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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】細胞塊を成長させる方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20230823BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20230823BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20230823BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12N5/071
A23L13/00 E
C12M1/00 D
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022525657
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2020061676
(87)【国際公開番号】W WO2021102375
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】62/938,087
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521286293
【氏名又は名称】アップサイド フーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー, ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ファンデルポール, ライアン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】シュウ, トーマス ペイ ジャ
(72)【発明者】
【氏名】リャン, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】カースウェル, キャサリン
【審査官】飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05786215(US,A)
【文献】特開2010-161954(JP,A)
【文献】特開2019-213519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N
C12Q
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の基材において細胞塊を成長させる工程であって、前記基材が、地面に対して85度~90度の角度を成す平面を有する、工程と、
細胞間相互作用及び細胞によって生成された細胞外マトリクスのうちの1つ以上によってまとめて保持された前記細胞の連続シートの状態で、前記基材から前記細胞塊を分離する工程と、を有し、
前記細胞塊を分離する工程は、前記基材に対して角度をつけて流体を噴射する工程を含むことを特徴とする細胞塊を成長させる方法。
【請求項2】
前記基材は、地面に対して85度の角度をつけられていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材は、前記装置内の複数の平行な基材の1つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記装置は、地面に垂直な軸に対して、5度以下の角度をつけられていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞塊を成長させる工程は、前記軸に実質的に平行に流体を供給することを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
隣接する基材間に流体を供給する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基材に対して角度をつけて流体を噴射する工程は、前記基材に対して10度の角度をつけて流体を噴射することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞塊を前記基材から分離する前に、前記装置から前記流体を除去する工程を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
流体拡散器を介して流体を供給する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記流体拡散器は、前記基材の表面を流れる実質的に均一なまたは層流の流れを供給するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記流体拡散器が、1以上の開口部を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記流体を供給する工程は、前記流体拡散器のテーパー面を用いて、所定のフローパターンで前記流体を前記基材に分配することを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記テーパー面は、円錐形状を有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材は、1以上のチャネル、1以上の溝、1以上の窪み、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記基材は、付着、増殖、分化および成熟を含む細胞のふるまいを向上させるためのコーティングを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記基材は、テクスチャー加工、コーティング加工、多孔質、円形、入れ子、複数周による構成、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記基材は、三次元格子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞塊は、食用の細胞ベースの肉製品を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞塊は、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、家禽、水生動物種の細胞、またはこれらいくつかの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2019年11月20日に提出した米国仮出願第62/938,087号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする。
【背景技術】
【0002】
培養中の細胞の増殖及び分化を助けるように構築された装置は、通常、細胞自体は単に回収されない副産物である一方で、培地に分泌された細胞の産物(例えば、抗体)を回収するように設計されている。さらに、これらの従来の装置は、消費に適した実用的な規模での連続細胞シート(例えば、細胞ベースの肉製品)の成長を助けるように設計されていない。そのため、肉製品を調製するためのシステム、装置、及び方法が望まれている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、細胞ベースの肉製品を調製するための装置及びシステム、ならびにそれらを使用する方法について記載する。一般的に、本明細書に記載の装置、システム、及び方法では、1以上の封入された基材において肉製品を成長させる。例えば、肉製品を調製するための装置は、空洞を含む筐体と、空洞内に配置され、長手方向の軸の周りに湾曲した複数の入れ子の表面と、肉製品の成長を助けるように構成された表面とを含む基材とを含み得る。基材は、長手方向の軸に実質的に平行な流体を受容するように構成しても良い。
【0004】
いくつかの実施形態では、筐体は、長手方向の軸が、地面に対して鋭角となるように地面に配置して構成することができる。いくつかの実施形態では、鋭角は少なくとも約85度であり得る。いくつかの実施形態では、分離器は、1以上の細胞間相互作用及び細胞によって生成された細胞外マトリックスによってまとめて保持された細胞の連続シートの形状で、肉製品を基材から分離するように構成され得る。いくつかの実施形態では、分離器は、流体を所定の角度で基材に向けて噴射するように構成された、1以上の流体ノズルを備え得る。いくつかの実施形態では、分離器は、流体が肉製品に噴射されたときに所定の軸を中心として回転するように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体は、約0.003m/秒から約3.0m/秒の間の線形速度で噴射され得る。
【0005】
空洞を規定する筐体、空洞内に配置され、肉製品の成長を助けるように構成された基材、及び、筐体に結合され、所定のフローパターンで流体を基材へ分配するように構成された流体拡散器を含み得る、肉製品を調製するための装置もここに記載される。基材の直径に対する流体拡散器の直径の比は、約3:4から約1:1の間であり得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、基材の表面全体に亘って実質的に均一な、または層流の流れを可能にするように構成され得る。流体拡散器は、1以上の開口部を備え得る。空洞は、ヘッドスペースを含み得、流体拡散器は筐体のヘッドスペース内に配置され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、所定のフローパターンで流体を基材に分配するように構成されたテーパー面を備え得る。いくつかの実施形態では、テーパー面は、凹形状、円錐形状、錐台形状、階段形状、及びフレア形状のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、テーパー面は、基材に対して最大約80度の角度を付けることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、第1の面及び第1の面に対向する第2の面とを含む双円錐を含み得る。第1の面は、流体を受容するように構成され得、第2の面は、第1の面から流体を受容し、流体を基材に分配するように構成され得る。
【0009】
また、装置の基材において食用肉製品を成長させ、1以上の細胞間相互作用と細胞によって生成された細胞外マトリクスによりまとめて保持された細胞の連続シートの形状で食用肉製品を基材から分離すること、を含み得る食用肉製品を調製する方法も本明細書に記載される。
【0010】
いくつかの実施形態では、食用肉製品を分離することは、渦巻状の基材に対して所定の角度で流体を噴射することを含む。いくつかの実施形態では、所定の角度は、基材に対して約0度から約10度の間であり得る。いくつかの実施形態では、渦巻状の基材は、装置の空洞内に配置され得る。いくつかの実施形態では、食用肉製品を基材から分離する前に、流体が装置から除去され得る。いくつかの実施形態では、基材は、渦巻形状を有し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、肉製品を調製するための装置は、空洞を規定する筐体、及び、筐体に結合された流体拡散器を含み得る。流体拡散器は、少なくとも約700μm2の総面積を含む複数の開口部を含み得る。肉製品を成長させるために、複数の基材が構成される。基材は、空洞内に配置され、流体拡散器に結合され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、少なくとも第1の部分及び第2の部分を含み得る。第1の部分は、第2の部分に対して、約90度から約170度の間で角度を付けることができる。いくつかの実施形態では、第1の部分及び第2の部分はそれぞれ、複数の基材に対して、最大で約80度の角度が付けられている。
【0013】
いくつかの実施形態では、流体拡散器の複数の開口部は、実質的に等間隔に配置されている。いくつかの実施形態では、複数の開口部はそれぞれ、少なくとも約30μmの直径を有する。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、第1の部分と第2の部分との間にインターフェースを含み、インターフェースは、1以上の複数の開口部を含む。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、複数の基材の近位端に結合されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、ステンレス鋼、セラミック、及びポリマーのうち1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、第1の部分及び第2の部分は実質的に平坦である。いくつかの実施形態では、筐体及び流体拡散器は実質的に円形であり、それぞれが内径及び外径を有する。流体拡散器の外径は、筐体の内径と実質的に同じである。
【0015】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、実質的に均一で層流の流れを複数の基材に出力するように構成される。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、筐体に分離可能に係合するように構成される。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、少なくともその一部が空洞内に配置される。
【0016】
いくつかの実施形態では、装置は、複数の流体チャネルを有する。いくつかの実施形態では、流体チャネルの少なくとも1つは、複数の基材のうちの少なくとも1つに関連付けられている。いくつかの実施形態では、1以上の流体チャネルは平面状である。いくつかの実施形態では、流体チャネルはそれぞれ、隣接する基材の間にある。いくつかの実施形態では、流体は、複数の流体チャネルを通って一方向に流れるように構成される。いくつかの実施形態では、複数の流体チャネルは、実質的に互いに平行である。いくつかの実施形態では、流体チャネルは、約0.3mmから約5.0cmの間の、隣接する基材間の空間を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の基材は互いに平行である。いくつかの実施形態では、1以上の基材は平面である。いくつかの実施形態では、1以上の基材は非平面である。いくつかの実施形態では、複数の基材は、ステンレス鋼、セラミック、及びポリマーのうち、1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、装置は、最大約10,000,000個の基材を含む。いくつかの実施形態では、複数の基材は、平板、長方形、棒、玉、及びディスク形状のうち、1以上を含む。いくつかの実施形態では、各基材の幅は、約10cmから約400cmの間である。いくつかの実施形態では、各基材は、約430cm2から約8,000cm2の間の面積を有する。いくつかの実施形態では、複数の基材は、筐体に分離可能に係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、1以上の基材は、基材の両面で肉製品を成長させるように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコレクタが筐体に結合されている。いくつかの実施形態では、コレクタは、少なくとも約25μm2の総面積を有する複数の開口部を含む。いくつかの実施形態では、コレクタは、複数の基材の遠位端に結合されている。いくつかの実施形態では、コレクタは、ステンレス鋼、セラミック、ポリマーのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、コレクタは、複数の基材から分離された肉製品を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、コレクタは、筐体に分離可能に係合するように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、筐体は、流体を受容するように構成された1以上の入口を備える。いくつかの実施形態では、筐体は、流体を出力するように構成された1以上の出口を備える。いくつかの実施形態では、1以上の入口は、筐体の第1の側面に配置され、1以上の出口は、筐体の第1の側面と反対側の、筐体の第2の側面に配置される。いくつかの実施形態では、筐体は、約25Lから約20,000Lの間の容積を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、1以上の出口は、複数の基材から分離された肉製品を出力するように構成された直径を有する。いくつかの実施形態では、筐体は、実質的に円筒形状を有する。いくつかの実施形態では、回転子が筐体に結合され、筐体の横軸を中心として筐体を回転させるように構成される。
【0021】
また、本明細書では、複数の基材と、装置に結合された流体ポンプと、流体ポンプに結合された流体源と、及び流体ポンプに結合された制御部とを含む装置を含む、肉製品を調製するためのシステムについて説明する。制御部は、肉製品が基材において成長するように第1の流体ポンプ信号を生成し、肉製品を基材から分離するように第2の流体ポンプ信号を生成するように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の流体ポンプ信号は、流体ポンプを使用して、実質的に均一で層流の流体を複数の基材に供給するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の流体ポンプ信号は、第1の流量を示し、第2の流体ポンプ信号は、第1の流量よりも多い第2の流量を示す。
【0023】
いくつかの実施形態では、1以上のセンサは、流体の1以上のパラメータを測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の流体ポンプ信号は、最大で毎秒約3.0メートルの流量を示す。いくつかの実施形態では、第2の流体ポンプ信号は、最大で毎秒約10メートルの装置内の線形速度に対応する。いくつかの実施形態では、流体源は増殖培地を含む。いくつかの実施形態では、増殖培地は細胞を含む。いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも約1日間、基材において肉を成長させるように構成される。
【0024】
また、装置の少なくとも1つの基材に複数の非ヒト細胞を供給し、増殖培地を含む第1の流体を使用して基材において細胞を培養することで、肉製品を生成し、装置内を流れる第1の流体または第2の流体を使用して、肉製品を基材から分離することを含む、肉製品を調製する方法もここに記載される。
【0025】
いくつかの実施形態では、細胞を培養することは、実質的に均一で層状の第1の流体を基材に提供することを含む。いくつかの実施形態では、約5,000細胞/cm2及び約100,000細胞/cm2が細胞に供給される。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の流体は、毎秒約0.0001メートルから毎秒約3.0メートルの間の速度で装置内を再循環される。いくつかの実施形態では、第1の流体は、第1の高さから第1の高さよりも低い第2の高さまで装置を通って流れる。いくつかの実施形態において、細胞は、少なくとも1日間、基材において培養される。いくつかの実施形態では、第1の流体は、基材を流れる平面流を構成する。いくつかの実施形態において、肉製品は、細胞から分泌される細胞外マトリックス及び/または細胞間相互作用によってまとめて保持される。
【0027】
いくつかの実施形態において、細胞は、筋芽細胞、メサンギオブラスト、筋線維芽細胞、間葉系幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、周皮細胞、脂肪細胞、上皮、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、多能性細胞、体性幹細胞、及び内皮細胞のうちの1つ以上を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、細胞は、家畜、家禽、狩猟動物、及び水生動物種からの1つまたは複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞を培養する際に、基材を地面に対して実質的に垂直に整列させる。いくつかの実施形態では、1以上の細胞を基材に供給するために、基材が地面に平行になるように装置を回転させることを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、分離された肉製品は、コレクタに受容される。いくつかの実施形態では、コレクタは、装置の空洞内に配置される。いくつかの実施形態では、コレクタは、装置の外部に結合される。いくつかの実施形態では、基材の肉製品は、約0.0001m3から約0.1m3の間の体積を有する。いくつかの実施形態では、基材は、肉製品を分離した後に滅菌される。いくつかの実施形態では、基材を滅菌した後に、別の肉製品が培養され、分離される。いくつかの実施形態では、基材を滅菌することは、装置を蒸気処理することを含む。いくつかの実施形態では、基材の少なくとも1つが装置から取り外される。
【0030】
また、ここに記載された装置及びシステムのいずれかを含む肉製品を調製する方法も本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、流体拡散器は装置から取り外される。いくつかの実施形態では、コレクタは装置から取り外される。また、ここに記載されている方法によって生成された肉製品も、ここに記載される。
【0031】
特許または出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含む。この特許または特許出願の出版物とカラー図面のコピーは、要求と必要な料金の支払いに応じて、事務所から提供される。本出願は、添付の図と併せて以下の説明を参照することにより理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、肉製品を調製するためのシステムの例示的な実施形態を示すブロック図である。
図2A図2Aは、肉製品を調製するための装置の例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図2B図2Bは、図2Aに示される装置の例示的な側面図である。
図2C図2Cは、肉製品を調製するための装置の別の例示的な実施形態である。
図2D図2Dは、図2Cに示される装置の例示的な側面図である。
図2E図2Eは、図2Cに示される装置の別の例示的な側面図である。
図3A図3Aは、肉製品を調製するための装置の例示的な実施形態の例示的な断面側面図である。
図3B図3Bは、図3Aに示される装置の内部構成要素群の例示的な斜視図である。
図3C図3Cは、図3Bに示される装置の内部構成要素の例示的な断面斜視図である。
図3D図3Dは、図3Bに示される装置の内部構成要素の例示的な側面図である。
図4A図4Aは、流体拡散器の例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aに示される流体拡散器の例示的な平面図である。
図4C図4Cは、図4Aに示される流体拡散器の別の例示的な斜視図である。
図4D図4Dは、図4Aに示される流体拡散器の例示的な側面図である。
図5A図5Aは、複数の基材の例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図5B図5Bは、図5Aに示される基材の例示的な側面図である。
図6A図6Aは、コレクタの例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図6B図6Bは、図6Aに示されるコレクタの例示的な平面図である。
図6C図6Cは、図6Aに示されるコレクタの例示的な側面図である。
図7A】、
図7B】、
図7C】、
図7D図7A図7B図7C、及び図7Dは、肉製品を調製するための装置の組み立てプロセスの例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図8図8A図8B、及び図8Cは、肉製品を調製するための装置のための回転処理の例示的な実施形態の例示的な側面図である。
図9A】、
図9B図9A及び図9Bは、肉製品を調製するための装置の例示的な実施形態を通る流体の流れの例示的な断面側面図である。
図10A図10Aは、肉製品を調製するための装置の例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図10B図10Bは、図10Aに示される装置の例示的な正面図である。
図10C図10Cは、図10Bに示される装置の内部構成要素の例示的な側面図である。
図11A図11Aは、流体拡散器の例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図11B図11Bは、図11Aに示される流体拡散器の例示的な側面図である。
図11C図11Cは、図11Aに示される流体拡散器の例示的な平面図である。
図12A図12Aは、複数の基材の例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図12B図12Bは、図12Aに示される基材の例示的な側面図である。
図12C図12Cは、図12Aに示される基材の例示的な正面図である。
図12D図12Dは、図12Aに示される基材の例示的な平面図である。
図13A図13Aは、肉製品を調製するための装置の例示的な実施形態の例示的な断面側面図である。
図13B図13Bは、図13Aに示される装置の別の例示的な側面図である。
図13C図13Cは、図13Aに示される装置の例示的な斜視図である。
図13D図13Dは、図13Aに示される装置の例示的な断面斜視図である。
図13E図13Eは、図13Aに示される装置の別の例示的な断面斜視図である。
図13F図13Fは、図13Aに示される装置の例示的な平面図である。
図14A図14Aは、流体拡散器の例示的な実施形態の例示的な平面図である。
図14B図14Bは、図14Aに示される流体拡散器の例示的な斜視図である。
図14C図14Cは、流体拡散器及びホルダの例示的な実施形態の例示的な側面図である。
図14D図14Dは、図14Cに示される流体拡散器及びホルダの例示的な斜視図である。
図15A】、
図15B】、
図15C】、
図15D図15A図15B図15C、及び図15Dは、流体拡散器の例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図16A図16Aは、基材の例示的な実施形態の例示的な斜視図である。
図16B図16Bは、図16Aに示される基材の例示的な側面図である。
図16C図16Cは、図16Aに示される基材の例示的な平面図である。
図16D図16Dは、図16Cに示される基材の例示的な詳細な平面図である。
図16E図16Eは、筐体内に配置された図16Aに示される基材の例示的な平面図である。
図16F図16Fは、基材の例示的な実施形態の例示的な概略図である。
図16G図16Gは、基材の別の例示的な実施形態の例示的な概略図である。
図17A図17Aは、肉製品を調製するための装置の分離器の例示的な実施形態の例示的な概略図である。
図17B】、
図17C図17B及び図17Cは、分離器及び基材構成の例示的な実施形態の例示的な概略図である。
図18A】、
図18B】、
図18C】、
図18D】、
図18E図18A図18B図18C図18D、及び図18Eは、肉製品を調製するための装置の例示的な実施形態を通る流体の流れの例示的な断面側面図である。
図19図19は、本開示の装置を使用して肉製品を調製するための例示的な方法の例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
本明細書で提供されるシステム、装置、及び方法は、肉製品を調製するための培養細胞(例えば、細胞シート)の成長、接着、分離、及び/または保持に関する特性を制御するのに有用である。一般に、本明細書に記載のシステム、装置、及び方法は、多数の細胞を成長させ、1以上の基材に所定時間付着させて、肉製品を生成する。いくつかの実施形態では、基材の数及び/またはサイズを調整して、所定量の肉製品を生成することができる(例えば、細胞ベースの肉製品を形成するための商業規模の処理の一部として、本明細書では、食用組織とも呼ぶ)。
【0034】
食用肉の生産のための大規模な細胞増殖が直面する特定の課題は、本明細書で提供されるシステム、装置、及び方法によって対処される。細胞培養容器やバイオリアクタ等の従来の装置は、浮遊培養で細胞を培養するために利用され、細胞シートを持続的に増殖させることができないため、肉の生産には適していない。付着細胞の成長のために設計された他の従来の装置は、サイズが制限されており、それらのサイズの制約に対応するために曲がりくねった流体チャネルを組み込んでいる。対照的に、本明細書に記載の装置は、肉製品を生成するのに十分な物理的寸法の細胞(例えば、細胞シート)を成長させるために費用効果の高い大きさにすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、本開示の装置における1以上の細胞シートの成長には、細胞が所定期間(例えば、成長期間)基材に付着し続け、及び/または細胞状態(例えば、観察された代謝の印は細胞分化の変化)である十分な時間を必要とする。1以上の流体(例えば、増殖培地、培養培地、液体)は、1以上の基材における細胞増殖/分化/付着を促進するために、所定のフローパターンで装置内を流れることができる。しかしながら、大きな表面領域に所定の流体の流れを提供することは難しい。本明細書に記載されるように、流体拡散器は、流体を受容し、実質的に均一な層流で流体を1以上の基材に分配して、1以上の基材の表面領域全体で一貫した細胞増殖を促進するように構成され得る。
【0035】
細胞が1以上の基材において細胞シートに成長すると(例えば、肉製品の生産)、成長した肉製品を、さらなる処理のために、できれば所定の寸法で、実質的にそのままの状態で、及び/または同時期となるように装置から回収することが望ましい。いくつかの実施形態では、1以上の細胞シートの回収は、流体放出メカニズム(例えば、流体ベースの剪断応力)によって支援され、それにより、制御され、且つ、大規模な食用肉製品の生産及び収集を可能にする。いくつかの実施形態では、細胞の成長用途以外の流体を使用して、収集のための最終生成物として、生成された細胞シートを基材から分離することができる。例えば、分離器は、別の流体を受け取り、成長した肉製品を基材から分離するのに十分な所定の流れパターンで、1以上の基材に分配するように構成され得る。従って、本明細書に記載の装置は、従来のシステム及び技術に比べて、装置における細胞シートの成長、付着、保持、及び分離のうちの1つまたは複数に有意な改善を提供する。さらに、装置を、分解し、滅菌して、再利用されるように構成することで、廃棄物及びコストを削減し、生産効率を改善することができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、細胞シートは、単層の細胞または多層の細胞のいずれかであり得る。細胞シートは、細胞外マトリクス(ECM)を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞シートは、細胞によって生成されたECMによってまとめて保持され得、及び/または、細胞は、細胞間結合タンパク質を介してシートを形成し、実質的に連続的な単位を形成し得る。例えば、十分なECMタンパク質の分泌は、細胞間及び細胞-ECM間相互作用の組み合わせを介して、構成細胞が実質的に連続した細胞シートとして互いにくっつくことを可能にする。いくつかの実施形態では、細胞シートは、ECM等の内因的に生成された土台によってまとめて保持される。他の実施形態では、ECMは外因的に提供される。
【0037】
いくつかの実施形態では、肉製品を調製する方法は、複数の非ヒト細胞を装置の基材に供給し、増殖培地を含む第1の流体を使用して基材において細胞を培養することで肉製品(例えば、細胞シート)を生成し、装置内を(例えば、1つ以上の分離器を通って)流れる第2の流体を使用して、肉製品を基材から分離することを含み得る。
【0038】
I.装置
本明細書では、封入された基材における細胞シート(肉製品)の成長及び基材からの肉製品の分離の少なくともいずれかを制御するための装置を提供する。
【0039】
肉製品を調製するための本開示の装置は、(a)空洞を規定する筐体(例えば、チャンバー、ハウジング、容器)と、(b)複数の開口部を有する、筐体に結合された流体拡散器と、(c)肉製品を成長させるように構成された複数の基材であって、空洞内に配置され、流体拡散器に結合された複数の基材と、を含む。いくつかの実施形態では、装置は、肉製品を1以上の基材から分離するように構成された分離器と、及び肉製品を収集するために筐体に結合されたコレクタと、をさらに含み得る。
【0040】
装置の構成要素(例えば、筐体、流体拡散器、基材、分離器、コレクタ)は、これらに限定されるものではないが、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シリコーン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ビニル、フェノール樹脂、石油由来ポリマー、ガラス、ポリエチレン、テレフタレート、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、コバルトクロム、クロム、ケイ酸塩、ガラス、合金、セラミック、炭水化物ポリマー、ミネラル様物質、及びそれらの組み合わせまたは複合体のうち、1つ以上を含む材料から構成され得る。
【0041】
これらの構成要素は、本明細書において順番にさらに詳細に説明される。装置の非限定的かつ例示的な実施形態は、図1図3A図3D図7A図7D図8A図8C図10A図10C、及び図17A図17Cを参照してより詳細に例示及び説明される。図2A図9B及び図17A図17Cは、肉製品を調製するための装置の第1の例示的な実施形態を示している。図2A図2E図10A図12B、及び図17A図17Cは、肉製品を調製するための装置の第2の例示的な実施形態を説明している。図2A図2E及び図13図17Cは、肉製品を調製するための装置の第3の例示的な実施形態を示している。
【0042】
A.筐体
一般に、装置の筐体は、肉製品の無菌成長を可能にするために密封されたチャンバーを提供するように構成され得る。筐体は、流体を受け入れるように構成された1以上の入口と、流体を出力するように構成された1以上の出口とを備え得る。いくつかの実施形態では、1以上の入口を筐体の第1の側面に配置し、1以上の出口を、筐体の第1の側面の反対側の筐体の第2の側面に配置し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも約1Lの内部空洞容積を含む寸法を有し得る。例えば、装置は、約25Lから約200Lの間、約100Lから約500Lの間、約500Lから約1,000Lの間、約1,000Lから約40,000Lの間、及びその間のすべての値とサブ範囲を含む、内部容積を有し得る。いくつかの実施形態では、空洞は、ヘッドスペースを含み得る。流体拡散器は、筐体のヘッドスペース内に配置することができる。
【0044】
筐体の非限定的かつ例示的な実施形態を、図2A図2E図3図7A図7D図8A図8C図9A図13A図13C図13E図13F、及び図18A図18Eを参照して、より詳細に例示及び説明する。
【0045】
B.流体拡散器
本開示の装置は、流体を受け入れ、1以上の基材に所定の流体の流れを供給するように構成された、1以上の流体拡散器(本明細書ではフローコンディショナーまたはフローレギュレーターとも呼ぶ)を含む。例えば、流体拡散器は、流体を受け取り、複数の基材に、実質的に均一な層流のような所定の流体フローパターンで分配して、1以上の基材の表面全体で一貫した細胞増殖を促進するように構成され得る。例えば、流体拡散器は、入口から流体を受け取り、1以上の基材に線形の流体の流れを提供するように構成され得る。このようにして、流体は、比較的狭い入口ポートを介して筐体の空洞に導入され、比較的広い寸法(例えば、直径、長さ、幅)を有する1以上の基材全体に均一に分配され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、流体拡散器を流れる流体の流れは、重力によって支援され得る。いくつかの実施形態では、装置は、流体を受け入れるように構成された入口と、流体を出力するように構成された1以上の出口とを備え得る。従って、そのような実施形態では、流体拡散器は、入口と1以上の基材との間で結合され得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、入口とは別の構成要素であっても、入口と統合されていてもよい。流体拡散器は、筐体のヘッドスペース内に配置することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、基材の寸法よりも小さい寸法(例えば、直径)を有し得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、基材の寸法(例えば、直径、長さ、幅)に対する流体拡散器の寸法の比が、約3:4から約1:1の間であることを含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、所定のフローパターンで流体を基材に分配するように(例えば、基材の直径全体にほぼ均等に流体を分配するように)構成されたテーパー面を備え得る。テーパー面は、凹形状、円錐形状、錐台形状、階段状、及びフレア形状のうちの1つまたは複数を含み得る。例えば、テーパー面は、基材に対して最大約80度の角度を付けることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は双円錐を含み得る。例えば、双円錐は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを含み得る。第1の面は、流体を受け取るように構成され、第2の面は、第1の面から流体を受け取って、流体を基材に分配するように構成され得る。流体拡散器は、基材の直径全体に亘って実質的に均一、または層流の流れを可能にするように構成され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は放射対称であり得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器の長手方向軸は、基材に対して実質的に垂直であり得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器及び基材は、最大約20cmの所定の間隔を有する。例えば、流体拡散器は、流体が流体拡散器から基材に下向きに流れるように、基材に対してより高い位置(例えば、上)に配置され得る。渦巻状(例えば、巻物状)の構成を有する基材の場合、流体は、基材の高さ方向に、渦巻の各周の間をそれぞれ通って並列に流れることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、複数の開口部を含み得る。いくつかの実施形態では、開口部は、少なくとも約700μm2の総面積を含み得る。開口部は、任意の形状(例えば、円形、多角形、スリット、及びそれらの組み合わせ)であり得る。いくつかの実施形態では、開口部の形状はほぼ円形であり、各開口部は約30μmの直径を有し、これにより、増殖培地が流体拡散器を通過することができる。他の実施形態では、円形開口部の直径は、約30μmから約10cmの間、約0.5cmから約3cmの間、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含み得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器の複数の開口部は、実質的に等間隔に配置され得る。いくつかの実施形態では、開口部のサイズと頻度の少なくともいずれかは、流体拡散器の中心からの距離の関数として変化し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、一部分のみで構成し得る。他の実施形態では、流体拡散器は、2つ以上の部分(例えば、少なくとも第1の部分とセクション部分)を有し得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器の1つまたは複数の部分は、実質的に平坦であり得る。他の実施形態では、第1及び第2の部分は互いに隣接し、流体拡散器のこれらの隣接する部分は、互いに対して角度が付けられ、例えば、約90度から約170度の間であり、その間のすべての値及びサブ範囲を含む。例えば、部分間の角度が大きいほど、流体拡散器の高さを低くすることができる。さらに、流体拡散器の前述の部分は、複数の基材に対して最大約80度まで角度を付けることができる。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、隣接する部分間のインターフェース、例えば、第3の部分を構成するインターフェースを有する。インターフェースは、選択的に開口部を有し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、筐体と分離可能に係合するように構成され得、そして少なくとも一部が空洞内に配置され得る。例えば、流体拡散器は、筐体のヘッドスペース(例えば、基材の上の空きスペース)内に配置することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、装置は、複数の流体拡散器を有し得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、基材の上及び/または下に配置され得る。例えば、基材の上に配置された流体拡散器は、重力により基材に流体を下向きに分配し得、一方、基材の下に配置された流体拡散器は、重力に逆らって基材に流体を上向きに分配し得る。
【0055】
流体拡散器の非限定的かつ例示的な実施形態は、図1図3A図3D図4A図4C図7A図7B図9A図10A図10C図11A図11C図13A図13F図14A図14D図15A図15D、及び図18A図18Eに図示されており、これらの図を参照して、より詳細に説明される。
【0056】
C.基材
本開示の装置における複数の基材により、肉製品を高密度に成長させることが可能になる。例えば、基材は、細胞の接着、分化、及び/または成長を促進して食用の肉製品を形成するように構成された表面を含み得る。所定のサイズに成長すると、成長した肉製品は、本明細書でより詳細に説明される各基材から分離され得る。本開示の基材は、任意の所定のサイズであり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、空洞内に配置された基材は、平らな基材よりも、高密度な組織成長を可能にし、基材の構造的剛性を高めるために、軸(例えば、筐体または基材の長手方向軸)を中心として巻かれ得る。基材の湾曲により剛性が増加するため、それに応じて基材を薄くすることが可能になり、これにより、肉製品の成長を助けるために利用可能な体積をさらに増やすことができる。例えば、基材は、空洞内に配置され得、長手方向軸の周りを湾曲し、肉製品の成長を助けるように構成された表面を有する、複数の入れ子になった表面(例えば、渦巻形状、巻物状の基材)を含み得る。例えば、入れ子になった表面は、少なくとも1つの他の管内に1つの管(例えば、内管、外管)を含み得る。渦巻状基材は、長手方向軸の周りを回転させることができる。いくつかの実施形態では、巻物状基材は、少なくとも約1cmの外径を有し得る。いくつかの実施形態では、基材は、少なくとも約1μmの厚さを有し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、巻物状基材は、所定の軸の周りに2回以上巻かれ得る。例えば、基材は、軸を中心とした複数の周を有し得る。すなわち、基材は、それ自体が複数回巻かれることで、一般的な渦巻状の形状を形成することができる。渦巻の各周は、自身の周りを(例えば、基材の最も内側の端に対して)、基材が完全に一周する構成を有し得る。いくつかの実施形態では、基材を、(例えば、2回以上巻いたり、2周以上を形成するために)軸を中心に360度を超えて曲げることができる。いくつかの実施形態では、基材を、筐体または基材の長手方向軸の周りに曲げることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、基材の隣接する周(例えば、層、表面)は、流体の流れ及び肉製品の成長を助けるように構成された、所定の間隔を含み得る。例えば、基材の各周の間の空間により、流体の流れ及び基材の表面上での肉製品の成長を可能にし得る。すなわち、流体チャネルが隣接する周の間に形成され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、基材は、第1の基材部分と、第1の基材部分とは別に形成された第2の基材部分とを含み得る。第1の基材部分の端部は、第2の基材部分の端部に近接していてもよい。いくつかの実施形態では、第1の基材部分の端部は、第2の基材部分の端部に結合され得る(例えば、端部同士の構成で結合され得る)。いくつかの実施形態では、第1の基材部分の端部は、第2の基材部分の端部と重なり合っていてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、基材は、任意の組み合わせで結合された3つ以上の基材部分を含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、巻物状基材(例えば、渦巻状基材)は、周が互いに対して所定の間隔を有するという点で自己間隔をとるように構成され得る。例えば、基材は、自然に渦巻形状を形成するような所定の曲率で形成され得る。基材の表面上の1以上の突起により、基材の各周が一般に所定の間隔によって分離されることを確実にすることができる。いくつかの実施形態では、基材の表面は、少なくとも約0.5mmの高さを有する1以上の複数の突起を有し得る。隣接する(例えば、近接する)突起は、基材の表面に沿って最大で約20cmの所定の間隔を含み得る。所定の間隔は、基材の半径に基づいていてもよい。例えば、所定の間隔は、基材の最も内側の部分から最も外側の部分方向に、またはその逆方向に増加し得る。1以上の突起は、線形または非線形の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、1以上の突起を基材の表面に刻印することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、基材は、地面(例えば、地面)に対して角度を付けてもよい(例えば、傾斜させる)。角度が付けられた基材は、地面に垂直に配置された基材と比較して、基材の表面上で肉製品の成長を促進し得る。例えば、地面から離れる方向を向いている基材の表面は、肉製品の接着、分化、及び成長を助けるように構成され得る。いくつかの実施形態では、基材及び筐体は、地面に対して角度を付けてもよい。いくつかの実施形態では、筐体は、地面に置かれるように構成され得る。基材は、地面に対して鋭角を成す長手方向軸を定義することができる。いくつかの実施形態では、鋭角は、少なくとも約85度であり得、90度を含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、各基材は、約10cmから約400cmの間の幅、及び、その間のすべての値及びサブ範囲を含む寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の基材は、最大約10,000,000個、及び、その間のすべての値及びサブ範囲を含む数の基材を含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、隣接する(例えば、近接する)基材間の間隔は、約0.3mmから約5.0cmの間、及び、その間のすべての値及びサブ範囲であり得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、各基材は、最大約150,000,000cm2、及び、その間のすべての値及びサブ範囲の領域を含み得る。
【0066】
本明細書に記載の基材は、装置に配置され、及び/または装置と一体になるようなサイズ及び形状を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の基材を所定の配置で使用することができる。他の実施形態では、複数の基材は、多層細胞シートを装置内に形成することを可能にする平行平板構成(例えば、互いに隣接している)に配置され得る。例えば、平行平板構成は、平板間における流体(例えば、増殖培地、栄養素)の灌流を可能にする。いくつかの実施形態では、流体チャネルの形状(以下で更に説明する)は、隣接する基材間の空間を含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、基材は実質的に平面であり得る。追加的または代替的に、1以上の基材は非平面であり得る。例えば、各基材は、長方形、棒、玉、ディスク、渦巻、コイル、螺旋、波形、及び正弦波形状(例えば、ラシヒリングスーパーリング)のうちの1つまたは複数を有し得る。例えば、筐体の空洞を満たすように構成された複数の球形の玉は、肉製品の成長のための高密度且つ大きな表面積の両方を有し得る。球形の玉の間の対応するスペースは、装置の流体チャネルを構成する。基材は、互いに平行である必要はなく、互いに角度を付けたり、交差させたりすることができる。基材の表面は、流体チャネルとして構成された1以上のチャネル、溝、及び窪みを含み得る。いくつかの実施形態では、基材は、筐体の内部容積をよりよく利用するために、筐体の1つ以上の寸法(例えば、長さ、幅、直径)の方向に延ばすことができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、基材は、順序付けられた、または順序付けられていない配置で設置され得る。例えば、複数の棒基材をランダムなパターンで配置することができる。複数の基材は、複数の形状(例えば、平板及び棒、玉及びコイル)を含み得る。1以上の基材は、対称または非対称な配置で設置してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、基材は、基材の両面で肉製品を成長させるように構成され得る。これにより、基材において成長する肉製品の量を増やすことができる。
【0070】
本明細書に記載の基材は、これらに限定されるものではないが、内胚葉、中胚葉、外胚葉、及びそれらの組み合わせのうち、1つ以上からなる細胞を含む細胞の成長及び維持を助ける。いくつかの実施形態では、細胞は、家畜(例えば、牛、豚、羊、山羊)、家禽(例えば、鳥類)、狩猟動物、水生動物種等からの1以上の細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、筋芽細胞、メサンギオブラスト、筋線維芽細胞、間葉系幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、周皮細胞、脂肪細胞、上皮、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、周皮細胞、多能性幹細胞、体性幹細胞、及び内皮細胞のうちの1つ以上を含む。本明細書に記載の細胞の種類は、それらの分化状態のいずれかをさらに包含する。例えば、細胞には、筋芽細胞、筋管、成熟骨格筋、線維芽細胞、細胞及び分泌された細胞外マトリックスを含む組織、脂肪細胞、脂肪組織、上皮細胞、上皮組織、血管内皮、それらの組み合わせ等が含まれる。いくつかの実施形態において、細胞は、脊椎動物細胞または非脊椎動物細胞を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞は、非哺乳動物細胞(例えば、昆虫細胞、鳥類細胞、魚類細胞、爬虫類細胞、無脊椎動物細胞)を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞は、それらの本来の状態から遺伝的に改変され得る(例えば、遺伝子の挿入、削除または組換え)。遺伝子改変の例として、筋原性転写因子が過剰発現するように操作された細胞が含まれる。細胞は、例えば、異なる比率で存在する可能性がある。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される装置、システム、及び方法は、2014年10月30日に出願された国際公開番号WO 2015/066377、2017年1月17日に出願された国際公開番号WO 2017/124100、2018年5月5日に出願された国際公開番号WO 2018/208628、2018年7月13日に出願された国際公開番号WO 2019/014652、2020年5月28日に出願された国際出願番号PCT/US2020/034949、及び2019年11月20日に出願された米国特許出願番号62/938,087の記載を含み、それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする。
【0071】
他の実施形態では、基材は、外因的に提供される三次元格子様構成(例えば、スキャフォールド)内、及び/または当該構成と組み合わせて配置することができる(例えば、三次元の、多孔性及び/または格子状の構造を含む)。
【0072】
他の実施形態では、基材は、外因性のスキャフォールドを有さず、スキャフォールドが無い(例えば、細胞によって内因的に生成されない三次元の多孔性及び/または格子状の構造を除外する)。従って、そのような実施形態では、細胞シートは、外因性の非自然に分泌されたスキャフォールド構造が存在しない状態で成長させることができる(しかしながら、例えば、自然に分泌される内因的に生産される細胞外マトリックス(ECM)の存在下で成長させることができる)。
【0073】
本明細書に記載の基材は、固体材料及び半固体材料(例えば、ヒドロゲル)のうちの、1つ以上から構成され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、基材は、細胞/細胞シートの接着、分化、及び成長を促進するために凹凸を有する表面を含み得る。いくつかの実施形態では、1以上の基材を操作して、1つ以上の特性を強化することができる(例えば、接着性を改善するためにコーティングする)。
【0075】
基材の非限定的な例示的な実施形態は、図1図3A図3D図5A図5B図7A図7D図8A図8C図9A図9B図10A図10C図12A図12D図13A図13F図16A図16F、及び図18A図18Eに図示し、これらを参照してより詳細に説明される。
【0076】
D.流体チャネル
一般的に、開示の装置は複数の流体チャネルを有する。流体チャネルの少なくとも1つは、複数の基材の少なくとも1つに関連付けられる。液体は、複数の流体チャネルを通って一方向に流れるように構成され得る。例えば、流体は、所定の経路に沿って、より高い位置からより低い位置に流れる(例えば、線形経路)。いくつかの実施形態では、流体チャネルは、隣接する基材の間、または巻物状基材の隣接する周(回転、層、表面等)の間に形成され得る。例えば、渦巻状の基材は、渦巻状の流体チャネルを構成し得る。いくつかの実施形態では、基材は、流体チャネルの所定の幅を維持するように構成された1つ以上の間隔を開けるための特徴(例えば、突起)を有し得る。複数の流体チャネルは、同じまたは異なる形状及び/または寸法を有していてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、各流体チャネルは、約0.3mmから約5.0cmの幅、及び、その間のすべての値とサブ範囲を有し得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、1以上の流体チャネルは平面であり得る。いくつかの実施形態では、各流体チャネルは、隣接する基材の間にあり得る。いくつかの実施形態では、複数の流体チャネルは、互いにほぼ平行であり得る。
【0079】
流体チャネルの非制限的な例示的な実施形態は、図1図3A図3D図5A図5B図7A図7D図8A図8C図9A図9B図10A図10C図12A図12D図13A図13F図16A図16F、及び図18A図18Eに図示し、これらを参照してより詳細に説明される。
【0080】
E.分離器
いくつかの実施形態では、装置は、所定の方法で複数の基材から肉製品を分離するように構成された1以上の分離器を含み得る。例えば、流体ノズル等の分離器は、肉製品が所定のサイズを有する部分として回収することができるように、流体(例えば、液体、水)を受け取り、所定のフローパターンで1つ以上の基材に分配し、成長した肉製品を基材から分離するように構成し得る。例えば、肉製品は、連続した組織シートとして装置から分離及び回収することがで(例えば、組織シートが完全な状態を維持している)、ばらばらの細胞の集合ではなく、所望の形状またはテクスチャーを維持することができる。例えば、連続した組織シートを、回収のために基材から滑り落としてもよい。いくつかの実施形態において、システムの無菌性は、組織を基材から分離している間維持され得、これにより、効率を上げると共に、実行時間を減少させることができる。例えば、分離器は、筐体を開かずに動作するように構成され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、1以上の分離器は、装置の筐体と一体的または別に構成され得る。例えば、第1の分離器を筐体の側壁内に配置し、第2の分離器を筐体の空洞内に配置しても良い。例えば、第2の分離器は、装置内に配置された流体拡散器、基材、または他の構成要素のうちの少なくともいずれかに結合(例えば、固定)され得る。1以上の分離器は、肉分離処理を支援するために、基材に対して並進及び/または回転するように構成してもよい。例えば、分離器は、筐体の中心と周辺との間を放射状に移動することで、より大きい体積の基材に流体を分配するように構成され得る。 追加的または代替的に、分離器は、流体を所定の(例えば、周期的な)パターンで分配するように回転することで、より大きい体積の基材から肉を分離するように構成され得る。
【0082】
図17Aは、複数の分離器(1740)を備えた装置(1700)の概略図である。装置(1700)は、入口(1712)及び出口(1714)を含む筐体(1710)を含み得、さらに空洞(1716)を規定し得る。空洞(1716)内には、流体拡散器(1720)、及び、少なくとも1つの基材(1730)が配置され得る。いくつかの実施形態では、1以上の分離器(1750)(例えば、流体ノズル)は、筐体(1710)の内壁に結合され得る。例えば、分離器(1750)は、筐体(1710)と統合され、筐体(1710)から空洞(1716)に突出し得る。分離器(1750)は、所定の流体フローパターン(1750)で流体を基材(1730)に分配するように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体フローパターンは、扇状、スプレー、ジェット、柱、固体流、フルコーン、中空コーン、ミスト、間欠、液滴、回転、または静的パターンのうちの1つまたは複数を含み得る。例えば、流体の流れのパターンは、比較的高い圧力を有する小さな直径(例えば、集中流)または比較的低い圧力を有する大きな直径(例えば、拡散噴霧)を含み得る。いくつかの変形例では、流体の流れは、約0PSIから約50PSIの間の圧力を有し得る。説明のために、図17Aは、扇状パターンを有する流体フローパターン(1750)を持つ分離器(1740)を示している。例えば、流体(1750)は、図17B及び図17Cを参照してより詳細に説明されるように、肉製品と基材(1730)との間の界面に平行及び/または垂直に噴射され得る。いくつかの実施形態では、分離器(1750)は、筐体(1710)の側壁、上部、下部、蓋、ヘッドスペース(例えば、基材(1730)の上の空きスペース)等のうちの1つまたは複数の中に配置され得る。
【0083】
流体拡散器(1720)は、入口(1712)と少なくとも1つの基材(1730)との間に配置され得る。例えば、流体拡散器(1720)は、筐体(1710)のヘッドスペース内に配置され得る。流体拡散器(1720)、基材(1730)、及び分離器(1740)のいずれも、取り外し可能であるか、または筐体(1710)に固定され得る。いくつかの実施形態では、1以上の流体(例えば、液体、増殖培地、気体)は、入口(1712)から出口(1714)に向けて流れるように構成され得る。流体拡散器(1720)は、所定の流れパターンで流体を受け取り、1以上の基材(1730)に分配するように構成され得る。いくつかの実施形態では、筐体(1710)は、複数の入口、出口、及び分離器(1740)を含み得る。
【0084】
分離器(1750)から分配される流体は、任意の所定の方向及び/またはパターンで流れるように構成され得る。例えば、第1の分離器は、流体を、基材(1730)の最も内側の部分(例えば、図17Aの中心)に、より高い位置からより低い位置(例えば、下向き)まで分配するように構成し、第2の分離器は、流体を、側面(例えば、筐体(1710)の側壁)から基材(1730)の最も外側の部分に分配するように構成され得る。
【0085】
図17B及び図17Cは、基材に対する分離器の構成の概略斜視図である。特に、図17Bは、基材(1730)に対して垂直に(例えば、基材(1730)の厚さ全体に)、扇状の流体フローパターン(1752)を分配するように構成された分離器(1742)(例えば、流体ノズル)を示す。例えば、垂直なフローパターン(1752)は、基材(1730)の平行平板(または渦巻の周)のそれぞれと交差する平坦な扇状のスプレーパターン(例えば、流体シート)を形成する。いくつかの実施形態では、分離器は、基材に対して最大約10度の所定の角度で流体を基材に噴射するように構成され得る。例えば、分離器(1742)の真下にある基材(1730)の一部は、0度で流体を受け、基材(1730)の他の部分は、所定の角度で流体を受けることができる。いくつかの実施形態では、分離器(1742)は、基材(1730)に対して設定され、及び/または横切るように動かされて、基材(1730)のより大きな表面積全体にスプレーパターンを分配することができる。図17Bに示される垂直構成の分離器(1742)は、基材の両面の組織を分離するように構成され得る。例えば、ノズルからの流体の流れを直接受けない組織は、流体の流れの噴射により基材(1730)から分離し得る。
【0086】
図17Cは、基材(1730)に対して平行な、扇状の流体フローパターン(1754)を分配するように構成された分離器(1744)(例えば、流体ノズル)を示す。例えば、平行フローパターン(1754)は、基材(1730)の平行平板(または周)の1つ(例えば、図17Cの最も後方の平板)と交差する平坦な扇状スプレーパターン(例えば、流体シート)を形成する。図17Cでは、分離器(1744)の真下にある基材(1730)の一部は、0度で流体を受ける。いくつかの実施形態では、分離器(1744)は、基材(1730)の各平板(または周)全体にスプレーパターンを分配するために、巻かれたり、及び/または基材(1730)全体に対して垂直に設置され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、流体フローパターンは、最大約120度の角度を有し得る。例えば、流体は、最大約120度の角度を有する扇形の流体の流れを構成し得る。いくつかの実施形態では、流体の流れの速度を低下させるために、所定の流体フローパターンを有する流体の流れを受けるときに、基材を流体に浸さない(例えば、浸水させない)。すなわち、組織分離の前に、筐体から少なくとも流体の一部を排出させ得る。いくつかの実施形態では、基材は、基材に平行な柱状(例えば、円形の断面を有する)の流体を受けることができる。いくつかの実施形態では、流体は、約0.003m/秒から約0.3m/秒の間、約0.03m/秒から約0.3m/秒の間、約0.03m/秒から約3.0m/秒の間、約0.3m/秒から約3.0m/秒の間、及び、その間のすべての値とサブ範囲を含む、線形速度を有し得る。いくつかの実施形態では、分離器は、流体が肉製品及び基材に噴射されるときに、所定の軸を中心として回転(例えば、ピッチ、ヨー、ロール)するように構成され得る。いくつかの実施形態では、分離器は、基材から最大約10cm、最大約15cm、最大約30cm、最大約50cm、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含む距離、離れていてもよい。いくつかの実施形態では、組織は、流体の流れとの間接的な接触を介して基材から分離され得る。例えば、筐体の側壁からの方向転換された流体の流れは、組織を基材から分離するのに十分なエネルギーを有し得る。
【0088】
分離器の非限定的かつ例示的な実施形態は、図17Aから図17Cにより、より詳細に図示及び説明される。本明細書に記載の実施形態のシステム及び装置のいずれも、1以上の分離器を含み得る。
【0089】
F.コレクタ
いくつかの実施形態では、装置は、装置の筐体に結合され、複数の基材から肉製品を受け取って収集する1以上のコレクタをさらに有し得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、本開示のコレクタは、複数の開口部、例えば、少なくとも約25μm2の総面積を有する複数の開口部を含み得る。例えば、各開口部は、そ約30μmから約2.5cmの間、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含む、直径を有し得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、コレクタは、筐体とは別の構成要素であるか、または筐体と一体的に構成され得る。いくつかの実施形態では、コレクタは、筐体に分離可能に係合するように構成され、複数の基材から遠い端に結合され得る。コレクタが筐体の外にあるいくつかの実施形態では、コレクタは、少なくとも約20μm2の面積を有する1以上の開口部を含む。
【0092】
コレクタの非限定的かつ例示的な実施形態は、図1図3A図3D及び図6A図6Cを参照してより詳細に例示及び説明される。
【0093】
II.システム
本明細書に記載の装置を使用して肉製品を生成するために必要な1以上の構成要素を含むシステムについて記載する。例えば、本明細書に記載のシステムは、装置の基材において培養された1以上の細胞シートをサポートし、成長させ、分離し、回収し得る。一般に、本明細書に記載のシステムは、本開示の装置、流体ポンプ、流体源、及び制御部(メモリ、プロセッサ、及びコンピュータ命令を含む)のうちの1つまたは複数を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、肉製品を調製するための装置は、空洞と、空洞内に配置された基材とを含む筐体を備え得る。基材は、肉製品の成長を助けるように構成された渦巻及び表面を含み得る。流体拡散器は筐体に結合し、所定のフローパターンで流体を基材に分配するように構成することができる。いくつかの実施形態では、基材の寸法に対する流体拡散器の寸法の比は、約3:4から約1:1の間であり得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、肉製品を調製するための装置は、空洞を規定する筐体及び空洞内に配置された基材を含み得る。基材は、肉製品の成長を助けるように構成し得る。テーパー面を含む流体拡散器は、所定のフローパターンで流体を基材に分配するように構成することができる。
【0096】
一般に、肉製品を調製するためのシステムは、以下を含む:(a)1以上の基材を含む装置、(b)装置に結合された流体ポンプ、(c)流体ポンプに結合された流体源、(d)流体ポンプに結合された制御部であって、制御部は、基材において肉製品を生成するための第1の流体ポンプ信号と、基材から肉製品を分離するための第2の流体ポンプ信号とを生成するように構成される。例えば、流体ポンプは、増殖培地(例えば、培養培地)の流体の流れを装置に供給するように構成される。制御部は、装置内の流体の流量及び他の条件(例えば、温度、圧力)を制御するように構成される。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の流体ポンプ信号は、流体ポンプを使用して、実質的に均一かつ層流の流体の流れを複数の基材に供給するように構成され得る。例示的な実施形態では、第1の流体ポンプ信号は、第1の流量を含み、第2の流体ポンプ信号は、第1の流量よりも高い第2の流量を含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1の流体ポンプ信号は、最大で毎秒約3.0メートルの流量を含み、第2の流体ポンプ信号は、装置内の最大で毎秒約10メートルの線形速度に対応する。流体源は、通常、増殖培地及び/または細胞を含む。このシステムは、基材において少なくとも約1日間、肉を成長させるように構成されているが、成長させる細胞の性質に応じて、3日、5日またはそれ以上に延長してもよい。例えば、肉を1週間以上成長させてもよい。オプションとして、システムの1以上のセンサは、流体及び細胞シートの状態の1以上のパラメータを測定するように構成される。
【0098】
図1は、装置(110)、流体ポンプ(130)、流体源(140)、制御部(150)、及びセンサ(160)を含むシステム(100)の実施形態の例示的なブロック図である。いくつかの実施形態では、装置(110)は、入口(112)、流体拡散器(114)、基材(116)、細胞(118)、コレクタ(120)、出口(122)、回転子(124)及び分離器(126)のうちの1つまたは複数を含む。1以上の流体ポンプ(130)は、装置(110)及び流体源(140)と流体伝達をしていてもよい。流体源(140)(例えば、流体貯水器)は、流体(142)(例えば、増殖培地、細胞、液体、及びそれらの組み合わせ)を貯蔵するように構成される。流体ポンプ(130)は、システム(100)の閉回路(閉ループ経路)を形成する流体導管(132)群を通して流体(142)をポンプ輸送及び/または再循環するように構成される。システム(100)は、1以上の流体源(140)及び流体(142)を含み得る。例えば、増殖培地を使用して装置(110)内で肉製品を成長させることができ、一方、分離流体(例えば、水)を使用して成長した肉製品を基材(116)から分離することができる。
【0099】
A.流体
本明細書で使用されるように、システム全体を循環し得る流体は、増殖培地(例えば、細胞培養培地)、栄養素、代謝産物、シグナル伝達因子、液体、水、気体、及び肉製品の成長のために構成された組成物のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、流体は、食用肉製品を成長させる基材に播種するために使用される細胞をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、流体は、アミノ酸、消泡剤、剪断保護剤、及びタンパク質のうち、1以上を含む添加剤を含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、液体細胞培養培地または脱水細胞培養培地を含み得る。脱水細胞培養培地または乾燥粉末培地(DPM)は、細胞の成長に必要なアミノ酸、塩、グルコース、及びその他の化学物質の混合物を含み得る。DPMは、精製水等の液体で水和されて、液体細胞培養培地を形成し得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、他の添加物無しにそれ自体で細胞を成長させるのに十分な完全な組成物を含み得る。つまり、完全な細胞培養培地には、バイオリアクタにおいて成長する細胞の成長に必要なすべての成分が含まれている。いくつかの実施形態において、完全な細胞培養培地は、水、緩衝液、及び細胞の成長を助ける栄養素のうち、1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、少なくとも1つの他の組成物を添加することで細胞を成長させるように構成された不完全な組成物を含み得る。例えば、不完全な細胞培養培地組成物は、酸化に敏感な成分を抜いて形成され得る。いくつかの変形例では、不完全な細胞培養培地のpHは、完全な細胞培養培地のpHとは異なる場合がある。
【0102】
B.流体ポンプ
【0103】
いくつかの実施形態では、1以上の流体ポンプを装置と流体伝達する流体導管に結合することで、装置を流れる所定の流体フローレートを生成することにより、肉製品の成長及び基材からの肉製品の分離の少なくとも一方を助ける。いくつかの実施形態では、流体ポンプは、容積式ポンプ(例えば、蠕動ポンプ)、遠心ポンプ、それらの組み合わせ等のうちの1つ以上を含み得る。1以上の流体源を流体ポンプに結合してもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、流体ポンプは、実質的に均一かつ層流な流体の流れを複数の基材に提供する、流体拡散器によって調整され得る第1の流体の流れと、肉製品を基材から分離するように構成された第2の流体の流れを出力するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2の流体の流れは、最大で毎秒約10mの流量を有し得る。流体ポンプは、長期間(例えば、数日、数週間)に亘って作動するように構成してもよい。例えば、流体ポンプは、少なくとも1日(例えば、3、5、10、15、20、25、30日)の間、流体をポンプ輸送するように構成され得る。
【0105】
C.流体源
いくつかの実施形態では、1以上の流体源(例えば、流体貯水器、気体発生器)を、肉製品を調製するための1以上の流体ポンプ及び装置に結合することができる。流体源は、流体を貯蔵するように構成し得る。流体源は、1以上の細胞を含む増殖培地を含み得る。例えば、流体源は、肉製品の異なる成長段階のための異なる流体組成物を貯蔵するように構成され得る。流体源は、再循環された媒体を保存すると共に、それとは別に新鮮な媒体を保存するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、1以上のセンサを流体源に結合して、pH、溶存気体濃度、浸透圧、濁度、水和、導電率、吸光度、栄養素濃度、廃棄物濃度、イオン濃度、酸素濃度、温度等の流体の1以上のパラメーターを測定することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、流体源は、流体ポンプによって生成された気泡を保持することで、流体導管において気泡が形成されないように構成され得る。すなわち、気泡は、導管の上流である流体源で保持され得る。例えば、流体源は、流体が流体源の入口及び出口の高さよりも高い所定の高さまで空洞を満たすように流体の体積を保持するように構成された空洞を含み得る。流体源の空洞内の所定の高さより上の空間は、空気を含み得る。使用中、ポンプの動作により、流体源に入る可能性のある1以上の気泡が生成され得る。気泡が流体源に入ると、気泡内の空気は、気泡のない流体が流体源の出口から装置に出力され得るように、流体源内に保持され得る。これにより、気泡が装置の導管内で形成されるのを防ぐことができ、装置を流れる均一かつ層流の流体の流れを促進することができる。
【0107】
D.制御部
一般に、本明細書に記載のシステムは、肉製品を調製するための少なくとも1つの装置と、流体ポンプ及びセンサに結合された対応する制御部とを含み得る。いくつかの実施形態では、センサは、信号データを生成するように構成され得る。信号データは、制御部によって受信され、流体ポンプを制御するための流体ポンプ信号を生成するために使用され得る。
【0108】
図1に示されるように、いくつかの実施形態では、制御部(150)は、装置(110)、流体ポンプ(130)、流体源(140)、及びセンサ(160)のうちの1以上に結合され得る。制御部(150)は、プロセッサ(152)、メモリ(154)、入力デバイス(156)、及び通信デバイス(158)のうちの1以上を備え得る。いくつかの実施形態では、制御部(150)は、装置(110)、流体ポンプ(130)、流体源(140)、及びセンサ(160)のうちの1以上からデータを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、センサ(160)は、流量センサ、温度センサ、pHセンサ、溶存気体センサ、圧力センサ、光学センサ、濁度センサ等のうちの1以上を含み得る。いくつかの実施形態では、センサ(160)によって生成されたデータは処理され、システム(100)の1以上の構成要素を監視及び/または制御するために使用され得る。
【0109】
従って、制御部(150)は、食用肉製品の調整及び/または回収(例えば、分離)を監視及び/または制御することができる。本明細書でより詳細に説明するように、制御部(150)は、通信デバイス(158)を用いて1以上のネットワークに結合してもよい。制御部(150)は、入力デバイス(156)に結合されたプロセッサ(152)及びメモリ(154)を含み得る。
【0110】
制御部(150)は、プロセッサ(152)に本明細書に記載の1以上の工程を実行させるための、コンピュータ上で動作するコンピュータ命令を含み得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ命令は、プロセッサにセンサからの信号データを受信させ、流体ポンプ信号を生成させ、データをユーザに出力させるように構成され得る。制御部(150)は、1以上のプロセッサ(152)と、1以上のプロセッサ(152)と通信する1以上の機械可読メモリ(154)とを含み得る。プロセッサ(152)は、メモリ(154)から受信したデータと、システム(100)を制御するためのユーザ入力とを組み込むことができる。メモリ(154)は、プロセッサ(152)に、システム(100)に関連するモジュール、プロセス、及び/または機能を実行させるための命令を更に格納することができる。制御部(150)は、有線及び/または無線通信チャネルによって、センサ(160)、流体ポンプ(130)、通信デバイス(158)等のうちの1以上に接続し、それらを制御することができる。
【0111】
制御部(150)は、多数の汎用または専用コンピューティングシステムまたは構成と調和するように実現され得る。本明細書に開示されるシステム及び装置と共に使用するのに適するであろう様々な例示的なコンピューティングシステム、環境、及び/または構成には、これらに限られるものではないが、ルーティング/接続コンポーネント、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、分散コンピューティングネットワーク、パーソナルコンピューティングデバイス、ネットワークアプライアンス、ポータブル(例えばハンドヘルド)またはラップトップデバイス等の、サーバまたはサーバコンピューティングデバイス内、またはサーバまたはサーバコンピューティングデバイス上で具現化されるソフトウェアまたは他のコンポーネントが含まれる。ポータブルコンピューティングデバイスの例としては、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、タブレットPC、スマートウォッチ等の形態をとるウェアラブルコンピュータ、センサを介して患者の環境とインターフェイスし、視覚化、視線追跡、及びユーザー入力用のヘッドマウントディスプレイとして使用されるポータブルまたはウェアラブル拡張現実デバイスが含まれる。
【0112】
プロセッサ(152)は、一連の命令またはコードを走らせる及び/または実行するように構成された任意の適切な処理デバイスであり得、1以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ、グラフィックス処理ユニット、物理処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、及び/または中央処理装置を含み得る。プロセッサ(152)は、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、それらの組み合わせ等であり得る。プロセッサ(152)は、アプリケーションプロセス及び/または他のモジュールを走らせる及び/または実行し、システム及び/またはそれに関連するネットワークに関連した処理を行う及び/または機能するように構成され得る。基盤となるデバイス技術は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)等の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合ロジック(ECL)等のバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン結合ポリマー及び金属結合ポリマー-金属構造)、アナログとデジタルの混合、それらの組み合わせ等を含む、様々な部品の種類として提供され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、メモリ(154)は、データベース(不図示)を有し得、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、それらの組み合わせ等であり得る。本明細書で使用される場合、データベースはデータストレージリソースを指す。メモリ(154)は、プロセッサ(152)に、較正、信号処理、センサ分析、通知、通信、認証、ユーザ設定、及びそれらの組み合わせ等の、制御部(150)に関連するモジュール、処理、及び/または機能を実行させる命令を格納することができる。いくつかの実施形態では、ストレージをネットワークベースとし、1人または複数の許可されたユーザがアクセス可能にすることができる。ネットワークベースのストレージは、リモートデータストレージまたはクラウドデータストレージと呼ばれ得る。クラウドデータストレージ(例えば、データベース)に保存されている信号データと分析に、インターネット等のネットワークを介して、許可されたユーザーがアクセス可能とすることができる。いくつかの実施形態では、データベースは、クラウドベースのFPGAであり得る。
【0114】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、コンピュータにより実現される様々な処理を実行するための命令またはコンピュータコードを保持する非一時的なコンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも呼ばれる)を備えたコンピュータ記憶製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、一時的な伝播信号自体等(例えば、空間やケーブル等の伝達媒体上で情報を運ぶ、伝播する電磁波)を含まないという意味で非一時的である。媒体メディア及びコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムとも呼ばれる)は、特定の目的のために設計及び構築されたものであり得る。
【0115】
非一時的なコンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープ等の磁気記憶媒体;コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)等の光記憶媒体;コンパクトディスク-読み取り専用メモリ(CD-ROM);ホログラフィックデバイス;光ディスク等の光磁気記憶媒体;固体ドライブ(SSD)や固体ハイブリッドドライブ(SSHD)等の固体記憶媒体:搬送波信号処理モジュール;特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス等、プログラムコードを格納し、実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスが含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載される他の実施形態は、例えば、本明細書に開示される命令及び/またはコンピュータコードを含み得るコンピュータプログラム製品に関する。
【0116】
本明細書に記載のシステム、装置、及び方法は、ソフトウェア(ハードウェア上で実行される)、ハードウェア、またはそれらの組み合わせによって実行され得る。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(またはマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、それらの組み合わせ等を含み得る。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行される)は、C、C++、Java(登録商標)、Python、Ruby、VisualBasicR、及び/またはその他のオブジェクト指向、手続き型、またはその他のプログラミング言語と開発ツールを含む様々なソフトウエア言語で表現され得る。コンピュータコードの例としては、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生成されるような機械命令、ウェブサービスの生成に使用されるコード、及び解釈プログラムを使用してコンピュータにより実行される高レベルの命令を含むファイルが含まれるが、これらに限定されるものではない。コンピュータコードの別の例としては、制御信号、暗号化されたコード、及び圧縮されたコードが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
入力デバイス(156)は、ユーザが直接及び/または遠隔でシステム(100)とやり取りしたり、及び/または制御することを可能にし得る。例えば、入力デバイス(156)は、ユーザがコマンドを入力するように構成され得、出力デバイスは、ユーザ及び/または他のユーザ(例えば、技術者)がシステム(100)の操作に関連する出力(例えば、ディスプレイデバイス上にシステムデータを表示する)を受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信デバイス(158)は、本明細書でより詳細に説明されるように、制御部(150)が、ネットワーク(例えば、インターネット)、リモートサーバ、及びデータベースのうちの1以上と通信することを可能にし得る。
【0118】
入力デバイス(156)は、ユーザ(例えば、オペレータ)と制御部(150)との間の通信インターフェースとして機能し得る。いくつかの実施形態では、入力デバイス(156)は、出力デバイス(例えば、タッチスクリーン及びディスプレイ)を含み、センサ、入力デバイス、出力デバイス、ネットワーク、データベース、及びサーバのうち、1以上からデータを入力したりデータを出力したりするように構成され得る。例えば、センサによって生成された信号データは、プロセッサ(152)及びメモリ(154)によって処理され、そして1以上の出力デバイス(例えば、ディスプレイ)によって視覚的に出力され得る。信号データ、センサデータ、及び/または肉製品データは、制御部(150)によって受信され、視覚的、聴覚的、及び/または1つ以上の出力デバイスを介した触覚フィードバックを通じて出力され得る。別の例として、入力デバイス(例えば、ジョイスティック、キーボード、タッチスクリーン)のユーザ制御は、入力デバイス(156)によって受信され、次いで、プロセッサ(152)及びメモリ(154)によって処理されて、制御信号をシステム(100)の1以上の構成要素に出力され得る。いくつかの実施形態では、入力デバイス(156)は、入力デバイス及び出力デバイスの両方として機能し得る(例えば、ユーザに触覚フィードバックを提供しながら、制御信号を生成するように構成されたハンドヘルドコントローラ)。
【0119】
出力デバイスは、データを出力し、表示装置、オーディオデバイス、及び触覚デバイスのうち、1以上を含み得る。表示装置は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するように構成され得る。入力デバイス(156)は、インターネットまたはネットワークを介してアクセス可能なリモートディスプレイを含む、1つ以上の汎用ディスプレイに出力するために接続され得る統合ディスプレイ及び/またはビデオ出力を含み得る。プライバシーを確保するために出力データを暗号化してもよく、出力データのすべてまたは一部をサーバーまたはデータベースに保存し得る。表示装置は、ユーザが、信号データ、較正データ、組織データ、画像データ、細胞サンプルデータ、システムデータ、流体データ、患者データ、及び/または制御部(150)によって処理されるその他のデータを閲覧することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、出力デバイスは、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LDC)、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、電子紙/電子インクディスプレイ、レーザーディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、及びそれらの組み合わせ等なのうち、少なくとも1つを含むディスプレイデバイスを含み得る。
【0120】
オーディオデバイスは、センサデータ、肉製品データ、流体データ、ポンプデータ、システムデータ、警報及び/または警告を聴覚的に出力し得る。例えば、オーディオデバイスは、流体ポンプ及び/またはセンサーの誤動作時に可聴警告を出力し得る。いくつかの実施形態では、オーディオデバイスは、スピーカー、圧電オーディオデバイス、磁歪スピーカー、及び/またはデジタルスピーカーのうち、少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、オーディオデバイス及び通信チャネルを使用して、他のユーザと通信し得る。
【0121】
触覚デバイスは、追加の感覚的な出力(例えば、力のフィードバック)をユーザに提供するために、1以上の入力及び出力デバイスに組み込まれ得る。例えば、触覚デバイスは、入力デバイス(例えば、ジョイスティック、キーボード、タッチ面)へのユーザ入力を確認するために、触覚応答(例えば、振動)を生成してもよい。いくつかの実施形態では、触覚デバイスは、触覚により感知できるフィードバックをユーザに提供するように構成された振動モーターを含み得る。追加的または代替的に、触覚フィードバックは、ポンプの誤動作及び/または流体の途切れ等のエラーをユーザーに通知し得る。これにより、システムへの潜在的な危害を防ぐことができる。
【0122】
入力デバイスのいくつかの実施形態は、制御信号を生成するように構成された少なくとも1つのスイッチを含み得る。例えば、入力デバイスは、流体の流量を制御するために1以上のポンプを制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、入力デバイスは、制御信号を制御部(150)の有線及び/または無線受信機に送信するように構成された有線及び/または無線送信機を含み得る。例えば、入力デバイスは、制御信号に対応する入力(例えば、タッチ面への指の接触)を提供するためのユーザのためのタッチ面を含み得る。タッチ面を含む入力デバイスは、容量、抵抗、赤外線、光学イメージング、分散信号、音響パルス認識、及び弾性表面波技術を含む複数の接触感知技術のいずれかを使用して、タッチ面上への接触及び動きを検出するように構成され得る。少なくとも1つのスイッチを含む入力デバイスの実施形態では、スイッチは、例えば、ボタン(例えば、ハードキー、ソフトキー)、タッチ面、キーボード、アナログスティック(例えば、ジョイスティック)、方向性パッド、ポインティングデバイス(例えば、マウス)、トラックボール、ジョクダイアル、ステップスイッチ、ロッカースイッチ、ポインターデバイス(例えば、スタイラス)、モーションセンサ、イメージセンサ、マイクの少なくとも1つを含み得る。モーションセンサは、光学センサからユーザの動きデータを受信し、ユーザのジェスチャを制御信号として分類することができる。マイクは、音声を拾い、ユーザーの声を制御信号として認識することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、制御部(150)は、1以上の有線及び/または無線ネットワークを介して他のデバイスと通信し得る。通信デバイス(156)は、他のデバイスに、直接、またはネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN)を介して間接的に結合するように構成された、1以上の外部ポート(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、マルチピンコネクタ)を介して、他のデバイスとの通信を容易にすることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、通信デバイス(156)は、1以上のデバイス及び/またはネットワークと通信するように構成された、無線周波数受信機、送信機、及び/または光(例えば、赤外線)受信機及び送信機を含み得る。通信デバイス(156)は、有線及び/または無線で通信することができる。いくつかの実施形態では、通信デバイス(156)は、1以上のデバイス及び/またはネットワークと通信するように構成された、受信機、送信機、及び/または光(例えば、赤外線)受信機及び送信機のうちの1つ以上を有する無線周波数(RF)回路(例えば、RFトランシーバ)を含み得る。RF回路は、RF信号(例えば、電磁信号)を送受信することができる。RF回路は、電気信号と電磁信号を互いに変換し、電磁信号を介して通信ネットワークやその他の通信デバイスと通信する。RF回路は、アンテナシステム、RFトランシーバ、1以上の増幅器、チューナー、1以上の発振器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリ等のうち、1以上を含む。ワイヤレスネットワークは、どの種類のケーブルでも接続されていない、あらゆるタイプのデジタルネットワークを指してもよい。
【0125】
無線ネットワークにおける無線通信の例として、セルラー、無線、衛星、及びマイクロ波通信が含まれるが、これらに限定されるものではない。無線通信は、複数の通信規格、プロトコル、及び技術のどれを使用してもよく、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、広帯域コード分割マルチアクセス(W-CDMA)、コード分割マルチアクセス(CDMA)、時分割マルチアクセス(TDMA)、Bluetooth、ニアフィールド通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)(例えば、IEEE 802.11a、IEEE 802.11b、IEEE 802.11g、IEEE 802.11n)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メール用プロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)、郵便局プロトコル(POP))、インスタントメッセージング(例えば、eXtensible Messaging and Presence Protocol(XMPP)、インスタントメッセージングのセッション開始プロトコル、Presence Leveraging Extensions(SIMPLE)、Instant Messaging and Presence Service(IMPS))、ショートメッセージサービス(SMS)、またはその他の適切な通信プロトコルを含むが、これらに限定されない。いくつかの無線ネットワークの展開では、複数のセルラーネットワークのネットワークを組み合わせたり、セルラー、Wi-Fi、及び衛星通信を組み合わせて使用したりする。
【0126】
いくつかの実施形態では、無線ネットワークは、インターネット、他のキャリア音声及びデータネットワーク、ビジネスネットワーク、及びパーソナルネットワークとインターフェースするために、有線ネットワークに接続し得る。有線ネットワークは、典型的には、銅線ツイストペア、同軸ケーブル、及び/または光ファイバーケーブルを介して伝送される。有線ネットワークには、広域ネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットエリアネットワーク(IAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、インターネットのようなグローバルエリアネットワーク(GAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(PAN)(例えば、Bluetooth、Bluetooth Low Energy)、仮想プライベートネットワーク(VPN)を含む、さまざまな種類がある。本明細書で使用される場合、ネットワークは、統合されたネットワーキング及び情報アクセスシステムを提供するために、通常インターネットを介して相互接続される、無線、有線、パブリック、及びプライベートデータネットワークの任意の組み合わせを指す。
【0127】
E.例示的実施形態
装置及びシステムの例示的な実施形態について、図を参照して説明する。図1に示すように、装置(110)の実施形態は、入口(112)、流体拡散器(114)、基材(116)、コレクタ(120)、出口(122)、オプションの回転子(124)、及び分離器(126)のうち、1以上を有する。いくつかの実施形態では、装置は、回転軸(例えば、地面に平行な回転軸)を中心として回転可能である。装置(110)は、肉製品を形成する細胞シートを大規模生産するために構成され得る。いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1Lの内部空洞容積を含む寸法を有する。例えば、装置(110)は、約25Lから約200Lの間、約100Lから約500Lの間、約500Lから約1,000Lの間、及び約1,000Lから約20,000Lの間、及びその間のすべての値とサブ範囲を含む、内部容積を有し得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、装置(110)は、1以上の流体ポンプ(130)、流体導管(132)、流体源(140)、及びセンサ(160)に結合されている。例えば、各流体ポンプ(130)及び流体リザーバ(140)に結合された異なる流体導管(132)は、複数の肉製品の成長段階にわたって効率的な細胞の成長を支援するように、別個の流体(142)(例えば、異なる増殖培地組成物、液体、気体)を装置(110)内の細胞(118)に循環させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、装置(110)は、少なくとも1つの制御部(150)に結合されている。例えば、オプションのセンサ(160)は、それぞれセンサコントローラに結合され得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、装置(110)の1以上の部分、例えば、筐体、流体拡散器(114)、基材(116)、コレクタ(120)、及び分離器(126)は、再利用可能であるように設計され得る(例えば、複数回使用され、滅菌及び再利用される)。追加的または代替的に、装置(110)の1以上の構成要素は、所定の回数の使用後に廃棄されるように設計され得る。いくつかの実施形態において、装置の構成要素のいずれかは、実質的に非分解性であり得る。
【0130】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載される装置及びシステムは、密閉された3次元環境において、肉製品の長期成長中(例えば、数日、数週間、数ヶ月)に、間質流等の様々な機械的及び流体力学的な力を生成し得る。
【0131】
図2A図9Bは、肉製品を調製するための装置を示している。図2A図2Eは、肉製品を調製するためのそれぞれの装置(200、250)の斜視図及び側面図をそれぞれ示している。装置(200)は、その内部に空洞を規定する筐体(210)を備え得る。筐体(210)は、例えば、流体源(不図示)に結合された流体導管から流体を受け入れるように構成された少なくとも1つの入口(220)と、流体及び肉製品(例えば、細胞シート)のうち、1以上を出力するように構成された少なくとも1つの出口(230)とを備え得る。例えば、出口(230)は、筐体(210)内の1以上の基材から分離された肉製品を出力するのに十分なサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、入口(210)は、筐体(210)の第1の側面に配置され、出口(230)は、第1の側面と反対側の筐体(210)の第2の側面に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの入口(220)は、流体を受け入れることと出力することの両方のために構成され得る。同様に、少なくとも1つの出口(230)は、流体を受け入れ、出力するように構成され得る。例えば、流体の流れは、第1の方向(例えば、入口(220)から出口(230)へ)で始まり、肉製品を調整する方法の1以上の工程の間に、逆方向(例えば、出口(230)から入口(220))に変えてもよい。図2A図2Eに示すように、筐体(210、260)は、特定の形状によって制限されるものではないが、一般に円筒形を有し得る。いくつかの実施形態では、筐体(210 、260)は、少なくとも25Lの容積を有し得る。例えば、筐体(210、260)は、約100Lから約500Lの間の容積を有し得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、装置(200)は、増殖培地、液体、及び/または気体等の流体を受け入れるように構成された1以上の入口(220)を備え得る。例えば、流体ポンプは、それぞれの流体導管を介して、装置(200)の1以上の入口(220)と流体伝達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、装置(200)の筐体(210)は、地面に対して装置(200)の上側の面(例えば、上面)に沿って入口(220)を規定し得る。これにより、第1の高さ(例えば、入口(220)の高さ)から第1の高さよりも低い第2の高さ(例えば、出口(230)の高さ)まで、流体が装置を通って(200)を流れることが可能になる。この構成は、装置(200)を通る流体の排出及び完全な循環を促進し得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、入口(220)は、例えば、流体の流れを制御し、流体導管へ流体が逆流することを防止するように構成された弁(不図示)を備え得る。いくつかの実施形態では、入口(220)は、装置(200)の1以上の側面(例えば、側壁)に配置され得る。いくつかの実施形態では、入口(220)は、肉製造プロセスの異なる工程(例えば、滅菌、播種、成長、分離)のためにそれぞれ構成され得る。例えば、肉製造プロセスの異なる段階において容器全体の流体分布を最適化するために、滅菌流体、増殖培地、及び分離流体を受け入れる異なる入口を構成することができる。例えば、異なる入口は、異なる段階(例えば、代謝物が調整され、再酸素化された状態)を有する増殖培地を受け得る。いくつかの実施形態では、装置(200)の1以上の入口(220)は、筐体(210)の空洞内に設置された1以上の基材へのアクセスとして構成され得る。例えば、入口(210)は、1以上の基材に播種するために使用される細胞を含む流体を受け入れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、入口(220)は、1以上の流体導管及び流体拡散器と結合するように構成されたコネクタ(例えば、アダプタ、フィッティング)を備え得る。いくつかの実施形態では、出口(230)は、1以上の流体導管及びコレクタと結合するように構成されたコネクタ(例えば、アダプタ、フィッティング)を備え得る。
【0134】
図2A及び図2Bに示す装置(200)と同様に、図2C図2Eは、筐体(260)、入口(270)、及び出口(280)を備える装置(250)を示している。いくつかの実施形態では、装置(250)は、肉製品を調製するときに、地面に垂直な軸(290)に対してある角度(例えば、軸外)を有し得る。すなわち、装置(250)は、使用中に傾けられ得る。いくつかの実施形態では、装置(250)は、軸(290)に対して最大約5度、または地面に対して少なくとも約85度の角度をとり得る。地面に対して非垂直または非平行の角度で連続組織シートを成長させると、重力が基材を流れる流体の流れを助けながら、細胞培養物が基材へ付着し易くすることができる。これは、筐体のサイズを垂直方向に拡大縮小することを可能にし、それにより、装置(250)の物理的設置面積を最適化することができる。いくつかの実施形態では、装置(250)の内部構成要素の長手方向軸は、軸(290)に対してある角度で傾斜する一方、筐体(250)自体の長手方向軸は、軸(290)に平行にしても良い。例えば、1以上の基材及び/または流体拡散器の長手方向軸を、軸(290)に対して傾斜させ、入口(270)及び出口(280)をそれぞれ、軸(290)に平行としても良い。いくつかの実施形態では、筐体は、地面に設置されるように構成され得る。長手方向軸(290)は、地面に対して鋭角を成し得る。いくつかの実施形態では、鋭角は少なくとも約85度である。いくつかの実施形態では、地面と反対側を向いている基材の表面は、肉製品の成長を助けるするように構成される。本明細書に記載の装置のいずれも、地面に垂直な軸に対してある角度で傾けて、使用することができる。
【0135】
図3Aは、肉製品を調製するための装置(300)の断面側面図である。装置(300)は、入口(312)、出口(314)を含む筐体を含み、さらに空洞(316)を規定する。空洞(316)内には、流体拡散器(320)、複数の基材(330)、コレクタ(340)、及びホルダ(350)が配置されている。いくつかの実施形態では、ホルダ(350)は、流体拡散器(320)、複数の基材(330)、及びコレクタ(340)のうち、1以上と分離可能に係合する(例えば、保持する)ように構成され得る。ホルダ(350)は、1以上の支持体(352)を介して筐体(310)の内壁に結合され得る。いくつかの実施形態では、ホルダ(350)は、筐体(310)の内壁に一体的に構成され得る。流体拡散器(320)は、入口(312)と複数の基材(330)との間に設置され、コレクタ(340)は、複数の基材(330)と出口(314)との間に設置され得る。流体拡散器(320)、基材(330)、及びコレクタ(340)のいずれも、取り外し可能としても、筐体(310)に固定してもよい。いくつかの実施形態では、流体(例えば、増殖培地)は、入口(312)から出口(314)の方向に流れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体(例えば、増殖培地)は、出口(314)から入口(312)の方向に流れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体の流れは、使用中に入口(312)及び出口(314)を通る方向を変えるように構成され得る。
【0136】
図3Bは、筐体(310)及びホルダ(350)を除く、装置(300)の内部構成要素群の斜視図である。図3Cは、装置(300)の内部構成要素の断面斜視図である。図3Dは、装置(300)の内部構成要素の側面図である。流体拡散器(320)は、受け取った流体の流れを複数の基材(330)の各基材全体に分配するように構成され得る。流体拡散器(320)は、複数の基材(330)の近位端に結合することができる。いくつかの実施形態では、流体拡散器(320)は、筐体に分離可能に係合するように構成され、空洞(316)内に少なくとも部分的に配置され得る。例えば、流体拡散器(320)は、工具または留め具なしでホルダ(350)にスライド可能かつ分離可能に係合され得、それにより、装置(300)の保守及び滅菌を支援する。コレクタ(340)は、複数の基材(330)の各基材から肉製品及び流体を受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、コレクタ(340)は、複数の基材(330)の遠位端に結合されている。追加的または代替的に、コレクタは、筐体(310)の外に配置され得る。例えば、コレクタは、出口(314)の出力を受け取ることができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、複数の基材(330)は、筐体(330)に分離可能に係合するように構成され得る。例えば、複数の基材(330)は、工具または留め具なしで、スライド可能かつ分離可能にホルダ(350)に係合してもよく、これにより、複数の基材(330)の保守及び滅菌を支援する。いくつかの実施形態では、複数の基材(330)は、流体が基材間の空間を下向きに流れるように構成されるように、地面に対して垂直に設置され得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は、装置の1以上の基材における流体流量を調節するように構成され得る。例えば、流体拡散器は、流体を受け取り、複数の基材の各基材に実質的に均一且つ層流の流れを出力するように構成され得る。図4Aは、第1の部分(420)及び第2の部分(430)を有する流体拡散器(400)の斜視図である。流体拡散器は、複数の開口部(410)を備える。流体拡散器(400)は、第1の部分(420)及び第2の部分(430)の境界(440)を有する。第1の部分(420)及び第2の部分(430)は、境界(440)で互いに対して曲がっていてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、境界(440)は、複数の開口部(412)のうちの1以上を含み得る。境界(440)は、線形または非線形であり得る。
【0139】
第1の部分(420)は、第2の部分(430)に対して、約90度から約170度の間、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含む角度を付けられている。例えば、図4Dは、第1の部分(420)が第2の部分(430)に対して約150度の角度をつけられた流体拡散器(400)の側面図である。第1の部分(420)と第2の部分(430)との間の角度をより大きくすることで、流体拡散器(400)の高さをより低くすることが可能になり、これにより、入口と複数の基材との間の空きスペースの体積を減らすことができる。
【0140】
第1の部分(420)及び第2の部分(430)は、複数の基材に対して最大約80度の角度を付けることができる。 いくつかの実施形態では、複数の開口部は、少なくとも約700μm2の面積を有する。例えば、各開口部が約30μmの直径を有することで、成長媒体が流体拡散器(400)を通過することを可能にする。
【0141】
図4Bは、流体拡散器(400)の平面図である。いくつかの実施形態では、複数の開口部は、実質的に等間隔に配置されている。いくつかの実施形態では、複数の開口部の各開口部(410、412)は、少なくとも直径約30μmを有する。例えば、開口部(410、412)の直径は、約30μmから約10cmの間、及び約0.5cmから約3cmの間、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含む。図4Cは、流体拡散器(400)の別の斜視図である。図4Dに示すように、第1の部分(420)及び第2の部分(430)は、最小の厚さで実質的に平坦である。流体拡散器(400)の構成は、複数の基材に実質的に均一な層流を出力しつつ、材料の蓄積や、目詰まりによるファウリングを低減し、滅菌し易いように構成され得る。開口部(410、412)の形状は、図4A図4Dでは円形だが、どのような形状でも構わない。
【0142】
本明細書に記載の装置によって調製される肉製品の量は、装置の基材の数及び表面積に対応する。例えば、複数の平行な基材は、商業規模の量の食用肉製品を生成するように構成され得る。図5A及び図5Bは、それぞれ、複数の基材(500)の斜視図及び側面図である。いくつかの実施形態では、肉製品を調製するための装置は、肉製品を形成するためにその表面上で1以上の細胞を培養するように構成された1以上の基材(500)を含む。いくつかの実施形態では、1以上の基材(500)は、それらが洗浄または保全され、再利用され得るように、装置から取り外し可能である。図5Aに示すように、複数の基材(500)は平面であり、互いに実質的に平行である。いくつかの実施形態では、装置は、単一の基材または複数の実質的に平行な基材(例えば、平行平板構成)を有する。平行平板構成により、付着組織シートの表面積を増やすことができる。いくつかの実施形態では、平行平板は、流体の流れ方向に整列している。例えば、平板とそれに対応する流体チャネルは、地面に対して垂直に配置される。
【0143】
いくつかの実施形態では、装置は、複数の流体チャネル(510)を有し得る。例えば、複数の基材(500)は、複数の流体チャネル(510)を規定することができる。各流体チャネル(510)は、流体チャネル(510)が隣接する基材(500)間の空間を含むという点で、複数の基材(500)のうちの少なくとも1つと関連付けられ得る。複数の基材(500)が平面である場合、流体チャネル(510)は平面であり得る。図5Bに示すように、流体は、複数の流体チャネル(510)を通って一方向に流れるように構成され得る。例えば、複数の平面基材は、肉製品が複数の基材において成長し得るように流体が灌流され得る所定のギャップ(例えば、基材が地面に垂直である場合、垂直ギャップ)によって分離され得る。いくつかの実施形態では、複数の流体チャネルは、互いに実質的に平行である。いくつかの実施形態では、各流体チャネルは、約0.3mmから約5.0cmの間、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含む幅を有し得る。
【0144】
複数の基材(500)は、肉製品の高密度成長を可能にし得る。例えば、基材(500)は、基材の両側で肉製品を成長させるように構成される。いくつかの実施形態では、各基材(500)は、約10cmから約400cmの間の幅、及び約10cmから約200cmの間の長さを有する寸法を持つ。いくつかの実施形態では、複数の基材(500)は、最大約10,000,000枚、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含む数の基材を含み得る。
【0145】
基材が渦巻状(例えば、コイル状)の形状を有するいくつかの実施形態では、基材は、約0.1mmから約10mmの間の厚さ、約10cmから約300cmの間の長さ、約10cmから約200mの間の幅、約1mmから約10mmの間の隣接するスパイラル間の間隔を有し、その間のすべての値とサブ範囲を含む。例えば、渦巻状基材は、約2mmの厚さ、約128mの幅、及び約3mmの隣接するスパイラル間の間隔を有し得る。いくつかの実施形態では、隣接する(例えば、近接する)基材間の間隔は、その間のすべての値及びサブ範囲を含めて、約0.3mmから約5.0cmの間であり得る。いくつかの実施形態では、各基材は、その間のすべての値及びサブ範囲を含めて、約430cm2から約100,000,000cm2の間の面積を有する。
【0146】
図9A及び図9Bは、本明細書に記載された肉製品を調製するための装置を通る流体の流れベクトル図(900、960)の断面側面図である。図9Aは、筐体(920)、流体拡散器(930)、複数の基材(940)、及びコレクタ(950)を有する装置(910)の断面画像の流体流速(900)を示している。流体は、筐体(920)の上部から比較的高速で不均一かつ非層流な流れで装置(910)に入る。流体拡散器(930)は、流体を受け取り、流れを拡散(例えば、調整、調整)して、複数の基材(940)が実質的に均一な層流の流体の流れを受け取るようにし、それによって、複数の基材のそれぞれにおいて全体的に均一な細胞成長を可能にする。図9Bは、複数の基材の流体流速(960)の詳細な断面画像であり、基材を通る実質的に均一な層流の流体の流れを示している。流体の流れは一般に規則的であり、複数の基材(940)全体的に対称的に分散している。流体は、隣接する基材間の流体チャネルを通過して、コレクタ(950)及び筐体(920)の出口に達する。コレクタ(950)は、装置(910)内の背圧を低減するのに十分な流量を維持するように構成され得る。例えば、コレクタ(950)は、流体が複数の基材に逆流するのを防ぐのに十分な流量を維持するように構成され得る。
【0147】
図6A図6Cは、1以上の開口部(610)と、コレクタ(600)を装置に分離可能に係合するように構成されたコネクタ(620)とを含む、コレクタ(600)の例示的な実施形態の例示的な図である。いくつかの実施形態では、コレクタ(600)は、1以上の基材から、流体及び肉製品(例えば、1以上の細胞シート)を受け取るように構成され得る。肉製品が回収されるまでコレクタ(600)に保持されている間、流体はコレクタ(600)を通過し、出口を通って装置から出る。例えば、コレクタ(600)は、肉製品が流体の流れを利用して基材から分離された後、基材において成長した肉製品を受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、肉製品は重力によってコレクタ(600)に落下し得る。例えば、コレクタ(600)は、コレクタ(600)が落下する肉製品を捕らえて保持するように、1以上の基材の下に設置してもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、コレクタ(600)は、装置の空洞内に配置され得る。追加的または代替的に、コレクタを装置の外に結合してもよい。いくつかの実施形態では、コレクタ(600)は、少なくとも約700μm2の面積を有する1以上の開口部を有し得る。例えば、各開口部は、、約30μmから約2.5cmの間、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含む直径を含み得る。いくつかの実施形態では、コレクタ(600)は、筐体とは別の構成要素であっても、または筐体と統合されていてもよい。コレクタ(600)が筐体の外にあるいくつかの実施形態では、コレクタは、少なくとも約20μm2の面積を有する1以上の開口部を有し得る。
【0149】
図7A図7B図7C、及び図7Dは、肉製品を調製するための装置(700)の組み立てプロセスの例示的な斜視図である。いくつかの実施形態では、ホルダ(750)に結合された複数の基材(730)が筐体(710)に挿入され得る。筐体(710)の回転軸(712)を、図7A及び図7Bに示す。本明細書でより詳細に説明するように、筐体(710)を回転軸(712)を中心として回転させることで、複数の基材(730)への播種を支援することができる。図7Bは、筐体(710)の空洞内に設置された複数の基材(730)を示している。図7Cは、複数の基材(730)の上の空洞(710)に挿入された流体拡散器(720)を示している。筐体(710)は、装置(700)内の無菌環境を促進するために、筐体(710)の開放端を密封するように構成された蓋(不図示)をさらに備え得る。装置(700)が組み立てられると、複数の細胞が複数の基材(730)に供給される。
【0150】
いくつかの変形例では、筐体に結合された回転子(例えば、回転機構)は、細胞の播種を助けるために装置を回転させるように構成され得る。図8A図8B、及び図8Cは、肉製品を調製するための装置(850)の例示的な実施形態または回転処理(800)の例示的な側面図である。装置は、回転子(不図示)を有する回転軸(810)を中心に回転し得る。基材(810)は、筐体(850)の長さに沿って筐体(850)内に縦方向に配置してもよい。装置(850)が回転し得るので、筐体(850)内の基材(810)は、回転軸(810)を中心に回転し得る。図8A及び図8Cに示すように、回転軸(810)を中心とした装置(850)の回転は、基材(820)のいずれかの側が上向きに保持することを可能にし、これにより、重力による細胞沈降を可能にする。装置(850)は、図8Bに示すように直立して回転させることで、基材(820)を地面に対して垂直に配置し、流体が装置(850)の上から下に流れるようにすることができる。
【0151】
図10A図12Dは、肉製品を調製するための装置の第2の例示的な実施形態を示す。図10Aは、肉製品を調製するための装置(1000)の実施形態の斜視図であって、(明確に示すために)筐体を表示していない。図10Bは、装置(1000)の正面図、図10Cは、装置(1000)の内部構成要素の側面図である。図10Aに示す装置(1000)は、流体拡散器(1010)と、複数の基材(1020)と、及びホルダ(1030)を有する。いくつかの実施形態では、ホルダ(1030)は、1以上の流体拡散器(1010)及び複数の基材(1020)と分離可能に係合する(例えば、保持する)ように構成され得る。いくつかの実施形態では、ホルダ(1030)は、装置の筐体の内壁に統合され得る。流体拡散器(1010)は、複数の基材(1020)の近位側(例えば、上面)に配置され、コレクタ(不図示)は、複数の基材(1020)の遠位側(例えば、下面)に配置され得る。流体拡散器(1010)、基材(1020)、及びホルダ(1030)のいずれも、筐体から取り外し可能としても、筐体に固定してもよい。いくつかの実施形態では、流体(例えば、増殖培地)は、流体拡散器(1010)から基材(1020)の方向(例えば、近位から遠位、上から下)に流れるように構成され得る。
【0152】
流体拡散器(1010)は、受け取った流体の流れを複数の基材(1020)の各基材に全体的に分配するように構成し得る。流体拡散器(1010)は、複数の基材(1020)の近位端に結合することができる。いくつかの実施形態では、流体拡散器(1010)は、工具または留め具なしでホルダ(1030)にスライド可能かつ分離可能に係合され得、これにより、装置の保守及び滅菌がし易くなる。コレクタ(不図示)は、複数の基材(1020)の各基材から肉製品及び流体を受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、コレクタは、複数の基材(1020)の遠位端に結合され得る。追加的または代替的に、コレクタを装置(1000)の外に配置してもよい。例えば、コレクタは筐体の出力を受け取ってもよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、複数の基材(1010)は、ホルダ(1030)に分離可能に係合するように構成される。例えば、複数の基材(1020)は、工具または留め具なしで、スライド可能かつ分離可能にホルダ(1030)に係合され得、これにより、複数の基材(1020)の保守及び滅菌がし易くなる。いくつかの実施形態では、複数の基材(1020)は、流体が基材間の空間を下向きに流れるように構成され得るように、地面に対して実質的に垂直方向に配置され得る。いくつかの実施形態では、複数の基材(1020)は、肉製品を調製する方法の1つまたは複数の工程の間、地面に対して実質的に水平方向に配置され得る。例えば、実質的に水平な向きで、1日以上、肉製品を複数の基材(1020)上で成長させてもよい。
【0154】
図11Aは、第1の部分(1120)、第2の部分(1122)、第3の部分(1124)、及び第4の部分(1126)を含む流体拡散器(1100)の斜視図である。流体拡散器(1100)は、複数の開口部(1110)を備え得る。いくつかの実施形態では、複数の開口部は、少なくとも約700μm2の面積を有する。例えば、各開口部が、約30μmの直径を有するようにすることで、増殖培地が流体拡散器(1100)を通過できるようにする。流体拡散器(1100)は、隣接する部分間に、部分が互いに対して曲げられた境界(1130)を備え得る。これらの実施形態のいくつかでは、境界(1130)は、複数の開口部(1132)のうちの1以上を含み得る。境界(1130)は、線形または非線形であり得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器(1100)は、コネクタ(1140)をさらに備え得る。
【0155】
図11Bは、流体拡散器(1100)の側面図である。対向する部分は、その間のすべての値及びサブ範囲を含め、約90度から約170度の間で互いに対して角度を付けることができる。例えば、第1の部分(1120)は、第3の部分(1124)に対して約150度の角度を付け、第2の部分(1122)は、第4の部分(1126)に対して角度を付けてもよい。部分間の角度をより大きくすることで、流体拡散器(1100)の高さをより低くすることができるため、入口と複数の基材との間の空きスペースの体積を減らすことができる。流体拡散器(1100)の各部分は、複数の基材に対して最大約80度まで角度を付けることができる。
【0156】
図11Cは、流体拡散器(1100)の平面図である。いくつかの実施形態では、複数の開口部は、実質的に等間隔に配置されている。いくつかの実施形態では、複数の開口部の各開口部(1110、1132)は、少なくとも約30μmの直径を有する。例えば、開口部(1110、1132)の直径は、約30μmから約10cmの間、約0.5cmから約3cmの間、及び、その間のすべての値及びサブ範囲を含む。流体拡散器(1100)の構成は、複数の基材に実質的に均一な層流を出力しながら、材料の蓄積や、目詰まりによるファウリングを低減し、滅菌し易くすることができる。開口部(1110、1132)の形状は、図11A図11Cでは円形であるが、どのような形状であっても構わない。
【0157】
図12Aは、複数の基材(1200)の斜視図である。図12Bは、基材(1200)の側面図である。複数の基材(1200)は、全体として、対応するほぼ円筒形の筐体(不図示)内にフィットする、ほぼ円筒形の形状を形成し得る。いくつかの実施形態では、各基材は、図12Cに示されるように実質的に同じ厚さ及び高さを有する一方で、図12A及び図12Bに示されるように異なる幅を有する。いくつかの実施形態では、複数の流体チャネル(1210)は、隣接する基材(1200)の間の空間を含む。例えば、流体チャネル(1210)は、その間のすべての値及びサブ範囲を含む、約0.3mmから約5.0cmの間の幅を有し得る。流体チャネル(1210)は平面であり、基材(1200)の平面に一致する。
【0158】
いくつかの実施形態では、1以上の基材(1200)は、洗浄、維持、そして再利用され得るように、装置から取り外し可能である。図12Cに示すように、複数の基材(1200)は平面であり、互いに実質的に平行である。いくつかの実施形態では、装置は、単一の基材または複数の実質的に平行な基材(例えば、平行平板構成)を含む。いくつかの実施形態では、平行平板は、流体の流れの方向に整列している。例えば、平板と、対応する流体チャネルは、地面に対して垂直に配置される。複数の平面基材は、肉製品が複数の基材において成長できるように流体が灌流され得る所定のギャップ(例えば、基材が地面に垂直である場合は垂直のギャップ)によって分離され得る。いくつかの実施形態では、複数の流体チャネルは、互いに実質的に平行である。いくつかの実施形態では、各流体チャネルは、約0.3mmから約5.0cmの間の幅を有し得る。
【0159】
複数の基材(1200)は、肉製品の高密度成長を可能にし得る。例えば、基材(1200)は、基材の両側で肉製品を成長させるように構成される。いくつかの実施形態では、各基材(1200)は、約10cmから約400cmの間の幅、約10cmから約200cmの間の長さ、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含む寸法を有する。いくつかの実施形態では、複数の基材(1200)は、その間のすべての値及びサブ範囲を含めて、最大約1000枚の基材を含み得る。いくつかの実施形態では、隣接する(例えば、近接する)基材間の間隔は、その間のすべての値及びサブ範囲を含めて、約0.3mmから約5.0cmの間であり得る。いくつかの実施形態では、各基材は、その間のすべての値及びサブ範囲を含めて、最大で約140,000cm2の面積を有する。いくつかの実施形態では、各基材は、最大約4,000cm2の面積を有する。いくつかの実施形態では、各基材は、約430cm2から約8,000cm2の間の面積を有する。
【0160】
図13A図17Cは、肉製品を調製するための装置の第3の例示的な実施形態を示す。図13Aは、肉製品を調製するための装置(1300)の断面側面図である。装置(1300)は、入口(1312)、出口(1314)を含み、さらに空洞(1316)を規定する筐体(1310)を含み得る。空洞(1316)内には、流体拡散器(1320)、少なくとも1つの基材(1330)、及びホルダ(1350)を設置し得る。いくつかの実施形態では、ホルダ(1350)は、1以上の流体拡散器(1320)と、少なくとも1つの基材(1330)とを分離可能に係合する(例えば、保持する)ように構成され得る。ホルダ(1350)は、筐体(1310)の内壁に結合することができる。いくつかの実施形態では、ホルダ(1350)は、筐体(1310)の内壁に統合され得る。流体拡散器(1320)は、入口(1312)と少なくとも1つの基材(1330)との間に設置され得る。例えば、流体拡散器(1320)は、筐体(1310)のヘッドスペース(例えば、基材の上の空きスペース)内に設置され得る。流体拡散器(1320)及び基材(1330)のいずれは、筐体(1310)から取り外し可能であっても、筐体(1310)に固定されていてもよい。いくつかの実施形態では、流体(例えば、液体、増殖培地、気体)は、入口(1312)から出口(1314)の方向に流れるように構成され得る。例えば、流体は、より高い位置(例えば、入口(1312))からより低い位置(例えば、出口(1314))に流れる。いくつかの実施形態では、流体(例えば、増殖培地)は、出口(1314)から入口(1312)の方向に流れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体の流れは、使用中に入口(1312)及び出口(1314)を通る方向を変えるように構成され得る。いくつかの実施形態では、筐体(1310)は、複数の入口及び出口(例えば、増殖培地の入口、気体の入口、気体の出口)を含み得る。
【0161】
図13Aは、巻かれた(例えば、渦巻形状の)基材(1330)を含む装置(1300)の断面側面図である。図13Bは、図13Aに示される装置(1300)の別の断面側面図であり、基材(1330)は、図16A図16Fを参照してより詳細に説明されるように、複数の周を有するように巻かれ得る。図13Cは、装置(1300)の斜視図である。いくつかの実施形態では、装置は、筐体(1310)のヘッドスペースに設置された複数の流体拡散器(1320)を備え得る。例えば、流体拡散器(1310)は、基材(1330)から所定の距離、離れた位置に配置され得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器(1320)は、筐体(1310)の長手方向の中心軸と交差し得る。流体拡散器(1320)は、受け取った流体の流れを、1以上の基材(1330)に全体的に分配するように構成され得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、1以上の基材(1330)は、筐体(1310)の所定の体積を満たすように構成され得る。例えば、1以上の基材(1330)は、筐体(1310)内で成長する組織の体積を増加させるために、筐体(1310)の長手方向の中心軸からホルダ(1350)(例えば、内周)まで放射状に延びるようにしても良い。いくつかの実施形態では、基材(1330)は、基材表面間(例えば、基材の異なる周、異なる平行板)で所定の距離を維持するように構成された1以上の間隔的特徴(例えば、スペーサー、突起)を含み得る。例えば、図16F及び図16Gを参照してより詳細に示されるように、基材は、基材の別の部分と接触するように構成されるか、基材表面間で所定の距離を維持する、間隔を置いて配置された突起群を含み得る。
【0163】
図13D及び図13Eは、装置(1300)の断面斜視図である。いくつかの実施形態では、流体は、流体拡散器から基材(1330)の周間の空間を下向きに流れるように構成され得る。例えば、巻物状基材(1330)は、複数の平行な流体チャネルを規定し得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器(1320)は、1以上の基材(1330)の近位端に結合され得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器(1320)は、空洞(1316)内に少なくともその一部が配置されるように、ホルダ(1350)のスペーサ(1354)に分離可能に係合するように構成され得る。例えば、流体拡散器(1320)を、スライド可能かつ分離可能にホルダー(1350)に係合することにより、装置(1300)の保守及び滅菌をし易くすることができる。いくつかの実施形態では、コレクタ(不図示)は、複数の基材(1330)の遠位端に結合され得る。いくつかの実施形態では、1以上の基材(1330)は、筐体(1330)分離可能に係合するように構成され得る。例えば、1以上の基材(1330)を、スライド可能かつ分離可能にホルダ(1350)に係合することにより、1以上の基材(1330)の保守及び滅菌をし易くすることができる。いくつかの実施形態では、基材(1330)の長手方向軸は、筐体(1310)の長手方向軸に平行であり得る。
【0164】
図13Fは、装置(1300)の平面図である。いくつかの実施形態では、流体拡散器(1320)は、1以上の基材(1330)及びホルダ(1350)の直径よりも小さい直径を有し得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器(1320)は、装置(1310)の1以上の基材(1330)上を流れる流体流量を調節するように構成され得る。例えば、流体拡散器(1320)は、流体を受け取り、複数の基材の各基材に実質的に均一な層流の流れを出力するように構成され得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、流体拡散器(1320)は、筐体及び/または1以上の基材に結合され得る。流体拡散器(1320)は、所定のフローパターンで基材に流体を分配するように構成され得る。例えば、流体拡散器は、基材の直径全体的に実質的に均一または層流の流れを可能にするように構成され得る。本明細書でより詳細に説明されるように、流体拡散器は、テーパー面を有し得る。いくつかの実施形態では、基材の寸法に対する流体拡散器の寸法(例えば、直径)との比は、約3:4から約1:1の間、約1,000:1から約1:1の間、及びその間のサブ範囲をすべてを含む。追加的または代替的に、流体拡散器は、1以上の開口部を備え得る。例えば、複数の開口部は、実質的に等間隔に配置され得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は放射対称であり得る。いくつかの実施形態では、空洞はヘッドスペースを含み、流体拡散器は筐体のヘッドスペース内に設置される。いくつかの実施形態では、流体拡散器の長手方向軸は、基材に対して実質的に垂直であり得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器及び基材は、所定の間隔を有する。いくつかの実施形態では、所定の間隔は最大約20cmである。
【0167】
いくつかの実施形態では、流体拡散器は放射対称であり得る。いくつかの実施形態では、空洞はヘッドスペースを含み、流体拡散器は筐体のヘッドスペース内に設置される。いくつかの実施形態では、流体拡散器の長手方向軸は、基材に対して実質的に垂直であり得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器及び基材は、所定の間隔を有する。いくつかの実施形態では、所定の間隔は最大約20cmであり得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み得る。
【0168】
図14Aは、平坦なディスク形状を有する平板流体拡散器(1400)の平面図である。流体拡散器(1400)は、筐体の内径の円周よりも小さい直径を有し得る。図14Bは、図14Aに示される流体拡散器(1400)の斜視図である。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、流体拡散器(1400)を液体(例えば、増殖培地)が通過できるように構成された1以上の開口部(図15D及び図18Bを参照)を有し得る。すなわち、開口部は、流体拡散器の厚さを通る長さを有し得る。開口部は、流体拡散器の下に設置された1以上の基材に、より均一に流体の流れを分配するように構成され得る。例えば、各開口部は、約30μmの直径を有し、これにより、流体拡散器を増殖培地が通過できるようにする。いくつかの実施形態では、流体拡散器(1400)は、1以上の基材に垂直であり得る。
【0169】
図14C及び図14Dはそれぞれ、流体拡散器(1400)及びホルダ(1410)の側面図及び斜視図である。いくつかの実施形態では、ホルダ(1410)は、筐体(図を明確にするために示されていない)の長手方向の中心軸に沿って位置し得る。流体拡散器(1400)の構成は、複数の基材に対して、実質的に均一な層流を出力しながら、材料の蓄積、及び、目詰まりによるファウリングを低減し、滅菌し易くすることができる。例えば、流体は、流体拡散器(1400)の上面及び下面を流れるように構成され得る。流体拡散器(1400)の形状は、図14A図14Dにおいては円形であるが、どのような形状であっても構わない。いくつかの変形例では、流体拡散器と基材は、最大約20cm離れ得る。
【0170】
図15図15Cは、双円錐形状を有する角度付き流体拡散器(1500、1510、1520)の変形例の斜視図である。双円錐(例えば、双円錐)は、その対称軸の1つを中心とした菱形を回転して得られる3次元の面を指す。つまり、双円錐は、2つの合同な直円錐を底で結合することによって生成される構造を定義し得る。いくつかの実施形態では、双円錐は、円対称及び直交左右対称を有し得る。図15A図15Cに示される流体拡散器(1500、1510、1520)は、異なる高さ及び直径を示している。流体拡散器(1500、1510、1520)は、筐体の内径の円周よりも小さい直径を有し得る。いくつかの変形例では、双円錐は、単一の部分または複数の部分を含み得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、流体拡散器(1500、1510、1520)は、約90度から約170度の間の円錐角を有し得る。双円錐の各円錐は、同じまたは異なる円錐角度を有し得る。つまり、双円錐の各円錐は、同じまたは異なる高さを有し得る。
【0172】
円錐がより大きいほど、流体拡散器(400)の高さをより低くすることができ、これにより、入口と複数の基材との間の空きスペースの体積を減らすことができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、流体拡散器の開口部の構成は、対称的なパターンを有し得る。例えば、各開口部は、実質的に同じ直径を有し、隣接する開口部間の間隔は、実質的に同じであり得る。いくつかの実施形態では、開口部は、流体拡散器の実質的に側面全体に延ばしてもよい。
【0174】
図15Bは、流体拡散器(1510)を流れる流体の流れ(1550)の一例を示している。流体は、流体拡散器(1510)の実質的に全表面領域を流れるように構成され得る。すなわち、流体は、双円錐形の流体拡散器の上面及び下面を流れるように構成することができる。流体が流体拡散器の周囲(例えば、円周方向)の縁を越えて流れるとき、流体は、粘着力によって流体拡散器の下側に沿って流れる。粘着力は、異なる種類または状態の分子間の分子間引力である。粘着力の一例として、水が固体表面を濡らす現象がある。水と固体表面の間の分子間力により、濡れる。ただし、流体が下側を流れると、流体は重力によって流体拡散器から落下し、基材の直径より大きく放射状に落下する可能性がある。例えば、流体は、放射対称的に基材を流れ得る。放射対称な流体拡散器は、流体が実質的に等しい経路で流れることを可能にし、これにより、1以上の基材に、流体を実質的に均一に分配することができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、肉製品を調製するための装置は、空洞を規定する筐体、空洞内に配置され、肉製品の成長を助けるように構成された基材、及び、テーパー面を有し、所定のフローパターンで基材に流体を分配するように構成された流体拡散器を含み得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、テーパー面は、凹形状、円錐形状、錐台形状、階段状、及びフレア形状のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態では、テーパー面は、基材に対して最大約80度まで角度を付けることができる。いくつかの実施形態では、流体拡散器は双円錐を有し得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、双円錐は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを含み得る。第1の面は、流体を受け取るように構成され、第2の面は、第1の面から流体を受け取って流体を基材に分配するように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、基材の直径に亘って、実質的に均一なまたは層流の流れを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器は、1以上の開口部を備え得る。いくつかの実施形態では、1以上の開口部は、実質的に等間隔に配置された複数の開口部を含み得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器は放射対称である。いくつかの実施形態では、空洞はヘッドスペースを含み得、流体拡散器は、筐体のヘッドスペース内に設置され得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器の長手方向軸は、基材に対して実質的に垂直であり得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器及び基材は、所定の間隔を有し得る。いくつかの実施形態において、所定の間隔は、最大約20cmであり得る。
【0178】
図15Dは、円錐形(例えば、単一の円錐形)を有する流体拡散器(1530)の平面図である。流体拡散器(1530)は、流体拡散器(1530)を液体(例えば、増殖培地)が通過できるように構成された1以上の開口部(1532)を備え得る。例えば、開口部は、実質的に等間隔に配置され得る。いくつかの実施形態では、各開口部(1532)は、所定の直径を有し得る。例えば、開口部(1532)の直径は、同じか、または、流体拡散器(1530)の中心からの距離の関数として変化し得る。いくつかの実施形態では、流体拡散器(1500)は、1以上の基材に垂直であり得る。例えば、流体は、上面を流れ、流体拡散器(1500)の開口部(1532)を通って流れるように構成され得る。
【0179】
本明細書に記載の装置によって調製される肉製品の量は、装置の基材の数及び表面積に対応する。例えば、1以上の基材は、商業規模の量の食用肉製品を生成するように構成され得る。
【0180】
図16Aは、基材(1600)の斜視図である。図16Bは、基材(1600)の側面図である。図16Cは、基材(1600)の平面図、図16Dは、詳細な平面図である。図16Eは、筐体内に設置された基材の平面図である。図16Fは、基材のスペーサーの概略図である。いくつかの実施形態では、肉製品を調製するための装置は、肉製品を形成するために、その表面に1以上の細胞の培養を促進するように構成された1以上の基材(1600)を含み得る。いくつかの実施形態では、1以上の基材(1600)は、それらが洗浄または保全され、再利用され得るように、対応する装置から取り外し可能であり得る。追加的または代替的に、1以上の基材は、装置自体の中で滅菌され得る。いくつかの実施形態では、1以上の基材(1600)は平面であり得、そして互いに実質的に平行であり得る。いくつかの実施形態では、装置は、単一の基材または複数の基材を含み得る。いくつかの実施形態では、基材は、筐体に分離可能に係合するように構成され得る。例えば、複数の基材は、1以上の構成(例えば、端から端まで、間隔を空けて、重なり合う)で互いに結合(例えば、取り付け)され得る。隣接する基材を互いに結合するために、1以上の留め具を使用してもよい。
【0181】
いくつかの実施形態では、基材(1600)は、長手方向軸(例えば、中心軸)を中心として巻かれた(例えば、周りを包まれた)、複数(例えば、2、3、4、5周、またはそれ以上)の層(例えば、周、回転)を有する、巻物状の構成を有し得る。巻物状の構成の場合、基材(1600)は、円形または楕円形の断面形状を有するほぼ円筒形の形状を有し得る。例えば、巻物状基材(1600)は、楕円形の円筒(例えば、楕円形の断面を有する円筒)を含み得る。
【0182】
基材(1600)は、所定の軸を中心として、2周以上巻かれた構成を有し得る。すなわち、基材(1600)は、所定の軸を中心として、360度を超えて曲げられ得る。例えば、基材は、所定の軸を中心として複数周を有し得る。いくつかの実施形態では、基材(1600)を、筐体の長手方向軸の周りに曲げてもよい。例えば、基材(1600)は、筐体の空洞内に配置(例えば、設置)され、筐体の長手方向の中心軸に沿って並べられ得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、基材(1600)は、内端(1610)(例えば、巻物状基材の最も内側の部分、近位端)及び外端(1620)(例えば、巻物状基材の最も外側の部分、遠位端)を有する。例えば、図16Dは、基材(1600)の始点または中心を規定し得る、基材(1600)の内側端部(1610)を示し、図16Aは、基材(1600)の端または最後の層を規定し得る基材(1600)の外側端部(1620)を示している。巻物状基材(1600)は、基材が互いに重なるように、1周以上または回転を有し得る。本明細書に記載の巻物状基材(1600)は、粘着組織シートの支援及び成長のために、表面積を増やすことができる。さらに、巻物状基材(1600)は、平坦な基材(例えば、プレート)よりも剛性が強い形状を有し得る。いくつかの実施形態では、基材(1600)は、少なくとも約5cmの外径を有し得る。いくつかの実施形態では、基材(1600)は、最大約20cm、50cm、80cm、約100cm、及び、その間のすべての値及びサブ範囲を含む高さを有し得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、基材は、バネ弾性を有する薄い金属のシート上に1以上の突起を刻印することによって製造することができる。基材は、巻いて筐体内に設置されるように構成することができ、筐体内で自然に広がり、互いに離れて、筐体の空洞を満たす。いくつかの実施形態では、基材は、筐体に取り外し可能に結合することができる。つまり、基材は筐体に固定または取り付けなくてもよい。
【0185】
いくつかの実施形態では、巻物状基材は、流体の流れに沿って整列され得る。例えば、基材及び対応する流体チャネルが、地面に対して角度を有する(例えば、垂直、軸外れ)ように構成してもよい。いくつかの実施形態では、装置は、複数の流体チャネル(1660)を備え得る。例えば、巻物状基材(16000)は、隣接する周の間(例えば、基材(1600)の近接する層間の空間内)に複数の流体チャネル(1660)を規定し得る。各流体チャネル(1660)は、流体チャネル(1660)が連続する周の間の空間を含むという点で、基材(16000)の少なくとも1つのターンに関連付けられ得る。例えば、基材(1600)の隣接する周は、所定の間隔を有し得る。流体は、複数の流体チャネル(1660)を通って、一方向(例えば、より高い位置からより低い位置へ)に流れるように構成され得る。例えば、基材(1600)の各層は、肉製品が基材(1600)で成長し得るように流体が灌流され得る所定の間隔(例えば、ギャップ)をもって分離され得る。いくつかの実施形態では、複数の流体チャネル(1660)は、実質的に曲がっており(例えば、同心)、互いに平行である。いくつかの実施形態では、各流体チャネル(1660)は、約0.3mmから約5.0cmの間、及び、その間のすべての値及びサブ範囲を含む幅を有し得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、肉製品を調製するための装置は、本明細書に記載の筐体と、筐体の空洞内に配置された基材(1600)とを含み得、基材(1600)は、渦巻状をしており、肉製品の成長を促すように構成された表面を有する。例えば、基材(1600)は、肉製品の高密度成長を可能にし得る。いくつかの実施形態では、基材(1600)は、基材の片側または両側で肉製品を成長させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、基材(1600)は、約10cmから約300cmの間の幅、約10cmから約200mの間の長さ、及び、その間のすべての値及びサブ範囲を含む寸法を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の基材(1600)は、その間のすべての値及びサブ範囲を含む、最大約10,000,000枚の基材を含み得る。いくつかの実施形態では、基材は、ステンレス鋼、セラミック、及びポリマーのうちの1つ以上を含み得る。
【0187】
いくつかの実施形態では、筐体は、それぞれがそれぞれの軸を中心として巻かれた複数の巻物状(例えば、渦巻状)基材(1600)を含み得る。例えば、第1の直径を有する巻物状主基材を筐体の中央に設置し、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する巻物状副基材群を巻物状主基材の円周の周りに設置してもよい。別の例として、巻物状基材群を、筐体の空洞内に平行線に配置してもよい。すなわち、各巻物状基材の軸は、交差せず、平行であり得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、基材(1600)は、少なくとも約1μmの厚さを有し得る。その渦巻形状による巻物状基材(1600)の剛性は、基材(1600)の相応の厚さの減少を可能にし得、これにより、所定の体積内において基材の周を追加することが可能となる。いくつかの実施形態では、基材の各周は、食用肉製品の成長を促進し、流体が基材(1600)を流れることを可能にするように構成された、所定の距離をもって分離され得る。例えば、基材の隣接する周の間の所定の距離は、少なくとも約0.8mmであり得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、1つの渦巻が複数の基材を含み得る。例えば、基材は、第1の基材部分と、第1の基材部分とは別に形成された第2の基材部分とを含み得る。第1の基材部分の端部は、第2の基材部分の端部に近接していてもよい。いくつかの実施形態では、第1の基材部分の端部は、第2の基材部分の端部に結合され得る。例えば、第1の基材部分の端部は、第2の基材部分の端部と重なっている。あるいは、部分が互いに接触することなく、各基材部分の端部が結合するように、止め具を構成してもよい。
【0190】
いくつかの実施形態では、基材は、基材の隣接する層間で所定の間隔を維持するように構成された1以上の特徴(例えば、スペーサー、突起)を有し得る。いくつかの実施形態では、基材は、筐体内に配置された巻物状基材が自ら間を開けるように構成された複数の突起を含み得る。いくつかの実施形態では、1以上の突起は、おおよそ線形の形状を有し得る。1以上の突起は、基材の表面に刻印することができる。突起は、間隔を置いて配置された突起の間で組織シートが成長できるように構成され得る。例えば、線形形状を有する突起は、対応する線形エッジを有する組織シートの成長を促進し得る。いくつかの実施形態では、線形の突起は、組織への裂け目及び/または損傷を低減し、基材からの組織シートの分離を助けることができる。いくつかの実施形態では、1以上の突起は、少なくとも約0.8mmの高さを有し得る。隣接する突起は、基材の表面に沿って約2cmから約8cmの間、及びその間のすべての値及びサブ範囲を含む、所定の間隔で配置され得る。
【0191】
図16F及び図16Gは、スペーサー群(1630、1632)を有する基材(1600、1602)の表面の平面図である。いくつかの実施形態では、基材(1600、1602)は、内側端(1610)及び外側端(1620)有し得る。スペーサー(1630)は、1以上の細長く、丸い形状であり得る。追加的または代替的に、スペーサー(1632)は、一般に、円形、球形、円筒形、半球形、卵形、楕円形、それらの組み合わせ等のうちの1つまたは複数であり得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、基材及び筐体の少なくとも一方は、基材への細胞付着及び組織成長を促進するために、地面に対して角度を付けられ得る。 例えば、筐体は、地面に設置されるように構成され得、筐体の基材は、地面に対して鋭角を成す長手方向軸を規定し得る。図2Eは、長手方向軸(290)に対して角度をつけられた筐体(260)を示している。同様に、筐体(260)内の基材(不図示)は、長手方向軸(290)に対して鋭角を付けられ得る。いくつかの実施形態では、鋭角は少なくとも約85度であり得る。従って、地面と反対側を向いている基材の表面は、肉製品の成長を促進するように構成することができる。いくつかの実施形態では、わずかな角度をつけられた基材は、基材への細胞の接着及び成長を促進すると共に、層流を促進することができる。
【0193】
図18A図18Eは、本明細書に記載の肉製品を調製するための装置を通る流体の流れのベクトル図(1800、1802、1804、1806、1808)である。図18Aは、流体拡散器(1810)及び巻物状基材(1820)を含む装置の断面画像の流体流速(1800)を示している。不均一かつ非層流(1850)な流体は、比較的高速に入口(1802)を通って装置に入る。流体拡散器(1810)は、流体を受け取り、流体の流れ(1852)を拡散(例えば、調整、調整)し、これにより、巻物状基材(1820)は、実質的に均一で層流の流体の流れ(1854)を受け取り、これによって、基材(1820)の各層(例えば、周)全体に亘って一貫した細胞成長を可能にする。流体の流れは、一般に規則的であり、基材(1820)の層全体に亘って対称に分散され得る。例えば、図18Cは、円錐形の流体拡散器(1810)上及び巻物状基材(1820)を流れる流体の流れ(1804)の斜視図を示す。図18Aに戻り、流体(1856)は、基材(1820)の隣接する層間の流体チャネルを通過し、次に、筐体(1820)の出口(1856)を通過する。いくつかの実施形態では、システムは、装置内の背圧を低減するのに十分な流量を維持するように構成され得る。
【0194】
図18Bは、巻物状基材及び複数の開口部(1812)を有する流体拡散器(1810)の流体流速(1802)の詳細な断面図である。図18Dは、双円錐流体拡散器(1811)の流体流速(1806)の別の断面画像である。流体拡散器(1811)は、第1のテーパー部分(例えば、上部コーン)(1813)上の流体の流れ(1850)及び第2のテーパー部分(例えば、下部コーン)(1815)上の流体の流れ(1852)を可能にするように構成される。例えば、流体(1852)は、粘着性により、第1のテーパー部分(1813)から、第2のテーパー部分(1815)を順に流れることができる。流体が双円錐拡散器(1811)の下側(例えば、第2のテーパー部分(1815))を流れるとき、流体は、重力のために基材(1820)に落下する可能性がある。いくつかの実施形態では、流体は、放射対称に基材(1820)を流れ得る。図18Eは、基材(1820)を流れる流体流速(1808)の詳細な断面画像である。
【0195】
III.方法
本明細書に記載の肉製品を調製するための方法も本明細書で説明する。ここで説明する方法は、装置内で肉製品の生成と分離ができるようにするものである。いくつかの実施形態において、多量の細胞を基材に供給することで、細胞を肉製品(例えば、細胞シート)に成長させる。細胞が、サイズや成熟度等の所定の成長要件を満たすと、肉製品は基材から分離され得る。例えば、肉製品は、流体の流れを利用して、実質的に無傷及び/または同時的な方法で基材から分離され得る。肉製品を生成するための本明細書に記載の装置は、再利用するためにさらに滅菌してもよい。
【0196】
一般に、本明細書に記載の方法は、基材を多量の細胞に所定時間接触させる工程を含む。増殖培地は、細胞の成長、細胞分化、または未分化細胞状態の維持のうちの少なくともいずれかを促進するために細胞に送られ得る。例えば、本明細書に記載のいずれかの基材の表面で、多量の細胞を成長させてもよい。細胞は機械的に相互作用し、基材の表面で成長して、連続した細胞シートを形成する。複数の基材は、複数の細胞シートの生成及び収集を可能にし得る。基材において成長した細胞は、壊れていない(例えば、連続的な)肉製品(例えば、細胞シート)として、及び/または所定の部分単位で分離され得る。いくつかの実施形態では、基材で成長した細胞は、複数のランダムな大きさの部分単位で分離される。本明細書では実質的に平面の基材が説明及び図示されているが、基材には、湾曲した基材等の非平面の基材が含まれる。例えば、基材を流れる流体の流れは、肉製品を基材から分離するために所定の剪断力を加えることができる。
【0197】
図19は、本明細書に記載の装置のいずれかを使用して肉製品を調製する方法(1900)を一般的に説明するフローチャートである。この処理は、選択的に、装置を第1の構成に回転させる工程を含む(1902)。いくつかの実施形態では、基材を、地面に対して平行に回転させてもよい。細胞は基材(1309)の表面に供給される。いくつかの実施形態では、少なくとも約500個/cm2の細胞が基材に供給される。いくつかの実施形態では、約5,000個/cm2から約1,000,000個/cm2の間、その間のすべての値及びサブ範囲を含む密度の細胞が、基材の表面に付着するまで基材に供給される。
【0198】
例えば、上記の第1の構成は、基材の第1の側面に、細胞が重力によって沈降し、接着及び/または付着するように、1以上の基材の第1の側面が複数の細胞によって播種されるように構成され得る。例えば、流体媒体に懸濁された細胞を、基材の実質的に全表面の領域に亘って流してもよい。平坦な基材の場合、基材を、地面に平行になるように配置(例えば、回転)させても良い。これらの実施形態のいくつかでは、装置の第1の構成は、1以上の基材の第2の側面(例えば、反対側)に複数の細胞によって播種し、それによって細胞を実質的に基材の面全体に播種することをさらに可能にし得る。
【0199】
いくつかの実施形態では、基材は、図16A~16Dに示されるように巻かれ得る。巻物状基材は、装置の空洞内に設置され得る。例えば、巻物状基材は、空洞内に配置されると、自然に広がって、装置内の空間で保持され得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、基材の外面を湿らせることで、基材を細胞播種のために準備することができる。例えば、増殖培地のコーティングを基材の外面に塗布してもよい。装置は、選択的に増殖培地で満たされ、そして除去され得る。次に、細胞群が基材の各領域に置かれる。
【0201】
基材に播種した後、細胞を培養して肉製品を成長させる。装置を、第2の構成に回転させてもよい(1906)。例えば、第2の構成は、1以上の基材に細胞の流体が流れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、基材は、地面に対して実質的に垂直に整列され得る。例えば、複数の基材は、基材が地面に対して垂直となる平行平板構成で配置し、それによって、流体が基材間の空間を流れるようにする。細胞は、重力に反して基材に留まるように、基材に接着する。いくつかの実施形態において、基材を、地面と鋭角を成すように設置してもよい。
【0202】
増殖培地を含む第1の流体は、装置内を流れ得る(1908)。いくつかの実施形態において、システムは、少なくとも1日等の所定の期間、細胞を連続的に培養するように構成され得る。いくつかの実施形態では、装置内の第1の流体は、最速毎秒約3.0メートルの速度で再循環され得る。いくつかの実施形態では、第1の流体は、第1の高さから第1の高さよりも低い第2の高さまで、装置内を流れる。この構成では、装置内の流体の完全な循環を促進し得る。いくつかの実施形態では、第1の流体は、基材全体における一貫した細胞増殖及び第1の流体の完全な交換をさらに促進する曲がりくねっていない流路を提供するために、基材を流れる平面流を形成する。
【0203】
いくつかの実施形態では、流体は、所定のフローパターンで基材に分配され得る。例えば、所定のフローパターンは、基材の直径に渡って、実質的に均一、または層流の流れを含み得る。
【0204】
基材における細胞は、肉製品を生成するために第1の流体によって培養される(1910)。従って、食用肉製品は、基材で成長し得る。いくつかの実施形態では、細胞を培養する工程は、実質的に均一で層状の第1の流体を基材に供給する工程を含み、これにより、基材の全表面に亘って一貫した最適化された細胞増殖を提供する。第1の流体は、肉製品の異なる成長段階のための異なる組成物を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の流体は、基材をほぼ下方向に流れ得る。追加的または代替的に、第1の流体は、基材をほぼ上方向に流れてもよい。
【0205】
いくつかの実施形態において、肉製品は、細胞及び/または細胞間相互作用によって分泌される細胞外マトリックスによってまとめて保持され得る。いくつかの実施形態において、細胞は、筋芽細胞、メサンギオブラスト、筋線維芽細胞、間葉系幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、周皮細胞、脂肪細胞、上皮、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、多能性細胞、体性幹細胞、及び内皮細胞のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、家畜、家禽、狩猟動物、及び水生動物種からの1つ以上の細胞を含む。
【0206】
肉製品は、少なくとも約1μmの厚さ(例えば、高さ)を有し得る。例えば、肉製品は、約1μmから約5mm、約100μmから約1mm、約200μmから約500μm、約300μmから約800μm、及びその中間のすべての値とサブ範囲を含む範囲の厚さを有する。
【0207】
肉製品の成長を監視するために、装置、細胞、及び流体のうちの1つ以上を測定してもよい(1912)。例えば、1以上のセンサは、流体、細胞シート、装置、流体ポンプ、及び流体源のうちの1つ以上を監視するように構成され得る。いくつかの実施形態において、センサ測定値を使用して、流体流量及び流体組成等の1つ以上の流体パラメーターを変更してもよい。さらに、センサ測定値をユーザに出力して、処理を監視できるようにしてもよい。センサ測定値には、これらに限定されるものではないが、pH、溶存ガス濃度、浸透圧、栄養素濃度、廃棄物濃度、イオン濃度、酸素濃度、温度等が含まれる。いくつかの実施形態では、肉製品を調製するための装置は、約4℃~約40℃の温度範囲、約6.6~約7.8のpH、約2%~約120%の溶存酸素、及び、その中間のすべての値とサブ範囲を含み得る。
【0208】
肉製品の成長が所定の基準に達すると、肉製品は、収集のために基材から分離され得る。いくつかの実施形態では、第2の流体を装置内に流してもよい(1914)。肉製品を、第2の流体を利用して基材から分離してもよい(1916)。所定のレートを有する第2の流体によって肉製品に十分な剪断力が加えられると、肉製品は基材から分離する。いくつかの実施形態では、第2の流体は、非層流の乱流を含み得る。例えば、第2の流体は、基材からの肉製品の分離を助けるために、乱流流体及び/または周期的な流体フローパターンを生成するように構成された気体と液体(例えば、液体中の泡の気体)を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の流体は、生理食塩水(例えば、0.2~0.9%生理食塩水)を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の流体は、1以上の基材から肉製品を分離するように構成された第2の流体拡散器(例えば、スプレーボール)によって調節することができる。いくつかの変形例では、基材に対して所定の角度で流体を噴射することによって、食用肉製品は、基材から分離され得る。所定の角度は、約10度から基材にほぼ平行の間であり得る。いくつかの実施形態では、分離器は、1以上の流体ノズルから流体を出力して、流体を所定の角度で基材に噴射するように構成され得る。いくつかの実施形態では、分離器は、流体を肉製品に噴射するときに、所定の軸を中心として回転するように構成され得る。流体は、約0.003m/秒から約3.0m/秒の間の線形速度を有し得る。流体は、最大約120度の角度を有する流路を有し得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、肉製品は、実質的に連続的な、及び/または全体の多層片として分離され得る。すなわち、基材及び第2の流体は、基材から肉製品を壊さずに及び/または同時に剥離することを可能にする。肉製品は、一塊りとして切り離す必要はなく、制御されていない任意の方法で外して割れてしまうよりは、所定の部分単位で切り離してもよい。いくつかの実施形態では、肉製品は、複数の分離可能な部分単位(例えば、2つ以上の部分)で分離され得る。
【0210】
いくつかの実施形態において、基材からの肉製品の分離は、複数のメカニズムを用いて実施され得る。例えば、肉製品の基材からの分離は、流体的、自発的、化学的、電気的、光学的、熱的、及び細胞の収縮及び/または弛緩を誘発することによる機械的分離のうちの1つ以上を含み得る。例えば、1以上の緩衝液または酵素溶液が細胞に接触すると、基材からの剥離を誘発する。いくつかの実施形態では、流体チャネルを通る流体の流れの体積及び速度のうちの少なくとも1つを増加させて、肉製品を分離してもよい。例えば、流体の流れを、平行平板構成において隣接する基材の間で増加させることで、肉製品を基材から流体的に分離してもよい。いくつかの変形例では、食用肉製品を基材から分離する前に、流体を装置から除去してもよい。別の例として、気泡を含む第2の流体を基材の表面に流すことにより、細胞シートを基材から分離するのに十分な剪断力を加えるように構成された乱流を作り出す。いくつかの実施形態では、第2の流体は、第1の流体よりも高い粘度を有し、これにより、細胞シートに加えられる界面剪断応力を増加させ、それにより、細胞シートの剥離を容易にし得る。いくつかの実施形態では、第2の流体は、第1の流体と同じ組成を有し得る。
【0211】
肉製品は、基材から分離され、そして、装置内または装置の外で収集され得る。いくつかの実施形態では、分離された肉製品を収集され得る(1918)。いくつかの実施形態では、実質的に全肉製品が予め決められた時間に放出し得(例えば、制御され、短縮され、延長され)、その際に、実質的にわずかに細胞シートが基材に付着したまま残るか、または壊れる。追加的または代替的に、肉製品は、分離可能な部分群毎に分離され得る。例えば、基材は、基材において成長した肉製品を複数の部分(例えば、2つ以上の部分)として分離できるように構成され得る。肉製品は、肉製品を調製するための装置内または装置の外で収集され得る。いくつかの実施形態では、肉製品は、約0.0001m3から約0.1m3の間の体積を有し得る。
【0212】
装置は、少なくとも廃棄物及びコストを削減するために、再利用に向けて滅菌され得る(1920)。例えば、装置を、基材で別の肉製品を培養及び分離する前に蒸気滅菌してもよい。いくつかの実施形態では、装置は分解し得る。例えば、基材、流体拡散器、及びコレクタのうちの少なくとも1つを装置から取り外すことができる。いくつかの実施形態では、基材、流体拡散器、及びコレクタは、自由に排出するように構成された平坦で薄い表面を含み、破片を引っ掛け得る接合部または内部表面(例えば、内部隙間、空間)を有さない。線形流体チャネルも滅菌を支援する。
【0213】
IV.
本明細書に記載されるように、本明細書で提供されるシステム、装置、及び方法は、肉製品を調製するための培養細胞(例えば、細胞シート)の成長、接着、放出、及び/または保持の特性を制御するのに有用である。表1(下記)は、本明細書に記載のシステム及び装置を使用して、異なる期間に亘って異なる細胞種及び細胞型で生産された肉製品の量のリストである。
【0214】
表1
本明細書で使用される場合、「約」及び/または「おおよそ」という用語は、数値及び/または範囲と組み合わせて使用される場合、一般に、示された数値及び/または範囲に近い数値及び/または範囲を指す。場合によっては、「約」及び「おおよそ」という用語は、記載されている値の±10%以内を意味し得る。例えば、場合によっては、「約100[単位]」は100の±10%以内(例えば、90から110)を意味し得る。「約」と「おおよそ」という用語は、同じ意味で使用され得る。
【0215】
前述した実施は、明確化及び理解のために、例示及び例によっていくらか詳細に説明されてきたが、特定の変更及び修正が実施され得ることは明らかであり、添付のクレームの範囲内となることを意図している。さらに、本明細書に記載の基材の構成要素及び特性は、任意の組み合わせで使用することができ、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の要素の全部または一部を含み得ることを理解されたい。特定の図に関する特定の要素または特性の説明は、限定することを意図したものではなく、また、その要素を他の説明された要素と組み合わせて使用できないことを示唆するものと解釈されるべきではない。
【0216】
さらに、本明細書に開示される2つ以上のそのような特徴、構造、システム、物品、材料、キット、工程及び/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、構造、システム、物品、材料、キット、工程及び/または方法が相互に矛盾していなければ、本開示の本発明の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、参考文献または参考文献の組み合わせに見られる1つまたは複数の特徴、要素、及び機能性を具体的に欠いているため、先行技術と区別し得る(すなわち、そのような実施形態に向けられた請求項は、負の制限を含み得る)。
【0217】
本出願に提示される、特許、特許出願、記事、ウェブページ、本等を含む、これらに限定されない刊行物または他の文書へのすべての参照は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書で定義及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、及び/または定義された用語の通常の意味を超えて理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図19