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特許7336016ミリメートル波長レーダを使用した内部膨張高さ及び接触パッチセンサを含む車両用タイヤ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ミリメートル波長レーダを使用した内部膨張高さ及び接触パッチセンサを含む車両用タイヤ組立体
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20230823BHJP
   G01S 13/34 20060101ALI20230823BHJP
   B60C 23/06 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B60C23/04 150B
B60C23/04 110D
B60C23/04 150K
B60C23/04 110A
G01S13/34
B60C23/06 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022502479
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 US2020042039
(87)【国際公開番号】W WO2021011595
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】62/874,326
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509321583
【氏名又は名称】ファイヤーストーン インダストリアル プロダクツ カンパニー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノルトマイヤー、ダニエル エル.
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-229420(JP,A)
【文献】特開2005-112155(JP,A)
【文献】特開2011-038836(JP,A)
【文献】特開2017-211282(JP,A)
【文献】特開2014-228283(JP,A)
【文献】特開2002-209343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0033442(US,A1)
【文献】特開2005-178697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
G01S 13/34
B60C 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ組立体(T、T’)であって、
回転軸(X)を中心とする変位のために適合され、リム壁を含むリム(R)と、
円筒形トレッド領域(TD)と、タイヤ本体(B)の中央開口(O)を少なくとも部分的に画定する、それぞれ第1及び第2の取り付けビーズ(D1、D2)に半径方向内向きに延在する、軸方向に離間した第1及び第2の側壁(S1、S2)と、を有する、タイヤ本体(B)を含む、タイヤ(TR)であって、前記タイヤ本体(B)が、内面(ISF)を含み、前記円筒形トレッド領域(TD)が、関連付けられた路面(RD)に沿ってロールするように適合された外部トレッド(TDX)を含み、前記円筒形トレッド領域(TD)が、前記第1及び第2の側壁(S1、S2)と一緒になって、前記タイヤ本体(B)の前記中央開口(O)と連通する開放端を有する環状タイヤ室(C)を少なくとも部分的に画定し、前記タイヤ本体(B)を前記リム(R)に取り付け、これによって、前記タイヤ本体(B)の前記内面(ISF)の少なくとも一部が、前記リム壁の一部に向かって半径方向内側に対向する、タイヤ(TR)と、
前記リム壁の前記一部に沿って支持されているタイヤ高さ及び接触パッチセンサ(100、100’)であって、前記環状タイヤ室(C)内に少なくとも部分的に配置され、前記タイヤ高さ及び接触パッチセンサ(100、100’)が、
電源(178)と、
レーダ源(160)であって、前記電源(178)と通信可能に結合され、かつ前記タイヤ本体(B)の前記内面(ISF)に沿って、前記リム壁の前記一部から標的領域(TG)の方へ前記環状タイヤ室(C)内に、120ギガヘルツ(GHz)以上の周波数と、2.5ミリメートル(mm)以下の波長とを有するミリメートル波長レーダ波(EMT)を放出するように動作可能である、レーダ源(160)と、
レーダ受容体(170)であって、前記電源(178)と通信可能に結合され、かつ前記タイヤ本体(B)の前記内面(ISF)に沿って、前記標的領域(TG)から反射されたミリメートル波長レーダ波(RFL)を受信するように、並びに前記反射されたレーダ波(RFL)に対する関係を有する信号及び/又は前記反射されたレーダ波(RFL)の受信を生成するように動作可能である、レーダ受容体(170)と、
アンテナ(104、104’)であって、少なくとも前記レーダ受容体(170)と通信可能に結合され、かつ前記反射されたレーダ波(RFL)に対する前記関係を有するデータ、信号、及び/又は通信を送信するように、並びに/又は前記環状タイヤ室(C)の外部にある関連付けられたシステムに前記反射されたレーダ波(RFL)を受信するように動作可能である、アンテナ(104、104’)と、を含む、タイヤ高さ及び接触パッチセンサ(100、100’)と、
プロセッサ(106、106’、136、136’、112、112’)であって、前記レーダ源(160)、前記レーダ受容体(170)、及び前記アンテナ(104、104’)のうちの少なくとも1つと通信可能に結合され、前記プロセッサ(106、106’、136、136’、112、112’)が、
a)(i)前記レーダ波が前記レーダ源(160)から前記標的領域(TG)、次いで前記レーダ受容体(170)へと移動するのに必要な飛行時間(160)、及び(ii)前記レーダ源(160)によって送信される前記レーダ波(EMT)と、前記標的領域(TG)から反射され、かつ前記レーダ受容体(170)によって受信される前記レーダ波(RFL)との間の周波数位相シフトのうちの少なくとも1つに基づいて、前記レーダ源(160)と前記標的領域(TG)との間の距離を決定し、
b)前記タイヤ(TR)の接触パッチ(CP)の二次元画像(CP’)を構築する、
ように動作可能である、プロセッサ(106、106’、136、136’、112、112’)と、を備える、タイヤ組立体(T、T’)。
【請求項2】
前記プロセッサ(106、106’、136、136’、112、112’)が、前記レーダ源(160)によって送信される前記レーダ波(EMT)と、前記標的領域(TG)から反射され、かつ前記レーダ受容体(170)によって受信される前記レーダ波(RFL)との間の周波数位相シフトに基づいて、前記レーダ源(160)と前記標的領域(TG)との間の相対移動の速度及び加速度のうちの少なくとも1つを決定するように更に動作可能である、請求項1に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項3】
前記レーダ源(160)が、(i)レーダ波の個々のパルス、及び(ii)周波数変調された連続レーダ波のうちの少なくとも1つを放出するように動作する、請求項1又は2に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項4】
前記レーダ源(160)が、240ギガヘルツ(GHz)以下の周波数と、1.25ミリメートル(mm)以上の波長とを有する前記ミリメートル波長レーダ波(EMT)を前記標的領域(TG)の方へ放出する、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項5】
前記プロセッサ(106、106’、136、136’、112、112’)が、1ミリメートル増分以下の分解能で前記距離を決定する、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項6】
前記プロセッサ(106、106’、136、136’、112、112’)が、1ミリ秒以下の間隔で前記距離を繰り返し決定する、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項7】
前記タイヤ組立体(T、T’)の移動からの運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように動作可能な振動エネルギー収集デバイス(186)であって、前記レーダ源(160)と通信可能に結合され、かつそれに電力を提供するように動作可能である、振動エネルギー収集デバイス(186)を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項8】
前記電源(178)が、充電可能であり、前記振動エネルギー収集デバイス(186)が、前記電源(178)に動作可能に接続されて、それに充電電力を供給する、請求項7に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項9】
前記タイヤ高さ及び接触パッチセンサ(100、100’)の前記電源(178)が、前記アンテナ(104、104’)によって受信された無線周波数波から電気エネルギーを収集するための無線周波数エネルギー収集回路(182)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項10】
前記電源(178)が、充電可能であり、前記無線周波数エネルギー収集回路(182)が、前記電源(178)に動作可能に接続されて、それに充電電気エネルギーを供給する、請求項9に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項11】
前記プロセッサ(106、106’、136、136’、112、112’)が、前記標的領域(TG)から反射された前記レーダ波(RFL)が前記レーダ受容体(170)において受信される到着角に基づいて、前記標的領域(TG)と前記レーダ受容体(170)との間の角度を決定するように動作可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項12】
前記プロセッサ(106、106’)が、前記環状タイヤ室(C)内に少なくとても部分的に配置され、前記タイヤ高さ及び接触パッチセンサ(100、100’)が、前記プロセッサ(106、106’)を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項13】
前記プロセッサ(136、136’、112、112’)が、前記環状タイヤ室(C)の外部にある、請求項1~12のいずれか一項に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項14】
前記標的領域(TG)は、前記回転軸(X)を中心に前記タイヤ本体(B)の前記内面(ISF)に沿って360度延在する反射標的(TG’)を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のタイヤ組立体(T、T’)。
【請求項15】
車両システム(S、S’)であって、
電子制御システム(110、110’)と、
前記電子制御システム(110、110’)と動作通信している請求項1~14のいずれか一項に記載の少なくとも1つのタイヤ組立体(T、T’)と、を備える、車両システム(S、S’)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示の主題は、関連付けられたタイヤ組立体の膨張高さに対する関係を有する、及び/又は関連付けられたタイヤ組立体のトレッドと、道路若しくは他の支持面(タイヤ組立体が支持されている)との間に画定された接触パッチに対する関係を有する信号、データ、情報、及び/又は他の出力を生成するように動作する、内部膨張高さ及び接触パッチセンサを含む、車両用タイヤ組立体の技術に広く関する。そのようなセンサは、所定の周波数及び波長の、及び/又は所定の範囲の周波数及び波長内のミリメートル波レーダ技術を使用する。そのようなミリメートル波長レーダ膨張高さ及び接触パッチセンサを含むタイヤ組立体、並びにそのようなタイヤ組立体のうちの1つ以上を含む車両システムも含まれる。
【0002】
本開示の主題は、車、トラック、及びバスなどの電動車両並びにトレーラなどの非電動車両を含む車両に関連して使用することが特に適している可能性があり、そのような車両を具体的に参照して、その主題が詳細に説明されることが理解されよう。しかしながら、対象センサの適用及び使用は、本明細書に開示される特定の実施例に限定されることを意図するものでは決してなく、単に例示的なものであることを特に理解されたい。
【0003】
一般に、車輪に接続され、かつ空気タイヤの空気室内に位置するような、タイヤ本体の内側の、及び/又はタイヤ組立体の一部としての、1つ以上のセンサを含むことが知られている。そのようなセンサは、光センサ、超音波センサ、及び他の非接触距離センサを含んでいた。多くの場合、低解像度、遅い更新及び/又は再生速度、不有効性(タイヤ室内の条件に起因する)、及び現代の車両制御システムにおける使用に必要なデータを導出することができないことなどの他の欠点などの多種多様な異なる理由で、そのようなシステムは、最適以下であると見なされている。
【0004】
1つのそのような先行システムは、タイヤ室の内側に超広帯域レーダセンサを使用する。センサは、レーダ波を使用して、タイヤの下の汚れの状態を感知し、タイヤフットプリントを感知し、かつ/又はタイヤケーシングの偏向を感知する。超広帯域レーダ波は、解像度、再生速度、電子干渉などの観点から提供されるデータの種類、品質、及び速度に関して不十分であると考えられている。また、1つのそのような先行システムは、タイヤがロールしている表面に向かって垂直方向下方に連続的に配向されるように、スリップリングを使用し、このスリップリングシステムは、様々な既知の欠陥による多くの用途には望ましくない。
【0005】
他の既知のセンサは、トレッド領域又は側壁などのタイヤのケーシング内に埋め込まれている。これらのセンサは、特定の用途に有効であり得るが、タイヤ自体がセンサを含むように製造又は修正されることを必要とし、そのことが、タイヤのコストを増加させ、タイヤケーシング内に恒久的に埋め込まれたセンサの再使用を防止する。これらのシステムはまた、典型的には、電力源を欠いており、車両本体又はサスペンションに接続された固定高周波質問機を必要として、センサを通電及び作動させる。
【0006】
更に他のシステムは、車両のサスペンション又は本体などのタイヤ空気室の外部にあるセンサの配置に依存している。そのようなシステムは、タイヤケーシングの外側からのタイヤの内側の状態を感知しようとするため、それらの有効性を低減し、提供される情報の種類及び品質を制限する。
【0007】
当該技術分野で知られているこれらの従来のタイヤセンサ及び他のものにもかかわらず、同等又は改善された性能、製造の容易さ、製造コストの削減、及び/又は他の方法を提供し、タイヤ組立体及びセンサの技術を進歩させながら、前述及び/又は他の課題に対処する必要性が存在すると考えられている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の主題によるタイヤ組立体の一実施例は、円筒形トレッド領域と、タイヤ本体の中央開口を少なくとも部分的に画定する、それぞれ第1及び第2の取り付けビーズに対して半径方向内側に延在する、軸方向に離間した第1及び第2の側壁と、を含む、タイヤ本体を有する、タイヤを含むことができる。タイヤ本体は、内面を含むことができ、円筒形トレッド領域は、関連付けられた路面に沿ってロールするように適合された外部トレッドを含むことができる。円筒形トレッド領域は、第1及び第2の側壁と一緒に、タイヤ本体の中央開口と連通する開放端を有する環状タイヤ室を少なくとも部分的に画定することができる。タイヤの高さ及び接触パッチセンサは、環状タイヤ室内に少なくとも部分的に配置することができる。センサは、電源と、電源と通信可能に結合されたレーダ源と、を含むことができる。レーダ源は、タイヤ本体の内面に沿って、標的領域の方へ環状タイヤ室内にミリメートル波長レーダ波を放出するように動作可能であり得る。レーダ受容体は、電源と通信可能に結合され、かつタイヤ本体の内面に沿って、標的領域から反射されたミリメートル波長レーダ波を受信するように動作可能であり得る。レーダ受容体はまた、例えば、到着時間に対する関係などの、反射されたレーダ波に対する関係を有する信号、及び/又はレーダ受容体における反射されたレーダ波の受信を生成するように動作可能であり得る。アンテナは、少なくともレーダ受容体と通信可能に結合され、かつ反射されたレーダ波に対する関係を有するデータ、信号、及び/又は通信を送信するように、並びに/又は環状タイヤ室の外部にある関連付けられたシステムに、レーダ受容体における反射されたレーダ波を受信するように動作可能であり得る。プロセッサは、レーダ源と、レーダ受容体と、アンテナとのうちの少なくとも1つと通信可能に結合することができる。プロセッサは、(i)レーダ波がレーダ源から標的領域、次いでレーダ受容体へと移動するのに必要な飛行時間、及び(ii)レーダ源によって送信されるレーダ波と、標的領域から反射され、かつレーダ受容体によって受信されるレーダ波との間の周波数位相シフトのうちの少なくとも1つに基づいて、レーダ源と標的領域との間の距離を決定するように動作可能であり得る。
【0009】
本開示の主題による車両システムの一実施例は、電子制御システムと、電子制御システムと動作通信している前述の段落による少なくとも1つのタイヤ組立体と、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の主題による、各々が膨張高さ及び接触パッチセンサを含む複数のタイヤ組立体を含む車両の第1の実施例の概略図である。
【0011】
図2】本開示の主題による、各々が膨張高さ及び接触パッチセンサを含む複数のタイヤ組立体を含む車両の第2の実施例の概略図である。
【0012】
図3】本開示の主題による、膨張高さ及び接触パッチセンサを含むタイヤ組立体の断面側面図である。
【0013】
図4】タイヤ空気圧及びタイヤ荷重の変動に応答してタイヤ接触パッチを変化させることを示す図である。
【0014】
図4A】本開示の主題の一実施形態による、タイヤ組立体の膨張高さ及び接触パッチセンサによって構築されたタイヤ接触パッチの二次元画像を例示する。
【0015】
図5】本開示の主題による、タイヤ組立体の膨張高さ及び接触パッチセンサの一実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図面を参照すると、図示は、本開示の主題の実施例を例示する目的であり、限定することを意図するものではないことを理解されたい。加えて、図面は縮尺通りではなく、特定の特徴及び/又は要素の部分は、明確にするため、及び理解を容易にするために誇張され得ることが理解されよう。
【0017】
図1は、本開示による、タイヤ膨張高さ及び接触パッチを監視するためのタイヤ監視システムSを含む車両Vの一実施例の概略図である。車両Vは、電動車両、牽引又は他の非電動車両、又はトラクタ及びセミトレーラ車両などの電動車両と非電動車両との組み合わせであり得る。システムSは、以下に更に記載されるように、本開示の主題による、内部膨張高さ及び接触パッチセンサモジュール又はセンサ100を含む1つ以上の空気タイヤ組立体Tを含む。
【0018】
システムSはまた、電子制御ユニット(electronic control unit、ECU)112がそれぞれの受信機モジュール130を介してセンサモジュール100のうちの1つ以上と動作通信する、電子制御システム110も含む。図1に例示される実施形態では、センサモジュール100及び受信機モジュール130は、互いに対して1:1の比で提供され、受信機モジュール130の各々は、それがそれぞれ通信しているタイヤ組立体Tの領域内で車両V上に位置する。すなわち、示される例示的な配置において、各受信機モジュール130は、センサモジュール100を含むタイヤ組立体Tが位置する車両Vのそれぞれの角部に位置する。そのような例示的な構成では、各受信機モジュール130は、無線周波数又は別の無線通信リンクを介して、センサモジュール100のそれぞれ1つと無線動作通信している。受信機モジュール130は、その間の電力及びデータの通信のために、ECU112と有線(図示)及び/又は無線動作通信している。図1の実施形態では、センサモジュール100は、したがって、センサトランシーバ102と、センサトランシーバ102に接続されているアンテナ104と、を含み、これによって、センサトランシーバは、アンテナ104を使用して送信及び受信されたRF信号を介して、センサモジュール100に無線データを送信し、センサモジュール100から無線データを受信する(及び任意選択的に、以下に記載されるように電力を受信する)。センサモジュール100はまた、センサ100を制御するため、及び本明細書に記載のレーダデータを処理するための、マイクロプロセッサなどの、電子コントローラ又は電子プロセッサ106も含む。例えば、以下で更に詳細に説明するように、プロセッサ106は、それと関連付けられたタイヤ組立体Tの膨張高さ及び接触パッチに関する情報を導出し、更なる処理のため、並びに/又は車両Vの別のシステム(例えば、限定するものではないが、警告灯又は他の警告システム、タイヤの膨張/収縮システム、並びに/又は任意の他のシステム及び/若しくはプロセス)への制御入力として使用するために、この情報をECU112に通信する。
【0019】
受信機モジュール130は、受信機モジュールトランシーバ132と、無線RF信号を使用して、それぞれに関連付けられたセンサモジュール100との双方向無線データ通信(及び任意選択的な電力送信)のためにトランシーバ132に接続されているアンテナ134と、を含む。図1に示される実施形態では、受信機モジュール130はまた、所与の受信機プロセッサ136が通信しているセンサモジュール100から受信したセンサデータに対するローカルデータ処理動作を実行するための、マイクロプロセッサなどのローカル電子受信機プロセッサ136も含む。そのため、各受信機モジュール130の受信機プロセッサ136は、そのそれぞれに関連付けられたセンサモジュール100から受信されたデータを使用して、タイヤ組立体Tの膨張高さ及び接触パッチに関する情報を導出し、更なる処理のため、並びに/又は車両Vの別のシステム(例えば、限定するものではないが、警告灯又は他の警告システム、タイヤの膨張/収縮システム、並びに/又は任意の他のシステム及び/若しくはプロセス)への制御入力として使用するために、この情報をECU112に通信する。あるいは、受信機プロセッサ136は、ECU112の一部又は電子制御システム110の他の部分によって/として提供される単一の受信機プロセッサによって置き換えることができる。ECU112、センサプロセッサ106、及び受信機プロセッサ136は各々、単一のプロセッサ又はモジュールに分離又は統合され得る、マイクロプロセッサベースのコントローラ又は他の電子コントローラなどの任意の好適なタイプ、種類、及び/又は構成によって提供され得る。
【0020】
図2は、図1と同様であるが、本明細書に別途示され及び/又は説明されたものを除いて図1のタイヤ監視システムSと同一である代替タイヤ監視システムS’を含む、車両Vを示す。システムSに対する同様の構成要素は、プライム記号を付した(’)指定を含む同様の参照文字で特定され、これらの成分のいくつかの説明はここでは繰り返されない。図2に例示される代替配置では、各センサモジュール100’は、ECU112’の一部として提供されるか、又はそうでなければ、ECU112’に動作的に接続されている、単一受信機モジュール130’と無線通信している。受信機モジュール130’は、無線周波数又は他の無線通信リンクを介して各センサモジュール100’と無線動作通信している。受信機モジュール130’は、無線トランシーバ132’と、各センサモジュール100’と受信機モジュール130’との双方向無線RFデータ通信のためにトランシーバ132’に接続されている少なくとも1つのアンテナ134’と、を含む。本実施例に示すように、受信機モジュール130’は、複数のアンテナ134’を含み、各アンテナは、タイヤセンサモジュール100’のうちの1つの領域に専用であり、好ましくはその領域内に位置するが、受信機モジュール130’は、代替的に、単一のアンテナ134’のみを使用して、タイヤ組立体センサモジュール100’のすべてと通信する。受信機モジュール130’は、それが通信しているセンサモジュール100’から受信したセンサデータに対するデータ処理動作を実行するための、マイクロプロセッサなどの電子受信機プロセッサ136’を含む。そのため、受信機プロセッサ136’は、センサモジュール100’から受信されたデータを使用して、各タイヤ組立体T’の膨張高さ及び接触パッチに関する情報を導出し、更なる処理のため、並びに/又は車両V’の別のシステム、デバイス、又はプロセス(例えば、警告灯又は他の警告システム、タイヤの膨張/収縮システム、並びに/又は任意の他のシステム及び/若しくはプロセス)への制御入力として使用するために、この情報をECU112’に通信する。あるいは、受信機プロセッサ136’は、ECU112’の一部又は電子制御システム110’の別の部分によって/として提供することができる。
【0021】
本開示の主題に従って、各内部タイヤ高さ及び接触パッチセンサ100は、それと動作的に関連付けられたそれぞれのタイヤ組立体の膨張した高さに対する関係を有するデータ、信号、情報、並びに/又は他の通信を生成かつ出力し、また、任意選択的に、タイヤ組立体Tのトレッドと道路又は他の表面(タイヤ組立体がその上のロール移動のために支持されている)との間に画定された接触パッチの寸法(例えば、サイズ及び形状)に対する関係を有するデータ、信号、情報、並びに/又は他の通信を生成かつ出力する。各タイヤ膨張高さ及び接触パッチセンサ100はまた、タイヤ組立体Tのタイヤ部分の側壁の偏向に対する関係を有する、タイヤの標的部分とセンサ100との間の角度又は角度変化に対する関係を有する、並びに/又はタイヤTRの一部分がセンサSに対して移動している速度及び/若しくは加速度に対する関係を有するデータ、信号、情報、並びに/又は他の通信を生成かつ出力することもできる。
【0022】
図3は、本開示の主題による、膨張高さ及び接触パッチセンサを含むタイヤ組立体Tの一実施例の断面側面図である。タイヤ組立体Tは、ローリング軸又は回転軸Xを中心に回転するワンピース又はマルチピースホイールWを含む。車輪Wは、ロール軸Xを中心に同心円状に画定され、かつエラストマー空気圧膨張タイヤTRが動作的に取り付けられている、円筒形縁Rを含む。縁Rは、ロール軸に沿って軸方向に離間している、第1及び第2の円周方向に延在する円形取り付けフランジF1及びF2を含む。タイヤTRは、補強エラストマータイヤのカーカス又はタイヤ本体B(円筒形トレッド領域TDは、道路RD又は他の関連付けられた支持面に沿ってロールするように適合されている外部トレッドTDXを含む)を含むことができる。タイヤ本体Bは、それぞれ第1及び第2の半径方向及び円周方向に延在する側壁S1及びS2を通ってトレッド領域TDの向かい合う内側及び外側に接続されている、第1及び第2の環状ビーズD1及びD2によって画定される中央取り付け開口Oを含む。第1及び第2のビーズD1及びD2はそれぞれ、第1及び第2の取り付けフランジF1及びF2上又はそれらに対する縁上に着座し、中空タイヤ室CがタイヤTRの縁Rと本体Bとの間に画定されるように、フランジを流体密に密封係合する。タイヤ本体Bは、タイヤ室Cを少なくとも部分的に画定する内面ISFを含む。タイヤ本体内面ISFは、それぞれ第1及び第2の側壁S1及びS2の第1及び第2の側壁内面S1i及びS2i、並びにトレッド領域内面TDi(第1及び第2の側壁内面の間に延在し、それを相互接続する)を含み、それらによって画定される。
【0023】
好ましい配置では、本開示の主題に従って、タイヤの高さ及び接触パッチセンサ100は、タイヤ組立体Tのタイヤ室C内部に位置し、120ギガヘルツ(GHz)を超える周波数のミリメートル波長レーダ波及び2.5ミリメートル(mm)以下の波長をタイヤ室C内部の標的表面の方へ向けるように動作可能な電波(レーダ)送信機を利用するタイプ、種類、及び/又は構造とすることができる。一実施形態では、センサデバイス100は、包括的に、2.5~1.25ミリメートル(mm)の範囲の波長に対応する、包括的に、120~240ギガヘルツ(GHz)の範囲内の周波数のレーダ波を送信する。
【0024】
感知デバイス100は、標的表面から反射されたレーダ波を受信し、かつ受信された反射されたレーダ波に従って変動する信号、データ、情報、及び/又は通信を生成する、レーダ受信機を更に含む。センサデバイス100は、レーダ受容体によって生成された信号、データ、情報、及び/又は通信を利用して、タイヤ組立体Tの高さ又は膨張高さHに対応する、レーダ源と標的表面との間の距離(「高さ」又は「変位」と称されることもある)を導出することができる、センサプロセッサ106を含む(又は同じものは、各受信機プロセッサ136によって導出することができる)。
【0025】
センサプロセッサ106又は受信機プロセッサ136はまた、任意選択的に、レーダ源と標的表面との間の相対速度及び/又は加速度も導出する。センサプロセッサ106又は受信機プロセッサ136はまた、任意選択的に、レーダ源と標的表面との間の角度又は角度の変化も導出する。プロセッサ106及び/又は136(又はECU112)は、これらと他の動作データを、(i)レーダ波から標的、次いでレーダ受容体へと移動するための、レーダ波の飛行時間、(ii)パルスドップラー法又は連続波周波数変調(continuous wave frequency modulation、CWFM)法を使用して、レーダ源によって送信されるレーダ波と、標的領域から反射され、かつレーダ受容体によって受信されるレーダ波との間の周波数位相シフト、及び(iii)標的表面から反射され、かつレーダ受容体によって受信されるレーダ波の到着角又は到着角の変化のうちの少なくとも1つに基づいて、導出する。センサプロセッサ106及び/又は受信機プロセッサ136によって導出された距離は、タイヤ組立体Tの「膨張高さ」H(図3)との関係を有し、「膨張高さ」Hは、縁Rと道路RD又は他の表面(タイヤ組立体Tが、室C内の空気圧及びタイヤによって担持される負荷TRに基づいて、任意の所与の時間に動作可能に支持されている)の最小半径方向距離として画定することができる。
【0026】
タイヤ組立体Tは、本開示の主題による、タイヤ膨張高さ及び接触パッチセンサ100を含むものとして図3に示されている。センサ100は、任意の適切な方法でタイヤ室C内に動作的に支持することができ、縁R若しくは車輪Wの他の部分上に又はそれに沿って、及び/又はタイヤTRに沿って支持された1つ以上の構成要素を含むことができる。例えば、図3に示す配置では、センサ100は、タイヤ室C内に配置され、かつタイヤ本体Bの内面ISFの方に配向されている縁Rの外径面に沿って/の外側に支持されていることが示されている。センサ100は、縁Rに適切な様式で固定されるセンサハウジング150を含む。例示される実施形態では、センサハウジング150は、縁Rに移動不能に固定され、それと共に回転する。あるいは、センサハウジング150は、センサハウジング150が縁Rと共に回転しないように、回転軸Xを中心とするセンサハウジング150と縁Rとの間の相対的な角度移動を可能にするスリップリング又は他の接続部を使用して、縁に移動可能に接続することができる。このようにして、センサ100は、道路RDの方へ連続的に動作的に向けられ得る。センサ100は、ミリメートル波長レーダ源160及びミリメートル波長レーダ受容体170を含む。図3に示されるような好ましい配置では、レーダ源160及びレーダ受容体170は、縁Rなどの共通の構成要素上に動作的に配置され、本明細書に示されるように、単一のハウジング(例えば、ハウジング150)内の同じ構成要素の一部として、又は別個の隣接する構成要素の一部として、互いに近位関係に位置し得る。一実施形態では、センサハウジング150は、センサ100が、縁Rを介してタイヤ室C内に突出することを可能にし、また、センサ100が、縁RからタイヤTRの除去を必要とせずに取り外され、かつ交換又はサービス化されることを可能にする、タイヤ室Cの外部にある(例えば、タイヤ室Cの外側の縁Rの露出した外面に沿って)位置からアクセス可能な気密ねじ付き接続部によって、縁Rに接続されている。しかしながら、本開示の主題から逸脱することなく、他の構成及び/又は配置が交互に使用され得ることが理解されよう。
【0027】
膨張高さ及び接触パッチセンサ100は、自己内蔵型の充電可能な電源178(例えば、1つ以上の電池)を含むことができ、また、通信及び/若しくは他の目的のための信号、データ、並びに/又は情報の無線受信並びに/又は送信に好適な無線周波数(radio frequency、RF)アンテナ104も含むことができる。アンテナ104(又は、第2のアンテナを含み得る)は、受信されたRFエネルギーから電気エネルギーを収集し、かつ直接使用のためにセンサに、及び/又は充電回路184(自己内蔵型の充電可能な電源178を充電するためなど)に、無線電力を提供するために使用される、任意選択的な無線周波数エネルギー収集回路182(図6)に接続され得る。別の実施形態では、センサ100は、縁R(図示)、タイヤ本体B、又はタイヤ室Cの他の場所、タイヤ組立体T、又は車両Vに接続されている任意選択的な振動エネルギー収集デバイス186(図6)を含むか、又はそれに接続されている。振動エネルギー収集デバイス186は、センサ100に直接給電するため及び/又は電源178を充電するための電気エネルギーに、タイヤ組立体Tの振動及び他の移動の形態の運動エネルギーを変換するための任意の既知のシステムを含むことができる。本開示による使用のための振動エネルギー収集デバイス186の好適な例としては、移動からの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する圧電又は同様の電気機械変換器、及び/又はコイルと磁場との間の相対的な移動に基づいて電力誘導を介して電力を発生させる電磁エネルギー発生器が挙げられる。
【0028】
使用中、本開示の主題に従って、膨張高さ及び接触パッチセンサ100は、タイヤ本体内面ISFの一部の上に位置し、及び/又はその一部として提供される標的TGに向かう方向に(例えば、矢印EMTで表されるように)、レーダ源160から、120ギガヘルツ(GHz)以上の周波数及び2.5ミリメートル(mm)以下の波長を有するミリメートル波レーダ波を放出するように動作可能であるものとして、図3に示される。一実施形態では、センサデバイス100は、包括的に、2.5~1.25ミリメートル(mm)の範囲の波長に対応する、包括的に、120~240ギガヘルツ(GHz)の範囲内の周波数のレーダ波を送信する。標的TGは、タイヤ本体Bの任意の部分及びその内面ISFなどの、レーダ源160から概ね離間しており、かつそれに対して移動可能である、タイヤ室Cの内部にある、タイヤ組立体Tの任意の部分によって提供することができる。放出されたレーダ波EMTは、標的TGに入射し、次いで、放出されたレーダ波のうちの少なくともいくつかは、矢印RFLで表されるように、レーダ受容体170に向かって戻る方向に、標的TGから反射される。レーダ受容体170(複数の受信機アンテナのアレイを含むことができる)と、受信された反射されたレーダ波RFLとの間に画定された角度は、到着角と称される。本開示の主題による膨張高さ及び接触パッチセンサ100は、任意の特殊な反射体又はコーティングの使用を必要とせずに、内側エラストマー表面ISFの任意の部分又はタイヤ本体Bの他の部分からレーダ波を反射しながら、適切に動作することになる。しかしながら、場合によっては、タイヤ本体Bの内面ISFに接続された又はタイヤ本体B内に埋め込まれた、別個の特殊な反射標的TG’(破線で部分的に示されている)を提供することが望ましい場合があり、例えば、所定の反射特性を有するコーティング、フィルム、又は他の層若しくは構造、例えば、動作の特定のレベルの性能又は堅牢性を提供することが有用であり得るものなどである。一実施形態では、添加された標的TG’は、回転軸Xを中心に本体Bの内面ISFに沿って360度延在し、これによって、添加された標的TG’の一部は、縁R上のタイヤTRの角度取り付け位置に関係なく、センサ100と常に位置合わせされることになる。
【0029】
センサ100、又はセンサと動作的に関連付けられたシステム若しくは構成要素は、レーダ源160から標的TG、次いでレーダ受容体170まで、光の速度(すなわち、空気中299,792,458メートル/秒(m/秒))で移動するレーダ波の飛行時間を決定するように動作可能であり得る。レーダ波が移動する往復距離は、飛行時間に関係することが理解されよう。したがって、レーダ波の飛行時間を決定することによって、レーダ源160と標的TGとの間の距離H’は、プロセッサ106及び/又は136又はECU112若しくは別のプロセッサによって決定することができる。標的TGが、トレッド領域内面TDiとして提供される場合、レーダ源160とびレーダ受容体170との間のこの距離H’は、タイヤ組立体Tの膨張高さHに直接関連し、それと共に直接的に変動し、これによって、距離H’(及び膨張高さH)は、タイヤ室Cの空気圧が低減されるにつれて(縁Rが路面RDに接触するまで)、減少し、距離H’(及び膨張高さH)は、タイヤTRが十分に膨張したときに(側壁S1及びS2が最大高さに拡張されるまで)、最大値まで増加する。上記のように、タイヤ組立体Tの「膨張高さ」Hは、縁Rと道路RD又は他の表面(タイヤ組立体Tが動作可能に支持されている)との間の最小距離として定義される。したがって、センサプロセッサ106及び/又は受信機プロセッサ136及び/又はECU112及び/又は他のプロセッサは、センサ100によって測定される距離H’及び/又はセンサ100によって測定される距離H’の変化に基づいて、膨張高さHの変化を決定及び/又は評価することができる。
【0030】
追加的に、又は代替的に、膨張高さ及び接触パッチセンサ100、又はそれに動作的に関連付けられたシステム若しくは構成要素は、レーダ源160によって送信されたレーダ波EMTと、連続的に送信されたレーダ波のパルスドップラーレーダパルス又は連続波周波数変調(CWFM)を使用して、標的TGから反射され、かつレーダ受容体170によって受信されるレーダ波RFLとの間の周波数シフト又は位相シフトを決定するように動作可能であり得る。いずれの場合でも、ドップラー効果に基づいて、送信レーダ波EMTに対して反射されたレーダ波RFLによって呈される周波数シフトが、源160と標的TGとの間の相対移動に対する関係を有することになる。したがって、レーダ波の飛行時間を決定することによって、及び/又はレーダ波の位相シフトを決定することによって、センサ100、又はセンサ100と動作的に関連付けられたシステム若しくは構成要素(プロセッサ106、プロセッサ136、及び/又はECU112)は、次いで、源160と標的TGとの間の距離H’を決定することができ、また、レーダ源160に対する標的TGの速度及び加速度も決定することができる。センサ100は、経時的な変化を評価するために、そのような測定値を迅速に更新するように動作し得る。更に、センサ100は、受容体170によって受容される反射されたレーダ波RFLの到着角又は到着角の変化を監視及び評価するように動作し得る。到着角又は到着角の変化により、センサプロセッサ106又は受信機プロセッサ136が、タイヤ内面ISF(例えば、TDi、S1i、及び/又はS2iによって少なくとも部分的に画定され得る)又は別の標的TGとレーダ受容体170との間の角度又は角度の変化を決定することを可能にする。したがって、膨張高さ及び接触パッチセンサ100、又はそれに動作的に関連付けられたシステム若しくは構成要素は、レーダ波源160と標的TGとの間の、距離、角度、速度、及び/又は加速度を決定するように動作可能である。
【0031】
追加的に、又は代替的に、膨張高さ及び接触パッチセンサ100、又はそれに動作的に関連付けられたシステム若しくは構成要素は、レーダ源160と、一方又は両方の側壁S1及びS2の任意の部分(例えば、側壁内面S1i及び/又はS2iなど)などのタイヤ室C内に位置する代替標的との間の、距離、角度、速度差、及び/又は加速度を決定するように動作可能であり得、並びに/又は、膨張高さH、又はタイヤ室Cに含まれる空気圧を評価するために、タイヤ室C全体の第1の側壁S1と第2の側壁S2との間に画定された最大距離を決定するように動作可能であり得る。
【0032】
図4も参照すると、膨張高さ及び接触パッチセンサ100、又はそれと動作的に関連付けられたシステム若しくは構成要素は、任意選択的に、タイヤTRの外部トレッドTDXと道路RD又は他の支持面(タイヤTRがロール移動のために支持されている)との間に存在するタイヤ接触パッチCPのサイズを感知するように更に動作可能である。図4は、タイヤ空気圧及びタイヤ荷重の変動に応答してタイヤ接触パッチCPサイズ(長さ(L)x幅(W)の変化を示す図を提供する。特に、タイヤ膨張圧力が増加すると、接触パッチCPの長さL及び幅W(したがって、幅Wを掛けたその長さLによって推定される、又は別様に決定される、その全体的なサイズ/面積A)が減少する。逆に、タイヤ荷重が増加するにつれて、接触パッチCPの長さL及び幅W(したがって、その全体的なサイズ/面積A)が増加する。本開示の一態様によれば、車両のタイヤ組立体Tのうちの少なくとも1つ及び好ましくは各々について、センサ100は、(i)接触パッチCPの長さL、(ii)接触パッチCPの幅W、及び(iii)接触パッチCPのサイズ/面積Aのうちの少なくとも1つを感知する。一実施例では、センサプロセッサ106、受信機プロセッサ136、及び/又はECU112は、受信された反射されたレーダ波RFLを使用して、二次元画像CP’(図4A)を構築する。二次元画像CP’は、接触パッチCP、及びそれに位置合わせされかつ隣接するトレッド内面TDiの対応する部分が、道路RD又は他の支持面と接触していないトレッドTDX及びトレッド内面TDiの部分と比較して、平坦であるか、又はそうでなければ非円筒形である事実に基づいて、接触パッチCPを表す。更に、接触パッチに隣接する道路RDの存在は、レーダ波の反射RFLに影響を与える。したがって、接触パッチCPと位置合わせされ、それと隣接するトレッド内面TDiの一部から反射されたレーダ波RFLは、トレッド内面TDiから反射されるが、接触パッチCPと位置合わせされず、それと隣接しないレーダ波から、センサ100によって区別可能であることになる。接触パッチCPの長さL、幅W、及び/又は全体的な面積Aは、直接的に、及び/又は画像接触パッチCP’に基づいて導出することができる。代替的又は追加的に、センサプロセッサ106、受信機プロセッサ136、及び/又はECU112は、構築された二次元接触パッチ画像CP’を、保存された接触パッチ画像及び/又は他のデータ(それぞれにオーバー膨張、アンダー膨張、又はオーバーロード障害条件に関し、それらを示す)と比較するためにパターンマッチング及び他の画像処理方法を使用し、プロセッサ106、136、及び/又は112は、接触パッチ画像CP’(センサ100によって検知された実際の接触パッチCPに対応し、それを表す)が、画像マッチを通してそのような障害状態の存在を示すかどうかを決定する。
【0033】
図5は、本開示の主題による、膨張高さ及び接触パッチセンサ100の一実施例を概略的に例示する。上述のように、センサ100は、好ましくは、包括的に、それぞれ2.5mm~1.25mm(2.5mm≧λ≧1.25mm)の範囲内の波長(λ)に対応し、パルスドップラーレーダ法又は連続波周波数変調方法のいずれかを利用する(受信機170と標的TGとの間の、距離、相対速度、加速度、及び/又は角度若しくは角度の変化に対する関係を有するデータ、信号、情報、及び/又は他の通信を生成する)、包括的に、120GHz~240GHz(120GHz≦f≦240GHz)の範囲内の周波数(f)を有するミリメートル波レーダ波を利用する、タイプ、種類、及び/又は構造のものである。
【0034】
センサ100は、標的TG又は任意の他の表面などの標的表面の方へ送信(TX)アンテナ196を介してレーダ波を放出するように動作可能であるミリメートル波レーダ源160を含む。例示される実施例では、レーダ源160は、送信機190によって生成された周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタ192に動作可能に接続された、周波数変調された連続波送信機190と、次に、送信アンテナ196を介して標的TGへと、放出されたレーダ波EMTを出力する、電力増幅器194と、を含む。センサ100はまた、受信(RX)アンテナ200を通して標的から反射された戻されたレーダ波RFLと、複数のアンテナのアレイを含むことができる受信(RX)アンテナ200における反射されたレーダ波RFLの到着角と、を感知、受信、又は別様に検出するように動作可能である、レーダ波受容体170も含む。受信アンテナ200は、増幅された信号をバンドパスフィルタ204に出力する低ノイズ増幅器202に動作可能に接続されている。
【0035】
RFミキサー206は、バンドパスフィルタ204からの入力信号に、また、周波数変調された連続波送信機190からの元々生成されたFMCW信号に、動作可能に接続され、かつそれらの信号を受信する。ミキサー206は、元々送信されたレーダFMCW信号EMTと受信された反射信号RFLとの間の位相シフト又は位相差を表す信号を出力する。RFミキサー206は、アナログ-デジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)208に動作可能に接続され、アナログ-デジタル変換器(ADC)208に位相差信号を出力する。アナログ-デジタル変換器(ADC)208は、望ましくない高周波ノイズを除去するために、デジタル信号を、信号を調整するためのローパスフィルタ210に出力する。ローパスフィルタ210は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)モジュール212に動作可能に接続されている。高速フーリエ変換(FFT)モジュール212は、信号に対して高速フーリエ変換を実行して、マイクロプロセッサ106又は別の電子コントローラ(それは、代替的に、受信機モジュール130の受信機プロセッサ136、ECU112、並びに/又はシステムS及び/若しくは車両Vの一部として提供される別のマイクロプロセッサ若しくは他のコントローラであり得る)に入力される所望の周波数位相シフトデータを取得する。プロセッサ106(又は別の電子コントローラ)は、高さH’、並びに送信アンテナ196と標的TGとの間の相対速度及び/又は加速度を導出する。プロセッサ106及び136並びにECU112は、例えば、データを処理し、ソフトウェアルーチン/プログラム、並びに他の機能(飛行時間、周波数位相シフト、及び到着角又は到着角の変化(RXアンテナ200によって受信された反射されたレーダ波RFLの)の決定に少なくとも関する)を実行するための、マイクロプロセッサなどの任意の好適なタイプ、種類、及び/又は構成であり得る。加えて、センサ100は、任意の好適な有線又は無線方式で、他のシステム及び/又は構成要素(例えば、図1におけるコントローラ112)と通信可能に結合することができる。
【0036】
加えて、プロセッサ106又はセンサの他の部分100は、非一時的記憶デバイス又はメモリ220を含むことができ、これは、データ、値、設定、パラメータ、入力、ソフトウェア、アルゴリズム、ルーチン、プログラム、及び/又は他の情報若しくはコンテンツを、任意の関連付けられた使用又は機能のために記憶するために使用することができる(例えば、飛行時間、及び周波数位相シフト(送信されたレーダ波とRXアンテナ200を介して受信された反射されたレーダ波との間で生じる)の決定に関連付けて使用される、及び/又はRXアンテナ200における反射されたレーダ波RFLの到着角を決定するために使用されるなど)、任意の好適なタイプ、種類、及び/又は構成であり得る。非一時的メモリ220は、プロセッサ106と動作可能に通信可能に結合されており、これによって、プロセッサは、メモリにアクセスして、任意の1つ以上のソフトウェアプログラム及び/又はルーチンを検索及び実行することができる。加えて、データ、値、設定、パラメータ、入力、ソフトウェア、アルゴリズム、ルーチン、プログラム、パターンマッチングのための保存された接触パッチ画像、及び/又は他の情報若しくはコンテンツもまた、プロセッサ106による検索のためにメモリ220内に保持することができる。そのようなソフトウェアルーチンは、例えば、オペレーティングシステムなどのソフトウェアプログラムの個別に実行可能なルーチン又は部分であり得ることが理解されよう。加えて、コントローラ、処理デバイス、及び/又はメモリは、任意の好適な形態、構成、及び/又は配置を取ることができ、かつ本明細書に示され説明される実施形態は、単なる例示であることが理解されよう。更に、しかしながら、上で詳述したモジュールは、ソフトウェア実装、ハードウェア実装、又はそれらの任意の組み合わせを含むがそれらに限定されない、任意の好適な方法で実施することができることを理解されたい。
【0037】
そのような配置を使用して、タイヤ膨張高さ及び接触パッチセンサ100は、タイヤ膨張高さH、センサ100に対するタイヤ本体Bの標的TG部分の速度及び加速度、タイヤ接触パッチCPのサイズ及び形状、並びに標的TGとセンサ100との間の角度又は角度の変化、に関する信号、データ、及び/又は他の情報を提供することができる非常に正確なセンサとして機能することができる。この情報は、警告システム、乗車制御又は取り扱いシステム、振動制御及びアクティブ制振システムなどの他の車両システム、並びにアクティブサスペンションシステム又はアクティブエンジン取り付けなどの路面情報を利用するシステムによって使用することができる。本明細書に開示されるセンサ100は、距離/高さの測定値について、+/-1ミリメートル増分の精度を達成することを可能にし、両方の測定値は、1ミリ秒未満の更新速度で新しい測定値で更新される。一実施形態では、変位及び速度測定は、700マイクロ秒ごとに新しい測定値で更新される。
【0038】
多数の異なる機構及び/又は構成要素が、本明細書に示され、記載される実施形態に示されているが、いずれの実施形態もすべてのかかる機構及び構成要素を含むものとして具体的に示され、記載されていないことが認められよう。したがって、本開示の主題は、本明細書において示され、記載される、異なる機構及び構成要素の任意、かつすべての組み合わせを包含することを意図しており、制限なく、任意の組み合わせで、機構及び構成要素の任意の好適な配置を使用できることが理解されるべきである。したがって、機構及び/又は構成要素の任意のかかる組み合わせを目的とする請求項は、本明細書に具体的に表現されているかどうかにかかわらず、本開示において根拠を見出すことを意図することが明確に理解されるべきである。
【0039】
したがって、本開示の主題は前述の実施形態を参照して記載されており、構造及び開示された実施形態の構成部分同士の構造上の相互関係がかなり強調されてきたが、他の実施形態を考案することができ、本明細書に記載の原則から逸脱することなく、示され、記載された実施形態に多数の変更を加え得ることが理解されよう。明らかに、前述の「発明を実施するための形態」を読み、理解すると、他についての修正及び変更を思い付くであろう。したがって、前述の説明的事項は、本開示の主題の単なる説明であり、制限ではないと解釈されるべきであることが明確に理解されるべきである。したがって、本開示の主題は、そのような修正及び変更をすべて含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5