(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】水まわりユニット
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20230824BHJP
E03C 1/20 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
E04H1/12 301
E03C1/20 A
E03C1/20 B
(21)【出願番号】P 2019159021
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小田切 裕典
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-052519(JP,A)
【文献】特開2011-153513(JP,A)
【文献】特開2014-205995(JP,A)
【文献】特開2017-095872(JP,A)
【文献】特開2019-052509(JP,A)
【文献】米国特許第08997414(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00-1/14
E03C 1/12-1/33
E04B 1/62-1/99
E04F 15/00-15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部と、前記床部の外縁に沿って設けられた壁載せ凹部と、を有する床部材と、
前記壁載せ凹部に挿入される壁部材と、
前記壁載せ凹部と前記壁部材との間を水密的に塞ぐシール部材と、
を備え、
前記壁載せ凹部は、
前記床部の上面よりも下方に凹んだ内底面と、
前記内底面から上方に向かって延びる内側面と、
を有し、
前記シール部材は、一側が前記内側面に設けられ他側が前記壁載せ凹部の内部に向けて延び、前記壁部材に押圧されることにより変形可能な変形材と、前記変形材の上面に設けられ粘着性を有する粘着材と、を有することを特徴とする水まわりユニット。
【請求項2】
床部と、前記床部の外縁に沿って設けられた壁載せ凹部と、を有する床部材と、
前記壁載せ凹部内に設けられた壁受け部材と、
前記壁受け部材を介して前記壁載せ凹部に挿入される壁部材と、
前記壁受け部材と前記壁部材との間を水密的に塞ぐシール部材と、
を備え、
前記壁載せ凹部は、
前記床部の上面よりも下方に凹んだ内底面と、
前記内底面から上方に向かって延びる内側面と、
を有し、
前記壁受け部材は、
前記壁載せ凹部の前記内底面に接触する底面部と、
前記底面部から上方に向かって延び前記壁載せ凹部の前記内側面に対面する側面部と、
を有し、
前記シール部材は、一側が前記側面部に設けられ他側が前記壁受け部材の内部に向けて延び、前記壁部材に押圧されることにより変形可能な変形材と、前記変形材の上面に設けられ粘着性を有する粘着材と、を有することを特徴とする
水まわりユニット。
【請求項3】
前記変形材は、前記一側が固定端となり、前記他側が自由端となることにより上下方向に弾性変形可能であり、
前記変形材の上下方向の厚さ寸法は、前記粘着材の上下方向の厚さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の水まわりユニット。
【請求項4】
前記変形材の前記上面は、凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水まわりユニット。
【請求項5】
前記変形材は、前記他側が前記壁載せ凹部の開口側に向けて上向きに傾斜する上方傾斜部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の水まわりユニット。
【請求項6】
前記変形材は、前記一側が固定端となり下向きに傾斜する下方傾斜部と、前記下方傾斜部の先端から上向きに傾斜して前記他側が自由端となった前記上方傾斜部と、を有することを特徴とする請求項5に記載の水まわりユニット。
【請求項7】
前記変形材は、前記壁載せ凹部の前記内側面に一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水まわりユニット。
【請求項8】
前記変形材は、前記壁受け部材の前記側面部に一体形成されていることを特徴とする請求項2に記載の水まわりユニット。
【請求項9】
前記壁受け部材の前記側面部は、前記床部側に位置する第1側面部と、前記第1側面部に対面する第2側面部と、を有し、
前記第1側面部は、前記底面部から上方に立上がる立上り部と、前記立上り部の上端から前記第2側面部側に向けて突出する突出部と、を有し、
前記変形材は、前記立上り部から前記第2側面部に向けて延びており、
前記粘着材は、前記壁部材が前記壁載せ凹部に挿入されていない状態で、前記立上り部との間に隙間をもって前記変形材に設けられていることを特徴とする請求項2または8に記載の水まわりユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に水まわりユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
水まわりユニットにおける壁部材の取付構造として、床部材の外縁に設けられた壁載せ凹部に壁部材を挿入・配置するものが知られている。このような構成においては、水まわりユニット内の水が水まわりユニット外へ漏れてしまうことを抑制するために、床部材と壁部材との間の境界部にコーキング材を塗布している(特許文献1)。
【0003】
しかし、コーキング材の塗布作業は、床部材に壁部材を組付けた後に行われるため、その精度が現場の施工者の施工技術に委ねられることになる。すなわち、現場の施工者の施工技術が十分ではない場合には、コーキング材を塗布し忘れてしまったり、コーキング材を正しく塗布できなかったりする虞があり、水密性が確保できない虞がある。従って、水まわりユニット内の水密性は、床部材や壁部材の製造者側では担保できないという問題がある。
【0004】
ここで、壁部材の底面と壁載せ凹部の内底面との間にシール部材を設ける構成も考えられる。しかし、壁部材と床部材との間の隙間量は、各部材の製品誤差や床部材の傾斜状態などの影響により変動する。この場合、壁部材の底面と壁載せ凹部の内底面との間の隙間量が大きい個所では、シール部材に十分な圧力が加わらず、シール性が不十分となる虞がある。また、シール性を担保するために、大きい隙間量を考慮してシール部材の高さを大きく形成することも考えられる。しかし、壁部材は、水まわりユニットの内側から壁載せ凹部に挿入されるため、シール部材が水まわりユニットの内側から外側へ倒れることになり、壁部材の配置が不安定となる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、ユニット内からユニット外に水が漏れるのを抑制できる水まわりユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、床部と、前記床部の外縁に沿って設けられた壁載せ凹部と、を有する床部材と、前記壁載せ凹部に挿入される壁部材と、前記壁載せ凹部と前記壁部材との間を水密的に塞ぐシール部材と、を備え、前記壁載せ凹部は、前記床部の上面よりも下方に凹んだ内底面と、前記内底面から上方に向かって延びる内側面と、を有し、前記シール部材は、一側が前記内側面に設けられ他側が前記壁載せ凹部の内部に向けて延び、前記壁部材に押圧されることにより変形可能な変形材と、前記変形材の上面に設けられ粘着性を有する粘着材と、を有することを特徴とする水まわりユニットである。
【0008】
この水まわりユニットによれば、床部材へ壁部材を設置するときに、床部材の傾斜状態や壁部材の製造公差などにより、壁部材が壁載せ凹部に対して傾斜した状態で挿入されたとしても、変形材の変形により壁部材の傾斜による隙間の変動量を吸収することができる。その結果、壁部材を壁載せ凹部に精度よく取付けることができる。
【0009】
また、変形材の上面に設けられた粘着材によって、壁部材と壁載せ凹部との間を効果的にシールすることができる。この場合、壁部材と壁載せ凹部との間の隙間量が大きい箇所でも変形材の変形量が変化することにより、しっかりとシール性を維持できる。加えて、シール部材は、壁載せ凹部の内側面から延びている。従って、深さ寸法が異なる種々の壁載せ凹部でも、シール部材の取付高さを調整するだけで同じシール部材を用いることができる。従って、シール部材は、厚さ寸法を低減することができるので、安定性に優れるとともに、壁部材と壁載せ凹部との間の隙間量が変化したとしても、水密性を確保することができる。
【0010】
第2の発明は、床部と、前記床部の外縁に沿って設けられた壁載せ凹部と、を有する床部材と、前記壁載せ凹部内に設けられた壁受け部材と、前記壁受け部材を介して前記壁載せ凹部に挿入される壁部材と、前記壁受け部材と前記壁部材との間を水密的に塞ぐシール部材と、を備え、前記壁載せ凹部は、前記床部の上面よりも下方に凹んだ内底面と、前記内底面から上方に向かって延びる内側面と、を有し、前記壁受け部材は、前記壁載せ凹部の前記内底面に接触する底面部と、前記底面部から上方に向かって延び前記壁載せ凹部の前記内側面に対面する側面部と、を有し、前記シール部材は、一側が前記側面部に設けられ他側が前記壁受け部材の内部に向けて延び、前記壁部材に押圧されることにより変形可能な変形材と、前記変形材の上面に設けられ粘着性を有する粘着材と、を有することを特徴とする水まわりユニットである。
【0011】
この水まわりユニットによれば、床部材へ壁部材を設置するときに、床部材の傾斜状態や壁部材の製造公差などにより、壁部材が壁受け部材に対して傾斜した状態で挿入されたとしても、変形材の変形により壁部材の傾斜による隙間の変動量を吸収することができる。その結果、壁部材を壁受け部材に精度よく取付けることができる。
【0012】
また、変形材の上面に設けられた粘着材によって、壁部材と壁受け部材との間を効果的にシールすることができる。この場合、壁部材と壁受け部材との間の隙間量が大きい箇所でも変形材の変形量が変化するので、しっかりとシール性を維持できる。加えて、シール部材は、壁受け部材の側面部から延びている。従って、深さ寸法が異なる種々の壁載せ凹部でも、側面部の取付位置を調整するだけで同じシール部材を用いることができる。従って、シール部材は、厚さ寸法を低減することができるので、安定性に優れるとともに、壁部材と壁受け部材との間の隙間量が変化したとしても、水密性を確保することができる。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記変形材は、前記一側が固定端となり、前記他側が自由端となることにより上下方向に弾性変形可能であり、前記変形材の上下方向の厚さ寸法は、前記粘着材の上下方向の厚さ寸法よりも小さいことを特徴とする水まわりユニットである。
【0014】
この水まわりユニットによれば、変形材の弾性変形により壁部材と粘着材との圧着力を調整することができる。その結果、粘着材の粘着力は、止水と壁部材の取外しとのバランスを満たしたものにすることができる。従って、シール部材の粘着材は、壁部材との剥離性に優れるので、壁部材の着脱作業の作業性を向上できる。
【0015】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記変形材の前記上面は、凹凸状に形成されていることを特徴とする水まわりユニットである。
【0016】
この水まわりユニットによれば、変形材と粘着材との接触面(接着面)を大きくすることができる。従って、壁部材を取外すときに粘着材が変形材から剥離するのを抑制できる。また、粘着材が壁部材に押圧されたときに、粘着材が変形材に対して水平方向に摺動するのを抑制できる。これにより、粘着材が変形材から剥離するのを抑制できる。
【0017】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記変形材は、前記他側が前記壁載せ凹部の開口側に向けて上向きに傾斜する上方傾斜部を有することを特徴とする水まわりユニットである。
【0018】
この水まわりユニットによれば、壁部材を取外す場合の壁部材と粘着材との剥離性を高めるために粘着材の粘着力を弱めたとしても、壁部材を取付けたときの変形材の上方傾斜部の付勢力が大きくなるので、粘着材が変形材から剥離するのを抑制できる。また、床部材へ壁部材を設置するときには、通常、取付作業は水まわりユニットの内側から行われるため、壁部材は上方が水まわりユニットの内側に向かって傾斜した状態で壁載せ凹部に挿入される。従って、粘着材が壁部材に押圧されたときに、粘着材が変形材に対して水平方向に摺動するのを抑制できる。これにより、粘着材が変形材から剥離するのを抑制できる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、前記変形材は、前記一側が固定端となり下向きに傾斜する下方傾斜部と、前記下方傾斜部の先端から上向きに傾斜して前記他側が自由端となった前記上方傾斜部と、を有することを特徴とする水まわりユニットである。
【0020】
この水まわりユニットによれば、下方傾斜部が壁部材に押圧されたときに、固定端にかかる応力を小さくすることができるので変形材の寿命を向上できる。一方、上方傾斜部は、壁部材を床部材に取付けるときに、壁部材に押圧された粘着材が変形材から剥離するのを抑制できる。
【0021】
第7の発明は、第1の発明において、前記変形材は、前記壁載せ凹部の前記内側面に一体形成されていることを特徴とする水まわりユニットである。
【0022】
この水まわりユニットによれば、変形材が壁載せ凹部に一体となっているので、変形材の固定端側の強度を向上できる。
【0023】
第8の発明は、第2の発明において、前記変形材は、前記壁受け部材の前記側面部に一体形成されていることを特徴とする水まわりユニットである。
【0024】
この水まわりユニットによれば、変形材が壁受け部材に一体となっているので、変形材の固定端側の強度を向上できる。
【0025】
第9の発明は、第2または第8の発明において、前記壁受け部材の前記側面部は、前記床部側に位置する第1側面部と、前記第1側面部に対面する第2側面部と、を有し、前記第1側面部は、前記底面部から上方に立上がる立上り部と、前記立上り部の上端から前記第2側面部側に向けて突出する突出部と、を有し、前記変形材は、前記立上り部から前記第2側面部に向けて延びており、前記粘着材は、前記壁部材が前記壁載せ凹部に挿入されていない状態で、前記立上り部との間に隙間をもって前記変形材に設けられていることを特徴とする水まわりユニットである。
【0026】
この水まわりユニットによれば、壁部材と立上り部との間の空間に粘着材を入込ませることができるので、壁部材を壁載せ凹部の所定の位置に配置させることができる。また、粘着材が壁部材と立上り部との間の空間を塞ぐので、効果的に水密性を確保することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の態様によれば、ユニット内からユニット外に水が漏れるのを抑制できる水まわりユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態による水まわりユニットを模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1中の床部材と壁部材とを矢示A-A方向からみた断面図である。
【
図3】壁部材を壁載せ凹部に挿入するときの状態を示す断面図である。
【
図4】第2実施形態による壁部材の取付構造に用いられる壁受け部材に壁部材を挿入した状態を示す
図2と同様の断面図である。
【
図5】壁部材を壁受け部材に挿入するときの状態を示す
図3と同様の断面図である。
【
図6】第1変形例によるシール部材を示す断面図である。
【
図7】第2変形例によるシール部材を示す断面図である。
【
図8】第3変形例によるシール部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、第1実施形態による水まわりユニットを模式的に示す斜視図である。
【0030】
図1に示す水まわりユニット100は、床部材10と、壁部材20と、シール部材30と、を備える。また、水まわりユニット100は、壁部材20の取付構造1を有する。
【0031】
図1に表した例では、水まわりユニット100は、浴室である。そのため、水まわりユニット100は、浴槽200をさらに有する。浴槽200は、支持脚110を介して、浴室設置面F上に設置されている。水まわりユニット100は、例えば、家庭用のユニットバス(システムバス)である。床部材10は、例えば、洗い場床である。水まわりユニット100は、例えば、床部材10の上に便器や洗面化粧台などが取り付けられるホテル用のユニットバスなどでもよい。床部材10は、ホテルのバスルームの床などでもよい。水まわりユニット100の具体的構成は、
図1の例に限定されず、適宜変更可能である。例えば、水まわりユニット100は、浴槽200を有していないシャワールームなどであっても良い。
【0032】
床部材10は、水まわりユニット100の床面を構成している。床部材10は、周縁部が上側に折り曲げられた浅底の器状(パン状)に形成され、ユニット外部に湯水を漏出させない防水性を有する。床部材10は、ボルト部を回転させることで高さ調節可能な構造を有する支持脚110を介して浴室設置面F上に設置されている。床部材10は、床部11と、床部11の外周側に設けられ壁部材20を載置する壁載せ凹部12と、を有している。
【0033】
壁部材20は、床部材10の壁載せ凹部12に挿入され、床部材10から上方に向けて延びている。壁部材20は、例えば水まわりユニット100の出入口となるドアを支持するドア支持枠21である。また、壁部材20は、例えばドア支持枠21に対面する第1面部22である。また、壁部材20は、例えば浴槽200に対面する第2面部23である。また、壁部材20は、例えばドア支持枠21と浴槽200との間または第1面部22と浴槽200との間に位置するパネル24である。すなわち、壁部材20は、床部材10の外縁から立上がった水まわりユニット100の側壁である。そして、壁部材20は、水まわりユニット100の内部に露出する鋼板20aと、鋼板20aの裏面側に固着された母材20b(例えば、石膏ボード)と、を有している。
【0034】
図2は、
図1中の床部材と壁部材とを矢示A-A方向からみた断面図である。
図3は、壁部材を壁載せ凹部に挿入するときの状態を示す断面図である。
【0035】
床部材10は、床部11と、床部11の外縁に沿って設けられた壁載せ凹部12と、を有している。床部11は、上面11a側に床面部11bを有している。床面部11bは、水まわりユニット100内に露出して、使用者に実際に洗い場として使用される部分である。
【0036】
壁載せ凹部12は、床部11の周端部に設けられ、上方が開口した凹状に形成されている。壁載せ凹部12は、例えば床部11の4つの辺(外縁)のうち、浴槽200と隣接しない3つの辺の全体に沿うように設けられている。壁載せ凹部12は、床部11の上面11aよりも下方に凹んだ内底面13と、内底面13から上方に向かって延びる内側面14と、を有している。
【0037】
内底面13は、床部11の上面11aよりも一段下がった位置で床部11の外縁に沿って延びている。内底面13は、規制部15により上下方向に段差を有する段付き面となっている。規制部15は、後述するシール部材30の側方に設けられている。この規制部15は、壁部材20に接触することにより、壁部材20の沈み込みを規制する。規制部15は、シール部材30に沿って設けられていてもよいし、壁載せ凹部12の長さ方向に所定の間隔をもって複数個設けられていてもよい。また、規制部15は、壁載せ凹部12に一体に設けられていてもよいし、別体で設けられていてもよい。さらに、規制部15は、壁載せ凹部12の内側面14から突出していてもよい。すなわち、規制部15は、壁部材20の沈み込みを規制でき、シール部材30に干渉しなければ壁載せ凹部12内のどの位置に設けられていてもよい。
【0038】
規制部15は、壁載せ凹部12に壁部材20を設置するときに、床部材10の傾斜状況や壁部材20の製造公差などにより、壁部材20の一部が想定以上に壁載せ凹部12に沈み込んだとしても、壁部材20の沈み込みを規制する。従って、規制部15は、後述するシール部材30の変形材31が許容変形量を超えて変形することを抑制できる。
【0039】
内側面14は、床部11側に位置する第1内側面14aと、第1内側面14aと対面する第2内側面14bと、を有する。第1内側面14aは、内底面13の床部11側の端部から床部11の上面11aに向かって立上がっている。一方、第2内側面14bは、内底面13の床部11とは反対側の端部から立上がっている。壁載せ凹部12は、第1内側面14aと第2内側面14bとの間の寸法が壁部材20の厚さ寸法に対応して設定されている。また、壁載せ凹部12は、壁部材20が安定して床部材10から立設できるように、床部11の上面11aから内底面13までの深さ寸法が設定されている。
【0040】
次に、シール部材30について説明する。
【0041】
シール部材30は、壁載せ凹部12の内部に設けられている。シール部材30は、壁載せ凹部12の長さ方向に連続して延びている。シール部材30は、壁載せ凹部12と壁部材20との間に挟持され、壁載せ凹部12と壁部材20との間を水密的に塞ぐものである。すなわち、シール部材30は、水まわりユニット100の内部から壁載せ凹部12を介して外部に水が漏れるのを抑制(シール)するものである。そして、シール部材30は、変形材31と、粘着材35と、を有している。
【0042】
変形材31は、壁載せ凹部12の内側面14に沿って設けられている。すなわち、変形材31は、内側面14の長さ方向に延びるように設けられている。変形材31は、例えばプラスチックやエラストマなどの樹脂材料からなり、壁部材20に押圧されることにより変形可能となっている。この場合の変形可能とは、塑性変形および弾性変形の両方を含んでいる。また、変形材31の変形は、変形材31が全体的に形状が変形する場合および変形材31の素材自体が変形する場合の両方を含んでいる。本実施形態の変形材31は、弾性変形可能となっている。
【0043】
変形材31は、例えば薄板材により形成され、壁載せ凹部12の内底面13から高さ寸法Lの位置に設けられている。高さ寸法Lは、例えば規制部15の高さよりも上方に設定されるのが好ましい。すなわち、変形材31は、壁部材20により上方から押圧されるので、規制部15よりも上方(壁載せ凹部12の開口側)に設けられるのが好ましい。なお、後述する粘着材35の上面が規制部15よりも上方に位置していれば、粘着材35を介して変形材31が押圧されることになる。換言すると、変形材31の高さ寸法Lは、壁部材20から押圧されて下方に弾性変形するような高さに設定されている。
【0044】
変形材31は、一側31aが内側面14に設けられ他側31bが壁載せ凹部12の内部に向けて延びている。具体的には、変形材31は、第1内側面14aから第2内側面14bに向けて一直線状に延びている。この場合、変形材31は、一側31a(第1内側面14a側)が固定端となり、他側31b(第2内側面14b側)が自由端となっている。
【0045】
これにより、変形材31は、上下方向に弾性変形可能になっている。
図3に示すように、変形材31は、壁部材20により押圧されて、上方に付勢力を付すように弾性変形する。従って、シール部材30は、壁部材20を壁載せ凹部12に挿入したときに、変形材31の他側31b(自由端側)が内底面13に向けて押圧される。また、変形材31は、壁部材20を壁載せ凹部12から取外したときには付勢力により元の状態(
図3の状態)に復元する。この場合、変形材31は、壁載せ凹部12の内側面14(第1内側面14a)に一体形成されている。これにより、変形材31が壁載せ凹部12に一体となっているので、変形材31の一側31a(固定端側)の強度を向上している。なお、変形材31は、壁載せ凹部12の内側面14に接着されていてもよい。
【0046】
変形材31は、上面31cが凹凸状に形成されている。この場合、変形材31の上面31cの全体が凹凸状に形成されていてもよいし、上面31cの一部が凹凸状に形成されていてもよい。そして、この凹凸状の上面31cには、粘着材35が固着されている。これにより、変形材31の上面31cと粘着材35との接触面(接着面)を大きくすることができる。従って、壁部材20を壁載せ凹部12から取外すときに、粘着材35が変形材31から剥離するのを抑制できる。また、壁部材20を壁載せ凹部12に挿入して粘着材35が壁部材20に押圧されたときに、粘着材35が変形材31に対して水平方向に摺動するのを抑制できる。これにより、粘着材35が変形材31から剥離することを抑制できる。なお、
図3に示す例では、変形材31の上面31cを湾曲状に形成しているが、これに限らず、例えば変形材31の上面31cに下方に窪む孔部を形成していてもよい。
【0047】
粘着材35は、変形材31の上面31cに設けられている。この粘着材35は、粘着性および弾性を有している。粘着材35は、例えば感圧接着剤により形成されている。粘着材35は、例えば時間が経った場合であっても完全に乾くことがなく、常に接着性をもった材料となっている。従って、時間が経つと完全に乾いてしまい、接着性を失う(接着性が限りなくゼロに近づく)いわゆる接着剤とは、全く異なるものである。
【0048】
また、粘着材35は、弾性を有することで、壁載せ凹部12から壁部材20を取外しても、この弾性によって元の形状に復元する。従って、壁部材20は、再度粘着材35に張付けることが可能となる。すなわち、粘着材35は、壁部材20に着脱自在に粘着可能である。なお、粘着材35は、例えば粘着性および弾性を有するゲル(ゲル状物質)であってもよい。
【0049】
このように、シール部材30は、変形材31と粘着材35との二層構造となっている。この場合、
図3に示すように、変形材31の上下方向の厚さ寸法H1は、粘着材35の上下方向の厚さ寸法H2よりも小さくなっている(H1<H2)。変形材31の厚さ寸法H1および粘着材35の厚さ寸法H2は、壁載せ凹部12の深さ寸法、壁部材20の仕様、および変形材31の強度や弾性変形量などにより、実験、シミュレーションにより設定される。これにより、変形材31の弾性変形により壁部材20と粘着材35との圧着力を調整することができる。従って、粘着材35の粘着力は、止水と壁部材20の取外しとのバランスを満たしたものにすることができる。その結果、シール部材30の粘着材35は、壁部材20との剥離性に優れるので、壁部材20の着脱作業の作業性を向上できる。
【0050】
コーキング材40は、床部11と壁部材20との間の角部(境界部)に設けられている。このコーキング材40は、壁部材20を壁載せ凹部12に挿入した後に、現場で塗布されるものである。コーキング材40は、例えばシリコーンからなり、床部11から壁載せ凹部12内に水が浸入するのを抑制するものである。
【0051】
本実施形態による壁部材の取付構造1は、上述の如き構成を有するもので、次に、壁部材20を壁載せ凹部12に組付ける作業について説明する。
【0052】
まず、
図3に示すように、壁部材20は、水まわりユニット100の室内から床部材10の壁載せ凹部12内に挿入される。その後、床部11と壁部材20との間の角部にコーキング材40を塗布する。
【0053】
ここで、コーキング材40の塗布作業は、床部材10に壁部材20を組付けた後に行われるため、その精度が現場の施工者の施工技術に委ねられることになる。すなわち、現場の施工者の施工技術が十分ではない場合には、コーキング材40を塗布し忘れてしまったり、コーキング材40を正しく塗布できなかったりする虞があり、水密性が確保できない虞がある。
【0054】
そこで、壁部材20と壁載せ凹部12との間にシール部材を設ける構成が考えられる。しかし、壁部材20と壁載せ凹部12との間の隙間量は、各部材の製品誤差や床部材10の傾斜状態などの影響により変動する。この場合、壁部材20と壁載せ凹部12との間の隙間量が大きい個所では、シール部材に十分な圧力が加わらず、シール性が不十分となる虞がある。また、シール性を担保するために、大きい隙間量を考慮してシール部材の高さを大きく形成することも考えられる。しかし、壁部材20は、水まわりユニット100の内側から壁載せ凹部12に挿入されるため、シール部材が外側へ倒れることになり、壁部材20の配置が不安定となる虞がある。
【0055】
そこで、本実施形態では、床部材10の壁載せ凹部12に変形材31と粘着材35とを有するシール部材30を設けている。このシール部材30は、工場で壁載せ凹部12に設けられる。これにより、壁部材20を壁載せ凹部12に挿入すると、必然的に壁部材20と壁載せ凹部12との間に水密性を得ることができる。従って、現場でのコーキング材40の塗布作業に不備があっても、シール部材30により水まわりユニット100の室内から室外に水が漏れるのを抑制できる。
【0056】
シール部材30は、変形材31と、粘着材35と、により二層構造となっている。変形材31は、壁部材20に押圧されることにより下方に弾性変形して、壁載せ凹部12と壁部材20との間の隙間量を吸収することができる。従って、粘着材35は、前記隙間量の大小にかかわらず適切な圧縮力を壁部材20から得ることができる。
【0057】
また、変形材31の上面31cに設けられた粘着材35によって、壁部材20と壁載せ凹部12との間を効果的にシールすることができる。この場合、壁部材20と壁載せ凹部12との間の隙間量が大きい箇所でも変形材31の変形量が変化することにより、しっかりとシール性を維持できる。加えて、シール部材30は、壁載せ凹部12の内側面14から延びている。従って、深さ寸法が異なる種々の壁載せ凹部12でも、シール部材30の取付高さを調整するだけで同じシール部材30を用いることができる。従って、シール部材30は、厚さ寸法を低減することができるので、安定性に優れるとともに、壁部材20と壁載せ凹部12との間の隙間量が変化したとしても、水密性を確保することができる。
【0058】
また、変形材31は、一側31aが固定端となり、他側31bが自由端となることにより上下方向に弾性変形可能であり、変形材31の上下方向の厚さ寸法H1は、粘着材35の上下方向の厚さ寸法H2よりも小さくなっている(H1<H2)。この場合、変形材31の弾性変形により壁部材20と粘着材35との圧着力を調整することができる。その結果、粘着材35の粘着力は、止水と壁部材20の取外しとのバランスを満たしたものにすることができる。従って、シール部材30の粘着材35は、壁部材20との剥離性に優れるので、壁部材20の着脱作業の作業性を向上できる。
【0059】
また、変形材31の上面31cは、凹凸状に形成されている。これにより、変形材31と粘着材35との接触面(接着面)を大きくすることができる。また、
図3に示すように、壁部材20は、水まわりユニット100の室内側から壁載せ凹部12に斜め方向に挿入される。従って、粘着材35は、壁部材20から第2内側面14b側に向けて水平方向に押圧されることになる。変形材31の凹凸状の上面31cは、この水平方向の押圧力を抑えることができるので、粘着材35が変形材31に対して水平方向に摺動するのを抑制できる。これにより、粘着材35が変形材31から剥離するのを抑制できる。
【0060】
また、シール部材30の側方には、規制部15をさらに備えている。規制部15は、壁部材20に接触することにより、壁部材20の沈み込みを規制する。これにより、床部材10の傾斜状況や壁部材20の製造公差などにより、壁部材20の一部が想定以上に壁載せ凹部12に沈み込もうとしたときでも、規制部15が壁部材20の沈み込みを規制する。従って、変形材31に過度な荷重がかかるのを抑制できる。換言すると、変形材31が許容変形量を超えて変形することを抑制できる。
【0061】
次に、
図4、
図5は、本発明の第2実施形態による壁部材の取付構造を示している。第2実施形態の特徴は、壁載せ凹部12内にシール部材60を有する壁受け部材50を設けたことにある。なお、第2実施形態では、上述の第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
図4は、第2実施形態による壁部材の取付構造に用いられる壁受け部材に壁部材を挿入した状態を示す
図2と同様の断面図である。
図5は、壁部材を壁受け部材に挿入するときの状態を示す
図3と同様の断面図である。
【0062】
壁受け部材50は、壁載せ凹部12内に設けられている。この壁受け部材50は、壁載せ凹部12の長さ方向に沿って連続して設けられている。壁受け部材50は、上方が開口した凹状に形成され、内部に壁部材20が挿入される。すなわち、壁部材20は、壁受け部材50を介して壁載せ凹部12に挿入される。また、壁受け部材50には、シール部材60と、規制部55と、が設けられている。これにより、シール部材60は、壁受け部材50と壁部材20との間を水密的に塞ぐ。また、規制部55は、壁部材20の沈み込みを規制する。
【0063】
壁受け部材50は、壁載せ凹部12の内底面13に接触する底面部51と、底面部51から上方に向かって延び壁載せ凹部12の内側面14と対面する側面部52と、を有している。また、壁受け部材50の側面部52は、床部11側に位置する第1側面部53と、第1側面部53に対面する第2側面部54と、を有している。そして、第1側面部53は、底面部51から上方に立上がる立上り部53aと、立上り部53aの上端から第2側面部54側に向けて突出する突出部53bと、を有している。
【0064】
規制部55は、底面部51から上方に向けて突出している。この規制部55は、第1実施形態による規制部15と同様の構成となっている。規制部55は、壁受け部材50の内部でシール部材60に干渉しない任意の位置に設けることができる。すなわち、規制部55は、壁受け部材50の側面部52から突出していてもよい。
【0065】
側面部52は、高さ寸法が壁載せ凹部12の深さ寸法よりも小さくなっている。第1側面部53は、壁載せ凹部12の第1内側面14aに対面している。一方、第2側面部54は、壁載せ凹部12の第2内側面14bに対面している。第1側面部53の突出部53bと床部11の床面部11bとの間には、コーキング材40が塗布される。
【0066】
シール部材60は、一側61aが側面部52に設けられ他側61bが壁受け部材50の内部に向けて延び、壁部材20に押圧されることにより変形可能な変形材61と、変形材61の上面61aに設けられ粘着性を有する粘着材65と、を有している。シール部材60は、第1実施形態によるシール部材30と同様に、薄板材により形成された変形材61と、変形材61の上面61cに設けられた粘着材65と、を有している。
【0067】
シール部材60の変形材61は、立上り部53aから第2側面部54に向けて延び、上面61cが凹凸状に形成されている。この場合、変形材61は、壁受け部材50の側面部52(第1側面部53)に一体形成されている。これにより、変形材61が壁受け部材50に一体となっているので、変形材61の一側61a(固定端側)の強度を向上している。なお、変形材61は、壁受け部材50の側面部52に接着されていてもよい。そして、粘着材65は、壁部材20が壁載せ凹部12に挿入されていない状態で、立上り部53aとの間に隙間Sをもって変形材61に設けられている。
【0068】
かくして、このように構成された第2実施形態による壁部材の取付構造1においても上述した第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、
図4に示すように、壁部材20を壁受け部材50に挿入したときには、シール部材60が壁部材20に押圧される。この場合、シール部材60の粘着材65は、底面部51と突出部53bとの間の隙間Sに入込み、壁部材20と壁受け部材50との間を水密的に塞ぐことができる。従って、シール部材60は、水が外部に漏れるのを抑制することができる。
【0069】
図6は、第1変形例によるシール部材を示す断面図である。
上述した第2実施形態では、シール部材60の変形材61を第1側面部53から第2側面部54に向けて一直線状に延ばした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図6に示す第1変形例のように、シール部材70の変形材71は、一側72aが第1側面部53に設けられ、他側72bが壁載せ凹部12の開口側(上方側)に向けて上向きに傾斜する上方傾斜部72を有していてもよい。
図6に示す第1変形例による変形材71は、第1側面部53から壁載せ凹部12の開口側に向けて一直線状に延びる上方傾斜部72のみとなっている。なお、上方傾斜部72の上面72cを平坦面としているが、これに限らず、例えば上方傾斜部72の上面72cを凹凸状に形成してもよい。
【0070】
第1変形例によるシール部材70では、壁部材20を取外す場合の壁部材20と粘着材35との剥離性を高めるために粘着材35の粘着力を弱めたとしても、壁部材20を取付けたときの変形材71の上方傾斜部72の付勢力が大きくなる。従って、壁部材20を床部材10に設置したときに、粘着材35が変形材71から剥離するのを抑制できる。また、床部材10へ壁部材20を設置するときには、通常、取付作業は室内側から行われるため、壁部材20は上方が室内側に向かって傾斜した状態で壁載せ凹部に挿入される。従って、壁部材20を壁載せ凹部12に挿入したときには、粘着材35が変形材71に対してまっすぐに押圧されるので、粘着材35が変形材71に対して水平方向に摺動するのを抑制できる。これにより、粘着材35が変形材71から剥離するのを抑制できる。第1変形例によるシール部材70は、第1実施形態による壁部材の取付構造1に用いてもよい。
【0071】
図7は、第2変形例によるシール部材を示す断面図である。
上述した第1変形例では、シール部材70の変形材71を第1側面部53から壁載せ凹部12の開口側に向けて一直線状に延びる上方傾斜部72を有した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上方傾斜部72と第1側面部53との間に下方に傾斜する下方傾斜部77を有していてもよい。すなわち、シール部材75の変形材76は、一側77aが固定端となり下向きに傾斜する下方傾斜部77と、下方傾斜部77の先端から上向きに傾斜して他側72bが自由端となった上方傾斜部72と、を有している。換言すると、シール部材75は、変形材76を下方傾斜部77と上方傾斜部72とによりV字状に形成している。なお、上方傾斜部72の上面72cと、下方傾斜部77の上面77bとを平坦面としているが、これに限らず、例えば上方傾斜部72の上面72cと、下方傾斜部77の上面77bとを凹凸状に形成してもよい。
【0072】
第2変形例によるシール部材75は、下方傾斜部77が壁部材20に押圧されたときに、下方傾斜部77の固定端にかかる応力を小さくすることができ、変形材76の寿命を向上できる。一方、上方傾斜部72は、壁部材20を床部材10に取付けるときに、壁部材20に押圧された粘着材35が変形材76から剥離するのを抑制できる。第2変形例によるシール部材75は、第1実施形態による壁部材の取付構造1に用いてもよい。
【0073】
図8は、第3変形例によるシール部材を示す断面図である。
上述した第2実施形態では、シール部材60の変形材61を第1側面部53から第2側面部54に向けて一直線状に延ばした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図8に示す第3変形例のように、シール部材80の変形材81は、第2側面部54から第1側面部53に向けて延びていてもよい。なお、変形材81の上面81aを平坦面としているが、これに限らず、例えば変形材81の上面81aを凹凸状に形成してもよい。このことは、第1、第2実施形態、第1、第2変形例についても同様である。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水まわりユニット100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0075】
1 壁部材の取付構造、 10 床部材、 11 床部、 11a 上面、 11b 床面部、 12 壁載せ凹部、 13 内底面、 14 内側面、 14a 第1内側面、 14b 第2内側面、 15 規制部、 20 壁部材、 20a 鋼板、 20b 母材、 21 ドア支持枠、 22 第1面部、 23 第2面部、 24 パネル、 30 シール部材、 31 変形材、 31a 一側、 31b 他側、 31c 上面、 35 粘着材、 40 コーキング材、 50 壁受け部材、 51 底面部、 52 側面部、 53 第1側面部、 53a 立上り部、 53b 突出部、 54 第2側面部、 55 規制部、 60 シール部材、 61 変形材、 61a 一側、 61b 他側、 61c 上面、 65 粘着材、 70 シール部材、 71 変形材、 72 上方傾斜部、 72a 一側、 72b 他側、72c 上面、 75 シール部材、 76 変形材、 77 下方傾斜部、 77a 一側、 77b 上面、 80 シール部材、 81 変形材、 81a 上面、 100 水まわりユニット、 110 支持脚、 200 浴槽、 F 浴室設置面、 S 隙間