(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】遠心霧化構造及びこの遠心霧化構造を有する噴霧装置、遠心霧化装置、駆動装置及びデュアル駆動噴霧装置
(51)【国際特許分類】
B05B 3/02 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B05B3/02 H
(21)【出願番号】P 2022032149
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2021510514の分割
【原出願日】2019-05-13
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】201810996234.4
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821399722.9
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201820730631.2
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810468474.7
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520425486
【氏名又は名称】スーヂョウ エアビジョン ロボティック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドン、 シュェソン
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ、 ホウチェン
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206509068(CN,U)
【文献】特表2002-525202(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106216119(CN,A)
【文献】中国実用新案第205505285(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2001/0028002(US,A1)
【文献】国際公開第2016/031692(WO,A1)
【文献】特開2008-012390(JP,A)
【文献】特許第5759742(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体から予め設定された長さだけ延出した第1出力軸を含む第1駆動モータと、前記第1出力軸が貫通して延出するように中空に形成された第2出力軸を含み、前記第1駆動モータと同軸で直列になる第2駆動モータと、前記第2出力軸の末端に同軸で設けられる接続部材及び固定部材と、を備え、前記接続部材の一端は、前記第2出力軸に外挿されて固定され、他端には、前記第1出力軸に外挿された固定部材が充填されている駆動装置と、
前記第1出力軸に外挿されて固定接続され、その周方向に沿って複数の歯が間隔を置いて設けられている環状体と、
前記第2出力軸に外挿されて固定接続され、複数の分流溝が開設されている遠心霧化ディスクと、を備え、
前記環状体は、前記遠心霧化ディスクと同軸で設けられるとともに、その径方向において前記遠心霧化ディスクとの間に距離を有することを特徴とするデュアル駆動噴霧装置。
【請求項2】
前記接続部材は、中空凸部である嵌合部を含み、
前記嵌合部は、前記固定部材を充填するための充填室を形成し、
前記遠心霧化ディスクは、前記嵌合部に外挿されていることを特徴とする請求項1に記載のデュアル駆動噴霧装置。
【請求項3】
前記嵌合部には、その周方向に沿って前記遠心霧化ディスクとの接触面積を増やすためのフランジが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のデュアル駆動噴霧装置。
【請求項4】
前記嵌合部は、前記第2出力軸と前記遠心霧化ディスクとの間に配置されて、前記遠心霧化ディスクが前記接続部材の全般に固定されないようにすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のデュアル駆動噴霧装置。
【請求項5】
前記歯の上端面の高さは、前記遠心霧化ディスクの水平高さ以上になることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のデュアル駆動噴霧装置。
【請求項6】
前記第1出力軸には、1つの軸受が外挿され、前記第2出力軸には、2つの軸受が外挿され、これらの軸受と前記第2出力軸の末端に設けられた前記接続部材及び前記固定部材との協力により、前記第1出力軸の長さがどれだけ長くても前記第2出力軸と衝突・摩擦しないことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のデュアル駆動噴霧装置。
【請求項7】
前記固定部材は、前記第1出力軸に固定接続される内環と、前記接続部材に固定接続される外環と、前記内環と前記外環との間に設けられて転がり摩擦を形成する転動体と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のデュアル駆動噴霧装置。
【請求項8】
前記第1出力軸と前記第2出力軸とは、互いに嵌合するように径方向隙間を有し、この径方向隙間は、≧0.1mm及び/又は≦1mmであることを特徴とする請求項1に記載のデュアル駆動噴霧装置。
【請求項9】
前記第1駆動モータは、内輪に設けられて第1出力軸が回転されるように駆動する第1ロータと、外輪に設けられる第1ステータと、を備え、
前記第2駆動モータは、内輪に設けられて第2出力軸が回転されるように駆動する第2ロータと、外輪に設けられる第2ステータと、を備え、
前記第1ステータ及び前記第2ステータは、それぞれ前記第1駆動モータ及び前記第2駆動モータの外側に外挿されるハウジングに固定接続されていることを特徴とする請求項1に記載のデュアル駆動噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2018年05月16日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が201820730631.2であり、名称が「遠心霧化構造及び当該遠心霧化構造を有する噴霧装置」である中国出願と、2018年05月16日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が201810468474.7であり、名称が「遠心霧化装置」である中国出願と、2018年08月29日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が201821399722.9であり、名称が「駆動装置」である中国出願と、2018年08月29日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が201810996234.4であり、名称が「デュアル駆動噴霧装置」である中国出願と、を基礎として優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、噴霧技術分野に関し、具体的には、遠心霧化構造、及び、この遠心霧化構造を有する噴霧装置、遠心霧化装置、駆動装置、及び、デュアル駆動噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
霧化とは、ノズルを介して、或いは、高速気流を用いて液体を微細な液滴に分散させる操作を言う。
霧化された多くの分散液滴は、空気中に浮遊し、噴霧される対象との接触面積を増やせることができ、噴霧効果を向上させる。
液体霧化方法としては、圧力霧化、ガス霧化、遠心力霧化、及び音波霧化などがある。
液体が、特殊装置を通過して小さな液滴になり、霧状になって噴射されることを言う。
【0004】
遠心力霧化は、霧化ディスクがモータによって高速回転し、遠心力の作用によって液体が回転する霧化ディスクの表面で薄い膜状に展延するとともに、次第に速くなる速度でディスクの縁に移動し、液体は、ディスクの縁から離れるとミスト滴に霧化される。
既存の遠心霧化装置は、設計上の制約により、弾き飛ばされたミスト滴の粒子の大きさが不均一であるため、噴霧或いはかんがいが不均一になり、薬液をある程度無駄にすることが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも霧状微粒子をより小さくかつより均一にすることができる遠心霧化構造及び当該遠心霧化構造を有する噴霧装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の分流溝が開設されている遠心霧化ディスクを備え、各分流溝は、遠心霧化ディスクの中央位置から縁に向けて延伸する遠心霧化構造であって、遠心霧化ディスクの外側には、その周方向に沿って複数の歯が間隔を置いて設けられている環状体が設けられ、各歯は、環状体の中心を基準として外に向けて放射状に配置され、環状体は、前記遠心霧化ディスクと同軸で設けられるとともに、その径方向において遠心霧化ディスクとの間に距離を有することを特徴とする。
【0007】
本発明は、噴霧装置であって、上記に開示の遠心霧化ディスクの中心がモータの出力軸に伝達接続されていることを特徴とする。
【0008】
上記開示に関連する内容を、下記のように解釈する。
【0009】
上記開示において、遠心霧化ディスクの径方向における各歯の最大サイズを歯の長さと定義し、当該径方向に垂直な方向における各歯の最大サイズを歯の幅と定義し、歯の長さは、歯の幅より大きく、歯は、環状体の周方向に間隔を置いて均一に分布される。
【0010】
上記開示において、環状体と遠心霧化ディスクとの間の距離は、1~20mmであり、好ましくは、1.5~15mmであり、距離が小さすぎると、遠心霧化ディスクから弾き飛ばされたミスト滴が完全に引き裂かれず、引き裂き効果を達成できず、距離が大きすぎると、ミスト滴が動力を失って、2次衝突によるさらなる霧化を実現することができなくなる。
【0011】
上記開示において、隣り合う2つの歯の基端部同士は、弧状で連結され、ミスト滴が歯の基端部に溜まることを防止する。
【0012】
上記開示において、歯の基端部と環状体との間には、歯と環状体との間の接続がより強固になるように、面取りが設置されている。
【0013】
上記開示において、遠心霧化ディスクの直径は、50~400mmである。
【0014】
上記開示において、歯の長さは、2~4mmであり、歯の長さが短すぎると、歯を設計する際に密になりすぎて接着してしまう可能性があり、歯の長さが長すぎると、複数のミスト滴が1つの歯に同時に衝突して歯の表面に液膜が形成され、次のミスト滴が液膜によって吸収されて衝突による霧化を実現することができなくなる。
【0015】
上記開示において、隣り合う歯同士の周方向距離は、2mm以上であり、好ましくは、3mmより大きく、より好ましくは、4mmより大きく、歯上の表面張力によって液膜が生成されることにより、ミスト滴が歯の表面に溜まることを防止することができる。
【0016】
上記開示において、歯の径方向断面は、台形、長方形、又は弧状の構造であり、台形が好ましく、これにより、最大面積での衝突を実現し、ミスト滴が、歯の霧化ディスクに近い短辺に衝突して戻ることにより、歯を通過できないことを防止することができ、歯を弧状に設計することにより、生産と製造が容易になることができ、径方向断面は、ある点を通って軸線に垂直な断面である。
【0017】
上記開示において、遠心霧化ディスク上での前記歯の最長辺の中点を通る半径と歯の最長辺との間の挟角は、-7°~7°であり、分流溝の曲線が延出する接線方向と当該半径との間の挟角を負とし、遠心力及び分流溝の弧度が原因で、遠心霧化ディスクから弾き飛ばされたミスト滴の方向が、その接線から15°~22°ずれ、ミスト滴が歯に衝突する入射角が、いずれも45°前後になるように、歯の角度を-7°~7°、好ましくは、0°~7°、より好ましくは、0°に設計し、入射角を45°とすることは、ミスト滴の衝突効果を向上させ、霧状微粒子をより均一にすることに有利になる。
【0018】
上記開示において、環状体の外部には、電気めっきポリテトラフルオロエチレン層又はナノ層がコーティングされている。
【0019】
上記開示において、遠心霧化ディスクの回転速度は、2000~50000回転/分であり、好ましくは、10000~50000回転/分である。
【0020】
上記開示において、分流溝は、アルキメデス曲線状である。
【0021】
上記開示において、遠心霧化ディスクは、回転可能に設けられ、環状体は、相対的に固定的に設けられ、又は、環状体と遠心霧化ディスクとは、回転方向が逆になるように配置され、遠心霧化ディスクと環状体とが回転方向が逆になるように設置されると、遠心霧化ディスクの相対的な回転速度を向上させ、霧化効果がさらに向上する。
【0022】
上記開示において、歯と分流溝との数の比は、0.5:1~2:1であり、好ましくは、1:1~1.8:1である。
【0023】
本発明の動作原理及び利点は、下記の通りである。
本発明は、遠心霧化ディスクの外周に環状体を増設し、環状体に分流溝に対応して歯を設けることにより、ミスト滴が遠心霧化ディスクから弾き飛ばされた後に歯に衝突して、正確な衝突を実現し、より一層霧化され、霧状微粒子の均一度を向上させ、また、衝突によりミスト滴の平均粒径が小さくなって、少なくとも、平均粒径が30マイクロメートルの霧化効果、さらには、平均粒径が10マイクロメートル以下の霧化効果を達成でき、衝突によって、霧化がより十分になり、霧状微粒子がより均一になり、かんがい・噴霧がより均一で、より浸透しやすくなるとともに、薬液の使用量を効果的に節約することができる。
【0024】
本発明は、複数の分流溝が開設されている遠心霧化ディスクを備え、各分流溝が遠心霧化ディスクの中央位置から縁に向けて延伸する遠心霧化装置であって、
前記遠心霧化ディスクの外側には、前記遠心霧化ディスクと同軸で且つ相対的に回転可能な環状体が設けられている。
この環状体は、その径方向において遠心霧化ディスクとの間に距離を有し、遠心霧化ディスクの回転により、その周囲に順方向風速場が形成され、この順方向風速場は、遠心霧化ディスクの中心の周りを時計回り或いは反時計回りに回転する。
動作状態において、環状体は、遠心霧化ディスクとの間に逆方向風速場を提供し、この逆方向風速場の回転方向と順方向風速場の回転方向とは逆であり、逆方向風速場と順方向風速場との相互作用により、遠心霧化ディスクと環状体との間に帯状加速風速場が形成される。
環状体には、この環状体の周方向に間隔を置いて分布される複数の帯状気流が形成され、各帯状気流は、分流溝から弾き飛ばされた液滴に対応して配置され、帯状気流の方向は、分流溝から弾き飛ばされた液滴の走行方向と反対であることを特徴とする。
【0025】
上記開示に関連する内容を、下記のように解釈する。
【0026】
上記開示において、液滴は、遠心霧化ディスクの縁から弾き飛ばされる際に、静止空気に対する第1速度v1を有し、順方向風速場の方向は、遠心霧化ディスクの回転方向と同じであり、順方向風速場は、第2速度v2を有し、液滴と空気との相対速度を相対的に低下させ、液滴と空気との相対速度がv1-v2になり、逆方向風速場の方向は、順方向風速場の方向と反対であり且つ第3速度v3を有し、逆方向風速場は、順方向風速場を弱めるか又は逆転させるように作用し、液滴と空気との相対速度を大幅向上させ、液滴と空気との相対速度がv1-v2+v3になる。
これにより、空気の流動速度が増加し、つまり、液滴を切断する速度が増加し、霧化された液滴の粒径が小さくなる。
また、帯状気流の方向は、分流溝から弾き飛ばされた液滴の走行方向と反対である。
これにより、液滴の切断をより良く実現することができ、液滴と空気との相対速度を向上させ、液滴の霧化効果が向上することができる。
【0027】
上記開示において、逆方向風速場の強さが順方向風速場の強さより大きいことにより、帯状加速風速場の方向が逆方向風速場と同じになり、このとき、実現された帯状加速風速場は、液滴と空気との相対速度をより大きな程度で向上させ、霧化効果が倍増する。
他の場合では、逆方向風速場の強さが順方向風速場の強さ以下であってもよく、このとき、帯状加速風速場は、方向の逆転を実現していないが、順方向風速場を弱めたため、液滴と空気との相対速度を向上させ、霧化効果は、依然として理想的である。
【0028】
上記開示において、その径方向における環状体と遠心霧化ディスクとの距離は、1~20mmであり、距離が小さすぎると、帯状加速風速場を提供できず、距離が大きすぎると、帯状加速風速場は効果がない。
【0029】
上記開示において、環状体は、相対的に固定的に設けられ、環状体内には、その周方向に沿って通気溝が1周設けられ、環状体の内周面には、通気溝と連通する複数の通気孔が開設され、各通気孔は、環状体の周方向に間隔を置いて分布され、帯状気流は、前記通気孔の延伸方向に沿って通気溝から外へ導出される。
【0030】
好ましくは、通気孔は、環状体の周方向に間隔を置いて均一に分布される。
【0031】
好ましくは、通気溝は、空気ポンプの排気口と連通する。
【0032】
好ましくは、遠心霧化ディスクの軸線に垂直な通気孔の軸方向断面において、通気孔の軸線と、遠心霧化ディスク上での当該軸方向断面の孔壁の投影線の中心を通る半径との間の挟角は、60°~75°である。
【0033】
好ましくは、通気孔の排気口の孔径は、1~3mmである。
【0034】
好ましくは、通気孔と分流溝との数の比は、1:1~2:1である。
【0035】
好ましくは、環状体には、電気めっきポリテトラフルオロエチレン層又はナノ層がコーティングされているため、環状体は、粘着しない効果を有し、液滴が溜まることを防止し、霧化効果を向上させることができる。
【0036】
上記開示において、環状体は、遠心霧化ディスクに対して逆方向に回転し、環状体には、その周方向に沿って複数の歯が間隔を置いて設けられ、各歯は、環状体の中心を基準として外に向けて放射状に配置され、歯の前記遠心霧化ディスクに近い側に前記帯状気流が生成される。
【0037】
好ましくは、歯の径方向断面は、矩形又は弧状であり、
歯の径方向断面が矩形である場合、遠心霧化ディスク上での矩形の長辺の中点を通る半径と当該長辺との間の挟角は、0°~60°であり、
歯の径方向断面が弧状である場合、遠心霧化ディスク上での弧状の中点を通る半径と弧状の中点を通る接線との間の挟角は、0°~60°である。
【0038】
好ましくは、隣り合う2つの歯同士の周方向距離は、2mmより大きく、好ましくは、3mmより大きく、より好ましくは、4mmより大きく、歯上の表面張力によって液膜が生成されることにより、ミスト滴が歯の表面に溜まることを防止することができる。
【0039】
好ましくは、歯は、その放射方向におけるサイズが2~4mmであり、その軸方向におけるサイズが、3mmより大きく、放射方向に垂直な方向におけるサイズが、0.5~1mmである。
歯のその放射方向におけるサイズが短すぎると、歯を設計する際に密になりすぎて接着してしまう可能性があり、歯のその放射方向におけるサイズが長すぎると、複数の液滴が1つの歯に同時に衝突して、歯の表面に液膜が形成されて、次の液滴が液膜によって吸収され、2次衝突による霧化を実現することができなくなり、前記歯の径方向断面が弧状である場合、当該弧に対応する弦長が当該歯の放射方向におけるサイズである。
【0040】
好ましくは、その径方向における環状体と遠心霧化ディスクとの距離は、1~20mmであり、好ましくは、3~10mmであり、距離が小さすぎると、帯状加速風速場を提供できず、距離が大きすぎると、帯状加速風速場は、効果がなく、帯状加速風速場は、液滴の相対速度を向上させる作用を実現できないとともに、さらに衝突する効果も実現することができなくなる。
好ましくは、前記歯は、環状体の周方向に間隔を置いて均一に分布される。
【0041】
好ましくは、環状体及び歯には、電気めっきポリテトラフルオロエチレン層又はナノ層がコーティングされているため、環状体及び歯は粘着しない効果を有し、液滴が溜まることを防止し、霧化効果を向上させることができる。
【0042】
好ましくは、遠心霧化ディスクの回転速度は、2000~50000回転/分であり、好ましくは、10000~50000回転/分であり、前記環状体の回転速度は、2000~50000回転/分であり、好ましくは、10000~50000回転/分である。
【0043】
好ましくは、歯と分流溝との数の比は、0.5:1~2:1であり、好ましくは、1:1~1.8:1である。
【0044】
上記開示において、前記遠心霧化ディスクの直径は、50~300mmである。
【0045】
上記開示において、分流溝は、アルキメデス曲線状である。
【0046】
本発明の動作原理及び利点は、下記のとおりである。
本発明は、遠心霧化ディスクの外周に、この遠心霧化ディスクと同軸で且つ相対的に回転可能な環状体を増設することにより、動作状態において、環状体によって生成される風速場と、遠心霧化ディスク自体が生成する風速場とは、方向が反対であり、遠心霧化ディスク自体が生成する風速場は、依然として存在するが、環状体によって生成される風速場が、遠心霧化ディスク自体の風速場を弱めるか又は逆転させ、形成された帯状加速風速場が遠心霧化ディスクと空気流の相対回転速度を大幅向上させるため、霧化ディスクの回転速度の向上を不要としても、液滴の空気に対する相対速度を向上させることができ、液滴の平均粒径が小さくなり、霧化がより十分になり、霧状微粒子もより均一になり、かんがい・噴霧がより均一で、より浸透しやすくなるとともに、薬液の使用量を効果的に節約することができる。
【0047】
本発明は、回転速度の高い回転を制御することを実現するために、構造が安定的であり、摩擦が生じにくく、慣性モーメントが小さい駆動装置も提供する。
具体的には、機体から予め設定された長さだけ延出した第1出力軸を含む第1駆動モータと、前記第1出力軸が貫通して延出するように中空に形成された第2出力軸を含み、前記第1駆動モータと同軸で直列になる第2駆動モータと、を備え、第2出力軸の末端に同軸で設けられる接続部材及び固定部材をさらに備え、前記接続部材の一端は、前記第2出力軸に外挿されて固定され、他端には、前記第1出力軸に外挿された固定部材が充填される。
【0048】
好ましくは、固定部材は、第1出力軸に固定接続される内環と、接続部材に固定接続される外環と、内環と外環との間に設けられて転がり摩擦を形成する転動体と、を備える。
【0049】
好ましくは、第1出力軸と第2出力軸とは、互いに嵌合するように径方向隙間を有し、この隙間は、≧0.1mm及び/又は≦1mmである。
【0050】
好ましくは、第1駆動モータは、内輪に設けられて第1出力軸が回転されるように駆動する第1ロータと、外輪に設けられる第1ステータと、を備え、第2駆動モータは、内輪に設けられて第2出力軸が回転されるように駆動する第2ロータと、外輪に設けられる第2ステータと、を備え、第1ステータ及び第2ステータは、それぞれ第1駆動モータ及び第2駆動モータの外側に外挿されるハウジングに固定接続される。
【0051】
本発明の主な目的は、噴霧の霧化効果を向上させ、作業効率を向上させるために、慣性モーメントが小さく、構造が安定的であり、回転速度の高いデュアル駆動噴霧装置を提供することである。
【0052】
上記の目的を実現するために、デュアル駆動噴霧装置を提供し、前記装置は、機体から予め設定された長さだけ延出した第1出力軸を含む第1駆動モータと、第1出力軸が貫通して延出するように中空に形成された第2出力軸を含み、第1駆動モータと同軸で直列になる第2駆動モータと、第1出力軸に外挿されてそれに固定接続される第1回転盤と、第2出力軸に外挿されてそれに固定接続される第2回転盤と、を備え、第2出力軸の末端に同軸で設けられる接続部材及び固定部材をさらに備え、接続部材の一端は、第2出力軸に外挿されて固定され、他端には、第1出力軸に外挿された固定部材が充填される。
【0053】
好ましくは、第2回転盤は、接続部材に外挿されて第2出力軸と固定接続される。
【0054】
好ましくは、接続部材は、中空凸部である嵌合部を含み、嵌合部は、固定部材を充填するための充填室を形成し、第2回転盤は、嵌合部に外挿される。
【0055】
好ましくは、嵌合部には、周方向に沿ってフランジが設けられている。
【0056】
好ましくは、第1回転盤は、第1出力軸の末端に外挿され、第2回転盤は、軸線方向において第1回転盤との間に軸方向距離を有している。
【0057】
好ましくは、第1回転盤の径方向側面には、周方向にそって複数の歯が設けられ、歯は、第2回転盤の軸方向側辺との間に径方向距離を有している。
【0058】
好ましくは、第1出力軸の直径は、≦8mmであり、第2出力軸の中空直径は、≦12mmであり、第2出力軸21の側壁の径方向幅は、≦5mmである。
【発明の効果】
【0059】
本発明の技術的解決手段を適用すると、2つの駆動モータを直列に設けることにより、第1回転盤及び第2回転盤の回転を制御し、第1出力軸及び第2出力軸の直径を小さくし、慣性モーメントを低下させ、接続部材及び固定部材の設置により、第1出力軸及び第2出力軸を支持し、両者の摩擦を回避し、噴霧装置の安定性を高めて、回転速度が高くなり、安定性の高い噴霧制御を実現し、噴霧の霧化効果を向上させ、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明の実施例に係る遠心霧化構造の正面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る遠心霧化構造の斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係る遠心霧化構造の別の斜視図である。
【
図4】本発明の実施例に係る遠心霧化構造のさらに別の斜視図である。
【
図5】本発明の実施例に係る遠心霧化構造の別の正面図である。
【
図7】本発明の実施例に係る遠心霧化装置の正面図である。
【
図8】
図7の実施例に係る遠心霧化装置の斜視図である。
【
図9】本発明の実施例に係る遠心霧化装置の別の斜視図である。
【
図10】本発明の一実施例による駆動装置の概略断面図を示す。
【
図11】本発明の別の実施例による駆動装置の概略断面図を示す。
【
図13】本発明のさらに別の実施例による駆動装置の概略断面図を示す。
【
図14】本発明の一実施例による駆動装置の接続部材の概略構造図を示す。
【
図15】本発明の一実施例によるデュアル駆動噴霧装置の概略断面図を示す。
【
図17】本発明の別の実施例によるデュアル駆動噴霧装置の概略断面図を示す。
【
図18】本発明のさらに別の実施例によるデュアル駆動噴霧装置の概略構造図を示す。
【
図19】本発明の一実施例によるデュアル駆動噴霧装置の接続部材の概略構造図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、本発明の実施例の添付図面を参照しながら、本発明の実施例の技術的解決手段について明確かつ完全に説明するが、説明された実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。
本発明の実施例に基づいて、当業者の創造的な労働なしに得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0062】
以下、添付図面及び実施例を参照しながら、本発明について説明する。
【0063】
図1及び
図2を参照すると、遠心霧化構造は、複数の分流溝11が開設されている遠心霧化ディスク1を備え、各分流溝11は、遠心霧化ディスク1の中央位置から縁に向けて延伸し、分流溝11の出口は、遠心霧化ディスク1の縁で開口されている。
【0064】
遠心霧化ディスク1の外側には、遠心霧化ディスク1と同軸で設けられるとともに、その径方向において遠心霧化ディスク1との間に距離3を有する環状体2が設けられている。
環状体2には、その周方向に沿って間隔を置いて均一に複数の歯21が設けられ、歯21は、分流溝11に対応するように設けられ、各歯は、環状体の中心を基準として外に向けて放射状に配置されている。
その目的としては、隣り合う2つの歯21の長辺を対向するように配置することにより、ミスト滴が遠心霧化ディスク1から弾き飛ばされた後に歯21に衝突されて霧化を精度よく実現することができる。
【0065】
距離3は、2mmであり、距離3が小さすぎると、遠心霧化ディスク1から弾き飛ばされたミスト滴が完全に引き裂かれなくて引き裂き効果を達成できず、距離3が大きすぎると、ミスト滴が動力を失って衝突によるさらなる霧化を実現することができなくなる。
【0066】
歯21の長さは、3mmであり、歯21の長さが短すぎると、歯21を設計する際に密になりすぎて接着してしまう可能性があり、歯21の長さが長すぎると、複数のミスト滴が1つの歯21に同時に衝突して歯21の表面に液膜が形成され、次のミスト滴が液膜によって吸収されて衝突による霧化を実現することができなくなる。
【0067】
隣り合う歯21同士の周方向距離は、4mmより大きく、歯21上の表面張力によって液膜が生成されることにより、ミスト滴が歯21の表面に溜まることを防止することができる。
【0068】
歯21の径方向横断面は、矩形構造である。
遠心霧化ディスクの直径は、200mmである。
遠心霧化ディスクの回転速度は、20000回転/分である。
【0069】
ミスト滴が歯21に衝突する入射角が、いずれも45°前後になるように、歯21の角度を0°に設計することが好ましく、入射角を45°とすることは、ミスト滴の衝突効果を向上させ、霧状微粒子をより均一にすることに有利になる。
【0070】
歯21の基端部と環状体2との間には、歯21と環状体2との間の接続がより強固になるように、面取りが設けられている。
【0071】
環状体2の表面には、粘着しない効果を実現してミスト滴が環状体の表面に溜まることを防止するように、電気めっきポリテトラフルオロエチレン層又はナノ層がコーティングされている。
【0072】
分流溝11は、アルキメデス曲線状であり、遠心霧化効果を向上させる。
【0073】
歯と分流溝との数の比は、0.5:1~2:1であり、選択的に、各々の分流溝11から弾き飛ばされたミスト滴がいずれも2つの隣り合う歯21の間で衝突できれば、歯21と分流溝11とを0.8:1或いは1.5:1の比例に従って配置してもよい。
【0074】
遠心霧化ディスク1がその軸心の周りを回転する際に、環状体2が、その軸心に対して固定され、又は、環状体2と遠心霧化ディスク1とは回転方向が逆になるように配置される。
このとき、環状体2の回転方向は、遠心霧化ディスク1の方向と反対であり、遠心霧化ディスク1と環状体2とを回転方向が逆になるように設けると、空気の流動速度を向上させ、遠心霧化ディスク1の相対回転速度を向上させることに相当し、霧化効果をさらに向上させる。
【0075】
本発明は、遠心霧化ディスク1の外周に環状体2を増設し、環状体2に分流溝11に対応して歯21を設けることにより、ミスト滴が遠心霧化ディスク1から弾き飛ばされた後に歯21に衝突する。
本発明の構造設計で、環状体2上の歯21を微細設計することにより、遠心霧化ディスク1から出て来たミスト滴が隣り合う2つの歯21の間でより効果的に衝突できるように保証することができ、衝突角度がより良い一方、歯21と分流溝11の数の設計、及び、歯21のサイズの設計により、液膜などの生成によりミスト滴が歯21に溜まることを防止し、より良い霧化効果を達成することができ、霧状微粒子の均一度を向上させ、また、衝突によりミスト滴の平均粒径が小さくなって、平均粒径が30マイクロメートルの霧化効果、さらには、平均粒径が10マイクロメートル以下の霧化効果を達成することができ、衝突によって、霧化がより十分になり、霧状微粒子もより均一になり、かんがい・噴霧がより均一で、より浸透しやすくなるとともに、薬液の使用量を効果的に節約することができる。
【0076】
図3を参照すると、隣り合う2つの歯21の基端部同士は、弧状で連結され、ミスト滴が歯の基端部に溜まることを防止し、残り部分は、上記の実施例と同じであるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0077】
図4~
図6を参照すると、前記歯21の径方向横断面は、台形である。
これにより、最大面積での衝突を実現して、ミスト滴が短辺に衝突して戻ることを防止し、残り部分は、上記の実施例と同じであるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0078】
簡略に説明するため、本実施例に言及されていない点は、上記の実施例を参照することができる。
より好ましい形態は、
図7及び
図8を参照されたい。
本実施例に係る遠心霧化装置は、上記の実施例に記載の遠心霧化構造を備え、上記の実施例に記述された技術的解決手段も、当該実施例に属し、上記の実施例に記載の遠心霧化ディスク1も、本実施例に係る遠心霧化ディスク1に属する。
【0079】
本発明の実施例は、図示されていない噴霧装置(手持ち噴霧機或いは噴霧ドローンなど)に設けられる遠心霧化装置を提供し、前記遠心霧化装置は、複数の分流溝11が開設されている遠心霧化ディスク1を備え、各分流溝11は、遠心霧化ディスク1の中央位置から縁に向けて延伸する。
【0080】
遠心霧化ディスク1の外側には、当該遠心霧化ディスク1と同軸で且つ相対的に回転可能な環状体2が設けられ、遠心霧化ディスク1は、前記噴霧装置の本体に対して回転可能に設けられ、遠心霧化ディスク1は、モータの駆動によって回転される。
環状体2は、噴霧装置の本体に対して固定的に設けられ、この環状体2は、その径方向において遠心霧化ディスク1との間に距離3を有している。
【0081】
環状体2内には、その周方向に沿って通気溝が1周設けられ、環状体2の内周面には、通気溝と連通する複数の通気孔23が開設され、各通気孔23は、環状体2の周方向に等間隔で分布され、通気孔23の排気口の気流の方向は、遠心霧化ディスク1上で分流溝11から弾き飛ばされる液滴の走行方向と反対である。
これにより、遠心霧化ディスク1の外周に遠心霧化ディスク1自体と逆方向である風速場を生成し、遠心霧化ディスク1の空気流に対する相対回転速度を向上させる。
【0082】
液滴は、遠心霧化ディスク1の縁から弾き飛ばされる際に、静止空気に対する第1速度v1を有し、順方向風速場の方向は、遠心霧化ディスク1の回転方向と同じであり、順方向風速場は、第2速度v2を有し、液滴と空気との相対速度を相対的に低下させ、液滴と空気との相対速度がv1-v2になり、逆方向風速場の方向は、順方向風速場の方向と反対であり且つ第3速度v3を有し、液滴と空気との相対速度を大幅向上させ、液滴と空気との相対速度がv1-v2+v3になり、逆方向風速場は、順方向風速場を弱めるか又は逆転させるように作用する。
これにより、空気の流動速度が増加し、つまり、液滴を切断する速度が増加し、霧化された液滴の粒径が小さくなる。液滴と空気との相対速度が向上し、つまり、遠心霧化ディスクの空気に対する相対回転速度の向上と間接的に等しい。
本発明の実施例の遠心霧化装置を用いると、1~30マイクロメートルの液滴の粒径を実現でき、その平均粒径は10マイクロメートル前後に達することができ、液滴の平均粒径を効果的に小さくし、霧化効果を極めて大きく向上させる。
また、帯状気流の方向は、分流溝から弾き飛ばされた液滴の走行方向と反対である。
これにより、液滴の切断をより良く実現することができ、液滴と空気との相対速度を向上させ、液滴の霧化効果が向上することができる。
ここでの帯状気流の気流方向と液滴の走行方向は、反対であり、この両者の方向の間の挟角が90°より大きいと理解でき、好ましくは、180°である場合、効果がより良い。
【0083】
好ましくは、逆方向風速場の強さが前記順方向風速場の強さより大きいことにより、帯状加速風速場の方向が逆方向風速場と同じになり、このとき、実現された帯状加速風速場は、液滴と空気との相対速度をより大きな程度で向上させ、霧化効果が倍増する。
他の場合では、逆方向風速場の強さが順方向風速場の強さ以下であってもよく、このとき、帯状加速風速場は、方向の逆転を実現していないが、順方向風速場を弱めたため、液滴と空気との相対速度を向上させ、霧化効果は依然として理想的である。
【0084】
遠心霧化ディスク1の軸線に垂直な通気孔の軸方向断面において、通気孔23の軸線と、遠心霧化ディスク1上での軸方向断面の孔壁の投影線の中心を通る半径との間の挟角は、60°~75°である。
遠心霧化ディスクから弾き飛ばされた液滴は、その接線方向に対して一定の角度を有し、通気孔の方向をこのように設計すると、通気孔から噴出されるガスと液滴とは、方向が180°を呈するように逆に設けられ、液滴を切断する作用をより良く実現し、霧化効果がより良い。
【0085】
通気溝は、空気ポンプの排気口と連通し、空気ポンプによって通気溝にガスが充填される。
通気孔の排気口の孔径は、1~3mmであり、孔径が大きすぎると、ガス圧が小さすぎて、逆方向風速場の風速が小さすぎになり、液滴の相対速度を向上させるという目的を達成することができなくなる。
通気孔と分流溝との数の比は、1:1~2:1であり、通気孔の数が少なすぎると、帯状風速場の風速が、相対的に低下し、液滴の相対速度を向上させるという目的を達成することができなくなる。
【0086】
環状体2は、その径方向において遠心霧化ディスク1との距離3が、1~20mmであり、好ましくは、5~15mmであり、距離3が小さすぎると、帯状加速風速場を生成することができず、距離3が大きすぎると、液滴の相対速度を向上させる帯状加速風速場の作用を実現できない。
【0087】
遠心霧化ディスク1の直径は、50~300mmである。
液滴が遠心霧化ディスクから弾き飛ばされる速度を向上させ、遠心霧化効果を向上させるためには、分流溝11をアルキメデス曲線状とする。
遠心霧化ディスク1の回転速度は、2000~50000回転/分であり、好ましくは、10000~50000回転/分である。
【0088】
動作状態において、遠心霧化ディスク1が回転して液滴を分流溝11から弾き飛ばし、環状体2におけるの通気孔23は、その軸方向に沿って遠心霧化ディスク1に向いてガスを噴出し、ガスの噴出により生成された気流によって環状体2と遠心霧化ディスク1との間に、遠心霧化ディスク1自体の順方向風速場を弱めるか又は逆転させる逆方向風速場が生成される。
これにより、遠心霧化ディスク1と環状体2との間に帯状加速風速場が提供され、帯状加速風速場は液滴と空気との相対速度が向上され、また、通気孔23内で生成された高圧気流の方向と分流溝11から弾き飛ばされた液滴の方向が反対になり、それにより、液滴をさらに引き裂き、霧化効果がより良くなる。
高圧気流の流速が向上されると、帯状加速風速場の風速場方向を直接制御することができ、順方向風速場を弱めるか又はそれと互いに逆方向である帯状加速風速場を実現し、液滴の相対速度を能動的に向上させ、このとき、遠心霧化ディスク1の回転速度の向上を不要としても、液滴の粒径の大きさを大幅低下させることができ、簡単、便利且つ容易に実現できる。
【0089】
図9を参照すると、本発明の実施例は、図示されていない噴霧装置(手持ち噴霧機或いは噴霧ドローンなど)に設けられる遠心霧化装置をさらに提供し、複数の分流溝11が開設されている遠心霧化ディスク1を備え、各分流溝11は、遠心霧化ディスク1の中央位置から縁に向けて延伸する。
【0090】
遠心霧化ディスク1の外側には環状体2が設けられ、遠心霧化ディスク1は、噴霧装置の本体に対して回転可能に設けられ、環状体2も噴霧装置の本体に対して回転可能に設けられる。
遠心霧化ディスク1と環状体2とは、それぞれ対応するモータの駆動によって回転され、この環状体2と遠心霧化ディスク1とは、同軸で且つ互いに逆回転可能であり、この環状体2は、その径方向において遠心霧化ディスク1との間に距離3を有し、遠心霧化ディスク1の回転によってその周囲に順方向風速場が生成され、この順方向風速場は、遠心霧化ディスク1の中心の周りを時計回り或いは反時計回りに回転し、動作状態において、環状体2は、遠心霧化ディスク1との間に逆方向風速場を提供する。
この逆方向風速場の回転方向と順方向風速場の回転方向とは逆であり、逆方向風速場と順方向風速場との相互作用により、遠心霧化ディスクと環状体との間に帯状加速風速場が形成される。
環状体2には、その周方向に沿って複数の歯21が間隔を置いて設けられ、各歯21は、環状体2の中心を基準として外に向けて放射状に配置され、環状体2が回転する際に、歯21の遠心霧化ディスク1に近い側でその近傍の空気を連動させて流動させる。
これにより、帯状気流が生成され、複数の帯状気流によって逆方向風速場が形成され、この逆方向風速場が遠心霧化ディスク1自体の順方向風速場を弱めるか又は逆転させる。
このため、液滴の空気に対する相対速度を向上させることができ、霧化効果が向上する。
帯状気流の方向は、遠心霧化ディスク1から弾き飛ばされる液滴の方向と反対であり、液滴をより効果的に切断することができ、霧化効果がさらに向上する。
【0091】
歯21は、環状体2の周方向に間隔を置いて均一に分布される。
歯21の径方向断面は、矩形又は弧状であり、歯21の径方向断面が矩形である場合、遠心霧化ディスク1上で矩形の長辺の中点を通る半径と当該長辺との間の挟角は、0°~60°であり、歯21の径方向断面が弧状である場合、遠心霧化ディスク1上で弧状の中点を通る半径とこの弧状の中点を通る接線との間の挟角は、0°~60°である。
【0092】
液滴は、帯状気流を経由後に歯21に衝突し、隣り合う歯の間から発散される。
こうすると、衝突され後の液滴の粒径がより小さくなり、より均一になり、霧化効果がより良くなる。
歯21の挟角の設計により、衝突の効果がより良くなり、より一層、45°の最適入射角での衝突を実現でき、霧化効果がより良い。
【0093】
隣り合う2つの歯21同士の周方向距離は、2mmより大きく、好ましくは、3mmより大きく、より好ましくは、4mmより大きく、歯21上の表面張力によって液膜が生成されることにより、液滴が歯21の表面に溜まることを防止するようにする。
【0094】
歯21は、放射方向におけるサイズが、2~4mmであり、その軸方向におけるサイズが3mmより大きく、放射方向に垂直な方向におけるサイズが0.5~1mmである。
歯21の放射方向におけるサイズが短すぎると、歯21を設計する際に密になりすぎて接着してしまう可能性があり、歯21の放射方向におけるサイズが長すぎると、複数の液滴が1つの歯21に同時に衝突して、歯21の表面に液膜が形成される。
これにより、次の液滴が液膜によって吸収され、衝突による霧化を実現できなくなり、前記歯21の径方向断面が弧状である場合、この弧に対応する弦長が当該歯の放射方向におけるサイズとなる。
【0095】
環状体2及び歯21には、電気めっきポリテトラフルオロエチレン層又はナノ層がコーティングされているため、環状体2及び歯21は、粘着しない効果を有し、液滴が溜まることを防止し、霧化効果が向上する。
【0096】
歯21と分流溝11との数の比は、0.5:1~2:1であり、好ましくは、1:1~1.8:1である。
【0097】
径方向における環状体2と遠心霧化ディスク1との間の距離3が、1~20mmであり、好ましくは、3~10mmであり、距離3が小さすぎると、帯状加速風速場を生成できず、距離3が大きすぎると、帯状加速風速場は、液滴の相対速度を向上させる作用を実現できないとともに、さらに衝突する効果も実現できなくなる。
【0098】
遠心霧化ディスク1の直径は、50~300mmである。分流溝11は、アルキメデス曲線状である。
遠心霧化ディスク1の回転速度は、2000~50000回転/分であり、好ましくは、10000~50000回転/分であり、環状体2の回転速度は、2000~50000回転/分であり、好ましくは、10000~50000回転/分である。
環状体2の回転速度を向上させることにより、帯状加速風速場の方向の転向を実現でき、環状体2の回転速度の増加に伴って、帯状加速風速場は、順方向風速場と同じ回転方向から順方向風速場と逆の回転方向に転向することができ、つまり、環状体2の回転速度を直接且つ能動的に制御することができ、液滴の空気に対する相対速度を向上させ、それにより液滴の噴霧粒径の大きさを低下させる。
本実施例において、環状体2の回転速度を選択することにより、液滴の噴霧粒径の大きさを簡単且つ便利に制御することができ、遠心霧化ディスクの回転速度の向上を不要としても、遠心霧化ディスクの回転速度が速すぎて割れてしまうのを避け、容易に実現することができる。
【0099】
動作状態において、液滴が遠心霧化ディスクから弾き飛ばされた後に帯状加速風速場の作用を受けて、液滴の空気に対する相対速度を向上させ、霧化効果が向上し、また、液滴が歯21に衝突し、正確な衝突によってさらなる霧化を実現し、霧状微粒子の均一度を向上させ、液滴の平均粒径を低下させ、平均粒径が30マイクロメートルの霧化効果、さらには、平均粒径が10マイクロメートル以下の霧化効果を達成することができる。
具体的な一実施例において、遠心霧化ディスク1の回転速度は、25000回転/分であり、環状体2の回転速度は、18000回転/分であり、遠心霧化ディスク1の直径は、100mmであり、距離3は、7mmである。
このとき、液滴の平均粒径が10マイクロメートル以下の霧化効果を実現でき、噴霧効果を著しく向上させ、これは、従来技術では達成しにくい効果である。
【0100】
簡略に説明するため、本実施例に言及されていない点は、上記の実施例を参照することができる。
【0101】
より好ましい形態は、
図10から
図14を参照されたい。
本実施例に係る駆動装置は、上記の実施例に記載の噴霧装置に属し、上記の実施例に説明されている技術的解決手段も、当該実施例に属する。
従来技術における駆動装置の構造が不安定で、慣性モーメントが大きいという問題のうち少なくとも1つを解決するため、本発明は、駆動装置100を提供し、
図10、
図11及び
図13を参照すると、機体から予め設定された長さだけ延出した第1出力軸101を含む第1駆動モータ10と、第1出力軸101が貫通して延出するように中空に形成された第2出力軸201を含み、第1駆動モータ10と同軸で直列になる第2駆動モータ20とを備えている。
第1出力軸101を第2出力軸201に挿通して2つの駆動モータを直列に設けることにより、第1出力軸101及び第2出力軸201の直径を小さくし、慣性モーメントを低下させ、駆動装置の回転速度を増加させ、これにより、回転速度の高い噴霧装置を実現する。
【0102】
なお、駆動装置100の横断面の円心を結ぶ線の方向を軸線方向と定義し、駆動装置100の横断面の円の直径方向を径方向と定義する。
ここで、第1駆動モータ10と第2駆動モータ20とを同軸で直列に設け、つまり、第1駆動モータ10は、軸線方向に沿って同軸で第2駆動モータ20に重ねて設けられ、軸線方向に沿う第2出力軸201を貫通する軸線方向に沿う第1出力軸101のみが両者間を通る。
このように設計すると、第1出力軸101及び第2出力軸201の直径をできるだけ小さくすることができ、直径が小さいほど、駆動モータの慣性モーメントが小さくなり、高速回転時より安定になる。
第1出力軸101の予め設定された長さは、第2駆動モータの長さより長く、第2駆動モータ20の長さ及び挟持する回転盤などの要因によって変更されることができるので、ここでは、限定しない。
【0103】
駆動装置100は、第2出力軸201の末端に同軸で設けられる接続部材4及び固定部材5をさらに備えている。
第1出力軸101及び第2出力軸201を支持し、安定化させるために、接続部材4の一端は、第2出力軸201に外挿されて固定され、他端には、第1出力軸101に外挿された固定部材5が充填される。
なお、第2出力軸201の末端は、第1出力軸101が延出する一端である。
具体的には、
図10に示すように、接続部材4は、中空の円筒状であり、第2出力軸201の末端がその一端に深く入って接続固定される。
接続方法としては、締まりばめ接続が好ましく、つまり、第2出力軸201の末端の最大外径がそれに嵌合する接続部材の一端の最大内径より大きく、外力で接続部材4を第2出力軸201に緊密に外挿させるのであり、構造が簡単で、組立が容易である。
もちろん、第2出力軸201及び接続部材4の接続方法は、これに限定されることではなく、ボルト接続、リベット接続などであってもよい。
接続部材4及び固定部材5を第2出力軸201から延出した第1出力軸101の一端に設けることにより、最長距離で2つの出力軸を支持することができ、第1出力軸101或いは第2出力軸201の長さが長すぎて末端構造が不安定になって、互いに接触又は摩擦して回転に影響を及ぼすことを防止し、2つの駆動モータの出力軸の安定性を最大限に保証して、回転効果を向上させる。
【0104】
選択的に、駆動装置100は、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ20の外側に外挿されて、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ20を固定させるハウジング30をさらに備えている。
第1駆動モータ10及び第2駆動モータ20を共に1つのハウジング30内に設けらせることは、構造が合理的で、装置が安定的であり、取り付けが容易になる。
【0105】
本発明の実施例は、第1出力軸及び第2出力軸を直列に設けるとともに、第1出力軸を第2出力軸に挿通することにより、慣性モーメントが低下され、回転速度が向上され、20000回転/分以上の高速回転を実現することができる。
2つの駆動モータが同一のハウジング30に直列に設けられることにより、2つの出力軸同士の位置関係が安定化され、摩擦が回避され、接続部材と固定部材の嵌合により、2つの出力軸同士の位置がより安定的であり、回転に対する摩擦の影響が低下される。
【0106】
簡略に説明するため、本実施例に言及されていない点は、上記の実施例を参照することができる。
【0107】
より好ましい形態は、
図10及び
図15、
図16、
図17、
図18並びに
図19を参照すると、本実施例に係るデュアル駆動噴霧装置は、上記の実施例に記載の噴霧装置に属し、上記の実施例に説明された技術的解決手段も、当該実施例に属する。
本実施例に係るデュアル駆動噴霧装置は、上記の実施例に係る駆動装置を備えている。
【0108】
従来技術におけるデュアル駆動噴霧装置の慣性モーメントが大きく、構造が不安定であるという問題のうち少なくとも1つを解決するために、本発明は、デュアル駆動噴霧装置200を提供している。
図10、
図16、
図17を参照すると、デュアル駆動噴霧装置200は、上記の実施例に係る駆動装置と、第1出力軸101に外挿されてそれに固定接続される第1回転盤14と、第2出力軸201に外挿されてそれに固定接続される第2回転盤24と、を備えている。
選択的に、第1回転盤14の中央位置には、第1出力軸101が貫通される第1位置決め穴141が設けられ、第1位置決め穴141の形状が第1出力軸101の横断面の形状と互いに相補されることにより、第1出力軸101が第1位置決め穴141を貫通して強固に固定される。
ここで、固定方法は、限定せず、ボルト、締結具などを介して接続されてもよく、好ましくは、構造が簡単で、取り付けが容易になるように、第1出力軸の最大外径を第1位置決め穴の直径より大きく設計して、第1出力軸と第1位置決め穴とを締まりばめ接続で固定する。
選択的に、第2回転盤24の中央位置には、第2出力軸201が貫通される第2位置決め穴241が設けられ、第2位置決め穴241の形状が第2出力軸201の横断面の形状と互いに相補されることにより、第2出力軸201が第2位置決め穴241を貫通して強固に固定される。
ここで、固定方法は、限定せず、ボルト、締結具などを介して接続されてもよく、好ましくは、構造が簡単で、取り付けが容易になるように、第2出力軸の最大外径を第2位置決め穴の直径より大きく設計して、第2出力軸と第2位置決め穴とを締まりばめ接続で固定する。
【0109】
デュアル駆動噴霧装置200は、第2出力軸201の末端に同軸で設けられる接続部材4及び固定部材5をさらに備えている。
第1出力軸101及び第2出力軸201を支持して安定化させるために、接続部材4の一端は、第2出力軸201に外挿されて固定され、他端には、第1出力軸101に外挿された固定部材5が充填される。
なお、第2出力軸201の末端は、第1出力軸101が延出する一端である。
具体的には、
図15に示すように、接続部材4は、第2回転盤24と第1回転盤14との間に設けられるとともに、第2出力軸201の末端に固定されたものであり、固定部材5は、第1出力軸101に外挿されるとともに、接続部材4の内部に充填されるものであり、第1出力軸101及び第2出力軸201は、固定部材5によって支持されることにより、両者間の衝突・摩擦が防止される。
このデュアル駆動噴霧装置200は、2つの駆動モータが同軸同心で設けられ、同じ側で2つのモータで2つの回転盤を回転させ、接続部材と固定部材との協力によって慣性モーメントを低下させることができ、2つの駆動モータの構造がより強固になり、回転がより安全且つ効果的であり、より安定的で且つより高効率な噴霧作業を実現することができる。
【0110】
選択的に、第2回転盤24は、接続部材4に外挿されて第2出力軸201に固定接続することができる。
図17に示すように、第2位置決め穴241は、接続部材4を介して第2出力軸201に固定接続される。
図15の実施例との異なる点は、下記の通りである。
接続部材4が、第2出力軸201と第2回転盤24との間に設けられ、接続部材4の横断面の形状と互いに相補する第2位置決め穴241を介して第2回転盤24が接続部材4に固定接続される。
接続部材4自体が第2出力軸201に固定接続されるため、つまり、第2出力軸201、接続部材4、第2回転盤24との三者が接続固定されるため、接続部材4の取り付けスペースが大幅に節約され、第1回転盤14と第2回転盤24との間の距離が大きすぎることを回避することができる。
ここでは、接続方法は、限定せず、ボルト接続、締まりばめ接続、射出成形接続などであってもよい。
【0111】
選択的に、接続部材4は、中空凸部である嵌合部41を含み、嵌合部41は、固定部材5を充填するための充填室42を形成し、第2回転盤24は、嵌合部41に外挿される。
ここで、第2位置決め穴241は、接続部材4の一端の嵌合部41に接続固定されることにより、接続部材4全般に固定される必要がなく、第2回転盤24の構造設計を減らしながら、巧みに固定部材5を充填することができるので、接続部材4及び固定部材5の取り付けスペースをさらに節約することができる。
【0112】
好ましくは、嵌合部41にその周方向に沿ってフランジ43を設けることにより、第2回転盤24との接触面積を増やすことができ、固定後の離脱防止効果がより良く、第2回転盤24と接続部材4との固定接続の強さを増加させて、安全性及び安定性を向上させることができる。
【0113】
選択的に、第1回転盤14は、第1出力軸101の末端に外挿され、第2回転盤24は、軸線方向上で第1回転盤14と軸方向距離を有している。
なお、第1出力軸101の末端は、デュアル駆動噴霧装置200を垂直に置くときの最下端であり、デュアル駆動噴霧装置200と作業対象との距離が最も近い一端でもある。
軸線方向における、第2回転盤24と第1回転盤14との軸方向距離は、両回転盤が互いに衝突して回転及び噴霧効果に影響を及ぼすことがない程度に保証されることができれば、軸方向距離に対して限定せず、当業者が要求によって設計することができる。
具体的には、第1出力軸101、第2出力軸201、第1位置決め穴141、第2位置決め穴241が同軸になるように設計され、第1出力軸101は、第2出力軸201の一端から一定の長さだけ延出され、第1回転盤14及び第2回転盤24は、互いに干渉することなく、それぞれ第1出力軸101、第2出力軸201の回転によって連動されて互いに異なる水平面上で同軸動きを行うので、非常に高い速回転を達成することができる。
ここで、延出する長さは、限定せず、第2回転盤24と第1回転盤14との軸方向距離に関連され、当業者が回転盤の大きさや霧化効果に対する影響要因に基づいて設計することができるものであり、第1出力軸101に接続している第1回転盤14と第2出力軸201に接続している第2回転盤24とが互いに干渉せず、霧化効果に影響しないことを保証できればよい。
【0114】
具体的な噴霧方法は、下記の通りである。
図18を参照すると、第2回転盤24には、複数の遠心流路242が設けられており、第2出力軸201の駆動によって高速回転する第2回転盤24は、注入された薬液を遠心力で霧化させて微細なミスト滴を形成し、第2回転盤24には、ミスト滴の飛び散りを防止するための蓋部材がさらに設けられ、蓋部材には、液体を第2回転盤24に注入させるための給水口が設けられている。
もちろん、ある場合においては、蓋部材を設けず、液体を第2回転盤24に直接に注入させてもよい。
第1回転盤14は、第2回転盤24と同軸で設けられ、その径方向の側面には、周方向に沿って複数の歯142が設けられ、歯142は、第2回転盤24の軸方向側辺との間に径方向距離を有している。
このように設計することにより、第1回転盤14が第2回転盤24の外側よりも延出され、第1回転盤14の歯が第2回転盤2の外側よりも延出されている。
組立状態で、歯142は、第2回転盤24の軸方向の側面で歯142の上端面の高さが第2回転盤24の水平高さ以上になるように延出される。
これにより、第2回転盤24から弾き飛ばされたミスト滴が全面的に2次霧化され、可能な限り多いミスト滴が2次霧化されることを保証することができる。
一実施例において、歯142の上端面の高さが、第2回転盤24の水平高さより小さいようにしてもよく、このとき、第2回転盤24の上方に風力装置を設けて、風力装置の作用により、ミスト滴は、下降傾向があり、歯142の高さを増加することなく、全面的な2次霧化を実現することができる。
第1出力軸101の駆動によって高速回転する歯142は、ミスト滴に対して衝突して2次霧化の目的を実現し、ミスト滴の粒径を小さくしてミスト滴の均一性を向上させることができ、30マイクロメートル以下のミスト滴を形成できる効果がある。
径方向距離は、第1回転盤14の回転速度、第2回転盤24の回転速度、歯の大きさ、歯の密度、達成しようとするミスト滴の粒径の大きさなどに関連し、ここでは限定しない。
また、歯142の高さと第2回転盤24の水平高さの関係を考慮して、第1回転盤14及び第2回転盤24を設計する際に、軸方向距離が大きすぎてはいけず、そうでなければ、歯142の構造が高すぎて回転速度に影響を及ぼすことができる。
【0115】
選択的に、
図17に示すように、固定部材5は、第1出力軸101に固定接続される内環51と、接続部材4に固定接続される外環52と、内環51と外環52との間に設けられて転がり摩擦を形成する転動体53と、を備えている。
具体的には、固定部材5は、内環51、外環52、転動体53及び保持器54を備えている。
内環51は、第1出力軸101の回転に伴って回転され、外環52は、第2出力軸201の回転に伴って回転され、内環51及び外環52は、複数の転動体53を介して転がり摩擦回転を行い、保持器54は、内環51及び外環52に均等に分布している複数の転動体を保持する。
このように、固定部材5及び接続部材4は、第1出力軸101及び第2出力軸201を支持し、摩擦係数を低下させ、抵抗の影響を低減させるように協力し、これにより、両出力軸が接触して摩擦が生じることを回避することができる。
なお、
図11に示す固定部材5の構造は、
図15及び
図17と同じであるため、ここで、その具体的な構造を省略する。
【0116】
なお、第1出力軸101は、第2出力軸201を貫通してから固定部材5を貫通し、接続部材4は、第2出力軸201及び固定部材5に同時に外挿されて両者と強固に接続されており、接続部材4の外側に第2回転盤24が外挿されて両者が接続される。
第2出力軸201が回転する際に、接続部材4、第2回転盤24及び固定部材5上の外環は、連動されて同じ回転速度で同じ方向に回転される。
固定部材5を貫通する第1出力軸101には、上から下の順に固定部材5の内環及び第1回転盤14が外挿され、第1出力軸101が回転する際に、第1回転盤14及び固定部材5の内環は、連動されて同じ回転速度で同じ方向に回転される。
固定部材5は、支持及び安定の役割を果たし、第1出力軸101と第2出力軸201との摩擦を防止する。
【0117】
好ましくは、接続部材4は、中空凸部である嵌合部41を含み、
図15、
図17及び
図19に示すように、この嵌合部41には、固定部材5を充填するための充填室42が形成されている。
具体的には、接続部材4は、中空の段付き円筒状であり、その一端には中空直径が他端より大きい嵌合部41が設けられ、嵌合部41は、固定部材5に外挿されて固定部材5を収容する。
このように、嵌合部41は、より容易に固定部材5を収納することができ、組立が容易になり、取り付けの適否の検証も容易になり、また、第2出力軸201の側壁の径方向幅を大きくするか、又は固定部材5の最大外径を小さくするとの不適なことも回避することができる。
固定部材5は、一定のサイズを有し、サイズが小さすぎると、支持役割を実現できず、嵌合部41の設置により、固定部材5の嵌合収容のために第2出力軸201の側壁の径方向幅を大きくすることを回避でき、第2出力軸201の径方向幅が大きいほど、慣性モーメントも大きくなり、高速回転を実現できないことを防止することができる。
嵌合部41の設計により、固定部材5の組立が容易になるだけではなく、第2出力軸201の直径が大きすぎて慣性モーメントが大きくなることを防止する。
嵌合部41を第2出力軸201と第2回転盤24との間に設けることにより、さらに、第2回転盤24の構造の設計を減らすことができ、接続部材4及び固定部材5の全体的な取り付けスペースを節約して、一石多鳥の効果が得られる。
【0118】
デュアル駆動噴霧装置200について、選択的に、第1出力軸101は、直径≦8mmで、第2出力軸201は、中空直径≦12mmで、第2出力軸201の側壁は、径方向幅d≦5mmである。
ここで、側壁の径方向幅は、第2出力軸201の径方向での側壁の厚さである。
さらに、例えば、第1出力軸101の直径は、5mmで、第2出力軸201の中空直径は、6mmで、側壁の径方向幅dは、1mmであり、又は、第1出力軸101の直径は、4mmで、第2出力軸201の中空直径は、5mmで、側面の径方向幅dは、2mmであるなど、第1出力軸101及び第2出力軸201をより小さく設計してもよく、当業者は、構造要件によって第1出力軸101及び第2出力軸201のサイズを設計してもよく、そのサイズに対しては限定しない。
好ましくは、第1出力軸101の直径、第2出力軸201の中空直径及び側壁の径方向幅dを小さく設計するほど、慣性モーメントが小さくなり、高速回転がより実現されやすい。
【0119】
選択的に、第1出力軸101と第2出力軸201とは、互いに嵌合するように径方向隙間を有し、当該径方向隙間は、a≧0.1mm及び/又は≦1mmであり、第1出力軸101は、円筒状であり、第2出力軸201は、中空の円筒状であり、両者は、嵌合貫設される。
ある場合では、第1出力軸101と第2出力軸201とが接触して摩擦が生じて、モータの出力に影響を及ぼし、高速回転を実現できなくなることを防止するために、径方向隙間aが小さすぎてはいけず、≧0.1mmである必要がある。
別の場合では、その径方向隙間aは、大きすぎてもいけず、第1出力軸101と第2出力軸201との隙間が大きすぎると、第2出力軸201の直径も大きすぎ、慣性モーメントが大きくなって、高速で回転することを実現できなくなることを防止するために、径方向隙間はa≦1mmである。
径方向隙間aは、≧0.1mm及び≦1mmを同時に満たしてもよく、≧0.1mm、或いは、≦1mmのうちのいずれか1つの条件を満たしてもよく、ここでは限定しない。
【0120】
選択的に、第1駆動モータ10は、内輪に設けられて第1出力軸101が回転されるように駆動する第1ロータ13と、外輪に設けられる第1ステータ12と、を備え、第2駆動モータ20は、内輪に設けられて第2出力軸201が回転されるように駆動する第2ロータ23と、外輪に設けられる第2ステータ202と、を備えている。
第1ステータ12及び第2ステータ202は、それぞれ第1駆動モータ10及び第2駆動モータ20の外側に外挿されるハウジング30に固定接続される。
具体的には、ハウジング30は、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ20の外側に外挿され、第1ステータ12及び第2ステータ202を介して第1駆動モータ10及び第2駆動モータ20をハウジング30に固定させ、構造が合理的で、装置が安定的であり、取り付けやすい。
ここで、第1ステータ12及び第2ステータ202のそれぞれとハウジング30との接続方法に対しては限定せず、締まりばめ接続、ネジ接続、スナップ接続、接着剤接続などを含み、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ20がそれぞれハウジング30に接続される堅固さを保証できればよい。
第1ロータ13は、第1出力軸101が回転されるように駆動し、第2ロータ203は、第2出力軸201が回転されるように駆動し、第1ステータ12及び第2ステータ202は、それぞれハウジング30に固定される。
このように、両駆動モータの間に余分な安定部材を設ける必要なく、第1出力軸101及び第2出力軸201の位置関係を保証でき、両者間の接触による摩擦が回転に影響を及ぼすことを防止することができる。
なお、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ20は、ブラシ付きモータであっても、ブラシレスモータであってもよい。
【0121】
好ましくは、第2出力軸201の前記第2駆動モータ20を貫通する両端にそれぞれ軸受6を外挿し、第1出力軸101の前記第2駆動モータ20に近い一端にも軸受6を外挿することができる。
図17を参照すると、第1出力軸101に軸受6が外挿され、第2出力軸201に2つの軸受が外挿されることにより、第1出力軸101及び第2出力軸201を支持し、安定化させる役割を果たす。
3つの軸受6は、第2出力軸201の末端に設けられた接続部材4及び固定部材5と協力して、第1出力軸101及び第2出力軸201が互いに衝突・摩擦することなく、安定的に作動することができ、第1出力軸101の長さがどれだけ長くても、回転が不安定になって回転の制御に影響を及ぼすことは発生しない。
別の実施例において、
図10及び
図15に示すように、第1出力軸101の第2駆動モータから離れた一端にも軸受6が外挿されることができる。
こうすると、第1ロータ13の両側のいずれにも軸受6が設けられて、第1出力軸の安定性を保証することができる。
もちろん、軸受の増加により、コストや重量が増加することができる。
【0122】
好ましくは、軸受6と第1ロータ13との間、及び、軸受6と第2ロータ203との間にそれぞれスリーブ7を設けて、第1ロータ13及び第2ロータ203が回転中に上下に動いて、回転に影響を及ぼすことを回避することができる。
【0123】
選択的に、第2駆動モータ20の接続部材4に近い一端にエンドカバーが設けられ、エンドカバーの中央位置に密封部材8が設けられ、密封部材8が、第2出力軸201に嵌設されて、防塵・防水の目的を達成することができる。
エンドカバーとハウジング30とは、密封接続され、その内に第1駆動モータ10及び第2駆動モータ20を収容する。
【0124】
以下では、例を挙げて、デュアル駆動噴霧装置200の動作について説明する。
第2駆動モータ20は、第2出力軸201が時計回りに回転するように駆動する。
それにより、第2回転盤24が連動されて時計回りに回転し、第1駆動モータ10は、第1出力軸21が反時計回りに回転するように駆動し、第1回転盤14が連動されて反時計回りに回転し、回転速度は、いずれも20000回転/分以上に達し得る。
複数の遠心流路242が設けられている第2回転盤24に薬液を注入し、薬液は、高速回転する遠心流路242の作用によって引き裂かれて微細なミスト滴を形成し、また、第1回転盤14には、複数の歯142が設けられており、高速回転する歯142は、ミスト滴に対して2次霧化の作用を果たし、ミスト滴の粒子がより小さくなり、より均一になり、30マイクロメートル以下の霧化効果を実現することができる。
なお、第1出力軸及び第2出力軸の回転方向を限定せず、同じ方向であっても、逆方向であってもよく、時計回りに回転しても、反時計回りに回転してもよく、当業者は、要求によって第1駆動モータ及び第2駆動モータの回転方向を制御することができる。
【0125】
本発明は、第1出力軸と第2出力軸とを直列に設けるとともに、第1出力軸を第2出力軸に挿通することにより、慣性モーメントを低下させ、回転速度を向上させ、20000回転/分以上の高速回転を実現している。
2つの駆動モータは、同一のハウジング30に直列に設けられることにより、2つの出力軸同士の位置関係が強固になり、摩擦を回避し、接続部材及び固定部材の嵌合により、2つの出力軸同士の位置がより安定的であり、回転に対する摩擦の影響を低下させる。
接続部材及び固定部材が第2出力軸と第2回転盤との間に設けられることにより、接続部材及び固定部材の取り付けスペースを大幅節約し、また構造が簡単で、取り付けやすく、第2出力軸及び第2回転盤の接続の堅固さも保証することができる。
【0126】
上記の実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱しない前提で、さらに様々な変更や変形が可能であり、そのため、すべての均等な技術的解決手段も本発明の範囲に属すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の実施例に係る遠心霧化構造は、霧状微粒子の均一度を向上させることができ、衝突により、霧化がより十分になり、霧状微粒子もより均一になり、かんがい・噴霧がより均一で、より浸透しやすくなるとともに、薬液の使用量を効果的に節約することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 ・・・遠心霧化ディスク
11 ・・・分流溝
2 ・・・環状体
21 ・・・歯
23 ・・・通気孔
3 ・・・距離
100 ・・・駆動装置
10 ・・・第1駆動モータ
101 ・・・第1出力軸
12 ・・・第1ステータ
13 ・・・第1ロータ
14 ・・・第1回転盤
141 ・・・第1位置決め穴
142 ・・・歯
20 ・・・第2駆動モータ
201 ・・・第2出力軸
202 ・・・第2ステータ
203 ・・・第2ロータ
24 ・・・第2回転盤
241 ・・・第2位置決め穴
242 ・・・流路
30 ・・・ハウジング
4 ・・・接続部材
41 ・・・嵌合部
42 ・・・充填室
43 ・・・フランジ
5 ・・・固定部材
51 ・・・内環
52 ・・・外環
53 ・・・転動体
54 ・・・保持器
6 ・・・軸受
7 ・・・スリーブ
8 ・・・密封部材
200 ・・・デュアル駆動噴霧装置