(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】双腕ロボット組立システム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20230823BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20230823BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
B25J19/06
G05B19/42 J
G05B19/42 H
(21)【出願番号】P 2022069367
(22)【出願日】2022-04-20
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】202210266215.2
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】No.252,ShanYing Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan, R.O.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李孟宗
(72)【発明者】
【氏名】林漢卿
(72)【発明者】
【氏名】王錫裕
(72)【発明者】
【氏名】黄柏喬
(72)【発明者】
【氏名】黄正豪
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特許第6343353(JP,B2)
【文献】特開2021-030397(JP,A)
【文献】特開平08-216074(JP,A)
【文献】特開2019-136848(JP,A)
【文献】特開2016-198839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/22
B25J 19/06
G05B 19/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ラインに適用される双腕ロボット組立システムであって、
制御ユニットと、
前記制御ユニットと通信接続され、一端に第1ツールが設けられる第1ロボットアームと、
前記制御ユニットと通信接続され、一端に第2ツールが設けられる第2ロボットアームと、
グラフィカルユーザインタフェースであって、前記制御ユニットと通信接続され、グラフィックプログラム編集ページを提供し、前記グラフィックプログラム編集ページは、複数の指令ブロックを提供し、前記複数の指令ブロックは、
少なくとも1つの直列関係又は少なくとも1つの並列関係に基づいて、前記制御ユニットが前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを制御して組立作業を行う際に実行するグラフィカルプログラムを編集するために用いられ、各前記指令ブロック
には、前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアー
ムが実行可能な動作、各動作の対応位置、及び前記第1ロボットアームと前記第2ロボットアームとの相互間のハンドシェイク情報がそれぞれ記録されており、前記直列関係とは、複数の前記指令ブロックの動作が逐次的に実行されることを意味し、前記並列関係とは、複数の前記指令ブロックの動作が同時に実行されることを意味するグラフィカルユーザインタフェースと、を含み、
前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームのうちの少なくとも一方には、外力操作を受けて、前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームを牽引し、ポイント教示プログラムを直接行うポイント教示ツールが設けられている、
双腕ロボット組立システム。
【請求項2】
前記第1ツールは組立ツールであり、前記第2ツールは挟持ツールである、
請求項1に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項3】
前記グラフィックプログラム編集ページは、予め設定された複数の指令ブロックを提供する動作指令領域と、前記複数の指令ブロックに基づいて前記グラフィカルプログラムを編集するプログラム編集領域とを含む、
請求項1に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項4】
複数の前記指令ブロックは、前記動作指令領域から前記プログラム編集領域にドラッグされるときに、相互間の
前記直列関係又
は前記並列関係が確立され、前記プログラム編集領域は、少なくとも1つの前記直列関係又は少なくとも1つの前記並列関係を有する複数の前記指令ブロックに基づいて、前記グラフィカルプログラムを生成する、
請求項3に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項5】
前記ポイント教示ツールは、少なくとも前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームに配置されるハンドルを含み、
前記ハンドルに起動ボタンを有し、前記起動ボタンが押されると、前記ハンドルは前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームを牽引移動するとともに、前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームの平面空間におけるX軸及びY軸にある位置を変更し記録する、
請求項1に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項6】
前記ポイント教示ツールは、少なくとも前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームに配置される設定ボタンを含み、
前記設定ボタンは、前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームの各関節軸に対して微細な制御を行うとともに、前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームの前記平面空間おける位置を調整する、
請求項5に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項7】
前記制御ユニットはシミュレーションソフトを実行するように構成され、
前記シミュレーションソフトは、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームの現在設定値に基づいて前記グラフィカルプログラムをシミュレーション実行し、かつ前記グラフィカルプログラムのサイクルタイムを記録し、かつ前記第1ロボットアームと前記第2ロボットアームが前記グラフィカルプログラムの実行期間における干渉状況を分析する、
請求項1に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項8】
前記シミュレーションソフトは、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームが互いに干渉するとき、異なる色で干渉領域を前記制御ユニットの表示画面に表示する、
請求項7に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項9】
前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームに安全検出モジュールが配置され、
前記制御ユニットは、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームの作動を制御し、かつ前記安全検出モジュールが物体の接近を検出すると、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを制御して減速動作又は停止動作を実行する、
請求項1に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項10】
前記安全検出モジュールは、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームのアーム情報に基づいて、前記双腕ロボット組立システムから異なる距離の領域を安全領域、警告領域及び危険領域に区分し、前記制御ユニットは、前記物体が前記安全領域、警告領域及び前記危険領域に入るとき、それぞれ前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを制御して、異なる程度の前記減速動作又は前記停止動作を実行する、
請求項9に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項11】
前記制御ユニットと通信接続され、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームの座標位置に対して校正と同期を行う3D校正プラットフォームをさらに含む、
請求項1に記載の双腕ロボット組立システム。
【請求項12】
前記制御ユニットと通信接続されるビジョンコントローラをさらに含み、
前記制御ユニットは、前記ビジョンコントローラを制御して必要な位置の画像を取り込むとともに、画像認識プログラムを実行し、
前記グラフィックプログラム編集ページは、前記ビジョンコントローラを制御して画像取込動作を実行する1つ又は複数の指令に対応する前記指令ブロックを提供する、
請求項1に記載の双腕ロボット組立システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを用いて実現される組立システムに関し、特に双腕ロボット組立システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の生産ラインは、主に単一のロボットアームと生産ラインにおける固定治具を組み合わせて、自動化された組立作業を実現する形態である。
【0003】
上述したように、生産ラインの工程変更が必要な場合(即ち、生産ラインで組み立てる製品を変更する場合)には、まず平面に固定されている固定治具を取り外し、次の製品を組み立てる際に使用する治具に変更しなければならない。このようにして、生産ラインの工程変更時間が大幅に遅くなり、現在の生産ラインの少量かつ多様な製品を生産する要求を満たすことができない。
【0004】
また、生産ラインの工程変更が行われると、組立製品に応じて固定治具を変更するほか、ロボットアーム制御時に実行するシステムの制御プログラムを再編集する必要がある。ただし、一部の生産ラインの管理者はプログラムを編集することができないため、このような生産ラインの操作と管理を行うことが困難である。
【0005】
さらに、ほとんどの生産ラインでは、ロボットアームにポイントの位置を教示するために、制御ボタンを用いるか、又はロボットアームのサーボモータを解除した(servo off)後にのみポイントを教示することができる。そのため、ロボットアームの教示は、手間がかかり、直感的ではない。
【0006】
以上のように、市場では、ロボットアームを用いて自動化された生産と組立を実現する場合に、迅速な生産ライン変更、容易なプログラミング及び便利な操作の要求を満たす新しい形態の組立システムが非常に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、少なくとも2つのロボットアーム及びグラフィカルユーザインタフェースによって、迅速な生産ライン変更、容易なプログラミング及び便利な操作を実現する双腕ロボット組立システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る双腕ロボット組立システムは、生産ラインに適用され、制御ユニットと、前記制御ユニットと通信接続され、一端に第1ツールが設けられる第1ロボットアームと、前記制御ユニットと通信接続され、一端に第2ツールが設けられる第2ロボットアームと、グラフィカルユーザインタフェースであって、前記制御ユニットと通信接続され、グラフィックプログラム編集ページを提供し、前記グラフィックプログラム編集ページは、複数の指令ブロックを提供し、前記複数の指令ブロックは、前記制御ユニットが前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームを制御して組立作業を行う際に実行するグラフィカルプログラムを編集するために用いられ、各前記指令ブロックは、前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームを制御する異なる制御指令及びデータにそれぞれ対応するグラフィカルユーザインタフェースと、を含み、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアームのうちの少なくとも一方には、外力操作を受けて、前記第1ロボットアーム又は前記第2ロボットアームを牽引し、ポイント教示プログラムを直接行うポイント教示ツールが設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、生産ラインにおける迅速なライン変更の要求を満たすために、従来の生産ラインにおける固定治具の代わりに、少なくとも2つのロボットアームを利用する。さらに、本発明は、グラフィカルユーザインタフェースにより、ユーザがグラフィカルプログラムを編集するための指令ブロックを提供することで、容易なプログラミングの目的を達成することができる。また、本発明は、ロボットアーム上にポイント教示ツールを提供し、ユーザがロボットアームを直接牽引してポイント教示を行うことができ、操作が容易であるという技術的効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の具体的な実施形態に係るシステムのブロック図である。
【
図2】本発明の具体的な実施形態に係るシステムの概略図である。
【
図3】本発明の具体的な実施形態に係るシステム動作のフローチャートである。
【
図4】本発明の具体的な実施形態に係るグラフィックプログラム編集ページの概略図である。
【
図5】本発明の具体的な実施形態に係るグラフィカルプログラムの概略図である。
【
図6】本発明の具体的な実施形態に係るプログラムシミュレーションの概略図である。
【
図7】本発明の具体的な実施形態に係る手曳き式のポイント教示の概略図である。
【
図8】本発明の具体的な実施形態に係るロボットアームの概略図である。
【
図9】本発明の具体的な実施形態に係る安全検出の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施形態については、図面を参照しながら以下に説明する。
【0012】
本発明に係る双腕ロボット組立システムは、生産ラインに適用され、少なくとも2つのロボットアームを用いて組立作業を行うことにより、生産ラインの工程変更の時間を短縮し、現在の生産ラインの少量かつ多様な生産、組立の要求を達成する。ここで、ロボットアームは例えば、6軸ロボットアーム、水平多関節ロボット(Selective Compliance Assembly Robot Arm、SCARA)又はその他のタイプのロボットアームであるが、これらに限定されない。
【0013】
まず、
図1及び
図2を参照する。
図1は、本発明の具体的な実施形態に係るシステムのブロック図であり、
図2は、本発明の具体的な実施形態に係るシステムの概略図である。
【0014】
図1には、本発明に係る双腕ロボット組立システム(以下、組立システムと略称)1が示されている。
図1に示すように、組立システム1は、少なくとも制御ユニット10と、制御ユニット10と通信接続されるロボット2及びグラフィカルユーザインタフェース(GUI)3とを含む。本発明において、制御ユニット10は、例えば、産業用コンピュータ(IPC)、サーバー、パーソナルコンピュータ、ノートパソコン、又はタブレットなど、プロセッサを有する電子装置であってもよいが、これらに限定されない。
【0015】
一実施形態において、ロボット2及びグラフィカルユーザインタフェース3は、それぞれ有線(例えば、ケーブル又はネットワークケーブルなど)又は無線(例えば、Wi-Fi(登録商標)又はイーサネット(登録商標)など)によって制御ユニット10と通信接続される。別の実施形態において、グラフィカルユーザインタフェース3は、制御ユニット10に内蔵され、制御ユニット10によって直接提供されるが、これらに限定されない。
【0016】
図1及び
図2に示すように、ロボット2は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22を含んでもよい。ここで、第1ロボットアーム21は左手を表し、第2ロボットアーム22は右手を表してもよい。具体的には、
図1の実施形態では、2つのロボットアームを例に挙げているが、本発明に係る組立システム1は、2つのロボットアームに限定されるものではない。理解しやすいように、以下の説明では第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22を例として説明するが、本発明を限定するものではない。
【0017】
第1ロボットアーム21の一端には第1ツール211が設けられ、第2ロボットアーム22の一端には第2ツール221が設けられている。具体的には、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22には、それぞれフランジ面(Flange)を有し、上記第1ツール211及び第2ツール221は、それぞれ第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22のフランジ面に配置されている。このフランジ面はロボット分野の技術常識であるため、ここでは説明を省略する。
【0018】
一実施形態において、第1ツール211及び第2ツール221は同じツールであってもよく、例えば、電気爪、電気錠、溶接ガンなどであってもよいが、これらに限定されない。他の実施形態において、第1ツール211及び第2ツール221は異なるツールであってもよく、例えば、第1ツール211は組立ツールであり、第2ツール221は挟持ツールであってもよい。
【0019】
上記実施形態において、組立システム1は、第1ロボットアーム21及び第1ツール211を制御して主な組立動作を行う。また、組立システム1は、従来生産ラインに用いる固定治具の代わりに、第2ロボットアーム22及び第2ツール221を使用する。これにより、1つの補助アーム(即ち、第2ロボットアーム22)によって1つの主要アーム(即ち、第1ロボットアーム21)を補助する操作状況で、組立作業を迅速かつ精確に完了することができる。また、固定治具を取り外さずに第1ツール211及び第2ツール221を交換するだけで、迅速なライン変更の要求を達成することができる。
【0020】
具体的には、生産ラインが生産や組立製品を変更する必要がある場合、生産ラインの管理者は、第1ツール211及び/又は第2ツール221を交換し、制御ユニット10が第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22を制御する際に実行する制御プログラムを再構成するだけでよい。ロボットアームのツールを交換する時間は、従来プラットフォームにロックされていた固定治具を取り外し、交換された固定治具を再ロックする時間よりもはるかに短い。これにより、生産ラインのライン変更時間を節約することができ、さらに迅速なライン変更の目的を達成することができ、しかも現在の生産ラインにおける少量で多様な生産、組立の要求を満たすことができる。
【0021】
グラフィカルユーザインタフェース3は、グラフィックプログラム編集ページを提供することができる。グラフィックプログラム編集ページに対する操作により、生産ラインの管理者は、組立システム1が第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22を制御して組立作業を行う際に実行するグラフィカルプログラムを直接編集することができる。
【0022】
具体的には、本発明に係るグラフィックプログラム編集ページは、事前に確立された複数の指令ブロックを提供することができ、各指令ブロックは、それぞれ第1ロボットアーム21又は第2ロボットアーム22の作動を制御する制御指令及びハンドシェイクデータを記録している。グラフィックプログラム編集ページで所望の複数の指令ブロックを編集することにより、管理者はプログラムを作成する能力がなくても、所望のグラフィカルプログラムを直接編集することができる(詳細は後述する)。これにより、本発明の容易なプログラミングの目的を達成することができる。
【0023】
なお、第1ロボットアーム21又は第2ロボットアーム22には、1つ又は複数のポイント教示ツール(例えば、
図7に示すポイント教示ツール23)が配置されていてもよい。ポイント教示ツール23を操作することにより、生産ラインの管理者は、サーボを解除しないサーボON(servo on)の状態で、第1ロボットアーム21及び/又は第2ロボットアーム22を手で直接牽引して、ロボット2のポイント教示プログラムを行う。本発明に係るポイント教示ツール23によれば、管理者は、ロボット2の補助力を得た状態で、より直感的にポイント教示プログラムを行うことができる(詳細は後述する)。
【0024】
図1に示すように、組立システム1は、制御ユニット10と通信接続される3D校正プラットフォーム4をさらに含んでもよい。本発明において、3D校正プラットフォーム4は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の座標位置に対して校正と同期を行うために用いられる。一実施形態において、3D校正プラットフォーム4は、遮光センサにしてもよい。
【0025】
校正を行う際に、制御ユニット10は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22をそれぞれ移動制御して、3D校正プラットフォーム4が発する光線を遮蔽する。上記光線が遮断されるとき、3D校正プラットフォーム4は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の現在座標を記録できる。これにより、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22に対して位置決めを行う。第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の位置決めが完了した後、3D校正プラットフォーム4は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の位置に対して校正と同期を行うことができる。
【0026】
具体的には、本発明は、3D校正プラットフォーム4によって第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22に対して校正を行うことにより、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22のうち一方のロボットアームは、それぞれ他方のロボットアームの相対位置を知ることができる。これにより、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の作動をより正確に制御することができる。
【0027】
次に、
図3を参照する。
図3は、本発明の具体的な実施形態に係るシステム動作のフローチャートである。本発明に係る組立システム1を使用するには、まず、生産ラインの管理者は、所望の組立作業に応じて動作プログラムを計画し(ステップS10)、計画された動作プログラムに従って、グラフィカルユーザインタフェース3を用いて、グラフィックプログラム編集ページにおいてグラフィカルプログラムを編集する(ステップS12)。
【0028】
上記動作プログラムは、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22が組立過程に実行する必要な1つ又は複数の動作、及び各動作を実行する時の位置、姿勢などの情報を含んでもよい。管理者は、上記動作プログラムの計画が完了すると、グラフィカルユーザインタフェース3を操作することで、グラフィックプログラム編集ページにおける複数の指令ブロックを用いて、動作プログラムに応じたグラフィカルプログラムを編集することができる。制御ユニット10は、グラフィカルプログラムを実行すると、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22を制御して、管理者がステップS10で計画した動作プログラムを実現し、組立作業を完了することができる。
【0029】
図1に示すように、本発明に係る制御ユニット10は、シミュレーションソフト30を実行することもできる。本発明において、シミュレーションソフト30は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22が上記動作プログラムを実行する結果をシミュレートするのに用いられる。
【0030】
図3に示すように、上記グラフィカルプログラムの編集が完了し、かつ制御ユニット10によって実際に実行される前に、シミュレーションソフト30は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の現在設定値に基づいて、グラフィカルプログラムをシミュレーション実行することができる。制御ユニット10は、シミュレーションソフト30のシミュレーション結果に基づいて、グラフィカルプログラムの実行に必要なサイクルタイム(Cycle time)を予測及び記録するとともに、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22が組立作業において発生可能な干渉状況を分析及び記録することができる(ステップS14)。
【0031】
このようにして、シミュレーション結果からサイクルタイムが需要に合わない(例えば時間が長すぎる)、又は第1ロボットアーム21と第2ロボットアーム22が衝突する可能性があることが判明した場合、管理者は、上記動作プログラムを再計画するか、又はグラフィカルプログラムを再編集することができる。
【0032】
上述したように、管理者がステップS10で計画した動作プログラムは、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22が各動作を実行する際の位置及び姿勢を含む。制御ユニット10がグラフィカルプログラムを実際に実行する前に、管理者は、ポイント教示ツール23により、第1ロボットアーム21及び/又は第2ロボットアーム22に手曳き式の直感的なポイント教示を行う(ステップS16)ことで、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22に各動作の正確な位置及び正確な姿勢を学習させる。これにより、組立精度を効果的に向上させ、サイクルタイムを短縮し、干渉問題を解決することができる。
【0033】
さらに、管理者は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22に対してパラメータの設定を行う(ステップS18)。例えば、上記第1ツール211又は第2ツール221が電気錠である場合、管理者は、ステップS18において電気錠に必要な各パラメータ(例えば、回転数、ロック時間の長さ、ロック力など)を設定することができる。
【0034】
上記のステップS10~S18が全て実行完了すると、管理者は、制御ユニット10に、上記グラフィカルプログラムを実際に実行させることができる。制御ユニット10は、グラフィカルプログラムを実際に実行すると、グラフィカルプログラムの内容に基づいて第1ロボットアーム21(及び第1ツール211)、及び第2ロボットアーム22(及び第2ツール221)を制御して、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22によって生産ラインでの組立作業を実現する(ステップS20)。
【0035】
図1に示すように、組立システム1は、制御ユニット10と通信接続されるビジョンコントローラ(Vision controller)5をさらに含んでもよい。本発明において、制御ユニット10は、組立過程においてビジョンコントローラ5を制御して、所望の位置の画像を取り込むとともに、画像に対して画像認識プログラムを実行して所望の情報を取得してもよい。これにより、組立作業の品質をさらに確保することができる。
【0036】
一実施形態において、管理者が計画する動作プログラムは、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及びビジョンコントローラ5の動作を同時に含んでもよい。例えば、動作プログラムは、次の表に示すことができる。
【表1】
【0037】
上表に示すように、管理者は組立作業に必要な順序に従って、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及びビジョンコントローラ5の動作プログラムを同時に計画できる。本実施形態では、グラフィックプログラム編集ページが提供する複数の指令ブロックにおいて、ビジョンコントローラ5を制御して画像取込動作を実行する指令に対応できる1つ又は複数の指令ブロックを含む。このようにして、管理者が計画した動作プログラムに従ってグラフィカルプログラムを編集する場合、制御ユニット10がグラフィカルプログラムを実行するときに、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及びビジョンコントローラ5を同時制御することができ、組立作業を実現する。
【0038】
一実施形態において、上記ビジョンコントローラ5は、少なくとも1つのカメラを含むが、これに限定されない。
【0039】
次に、
図4を参照する。
図4は、本発明の具体的な実施形態に係るグラフィックプログラム編集ページの概略図である。本発明に係る組立システム1は、グラフィカルユーザインタフェース3によってグラフィックプログラム編集ページ31を提供することができ、
図4に示すように、上記グラフィックプログラム編集ページ31には、動作指示領域32及びプログラム編集領域33を含む。
【0040】
上記動作指令領域32は、予め確立された複数の指令ブロック34を提供するために用いられる。
図4に示す実施形態において、複数の指令ブロック34は、第1ブロック341、第2ブロック342及び第3ブロック343を例とするが、これらに限定されない。
【0041】
各指令ブロック34は、それぞれ第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22又はビジョンコントローラ5を制御する指令及び対応位置を記録している。例えば、各指令ブロック34は、「第1ロボットアームが初期位置に移動する」、「第2ロボットアームがP1点に移動する」、「第1ロボットアームが降下する」、「第2ロボットアームのシリンダグリッパー(Cylinder Gripper)を開制御する」、「第1ロボットアームが180度回転する」、「ビジョンコントローラがP2点の映像を認識する」などの指令にそれぞれ対応してもよい。ただし、以上の説明は本発明の一部の具体的な実施形態にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
上記プログラム編集領域33は、管理者によって、複数の指令ブロック34を所望のグラフィカルプログラム35に編集するために用いられる。
【0043】
具体的には、管理者は、動作指示領域32から所望の複数の指示に対応する指令ブロック34を検索して選択し、これらの指令ブロック34を動作指示領域32からプログラム編集領域33内にドラッグすることができる。そして、管理者は、プログラム編集領域33において、計画された動作プログラムを参照して、これらの指令ブロック34相互間の直列関係又は並列関係を編集することにより、プログラム編集領域33における複数の指令ブロック34に基づいて、所望のグラフィカルプログラム35を生成することができる。言い換えると、プログラム編集領域33は、少なくとも1つの直列関係又は少なくとも1つの並列関係を有する複数の指令ブロック34に基づいて、上記グラフィカルプログラム35を生成することができる。
【0044】
図4に示すように、上記プログラム編集領域33は、複数のページ(例えば第1ページ、第2ページなど)をさらに提供し、管理者は異なるページで異なるグラフィカルプログラム35を編集してもよい。生産ラインを変更する際に、制御ユニット10は、対応するグラフィカルプログラム35を取得して第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及びビジョンコントローラ5を制御することで、ライン変更後の組立作業を行う。これにより、迅速なライン変更という本発明の目的を達成することができる。
【0045】
次に、
図5を併せて参照する。
図5は、本発明の具体的な実施形態に係るグラフィカルプログラムの概略図であり、前述のグラフィカルプログラム35をさらに説明するために用いられる。
【0046】
図5に示すように、管理者は、「第1ロボットアームが動作1を実行する」、「第1ロボットアームが動作2を実行する」及び「第1ロボットアームが動作3を実行する」3つの指令に対応する3つの指令ブロック34を連結して、プロセス1を確立することができる。また、管理者は、「第2ロボットアームが動作1を実行する」及び「第2ロボットアームが動作2を実行する」2つの指令に対応する2つの指令ブロック34を連結して、プロセス2を確立する。さらに、管理者は、プロセス1における複数の指令ブロック34とプロセス2における複数の指令ブロック34を並列関係351に設定することができる。言い換えると、制御ユニット10は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の作動を同時制御して、プロセス1及びプロセス2を同時実行する。
【0047】
次に、管理者は、プロセス1及びプロセス2が全て実行された後にプロセス3の実行を開始するように設定してもよい。また、管理者は、「第1ロボットアームが動作4を実行する」及び「第2ロボットアームが動作3を実行する」2つの指令に対応する2つの指令ブロック34を連結して、プロセス3を確立することができる。
図5に示す実施形態において、管理者は、プロセス3における複数の指令ブロック34を直列関係352に設定できる。言い換えると、制御ユニット10は、プロセス3を実行するときに、まず第1ロボットアーム21を制御して動作4を実行し、そして第2ロボットアーム22を制御して動作3を実行することで、プロセス3を完了する。
【0048】
本発明に係る複数の指令ブロック34は、主に、組立システム1の提供者が対応可能なプログラミング言語に基づいて予め作成して記憶されたものであり、各指令ブロック34には、ロボットアームが実行可能な動作、各動作の対応位置、及び複数のロボットアーム相互間のハンドシェイク情報などのデータがそれぞれ記録されている。指令ブロック34を使用することにより、管理者はプログラムを作成する能力がなくても、所望の動作、動作を実行するロボットアーム、動作の実行位置などの要求を直接選択し、グラフィカルプログラム35を直接編集することができる。
【0049】
また、指令ブロック34には複数のロボットアーム間のハンドシェイク情報が既に含まれているので、管理者は、グラフィカルプログラム35を編集するために、所望の複数の指令ブロック34を選択するだけでよく、ハンドシェイク指令を追加作成する必要はない。さらに、前述したように、管理者は、グラフィカルプログラム35の編集を完了した後、まずシミュレーションソフト30によってシミュレーション実行することで、グラフィカルプログラム35が要求を満たしているか否かを判断することができる。
【0050】
図6を併せて参照する。
図6は、本発明の具体的な実施形態に係るプログラムシミュレーションの概略図である。上記グラフィカルプログラム35の編集が完了した後、制御ユニット10は、まずシミュレーションソフト30を実行するとともに、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及びビジョンコントローラ5などの部材の現在設定値をシミュレーションソフト30にインポートする。これにより、シミュレーションソフト30は、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及びビジョンコントローラ5の現在設定値に基づいて、グラフィカルプログラム35をシミュレーション実行することができる。一実施形態において、現在設定値は、例えば、モデル、初期点位置、移動速度などであってもよいが、これらに限定されない。
【0051】
図6に示すように、シミュレーションソフト30は、シミュレーションページ300を提供して、制御ユニット10の表示画面に表示することができる。一実施形態において、シミュレーションソフト30は、上記現在設定値に基づいて、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及びビジョンコントローラ5のシミュレーション画像を生成して、シミュレーションページ300に表示する。シミュレーションソフト30がグラフィカルプログラム35をシミュレーション実行するときに、グラフィカルプログラム35の内容に従って上記シミュレーション画像を対応修正する。これにより、シミュレーションページ300に、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及びビジョンコントローラ5がグラフィカルプログラム35の指示に従って実際に作動する時のシミュレーション画像を表示する。シミュレーション画像は、静止画又は動画であってもよいが、これらに限定されない。
【0052】
本発明において、シミュレーションソフト30は、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及び/又はビジョンコントローラ5の現在設定値に基づいてグラフィカルプログラム35をシミュレーション実行し、現在設定値は、これらの部材の移動速度を含む。したがって、制御ユニット10は、シミュレーション実行の結果に基づいて、グラフィカルプログラム35を実行するサイクルタイムを分析及び記録することができる。
【0053】
管理者は、シミュレーションソフト30のシミュレーション実行によって、現在使用しているグラフィカルプログラム35が要求を満たしているか否か(例えば、サイクルタイムが長すぎるか否か)を確認でき、さらに第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及び/又はビジョンコントローラ5のパラメータ(例えば移動速度)を調整するか否かを決定するか、グラフィカルプログラム35を再編集するか、又は動作プログラムを再計画する(例えば組立プロセスを減らす)ことを決定する。これにより、編集されたグラフィカルプログラム35(及び計画された動作プログラム)は、オフラインシミュレーションによって事前に検証することができる。
【0054】
さらに、上記現在設定値は、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及び/又はビジョンコントローラ5のモデル、初期点位置及び移動速度などの情報を含む。そのため、シミュレーションソフト30は、グラフィカルプログラム35をシミュレーション実行する過程において、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及び/又はビジョンコントローラ5に干渉状況が発生するか否かを分析することができる。
【0055】
具体的には、上記干渉状況とは、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及び/又はビジョンコントローラ5がグラフィカルプログラム35の内容に従って作動を行う際に衝突するか否かを指す。また、
図6に示すように、シミュレーションソフト30は、シミュレーション実行の過程において、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及び/又はビジョンコントローラ5が特定時点に特定領域(以下、干渉領域301と称する)に相互に干渉すると判断した場合、干渉領域301をマークすることができる。一実施形態において、シミュレーションソフト30は、干渉領域301を異なる色(例えば赤色)でマークし、干渉領域301を制御ユニットの表示画面(例えば、シミュレーションページ300におけるシミュレーション画像)に表示することができる。
【0056】
干渉領域301に対する分析とマーキングにより、管理者は、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及び/又はビジョンコントローラ5のパラメータを再調整し、グラフィカルプログラム35を再編集し、又は動作プログラムを再計画することができる。これにより、制御ユニット10が実際に第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22及びビジョンコントローラ5を制御して組立作業を実行するときに、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22又はビジョンコントローラ5が衝突して損傷する問題を避けることができる。
【0057】
上述したように、本発明に係るグラフィカルプログラム35は、複数の指令ブロック34が並列関係351及び/又は直列関係352によって生成されるものである。ここで、各指令ブロック34は、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22又はビジョンコントローラ5を制御して特定動作を実行する指令を記録しているほか、動作の実行位置を含んでもよい。
【0058】
例えば、第1指令ブロックは「第1ロボットアーム21が材料を取る」指令に対応し、第2指令ブロックは「第2ロボットアーム22がP1点に移動する」指令に対応できる。この実施形態では、管理者は第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22にあるポイント教示ツール23を操作し、手で引っ張ることによって直感的に第1ロボットアーム21に材料取得領域の位置を教示するとともに、第2ロボットアーム22に上記P1点の位置を教示することができる。
【0059】
図7及び
図8を併せて参照する。
図7は、本発明の具体的な実施形態に係る手曳き式のポイント教示の概略図である。
図8は、本発明の具体的な実施形態に係るロボットアームの概略図である。ここで、
図7及び
図8に示すボットアームは、SCARAを例として説明しているが、SCARAに限定されるものではない。他の実施形態において、6軸ロボットアーム又は他のタイプのロボットアームが適用される。
図7に示すように、本発明に係るロボット2には、ポイント教示ツール23が設けられている。一実施形態において、上記ポイント教示ツール23は、第1ロボットアーム21又は第2ロボットアーム22に配置されてもよい。他の実施形態において、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22には、それぞれに1群のポイント教示ツール23が配置されてもよい。
【0060】
上記ポイント教示ツール23は、少なくとも第1ロボットアーム21及び/又は第2ロボットアーム22に配置されるハンドル231を含み、ハンドル231には起動ボタン232を有している。ハンドル231は、管理者の手で把持可能であり、起動ボタン232は、管理者の手の親指に対応する位置に設けられている。
【0061】
管理者が手でハンドル231を把持して親指で起動ボタン232を押すと、ハンドル231を引くことができ、さらに第1ロボットアーム21又は第2ロボットアーム22を牽引移動して平面空間におけるX軸及びY軸にある位置を変え、移動後の座標位置が記録される。
【0062】
例えば、管理者は、ハンドル231によって第1ロボットアーム21を材料取得領域の位置に直接牽引するとともに、第1ロボットアーム21の座標を材料取得領域の位置に記録することで、上記第1指令ブロックのポイント教示プログラムを完了する。制御ユニット10がグラフィカルプログラム35に基づいて第1ロボットアーム21を制御して材料取得動作を実行するとき、第1ロボットアーム21は、材料取得領域に正確に移動して材料取得を行うことができる。
【0063】
また、例えば、管理者は、ハンドル231によって第2ロボットアーム22をP1点の位置に直接牽引するとともに、第2ロボットアーム22の座標をP1点の位置(P1点は例えば1つの部品の組立位置とする)に記録することで、上記第2指令ブロックのポイント教示プログラムを完了する。制御ユニット10がグラフィカルプログラム35に基づいて第2ロボットアーム22を移動制御するとき、第2ロボットアーム22は、P1点の位置に正確に移動することができる。
【0064】
図7に示すように、ポイント教示ツール23は、第1ロボットアーム21及び/又は第2ロボットアーム22に配置される設定ボタン233をさらに含んでもよい。管理者は、ハンドル231によって第1ロボットアーム21又は第2ロボットアーム22を牽引移動するとき、設定ボタン233を同時に操作して、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22の各関節軸に対して微細な制御及び調整を行うことができる。
【0065】
図8に示すように、ロボット2(即ち、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22)には、J1軸、J2軸、J3軸及びJ4軸を有してもよい。ここで、J1軸及びJ2軸はロボット2の平面空間におけるX軸位置とY軸位置を制御するために用いられ、J3軸はロボット2の3D空間におけるZ軸位置を制御するために用いられ、J4軸(即ち、RZ軸)はロボット2の回転を制御するために用いられる。本実施形態において、管理者は、設定ボタン233を操作して、第1ロボットアーム21又は第2ロボットアーム22のJ3軸(即ち、Z軸)及びJ4軸(即ち、RZ軸)の位置を調整及び記録することができる。
【0066】
上記のJ1軸、J2軸、J3軸及びJ4軸はロボット分野の公知技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0067】
なお、J2軸上のアームは、J2アーム20と称してもよい。一実施形態において、ハンドル231及び設定ボタン233は、第1ロボットアーム21及び/又は第2ロボットアーム22のJ2アーム20に配置されてもよい。J2アーム20にポイント教示ツール23を配置することにより、管理者は、ロボットアームを牽引する際の力を省くことができる。
【0068】
より具体的には、本発明に係る組立システム1は、ポイント教示ツール23の配置により、管理者がサーボON(servo on)の状態で、手で引っ張ることによって第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22に対してポイント教示プログラムを行うことができる。ポイント教示を行う際に、管理者は、直感的に第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22をドラッグすることができ、かつドラッグするときに、ロボットアームによって補助力が提供されるため、操作及び教示の敷居を効果的に下げることができる。
【0069】
図1に示すように、本発明に係る組立システム1は、制御ユニット10と通信接続される安全検出モジュール6をさらに含んでもよい。制御ユニット10は、安全検出モジュール6の配置により、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22を制御して組立作業を実行するときに、第1ロボットアーム21や第2ロボットアーム22が外部物体と衝突するのを防止できるため、組立作業の安全性を確保することができる。
【0070】
図9は、本発明の具体的な実施形態に係る安全検出の概略図である。
図9に示すように、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22には、それぞれ安全検出モジュール6が配置されてもよい。一実施形態において、安全検出モジュール6は、J2アーム20に配置されてもよいが、これに限定されない。
【0071】
一実施形態において、安全検出モジュール6は、一定距離内の物体9の接近を検出するために、3Dビジョンセンサ、光学センサ、超音波センサ、又は物体を検出できる他のセンサを含んでもよい。ただし、以上の説明は本発明の一部の具体的な実施形態にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
一実施形態において、制御ユニット10は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22を制御して組立作業を実行するときに、安全検出モジュール6によって周囲に物体9が接近しているか否かを検出する。具体的には、安全検出モジュール6は、例えば光線又は光波を外部に発して、反射光又は反射波によって物体9が接近しているか否かを判断するとともに、上記物体9と第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22との間の距離を算出する。別の実施形態において、安全検出モジュール6は、一定範囲内に物体9が接近しているか否かを判断するために、例えば視覚的な検出方法を利用してもよい。
【0073】
一実施形態において、制御ユニット10は、安全検出モジュール6が物体9の接近を検出すると、第1ロボットアーム21及び/又は第2ロボットアーム22を制御して減速動作又は停止動作を実行する。このようにして、作業中の第1ロボットアーム21又は第2ロボットアーム22と上記物体9との衝突を避けることができる。
【0074】
より具体的には、上記安全検出モジュール6は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22のアーム長及び移動範囲などのアーム情報に基づいて、組立システム1から異なる距離の領域を危険領域81、警告領域82及び安全領域83に区分するように設定されてもよい。一実施形態において、制御ユニット10は、上記物体9が安全領域83、警告領域82及び危険領域81に入るとき、それぞれ第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22を制御して、異なる程度の減速動作又は停止動作を実行する。
【0075】
例えば、物体9が安全領域83に入るときには、物体9と第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22との間の距離がまだ遠いので、制御ユニット10は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22に対する制御を行わなくてもよく、又は第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の移動速度をわずかに下げるように調整してもよい。
【0076】
一方、物体9が警告領域82に入るときには、すでに第1ロボットアーム21や第2ロボットアーム22と衝突する可能性があるので、制御ユニット10は、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の移動速度を大幅に下げるように調整することができる。一方、物体9が危険領域81に入るときには、物体9が第1ロボットアーム21や第2ロボットアーム22と衝突する可能性が高いので、制御ユニット10は、直ちに第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22移動を停止するように制御することができる。
【0077】
前述したように、本発明に係る組立システム1は、少なくとも2つのロボットアーム21、22を使用することにより、生産ラインにおける迅速なライン変更の要求を満たすことができる。また、本発明に係る組立システム1は、グラフィックプログラム編集ページ31を提供することにより、管理者はプログラムを作成する能力がなくても、グラフィカルプログラムを編集することができる。さらに、本発明に係る組立システム1は、ロボットアーム21、22にポイント教示ツール23を配置することにより、管理者が手で引っ張ることによって直感的にロボットアームにポイントを教示することができ、操作を容易にする効果を達成することができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、上記変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 組立システム
10 制御ユニット
2 ロボット
20 J2アーム
21 第1ロボットアーム
211 第1ツール
22 第2ロボットアーム
221 第2ツール
23 ポイント教示ツール
231 ハンドル
232 起動ボタン
233 設定ボタン
3 グラフィカルユーザインタフェース
30 シミュレーションソフト
300 シミュレーションページ
301 干渉領域
31 グラフィックプログラム編集ページ
32 動作指令領域
33 プログラム編集領域
34 指令ブロック
341 第1ブロック
342 第2ブロック
343 第3ブロック
35 グラフィカルプログラム
351 並列関係
352 直列関係
4 3D校正プラットフォーム
5 ビジョンコントローラ
6 安全検出モジュール
7 ユーザ
81 危険領域
82 警告領域
83 安全領域
9 物体