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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-22
(45)【発行日】2023-08-30
(54)【発明の名称】盛土体積の算出方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/18 20060101AFI20230823BHJP
   E01C 3/04 20060101ALI20230823BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20230823BHJP
   E02D 5/46 20060101ALI20230823BHJP
   E02D 27/34 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
E02D17/18 Z
E01C3/04
E02D3/12
E02D5/46
E02D27/34 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023090768
(22)【出願日】2023-06-01
【審査請求日】2023-06-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(73)【特許権者】
【識別番号】506332605
【氏名又は名称】基礎地盤コンサルタンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598163695
【氏名又は名称】株式会社キタック
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】山田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】柳浦 良行
(72)【発明者】
【氏名】金子 敏哉
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-299174(JP,A)
【文献】国際公開第2009/145147(WO,A1)
【文献】特開平05-287723(JP,A)
【文献】特開2008-303580(JP,A)
【文献】特開2008-303583(JP,A)
【文献】特開2003-064657(JP,A)
【文献】特開平10-292360(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第115992466(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/18
E01C 3/04
E02D 3/12
E02D 5/46
E02D 27/34
J-STAGE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の改良体の間における無処理地盤に作用する盛土の体積の算出方法であって、
前記複数の改良体の杭頭の上面に垂直な方向に沿って、前記盛土を、層厚が一定である複数の水平層に分割する工程と、
前記垂直方向に沿って見た際の、各水平層の主表面の一方の面積を算出する工程と、
各水平層の前記面積と当該各水平層の層厚とを乗算して、各水平層の体積を算出する工程と、
算出された全ての水平層の体積を加算する工程と、
を有する、盛土体積の算出方法。
【請求項2】
複数の改良体の間における無処理地盤に作用する盛土の体積の算出方法であって、
前記複数の改良体の杭頭の上面に垂直な方向に沿って、前記盛土を、層厚が一定である複数の水平層に分割する工程と、
前記垂直方向に沿って見た際の、各水平層の主表面の一方の面積を算出する工程と、
各水平層の前記面積を全て加算することにより、前記複数の水平層の一方の主表面の全面積を算出する工程と、
前記全面積と、前記水平層の層厚とを乗算する工程と、
を有する、盛土体積の算出方法。
【請求項3】
前記盛土を複数の水平層に分割する工程における分割数は、10以上である、請求項1又は2に記載の盛土体積の算出方法。
【請求項4】
前記複数の改良体の配置は、単軸正方形配置、単軸長方形配置、単軸台形配置、単軸千鳥配置、二軸長方形配置及び二軸千鳥配置からなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1又は2に記載の盛土体積の算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の改良体の間における無処理地盤に作用する盛土の体積の算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、湿地帯や湾岸部の埋立地のような軟弱地盤に道路や河川堤防のような構造物を構築する際には、構造物の安定性を確保するために、軟弱地盤対策が施されている。そして、近年ではコスト削減、工期短縮のニーズが高まり、このようなニーズに対応するために、特許文献1及び非特許文献1に記載のALiCC工法(低改良率セメントコラム工法)が採用されている。ALiCC工法は、盛土のアーチ効果を考慮し、セメント系改良体を従来よりも低い改良率になるように、盛土下に全面的に配置することによって、軟弱地盤の圧密沈下の低減を図る工法である。
【0003】
具体的には、図1に示すように、まず地盤1中に、複数の円柱状の改良体10を造成する。改良体10は、例えば深層混合処理工法により構築された改良柱体である。この際、地盤1の上面1aと改良体10の杭頭の上面10aが略面一になるように、改良体10が地盤1中に埋め込まれている。さらに、ALiCC工法では、地盤1の単位面積当りにおける改良体10の上面1aの面積割合が10~30%になるように、改良体10を盛土20の下に全面的に配置する。そして、地盤1の上面1aと改良体10の上面10aに、盛土材を敷き均すことにより、盛土20を造成する。
【0004】
このようなALiCC工法では、アーチ効果により盛土20の沈下を抑制することができる。具体的には、地盤1の上面1aと改良体10の上面10aに盛土20を造成した場合、改良体10と、当該改良体10の間に存在する無処理地盤1Aとが造成された盛土20により沈下する。この際、盛土20を構成する盛土材も、改良体10及び無処理地盤1Aの沈下に追随して沈下する。そして、無処理地盤1Aの中央ほど沈下量が大きくなり、盛土20の中でアーチ状の構造21が形成される。このようにして形成されたアーチ状の構造21の上に存在する盛土20の荷重22は、アーチ状の構造21に沿って改良体10に作用するため、無処理地盤1Aに作用する荷重23が低減し、盛土20全体の沈下を抑制することができる。
【0005】
このようなALiCC工法により軟弱地盤を改良する際には、最初に改良仕様を設定する必要がある。具体的には、まず盛土20のすべり破壊に対する所要の安全率を確保するように、改良率、並びに改良体10の強度及び長さを設定する。安全率の検討にあたっては、改良する領域を、改良体10と無処理地盤1Aとの複合地盤として評価する。そして、複合地盤として全沈下量の検討を行い、許容沈下量以下となるように、改良率並びに改良体10の強度及び長さを設定する。
【0006】
ここで、複合地盤として全沈下量を検討する際には、上述のアーチ効果を考慮した上で、改良体10の間における無処理地盤1Aの沈下量を求める必要がある。つまり、アーチ効果により無処理地盤1Aに作用する盛土30の形状は、図2に示すような山型となり、盛土30以外の盛土20の荷重は改良体10が負担すると考えて、沈下量を計算する必要がある。そして、無処理地盤1Aに作用する盛土30の体積は、数式1より算出することができる。
【数1】
数式1において、λは隣接する改良体10の中心間距離を表し、dは改良体10の直径(杭径)を表し、θは盛土30の塑性角を表す。
【0007】
そして、改良体10の沈下量は、図2に示す山型の部分以外の盛土荷重が全て作用するとし、さらに改良体10を弾性体とみなして算出する。これらの結果を基に、全沈下量を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-299174号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】ALiCC工法研究会編、「ALiCC工法マニュアル」、鹿島出版会、2015年4月10日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の数式1で求められる、改良体間の無処理地盤に作用する盛土の体積は、改良体の配置が正方形の場合に制限されてしまう。つまり、鉛直方向に沿って見た場合、複数の改良体の配置が正方形の場合にしか数式1は適用できなかった。さらに、数式1により求められた盛土の体積は厳密解とはならないため、当該体積が過大となり、必要な安全率よりも過剰な安全率となるように、改良率並びに改良体の強度及び長さが設定されてしまう場合があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、複数の改良体の間における無処理地盤に作用する盛土の体積を簡易かつ高精度で求めることが可能な盛土体積の算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の態様に係る盛土体積の算出方法は、複数の改良体の間における無処理地盤に作用する盛土の体積の算出方法である。前記盛土体積の算出方法は、前記複数の改良体の杭頭の上面に垂直な方向に沿って、前記盛土を、層厚が一定である複数の水平層に分割する工程と、前記垂直方向に沿って見た際の、各水平層の主表面の一方の面積を算出する工程と、各水平層の前記面積と当該各水平層の層厚とを乗算して、各水平層の体積を算出する工程と、算出された全ての水平層の体積を加算する工程と、を有する。
【0013】
本発明の第二の態様に係る盛土体積の算出方法は、複数の改良体の間における無処理地盤に作用する盛土の体積の算出方法である。前記盛土体積の算出方法は、前記複数の改良体の杭頭の上面に垂直な方向に沿って、前記盛土を、層厚が一定である複数の水平層に分割する工程と、前記垂直方向に沿って見た際の、各水平層の主表面の一方の面積を算出する工程と、各水平層の前記面積を全て加算することにより、前記複数の水平層の一方の主表面の全面積を算出する工程と、前記全面積と、前記水平層の層厚とを乗算する工程と、を有する。
【0014】
本発明の第三の態様に係る盛土体積の算出方法は、第一から第二の態様の算出方法において、前記盛土を複数の水平層に分割する工程における分割数は、10以上である、
【0015】
本発明の第四の態様に係る盛土体積の算出方法は、第一から第三の態様の算出方法において、複数の改良体の配置は、単軸正方形配置、単軸長方形配置、単軸台形配置、単軸千鳥配置、二軸長方形配置及び二軸千鳥配置からなる群より選ばれる少なくとも一つである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の改良体の間における無処理地盤に作用する盛土の体積を簡易かつ高精度で求めることが可能な盛土体積の算出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ALiCC工法におけるアーチ効果を説明するための概略図である。
図2】複数の改良体の間の無処理地盤に作用する盛土形状を表す改良体間荷重算定モデルを示す図である。
図3】アーチ効果により改良体に作用する盛土の影響範囲を示す概略図である。
図4A】改良体間荷重算定モデルを算出する際の、盛土高さがHe1の場合における改良体に対する盛土の影響範囲を示す概略図である。(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
図4B】改良体間荷重算定モデルを算出する際の、盛土高さがHe2の場合における改良体に対する盛土の影響範囲を示す概略図である。(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
図4C】改良体間荷重算定モデルを算出する際の、盛土高さがHe3の場合における改良体に対する盛土の影響範囲を示す概略図である。(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
図5A】無処理地盤に作用する盛土(改良体間荷重算定モデル)を分割した状態を概略的に示す斜視図である。
図5B】無処理地盤に作用する盛土を分割し、各水平層を互いに離間させた状態を概略的に示す斜視図である。
図6A】改良体が単軸正方形配置である場合において、改良体への影響範囲(影響円)が改良体の杭径と同じである水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図6B】改良体が単軸正方形配置である場合において、改良体への影響範囲(影響円)が、改良体の杭径以上であり、かつ、隣接する改良体の中心間距離以下である水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図6C】改良体が単軸正方形配置である場合において、改良体への影響範囲(影響円)が、隣接する改良体の中心間距離以上であり、かつ、影響円が対角上で接するまでの水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図7A】改良体が単軸長方形配置である場合において、改良体への影響範囲(影響円)が改良体の杭径と同じである水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図7B】改良体が単軸長方形配置である場合において、改良体への影響範囲(影響円)が、改良体の杭径以上であり、かつ、隣接する改良体の中心間距離における短辺の長さ以下である水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図7C】改良体が単軸長方形配置である場合において、改良体への影響範囲(影響円)が、隣接する改良体の中心間距離における短辺の長さ以上であり、かつ、隣接する改良体の中心間距離における長辺の長さ以下である水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図7D】改良体が単軸長方形配置である場合において、改良体への影響範囲(影響円)が、隣接する改良体の中心間距離における長辺の長さ以上であり、かつ、影響円が対角上で接するまでの水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図8】アーチ効果により、二軸配置の改良体に作用する盛土の影響範囲を示す概略図である。
図9A】改良体が二軸千鳥配置である場合において、改良体への影響範囲(影響円)が改良体の杭径と同じである水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図9B】改良体が二軸千鳥配置である場合において、改良体への影響範囲(影響円)が改良体の杭径以上であり、かつ、左右に隣接する二軸改良体の影響範囲(影響円)が接するまでの、水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図9C】改良体が二軸千鳥配置である場合において、左右に隣接する二軸改良体の影響範囲(影響円)が接する状態から、上下に隣接する二軸改良体の影響範囲(影響円)が接する状態までの、水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図9D】改良体が二軸千鳥配置である場合において、上下に隣接する二軸改良体の影響範囲(影響円)が接する状態から残りの状態の、水平層の主表面の一方の面積を求める方法を示す図である。
図10】実施例における、改良体の配置、改良体の杭径、改良体の中心間距離を説明する図であり、(a)は単軸正方形配置を示し、(b)は二軸長方形配置を示し、(c)は二軸千鳥配置を示す。
図11】改良体が単軸正方形配置の場合において、盛土の分割数と当該分割数で算出された盛土の体積との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本実施形態に係る、複数の改良体の間における無処理地盤に作用する盛土の体積の算出方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0019】
本実施形態に係る盛土体積の算出方法は、アーチ効果により無処理地盤1Aに作用する盛土30の体積を求める方法である。上述のように、ALiCC工法では、地盤1の上面1aと改良体10の杭頭の上面10aに盛土20を造成した場合、改良体10と、当該改良体10の間に存在する無処理地盤1Aとが造成された盛土20により沈下する。さらに、盛土材も改良体10及び無処理地盤1Aの沈下に追随して沈下する。そして、無処理地盤1Aの中央ほど沈下量が大きくなり、盛土20の中でアーチ状の構造21が形成される。その結果、アーチ状の構造21の上に存在する盛土20の荷重22は、アーチ状の構造21に沿って改良体10に作用するため、無処理地盤1Aに作用する荷重23が低減し、盛土全体の沈下が抑制される。
【0020】
ここで、図2に示す、アーチ効果により無処理地盤1Aに作用する盛土30の形状は、次のように求めることができる。アーチ効果により改良体10に作用する盛土20の範囲(影響範囲)は、図3に示すように、改良体10の杭頭の上面10aから上方に向かって拡径する、逆円錐台状の範囲である。そして、改良体10に作用する逆円錐台状範囲の上端の直径Dと盛土20の高さHとの間には、次の数式2の関係がある。
【数2】
数式2において、dは、円柱状の改良体10の直径(杭径)を表し、θは盛土30の塑性角を表す。なお、塑性角θは、盛土30の法面と地盤1の上面1aとが成す角をいい、盛土材料や併用する工法別に算出することができる。
【0021】
ここで、図4Aでは、複数の改良体10の間に作用する盛土30の形状を表す改良体間荷重算定モデルを算出するために、改良体10に対する盛土20の影響範囲40を示している。図4Aに示すように、盛土20の高さがHe1のときには、改良体10への影響範囲40(影響円)が互いに重なり合い、盛土30を構成する土塊が盛土20の上面20aに出現しない状態となっている。これに対して、図4Bに示すように、盛土20の高さがHe1よりも低いHe2のときには、改良体10への影響範囲40(影響円)が接円状態となり、影響範囲40以外の符号50の部分が盛土30を構成する。同様に、図4Cに示すように、盛土20の高さがHe2よりも低いHe3のときには、改良体10への影響範囲40(影響円)が互いに接しない状態となり、影響範囲40以外の符号50の部分が盛土30を構成する。
【0022】
このように、盛土20の高さに対する改良体10への影響範囲40以外の部分を立体的に表すことにより、盛土30の形状を表す改良体間荷重算定モデルを求めることができる。そして、本実施形態は、盛土30(改良体間荷重算定モデル)の体積を、簡易的かつ高精度で求める方法である。
【0023】
本実施形態における無処理地盤1Aに作用する盛土30の体積の算出方法は、まず、複数の改良体10の杭頭の上面10aに垂直な方向に沿って、盛土30を複数の水平層に分割する。
【0024】
図5Aでは、鉛直方向に沿って見た場合、隣接する4本の改良体10が正方形を成すように配置した単軸正方形配置の場合における、無処理地盤1Aに作用する盛土30の形状を概略的に示している。なお、図2の改良体間荷重算定モデルも、改良体10が単軸正方形配置の場合のモデルである。そして、図5A及び図5Bに示すように、まず、盛土30を、改良体10の杭頭の上面10aに垂直な方向に沿って分割し、盛土30が複数の水平層30A~30Iを積層してなる構造体からなると仮定する。この際、水平層30A~30Iの主表面は、地盤1の上面1a及び改良体10の杭頭の上面10aと平行になっている。また、水平層30A~30Iの側面は、塑性角θに沿った斜面ではなく、地盤1の上面1a及び改良体10の上面10aに垂直な面であると仮定する。なお、この際、水平層30A~30Iの上面の周縁は、法面に接触した状態とする。
【0025】
次に、改良体10の杭頭の上面10aに垂直な方向(鉛直方向)に沿って見た際の、各水平層30A~30Iの主表面の一方の面積を算出する。なお、改良体10の上面10aに垂直な方向(鉛直方向)に沿って見た場合、各水平層30A~30Iは主表面として上面と下面が存在するため、上面及び下面の一方の面積を算出する。この際、当該上面及び下面の面積は同じである。
【0026】
図6Aでは、改良体10への影響範囲40(影響円)が改良体10の杭径と同じである水平層、つまり図5B中の最下層である水平層30Aの主表面の面積Aの求め方を示している。水平層30Aの主表面の面積Aは、図6Aの数式で示すように、隣接する改良体10の中心間距離λと改良体10の杭径(直径)dから求めることができる。
【0027】
図6Bでは、改良体10への影響範囲40(影響円)が、改良体10の杭径以上であり、かつ、隣接する改良体10の中心間距離以下である水平層の主表面の面積の求め方を示している。具体的には、図6Bは、水平層30B~30Fの主表面の面積Aの求め方を示している。水平層30B~30Fの主表面の面積Aは、図6Bの数式で示すように、改良体10の中心間距離λと、数式2で求められる改良体10への影響円の直径Dとから求めることができる。
【0028】
図6Cでは、改良体10への影響範囲40(影響円)が、隣接する改良体10の中心間距離以上であり、かつ、影響円が対角上で接するまでの水平層の主表面の面積の求め方を示している。具体的には、図6Cは、水平層30G~30Iの主表面の面積Aの求め方を示している。水平層30G~30Iの主表面の面積Aは、図6Cの数式で示すように、4本の改良体の間の面積λと、中心間距離λ及び距離hから求められる二等辺三角形の面積A2-1と、扇形の面積A2-2とから求めることができる。
【0029】
次いで、上述のようにして得られた各水平層30A~30Iの主表面の面積A,A,Aと、各水平層の層厚とを乗算して、各水平層30A~30Iの体積を算出する。そして、算出された全ての水平層30A~30Iの体積を加算する。これにより、図5Aに示す盛土30の全体の体積を近似的に算出することができる。
【0030】
なお、盛土30を複数の水平層30A~30Iに分割する工程における、盛土30の分割数は特に限定されないが、10以上であることが好ましい。盛土30の分割数が10以上であることにより、本実施形態の方法で算出される盛土30の体積が厳密解に近似するため、より精度の高い盛土30の体積を求めることができる。なお、盛土30の分割数は、15以上であることがより好ましく、20以上であることが更に好ましい。
【0031】
上述のように、盛土30の分割数が高まるほど、本実施形態の方法で算出される盛土30の体積が厳密解に近似するため、分割数の上限は特に限定されない。ただ、盛土の分割数が高まるにつれて、計算回数が増大してしまう。そのため、計算を簡易的にするために、盛土30の分割数の上限は50以下とすることが好ましく、40以下とすることがより好ましく、30以下とすることがさらに好ましい。このように、算出される盛土30の体積を厳密解に近似させつつも、計算を簡易的にするために、盛土30の分割数は10~20の範囲内であることが最も好ましい。
【0032】
盛土30を複数の水平層30A~30Iに分割する工程において、水平層30A~30Iの層厚はそれぞれ異なっていてもよい。ただ、水平層30A~30Iの層厚は一定とすることが好ましい。水平層30A~30Iの層厚をそれぞれ一定の値とすることにより、各水平層30A~30Iの主表面の面積A,A,Aから盛土30の全体の体積を求める際の計算を容易にすることができる。つまり、各水平層30A~30Iの主表面の面積A,A,Aの合計値に、層厚を乗算することにより、盛土30の全体の体積を求めることができる。
【0033】
本実施形態に係る盛土30の体積の算出方法は、上述のように、隣接する4本の改良体10が正方形を成すように配置した単軸正方形配置の場合、盛土30の体積を簡易かつ高精度で求めることができる。ただ、複数の改良体10の配置は、単軸正方形配置に限定されず、単軸長方形配置、単軸千鳥配置、二軸長方形配置及び二軸千鳥配置でも、盛土30の体積を簡易かつ高精度で求めることができる。
【0034】
図7Aから図7Eは、複数の改良体10を鉛直方向に沿って見た際、隣接する4本の改良体10が長方形を成すように配置した単軸長方形配置の場合における、各水平層の主表面の一方の面積の求め方を示している。つまり、当該各水平層の上面及び下面の一方の面積の求め方を示している。
【0035】
図7Aでは、改良体10への影響範囲40(影響円)が改良体10の杭径dと同じである水平層、つまり最下層の水平層における主表面の面積Aの求め方を示している。最下層の水平層の主表面の面積Aは、図7Aの数式で示すように、改良体10の中心間距離における長辺aの長さ及び短辺bの長さと、改良体10の杭径(直径)dとから求めることができる。
【0036】
図7Bでは、改良体10への影響範囲40(影響円)が、改良体10の杭径以上であり、かつ、隣接する改良体10の中心間距離における短辺bの長さ以下である水平層の主表面の面積の求め方を示している。これらの水平層の主表面の面積Aは、図7Bの数式で示すように、改良体10の中心間距離における長辺aの長さ及び短辺bの長さと、数式2で求められる改良体10への影響円の直径Dとから求めることができる。
【0037】
図7Cでは、改良体10への影響範囲40(影響円)が、隣接する改良体10の中心間距離における短辺bの長さ以上であり、かつ、隣接する改良体10の中心間距離における長辺aの長さ以下である水平層の主表面の面積の求め方を示している。これらの水平層の主表面の面積Aは、図7Cの数式で示すように、4本の改良体の間の面積abと、短辺bの長さ及び距離hから求められる二等辺三角形の面積A2-1と、扇形の面積A2-2とから求めることができる。
【0038】
図7Dでは、改良体10への影響範囲40(影響円)が、隣接する改良体10の中心間距離における長辺aの長さ以上であり、かつ、影響円が対角上で接するまでの水平層の主表面の面積の求め方を示している。これらの水平層の主表面の面積Aは、図7Dの数式で示すように、4本の改良体の間の面積abと、短辺bの長さ及び距離hから求められる二等辺三角形の面積A3-1と、長辺aの長さ及び距離hから求められる二等辺三角形の面積A3-2と、扇形の面積A3-3とから求めることができる。
【0039】
次いで、上述のようにして得られた各水平層の主表面の面積A,A,A,Aと、各水平層の層厚とを乗算して、各水平層の体積を算出する。そして、算出された全ての水平層の体積を加算する。これにより、改良体10の配置が単軸長方形配置の場合における、盛土30の全体の体積を近似的に算出することができる。
【0040】
本実施形態に係る盛土30の体積の算出方法は、改良体10の配置が単軸正方形配置の場合や、図7A図7Dに示す単軸長方形配置の場合だけでなく、二本の改良体10が互いに接触した二軸配置の場合にも適用することができる。改良体10が二軸配置の場合、アーチ効果により改良体10に作用する盛土20の範囲(影響範囲)は、図8に示すように、一軸配置と同様に、各改良体10の杭頭の上面10aから上方に向かって拡径する、逆円錐台状の範囲となる。
【0041】
そして、改良体10の配置が二軸長方形配置の場合には、図10の(b)に示すように、隣接する二本の改良体10の中心部である接触部位同士を結んでなる長方形の範囲内に、無処理地盤1Aに作用する盛土30が形成される。そのため、この長方形を基準に、本実施形態の算出方法に沿って、盛土30の体積を求めることができる。
【0042】
なお、本実施形態に係る盛土30の体積の算出方法は、鉛直方向に沿って見た場合、隣接する3本の改良体10が三角形を成すように配置した単軸三角形配置の場合にも適用することができる。同様に、当該算出方法は、鉛直方向に沿って見た場合、図9Aに示すように、4組の二軸改良体11が台形を成すように配置した二軸千鳥配置の場合にも適用することができる。なお、単軸三角形配置及び二軸千鳥配置のいずれも、隣接する改良体10の中心を結んでなる三角形または台形の範囲内に、無処理地盤1Aに作用する盛土30が形成される。そのため、二軸千鳥配置の場合における、盛土30の体積の算出方法を説明し、単軸三角形配置の場合の算出方法は省略する。
【0043】
図9Aから図9Eは、複数の二軸改良体11を鉛直方向に沿って見た際、隣接する4本の改良体10が台形を成すように配置した二軸千鳥配置の場合における、各水平層の主表面の一方の面積の求め方を示している。つまり、当該各水平層の上面及び下面の一方の面積の求め方を示している。
【0044】
図9Aでは、改良体10への影響範囲40(影響円)が改良体10の杭径dと同じである水平層、つまり最下層の水平層における主表面の面積Aの求め方を示している。最下層の水平層の主表面の面積Aは、図9Aの数式で示すように、改良体10の中心間距離における上辺(上底)aの長さ、底辺(下底)bの長さ及び高さhと、改良体10の杭径(直径)dとから求めることができる。
【0045】
図9Bでは、改良体10への影響範囲40(影響円)が改良体10の杭径以上であり、かつ、左右に隣接する二軸改良体11の影響範囲40(影響円)が接するまでの、水平層の主表面の面積Aの求め方を示している。これらの水平層の主表面の面積Aは、図9Bの数式で示すように、隣接する4本の改良体10の中心を結んでなる台形の面積A00と、扇形の面積A1-1と、二等辺三角形の面積A1-2と、扇形の面積A1-3とから求めることができる。
【0046】
図9Cでは、左右に隣接する二軸改良体11の影響範囲40(影響円)が接する状態から、上下に隣接する二軸改良体11の影響範囲40(影響円)が接する状態までの、水平層の主表面の面積Aの求め方を示している。これらの水平層の主表面の面積Aは、図9Cの数式で示すように、隣接する4本の改良体10の中心を結んでなる台形の面積A00と、扇形の面積A2-1と、二等辺三角形の面積A2-2と、扇形の面積A2-3と、二等辺三角形の面積A2-4と、から求めることができる。
【0047】
図9Dでは、上下に隣接する二軸改良体11の影響範囲40(影響円)が接する状態から残りの状態の、水平層の主表面の面積Aの求め方を示している。これらの水平層の主表面の面積Aは、図9Dの数式で示すように、隣接する4本の改良体10の中心を結んでなる台形の面積A00と、扇形の面積A3-1と、二等辺三角形の面積A3-2と、扇形の面積A3-3と、二等辺三角形の面積A3-4と、三角形の面積A3-5とから求めることができる。
【0048】
次いで、上述のようにして得られた各水平層の主表面の面積A,A,A,Aと、各水平層の層厚とを乗算して、各水平層の体積を算出する。そして、算出された全ての水平層の体積を加算する。これにより、改良体10の配置が二軸千鳥配置の場合における、盛土30の全体の体積を近似的に算出することができる。
【0049】
このように、本実施形態は、複数の改良体10の間における無処理地盤1Aに作用する盛土30の体積の算出方法であって、複数の改良体10の杭頭の上面10aに垂直な方向に沿って、盛土30を複数の水平層30A~30Iに分割する工程と、前記垂直方向に沿って見た際の、各水平層30A~30Iの主表面の一方の面積を算出する工程と、各水平層30A~30Iの前記面積と当該各水平層30A~30Iの層厚とを乗算して、各水平層30A~30Iの体積を算出する工程と、算出された全ての水平層30A~30Iの体積を加算する工程と、を有する。
【0050】
さらに、本実施形態は、複数の改良体10の間における無処理地盤1Aに作用する盛土30の体積の算出方法であって、複数の改良体10の杭頭の上面10aに垂直な方向に沿って、盛土30を、層厚が一定である複数の水平層30A~30Iに分割する工程と、前記垂直方向に沿って見た際の、各水平層30A~30Iの主表面の一方の面積を算出する工程と、各水平層30A~30Iの前記面積を全て加算することにより、複数の水平層30A~30Iの一方の主表面の全面積を算出する工程と、前記全面積と、水平層30A~30Iの層厚とを乗算する工程と、を有する。
【0051】
本実施形態の盛土30の体積の算出方法は、盛土30を複数の水平層30A~30Iに分割し、さらに水平層30A~30Iの体積を全て加算することにより、盛土30全体の体積を求めている。この際、各水平層30A~30Iの主表面の一方の面積は、簡易的な数式から求めることができるため、各水平層30A~30Iの体積及び盛土30全体の体積を、複雑な数式を用いること無く、容易に算出することができる。さらに、従来の数式1は、改良体10の配置が正方形の場合、つまり単軸正方形配置の場合にしか適用できなかった。しかし、本実施形態の算出方法は、改良体10の異形配置にも適用することができ、さらに改良体10の単軸配置だけでなく多軸配置にも適用することができる。このように、本実施形態の算出方法は、多層系の盛土30における改良体10間の盛土荷重の値を精緻に算出できるため、合理的かつ経済的な改良体仕様、例えば最適な配置及び軸数を設計することが可能となる。
【0052】
さらに、本実施形態の算出方法は、盛土30を複数の水平層30A~30Iに分割している。そのため、互いに異なる塑性角を持つ層状盛土における、無処理地盤1Aに作用する盛土30の体積を算出する場合でも、水平層の分割数及び各水平層の面積を最適化することで、厳密解に近い盛土30の体積を求めることができる。
【0053】
また、本実施形態の算出方法において、複数の改良体10の配置は、単軸正方形配置、単軸長方形配置、単軸台形配置、単軸千鳥配置、二軸長方形配置及び二軸千鳥配置からなる群より選ばれる少なくとも一つであってもよい。上述のように、本実施形態の算出方法は、改良体10の軸数が単軸でも二軸でもよく、改良体10の配置が正方形でも長方形でも千鳥状(台形)でもよい。本実施形態の算出方法は、このような異形配置及び多軸配置でも、盛土30の体積を簡易かつ高精度で求めることができる。なお、改良体10を千鳥配置にすることで、盛土20の沈下を抑制することができるだけでなく、盛土20の安定性も有利にすることができる。
【実施例
【0054】
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
[実施例1]
図10(a)に示すように、四本の改良体を正方形に配置した単軸正方形配置の場合における、無処理地盤に作用する盛土の体積を算出した。なお、盛土の塑性角θを60°とし、改良体の杭径(直径)dを1.0mとし、改良体の中心間距離λを2.0mとした。
【0056】
まず、改良体の杭頭の上面に垂直な方向に沿って、盛土を31層の水平層に分割した。この際、各水平層の層厚は一定とした。次に、図6Aから図6Cに沿って、各水平層の主表面の一方の面積を算出した。次いで、算出した各水平層の面積と層厚とを乗算することにより、各水平層の体積を算出した。最後に、算出された全ての水平層の体積を加算することにより、本例の無処理地盤に作用する盛土の体積を求めた。得られた盛土の体積及び分割数を表1に示す。
【0057】
[実施例2]
図10(b)に示すように、二本の改良体からなる二軸改良体を長方形に配置した二軸長方形配置の場合における、無処理地盤に作用する盛土の体積を算出した。なお、盛土の塑性角θを60°とし、改良体の杭径(直径)dを1.0mとした。さらに、二本の改良体の接触部位を二軸改良体の中心とし、二軸改良体の中心間距離における長辺の長さを3.0mとし、短辺の長さを2.0mとした。
【0058】
まず、改良体の杭頭の上面に垂直な方向に沿って、盛土を31層の水平層に分割した。この際、各水平層の層厚は一定とした。次に、各水平層の主表面の一方の面積を算出した。次いで、算出した各水平層の面積と層厚とを乗算することにより、各水平層の体積を算出した。最後に、算出された全ての水平層の体積を加算することにより、本例の無処理地盤に作用する盛土の体積を求めた。得られた盛土の体積及び分割数を表1に示す。
【0059】
[実施例3]
図10(c)に示すように、二本の改良体からなる二軸改良体を千鳥状に配置した二軸千鳥配置の場合における、無処理地盤に作用する盛土の体積を算出した。なお、盛土の塑性角θを60°とし、改良体の杭径(直径)dを1.0mとした。さらに、改良体の中心間距離における上辺(上底)の長さを1.0mとし、底辺(下底)の長さを2.0mとし、高さ(ピッチ(横))を2.0mとした。なお、二本の改良体の接触部位を二軸改良体の中心とした場合、二軸改良体の中心間距離(ピッチ(横))は3.0mとした。
【0060】
まず、改良体の杭頭の上面に垂直な方向に沿って、盛土を25層の水平層に分割した。この際、各水平層の層厚は一定とした。次に、図9A図9Dに沿って、各水平層の主表面の一方の面積を算出した。次いで、算出した各水平層の面積と層厚とを乗算することにより、各水平層の体積を算出した。最後に、算出された全ての水平層の体積を加算することにより、本例の無処理地盤に作用する盛土の体積を求めた。得られた盛土の体積及び分割数を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1では、実施例1~3の算出結果に加えて、3D-CADを用いて算出した、無処理地盤に作用する盛土の体積と、ALiCC工法の従来式で求めた盛土の体積を合わせて示す。なお、単軸正方形配置の場合におけるALiCC工法の従来式は、数式1を用いた。また、二軸正方形配置におけるALiCC工法の従来式は、非特許文献2(独立行政法人土木研究所編、「地盤改良のためのALiCC工法マニュアル」、鹿島出版会、2007年1月20日)に記載の数式を用いた。
【0063】
表1に示すように、実施例1の単軸正方形配置における盛土体積の算出結果は、3D-CADで求めた解と同じ値となったことから、精度が高いことが分かる。これに対して、ALiCC工法の従来式で求めた体積は3D-CADで求めた解と乖離していることから、本実施形態の算出方法の方が従来式に比べて精度が高いことが分かる。さらに、図6Aから図6Cの算出方法と従来式である数式1とを比べても、本実施形態の算出方法の方が簡易に求められることが分かる。
【0064】
同様に、実施例2の二軸長方形配置における盛土体積の算出結果は、従来式で求めた体積よりも、3D-CADで求めた解に近似した値となったことから、精度が高いことが分かる。また、実施例3の二軸千鳥配置における盛土体積の算出結果は、3D-CADで求めた解と同じ値となったことから、精度が高いことが分かる。なお、二軸千鳥配置における盛土体積は、ALiCC工法の従来式は算出不可能であることからも、本実施形態の算出方法はALiCC工法の従来式に比べて優れていることが分かる。
【0065】
また、本実施形態の算出方法は一般的な表計算ソフトで算出できるため、高価な3D-CADを用いた方法よりも経済的であることが分かる。
【0066】
[実施例4]
実施例1と同様に、4本の改良体を正方形に配置した単軸正方形配置の場合における、無処理地盤に作用する盛土の体積を算出した。なお、盛土の塑性角θを60°とし、改良体の杭径(直径)dを1.0mとし、改良体の中心間距離λを2.0mとした。
【0067】
まず、改良体の杭頭の上面に垂直な方向に沿って、盛土を複数の水平層に分割した。この際、各水平層の層厚は一定としつつ、分割数を2,4,8,16,32,64又は128とした。次に、図6Aから図6Cに沿って、各水平層の主表面の一方の面積を算出した。次いで、算出した各水平層の面積と層厚とを乗算することにより、各水平層の体積を算出した。最後に、算出された全ての水平層の体積を加算することにより、各分割数における無処理地盤に作用する盛土の体積を求めた。図11では、分割数と得られた盛土体積との関係を示すグラフを示しており、さらに各分割数における盛土体積の値も合わせて示している。
【0068】
図11及び表1から分かるように、本実施形態の算出方法は、分割数が増えるほど、得られる盛土体積が3D-CADで求めた解に近づくことが分かる。ただ、分割数が16を超えても、得られる体積は殆ど変わらないことが分かる。そのため、本実施形態の算出方法において、分割数は10以上が好ましい。
【0069】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 地盤
1A 無処理地盤
10 改良体
10a 改良体の上面
20 盛土
30 無処理地盤に作用する盛土
30A~30I 水平層
【要約】
【課題】複数の改良体の間における無処理地盤に作用する盛土の体積を簡易かつ高精度で求めることが可能な盛土体積の算出方法を提供する。
【解決手段】複数の改良体10の間における無処理地盤1Aに作用する盛土30の体積の算出方法であって、複数の改良体の杭頭の上面10aに垂直な方向に沿って、盛土を、層厚が一定である複数の水平層30A~30Iに分割する工程と、前記垂直方向に沿って見た際の、各水平層の主表面の一方の面積を算出する工程と、各水平層30A~30Iの前記面積と当該各水平層の層厚とを乗算して、各水平層の体積を算出する工程と、算出された全ての水平層の体積を加算する工程と、を有する。
【選択図】図5A
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11