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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】開口部装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20230823BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20230823BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20230823BHJP
   E06B 1/62 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
E06B9/17 Z
E06B1/56 A
E06B1/36 Z
E06B1/62 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023060501
(22)【出願日】2023-04-03
【審査請求日】2023-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 肇
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-048652(JP,A)
【文献】特開2001-073636(JP,A)
【文献】特開平03-039586(JP,A)
【文献】特開2006-104842(JP,A)
【文献】特許第7255008(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E06B 1/00-1/70
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物用付設枠と、下地材と、乾式シール材を備え、開口部の少なくとも下方に防水層が設けられ防水層よりも上方に外壁材が設けられる外壁に取り付けられるものであり、
建物用付設枠は、上枠材、下枠材及び左右の縦枠材が四方枠組みされ、下地材を介して外壁の開口部の屋外側に取付けられるものであり、
乾式シール材は、片面に接着面を有するものであり、
下地材は、上部下地材、下部下地材及び左右の縦部下地材が四方枠組みされ、屋内側面に乾式シール材が四方に亘って接着固定されており、
乾式シール材の屋内側面を外壁材及び防水層に対して圧接させるとともに、上部下地材及び縦部下地材を外壁に対してネジ止め固定することで、外壁に固定されている開口部装置。
【請求項2】
建物用付設枠と、下地材と、乾式シール材を備え、開口部の少なくとも下方に防水層が設けられ防水層よりも上方に外壁材が設けられる外壁に取り付けられるものであり、
建物用付設枠は、上枠材及び左右の縦枠材が三方枠組みされ、下地材を介して外壁の開口部の屋外側に取付けられるものであり、
乾式シール材は、片面に接着面を有するものであり、
下地材は、上部下地材及び左右の縦部下地材が三方枠組みされ、屋内側面に乾式シール材が三方に亘って接着固定されており、
乾式シール材の屋内側面を外壁材及び防水層に対して圧接させるとともに、上部下地材及び縦部下地材を外壁に対してネジ止め固定することで、外壁に固定されている開口部装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の開口部に設置される開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に設置される開口部装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-104842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のシャッター装置(開口部装置)は、バルコニーを有する建物の開口部等に施工することも想定されているが、バルコニーには、床部から外壁の下方部位にかけて防水層が敷設されていることが一般であり、シャッター装置等を施工する際にはバルコニーの床部や外壁の下方部位に立ち上がる防水層にできるだけ孔等を開けずに施工することが好ましい。
【0005】
そして、上記特許文献1に記載のシャッター装置は、シャッター下枠を固定部材を介してサッシ下枠に固定することで、シャッター下枠を建物躯体部に固定する必要をなくし、防水層に孔を開けることなく施工することを可能にしている。
【0006】
しかし、シャッター下枠をサッシ下枠に固定すると、シャッターを閉めた状態でもサッシ下枠が外気や雨水等に直接さらされることになり、台風等の大雨、大風の状況においては、雨水の侵入を完全に防止することは難しかった。
さらに、建物の開口部には様々な種類のサッシが施工されることから、上記特許文献1に記載のシャッター装置を施工するためには、様々な種類のサッシの下枠に対応する固定部材を準備する必要があり、部材の管理負担が増加するとともに、施工作業が煩雑になる傾向にあった。
【0007】
本発明は、上記事項を鑑み、防水層を有する外壁の開口部に対して、高い水密性を有する開口部装置を簡単に施工できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は、建物用付設枠と、下地材と、乾式シール材を備え、開口部の少なくとも下方に防水層が設けられ防水層よりも上方に外壁材が設けられる外壁に取り付けられるものであり、建物用付設枠は、上枠材、下枠材及び左右の縦枠材が四方枠組みされ、下地材を介して外壁の開口部の屋外側に取付けられるものであり、乾式シール材は、片面に接着面を有するものであり、下地材は、上部下地材、下部下地材及び左右の縦部下地材が四方枠組みされ、屋内側面に乾式シール材が四方に亘って接着固定されており、乾式シール材の屋内側面を外壁材及び防水層に対して圧接させるとともに、上部下地材及び縦部下地材を外壁に対してネジ止め固定することで、外壁に固定されている開口部装置である。
一実施形態は、建物用付設枠と、下地材と、乾式シール材を備え、開口部の少なくとも下方に防水層が設けられ防水層よりも上方に外壁材が設けられる外壁に取り付けられるものであり、建物用付設枠は、上枠材及び左右の縦枠材が三方枠組みされ、下地材を介して外壁の開口部の屋外側に取付けられるものであり、乾式シール材は、片面に接着面を有するものであり、下地材は、上部下地材及び左右の縦部下地材が三方枠組みされ、屋内側面に乾式シール材が三方に亘って接着固定されており、乾式シール材の屋内側面を外壁材及び防水層に対して圧接させるとともに、上部下地材及び縦部下地材を外壁に対してネジ止め固定することで、外壁に固定されている開口部装置である。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態によれば、下方部位に防水層を有する外壁の開口部に対して、高い水密性を有する開口部装置を簡単に施工できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の開口部装置の縦断面図である。
図2】実施形態の開口部装置の横断面図であり、左側が上方部分の横断面図であり、右側が下方部分の横断面図である。
図3】実施形態の開口部装置の上枠材を取り付ける上部下地材の取付状態を説明する縦断面図である。
図4】実施形態の開口部装置の縦枠材を取り付ける縦部下地材の上方部分の取付状態を説明する縦断面図である。
図5】実施形態の開口部装置の縦枠材を取り付ける縦部下地材の下方部分の取付状態を説明する縦断面図である。
図6】実施形態の開口部装置の下枠材を取り付ける下部下地材の取付状態を説明する縦断面図である。
図7】実施形態の開口部装置が取り付けられる前の建物の外観図である。
図8】実施形態の開口部装置が取り付けられた建物の外観図である。
図9】実施形態の開口部装置を取り付ける下地材を説明するために下地材を屋内側から見た正面図である。
図10】他の実施形態の開口部装置が取り付けられた建物の外観図である。
図11】他の実施形態の開口部装置の縦断面図であり、図10のA-A断面図である。
図12】他の実施形態の開口部装置を取り付ける下地材を説明するために下地材を屋内側から見た正面図である。
図13】他の実施形態の開口部装置を取り付ける下地材を説明するために下地材を屋内側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態の開口部装置として、建物の外壁に設けられた開口部(以下、単に「開口部」という。)の屋外側に設置され、シャッターパネルを巻き取り、繰り出すことで開口部を開閉するシャッター装置の例を用いて、図面を参考にして説明する。
本実施形態のシャッター装置1は、図7に示すような、バルコニー等への出入りが可能な建具Fの屋外側に設置することができる。
建具Fの屋外側には、バルコニーが続いており、バルコニーには防水層が敷設され、防水層の外縁は、外壁の下方部位に沿って立ち上がっている。
なお、図7において、建具Fの外周に記載された点線は、後述する下地材3の位置を示している。
【0012】
(外壁の構成)
シャッター装置1が設置される建物の外壁は、図1,2に示すように、複数の柱(縦材)B,B間に複数の横材A,Aが固定され、上下の横材A1(A),A2(A)及び左右の縦材B,Bに囲まれて開口部が形成されており、横材A及び縦材Bの屋外側に構造用面材Cが取り付けられいる。
【0013】
外壁は、複数の横材A,A間及び複数の柱(縦材)B,B間に断熱材Gが充填されており、横材A及び縦材Bの屋内側に内装材Dが取り付けられている。
【0014】
外壁は、開口部の上方内周面及び左右内周面に額縁材E1,E2が取り付けられるとともに、下方内周面に床材E0が配置されている。
【0015】
外壁は、下方の横材(窓台)A2よりも上方位置において、構造用面材Cの屋外側に胴縁材Kが取り付けられ、胴縁材Kにより外壁材Hが取り付けられている。
外壁には、開口部に半外付けタイプの引き違いサッシ等の建具Fが設置されており、建具Fの屋外側に建具Fを覆うようにシャッター装置1が設置されている。
【0016】
バルコニーの床面に敷設された防水層Lは、外壁に沿って立ち上がって外壁材Hの下方付近に至り、立上り上端部分は見切り材Nによって覆われている(図11参照)。
また、防水層Lは、開口部の下方位置においては、立上り上端部分が建具Fの下枠F12の下方位置に至り、下枠F12を下方の横材(窓台)A2に固定するための取付片F12aの室外側面を覆っている(図1参照)。
【0017】
(シャッター装置の構成)
本実施形態のシャッター装置1は、シャッター枠(建物用付設枠)10と、シャッターカーテン15を備えており、図8に示すように、外壁の開口部の屋外側に設置されることで、開口部に設置された建具Fの屋外側をすべて覆うことができる。
【0018】
シャッター枠10は、図1図2に示すように、外壁の開口部の上方位置に配置されるシャッターボックス(上枠材)11と、開口部の下方位置に配置されるシャッター下枠(下枠材)12と、開口部の左右位置に配置されるシャッター縦枠(縦枠材)13,13が四方枠組みされて形成されており、シャッターボックス11の内部にシャッターカーテン15が繰り出し自在に収納されている。
【0019】
シャッターボックス11は、上壁部11aと、下壁部11bと、左右の縦壁部(図示はない)を有し、シャッター開放時にシャッターカーテン15等を収納するための箱状部材である。
シャッターボックス11は、上壁部11a及び下壁部11bの屋内側にそれぞれ取付見付壁11c,11dを有しており、後述する上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312にビス(固定手段)b1,b1によって固定されている。
【0020】
シャッター装置1は、シャッターボックス11の内部にシャッターカーテン15を巻き取る巻取り軸15aが回転自在に配置されており、駆動手段(図示はない)によって巻取り軸15aを回転駆動することでシャッターカーテン15を収納もしくは引き出してシャッター装置1を開閉している。
【0021】
シャッター下枠12は、シャッターカーテン15の下端が当接するシャッター受部12aと、シャッター受部12aの屋内側に続く底壁部12bを有している。
シャッター下枠12は、底壁部12bの屋内側に取付見付壁12cを有しており、後述する下部下地材32にビス(固定手段)b2によって固定されている。
【0022】
シャッター縦枠13は、シャッターカーテン15の左右端部を案内するガイドレール13aと、ガイドレール13aを支持する縦枠本体13bを有している。
シャッター縦枠13は、縦枠本体13bの屋内側に取付見付壁13cを有しており、後述する縦部下地材33にビス(固定手段)b3によって固定されている。
【0023】
(シャッター装置の下地材による固定)
本実施形態のシャッター装置1は、四方に枠組みされた下地材3が外壁の屋外側に開口部の外周に沿って固定され、該下地材3の屋外側に四方に枠組みされたシャッター枠10を固定することで取り付けられている。
本実施形態のシャッター装置1は、四方に枠組みされた下地材3の屋内側に乾式シール材が四方に亘って接着固定されており、下地材3が外壁に固定されることで、乾式シール材が開口部の外周を囲むように外壁に圧接されて、シャッター装置1と外壁との間を開口部の四方に亘って水密している。
【0024】
シャッター装置1を外壁に固定するための下地材3は、図1,2に示すように、上部下地材(上方)311,上部下地材(下方)312、下部下地材32及び左右の縦部下地材33を有している。
本実施形態の下地材は、上下に並べて配置される上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312により、シャッター装置1のシャッターボックス(上枠材)11を固定するための上部下地材を構成している。
【0025】
上部下地材(上方)311,上部下地材(下方)312、下部下地材32及び左右の縦部下地材33は、アルミ合金等の金属材料からなり、矩形中空断面を有する長尺部材である。
下地材3は、図9に示すように、左右の縦部下地材33,33の内周面に上部下地材(上方)311,上部下地材(下方)312及び下部下地材32の端部を当接させて四方枠組みされて形成されている。
【0026】
上部下地材(上方)311は、図3(a)に示すように、矩形中空断面の中空部の屋内側に屋内側見付面311aを有しており、屋内側見付面311aの上端部に凹み部311bが形成されている。
【0027】
上部下地材(下方)312は、図3(a)に示すように、矩形中空断面の中空部の屋内側の壁が上方に延びおり、幅広の屋内側見付面312aを有している。
【0028】
上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312は、屋内側見付面311a,312aの上端に沿って長尺の乾式シール材s311,s312が接着固定されている。
本実施形態の乾式シール材としては、例えば軟質PVCやEPDMゴムを発泡させた独立気泡構造の材料等からなり、テープ状に形成した長尺部材の片面に接着面を有する片面接着のシーリング材を用いることができ、接着面に付された剥離紙を剥離した後に取付面に接着固定することができる。
【0029】
乾式シール材s311,s312は、図9に示すように、四方枠組みされた上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312の左右両端部よりも外周側に延びて後述する縦部下地材33の屋内側見付面33aに至り、縦部下地材33,33の乾式シール材s331,s331と連続している。
【0030】
上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312は、図3(b)に示すように、屋内側見付面311a,312aを外壁材Hに当接させて、乾式シール材s311,s312の内周側位置でネジ(固定手段)b31,b32によって外壁の横材Aにネジ止めされることで、外壁に固定されている。
【0031】
上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312は、外壁にネジ止め固定された状態で、屋内側見付面311a,312aに接着固定された乾式シール材s311,s312が外壁材Hに圧接されており、乾式シール材s311,s312によって上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312と外壁材Hとの間が水密されている。
なお、上部下地材は、外壁に押し付けた上部下地材(上方)311の凹み部311bにさらに他のシール材を設けてもよい。
【0032】
縦部下地材33は、図4(a)に示すように、矩形中空断面の中空部の屋内側に屋内側見付面33aを有しており、屋内側見付面33aの外周側端部に凹み部33bが形成されている。
【0033】
縦部下地材33は、屋内側見付面33aの外周側端部に沿って、全長に亘って上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312の屋内側見付面311aに接着固定された乾式シール材s311,s312と同様の乾式シール材s331が接着固定されている。
【0034】
縦部下地材33は、図5(a)に示すように、外壁材Hが施工されていない領域の外壁(防水層L)に対向する下方部分には、全長に亘って接着固定された乾式シール材s331と同様の乾式シール材がさらに積層されており、肉厚の乾式シール材s332として接着固定されている。
縦部下地材33の下方部分に接着固定される肉厚の乾式シール材s332は、防水層L(構造用面材C)と外壁材Hとの間隔よりも大きい厚み寸法を有しており、縦部下地材33を外壁に固定する際に屋内側面が防水層Lに当接して縮むことで防水層Lに圧接される。
【0035】
縦部下地材33は、図4(b)に示すように、外壁材Hに対向する上方部分において、屋内側見付面33aを外壁材Hに当接させて、乾式シール材s331の内周位置でネジ(固定手段)b33によって外壁の縦材Bにネジ止めされることで、外壁に固定されている。
【0036】
縦部下地材33は、下地材3が外壁に固定された状態で、上方部分では、屋内側見付面33aに接着固定された乾式シール材s331が外壁材Hに圧接されており、乾式シール材s331によって縦部下地材33と外壁材Hとの間が水密されている。
【0037】
一方、縦部下地材33は、下地材3が外壁に固定された状態で、下方部分では、図5(b)に示すように、屋内側見付面33aに接着固定された乾式シール材s332が外壁の下方部位に立ち上がる防水層Lに圧接されており、乾式シール材s332によって縦部下地材33と防水層Lとの間が水密されている。
なお、縦部下地材33は、外壁に押し付けた縦部下地材33の凹み部33bにさらに他のシール材を設けてもよい。
【0038】
下部下地材32は、図6(a)に示すように、矩形中空断面の中空部の屋内側に屋内側見付面32aを有している。なお、本実施形態の下部下地材32は、上部下地材(上方)311と同様の部材であり、上下を反転して使用している。
下部下地材32は、屋内側見付面32aの上端及び下端に沿って乾式シール材s321,s322が長手方向に接着固定されている。
【0039】
下部下地材32の屋内側見付面32aに接着固定する乾式シール材s321,s322は、縦部下地材33の下方部分に接着固定される肉厚の乾式シール材s332と同様に、乾式シール材が積層されて、防水層L(構造用面材C)と外壁材Hとの間隔よりも大きな厚さ寸法を有している。
【0040】
図9に示すように、下部下地材32の上端に沿って接着固定される乾式シール材s321は、下部下地材32の左右両端部よりも外周側に延びて縦部下地材33の屋内側見付面33aに至り、縦部下地材33,33の乾式シール材s332,s332と連続している。
【0041】
一方、下部下地材32の下端に沿って接着固定される乾式シール材s322は、下部下地材32の左右両端部よりも外周側に延びているが、縦部下地材33,33の乾式シール材s332,s332とは連続しておらず、隙間をあけるように固定されており、乾式シール材s321,s322間に浸入した水を排水可能になっている。
【0042】
下部下地材32は、下地材3が外壁に固定された状態で、図6(b)に示すように、屋内側見付面32aが外壁に近づいて、屋内側見付面32aに接着固定した乾式シール材s321,s322が防水層Lに圧接されており、乾式シール材s321,s322によって下部下地材32と防水層Lとの間が水密されている。
【0043】
(本実施形態の開口部装置の効果)
本実施形態の開口部装置は、四方枠組した下地材によって建物の外壁に固定されており、下地材を構成する上部下地材及び縦部下地材を外壁に対してネジ止め固定するとともに、下地材の屋内側見付面に四方に亘って接着固定された乾式シール材を建物の外壁材もしくは防水層に圧接させることで、施工を煩雑にすることなく外壁に固定することができ、四方に亘って安定して水密することができる。
【0044】
本実施形態の開口部装置は、下地材が取付けられる外壁の下方に外壁材が施工されずに外壁面が面一でなくても、下地材の屋内側見付面に接着固定する乾式シール材を積層して厚みを調節することで、四方に亘って隙間なくシールすることができ、簡単な施工により、水密性を向上させることができる。
また、厚みのことなるシール材を一つの種類の乾式シール材の積層によって形成することで、多種類の乾式シール材を用意する必要がなく、部品の管理を簡潔にすることができる。
【0045】
本実施形態の開口部装置は、開口部に設置された建具Fの枠材等を利用することなく外壁に固定することができるので、開口部に設置された建具Fの種類に影響をうけることがなく、部材の管理を容易にし、施工性を向上させることができる。
【0046】
本実施形態の開口部装置は、下地材と外壁との間を水密する乾式シール材の内周に下地材を外壁に強固に固定するためのネジ止め部を配置することで、ネジ止め部の腐食を抑制し、長期間に亘って強固な固定を維持することができる。
【0047】
-他の実施形態-
上記の実施形態のシャッター装置1のシャッター枠(建物用付設枠)10は、上枠材、下枠材及び左右の縦枠材が四方枠組みされて形成されているが、シャッター枠10及び下地材3は、上材及び左右の縦材を三方枠組みして形成されていてもよい。
例えば、図10図11に示すように、バルコニーの床面にデッキ材M等が設置された建物の開口部に設置する場合などは、デッキ材Mの上面をシャッター装置1のシャッターパネルの下端を受けるシャッター受部として利用することで、シャッター枠10は、下枠材を設けずに、上枠材及び左右の縦枠材とから形成してもよい。
【0048】
シャッター枠10が三方枠組みして形成された場合には、下地材3は、図12に示すように、上部下地材(上方)311、上部下地材(下方)312、及び左右の縦部下地材33を三方枠組みして形成されていてもよく、縦部下地材33及び左右のシャッター縦枠13をデッキ材Mの上面に載置させた状態で外壁に取り付け固定されてもよい。
【0049】
三方枠組みしてなる下地材3の縦部下地材33の屋内側見付面33aの下方部位に設けられた乾式シール材s332は、乾式シール材s332の屋内側面が防水層Lに当接するとともに、乾式シール材s332の下面がデッキ材Mの上面に当接されており、デッキ材Mによってシャッター装置1の下面が塞がれるとともに、乾式シール材s322によって縦部下地材33の下方部位と防水層Lとの間が水密されている。
【0050】
以上のように、本実施形態のシャッター装置1は、シャッター枠10及び下地材3を上材及び左右の縦材の三方枠組みにより形成してデッキ材Mの上面に載置して設けることで、バルコニーの床面にシャッター下枠を設ける必要がなく、床面を平坦に仕上げることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0051】
上記の実施形態のシャッター装置1のシャッター枠(建物用付設枠)10は、下地材3の上部下地材(上方)311、上部下地材(下方)312に設けられた乾式シール材は、上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312の左右両端部よりも外周側に延びて縦部下地材33の屋内側見付面33aに至るように設けられているが、図13に示すように、乾式シール材s311,s312を上部下地材(上方)311、上部下地材(下方)312の屋内側面内に納まるように設けてもよい。
【0052】
その際には、縦部下地材33は、縦部下地材33の乾式シール材s331の上方内周面と上部下地材(上方)311の乾式シール材s311の左右端部を連続させる乾式シール材s324を配置してもよい。
【0053】
同様に、下地材3の下部下地材32に設けられた乾式シール材s321,s322は、下部下地材32の室内側面内に納まるように設けられてもよい。
【0054】
なお、縦部下地材33は、縦部下地材33の乾式シール材s331の室内側面の内周側に長手方向に沿って、更に乾式シール材s333を配置して上部下地材(下方)312の乾式シール材s312及び下部下地材32の乾式シール材s321,s322と連続させてもよい。
縦部下地材33は、屋内側面に外周側の乾式シール材s331と内周側の乾式シール材s333の2条の乾式シール材が配置された場合には、下方部位においては、両乾式シール材s331,s333を覆うように乾式シール材s332を設けることが好ましい。
【0055】
以上のように、本実施形態のシャッター装置1は、下地材3の屋内側面に配置される乾式シール材を各下地材の屋内側面内に納まるように設けることによって、下地材3を製造する際に予め乾式シール材を設けておくことができ、現場における施工を簡潔にすることができる。
【0056】
上記の実施形態のシャッター装置1の枠材は、ビス等によって各下地材に取り付けられているが、建物用付設枠の下地材への固定方法は、限定されるものではない。
【0057】
上記の実施形態の開口部装置の下地材3の屋内側見付面に接着固定される乾式シール材は、所定厚さの乾式シール材を積層することでシール材の見込寸法を調節しているが、厚み寸法の異なる乾式シール材を用意することによって見込寸法を調節してもよい。
【0058】
上記の本実施形態の開口部装置の下地材3の上部下地材は、上部下地材(上方)311及び上部下地材(下方)312の二つの部材から構成されているが、上部下地材は必ずしも二つ部材から構成されていなくてもよく、各下地材は、建物の外壁に取付けられる建物用付設枠に応じて一つもしくは複数の部材によって形成すればよい。
【0059】
開口部装置は、シャッター装置に限定されるものではなく、建物の外壁に取付けられるものであれば、何ら限定されない。
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0060】
3 :下地材
10 :シャッター枠
11 :シャッターボックス(上枠材)
12 :シャッター下枠(下枠材)
13 :シャッター縦枠(縦枠材)
311 :上部下地材(上方)
311a :建物側見付面
312 :上部下地材(下方)
312a :建物側見付面
32 :下部下地材
32a :建物側見付面
33 :縦部下地材
33a :建物側見付面
A,A1,A2:横材
B :縦材
H :外壁材
L :防水層
s311-S332:乾式シール材

【要約】
【課題】防水層を有する外壁の開口部に対して、高い水密性を有する開口部装置を簡単に施工できるようにする。
【解決手段】建物用付設枠と、下地材と、乾式シール材を備え、開口部の少なくとも下方に防水層が設けられ防水層よりも上方に外壁材が設けられる外壁に取り付けられるものであり、建物用付設枠は、上枠材、下枠材及び左右の縦枠材が四方枠組みされ、下地材を介して外壁の開口部の屋外側に取付けられるものであり、乾式シール材は、片面に接着面を有するものであり、下地材は、上部下地材、下部下地材及び左右の縦部下地材が四方枠組みされ、屋内側面に乾式シール材が四方に亘って接着固定されており、乾式シール材の屋内側面を外壁材及び防水層に対して当接させるとともに、上部下地材及び縦部下地材を外壁に対してネジ止め固定することで、外壁に固定されている。
【選択図】図9

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