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特許7335967供給溝を有するリファイナプレートセグメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】供給溝を有するリファイナプレートセグメント
(51)【国際特許分類】
   D21D 1/30 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
D21D1/30
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021545792
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 US2020016766
(87)【国際公開番号】W WO2020163459
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/802,117
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502278600
【氏名又は名称】アンドリッツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ロング
(72)【発明者】
【氏名】シンガル,アーヴィンド
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108729289(CN,A)
【文献】特表2017-532464(JP,A)
【文献】特開2009-221648(JP,A)
【文献】特開2009-024317(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0327970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00-1/38
D21C1/00-11/14
D21D1/00-99/00
D21F1/00-13/12
D21G1/00-9/00
D21H11/00-27/42
D21J1/00-7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リファイナ用のリファイナプレートセグメントであって、
半径方向長さと、
前記半径方向長さの第1の端部に配置された内径と、
前記半径方向長さの第2の端部に配置された外径であって、前記外径は、前記半径方向長さに沿って前記内径から半径方向に離れた位置にあり、前記外径は前記内径よりも長い、前記外径と、
前記半径方向長さに沿って、前記内径と前記外径との間に延在する第1の側面と、
前記半径方向長さに沿って、前記内径と前記外径との間に延在する第2の側面であって、前記第2の側面は、前記第1の側面から遠位に配置されている、第2の側面と、
厚さに従って、前面と対向して配置された背面であって、前記背面および前記前面は、前記外径、前記内径、前記第1の側面、および前記第2の側面の間に延在する、背面と
を有する基板を備え、
前記前面は、複数の交互に並ぶリファイニングバーおよびリファイニング溝を有する領域を含み、前記リファイニングバーは、前記基板と係合し、隣接するリファイニングバーと前記基板とは、前記隣接するリファイニングバーの間にリファイニング溝を画定し、交互に並ぶリファイニングバーおよびリファイニング溝の前記領域は、リファイニングセクションであり、
前記リファイニングセクションは、供給溝を画定する領域をさらに含み、各供給溝は、前記基板の内径に最も近接する半径方向距離を有する前記リファイニングセクションのエッジから前記基板の前記外径に向かって前記リファイニングセクション内に延び、各供給溝は、前記内径寄りの第1の幅と、前記外径寄りの第2の幅とを有しており、前記第1の幅は、前記第2の幅よりも大きく、前記供給溝は、前記第1の幅に供給角度で配置されており、前記供給溝は、前記第2の幅に保持角度で配置され、
前記供給溝は、内側供給溝および外側供給溝をさらに備えており、前記内側供給溝は、前記リファイナプレートセグメントの前記内径寄りに配置された前記第1の幅を有し、前記外側供給溝は、前記リファイナプレートセグメントの前記外径寄りに配置された前記第2の幅を有し、前記供給溝の幅が前記第2の幅より大きい幅から前記第2の幅に変更される点が、前記内側供給溝と前記外側供給溝を区別し
前記供給角度は、半径方向ラインと、前記内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれたラインとの間の角度であり、前記内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの前記端部は前記内側供給溝において隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部であり、前記内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれた前記ラインが前記リファイナプレートセグメントの移動方向に対して前記内側供給溝の後側を規定し、
前記保持角度は、半径方向ラインと、前記外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれたラインとの間の角度であり、前記外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの前記端部は前記外側供給溝において隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部であり、前記外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれた前記ラインが前記移動方向に対して前記外側供給溝の後側を規定前記供給角度は正の値であり、前記保持角度は負の値である、リファイナプレートセグメント。
【請求項2】
前記供給溝は、前記供給溝の前記内径に近い近位端における前記供給角度から前記供給溝の前記外径に近い遠位端における前記保持角度までの個々に連なる供給角度および保持角度を有する、請求項1に記載のリファイナプレートセグメント。
【請求項3】
前記供給溝は、前記供給溝の供給角度および保持角度が前記供給溝の半径方向長さに沿って前記供給溝の前記内径に近い近位端における前記供給角度と前記供給溝の前記外径に近い遠位端における前記保持角度との間で常に変化するように湾曲している、請求項1または請求項2に記載のリファイナプレートセグメント。
【請求項4】
前記供給角度は、0度から45度の範囲内である、請求項1~3のいずれかに記載のリファイナプレートセグメント。
【請求項5】
前記供給角度は、5度から20度の範囲内である、請求項1~3のいずれかに記載のリファイナプレートセグメント。
【請求項6】
前記保持角度は、-3度から-45度の範囲内である、請求項1~3のいずれかに記載のリファイナプレートセグメント。
【請求項7】
前記保持角度は、-10度から-25度の範囲内である、請求項1~3のいずれかに記載のリファイナプレートセグメント。
【請求項8】
前記供給溝は、前記内径に最も近く配置された前記リファイニングセクションの点から測定して、前記リファイナプレートセグメントのリファイニングセクション半径方向長さの20%から80%の間で、前記保持角度を有する、請求項1~7のいずれかに記載のリファイナプレートセグメント。
【請求項9】
複数の交互に並ぶリファイニングバーおよびリファイニング溝を有する領域であって、前記リファイニングバーは、基板と係合し、隣接するリファイニングバーと前記基板とは、前記隣接するリファイニングバーの間にリファイニング溝を画定し、交互に並ぶリファイニングバーおよびリファイニング溝の前記領域は、リファイニングセクションである、領域を含み、
前記リファイニングセクションは、供給溝を画定する領域をさらに含み、各供給溝は、前記基板の内径に最も近接する半径方向距離を有する前記リファイニングセクションのエッジから前記基板の前記外径に向かって前記リファイニングセクション内に延び、各供給溝は、内径寄りの第1の幅と、外径寄りの第2の幅とを有しており、前記第1の幅は、前記第2の幅よりも大きく、前記供給溝は、前記第1の幅に供給角度で配置されており、前記供給溝は、前記第2の幅に保持角度で配置され、
前記供給溝は、内側供給溝および外側供給溝をさらに備えており、前記内側供給溝は、前記リファイナプレートセグメントの前記内径寄りに配置された前記第1の幅を有し、前記外側供給溝は、前記リファイナプレートセグメントの前記外径寄りに配置された前記第2の幅を有し、前記供給溝の幅が前記第2の幅より大きい幅から前記第2の幅に変更される点が、前記内側供給溝と前記外側供給溝を区別し
前記供給角度は、半径方向ラインと、前記内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれたラインとの間の角度であり、前記内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの前記端部は前記内側供給溝において隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部であり、前記内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれた前記ラインが前記リファイナプレートセグメントの移動方向に対して前記内側供給溝の後側を規定し、前記保持角度は、半径方向ラインと、前記外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれたラインとの間の角度であり、前記外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの前記端部は前記外側供給溝において隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部であり、前記外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれた前記ラインが前記移動方向に対して前記外側供給溝の後側を規定前記供給角度は正の値であり、前記保持角度は負の値である、リファイナプレートセグメントのパターン。
【請求項10】
前記供給溝は、前記供給溝の前記内径に近い近位端における前記供給角度から前記供給溝の前記外径に近い遠位端における前記保持角度までの個々に連なる供給角度および保持角度を有する、請求項9に記載のパターン。
【請求項11】
前記供給溝は、前記供給溝の供給角度および保持角度が前記供給溝の半径方向長さに沿って前記供給溝の前記内径に近い近位端における前記供給角度と前記供給溝の前記外径に近い遠位端における前記保持角度との間で常に変化するように湾曲している、請求項9または請求項10に記載のパターン。
【請求項12】
リファイナに供給材料を送り込むことであって、前記リファイナは、
複数の交互に並ぶリファイニングバーおよびリファイニング溝を有する領域であって、前記リファイニングバーは、基板と係合し、隣接するリファイニングバーと前記基板とは、前記隣接するリファイニングバーの間にリファイニング溝を画定し、交互に並ぶリファイニングバーおよびリファイニング溝の前記領域は、リファイニングセクションである、領域を含む供給溝リファイナプレートセグメントを有しており、
前記リファイニングセクションは、供給溝を画定する領域をさらに含み、各供給溝は、前記基板の内径に最も近接する半径方向距離を有する前記リファイニングセクションのエッジから前記基板の外径に向かって前記リファイニングセクション内に延び、各供給溝は、内径寄りの第1の幅と、外径寄りの第2の幅とを有しており、前記第1の幅は、前記第2の幅よりも大きく、前記供給溝は、前記第1の幅に供給角度で配置されており、前記供給溝は、前記第2の幅に保持角度で配置され、
前記供給溝は、内側供給溝および外側供給溝をさらに備えており、前記内側供給溝は、前記リファイナプレートセグメントの前記内径寄りに配置された前記第1の幅を有し、前記外側供給溝は、前記リファイナプレートセグメントの前記外径寄りに配置された前記第2の幅を有し、前記供給溝の幅が前記第2の幅より大きい幅から前記第2の幅に変更される点が、前記内側供給溝と前記外側供給溝を区別し
前記供給角度は、半径方向ラインと、前記内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれたラインとの間の角度であり、前記内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの前記端部は前記内側供給溝において隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部であり、前記内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれた前記ラインが前記リファイナプレートセグメントの移動方向に対して前記内側供給溝の後側を規定し、
前記保持角度は、半径方向ラインと、前記外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれたラインとの間の角度であり、前記外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの前記端部は前記外側供給溝において隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部であり、前記外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーの端部に接するように引かれた前記ラインが前記移動方向に対して前記外側供給溝の後側を規定前記供給角度は正の値であり、前記保持角度は負の値である、送り込むことと、
前記供給溝リファイナプレートセグメントで前記供給材料をリファイニングすることと
を含む、リグノセルロース材料をリファイニングする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.相互関連出願
本出願は、2019年2月6日に出願された米国仮特許出願第62/802,117号の先の出願日の利益を主張するものであり、この米国仮特許出願の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
2.技術分野
本開示は、一般に、低濃度リファイニングに関し、より詳細には、リグノセルロース材料の分離、展開、及び切断を行うように構成された低濃度リファイナのためのリファイナプレートセグメントに関する。
【0003】
3.従来の技術
リファイナは、通常、パルプ、紙、板紙、建材、梱包材、吸液性充填材などの製品での使用に適した特定の機械的及び物理的特性を繊維に与えるように、リグノセルロース材料の分離、展開、及び切断を行って繊維にする。
【0004】
リファイナは、通常、2つ以上の対向するリファイナアセンブリを備える。各アセンブリは、隆起したリファイニングバーのパターンをリファイニング面に有している。隣接するリファイニングバーが溝によって分離されている。典型的には、これらのリファイニングアセンブリは、共通の軸の周りを回転するように構成された円形ディスク、環状ディスク、または入れ子になった円錐台のいずれかである。各リファイナアセンブリは、後部構造にボルトで固定されて、リファイナ円形ディスク、リファイナ環状ディスク、またはリファイナ円錐台を形成する、いくつかの環状の扇形セグメントを備え得る。対向するリファイニングアセンブリのリファイニング面は、互いに向き合って、対向するリファイニングアセンブリを分離する狭いリファイニングギャップを画定する。リファイニングアセンブリの少なくとも1つは、軸の周りを回転するように構成されたロータである。
【0005】
一般に、リファイナは、高濃度リファイナ(「HCR」)または低濃度リファイナ(「LCR」)のいずれかとして特徴付けられ得る。LCRは、一般にパルプのリファイニングに用いられる。パルプは、繊維(木材または非木材)を水の中で混ぜ合わせたものであり、通常は1.5%から8%の濃度である。パルプには他の添加剤が含まれていることがある。製造工場のオペレータは、通常、低濃度リファイニングを使用して、パルプ繊維を所望の品質に機械的にフィブリル化し、切断する。その後、リファイニングされた材料は、一般に、様々な種類の紙、及び/または添加物に変換される。
【0006】
ロータリファイニングアセンブリが回転すると、オペレータは、セルロース繊維または他の供給材料をリファイナに送り込み、リファイニングギャップに送り出す。セルロース繊維は、一般に「ラメラ」または「繊維壁」と呼ばれる、いくつかの同心円層を備える管状の構造である。各ラメラは、互いに結合してラメラを形成する「フィブリル」と呼ばれる、より微細な構造成分を備える。対向するリファイナアセンブリのリファイニングバーと溝とは、ロータが回転するにつれて連続的に重なり合う。典型的な低濃度ロータリファイナアセンブリは、約325回転毎分(「rpm」)から1,000rpmの範囲で回転する。パルプ濃度は、約1.5%(すなわち、パルプなどの固形物質の濃度が、水100単位毎につき約1.5単位)から約8%であり得る。-
【0007】
連続的に重なり合う対向するバー及び溝により、リファイニングギャップ内のパルプが交互に、圧縮され、膨張を可能にされる。この急速な交互の圧縮及び膨張により、繊維パッドが作成される。リファイニングは、主に繊維パッドで行われる。摩擦により繊維が薄片に裂け、ラメラを構成するフィブリルがほぐれることにより、繊維の表面積は大幅に増加する。これにより、今度は繊維パルプから製造される紙またはその他の製品に強度が付与される。言い換えれば、繊維パッド内の隣接する供給材料に対して供給材料を強制的に動かすことは、繊維の展開、分離、及び切断に大きく寄与する。このことは、「一次リファイニング」として知られている。
【0008】
生産需要の増加に直面しているパルプ製造工場は、追加設備に投資するための資源が限られていることが多い。そのため、多くのパルプ製造工場オペレータは、リファイナの生産能力の限界を超えてリファイナを稼働させるようになる。リファイナでは、この限界は、パルプ濃度と、リファイナを通過するリグノセルロース材料の流速との関数である。パルプの濃度は、一般に、システムによって制限されているので、生産能力を向上させることを望むならば、典型的には、オペレータは、リファイナの設計能力を超えて、リファイナを通過するリグノセルロース材料の流速を増加させることになる。
【0009】
過去には、リファイナプレートシステムの水理的能力を高めることにより、リグノセルロースの流速を向上させるステップが、リファイニング効率を犠牲にして行われた。従来、設計者は、2つの異なるタイプの供給溝を使用することにより、水理的能力を改善しようとしてきた。第1のタイプの供給溝は、半径方向に外向きの供給溝であった。第2のタイプの供給溝は、斜めに配置された供給溝であった。大半の供給溝は、プレート表面全体にわたって一定の幅を有するが、一部のリファイナプレートセグメントは、外径に向かって一定の割合で狭くなる供給溝を有していた。
【発明の概要】
【0010】
水理的能力をわずかに向上させる中でリファイニング効率が低下するという問題は、内径(「ID」)における第1の幅が、第1の幅よりも外径(「OD」)に近い、供給溝の第2の幅よりも大きい第1の幅を有する供給溝を備えるリファイナプレートセグメントを有するリファイナを使用することによって解決される。さらに、供給溝は、内径と外径との間の半径方向のセクションにかけて変形しながら、内径では「供給」または「送り込み」の角度となり、外径付近では「保持」または「ホールドバック」の角度となる角度を有する。このようにして、本明細書に記載されている例示的な実施形態によるリファイナプレートセグメントは、リファイニング効率を一段と改善しながらも、対向するリファイナプレートアセンブリ間の水理的能力を改善できることが企図されている。
【0011】
例示的な実施形態では、角度は、内径から外径まで複数回変化する。他の例示的な実施形態では、供給溝は、角度がリファイナプレートセグメントの半径に沿って常に変化するように湾曲している。湾曲またはその他の角度の変化は、通常のパルプ詰まり点を超える、プレートの所与の直径に対して達成される十分な遠心力があるところに向けることができる。
【0012】
理論に縛られることなく、出願人は、内径近くのリファイナプレートセグメントの面積が、外径近くのリファイナプレートセグメントの面積よりも著しく小さいことを発見した。面積は、リファイナプレートセグメントの半径の2乗の関数である。内径は最も狭窄な部分であるため、出願人は、ここで詰まりが最も発生しやすく、したがって低い水理的能力の一因となると判断した。
【0013】
特定の例示的な実施形態では、供給溝は外径まで延在し得る。そのような実施形態は、水理的能力を改善し得るが、リファイニング効率を低下させる可能性がある。他の例示的な実施形態では、供給溝は、外径に達する前に、リファイニングバーが供給溝の末端を横切るように、終端されてもよく、それによって、供給溝を通過するリグノセルロース材料の物理的な停止部を配置する。これにより、より多くのリファイニングバーを、リファイニングバーが最も高い周速度を有し、したがって最も高いリファイニング効率を有する場所に配置することができるようになる。
【0014】
理論に縛られることなく、供給溝の内径における幅を増加させたことにより、供給溝の角度または曲線を、リファイナに装着された状態でリグノセルロース材料に加わる遠心力が詰まりの力を上回るように、供給角度からホールドバック角度まで変化させたことと相まって、リファイニング効率を低下させることなく、リファイナプレートセグメント上の水理的能力を改善することができると考えられる。遠心力は、供給溝の供給角度を介して供給されるパルプが、リファイニングプレートのリファイニング表面にわたって均一に供給され、円滑に分配されることを確実にし得る。外径付近のホールドバック角度のついた供給溝により、リグノセルロース材料が外側のリファイニングセクションに、より長く保持され、それによってリグノセルロース材料が、リファイニングされずにリファイニングセクションを通過してしまわないことを保証する(それによってリファイニング効率を維持する)。
【0015】
以上のことは、添付の図面に示される本開示の例示的な実施形態の以下のより具体的な記述から明らかになるであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに、開示された実施形態を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本明細書でより完全に定義される例示的なリファイナプレートセグメントを使用することができる低濃度リファイナの斜視図である。
図1B】本明細書でより完全に定義される例示的なリファイナプレートセグメントを使用することができる低濃度リファイナの斜視図である。
図2】例示的なリファイナプレートセグメントの正面図である。
図3】例示的なリファイナプレートセグメントの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明は、例示及び記述の目的でのみ提示されており、網羅的であること、または本発明の範囲及び趣旨を限定することは意図されていない。本実施形態は、本発明の原理とその実際の適用とを最良に説明するよう選択され、記載されたものである。当業者であれば、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に開示された発明に多くの変形を加えることができることを認識するであろう。
【0018】
同様の参照文字は、特に明記しない限り、いくつかの図全体にわたって対応する部分を示す。図面は、本開示による様々な特徴及び構成要素の実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、本開示の実施形態をより良く説明するために特定の特徴が誇張されていることがあり、そのような例示は本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0019】
本明細書に特に明記されている場合を除き、本明細書には以下の解釈の規則が適用される。(a)本契約中にて使用される全ての用語は、状況で必要とされる性別または数(単数または複数)であると解釈されるものとする。(b)本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されている単数形の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段の明確な指示がない限り、複数の参照物を含む。(c)記載された範囲または値に付けられた先行用語「約」は、測定結果から当技術分野で知られている、または予想される範囲または値の偏差内の近似値であることを表す。(d)「ここでは(herein)」、「これによって(hereby)」、「ここに(hereto)」、「上文に(hereinbefore)」、及び「下文に(hereinafter)」という語、ならびに同様の意味の語は、他に特に指定がなければ、本明細書の全体を指し、特に特定の段落、請求項、またはその他の下位区分を指すものではない。(e)記述的な見出しは便宜上のものに過ぎず、本明細書のいかなる部分の意味または解釈にも制限または影響を与えないものとする。(f)「または(or)」及び「いずれかの(any)」は排他的ではなく、「含む(include)」及び「含んでいる(including)」は限定的ではない。さらに、用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」は、非制限的用語(すなわち、「~を含むが、~に限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。
【0020】
本明細書中の「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、記載されている実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、全ての実施形態が、その特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含まなくてもよいことを示す。さらに、そのような語句は、必ずしも同一の実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、実施形態に関連して記載されている場合は、他の実施形態に関連して、そのような特徴、構造、または特性に影響を及ぼすことは、明示的に記載されているか否かにかかわらず、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0021】
記述的なサポートを提供するために必要な範囲で、添付の特許請求の範囲の主題及び/またはテキストは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0022】
本明細書で値の範囲を詳説することは、本明細書で別途明示されない限り、それらの間の任意のサブ範囲の中の範囲内にある各別個の値に個別に言及する略記法として機能することを単に意図している。記載されている範囲内の各別個の値は、各別個の値が本明細書に個別に記載されているかのように、本明細書または特許請求の範囲に組み込まれる。特定の範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間にある下限の単位の10分の1以下の各介在値、及び本明細書のその明記された範囲またはサブ範囲の他のいずれかの明記された値または介在値が、文脈上別段の明確な指示がない限り、本明細書に含まれることが理解される。全てのサブ範囲もまた含まれる。これらのより小さい範囲の上限及び下限もまた、明記された範囲内の任意の具体的かつ明示的に除外された制限に従うことを条件として、本明細書に含まれる。
【0023】
本明細書で使用される用語のいくつかは、相対的な語であることに留意されたい。例えば、用語「上」及び「下」は、位置的に互いに相対的であり、すなわち、所与の向きでは上部構成要素は下部構成要素よりも高い高度にあるが、デバイスを反転させれば、これらの用語は変わり得る。「入口」及び「出口」という用語は、所与の構造体に関して、それらを通って流れる流体に相対的であり、例えば、流体は入口を通って構造体に流入し、出口を通って構造体から流出する。「上流」及び「下流」という用語は、流体が様々な構成要素の中を流れる方向に相対的であり、すなわち、下流の構成要素を流れる前に、上流の構成要素を流体は流れる。
【0024】
「水平」及び「垂直」という用語は、絶対的な基準、すなわち地表面に相対的な方向を示すのに使用される。ただし、これらの用語は、構造が互いに完全に平行であること、または完全に垂直であることを要求するものと解釈されるべきではない。例えば、第1の垂直構造と第2の垂直構造とは、必ずしも互いに平行ではない。「頂部」及び「底部」または「基部」という用語は、絶対的な基準、すなわち地球表面に対して、常に底部/基部よりも頂部が高い場所/面を指すのに使用される。「上向き」及び「下向き」という用語もまた、絶対的な基準に対して相対的なものであり、つまり、上向きの流れは常に地球の重力に逆らっている。
【0025】
図1Aは、第2のリファイニングアセンブリ102と対向して配置された第1のリファイニングアセンブリ101を有するディスクリファイナ100を示す。第1のリファイニングアセンブリ101は、回転軸Cの周りを回転するように構成されたロータリファイニングアセンブリである。第2のリファイニングアセンブリ102は、固定リファイニングアセンブリである。第1のリファイニングアセンブリ及び第2のリファイニングアセンブリ101、102は、ハウジング179内に位置する。各リファイニングアセンブリ101、102は、後部構造174に取り付けられたリングを形成するように環状に配列された複数のリファイナプレートセグメント(第1のリファイニングアセンブリ101では105a、第2のリファイニングアセンブリ102では105bとして示される)を備える。図1Aは、それぞれのリファイニングアセンブリ101、102をより良く示すために、ハウジングのステータ側104がヒンジ183を軸として開いている。また一方、作動のために、ステータ側104がヒンジ183を軸にして閉じ、留め具(図示せず)がそれぞれの留め具穴182の中を延在して、ハウジングのステータ側104をロータ側106に固定的に係合させる。第2のリファイニングアセンブリ102と第1のリファイニングアセンブリ101とが互いに向き合うとき、第2のリファイニングアセンブリ102及び第1のリファイニングアセンブリ101は、対面するリファイナプレートセグメント105a、105bのリファイニングセクション175の間にギャップを画定する。第1のリファイニングアセンブリの特徴を、対面する第2のリファイニングアセンブリの特徴との関連で議論する際に正確さを高めるのに役立つ場合、出願人は、「a」を使用して第1のリファイニングアセンブリ101上の特定の特徴に言及し、「b」を使用して第2のリファイニングアセンブリ102上の特定の特徴に言及することにする。
【0026】
ボルトまたは他の留め具(図示せず)が、留め具穴167中を延在して、リファイナプレートセグメント105を後部構造174に係合し、それによって、環状の扇形リファイナプレートセグメント105を後部構造174に固定的に係合し得る。
【0027】
アクティブリファイナ100では、供給材料147(図1B)は、リグノセルロース供給材料(一般にパルプまたは木材チップの形態である)であってもよく、ステータリファイニングアセンブリ102の中央にある開口部181の中を流れてから、ロータハブ186aまたはロータフリンガ187a(図1B)に衝突する。ロータリファイニングアセンブリ101は、典型的には、325~1,000rpmの範囲で回転軸Cの周りを回転し、それによって、供給材料147を半径方向の外側に向けて放り出し、リファイニングギャップに詰め込む。ブレーカバー(225、図2)が、供給材料147を分解し得、その後、供給材料147は、引き続き、さらにリファイニングギャップ中を流れ、対向するリファイナプレートセグメント105a及び105b上の交互に並ぶリファイニングバー123及びリファイニング溝126のフィールドによって画定されるリファイニングセクション175を横断する。リファイニングされた材料147z(図1B)及び部分的に粉砕された材料147y(図1B)は、出口188を通ってリファイナ100を出る。次に、オペレータは、部分的に粉砕された材料147yから望ましくリファイニングされた材料147zを選別し、部分的に粉砕された材料147yを第2の段階のリファイナ(100参照)に移してもよい。オペレータは、部分的に粉砕された材料147yを、さらなるリファイニングにかける代わりに、またはさらなるリファイニングにかけることに加えて、部分的に粉砕された材料147yを化学的に処理してもよい。
【0028】
図2は、半径方向長さRLと、半径方向長さRLの第1の端部209に配置された内径IDと、半径方向長さRLの第2の端部211に配置された外径ODであって、外径ODは、半径方向長さRLに沿って内径IDから半径方向に離れた位置にあり、外径ODは内径IDよりも長い、外径ODと、半径方向長さRLに沿って、内径IDと外径ODとの間に延在する第1の側面213と、半径方向長さRLに沿って、内径IDと外径ODとの間に延在する第2の側面215であって、第2の側面215は、第1の側面213から遠位に配置されている、第2の側面215と、厚さに従って、前面219と対向して配置された背面203であって、背面203及び前面219は、外径OD、内径ID、第1の側面213、及び第2の側面215の間に延在する、背面203とを有し、前面219は、複数の交互に並ぶリファイニングバー223及びリファイニング溝226を有する領域をさらに含み、リファイニングバー223は、基板207と係合しており、隣接するリファイニングバー223c、223d(または223p及び223q)と基板207とは、隣接するリファイニングバー223c、223dの間にリファイニング溝226を画定しており、交互に並ぶリファイニングバー223及びリファイニング溝226の領域(すなわち、フィールド)は、「リファイニングセクション」275として知られており、リファイニングセクション275は、供給溝230を画定する領域をさらに含み、供給溝230は、内径ID寄りの第1の幅229と、外径OD寄りの第2の幅231とを有しており、第1の幅229は、第2の幅231よりも大きく、供給溝230は、第1の幅229に供給角度θで配置されており、供給溝230は、第2の幅231に保持角度λで配置されている、基板207を備える、リファイナ100(図1A)用のリファイナプレートセグメント205を示す。
【0029】
例示的なリファイナプレートセグメント205は、幅広のブレーカバー225と、隣接するブレーカバー225の間の幅広のスペース233とを含むブレーカバーセクション228をさらに含み得る。ブレーカバー225は、リファイナプレートセグメント205の内径IDに移動する入ってくる供給材料247を分解する。ブレーカバー225は、リファイナプレートセグメント205のブレーカバーセクション228の半径方向長さRLに沿って、湾曲し、直線状であり、または複数の角度で配置され得る。ブレーカバーセクション228内のブレーカバー225、及び隣接するブレーカバー225の間のスペース233は、リファイニングバー223、及び隣接するリファイニングバー223c、223dの間に配置されたリファイニング溝226よりも幅が広い。図2に図示されているような角度付きまたは湾曲したブレーカバー225は、リファイナプレートセグメント205が方向Rに回転する際に、供給材料247が供給溝230の第1の幅229に向かって概ね移動するように仕向ける。図示した実施形態では、リファイナプレートセグメント205は、反時計回り方向に回転するように構成される。図2に示すリファイニングパターンに反映されるリファイニングパターンを有する例示的な実施形態では、時計回り方向に回転するように構成され得ることが理解されよう。特定の例示的な実施形態では、ブレーカバーセクション228を欠いていてもよいことがさらに理解されよう。
【0030】
供給溝230は、基板207と、リファイナプレートセグメント205の半径方向長さRLに沿って連続的に配置されたリファイニングバー223の端部223eとの間の、リファイナプレートセグメント205の半径方向長さRLに沿った領域によって画定され、第1のリファイニングバー223pの第1の端部233e1は、第1の半径方向長さに位置しており、第2のリファイニングバー223qの第2の端部233e2は、第2の半径方向長さに位置しており、第2の半径方向長さRL2は、第1の半径方向長さRL1よりも大きい。
【0031】
供給角度θ(図3参照)は、外径ODと内径IDとを結ぶ最短の半径方向ラインSLと、内側供給溝230c内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバー223p、223qのリファイニングバー端部223eに接するように引かれたライン291との交わる角度である。ラインは参考のために描かれた架空の構成物である。半径方向ラインは、回転中心から半径方向外向きに、リファイナプレートセグメント205の外径ODを超えて延びると想像することができる。リファイナプレートセグメント205は、例示的な実施形態では方向Rに回転する。供給角度θにより、内径ID寄りに配置された内側供給溝230cが、供給材料247を半径方向長さRLに沿って半径方向外向きに、リファイナプレートセグメント205の端から端まで、対向するリファイナプレートセグメントの間に配置されたリファイニングギャップに押し進めることが可能になる(図1B参照)。
【0032】
内部供給溝230cの例示的な供給角度θは、0度から45度の範囲であり得る。特定の例示的な実施形態では、内側供給溝230cの供給角度θは、5度から20度の範囲内であり得る。さらに他の例示的な実施形態では、内側供給溝230cの供給角度θは、約13度から約19度であり得る。供給角度θは、リファイナプレートセグメント205の寸法、リファイナプレートセグメント205がリファイニングするように構成されている供給材料247の種類、リファイナプレートの回転速度、及び供給材料247がリファイナ100に導入される速度に応じて、リファイナプレートセグメント205の間で変化し得ることが理解されよう。
【0033】
保持角度λは、外径ODと内径IDとを結ぶ最短の半径方向ラインSLと、外側供給溝230d内で隣接する少なくとも2本のリファイニングバー(223p、223q参照)のリファイニングバー端部223eに接するように引いたライン293との交点で測定した角度である。保持角度λにより、外径OD寄りに配置された外側供給溝230dが、供給材料247を半径方向長さRLに沿って半径方向外向きに、より半径方向外側のリファイニング溝226に、かつ対向するリファイナプレートセグメントの間に配置されたリファイニングギャップに、向け直すことが可能になる。このようにして、保持角度λにより、回転方向Rと相まって、供給材料247がリファイニングセクション275中に存在する時間を(リファイニングセクション275中の供給角度θで配置されているセクションに比べて)長くすると考えられ得る。
【0034】
外側供給溝230dの例示的な保持角度λは、-3度から-45度の範囲であり得る。特定の例示的な実施形態では、外側供給溝230dの保持角度λは、-10度から-25度の範囲であり得る。保持角度λは、リファイナプレートセグメント205の寸法、リファイナプレートセグメント205がリファイニングするように構成されている供給材料247の種類、リファイナプレートの回転速度、及び供給材料247がリファイナ100に導入される速度に応じて、リファイナプレートセグメント205の間で変化し得ることが理解されよう。さらに、保持角度λは、供給角度θとは逆の向きを有することが理解されよう。したがって、供給角度θが正の値であると示されている場合には、保持角度λは負の値であると示され、逆もまた同様である。
【0035】
例示的な実施形態では、例示的な供給溝230は、リファイナプレートセグメント205のリファイニングセクション半径方向長さRRLの20%から80%の間で供給角度θから保持角度λに移行する。リファイニングセクション半径方向長さRRLは、リファイニングセクション275の長さである。リファイニングセクション半径方向長さRRLは、典型的には、リファイナプレートセグメント205の全体の半径方向長さRLからブレーカバーセクション長さBRLを差し引くことによって計算することができる。例えば、例示的なリファイナプレートセグメント205が、508ミリメートル(「mm」)の半径方向長さRLと、106mmのブレーカバーセクションとを有する場合、リファイニングセクション半径方向長さRRLの50%に移行部を有する例示的な供給溝230は、内径IDから測定して、リファイニングセクション半径方向長さRRLの201mm、またはリファイナプレートセグメント半径方向長さRLの307mm(すなわち、ブレーカバーセクション長さBRLを含む長さ)の間で、供給角度θから保持角度λに移行し得る。供給溝230が、リファイニングセクション半径方向長さRRLに沿って湾曲しているか、または複数回角度を変えている実施形態では、供給溝230は、リファイニングセクション半径方向長さの任意の長さで供給角度θから保持角度に移行することができるが、リファイナプレートセグメント205の内径ID寄りに配置されたリファイニングセクション半径方向長さRRLの端部から測定して、リファイニングセクション半径方向長さRRLの上部5分の1以上で移行が発生する場合が好ましい。
【0036】
特定の例示的な実施形態では、供給溝230は外径ODまで延在し得る。そのような実施形態は、水理的能力を改善するが、リファイニング効率を低下させる可能性がある。他の例示的な実施形態では、供給溝230は、外径ODに達する前に、リファイニングバー223が供給溝230の半径方向外側の端部を横切るように、終端されてもよく、それによって、供給溝230を通過する供給材料247の物理的な停止部を配置する。この例示的な実施形態により、より多くのリファイニングバー223を、リファイニングバー223が最も高い周速度を有し、したがって最も高いリファイニング効率を有する場所に配置することができるようになる。
【0037】
理論に縛られることなく、出願人は、リファイナプレートセグメント205上に供給溝230を配置することであって、供給溝230が、第2の幅231よりも内径ID寄りに配置された第1の幅229と、第1の幅229よりも外径OD寄りに配置された第2の幅231とを有しており、第1の幅229が、第2の幅231よりも大きく、供給溝230が、第1の幅229に供給角度θで配置されており、供給溝230が、第2の幅231に保持角度λで配置されている、リファイナプレートセグメント205上に供給溝230を配置することにより、供給溝230が供給角度θで配置されている場合、リファイナプレートセグメント205が方向Rに回転している間に、供給溝230が、供給材料247を実質的に供給溝230に通して方向付けることができると考えている。
【0038】
内径IDは、外径ODよりも短い。リファイナプレートセグメント205では、外径ODの周辺で利用できる領域に比べて、内径IDの周辺でリファイニングに利用できる領域は少ない。例えば、ブレーカバーセクション228は、内径ID自体に隣接し得る。ブレーカバーセクション228は、実質的にリファイニングには寄与しない。むしろ、ブレーカバーセクション228は、供給材料247のより大きな塊を分解し、これらの部分的に分解された供給材料247の塊をリファイニングセクション275に向けるように設計されている。リファイニングセクション275は、ブレーカバーセクション228のすぐ半径方向外側から始まってもよいが、リファイニングバー223及びリファイニング溝226に利用できる基板207上のスペースは、従来は蒸気の排出路と見られていた供給溝230によってさらに制限され得る。
【0039】
利用可能な領域が減ることにより、内径ID付近ではリファイニング効率が制限され得る。本開示による例示的なリファイナプレートセグメント205を使用することで、外側供給溝230dの保持角度λ、及び外側供給溝230dの狭小化により、外側供給溝230dの利用可能な領域が減少し、より多くの供給材料247がリファイニング溝226及びリファイニングバー223に押し込まれ、外径OD付近のリファイニングセクション275の充填を増加させることができると企図されている。つまり、供給材料が半径方向長さRLに沿って外側に移動すると、基板207の領域が増加するので、より多くのリファイニングバー223及びリファイニング溝226の配置が可能になる。このようにして、リファイニングセクション275の領域は、半径方向長さRLに沿って外側に向かって増加する。本明細書に開示された例示的な供給溝230は、より多くの供給材料247を半径方向遠位のリファイニングセクション275に、かつそのリファイニングセクション275にわたって誘導し、それによってリファイニング効率を犠牲にすることなく、水理的能力(すなわち、供給材料の流速)を増加させることが企図されている。
【0040】
特定の例示的な実施形態では、リファイナプレートセグメント205は、供給溝230を有し、供給溝230は、内径IDから外径ODまで一連の角度θ~λで配置される。例示的な実施形態では、供給溝230が湾曲している場合、角度は、供給溝230の半径方向長さRLに沿って常に(例えば、供給角度θから保持角度λまで徐々にかつ連続的に)変化する。例示的な実施形態では、供給溝230の角度の変化または湾曲は、通常のパルプ詰まり点を超える、組み立てられたリファイナプレートセグメント205の所与の直径に対して達成される十分な遠心力があるところに向けられることになる。
【0041】
図3は、本開示による別の例示的な実施形態であり、供給溝230は、図2に示す実施形態と比較して、供給角度θから保持角度λへのより顕著な移行を有する。特定の例示的な実施形態では、供給溝の第2の端部(231参照)は、外径ODに配置される。他の例示的な実施形態では、供給溝の第2の端部(231参照)は、外径ODの半径方向内側に配置される。
【0042】
開示された実施形態の組み合わせは、本開示の範囲内にあると考えられることが理解されよう。さらに、図2及び図3に示すリファイナプレートセグメント205は、ディスクリファイナ100で動作するように構成されているが、本明細書で説明したリファイナプレートセグメント及びパターンは、リファイニングギャップを規定するように構成された対向するリファイナプレートセグメントを使用することによって、繊維状材料の切断、展開、及び分離を行うように構成された、コニカルリファイナ、ディスクリファイナ、シリンドリカルリファイナ、ロータ-ステータリファイナ、逆回転リファイナ、トライコニカルリファイナ、及び他のあらゆるリファイナで使用できることが理解されよう。
【0043】
さらに、特定の例示的なリファイナプレートセグメント205は、複数のリファイニングセクション275を備えることができ、供給溝230が複数のリファイニングセクション275に配置されることが理解されよう。例えば、第1のリファイニングセクションを第2のリファイニングセクションに隣接して配置してもよい。さらなる例として、第1のリファイニングセクションは、第2のリファイニングセクションの半径方向内側に位置してもよい。別の例として、第1のリファイニングセクションは、第2のリファイニングセクションの横方向に位置してもよい。
【0044】
リグノセルロース材料をリファイニングする例示的な方法は、リファイナに供給材料を送り込むことであって、リファイナは、複数の交互に並ぶリファイニングバー及びリファイニング溝を有する領域であって、リファイニングバーは、基板と係合しており、隣接するリファイニングバーと基板とは、隣接するリファイニングバーの間にリファイニング溝を画定しており、交互に並ぶリファイニングバー及びリファイニング溝の領域は、「リファイニングセクション」として知られている、領域を含む「供給溝リファイナプレートセグメント」を有しており、リファイニングセクションは、供給溝を画定する領域をさらに含み、供給溝は、内径寄りの第1の幅と、外径寄りの第2の幅とを有しており、第1の幅は、第2の幅よりも大きく、供給溝は、第1の幅に供給角度で配置されており、供給溝は、第2の幅に保持角度で配置されている、送り込むことと、供給溝リファイナプレートセグメントで供給材料をリファイニングすることとを含み得る。
【0045】
リファイナ用の例示的なリファイナプレートセグメントは、半径方向長さと、半径方向長さの第1の端部に配置された内径と、半径方向長さの第2の端部に配置された外径であって、外径は、半径方向長さに沿って内径から半径方向に離れた位置にあり、外径は内径よりも長い、外径と、半径方向長さに沿って、内径と外径との間に延在する第1の側面と、半径方向長さに沿って、内径と外径との間に延在する第2の側面であって、第2の側面は、第1の側面から遠位に配置されている、第2の側面と、厚さに従って、前面と対向して配置された背面であって、背面及び前面は、外径、内径、第1の側面、及び第2の側面の間に延在する、背面とを有する基板を備え得、前面は、複数の交互に並ぶリファイニングバー及びリファイニング溝を有する領域をさらに含み、リファイニングバーは、基板と係合しており、隣接するリファイニングバーと基板とは、隣接するリファイニングバーの間にリファイニング溝を画定しており、交互に並ぶリファイニングバー及びリファイニング溝の領域は、「リファイニングセクション」として知られており、リファイニングセクションは、供給溝を画定する領域をさらに含み、供給溝は、内径寄りの第1の幅と、外径寄りの第2の幅とを有しており、第1の幅は、第2の幅よりも大きく、供給溝は、第1の幅に供給角度で配置されており、供給溝は、第2の幅に保持角度で配置されている。
【0046】
例示的な実施形態では、供給溝は、内径から外径まで一連の角度で配置される。例示的な実施形態では、供給溝は、角度が供給溝の半径方向長さに沿って常に変化するように湾曲している。
【0047】
例示的な実施形態では、供給溝の角度の変化または湾曲は、通常のパルプ詰まり点を超える、リファイナプレートセグメントの所与の直径に対して十分な遠心力が存在する位置に配置される。例示的な実施形態では、供給溝は、内側供給溝及び外側供給溝をさらに備えており、内側供給溝は、リファイナプレートセグメントの内径寄りに配置された第1の幅を有し、外側供給溝は、リファイナプレートセグメントの外径寄りに配置された第2の幅を有する。
【0048】
例示的な実施形態では、供給角度は、半径方向ラインと、内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーのリファイニングバー端部に接するように引かれたラインとの間の角度である。例示的な実施形態では、保持角度は、半径方向ラインと、外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーのリファイニングバー端部に接するように引かれたラインとの間の角度である。
【0049】
例示的な実施形態では、供給角度は、0度から45度の範囲内である。例示的な実施形態では、供給角度は、5度から20度の範囲内である。例示的な実施形態では、保持角度は、-3度から-45度の範囲内である。例示的な実施形態では、保持角度は、-10度から-25度の範囲内である。
【0050】
例示的な実施形態では、供給溝は、内径に最も近く配置されたリファイニングセクションの点から測定して、リファイナプレートセグメントのリファイニングセクション半径方向長さの20%から80%の間で、供給角度から保持角度へと移行する。
【0051】
例示的なリファイナプレートセグメントのパターンは、複数の交互に並ぶリファイニングバー及びリファイニング溝を有する領域であって、リファイニングバーは、基板と係合しており、隣接するリファイニングバーと基板とは、隣接するリファイニングバーの間にリファイニング溝を画定しており、交互に並ぶリファイニングバー及びリファイニング溝の領域は、「リファイニングセクション」として知られている、領域を含むことができ、リファイニングセクションは、供給溝を画定する領域をさらに含み、供給溝は、内径寄りの第1の幅と、外径寄りの第2の幅とを有しており、第1の幅は、第2の幅よりも大きく、供給溝は、第1の幅に供給角度で配置されており、供給溝は、第2の幅に保持角度で配置されている。
【0052】
例示的なパターンでは、供給溝は、内径から外径まで一連の角度で配置される。例示的なパターンでは、供給溝は、角度が供給溝の半径方向長さに沿って常に変化するように湾曲している。例示的なパターンでは、供給溝の角度の変化または湾曲は、通常のパルプ詰まり点を超える、リファイナプレートセグメントの所与の直径に対して十分な遠心力が存在する位置に配置される。
【0053】
例示的なパターンでは、供給溝は、内側供給溝及び外側供給溝をさらに備えており、内側供給溝は、リファイナプレートセグメントの内径寄りに配置された第1の幅を有し、外側供給溝は、リファイナプレートセグメントの外径寄りに配置された第2の幅を有する。
【0054】
例示的なパターンでは、供給角度は、半径方向ラインと、内側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーのリファイニングバー端部に接するように引かれたラインとの間の角度である。例示的なパターンでは、保持角度は、半径方向ラインと、外側供給溝内で隣接する少なくとも2つのリファイニングバーのリファイニングバー端部に接するように引かれたラインとの間の角度である。
【0055】
例示的なパターンでは、供給角度は、0度から45度の範囲内である。例示的なパターンでは、供給角度は、5度から20度の範囲内である。例示的なパターンでは、保持角度は、-3度から-45度の範囲内である。例示的なパターンでは、保持角度は、-10度から-25度の範囲内である。
【0056】
例示的なパターンでは、供給溝は、内径に最も近く配置されたリファイニングセクションの点から測定して、リファイナプレートセグメントのリファイニングセクション半径方向長さの20%から80%の間で、供給角度から保持角度へと移行する。
【0057】
本発明を、現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明してきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、それどころか、本発明の趣旨及び範囲の中に含まれる様々な修正形態及び均等物の構成を対象として含むことを意図していることが理解されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3