。これら用語は、ある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するためだけに使用される。したがって、以下で叙述する第1部分、成分、領域、層またはセクションは、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層またはセクションと言及され得る。
【0039】
ここで使用される専門用語は、単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数の形態は文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数の形態も含む。明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるものではない。
【0040】
ある部分が他の部分の「上に」あると言及する場合、これは他の部分の直上にあるか、またはその間にまた他の部分が介され得る。対照的に、ある部分が他の部分の「直上に」あると言及する場合、その間にまた他の部分が介されない。
【0041】
異なって定義されない限り、ここに使用される技術用語および科学用語を含む全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が一般的に理解する意味と同一の意味を有する。通常使用される辞書に定義された用語は、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解釈され、定義されない限り、理想的または非常に公式的な意味に解釈されない。
【0042】
以下、本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0043】
<硫酸リチウム製造装置>
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置は、
図1のように、リン酸リチウムおよび硫酸の反応が行われ、上部空間110および下部空間120に区分される反応本体100、反応本体100の内部に圧力を加える加圧器200、上部空間110に配置され、リン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する攪拌器300、および反応本体100の内部に配置され、混合物を濾過してリン酸を含む濾過液を下部空間120に分離するフィルター400を含む。
【0044】
反応本体100は、内部に空間が設けられたケースの形態として形成されてもよい。反応本体100の内部空間でリン酸リチウムおよび硫酸の反応が行われる。
【0045】
反応本体100上部はリン酸リチウム供給部と連結されて反応本体100にリン酸リチウムを供給することができる。リン酸リチウム供給部は、リン酸リチウム貯蔵器およびリン酸リチウム供給配管を含むことができる。
【0046】
また、反応本体100上部は硫酸供給部と連結されて反応本体100に硫酸を供給することができる。硫酸供給部は、硫酸貯蔵器および硫酸供給配管を含むことができる。リン酸リチウム供給配管と硫酸供給配管は一部を共有する形態で形成されて一つの供給配管を通じてリン酸リチウムと硫酸が供給されてもよい。
【0047】
加圧器200は、反応本体100内部空間を加圧する。そのために、リン酸リチウムおよび硫酸の反応で形成された反応物に圧力を加えることによって反応物中の固体と液体を分離することができる。
【0048】
攪拌器300は、反応本体100の上部空間110に配置される。反応本体100内部に供給されたリン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する。上部空間110にリン酸リチウムおよび硫酸が供給され、攪拌器300の作動を通じて硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造することができる。
【0049】
フィルター400は、反応本体100の内部に配置され、反応本体100の上部空間110と下部空間120を区分する。硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物がフィルター400を通じて固液分離することができる。具体的に、固相の硫酸リチウムはフィルター400上に残存し、液相のリン酸はフィルター400によって濾過することができる。混合物がフィルター400側に落下するようになり、フィルター400によって濾過することができる。
【0050】
上部空間110と下部空間120を物理的な手段で別途に区画しなくてもフィルター400が緻密に構成されて加圧器200の作動なしにはフィルター400を通じて混合物が下部空間120に漏れることがない。
【0051】
フィルター400によって混合物が濾過される過程で、加圧器200の作動で反応本体100の内部空間に圧力が加わってもよい。これにより、効果的な濾過が可能になる。
【0052】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置は、一つの容器内で、リン酸リチウムと硫酸の反応、攪拌および濾過を行うことができることによって効率的に硫酸リチウムおよびリン酸の収得が可能である。
【0053】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置は、下部空間120と連結され、濾過液を回収する回収部500をさらに含むことができる。回収部500を通じて、回収された濾過液には高濃度のリン酸が含まれ得る。
【0054】
具体的に、回収部500は、下部空間120から濾過液が移動する回収配管510、および濾過液が貯蔵される濾過液貯蔵器を含むことができる。
【0055】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置は、上部空間110と連結され、反応本体100内部に洗浄液を供給する洗浄液供給部600、およびフィルター400を通過した洗浄液を下部空間120から上部空間110に循環させる循環部700をさらに含むことができる。
【0056】
洗浄液供給部600は、反応本体100内部に洗浄液を供給することができる。洗浄液によって固相の硫酸リチウム表面に残存する残存リン酸を洗浄することができる。洗浄液は、硫酸リチウム水溶液であってもよい。Li濃度30g/Lの硫酸リチウム水溶液であってもよい。具体的に、洗浄液供給部600は、洗浄液が貯蔵される第1貯蔵器610、第1貯蔵器610と上部空間110を連通させる第1供給配管620、および第1供給配管620端部に形成された噴射ノズルを含むことができる。
【0057】
第1貯蔵器610には洗浄液が貯蔵されてもよい。第1供給配管620は、反応本体100上部と連結されて第1貯蔵器610と上部空間110を連通させることができる。噴射ノズルは、第1供給配管620の端部に形成されて洗浄液を噴射させることによって硫酸リチウムを効果的に洗浄することができる。
【0058】
循環部700は、フィルター400を通過した洗浄液を下部空間120から上部空間110に移動させることができる。フィルター400を通過した洗浄液は、硫酸リチウム表面に残存する残存リン酸を洗浄したため、低濃度のリン酸が含まれ得る。このように、低濃度のリン酸が含まれている洗浄液を再びリン酸リチウムおよび硫酸と共に反応容器に供給して共に攪拌することができる。そのために、リン酸リチウムおよび硫酸の攪拌を円滑に行うことができる。
【0059】
具体的に、循環部700は、下部空間120と上部空間110を連通させる循環配管710、および循環配管710上に設置される循環ポンプを含むことができる。循環配管710は、下部空間120と上部空間110を連通させる。循環配管710を通じて、低濃度のリン酸が含まれている洗浄液が移動することができる。循環ポンプは、循環配管710に設置されて低濃度のリン酸が含まれている洗浄液が下部空間120から上部空間110に移動されるように原動力を提供することができる。
【0060】
具体的に、循環部700は、循環配管710内部に設置され、フィルター400を通過した洗浄液の密度を測定する密度測定器をさらに含むことができる。このように、フィルター400を通過した洗浄液の密度を測定することによってフィルター400を通過した洗浄液内のリン含有量が分かる。そのために、溶解液に溶解された硫酸リチウム内のリン濃度を予測することができる。
【0061】
つまり、フィルター400を通過した洗浄液の密度を測定することによって溶解液に溶解された硫酸リチウム内のリン濃度を管理して高濃度の硫酸リチウムを製造することが可能である。
【0062】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置は、上部空間110と連結され、反応本体100内部に溶解液を供給する溶解液供給部800、および下部空間120と連結された収得配管を通じて、溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する収得部900をさらに含むことができる。
【0063】
溶解液供給部800は、反応本体100内部に溶解液を供給することができる。溶解液を通じて固相の硫酸リチウムを溶解させることができる。溶解液は、水を主成分とすることができる。具体的に、溶解液供給部800は、溶解液が貯蔵される第2貯蔵器810、第2貯蔵器810と上部空間110を連通させる第2供給配管820を含むことができる。
【0064】
第2貯蔵器810には溶解液が貯蔵されてもよい。第2供給配管820は、反応本体100上部と連結されて第2貯蔵器810と上部空間110を連通させることができる。具体的に、第1供給配管620と第2供給配管820は一部を共有することができる。そのため、一つの配管を通じて、上部空間110に洗浄液と溶解液が供給されてもよい。
【0065】
収得部900は、洗浄液供給部600と下部空間120を連結する収得配管910を含み、溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得することができる。硫酸リチウムは、溶解された状態の液相で収得されてもよい。濾過を通じて、リン酸を一次的に分離し、洗浄を通じて、リン酸を二次的に分離することによって高濃度の硫酸リチウムの収得が可能になる。
【0066】
収得配管910および回収配管510には、それぞれ第1調節バルブおよび第2調節バルブが設置されて溶解液に溶解された硫酸リチウムの収得時には、第1調節バルブだけが開放され、反対に高濃度のリン酸が含まれている濾過液の回収時には、第2調節バルブだけが開放されてもよい。
【0067】
より具体的に、洗浄液供給部600は、収得配管と第1供給配管620を連通させる連結配管630、および連結配管630上に設置される連結ポンプをさらに含むことができる。
【0068】
連結配管630は、溶解液に溶解された硫酸リチウムが移動する収得配管と、洗浄液が供給される第1供給配管620を連通させる。そのために、溶解液に溶解された硫酸リチウムの一部を洗浄液として利用することが可能である。
【0069】
<硫酸リチウム製造方法-具現例1>
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法は、上部空間と下部空間が区分された反応容器を利用する硫酸リチウム製造方法であって、反応容器にリン酸リチウムおよび硫酸を投入する段階、上部空間でリン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する段階、および反応容器内部を加圧し、混合物を濾過してリン酸を含む濾過液を下部空間に分離する段階を含む。
【0070】
反応容器にリン酸リチウムおよび硫酸を投入する段階では、リン酸リチウムおよび硫酸を反応容器に投入して反応が行われるようにする。反応容器上部にリン酸リチウムおよび硫酸を投入することができる。
【0071】
次に、リン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する段階では、反応容器の上部空間に設置された攪拌器を利用してリン酸リチウムおよび硫酸を攪拌することができる。この反応により、硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物が製造される。
【0072】
固相のリン酸リチウムおよび硫酸の直接反応を通じて混合物が製造され、混合物は硫酸イオンが存在するリン酸溶液を含み、リン酸溶液から固相の硫酸リチウムが析出されてもよい。
【0073】
次に、反応容器内部を加圧し、混合物を濾過してリン酸を含む濾過液を下部空間に分離する段階では、反応容器に圧力を加えて混合物を濾過することによって固相の硫酸リチウムとリン酸が含まれている濾過液を固液分離することができる。具体的に、フィルターを利用して混合物を濾過することができる。この時、反応容器内部を加圧できる加圧器が利用されてもよい。
【0074】
具体的に、濾過液のリン(P)および硫黄(S)の合計濃度が5mol/L以上であってもよい。より具体的に、リン(P)および硫黄(S)の合計濃度([P+S]mol/L)は6mol/L以上および15mol/L以下であってもよい。このような範囲の上限は理論的に計算された最大上限値である。つまり、リンおよび硫黄の合計濃度は経済性を考慮した範囲内で高いほど、これによるリチウム回収率が増加するようになる。
【0075】
リン(P)および硫黄(S)の合計濃度が前記範囲を満たす場合、硫酸リチウムの溶解度が減少して固相で析出され得る。つまり、溶液内の残留リチウムの濃度が大幅に減少することができる。
【0076】
具体的に、反応容器内部を加圧し、混合物を濾過してリン酸を含む濾過液を下部空間に分離する段階の後には、下部空間から濾過液を回収する段階をさらに含むことができる。これによって、高濃度のリン酸が含まれている濾過液を回収することが可能である。
【0077】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法は、混合物を濾過する段階の後、反応容器内部が加圧された状態で硫酸リチウムに洗浄液を噴射する段階をさらに含むことができる。
【0078】
濾過されて残った硫酸リチウムに洗浄液を噴射することによって硫酸リチウムを洗浄することができる。よって、硫酸リチウム表面に残存するリン酸を洗浄することが可能である。加圧された状態で洗浄液を硫酸リチウムに噴射することによって迅速に硫酸リチウムを洗浄することができる。したがって、洗浄と濾過を同時に行うことが可能である。
【0079】
具体的に、濾過液の回収速度を基準として特定の回収速度以下である場合、洗浄液を噴射することができる。洗浄液噴射の前には、濾過液を回収することができ、洗浄液噴射の後には、リン酸が含まれている洗浄液を循環させることができる。
【0080】
硫酸リチウムに洗浄液を噴射する段階で、硫酸リチウムを洗浄して濾過された濾液の密度を測定して濾液の密度により洗浄液の噴射量を調節することができる。
【0081】
また、硫酸リチウムに洗浄液を噴射する段階で、濾液の密度を1.2~1.8g/ccに調節することができる。
【0082】
濾液の密度測定を通じて、濾液中に含まれているリン(P)濃度を導出することができ、濾液中のP濃度を通じて、硫酸リチウムに残留するP濃度を導出することができるため、硫酸リチウムの純度を測定することができる。
【0083】
したがって、測定された濾液の密度により洗浄液の噴射量を調節することができ、測定された濾液の密度を1.2~1.8g/ccに調節してモニタリングすることによってリアルタイムで硫酸リチウムの純度管理が可能である。
【0084】
より具体的に、洗浄液を噴射する段階の後、硫酸リチウムを洗浄した洗浄液をリン酸リチウムおよび硫酸と共に反応容器に投入する段階、および上部空間で洗浄液、リン酸リチウムおよび硫酸を攪拌する段階をさらに含むことができる。
【0085】
硫酸リチウムに洗浄液を噴射した後、リン酸が含まれている洗浄液をリン酸リチウムおよび硫酸と共に反応容器に投入することができる。投入後、洗浄液、リン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造することができる。
【0086】
つまり、硫酸リチウム製造の第一のサイクル以降からは、このように低濃度のリン酸が含まれている洗浄液を循環させてリン酸リチウムおよび硫酸と共に反応させることによって、より効果的に硫酸リチウムを製造することができる。
【0087】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法は、洗浄液を噴射する段階の後、洗浄された硫酸リチウムに溶解液を供給する段階、および溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する段階をさらに含むことができる。
【0088】
洗浄された硫酸リチウムに溶解液を供給することによって液相の硫酸リチウムを収得することが可能である。また、溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する段階の後、溶解液に溶解された硫酸リチウムを分離させて洗浄液と共に硫酸リチウムに噴射する段階をさらに含むことができる。これによって、溶解液に溶解された硫酸リチウムの一部を洗浄液と共に硫酸リチウムに噴射することによって硫酸リチウムを洗浄することができる。
【0089】
Liは、水または低濃度リン酸では溶解度が高いが、硫酸イオンが存在する高濃度リン酸溶液ではその溶解度が急激に低くなり得る。硫酸イオンが存在する高濃度リン酸溶液で溶解度以上のLiは硫酸リチウム(Li2SO4)形態で析出され、リン酸リチウムと硫酸の直接反応を通じて高濃度リン酸溶液を生成させ、固液分離を通じて析出された硫酸リチウムを分離する工程を通じてリン酸リチウムから高濃度リン酸を直接抽出することができる。
【0090】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法は、単一の反応器で硫酸リチウム製造のために固液分離(Reaction)→LS精製(Purification)→LS溶解(Dissolution)の3段階工程を実現することによって工程を単純化し、95%以上の高い効率で精製された硫酸リチウムを製造することができる。
【0091】
<硫酸リチウム製造方法-具現例2>
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法は、反応容器に固相のリン酸リチウムおよび硫酸を投入する段階、固相のリン酸リチウムおよび硫酸を攪拌して固相の硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する段階、混合物を加圧し、濾過してリン酸を含む濾過液を回収する段階、および混合物が加圧された状態で、混合物に洗浄液を噴射して混合物の洗浄および濾過を行う段階を含む。
【0092】
洗浄液を噴射する段階で、洗浄および濾過が同時に行われてもよい。
【0093】
まず、固相のリン酸リチウムおよび硫酸を投入する段階では、内部に空間が設けられた反応容器に固相のリン酸リチウムおよび硫酸を投入する。
【0094】
次に、混合物を製造する段階では、反応容器に投入された固相のリン酸リチウムおよび硫酸の反応が行われるように攪拌して固相の硫酸リチウムおよびリン酸を含む混合物を製造する。混合物は、平均粒度0.01~200μmである固相の粒子と液体が混合された状態になることができる。固相の粒子比率は、重量%で0.001~50%であり得る。混合物の性状はスラリー(slurry)状態であってもよい。
【0095】
具体的に、固相のリン酸リチウムおよび硫酸の直接反応を通じて混合物が製造され、混合物は硫酸イオンが存在するリン酸溶液を含み、リン酸溶液から固相の硫酸リチウムが析出されてもよい。
【0096】
次に、混合物を濾過する段階では、混合物に圧力を加えて混合物を濾過することによって混合物から液相のリン酸が含まれている濾過液を分離する。分離された濾過液は回収する。これによって、固相の硫酸リチウムとリン酸が含まれている濾過液を固液分離することができる。具体的に、混合物を2~4barで加圧することができる。
【0097】
次に、混合物が加圧された状態で、濾過中である混合物に洗浄液を噴射する。そのために、混合物の洗浄と濾過が同時に行われてもよい。具体的に、混合物が2~4barで加圧された状態を維持することができる。具体的に、噴射される洗浄液の全体重量は洗浄液噴射前の混合物中に含有されている固相の粒子重量の0.9~1.2倍であってもよい。
【0098】
具体的に、混合物の性状がスラリーからケーキ(cake)状態に変化する前に洗浄液を噴射して混合物を洗浄することができる。混合物中の固相の粒子比率が重量%で30~50%になる時、洗浄液を投入して混合物中の固相の粒子比率が30~60%を維持するようにできる。
【0099】
これは、
図1のように、スラリー性状からケーキ性状になるほど、濾過液の濾過速度が漸次に減り、ケーキ性状の混合物の密度が高くなり、含水率は低くなる。含水率が低いほど洗浄液が混合物を通過する速度が低くなるため、洗浄効率は高くなるが、濾過時間が過度に長くなる。
【0100】
また、ケーキ性状の混合物の厚さが増加することによって濾過させるための最小圧力の増加が要求されるが、これは反応容器の濾過装置が加えることができる最大圧力範囲を超えるようになるため、それ以上の濾過が不可能になる。
【0101】
したがって、混合物の含水率を低める方法の代わりに、混合物の性状がスラリーからケーキに変化する時点で混合物から濾過液が濾過される速度と同一の速度で洗浄液を投入させることによって混合物の濾過と洗浄が同時に行われるようにする。
【0102】
具体的に、混合物を濾過する段階で、フィルターの面積が約0.2~0.4m2であり、濾過液の回収速度が0.7~0.9L/minである時、洗浄液の噴射を開始することができ、混合物中の液体含有比率である含水率が45~53重量%である時、洗浄液の噴射を開始することができる。
【0103】
具体的に、濾過液のリン(P)および硫黄(S)の合計濃度が5mol/L以上であってもよい。より具体的に、リン(P)および硫黄(S)の合計濃度([P+S]mol/L)は6mol/L以上および15mol/L以下であってもよい。このような範囲の上限は理論的に計算された最大上限値である。つまり、リンおよび硫黄の合計濃度は経済性を考慮した範囲内で高いほど、これによるリチウム回収率が増加するようになる。
【0104】
リン(P)および硫黄(S)の合計濃度が前記範囲を満たす場合、硫酸リチウムの溶解度が減少して固相で析出され得る。つまり、溶液内の残留リチウムの濃度が大幅に減少することができる。
【0105】
また、洗浄液を噴射する段階で、混合物から濾過液を回収するが、フィルターの面積が約0.2~0.4m2である時、濾過液の回収速度が0.7~0.9L/minが維持されるように洗浄液を噴射して濾過液の回収速度を維持することができ、混合物の含水率が45~53%が維持されるように洗浄液を噴射して混合物がスラリー性状を維持するようにできる。
【0106】
そのために、濾過および洗浄にかかる工程時間を短縮させることができ、ケーキ性状の混合物の厚さに影響を受けずに、固相の粒子と液体を95%以上分離することができる。
【0107】
具体的に、洗浄液を噴射する段階の後、混合物から濾過される濾過液の密度を測定して濾過液の密度が1.51g/cc以下になると、混合物の洗浄が行われたと判断する段階をさらに含むことができる。
【0108】
また、濾過液の密度を測定する段階の後、濾過液の密度が1.25g/cc以下になる時、洗浄液の噴射を終了する段階をさらに含むことができる。
【0109】
洗浄液が噴射された後も一定時間の間には濾過液の密度が洗浄液噴射前の密度と同一の水準を維持することができる。これは混合物中に存在するリン(P)の濃度が高いためである。濾過液の回収量が洗浄液噴射前の混合物中に含有されている液体の重量と同一になれば濾過液の密度が急激に減少することができる。混合物内に残存するリン(P)の濃度が減ったことを意味する。
【0110】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法は、洗浄液を噴射する段階の後、混合物から濾過液が濾過されて残った固相の硫酸リチウムに溶解液を供給する段階、および溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得する段階をさらに含むことができる。
【0111】
溶解液を供給する段階では、洗浄された硫酸リチウムに溶解液を供給することによって溶解させることができる。溶解液は、水を主成分とすることができる。
【0112】
次に、溶解液に溶解された硫酸リチウムを収得することが可能である。
【実施例】
【0113】
以下、本発明の具体的な実施例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の具体的な一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【0114】
<実施例A>
1.硫酸リチウムを洗浄した洗浄液の密度測定を通じた硫酸リチウム内のリン酸濃度予測
固相の硫酸リチウムと主成分がリン酸である液体が混合された混合物であるスラリー(Slurry)を準備し、本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置に投入した後、濾過を通じた固液分離を行った。スラリー中の液体は約78kg、固体は約35kgに分析され、濾過のために供給する気体の圧力は3barに設定した。
【0115】
固液分離開始後、濾過液の回収速度が漸次に減少して約0.8L/minになった時、スラリー上部で洗浄液(Li濃度30g/Lの硫酸リチウム水溶液)噴射を開始した。洗浄液噴射開始後、硫酸リチウムを洗浄した洗浄液である濾液の回収量は約40kgであり、この時、スラリー中の固体の比率は約48wt%であると算出された。
【0116】
便宜上、濾過液は、洗浄液の噴射前、フィルターを通じて混合物で濾過された溶液を意味し、濾液は、洗浄液の噴射によって、混合物と共にフィルターを通過した溶液を意味するように命名した。よって、濾過液は相対的に高濃度のリン酸を含み、濾液は相対的に低濃度のリン酸を含むことができる。
【0117】
固液分離時、フィルターを通じて排出される濾液を回収して濾液の密度と濾液内P濃度を分析した。濾液の密度は、約1.22g/ccから1.48g/ccであり、濾液内P濃度は、濾液の密度に応じた量の相関関係を示して約2g/Lから190g/Lであった。濾液の密度に応じたP濃度変化は
図2に示した。
【0118】
混合液であるスラリーを固液分離し、洗浄して高純度の硫酸リチウムを回収し、この硫酸リチウムを溶解させて最終的に硫酸リチウム水溶液を回収する場合、硫酸リチウム水溶液内に残留するPの含有量は次のとおり予測することができる。
【0119】
図3に示したように、固相の硫酸リチウムの量が35kgであり、溶解液に溶解された硫酸リチウムである硫酸リチウムCakeの含水率が27wt%である場合、硫酸リチウムCakeの総量は約48kgであり、このうち、液相は約10Lである。回収された硫酸リチウムCakeを溶解させて125Lの硫酸リチウム溶液を製造すると仮定し、硫酸リチウム溶液内に残留するP含有量の限界を2g/L以下に設定する時、硫酸リチウムCake内に残留する液相のP濃度は25g/L以下でなければならないことが分かる。
【0120】
洗浄液噴射の終了後に得られる濾液は硫酸リチウムCake内に残留する液相の性状を示すとみることができ、したがって
図2に示す濾液密度とP濃度の相関関係により洗浄液噴射の終了後に得られる濾液の密度が1.25g/L以下である場合、硫酸リチウムCake内に残留する液相のP濃度は25g/L以下になる。最終的に、回収する硫酸リチウム溶液の残留するP含有量を2g/L以下に管理することができる。
【0121】
この値は、硫酸リチウム溶液に残留するP含有量の管理水準により変わり得るが、洗浄液噴射の終了後に得られる濾液の密度測定を通じて管理が可能である。
【0122】
図4は、洗浄液噴射の終了後に得られる濾液の密度に応じた硫酸リチウム溶液のP濃度を示した図面である。予測したとおり、硫酸リチウム溶液のP濃度を2g/L以下に管理する場合、洗浄液噴射の終了後に得られる濾液の密度が1.25g/L以下でなければならないことが分かる。S濃度の場合、Li濃度が決められれば化学当量によりS濃度も決められるため、30g/LのLi濃度を有する溶液のS濃度は約80g/Lである。
【0123】
洗浄液噴射の終了後に得られる濾液の密度は通常の装置を通じてリアルタイムで測定することができ、そのために、製造された硫酸リチウムの純度をリアルタイムで測定することができる。本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置を利用した硫酸リチウム製造工程が連続的であり、自動化が可能であることを意味する。
【0124】
2.濾過と洗浄を同時に行う濾過速度維持および固液分離
固相の硫酸リチウムと主成分がリン酸である液体が混合された混合物であるスラリーを準備し、本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置に投入した後、濾過を通じた固液分離を行った。スラリー中の液体は約78kg、固体は約35kgに分析され、濾過のために供給する気体の圧力は3barに設定した。
【0125】
固液分離開始後、濾過液の回収速度が漸次に減少して約0.8L/minになった時、スラリー上部で洗浄液(Li濃度30g/Lの硫酸リチウム水溶液)の噴射を開始した。洗浄液噴射開始時、濾過液の回収量は約40kgであり、この時、スラリー中の固体の比率は約48wt%であると算出された(「噴射開始時」にはまだ洗浄液が混合物と共にフィルターを通過する前であるため、フィルターを通過した溶液を濾過液と判断する。)。洗浄液噴射後、濾液回収速度は約0.8L/minを維持した。
【0126】
濾過および洗浄中に回収される濾液の密度を測定した結果を
図5に示した。濾過開始後に回収される濾過液の密度は約1.51g/ccで、含まれているリン酸の比重が非常に高いことが分かる。洗浄液噴射後、濾液の密度は約1.51g/ccに均一に維持され、回収量がスラリー中の液体の重量である約78kgに近接した時、急激に比重が減少した。
【0127】
これは回収された濾液中のリン酸の含有量が急激に減ったためであり、スラリー内に残留するリン酸が急激に減少したことを意味する。洗浄完了後、回収された硫酸リチウムCakeの厚さは約190mmに測定された。
【0128】
図5に示したように、濾過/洗浄初期に回収される濾過液は高濃度のリン酸で回収が可能であり、洗浄液噴射後に回収される濾液はリン酸濃度が低いため、次の工程に循環して使用する工程を構成することができる。濾過/洗浄同時工程の模式図は
図6のとおりである。
【0129】
3.硫酸リチウム水溶液の製造
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置を利用してリン酸リチウムを利用した硫酸リチウム水溶液を製造した。物質収支は
図7に示した。この時、リン酸リチウムの組成は下記の表1のとおりである。
【0130】
【0131】
リン酸リチウム29kgをDIWにスラリー化して本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置に注入し、加圧、濾過してリン酸リチウムCakeを製造した。リン酸リチウムCakeに36Lの循環リン酸を注入し、約10分間攪拌してリン酸リチウムCakeを分散させた後、95%濃度の硫酸20Lを投入した。循環リン酸は硫酸リチウムを洗浄した洗浄液である濾液を意味する。
【0132】
その後、攪拌してリン酸リチウムを硫酸リチウムに転換した。硫酸リチウムに転換後、3barで加圧して定量の回収リン酸を回収すると同時に約34g/LのLi濃度を有する硫酸リチウム溶液を噴射して濾過/洗浄を同時に行った。回収リン酸は、混合液でフィルターで濾過された濾過液を意味する。
【0133】
洗浄液は、スラリー全面に均一に噴射されるようにミスチング(misting)し、回収リン酸の回収後に得られた濾液を保管して次のバッチの循環リン酸として利用した。洗浄液噴射の終了後に得られる濾液の密度を測定してP濃度が管理基準以下であることを確認し、Li約2.2g/L、P約0.4g/Lの組成を有する溶解液130Lを投入し攪拌して硫酸リチウム溶液を製造した。回収された硫酸リチウム溶液中の一部は次のバッチの洗浄液として活用し、残りの部分を硫酸リチウム溶液で回収した。
【0134】
工程バッチ別の回収リン酸の性状は下記の表2のとおりである。
【0135】
【0136】
前記表2から確認できるように、回収リン酸は、平均P濃度228.67g/Lの高濃度リン酸溶液であり、リン酸を利用した他の製造工程に活用することができる。
【0137】
また、工程バッチ別の回収された循環リン酸の性状は下記の表3のとおりである。
【0138】
【0139】
前記表3のように、工程中の循環リン酸のP濃度は約228g/L水準に維持されており、本工程が非常に安定的であることを意味する。また、固相の硫酸リチウムを溶解するために投入された溶解液の性状は下記の表4のとおりである。
【0140】
【0141】
回収された硫酸リチウム溶液の性状は下記の表5のとおりである。
【0142】
【0143】
前記表5のように、回収した硫酸リチウム溶液は、平均34.8g/LのLi濃度を有する高純度硫酸リチウム溶液で、2.54~1.85g/LのP、0.122~0.160g/LのNaを主要不純物とし、原料であるリン酸リチウムの不純物および硫酸リチウム溶解液で流入されたP成分を考慮する時、95%以上の不純物が除去された純水な硫酸リチウム溶液であることが分かる。
【0144】
前記の結果に基づいて算定した硫酸リチウムおよびリン酸回収率を下記の表6に示した。
【0145】
【0146】
前記表6のように、リン酸リチウムから硫酸リチウム製造時、平均硫酸リチウム溶液回収量は131.09Lであり、Li回収率は95.54%、P回収率は95.71%と示された。本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置および製造方法を利用した硫酸リチウム回収率が95%以上可能であることを示す。
【0147】
4.硫酸リチウム水溶液の製造システム
図7のように、リン酸リチウムを利用した硫酸リチウム製造システムを構築した。リン酸リチウム抽出Tankでは、塩水、鉱石および廃リチウム溶液などLi供給物質からリン酸リチウムを抽出し、抽出されたリン酸リチウムは、本発明の一実施例による製造装置に注入される。固相のリン酸リチウムを原料とする場合、リン酸リチウムスラリーミキサーでスラリー化した後、本発明の一実施例による製造装置に注入される。固相のリン酸リチウムを注入することも可能である。リン酸リチウムは硫酸リチウムに転換および精製され、溶液化されて硫酸リチウム回収Tankに移送される。工程に必要な硫酸、循環リン酸、洗浄液は付属Tankで供給される。加圧濾過中の噴射洗浄のために洗浄液Tankは加圧されてもよい。
【0148】
濾過洗浄時、回収される濾液の密度は密度測定システムによってリアルタイム密度を測定して、回収硫酸リチウムの純度をモニタリングすることができる。前記システムを活用したリン酸リチウムを利用した硫酸リチウム製造自動化工程を
図8および
図9のように構成した。
【0149】
投入されるリン酸リチウムの重量は29kgと仮定し、濾過/洗浄を同時に行うために濾液の回収量をモニタリングしてCake内液相の成分を算定した後、工程に反映した。
図10は前記の自動化工程を運用した時、本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置の主なParameterおよび主なTankの重量変化を示す。
【0150】
5.濾過液のリン(P)および硫黄(S)の合計濃度測定
下記表7のような条件に対して、本発明の一実施例による硫酸リチウム製造装置でリン酸リチウムを硫酸と反応させた後、攪拌し、加圧、濾過を通じて高濃度リン酸が含まれている濾過液の回収実験を行った。その結果は表8のとおりである。
【0151】
リン酸リチウムは、廃電池から抽出されたリン酸リチウムを使用し、リン酸リチウムを105℃で24時間乾燥後に重量変化を測定した結果、含水率は35%水準に示された。乾燥したリン酸リチウムの成分をICP(Inductively Coupled Plasma)を通じて測定して反応式1による1当量に該当する硫酸量を算出し、使用した硫酸の純度は95%であった。
【0152】
リン酸リチウムをスラリー化するためのリン酸は、濃度30~50重量%のリン酸溶液を使用し、前記リン酸溶液は85%リン酸溶液(大井化金社製)と超純水を混合して製造した。スラリー化したリン酸リチウムを硫酸と共に反応本体に投入した後、攪拌器を利用して200rpmで約40分間攪拌した。
【0153】
この後、加圧器を通じて約50mbarで加圧し、フィルターで濾過した。濾過液を試料で採取してICP分析を通じた成分を分析し、その結果は表8のとおりである。
【0154】
試験結果、回収された液相は51~62重量%の高濃度リン酸であり、6.5~11g/Lのリチウムを含有していた。リチウムの含有量は、リン酸成分中のリン(P)と硫黄(S)含有量の合計に反比例する関係を示した。
【0155】
【0156】
【0157】
<実施例B>
1.加圧下で濾過および洗浄を行う濾過速度維持および固液分離
[実施例]
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法により反応容器に固相のリン酸リチウムおよび硫酸を投入後、攪拌してスラリー性状を有する混合物を準備した。固相の硫酸リチウムとリン酸を含むスラリー性状の混合物を加圧濾過装置に投入した後、固液分離を行った。
【0158】
混合物中の液体は約78kg、固相の粒子は約35kgに分析され、濾過のために供給する気体の圧力は3barに設定した。
【0159】
固液分離開始後、フィルターの面積が約0.3m
2であり、濾過液回収速度が漸次に減少して約0.8L/minになった時、混合物上部でLi濃度30g/Lの硫酸リチウム水溶液である洗浄液の噴射を開始した。洗浄液噴射開始時、濾過液の回収量は約40kgであり、混合物中の固相の粒子比率は重量%で約48%であった。
図12に示すように、洗浄液噴射後、濾過液の回収速度は約25分間約0.8L/minを維持した。
【0160】
濾過および洗浄中に回収される濾過液の密度を測定した結果を
図12に示した。濾過開始後に回収される濾過液の密度は約1.51g/ccであり、濾過液中に含まれているリン酸の比重が非常に高いことが分かる。洗浄液噴射後にも濾過液の密度は約1.51g/ccに均一に維持され、総回収量が初期混合物中の液体の重量である約78kgに近接した時、急激に減少した。
【0161】
これは回収された濾過液中のリン酸の含有量が急激に減ったためであり、混合物内に残留するリン酸が急激に減少したことを意味する。
【0162】
[比較例]
硫酸リチウム製造方法により反応容器に固相のリン酸リチウムおよび硫酸を投入後、攪拌してスラリー性状を有する混合物を準備した。固相の硫酸リチウムとリン酸を含むスラリー性状の混合物を濾過フィルターの面積が0.07m2である減圧濾過装置に投入した後、固液分離を行った。120分間固液分離を行って十分に濾過した後、Cake上部でLi濃度30g/Lの硫酸リチウム水溶液である洗浄液を噴射してCakeを洗浄した。
【0163】
回収したCakeの重量は0.742~0.565kgであり、Cakeの厚さは7~50mmで、回収したCakeの重量に比例した。回収したCakeを純水を利用して溶解した後、溶解回収液の成分をICPを利用して測定した。溶解回収液のP含有量は、下記表9のように、1.05~11.48g/Lであり、Cakeの厚さによりCake内に残留するP成分が増加する傾向を示し、これはCakeの洗浄効率が減少すると考えられる。
【0164】
【0165】
2.加圧下で濾過および洗浄を行う混合物の固液分離
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法により反応容器に固相のリン酸リチウムおよび硫酸を投入後、攪拌してスラリー性状を有する混合物を準備した。固相の硫酸リチウムとリン酸を含むスラリー性状の混合物を加圧濾過装置に投入した後、3barの気体を濾過装置に供給して固液分離を行った。
【0166】
混合物中の固相の粒子比率は下記表10に示すように、重量%で29.8~31.4%であった。回収された濾過液の成分は下記表11に示した。濾過液はPの濃度が222.9~236.9g/Lである高濃度リン酸溶液であった。
【0167】
初期濾過後、スラリー性状の混合物中の固相の粒子比率が重量%で48.9~52.6%に到達した時、洗浄液噴射を開始した。洗浄液はスラリー性状の混合物全面に均一に噴射されるようにミスチング(misting)した。洗浄開始時、混合物の固相の粒子比率を下記表10に示した。
【0168】
洗浄液はLi濃度30g/Lの硫酸リチウム水溶液を使用し、固形分重量に対して約1.1倍重量の洗浄水を噴射した。
【0169】
【0170】
【0171】
洗浄水の噴射完了後に回収された固形分の厚さは約190mmであり、下記の表12に示す成分の溶解液を利用して溶解した。投入された溶解液の成分、および固相の粒子溶解後に回収した液体の成分は下記の表13および表14のとおりである。
【0172】
【0173】
【0174】
濾過液、固相の粒子溶解回収液および溶解液の成分分析結果から混合物の固液分離率を換算した。初期混合物中、液相の主成分であるPを基準として算定した。
【0175】
初期混合物内P重量は12.086~12.649kgに分析され、溶解液で流入されたP重量を考慮した固相の粒子溶解回収液内P重量は0.312~0.209kgに計算された。
【0176】
本発明の一実施例による硫酸リチウム製造方法により濾過および洗浄を同時に行って回収された固相の粒子内に残留しているP重量は、初期混合物内P重量の1.7~2.6%に過ぎなかったし、これを通じて算定した固液分離率は97.4~98.3%に示された。これは下記の表14で確認することができる。
【0177】
【0178】
本発明は、前記具現例および/または実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態に製造可能であり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施可能であることを理解できるはずである。したがって、以上で記述した具現例および/または実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0179】
100:反応本体
110:上部空間
120:下部空間
200:加圧器
300:攪拌器
400:フィルター
500:回収部
600:洗浄液供給部
610:第1貯蔵器
620:第1供給配管
700:循環部
710:循環配管
800:溶解液供給部
810:第2貯蔵器
820:第2供給配管
900:収得部
910:収得配管