(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ホウ素含有RHOキナーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20230823BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20230823BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230823BHJP
A61P 27/10 20060101ALI20230823BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20230823BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20230823BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230823BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230823BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230823BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230823BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230823BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
C07F5/02 C CSP
C07F5/02 D
C07F5/02 B
A61K31/69
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P27/02
A61P27/10
A61P27/06
A61P25/02
A61P9/00
A61P21/00
A61P37/00
A61P37/06
A61P29/00
A61P11/00
A61P37/08
A61P25/00
A61P35/00
A61P3/00
A61P17/02
A61P13/12
A61P19/10
(21)【出願番号】P 2022502849
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 US2020042538
(87)【国際公開番号】W WO2021011873
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522018848
【氏名又は名称】パーシピアド,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】ホーマン、ロバート、ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】パディダム、マーラ
【審査官】長谷川 莉慧霞
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-525386(JP,A)
【文献】特表2017-522375(JP,A)
【文献】特表2013-518886(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1781933(CN,A)
【文献】ACS Medicinal Chemistry Letters,2012年04月09日,Vol. 3,pp.392-396,DOI: 10.1021/ml3000287
【文献】Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry,2018年01月01日,Vol. 33,pp.1181-1193,DOI: 10.1080/14756366.2018.1490732
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物、その薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物:
【化1】
または、その立体異性体、互変異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物であって、
Eは、CH、C-OH、N、またはNHからなる群から選択され、
GはCH、またはEがNHの場合、Gは存在せず、
Jは-(CH
2)
n-A
6、または
であり、
A
1、A
2、R
2およびR
3はそれぞれ-HまたはC1-C6アルキルであり、
A
3およびA
4はそれぞれ、水素、ハロ、C1-C6アルキル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、置換または無置換のアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルキルアミノアルケニル、ジアルキルアミノアルケニル、
からなる群から選択され、
R
5aおよびR
5bは、任意の天然アミノ酸の側鎖、C1-C6アルキル、トリフルオロ-C1-C6アルキル、-(CH
2)
nSH、-(CH
2)
nNH-C(=NH)NH
2、-(CH
2)
nCO
2H、-(CH
2)
nNH
2、-(CH
2)
nCH(NH
2)(CO
2H)、-(CH
2)
nSO
3H、-(CH
2)
nNR
6R
7、-(CH
2)
n-ピリジル、-(CH
2)
nONO
2から選択され、
A
6は、-(CR
6R
7)
nB(R
8R
9)、
であるか;またはA
3またはA
4のいずれかとともに-BR
8O(CR
6R
7)
nO-、-BR
8O(CR
6R
7)
nNR
6-、-BR
8O(CR
6R
7)
n-、-BR
8NR
6(CR
6R
7)
nO-、-BR
8NR
6(CR
6R
7)
nNR
6-、-BR
8NR
6(CR
6R
7)
n-、-B(R
8)
2N(R
6)
2(CR
6R
7)
nO-、-B(R
8)
2N(R
6)
2(CR
6R
7)
nNR
6-、-B(R
8)
2N(R
6)
2(CR
6R
7)
n-、-BR
8-O-N=CH-、-BR
8NR
6N=CH-、-B(R
8)
2N(R
6)
2N=CH-、-BR
8-O-CR
6=N-、-BR
8NR
6CR
6=N-、-BR
8-O-C(=O)NR
6-、-BR
8NR
6C(=O)NR
6-、-BR
8-O-C(NR
6)=N-、-BR
8NR
6C(NR
6)=N-、-B(R
8)
2N(R
6)
2CR
6=N-、-B(R
8)
2N(R
6)
2C(=O)-N-、-B(R
8)
2N(R
6)
2C(NR
6)=N-、-BR
8-O-NR
6-、-B(OH)-O-NH-C(O)-、-B(OH)NR
6NHC(O)-、-B(OH)
2N(R
6)
2NHC(O)-、-OBR
8CH=CH-、-NR
6BR
8CH=CH-、-N(R
6)
2B(R
8)
2CH=CH-、-OBR
8(CR
6R
7)
nO-、-OBR
8(CR
6R
7)
nNR
6-、-OBR
8(CR
6R
7)
n-、-NR
6BR
8(CR
6R
7)
nO-、-NR
6BR
8(CR
6R
7)
nNR
6-、-NR
6BR
8(CR
6R
7)
n
-、-N(R
6)
2B(R
8)
2(CR
6R
7)
nO-、-N(R
6)
2B(R
8)
2(CR
6R
7)
nNR-、-N(R
6)
2B(R
8)
2(CR
6R
7)
n-、-BR
8-O-CH=CH-、-BR
8NR
6CH=CH-、-B(R
8)
2N(R
6)
2CH=CH-を形成し、
R
6およびR
7は、それぞれH、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、トリフルオロC1-C6アルキル、アセチル、フェニル、またはC1-C6アルキルスルホニルであり、
R
8およびR
9は、それぞれフルオロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであるか;または-B(R
8R
9)は、フッ化物付加物、ヒドロキシ酸付加物、またはアミノ酸付加物を形成し、
nとmはそれぞれ0、1、2、3、または4である。
【請求項2】
前記式Iが、式2で表され
、式2に記載のA
3
、A
4
、A
6
の範囲は請求項1に記載のとおりである、請求項1に記載の化合物。
【化2】
【請求項3】
前記式2が、式3-56のいずれかで表され
、式3-56に記載のA
3
、R
6
、R
7
、R
8
の範囲は請求項2が引用する請求項1に記載のとおりである、請求項2に記載の化合物。
【化3】
【請求項4】
前記式1が、式67で表され
、式67に記載のA
6
、R
5a
の範囲は請求項1に記載のとおりである、請求項1に記載の化合物。
【化4】
【請求項5】
前記式1が、式57で表され
、式57に記載のR
8
、R
9
、nの範囲は請求項1に記載のとおりである、請求項1に記載の化合物。
【化5】
【請求項6】
以下の化合物から選択される、請求項2に記載の化合物。
【化6】
【請求項7】
式57が、以下で示される、請求項5に記載の化合物。
【化7】
【請求項8】
式Aの化合物であって、
【化8】
以下から選択される、化合物。
【化9】
【請求項9】
以下から選択される、請求項8に記載の化合物。
【化10】
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む、対象の傍眼の(para-ocular)rhoキナーゼ調節疾患、障害、傷害、または状態を治療するための医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む、対象の眼の疾患、障害、傷害、または状態を治療するための医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む、対象の神経変性眼疾患、障害、損傷、または状態を治療するための医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を有効量で含む、眼圧を低下させるための医薬組成物。
【請求項15】
細胞におけるキナーゼの作用を調節するのに有効な量で請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を含む、細胞におけるキナーゼの作用を調節するための医薬組成物。
【請求項16】
プロスタグランジン様化合物、ベータ-アドレナリン遮断薬、アルファ-アドレナリン作動薬、炭酸脱水酵素阻害薬、縮瞳(miotic)またはコリン作動薬、交感神経刺激薬、Rhoキナーゼ阻害薬、およびA1アデノシン受容体作動薬からなる群から選択される1つまたは複数の追加の治療薬と組み合わせられる、請求項11~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
以下に関連する症状を治療、予防、または改善するための医薬組成物であって、請求項1~9のいずれかに記載の化合物を有効量で含む、医薬組成物:
心血管疾患、障害または状態;
平滑筋関連の疾患、障害または状態;
免疫または自己免疫の疾患、障害または状態;
炎症性疾患、障害または状態;
呼吸器疾患、障害または状態;
アレルギー性疾患、障害または状態;
神経疾患、障害または状態;
癌;
肉芽腫性疾患、障害または状態;
急性マクロファージ媒介性の疾患、障害または状態;
代謝性疾患、障害または状態;
傷;
腎疾患、障害または状態;
脳脊髄炎;および/または
骨粗鬆症。
【請求項18】
異常なrhoキナーゼ活性を伴う疾患、障害または状態に関連する症状を治療、予防または改善するための医薬組成物であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を有効量で含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年7月17日に出願された米国仮出願第62/875,270号の優先権を主張する。その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、緑内障および他の眼神経障害の改善のための神経保護剤および神経再生剤として有用である、ホウ素含有化合物を含むプロテインキナーゼ調節化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
緑内障は、重大な経済的負担を伴う世界的な健康問題である。緑内障は、世界中の失明の主な原因の1つ(6000万人以上が影響を受けている)である。2006年の不可逆的な視力障害の推定によると、米国では年間約500億ドルの費用がかかり、緑内障が重要な原因となっている。米国における緑内障治療薬の市場は、2015年には約25億ドルであった。
【0004】
市販の緑内障治療薬は、眼圧を下げるように設計されている。緑内障の薬は、標的クラスに従って整理することができる:アルファアドレナリン作動薬(房水産生を減らし、流出を増やす)ベータアドレナリン遮断薬(房水産生を減らす)、炭酸アンヒドラーゼ阻害剤(房水産生を減らす)、マイオティック(房水流出を増やす)、プロスタグランジン(房水流出を増加させる)、交感神経刺激薬(房水の産生を減少させ、流出を増加させる)、そして最近開発中の、アデノシンA1受容体アゴニスト(房水流出を増加させる)およびrhoキナーゼ阻害剤(房水流出を増加させ、産生を減少させる)。これらのクラスのいくつかには、複数のターゲットとアクションモードがある。多くの眼科用医薬品の場合と同様に、一部の緑内障治療薬は、もともと全身性の適応症と見なされ、眼科用に再利用されている。
【0005】
眼圧上昇(IOP)を改善するように設計された1つの発達薬はまた、後眼における神経保護を実証する:ロプレサ(ネタルスジル)。ネタルスジルはIOP低下剤であり、視神経乳頭への血流、網膜神経節細胞の生存、およびラットの軸索再生を促進することも示されている。ネタルスジルは、その主要なIOP低下機能において、線維柱帯のrhoキナーゼ(ROCK)を阻害して房水の流出を増加させ、毛様体のノルエピネフリントランスポーター(NET)を阻害して房水の産生を減少させる。したがって、主要なIOP標的(ROCK、NET)は、目の前部にある。対照的に、二次神経保護標的は後眼部(ROCK)にある。
【0006】
ネタルスジルの臨床試験における主要なエンドポイントは、IOPの低下である。この目的に向けて、ネタルスジルは、局所溶液として投与される親油性プロドラッグとして構築される。プロ部分(Pro-moiety)は、経細胞透過性を最大化するためにlogPを増加させる。親油性分子は結膜透過よりも角膜に有利に働く傾向があり、IOP低下標的は前方にあるため、推定される侵入経路は角膜を通る。重要なことに、親分子とより極性の高いプロドラッグ類似体の両方が、ウサギの研究でIOPを低下させる効果がはるかに低く、効力ではなくバイオアベイラビリティを反映している。ラットでは、網膜神経節細胞の生存と軸索再生によって証明されるように、前眼に向けた設計の方向性にもかかわらず、ネタルスジルも網膜に到達する必要がある。ネタルスジルの一般的であるが軽度の副作用は結膜充血である。
【0007】
別のROCK阻害剤であるAR-13154も、ヤヌスキナーゼ(JAK)、血小板由来成長因子キナーゼ(PDGFR)、プロテインキナーゼC(PKC)、およびROCKを標的としている。AR-13154は、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)における湿性加齢性黄斑変性症(AMD)および網膜血管新生の治療を目的としている。AR-13154のスポンサーは、網膜の標的に到達するためのインプラントとして投与されることを意図している。
【0008】
眼薬の生物学的利用能と利便性を改善するために、数多くの設計戦略が実施されてきた。これらは、2つのパラメーターに従って分類できる:(a)有効成分の詳細、つまりAPI、プロドラッグ部分などのAPI変更、ドラッグデリバリーシステム、および(b)投与モード/場所。目は外部から見え、内部の眼球コンパートメントまでの幾何学的距離が短いため、人間の目はアクセシビリティの印象を与える。まったく逆に、眼組織への効果的な薬物送達は、複数の、層状の、直交選択的な静的および動的障壁のために非常に困難である。後眼部への送達は特に困難である。
【0009】
従って、局所ROCK阻害剤の神経保護効果を達成または増加させる必要があり、それに伴う副作用(例えば、充血など)を減少させることが必要とされている。本発明の実施形態は、これらおよび他の必要性を満たすように設計されている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、ホウ素含有イソキノリン化合物を提供する。重要なサブセットには、アミノ酸、ペプチド、またはペプチド様プロドラッグ部分が含まれる。
【0011】
本発明はまた、ホウ素含有化合物および1つまたは複数の賦形剤を含む組成物を提供する。さらなる局面において、組成物は、薬学的に許容される組成物である。
【0012】
別の態様では、本発明は、rhoキナーゼ阻害剤として使用するためのホウ素含有イソキノリン化合物を提供する。本発明の利点は、それが、rhoキナーゼを含み、後眼部の細胞および組織に位置するシグナル伝達経路を調節する手段を提供することである。
【0013】
別の態様では、本発明は、物理的特性、膜輸送体認識、および粘膜付着特性が異なるホウ素含有化合物を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、宿主細胞または非ヒト生物を本発明のホウ素含有化合物またはその組成物と接触させることを含む、単離された宿主細胞または非ヒト生物においてrhoキナーゼを調節する方法を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、全身、局所眼、眼注射、および眼インプラントの投与様式で作用するホウ素含有化合物を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、本発明のホウ素含有化合物またはその組成物を対象に投与することを含む、対象の疾患、障害、傷害、または状態を治療する方法を提供する。
【0017】
別の局面において、本発明は、本発明のホウ素含有化合物またはその組成物を対象に投与することを含む、対象におけるrhoキナーゼ調節疾患、障害、傷害、または状態を治療する方法を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、疾患、障害、傷害、または状態の治療に使用するためのホウ素含有化合物またはその組成物を提供する。
【0019】
別の態様では、本発明は、疾患、障害、傷害、または状態を治療するための薬剤の製造に使用するためのホウ素含有化合物またはその組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
単独でまたは別の基の一部として使用される「アルキル」という用語は、1-12個の炭素原子(すなわち、C1-12アルキル)または指定された炭素原子の数(すなわち、メチルなどのC1アルキル、エチルなどのC2アルキル、プロピルやイソプロピルなどのC3アルキルなど)を含む直鎖または分岐鎖脂肪族炭化水素を指す。一実施形態では、アルキル基は、直鎖C1-10アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、分枝鎖C3-10アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖C1-6アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、分枝鎖C3-6アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖C1-4アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、分枝鎖C3-4アルキル基から選択される。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖または分枝鎖C3-4アルキル基から選択される。別の実施形態では、アルキル基は部分的または完全に重水素化されている、すなわち、アルキル基の1つまたは複数の水素原子が重水素原子で置き換えられている。非限定的な例示的なC1-10アルキル基には、メチル(-CD3を含む)、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、3-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど。非限定的な例示的なC1-4アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、セクブチル、tert-ブチル、およびイソブチルが含まれる。
【0021】
単独でまたは別の基の一部として使用される「任意選択で置換されたアルキル」という用語は、上記で定義されたアルキルが非置換であるか、またはニトロ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、スルホンアミド、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ウレイド、グアニジノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、シクロアルキルなどから独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基で置換されたことを意味する。一実施形態では、任意選択で置換されたアルキルは、2つの置換基で置換されている。別の実施形態において、任意選択で置換されたアルキルは、1つの置換基で置換されている。必要に応じて置換されたアルキル基の非限定的な例には、--CH2CH2NO2、--CH2CH2CO2H、--CH2CH2SO2CH3、--CH2CH2COPh、 --CH2C6H11などが含まれる。
【0022】
単独でまたは別の基の一部として使用される「シクロアルキル」という用語は、3-12個の炭素原子(すなわち、C3-12シクロアルキル)または指定された数の炭素を有する1-3個の環を含む飽和および部分的に不飽和(1つまたは2つの二重結合を含む)環状脂肪族炭化水素を指す。一実施形態では、シクロアルキル基は2つの環を有する。一実施形態では、シクロアルキル基は1つの環を有する。別の実施形態において、シクロアルキル基は、C3-8シクロアルキル基から選択される。別の実施形態において、シクロアルキル基は、C3-6シクロアルキル基から選択される。非限定的な例示的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリン、アダマンチル、シクロヘキセニルなどが含まれる。
【0023】
単独でまたは別の基の一部として使用される「任意選択で置換されたシクロアルキル」という用語は、上記で定義されたシクロアルキルが非置換であるか、またはハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド、スルホンアミド、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ウレイド、グアニジノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、アルコキシアルキル、(アミノ)アルキル、ヒドロキシアルキルアミノ、(アルキルアミノ)アルキル、(ジアルキルアミノ)アルキル、(シアノ)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、メルカプトアルキル、(ヘテロシクロ)アルキル、および(ヘテロアリール)アルキルから独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基で置換されたものを意味する。一実施形態では、必要に応じて置換されたシクロアルキルは、2つの置換基で置換されている。別の実施形態において、任意選択で置換されたシクロアルキルは、1つの置換基で置換されている。
【0024】
単独でまたは別の基の一部として使用される「シクロアルケニル」という用語は、上記で定義された部分的に不飽和のシクロアルキル基を指す。一実施形態では、シクロアルケニルは、1つの炭素-炭素二重結合を有する。別の実施形態において、シクロアルケニル基は、C4-8シクロアルケニル基から選択される。例示的なシクロアルケニル基には、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどが含まれる。
【0025】
単独でまたは別の基の一部として使用される「任意選択で置換されたシクロアルケニル」という用語は、上記で定義されたシクロアルケニルが非置換であるか、またはハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、モノヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、カルボキサミド、スルホンアミド、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ウレイド、グアニジノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、アルコキシアルキル、(アミノ)アルキル、ヒドロキシアルキルアミノ、(アルキルアミノ)アルキル、(ジアルキルアミノ)アルキル、(シアノ)アルキル、(カルボキサミド)アルキル、メルカプトアルキル、(ヘテロシクロ)アルキル、および(ヘテロアリール)アルキルでから独立して選択された1つ、2つ、または3つの置換基で置換されたものを意味する。一実施形態では、任意選択で置換されたシクロアルケニルは、2つの置換基で置換されている。別の実施形態において、任意選択で置換されたシクロアルケニルは、1つの置換基で置換されている。別の実施形態では、シクロアルケニルは非置換である。
【0026】
単独でまたは別の基の一部として使用される「アルケニル」という用語は、1つ、2つ、または3つの炭素-炭素二重結合を含む上記で定義されたアルキル基を指す。一実施形態では、アルケニル基は、C2-6アルケニル基から選択される。別の実施形態では、アルケニル基は、C2-4アルケニル基から選択される。非限定的な例示的なアルケニル基には、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、sec-ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルが含まれる。
【0027】
単独でまたは別の基の一部として使用される「アルコキシ」という用語は、末端酸素原子に結合した任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたアルケニルまたは任意選択で置換されたアルキニルを指す。一実施形態では、アルコキシ基は、C1-4アルコキシ基から選択される。別の実施形態において、アルコキシ基は、末端酸素原子、例えば、メトキシ、エトキシ、およびtert-ブトキシに結合したC1-4アルキルから選択される。
【0028】
単独でまたは別の基の一部として使用される「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基を指す。非限定的な例示的なアルコキシアルキル基には、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシブチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、プロポキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、tert-ブトキシメチル、イソブトキシメチル、sec-ブトキシメチル、およびペンチルオキシメチルが含まれる。
【0029】
単独でまたは別のグループの一部として使用される「ハロアルコキシ」という用語は、末端酸素原子に結合したハロアルキルを指す。非限定的な例示的なハロアルコキシ基には、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、および2,2,2-トリフルオロエトキシが含まれる。
【0030】
単独でまたは別の基の一部として使用される「ジアルキルアミノ」という用語は、-NR’R”を指し、それにより、R ’およびR”はそれぞれ独立してアルキルであるか、またはR’およびR”が一緒になって3-または8員の任意選択で置換されたヘテロシクロを形成する。
【0031】
ボロン酸基-B(OH)
2、オキサボロラン、またはオキサボロールを含む本発明のいくつかのそのような化合物では、ホウ素官能基の酸性特性のために、水中でイオン化平衡を示す可能性が高い。例示として、限定ではなく、本発明の特定の化合物は、中性の三価種またはアニオン性四面体種のいずれかとして存在し得る(式(Eq.)1-3)。
【化1】
【0032】
本発明の実施形態は、式1-3に示されるように、ボロン酸、オキサボロラン、オキサボロール、および関連する環系の中性三価種およびアニオン四面体種の両方を包含する。一部の実施形態において、ボロン酸置換基を有する本発明の化合物は、水中にアニオン性四面体種として存在する。別の実施形態において、オキサボロラン置換基を有する本発明の化合物は、水中にアニオン性四面体種として存在する。更なる実施形態において、オキサボロール置換基を有する本発明の化合物は、水中にアニオン性四面体種として存在する。したがって、ホウ素含有化合物および水(および任意選択で1つまたは複数の追加の賦形剤)を含む医薬組成物において、本発明の化合物は、中性三価形態、アニオン四面体形態、またはその両方で存在し得る。
【0033】
本発明の実施形態は、ボロン酸およびアミノ基または窒素含有複素環の両方を含む構造を包含する。pHに応じて、これらはカチオン種、形式電荷のない中性種、双性イオン中性種、またはアニオン種として存在し得る。本発明のホウ素およびアミノ含有化合物を含む医薬組成物は、これらの形態のいずれかで存在し得る。
【0034】
本開示は、式(Eq.)4Aに示されるように、様々な条件、例えば、溶媒、pH、温度に応じて互いに平衡状態で存在し得る開環および閉環形態を含む、様々な形態のホウ素含有環を包含する。本開示の化合物は、式4Aおよび4Bに示されるように、様々な条件下で存在し得る開環形態および閉環形態の両方を含むことを意味する。
【化2】
【化3】
【0035】
本開示はまた、ボロン酸、オキサボロラン、オキサボロール、アザボロール、および関連するホウ素含有環系の様々な二量体および三量体を包含する。一実施形態では、開示の化合物は、ボロキシン、例えば、式Bの化合物を形成する:
【化4】
または式Cまたは式Dの無水物:
【化5】
【化6】
ここで、nは1~1000、または1~500、または1~250、または1~100、または1~50である。
【0036】
本開示の目的のために、「ボロキシン」という用語は、式1を有するボロン酸含有化合物のシクロトリマー無水物を指すことを意味する。
【0037】
本明細書で使用される「1価のカチオン」という用語は、アルカリ金属イオン、例えば、Na+およびK+などの無機カチオン、ならびにアンモニウムおよび置換アンモニウムイオン、例えば、NH4
+、NHMe3
+、NH2Me2
+、NHMe3
+、およびNMe4
+などの有機カチオンを指すが、これらに限定されない。
【0038】
本開示の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含み得るので、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性体を生じさせ得る。本開示は、そのようなすべての可能な形態、ならびにそれらのラセミおよび分解された形態およびそれらの混合物の使用を包含することを意図している。個々のエナンチオマーは、本開示を考慮して当技術分野で知られている方法に従って分離することができる。本明細書に記載されている化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的非対称中心を含む場合、特に明記しない限り、それらはEおよびZ幾何異性体の両方を含むことを意図している。
【0039】
本開示は、非毒性の薬学的に許容される塩を含む、本開示の化合物の塩の調製および使用を包含する。薬学的に許容される付加塩の例には、無機および有機酸付加塩ならびに塩基性塩が含まれる。薬学的に許容される塩には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N、N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩;重炭酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、重硫酸塩、半硫酸塩、硫酸塩などの無機酸性塩。クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩、アジペート、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、酪酸塩、カンフォレート、シクロヘキシルスルファメート、グリコール酸塩、ヘプタン酸、ヘキサノエート、ヒドロキシマレイン酸塩、リンゴ酸塩などの有機酸塩;パモエート、ペルサルフェート、フェニルアセテート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、キネート、サリチル酸、ステアレート、コハク酸塩、スルファメート、スルファニレート、およびウンデカノエートなどの有機酸塩;カンファースルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;およびアルギネート、アスパルギネート、コリン、グルタミン酸、リジン、メグルミンなどのアミノ酸塩が含まれるが、これらに限定されない。また、塩基性窒素含有基は、以下のような薬剤で四級化することができる:メチル、エチル、プロピル、およびブチルハライドなどの低級アルキルハライド;ジメチル、ジエチル、ジブチルなどの硫酸ジアルキル;硫酸ジアミル;デシル、ラウリル、ミリスチル、ステアリルハライドなどの長鎖ハライド;臭化ベンジルなどのハロゲン化アラルキルが含まれるが、これらに限定されない。毒性のない生理学的に許容される塩が好ましいが、生成物の単離または精製などの他の塩も有用である。適切な塩のレビューについては、文献[Berge et al, J. Pharm. Sci., 1977 66:1-19 and G. S. Paulekuhn et al. J. Med. Chem. 2007 50:6665]を参照。
【0040】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、以下の一般式を有するボロン酸塩を含むことを意味する。
【化7】
ここで、M
+はH
+または1価のカチオンである。
【0041】
本開示は、に記載されている化合物の溶媒和物の調製および使用を包含する。溶媒和物は通常、化合物の生理学的活性または毒性を有意に変化させないため、薬理学的同等物として機能する可能性がある。本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、本開示の化合物と、例えば、二溶媒和物、一溶媒和物(monosolvate)または半溶媒和物(hemisolvate)といった溶媒分子などとの組み合わせ、物理的結合(physical association)、および/または溶媒和を意味することを意図している。本開示の化合物に対する溶媒分子の比がそれぞれ約2:1、約1:1または約1:2である。この物理的結合には、水素結合を含むさまざまな程度のイオン結合と共有結合が含まれる。1つまたは複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれる場合など、特定の例では、溶媒和物を単離することができる。したがって、「溶媒和物」は、液相および分離可能な溶媒和物の両方を包含する。
【0042】
本開示の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒を有する溶媒和形態として存在することができ、本開示は、記載される化合物の溶媒和形態および非溶媒和形態の両方を含むことが意図される。溶媒和物の1つのタイプは水和物である。
【0043】
本明細書で使用される場合、「水和物」は、溶媒分子が水である溶媒和物の特定のサブグループに関連する。溶媒和物は通常、薬理学的同等物として機能することができる。溶媒和物の調製は当技術分野で知られている。例えば、文献[M. Caira et al, J. Pharmaceut. Sci., 93(3):601-611 (2004)]には、酢酸エチルおよび水によるフルコナゾールの溶媒和物の調製について説明されている。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製は、文献[E. C. van Tonder et al., AAPS Pharm. Sci. Tech., 5(1):Article 12 (2004)]および文献[A. L. Bingham et al., Chem. Commun. 603-604 (2001)]に記載されている。溶媒和物を調製する典型的な非限定的なプロセスは、本開示の化合物を、20℃を超える温度から約25℃の温度で所望の溶媒(有機物、水、またはそれらの混合物)に溶解し、次に冷却することを含む。結晶を形成するのに十分な速度で溶液を溶解し、既知の方法、例えば濾過によって結晶を単離する。赤外分光法などの分析技術を使用して、溶媒和物の結晶中の溶媒の存在を確認することができる。
【0044】
「水性」という用語は、典型的には、担体が> 50重量%、より好ましくは>75重量%、特に>90重量%の水である水性組成物を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、活性成分/化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体との製剤を含むことを意図している。例えば、本発明の組成物は、当技術分野で知られている手段によって、例えば、錠剤、カプセル、水溶液または油性溶液、懸濁液、乳濁液、クリーム、軟膏、ゲル、点鼻薬、坐剤、吸入用の微分割粉末またはエアロゾルまたはネブライザー、および非経口使用(静脈内、筋肉内または注入を含む)のための滅菌水溶液または油性溶液または懸濁液または滅菌エマルジョンの形態で処方され得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外の組成物中の任意の成分を指す。賦形剤は、典型的には、化合物の処理、取り扱い、投与などを容易にするために組成物に添加される不活性物質である。有用な賦形剤には、アジュバント、付着防止剤、結合剤、担体、崩壊剤、充填剤、香料、着色剤、希釈剤、潤滑剤、流動促進剤、防腐剤、吸着剤、溶媒、界面活性剤および甘味料が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「眼科用製剤」および「眼用製剤」という用語は交換可能である。
【0048】
本明細書で使用される場合、「rhoキナーゼ調節疾患、障害、傷害、または状態」という用語は、rhoキナーゼが調節的または寄与的役割を果たす一般的に有害な生理学的状態を指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「傍眼rhoキナーゼ調節疾患、障害、傷害、または状態」という用語は、rhoキナーゼが調節または寄与の役割を果たすが、必ずしも眼への影響を及ぼさない、一般に有害な生理学的状態を指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「涙液代替物」という用語は、内因性涙の一貫性を近似する、潤滑するか(「濡らすか」)、自然な涙の蓄積を助けるか、または眼への投与の際にドライアイの症状および状態を一時的に緩和する分子または組成物を指す。
例示的な化合物
【0051】
本発明は、式1を有する化合物:
【化8】
または、その立体異性体、互変異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物を提供する。
ここで、Eは、CH、C-OH、N、またはNHからなる群から選択され、
GはCH、またはEがNHの場合、Gは存在せず、
Jは-(CH
2)
n-A
6、または
【化8-1】
であり、
A
1、A
2、R
2およびR
3はそれぞれ-HまたはC1-C6アルキルであり、
A
3およびA
4はそれぞれ、水素、ハロ、C1-C6アルキル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、任意に置換されたアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルキルアミノアルケニル、ジアルキルアミノアルケニル、
【化8-2】
からなる群から選択され、
R
5aおよびR
5bは、任意の天然アミノ酸の側鎖、C1-C6アルキル、トリフルオロ-C1-C6アルキル、-(CH
2)
nSH、-(CH
2)
nNH-C(=NH)NH
2、-(CH
2)
nCO
2H、-(CH
2)
nNH
2、-(CH
2)
nCH(NH
2)(CO
2H)、-(CH
2)
nSO
3H、-(CH
2)
nNR
6R
7、-(CH
2)
n-ピリジル、-(CH
2)
nONO
2から選択され、
A
6は-(CR
6R
7)
nB(R
8R
9)、
【化8-3】
であるか; A
6はA
3またはA
4のいずれかとともに-BR
8O(CR
6R
7)
nO-、-BR
8O(CR
6R
7)
nNR
6-、-BR
8O(CR
6R
7)
n-、-BR
8NR
6(CR
6R
7)
nO-、-BR
8NR
6(CR
6R
7)
nNR
6-、-BR
8NR
6(CR
6R
7)
n-、-B(R
8)
2N(R
6)
2(CR
6R
7)
nO-、-B(R
8)
2N(R
6)
2(CR
6R
7)
nNR
6-、-B(R
8)
2N(R
6)
2(CR
6R
7)
n-、-BR
8-O-N=CH-、-BR
8NR
6N=CH-、-B(R
8)
2N(R
6)
2N=CH-、-BR
8-O-CR
6=N-、-BR
8NR
6CR
6=N-、-BR
8-O-C(=O)NR
6-、-BR
8NR
6C(=O)NR
6-、-BR
8-O-C(NR
6)=N-、-BR
8NR
6C(NR
6)=N-、-B(R
8)
2N(R
6)
2CR
6=N-、-B(R
8)
2N(R
6)
2C(=O)-N-、-B(R
8)
2N(R
6)
2C(NR
6)=N-、-BR
8-O-NR
6-、-B(OH)-O-NH-C(O)-、-B(OH)NR
6NHC(O)-、-B(OH)
2N(R
6)
2NHC(O)-、-OBR
8CH=CH-、-NR
6BR
8CH=CH-、-N(R
6)
2B(R
8)
2CH=CH-、-OBR
8(CR
6R
7)
nO-、-OBR
8(CR
6R
7)
nNR
6-、-OBR
8(CR
6R
7)
n-、-NR
6BR
8(CR
6R
7)
nO-、-NR
6BR
8(CR
6R
7)
nNR
6-、-NR
6BR
8(CR
6R
7)
n
-、-N(R
6)
2B(R
8)
2(CR
6R
7)
nO-、-N(R
6)
2B(R
8)
2(CR
6R
7)
nNR-、-N(R
6)
2B(R
8)
2(CR
6R
7)
n-、-BR
8-O-CH=CH-、-BR
8NR
6CH=CH-、-B(R
8)
2N(R
6)
2CH=CH-を形成し;
R
6およびR
7は、それぞれH、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、トリフルオロC1-C6アルキル、アセチル、フェニル、またはC1-C6アルキルスルホニルであり;
R
8およびR
9は、それぞれフルオロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであるか;または-B(R
8R
9)は、フッ化物付加物、ヒドロキシ酸付加物、またはアミノ酸付加物を形成し;
nとmはそれぞれ0、1、2、3、または4である。
【0052】
【0053】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式3-8のいずれかの化合物である。
【化10】
【0054】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式9-11のいずれかの化合物である。
【化11】
【0055】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式12-14のいずれかの化合物である。
【化12】
【0056】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式15-17のいずれかの化合物である。
【化13】
【0057】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式18-23のいずれかの化合物である。
【化14】
【0058】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式24-26のいずれかの化合物である。
【化15】
【0059】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式27-32のいずれかの化合物である。
【化16】
【0060】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式33-38のいずれかの化合物である。
【化17】
【0061】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式39-41のいずれかの化合物である。
【化18】
【0062】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式42-47のいずれかの化合物である。
【化19】
【化19-1】
【0063】
好ましい実施形態では、式2の化合物は、式48-56のいずれかの化合物である。
【化20】
【化20-1】
【0064】
好ましい実施形態では、式1の化合物は、式67の化合物である。
【化21】
【0065】
【0066】
好ましい実施形態において、式1の化合物は、式57の化合物である。
【化22】
【0067】
一部の実施形態において、本発明は、表1または表2(上記)に記載の化合物、または立体異性体、互変異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物を提供する。
【0068】
他の実施形態において、本発明は、微粉化された化合物およびその組成物を提供する。一部の実施形態において、本発明の化合物の微粉化形態の平均粒子サイズ分布は、約100μm以下、好ましくは20μm以下、例えば、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、または約11μm以下である。一部の実施形態において、平均粒度分布は、約50μm以下、好ましくは10μm以下、例えば、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、または約5μm以下である。別の実施形態では、平均粒度分布は、約25μm以下、好ましくは5μm以下、例えば、約4μm、約3μm、約2μm、または約1μm以下である。さらなる実施形態では、平均粒子サイズ分布は、約1μm以下、例えば、約0.9μm、約0.8μm、約0.7μm、約0.6μm、約0.5μm、約0.4μm、約0.3μm、約0.2μm、約0.1μm、約0.09μm、約0.08μm、約0.07μm、約0.06μm、約0.05μm、約0.04μm、約0.03μm、約0.02μm、または約0.01μm以下である。
【0069】
一部の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されている化合物の多形(polymorphic)固体形態を提供する。他の実施形態では、本発明の化合物は最低エネルギーの結晶形である。さらなる実施形態では、本発明の化合物は最低エネルギーの結晶形ではない。さらに他の実施形態では、本発明の化合物はアモルファス形態である。別の実施形態では、本発明の化合物は溶媒和物bの形である。
【0070】
本明細書で使用される技術的および科学的用語は、別段の定義がない限り、本開示が関係する当業者によって一般的に理解される意味を有する。当業者に知られている様々な方法論および材料が参照される。
【0071】
これらの化合物の調製に使用される出発物質および試薬は、一般に、Aldrich Chemical社などの商業的供給業者から入手可能であるか、または参考文献に記載の手順に従って当業者に知られている方法によって調製される。天然および市販のアミノ酸のペプチドは、一般に、既製の材料として、またはカスタム合成によって、BachemAGなどのサプライヤーから入手できる。以下の実施例で参照される他の材料、試薬などは、特に断りのない限り、商業的供給源から入手可能である。
【0072】
一般的な合成手順は、以下の文献に記載され、当業者は熟知している:Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, Volumes 1-28; Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, 3rd edition Wiley-VCH, New York 2017; Comprehensive Organic Synthesis, Molander & Knochel (Eds.) Elsevier, 2014; Boronic Acids, D.G. Hall, Wiley, 2011;およびOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 2012, Volumes 1-77。
【0073】
有機ホウ素化学に特有の合成手順は、以下の文献に記載されている:Boronic Acids: Preparation and Applications in Organic Synthesis, Medicine and Materials, 2nd Ed., Dennis G. Hall (Ed.), 2011, Wiley. An overview of organotrifluoroborates is provided by Molander, G.A., Ellis, N.; Organotrifluoroborates: Protected Boronic Acids That Expand the Versatility of the Suzuki Coupling Reaction, Acc. Chem. Res. 2007, 40, 275-286. Use of alpha- and beta-carbonyl protected boronic acids is explained in (a) He, Z., Yudin, A.K., Amphoteric a-Boryl Aldehydes, J. Am. Chem. Soc., 2011, 133 (35), 13770-13773; He, Z., Zajdlik, A., St. Denis, J.D., Assem, N., Yudin, A.K., (b) Boroalkyl Group Migration Provides a Versatile Entry into a-Aminoboronic Acid Derivatives, J. Am. Chem. Soc., 2012, 134 (24), 9926-9929, and (c) St. Denis, J.D. Zajdlik, A., Tan, J., Trinchera, P., Lee, C.F., He, Z., Adachi, S., Yudin, A.K., Boron-Containing Enamine and Enamide Linchpins in the Synthesis of Nitrogen Heterocycles, J. Am. Chem. Soc., 2014, 136 (50), pp 17669-17673. Synthetic routes for the preparation of boron-containing ring systems are described or reviewed in (a) Chellappan, S.K., Hormann, R.E., Shulman, I., US patent 9,127,024 (2015), (b) James, R.A., Chellappan, S.K., Hormann, R.E., US patent application 20160083403-A1 2016, (c) Adamczyk-Wozniak, A., Borys, K.M., Sporzynski, A., Recent Developments in the Chemistry and Biological Applications of Benzoxaboroles, Chem. Rev. 2015, 115, 5224-5247, (d) Groziak, M.P., Boron Heterocycles as Platforms for Building New Bioactive Agents, in Progress in Heterocyclic Chemistry, 2000, 12, 1-21, Gribble, G.W., Gilchirst, T.L., Eds., Elsevier, および (e) Wisniewski, S.R., Guenther, C.L., Argintaru, O.A., and Molander, G.A., A Convergent, Modular Approach to Functionalized 2,1-Borazaronaphthalenes from 2-Aminostyrenes and Potassium Organotrifluoroborates, J Org Chem. 2014, 79, 1, 365-378。
【0074】
保護基法は、文献[Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, 5th Ed., P. G. Wuts, 2014]に記載されている。アミノ酸官能基の特異的保護は、文献[Amino Acid-Protecting Groups, A. Isidro-Llobet, M. A´ lvarez, F. Albericio, Chem. Rev. 2009, 109, 2455-2504]に記載されている。合成スキームに記載されている保護基の選択は代表的であり、好都合である。記載された文献の情報に基づいて、当業者は、描写された変換を実施するために、代替の機能的に同等の保護スキームが利用可能であることを認識するであろう。一般に、最後のステップで(nBu)4N+F-を使用して処理すると、Teoc基とFmocの両方が除去されると予想される。Fmocがこれらの条件下で耐性を示す場合は、ピペリジンまたはモルホリンで処理することで除去できる。
【0075】
ボロン酸保護基の図解と方法論は、文献[(a) Tobisu. M., Chatani, N., Devising Boron Reagents for Orthogonal Functionalization through Suzuki-Miyaura Cross-Coupling, Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 3565, (b) Churches, Q.I., Craig A., Hutton. C.A.; Introduction, Interconversion and Removal of Boron Protecting Groups, in Boron Reagents in Synthesis, ACS Symposium Series, 2016 Vol. 1236, Chapter 11, pp 357-377, and (c) Molloy, J.J., Watson, A.J.B., B-Protected Boronic Acids: Methodology Development and Strategic Application, in Boron Reagents in Synthesis, ACS Symposium Series, 2016, Vol. 1236, Chapter 12, pp 379-413]に記載されている。
【0076】
ペプチド合成は、他の多くの出版物の中でも、「Amino Acids, Peptides and Proteins in Organic Chemistry, A. B. Hughes, 2013, Wiley-VCH」に記載されている。標的化合物の多くは、固相合成による調製に役立つ。ペプチドコンジュゲートは、固相合成によって、例えば、「Solid-Phase Synthesis: A Practical Guide, 1st Ed., F. Albericio, Ed., CRC Press, 2000」に記載された方法によって、調製することができる。以下の図解において、アミドカップリング化学用の試薬は、多くの可能な条件の中のいくつかによって表される。例えば、代替のカップリング剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC);1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザ-ベンゾトリアゾール(HOAt)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、2-(6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)、またはO-[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ] -N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートTOTU(オキシマピュア)である。次の表は、いくつかの任意のアミドカップリング条件をまとめたものである。
【0077】
不斉合成の場合、対蹠ターゲットは、反対のエナンチオマー出発物質、キラル触媒、またはキラル補助剤を使用して調製できる。エナンチオマーは、標準的な分取キラルクロマトグラフィーによっても得ることができる。
【0078】
重水素化された足場または足場断片は、文献[(a) Atzrodt, J., Derdau, V., Fey, T., Zimmermann, J., The Renaissance of H/D Exchange, Angew. Chemie Int. Ed. 2007, 46, 41, 7744-7765、(b) Rosales A., Rodriguez-Garcia I., Cp2TiCl/D2O/Mn, a formidable reagent for the deuteration of organic compounds, Beilstein J Org Chem. 2016;12, 1585-9]および関連記事に記載されたような重水素化された出発物質を使用する標準的な反応やスクランブル方法によって調製され得る。
【0079】
薬理学の一般原則を説明する標準的な参考書には、「Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 12th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2011)」が含まれる。
【0080】
特にBpinH[4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン]またはB(pin)2[Bis(pinacolato)diboron]を含むパラジウム-配位子触媒システムを使用した、アレーン、ハロゲン化アリール、およびアリールトリフラートのホウ素化の一般的な方法と条件は、文献[(a)Boronic Acids: Preparation and Applications in Organic Synthesis, Medicine and Materials, 2nd Ed., Dennis G. Hall (Ed.), 2011, Wiley、b) Chellappan, S.K., Hormann, R.E., Shulman, I., US patent 9,127,024 (2015)、 (c) James, R.A., Chellappan, S.K., Hormann, R.E., US patent application 20160083403-A1 2016]に記載されている。
【0081】
次の略語は、本願全体で使用される。
B(pin)2=ビス(ピナコラート)ジボロン
BpinH=4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
Dman=1-ジメチルアミノ-8-メチルアミノナフタレン
DMF=ジメチルホルムアミド
dppf=dppf=1,1’-フェロセンジイルビス(ジフェニルホスフィン)
Fmoc=9-フルオレニルメトキシカルボニル
HATU=1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート
NBS=N-ブロモスクシンイミド
NMP=N-メチルピロリジン
PyBOP=(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
スベン=ω-5-ジベンゾスベレニル
TBDMS=t-ブチル、ジメチルシリル
tBoc=t-ブトキシカルボニル
Teoc=2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル
TFA=トリフルオロ酢酸
【0082】
線状ボロン酸化合物197は、以下に従って調製することができる。
【化23】
【0083】
化合物198-219は、以下の一般的図解に従って官能化されたビルディングブロックを最初に調製することによって調製することができる。
【化24】
【0084】
次に、イソキノリン部分が導入される。
【化25】
必要に応じて、スルフィンアミドはより弾力性のある(resilient)保護基に変換される。
【0085】
ボロン酸はさらに処理することができる。
【化26】
【0086】
オキサゾロール化合物220-225は、最初にボロン酸ビルディングブロックを調製することによって同様に調製することができる。
【化27】
【0087】
次に、イソキノリン部分が取り付けられる。
【化28】
【0088】
アザボロール化合物226-231は、同様の方法で調製することができる。
【化29】
【0089】
次に、ビルディングブロックをイソキノリン部分に取り付けることができる。
【化30】
必要に応じて、スルフィンアミドはより弾力性のある保護基に変換される。
【0090】
オキサザボロール化合物232-234は、次のように調製することができる。
【化31】
必要に応じて、スルフィンアミドはより弾力性のある(resilient)保護基に変換される。
【0091】
[H]-オキサボリンおよびアザボリン化合物235-240は、次のように調製できる。
【化32】
場合により、スルホンアミドは、より弾力性のある保護基に変換される。
【0092】
不飽和アザボリンおよびアザボリニウム化合物241-246は、以下に従って調製できる。
【化33】
保護されたR-OCH
2CH
2-基をアリール環に結合する別の方法:ROCH
2CH
2-Bpinと臭化アリールの反応およびPd触媒作用。
【0093】
次に、ビルディングブロックがイソキノリン部分に取り付けられる。
【化34】
必要に応じて、スルホンアミドは、より弾力性のある保護基に変換される。
【0094】
不飽和オキサボリンおよびアザボリン化合物247-252の調製は、以下の図解に示される。
【化35】
必要に応じて、スルフィンアミドは、より弾力性のある保護基に変換される。
【化36】
必要に応じて、スルフィンアミドは、より弾力性のある保護基に変換される。
【0095】
同様に、1,2,6-オキサザボリンおよびジアザボリン化合物253-270は次のように調製することができる。
【化37】
RCHOを調製するための代替法:NBSによる二重臭素化、HOCH
2CH
2O-Naを使用したエチレンアセタールへの変換。
エステル交換の代替:NaOHまたは(nBu)
4N
+OH
-による加水分解、CH
3IまたはCH
2N
2による処理。
【0096】
さらなるアセンブリが以下に示される。
【化38】
必要に応じて、スルホンアミドは、より弾力性のある保護基に変換される。
【0097】
1,3,6-オキサザボリンおよびジアザボリン化合物271-279は、以下に従って調製することができる。
【化39】
必要に応じて、スルフィンアミドは、より弾力性のある保護基に変換される。
【0098】
1,2,6-オキサザボリンおよび1,3,6-ジアザボリン化合物280-285は、次のように調製することができる。
1,3,6-ジアザボリン、ラセミ体:
【化40】
1,3,6-ジアザボリン、ホモキラル:
【化41】
必要に応じて、スルホンアミドは、より弾力性のある保護基に変換される。
【0099】
1,2,6-オキサザボリン、ビルディングブロックは次のように調製することができる。
【化42】
【0100】
1,2,6-オキサザボリン(ラセミおよびホモキラル)は、以下に示すように調製できる。
【化43】
必要に応じて、スルホンアミドは、より弾力性のある保護基に変換される。
【0101】
オキサボレピン、ジオキサボレピン、およびオキサザボレピン化合物286~294は、以下に示すように調製することができる。
オキサボレピン、ビルディングブロック:
【化44】
【0102】
オキサボレピン(ラセミおよびホモキラル)化合物は、以下に示すように調製できる。
【化45】
必要に応じて、スルフィンアミドはより弾力性のある保護基に変換される。
【0103】
逆オキサボレピンビルディングブロックは、以下に示すように調製することができる。
【化46】
【0104】
次に、逆オキサボレピン化合物(ラセミおよびホモキラル)を以下のように調製できる。
【化47】
必要に応じて、スルフィンアミドはより弾力性のある保護基に変換される。
【0105】
ジオキサボレピンおよびオキサザボレピン化合物ディングブロックは以下のように調製され得る。
【化48】
【0106】
ジオキサボレピンおよびオキサザボレピンの調製は、以下に示すように調製することができる。
【化49】
必要に応じて、スルフィンアミドは、より弾力性のある保護基に変換される。
【0107】
化合物222-1、222-2、および222-3は類似した方法に従って調製される。
【化50】
【0108】
当業者は、本発明の化合物を調製する合成方法が、本明細書に記載されたものに限定されないことを理解するであろう。
投与経路
【0109】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、全身投与によって対象の眼の標的部位に送達される。言い換えれば、送達されるのは、全身投与によって対象の非眼の標的部位に送達される。特定の場合、および眼または非眼の標的の両方について、本発明の化合物を含む医薬製剤は、経口および非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、経皮、皮内、舌下、頬、膣、直腸、肺内、吸入、吹送、局所、鼻腔内、腹腔内、動脈内、胸腔内、硬膜内、髄腔内、脳室内、病巣内、および関節への注射による)投与経路を含むがこれらに限定されない複数の投与経路によって任意に投与される。非経口注射は、任意選択で、ボーラス注射または持続注入を伴う。
【0110】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、局所的な眼の投与を介して、対象の眼の標的部位に送達される。特定の疾患において、本発明の化合物を含む製剤は、局所、経強膜、硝子体内、小管内、前房内、脈絡膜上、涙点(涙管)、網膜下、眼周囲(結膜下、テノン嚢下、球後、眼球周囲、後部傍強膜)を含むがこれらに限定されない複数の眼投与経路によって任意に投与される。。
賦形剤
【0111】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、単位剤形であり得る。そのような形態において、組成物は、適切な量の活性成分を含む単位剤形に分割され得る。他の場合には、単位剤形は、包装された製剤であり得、包装は、例えば、包装された錠剤、カプセル、およびバイアルまたはアンプル中の粉末など、個別の量の製剤を含む。単位剤形はまた、カプセル、カシェ、または錠剤自体であり得るか、またはこれらのパッケージ化された形態のいずれかの適切な数であり得る。
【0112】
投与量は、特定の患者に最も適切な個々のレジメンおよび投与量レベルを決定する際に、投与経路、疾患の重症度、患者の年齢および体重、ならびに主治医によって通常考慮される他の要因に依存する。
【0113】
一部の実施形態では、全身投与の投与量範囲は、約0.001から約100mg/kg体重、約0.01から約10mg/kg体重あたり、約0.05から約5mg/kg体重/日である。経皮投与量は、薬物動態学および経皮製剤の当業者に知られている技術に基づいて、同様の血清または血漿レベルを達成するように設計されるであろう。全身投与の血漿レベルは、0.1~1000ng/mL、0.5~500ng/mL、および1~100ng/mLの範囲であると予想される。これらの投与量は毎日の投与率に基づいているが、毎週または毎月の累積投与量を使用して臨床要件を計算することもできる。
【0114】
一部の実施形態において、本発明の化合物の用量は、眼科用製剤の約0.001重量%から約10重量%である。一部の実施形態において、本発明の化合物の用量は、眼科用製剤の約0.001重量%から約5重量%である。
【0115】
投与量は、所望の効果を達成するために、治療される患者、治療される状態、治療される状態の重症度、投与経路などに基づいて変えることができる。
【0116】
本発明の化合物はさらに、上記で定義された少なくとも1つの有効成分をそのための獣医用担体と共に含む獣医用組成物を提供する。獣医用担体は、組成物を投与する目的に有用な材料であり、そうでなければ獣医技術において不活性または許容可能であり、有効成分と適合性である固体、液体または気体の材料であり得る。これらの獣医用組成物は、非経口的に、経口的に、局所的に眼に、または他の任意の所望の経路によって投与することができる。
【0117】
本発明の組成物は、医薬品有効成分として記載されている安全かつ有効な量の化合物、および医薬的に許容される担体を含み得る。
【0118】
本明細書で使用される場合、「安全かつ有効な量」は、健全な医学的判断の範囲内において、治療される状態に正の変化を有意に誘発するのに十分であるが、重篤な副作用を回避するのに十分に低い(合理的な利益/リスク比で)化合物の量を意味する。化合物の安全で有効な量は、治療される特定の状態、治療される患者の年齢および身体的状態、状態の重症度、治療期間、同時治療の性質、利用される特定の薬学的に許容される担体、および主治医の知識と専門知識内の同様の要因によって変化する。
【0119】
本開示に従って使用するための医薬組成物は、1つまたは複数の生理学的に許容される担体または賦形剤を使用して、従来の方法で処方することができる。したがって、化合物およびそれらの生理学的に許容される塩および溶媒和物は、例えば、局所投与、点眼薬、局所油性製剤、注射、吸入(口または鼻のいずれかを介して)、インプラント、または経口、頬側、非経口、または直腸投与。技術と処方は、一般的に「レミニトンの製薬科学」(ミード出版社、ペンシルベニア州イーストン)に見られる。治療用組成物は、通常、製造および保管の条件下で無菌かつ安定でなければならない。
【0120】
本発明の化合物を投与することができる経路および組成物の形態は、使用される担体のタイプを決定するであろう。組成物は、例えば、全身投与(例えば、経口、直腸、鼻、舌下、頬側、インプラント、または非経口)または局所投与(例えば、皮膚、肺、鼻、聴覚、眼球、リポソーム送達システム、またはイオントフォレーシス)に適した様々な形態であり得る。
【0121】
製剤には、溶液、懸濁液、水性液体分散液、自己乳化分散液、固体溶液、リポソーム分散液、固体剤形、粉末、即時放出製剤、徐放性製剤、速溶性製剤、錠剤、カプセル、ピル、遅延放出製剤、徐放製剤、拍動性放出製剤、多粒子製剤、および混合即時放出製剤と制御放出製剤が含まれるがこれらに限定されない。一般的に言えば、治療効果を引き出すのに有効な期間、インビボで有効であることが見出された濃度に釣り合った血漿レベルを達成するのに有効な量の本発明の化合物を投与することが望まれる。
【0122】
全身投与用の担体は、通常、以下の賦形剤クラスの少なくとも1つを含む:a)希釈剤、b)潤滑剤、c)結合剤、d)崩壊剤、e)着色剤、f)香料、g)甘味料、h)抗酸化剤、j)防腐剤、k)流動促進剤、m)溶剤、n)懸濁剤、o)湿潤剤、p)界面活性剤、それらの組み合わせなど。すべての賦形剤は、全身組成物において任意である。担体はまた、カプセル化材料であり得る。
【0123】
固形剤形に適した希釈剤には、グルコース、ラクトース、デキストロース、トレハロース、セルロース、およびスクロースなどの糖が含まれる。プロピレングリコールなどのジオール;炭酸カルシウム;リン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム、炭酸ナトリウム。グリセリンなどの糖アルコール;マンニトール;とソルビトールなどの糖を含む。全身または局所組成物中の成分a)の量は、典型的には約50から約90%である。
【0124】
固体剤形に適した潤滑剤は、シリカ、タルク、ステアリン酸およびそのマグネシウム塩およびカルシウム塩、硫酸カルシウムを含む固体潤滑剤;ポリエチレングリコール、ピーナッツオイル、綿実油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油、テオブロマ油などの植物油などの液体潤滑剤などが含まれる。全身または局所組成物中の成分b)の量は、典型的には約5から約10%である。一実施形態では、糖衣錠コアは、必要に応じて、胃液に耐性のある適切なコーティングを備えている。この目的のために、濃縮サッカリド溶液を使用することができ、これは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意に含み得る。胃液に耐性のあるコーティングを製造するために、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適切なセルロース調製物の溶液が使用される。
【0125】
固体剤形に適した結合剤には、ポリビニルピロリドンが含まれる。ケイ酸アルミニウムマグネシウム;コーンスターチ、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉などの澱粉;ゼラチン;トラガカント;セルロースおよびその誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、およびナトリウムカルボキシメチルセルロースが含まれる。全身組成物中の成分c)の量は、典型的には約5から約50%であり、眼の固形投与では最大99%を形成する。
【0126】
固体剤形に適した崩壊剤には、寒天、アルギン酸およびそれらのナトリウム塩、発泡性混合物、クロスカルメロシス、クロスポビドン、ナトリウムカルボキシメチルスターチ、ナトリウムスターチグリコレート、粘土、およびイオン交換樹脂が含まれる。全身または局所組成物中の成分d)の量は、典型的には約0.1から約10%である。
【0127】
固形剤形の成分e)は、FD&C染料などの着色剤である。使用される場合、全身または局所組成物中の成分e)の量は、典型的には約0.005から約0.1%である。染料または顔料は、例えば、識別のために、または活性化合物用量の組み合わせを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0128】
固形剤形の成分f)は、メントール、ペパーミント、フルーツフレーバーなどのフレーバーである。全身または局所組成物に使用される場合の成分f)の量は、典型的には約0.1から約1.0%である。
【0129】
固形剤形の成分g)は、アスパルテームやサッカリンなどの甘味料である。全身または局所組成物中の成分g)の量は、典型的には約0.001から約1%である。
【0130】
成分h)は、ブチル化ヒドロキシアニソール(「BHA」)、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、およびビタミンEなどの抗酸化剤である。全身または局所組成物中の成分h)の量は、通常、約0.1から約5%である。
【0131】
成分j)は、塩化ベンザルコニウム、パラベンメチル、安息香酸ナトリウムなどの防腐剤である。全身または局所組成物中の成分j)の量は、典型的には約0.01から約5%である。
【0132】
固形剤形の成分k)は二酸化ケイ素などのグライダーである。全身または局所組成物中の成分k)の量は、典型的には約1から約5%である。
【0133】
成分m)は、水、等張食塩水、オレイン酸エチル、グリセリン、ヒドロキシル化ヒマシ油、エタノールなどのアルコール、およびリン酸緩衝液などの溶媒である。全身または局所組成物中の成分m)の量は、典型的には約0から約100%である。
【0134】
成分n)は懸濁剤である。適切な懸濁剤には、AVICEL(登録商標)RC-591(ペンシルベニア州フィラデルフィアのFMCコーポレーションから)およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。全身または局所組成物中の成分n)の量は、典型的には約1から約8%である。
【0135】
成分o)は、レシチン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤である。
【0136】
成分p)は、レシチン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤であり、デルのウィルミントンにあるAtlas Powder社のTWEEN(登録商標)である。適切な界面活性剤には、文献[C.T.F.A. Cosmetic Ingredient Handbook, 1992, pp. 587-592; Remington’s Pharmaceutical Sciences, 15th Ed. 1975, pp. 335-337; 及び McCutcheon’s Volume 1, Emulsifiers & Detergents, 1994, North American Edition, pp. 236-239]に開示されているものが含まれる。全身または局所組成物中の成分o)の量は、通常、約0.1%から約5%である。
【0137】
全身組成物中の本発明の化合物および賦形剤または担体の量は、調製される全身組成物のタイプ、本発明の化合物として選択される特定の誘導体、ならびに賦形剤および担体に応じて変化し得る。一般に、全身性組成物は、本発明の化合物の0.01%から50%、および賦形剤と担体の50%から99.99%を一緒に含む。
【0138】
非経口投与用の組成物は、典型的には、A)本発明の化合物の0.1%から10%、およびB)a)希釈剤およびm)溶媒を含む担体の90%から99.9%を含む。一実施形態では、成分a)はプロピレングリコールを含み、m)はエタノールまたはオレイン酸エチルを含む。担体および賦形剤は、単一の成分または2つ以上の成分の組み合わせを含み得る。
【0139】
従来の医薬賦形剤は、当業者によく知られている。特に、当業者は、医薬品添加剤のハンドブック、ファーマシューティカルプレス第4版(2003)やテキスト[Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Lippincott Williams&Wilkins、第21版(2005)]に記載されているものを含む、多種多様な製薬上許容される賦形剤を本発明の化合物と混合して使用できることを認識するであろう。
【0140】
別の実施形態において、担体は、水、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、グリセリン、ソルビトール、スクロース、カルボポール、マルトデキストリン、リカシン(マルチトール)、安息香酸ナトリウム、ナトリウム糖類、ルトロールE、F、メチルパラベン、プロピルパラベン、クエン酸、カプリオール90、Tween 80(ポリソルベート80)、Kollidon.RTM.CL-M、ステアリン酸ポリオキシル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Cremophor(登録商標)RH40、Cremophor(登録商標)EL、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、酢酸ヒプロメロースコハク酸ヒプロメロース、グアーガム、キサンタンガム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物を含む。
【0141】
一部の実施形態において、担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース、糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、トラガカンス、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどを含む。
【0142】
さらなる実施形態において、担体は、Soluplus(登録商標)(ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー)を含む。
【0143】
経口的に使用できる医薬製剤には、ゼラチンで作られたプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤で作られた柔らかく密封されたカプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、乳糖などの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および任意選択で安定剤と任意選択で混合できる顆粒またはナノ粒子の形態の活性化合物を含むことができる。一実施形態では、本開示の化合物は、脂肪油などの適切な液体、または任意選択で安定剤を含む流動パラフィンに溶解または懸濁される。
【0144】
脂肪油は、モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドを含み得る。モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドには、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18、C20、およびC22酸に由来するものが含まれる。例示的なジグリセリドには、特に、ジオレイン、ジパルミトレイン、および混合カプリリン-カプリンジグリセリドが含まれる。好ましいトリグリセリドには、植物油、魚油、動物脂肪、水素化植物油、部分的に水素化された植物油、合成トリグリセリド、修飾トリグリセリド、分画トリグリセリド、中鎖および長鎖トリグリセリド、構造化トリグリセリド、およびそれらの混合物が含まれる。例示的なトリグリセリドには、以下が含まれる:ババスオイル;ボアオイル;ブラックカラント種子油;キャノーラ油;ひまし油;ココナッツオイル;コーン油;綿実油;月見草オイル;グレープシードオイル;落花生油;マスタードシードオイル;オリーブオイル;ヤシ油;パーム核油;ピーナッツオイル;菜種油;ベニバナ油;胡麻油;サメ肝油;大豆油;ひまわり油;硬化ヒマシ油;硬化ココナッツオイル;硬化パーム油;硬化大豆油;硬化植物油;硬化綿実およびヒマシ油;部分的に水素化された大豆油;部分的に大豆油と綿実油;グリセリルトリカプロエート;グリセリルトリカプリレート;グリセリルトリカプレート;グリセリルトリウンデカノエート;グリセリルトリラウレート;グリセリルトリオレエート;グリセリルトリリノール酸;グリセリルトリリノレン酸塩;グリセリルトリカプリレート/カプレート;グリセリルトリカプリレート/カプレート/ラウレート;グリセリルトリカプリレート/カプレート/リノール酸;およびグリセリルトリカプリレート/キャプレート/ステアレートが含まれる。
【0145】
一部の実施形態において、トリグリセリドは、商品名LABRAFACCCで入手可能な中鎖トリグリセリドである。他のトリグリセリドには、中性油、例えば中性植物油、特に、製品を含む、MIGLYOLの商品名で知られ、市販されているような分別されたココナッツ油が含まれる:MIGLYOL 810;MIGLYOL 812; MIGLYOL 818;およびCAPTEX(登録商標)355。他のトリグリセリドは、製品MYRITOL 813を含む、MYRITOLの商品名で知られ、市販されているようなカプリル酸-カプリン酸トリグリセリドである。このクラスのさらなるトリグリセリドは、CAPMUL MCT、CAPTEX(登録商標).200、CAPTEX(登録商標).300、CAPTEX(登録商標).800、NEOBEEM5およびMAZOL1400が含まれる。
【0146】
トリグリセリドを含む医薬組成物は、水性溶媒に溶解すると透明な溶液を形成し得る親油性および/または親水性界面活性剤をさらに含み得る。そのような界面活性剤の1つは、コハク酸トコフェリルポリエチレングリコール1000(ビタミンETPGS)である。
【0147】
別の実施形態において、担体は、ラブラフィル(登録商標)、ラブラソル(登録商標)、ゲルシレ(登録商標)、ラブラファク(登録商標)、ラウログリコール(商標)90、ペセオール(商標)、トランスクトール(登録商標)、コンプリトール(登録商標)、ジェロイル(登録商標)、ゲレオール(商標)、またはプレシロール(登録商標)、またはそれらの混合物を含む。
【0148】
別の実施形態では、担体は、ラウログリコール90、ホスホサル53 MCT、ポリソルベート80、クリレット1HP、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、および/またはPEG 400 NF、Aconon(登録商標)またはPL90Gを含む。
【0149】
別の実施形態では、担体は、DYNACERIN(登録商標)、DYNACET(登録商標)、DYNASAN、GALENOL(登録商標)、IMWITOR(モノオレイン酸グリセリル、ステアリン酸塩、カプリル酸塩)、ISOFOL(登録商標)(長鎖アルコール)、LIPDXOL(登録商標)(マクロゴール)、MASSA ESTARINUM(水素化ココ-グリセリド)を含む。 、MIGLYOL(カプリル酸/カプリルトリグリセリド)、NACOL(登録商標)、Nafol(アルコール)、SOFTIGEN(登録商標)、SOFTISAN(登録商標)、WITEPSOL(水素化ココグリセリド)、またはWITOCAN(登録商標)(水素化ココグリセリド)、またはそれらの混合物を含む。
【0150】
別の実施形態では、本発明は局所組成物を提供する。そのような局所用組成物では、担体は局所用担体を含む。適切な局所担体には、リン酸緩衝生理食塩水、等張水、脱イオン水、単官能性アルコール、対称アルコール、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンAおよびE油、鉱油、プロピレングリコール、 PPG-2プロピオン酸ミリスチル、ジメチルイソソルビド、ヒマシ油、それらの組み合わせなどが含まれる。より具体的には、皮膚用途の担体には、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、および水、さらにより具体的には、リン酸緩衝生理食塩水、等張水、脱イオン水、単官能性アルコール、および対称アルコールが含まれる。
【0151】
上記の賦形剤タイプ(a)から(p)に加えて、局所組成物の担体は、q)皮膚軟化剤、r)推進剤、s)溶媒、t)保湿剤、u)増粘剤、v)粉末、w)香料、x)顔料、y)防腐剤からなる群から選択される1つ以上の成分をさらに含み得る。
【0152】
成分q)は皮膚軟化剤である。皮膚ベースの局所組成物中の成分q)の量は、通常、約5%から約95%である。適切なエモリエントには、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ミンクオイル、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、イソプロピルが含まれる。ラウレート、ヘキシルラウレート、デシルオレエート、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、セチルパルミテート、ジ-n-ブチルセバケート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、ブチルステアレート、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ココナッツオイル、アラキスオイル、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、ミネラルオイル、ミリステートブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチルミリステート、およびそれらの組み合わせが含まれる。皮膚用の特定の皮膚軟化剤には、ステアリルアルコールとポリジメチルシロキサンが含まれる。
【0153】
成分r)は推進剤である。局所組成物中の成分r)の量は、典型的には約0%から約95%である。適切な推進剤には、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0154】
成分s)は溶媒である。局所組成物中の成分の量は、典型的には約0%から約95%である。適切な溶媒には、水、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、およびそれらの組み合わせが含まれる。特定の溶媒には、エチルアルコールとホモトープアルコールが含まれる。
【0155】
成分t)は保湿剤である。局所組成物中の成分t)の量は、通常、0%から95%である。適切な保湿剤には、グリセリン、ソルビトール、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、ゼラチン、およびそれらの組み合わせが含まれる。特定の保湿剤にはグリセリンが含まれる。
【0156】
成分u)は増粘剤である。局所組成物中の成分u)の量は、典型的には約0%から約95%である。
【0157】
成分v)は粉末である。局所組成物中の成分v)の量は、通常、0%から95%である。適切な粉末には、ベータシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、チョーク、タルク、フラーアース、カオリン、デンプン、ガム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、モノステアリン酸エチレングリコール、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0158】
成分w)は香りである。局所用組成物中の成分w)の量は、典型的には約0%から約0.5%、特に約0.001%から約0.1%である。
【0159】
成分x)は顔料である。皮膚用途に適した顔料には、無機顔料、有機レーキ顔料、真珠光沢顔料、およびそれらの混合物が含まれる。本発明で有用な無機顔料には、参照CI 77,891の下でカラーインデックスにコード化された、ルチルまたはアナターゼ二酸化チタン;参照CI 77,499、77,492、および77,491の下でコード化された黒、黄、赤、茶色の酸化鉄;マンガンバイオレット(CI 77,742);ウルトラマリンブルー(CI 77,007);酸化クロム(CI 77,288);クロム水和物(CI 77,289);およびフェリックブルー(CI 77,510)およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。
【0160】
本開示において有用な有機顔料およびレーキ(lake)には、D&CレッドNo.19(CI 45,170)、D&CレッドNo.9(CI 15,585)、D&CレッドNo.21(CI 45,380)、D&CオレンジNo.4(CI 15,510)、D&CオレンジNo.5(CI 45,370)、D&CレッドNo.27(CI 45,410)、D&CレッドNo.13 (CI 15,630)、D&CレッドNo.7(CI 15,850)、D&CレッドNo.6 (CI 15,850)、D&CイエローNo.5(CI 19,140)、D&CレッドNo.36(CI 12,085)、D&CオレンジNo.10(CI 45,425)、D&CイエローNo.6(CI 15,985)、D&CレッドNo.30(CI 73,360)、D&CレッドNo.3(CI 45,430)、カーマイン(CI 75,570)系顔料またはレーキおよびそれらの混合物からなる群から選択されたものを含む。
【0161】
本開示において有用な真珠光沢顔料には、酸化チタンでコーティングされた雲母、オキシ塩化ビスマスなどの白色真珠光沢顔料、酸化鉄を含むチタン雲母、酸化鉄を含むチタン雲母、および酸化クロムを含む着色真珠光沢顔料からなる群から選択されるものが含まれる。同様に、上記のタイプの有機顔料を有するチタンマイカ、ならびにオキシ塩化ビスマスおよびそれらの混合物に基づくもの。局所用組成物中の色素の量は、通常、約0%から約10%である。眼の用途では、色素は一般的に使用されない。
【0162】
皮膚に局所的に塗布することができる局所組成物は、固形物、溶液、油、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、シャンプー、リーブオンおよびリンスアウトヘアコンディショナー、ミルク、クレンザー、保湿剤、スプレー、皮膚パッチなどを含む任意の形態であり得る。局所組成物は、成分A、上記の化合物、および成分B、担体を含む。局所組成物の担体は、好ましくは、化合物の皮膚への浸透を助ける。成分Bは、1つまたは複数の任意の成分をさらに含み得る。
【0163】
本明細書に記載されている経口固体投与製剤は、結晶形態、アモルファス形態、半結晶形態、半アモルファス形態、またはそれらの混合物の本発明の化合物の粒子を含む。
【0164】
組成物は、本発明の化合物の0.01重量%から99重量%、例えば、約0.01重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8%、約9%、または約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%を含み得る。特定の組成物中の量は、有効用量、すなわち、所望のレベルの遺伝子発現を誘発するために必要な用量に依存するであろう。
【0165】
別の態様では、本開示は、本発明の微粉化化合物およびその組成物を提供する。一実施形態では、本発明の化合物の微粉化形態の平均粒子サイズ分布は、約20mm以下、例えば、約19mm、約18mm、約17mm、約16mm、約15mm、約14mm、約13mm、約12mm、または約11mm以下。別の実施形態では、平均粒子サイズ分布は、約10mm以下、例えば、約9mm、約8mm、約7mm、約6mm、または約5mm以下である。別の実施形態では、平均粒子サイズ分布は、約5mm以下、例えば、約4mm、約3mm、約2mm、または約1mm以下である。別の実施形態では、平均粒子サイズ分布は、約1mm以下、例えば、約0.9mm、約0.8mm、約0.7mm、約0.6mm、約0.5mm、約0.4mm、約0.3mm、約0.2mm、約0.1mm、約0.09mm、約0.08mm、約0.07mm、約0.06mm、約0.05mm、約0.04mm、約0.03mm、約0.02mm、または約0.01mm以下である。
剤形
【0166】
ヒト患者を治療するための用量は、本明細書に記載されている化合物の約0.1mgから約1000mgの範囲であり得る。典型的な用量は、化合物の約1mgから約300mgであり得る。特定の化合物の吸収、分布、代謝、および排泄を含む薬物動態学的および薬力学的特性に応じて、用量を1日1回(QID)、1日2回(BID)、またはより頻繁に投与することができる。さらに、毒性因子が投与量と投与計画に影響を与える可能性がある。経口投与される場合、ピル、カプセル、または錠剤は、毎日、または指定された期間、より少ない頻度で摂取される可能性がある。レジメンは、治療のいくつかのサイクルの間繰り返され得る。
【0167】
本発明の化合物は、任意の便利な投与形態、例えば、錠剤、粉末、カプセル、溶液、分散液、懸濁液、シロップ、スプレー、坐剤、ゲル、乳濁液、パッチなどで投与することができる。かかる組成物は、医薬製剤の中に従来の成分、例えば、希釈剤、担体、pH修飾剤、甘味料、増量剤、および他の活性剤を含み得る。
【0168】
経口投与用の組成物は、様々な剤形を有することができる。例えば、固体形態には、錠剤、カプセル、顆粒、およびバルク粉末が含まれる。これらの経口剤形は、成分A)を安全かつ有効な量で、通常は少なくとも約5%、より具体的には約25%から約50%含む。経口投与組成物は、さらに成分B)を約50%から約95%、より具体的には、約50%から約75%含む。
【0169】
経口組成物用の担体中の成分の選択は、味、コスト、および棚の安定性などの二次的な考慮事項に依存し、これらは本開示の目的にとって重要ではない。当業者は、過度の実験なしに適切な成分を選択する方法を知っているであろう。
【0170】
対象化合物の全身送達を達成するために有用な他の組成物には、舌下、口腔および鼻の剤形が含まれる。そのような組成物は、典型的には、以下のような1つ以上の可溶性充填物質、例えばa)スクロース、ソルビトールおよびマンニトールを含む希釈剤;c)アカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのバインダーを含む。そのような組成物は、b)潤滑剤、e)着色剤、f)フレーバー、g)甘味料、h)抗酸化剤、およびk)流動促進剤をさらに含み得る。
経口
【0171】
製剤には、溶液、懸濁液、水性液体分散液、自己乳化分散液、固体溶液、リポソーム分散液、固体剤形、粉末、即時放出製剤、徐放性製剤、速溶性製剤、錠剤、カプセル、ピル、遅延放出製剤、徐放製剤、拍動性放出製剤、多粒子製剤、および混合即時放出製剤と制御放出製剤。一般的に言えば、治療効果を誘発するのに有効な期間、インビボで有効であることが見出された濃度に釣り合った、標的組織の濃度レベルを達成するのに有効な量の本開示の化合物を投与することが望まれる。
【0172】
一実施形態では、記載される医薬組成物は、水性経口分散剤、固体経口剤形、速溶性製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル、徐放性製剤、およびIV製剤を含むがこれらに限定されない任意の適切な剤形に製剤化される。
【0173】
一実施形態では、本開示の化合物は、1日1回の投与を提供する即時放出形態に処方される。
【0174】
タブレット
【0175】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている固形投与形態は、錠剤(即時放出錠剤、持続放出錠剤、懸濁錠剤、速溶性錠剤、咬合崩壊錠剤、急速崩壊錠剤む、発泡性錠剤、またはカプレット)、ピル、粉末(滅菌パッケージ粉末、ディスペンス可能粉末、または発泡性粉末を含む)、カプセル(ソフトカプセルまたはハードカプセルの両方を含む、例えば、動物由来のゼラチンから作られたカプセル)または植物由来のHPMC、または「スプリンクルカプセル」)、固体分散体、多粒子投与形態、ペレット、または顆粒の形態であり得る。
【0176】
粉末では、担体は細かく分割された固体であり、細かく分割された活性成分と混合されている。錠剤では、活性成分は、適切な比率で必要な結合特性を有する担体と混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。
【0177】
経口投与の場合、クエン酸などのさまざまな賦形剤を含む錠剤を、デンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩などのさまざまな崩壊剤、およびショ糖、ゼラチン、アカシアなどの結合剤と一緒に使用することができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクなどの潤滑剤は、錠剤化の目的で役立つことがよくある。
【0178】
錠剤は、圧縮、錠剤粉砕、腸溶コーティング、糖コーティング、フィルムコーティング、または多重圧縮することができる。錠剤は、典型的には、本開示の化合物、およびa)希釈剤、b)潤滑剤、c)結合剤、d)崩壊剤、e)着色剤、f)フレーバー、g)甘味料、k))流動促進剤(glidant)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む担体を含む。特定の希釈剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、乳糖およびセルロースが含まれる。特定の結合剤には、デンプン、ゼラチン、およびショ糖が含まれる。特定の崩壊剤には、アルギン酸とクロスカルメロースが含まれる。特定の潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびタルクが含まれる。特定の着色剤はFD&C染料であり、外観のために追加することができる。チュアブル錠は、好ましくは、g)アスパルテームおよびサッカリンなどの甘味料、またはf)メントール、ペパーミント、フルーツフレーバー、またはそれらの組み合わせなどのフレーバーを含む。
ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセル
【0179】
一実施形態では、カプセルが調製される。一部の実施形態において、製剤(非水性懸濁液および溶液)を柔らかいゼラチンカプセルに入れる。他の場合には、製剤を、標準的なゼラチンカプセルまたはHPMCを含むカプセルなどの非ゼラチンカプセルに入れられる。
【0180】
同様のタイプの固体組成物はまた、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルに使用され得る。したがって、好ましい材料には、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。
【0181】
カプセル(インプラント、徐放性および徐放性製剤を含む)は、典型的には、本開示の化合物、およびゼラチンを含むカプセル中に上記に開示された1つ以上のa)希釈剤を含む担体を含む。顆粒は、典型的には、開示の化合物を含み、好ましくは、流動特性を改善するために、二酸化ケイ素などのk)流動促進剤をさらに含む。インプラントは、生分解性または非生分解性のタイプにすることができる。インプラントは、既知の生体適合性製剤を使用して調製することができ。
【0182】
固体組成物はまた、従来の方法によって、典型的にはpHまたは時間依存性コーティングでコーティングされ得、その結果、本開示の化合物は、所望の用途の近くの胃腸管において、または所望のアクションを延ばすための様々な時点および時間で放出される。コーティングは通常、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、EUDRAGIT(登録商標)コーティング(ドイツ、ダルムシュタットのRohm&Haas G.M.B.H.から入手可能)、ワックス、シェラックからなるグループから選択される1つ以上の成分で構成される。
液体
【0183】
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容される水性経口分散液、乳濁液、溶液、およびシロップが含まれるが、これらに限定されない。例えば、文献[Singh et ah, Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754-757 (2002)]を参照。
【0184】
液体形態の組成物には、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが含まれる。非経口投与に適した液体製剤の例として、活性化合物の滅菌水または水-プロピレングリコール溶液が挙げられ得る。液体組成物はまた、ポリエチレングリコール水溶液の溶液中で処方することができる。経口投与用の水溶液は、活性成分を水に溶解し、必要に応じて適切な着色剤、香味剤、安定剤、および増粘剤を添加することによって調製することができる。経口使用のための水性懸濁液は、天然合成ガム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および製剤技術で知られている他の懸濁剤などの粘性材料とともに、細かく分割された活性成分を水に分散させることによって作製することができる。
【0185】
懸濁液またはエリキシル
水性懸濁液またはエリキシル剤が経口投与に望まれる場合、その中の活性化合物は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組み合わせなどの希釈剤とともに、様々な甘味剤または香味剤、色素または染料、および必要に応じて乳化剤または懸濁剤と組み合わせることができる。
【0186】
経口投与用の組成物はまた、液体形態を有することができる。例えば、適切な液体形態には、水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成された溶液、非発泡性顆粒から再構成された懸濁液、発泡性顆粒から再構成された発泡性調製物、エリキシル剤、チンキ剤、シロップなどが含まれる。液体経口投与組成物は、典型的には、本開示の化合物と、a)希釈剤、e)着色剤、f)香味料、g)甘味料、j)防腐剤、m)溶媒、n)懸濁剤、およびo)界面活性剤。からなる群から選択される成分を含む担体を含む。経口液体組成物は、好ましくは、e)着色剤、f)フレーバー、およびg)甘味料からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含む。
食品
【0187】
上記の投与様式に加えて、またはそれと一緒に、開示の化合物またはその組成物を、対象によって消費される食品に添加することができる。一実施形態では、本発明の化合物またはその組成物は、食品材料と組み合わされ、ブレンドされ、または混合されて、「食品」を提供する。「食品材料」という用語は、可能な限り広い意味で使用され、動物、例えば、ヒトによって消費されるあらゆる形態、例えば、固体、乳濁液、液体、摂取可能な材料を含む。食品は、対象がその食事とともに適切な量の本開示の化合物またはその組成物を摂取するように処方することができる。別の実施形態では、本開示の化合物またはその組成物は、食品材料に添加するためのプレミックスとして処方される。一実施形態では、食品またはプレミックスは、本開示の化合物またはその組成物、および1つまたは複数の脂質を含む。
非経口剤形
【0188】
注射用製剤は、任意選択で、単位剤形(例えば、アンプルまたはバイアル)または複数回投与容器で提示される。一部の実施形態において、非経口製剤は、粉末の形で、または凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存され、使用直前に、滅菌液体担体、例えば、生理食塩水または滅菌パイロジェンフリー水を加えるだけでよい。
【0189】
一部の実施形態では、本明細書に開示されている非経口製剤は、デポー製剤として製剤化されている。そのような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば、エマルジョンとして)またはイオン交換樹脂として、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として配合され得る。
舌下、口腔内および鼻
【0190】
対象化合物の全身送達を達成するために有用な他の組成物には、舌下、口腔および鼻の剤形が含まれる。そのような組成物は、典型的には、a)スクロース、ソルビトールおよびマンニトールを含む希釈剤、c)アカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤のような1つ以上の可溶性充填物質を含む。そのような組成物は、b)潤滑剤、e)着色剤、f)フレーバー、g)甘味料、h)抗酸化剤、およびk)流動促進剤をさらに含み得る。
坐剤
【0191】
坐剤組成物を調製するために、脂肪酸グリセリドとカカオバターの混合物などの低融点ワックスを最初に溶融し、例えば撹拌することによって有効成分をその中に分散させる。次に、溶融した均質な混合物を便利なサイズの型に注ぎ、冷却して固化させる。
局所剤形
【0192】
皮膚に局所的に塗布することができる局所組成物は、固形物、溶液、油、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、シャンプー、リーブオンおよびリンスアウトヘアコンディショナー、ミルク、クレンザー、保湿剤、スプレー、皮膚パッチなど。局所組成物は、本開示の化合物である成分A、および担体である成分Bを含む。局所組成物の担体は、好ましくは、化合物の皮膚への浸透を助ける。成分Bは、1つまたは複数のオプションの成分をさらに含み得る。
【0193】
局所組成物の各成分の正確な量は、さまざまな要因によって異なる。成分A)の量は、選択された開示された化合物の結合親和性または阻害効力(IC50)に依存する。局所組成物に添加される成分A)の量は、全体の最大10%であるが、より一般的には、約0.01%から約1%である。
【0194】
局所用組成物はさらに、成分A)、B)、およびC)の合計が100%に等しくなるように、1から20%の任意の活性増強剤(成分C)、および十分な量の成分B)を含む。担体B)の量は、化合物の単位用量あたりの投与のための実用的な量の材料を提供するのに十分である。本開示の方法において剤形を有用にするための技術および組成物は、以下の文献に記載されている:Modern Pharmaceutics, 5th Ed., Florence and Siepmann, eds. (2016); Lieberman & Lachman, Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, 3rd Ed., (1989); およびAllen, L., Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 10th Ed., (2013)。
【0195】
担体、成分B)は、単一の成分または2つ以上の成分の組み合わせを含み得る。局所組成物中の成分B)の典型的な担体には、水、アルコール、アロエベラジェル、アラントイン、グリセリン、ビタミンAおよびE油、鉱油、プロピレングリコール、PPG-2ミリスチルプロピオネート、ジメチルイソソルビド、それらの組み合わせなどが含まれる。好ましい担体には水が含まれる。
【0196】
局所用組成物の担体は、(q)皮膚軟化剤、(r)噴射剤、(s)溶媒、(t)保湿剤、(u)増粘剤、(v)粉末、および(w)香りからなる群から選択される1つ以上の成分をさらに含み得る。
【0197】
局所用組成物中の成分(q)の量は、通常、5から95%である。適切な皮膚軟化剤には、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ミンクオイル、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、イソプロピルラウレート、ヘキシルラウレート、デシルオレエート、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、セチルパルミテート、ポリジメチルシロキサン、ジ-n-ブチルセバケート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、ブチルステアレート、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ココナッツ油、アラキス油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、ミネラルオイル、ミリステートブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、イソプロピルリノール酸、ラウリル乳酸、ミリスチル乳酸、デシルオレイン酸、ミリスチルミリステート、およびそれらの組み合わせが含まれる。好ましい皮膚軟化剤には、ステアリルアルコールおよびポリジメチルシロキサンが含まれる。
【0198】
成分(r)は推進剤である。局所組成物中の成分(r)の量は、通常、5から95%である。適切な推進剤には、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素、およびそれらの組み合わせが含まれる。ただし、局所点眼薬では推進剤は使用されない。
【0199】
成分は溶媒である。局所用組成物中の成分の量は、通常、5~95%である。適切な溶媒には水が含まれる。
【0200】
成分(t)は保湿剤である。局所用組成物中の成分の量(t)は、通常、5から95%である。適切な保湿剤には、グリセリン、ソルビトール、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、ゼラチン、およびそれらの組み合わせが含まれる。好ましい保湿剤には、グリセリンが含まれる。
【0201】
成分(u)は増粘剤である。局所用組成物中の成分(u)の量は、通常、0~95%である。
【0202】
成分(v)は粉末である。局所組成物中の成分(v)の量は、通常、0から95%である。適切な粉末には、チョーク、タルク、フラーアース、カオリン、デンプン、ガム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカが含まれる、カルボキシビニルポリマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチレングリコールモノステアレート、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0203】
成分(w)は香りである。局所用組成物中の成分の量(w)は、典型的には0.001から0.5%、好ましくは0.001から0.1%である。
【0204】
任意の活性増強剤である成分C)の例には、2-メチルプロパン-2-オール、プロパン-2-オール、2-ヒドロキシプロパン酸エチル、ヘキサン-2,5-ジオール、POE(2)エチルエーテル、ジ(2-ヒドロキシプロピル)エーテル、ペンタン-2,4-ジオール、アセトン、POE(2)メチルエーテル、2-ヒドロキシプロピオン酸、2-ヒドロキシオクタン酸、プロパン-1-オール、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブタン-1,4 -ジオール、プロピレングリコールジペラルゴネート、ポリオキシプロピレン15ステアリルエーテル、オクチルアルコール、オレイルアルコールのPOEエステル、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ジオクチルアジペート、ジカプリルアジペート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ジブチルセバケート、ジエチルセバケート、ジメチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジブチルスベレート、ジオクチルアゼレート、ジベンジルセバケート、ジブチルフタレート、ジブチルアゼレート、エチルミリステート、ジメチルアゼレート、ブチルミリステート、ジブチルコハク酸塩、ジデシルフタレート、デシルオレエート、エチルカプロエート、エチルサリチル酸塩、イソプロピルパルミテートラウレート、2-エチルヘキシルペラルゴネート、イソプロピルイソステアレート、ブチルラウレート、ベンジルベンゾエート、ブチl安息香酸塩、ラウリン酸ヘキシル、カプリン酸エチル、カプリル酸エチル、ステアリン酸ブチル、サリチル酸ベンジル、2-2-ヒドロキシオクタン酸、スルホキシドジメチル、Ν、Ν-ジメチルアセトアミド、Ν、Ν-ジメチルホルムアミド、2ピロリドン、1-メチル-2 -ピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1,5-ジメチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、ホスフィンオキシド、糖エステル、テトラヒドロフルフラールアルコール、尿素、ジエチル-m-トルアミド、1-ドデシルラザシロヘプタン- 2-オン、およびそれらの組み合わせが含まれる。任意の活性増強剤である成分C)は、通常1~5%である。
経口、非経口、および局所皮膚投与用の容器閉鎖/キット
【0205】
いくつかの状況において、本発明は、上記の疾患および障害の治療に有用な材料を含む製品または「キット」が提供されることを提供する。一実施形態では、キットは、本開示の化合物、または立体異性体、互変異性体、またはその薬学的に許容される塩を含む容器を含む。キットは、容器上または容器に関連付けられたラベルまたは添付文書をさらに含み得る。「添付文書」という用語は、治療製品の市販パッケージに通常含まれる指示を指すために使用され、そのような治療製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、禁忌および/または警告に関する情報を含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、注射器、ブリスターパックなどが含まれる。容器は、ガラスやプラスチックなどのさまざまな材料で形成することができる。容器は、状態を治療するのに有効であり、滅菌アクセスポートを有し得る式Iの化合物またはその製剤を保持し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本開示の化合物である。あるいは、またはさらに、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液などの薬学的に希釈剤を含む第2の容器をさらに含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、および注射器を含む、商業的およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
【0206】
別の実施形態では、キットは、錠剤またはカプセルなどの本開示の化合物の固体経口形態の送達に適している。そのようなキットは、いくつかの単位投与量を含み得る。そのようなキットの例は「ブリスターパック」である。ブリスターパックは包装業界でよく知られており、医薬品単位剤形の包装に広く使用されている。
【0207】
一実施形態によれば、キットは、(a)本開示の化合物をその中に含む第1の容器と、場合により(b)第2の製剤が含まれる第2の容器であって、第2の製剤は、抗緑内障活性を有する第2の化合物を含む。あるいは、またはさらに、キットは、注射用静菌性水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む第3の容器をさらに含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、および注射器を含む、商業的およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
眼の処方
【0208】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、眼の局所投与のための溶液、懸濁液および他の剤形として処方される。水溶液は、処方の容易さ、ならびに罹患した眼に1~2滴の溶液を点眼することによってそのような組成物を容易に投与する患者の能力に基づいて、一般に好ましい。しかしながら、組成物はまた、懸濁液、粘稠または半粘性ゲル、乳濁液、軟膏、クリーム、ローション、ゲル、コロイド分散液、スプレー、インサート、または他のタイプの固体または半固体組成物またはそれらの組み合わせであり得る。
【0209】
記載されている眼科用製剤は、哺乳動物の眼組織にキナーゼ阻害剤を送達する。特定の例において、キナーゼ阻害剤の局所的な眼への投与は、キナーゼ阻害剤の全身投与に関連する副作用を低減または排除する。
【0210】
これらのいくつかにおいて、化合物を含む眼科用製剤は、少なくとも1つの適切な薬学的に許容される賦形剤に記載されており、製剤は、哺乳動物の眼への投与に適した形態である。一部の実施形態において、本発明の化合物は、哺乳動物の眼の疾患または状態の治療に有効な量で提供される。一部の実施形態において、眼の疾患または状態は、本明細書に記載されている疾患または状態である。一部の実施形態において、眼科用製剤は、溶液、懸濁液、粘稠または半粘性ゲル、乳濁液、軟膏、クリーム、ローション、ゲル、コロイド分散液、スプレー、インサート、または他のタイプの固体または半固体の形態の組成物またはそれらの組み合わせである。
【0211】
特に、本発明の製剤は、粘膜付着剤、引裂剤代替物、pH調整剤、粘度増強剤、粘液性、張性増強剤、可溶化剤、湿潤剤から選択される1つまたは複数の賦形剤に記載の化合物を含む。または界面活性剤、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、共溶媒、および充填剤。添加される賦形剤の量および種類は、製剤の特定の要件に従っており、一般に、約0.0001重量%から90重量%の範囲である。
【0212】
組成物は、本発明の化合物を0.01重量%から99重量%、例えば、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.75%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、または約20%含み得る。
【0213】
一部の実施形態では、USP薬剤師の薬局方(2005年版、第905章)で定義されているように、本明細書に記載されている水溶液、懸濁液、または乳濁液は少なくとも4時間均質な状態のままである。一実施形態では、水性懸濁液は、1分未満続く物理的攪拌によって(例えば、点眼ディスペンサーを振ることによって)均質な懸濁液に再懸濁される。さらに別の実施形態では、均一な水性分散液を維持するために攪拌は必要ない。
【0214】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている眼用製剤は、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約4週間、少なくとも約6週間、少なくとも約8週間、少なくとも約4数ヶ月、少なくとも約5ヶ月、または少なくとも約6ヶ月のいずれかの期間にわたって安定している(例えば、pHに関して、有効成分)。別の実施形態では、本明細書に記載されている製剤は、少なくとも約1週間から約1ヶ月、または少なくとも約1ヶ月から約6ヶ月の期間にわたって安定である。
【0215】
特定の実施形態において、本明細書に記載されている眼科用製剤は、眼の毒性、刺激、および/または眼組織へのアレルギーチャレンジを最小限に抑えるように設計されており、例えば、界面活性剤、防腐剤および/または共溶媒などの少量の賦形剤を含む。
眼の賦形剤
【0216】
いくつかの特定の用語では、本開示の化合物の製剤は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む。本明細書で使用される賦形剤という用語は、製剤の活性剤と組み合わせて使用される生物学的に不活性な物質を広く指す。賦形剤は、例えば、粘膜付着剤、引裂剤代替物、pH調整剤、粘度増強剤、粘液剤、張性増強剤、可溶化剤、湿潤剤または界面活性剤、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、共溶媒、および充填剤として使用することができる。好ましくは、活性剤の安定性および/または溶解性の増加など、製剤に1つまたは複数の有益な物理的特性を提供するために、少なくとも1つの賦形剤が選択される。「薬学的に許容される」賦形剤は、動物での使用、好ましくはヒトでの使用について州または連邦の規制当局によって承認されているか、または米国薬局方、欧州薬局坊に載っているもの、動物での使用、好ましくはヒトでの使用に一般的に認められているものである。
【0217】
本開示の配合物に使用できる賦形剤の例には、水、水と水と混和性の溶媒の混合物、例えば、C1~C7-アルカノール、植物油または0.5~5%の非毒性水-可溶性ポリマーを含む無機油、ゼラチン、アルギネート、ペクチン、トラガカンス、カラヤガム、キサンタンガム、カラゲニン、寒天およびアカシアなどの天然製品、酢酸デンプンおよびヒドロキシプロピルデンプンなどの他の合成製品、およびポリビニルアルコールなどの他の合成製品、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、好ましくは中性カルボポールなどの架橋ポリアクリル酸、またはこれらのポリマーの混合物が含まれる。担体の濃度は、通常、有効成分の濃度の1~100,000倍である。
【0218】
賦形剤のさらなる例には、アルブミンなどの特定の不活性タンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;アスパラギン酸(代替的にアスパラギン酸と呼ばれることもある)、グルタミン酸(代替的にグルタミン酸と呼ばれることもある)、リジン、アルギニン、グリシン、およびヒスチジンなどのアミノ酸;脂肪酸およびリン脂質(スルホン酸アルキルやカプリル酸など);ドデシル硫酸ナトリウムやポリソルベートなどの界面活性剤;TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、または200、300、400、または600と指定されたポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤;1000、1500、4000、6000、および10000と指定されたCarbowax;グルコース、スクロース、マンノース、マルトース、トレハロース、およびシクロデキストリンを含むデキストリンなどの炭水化物;マンニトールやソルビトールなどのポリオール;EDTAなどのキレート剤;ナトリウムなどの塩を形成する対イオンが含まれる。添加される賦形剤の量および種類は、特定の要件に従っており、一般に、約0.0001から約90重量%の範囲である。
粘膜付着剤
【0219】
特定の実施形態では、賦形剤は、高分子の粘膜付着性ビヒクルである。本開示の化合物の方法または製剤での使用に適した粘膜付着性ビヒクルの例には、デキストランス、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)(PAA)、多糖類ゲル、Gelrite(登録商標)、セルロース系ポリマー、メチルセルロース(MC)、およびカルボキシ含有ポリマーシステムを含むがこれらに限定されない1つまたは複数のポリマー懸濁剤を含む水性ポリマー懸濁液が含まれるが、これらに限定されない。粘膜付着性ポリマーの他の非限定的な例には、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、アクリル酸/ブチルアクリレートコポリマー、およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。特定の実施形態では、ポリマー懸濁剤は、架橋されたカルボキシ含有ポリマー(例えば、ポリカルボフィル)を含む。別の特定の実施形態では、ポリマー懸濁剤は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。本開示の化合物の局所安定眼科用製剤での使用に適した架橋カルボキシ含有ポリマーシステムの例には、Noveon AA-1、Carbopol(登録商標)、および/またはDuraSite(登録商標)(InSite Vision)が含まれるが、これらに限定されない。
涙液代替物
【0220】
「涙液代替物」という用語は、潤滑、「湿潤」、内因性涙の粘稠度に近づける、自然な涙の蓄積を助ける、またはその他の方法で眼投与時のドライアイの兆候または症状および状態の一時的な緩和を提供する分子または組成物を指す。様々な涙代用物が当技術分野で知られており、これらに限定されないが、以下を含む:グリセロール、プロピレングリコール、およびエチレングリコールなどのモノマーポリオール。ポリエチレングリコールなどの高分子ポリオール;メチルセルロースエチルセルロースなどのセルロースエーテル;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロースエステル。デキストラン70などのデキストラン;ゼラチンなどの水溶性タンパク質;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポビドンなどのビニルポリマー。カーボポール934P、カーボポール941、カーボポール940およびカーボポール974Pなどのカーボマー。そのような涙液代替物の多くは、BionTears(登録商標)、Celluvisc(登録商標)、Genteal(登録商標)、OccuCoat(登録商標)、Refresh(登録商標)、Systane(登録商標)、TeargenII(登録商標)、Tears Naturale(登録商標)、Tears Natural II(登録商標)、Tears Naturale Free(登録商標)、およびThera Tears(登録商標)などのセルロースエステル;AkwaTears(登録商標)、Hypo Tears(登録商標)、Moisture Eyes(登録商標)、Murine Lubricating(登録商標)、Visine Tears(登録商標)、Soothe(登録商標)などのポリビニルアルコールを含むが、これらに限定されない、多くのそのような涙液代替物が市販されている。涙液代替物は、市販のLacri-Lube(登録商標)軟膏などのパラフィンで構成することもできる。涙液代替物として使用される他の市販の軟膏には、Lubrifresh PM(登録商標)、Moisture Eyes PM(登録商標)およびRefresh PM(登録商標)が含まれる。
【0221】
いくつかの実施形態において、涙液代替物はヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースまたはHPMC)を含む。一部の実施形態によると、HPMCの濃度は、約0.1%から約2%w/v、または前記範囲内の任意の特定の値の範囲である。一部の実施形態によると、HPMCの濃度は、約0.5%から約1.5%w/v、または前記範囲内の任意の特定の値の範囲である。何らかの理由によると、HPMCの濃度は、約0.1%から約1%w/v、または前記範囲内の任意の特定の値の範囲である。何らかの理由によると、HPMCの濃度は、約0.6%から約1%w/v、または前記範囲内の任意の特定の値の範囲である。好ましい方法では、HPMCの濃度は、約0.1%から約1.0%w/v、または前記範囲内の任意の特定の値(すなわち、0.1~0.2%、0.2~0.3%、0.3~0.4%、0.4~0.5%、0.5-0.6%、0.6-0.7%、0.7-0.8%、0.8-0.9%、0.9-1.0%;約0.2%、約0.21%、約0.22%、約0.23%、約0.24%、約0.25% 、約0.26%、約0.27%、約0.28%、約0.29%、約0.30%、約0.70%、約0.71%、約0.72%、約0.73%、約0.74%、約0.75%、約0.76%、約0.77%、約0.78%、約0.79%、約0.80%、約0.81%、約0.82%、約0.83%、約0.84%、約0.85%、約0.86%、約0.87%、約0.88%、約0.89% 、または約0.90%)の範囲である。
【0222】
例えば、限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む涙液代替物は、GenTeal(登録商標)潤滑点眼薬である。GenTeal(登録商標)(CibaVision-Novartis)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース3mg/gを含み、過ホウ酸ナトリウムで保存された滅菌潤滑剤点眼薬である。HPMCベースの涙の他の例が提供される。
【0223】
別の好ましい実施形態では、涙液代替物は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む涙液代替物は、Refresh(登録商標)Tearsであるが、これに限定されない。Refresh(登録商標)Tearsは、通常の涙に似た潤滑剤で、弱い非感作性の防腐剤で安定化されたオキシクロロ複合体(Purite(登録商標))を含み、使用すると最終的に自然の涙の成分に変化する。
【0224】
好ましい実施形態では、涙液代替物またはその1つまたは複数の成分は、涙液膜を支持する効果を最適化する一方で、ぼやけ、蓋の固まりなどを最小限に抑えながら、好ましくは涙液の粘度を最小化する範囲の粘度を有する水溶液である。涙液代替物、またはその1つまたは複数の成分は、1~150センチポアズ(cpi)の範囲であり、例えば、5~150cpi、5~130cpi、30~130cpi、50~120cpi、60~115cpi(または上記の範囲内の任意の特定の値)であり得る。特定の実施形態において、涙液代替物またはその1つ以上の成分の粘度は、約70~90cpi、または前記範囲内の任意の特定の値(例えば、限定されないが、85cpi)である。
【0225】
粘度は、20℃+/-1℃の温度で、せん断速度が約22.50+/-約10(1/秒)のCP40または同等のスピンドルを備えたブルックフィールドコーンおよびプレート粘度計モデルVDV-III Ultra+、またはせん断速度が約26+/-約10(1/秒)のSC4-18または同等のスピンドルを備えたブルックフィールド粘度計モデルLVDV-Eを使用して測定し得る。あるいは、粘度は、25℃+/-1℃の温度で、せん断速度が約22.50+/-約10(1/秒)CP40または同等のスピンドルを備えたブルックフィールドコーンおよびプレート粘度計モデルVDV-III Ultra+または、せん断速度が約26+/-約10(1/秒)のSC4-18または同等のスピンドルを備えたブルックフィールド粘度計モデルLVDV-Eを使用して測定し得る。
【0226】
一部の実施形態では、涙代用物またはその1つまたは複数の成分は、適切な塩(例えば、リン酸塩)で、pH5.0から9.0、好ましくはpH5.5から7.5、より好ましくはpH6.0から7.0(または前記範囲内の任意の特定の値)に緩衝される。一部の実施形態では、涙液代替物は、グリセロール、プロピレングリセロール、グリセリン、ホウ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、および塩化亜鉛を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の成分をさらに含む。
塩、緩衝液、および防腐剤
【0227】
本開示の製剤はまた、薬学的に許容される塩、緩衝剤、または防腐剤を含み得る。
塩
【0228】
そのような塩の例には、以下の酸から調製されるものが含まれる:塩酸、臭化水素酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ホウ酸、ホルム酸、マロン酸、コハク酸など。そのような塩はまた、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを含む、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類塩として調製することができる。他の塩は、リン酸一ナトリウム、二ナトリウムおよび三ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、およびそれらの組み合わせ。
緩衝液
【0229】
pHを、好ましくは生理学的pHに調整するために、緩衝液が特に有用であり得る。本溶液のpHは、4.0から8.0、より好ましくは約5.5から7.5、より好ましくは約6.0から7.0の範囲内に維持されるべきである。酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、トリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;およびクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウム、クエン酸カリウム、クエン酸、TRIS、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)などの適切な緩衝液を加えることができる。追加の緩衝液は、様々な混合リン酸緩衝液(Na2HPO4、NaH2PO4およびKH2PO4の組み合わせを含む)およびそれらの混合物である。ホウ酸緩衝液が好ましい。一般に、緩衝液は、約0.05から2.5重量パーセント、好ましくは、0.1から1.5パーセントの範囲の量で使用される。
防腐剤
【0230】
一部の実施形態において、局所製剤はさらに防腐剤を含む。防腐剤は、典型的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾキソニウムなどの第四級アンモニウム化合物から選択され得る。塩化ベンザルコニウムは、N-ベンジル-N-(C8-C18アルキル)-N、N-ジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、およびセチルピリジニウムクロリドとしてより適切に説明される。防腐剤のさらなる例には、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニル、およびセレンなどの抗酸化剤;アミノ酸システインとメチオニン;クエン酸およびクエン酸ナトリウム;チオ硫酸ナトリウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウム;チメロサールなどの合成防腐剤、およびアルキルパラベン(メチルパラベンやプロピルパラベンなど)が含まれる。他の防腐剤には、安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸塩、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、m-クレゾール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀またはホウ酸フェニル水銀、過ホウ酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、クロロブタノールなどのアルコール、ブチルまたはベンジルアルコールまたはフェニルエタノール、クロロヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアニドなどのグアニジン誘導体、過ホウ酸ナトリウム、Polyquad(登録商標)、Germal(登録商標)II、ソルビン酸および安定化オキシクロロ錯体(例、Purite(登録商標))、金属キレート薬剤、チオール含有化合物および他の一般的な安定剤が含まれる。好ましい防腐剤は、第四級アンモニウム化合物、特に塩化ベンザルコニウムまたはその誘導体、例えばポリクアッド(米国特許第4,407,791号を参照)、アルキル水銀塩、パラベンおよび安定化オキシクロロ錯体(例えば、Purite(登録商標))である。必要に応じて、細菌および真菌によって引き起こされる使用中の二次汚染に対する保護を確実にするために、十分な量の防腐剤が眼科用組成物に添加される。
【0231】
特に、本開示の化合物の配合物は、以下の中から選択される防腐剤を含む:塩化ベンザルコニウム0.001%から0.05%。塩化ベンゼトニウム最大0.02%;ソルビン酸0.01%から0.5%;ポリヘキサメチレンビグアニド0.1 ppm~300 ppm;ポリクアテルニウム-1(Omamer M)-0.1ppm~200ppm;次亜塩素酸塩、過塩素酸塩または亜塩素酸塩化合物、500ppm以下、好ましくは10~200 ppm;安定化された過酸化水素溶液、適切な安定剤とともに0.0001~0.1%重量%過酸化水素をもたらす過酸化水素源; p-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルおよびそれらの混合物、好ましくはメチルパラベンおよびプロピルパラベン0.01%から0.5%;クロルヘキシジン0.005%~0.01%;クロロブタノール最大0.5%;安定化されたオキシクロロ錯体(Purite(登録商標))0.001%~0.5%。
【0232】
別の実施形態では、本開示の化合物の局所製剤は、防腐剤を含まない。このような製剤は、コンタクトレンズを着用している患者、またはいくつかの局所点眼薬を使用している患者、および/または防腐剤への曝露を制限するのが望ましいすでに損傷した眼表面(例えば、ドライアイ)を有する患者にとって有用であり得る。
粘度増強剤および粘液剤
【0233】
特定の薄い粘度増強剤を、本開示の化合物の配合物に添加することができる。そのような薬剤の例には、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩、デキストラン、セルロースファミリーの様々なポリマー、ビニルポリマー、およびアクリル酸ポリマーなどの多糖類が含まれる。
【0234】
一部の実施形態では、眼に投与するための局所製剤は、眼科的に許容される粘液性または増粘剤(例えば、感熱性またはpH感受性のゲル化ポリマー)を含む。特定の例において、増粘剤は、に開示された製剤が眼に留まる時間を増加させる。特定の例において、本明細書に開示された製剤が眼に留まる時間を長くすることにより、より大きな薬物吸収および効果が可能になる。開示の化合物の特定の得られた製剤において、以下の1つ以上から選択される眼の粘液および/または粘度増強ポリマーを含む:カルボキシメチルセルロース(0.01~5%)、ヒドロキシエチルセルロース(0.01%~5%)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒプロメロース(0.01%~5%)、およびメチルセルロース(0.02%~5%)などのセルロース誘導体;デキストラン40/70(0.01%~1%);ゼラチン(0.01%~0.1%);グリセリン(0.01%~5%)、ポリエチレングリコール300(0.02%~5%)、ポリエチレングリコール400(0.02%~5%)、ポリソルベート80(0.02%~3%)、プロピレングリコール(0.02%~ 3%)、ポリビニルアルコール(0.02%~5%)、およびポビドン(0.02%から3%)などのポリオール;ヒアルロン酸(0.01%~2%);コンドロイチン硫酸(0.01%~2%)。
【0235】
本発明の開示製剤の安定な眼科用化合物の粘度は、粘度計またはレオメーターの使用など、当技術分野で知られている標準的な方法に従って測定することができる。当業者は、温度および剪断速度などの要因が粘度測定に影響を及ぼし得ることを認識するであろう。特定の実施形態では、粘度は、20℃+/-1℃の温度で、せん断速度が約22.50+/-約10(1/秒)のCP40または同等のスピンドルを備えたブルックフィールドコーンおよびプレート粘度計モデルVDV-III Ultra+、またはせん断速度が約26+/-約10(1/秒)のSC4-18または同等のスピンドルを備えたブルックフィールド粘度計モデルLVDV-Eを使用して測定し得る。別の実施形態では、粘度は、25℃+/-1℃の温度で、せん断速度が約22.50+/-約10(1/秒)CP40または同等のスピンドルを備えたブルックフィールドコーンおよびプレート粘度計モデルVDV-III Ultra+またはせん断速度が約26+/-約10(1/秒)のSC4-18または同等のスピンドルを備えたブルックフィールド粘度計モデルLVDV-Eを使用して測定し得る。
【0236】
一部の実施形態によれば、本発明の眼科用製剤は、約30から約150センチポアズ(cpi)、好ましくは約50から約120cpi、さらにより好ましくは約60から約115cpi(または上記の範囲内の任意の特定の値)の範囲の粘度を有する。好ましい実施形態によれば、本発明の眼科用製剤は、約60から約80cpiの範囲の粘度、または前記範囲内の任意の特定の値(すなわち、約60cpi、約61cpi、約62cpi、約63cpi、約64cpi、約65cpi、約66cpi、約67cpi、約68cpi、約69cpi、約70cpi、約71cpi、約72cpi、約73cpi、約74cpi、約75cpi、約76cpi、約77cpi、約78cpi、約79cpi、または約80cpi)の粘度を有する。
張性増強剤
【0237】
張性は、通常、張性増強剤によって必要に応じて調整される。そのような薬剤は、例えば、イオン性および/または非イオン性タイプであり得る。イオン性強壮剤の例は、例えば、CaCl2、KBr、KCl、LiCl、Nal、NaBrまたはNaCl、Na2SO4、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウムまたはホウ酸などのアルカリ金属または土類金属ハライドである。非イオン性張性増強剤は、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、またはデキストロースである。本発明の水溶液は、典型的には、0.9%塩化ナトリウム溶液または2.5%グリセロール溶液に相当する通常の涙液の浸透圧に近似するように張性剤で調整される。約225から400mOsm/kg、より好ましくは280から320mOsmの浸透圧が好ましい。
可溶化剤
【0238】
局所製剤は、特に1つまたは複数の成分が懸濁液または乳濁液を形成する傾向がある場合、可溶化剤の存在をさらに必要とし得る。適切な可溶化剤には、例えば、チロキサポール、脂肪酸グリセロールポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはこれらの化合物の混合物が含まれる。好ましい実施形態では、可溶化剤は、ヒマシ油とエチレンオキシドとの反応生成物であり、例えば、市販の製品であるクレモフォアEL(登録商標)またはクレモフォアRH40(登録商標)である。ひまし油とエチレンオキシドの反応生成物は、目で非常によく耐えられる特に優れた可溶化剤であることが証明されている。別の実施形態において、可溶化剤は、チロキサポールまたはシクロデキストリンである。使用される濃度は、特に有効成分の濃度に依存する。添加される量は、通常、有効成分を可溶化するのに十分である。例えば、可溶化剤の濃度は、有効成分の濃度の0.1から5000倍である。
【0239】
一部の実施形態では、本明細書に開示される眼への投与のための局所製剤は、可溶化剤、例えば、硫酸グルカンおよび/またはシクロデキストリンをさらに含む。使用できるグルカン硫酸塩には、デキストラン硫酸塩、シクロデキストリン硫酸塩、および□-1,3-グルカン硫酸塩、天然およびそれらの誘導体の両方が含まれるが、これらに限定されない。可溶化剤として使用されるシクロデキストリン誘導体には、□-シクロデキストリン、□-シクロデキストリン、□-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル□-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル□-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル□-シクロデキストリン、硫酸化□-シクロデキストリン、□-シクロデキストリン硫酸塩、スルホブチルエーテル□-シクロデキストリンが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載されている製剤は、約0.5から20%のシクロデキストリンを含む。一部の実施形態において、本明細書に記載されている製剤は、約1から約10%のシクロデキストリンを含む。
界面活性剤
【0240】
一部の実施形態において本発明は、1つまたは複数の界面活性剤を含む、哺乳動物の眼に送達するための眼科用製剤を提供する。「界面活性剤」は、液体の表面張力を低下させる湿潤剤である。眼科用製剤用の界面活性剤の例には、コーン油、オリーブ油、綿実油、ヒマワリ種子油などの天然源に由来する油;ソルビタンエステル、例えば、Span85の商品名で入手可能なソルビタントリオレエート、Span80の商品名で入手可能なソルビタンモノオレエート、Span20の商品名で入手可能なソルビタンモノラウレート、Tween20の商品名で入手可能なポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)Tween80の商品名で入手可能なソルビタンモノオレエート;エピクロン、特にエピクロン200の商品名で入手可能なものなどの天然源に由来するレシチンが含まれるが、これらに限定されない。Brij92の商品名で入手可能なオレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、Brij72の商品名で入手可能なステアリルポリオキシエチレン(2)、Brij30の商品名で入手可能なラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、Genapol0-020の商品名で入手可能なオレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、Synperonicの商品名で入手可能なオキシエチレンとオキシプロピレンのブロックコポリマー、オレイン酸、合成レシチン、ジエチレングリコールジオレート、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、オレイン酸エチル、ミリステートイソプロピル、トリオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノリシノール酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール400、セチルピリジニウムクロリド、および半フッ素化アルカンが含まれるが、これらに限定されない。
乳化剤
【0241】
一部の実施形態において、本明細書に開示される眼に投与するための局所製剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュシン酸ナトリウム、コレステロール、コレステロールエステル、タウロコール酸、ホスホチジルコリン、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油などの油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、脂肪ソルビタンの酸性エステル、またはこれらの物質の混合物などの乳化剤が含まれる。
浸透促進剤
【0242】
一部の実施形態において、本明細書に開示されている眼に投与するための局所製剤は、Gelucire 44/14、シクロデキストリン、BAC、EDTA、界面活性剤、ヘテログリコシド、胆汁酸塩、ポリカルボフィル-システインコンジュゲートおよびホウ酸などの浸透促進剤をさらに含む。
高度な製剤
【0243】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている眼科用製剤は、本開示の化合物のナノ粒子を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載されている眼科用製剤は結晶性粒子を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載されている眼科用製剤はアモルファス粒子を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載されている眼科用製剤は、ナノ構造の製剤を含む。ナノスケールの構造的特徴を備えた高度な製剤は、眼のバイオアベイラビリティを高め、溶液の粘度を調節し、角膜への浸透を改善する可能性がある。本開示の化合物の高度な眼科用製剤は、ナノ粒子、ナノエマルジョン、ナノミセル、コアシェルナノ粒子、ナノ構造脂質担体、表面修飾ナノ粒子、キトサン被覆ナノ粒子、ナノベシクル担体(リポソームおよびニオソーム)、カチオン性、アニオン性、および中性リポソーム、感光性金ナノ粒子をロードしたリポソーム、脂質ナノ粒子(固体脂質ナノ粒子、ナノ構造脂質担体)、キトサンナノ粒子、ポリカルボン酸ナノ粒子、PLAナノ粒子、PLGナノ粒子、(Ca)3(PO4)2ナノ粒子、オイドラギットナノ粒子、PLGA- PLAミクロスフェアおよびナノスフェア、コアシェルナノアセンブリ、ナノ粒子コンパクトフィルム、ポリマーナノ粒子、ポリマーにカプセル化されたナノ粒子(ナノカプセル)、ポリマーマトリックスに分散したナノ粒子(ナノスフェア)、ディスカム、キュボソーム、ヒドロゲル、デンドリマー、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、マイクロカプセル化粒子、カプセル化ミクロスフェア、マイクロエマルジョン、マイクロパーティcles、(オプションで、ヒアルロニダーゼやコラゲナーゼなどの拡散酵素の同時投与を伴う)、高分子ナノゲルおよびヒドロゲル、感光性ヒドロゲル、in-situゲル化システム、フィブリンシーラント(例:薬物放出を維持するゲルベースの半固体構造を形成する)、in-situゲル化製剤、カチオン性エマルジョン、非メソポーラス生分解性シリカマトリックス技術、生分解性または非生分解性PRINT粒子(非湿潤テンプレートでの粒子複製)、粘液浸透性粒子(MPP、Kala Pharmaceuticals)、および合成硝子体液を含む。
眼の剤形
【0244】
本開示の一実施形態では、本発明の化合物は局所投与される。眼に局所的に適用することができる局所組成物は、当技術分野で知られている任意の形態であり得、その非限定的な例には、固体、液滴、ゲル化可能液滴、スプレー、軟膏、または目の結膜のcul-du-sacまたは別の適切な場所に置かれる徐放性または非徐放性ユニットが含まれる。一部の実施形態において、眼科用製剤は、移植、挿入、注射、噴霧、洗浄、またはそれらの組み合わせを介して投与される。
溶液
【0245】
本明細書に記載されているのは、眼科用製剤が溶液の形態である、本開示の化合物を含む眼科用製剤である。特定の例において、本開示の化合物の送達は、哺乳動物の眼への液滴としての眼液製剤の投与によって達成される。特定の例において、溶液は、哺乳動物の眼に洗眼剤として投与される。
【0246】
特定の例において、溶液は、本開示の化合物または滅菌水および/または0.9%塩化ナトリウム溶液に溶解されたその塩を含む。少量のアルコールまたはグリセリンを任意選択で使用して、開示化合物の化合物を可溶化する。アルコールおよび/またはグリセリンの量は、投与時の眼への刺激を最小限に抑えるために可能な限り低く保たれている。眼組織への刺激は、投与された製剤の過度の引き裂きおよび洗い流しをもたらす。
【0247】
一部の実施形態において、溶液は、本開示の化合物を可溶化するためのpH改変剤を含む。特定の例において、pH変更剤は、溶液のpHを5~8に維持し、開示の化合物(例えば、開示の化合物の酸性塩)を可溶化する。特定の例において、溶液は、保護剤および/または安定剤をさらに含む。特定の例において、滅菌溶液は、防腐剤および/または安定剤の非存在下で、濾過システム(例えば、0.2μ濾過システム)および/または熱処理を使用して得られる。保護剤および/または安定剤は、製剤の総重量の約0.001%から約5%の量で存在する。一部の実施形態において、本明細書に記載されている眼液は、張性剤をさらに含む。記載されている製剤と適合性のある張性剤の例には、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、デキストロース、グリセリン、プロピレングリコールまたはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。溶液は、生理液との等張性のために設計されている(例えば、溶液組成物の浸透圧は約300mOsmである)。
【0248】
一部の実施形態において、開示された眼に投与するための局所製剤は、眼の後部(例えば、網膜、脈絡膜、硝子体および視神経)に投与または送達される。一部の実施形態において、本明細書に記載されている眼科用製剤は、眼の表面または涙嚢内またはまぶたの下に適用される。
懸濁液とエマルジョン
【0249】
特定の実施形態において本明細書で説明されるのは、眼科用製剤がエマルジョンまたは懸濁液の形態である、本開示の化合物を含む眼科用製剤である。エマルジョンの形態である眼科用製剤は、哺乳動物において点眼薬として局所的に投与される。製剤は、pH変更剤、防腐剤および/または安定剤をさらに含む。特定の実施形態において、無菌製剤は、防腐剤および/または安定剤の非存在下で、濾過システム(例えば、0.2μ濾過システム)および/または熱処理を使用して得られる。特定の実施形態において、懸濁液またはエマルジョンは、本開示の化合物の溶解度を高めるための界面活性剤を含む。特定の実施形態では、適切な投与を妨げる可能性のある泡立ちを最小限に抑えるために、界面活性剤の濃度を可能な限り低く保つ。特定の実施形態において、懸濁液またはエマルジョンの液相(例えば、共溶媒)は、懸濁液の密度と同様の密度を有する。特定の実施形態において、液相は、本開示の化合物を部分的に溶解するかまたは溶解しない共溶媒であるので、溶解した化合物がサスペノイド中に存在する結晶に結晶化することに起因する粒子サイズの成長を最小限に抑える。
【0250】
一部の実施形態において、懸濁液または乳濁液は水性懸濁液または乳濁液である。水性懸濁液は、任意選択で、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、アラビアガムなどの懸濁剤またはそれらの混合物を含む。
【0251】
一部の実施形態において、懸濁液または乳濁液は水中油型懸濁液または乳濁液である。油相は、植物油(オリーブ油、ヒマシ油、大豆油、ゴマ油、ココナッツ油など)または鉱油(液体パラフィンなど)である。そのような懸濁液または乳濁液は、任意選択で、増粘剤、例えば蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含む。
【0252】
水中油型懸濁液またはエマルジョンは、任意選択で、天然に存在するガム、例えばガムアカシアまたはガムトラガカンス、天然に存在するホスファチド、例えば大豆レシチン、ならびに脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、および前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの乳化剤を含む。
【0253】
特定の場合において、本明細書に記載されている眼科用製剤は、生理液と等張である(例えば、約290mOsmの浸透圧)。特定の例において、懸濁液、乳濁液またはコロイド分散液は、製剤を生理液と等張にする強壮剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)を含む。特定の例において、本明細書に記載されている眼科用製剤は、低張製剤である。低張製剤は、涙嚢からの本開示の化合物の吸収を可能にする。
軟膏
【0254】
一部の実施形態において眼科用製剤は、眼軟膏の形で哺乳動物に投与される溶液の形である。
【0255】
特定の実施形態において、眼への投与のための局所製剤が開示されており、眼への投与のための局所製剤は軟膏の形態である。特定の例において、軟膏は、水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンに分散された本開示の化合物を含む半固体(例えば、軟質固体または濃厚液体)製剤である。一部の実施形態において、軟膏の疎水性成分は、動物(例、ラノリン、タラ肝油、アンバーグリス)、植物(例、サフラワー油、ヒマシ油、ココナッツ油、綿実油、メンハーデン油、パームカーネル油、パーム油、ピーナッツ油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、米ぬか油、松油、ゴマ油、またはヒマワリ種子油)、または石油(例えば、ミネラル油、または石油ゼリー)に由来する。特定の例において、軟膏は、体温(眼および/またはそれに関連する組織の温度を含む)で軟化または融解する半固体製剤である。特定の例では、軟膏は組織を再水和し、したがって、眼の水分の喪失または乾燥を特徴とする眼の障害に有用である。
ゲル
【0256】
多くの場合、目に点眼薬を点眼するのは困難である。眼科用ドロップはまた、涙、まぶたの痂皮形成、および/または視力障害の不快な副作用を引き起こす。涙は、涙腺ドレナージシステムを介して薬物が急速に失われるため、適切な量の開示の化合物を眼に適用することを困難にする。眼科用ゲルは、開示の化合物のバースト放出を回避しながら、良好な眼の保持を提供する。一部の実施形態において、眼科用製剤は、本開示の化合物の制御放出のために設計されて、送達効率の向上および最大の治療効果を提供する。
【0257】
特定の実施形態において、本明細書に記載されているのは、眼科用製剤が、眼への投与時にゲル化する液体の形態である、本開示の化合物を含む眼科用製剤である。製剤は室温で液体であり、開示の化合物の眼がポリマーの急速なゲル化(すなわち、液相から固相への移行)を引き起こし、それによって開示の化合物の引き裂きおよび洗い流しを防止することを含む。
【0258】
感熱性ゲル化ポリマーを含む眼科用製剤は、室温で液体であり、体温でゲル化する(すなわち、インサイチュゲル化システム)。感熱性ゲル化ポリマーには、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロース系エーテル、プルロニックポリマー、テトロニックポリマーなど、またはそれらの混合物が含まれる。水性涙液と混合すると、pH感受性ゲル化ポリマーを含む本明細書に記載された眼科用製剤がゲル化する。pH感受性ゲル化ポリマーには、カルボキシル基を含むものなどの酸性および架橋酸性ポリマー(例えば、ポリアクリレート、架橋ポリアクリレート酸、メタクリル酸、エタクリル酸、□-メチルアクリル酸、シス-□-メチルクロトン酸、トランス-□-メチルクロトン酸、□-ブチルクロトン酸、□-フェニルアクリル酸、□-ベンジルアクリル酸、□-シクロヘキシルアクリル酸、またはそれらの混合物)が含まれる。
固体
【0259】
一部の実施形態において、眼科用ドラッグデリバリーシステムは、固体または製剤を含浸させた固体マトリックスの形態である。そのような薬物送達システムは、本開示の化合物(任意選択でシクロデキストリンまたは他の容器分子を使用する)に浸され、粒子を含み、ナノ粒子を含み、分子インプリントされ、イオン交換された薬物溶出接触レンズを含む。本開示、マイクロエマルジョンローディング、またはミセルローディング、それにより、ローディング粒子、エマルジョン、またはミセルは、本開示の化合物を含む。薬剤溶出性マトリックスの例は、Lacrisert(登録商標)である。
【0260】
一部の実施形態において、眼科用ドラッグデリバリーシステムは、セルロース誘導体、キトサンアクリレート、アミオカ、ドラム乾燥ワキシーメイズスターチ、またはカルボポールを含むミニタブレットの形をとっている。ミニタブレットの例は、EncompassPharmaのPROLOCである。
【0261】
一部の実施形態において、眼科用薬物送達システムは、生体接着性眼科用薬物挿入物、コラーゲンシールド、ゲルフォーム、ミニディスク(眼治療システム)、ポリビニルアルコールフラグデバイス、粘膜付着性マイクロディスク、または可溶性眼球挿入物を含む。
眼注射
【0262】
一部の実施形態において、眼の組織に投与するための本開示の化合物の製剤が、眼の標的部位への注射を介して投与または送達され、そこで、定義された期間にわたって本開示の化合物を放出する。特定の実施形態において、本開示の化合物の製剤は、硝子体内注射によって投与される。特定の実施形態において、本開示の化合物の製剤は、テノン嚢下注射によって投与される。一部の実施形態において、本開示の化合物の製剤は脈絡膜上注射によって投与される。特定の実施形態において、本開示の化合物の製剤は、球後注射によって投与される。一部の実施形態では、本開示の化合物を注射するための製剤は、溶液製剤である。特定の実施形態において、本開示の化合物の注射用の製剤は、懸濁液製剤である。一部の実施形態において本開示の化合物の製剤は、マイクロニードルを使用して注射される。
眼球インサート
【0263】
一部の実施形態において、眼に投与するための本開示の化合物の製剤は、眼とまぶたの間または結膜嚢に挿入することができる装置を介して投与または送達され、そこで本開示の化合物を放出する。特定の実施形態では、本開示の化合物は、角膜の表面を浸す涙液に放出されるか、または角膜自体に直接放出され、固体デバイスは一般に密接に接触している。特定の実施形態において、眼への投与に適した装置が、本開示の化合物と共に使用される(例えば、Lacrisert(登録商標)、Amorphex Therapeuticsの局所眼科用薬物送達装置(TODD(商標))。
【0264】
一部の実施形態において、眼に挿入するためのデポー調製物は、生分解性ポリマー中に本開示の化合物のマイクロカプセル化マトリックス(マイクロカプセル化マトリックスとしても知られる)を形成することによって処方される。一部の実施形態では、デポー調製物は、本開示の化合物をリポソームまたはマイクロエマルジョンに閉じ込めることによって処方される。
【0265】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、薬物を充填したポリマーディスク(例えば、Bausch&Lombによるミニディスク眼治療システム(OTS))、徐放性の棒状デバイス(例えば、Ocufit)SR(登録商標)(Escalon(登録商標)MedicalCorp))、またはポリ(ビニルアルコール)(PVA)フィルムフラグ(例:新しい眼科用デリバリーシステム(NODS(登録商標))、Smith&Nephew Pharmaceutical Ltd)を介して送達されることが想定される。
眼のインプラント
【0266】
ある方法で、眼に投与するための本開示の化合物は、注射可能または移植可能なデポー調製物を介して投与または送達される。で使用されるように、デポー調製物は、眼またはそれに関連する組織(例えば、強膜)(例えば、皮下、筋肉内、硝子体内、結膜下、強膜上、または強膜内)に埋め込まれるデバイス内に封入された徐放性製剤である。 。制御放出マトリックスに対する本開示の化合物の比率および使用されるマトリックスの性質は、薬物放出の速度を制御する。
【0267】
一部の実施形態において、本開示の化合物は、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、またはポリ乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)を含む生分解性インプラントマトリックスから溶出される。生分解性インプラントの例は、Ozurdex(登録商標)、Surodex(登録商標)、Medidur(登録商標)、またはZorderaナノポーラス膜フィルムである。その他の場合、インプラントは、ポリオルトエステルゲル、コラーゲンマトリックスゲル、またはPLGAフィルムで構成される。
【0268】
他の場合には、本開示の化合物は、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリスルホン毛細管繊維(PCF)、または酸化されたメソポーラスシリコンの微粉化粒子を含む非生分解性インプラントマトリックスから溶出される。非生分解性インプラントの例は、Vitrasert(登録商標)、Retisert(登録商標)、Iluvien(登録商標)、I-vationTM、およびOcusert(登録商標)である。
【0269】
他の場合には、本開示の化合物は、カプセル化された細胞インプラント、眼球リング、または薬剤溶出性眼内レンズから溶出される。
その他の送達方法
【0270】
本開示の他の実施形態では、本開示の化合物は、涙点プラグ、小管内詰め替え可能薬物リザーバー、マイクロカニューレ挿入、中実または中空マイクロニードル、マイクロポンプ、イオントフォレーシス(例えば、Ocuphor(R)、EyeGate(登録商標)およびVisulex(登録商標)関連システム)または超音波を介して眼組織に送達される。
眼の管理のための容器の閉鎖/キット
【0271】
本発明の製剤は、単回投与製品または複数回投与製品のいずれかとして包装することができる。単回投与製品は、パッケージを開封する前は無菌であり、パッケージ内のすべての組成物は、患者の片方または両方の眼への単一の適用で消費されることを意図している。パッケージを開封した後、組成物の無菌性を維持するための抗菌防腐剤の使用は、一般に不要である。
【0272】
複数回投与製品も、パッケージを開封する前は無菌である。しかしながら、組成物の容器は、容器内のすべての組成物が消費される前に何度も開かれる可能性があるため、複数回投与製品は、組成物が微生物によって汚染されないことを保証するのに十分な抗菌活性を有さなければならない。容器の開封と取り扱いを繰り返した。この目的に必要な抗菌活性のレベルは当業者によく知られており、米国薬局方(「USP」)などの公式出版物および他の国の対応する出版物で指定されている。微生物汚染に対する眼科用医薬品の保存に関する仕様の詳細な説明、および特定の製剤の保存効果を評価するための手順は、これらの出版物に記載されている。米国では、保守的な有効性基準は一般に「USPPET」要件と呼ばれている(頭字語「PET」は「防腐効果試験」の略である。)
【0273】
単回投与包装構成の使用は、眼科用組成物(例えば、塩化ベンザルコニウム)を保存するために利用される従来の抗菌剤が、特に乾燥した目の状態または既存の眼の炎症に苦しんでいる患者に、眼の刺激を引き起こす可能性があるため、組成物中の抗菌性防腐剤の必要性を排除し、これは医学的観点からの重要な利点である。しかし、「フォーム、フィル、シール」として知られるプロセスによって調製された少量のプラスチックバイアルなど、現在利用可能な単回投与パッケージングの配置には、製造業者と消費者にとっていくつかの欠点がある。単回投与包装システムの主な欠点は、必要な包装材料の量がはるかに多いことであり、これは無駄であり、費用がかかり、消費者にとって不便である。また、消費者が、指示通りに1~2滴を眼に塗布した後、単回投与容器を廃棄せず、開封した容器とその中に残っている組成物を後で使用するために保存するリスクもある。単回投与製品のこの不適切な使用は、汚染された組成物が眼に適用された場合、単回投与製品の微生物汚染のリスクおよび関連する眼感染のリスクを生み出す。
【0274】
本開示の製剤は、好ましくは「すぐに使用できる」水溶液として製剤化されるが、本開示の範囲内で代替の製剤が企図される。したがって、例えば、有効成分、界面活性剤、塩、キレート剤、または点眼液の他の成分、またはそれらの混合物は、凍結乾燥するか、または溶解の準備ができている乾燥粉末または錠剤として(例えば、脱イオン、または蒸留水)提供される。溶液の自己保存性のため、滅菌水は必要ない。
【0275】
本開示は、本開示の化合物の液体または凍結乾燥製剤(すなわち、本開示の化合物を単独で、または以下に記載されるような追加の活性剤と組み合わせて含む製剤)で満たされた1つ以上の容器を含む医薬パックまたはキットを提供する。一実施形態では、製剤は、開示の化合物の水性製剤である。一実施形態では、製剤は凍結乾燥される。液体または凍結乾燥製剤が無菌であることが好ましい。一実施形態では、キットは、1つまたは複数の容器内の本開示の化合物の液体または凍結乾燥製剤、および1つまたは複数の他の予防剤または治療剤を含む。1つ以上の他の予防剤または治療剤は、本開示の化合物と同じ容器内、または1つ以上の他の容器内にあってもよい。好ましくは、本開示の化合物は、約0.05%(w/v)から約1.0%(w/v)の濃度で処方され、局所眼投与に適している。特定の実施形態において、本開示の化合物は、追加の活性剤と共に処方される。特定の実施形態において、キットは、単位剤形で本開示の化合物を含む。
【0276】
特定の実施形態において、キットは、使用説明書(例えば、本開示の化合物を単独で、または別の予防薬または治療薬と組み合わせて使用する)、ならびに1つまたは複数の投与経路の副作用および投薬量情報をさらに含む。必要に応じて、そのような容器に関連付けられているのは、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知であり、この通知は、人間の管理のための製造、使用、または販売の機関による承認を反映している。指示書は通常、書面または印刷物で構成されているが、これらに限定されるものではない。そのような指示を保存し、それらをエンドユーザーに伝達することができる任意の媒体が、本開示によって企図される。そのような媒体には、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CDROM)などが含まれるが、これらに限定されない。そのような媒体には、そのような指示を提供するインターネットサイトへのアドレスが含まれる場合がある。
【0277】
別の実施形態では、本開示は、に記載された製剤の包装および/または保管および/または使用のためのキット、ならびに本明細書に記載された方法の実施のためのキットを提供する。キットは、輸送、使用、および保管の1つまたは複数の側面を容易にするように設計できる。
治療法
【0278】
一実施形態では、本発明の化合物は、rhoキナーゼ依存性またはrhoキナーゼ媒介性の疾患または状態の治療のための薬剤の調製に使用される。さらに、そのような治療を必要とする対象において本明細書に記載されている疾患または状態のいずれかを治療するための方法は、本開示の少なくとも1つの化合物または薬学的に許容される塩、活性代謝物、プロドラッグ、または溶媒和物を前記対象に治療上有効な量で含む医薬組成物の投与を含む。
【0279】
特定の実施形態において、本明細書に記載された化合物を含む組成物は、予防的および/または治療的治療のために投与される。特定の治療用途において、組成物は、疾患または状態の症状の少なくとも1つを治癒または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で疾患または状態に罹患している患者に投与される。この使用に有効な量は、疾患または状態の重症度と経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬剤への反応、および治療を行う医師の判断によって異なる。治療上有効な量は、用量漸増臨床試験を含むがこれに限定されない方法によって任意選択で決定される。
【0280】
予防的用途では、本明細書に記載されている化合物を含む組成物が、特定の疾患、障害、または状態に感受性があるか、そうでなければそのリスクがある患者に投与される。
【0281】
全身投与様式の場合、一般的に言えば、治療効果をもたらすのに有効な期間、インビボで有効であることが見出された濃度に釣り合った血漿レベルを達成するのに有効な量の本開示の化合物を投与することが望まれる。成人の治療に使用される用量は、通常、1日あたり0.01mgから5000mgの範囲、または1日あたり約1mgから約1000mgの範囲である。一実施形態では、所望の用量は、単回用量または分割用量で都合よく提示される。
【0282】
一部の実施形態において、製剤は、治療有効量の本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、例えば、必要に応じて週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、1日おきに1回、1日1回、1日2回(b.i.d.)、または必要に応じて1日3回(t.i.d.)の投与を可能にする。一実施形態では、製剤は、治療有効量のrhoキナーゼ阻害剤、またはその薬学的に許容される塩を提供し、1日1回の投与を可能にする。
【0283】
また、本発明の化合物の眼科用製剤が開示されており、眼科用製剤は、予防的および/または治療的治療のために投与される。特定の例において、この使用に有効な量は、疾患の重症度および経過、障害または状態、以前の治療、対象の健康状態および薬物に対する反応、ならびに治療する医師の判断に依存するであろう。
【0284】
rhoキナーゼ依存性またはrhoキナーゼ媒介性の疾患または状態が改善しないいくつかの場合において、本明細書に開示される眼科用製剤は、慢性的に(すなわち、対象の生存期間全体を含む長期間にわたって)投与される。rhoキナーゼ依存性またはrhoキナーゼ媒介性の疾患または状態が改善する場合には、本明細書に開示されている眼科用製剤が継続的に投与される。あるいは、投与される活性剤の用量は、特定の期間(すなわち、「休薬期間」)の間、一時的に減らされるか、または一時的に中断される。一部の実施形態において、休薬期間は、すべての中間時間間隔を含め、2日から1年の間に続く。一部の実施形態において、休薬期間中の減量は、すべての中間値を含めて、約10%から約100%になる。
【0285】
rhoキナーゼ依存性またはrhoキナーゼ媒介性の疾患または状態が改善する場合には、本明細書に開示されている眼科用製剤が維持用量として投与される。rhoキナーゼ依存性またはrhoキナーゼ媒介性の疾患または状態が改善するいくつかの場合において、本明細書に開示される眼科用製剤は、低減された頻度または低減された用量で投与される。
【0286】
個人がrhoキナーゼ依存性またはrhoキナーゼ媒介性の疾患または状態を有することが疑われる場合、に開示される眼科用製剤は、疾患症状の発症前に予防用量として投与される。一部の実施形態において、予防的用量は治療的用量と比較して減少した用量である。
傍眼疾患/状態
【0287】
別の実施形態において、本発明の化合物またはその組成物は、対象において「傍眼ロキナーゼ調節疾患、障害、傷害、または状態」を治療するために対象に投与される。
【0288】
「傍眼のrhoキナーゼによって調節される疾患、障害、損傷、または状態」という用語は、rhoキナーゼが調節または寄与の役割を果たすが、必ずしも眼への影響を及ぼさない一般的な生理学的状態を指す。このような疾患または状態には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
・心血管疾患、例えば、アンギーナ(例えば、狭心症、血管痙攣性アンギーナ、安定労作性狭心症)、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、脳血管疾患(例えば、脳血栓症、脳塞栓症、および脳出血)、心臓線維症および心臓肥大、心筋肥大虚血/再灌流障害、再灌流心筋症、アテローム性動脈硬化症、移植動脈硬化症、うっ血性心不全、冠状動脈疾患、心筋梗塞、末梢血管疾患、狭窄(例、冠状動脈狭窄、大動脈狭窄、再狭窄、血管形成後再狭窄、肺狭窄)例:脳動脈血管れん縮、冠状動脈血管れん縮)、高血圧症(例、肺動脈高血圧症、全身性動脈性高血圧症)、血管収縮および虚血(脳および冠状動脈の両方)につながる血管痙攣、虚血性脳卒中、脳静脈痙攣、レイノー現象
・平滑筋関連の障害、例えば、緑内障、勃起不全、気管支喘息
・免疫および自己免疫疾患、例えば、免疫溶血性貧血、免疫肝炎、バーガー病またはIgA腎症、セリアックスプルー、慢性疲労症候群、クローン病、炎症性腸症候群、皮膚筋炎、線維筋痛、移植片対宿主病、墓病、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、扁平苔癬、多発性硬化症、重力筋無力症、乾癬、尋常性乾癬、リウマチ性発熱、リウマチ性関節炎、強皮症、ショルグレン症候群、全身性エリテマトーである、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、硝子体炎、結核
・炎症性疾患、例えば、喘息、乾癬、関節リウマチ、骨関節炎、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、アンキロス性脊椎炎、敗血症、血管炎、および嚢炎、ループス、多発性筋痛などの自己免疫疾患ウェゲナー肉芽腫症、側頭動脈炎、クリオグロブリン血症、および多発性硬化症、移植拒絶、骨粗鬆症、固形腫瘍(例えば、肺、CNS、結腸、腎臓、および膵臓)を含む癌、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、ウイルス(例えば、HIVまたはインフルエンザ)感染症、および慢性ウイルス(例えば、エプスタインバー、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス)感染症
・呼吸器疾患:例えば、アレルゲン誘発性喘息、運動誘発性喘息、汚染誘発性喘息、寒冷誘発性喘息、およびウイルス誘発性喘息を含む喘息状態。気道過敏性や小気道疾患などの喘息関連疾患;正常な気流を伴う慢性気管支炎、気道閉塞を伴う慢性気管支炎(慢性閉塞性気管支炎)、気腫、喘息性気管支炎、および水疱性疾患を含む慢性閉塞性肺疾患;気管支炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、鳩の愛好家の病気、農民の肺、急性呼吸窮迫症候群、肺炎、肺炎、吸引または吸入傷害、肺の脂肪塞栓症、肺のアシドーシス炎症、急性肺浮腫を含む炎症を伴う他の肺疾患、急性山岳病、急性肺高血圧症、新生児の持続性肺高血圧症、周産期吸引症候群、硝子膜疾患、急性肺血栓塞栓症、ヘパリン-プロタミン反応、敗血症、喘息状態、低酸素症、呼吸困難、高炭酸血症、過膨張、低酸素血症、および咳
・アレルギー性疾患:例:遅延型過敏反応、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎
・神経障害:例:神経変性、脊髄損傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、多発性硬化症、神経障害性疼痛、AIDS関連認知症、カシェキシア、シデナム舞踏病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、コルサコフス症候群、および脳血管障害、中枢および末梢神経系のニューロパシー(例えば、IgAニューロパシー、膜性ニューロパシーおよび特発性ニューロパシーを含む)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横脊髄炎、ガレインバレに関連する不安定性病気、脳炎、神経系の癌、睡眠障害、統合失調症、うつ病、うつ病、または月経前症候群(PMS)に関連するその他の症状、および不安
・癌:例えば、血液悪性腫瘍、肝細胞癌、結腸直腸癌、および乳房、脳、肝臓、肺、卵巣、前立腺、膀胱、頸部および皮膚の癌、脳癌、骨癌、白血病、リンパ腫を含むがこれらに限定されない新生物、基底細胞癌、腺癌、唇癌、口癌、食道癌、小腸癌および胃癌などの胃腸癌、結腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌などの上皮細胞由来新生物(上皮癌)、卵巣癌、頸部癌、肺癌、乳癌、および扁平上皮細胞および基底細胞癌などの皮膚癌、前立腺癌、腎細胞癌、および全身の上皮細胞に影響を与える他の既知の癌。新形成は、胃腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、頸部癌、肺癌、乳癌、および扁平上皮細胞および基底細胞癌などの皮膚癌から選択することができる。
・肉芽腫性障害:例:サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫
・急性マクロファージ介在性疾患、例えば、成人呼吸困難症候群、臓器不全、慢性腎疾患、腎疾患、腎不全、および脳脊髄炎
・代謝障害:例:メタボリックシンドローム、脂質異常症、インスリン抵抗性、糖尿病合併症
・その他:創傷治癒、慢性腎臓病、脳脊髄炎、骨粗鬆症
眼の病気/状態
【0289】
一態様では、rhoキナーゼを阻害する化合物が提示されており、眼の疾患または状態または眼組織が影響を受ける疾患または状態の治療または予防のための薬剤として有用である。一部の実施形態において、そのような疾患または状態は、rhoキナーゼが関与する疾患、疾患の病因または病理に関与する疾患、あるいは疾患の少なくとも1つの症状に関連する疾患など、rhoキナーゼの阻害から利益を得るであろう。
【0290】
別の実施形態では、本開示の化合物またはその組成物は、対象の「眼の疾患、障害、傷害、または状態」を治療するために対象に投与される。
【0291】
別の実施形態では、本開示の化合物またはその組成物は、対象の「眼の疾患、障害、傷害、または状態」を治療するために対象に投与される。
・網膜症(例えば、嚢胞性黄斑浮腫、中心性漿液性脈絡膜症および推定眼組織形質症症候群)、放射線網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、未熟児網膜症(ROP)、眼内炎、甲状腺関連眼窩症、未熟児網膜症、家族性滲出性網膜症(FEVR)、糖尿病性網膜症
・網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞、網膜血管疾患(例えば、コート病および網膜動脈大動脈瘤)、光凝固に関連する黄斑肥厚の予防および治療、特発性ポリープ状脈絡膜血管障害、網膜上黄斑膜
・遺伝性網膜疾患に関連する黄斑浮腫、慢性網膜黄斑浮腫、アッシャー症候群、バルデー・ビードル症候群(BBS)、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)
・血管新生:角膜移植片拒絶、および水晶体後線維増殖症、流行性角膜結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズオーバーウェア、アトピー性角膜炎、上肢角膜炎、乾性角膜炎、シドグレン病、酒気腫、フィレクテヌル症、脂質変性、化学火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原生動物感染症、カポジ肉腫、ムーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角膜炎、全身性ループス、多動脈炎、外傷、ウェゲナー症候群、スティーブンス-ジョンソン病、ペンフィゴイド、および放射状角膜炎
・ブドウ膜炎:前部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、慢性ブドウ膜炎/ブドウ膜炎、ブドウ膜炎症候群(例えば、慢性虹彩毛様体炎または慢性眼内炎)
・レフサム病、桿体-錐体ジストロフィー、錐体-桿体網膜ジストロフィー、小口病、マラティアレベンチネーゼ、青錐体単色覚醒、網膜分離症、脈絡膜血症、硝子体黄斑ジストロフィー(ベスト病)、脈絡膜血管新生、血管漏出、および/または網膜浮腫、角質沈殿物、眼内レンズ移植後の炎症反応
・網膜血管炎(例えば、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性紅斑性ループス、進行性全身性硬化症、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、末端動脈炎、アダマンティアであるベクセット病、ショルゲン、再発性多発性軟骨炎に見られる)
・網膜剥離、貫通損傷後の網膜剥離)術後黄斑浮腫、慢性網膜剥離
・サルコイドーシス、イールズ病、急性網膜壊死、原田病小柳症候群、眼トキソプラズマ症
・眼窩偽腫瘍、色素分散症候群、強膜炎、上強膜炎脈絡膜症(例えば、急性多発性後部プラコイドを含むがこれに限定されない「ホワイトドット」症候群)
・甲状腺眼症、または角膜プロテーゼ手順に関連する線維症
・鎌状赤血球貧血、サルコイドーシス、弾性偽黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性紅斑性狼瘡、イールズ病
・ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎を引き起こす感染症、推定される眼組織形質症、ミオピア、視神経窩、スターガルト病、扁平上皮炎高粘度症候群、トキソプラズマ症、外傷およびレーザー後合併症、ルベオーシス(角の血管新生)に関連する疾患、あらゆる形態の多発性硝子体網膜症を含む、線維血管または線維組織の異常増殖
・ドライアイ:ドライアイ症候群(例えば、流涙低下、アラクリマ、ゼロフタルミア、スティーブンス-ジョンソン症候群、眼性ペンフィゴイド、辺縁性眼瞼炎、糖尿病などで観察されるドライアイ、白内障手術後に観察されるドライアイ、アレルギーを伴うドライアイ結膜炎など、VDT(視覚表示端末)作業の増加による涙液分泌低下によるドライアイ、空調設備のある乾燥室など)、乾性角結膜炎(KCS)または乾性角膜炎(ブレブ)不全につながる強膜上線維症緑内障濾過手術、Sjogren症候群、眼科手術後の炎症、角結膜炎、翼状片、非特異的眼窩炎症
・白内障:白内障(術後瘢痕)、角膜瘢痕、眼の類天疱瘡に関連する瘢痕、緑内障濾過手術
・結膜炎:細菌性結膜炎、真菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎、アレルギー性結膜炎、角結膜炎、春季カタル結膜炎、眼瞼結膜炎、結膜性類天疱瘡、眼内黒色腫、接触レンズ関連巨大乳頭状結膜炎、眼障害性角膜炎、痛み、瞼裂斑、術後の痛み、翼状片、瘢痕、硬化炎、眼瞼炎
・眼の癌、放射線誘発角膜瘢痕、レーザー支援in-situ角膜曲率形成術、眼線維症、角膜潰瘍
・角膜移植関連の疾患または状態、小柱切除関連の疾患または状態、瘢痕性類天疱瘡、角膜内皮障害、フックス角膜ジストロフィー、および翼状突起
【0292】
「眼の疾患、障害、傷害、または状態」には、以下に定義されるように、「神経変性眼の疾患、障害、傷害、または状態」も含まれるが、これらに限定されない。
1.神経変性眼疾患/状態
【0293】
別の実施形態において、本開示の化合物またはその組成物は、対象における「神経変性眼疾患、障害、傷害、または状態」を治療するために対象に投与される。
【0294】
「神経変性眼疾患、障害、傷害、または状態」という用語は、眼の神経学的機能が生理学的に損なわれるかまたは低下する状態を指す。このような疾患または状態には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
・緑内障および神経障害:開放隅角緑内障(例、原発性開放隅角緑内障、色素性緑内障、および剥離性緑内障、低眼圧緑内障)、閉塞隅角緑内障(臨床的には閉鎖隅角緑内障、狭隅角緑内障、瞳孔ブロック緑内障としても知られる)を含む緑内障。および毛様体ブロック緑内障)(例、急性閉塞隅角緑内障および慢性閉塞隅角緑内障)、無眼緑内障、先天性緑内障、若年性緑内障、水晶体誘発性緑内障、血管新生緑内障、外傷後緑内障、ステロイド誘発性緑内障、サージウェーバー症候群緑内障、および緑内障誘発性緑内障、眼緑内障(例えば、炎症性緑内障)、色素性緑内障、血管新生緑内障
・黄斑変性症:乾燥年齢に関連する黄斑変性症、地図状萎縮症、湿性年齢に関連する黄斑変性症(湿性AMD)、血管新生を伴う湿性AMD、中心窩肥厚を伴う湿性AMD
・網膜症:糖尿病性網膜症、網膜浮腫を伴う糖尿病性網膜症、血管新生を伴う糖尿病性網膜症、高血圧性網膜症、遺伝性網膜症、黄斑浮腫、網膜色素変性症および関連する網膜変性疾患
・ニューロパシーと神経炎:虚血性視神経症(例、前部虚血性視神経症、後部虚血性視神経症、放射線視神経症)、視神経炎(例、単一孤立性視神経症(SION)、再発性孤立性視神経症(RION)、慢性再発性炎症性視神経症(CRION)、視神経脊髄炎(NMO)スペクトル障害、多発性硬化症関連視神経炎(MSON)、分類されていない視神経症(UCON)型、動脈性虚血性視神経症(AION)、非動脈性虚血性視神経症(NAION))、圧迫性視神経症(例えば、視神経症、浸潤性視神経症(炎症性(非脱髄性)視神経症、傍腫瘍性視神経症)、外傷性視神経症、ミトコンドリア視神経症、栄養性視神経症、毒性視神経症、遺伝性遺伝性視神経症(LHON)、優勢な視神経萎縮、ベール症候群、バーク-タバツニク症候群)、眼パーキンソン病とアルツハイマー病に関連する症状
・髄膜腫、血管腫、リンパ管腫、類皮嚢胞、癌腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、炎症性眼窩偽腫瘍、および甲状腺眼症
【0295】
別の実施形態では、本発明の化合物またはその組成物は、対象の「緑内障」を治療するために対象に投与される。
【0296】
「緑内障」という用語は、以下を含むがこれらに限定されない疾患または状態を指す。これには、開放隅角緑内障(例えば、原発性開放隅角緑内障、色素性緑内障、および剥離性緑内障、低眼圧緑内障)、閉塞隅角緑内障(臨床的には閉鎖隅角緑内障、狭隅隅角緑内障、瞳孔ブロック緑内障、および毛様体ブロック緑内障)(例、急性閉塞隅角緑内障および慢性閉塞隅角緑内障)、無虹彩性緑内障、先天性緑内障、若年性緑内障、水晶体誘発性緑内障、血管新生緑内障、外傷性緑内障、ステロイド誘発性緑内障、サージウェーバー症候群緑内障、およびブドウ膜炎誘発性緑内障、眼緑内障(例えば、炎症性緑内障)、色素性緑内障、および血管新生緑内障が含まれるが、これらに限定されない。
【0297】
一部の実施形態において、眼の疾患または状態は、眼の後部、眼の前部、または眼の後部と眼の前部の両方に影響を与える眼の疾患または状態である。
【0298】
一部の実施形態において、眼の疾患または状態は、後眼部に影響を与える眼の疾患または状態である。
【0299】
一部の実施形態では、眼の疾患または状態は、眼の前部に影響を与える眼の疾患または状態である。
併用療法
【0300】
本発明の化合物は、他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて対象に投与することができる。レシピエントへの悪影響または化合物間の望ましくない相互作用を回避するために、本発明の化合物と組み合わせて使用される薬学的に活性な化合物が選択されることが当業者によって理解されるであろう。
【0301】
追加の治療薬は、本発明の化合物と同時にまたは連続して投与することができる。連続投与には、開示の化合物の前または後の投与が含まれる。一部の実施形態において、追加の治療薬または複数の治療薬が、開示の化合物と同じ組成で投与され得る。言い換えれば、追加の治療薬の投与と本開示の化合物との間に時間間隔があり得る。
【0302】
一部の実施形態において、本開示の化合物を伴う追加の治療薬の投与は、他の治療薬のより低い用量および/またはより少ない頻度での投与を可能にし得る。
傍眼薬
【0303】
これらのいくつかにおいて、本開示の化合物は、以下を含むがこれらに限定されない、リストからの別の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用され得る。
・エイズ化学療法剤、アミノ酸誘導体、鎮痛剤、麻酔薬、肛門直腸製品、制酸剤および抗鼓腸剤、抗生物質、抗凝固剤、解毒剤、抗線維素溶解剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗腫瘍薬、抗寄生虫剤、抗原虫剤、抗発熱剤、消毒剤、消毒剤抗ウイルス剤、食欲抑制剤、関節炎薬、生物学的反応修飾剤、骨代謝調節剤、腸排出剤、心臓血管剤、中枢神経系刺激剤、脳代謝促進剤、セルメノリティックス、コリンエステラーゼ阻害剤、冷咳剤、コロニー刺激因子、避妊薬、細胞保護剤、歯科用製剤、脱臭剤、皮膚科、解毒剤、糖尿病剤、診断薬、下痢薬、ドーパミン受容体アゴニスト、電解質、酵素および消化剤、エルゴット製剤、受精剤、繊維サプリメント、抗真菌剤、ガラクトレア阻害剤、胃酸分泌阻害剤、胃腸運動促進剤、ゴナドトロピン阻害剤、発毛刺激剤、ヘマチニック剤、出血剤、止血剤、ヒスタミンH 2受容体拮抗薬、ホルモン、高血糖剤、脂質低下剤、免疫抑制剤、弛緩剤、催眠剤、白血病補助剤、肺界面活性剤、片頭痛製剤、粘液溶解薬、筋弛緩薬拮抗薬、筋弛緩薬、麻薬拮抗薬、鼻スプレー、悪心薬ヌクレオシド類似体、栄養補助食品、骨粗鬆症製剤、子宮収縮薬、副交感神経遮断薬、副交感神経刺激薬、パーキンソニズム薬、ペニシリンアジュバント、リン脂質プロスタグランジン類似体、プロスタグランジン、プロトンポンプ阻害剤、掻痒薬向精神薬、キノロン、呼吸刺激剤、唾液刺激剤、塩代替物、硬化剤、皮膚創傷製剤、禁煙補助剤、スルホンアミド、交感神経遮断薬、血栓溶解薬、トゥーレット症候群剤、振戦剤、結核剤、尿酸排泄剤、尿路剤、子宮収縮剤、子宮弛緩剤、膣剤、めまい剤、ビタミンD類似体、ビタミン、および医用画像造影剤
眼球
【0304】
本開示の化合物は、眼の状態または疾患を治療する他の薬学的に活性な化合物、タンパク質、または遺伝子治療製品と組み合わせて対象に投与することができる。レシピエントへの悪影響または化合物間の望ましくない相互作用を回避するために、本開示の化合物と組み合わせて使用される薬学的に活性な治療が選択されることが当業者によって理解されるであろう。本開示の化合物と組み合わせて使用することができる他の薬学的に活性な治療の例は、以下のとおりである。
・抗生物質(例、ポリミキシンB硫酸塩/バシトラシン亜鉛、ポリミキシンB /ネオマイシン/グラミシジン、ポリミキシンB /トリメトプリム、ポリミキシンB /バシトラシン、フルオロキノロン(例、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン)、アミノグリコシド、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、バシトラシン)
・抗真菌剤(例、アムホテリシンB、イントラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール)
・抗ウイルス剤(例:アシクロビル、ビダラビン、トリフィウリジン)
・ステロイド抗炎症剤(例:ベタメタゾン、プレドニゾロン、アルクロメタゾン、アルドステロン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルジフロラソン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、フルクロロロン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリデ、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロメトロン、フルペロロン、フルプレドニデン、ロテプレドノール、メドリソン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセポネート、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン/プレドニゾロン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、ウロベタソル)
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAID、例えば、ネパフェナク、ケトロラク、ブロムフェナク、ジクロフェナク、ケトロラク、ケトチフェン)
・肥満細胞安定剤、例えば、ロドキサミドトロメタミン、ネドクロミルナトリウム、クロモリンナトリウム、ペミロラストカリウム
・抗ヒスタミン薬、例えば、アメレクサノックス、アステミゾール、アザタジン、アゼラスティン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジチン、エピ、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、オロパタジン、ピクマット、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレンナミン、テメラスチン、トリメプラジン、およびトリプロリジン。一部の実施形態において、抗ヒスタミン薬には、エメダスチン、オロパタジン、エピナスチン、アゼラスチン、ケトチフェンが含まれるが、これらに限定されない。
・免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンおよびタクロリムス
・ロイコトリエンモジュレーター、例えば、5-LO阻害剤、FLAP阻害剤化合物
・ロイコトリエン受容体拮抗薬、例えば、CysLTi受容体拮抗薬
・抗血管新生剤、例えば、ペガプタニブナトリウム、ラニビズマブ、ベルテポルフィン、ベバシズマブ、アフリベルセプト
・代謝拮抗剤(例:メトトレキサート)
緑内障
【0305】
これに加えて、本開示の化合物は、以下を含むがこれらに限定されないリストからの緑内障治療薬と組み合わせて使用することができる。
・プロスタグランジン様化合物、例えば、ラタノプロスト(XALATAN(登録商標))、ビマトプロスト(LUMIGAN(登録商標))、およびトラボプロスト(TRAVATAN(商標))、タフルプロスト、ウノプロストン、
・ベータアドレナリン遮断薬、例えば、レボブノロール(BETAGAN(登録商標))、チモロール(BETIMOL(登録商標)、TIMOPTIC(登録商標))、ベタキソロール(BETOPTIC(登録商標))、メチプラノロール(OPTIPRANOLOL(登録商標))、塩酸レボブノロール、塩酸カルテオロール、マレイン酸チモロール、半水和物チモロール
・アルファアドレナリン作動薬、例えば、アプラクロニジン(IOPIDINE(登録商標))およびブリモニジン(ALPHAGAN(登録商標))
・炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ドルゾラミド(TRUSOPT(登録商標))およびブリンゾラミド(AZOPT(登録商標))アセタゾラミド
・縮瞳またはコリン作動性アゴニスト、例えば、ピロカルピン(ISOPTOCARPINE(登録商標)、PILOPINE(登録商標))およびカルバコール(ISOPTOCARBACHOL(登録商標)、アセチルコリンクロリド、エコチオパート
・交感神経刺激薬、例えば、ジピベフリン(PROPINE(登録商標))、フェニレフリン
・Rhoキナーゼ阻害剤、例えば、ネタルスジル
・A1アデノシン受容体アゴニスト、例えば、トラボデノソン
神経保護の組み合わせ
【0306】
別の実施形態において、開示の化合物は、RGCおよびグリア細胞における酸化ストレスを低減し、ミトコンドリアエネルギー産生を維持または促進し、免疫応答を調節し、眼灌流を調節する、小分子、タンパク質、または遺伝子治療製品を含む薬剤と組み合わせることができる。圧力(OPP)、RGCの自食作用経路の調節、視神経乳頭の結合組織の生体力学的挙動の調節、または他の方法で本開示の化合物を相乗作用させる。本開示の化合物と組み合わせることができる薬剤は、以下のとおりである。
・エンドセリン受容体、ETB阻害剤、例えば、BQ-788、ボセンタン
・エンドセリン受容体、ETA阻害剤、例えば、BQ-123
・ロキナーゼ阻害剤
・カンナビノイド受容体CB1アゴニスト、例えば、WIN55.212-2
・MAP3K12阻害剤、例えば、トザセルチブ、クリゾチニブ、フォレチニブ、アキシチニブ
・c-Junキナーゼ阻害剤、例えば、SP600125、D-JNKI-1、L-JNKI-1
・EGFRキナーゼ阻害剤、例えば、チルホスチン
・エリスロポエチン
・ATP感受性K+チャネル活性化因子、例えば、ジアゾキシド、ニコランジル、クロマカリム
・NMDA感受性グルタミン酸受容体阻害剤、例えば、メマンチン、リルゾール、デキストロメトルファンとその主要代謝物
・ATP感受性K+チャネル活性化因子、例えば、ジアゾキシド、ニコランジル、クロマカリム、
・mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン
・A1ARアゴニスト、例えば、トラボデノソン、カパデノソン
・A1AR拮抗薬、例えば、コーヒー
・A2AARアゴニストおよびアンタゴニスト
・A2BAr拮抗薬
・A3ARアゴニスト
・サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5)阻害剤
・繊毛神経栄養因子(CNTF)、[Brain 131:250-263]
・シグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)[Neural Regen. Res. 2015,10, 12, 1949; Cell Death Dis 4:e734.]
・DP2受容体拮抗薬
・捕体C1q阻害剤
・低分子干渉RNA(例:ベバシラニブ)
・アクチン破壊剤
・セロトニンモジュレーター
・酸化ストレス低減剤
・受容体型チロシンキナーゼ阻害剤
・神経保護剤
・予防接種、例えば、グリア細胞株由来神経栄養因子、および
・メカニズムは不明である。例:ブリモニジン、グラチラマー
アッセイ
【0307】
本明細書に記載された方法によって調製されたROCK阻害剤は、表1に概説されたアッセイの選択によって、生物物理学的、生化学的、薬力学、および薬物動態学的特性についてスクリーニングされる。
1H NMR、
13C NMR、2D NMR法、LC-MS、元素分析、赤外線分光法、および紫外線分光法を含めて、当業者に知られている数多くの方法のうちの何れかによって化学構造の割り当てを行う。溶解度、logP、透過性、代謝安定性などのin vitro生物物理学的特性は、確立された方法、特にDi&Kerns(2016)に記載されている方法で実行される。特に眼科的状況に関連する生物物理学的方法は、「Gukasyanら(2008)」および「Pepicら(2014)」に概説または記載されている。いくつかの異なるデザインのキナーゼ阻害剤プロファイリングアッセイは、表1の引用された文献に概説されている。これらの多くは、表に示されているように、商用ベンダーでアクセスできる。さらに、特定のROCKアッセイは、Sturdivant(2016)に記載されている。同様に、トランスポーター基質または阻害剤としての特性評価、薬力学特性評価、および薬物動態特性評価は、ベンダーで、または表1に引用されている方法で実行される。アッセイカスケード(表2)は、表1(以下)に示すおおよそのアッセイ順序で実行される。
【表1】
【表2】
1.一般的アッセイの選択とSOP
1. 一般的アッセイの選択およびSOP
a. L. Di, E. H. Kerns, Drug-Like Properties: Concepts, Structure Design and Methods from ADME to Toxicity Optimization 2nd Ed., 2016, Academic Press.
b. Assay Guidance Manual E-Book, Eli Lilly & Co. and the National Center for Advancing Translational Sciences, Bethesda (MD); 2004;
www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK53196; Bookshelf ID: NBK53196; PMID: 22553861.
2. BDDCS
a. Barton P., Riley R.J., A new paradigm for navigating compound property related drug attrition, Drug Discovery Today, 2016, 21, 1, 72-81.
3. キナーゼ阻害剤アッセイ
a. Zegzouti, H., Goueli, S.A., Eds., Kinase Screening and Profiling: Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology) 1st ed. 2016, Humana Press.
b. Jester B.W., Gaj A, Shomin C.D., Cox K.J., Ghosh I., Testing the promiscuity of commercial kinase inhibitors against the AGC kinase group using a split-luciferase screen, J. Med. Chem. 2012, 55,4, 1526. doi: 10.1021/jm201265f.
c. Jia Y, Quinn CM, Kwak S, Talanian RV., Current in vitro kinase assay technologies: the quest for a universal format, Curr. Drug Discov. Technol. 2008, 5,1, 59, PMID: 18537568.
d. Glickman JF, Assay Development for Protein Kinase Enzymes, in Assay Guidance Manual [Internet], Sittampalam GS, Coussens NP, Nelson H, Arkin M, Auld D, Austin C, Bejcek B, Glicksman M, Inglese J, Iversen PW, Li Z, McGee J, McManus O, Minor L, Napper A, Peltier JM, Riss T, Trask OJ Jr., Weidner J, Eds.; Bethesda (MD): Eli Lilly & Company and the National Center for Advancing Translational Sciences; 2004-2012.
4. 緑内障のためのROCK阻害剤: In vitro, In vivo PK & PD
a. Jill M. Sturdivant, et. al., Discovery of the ROCK inhibitor netarsudil for the treatment of open-angle glaucoma; Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2016, 26, 2475.
b. P. Shaw, et. al., Topical administration of a Rock/Net inhibitor promotes retinal ganglion cell survival and axon regeneration after optic nerve injury, Experimental Eye Research 2016, 16, 30181, http://dx.doi.org/10.1016/j.exer.2016.07.006.
・眼圧(IOP)測定(眼圧(IOP)はTonoLab眼圧計を使用して測定された)
・視神経挫滅と再生軸索の定量化
・RGCの免疫蛍光染色と生存の定量化
・ウエスタンブロット分析-ロックターゲットタンパク質のリン酸化
・網膜および視神経の断面の免疫組織化学
c. deLong, M.A., Sturdivant, J.M., Royalty, S. M., Dual mechanism inhibitors for the treatment of disease, US-2015/0175549.A1, 2015
5. トランスポーター(In vitro)
a. B. Zdrazil, C. Chichester, L. Z. Balderud, O. Engkvist, A. Gaulton, J. P. Overington, Transporter assays and assay ontologies: useful tools for drug discovery; Drug Discovery Today: Technologies, 2014, 12, e47
b. Marton Jani, Peter Krajcsi, In vitro methods in drug transporter interaction assessment; Drug Discovery Today: Technologies, 2014, 12, e105
c. deLong, M.A., Sturdivant, J.M., Royalty, S. M., Dual mechanism inhibitors for the treatment of disease, US-2015/0175549.A1, 2015
6. 眼の薬物動態学
a. H. J. Gukasyan, K.-J. Kim, V.H.L. Lee, The Conjunctival Barrier in Ocular Drug Delivery, in Drug Absorption Studies, Springer, 2008, pp 307-320
・ Tissue: Excised conjunctival tissue - Ussing chamber
b. Ivan Pepic et. al., Toward the practical implementation of eye-related bioavailability prediction models, Drug Discovery Today, 2014, 19, 1 31
c. Nello Mainolfi, et. al., An Effective Prodrug Strategy to Selectively Enhance Ocular Exposure of a Cannabinoid Receptor (CB1/2) Agonist, J. Med. Chem. 2013, 56, 5464-5472
実施例
実施例1.一般的実験手順
略語
AQ=水性
Bpin=ピナコラートボロネート基
CR=生
DIOL=フラッシュクロマトグラフィー用のジオール結合相媒体
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMSO=ジメチルスルホキシド
FA=ギ酸
HILIC=親水性相互作用液体クロマトグラフィー
ML=母液
SM=出発物質
P、PROD=生成物
PMA=リンモリブデン酸
RM=原材料
RP=逆相
TEA=トリエチルアミン
TLC=薄層クロマトグラフィー
Xtal、X=クリスタル
溶媒の略語
H=ヘキサン、ヘキサン
E=エーテル
EA=酢酸エチル
DCM=ジクロロメタン、塩化メチレン
M=メタノール
THF=テトラヒドロフラン
W=水
溶媒
特に明記しない限り、溶媒は試薬またはクロマトグラフィーグレードであった。溶媒は通常、Fisher、VWR、およびAldrichから購入した。無水溶媒はAcrosまたはAldrichから各供給業者専用の密封ガラス瓶(それぞれAcrosealまたはSureSeal)にパッケージ化されたものを購入した。
試薬
試薬は通常、Aldrich、Acros、Alfa-Aesar、Allychem、Arkpharm、Bachem、Fisher、Gerest、Manchester、Oakwood、Oxchem、TCI、VWRのメーカーから入手した。試薬は、直接または代理店のフィッシャーとVWRを通じて購入した。
温度測定
温度は、エースグラスから購入した非水銀温度計で測定した。温度計は通常、容器を囲む浴ではなく、反応容器の内部に配置されていた。実験の過程で、低温温度計が時々校正を失った可能性があることが疑われたが、証明されていない。可能な限り、これは温度計を交換することによって対処した。すべての場合において、報告される温度は温度計から直接読み取られた温度である。
超音波処理
超音波処理はSkymenJP-010Bバスで実行された:容量2L、60W、40KHz、ヒーターなし。
融点
融点は得られなかった。
薄層クロマトグラフィー、TLC:
分析用TLCプレートはMacherey-Nagelから購入した。
シリカ:Polygram(登録商標)SilG/UV254 0.2mmプレート Cat#805021
アルミナ:Polygram(登録商標)ALOX/UV254 0.2mmプレート Cat#802021
逆相RP18 Alugram(登録商標)RP18-W/UV254 0.15mmプレート Cat#818144
CYANO Alugram(登録商標)NanoSilCN/UV254 0.2mmプレート Cat#818184
AMINO Alugram(登録商標)NanoSilNH2/UV254 0.2mmプレート Cat#818182
TLCプレートの視覚化は次の方法で実行された。
・短波長(254nm)UVモデルUVG-11、ミネラルライトランプ、Ultraviolet Products社、SpectralinecM-10Aキャビネット
・長波長(366nm)UVモデルUVL-56、Ultraviolet Products社、SpectralinecM-10Aキャビネット
・ヒートガン加熱によるリンモリブデン酸染色を使用して、UV非活性物質を可視化した。溶液:100mLのEtOH+1mLのH
2SO
4中の8gのPMA
・アリザリン染色を使用して、ホウ素含有部分の有無を示した。溶液:100mLアセトン中の24mgアリザリン。アリザリン染色は、必要に応じて、アンモニア水溶液を使用して密閉チャンバー内でアンモニア蒸気でプレートを後処理することにより、増強された。可視化は、上記のように周囲照明と366nmの両方で実行された。
ほとんどのプレートは、主に短波長UVによって視覚化された。
フラッシュカラムクロマトグラフィー:
フラッシュクロマトグラフィーは、Teledyne-ISCO Combiflash Rf機器(ID#625230006)で、メーカーのRedisep(登録商標)ディスポーザブルシリカカラムまたは再利用可能なRPまたはHILICカラムを使用して実行した。後者は、製造元の推奨に従って調整および保管された。
ISCOソフトウェアによって識別される移動相溶媒システムは常に正確であるとは限らない。ラボノートのエントリとISCOプリントアウトの手書きの注釈を参照。
サンプル前処理と塩/溶媒和物の割り当て
スクリーニング用のサンプルは、通常、加熱せずに高真空下で乾燥させた。溶媒和および塩の割り当ては、合成の来歴、
1H NMR化学シフト、および
1H NMR統合に基づいて行われた。
1
H NMRスペクトル
1H NMR分光法は、ペンシルベニア州ニュータウンのNovatia LLCによって、ProdigyCryoprobeを備えたBruker500MHz多核可変温度NMR分光計で実行された。ソースの生データファイルはNovatiaから取得され、ハードコピーノートブックとは別に管理された。
LC-MS
LC-MSは、ペンシルベニア州ニュータウンのNovatiaLLCによって実施された。
機器:外部ダイナミックミキサーを備えたMichrome Bioresources Paradigm MS4B、および500uLサンプルループを備えたCTCHTS-PALオートサンプラー
PDA検出器:Thermo Accela PDA、1 cmライトパイプ、200~300nmのモニタリング
MS機器:Thermo LTQ Orbitrap Discovery
イオン化モード:エレクトロスプレーイオン化(ESI)、ポジティブモード
検出モード:イオントラップMS
スキャン範囲:150-1200u
ソース条件:+3.0kV
シースガス流量:30AU(任意単位)
補助ガス流量:5AU
スイープガス流量:2AU
キャピラリー温度:300℃
注入量:10μL
特に明記しない限り、クロマトグラフィー条件は以下の通りであった。
・カラム:ウォーターズXブリッジC-18、2.1 X 50mm
・流量:0.5mL/min
・溶媒:A)10mM酢酸アンモニウム水溶液B)アセトニトリル
一般的図解 1(Teoc-NHCH
2
OCH
3
(化合物4)の合成)
【化51】
一般的図解2(化合物10および10-2HCLの合成)
【化52】
2-トリメチルシリルエチルカルバメート(化合物2)の調製
【化53】
トリメチルシリルエタノール(50.85g、430mmol、Gelest)および450mLのジクロロメタンを、温度計、マグネチックスターラー、および窒素注入口を備えた2L丸底フラスコに加えた。マグネチックスターラーで、N2雰囲気下で、シアン酸ナトリウム(NaOCN、55.08g、847 mmol、1.97当量)を粉末として加えた。ニートのトリフルオロ酢酸(102.96g、903mmol、2.1当量)を、20分間にわたって断続的な流れで加え、時々氷浴で冷却して温度を19~23℃に維持した。追加の30mLのジクロロメタンを使用して試薬容器をすすぎ、混合物に加えた。粒状の未溶解のNaOCNが消失し、凝集剤の沈殿物が現れた。ガスが発生した。4.75時間後、水を加えた(220mL)。下の有機層を集め、水層を100mLのジクロロメタンで2回洗浄し、必要に応じて水を加えて相を区別した。有機画分を合わせ、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、紙で濾過した。溶媒を真空で除去して、64.7gの白色結晶性固体を得た。この材料を150mLのペンタンから冷蔵庫の温度で再結晶し、100mLの氷冷ペンタンで注意深く/迅速に洗浄して、46.1gの鮮やかな白色フレークを得た。凍結器温度でペンタンから4.32gの第2の収穫物が得られ、冷却されたペンタンで洗浄して合計50.4gの2-トリメチルシリルエチルカルバメート(収率72.7%)が得られた。
1H NMR (500 MHz, DMSO): δ 6.35 (br, 2H), 3.98 (t, 2H), 0.90 (t, 2H), 0.02 (s, 9H) ppm;
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 4.52 (br, 2H), 4.11 (t, 2H), 0.95 (t, 2H), 0.00 (s, 9H) ppm. TLC (1:1 ヘキサン:酢酸エチル、リンモリブデン酸染色) Rf = 0.54.
トリメチルシリルエチルN-(ヒドロキシメチル)カルバメート(化合物3)の調製
【化54】
2-トリメチルシリルエチルカルバメート(20g、124ミリモル)を、温度計およびマグネチックスターラーを備えた500mLの3つ口丸底フラスコ中の50mLのTHFに溶解または懸濁させた。水(80mL)およびホルムアルデヒド(10.6mL、3.91g、10-15%CH3OH中の市販の37%溶液130ミリモル、48~53%水)を加えた。最後に、炭酸カリウム(428mg、4mLの水に溶解した3.1ミリモル)を加えた。反応物を室温で15分間撹拌し、次に60~65℃で2時間10分間加熱し、TLCによりモニターした。混合物を放冷した。エーテルを追加した。水相を除去し、エーテルで2回抽出した。合わせた有機相をブラインで乾燥させ、次に固体のMgSO4で乾燥させ、次に濾過した。ヘキサンとペンタンを使用してTHFとメタノールを追い出すために、55℃の真空中で溶媒を除去した。淡い無色の油が得られた(24.18g)。粗製物質を、冷凍庫温度(-13℃)でのペンタンからの結晶化および冷却した(約-5℃)ペンタンでの洗浄によって精製した。結晶化および非結晶化粗生成物の両方を、ヘキサン-酢酸エチル勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによってさらに精製した。収率:白色、わずかにワックス状の固体、13.4g、56.5%の収率。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 5.85 (br, 1H), 4.69 (t, 2H), 4.17 (t, 2H), 3.08 (br, 1H), 0.98 (t, 2H), 0.02 (s, 9H) ppm. TLC (1:1ヘキサン:酢酸エチル、リンモリブデン酸染色) Rf = 0.39.
2-トリメチルシリルエチルN-(メトキシメチル)カルバメート(化合物4)の調製
【化55】
2-トリメチルシリルエチルN-(ヒドロキシメチル)カルバメート(8.0g、41.8ミリモル)を、キャップ付きの500mL三角フラスコ中のエーテル(180mL)およびメタノール(30mL)に溶解した。4Åモレキュラーシーブ(3.89g)およびp-トルエンスルホン酸(0.184g、0.97ミリモル)を添加した。反応混合物を3時間撹拌し、TLC(1:1ヘキサン:酢酸エチル、I
2染色)によってモニターした。混合物を、プラスチックの揚げ漏斗中のエーテルで湿らせたセライトの小さなパッドを通して濾過した。溶媒を55℃で真空除去した。エーテル(5X)およびペンタン(1X)を加え、真空中で除去して、残留メタノールを追い出す。生成物を高真空下で5~10分間保持し、8.45g(98.4%)の2-トリメチルシリルエチルN-(メトキシメチル)カルバメートをオフホワイトのわずかに揮発性の油として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 5.35 (br, 1H), 4.60 (d, 2H), 4.17 (t, 2H), 3.31 (s, 3H), 0.97 (t, 2H), 0.02 (s, 9H) ppm. . TLC (1:1ヘキサン:酢酸エチル、 I
2染色) Rf = 0.6.
2-トリメチルシリルエチルN-2-メトキシカルボニル、2-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル-フェニル)エチルカルバメート(化合物6)の調製
【化56】
低温温度計、ガス入口、特大のマグネチックスターラーを備えた500mLの丸底フラスコを不活性雰囲気下で乾燥させた。フラスコに75mLの無水THFを仕込んで、ドライアイス/イソプロパノール浴を使用して-20℃に冷却した。次にフラスコにLiHMDS(THF中の1M溶液94.9 mL、94.9ミリモル)をシリンジで入れ、オレンジ色の溶液を-60℃に冷却した。激しく攪拌しながら、フラスコに(4-メトキシカルボニルメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(13.67g、49.4ミリモル、Combiblocks FM.2401)を40mLの無水THF溶液として、温度を-53℃未満に維持し、33mLのTHFを追加してゲル化反応混合物の流動性を維持する。2-トリメチルシリルエチルN-(メトキシメチル)カルバメート(8.45g、41.2ミリモル)を、THF中の溶液として10分間にわたって注射器によって加えた(25mLと合わせた容量)。添加中、温度を-57~-60℃に維持した。Ti(OiPr)
4(26.05g、THF中91.7ミリモル、総量66mL)を30分かけて添加し、添加中の温度を-60~-56℃に維持した。反応混合物は濃いオレンジ色に変わり、不透明のままであった。混合物を-64~-60℃で1.5時間撹拌した。約30分にわたって混合物は-7℃に上昇し、その時点でそれは赤褐色になった。さらに約30分後、温度が1℃に上昇し、その時点でフラスコを氷/塩浴に入れた。15分後、温度は4℃に上昇し、その時点で、反応はTLCによってモニターされ、ほぼ完了したと見なされた。混合物を4~5℃でさらに約30分間撹拌した。混合物を、混合しながら、1Lのガラスビーカー中の100mLの氷冷した10%HClに注いだ。有機相をエーテルで希釈し、分離した。水相を200mLのエーテルで2回抽出した。有機相を合わせ、ブラインで2回洗浄し、そしてMgSO4で乾燥させた。溶媒を真空で除去して、23.4gの粗生成物を琥珀色の油として得た。ヘキサン/酢酸エチル勾配(0-50%)を使用するシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、15.68gの粘稠な油、84.7%の収率が得られた。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 7.76 (d, 2H), 7.23 (d, 2H), 4.95 (br, 1H), 4.10 (m, 2H), 3.90 (m, 1H), 3.64 (s, 3H), 3.60 (m, 1H), 3.55 (m, 1H), 1.31 (s, 12H), 0.95 (m, 2H), 0.01 (s, 9H). TLC (4:1 ヘキサン:酢酸エチル、UV) Rf = 0.26, 出発BpinエステルのRf = 0.4
化合物7の調製
【化57】
エステル6(15.05g、33.5ミリモル)を46mLのTHFに溶解し、氷上で冷却した。水酸化リチウム水溶液(2N溶液42mL、84ミリモル)を10分間かけて滴下し、浴を取り除き、混合物を激しく攪拌して微細なエマルジョンを作成した。約20分後、最初の2相システムは1つの透明な相になった。反応をTLCでモニターした。3時間後、混合物を氷上で冷却し、40mLの10%HClで注意深く酸性化した。生成物が沈殿したら、エーテル(150mL)を加えて沈殿物を再溶解した。有機相を分離し、水相をエーテルで2回抽出した。有機相を合わせ、ブライン、次に固体のMgSO4で乾燥させた。溶液をデカントし、溶媒を真空で除去して、13.85g(95%の物質収支)の静電的で薄片状の白色の固体を得た(TLCによる純度は約90%)。この物質は、精製せずに次のステップで使用された。分析サンプルは、DIOLカラムでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製された。生成物は、5~10%の酢酸エチルを含むヘキサンから結晶化した。
1H NMR (500 MHz, DMSO): δ12.5 (br, 1H), 7.64 (d, 2H), 7.28 (d, 2H), 7.09 (t, 1H), 3.99 (m, 2H), 3.79 (m, 1H), 3.51 (m, 1H), 3.31 (m, 1H), 1.30 (s, 12H), 0.86 (m, 2H), 0.01 (s, 9H) ppm. TLC (1:1 hexanes:ethyl acetate, UV, alizarin @ 366 nm, phosphomolybdic acid ) R
f = 0.53, R
f of starting ester = 0.7.
化合物8の調製
【化58】
カルボン酸7(13g、29.9ミリモル)を40mLの乾燥THFに溶解した。ジメチルアミノピリジン(100mg、0.83ミリモル)を加えた後、ペンタフルオロフェノール(6.84g、37.2ミリモル)を20mLの乾燥THFに溶かした溶液。容器を氷浴および固体の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド-HCl(7.53g、39.9ミリモル)で冷却した。追加の20mLのTHFを使用して、固形物を反応混合物に洗い流した。浴を取り除き、混合物を室温で20時間撹拌した。約10mLの水と150mLのエーテルを加えた。有機相を水っぽい残留物から除去し、それをエーテルでさらに2回抽出した。有機相を合わせ、5%HCl、1N NaHCO3、最後にブラインで洗浄した。溶液をMgSO4で乾燥させ、溶媒を50℃で真空除去し、ペンタンを加えて残留THFを追い出した。粗生成物は、濃厚な無色の油、20.35gとして得られた。生成物を、0/25%ヘキサン/酢酸エチル勾配を用いたシリカでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、11.11g(61.8%収率)の濃厚な無色の油を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.80 (d, 2H), 7.31 (d, 2H), 4.95 (br t, 1H), 4.30 (br t, 1H), 4.13 (m, 2H), 3.20 (m, 1H), 3.12 (m, 1H), 1.31 (s, 12H), 0.94 (m, 2H), 0.01 (s, 9H) ppm. TLC (4:1 hexanes:ethyl acetate, alizarin @ ambient light or 366 nm, phosphomolybdic acid ) R
f = 0.32, R
f of starting carboxylic acid = 0.04
化合物9aおよび9bの調製
【化59】
20mLのバイアルにイソキノリン-6-NH2(389.3mg、2.7ミリモル)と無水DMF(3.67g、3.86mL)を入れた。混合物に蓋をし、超音波処理して完全に溶解させた。ジメチルアミノピリジン(3.5mg、0.028ミリモル)を加え、続いてジイソプロピル、エチルアミン(695mg、5.38ミリモル)を加え、再び混合物を穏やかに撹拌して完全に溶解させた。別のバイアルに化合物8(1.57g、2.68ミリモル)と攪拌子を入れた。室温の水浴を使用して発熱を和らげながら、DMF溶液をゆっくりとニート8に加えた。バイアルにしっかりと蓋をし、混合物を室温で5日間撹拌した。細かい沈殿物が形成された。反応混合物を10mLのエーテルで均一に希釈し、室温の水中浴で、攪拌棒を備えた三角フラスコ中の水性リン酸緩衝液(0.5M、pH6~7、40mL)およびエーテル(5mL)に滴下して加えた。二相混合物を40分間激しく撹拌した。エーテル相で微細な淡黄色の沈殿が生じた。攪拌を停止し、水相を除去し、新しい20mLの0.5Mリン酸緩衝液と交換した。撹拌をさらに20分間再開し、その間に沈殿物と水相のエマルジョンが生じた。ヘキサン(20mL)を加え、さらに40分間混合を続けた。沈殿物がより多くなり、エマルジョンが部分的に分離した。混合物をプラスチックの揚げ漏斗で濾過した。収集した固形物を約30mLの水で少しずつ洗浄し、続いて合計30mLの1:1ヘキサン:エーテルを3回に分けて洗浄した。微細なオフホワイトの粉末が収集され、空気中で乾燥した後、主成分として主に9aと9bの混合物が得られた(860mg、58.5%)。ジクロロメタンとエーテルで二次洗浄水相を抽出し、濃縮してエーテルのみに再溶解し、リン酸緩衝液で繰り返し洗浄し、ペンタン/エーテル混合物から沈殿または結晶化することにより、濾液から追加の生成物を得ることができた。化合物9aおよび9bを精製し、フラッシュクロマトグラフィーによって分析量と半分取量の両方で互いに分離したが、これはその後の合成での使用に厳密に必要なわけではない。HILIC DIOLカラムは、0-100%ヘキサン-酢酸エチルグラジエントを使用して使用し、続いて100%メタノールにステップアップした。物質は逆相クロマトグラフィーによっても精製された。
1H NMR (500 MHz, DMSO) Compound 9a: δ 10.58 (s, 1H), 9.15 (s, 1H), 8.38 (m, 2H), 8.02 (m, 1H), 7.66 (m, 2H), 7.64 (d, 2H), 7.41 (d, 2H), 7.29 (t, 1H), 4.15 (m, 1H), 4.0 (t, 2H), 3.62 (m, 1H), 3.32 (m, 1H), 1.27 (s, 12H), 0.87 (m, 2H), 0.03 (s, 9H) ppm. Compound 9b: δ 10.56 (s, 1H), 9.16 (s, 1H), 8.39 (s, 2H), 8.03 (d, 1H), 7.99 (s, 2H), 7.70 (m, 2H), 7.75 (d, 2H), 7.37 (d, 2H), 7.3 (t, 1H), 4.10 (m, 1H), 4.01 (t, 2H), 3.60 (m, 1H), 3.33 (m, 1H), 0.86 (t, 2H), 0.02 (s, 9H) ppm. TLC (ethyl acetate, UV-254 & 366 nm, alizarin @ 366 nm) Rf = 0.48 (9a), 0.29 (9b), Rf of starting Pf ester = 0.71, Rf of isoquinoline-6-NH2 = 0.18
生成物は、アリザリン染色で366nmにはっきりとしたピンクがかった色相を持っていた。
化合物9aからの化合物10の調製
【化60】
化合物9a/9b(約1:1)(46.3mg、0.078ミリモル)を745mgのトリフルオロ酢酸に溶解し、室温で2時間半撹拌した。混合物を氷上で冷却した。水性1N NaHCO3(約10mL)を、それが濁り、pHが8になるまで反応混合物に加え、pH紙で確認した。15分間撹拌した後、固体が形成され、小さな濾過漏斗に集められた。この固体をメタノールに溶解した。ゆっくりと蒸発させると、化合物10(7.7mg)の最初のロットの黄褐色のスパー状の結晶が生じた。その間に、より多くの固形物が水性濾液から沈殿した。この二次固体を沈降させ、蒸留水で2回洗浄した。高真空にさらした後、化合物10の2番目のロット(5.4mg)を白色の静電粉末として収集した。
1H NMR (500 MHz, DMSO): δ10.5 (br s, 1H), 9.15 (s, 1H), 8.40 (s, 2H), 8.02 (m, 2H), 8.01 (s, 1H), 7.73 (d, 2H), 7.70 (m, 2H), 7.36 (d, 2H), 3.80 (m, 1H), 3.30 (m, 1H), 2.84 (m, 1H), 2.54 (s, 1H) ppm. LC-MS: 336 (M+1). TLC (methanol/1% TEA, UV-254 & 366 nm, alizarin @ 366 nm) Rf = 0.12
化合物10は、アリザリン染色で366nmにはっきりとしたピンクがかった色相を示した。
化合物9bからの化合物10・2HClの調製
【化61】
化合物9b(18.3 mg、0.038ミリモル)をメタノール中の1.25MHCl747 mgに溶解し、60℃で3時間加熱した。溶媒はN2の流れの下で蒸発した。スパチュラと超音波処理の両方を用いて、残留物を1mLのエーテルから3回研和(trituration)した。固形物の沈殿を助けるために短時間の遠心分離を使用した。粉末状の黄褐色の残留物が発生した。これを冷凍庫(-13℃)中でエーテル/メタノールから結晶化し、エーテルで洗浄して、化合物10-2HClを黄褐色の固体として得た(9.1mg、58.4%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO): δ 11.55 (s, 1H), 9.65 (s, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.55 (d, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.31 (d, 1H), 8.2 (br s, 2H), 8.1 (br, 3H), 8.08 (d, 1H), 7.80 (d, 2H), 7.46 (d, 2H), 4.39 m, 1H), 3.58 (m, 1H), 3.11 (m, 1H) ppm. TLC (1:1 ethyl acetate:methanol, 0.5%FA, UV-254 & 366 nm, alizarin @ 366 nm) R
f = 0.26
化合物10-2HClは、アリザリン染色で366nmにはっきりとしたピンクがかった色相を示す。
化合物9aからの化合物10・2HClの調製
【化62】
化合物9a(40.7 mg、0.072ミリモル)およびフェニルボルニン酸(41 mg、0.34ミリモル)をメタノール中の1.25M HCl(1.6g、1.92 mL)に溶解し、60℃で加熱した。反応をTLCでモニターした。4.5時間後、追加のフェニルボルニン酸(32.6mg、0.27mmol)およびメタノール性HCl(656mg、790mL)を添加した。8時間後、溶媒をN2の蒸気下で蒸発させた。粗生成物をエーテルで4回研和した。生成物を冷凍庫(-13℃)中で約2.5mlの1.5:1エーテル:メタノールから結晶化し、エーテルで洗浄した:化合物10-2HClを黄褐色の固体として得た(20.2mg、68%収率)。TLC(1:1酢酸エチル:メタノール、0.5%FA、UV-254&366nm、アリザリン(366nm))R
f=0.26。TLCは、9bから調製した物質のTLCと同じである。化合物10-2HClは、アリザリン染色で366nmにはっきりとしたピンクがかった色相を示した。
実施例2
【0308】
HCl/CH3OH加水分解によって調製された10の再結晶サンプル、およびおそらく二重HCl塩は、長時間高真空にさらされた。
1H NMR積分は、1/3単位のメタノールと1/3単位のエーテルの存在を示した。このサンプルは、CHN元素分析にかけられた。さらに、重量%塩素は滴定によって決定され、重量%ホウ素はICP-OES(誘導結合プラズマ発光分析)によって決定された。
【0309】
脱溶媒和されていない形態の元素分析は、二重HCl塩、1/3エーテラート、1/3メタノラート:10.2HCl.1/3Et
2O.1/3CH
3OHとしての割り当てと一致しなかった。これに基づいて、本開示の化合物は、酸性条件下での最終的な脱保護後に中和されない限り、HClまたはトリフルオロ酢酸のいずれかの複塩として割り当てられている。一定重量まで乾燥した形態の元素分析は、ボロキシン形態の10.2HClまたは二重ボロン酸無水物(C
54H
56B
3Cl
6N
9O
7:C54.58 H4.75 N10.61)としての割り当てと一致していた。
実施例3.ボロン酸I(198-ラセミ)、II(215-ラセミ)、およびIIIの調製
【0310】
この実施例では、R基の変化が示され、加水分解に対するBpin基の安定性、ワークアップ中の中間体Fの溶解度、および最終生成物I、II、IIIの再結晶条件の堅牢性に影響がある。
【0311】
図解2b:ボロン酸I、II、およびIIIの合成
【化63】
【0312】
一般的実験手順は実施例1と同様である。
【0313】
アミノメチル化(C-I、-II、-IIIの調製)
【化64】
【0314】
マグネチックスターラー、低温温度計、およびガス入口を備えた乾燥した250mLの3口丸底フラスコをアルゴン下に維持し、無水THF(42mL)を入れた。フラスコをドライアイス/イソプロパノール浴で-20℃に冷却し、リチウムヘキサメチルジシラジド(35mL、THF中1M)を加えた。次に、溶液を-55℃に冷却し、無水THF中のエステルBIの溶液(4.93g、17.85ミリモル、THFチェイスを含む総量=16mL)を激しく攪拌しながら15分かけて加え、温度を-55℃未満に維持した。濃いオレンジ色の混合物を<-55℃で40分間撹拌した。次に、アミナール4の溶液(3.3g、16.07ミリモル、THFチェイスを含む総量=11.3mL)を<-55℃で10分間かけて添加した。攪拌可能なゲルが形成された。ゲルを分解するのを助けるためにTHF(5mL)を加えた。得られたオレンジブラウンの半透明の溶液を約25分間撹拌した。次に、無水THF中のTi(iOPr)4(9.55g、33.6ミリモル、THFチェイスを含む総量=22mL)を<-55℃で12分間かけて添加した。反応混合物は濃い赤レンガ色に変わり、<-55℃でさらに35分間撹拌した。反応混合物を30分間かけてゆっくりと-13℃に温めた後、フラスコを氷塩浴に1時間入れ、その間に温度を徐々に-45℃に上げ、色をオレンジに薄くした。反応混合物を氷浴に入れ、約2.5℃まで30分間温めた。その間に色はさらに明るくなった。TLCチェックは約9:1生成物:出発物質を示した。1.5~2.5℃で40分後、氷浴を取り外した。
【0315】
ワークアップ:
反応混合物を、撹拌しながらゆっくりと、50mLの10%HClおよび約1%のスラッシュに注いだ。等量の氷を氷浴で冷やした。pHは約1であることが確認された。有機相をエーテルで希釈して除去し、水相をエーテルで2回抽出した。有機抽出物を合わせ、最初にブラインで、次に固体のMgSO4で乾燥させた。溶媒を真空で除去し、粗生成物を黄色の油として残した。生成物を、0~40%のH:EA勾配を使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。真空中で溶媒を除去した後、C-Iが無色の粘稠な油として得られた(5.37g、75.2%)。TLC(4:1 H:EA)R
f=0.28、UV
254より優れたPMAによる視覚化。
【表3】
【0316】
メチルエステルの加水分解(D-I、-II、-IIIの調製)
【化65】
【0317】
エステルC-I(4.42μg、9.83ミリモル)を、マグネチックスターラーおよび氷浴冷却を伴う丸底フラスコ中の13.5mLのTHFに溶解した。LiOH水溶液(12.3mL、2N)の予冷した溶液を加え、反応物をアルゴン雰囲気下に置いた。1時間15分後、氷浴を取り外した。元々二相性の混合物は単相性になった。2時間15分の総反応時間で、TLCはほぼ完全な反応を示した。混合物を氷上で冷却し、30mLのエーテルで希釈した。撹拌した溶液に10%HCl水溶液(9mL)を滴下し、pH=1にした。有機相を除去し、水相をエーテルで2回抽出した。合わせた有機抽出物を2回のブライン洗浄、続いて固体のMgSO4で乾燥させた。溶液を塩からデカントし、溶媒を真空で蒸発させた。高真空にさらされると、D-Iの白色の半結晶性フォーム(4.26μg、99.5%)が得られた。分析サンプルは、0-100%H:EAグラジエントを使用したDIOLカラムでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製された。TLC(1:1 H:EA)R
f=0.6、PMAで視覚化。
【表4】
【0318】
ペンタフルオロフェニルエステルへのエステル化(化合物E-I、-II、-IIIの調製)
【化66】
【0319】
カルボン酸D-I(4.15μg、9.52ミリモル)を、マグネチックスターラー付きの250mL丸底フラスコに入れた。ジメチルアミノピリジン(28mg、0.23ミリモル)を加え、続いて10mLの無水THF中のペンタフルオロフェノール(2.31g、12.55ミリモル)の溶液を加えた。溶液を氷浴に入れ、EDC(2.55g、13.3ミリモル)をスパチュラで少しずつ加えた。容器の側面を追加の6mLのTHFですすいだ。EDCは完全には溶解しなかったが、粘着性の反応副生成物が現れ始めるまで白い懸濁液のままであった。反応物をアルゴン雰囲気下に置き、氷浴を取り除き、混合物を一晩撹拌した。反応をTLCでモニターした。
【0320】
ワークアップ:
約20時間後、エーテル(40mL)および水(1.5mL)を氷浴で冷却および撹拌しながら加えた。二相混合物を5~10分間撹拌し、エーテル相をピペットで粘稠な残留物から取り除いた。残留物をエーテルで2回抽出した。有機抽出物を合わせ、5%HCl水溶液で2回洗浄し、ブライン、続いて固体MgSO4で乾燥させた。エーテルを真空で除去して、6.25gの濃厚な無色の油を得た。粗生成物を、0~30%のH-EA勾配を使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。溶媒を真空で除去した。E-I収量:3.0g(52.4%)、濃い無色の油。TLC:(4:1 H:EA)R
f=0.44、黄色、アリザリン染色(366nm)。
【表5】
【0321】
3.4.ペンタフルオロフェニルエステルを用いたアミドカップリング(F-I、-II、-IIIの調製)
【0322】
攪拌棒を備えた40mLのキャップ付きバイアルに、ペンタフルオロフェニルエステルEI(3.0g、4.99ミリモル)、イソキノリン-6-NH2(702mg、4.87ミリモル)、DMF(無水、6.35 g)、ジメチルアミノピリジン(7.3mg、0.056ミリモル)、およびジイソプロピルエチルアミン(1.23g、9.5ミリモル)を添加した。超音波処理の助けを借りて固体を溶解した。バイアルを室温の水浴に入れて、発熱を抑えた。バイアルの側面を200mLのDMFで洗い流し、反応混合物を室温で3.4日間磁気的に撹拌した。
【0323】
ワークアップ:
エーテル(20mL)を攪拌溶液に加えたところ、わずかな濁りが生じた。次に、この希釈した反応混合物を、0.5M水溶液のリン酸緩衝液(pH6~7、合計140mL)とエーテル(25mL)との間で3回分配して、DMF、イソキノリン-6-NH2、およびペンタフルオロフェノールを除去した。混合は、抽出ごとに20~45分間かけて穏やかに磁気攪拌することによって達成された。ペンタン(80mL)をエーテル溶液に加えたところ、ガムが沈殿した。これをスパチュラで激しく粉砕し、超音波処理して粒状の固体を得た。固体をChemrusプラスチック揚げ漏斗に移し、合計80mLの水で3回、合計40mLの2:1ペンタン:エーテルで3回洗浄した。固形物を収集し、オープンベンチで数日間乾燥させた。微細な淡黄色の粉末が得られた:1451mg、51.8%の収率。TLCおよびNMRで確認したところ、生成物には対応するボロン酸が20~30%含まれていた。TLC(EA)Rf=0.5、ボロン酸Rf=0.1;(2:1 EA:M、0.5%ギ酸)Rf=0.81。
【0324】
F-Iの分析サンプルとF-IIおよびF-IIIの準備サンプルを、0-100%H:EAグラジエント、オプションでCH
3OHを使用してDIOLカラムで精製した。
【表6】
【0325】
3.5.TeocおよびBpinの脱保護(I、II、IIIの製造)
【化67】
【0326】
100mLの丸底フラスコに、500mg(0.89ミリモル)のF-I、1089 mg(8.9ミリモル)のフェニルボロン酸、最後に34mLのCH3OH中の1.25MHClを入れた。圧力を逃がすことができるように混合物を停止し、TLCでモニターしながら、水浴中60℃で合計17.5時間加熱した。合計18mLのHCl/CH3OHを一定の時間間隔で少しずつ加えた。
【0327】
エーテルチェイスを使用してメタノールを追い出すために、65℃の水浴中で溶媒を真空で除去した。残留溶媒をアルゴン流で蒸発させて、淡いオレンジ色のペーストを得た。この固体をエーテルで6X超音波処理して研和し、フェニルボロン酸を除去した。固形残留物を室温で約5mLのメタノールに取り、固形汚染物質から引き離し、スクリューキャップバイアルに移した。エーテル(約5ml)を、渦を巻いて滴下し、その間に沈殿が始まった。室温で5分後、バイアルに蓋をして冷凍庫に入れた。>16時間後、固形物を収集した。このようにして、メタノール/エーテルからのいくつかの再結晶が行われた。最後のステップとして別々に、生成物の2つの作物をそれぞれエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させて、オフホワイトの粉末として合計258.5mg(68%)のI.2HClを得た。TLC(2:1 EA:M、0.5%ギ酸)R
f=0.15、周囲光下でのアリザリン染色による黄色、ピンク(366nm)。
【表7】
実施例4
【0328】
この実施例は、出発物質アリールBpin化合物の調製、BOPカップリング剤を使用した直接アミドカップリング、ボロン酸スカベンジャーなしのHClを使用した標的化合物の生成、およびトリフルオロ酢酸を使用した標的化合物の生成を示している。
【0329】
図解2c:ボロン酸IV、V、VI、およびVIIの合成
【化68】
1H NMRスペクトル
【0330】
化合物C-Vの600MHzスペクトルは、Bruker Avance機器で取得された。それ以外の場合、1H NMR分光法は、ペンシルバニア州ニュータウンのNovatia LLCによってBruker500 MHz NMR分光計で実行された。
LC-MS
【0331】
LC-MSは、ESIイオン化によりPE SCIEX API 150EXを使用して実行された。
【0332】
4.1 エステル化(2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)アセテートメチルの調製)
【化69】
【0333】
メタノール(30 mL)および0.2ml濃度のH2SO4中の2-(3-ブロモ-4-メチルフェニル)酢酸(2 gm、コンビブロックHB-7249)の混合物を65℃で12時間加熱し、TLCで反応をモニターした。混合物を室温まで冷却させた。溶媒を45℃で真空除去し、飽和重炭酸ナトリウムの溶液10mLと酢酸エチル100mLで希釈した。水層を分離し、50mLの酢酸エチルで逆抽出し、合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、500mLの丸底フラスコに濾過し、減圧下でロータリーエバポレーターで濃縮して、粘稠な油としてのエステルA-IVのエステル2.05gを得た。TLC(4:1 H:EA、UV)Rf=0.65、出発物質カルボン酸エステルのRf=0.20。
4.2.Bpinyl化(B-IV、-V、-VI、および-VIIの調製)
【0334】
【0335】
マグネチックスターラーを備えた500mLの丸底フラスコに、酢酸メチル(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)(A-V)(10g、40.5モル、コンビブロック;CA-5875)、ビス(ピナコラート)ジボラン(12.34g、48.6ミリモル)、酢酸カリウム(8g、0.81ミリモル)、および150mLの1,4-ジオキサンを仕込んだ。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(100mg、1重量%のA)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン(100mg、1重量%のA)を加えた。混合物を真空/窒素バックフィルを使用して脱気した後、不活性雰囲気下で激しく攪拌しながら、95℃で12時間加熱した。反応をTLCでモニターした。混合物を室温まで冷却し、プラスチックの揚げ漏斗でエーテルで湿らせたセライトの小さなパッドを通して濾過した。ろ液溶媒を65℃で真空除去し、残留物を50mLの水と150mLの酢酸エチルに取った。水層を分離し、50mLの酢酸エチルで逆抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥させ、500mLの丸底フラスコに濾過し、減圧下でロータリーエバポレーターで濃縮して、10.4gの粗生成物を褐色シロップとして得た。H-EA勾配(0-40%)を使用したシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、7.5gのBV粘性油を得た(収率75重量%)。TLC(4:1 H:EA、UV)R
f=0.65、出発物質カルボン酸エステルのR
f=0.70
【表8】
【0336】
4.3.アミノメチル化(C-IV、-V、-VI、-VIIの調製)
【化71】
【0337】
低温温度計、ガス入口、特大のマグネチックスターラーを備えた500mLの丸底フラスコを不活性雰囲気下で乾燥させた。フラスコに40mLの無水THFを入れ、ドライアイス/イソプロパノール浴を使用して-20℃に冷却した。次にフラスコにLiHMDS(THF中の1M溶液17.85mL、17.85ミリモル)をシリンジで入れ、オレンジ色の溶液を-60℃に冷却した。次に、激しく攪拌しながら、フラスコに注射器で25分かけて10 mLの無水THF溶液として酢酸アリールBV(2.5g、8.5ミリモル)を注意深く入れ、温度を-53℃未満に維持し、ゲル化した反応混合物の流動性を維持するため追加のTHF5mLを加えた。2-トリメチルシリルエチルN-(メトキシメチル)カルバメート、4(1.5g、7.3ミリモル)を、THF中の溶液として10分間にわたって注射器によって加えた(THF=5mLとの合計容量)。添加中、温度は-57~-60℃に維持された。次に反応混合物を-30~-35℃で30分間撹拌した。Ti(OiPr)
4(5.07g、THF中17.85ミリモル)を30分かけて加え、そのときに温度を-60~-56℃に維持した。反応混合物は濃いオレンジ色に変わり、不透明のままであった。混合物を-64~-60℃で1.5時間撹拌した。約30分後、混合物は-7℃に上昇し、その時点で赤褐色になった。さらに約30分後、温度が1℃に上昇し、その時点でフラスコを氷/塩浴に入れた。15分後、温度は4℃に上昇し、その時点で、反応はTLCによってモニターされ、ほぼ完了したと見なされた。混合物を4~5℃でさらに約30分間撹拌した。混合物を、混合しながら、1Lガラスビーカー内の20mLの氷冷した10%HClに注いだ。有機相をエーテルで希釈し、分離した。水相を50mLのエーテルで2回抽出した。有機相を合わせ、ブラインで2回洗浄し、そしてMgSO
4で乾燥させた。溶媒を真空で除去して、5.6gの粗生成物を琥珀色の油として得た。H-EA勾配(0-50%)を使用するシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、2.8gのC-Vが粘稠な油として70.5%の収率で得られた。TLC(4:1 H:EA、UV)R
f=0.26、出発物質BpinエステルのR
f=0.4。
【表9】
【0338】
4.4.エステルの加水分解(化合物D-IV、-V、-VI、-VIIの調製)
【化72】
【0339】
エステルC-V(2.5 g、5.3ミリモル)を10mLのTHFに溶解し、氷上で冷却した。水酸化リチウム水溶液(2N溶液8mL、16ミリモル)を10分間かけて滴下し、浴を取り除き、混合物を激しく攪拌して微細なエマルジョンを作成した。約20分後、最初の2相システムは1つの透明な相になった。反応をTLCでモニターした。 3時間後、混合物を氷上で冷却し、8mLの10%HClで注意深く酸性化した。生成物を50mLの酢酸エチルで抽出した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、ブライン、次に固体のMgSO4で乾燥させた。溶液をデカントし、溶媒を真空で除去して、シロップとして2.1gの酸D-Vを提供した(TLC:約85%純粋)。この物質は、精製せずに次のステップで使用された。TLC(1:1 H:EA、UV、アリザリン(366nm)、リンモリブデン酸)R
f=0.53、出発エステルのR
f=0.75。
【表10】
【0340】
4.5 カルボン酸を用いたアミドカップリング(F-IV、-V、-VI、-VIIの調製)
【化73】
【0341】
250mLの丸底フラスコに、カルボン酸DV(2.0gm、2.7mmol)とジクロロメタン(50mL)を仕込んで、続いてジイソプロピル、エチルアミン(695mg、5.38mmol)とBOP(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)を仕込んだ。混合物をかく乱して25℃で30分間溶解を完了した。イソキノリン-6-NH
2(389.3mg、2.7ミリモル)を加え、混合物を不活性雰囲気下、室温で2~3日間撹拌した。反応をTLCでモニターした。 溶媒を真空で除去して、粗生成物を琥珀色の油として得た。-Bpinおよび-B(OH)
2生成物を精製し、0-100%H-EAグラジエントを使用したフラッシュクロマトグラフィー、続いて40%メタノール-酢酸エチルグラジエントへのステップアップによって互いに分離した。F-Vの場合、Bpin生成物をシリカゲル上で対応するボロン酸に変換して320mgのF-Vを得た。
【表11】
【0342】
F-IV: (500 MHz, DMSO-d6) d 10.56 (1H, s), 9.17 (1H, s), 8.43 (2H, m), 8.05 (1H, d), 7.47 (2H, d),7.45 (1H, d), 7.42 (1H, d), 7.3 (1H, t), 7.18 (1H, d), 4.1 (1H, m), 4.05 (2H, m), 3.6 (1H, m), 3.3 (1H, m), 2.45 (3H, s), 1.33 (12H, s), 0.89 (2H, t), 0.01 (9H, s) ppm.
【0343】
F-V: (500 MHz, DMSO-d6) d 10.7 (1H, s), 9.2 (1H, s), 8.45 (2H, m), 8.28 (2H, s), 8.08 (1H, d), 7.76 (2H, m), 7.69 (1H, s), 7.5 (1H, d), 7.35 (1H, t), 7.25 (1H, d), 4.17 (1H, t), 4.05 (2H, t), 4.0 (1H, br), 3.7 (1H, m), 0.9 (2H, t) 0.0 (9H, s) ppm.
【0344】
F-VI: (500 MHz, DMSO-d6) d 10.38 (1H, s), 9.18 (1H, s), 8.44 (2H, m), 8.05 (1H, d), 7.76 (2H, m), 7.72 (1H, s), 7.65 (1H, d), 7.15 (1H, t), 7.07 (1H, d), 4.42 (1H, m), 4.05 (2H, m), 3.89 (3H, s), 3.6 (1H, m), 3.3 (1H, m), 1.30 (12H, s), 0.88 (2H, m), 0.0 (9H, s) ppm.
【0345】
F-VII: (500 MHz, DMSO-d6) d 10.6 (1H, br), 9.23 (1H, br), 8.44 (1H, m), 8.1 (1H, m), 7.35-7.85 (3H, m), 6.75-7.35 (3H, m), 4.05 (2H, m), 3.5-3.9 (6H, m), 0.9 (2H,m), 0.0 (9H, s) ppm.
【0346】
4.6.TeocおよびBpinの脱保護(IV.2TFAの調製)
【化74】
【0347】
Bpin化合物F-IVをジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で室温で処理した。 生成物IV.2TFAはエーテルで研和することにより単離された。
【0348】
4.7 TeocおよびBpin脱保護(V、VII(208-ラセミ)の調製)
【化75】
【0349】
ボロン酸F-V(300mg、0.060ミリモル)をメタノール中の1.25M HCl2mlに溶解し、60℃で5時間加熱した。溶媒をN
2の流れの下で蒸発させた。 スパチュラと超音波処理の両方を用いて、残留物を1mLのエーテルから3回研和した。 固形物の沈殿を助けるために短時間の遠心分離を使用した。粉末状の黄褐色の残留物が発生した。これを冷凍庫(-13℃)でエーテル/メタノールから結晶化し、エーテルで洗浄して、黄褐色の固体(185mg)としてV.2HClを得た。
【表12】
【0350】
V: (500 MHz,DMSO-d6) d 11.62+11.33 (1H, 2s), 9.66 (1H, s), 8.73 (1H, 2s), 8.55 (1H, d), 8.44 (1H, d), 8.32 (1H, m), 8.23 (3H, br), 8.10 (1H, m), 7.71 (1H, s), 7.52 (1H, d), 7.50 (1H, d), 6.98 (1H, t), 4.45+4.25 (1H, 2t), 3.6 (1H, m), 3.15+3.07 (1H, 2m) ppm.
【0351】
VII: (500 MHz,DMSO-d6) d 11.31+11.28 (1H, 2s), 9.62 (1H, s), 8.69 (1H, s), 8.55 (1H, d), 8.41 (1H, d), 8.30 (1H, d), 8.1 (3H, br), 8.02 (1H, d), 7.65 (1H, d), 7.51 (1H, d), 7.01 (1H, d), 4.25 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.55 (1H, m) 3.05 (1H, m) ppm.
【0352】
4.8.TeocおよびBpinの脱保護(IV(206-ラセミ)およびVIの調製)
【化76】
【0353】
化合物F-IV(50mg、0.087ミリモル)およびフェニルボロン酸(41mg、0.34ミリモル)をメタノール(3mL)中の1.25M HClに溶解し、60℃で加熱した。反応をHPLCでモニターした。4.5時間で、追加のフェニルボロン酸(32.6mg、0.27ミリモル)およびメタノール性HCl(656mg、790mL)を追加した。8時間後、溶媒をN
2の蒸気下で蒸発させた。粗生成物をエーテルで4回研和した。生成物を冷凍庫(-13℃)の中で約2.5mlの1.5:1エーテル:メタノールから結晶化し、エーテルで洗浄した:化合物IVを黄褐色の固体として得た(21.5mg、68%収率)。
【表13】
【0354】
IV: (500 MHz,DMSO-d6) d 11.36 (1H, s), 9.64 (1H, s), 8.70 (1H, s), 8.55 (1H, d), 8.41 (1H, d), 8.30 (1H, d)
【0355】
8.15 (3H, br), 8.04 (1H, d), 7.54 (1H, s), 7.34 (1H, , d), 7.14 (1H, d), 4.26 (1H, m), 3.6 (1H, m), 3.05 (1H, m), 2.37 (3H, s) ppm.
【0356】
VI: (500 MHz,DMSO-d6) d 10.95 (1H, s), 9.61 (1H, s), 8.70 (1H, s), 8.54 (1H, d), 8.40 (1H, d), 8.25 (1H, s), 8.1 (3H, br s), 8.0 (1H, d), 7.8 (1H, d), 7.7 (1H, s), 7.1 (1H, d), 4.52 (1H, m), 3.89 (3H, s), 3.55 (1H, m), 3.0 (1H, m) ppm.
実施例5
【0357】
5.1.B(OCMePh)2エステルVIIIおよびIXの調製
【化77】
【0358】
化合物IV.2TFA(25mg、0.06ミリモル)および2,3-ジフェニルブタン-2,3-ジオール(20mg、0.08ミリモル、Millipore Sigma;S280402)をメタノール(5mL)に溶解し、50℃で5~6時間加熱した。反応をHPLCでモニターした。6時間後、溶媒をN
2の流れの下で蒸発させた。粗生成物をエーテルで4回研和した。生成物を冷凍庫(-13℃)中で約2.0mlの1.5:1エーテル:メタノールから結晶化し、エーテルで洗浄した:化合物VIII.2TFAを白色固体(20mg)として得た。
【表14】
【0359】
VIII: (500 MHz,DMSO-d6) d 11.0 (1H, s), 9.47 (1H, s), 8.57 (1H, s), 8.51 (1H, d), 8.29 (1H, d), 8.1 (1H, d), 8.02 (1H, s), 8.0 (3H, br), 7.87 (1H, d), 7.51 (1H, d), 7.37 (1H, d), 7.0 (10H, m), 4.2 (1H, m), 3.6 (1H, m), 3.2 (1H, m), 2.61 (3H, s), 1.90 (6H, s) ppm.
【0360】
IX: (500 MHz,DMSO-d
6) d 11.64 (1H, s), 9.66 (1H, s), 8.74 (1H, s), 8.56 (1H, d), 8.43 (1H, d), 8.33 (1H, d), 8.25 (3H, br), 8.11 (1H, d), 7.97 (2H, d), 7.66 (2H, d), 7.48+7.46 (1H, 2t), 6.98 (10H, s), 4.5 (1H, m), 3.65 (1H, m), 3.2 (1H, m), 1.87 (6H, s) ppm.
実施例6.ボロネートエステルX、XI、およびXII(212-ラセミ)の調製
【化78】
【0361】
化合物IV.2HCl(25mg、0.06ミリモル)およびピナコール(10mg、0.085ミリモル、Oakwood 166700)をメタノール(5 mL)に溶解し、45℃で1時間加熱した。反応をHPLCでモニターした。1時間後、溶媒をN
2の流れの下で蒸発させた。粗生成物をエーテルで4回研和した。生成物を、冷凍庫(-13℃)中で約2.0mlの1.5:1エーテル:メタノールから結晶化し、エーテルで洗浄した:化合物X.2HClを固体(20mg)として得た。
【表15】
【0362】
X: (500 MHz,DMSO-d6) Δ 11.43 (1H, s), 9.68 (1H, s), 8.71 (1H, s), 8.55 (1H, d), 8.45 (1H, d), 8.35 (1H, d), 8.2 (3H, br), 8.05 (1H, d), 7.72 (1H, s), 7.47 (1H, d), 7.21 (1H, d), 4.32 (1H, m), 3.55 (1H, m), 3.05 (1H, m), 2.44 (3H, s), 1.31 (12H, s) ppm.
【0363】
XI: (500 MHz,DMSO-d6) Δ 10.94 (1H, s), 9.64 (1H, br), 8.68 (1H, s), 8.56 (1H, s), 8.42 (1H, d), 8.32 (1H, s), 8.08 (3H, br), 8.00 (1H, d), 7.68 (1H, d), 7.55 (1H, s), 7.11 (1H, d), 4.49 (1H, m), 3.88 (3H, s), 3.4 (1H, m), 3.0 (1H, m), 1.25 (12H, s) ppm.
【0364】
XII: (500 MHz,DMSO-d6) Δ 11.60 (1H, s), 9.66 (1H, s), 8.71 (1H, s), 8.55 (1H, d), 8.43 (1H, d), 8.33 (1H, d), 8.22 (3H, br), 8.08 (1H, d), 7.70 (2H, d), 7.52 (2H, d), 4.44 (1H, m), 3.6 (1H, m), 3.1 (1H, m), 1.28 (12H, s) ppm.
実施例7.Rhoキナーゼ(ROCK)およびプロテインキナーゼA(PKA)酵素阻害アッセイ
【0365】
治療薬としてのRhoキナーゼ(ROCK)阻害剤の使用は十分に確立されており、多くの出版物で議論されている(Feng Y et al., Rho Kinase (ROCK) Inhibitors and Their Therapeutic Potential, J Med Chem. 2016 Mar 24;59(6):2269-300; and Defert and Boland, Rho kinase inhibitors: a patent review (2014 - 2016), Expert Opin Ther Pat. 2017 Apr;27(4):507-515)。市販のROCK1(Promega Corporation、cat#V9581)、ROCK2(Promega、cat#V4045)、およびPKAキナーゼ(Promega、cat#V4247)ADP-Glo(商標)アッセイキットを使用して、化合物によるROCKおよびPKAキナーゼ酵素活性阻害を測定した。ADP-Glo(商標)キナーゼアッセイは、キナーゼ反応中に生成されたADPの量を定量化することにより、キナーゼ活性を測定するための均一な方法を提供する発光ADP検出アッセイである。アッセイは2つのステップで実行される。まず、キナーゼ反応後、等量のADP-Glo(商標)試薬を添加してキナーゼ反応を停止させ、残りのATPを枯渇させる。次に、キナーゼ検出試薬を追加して、ADPをATPに同時に変換し、ルシフェラーゼ/ルシフェリン反応を使用して新しく合成されたATPを測定できるようにする。発生した光は、ルミノメーターを使用して測定される。キットには完全なプロトコルが含まれており、PromegaのWebサイトでも入手できる。アッセイについて以下に簡単に説明する。
1.キナーゼ緩衝液(40mM Tris、7.5、20mM MgCl2、0.1mg/ml BSA、50μMDTT)で酵素、基質、ATP、および化合物(阻害剤)を希釈する。
2.1μlの阻害剤、2μlの酵素および2μlの基質/ATPミックスを384ウェル低容量非結合アッセイプレートのウェルに添加する。阻害剤の一連の3倍希釈液を調製し、各阻害剤についてアッセイする。
3.室温で60分間インキュベートする
4.5μLのADP-Glo(商標)試薬を追加する。
5.室温で60分間インキュベートする。
6.10μlのキナーゼ検出試薬を追加する。
7.室温で30分間インキュベートする。
【0366】
プレートベースのルミノメーターを使用して発光(積分時間1秒)を記録する。
【0367】
パーセント酵素活性計算値:最初に、各サンプルのシグナルからネガティブコントロール(酵素および阻害剤なし)のシグナルを差し引く。次に、0%キナーゼ活性(阻害剤でも酵素でもない)と100%キナーゼ活性(化合物なし)の平均相対光単位(RLU)値を使用して、阻害剤のさまざまな希釈液の存在下で残っている他のパーセント酵素活性を計算する。
【0368】
50%阻害濃度(IC50)を推定するために、パーセント酵素活性と阻害剤濃度用量反応曲線をプロットする。
【0369】
比較のために、供給業者から購入した次のROCK阻害剤も分析した:ネタスルジル.2HCl(AR-13324、Selleckchem、cat#S8226)、ネタルスジル.2HCl(AR-13324、Apex Bio、cat#B7807)、ファスジル(HA-1077、Apex bio、cat#B3523)、リパスジル(K-115、Apex bio、cat#B4809)、ジメチルファスジル(H-1152P、Enzo Lifesciences、cat#ALX-270-423-M005)、SLx-2199( KD025、Ark Pharm、cat#AK341023)、およびY-27632(Ark Pharm、cat#AK546557)。阻害剤の化学構造を表16に示す。10mMの阻害剤ストック溶液をDMSOで調製し、-20℃で保存した。使用直前にアッセイ緩衝液で希釈した。
【0370】
ネタルスジルおよびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl塩の合成は、文献[Sturdivant et al., Discovery of the ROCK inhibitor netarsudil for the treatment of open-angle glaucoma, Bioorg Med Chem Lett. 2016 May 15;26(10):2475-2480; Lin et al., Discovery and Preclinical Development of Netarsudil, a Novel Ocular Hypotensive Agent for the Treatment of Glaucoma, J Ocul Pharmacol Ther. 2018 Jan/Feb;34(1-2):40-51;及びWIPO特許公開公報#WO2101/127329、二重に働く阻害剤およびその使用方法]に記載されている。
【表16】
【0371】
表17に示すように、化合物10と化合物10.2HClの2つの独立したロットの平均IC
50推定値は、ROCK2に対して25nM、ROCK1に対して84nMであった。これらのIC
50推定値は、ネタルスジル.2HClで観察されたものよりもわずかに高く、ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClと同様である。テストされた他のROCK阻害剤のROCK2およびROCK1のIC
50推定値は、化合物10および10.2HClよりも高い。化合物10およびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClもナノモル濃度でPKAを阻害した。インビトロでのROCK1、ROCK2、およびPKA酵素阻害アッセイは、化合物10および10.2HClがROCKおよびPKAに対して有意な阻害活性を有することを示している。
【表17】
実施例8.AGCファミリーキナーゼを含む化合物10.2HClのキナーゼ選択性プロファイリング
【0372】
ROCK1(ROCKI、ROKβ、Rho-キナーゼβ、またはp160ROCKとも呼ばれる)およびROCK2(ROCKII、ROKα、またはRhoキナーゼとも呼ばれる)は、セリン/スレオニンキナーゼのAGCファミリーに属する。AGCキナーゼのグループは、PDK1、PKB/Akt、SGK、PKC、PRK/PKN、MSK、RSK、S6K、PKA、PKG、DMPK、MRCK、ROCK、NDR、LATS、CRIK、MAST、GRK、Sgk494、およびYANKを含む63種の進化的に関連するセリン/スレオニンプロテインキナーゼで構成されるが、他の2つのファミリー、AuroraとPLKは、そのグループと最も密接に関連している。文献[Leroux et al.. AGC kinases, mechanisms of regulation and innovative drug development, Semin Cancer Biol. 2018 Feb;48:1-17]を参照。Promega社(cat#V6859および#V6931)からAGCキナーゼ選択性プロファイリングシステムとして入手可能な16種のAGCファミリーキナーゼに対する1μMの単回容量での化合物10.2HClの阻害活性をアッセイした。
・キナーゼ選択性プロファイリングシステムキットでは、キナーゼと基質のペアが使いやすい8チューブストリップフォーマットで構成されている。
・濃縮キナーゼおよび基質/補因子ストックを最初に希釈し、次に384ウェルプレートで試験化合物と合わせた。1時間のインキュベーション後、ADP-Glo(商標)アッセイを実行して、Rhoキナーゼ(ROCK)酵素阻害アッセイの例で説明されたようにキナーゼ活性を測定した。
・化合物とのキナーゼ反応が非化合物対照反応よりも低いパーセントキナーゼ活性をもたらした場合、化合物なしの対照群のパーセントキナーゼ活性と比較して、試験ウェルにおけるより低いパーセントキナーゼ活性によって見られるように、化合物はキナーゼを阻害した。
・化合物とのキナーゼ反応のキナーゼ活性のパーセントが、化合物を含まない対照群の反応のそれとほぼ等しい場合、該化合物はキナーゼ活性に影響しなかった。
【0373】
予想通り、1μM濃度の化合物10.2HClは、プロファイリングアッセイでROCK1とPKAをそれぞれ96%と98%阻害した(表18)。化合物10.2HClは、他のAGCファミリーキナーゼもさまざまなレベルで阻害した。化合物10.2HClは、ネタルスジルと比較して、AKT1の阻害が比較的高く、PDK1の阻害が低いことを示した。
【表18】
実施例9.異なるキナーゼファミリーを表す23種のキナーゼ上の化合物10.2HClのキナーゼ選択性プロファイリング
【0374】
AGCファミリーのプロファイリングに加えて、Promega社(cat#V6928)から入手可能なキナーゼ選択性プロファイリングシステム-一般パネルを使用して、特定のキナーゼまたはキナーゼのグループに対する特異性に関する情報を取得するために、キナーゼの異なるファミリーを表す23種のキナーゼに対して化合物10.2HCの酵素阻害活性もテストした。
・AGCファミリープロファイリングシステムキットと同様に、一般パネルキットには、使いやすい8チューブストリップフォーマットで構成されたキナーゼと基質のペアが含まれている。
・変更なしでPromegaプロトコル(キットおよびPromegaウェブサイトで入手可能)に従った。
・阻害剤(最終1μM)、キナーゼ、キナーゼ特異的基質、ATP、およびアッセイ緩衝液を混合し、室温で60分間インキュベートした。このインキュベーション後、5μlのADP-Glo(商標)試薬を5μlの反応液に加え、40分間インキュベートした。次に、10μlのキナーゼ検出試薬をアッセイプレートのすべてのアッセイウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。発光は、プレートルミノメーターでウェルあたり0.5秒の積分時間を使用して測定された。
【0375】
1μMの化合物10.2HClの存在下でのキナーゼ活性の阻害率を表19に示す。AGCファミリーキナーゼROCK1、AKT1、およびPKCa酵素もPromega General Panelキットに含まれている。化合物10.2HClによるこれら3つのキナーゼの阻害剤活性の割合は、AGCファミリーパネルアッセイキットで得られた値と類似しており(表18を参照)、さまざまなキットを使用したさまざまな日のアッセイの再現性を示唆している。コントロールとして、プロテインキナーゼの強力な非選択的阻害剤であるスタウロスポリンを含めた。試験した非AGCファミリーキナーゼの中で、化合物10.2HClの有意な阻害活性がキナーゼFGFR1、AMPK A1/B1/G2、およびMAPKAPK2で観察された(表19)。
【表19】
実施例10.化合物10.2HClによるヒト線維柱帯(hTM)細胞におけるMYPT1リン酸化の阻害
【0376】
小柱網(TM)を横切る房水の流出は、他の要因の中でも、TM細胞のアクトミオシン収縮および細胞外マトリックスの変化によって調節される。ROCKは、アミノ酸Thr696およびThr853でMYPT1をリン酸化することにより、ミオシン軽鎖ホスファターゼ(MLCP)のホスファターゼ活性を阻害することが知られている。hTM細胞を化合物10.2HCl、ネタルスジル.2HCl、またはネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClとインキュベートし、ウエスタンブロッティングアッセイでPhospho-MYPT1 Thr853を特異的に検出する抗体を使用してリン酸化の阻害を測定することにより、Thr853でのMYPT1の阻害を調べた。
1.初代hTM細胞、継代2は、ScienCell Research Laboratories(cat#6590)から購入し、それに含まれた指示書に従って、ポリ-L-リジン(ScienCell、cat#0403)でコーティングした細胞培養プレート上でTM細胞培地(ScienCell、cat#6591)で培養した。
2.アッセイの前日、継代4細胞を、ゼラチン(Corning、cat#354488)でコーティングされたT75フラスコに播種し、細胞が24時間で約80%のコンフルエンスに達するようにした。阻害剤添加の日に、各フラスコ内の12mlの培地を10μM阻害剤またはDMSO(0.01%)を含む12mlの培地と交換し、37℃および5%CO2で7時間インキュベートした。
3.別の実験では、継代4細胞を、ポリ-L-リジンでコーティングされた6ウェルプレートにプレーティングし、2.5μM阻害剤に曝露した。
4.阻害剤を含む培地を吸引除去し、ウェルを冷PBS pH7.4緩衝液で2回洗浄し、付着した細胞を500μl(T75フラスコ)または100μl(6ウェルプレート)のSDS-PAGEサンプル緩衝液でこすり落とし、1.5mlのマイクロ遠心チューブへ収集した。
5.サンプルを氷上で30秒間超音波処理して、DNAを破壊し、細胞を溶解し、70℃で10分間加熱してから、4~12%SDS-PAGEゲルにロードした。
6.SDS-PAGEのThermoFisher推奨プロトコルは、次の材料を使用して変更なしで従った:Bolt(商標)4-12%Bis-Tris Plusゲル、15ウェル(cat#NW04125BOX)、Bolt(商標)ミニゲルタンク(cat#A25977)、20XBolt(商標)MES SDSランニング緩衝液(cat#B000202)、4XBolt(登録商標)LDSサンプル緩衝液(cat#B0008)、および10XBolt(登録商標)サンプル還元剤(cat#B0009)。
7.異なる処理の等量の細胞溶解物(20μl/レーン)を、165Vの一定速度で45分間泳動することにより、4~12%のゲルで分離した。
8.ThermoFisherの材料と方法を使用して、ゲルを0.2ミクロンPVDFメンブレンに20Vの定電圧で1時間ブロットした:20XBolt(登録商標)TransferBuffer(cat#BT00061)、Bolt(登録商標)Antioxidant(cat#BT00061)、1xTransfer Buffer 10%メタノールおよび酸化防止剤、Novex XCell IIブロットモジュール(cat#EI9051)、およびInvitrolon(商標)PVDF/ろ紙サンドイッチ、孔径0.2μm(cat#LC2005)。
9.ブロット上のリン酸化MYPT1は、Phospho-MYPT1 Thr853(Cell Signaling Technology、cat#4563S)に対する抗体を使用して検出された。簡単に、TBST(20mM Tris pH 7.5、150mM NaCl、0.05%Tween20)中の5%ミルクパウダーで室温(RT)で1時間膜をブロックし、1次抗体を1:1000希釈で12mlの5%ミルクで4℃で一晩インキュベートし、室温でTBSTで3x5分間洗浄し、抗ウサギ-HRPコンジュゲート(Cell Signaling Technology、cat#70745)と1:2000希釈で12mlの5%ミルクで室温で1時間インキュベートし、TBSTを使用して4x5分間洗浄し、SuperSignal(商標)West Pico PLUS試薬(ThermoFisher、cat#34018)を使用して信号を検出し、イメージングカメラで光信号をキャプチャした。
10.総MYPT1タンパク質の内因性レベルを検出するために、ウエスタンブロットストリッピング緩衝液(ThermoFisher、cat#21059)を使用して、ホスホルMYPT1 Thr853抗体をブロットから除去し、MYPT1(D6C1)ウサギmAb(Cell Signaling、cat#8574)で展開した。
11.ウエスタンブロットのローディングコントロールとして使用される「ハウスキーピング」タンパク質であるβ-アクチンは、HRPに結合したβ-アクチン(C4)抗体(Santa Cruz Biotechnology、cat#sc-47778-HRP)を使用して検出された。
【0377】
図1は、10または2.5μMの阻害剤とインキュベートしたhTM細胞におけるホスホ-MYPT1 Thr853、総MYPT1、およびアクチンタンパク質のウエスタンブロット検出を示している。化合物10.2HCl、ネタルスジル.2HCl、またはネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClは、MYPT1のリン酸化を完全に阻害した。 MYPT1は対照細胞(0.1%DMSO)でリン酸化され、予想される分子量115 kDaで強いシグナルを示す(パネルA)。すべてのレーンでの総MYPT1(パネルB)の検出は、ホスホ-MYPT1 Thr853抗体を用いたパネルAでのシグナルの欠如が、MYPT1タンパク質の欠如によるものではないことを示唆している。パネルCでのアクチン検出は、すべてのレーンに同量のタンパク質がロードされていることを示している。
図1のパネルDは、2.5μM阻害剤とインキュベートしたhTM細胞を示している。化合物10.2HCl、ネタルスジル.2HCl、またはネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClを培地に添加すると、2.5 μMの濃度でもMYPT1のリン酸化が阻害された。
図1.化合物10.2HCl、ネタルスジル.2HCl、またはネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl(10μM(A、B、C)または2.5μM(D)とインキュベートしたヒト線維柱帯細胞のウエスタンブロットでのリン酸化MYPT1 Thr853(AおよびD、~115kDa)、総MYPT1(B、~115kDa)、およびベータアクチン(C、~42kDa)の検出。レーン1;DMSO対照群、レーン2;ネタルスジル- M1-ラセミ体.2HCl、レーン3;化合物10.2HCl、およびレーン4;ネタルスジル.2HCl。レーンMは、ThermoFisher MagicMark(商標)XP Western Protein Standard(cat#LC5602)である。おおよその分子量は、標準レーンの横に示されている。Phospho-MYPT1 Thr853抗体は、約40kDaの未確認のタンパク質と交差反応する。
実施例11.生きているHEK293細胞における化合物10.2HClのキナーゼ阻害剤の効力
【0378】
キナーゼ阻害剤として生細胞中の化合物10.2HClの占有率を推定するために、Promega社(Cat#NV1901)から市販されているPKA-NanoBRET(商標)Target Engagement(TE)細胞内キナーゼアッセイを使用した。NanoBRET(商標)TEアッセイは、生細胞内の分子の近接性を測定するために設計されたエネルギー伝達技術であるNanoBRET(商標)システムに基づいている。NanoBRET(商標)TEアッセイは、細胞内のNanoLuc(登録商標)ルシフェラーゼ-キナーゼ融合体に可逆的に結合したNanoBRET(商標)トレーサーの競合的置換により、試験化合物の見かけの親和性を測定する。NanoBRET(商標)TEキナーゼアッセイを使用して、固定濃度のトレーサーを目的のNanoLuc(登録商標)キナーゼ融合体を発現する細胞に添加して、BRETシグナルを生成する。競合する化合物を導入すると、BRETシグナルが用量依存的に減少し、試験化合物に対する標的タンパク質の細胞内親和性の定量化が可能になる。
1.HEK293浮遊細胞にPKA-NanoLuc融合ベクターDNAを一過性にトランスフェクトし、37℃、5%CO2で30時間培養する。HEK293細胞と培地は、ThermoFisher(cat#A14635)から購入し、推奨されるプロトコルに従って培養した。
2.遠心分離培養、新鮮な培地に細胞を再懸濁し、96ウェルプレートのウェルに85 μlを分注する。
3.ウェルあたり5μlの20XNanoBRET Tracer Reagentと混合プレートを、オービタルシェーカーに700rpmで15秒間分注ぐ。
4.1X NanoBRET Tracer Reagentを含む細胞を含むウェルごとに、10Xの段階希釈阻害剤化合物を10μl添加した。オービタルシェーカーでプレートを700rpmで15秒間完全に混合する。
5.プレートを37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。プレートを室温まで約15分間平衡化する。
6.50μLの3XNanoBRETNano-Glo(登録商標)基質を添加し、室温で2~3分間インキュベートした。GloMax(登録商標)DiscoverSystem(Promega)を使用してドナー発光波長(450nm)とアクセプター発光波長(610nm)を測定した。生のBRET比の値を生成するには、各サンプルのアクセプター発光値(610nm)をドナー発光値(450nm)で除算する。
【0379】
さまざまな濃度の化合物10.2HCl、ネタルスジル.2HCl、ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl、またはパンキナーゼ阻害剤スタウロスポリンの存在下でPKA-NanoLuc(登録商標)融合タンパク質を一時的に発現するHEK293細胞における見かけの細胞内NanoBRETトレーサー親和性を
図2に示す。化合物10.2HCl濃度が0から10uMに増加すると、PKAへのトレーサー結合の阻害率(percent inhibition of PKA Tracer Binding)が増加した。つまり、培養液中の化合物10.2HClの濃度が高くなると、PKAに結合したトレーサーの多くが置き換えられる。化合物10.2HClおよびネタルスジル.2HClのPKAへのトレーサー結合の阻害は類似しており、ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClおよびスタウロスポリンで観察されたものよりも少ない(
図2)。化合物10.2HCl、ネタルスジル.2HCl、ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl、およびスタウロスポリンの推定IC
50値は、それぞれ1424nM、1524nM、360nM、および65nMである。BRETアッセイは、化合物10.2HClが生きているHEK293細胞でキナーゼ阻害能を持っていることを明確に示しており、hTM細胞でのMYPT1リン酸化の阻害を確認している。
図2.PKA-NanoLuc(登録商標)融合タンパク質を発現する一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞におけるNanoBRETトレーサーの競合。PKA-NanoLuc(登録商標)融合タンパク質を発現するHEK293細胞をアッセイ培地に再懸濁し、96ウェルプレートに播種し、NanoBRET Tracer K-5(最終2μM)を混合した。細胞をさまざまな濃度の化合物10.2HCl、ネタルスジル.2HCl、ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl、または競合阻害剤としてのスタウロスポリンで2時間処理した後、BRET基質を添加してBRETを測定した。
実施例12.化合物10の細胞毒性を推定するための細胞生存率アッセイおよび細胞形態の変化
【0380】
さまざまな濃度の化合物を用いた細胞生存率アッセイを使用して、試験化合物が細胞増殖に影響を与えるか、または最終的に細胞死につながる直接的な細胞毒性効果を示すかどうかを判断する。ホタルルシフェラーゼを使用したATPの測定は、生細胞数を推定するために一般的に適用される方法である。CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega、cat#G7573)を使用して、代謝的に活性な細胞の存在を示すATPの定量に基づいて、培養中の生細胞数を測定した。
1.HEK293浮遊培養細胞(ThermoFisher、cat#A14635)を準備し、培地中の50μl細胞(12,500細胞)を、白い不透明な壁の96ウェルプレートの各ウェルに加える(3通り行う)。
2.50μlの培地に阻害剤を添加して、25、2.5、または0.25μMの最終濃度にする。
3.37℃、5%CO2で2日間インキュベートする。
4.100μlのCellTiter-Glo(登録商標)試薬を各ウェルに加え、オービタルシェーカーで内容物を2分間混合して、細胞溶解を誘導する。
5.プレートルミノメーターを使用して発光を記録する。
【0381】
25、2.5、または0.25μMの化合物10.2HClと2日間インキュベートしたHEK293細胞は、阻害剤を含まない細胞と同じ量のATPを持っている(
図3)。同様の結果は、ROCK阻害剤であるファスジル、リパスジル、およびY-27632でも観察される。対照的に、ネタルスジル.2HClで処理した場合、細胞生存率は非常に低く、25μMおよび2.5μMでATPレベルがそれぞれ96%および80%減少する(
図3)。ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClは、25μMの濃度でのみ細胞増殖を阻害した。
図3.25、2.5、または0.25 μMの化合物10.2HClおよびその他のROCK阻害剤とインキュベートしたHEK293細胞のCellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイ。
【0382】
TM細胞をROCK阻害剤で処理すると、細胞体の収縮と丸み、およびアクチン束の破壊に影響を及ぼす。文献[Kaneko et al., Effects of K-115, a novel ROCK inhibitor, on trabecular meshwork and Schlemm’s canal endothelial cells, Sci Rep. 2016 Jan 19;6:19640]を参照。hTMの全体的な形態変化を視覚化するために、1.1、3.3、または10μMの化合物10.2HCl、ネタルスジル.2HCl、またはネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClと細胞をインキュベートし、倒立顕微鏡で細胞形態の変化を記録した。hTMを8ウェルチャンバースライド(ThermoFisher、cat#154534PK)で培養し、細胞が約80%のコンフルエンシーに達したら、チャンバー内の培地を阻害剤を含む新しい培地と交換した。顕微鏡画像は、阻害剤との20時間のインキュベーション後に撮影された。
【0383】
図4に示すように、1.1μMおよび3.3μMのネタルスジル.2HClとインキュベートしたhTM細胞は、収縮してプレートから分離し始め、10μMで小さく丸くなった。1.1μMおよび3.3μMの化合物10.2HClおよびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClとインキュベートした細胞は、阻害剤なしの対照群と同様であり、10 μMでわずかに収縮したように見えた。これらの結果は、化合物10.2HClがテストした濃度でhTMの形態に影響を与えないことを示唆している。
図4.hTM細胞の形態に対する化合物10.2HCl、ネタルスジル.2HCl、およびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClの効果
実施例13.化合物10.2HClの安定性
【0384】
さまざまな緩衝液と温度での安定性
化合物10.2HClの安定性は、水、150mMのNaCl、pH5および6緩衝液、または150mMのNaClを含む緩衝液中で、23℃(室温)、37℃、4℃、および-20℃で保存することによってテストした。貯蔵後、目に見える沈殿物は観察されなかった。サンプルを16,000xgで10分間、室温で遠心分離し、上澄みを実施例7に記載されているようにROCK2阻害についてアッセイした。表20に示すように、化合物10.2HClは、150mMのNaCl中で37℃と4℃の両方で4か月間安定している。また、pH5および7の緩衝液の中で室温で15日間安定している。
【表20】
【0385】
緩衝液、血漿、および血液中の安定性
研究はAbsorption Systemsによって実施された。研究は、pH7.4リン酸緩衝液、混合性別ヒト血漿(Lot#HMN330460)、および混合性別ヒト全血(Lot#HMN 381096)で実施された。緩衝液は、50mLの0.2MKH2PO4を150mLのH2Oと合わせ、次に10NのNaOH(50mMリン酸緩衝液)でpH7.4に調整することによって調製した。血漿と血液はBioIVTから入手し、ヘパリンナトリウムで採取した。実験を開始する前に、それらをpH7.4に調整した。化合物10.2HCl用にDMSOストックを最初に調製した。DMSO溶液のアリコートを、37℃に予熱した1mLのマトリックスに最終濃度1μMで投与した。実験期間中、バイアルはベンチトップThermomixer(登録商標)に保管された。各時点(0、15、30、60、および120分)でアリコート(100μL)を採取し、300μLのアセトニトリル(ACN)が事前に充填された96ウェルプレートに添加した。実験が終了するまで、サンプルを4℃で保存した。最終時点をサンプリングした後、プレートを混合し、3,000rpmで10分間遠心分離した。上澄みのアリコートを取り出し、蒸留水で1:1に希釈し、LC-MS/MSで分析した(表21)。内部標準(PARR)に対するピーク面積応答比を時間0のPARRと比較して、各時点で残っている試験品の割合(パーセント)を決定した。半減期は、単相指数関数的減衰方程式に適合したGraphPadソフトウェアを使用して計算した。
【表21】
【0386】
肝ミクロソームの安定性
実験はAbsorption Systemsによって実施された。混合性別のヒト肝ミクロソーム(ロット番号1210347)はXenoTechから購入した。NADPHを差し引いた反応混合物を調製した(肝臓ミクロソーム0.5mg/mL、NADPH(補因子)1mM、リン酸カリウム、pH7.4、100mM、MgCl2、5mM)。試験品を最終濃度1μMで反応混合物に加えた。対照化合物であるテストステロンは、別の反応で試験品と同時に実行された。反応混合物(補因子なし)を37℃の振とう水浴中で3分間平衡化した。補因子の添加により反応を開始し、混合物を37℃の振とう水浴中でインキュベートした。アリコート(100μL)を0、10、20、30、および60分で回収した。試験品とテストステロンサンプルを、0.1%ギ酸と内部標準を含む400μLの氷冷50/50アセトニトリル(ACN)/H2Oと直ちに合わせて、反応を停止させた。次に、サンプルを混合し、遠心分離してタンパク質を沈殿させた。すべてのサンプルは、エレクトロスプレーイオン化を使用したLC-MS/MSによって分析された(表22)。内部標準に対するピーク面積応答比(PARR)を時間0のPARRと比較して、各時点で残っている割合(パーセント)を決定した。半減期とクリアランスは、単相指数関数的減衰方程式に適合したGraphPadソフトウェアを使用して計算した。
【表22】
実施例14.化合物10.2HClの溶解度
【0387】
溶解度アッセイ#1
実験はAbsorption Systemsによって実施された。化合物10.2HClの平衡溶解度をpH7.4の水性緩衝液で測定した。緩衝液は、50mLの0.2MKH2PO4を150mLのH2Oと合わせ、次に10NのNaOHでpH7.4に調整することによって調製した。少なくとも1mgの粉末を1mLの緩衝液と合わせて、1mg/mL以上の混合物を調製した。サンプルをEppendorf Thermomixer(登録商標)で室温で一晩振とうした。次に、サンプルを14,000rpmで10分間遠心分離した。上澄みをサンプリングし、分析前に1:1緩衝液:アセトニトリル(ACN)の混合物に10倍、100倍、1,000倍、10,000倍に希釈し(2通り用意)、1:1アッセイ緩衝液:ACNの混合物で調製された標準に対してエレクトロスプレーイオン化を使用してLC-MS/MSでアッセイした。標準濃度は1.0μMから0.3nMの範囲であった。この方法を使用すると、リン酸緩衝液への溶解度は39.1μMと推定された。
【0388】
溶解度アッセイ#2
水への溶解度は、20mgの化合物10.2HClをガラスバイアルに量り取り、化合物10.2HClと水を合わせた重量が200mgになるように、約0.18mlの超純水をゆっくりと加えることによって、決定した。化合物は容易に溶解した。室温で2時間または一晩で目に見える沈殿物は観察されなかった。この溶液を16,000xgで10分間室温で遠心分離した。上澄み濃度は、254nmでの吸光度によって測定された。UV254nmの検量線は、別で調製した化合物10.2HClの水溶液(1mg/ml)から作成した一連の希釈液を使用して構成した。3.9μg/mlから125μg/mlの化合物10.2HClの標準では、完全に線形の関係が観察された(
図5)。このUV標準曲線を使用して、名目上100mg/ml溶液の上清を108mg/mlと推定した。したがって、化合物の水への溶解度は、>100mg/ml(>234mM)と推定される。
図5.化合物10.2HClの水への溶解度を決定するための検量線。OD
254nmを化合物10.2HCl標準に対してプロットして、線形関係を明らかにした。
【0389】
溶解度アッセイ#3
一連のpH値でのホウ酸塩およびクエン酸塩緩衝液中の化合物10.2HClの定性的溶解度試験は、約pH8.5での沈殿を示した。
実施例15.化合物10.2HClの分配係数(logD
7.4
)
【0390】
化合物10.2HClのオクタノール/緩衝液分配係数はAbsorption Systemsによって測定された。緩衝液は、50mLのKH2PO4の0.2M溶液を150mLのdH2Oと合わせ、次に10NのNaOHでpH7.4に調整することによって調製した。1回のインキュベーションで、各試験品の10mMのDMSO溶液15μLを、0.75mLのn-オクタノールと0.75mLのpH7.4リン酸緩衝液を含む試験管に添加した。テストステロンも内部対照として各チューブに100μMの投与濃度で導入された。これらのサンプルをベンチトップローテーター上で室温で1時間穏やかに混合した。次に、チューブを回転子から取り外し、水相と有機相を1時間分離させた。有機層のアリコートを取り、1:1緩衝液:アセトニトリル(ACN)の混合物に200倍に希釈した。水層のアリコートを取り、1:1緩衝液:ACNの混合物に2倍、10倍、および200倍に希釈した。すべてのサンプルは、エレクトロスプレーイオン化を使用したLC-MS/MSによって分析した。化合物10.2HClのpH7.4でのlogDは0.822と測定された。方法対照として、テストステロンのlogDも満足のいく値で測定された。
実施例16.化合物10.2HClの透過性(Caco-2およびMDCK)
【0391】
Caco-2の透過性
実験はAbsorption Systemsによって実施された。Caco-2細胞(クローンC2BBe1)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(バージニア州マナッサス)から入手した。細胞単層は、12ウェルアッセイプレートのコラーゲンコーティングされたミクロポーラス膜上でコンフルエントになるまで増殖させた。透過性アッセイ緩衝液は、pH7.4で10mMのHEPESと15mMのグルコースを含むハンクスの平衡塩類溶液であった。レシーバーチャンバー内の緩衝液には、1%のウシ血清アルブミンも含まれていた。投与溶液の濃度は、アッセイ緩衝液中の5μMの試験品であった。細胞単層を頂端側(AからB)または基底外側(BからA)に投与し、加湿インキュベーター内で5%CO
2とともに37℃でインキュベートした。サンプルは、120分にドナーチャンバーとレシーバーチャンバーから採取された。各決定は重複して実行された。ルシファーイエローのフラックスはまた、フラックス期間中に細胞単層に損傷が与えられていないことを確認するために、各単層について実験後に測定された。すべてのサンプルは、エレクトロスプレーイオン化を使用したLC-MS/MSによって分析された。透過性の計算は、Absorption Systemsのプロトコルに従って実行された(表23)。
【表23】
【0392】
MDR1-MDCK透過性
実験はAbsorption Systemsによって実施された。MDR1-MDCK細胞単層は、12ウェルアッセイプレートでコラーゲンコーティングされたミクロポーラス膜上でコンフルエントになるまで増殖させた。透過性アッセイ緩衝液は、pH7.4で10mMのHEPESと15mMグルコースを含むハンクスの平衡塩類溶液であった。レシーバーチャンバー内の緩衝液には、1%のウシ血清アルブミンも含まれていた。投与溶液の濃度は、アッセイ緩衝液中の5μMの試験品であった。細胞単層を頂端側(AからB)または基底外側(BからA)に投与し、加湿インキュベーター内で5%CO
2とともに37℃でインキュベートした。サンプルは、120分にドナーチャンバーとレシーバーチャンバーから採取された。各測定は重複して実行された。ルシファーイエローのフラックスはまた、フラックス期間中に細胞単層に損傷が与えられていないことを確認するために、各単層について実験後に測定された。すべてのサンプルは、エレクトロスプレーイオン化を使用したLC-MS/MSによって分析された。透過性の計算は、吸収システムのプロトコルに従って実行された(表24)。
【表24】
吸収可能性分類:
P
app(A→B) ≧ 3 x 10
-6 cm/s およびER <3: 高
P
app(A→B) ≧ 3 x 10
-6 cm/s および10> ER ≧ 3: 中
P
app(A→B) ≧ 3 x 10
-6 cm/sおよびER ≧ 10, or P
app(A to B) < 3 x 10
-6 cm/s: 低
実施例17.化合物IからXIIによるROCK2阻害
【0393】
実施例7に記載の市販のROCK2ADP-Glo(登録商標)アッセイキットを使用して、本開示の化合物I~XIIによるROCK2酵素阻害を測定した。ROCK2阻害効力の定量化結果を表25にまとめる。12種の化合物すべてがナノモル量でROCK2を阻害し、化合物IV.2HClおよびX.2HClが最も高い効力を示した。
【表25】
実施例18.ROCK1、ROCK2、PKA、PKCtheta、およびMRCKa阻害アッセイ
【0394】
実験は、吸収システムによって実施された。5つのAGCファミリーキナーゼ(ROCK1、ROCK2、PKA、PKCtheta、およびMRCKa)に対する化合物10.2HClおよびI.2HCl、ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl、およびネタルスジルジメシレート(BOC Sciences、cat#B0084-475227)のIC50を、放射性同位元素フィルター結合アッセイを使用して推定した。放射性同位元素フィルター結合アッセイは、キナーゼプロファイリングのゴールドスタンダードと見なされている。このアッセイは、修飾された基質、カップリング酵素、または検出抗体を使用せずに、真の産物を直接検出する。化合物は、キナーゼ、基質、補因子、および放射性同位元素で標識されたATP(33P-v-ATP)とともにインキュベートされる。次に、反応混合物を濾紙にスポットし、放射性同位元素で標識された触媒生成物を結合させる。未反応のリン酸塩は、ろ紙を洗浄することで除去される。
【0395】
アッセイ法:
・新たに調製したBase Reaction 緩衝液(20mM Hepes(pH 7.5)、10mMのMgCl2、1mMのEGTA、0.02%Brij35、0.02mg/mlのBSA、0.1mMのNa3VO4、2mMのDTT、10μMのATP、および1%DMSO)でキナーゼ特異的基質を調製する。
・キナーゼ酵素を基質溶液に加え、穏やかに混合する。
・DMSO中の化合物をAcousticテクノロジー(Echo550;ナノリットル範囲)によってキナーゼ反応混合物に添加し、室温で20分間インキュベートする。
・33P-ATP(比放射能10μCi/μl)を反応混合物に加えて反応を開始する。
・キナーゼ反応を室温で2時間インキュベートする。
・P81イオン交換紙に反応をスポットする。
・フィルター結合法によりキナーゼ活性を検出する。
【0396】
化合物10.2HClおよびI.2HClは、ROCK1およびROCK2に加えてPKAに対して有意な阻害活性を示し、フィルター結合アッセイにおいてPKCthetaおよびMRCKaに対して低い効力を示した(表26)。化合物I.2HCl阻害活性は、ネタルスジルジメシレートおよびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClよりも高く、広域スペクトルプロテインキナーゼ阻害剤であるスタウロスポリンと同様である。
【表26】
ROCK1、Rho関連プロテインキナーゼ1;ROCK2、Rho関連プロテインキナーゼ2;PKA、プロテインキナーゼA;PKCT、プロテインキナーゼCtheta;およびMRCKA、筋緊張性ジストロフィーキナーゼ関連CDC42結合キナーゼA
実施例19.ヒト線維柱帯(hTM)細胞ベースのアッセイにおける化合物10.2HCl、I.2HCl、II.2HCl、およびIII.2HClのROCK2阻害活性
【0397】
キナーゼおよびホスファターゼによって媒介されるリン酸化-脱リン酸化サイクルは、段階的反応を含む用量反応挙動を示すことができる。化合物10.2HCl、I.2HCl、II.2HCl、III.2HCl、ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl、およびネタルスジル.2HClを、実施例10に記載の手順に従ったウエスタンブロッティングによって、リン酸化MYPT1(ROCK2基質)の10μM~0.04μMの濃度での阻害についてhTMでアッセイした。化合物添加の2日前に、6ウェルプレートを75,000細胞/ウェルの密度で播種した。化合物添加の日に、培地を異なる濃度の化合物を含む3mlの新鮮な培地と交換した。化合物添加の15時間後、各ウェルの細胞を0.2mlの抽出緩衝液(リン酸塩とプロテアーゼ阻害剤を含むSDS-PAGEサンプルバッファー)で溶解し、抽出物を回収した。等量の細胞抽出物(15μl)をSDS-PAGEで分離し、Phospho-MYPT1 Thr853(pMYPT1、Cell Signaling Technology、cat#4563S)、MYPT1(Cell Signaling Technology、cat#8574S)。およびGAPDH(Proteintech、cat#60004-1-1)に対する抗体を使用したウエスタンブロッティングで分析した。ブロットを最初にPhospho-MYPT1Thr853抗体で染色し、結合した抗体を、Thermo Scientific Restore Western Blot Stripping Buffer(cat#21059)を使用してブロットから除去した後、MYPT1および/またはGAPDH抗体でプローブした。
【0398】
用量反応のウエスタンブロット画像を
図6に示す。アッセイしたすべての化合物の10μM濃度でpMYPT1の染色は観察されなかった。ネタルスジル.2HClを10μMでインキュベートした細胞のあるレーンでは、この濃度での毒性のため、タンパク質の量がはるかに少なくなった(
図6、A)。ウエスタンブロッティングは定量的アッセイではない。ただし、異なる濃度でのpMYPT1バンド強度の比較は、化合物II.2HClは、他の化合物と比較して、MYPT1リン酸化の阻害において低濃度では効果が低いことを示唆した(
図6)。総MYPT1またはGAPDHの染色では、ほぼ同量の抽出物がウェルにロードされていることが示された。
図6.pMYPT1リン酸化の阻害におけるネタルスジル.2HCl(A)、ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl(B)、化合物I.2HCl(C)、化合物10.2HCl(D)、化合物II.2HCl(E)、および化合物III.2HCl(F)の用量反応。pMYPT1;Thr853でリン酸化されたMYPT1、tMYPT1;総MYPT1タンパク質、およびGAPDH;正規化のためのハウスキーピングタンパク質。
【0399】
別の実験では、hTM細胞を、10μM濃度の6つのROCK阻害剤を含む19種の化合物と24時間インキュベートし、ウエスタンブロッティングによるMYPT1リン酸化の阻害に対するそれらの効果を測定した。化合物(10μM)を60mmプレートで培養したhTM細胞に添加し、24日後に細胞抽出物を収集した。細胞を0.2ml溶解緩衝液で溶解し、20μlの抽出物を各レーンにロードした(
図7)。開示された13種の化合物はすべて、pMYPT1のリン酸化を阻害した。6つのROCK阻害剤のうち、ファスジルのみが10μMでMYP2リン酸化を阻害しなかった。
図7.13種の開示された化合物と6つのROCK阻害剤によるMYPT1リン酸化の阻害(A)。同じブロットを正規化のためにGAPDH抗体で染色した(B)。ネタルスジルジメシレートとインキュベートした細胞を含むレーン3およびスタウロスポリンとインキュベートした細胞を含むレーン22は、GAPDH抗体染色の強度が低い場合に見られるように、毒性のために他のレーンよりもタンパク質が少ない。
実施例20.hTM細胞における化合物10.2HClおよびI.2HClおよびネタルスジル.2HClの細胞毒性効果
【0400】
市販のRealTime-Glo(商標)MT細胞生存率(Promega、カタログ番号G9712)およびCellTox(商標)Green細胞毒性(Promega、カタログ番号G8731)アッセイを使用して、一次hTM細胞生存率および細胞毒性に対する化合物の影響を評価した。RealTime-Glo(登録商標)MT細胞生存率アッセイは、細胞の還元電位、ひいては代謝(MT)を測定することにより、培養中の生細胞数を測定する、非溶解性の均質な生物発光法である。生細胞は独自のプロ基質を還元して、NanoLuc(登録商標)ルシフェラーゼの基質を生成する。この基質は細胞から周囲の培地に拡散し、NanoLuc(登録商標)酵素によって急速に使用されて発光シグナルを生成する。対照的かつ補完的な方法で、CellTox(商標)Green細胞毒性アッセイは、細胞死の結果として発生する膜の完全性の変化を測定する。このアッセイシステムは、生細胞から除外されているが、死細胞のDNAを優先的に染色する独自の非対称シアニン色素を使用している。死細胞DNAに結合する色素によって生成される蛍光シグナルは、細胞毒性に比例する。
【0401】
ヒトTM細胞は、実施例12に記載されているように培養および維持された。化合物を含む培養培地中の50μlの細胞(600個の細胞)、RealTime-Glo(商標)MT細胞生存率アッセイ試薬を含む25μlの培地、およびCellTox(商標)Green Cytotoxicityアッセイ試薬を含む25μlの培地を、黒く透明な底の96ウェルプレートにプレーティングした。ルシフェラーゼによって放出された光とDNAに結合する色素によって放出された蛍光(励起485nmおよび発光525nm)は、プレートベースの発光および蛍光プレートリーダーを使用して、インキュベーションの24時間後、48時間後、および72時間後に測定された。メーカーが推奨するプロトコルを、変更なしで従った。
【0402】
生存率に関連する発光と細胞毒性に関連する蛍光は、ネタルスジル.2HClの濃度に依存していた(
図8、AおよびD)。細胞生存率は、DMSO対照群と比較して、30 μMおよび10μmの濃度で24時間以内に2%未満、48時間以内に0.1%未満であった(
図8、A)。3.33μmの濃度では、細胞生存率は24時間、48時間、72時間でそれぞれ53%、15%、9%であった。1.11μMの濃度で生存率の10%の低下が観察された。細胞毒性アッセイは、生存率と相関する膜の完全性の喪失による蛍光を推定することにより、相補的な細胞の健康状態を測定する(
図8、D)。ネタルスジル.2HClとは異なり、化合物10.2HClは、すべての濃度と時点で生存率や膜の完全性に影響を与えなかった(
図8、CおよびF)。化合物I.2HClは、48~72時間のインキュベーション後にのみ、30μM濃度で生存率を~35%低下させた(
図8、BおよびE)。
図8.hTM細胞における細胞生存率(A、B、C)と細胞毒性(D、E、F)。AとD;ネタルスジル.2HCl、BおよびEとインキュベートした細胞;化合物I.2HCl、CおよびFとともにインキュベートした細胞;化合物10.2HClでインキュベートした細胞;RealTime-Glo(商標)MTアッセイの発光とCellTox(商標)Greenの蛍光は、Thermo Scientific LuminoskanルミノメーターとMolecular Devices SpectraMax Gemini蛍光プレートリーダーで24時間、48時間、72時間にモニターした。RLU;相対光単位、RFL;相対蛍光単位。
【0403】
細胞の形態学的変化を評価するために、hTM細胞を24ウェルプレートで30、10、3.33、または1.11μMの化合物I.2HCl、化合物10.2HCl、またはネタルスジル.2HClとインキュベートした。細胞が90%のコンフルエンシーに達したときに培地で希釈した化合物を添加し、24時間後に細胞を観察した。ネタルスジル.2HClは、1.11μMで細胞の収縮を見せ始め、10μMで丸く小さくなる細胞形態に影響を与えた(
図9)。30μMのネタルスジル.2HClでインキュベートした細胞は、10μMの細胞よりもわずかに大きかった。この違いは、30μMでのネタルスジル.2HClの溶解度が低いためと思われた。対照的に、試験したどの濃度の化合物10.2HClでも、細胞の形態学的変化は観察されなかった。30μMの化合物I.2HClとインキュベートした細胞は、細胞収縮を示し始めていた。初代hTM細胞を用いた細胞生存率、細胞毒性、および形態アッセイは、化合物10.2HClおよびI.2HClが細胞および組織の損傷を引き起こす可能性が低いことを示した。
図9.ネタルスジル.2HCl(パネルA)、化合物I.2HCl(パネルB)、および化合物10.2HCl(パネルC)と指定された濃度(μM)で24時間インキュベートした後のhTM細胞の形態変化。画像(100X)は、白黒デジタルカメラを使用して光学顕微鏡でキャプチャした。
実施例21.ウサギの眼圧(IOP)の低下
【0404】
眼圧(IOP)の低下における化合物10.2HClおよびI.2HClの有効性は、(a)ヒアルロン酸ナトリウム誘発性急性高眼圧症、(b)緑内障のフェノール誘発性慢性モデル、および(c)正常血圧ウサギのウサギモデルで評価された。これらの有効性研究では、文献[Jacob et al, A promising drug candidate for the treatment of glaucoma based on a P2Y6-receptor agonist, Purinergic Signal. 2018 Sep; 14(3): 271-284]に記載された方法に従った。すべての研究において、雄のニュージーランド白ウサギは研究の前に1週間順応させられた。動物は餌と水を自由に与えられた。ウサギの体重は2~3kgの範囲であった。動物は、ストレスを軽減し、研究中により正確な測定値を得るために、順応期間中にIOP測定手順のために訓練された。IOP測定は、Icare(登録商標)TONOVETPlus眼圧計を使用して行われた。TONOVET Plusは非接触リバウンド眼圧計であり、局所麻酔を必要としない。ウサギにおける非接触眼圧計の使用技術は以前に説明されている。文献[Gloe et al, Validation of the Icare (登録商標) TONOVET Plus Rebound Tonometer in Normal Rabbit Eyes, Exp Eye Res. 2019 Aug;185:107698)]を参照。IOPの読み取り値は、眼圧計が適切な距離にあり、眼球表面に対して正しい平面にある場合にのみ取得される。向きが正しい場合は緑色のライトが表示されるため、オペレーターのエラーが最小限に抑えられる。測定は、同じ機器を使用して同じ人が同じ時刻に実行した。
【0405】
ヒアルロン酸ナトリウムによる急性高眼圧症の研究
ウサギの目の前房へのヒアルロン酸ナトリウムの注射は、急性の眼の高血圧状態を引き起こす。ウサギに2.3%ヒアルロン酸ナトリウムを右眼の前房に片側注射した。ヒアルロン酸ナトリウム注射の2時間後、注射前のIOPと比較して注射された右眼のIOPが増加した。実験1では、IOPが上昇した4匹のウサギの右眼を、通常の生理食塩水(0.9%NaCl、ビヒクル)で調製した30μlの化合物10.2HClで局所塗布した。眼圧が上昇した4匹の動物の別のグループは、右眼にのみ生理食塩水を投与された。両方のグループの左眼に、30μlの生理食塩水点眼薬を局所的に点眼した。IOPは、化合物の適用前(0時間)と適用後0.5、1、2、4、6、および24時間に両眼で評価された。
図10に示すように、化合物10.2HClは、「生理食塩水のみ」のグループと比較して、適用後1時間以内にIOPを大幅に減少させた。この効果は6時間続いた。 IOPは24時間以内にすべての動物で正常レベルに達した。
図10.右眼の前房への2.3%ヒアルロン酸ナトリウムの片側注射によって誘発された急性高血圧ウサギモデルにおける化合物10.2HClの有効性。注射の2時間後、生理食塩水中の化合物10.2HCl(1mg/ml、2.34mM)または生理食塩水(0.9%NaCl)30μl滴を右眼に適用した。両方のグループの左眼に生理食塩水を投与した。各測定における左眼からの右眼IOPの差を比較した。矢印は化合物適用時点を示している。各点と棒は、4匹のウサギの平均±SEMを表す。
【0406】
図11.急性高血圧ウサギモデルにおける化合物10.2HClおよびネタルスジル.2HClの有効性。右眼にヒアルロン酸注射の2時間後に30μLの点眼薬を点眼し、1つのグループは生理食塩水中の化合物10.2HCl(1mg/ml、2.34mM)を受け、別のグループは生理食塩水中の化合物ネタルスジル.2HCl(0.25mg/ml、0.47mM)を受けた。両方のグループの左眼に30μLの生理食塩水を注入した。各測定での左眼からの右眼IOPの差が比較される。矢印は化合物適用時点を示している。各点と棒は、4匹のウサギの平均±SEMを表す。
【0407】
緑内障のフェノール誘発慢性モデル
フェノールの結膜下注射を右眼に与え、左眼を対照として使用した。IOPはフェノール注射後毎日測定され、IOPはフェノール注射後8日で2倍になった。右眼に、生理食塩水(1mg/ml、2.34mM)中の化合物10.2HClを1日2回(午前8時と午後5時)5日間(8日目から12日目)注入した。すべての動物の左眼に30μLの生理食塩水を与え、対照として使用した。IOPの測定値は、化合物を適用する前の8~12日目の朝、および朝の塗布の0.5時間後と1時間後に取得した。
図12は、5日間の左眼との差として表されたIOP測定値を示している。化合物10.2HClを注入すると、適用後1時間以内にIOPが通常のレベルに低下した。その後の1日2回の適用は、通常のIOPを維持た。比較すると、IOPレベルは生理食塩水で処理されたウサギでは、5日間高いままであった。
図12.フェノール注射によって誘発された緑内障の慢性モデルにおける化合物10.2HClの有効性。生理食塩水中の化合物10.2HCl(1mg/ml、2.34mM)または生理食塩水のみの30μL点眼薬を、フェノール注射後8~12日目に右眼に1日2回適用した。8日目の朝の化合物または生理食塩水の適用時間は0時間として示されている。IOP測定は、朝の化合物適用の8~12日前、および朝の適用の0.5時間後と1時間後に行われた。データは、右眼と左眼のIOPの差として表される。各点と棒は、化合物10.2HClの場合は5匹のウサギ、生理食塩水の場合は2匹のウサギの平均±SEMを表す。
【0408】
正常血圧のウサギの研究
化合物I.2HClおよび10.2HClを正常血圧の眼で評価した。正常血圧研究の実験1では、化合物I.2HClの効果を1mg/ml(2.34mM)と0.5mg/ml(1.17mM)の2つの用量で測定した。生理食塩水で調製した化合物I.2HClを、1日1回、1、2、および3日目の朝に30μLの点眼薬として右眼に適用した。IOP測定は、試験品の添加前(0時間)および1日目と3日目に添加して1、2、4、6、および8時間後に行った。2日目は0時間の読み取りのみが行われた。これは、動物へのストレスを最小限に抑え、適用間でウサギを扱わずに2日目-0時間と3日目-0時間の測定値を比較するために行われた。化合物I.2HClは、両方の用量で1日目の点眼後2時間でIOPを有意に低下させた(
図13)。点眼から24時間後、IOPは増加したが、それでも通常のレベルを下回っていた。1mg/mlの用量では、IOPは3日目で通常のレベルよりも低いままであった。3日目に化合物を適用すると、IOPがさらに低下した。0.5mg/mlの用量では、IOPは3日目までに正常レベルに達したが、IOPは化合物の点滴注入後に1mg/mlの用量と同じレベルに減少した。両方の用量でIOPが約~35%著しく減少した。
図13.正常血圧のウサギのIOPに対する化合物I.2HClの効果。生理食塩水中の化合物I.2HCl(1.0または0.5 mg/ml、2.34または1.17mM)を1日1回、1、2、および3日目に点眼薬として適用した。生理食塩水で処理した反対側の左眼を対照として使用した。化合物添加後のIOPに対する時間依存性の影響は、対照の左眼とのIOPの差として示されている。矢印は、化合物適用時点を示している。すべての値は、それぞれ1mg/mlおよび0.5mg/mlについて8匹および10匹のウサギの平均±SEMである。
【0409】
正常血圧研究の実験2では、化合物10.2HClとI.2HClおよびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClを、市販のRefresh Tears(商標)(Allergan Inc、Irvine、CA、USA)に溶解することにより、0.5%カルボキシメチルセルロースで調製して、0.83mMの等モル濃度でテストした。正常血圧研究の実験1と同様に、化合物は1日目、2日目、および3日目の朝に右眼に1日1回適用されたが、左眼はRefresh Tears(商標)を適用して対照群として機能した。IOP測定は、1日目と3日目の0、1、2、4、6、8時間、および2日目の0時間に行われた。すべての化合物は、1日目の適用後2時間以内にIOPを大幅に低下させた。化合物10.2HClおよびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClと比較して、化合物I.2HClで顕著であった(
図14)。3日目に適用すると、IOPが大幅に減少した。
図14.正常血圧ウサギのIOPに対する化合物10.2HClとI.2HClおよびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClの効果。化合物は、0.83mMの0.5%カルボキシメチルセルロース(Refresh Tears(商標))で処方され、1、2、および3日目に点眼薬として1日1回適用された。Refresh Tears(商標)で処理された反対側の左眼が対照群として機能した。化合物添加後のIOPに対する時間依存性の影響は、対照の左眼とのIOPの差として示されている。矢印は、化合物適用時点を示している。すべての値は、7匹のウサギの平均±SEMである。
【0410】
ウサギにおける有効性研究は、本発明に開示された新規化合物の投与が、試験された3つの異なるモデルにおいてIOPを有意に減少させることを示している。
実施例22.急性眼刺激性/腐食性のインビボ試験
【0411】
この研究の目的は、ニュージーランド白ウサギの眼に適用した場合の化合物10.2HClおよびI.2HCl、ネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl、およびネタルスジル.2HClの眼の刺激/腐食の可能性を評価することであった。この研究は、急性眼刺激性およびOECD化学物質試験ガイドラインNo.405:急性眼刺激性/腐食、2017年、およびGood Laboratory Practicesに準拠して実施された。
【0412】
化合物10.2HClおよびI.2HClおよびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HCl(0.1ml、生理食塩水中20mg/ml)を、マイクロピペットを使用して左眼の結膜嚢に注入した。治療されなかった右眼が対照群として機能した。最初の試験動物の左眼は、24、48および72時間で眼病変を示さなかった。最初の試験の結果を確認するために、2匹の追加の動物で確認試験を行った。初期および確認試験動物の眼を細隙灯で眼病変について調べた。それらは、結膜浮腫(結膜浮腫)、結膜発赤、虹彩および角膜混濁の平均スコアについて等級付けされ、スコアはそれぞれ0.0、0.0、0.0および0.0であった。動物はまた、毒性、罹患率および死亡率の臨床的兆候について観察された。治療に関連した副作用は認められなかった。初期および確認試験動物の平均スコアは、GHS分類および化学物質の表示のどのカテゴリにも該当しなかった。したがって、化合物10.2HClとI.2HClおよびネタルスジル-M1-ラセミ体.2HClは、ニュージーランド白ウサギの目に刺激性がないと分類された(
図15)。
【0413】
ネタルスジル.2HClは、5mg/mlを超えては生理食塩水に溶解しなかった。したがって、0.1mlの5mg/mlを眼の刺激について試験した。OECDガイドライン405の条件下で、ネタルスジル.2HClは、結膜浮腫(結膜浮腫)、結膜発赤、虹彩、角膜混濁の平均スコアをそれぞれ4.0、3.0、2.0、3.0と評価された。 ネタルスジル.2HClは、ニュージーランド白ウサギの目に刺激を与えると分類された(
図15)。
図15.OECG405ガイドラインによるウサギの急性眼刺激。図は、試験品の適用から72時間後に実験で使用された動物の代表的な眼を示している。A;化合物10.2HCl、B;化合物I.2HCl、C;ネタルスジル-M1ラセミ体.2HCl、およびD;ネタルスジル.2HCl。
【0414】
前述のものは、本発明の原理を具体化するシステムなどの特定のものを提示する。当業者は、明示的に開示されていなくても、それらの原理を具体化し、したがって本発明の範囲内にある代替物および変形例を考案することができるであろう。本発明の特定の兆候が示され、説明されてきたが、それらは、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者は、以下の特許請求の範囲によって文字通りかつ同等にカバーされるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができることを理解するであろう。
【0415】
本明細書で引用されているすべての特許および出版物は、参照によりその全体が完全に組み込まれる。