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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2019180141
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021058007
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000128094
【氏名又は名称】株式会社エヌエフホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 修
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 烈士
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-210104(JP,A)
【文献】特開2015-177559(JP,A)
【文献】特開2006-166618(JP,A)
【文献】特開2019-103200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置であって、
直流電源の両端の間に直列接続された1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、交流を出力する1次側回路と、
前記1次側回路の出力に基づく電圧が入力され、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、前記入力された電圧の極性と同極性の電圧を出力するか前記入力された電圧と逆極性の電圧を出力するかを切り替える2次側回路と、
前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性を判定する判定回路を有し、前記判定回路の判定結果に応じて前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを切り替える制御回路と
を備える電力変換装置。
【請求項2】
電力変換装置であって、
直流電源の両端の間に直列接続された1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、交流を出力する1次側回路と、
前記1次側回路の出力に基づく電圧が入力され、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、前記入力された電圧の極性と同極性の電圧を出力するか前記入力された電圧と逆極性の電圧を出力するかを切り替える2次側回路と、
前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性の判定結果を保持する保持回路を有し、前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記保持回路の出力に応じて切り替える制御回路と
を備える電力変換装置。
【請求項3】
電力変換装置であって、
直流電源の両端の間に直列接続された1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、交流を出力する1次側回路と、
前記1次側回路の出力に基づく電圧が入力され、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、前記入力された電圧の極性と同極性の電圧を出力するか前記入力された電圧と逆極性の電圧を出力するかを切り替える2次側回路と、
前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性に応じて切り替える制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性の判定結果に応じて前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す1次側制御信号に対し進みの時間差または遅れの時間差を持つ信号を、前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す信号として前記2次側回路に出力する
電力変換装置。
【請求項4】
前記1次側回路は、前記直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子と、前記直流電源の両端の間に直列接続された第1静電容量素子および第2静電容量素子と、を備えるハーフブリッジ回路であり、
前記1次側回路の出力の一端は、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との接続点に接続され、
前記1次側回路の出力の他端は、前記第1静電容量素子と前記第2静電容量素子との接続点に接続される
請求項1から3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第1静電容量素子の静電容量値は、前記第2静電容量素子の静電容量値と略等しい
請求項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記1次側回路は、前記直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子と、前記直流電源の一端と前記1次側回路の出力の一端に接続された静電容量素子と、を備えるハーフブリッジ回路であり、
前記1次側回路の出力の他端は、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との接続点に接続される
請求項1から3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記直流電源は、直列接続された第1直流電源および第2直流電源を備え、
前記1次側回路は、前記直列接続された前記第1直流電源および前記第2直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子を備えるハーフブリッジ回路であり、
前記1次側回路の出力の一端は、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との接続点に接続され、
前記1次側回路の出力の他端は、前記第1直流電源と前記第2直流電源との接続点に接続される
請求項1から3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記直流電源は、直列接続された第1直流電源および第2直流電源を備え、
前記1次側回路は、前記直列接続された前記第1直流電源および前記第2直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子と、前記第1直流電源と前記第2直流電源との接続点と前記1次側回路の出力の一端との間に接続される静電容量素子と、を備えるハーフブリッジ回路であり、
前記1次側回路の出力の他端は、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との接続点に接続される
請求項1から3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記1次側回路は、前記直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子と、前記直流電源の両端の間に直列接続された第3スイッチ素子および第4スイッチ素子と、を備えるフルブリッジ回路であり、
前記1次側回路の出力の一端は、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との接続点に接続され、
前記1次側回路の出力の他端は、前記第3スイッチ素子と前記第4スイッチ素子との接続点に接続される
請求項1から3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との接続点と前記1次側回路の出力の一端との間、および、前記第3スイッチ素子と前記第4スイッチ素子との接続点と前記1次側回路の出力の他端との間、の少なくとも一方の間に設けられた静電容量素子を備える
請求項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記2次側回路は、
前記1次側回路の出力が入力される1次巻線と、第1の2次巻線および第2の2次巻線と、を備えるトランス
を備え、
前記2次側スイッチ素子は、
前記2次側回路の出力の一端と前記第1の2次巻線の一端との間、または、前記2次側回路の出力の他端と前記第1の2次巻線の他端との間に設けられた第1双方向性スイッチ素子と、
前記2次側回路の出力の一端と前記第2の2次巻線の一端との間、または、前記2次側回路の出力の他端と前記第2の2次巻線の他端との間に設けられた第2双方向性スイッチ素子と
を備え、
前記2次側回路は、前記第1双方向性スイッチ素子および前記第2双方向性スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、前記第1の2次巻線の一端および他端をそれぞれ前記2次側回路の出力の一端および他端に接続するか、前記第2の2次巻線の一端および他端をそれぞれ前記2次側回路の出力の一端および他端に接続するかを切り替える
請求項1から10のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記2次側回路は、
前記1次側回路の出力が入力される1次巻線と、第1の2次巻線および第2の2次巻線と、を備えるトランス
を備え、
前記2次側スイッチ素子は、
前記2次側回路の出力の一端と前記第1の2次巻線の一端との間に設けられた第1一方向性スイッチ素子と、前記第1一方向性スイッチ素子に対し逆極性で並列接続された第1ダイオード素子と、を備えるスイッチ素子と、
前記2次側回路の出力の他端と前記第1の2次巻線の他端との間に設けられた第2一方向性スイッチ素子と、前記第2一方向性スイッチ素子に対し逆極性で並列接続された第2ダイオード素子と、を備えるスイッチ素子と、
前記2次側回路の出力の一端と前記第2の2次巻線の一端との間に設けられた第3一方向性スイッチ素子と、前記第3一方向性スイッチ素子に対し逆極性で並列接続された第3ダイオード素子と、を備えるスイッチ素子と、
前記2次側回路の出力の他端と前記第2の2次巻線の他端との間に設けられた第4一方向性スイッチ素子と、前記第4一方向性スイッチ素子に対し逆極性で並列接続された第4ダイオード素子と、を備えるスイッチ素子と
を備え、
前記第1一方向性スイッチ素子と前記第2一方向性スイッチ素子とは、前記第1の2次巻線を挟んで極性が逆向きに直列接続され、
前記第3一方向性スイッチ素子と前記第4一方向性スイッチ素子とは、前記第2の2次巻線を挟んで極性が逆向きに直列接続される
請求項1から10のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記2次側回路は、
前記1次側回路の出力が入力される1次巻線と、2次巻線と、を備えるトランス
を備え、
前記2次側スイッチ素子は、
前記2次側回路の出力の一端と前記2次巻線の一端との間に設けられた第1双方向性スイッチ素子と、
前記2次側回路の出力の他端と前記2次巻線の他端との間に設けられた第2双方向性スイッチ素子と、
前記2次側回路の出力の一端と前記2次巻線の他端との間に設けられた第3双方向性スイッチ素子と、
前記2次側回路の出力の他端と前記2次巻線の一端との間に設けられた第4双方向性スイッチ素子と
を備える
請求項1から10のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記2次側回路の出力側に接続された平滑回路
を備え、
前記平滑回路は、前記平滑回路の入力の一端と前記平滑回路の出力の一端との間に接続されたインダクタ素子を備える
請求項1から13のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記平滑回路は、前記平滑回路の出力に並列に接続された静電容量素子を備える
請求項14に記載の電力変換装置。
【請求項16】
前記電力変換装置の出力に接続される負荷は、抵抗性負荷である
請求項1から15のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項17】
前記電力変換装置の出力に接続される負荷は、前記電力変換装置への電力供給を行う負荷である
請求項1から15のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項18】
前記電力変換装置の出力に接続される負荷は、前記電力変換装置から出力される電力の消費および前記電力変換装置への電力供給を行う負荷である
請求項1から15のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項19】
電力変換装置であって、
直流電源の両端の間に直列接続された1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、交流を出力する1次側回路と、
前記1次側回路の出力に基づく電圧が入力され、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、前記入力された電圧の極性と同極性の電圧を出力するか前記入力された電圧と逆極性の電圧を出力するかを切り替える2次側回路と、
前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性に応じて切り替える制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す基準信号を前記1次側回路に出力する1次側制御回路と、
前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性を判定する判定回路と、
前記判定回路の判定結果に応じて前記基準信号に対し進みの時間差または遅れの時間差を持つ信号を、前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す信号として前記2次側回路に出力する2次側制御回路と
を備える
力変換装置。
【請求項20】
電力変換装置であって、
直流電源の両端の間に直列接続された1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、交流を出力する1次側回路と、
前記1次側回路の出力に基づく電圧が入力され、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、前記入力された電圧の極性と同極性の電圧を出力するか前記入力された電圧と逆極性の電圧を出力するかを切り替える2次側回路と、
前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性に応じて切り替える制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性を判定する判定回路と、
前記判定回路の判定結果に応じて基準信号または前記基準信号を反転した信号を、前記1次側スイッチ素子を制御する1次側制御信号として前記1次側回路に出力する1次側制御回路と、
前記判定回路の判定結果に応じて前記基準信号に対し進みの時間差を持つ信号または前記基準信号に対し遅れの時間差を持つ信号を反転した信号を、前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す信号として前記2次側回路に出力する2次側制御回路と
を備える
力変換装置。
【請求項21】
前記制御回路の少なくとも一部は、プログラマブルデバイスまたはプロセッサによって実現される
請求項1から20のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項22】
前記2次側回路の出力側に接続され、前記2次側回路の出力端の電流を検出する電流センサ
を備え、
前記制御回路は、前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対する前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記電流センサにより検出された電流の極性に応じて切り替える
請求項1から21のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項23】
前記2次側回路の出力側に接続され、前記2次側回路の出力電圧を平滑化する平滑回路と、
前記平滑回路の出力端の電流を検出する電流センサと
を備え、
前記制御回路は、前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対する前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記電流センサにより検出された電流の極性に応じて切り替える
請求項1から21のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項24】
前記2次側回路の出力側に接続され、前記2次側回路の出力電圧を平滑化する平滑回路と、
前記平滑回路の出力端の電圧を検出する電圧センサと
を備え、
前記制御回路は、前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対する前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記電圧センサにより検出された電圧の極性に応じて切り替える
請求項16、または請求項16に従属する請求項21に記載の電力変換装置。
【請求項25】
前記直流電源の出力端、または前記1次側回路の出力端と前記2次側回路との間の電流を検出する電流センサを備え、
前記制御回路は、前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対する前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記電流センサにより検出された電流の極性に応じて切り替える
請求項1から21のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項26】
電力変換装置であって、
直流電源の両端の間に直列接続された1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、交流を出力する1次側回路と、
前記1次側回路の出力に基づく電圧が入力され、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、前記入力された電圧の極性と同極性の電圧を出力するか前記入力された電圧と逆極性の電圧を出力するかを切り替える2次側回路と、
前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性に応じて切り替える制御回路と
を備え、
前記電力変換装置の出力に接続される負荷は、抵抗性負荷であり、
前記制御回路は、
基準信号に基づいて、前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す1次側制御信号を生成する1次側制御回路と、
前記電力変換装置の出力目標値を示す外部信号の極性を判定する判定回路と、
前記判定回路の判定結果に応じて前記基準信号に対し進みの時間差または遅れの時間差を持つ信号を、前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す信号として前記2次側回路に出力する2次側制御回路と
を備える力変換装置。
【請求項27】
前記電流センサの出力信号の高周波成分を減衰させるローパスフィルタ
を備え、
前記制御回路は、前記ローパスフィルタの出力に基づいて、前記電流の極性を判定する
請求項2223、または25のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項28】
前記電圧センサの出力信号の高周波成分を減衰させるローパスフィルタ
を備え、
前記制御回路は、前記ローパスフィルタの出力に基づいて、前記電流の極性を判定する
請求項24に記載の電力変換装置。
【請求項29】
前記制御回路は、
前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性を判定するヒステリシスコンパレータ
を備える
請求項1から28のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項30】
電力変換装置であって、
直流電源の両端の間に直列接続された1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、交流を出力する1次側回路と、
前記1次側回路の出力に基づく電圧が入力され、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、前記入力された電圧の極性と同極性の電圧を出力するか前記入力された電圧と逆極性の電圧を出力するかを切り替える2次側回路と、
前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性に応じて切り替える制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性を判定するコンパレータと、
前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングにおける前記コンパレータの出力に応じて、前記コンパレータの出力、または前記コンパレータの出力の反転を保持する保持回路と、
前記保持回路の出力に基づいて、前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記保持回路の出力に応じて切り替える2次側制御回路と
を備える力変換装置。
【請求項31】
電力変換装置であって、
直流電源の両端の間に直列接続された1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、交流を出力する1次側回路と、
前記1次側回路の出力に基づく電圧が入力され、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、前記入力された電圧の極性と同極性の電圧を出力するか前記入力された電圧と逆極性の電圧を出力するかを切り替える2次側回路と、
前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記直流電源の出力端、前記1次側回路の出力端、前記2次側回路の出力端または前記電力変換装置の出力端の電流の極性に応じて切り替える制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記直流電源の出力端、または前記1次側回路の出力端の電流の極性を判定するコンパレータと、
前記コンパレータの出力を保持する保持回路と、
前記保持回路の出力に基づいて、前記1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して前記2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、前記保持回路の出力に応じて切り替える2次側制御回路と
を備える力変換装置。
【請求項32】
前記2次側回路は、
前記1次側回路の出力が入力される1次巻線と、前記2次側スイッチ素子に接続された2次巻線と、1以上の3次巻線と、を備えるトランスと、
前記1以上の3次巻線と、前記1以上の3次巻線に接続された1以上の整流回路とにより形成された1以上の電源回路とを備える、
請求項1から31のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項33】
前記1以上の電源回路のうちの少なくとも1つから供給される電力で動作する前記制御回路、または、前記1次側スイッチ素子および前記2次側スイッチ素子の少なくとも1つを駆動するドライバ
を備える
請求項32に記載の電力変換装置。
【請求項34】
前記電流センサは、前記1以上の電源回路のうちの少なくとも1つから供給される電力で動作する
請求項2223または25に従属する請求項32に記載の電力変換装置。
【請求項35】
前記電圧センサは、前記1以上の電源回路のうちの少なくとも1つから供給される電力で動作する
請求項24に従属する請求項32に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている電力変換装置の中、特に、〔第11の実施の形態〕として、明細書の段落0200から段落0240および図面の図31から図36で開示されている絶縁型両極性双方向DC/DCコンバータおよび絶縁型双方向DC/ACインバータがある。
【0003】
この電力変換装置では、出力電圧を、スイッチS1、S2と、スイッチS4a、S4bを駆動する波形の「位相関係」によって決めることができ、出力電圧を正負自由に制御できる。
【0004】
またこの電力変換装置においては、図36のように、負荷の代わりに電源などを接続した場合は、直流電源に電力を回生する動作を行うことも可能である。
【0005】
特許文献1のこのような電力変換装置や、本発明の実施の形態の絶縁型両極性双方向DC/DCコンバータおよび絶縁型双方向DC/ACインバータを、以下「電力変換装置」と記載する。電力変換装置は、絶縁型両極性双方向DC/DCコンバータと絶縁型双方向DC/ACインバータの両方の機能として使用することもできるし、いずれか一方として使用することもできる。また、必ずしも双方向として使用する必要はなく、用途等に応じて力行・回生のいずれかの方向だけで使用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-210104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電力変換装置において電力損失を抑制することが望まれる。電力変換装置においてノイズを抑制することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る電力変換装置は、直流電源の両端の間に直列接続された1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、交流を出力する1次側回路を備える。電力変換装置は、1次側回路の出力に基づく電圧が入力され、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、入力された電圧の極性と同極性の電圧を出力するか入力された電圧と逆極性の電圧を出力するかを切り替える2次側回路を備える。電力変換装置は、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、直流電源の出力端、1次側回路の出力端、2次側回路の出力端または電力変換装置の出力端の電流の極性に応じて切り替える制御回路を備える。
【0009】
1次側回路は、直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子と、直流電源の両端の間に直列接続された第1静電容量素子および第2静電容量素子と、を備えるハーフブリッジ回路であってよい。1次側回路の出力の一端は、第1スイッチ素子と第2スイッチ素子との接続点に接続されてよい。1次側回路の出力の他端は、第1静電容量素子と第2静電容量素子との接続点に接続されてよい。
【0010】
第1静電容量素子の静電容量値は、第2静電容量素子の静電容量値と略等しくてよい。
【0011】
1次側回路は、直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子と、直流電源の一端と1次側回路の出力の一端に接続された静電容量素子と、を備えるハーフブリッジ回路であってよい。1次側回路の出力の他端は、第1スイッチ素子と第2スイッチ素子との接続点に接続されてよい。
【0012】
直流電源は、直列接続された第1直流電源および第2直流電源を備えてよい。1次側回路は、直列接続された第1直流電源および第2直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子を備えるハーフブリッジ回路であってよい。1次側回路の出力の一端は、第1スイッチ素子と第2スイッチ素子との接続点に接続されてよい。1次側回路の出力の他端は、第1直流電源と第2直流電源との接続点に接続されてよい。
【0013】
直流電源は、直列接続された第1直流電源および第2直流電源を備えてよい。1次側回路は、直列接続された第1直流電源および第2直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子と、第1直流電源と第2直流電源との接続点と1次側回路の出力の一端との間に接続される静電容量素子と、を備えるハーフブリッジ回路であってよい。1次側回路の出力の他端は、第1スイッチ素子と第2スイッチ素子との接続点に接続されてよい。
【0014】
1次側回路は、直流電源の両端の間に直列接続された第1スイッチ素子および第2スイッチ素子と、直流電源の両端の間に直列接続された第3スイッチ素子および第4スイッチ素子と、を備えるフルブリッジ回路であってよい。1次側回路の出力の一端は、第1スイッチ素子と第2スイッチ素子との接続点に接続されてよい。1次側回路の出力の他端は、第3スイッチ素子と第4スイッチ素子との接続点に接続されてよい。
【0015】
第1スイッチ素子と第2スイッチ素子との接続点と1次側回路の出力の一端との間、および、第3スイッチ素子と第4スイッチ素子との接続点と1次側回路の出力の他端との間、の少なくとも一方の間に設けられた静電容量素子を備えてよい。
【0016】
2次側回路は、1次側回路の出力が入力される1次巻線と、第1の2次巻線および第2の2次巻線と、を備えるトランスを備えてよい。2次側スイッチ素子は、2次側回路の出力の一端と第1の2次巻線の一端との間、または、2次側回路の出力の他端と第1の2次巻線の他端との間に設けられた第1双方向性スイッチ素子を備えてよい。2次側スイッチ素子は、2次側回路の出力の一端と第2の2次巻線の一端との間、または、2次側回路の出力の他端と第2の2次巻線の他端との間に設けられた第2双方向性スイッチ素子を備えてよい。2次側回路は、第1双方向性スイッチ素子および第2双方向性スイッチ素子の導通状態の切り替えにより、第1の2次巻線の一端および他端をそれぞれ2次側回路の出力の一端および他端に接続するか、第2の2次巻線の一端および他端をそれぞれ2次側回路の出力の一端および他端に接続するかを切り替えてよい。
【0017】
2次側回路は、1次側回路の出力が入力される1次巻線と、第1の2次巻線および第2の2次巻線と、を備えるトランスを備えてよい。2次側スイッチ素子は、2次側回路の出力の一端と第1の2次巻線の一端との間に設けられた第1一方向性スイッチ素子と、第1一方向性スイッチ素子に対し逆極性で並列接続された第1ダイオード素子と、を備えるスイッチ素子を備えてよい。2次側スイッチ素子は、2次側回路の出力の他端と第1の2次巻線の他端との間に設けられた第2一方向性スイッチ素子と、第2一方向性スイッチ素子に対し逆極性で並列接続された第2ダイオード素子と、を備えるスイッチ素子を備えてよい。2次側スイッチ素子は、2次側回路の出力の一端と第2の2次巻線の一端との間に設けられた第3一方向性スイッチ素子と、第3一方向性スイッチ素子に対し逆極性で並列接続された第3ダイオード素子と、を備えるスイッチ素子を備えてよい。2次側スイッチ素子は、2次側回路の出力の他端と第2の2次巻線の他端との間に設けられた第4一方向性スイッチ素子と、第4一方向性スイッチ素子に対し逆極性で並列接続された第4ダイオード素子と、を備えるスイッチ素子を備えてよい。第1一方向性スイッチ素子と第2一方向性スイッチ素子とは、第1の2次巻線を挟んで極性が逆向きに直列接続されてよい。第3一方向性スイッチ素子と第4一方向性スイッチ素子とは、第2の2次巻線を挟んで極性が逆向きに直列接続されてよい。
【0018】
2次側回路は、1次側回路の出力が入力される1次巻線と、2次巻線と、を備えるトランスを備えてよい。2次側スイッチ素子は、2次側回路の出力の一端と2次巻線の一端との間に設けられた第1双方向性スイッチ素子を備えてよい。2次側スイッチ素子は、2次側回路の出力の他端と2次巻線の他端との間に設けられた第2双方向性スイッチ素子を備えてよい。2次側スイッチ素子は、2次側回路の出力の一端と2次巻線の他端との間に設けられた第3双方向性スイッチ素子を備えてよい。2次側回路の出力の他端と2次巻線の一端との間に設けられた第4双方向性スイッチ素子を備えてよい。
【0019】
電力変換装置は、2次側回路の出力側に接続された平滑回路を備えてよい。平滑回路は、平滑回路の入力の一端と平滑回路の出力の一端との間に接続されたインダクタ素子を備えてよい。
【0020】
平滑回路は、平滑回路の出力に並列に接続された静電容量素子を備えてよい。
【0021】
電力変換装置の出力に接続される負荷は、抵抗性負荷であってよい。
【0022】
電力変換装置の出力に接続される負荷は、電力変換装置への電力供給を行う負荷であってよい。
【0023】
電力変換装置の出力に接続される負荷は、電力変換装置から出力される電力の消費および電力変換装置への電力供給を行う負荷であってよい。
【0024】
制御回路は、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す基準信号を1次側回路に出力する1次側制御回路を備えてよい。制御回路は、直流電源の出力端、1次側回路の出力端、2次側回路の出力端または電力変換装置の出力端の電流の極性を判定する判定回路を備えてよい。制御回路は、判定回路の判定結果に応じて基準信号に対し進みの時間差または遅れの時間差を持つ信号を、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す信号として2次側回路に出力する2次側制御回路を備えてよい。
【0025】
制御回路は、直流電源の出力端、1次側回路の出力端、2次側回路の出力端または電力変換装置の出力端の電流の極性を判定する判定回路を備えてよい。制御回路は、判定回路の判定結果に応じて基準信号または基準信号を反転した信号を、1次側スイッチ素子を制御する1次側制御信号として1次側回路に出力する1次側制御回路を備えてよい。判定回路の判定結果に応じて基準信号に対し進みの時間差を持つ信号または基準信号に対し遅れの時間差を持つ信号を反転した信号を、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す信号として2次側回路に出力する2次側制御回路を備えてよい。
【0026】
制御回路の少なくとも一部は、プログラマブルデバイスまたはプロセッサによって実現されてよい。
【0027】
電力変換装置は、2次側回路の出力側に接続され、2次側回路の出力端の電流を検出する電流センサを備えてよい。制御回路は、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対する2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、電流センサにより検出された電流の極性に応じて切り替えてよい。
【0028】
電力変換装置は、2次側回路の出力側に接続され、2次側回路の出力電圧を平滑化する平滑回路を備えてよい。電力変換装置は、平滑回路の出力端の電流を検出する電流センサを備えてよい。制御回路は、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対する2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、電流センサにより検出された電流の極性に応じて切り替えてよい。
【0029】
電力変換装置は、2次側回路の出力側に接続され、2次側回路の出力電圧を平滑化する平滑回路を備えてよい。電力変換装置は、平滑回路の出力端の電圧を検出する電圧センサを備えてよい。制御回路は、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対する2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、電圧センサにより検出された電圧の極性に応じて切り替えてよい。
【0030】
電力変換装置は、直流電源の出力端、または1次側回路の出力端と2次側回路との間の電流を検出する電流センサを備えてよい。制御回路は、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対する2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、電流センサにより検出された電流の極性に応じて切り替えてよい。
【0031】
制御回路は、基準信号に基づいて、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す1次側制御信号を生成する1次側制御回路を備えてよい。制御回路は、電力変換装置の出力目標値を示す外部信号の極性を判定する判定回路を備えてよい。制御回路は、判定回路の判定結果に応じて基準信号に対し進みの時間差または遅れの時間差を持つ信号を、2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを示す信号として2次側回路に出力する2次側制御回路を備えてよい。
【0032】
電力変換装置は、電流センサの出力信号の高周波成分を減衰させるローパスフィルタを備えてよい。制御回路は、ローパスフィルタの出力に基づいて、電流の極性を判定してよい。
【0033】
電力変換装置は、電圧センサの出力信号の高周波成分を減衰させるローパスフィルタを備えてよい。制御回路は、ローパスフィルタの出力に基づいて、電流の極性を判定してよい。
【0034】
制御回路は、直流電源の出力端、1次側回路の出力端、2次側回路の出力端または電力変換装置の出力端の電流の極性を判定するヒステリシスコンパレータを備えてよい。
【0035】
制御回路は、2次側回路の出力端または電力変換装置の出力端の電流の極性を判定するコンパレータを備えてよい。制御回路は、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングにおけるコンパレータの出力に応じて、コンパレータの出力、またはコンパレータの出力の反転を保持する保持回路を備えてよい。制御回路は、保持回路の出力に基づいて、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、保持回路の出力に応じて切り替える2次側制御回路を備えてよい。
【0036】
制御回路は、直流電源の出力端、または1次側回路の出力端の電流の極性を判定するコンパレータを備えてよい。制御回路は、コンパレータの出力を保持する保持回路を備えてよい。制御回路は、保持回路の出力に基づいて、1次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングに対して2次側スイッチ素子の導通状態の切り替えタイミングを進めるか遅らせるかを、保持回路の出力に応じて切り替える2次側制御回路を備えてよい。
【0037】
2次側回路は、1次側回路の出力が入力される1次巻線と、2次側スイッチ素子に接続された2次巻線と、1以上の3次巻線と、を備えるトランスを備えてよい。2次側回路は、1以上の3次巻線と、1以上の3次巻線に接続された1以上の整流回路とにより形成された1以上の電源回路を備えてよい。
【0038】
電力変換装置は、1以上の電源回路のうちの少なくとも1つから供給される電力で動作する制御回路、または1次側スイッチ素子および2次側スイッチ素子の少なくとも1つを駆動するドライバを備えてよい。
【0039】
電力変換装置は、1以上の電源回路のうちの少なくとも1つから供給される電力で動作する上記の電流センサを備えてよい。
【0040】
電力変換装置は、1以上の電源回路のうちの少なくとも1つから供給される電力で動作する上記の電圧センサを備えてよい。
【0041】
上記の電力変換装置によれば、従来の電力変換装置にくらべ、電力損失の低減やスイッチングノイズの低減という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】第1の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す図である。
図2】1次側回路の動作の様子を示す図である。
図3】1次側回路において、デッドタイムを設けるための回路の一例と、その入出力関係を示す図である。
図4】1次側回路と2次側回路が接続された状態での動作を示す図である。
図5】基準信号と、2次側回路のスイッチ素子を制御する制御信号との関係を示す図である。
図6】1次側回路の出力電圧、2次側回路のスイッチ素子のオン/オフの状態と、2次側回路の出力電圧の関係を示す図である。
図7A】時間差Tが進みの場合の、2次側回路の出力電圧波形の代表的なデューティ比と2次側回路の出力電圧との関係を示す図である。
図7B】時間差Tが遅れの場合の、2次側回路の出力電圧波形の代表的なデューティ比と2次側回路の出力電圧との関係を示す図である。
図8】2次側回路の出力電圧が、平滑回路を通して出力電圧として負荷に出力される様子を示す図である。
図9】平滑回路の出力側にモータなどの誘導性の負荷や、充電手段などを接続した例である。
図10】2次側回路と平滑回路の間に流れる電流の極性と、直流電源の電流の向きの関係を示す図である。
図11】1次側回路の出力における電流の極性等に対する直流電源の電流の向きを示す図である。
図12A】1次側回路の制御信号が遷移する前後での、電源電流状態が充電から放電に遷移する場合の直流電源の電流の向きに関係する電流の経路を示す図である。
図12B】1次側回路の制御信号が遷移する前後での、電源電流状態が充電から放電に遷移する場合の直流電源の電流の向きに関係する電流の経路を示す図である。
図12C】1次側回路の制御信号が遷移する前後での、電源電流状態が放電から充電に遷移する場合の直流電源の電流の向きに関係する電流の経路を示す図である。
図12D】1次側回路の制御信号が遷移する前後での、電源電流状態が放電から充電に遷移する場合の直流電源の電流の向きに関係する電流の経路を示す図である。
図13】直流電源の電流の向きが放電となるか充電となるかについてまとめた図である。
図14】トランスの1次側の励磁インダクタを含めた1次側回路の等価回路を示す図である。
図15A】制御信号のデューティ比が0.5以外の場合で、時間差が進みの場合の例を示す図である。
図15B】制御信号のデューティ比が0.5以外の場合で、時間差が遅れの場合の例を示す図である。
図16A】1次側回路と2次側回路の制御信号のデューティ比が異なる場合で、時間差が進みの場合の例を示す図である。
図16B】1次側回路と2次側回路の制御信号のデューティ比が異なる場合で、時間差が遅れの場合の例を示す図である。
図17A】第2の実施の形態に係る、制御回路についての別の構成例を示す図である。
図17B】第2の実施の形態に係る、制御回路についての別の構成例を示す図である。
図17C】第2の実施の形態に係る、制御回路についての別の構成例を示す図である。
図18】2次側回路と平滑回路の間に流れる電流の極性と直流電源の電流の向きの関係を示す図である。
図19】第3の実施の形態に係る、判定回路についての構成の一例を示す図である。
図20】平滑回路を中心とした、各部の電圧、電流の様子を示す図である。
図21】代表的な2次側回路の出力電圧波形のデューティ比と、2次側回路の出力電圧および2次側回路出力電流の波形の一例を示す図である。
図22】判定回路のコンパレータに出力を保持する手段を追加した例を示す図である。
図23】第4の実施の形態に係る、電流センサと判定回路の間にローパスフィルタを配置した構成の例を示す図である。
図24】電流センサを、平滑回路の出力電流を検出するように構成した例を示す図である。
図25】負荷の出力に電圧センサを構成した例を示す図である。
図26】電流センサを、直流電源8の出力端に構成した例を示す図である。
図27】電流センサを、直流電源8の出力端に構成した例における判定回路の構成例を示す図である。
図28】電流センサを、1次側回路と2次側回路の間に構成した例を示す図である。
図29】電流センサを、1次側回路と2次側回路の間に構成した例における判定回路の構成例を示す図である。
図30】第5の実施の形態に係る、1次側回路の構成としてハーフブリッジ型の例を示す図である。
図31A】1次側回路の構成としてフルブリッジ型の例を示す図である。
図31B】1次側回路の構成としてフルブリッジ型の例を示す図である。
図32】第6の実施の形態に係る、双方向性スイッチ素子の具体例を示す図である。
図33】第7の実施の形態に係る、双方向性スイッチ素子により構成される、2次側回路の例を示す図である。
図34A】スイッチ素子により構成される、2次側回路の例を示す図である。
図34B】スイッチ素子により構成される、2次側回路の例を示す図である。
図34C】スイッチ素子により構成される、2次側回路の例を示す図である。
図34D】スイッチ素子により構成される、2次側回路の例を示す図である。
図35】トランスTの2次側が単巻で構成される、2次側回路の例を示す図である。
図36】第8の実施の形態に係る、絶縁された直流電源を追加する実施の形態の例を示す図である。
図37A】時間差Tを進みとした場合の1次側回路の出力電流と出力電圧の実測例を示す図である。
図37B】時間差Tを遅れとした場合の1次側回路の出力電流と出力電圧の実測例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
〔第1の実施の形態〕 (基本的な構成例による全体の説明)
第1の実施の形態は、1次側回路のスイッチ素子のオン/オフ制御に対する2次側回路のスイッチ素子のオン/オフ制御を、遅れ、進みの2通りの時間差のいずれで行うかを、電力変換装置内の電流の方向に基づいて切り替える、電力変換装置の一例である。このような構成により、電力損失およびスイッチングノイズが低減される、という効果が得られる。
【0044】
図1から図16Bに、第1の実施の形態に係る電力変換装置の例を示す。
【0045】
図1は、第1の実施の形態に係る電力変換装置100の全体の構成の一例を示している。図2は1次側回路10の動作の様子を示しており、図3は、1次側回路10において、デッドタイムを設けるためのデッドタイム生成回路110の一例と、その入出力関係を示している。図4は、1次側回路10と2次側回路20が接続された状態での動作の様子を示している。
【0046】
図5は、基準信号と、2次側回路20のスイッチ素子を制御する制御信号との関係を示している。図6は、1次側回路10の出力電圧、2次側回路20のスイッチ素子のオン/オフの状態と、2次側回路20の出力電圧の関係を示している。図7Aおよび図7Bは、2次側回路20の出力電圧波形の代表的なデューティ比と2次側回路20の出力電圧V2との関係を示している。
【0047】
図8は、2次側回路20の出力電圧が、平滑回路30を通して出力電圧として負荷9に出力される様子を示している。図9は、平滑回路30の出力側にモータなどの誘導性の負荷や、充電手段などを接続した例を示している。
【0048】
図10は、2次側回路20と平滑回路30の間に流れる電流の極性と、直流電源8の電流の向きの関係を示している。図11は、1次側回路10の出力における電流の極性に対する直流電源8の電流の向きを示している。図12A図12B図12C、および図12Dは、1次側回路10の制御信号が遷移する前後での直流電源8の電流の向きに関係する電流の経路を示している。図13は、直流電源8の電流の向きが放電となるか充電となるかを示している。
【0049】
図14は、トランスの1次側の励磁インダクタを含めた1次側回路10の等価回路を示している。図15Aおよび図15Bは、制御信号のデューティ比が0.5以外の場合で、時間差Tが進みと遅れの場合の例を示している。図16Aおよび図16Bは、1次側回路10と2次側回路20の制御信号のデューティ比が異なる場合で、時間差が進みと遅れの場合を示している。
【0050】
図1は、直流電源8、1次側回路10、2次側回路20、平滑回路30、負荷9および制御回路40からなる、第1の実施の形態に係る電力変換装置100の構成の一例を示している。以下にそれぞれの回路の概要を説明する。
【0051】
1次側回路10は、両端の電位差をVDDとする直流電源8が入力され、その直流電源8の電圧を、直流電源8の両極に直列に接続された2つのスイッチ素子であるスイッチ素子S1HiおよびS1Loのオン/オフによりデューティ比がDの矩形波の電圧として出力する回路である。なお、基準信号のデューティ比Dは、後述するトランスTで交流電圧として伝達することから、概0.5とすることが一般的である。しかし、取りうる値としては少なくとも0より大きく1より小さい値とすれば、交流成分が含まれるため、トランスTのコアが磁気的に飽和するまで、入力に直流電圧が印加され続けないという条件のもとで、動作は可能である。以下では、簡潔な説明のため、個別に考慮する必要がある場合を除き、このデューティ比Dを0.5であるとした説明を行う。しかし、後述するようにD=0.5に限定するものではない。
【0052】
スイッチ素子S1Hiに対して並列にダイオード素子D1Hiが、また、スイッチ素子S1Loに対して並列にダイオード素子D1Loが、図1の1次側回路10内に示されるように接続され、1次側回路10の出力の一端となる。ここで、直流電源8の負極側を基準電位としたときの、この1次側回路10の出力の一端の電位をV1Hiとする。また、直流電源8の両端に直列になるように、静電容量値C1Hiの静電容量素子16aと静電容量値C1Loの静電容量素子16bも配置され、2つの静電容量素子16aおよび静電容量素子16b同士が接続される部位を、1次側回路10の電圧出力のもう一端となる。この部位の、直流電源8の負極側を基準電位とする電位をV1Loとする。そして、V1Loを基準電位とするV1Hiの電位をV1とする。
【0053】
1次側回路10の2つのスイッチ素子S1HiおよびS1Loは、オン/オフを切り替えるための制御信号を入力する端子を有し、1次側ドライバDrvS1からの制御信号により、オン/オフの状態が制御される。1次側ドライバDrvS1は、1次側制御信号SigS1に応じて、互いに異なる電位間にある2つのスイッチ素子S1HiおよびS1Loの制御信号を生成する回路である。これらのスイッチ素子のオン/オフの制御は、制御回路40で生成される制御信号SigS1に基づき、1次側ドライバDrvS1を介して行われる。
【0054】
また、1次側回路10から2次側回路20に流れる電流を、図1中に示すようにi1とする。
【0055】
2次側回路20は、1次側回路10の出力電圧V1が入力され、トランスTを介して絶縁され、スイッチ素子S2HiおよびS2Loのオン/オフにより、同じ符号か反転した符号のいずれかの2次側回路20の出力電圧V2として出力する部分である。説明の便宜上、トランスTの1次側も含めた形で2次側回路20としている。2次側回路20のスイッチ素子の制御は、制御回路40で生成される制御信号SigS2に基づき、2次側ドライバDrvS2を介して行われる。なお、便宜上、2次側回路20の2つの出力端それぞれの電位を、図1に記載したようにV2HiおよびV2Loとしており、このことよりV2=V2Hi-V2Loと表わせる。なお、V2HiおよびV2Loに対する基準電位は、必要があればその都度定めることとし、特に具体的な部位を基準電位としては定めない。
【0056】
また、2次側回路20から平滑回路30に流れる電流を、図1中に示すようにi2とする。
【0057】
平滑回路30は、インダクタ素子31と、必要に応じて配置される静電容量素子32により構成され、2次側回路20の出力電圧V2が入力され、2次側回路20の出力電圧V2の高周波成分を除去して、直流電圧成分である出力電圧V3を出力として得る回路である。平滑回路30の静電容量素子32は、省略可能である。そのことを示すため、平滑回路30を示す図面中では、静電容量素子32に〔〕を付記する。なお、便宜上、平滑回路30の2つの出力端それぞれの電位を、図1に記載したようにV3HiおよびV3Loとして定めており、このことよりV3=V3Hi-V3Loと表わせる。なお、V3HiおよびV3Loに対する基準電位は、必要があればその都度定めることとし、特に具体的な部位を基準電位としては定めない。
【0058】
また、平滑回路30から負荷9に流れる電流を、図1中に示すようにi3とする。
【0059】
制御回路40は、出力目標値Viに応じた、1次側回路10のスイッチ素子を制御する制御信号SigS1および2次側回路20のスイッチ素子を制御する制御信号SigS2を生成し、それぞれの回路を制御する回路である。
【0060】
この制御回路40内を、3つの回路に分割した例として、(A)1次側制御回路41、(B)2次側制御回路42、(C)判定回路43としてそれぞれの説明をする。なお、これら3つの回路への分割の例は、簡潔な説明のための便宜上であり、各回路の分割位置や、3つの回路への分割である、ということを限定するものではない。
【0061】
(A)1次側制御回路41は、基準信号を基に、1次側回路10のスイッチ素子のオン/オフを制御するための制御信号SigS1を生成し、1次側ドライバDrvS1に対して出力する回路である。ここで、基準信号は、周期Tを持ちデューティ比Dのロジック信号である。基準信号の周期Tの下限は、主に、使用されるスイッチ素子のオン/オフの切替に要する応答時間に応じて決まる。電力変換装置100を含むスイッチング電源装置では、周期Tとして、数百μsから数百ns程度、周波数で表わすと数kHzから数MHz程度の範囲で使用されるのが一般的である。
【0062】
また、Dはデューティ比であり、動作上基準信号の周期Tの内でロジックレベルが切り替わる必要があり、少なくとも0よりも大きく、1未満である。実使用上は、例えばこのデューティ比Dは0.5であり、本実施の形態の例における説明はD=0.5として行うが、個別の動作上の制約がある場合を除き、D=0.5に限定するものではない。
【0063】
本実施の形態では、1次側制御回路41の出力である制御信号SigS1として、基準信号をそのまま用いた例を示している。
【0064】
(B)2次側制御回路42は、2次側回路20のスイッチ素子のオン/オフを制御するための制御信号SigS2を生成し、2次側ドライバDrvS2に対して出力する回路である。
【0065】
まず、入力として出力目標値Viがある。この出力目標値Viは、本実施の形態において、平滑回路30の出力電圧値V3を制御する信号である。例として、V3に比例する信号であり、この例による比例係数をAとすると、定常状態における動作時、V3=A・Viである。簡潔な説明のため、出力目標値Viは、平滑回路30の出力電圧V3に比例した信号として説明を行う。しかし、例えばViとV3との関係を、定数項を持つ1次関数の関係や、さらに一般化して1対1対応がつけられる関数関係を持たせて設計することも可能である。
【0066】
次に、2次側制御回路42内では、三角波が生成され、コンパレータCOMP1およびCOMP2は、三角波の出力と、出力目標値Viおよび反転回路AMP1でViの符号を反転した信号である-Viをそれぞれ比較して、大小関係の判定結果を出力する。
【0067】
三角波生成手段108は、基準信号と同じ周期Tで同期した、基準信号の立ち上がりおよび立ち下がり部分に、その振幅の上限および下限を有する波形を生成する手段である。基準信号の立ち上がりと三角波の上限が、また基準信号の立ち下がりと三角波の下限が概一致するように同期され、図1の2次側制御回路42内における、基準信号と三角波との間に記載した「同期」は、このような関係を表わしている。
【0068】
このような同期関係において、コンパレータCOMP1の出力は、基準信号の立ち上がりに対して、出力目標値Viに応じた時間差を持って進み方向で立ち上がり、遅れ方向で立ち下がるロジック信号となる。ここでの時間差をTとする。また、コンパレータCOMP2の出力は、基準信号の立ち下がりに対して、出力目標値Viに応じた時間差Tを持って進み方向で立ち上がり、遅れ方向で立ち下がるロジック信号となる。
【0069】
これらの関係を持つコンパレータCOMP1の出力およびコンパレータCOMP2の出力は、その後段に配置された進み信号生成回路101および遅れ信号生成回路102に入力される。
【0070】
進み信号生成回路101および遅れ信号生成回路102は、それぞれ、コンパレータCOMP1およびCOMP2の出力の立ち上がりまたは立ち下がりに応じて、出力Xのロジック信号をセットまたはリセットする回路である。
【0071】
ロジック信号の立ち上がりおよび立ち下がりに応じて出力が遷移するロジック回路は、例えばRSフリップフロップなどの基本的な論理回路を組み合わせることで設計可能であり、具体的な構成についての詳細は省略する。
【0072】
進み信号生成回路101の出力SigS2leadおよび遅れ信号生成回路102の出力SigS2lagは、切替手段SW1に入力され、判定回路43の出力である判定信号に応じて、いずれか一方が選択され、2次側制御信号SigS2として出力される。
【0073】
(C)判定回路43としては、コンパレータCOMP3により構成する例を示している。2次側回路20の出力に配置された電流センサCTが検知する電流i2に応じた信号Signが、コンパレータCOMP3の入力の一方に入力される。そして、基準電位に対する信号Signとの大小関係を比較し、判定信号Selとして出力する。この判定信号Selが、例えば、電流i2に応じた信号Signが正であれば+、負であれば-のようにロジック信号として電流i2の向きと対応付けられた出力となる。この判定信号Selにより、2次側制御回路42の切替手段SW1により出力として選択される2次側制御信号SigS2を切り替える。切替手段SW1は、例えば、ロジックレベルで動作するセレクタ、ロジック回路の組み合わせやアナログスイッチによって構成することが可能である。具体的な構成についての詳細は省略する。
【0074】
なお、ここでロジック信号を扱う構成の例を挙げたが、ロジック信号を扱う構成の部位の少なくとも一部を、例えば、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPU(Central Processing Unit)などのプログラマブルデバイスまたはプロセッサを用いて、HDL(Hardware Description Language)や各種コンピュータ言語によるプログラムによって実現することも可能である。
【0075】
1次側回路10のスイッチ素子を制御する制御信号SigS1および2次側回路20のスイッチ素子を制御する制御信号SigS2は、制御回路40で生成され出力される2つの制御信号である。これら2つの制御信号も、いずれも基準信号の周期Tと同期し、同じ周期Tを持ち、デューティ比Dの信号である。
【0076】
図1に示した構成例においては、制御信号SigS1は、基準信号が出力されている。これに対して制御信号SigS2は、基準信号の立ち上がりおよび立ち下がりを基準として、進み、または遅れのいずれかの時間差Tを持って立ち上がりおよび立ち下がりを持つ信号が出力される。そして、その時間差Tは、出力目標値Viに応じた値を持つように制御される。この時間差Tは、負の値を用いないこととし、時間軸方向での考察が必要な場合は、進み、または遅れで表現することとする。その前提で、Tの値として下限は0であり、上限は、D・Tまたは(1-D)・Tのうち大きくない方までが、動作上意味を持つ値となる。この時間差Tの上限をTDMaxとする。例えば、D=0.5の場合、「D・Tまたは(1-D)・Tのうち大きくない方」であるTDMaxは、0.5・Tである。
【0077】
出力目標値Viに直流電圧を与えて出力電圧を一定に制御すれば、DC/DCコンバータとしての動作となる。またViに交流電圧を与えて、基準信号の周期Tに対して、例えば数倍以上のような時間変化をする出力電圧とすれば、DC/ACインバータとしての動作となる。
【0078】
例えばDC/ACインバータとしては、基準信号の周期T=100μs(周波数10kHz)に対し、平滑回路30の出力電圧V3として50Hzや60Hzの周波数を持つ正弦波を出力し、商用電源を模擬する電源装置のような用途がある。
【0079】
ただし、これらの時間や周波数は例示であり、電力変換装置100の用途や使用範囲を限定するものではない。
【0080】
図1のように、平滑回路30の出力側に負荷9として抵抗体、モータの力行動作状態などの、電力を消費する負荷が接続されている場合は、出力電流i3は出力電圧V3と同じ方向(V3Hi、V3Loのうち電位が高い方から流れ出す方向、電力変換装置100から見て力行)に流れる。
【0081】
電力変換装置100はまた、負荷9として、モータなどの誘導性の負荷の回生動作状態や、蓄電池に充電を行う充電装置、太陽光インバータなどとした場合に、平滑回路30の出力電流i3を平滑回路30の出力電圧V3に対し流し込む方向の動作(V3Hi、V3Loのうち電位が高い方から流し込む方向、電力変換装置100に対して回生)として動作させることも可能な、双方向性の電力変換装置である。
【0082】
さらに、本実施の形態は、負荷9として、商用交流電源を接続し、直流電源8としての蓄電池に充電する動作(DC/ACインバータの回生動作)も含めることが可能である。
【0083】
図2は、1次側回路10の動作の様子を示している。
【0084】
図2(A)はスイッチ素子S1Hiをオン、S1Loをオフとした状態を表わしており、図2(B)はスイッチ素子S1Hiをオフ、S1Loをオンとした状態を表わしている。
【0085】
なお、本明細書および添付の図面においては、スイッチ素子のS1Hi、S1Loなどに用いられるHi、Loと区別するために、一般的にHiおよびLoで称されるロジック信号の2つの状態を、+および-を用いて表わすこととする。また、それぞれ使用される際に、並列にダイオード素子が図中に示した向きに設けられた状態で用いられるスイッチ素子とする。このスイッチ素子は、並列に設けられるダイオード素子に対して逆方向の電流に対するオン/オフが可能なスイッチである。その一方で、並列に設けられているダイオード素子に対して順方向となる向きの電流は、オン/オフの制御ができる必要は、必ずしもない。ただし、そのような場合にオン/オフ制御ができても構わない。言い換えると、1次側回路10の構成の例で用いているスイッチ素子は、オンの際に流したい電流の向きで流せる必要があり、その方向を順方向とした場合、オフの際に順方向の電流を遮断できる必要はあるが、必ずしも逆方向の電流を遮断できる必要はない。
【0086】
このようなスイッチ素子を、図2中のスイッチの記号で表わし、ダイオード素子の向きも図2に示した向きに揃えることとする。即ち、図2のスイッチ記号中のオフ時に切れる側と、ダイオード素子のカソード側が接続される方向である。
【0087】
例えば、スイッチ素子の構成として、MOS-FET、J-FET、バイポーラトランジスタ、IGBT、SiCデバイス、GaNトランジスタ等の一方向性スイッチ素子にダイオード素子を並列に設けられた構成例が挙げられる。また、Nチャンネル素子やNPN素子に代えてPチャンネル素子やPNP素子を用いたり、混在させたりすることもできる。
【0088】
さらに、スイッチ素子に並列に設けられたダイオード素子は、スイッチ素子自体に内蔵されているダイオードや寄生ダイオードも含んでおり、この場合はダイオード素子を別途取り付ける必要はない。このようなスイッチ素子を用いれば、実装面積やコストを減少させることができる。
【0089】
図2(C)は、制御信号SigS1を+と-で交互に遷移する場合を表わした図であり、スイッチ素子S1HiおよびS1Loのオン/オフが交互に遷移することで、1次側回路10の出力電圧V1(=V1Hi-V1Lo)として、±VDD/2の矩形波の出力電圧が得られる様子を示している。
【0090】
なお、ここで「矩形波」とは、スイッチ素子によるオン/オフにより出力される段差を持った波形をも表わす用語とし、本明細書においては、理想的な矩形波だけでなく、広い意味で用いることとする。例えば、回路中の寄生静電容量成分、寄生インダクタ成分などによる波形の立ち上がりや立ち下がり部分にオーバーシュートやリンギングを持つ波形も矩形波に含む。また、理想的な矩形波においては振幅一定の平坦部にあたる部分に、静電容量素子やインダクタ素子へのエネルギーの供給や消費などにより生じる傾斜を持つような波形も含めて、矩形波と表記することとする。
【0091】
トランスTは、トランスTの1次側を含めて2次側回路20としてまとめているが、トランスTが1次側回路10にないことが本質ではなく、簡潔な説明を行う目的で、便宜上区切っている。回路構成上は、1次側にトランスTを配置しても、もちろん構わず、信号の流れを保持できる限りにおいて、どこからどこまでをそれぞれの回路に含めるかは、任意である。
【0092】
図1の構成例は、SigS1として基準信号をそのまま用いた例であり、基準信号は、周期Tでデューティ比Dのロジック信号である。そのため、この場合、図2(C)で示す1次側回路10の出力電圧V1は、周期T、デューティ比Dの矩形波となる。
【0093】
1次側回路10は、直流電圧がVDDの直流電源8からデューティ比Dの矩形波状の電圧を出力する回路である。まず、1次側回路10について、このような矩形波状の電圧を得る動作の説明をする。なお、簡潔な説明のため、ここではデューティ比Dは0.5としており、D≠0.5の場合は後述する。
【0094】
1次側回路10の2つのスイッチ素子S1HiおよびS1Loは、直流電源8の両極に直列に配置され、いずれか一方をオンすることにより、V1Hiの電圧は、直流電源8の正負いずれかの端子電圧になるように接続されている。
【0095】
特に、デューティ比Dが0.5であれば、V1Loは、直流電源8の電圧VDDが1/2に分圧された状態と近似できる。
【0096】
第1の実施の形態の例では、説明を簡潔にするため、静電容量素子16aおよび静電容量素子16bの静電容量値がC1Hi=C1Loである場合の説明としている。なお、本実施の形態は、静電容量素子16aおよび静電容量素子16bの静電容量値がC1Hi=C1Loの場合に限定したものではなく、C1Hi≠C1Loの場合の構成例については、後述する第5の実施の形態で説明を行う。
【0097】
1次側ドライバDrvS1はスイッチ素子用のドライバであり、制御回路40からのロジック信号SigS1に基づいて、異なる電位にある1次側回路10のスイッチ素子それぞれのオン/オフを制御する信号を生成する。
【0098】
制御回路40で生成されたロジック信号SigS1が+のとき、1次側ドライバDrvS1は、スイッチ素子S1Hiの制御信号SigS1Hiによりスイッチ素子S1Hiをオンに制御し、スイッチ素子S1Loの制御信号SigS1Loによりスイッチ素子S1Loをオフに制御する。
【0099】
また、ロジック信号SigS1が-のとき、1次側ドライバDrvS1は、スイッチ素子S1Hiの制御信号SigS1Hiによりスイッチ素子S1Hiをオフに制御し、スイッチ素子S1Loの制御信号SigS1Loによりスイッチ素子S1Loをオンに制御する。
【0100】
なお、2つのスイッチ素子S1HiおよびS1Loは、直流電源8と直列に接続されているため、両者が同時にオンすると、直流電源8の両極が短絡され2つのスイッチ素子S1HiおよびS1Loを通じて貫通電流が生じ、スイッチ素子などの損傷の原因となる。
【0101】
例えば半導体スイッチなどの現実の素子では、スイッチ素子のオン/オフの遷移に要する時間を0にはできないことから、貫通電流が生じうる。このことを避けるため、2つのスイッチ素子のオン/オフの状態が遷移する際に、デッドタイムと称する、一旦2つのスイッチ素子ともオフとなる期間を設けている。これによって、貫通電流が流れないよう、確実に一方がオフしてからもう一方をオンにする、という制御が行われる。
【0102】
図3は、1次側回路10のスイッチ素子の制御信号にデッドタイムを設けるためのデッドタイム生成回路110の一例を示している。AND1およびAND2は、それぞれ2入力のANDゲート、INV1は反転ゲートである。抵抗値R1の抵抗素子111および静電容量値C1の静電容量素子112による時定数に応じた時間、SigS1Hiの立ち上がりがSigS1に対して遅延する。同様に、抵抗値R2の抵抗素子113および静電容量値C2の静電容量素子114に応じた時間、SigS1Hiの立ち下がりがSigS1に対して遅延する。図3中の四角の点線で囲った部分に、デッドタイムの様子を示す。
【0103】
このような構成により、SigS1Hiは、SigS1との立ち上がり部分や立ち下がり部分にデッドタイムを設けつつ、それ以外の区間では、SigS1HiはSigS1と同じロジックで動作し、SigS1Loは、SigS1と反転したロジックで動作する。
【0104】
例示したデッドタイム生成回路110は、抵抗素子と静電容量素子による時定数を利用した回路であるが、タイマICを用いたり、PLD、FPGA、CPUなどのプログラマブルデバイスまたはプロセッサを用い、カウンタで時間を計測するような構成により信号の立ち上がりや立ち下がりを管理しデッドタイムを設けることも可能である。
【0105】
SigS1HiおよびSigS1Loのデューティ比を、Dで表わすこととする。
【0106】
デッドタイム中、SigS1HiおよびSigS1Loが同時にオフにはなる期間があるものの、ダイオード素子D1HiまたはD1Loが導通することにより、いずれか一方のスイッチ素子がオンしているのとほぼ同じ回路の状態となるため、1次側回路10の出力電圧V1のデューティ比はD1ではなくDと考える方が適当である。
【0107】
なお、デッドタイム生成回路110の時定数や、使用するスイッチ素子のオン/オフの遷移に必要な時間に対してDの値が小さいと、出力電圧V2の矩形波は出力パルスが消失しうる。そのため、Dや時定数を、必要な出力電圧V1が出力されるように選択する必要がある。例えば、D・Tおよび(1-D)・Tが、デッドタイム生成回路110の時定数よりも大きくなるようしておくとよい。実際の回路におけるDの上限および下限は、ロジック回路の入力側のしきい値やノイズマージン、時定数を決める抵抗素子111および抵抗素子113の抵抗値や静電容量素子112および静電容量素子114の静電容量値のばらつきなどによっても左右される。そのため、Dを上限や下限にできるだけ近い値で使用する場合は、出力電圧V1の矩形波をオシロスコープなどで確認しながら、抵抗素子111および抵抗素子113の抵抗値や静電容量素子112および静電容量素子114の静電容量値を調整するようにしてもよい。
【0108】
また、デッドタイムが長いと、前述したダイオード素子D1HiまたはD1Loが導通している時間が長くなり、導通したダイオード素子に発生する持ち電圧に基づく電力損失が生じる時間が長くなる。そのため、使用するスイッチ素子のオフからオン、またはオンからオフに遷移する時間以上で、なるべく短い時間であることが、導通したダイオード素子による電力損失を減らすことになるので望ましい。
【0109】
また、デッドタイム生成回路110は、説明の便宜上1次側ドライバDrvS1内に設ける形で説明しているが、制御回路40側にあっても構わない。さらに、1次側ドライバDrvS1自体が、制御回路40側に配置し、スイッチ素子S1HiおよびS1Loの制御信号を制御回路40から2本、1次側回路10に出力する形でも構わない。2次側ドライバDrvS2についても同様に、制御回路40側に配置しても構わない。
【0110】
本明細書の説明では、実施の形態の本質を損なわない範囲でできるだけ簡潔な説明とするため、特にデッドタイム固有の状態を考慮する場合を除き、原則として、SigS1Hiは、SigS1と同じロジックで動作し、SigS1Loは、SigS1と反転したロジックで動作するものとして扱う。
【0111】
図4は、図2で生成された矩形波の電圧波形である1次側回路10の出力電圧V1が2次側回路20に入力され、トランスTとスイッチ素子S2HiまたはS2Loを介して2次側回路20の出力電圧V2として出力される様子を示している。
【0112】
なお、この2次側回路20はトランスTの1次側も含んでいるが、便宜上、トランスTの1次側も含めて2次側回路20と称することとする。
【0113】
また、スイッチ素子S2HiおよびS2Loは、オンのときは双方向に電流を同じように流せるスイッチ素子であり、また、オフのときは、どちら向きの電流も同じように遮断することができる特性を有するスイッチ素子である。このようなスイッチ素子を、1次側回路10において説明したスイッチ素子と区別し、以下、「双方向性スイッチ素子」と表記する。第1の実施の形態の構成例において、双方向性スイッチ素子S2HiおよびS2Loは、1次側回路10のスイッチ素子S1HiおよびS1Loと異なり、一方向に電流が流れ得る構成とするためのダイオード素子を並列には設けない。一方、1次側回路10で使用しているスイッチ素子S1HiおよびS1Loには、並列にダイオード素子を図示した方向に取り付ける前提で、双方向性スイッチ素子を用いてもよい。
【0114】
本明細書に添付の図中では、双方向性スイッチ素子を、図4でS2HiやS2Loのスイッチ素子として使用している記号で表わす。
【0115】
この例示におけるトランスTは、1次側巻線w1の巻線数をN1、2次側の2つの巻線w21およびw22の巻線数を2つともN2とするトランスである。
【0116】
2次側回路20は、異なる電位にあるスイッチ素子のオン/オフ制御を行う2次側ドライバDrvS2を有し、ロジック信号SigS2により、双方向性スイッチ素子S2HiおよびS2Loのうち、一方がオフのときもう一方がオンとなるように制御される。
【0117】
トランスTの1次側に1次側回路10の出力電圧V1が入力される。
【0118】
トランスTの2次側は、巻線w21およびw22が2つ直列で接続され、その接続点が出力V2Loとして出力の一端とされる。そして、V2LoからみたV2Hiの電位である2次側回路20の出力電圧V2は、双方向性スイッチ素子S2HiおよびS2Loのいずれがオンになるかにより、以下のようになる。ここで、m=N2/N1である。
・双方向性スイッチ素子S2Hiのみをオン:V2= m・V1 (図4(A))
・双方向性スイッチ素子S2Loのみをオン:V2=-m・V1 (図4(B))
特にN1=N2であれば、m=1であり、
・双方向性スイッチ素子S2Hiのみをオン:V2= V1 (図4(A))
・双方向性スイッチ素子S2Loのみをオン:V2=-V1 (図4(B))
となる。
【0119】
すなわち、2次側回路20の2つの双方向性スイッチ素子であるS2HiおよびS2Loのうちのいずれか一方をオン、他方をオフにする。そのようにすることにより、1次側回路10の出力電圧V1をm倍された電圧を2次側回路20の出力電圧V2として出力するか、符号を反転して2次側回路20の出力電圧V2として出力するかを制御する。
【0120】
なお、トランスTの1次側の巻線w1の巻線数N1とトランスTの2次側の巻線w21およびw22の巻線数N2の影響は、以下の2点に現れるのみである。その2点とは、1次側回路10の出力電圧V1と2次側回路20の出力電圧V2との比率(V2=m・V1など)、および1次側回路10の出力電流i1と2次側回路20の出力電流i2との比率(i2=i1/m など)である。
【0121】
さらに、2次側の巻線w21およびw22の巻き数をそれぞれN21およびN22として、N21≠N22とすることも可能である。そのようにした場合、V2LoからみたV2Hiの電位である2次側回路20の出力電圧V2は、双方向性スイッチ素子S2HiおよびS2Loのいずれがオンになるかにより、以下のようになる。ここで、m1=N21/N1、m2=N22/N1である。
・双方向性スイッチ素子S2Hiのみをオン:V2= m1・V1
・双方向性スイッチ素子S2Loのみをオン:V2=-m2・V1
【0122】
以下では、簡潔な説明となるよう、N1=N2かつN21=N22=N2の場合としての説明を行う。ただし、N1≠N2や、N21≠N22であっても本実施の形態の本質は変わらず、N1≠N2やN21≠N22であるトランスTの場合での設計も可能である。
【0123】
2次側回路20の双方向性スイッチ素子のオン/オフ制御も、基準信号に同期したデューティ比0.5のロジック信号SigS2により行う。ただし、このSigS2は、基準信号に対し、出力目標値Viに応じて基準信号の立ち上がりに対して時間差Tを有するロジック信号である。
【0124】
この時間差Tは、基準信号の立ち上がりに対して、進み方向および遅れ方向の2通りの時間差の設け方がある。本実施の形態では、図1に示した進み信号生成回路101によって進み方向に時間差Tを持つ制御信号SigS2leadを生成すると共に、遅れ信号生成回路102によって遅れ方向に時間差Tを持つ制御信号SigS2lagを生成している。そして制御信号SigS2leadとSigS2lagを、切替手段SW1で切り替えて使用している。
【0125】
図5は、図1の基準信号と、進み信号生成回路101が生成する2次側スイッチの制御信号SigS2lead、遅れ信号生成回路102が生成する2次側スイッチの制御信号SigS2lagとの関係を示している。
【0126】
図1の制御回路40中の2次側制御回路42や、図5に波形として示した三角波は、基準信号と同じ周期Tで同期しており、基準信号の立ち上がりおよび立ち下がり部分に、三角波の振幅の上限および下限を有している。
【0127】
この三角波の電圧値と、出力目標値Viが、コンパレータCOMP1で比較される。また、この三角波の電圧値と、出力目標値ViをAMP1により反転した-Viが、コンパレータCOMP2で比較される。
【0128】
三角波の振幅の上限および下限は各々、基準信号の立ち上がりおよび立ち下がり部分に対応している。このため、コンパレータCOMP1の出力は、基準信号の立ち上がりに対して、出力目標値Viに応じた時間差を持って進み方向で立ち上がり、遅れ方向で立ち下がるロジック信号となる。ここでの時間差をTとする。また、コンパレータCOMP2の出力は、基準信号の立ち下がりに対して、出力目標値Viに応じた時間差Tを持って進み方向で立ち上がり、遅れ方向で立ち下がるロジック信号となる。
【0129】
そのため、基準信号に対して進みの時間差Tを持つロジック信号SigS2leadは、以下の条件で+と-を持つロジック信号とすればよい。
【0130】
・コンパレータCOMP1の出力の立ち上がりからコンパレータCOMP2の出力の立ち上がりまでが+となる。
・コンパレータCOMP2の出力の立ち上がりからコンパレータCOMP1の出力の立ち上がりまでが-となる。
同様に、基準信号に対して遅れの時間差Tを持つロジック信号SigS2lagは、以下の条件で+と-を持つロジック信号とすればよい。
・コンパレータCOMP1の出力の立ち下がりからコンパレータCOMP2の出力の立ち下がりまでが+となる。
・コンパレータCOMP2の出力の立ち下がりからコンパレータCOMP1の出力の立ち下がりまでが-となる。
【0131】
なお、ここでは、基準信号に対して時間差Tの進みや遅れを持つロジック信号を生成する例を挙げたが、その他の実現手段として、以下のような構成もある。
【0132】
例えば、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)やCPU(Central Processing Unit)などのプログラマブルデバイスやプロセッサを用いて、デジタル数値データとしての出力目標値Viに対し時間差Tを演算処理によって算出する。その算出された数値に応じて基準信号に対してクロック信号をカウントする、などの手段により、基準信号に対し所望の時間差を持つロジック信号を生成することもできる。
【0133】
また、基準信号が、周期Tの周期信号であることから、T-Tの遅れの形でも進みと同等の信号が得られる。基準信号のデューティ比Dが0.5であることから、基準信号の立ち下がりから(T/2)-Tの時間をカウントして立ち上がり、そのT/2後に立ち下がるようにする、という形でも同等の信号が得られる。
【0134】
図6(A)(B)は、このようにして得られる2つの制御信号SigS2leadおよびSigS2lagそれぞれにより、2次側回路20の双方向性スイッチ素子S2HiおよびS2Loを制御する様子を示している。より詳しくは、V1として、最大値が+VDD/2、最小値が-VDD/2(m=1の場合に相当)である場合の、2次側回路20の双方向性スイッチ素子のオン/オフの状態と、2次側回路20の出力電圧V2の波形を示している。
【0135】
ここで、時間差T(ただし、0≦T≦(D・T)とする。)および基準信号の周期Tに対し、2次側回路20の出力V2の電圧波形のデューティ比Dを以下のように定義する。
=1-T/(T/2)
=1-2・T/T
・・・式(1)
【0136】
このとき、2つの制御信号SigS2leadおよびSigS2lagのいずれを制御信号SigS2として用いて制御した場合でも、2次側回路20の出力電圧V2は±VDD/2の振幅、基準信号の1/2の周期(=T/2、周波数で表現すると2倍)で、デューティ比がDの矩形波となることがわかる。
【0137】
図7Aおよび図7Bは、それぞれ図6(A)および図6(B)に対応する、代表的な2次側回路20の出力電圧V2の電圧波形のデューティ比D(0から1まで1/4刻み)に対する、2つの制御信号SigS2leadおよびSigS2lagそれぞれで制御した場合の2次側回路20の出力電圧V2との関係の具体的な例を示している。
【0138】
図7Aは、制御信号SigS2にSigS2leadを用いた場合(Tの時間差を進み方向に取った場合)であり、図7Bは、制御信号SigS2にSigS2lagを用いた場合(Tの時間差を遅れ方向に取った場合)である。
【0139】
図7Aおよび図7Bともに、時間差Tが進みか遅れかによらず、2次側回路20の出力電圧V2の電圧波形のデューティ比Dが同じになっている様子が確認できる。
【0140】
図7Aの場合、2次側回路20の出力電圧V2の立ち上がりに1次側回路10の出力電圧V1の立ち上がりおよび立ち下がりが常に揃う形で、2次側回路20の出力電圧V2の電圧波形のデューティ比Dが変化している。これに対して、図7Bの場合、2次側回路20の出力電圧V2の立ち下がりに1次側回路10の出力電圧V1の立ち上がりおよび立ち下がりが常に揃う形で、2次側回路20の出力電圧V2の電圧波形のデューティ比Dが変化する、という違いがみられる。
【0141】
図8は、この2次側回路20の出力電圧V2が平滑回路30を通して、平滑回路30の出力電圧V3として負荷9に出力される様子を示している。
【0142】
平滑回路30に入力される、2次側回路20の出力電圧V2およびそのデューティ比Dと、平滑回路30の出力電圧V3との関係を以下に説明する。
【0143】
平滑回路30に静電容量素子32が含まれる場合、インダクタンス値がLoutのインダクタ素子31と静電容量値がCoutの静電容量素子32により2次のローパスフィルタが構成され、このローパスフィルタの出力に負荷9が接続される。そして、そのローパスフィルタのインダクタンス値Loutおよび静電容量値Coutは、カットオフ周波数がスイッチング周波数(=1/T)より低くなるように選択する。2次のローパスフィルタは、カットオフ周波数以上の周波数領域では、-40dB/decの傾斜に漸近する減衰特性を持つ。そのため、スイッチング周波数やその高調波成分がカットオフ周波数より高い周波数成分としておくことで、これらを減衰させることができる。
【0144】
応答速度が許容できる範囲で、スイッチング周波数よりもカットオフ周波数を十分に低い周波数、例えば数分の一よりも低い周波数とするのが好ましい。
【0145】
平滑回路30に静電容量素子32が含まれない場合でも、負荷9が抵抗負荷であれば、インダクタ素子31と負荷9により形成される1次のローパスフィルタとして動作する。その場合、ローパスフィルタのカットオフ周波数以上における周波数領域では、-20dB/decの傾斜に漸近する減衰特性となり、カットオフ周波数より高い周波数成分を減衰させることができる。
【0146】
なお、平滑回路30の出力電圧V3には、ローパスフィルタの減衰量の周波数特性に応じたリップル成分が残留し、完全な直流電圧となるわけではない。しかし、説明を簡潔にするため、本明細書においては、特に断らない限り、平滑回路30の出力電圧V3や出力電流i3は、基準信号の周期Tのオーダーでの時間変動は無視し、直流的にふるまうものとして扱う。
【0147】
また、電力変換装置100が備える各素子の寄生成分、例えばインダクタ素子やトランスの巻線抵抗成分、端子間静電容量成分、コア材の透磁率の非線形性や、静電容量素子の誘電体損失など、電力変換装置100の動作を把握する上で、定性的、定量的な影響が小さく、理想的な素子として近似できる場合を想定する。そして、この想定に基づき、説明を簡潔にするため、理想素子と考えた近似で扱うものとする。つまり、定性的または定量的に実施の形態に関する必要がある要素以外、理想素子と仮定した説明となるが、例えば、理想素子からずれる要因となるような、例えば、インダクタ素子の巻線抵抗成分などが存在しない、あるいは、してはいけないということではない。
【0148】
この平滑回路30の入力に前述の2次側回路20の出力電圧V2を入力すると、カットオフ周波数以上の周波数成分が除去され、定常状態であればV2の平均値である直流成分が平滑回路30の出力電圧V3として出力される。2次側回路20の出力電圧V2が、±VDD/2の振幅で、デューティ比がDの矩形波であるから、この定常状態における平均値である電圧V3AVEは、以下の式(2)で表わせる。
【数1】
【0149】
具体例として、D=1でV3AVE=+VDD/2、D=0.5でV3AVE=0、D=0でV3AVE=-VDD/2となる。
【0150】
そして、例えば、負荷9が抵抗値Rの抵抗素子であれば、負荷9に流れる電流である平滑回路30の出力電流i3は、V3AVE/Rとなる。
【0151】
なお、平滑回路30のインダクタ素子31は、図8(A)で示す形だけでなく、例えば図8(B)のようなインダクタ素子31aおよびインダクタ素子31bを備える構成でもよい。Lout1+Lout2=Loutであれば、電位がV2Loの部位とV3Loの部位間に電位差が生じ得ることを除けば、図8(A)の構成と図8(B)の構成は同じように用いることができる。
【0152】
図9は、平滑回路30の出力側にモータなどの誘導性負荷や、直流電源8として接続された蓄電池に対して負荷側から充電を行う充電装置などを接続した例である。ここで、図には示していないが、誘導性負荷は負荷自体にインダクタ成分が含まれるため、そのような場合には、平滑回路30を含まずに電力変換装置として使用することも可能である。
また、負荷9の部分に商用交流電源を接続し、出力電圧V3の電位を出力目標値Viの入力側にフィードバックし、出力目標値を商用交流電源に追随する制御を行うような例も考えられる。この場合、平滑回路30のインダクタ素子31を介することにより、商用交流電源から直流電源8への充電を行う構成とすることもできる。
【0153】
負荷9として抵抗体などの、電力を消費する負荷が接続されている場合は、出力電流i3は出力電圧V3と同じ方向(V3Hi、V3Loのうち電位が高い方から流れ出す方向、電力変換装置100から見て力行)に流れる。
【0154】
負荷9として、モータなどの誘導性の負荷、直流電源8として接続された蓄電池に対して負荷側から充電を行うための充電装置や太陽光インバータなどが接続されている場合は、出力電流i3を出力電圧V3に対し流し込む方向の動作(V3Hi、V3Loのうち電位が高い方から流し込む方向、電力変換装置100に対して回生)とすることも可能である。
【0155】
平滑回路30の出力側に、定電流源を接続した場合を考える。
【0156】
出力電圧V3が一定の定常状態では、この電流源によりLoutに定電流が流れ、電流は一定のため、Loutでの電圧降下はない。ここで、SigS2のデューティ比をDで表わすこととする。この電流は、2次側回路20のトランスTの2次側にあたるスイッチ素子S2HiおよびS2Loによってデューティ比Dの矩形波電流に変換され、トランスTの2次側から1次側に伝達される。
【0157】
この電流は、時間差Tにて1次側のスイッチ素子S1HiおよびS1Loによりデューティ比Dで極性が切り替えられる。
【0158】
直流電源8の電圧VDDの1次側回路10および2次側回路20における時間差Tによるスイッチ素子のオン/オフ状態と同様の過程により、定電流源から直流電源8側に流れ込む電流も、デューティ比Dの電流となる。これらの話の流れは力行の場合とほぼ重複するため、詳細は省略する。
【0159】
本構成の1次側回路10で使用するスイッチ素子、2次側回路20で使用する双方向性スイッチ素子、トランスT、また、平滑回路30のインダクタ素子31などは、双方向に電流を流せる素子で構成されているため、電圧の向きとは無関係に動作させることが可能である。この場合、本電力変換装置100が、出力目標値Viに基づく出力電圧として平滑回路30の出力V3を電圧出力し、回路に流れる電流は、平均電流として、平滑回路30の出力側から回生され、1次側回路10の直流電源8に充電される。
【0160】
図10は、2次側回路20と平滑回路30の間に流れる電流i2の極性と、直流電源8の電流の向きの関係を示している。直流電源8の電流の向き(放電か充電か)を、以下「電源電流状態」とし、電源電流状態が放電、電源電流状態が充電、のように表わす。
【0161】
トランスTの1次巻線および2つの2次巻線と、双方向性スイッチ素子S2HiおよびS2Loとの接続の関係から、以下のことが言える。すなわち、2次側回路20の出力電流i2の極性に対してSigS2が+のときは、図10(A)のように、1次側回路10の出力電流i1の極性が+になる。また、2次側回路20の出力電流i2の極性に対してSigS2が-のときは、図10(B)のように、1次側回路10の電流i1の極性が-となる。各電流の向きは、具体的には、それぞれ図10(A)や図10(B)中に、矢印で付記した向きである。
【0162】
図11は、1次側回路10の出力における電流i1の極性に対し、1次側回路10の制御信号SigS1に応じたスイッチ素子S1HiおよびS1Loのオン/オフの状態における、電源電流状態を示したものである。
【0163】
なお、電流i1=0の場合の扱いは、必要に応じ設計事項として、放電か充電かいずれかの状態に適宜含めればよい。
【0164】
2つの制御信号SigS1およびSigS2それぞれの遷移に応じて、図11に挙げた4つの状態間を遷移し、その遷移の仕方は、以下である。
・SigS1の遷移によって、(放-Hi)と(充-Lo)との間、あるいは(放-Lo)と(充-Hi)との間を、図11の斜め方向に遷移する。(i1の極性が保たれたまま、直流電源8と1次側回路出力との接続の極性が反転する。)
・SigS2の遷移によって、(放-Hi)と(充-Hi)との間、あるいは(放-Lo)と(充-Lo)との間を、図11の横方向に遷移する。(1次側回路10のスイッチ素子の状態は変わらず、電流i1の極性が変わる。)
【0165】
例えば、図11の(放-Hi)の状態(SigS1:+)から、SigS1が-に遷移する場合、1次側回路10の出力における電流i1の極性は変わらず、直流電源8の極性とi1との関係が変わるという遷移となる。すなわち、この場合、(放-Hi)から(充-Lo)への遷移となる。
【0166】
また、同じく図11の(放-Hi)の状態(SigS1:+)で、SigS2の極性が反転した場合、電流i1が反転する。すなわち、(放-Hi)から(充-Hi)へ遷移する。
【0167】
図12A図12B図12C、および図12Dは、1次側回路10の制御信号SigS1が遷移(+から-、または-から+)する前後での、電源電流状態に関係する電流の経路を、図3およびその説明で述べたデッドタイムの期間も含めて示している。
【0168】
なお、これら4つの図中に点線で示した電流は、ダイオード素子D1HiまたはD1Loに流れている電流であることを示す。
【0169】
図12Aは、図11における(充-Hi)から(放-Lo)への遷移の様子を示している。SigS1の遷移によって、電源電流状態が充電から放電に遷移する場合の1形態である。
【0170】
遷移前は、電源電流状態が充電で、1次側回路10の制御信号SigS1が+、すなわちスイッチ素子S1Hiがオン、S1Loがオフの状態である。この状態では、スイッチ素子S1Loはオフしており、またダイオード素子D1Loには逆方向電圧が印加されている状態であるから、スイッチ素子S1Loおよびダイオード素子D1Loが並列に設けられている端子間の静電容量に対し電荷が蓄積された状態となる。このように電荷が蓄積されている箇所を示すため、図中では+Qと-Qとして表している。
【0171】
この状態から、1次側回路10の制御信号SigS1が-に遷移する際、図3およびその説明で挙げたデッドタイムがあり、スイッチ素子S1HiおよびS1Loの両方のスイッチ素子がオフになる期間が存在する。
【0172】
スイッチ素子S1HiおよびS1Loの両方のスイッチ素子がオフすることにより、元々S1Hiを流れていた電流の経路が遮断される。その際に発生するトランスTの誘起電圧により、(充-Hi')の点線で示したような電流経路でi1が流れる。
【0173】
デッドタイム経過後、1次側回路10の制御信号SigS1が-であることからスイッチ素子S1Loがオンする。この際、ダイオードD1Hiの順方向電流が急激に遮断されることによるリカバリ損とそれに伴う大きな電磁ノイズがダイオードD1Hiにおいて発生し、かつD1Loに蓄積されていたQの電荷は、図12Aの(放-Lo)において、スイッチ素子S1Loとダイオード素子D1Loで形成される閉回路を流れることで、その静電エネルギーが消費される。具体的には、スイッチ素子S1Loに流れる電流とスイッチ素子S1Loが持つオン抵抗や、ダイオード素子D1Loの順方向電圧と、それらに流れる電流による熱エネルギーとしての消費が挙げられる。また、その急変する電流が、オンしたスイッチ素子S1Loとダイオード素子D1Loで構成される閉回路を流れることにより、その閉回路の閉曲面に対し垂直方向に磁束が発生する。そのことは、電場の変化を誘起する、すなわち、このことにより電磁波が発生する。すなわち電力変換装置のスイッチングノイズの発生源ともなる。
【0174】
図12Bは、図11における(充-Lo)から(放-Hi)への遷移の様子を示している。
【0175】
遷移前の状態と遷移後の状態で、スイッチ素子のオン/オフや1次側回路10の電流i1の極性が、図12Aと逆であるが、図12Aと同様の過程となる。すなわち、スイッチ素子S1Hiがオンした際に、ダイオードD1Loの順方向電流が急激に遮断されることによるリカバリ損とそれに伴う大きな電磁ノイズがダイオードD1Loにおいて発生し、かつ、スイッチ素子S1Loおよびダイオード素子D1Loが並列に設けられている端子間に蓄積されていた電荷は、スイッチ素子S1Loとダイオード素子D1Loで形成される閉回路を流れる。そのことにより、その静電エネルギーが、熱やスイッチングノイズとして消費される。
【0176】
図12Cは、図11における(放-Hi)から(充-Lo)への遷移の様子を示している。SigS1の遷移によって、電源電流状態が放電から充電に遷移する場合の1形態である。
【0177】
この場合、スイッチ素子S1Hiがオン、かつ1次側回路10の電流i1の極性が+の状態で、スイッチ素子S1Loおよびダイオード素子D1Loが並列に設けられている端子間の静電容量に電荷が蓄積された状態となる。
【0178】
この状態で1次側回路10の制御信号SigS1が+から-に遷移すると、デッドタイムの期間にスイッチ素子S1HiおよびS1Loの両方ともオフとなる。このとき、トランスTの誘起電圧により、V1がVDDからほぼ0V(0Vよりダイオード素子D1Loの順方向電圧分低い電圧)まで変化し、ダイオード素子D1Loが導通する。ダイオード素子D1Loが導通することで、(充-Lo')の点線で示したような電流経路でi1が流れ、電源電流状態が充電に変わる。そしてS1Loがオンすることで(充-Lo)の状態となり遷移が完了する。
【0179】
この際、図12Aおよび図12Bの場合と異なり、ダイオードD1Hiによるリカバリ損は発生せず、かつスイッチ素子S1Loおよびダイオード素子D1Loによる閉回路は生じず、蓄積された電荷による静電エネルギーは、充電電流の一部となる。このため、蓄積された電荷による静電エネルギーは、熱やスイッチングノイズとして消費されることがない。
【0180】
図12Dは、図11における(放-Lo)から(充-Hi)への遷移の様子を示している。SigS1の遷移によって電源電流状態が放電から充電に遷移する場合の1形態で、その点では図12Cと同様である。
【0181】
遷移前の状態と遷移後の状態で、スイッチ素子S1HiおよびS1Loのオン/オフや1次側回路10の電流i1の極性が、図12Cと逆であるが、図12Cと同様の過程となる。すなわち、スイッチ素子S1Hiおよびダイオード素子D1Hiが並列に設けられている端子間の静電容量に蓄積された電荷による静電エネルギーは、充電電流の一部となる。そして、スイッチ素子S1Hiおよびダイオード素子D1Hiによる閉回路で、静電エネルギーが消費されることがなく、ダイオードD1Loによるリカバリ損も発生しない。
【0182】
図12A図12Bでは、1次側回路10の制御信号SigS1の遷移(+から-、または-から+)の際に、電源電流状態が充電から放電に遷移しており、順方向電流が流れていたダイオードのハードスイッチングによるリカバリ損や、オフしていたダイオードに蓄えられた静電エネルギーが熱やノイズとして消費される。これに対して図12C図12Dでは、1次側回路10の制御信号SigS1の遷移の際に、順方向電流が流れていたダイオードの端子電圧が急変しないソフトスイッチングによりリカバリ損が発生せず、また、電源電流状態が放電から充電に遷移しており、スイッチ素子S1Hiおよびダイオード素子D1Hiまたはスイッチ素子S1Loおよびダイオード素子D1Loの端子間に蓄積された電荷による静電エネルギーは充電電流の一部となる。即ち、1次側回路10の制御信号SigS1の遷移の際に、電源電流状態が放電から充電に遷移するようにすることで、電力損失を減らすことができる。
【0183】
(SigS1、SigS2lead、SigS2lagに対する電源電流状態)
図13は、図12A図12B図12Cおよび図12Dで挙げた4通りの遷移の過程において、SigS1、SigS2lead、SigS2lagに対し、電源電流状態が放電となるか充電となるかについて示している。図13(1)SigS1は、1次側回路10の制御信号SigS1が、基準信号の周期Tで+と-を交互に出力する様子を表わす。
【0184】
図13(2)のSigS2leadは、2次側回路20の制御信号SigS2として、基準信号の周期Tとの時間差Tが進みである制御信号SigS2leadを用いている場合の、SigS1を基準にした出力の様子を示している。
【0185】
図13(3)のi2の極性と電源電流状態の関係は、図13(1)のSigS1で1次側回路10が制御され、図13(2)のSigS2leadで2次側回路20が制御された場合の、2次側回路20の出力電流i2の極性に対する電源電流状態が、放電と充電のいずれになるかを示している。図13(3-1)は、2次側回路20の出力電流i2の極性が+の場合、図13(3-2)は、2次側回路20の出力電流i2の極性が-の場合である。
言い換えると、図13(2)、図13(3)、図13(3-1)、図13(3-2)は、2次側回路20の制御信号SigS2として、制御信号SigS1の周期Tとの時間差Tが進みである2次側回路20の制御信号SigS2leadを用いている場合の、SigS1を基準にした出力の様子を表わしている。
【0186】
一例として図13(3-1)は、下記(1)のような繰り返しを示している。
図11左下:(放-Lo)から、図11右下:(充-Lo)に遷移
図11右下:(充-Lo)から、図11左上:(放-Hi)に遷移、即ち図12B
図11左上:(放-Hi)から、図11右上:(充-Hi)に遷移
図11右上:(充-Hi)から、図11左下:(放-Lo)に遷移、即ち図12A
【0187】
図13(2')、図13(3')、図13(3'-1)、図13(3'-2)は、2次側回路20の制御信号SigS2として、制御信号SigS1の周期Tとの時間差Tが遅れである2次側回路20の制御信号SigS2lagを用いている場合の、SigS1を基準にした出力の様子を表わしている。
【0188】
これら図13(3)および図13(3')の中で、「充電」および「放電」の表記の下の()内に、+または-の符号を3つ並べて記述している。これらの符号は、左から順番に、1番目が図13(1)の1次側回路10の制御信号SigS1の符号を表わし、2番目が図13(2)の2次側回路20の制御信号SigS2leadの符号を表わし、3番目が図13(3)の2次側回路20の出力電流i2の極性の符号を表わす。これら3つの符号のうち、負号(-)の数が偶数(0個か2個)であれば電源電流状態は放電となり、奇数(1個か3個)であれば電源電流状態は充電となる。
【0189】
この表により、電源電流状態が、スイッチ素子S1Hi、S1Lo、S2HiおよびS2Loの制御と2次側回路20の出力電流i2の状態に応じて、どのように遷移するかが一覧できる。その中で、SigS1の状態が変化する前後で、電源電流状態が放電から充電に変化している部分を枠で囲ってあり、図13(3-2)および図13(3'-1)の場合が該当する。これらの変化では、電力損失の低減およびスイッチングノイズの低減の効果が得られる。
【0190】
図13(3-2)は、i2の極性が-で、2次側回路20の制御信号SigS2としてSigS2leadを使用した場合であり、図13(3'-1)は、i2の極性が+で、2次側回路20の制御信号SigS2としてSigS2lagを使用した場合である。
【0191】
前述の図6図7Aおよび図7Bなどに係る説明でも述べたように、時間差Tが進み、遅れのいずれであっても、平滑回路30の出力電圧V3は同じとなる。
【0192】
そして、図1に示したように、2次側回路20の制御電流i2の極性に応じて、その極性が-であればTを進みにし、その極性が+であればTを遅れにすることで、SigS1の遷移前後における電源電流状態が放電から充電に遷移するようにできる。そして、このことにより、電力損失の低減およびスイッチングノイズの低減の効果が得られる。
【0193】
以上では、SigS1のデューティ比DやSigS2のデューティ比Dが、ともに0.5として、実施の形態の本質が分かりやすいよう、簡潔な説明を行った。しかしながら、以下で説明するように、D、Dいずれも、必ずしも0.5でなくともよい。そのことについて、簡単に説明を加える。
【0194】
図14は、トランスTの1次側の励磁インダクタを含めた1次側回路の等価回路を示している。トランスTに直流電圧を印加し続けると、コアが磁気飽和してトランスとして機能しなくなるため、トランスTに直流電圧が印加され続けないようにすることが必要である。
【0195】
出力電圧V1の一方の電位V1Hiは、直流電源8の負極の電位を基準電位として0とすると、スイッチ素子S1HiおよびS1Loの交互のオン/オフにより、VDDと0を交互に出力する矩形波の電圧出力として表わせる。そのため、図14(A)矩形波発生器の要素として簡略化して記載している。
【0196】
ここで、図14(B)のように、1次側回路10とトランスTの1次側の励磁インダクタを直流的に考えた場合、励磁インダクタは短絡と等価であり、また、静電容量素子16aおよび静電容量素子16bは開放と等価である。また、矩形波発生器は、直流的に考えた場合、直流成分を出力する直流電圧源と等価である。1次側回路の出力電圧V1の直流電圧(1周期の時間平均)を<V1>で表わすと、V1Hi=V1Lo=<V1>となる。つまり、1次側回路10の2つの出力端子の電位であるV1HiとV1Loは、直流的な電位としては、等しくなる。
【0197】
次に、図14(C)のように、交流等価回路を考える。このとき、直流電源8は短絡とみなせ、矩形波発生器は、その直流電圧分<V1>を差し引いた、V1-<V1>の交流成分のみの出力を行う矩形波発生器とみなせる。このとき、静電容量素子16aおよび静電容量素子16bの容量リアクタンスが矩形波の周波数で短絡とみなせるような静電容量値であれば、直流電源8の負極の電位を0として、交流等価回路を考えていることから、V1Loの電位は、(ほぼ)0となる。また、V1Hiは、矩形波発生器の出力と同電位であるから、交流的にはV1-<V1>である。つまり、1次側回路10に少なくとも一方の静電容量素子があれば、直流等価回路による考察と、交流等価回路による考察を合わせて考えると、1次側回路10の出力電圧は、矩形波の交流成分のみがトランスTの1次側に印加されるといえる。
【0198】
つまり、1次側回路10に静電容量素子があることにより、デューティ比Dが0.5でなくても、スイッチ素子S1HiおよびS1Loのオン/オフにより生成された矩形波の電圧出力は、その交流成分のみが、トランスTの1次側に印加される動作となる。
【0199】
なお、ここでの考察から、1次側回路10の静電容量素子16aおよび静電容量素子16bの2つの静電容量値の比は、定常状態での直流電位を決める役割は持たないことがわかる。そのため、デューティ比Dが0.5であっても、1次側回路10の2つの静電容量素子16aおよび静電容量素子16bの静電容量値C1HiとC1Loが等しい必要がないことは、ここでの考察からもわかる。さらに、図14(B)(C)の等価回路でわかるように、2つの静電容量素子16aおよび静電容量素子16bは、並列に配置されたのと等価であるため、いずれか一方でもよいこともわかる。
【0200】
デューティ比D、Dが0.5でない場合、それでも、その直流電圧成分が0となることから、1次側回路10の出力電圧V1の振幅の上限と下限の絶対値が等しくなくなり、また、時間差に対する出力電圧の関係が変わる。
【0201】
このことを、例を挙げて説明する。
【0202】
図15Aおよび図15Bは、D=D≠0.5の例としてD=D<0.5である場合で、時間差Tが進みの場合を図15Aに、時間差Tが遅れの場合を図15Bに示している。図15Aおよび図15Bは、図7Aおよび図7Bに対応する図である。
【0203】
まず、V1について説明する。デューティ比Dが0.5ではない場合であり、直流成分が0となることから、電圧V1の上限値(正側の電圧値)と下限値(負側の電圧値)の絶対値が、等しくなくなる。
直流成分が0であり、つまり1周期の平均が0ということである。そしてデューティ比がDであるから、正の電圧である区間が全体のD、負の電圧である区間が全体の(1-D)である。これらのことから、電圧V1の上限値(正側の電圧値)は、(1-D)・VDDと表わせ、また下限値(負側の電圧値)は、-D1・VDDと表わせることがわかる。
なお、制御回路において、時間差Tの上限を、〔D・Tと(1-D)・Tのうち大きくない方〕未満に制限する必要がある。なぜならば、電源電流状態の充放電とi2の向きの対応が成り立たなくなるためである。図15Aおよび図15Bでは、D1<0.5の場合の例であるので、D・Tp未満に制限する必要がある、ということになる。なお、時間差Tの上限がこの値であっても、与えられたDに対して可能な出力範囲は網羅できる。この電圧V3の出力範囲の上限をVMAX、下限をVminとすると、それぞれ以下のように表わせる。
上限VMAX:2・D・(1-D)VDD
下限Vmin:D<0.5の場合 -2・D ・VDD
min:D>0.5の場合 -2・(1-D・VDD
【0204】
図16Aおよび図16Bは、D≠Dの例としてD<Dの場合で、時間差Tが進みの場合を図16Aに、時間差Tが遅れの場合を図16Bに示している。これらも、図7Aおよび図7Bに対応する図である。
図16Aおよび図16Bにおいても、電圧V2の平均値である電圧V3の取りうる上限をVMAX、下限をVminと表わす。
【0205】
デューティ比がDとDで異なる場合、同じ時間差Tであっても、遅れと進みの場合で、出力電圧が変わってくる。例えば、時間差Tを進みの時間差とした例である図16Aでみると、(1)および(2)で示しているように、Tが0から|D-D|・Tまでの間では、電圧V2の平均値である電圧V3は同じ電圧値VMAXのままである。そして、さらに時間差Tを大きくすることで、電圧V3の値をVminからVMAXまでの範囲で制御できるようになっている。
【0206】
対して、時間差Tを遅れの時間差とした例である図16Bでみると、(1)から(4)までで示しているように、Tが0からD・Tまでの間では、電圧V3の値をVminからVMAXまでの範囲で制御できるようになっている。そして、図16Bの(4)および(5)で示しているように、さらに時間差Tを大きくしても、電圧V2の平均値である電圧V3は同じ電圧値VMAXのまま変化しない。
【0207】
そのため、同じ電圧V3となるように時間差Tの遅れと進みを切り替えるに当たり、例えば、進み制御は、D=Dのときの時間差Tに対してTに|D-D|・Tの補正値を加えた形で制御するようにすればよい。
【0208】
時間差Tに関して、上記のように使用可能範囲や設計事項が加わるものの、充放電と損失発生の対応は変わらない。
【0209】
なお、図13におけるSigS1とSigS2との関係は、i2の向きと遷移の前後関係のみで決まっており、デューティ比D、Dの値によって変わる要素はない。そのため、デューティ比D、Dは、いずれも0.5である必要はなく、またこれらが等しい必要もない。
【0210】
デューティ比D、Dが0.5でないときや、これら2つのデューティ比が等しくない構成は、一例として制御回路40を以下のような形にすることで実現できる。即ち、基準信号の立ち上がりに、その振幅の上限を持つ、従来と同様の三角波(三角波1)を用意する。さらにもう一つ、基準信号の立ち下がりに、その振幅の下限を持つ三角波(三角波2)も用意する。デューティ比Dが0.5であれば、上記2つの三角波は重なり、一つで済む。図1図5では、このような三角波が1つで済む場合を例示している。
【0211】
(従来の電力変換装置)
従来の電力変換装置は、i2の極性に応じて、判定回路を通じて2次側制御信号を切り替えるようにした構成は有していない。
【0212】
そのため、従来の電力変換装置では、例えば、抵抗素子の負荷に対し、少なくとも正の出力電圧か負の出力電圧のいずれかで、電力損失やスイッチングノイズが相対的に他方よりも大きくなる状態での動作となる場合がある。
(効果のまとめ)
このように、電力変換装置100において、判定回路43を通じて、i2の極性に応じて2次側制御信号を切り替える構成により、電力損失の低減やスイッチングノイズの低減という効果が得られる。
【0213】
このことは、本実施の形態の従来の電力変換装置に対する優位性を示すものと言える。
【0214】
〔第2の実施の形態〕 (制御回路の変形例)
第2の実施の形態は、制御回路40の別の例である。
【0215】
図17A図17B図17C、および図18に、第2の実施の形態に係る制御回路を示す。
【0216】
図17A図17B、および図17Cは、制御回路40の変形例を示しており、図18は、判定回路43の入力Signが正負それぞれの場合における、2次側回路20と平滑回路30の間に流れる電流i2の極性と電源電流状態の関係を示している。
【0217】
図17A図17B図17C、および図18に基づき、第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、第1の実施の形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0218】
図17Aは、制御回路40の変形の一例としての制御回路40aを示している。
【0219】
判定回路43の入力信号Signの正負により、1次側回路10の制御信号SigS1のロジック信号を、正ならそのまま、負なら基準信号のロジックを反転回路INV2により反転した信号になるよう、切替手段SW2を用いて1次側制御回路41aを構成している。また、2次側回路制御信号SigS2は、進み遅れ信号生成回路103と切替手段SW3を図17Aの2次側制御回路42aのように構成することにより、判定回路43の入力信号Signが正なら基準信号に対して時間差T遅れの信号を選択し、判定回路43の入力信号Signが負なら、基準信号に対して時間差T進みの信号のロジックを反転した信号を選択するようにしている。
【0220】
図18は、判定回路43の入力信号Signが正負それぞれの場合における、i2の極性と電源電流状態の関係を示している。i2の極性が+のときはSignを正に選択し、-のときは負に選択すれば、1次側回路10のスイッチ素子の状態が遷移前後で、電源電流状態が、(充電から放電ではなく、)放電から充電に遷移することがわかる。そして、このように選択することによって、電力損失の低減およびスイッチングノイズの低減の効果が得られる。
【0221】
なお、図17Aで、進み遅れ信号生成回路103と切替手段SW3に、コンパレータCOMP2の出力を反転した例を挙げた。しかしながら、SigS2としては、判定回路43の入力信号Signが正のときに基準信号に対する時間差Tの遅れ信号相当が得られれば良く、また、Signが負のときに時間差Tの進み信号相当に対しロジックを反転する信号が得られる構成であればよい。例えば、制御回路40中の進み信号生成回路101と遅れ信号生成回路102のうちいずれか一方の出力を選択する構成は、ロジックの反転などの軽微な設計変更により、進み遅れ信号生成回路104を用いた構成に変更することも可能である(図17Bの制御回路40b)。
【0222】
また、制御回路40中の進み信号生成回路101と遅れ信号生成回路102を用意したうえで、遅れ信号生成回路102の出力を反転した形(遅れ信号生成回路102a)としてもよい(図17Cの制御回路40cの2次側制御回路42c)。第1の実施の形態の例には、これらのような構成も含む。なお、図17Bにおける進み遅れ信号生成回路104の出力および図17Cにおける遅れ信号生成回路102aに、Xの上にバーを付けた形の出力信号を用いているが、これは図17Aでの進み遅れ信号生成回路103の出力および図1における遅れ信号生成回路102の出力の論理を反転した出力がされることを表わす。
【0223】
また、PLD、FPGA、CPUなどのプログラマブルデバイスまたはプロセッサを用いて、制御回路40a、制御回路40bおよび制御回路40cの少なくとも一部の機能と同等の機能を実現することも可能であり、これ(ら)を構成要素の中に含んだ形で実現しても構わない。
【0224】
第2の実施の形態で挙げた変形例のように、2次側回路20の制御信号SigS2だけでなく、1次側回路10の制御信号SigS1に対しても判定回路43の判定結果Selによる切替を適用することでも、電力損失の低減やスイッチングノイズの低減に有効である。
【0225】
〔第3の実施の形態〕 (判定回路の変形例)
第3の実施の形態は、判定回路43中のコンパレータCOMP3の構成に関する変形例である。
【0226】
図19から図22に、第3の実施の形態に係る判定回路43aや判定回路43bの例、および関連する信号の様子を示している。
【0227】
図19は、判定回路43の変形例としての判定回路43aを示している。図20は、平滑回路30を中心とした、各部の電圧、電流の様子を示しており、図21は、負荷9が抵抗素子である場合の、代表的なデューティ比Dと2次側回路20の出力電圧V2および2次側回路20の出力電流i2の波形の一例を示している。図22は、コンパレータCOMP3の出力を保持する手段を追加した例を示している。
【0228】
図19から図22に基づき、他の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、他の実施の形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0229】
図19は、第3の実施の形態に係る、判定回路43についての変形例としての判定回路43aを示している。判定回路43aは、コンパレータCOMP3の出力を正帰還することにより、ヒステリシス付きのコンパレータとする構成の例である。リップル電流がコンパレータCOMP3のしきい値をまたぐ電流値となるような動作となる場合、判定信号が、基準信号の周期よりも短い間隔で切り替わる状態が発生する。コンパレータCOMP3の出力を、抵抗値がそれぞれR3およびR4である2つの抵抗素子で分圧し、コンパレータCOMP3の入力側に正帰還をする構成により判入力信号Signに対して、ヒステリシスを掛けている。なお、図1の判定回路43内のコンパレータCOMP3の部分を置き換える例としての図であるため、出力部分にロジックの反転回路INV2を設けている。このINV2の出力を判定結果Selとして用いればよい。電流センサCTからの信号Signのノイズによる信号比較の結果への影響を低減する効果を持たせることができる。また、ヒステリシス付きのコンパレータも部品として市販もされており、そのようなコンパレータをそのままコンパレータCOMP3として使用してもよい。
【0230】
ここでは、ヒステリシスの幅を設計によって決めて構成する例を挙げる。コンパレータCOMP3に外部回路を追加することで持たせるヒステリシスの好適な幅を求めるため、平滑回路30のインダクタ素子31に流れる電流i2が持つ時間依存性を、以下で検討する。2次側回路20側から負荷9側に向かって流れる向きを、電流の正の向きとする。
【0231】
図20は、平滑回路30を中心とした、各部の電圧および電流の様子を示している。
【0232】
インダクタ素子31の両端に印加される電圧Vは、インダクタ素子31の負荷9側の一端を基準とすると、V2-V3AVEで表わせる。
【0233】
インダクタ素子31に流れる電流i2は、負荷9に流れる電流i3(=平滑回路30の出力電流)と、定常状態におけるインダクタ素子31の両端に印加される電圧V2-V3AVEの時間による積分量に比例する変動分との和である。インダクタ素子31に流れる電流が定常状態のとき、2次側回路20の出力電圧V2の出力波形のデューティ比をDとすると、この変動分の振幅(上限と下限の幅)irplは、以下の形で表わせる。
【数2】
【0234】
図21は、負荷9が抵抗負荷の場合について、2次側回路20の出力電圧波形のデューティ比Dが0から1までを1/4間隔で、2次側回路20の出力電圧V2とインダクタ素子31に流れる電流(2次側回路20の出力電流)i2の様子を示している。
ただし、図21で、定数として、以下を用いる。
【数3】
【数4】
i3は、Rの抵抗負荷に対する最大電流を表わす。また、iM_rplは、式(3)で、D=1/2としたときのリップル電流の振幅irplの値であり、最大のリップル電流の振幅を表わす。
【0235】
定常状態でのインダクタ素子31に流れる電流i2は、平滑回路30の出力電流i3を平均値(直流分)とし、リップル振幅はD=1/2で最大振幅のリップルを持つ電流となる。
【0236】
このリップル分によるT/2以下の短時間での判定結果の変動を抑止するためには、COMP3のヒステリシス電流幅ihysが、リップルの最大値iM_rplよりも大きくなるようにすればよい。ヒステリシス電流幅ihysは、電流センサCTの利得(電流電圧変換比)と、コンパレータCOMP3の2値の出力電圧レベルに基づき、2つの抵抗の抵抗値R3、R4を選定することにより決めることができる。具体的な定数設計の詳細は省略する。
【0237】
このリップルの最大値iM_rplは、平滑回路30のローパスフィルタのカットオフ周波数以上の周波数の信号が全て除去される場合の近似である。この近似の元で、リップル電流の振幅は、基準信号の周期T、直流電源8の電圧VDDおよび平滑回路30のインダクタ素子31のインダクタンス値Loutで決まり、負荷には依存しない。リップル電流が負荷9に依存しないという性質は、コンパレータのヒステリシス幅を設計する上での有利な特徴といえる。
【0238】
実装に当たっては、負荷9によらず決まる電流値ihysを調整範囲に含む形で、ヒステリシス幅を調整できる構成としてもよい。一例として、図19においてR3、R4のいずれか一方を、固定抵抗と可変抵抗の直列接続にすれば、ヒステリシス幅を調整できる。そして、実器を動作させた状態で、2次側回路20の出力電圧波形のデューティ比Dが0.5、平滑回路30の出力電圧V3が0の状態で、判定結果Selが、i2に含まれるリップル電流に応じてヒステリシス幅の調整を行う。そのように調整すれば、その実器でリップル電流による判定結果Selの反転がない判定回路43aの動作とすることが可能である。
【0239】
図22は、第3の実施の形態に係る判定回路43bに関し、コンパレータCOMP3の出力を保持する手段である保持回路を追加した例を示したものである。
【0240】
コンパレータCOMP3の入力には電流センサCTからの信号Signが接続されており、コンパレータCOMP3の出力を、その出力の状態を保持する手段としてD-FF(D-フリップフロップ)のD入力に接続している。このような構成によって、コンパレータCOMP3の出力を、次にコンパレータCOMP4の出力であるトリガ信号CLによる立ち上がり信号がD-FFのトリガ入力に入力されるまで保持するようにしている。
【0241】
D-FFのトリガ入力に入力されるトリガ信号CLは、この構成例では三角波とコンパレータCOMP4により生成している。そしてD-FFの出力は、判定回路43bの出力Selになっている。
【0242】
三角波の振幅の上限および下限は、基準信号の立ち上がりおよび立ち下がり部分に対応しているため、トリガ信号CLは、基準信号の立ち上がりと立ち下がりの間に立ち上がりおよび立ち下がりを持つ信号となる。1次側回路10のスイッチ素子のオン/オフの遷移は、基準信号の立ち上がりおよび立ち下がりで起こるため、トリガ信号CLの立ち上がりおよび立ち下がりは、1次側回路10のスイッチ素子のオン/オフの遷移と遷移の間となる。
【0243】
なお、コンパレータCOMP4の比較電位は、共通電位である必要はなく、比較される三角波の電圧の上限と下限の間の電位になるように、任意に決めればよい。
【0244】
第3の実施の形態によれば、コンパレータCOMP3を基に生成される判定結果Selの、2次側回路20の出力電流i2のリップル成分による影響を避けることができる。
【0245】
この変形例のように、判定回路43のコンパレータCOMP3に対して、ヒステリシスを設けること、また、基準信号に同期したトリガ信号CLで判定結果を設けることが、リップル電流のもとで安定動作を図るうえで有効である。
【0246】
〔第4の実施の形態〕 (出力電流検出の変形例)
第4の実施の形態は、電流センサCTに関する、電力変換装置の変形例である。
【0247】
図23から図29に、第4の実施の形態に係る電力変換装置200、210、220、230および240、ならびに電力変換装置230および240に係る判定回路の構成例を示している。
【0248】
図23は、電流センサCTと判定回路43の間にローパスフィルタLPFを配置した構成の一例を示している。図24は、電流センサCTを、平滑回路30の出力電流i3を検出するように構成した例を示しており、図25は、負荷9の出力に電圧センサVTを構成した例を示している。図26は、電流センサCTを直流電源8の出力端に構成した例を示しており、図27は、電流センサCTを直流電源8の出力端に構成した例における判定回路43dの構成例を示している。図28は、電流センサCTを示しており、1次側回路10と2次側回路20の間に構成した例を示している。図29は、電流センサCTを示しており、1次側回路10と2次側回路20の間に構成した例における判定回路43eの構成例を示している。
【0249】
図23から図29に基づき、他の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、他の実施の形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0250】
図23は、電流センサCTと判定回路43の間に、ローパスフィルタLPFを配置した電力変換装置200の例を示している。
【0251】
リップル成分の周期はT/2となるため、ローパスフィルタLPFのカットオフ周波数はリップル成分の周波数よりも十分に低く、一例として数分の一とする。これにより、定常状態におけるリップル成分を所望の量以下に減衰させることが可能である。また、リップル成分以外の、外来ノイズの減衰効果も得られる。
【0252】
ローパスフィルタLPFとしては、例えば、抵抗素子と静電容量素子や、インダクタ素子と抵抗素子により構成される1次のローパスフィルタでもよいし、高次のローパスフィルタでもよい。さらに、受動素子のみの構成によるフィルタである必要はなく、アクティブフィルタでもよい。また、電流センサCTの検出信号SignをA/D変換し、デジタルフィルタを用いることも可能である。もちろん、アナログ回路としてのローパスフィルタを通してから、A/D変換をし、さらにデジタルフィルタを用いてもよい。特にデジタルフィルタの場合、移動平均フィルタにて積算区間をT/2、あるいは、この正の整数倍とすれば、リップル成分の持つ周波数成分に対する感度が0となり、リップル成分を除去する目的に対する好適な構成といえる。フィルタに関しては、アナログフィルタ、デジタルフィルタとも、所望のカットオフ周波数を得るフィルタを、減衰量や応答速度などに応じて設計する手法があり、詳細は省略する。
【0253】
図24は、電流センサCTで、2次側回路20の出力電流i2に代えて、平滑回路30の出力電流i3を検出するように構成した電力変換装置210の例を示している。
【0254】
この例では、平滑回路30を図23におけるローパスフィルタLPFとして用いたのと同等の信号が、電流センサCTで検出できる。このことは、次のように考えてもよい。すなわち、例えば基準信号の周期Tの数倍以上の時間で考えるとリップル成分の平均は0となるため、2次側回路20の出力電流i2の平均が、平滑回路30の出力電流i3となる。そのため、平滑回路30の出力電流i3を電流センサCTによる検出信号として用いれば、別途図23およびその説明であげたようなローパスフィルタLPFを設けなくても、2次側回路20の出力電流i2を平均化した信号の検出が可能である。
【0255】
なお、平滑回路30の出力電圧V3は、2次側回路20の出力電圧波形のデューティ比Dの矩形波を平滑回路30により平滑化した電圧であるから、定常状態においても完全な直流とはならない。そのため、平滑回路30の出力電流i3を電流センサCTで検出した信号に対し、さらにローパスフィルタ、COMP3のヒステリシスやD-FFを用いた保持回路を併用してもよい。
【0256】
図25は、負荷9の出力に電圧センサVTを構成した電力変換装置220の例を示している。
【0257】
負荷9が抵抗素子のような抵抗負荷であれば、平滑回路30の出力電流i3は、平滑回路30の出力電圧V3に比例する。そのため、平滑回路30の出力電流i3の代わりに平滑回路30の出力電圧V3を検出しても、平滑回路30の出力電流i3を検出するのと同等の効果が得られる。
【0258】
なお、定常状態における平滑回路30の出力電圧V3は、出力目標値Viの設定に基づいて決まる。そのため、負荷9が抵抗負荷であれば、電流センサCTや電圧センサVTでの検出信号に基づいて判定結果Selを得る代わりに、出力目標値Viの正負に基づいて判定結果Selを生成してもよい。
【0259】
また、さらに簡略化した判定結果Selを生成する手段として、手動の切替スイッチを設けてもよい。例えば、抵抗負荷で、出力目標値Viが決まっているような場合、手動で進みか遅れかを設定できるようにしてあれば、損失の少ない動作を得る目的を果たす手段として十分な使い方もある。
【0260】
図26は、電流センサCTで、直流電源8の出力電流i0を検出するように構成することで、直接、直流電源8の放電か充電の状態を検出する構成例である。
【0261】
図27(A)は、1次側回路10の制御信号SigS1の立ち下がりの遷移に対して、コンパレータCOMP3の出力が+であればJK-FF(JK-フリップフロップ)の出力状態は変化せず、コンパレータCOMP3の出力が-であれば、JK-FFの出力状態が反転する回路の例である。
【0262】
コンパレータCOMP3の出力の+および-は、図26の直流電源8の出力電流i0が、矢印で示した電流の向きに対して、それぞれ正の向きおよび負の向きに電流が流れていることを表わしている。
【0263】
1次側回路10の制御信号SigS1の立ち下がりの直前に、コンパレータCOMP3の出力が+のときは、直流電源8は放電の状態であり、コンパレータCOMP3の出力が-のときは、直流電源8は充電の状態である。
【0264】
制御信号SigS1の立ち下がりの際に直流電源8が充電の状態である場合、すなわちコンパレータCOMP3の出力が-のときに、判定回路の出力Selを反転させる。このように構成することで、制御信号SigS1の遷移の前後で、直流電源8の電源電流状態が放電から充電に遷移するようにすることができる。
【0265】
図27(B)は、1次側回路10の制御信号SigS1の立ち上がりの遷移に対して、コンパレータCOMP3の出力が+であればJK-FFの出力状態は変化せず、コンパレータCOMP3の出力が+であれば、JK-FFの出力状態が反転する判定回路の例である。
【0266】
図27(B)は、図27(A)の例に対し、1次側回路10の制御信号SigS1の立ち上がりの遷移の際に判定を行うように構成した例である。
【0267】
図27(C)は、1次側回路10の制御信号SigS1の立ち上がりおよび立ち下がりの両方の遷移の際に、直流電源8が放電から充電となるように構成した回路である。
【0268】
排他的論理和Ex-OR1の2つの入力に、1次側回路10の制御信号SigS1のおよび、その信号を抵抗素子RJKと静電容量素子CJKによる時定数回路を通過させた信号の2つの信号を入力する。その結果、排他的論理和Ex-OR1の出力は、1次側回路10の制御信号SigS1の立ち上がりおよび立ち下がりの両方のエッジで立ち上がりを持つロジック信号となる。
【0269】
なお、抵抗素子RJKと静電容量素子CJKによる時定数は、例えば1次側回路10の制御信号SigS1の周期の数分の1程度以下となるような構成とすればよい。
【0270】
このような構成により、図27(C)に例として示した判定回路は、1次側回路10の制御信号SigS1の立ち上がりおよび立ち下がりそれぞれの遷移のタイミングで判定回路の出力Selを反転するか否かの判定が行うことができる。
【0271】
これらの例で示すように、直流電源8の出力電流i0の極性に応じて、1次側回路10の制御信号SigS1の遷移時に、直流電源8の出力電流i0の極性が-の場合に判定回路の出力Selを反転することにより、直流電源8は放電から充電となるように制御することができる。
【0272】
図28は、電流センサCTで、1次側回路10の出力電流i1を検出するように構成されている。
【0273】
図29(A)は、1次側回路10の制御信号SigS1の立ち下がりの遷移に対して、コンパレータCOMP3の出力が+であればJK-FFの出力状態は変化せず、コンパレータCOMP3の出力が-であれば、JK-FFの出力状態が反転する回路の例である。
【0274】
コンパレータCOMP3の出力の+および-は、図28の1次側回路10の出力電流i1が、矢印で示した電流の向きに対して、それぞれ正の向きおよび負の向きに電流が流れていることを表わしている。1次側回路10の制御信号SigS1の立ち下がりの直前、すなわち制御信号SigS1が+のとき、直流電源8の正極側は、1次側回路10のスイッチ素子S1Hiのオンにより、1次側回路10の出力の電位をV1Hiで表わしている側と接続されている状態である。
【0275】
1次側回路10の制御信号SigS1の立ち下がりの直前に、コンパレータCOMP3の出力が+のときは、直流電源8は放電の状態であり、コンパレータCOMP3の出力が-のときは、直流電源8は充電の状態である。
【0276】
制御信号SigS1の立ち下がりの際に直流電源8が充電の状態である場合、すなわちコンパレータCOMP3の出力が-のときに、判定回路の出力Selを反転させるように判定回路を構成する。このようにすることで、制御信号SigS1の遷移の前後で、直流電源8の電源電流状態が放電から充電に遷移するようにすることができる。
【0277】
図29(B)は、1次側回路10の制御信号SigS1の立ち上がりの遷移に対して、コンパレータCOMP3の出力が-であればJK-FFの出力状態は変化せず、コンパレータCOMP3の出力が+であれば、JK-FFの出力状態が反転する判定回路の例である。1次側回路10の制御信号SigS1の立ち上がりの直前、すなわち制御信号SigS1が-のとき、直流電源8の負極側は、1次側回路10のスイッチ素子S1Loのオンにより、1次側回路10の出力の電位をV1Hiで表わしている側と接続されている状態である。1次側回路10の制御信号SigS1の立ち上がりの直前に、コンパレータCOMP3の出力が-のときは、直流電源8は放電の状態であり、コンパレータCOMP3の出力が+のときは、直流電源8は充電の状態である。
【0278】
制御信号SigS1の立ち上がりの際に直流電源8が充電の状態である場合、すなわちコンパレータCOMP3の出力が+のときに、判定回路の出力Selを反転させるように判定回路を構成する。このようにすることで、制御信号SigS1の遷移の前後で、直流電源8の電源電流状態が放電から充電に遷移するようにすることができる。
【0279】
図29(C)は、1次側回路10の制御信号SigS1の立ち上がりおよび立ち下がりの両方の遷移の際に、直流電源8が放電から充電となるように構成した回路である。
【0280】
立ち上がりおよび立ち下がりそれぞれの遷移のタイミングで判定回路の出力Selを反転するか否かの判定を行うことができる。
【0281】
なお、図27(A)(B)(C)および図29(A)(B)(C)における判定回路の構成例において、電流センサCTからの信号を、ローパスフィルタLPFを介してコンパレータCOMP3の+側の入力信号Signとしてもよい。また、これら判定回路におけるコンパレータCOMP3として、ヒステリシスコンパレータとしてもよい。
【0282】
〔第5の実施の形態〕 (1次側回路の変形例)
第5の実施の形態は、電力変換装置100の各種の1次側回路10の構成に関する一例である。
【0283】
いずれの構成においても、1次側回路10の出力電圧V1として矩形波状の出力電圧が得られる。
【0284】
図30図31Aおよび図31Bに、第5の実施の形態に係る電力変換装置を示す。
【0285】
図30(A)(B)(C)(D)は、1次側回路10の構成として、ハーフブリッジ型の実施の形態の例を示している。図31Aおよび図31Bは、1次側回路10の構成として、フルブリッジ型の実施の形態の例を示している。
【0286】
図30図31Aおよび図31Bに基づき、他の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、他の実施の形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0287】
図30(A)の1次側回路10aおよび図30(B)の1次側回路10bは、図2で示す第1の実施の形態の例において、1次側回路10に2つ配置していた静電容量素子のうちのいずれか一方のみとした変形例である。
【0288】
静電容量素子の静電容量値は、C1Hi≠C1Loでも可能である旨は、第1の実施の形態における説明の中で述べた。図30(A)や図30(B)は、それら2つの静電容量素子のうちのいずれか一方の静電容量値が0である場合の例と考えることもできる。
【0289】
また、図30(C)の1次側回路10cおよび図30(D)の1次側回路10dは、1次側回路10の直流電源8として、直流電源を2つ使用した変形例である。図30(C)および図30(D)に示すように、直流電源8'は、直列接続される直流電源1および直流電源2を備える。直流電源1の両極間の電圧値をVDD1、直流電源2の両極間の電圧値をVDD2とする。このとき、スイッチ素子S1Hiのみがオンでは、直流電源1の負極側の電位(=直流電源2の正極側の電位)、すなわちV1Loを0として、出力電圧V1Hiの電位はVDD1となる。また、スイッチ素子S1Loのみがオンでは、出力電圧V1Hiの電位は-VDD2となる。これらの形態でも、V1として矩形波が出力される。ただし、図30(D)の形態では、静電容量素子を介さずに電圧を出力していることから、この出力の後段に接続されるトランスTの1次側に直流電圧分の継続的な印加がされないように1次側回路10dのスイッチ素子を制御する必要がある。
【0290】
具体的には、直流電源8'を構成する2つの直流電源1および直流電源2の電圧VDD1、VDD2と1次側回路10dの制御信号のデューティ比D1について、以下の式が成り立つように制御する必要がある。
1:1-D1=VDD2:VDD1
・・・(式6)
【0291】
1次側回路10dのスイッチ素子がオン/オフの際の、電荷の蓄積や放出の過程は、第1の実施の形態での例と同様なため、詳細は省略する。
【0292】
図31Aの1次側回路10eおよび図31Bの1次側回路10fは、1次側回路の構成として、フルブリッジ型の実施の形態の例を示している。
【0293】
2つの静電容量素子16aと静電容量素子16bを含む構成のハーフブリッジ型に対して、フルブリッジ型では、これら2つを各々、スイッチ素子(S1'Hi、S1'Lo)およびダイオード素子(D1'Hi、D1'Lo)の素子対を並列に設けた形に置き換えた構成としている。なお、図31Aに備えている静電容量値をC1Mで表わした静電容量素子は、電位がV1Hiの1次側出力端側ではなく、電位がV1Loの1次側出力端側に備えてもよく、1次側出力の両端に2つ備えてもよい。そして、スイッチ素子S1Hiのオン/オフに合わせてスイッチ素子S1'Loのオン/オフが制御され、また、スイッチ素子S1Loのオン/オフに合わせてスイッチ素子S1'Hiのオン/オフが制御される。デッドタイムについても同様である。図31Aにおいて1次側ドライバDrvS1の出力で四角の点線で囲った部分は、スイッチ素子のオン/オフの状態が同じ状態になる制御信号の組であることを表わす。
【0294】
1次側回路10eおよび1次側回路10fの制御信号SigS1に対する、スイッチ素子S1HiおよびS1Loのオン/オフ制御は、他の実施形態の例と同様であるため、説明は省略する。
【0295】
フルブリッジ型は、直流電源8の両極が、オンしているスイッチ素子を介して正負どちらかの向きで1次側回路10eの出力となる構成である。そのため、第5の実施の形態における例では、V1Loを基準としたV1Hiの電位であるV1は、ハーフブリッジ型の2倍の出力電圧となる。
【0296】
また、図31Bの形態は、図30(D)の場合と同様、静電容量素子を介さずに電圧を出力していることから、この出力の後段に接続されるトランスTの1次側に直流電圧成分の継続的な印加がされないように1次側回路10fのスイッチ素子を制御する必要がある。
【0297】
具体的には、1次側回路10fの制御信号のデューティ比D1を0.5とする必要がある。
【0298】
このように、1次側回路10の出力電圧V1として矩形波状の出力電圧が得られる構成例として、第1の実施の形態の構成とは他の構成例がある。しかし、これらに限定するものではない。
【0299】
〔第6の実施の形態〕 (双方向性スイッチ素子の具体例)
第6の実施の形態は、電力変換装置100のスイッチ素子の構成に関する例である。
【0300】
図32に基づき、他の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、他の実施の形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0301】
図32は、双方向性スイッチ素子の具体例な構成例を示している。
【0302】
双方向性スイッチ素子は、オンの場合に双方向に電流を流すことができ、かつ、オフの際には、どちら向きの電流も遮断できる必要がある。
【0303】
なお、1次側回路10の構成の例で用いているスイッチ素子S1HiおよびS1Loは、オンの際に流したい電流の向きで流せる必要があり、その方向を順方向とした場合、オフの際に順方向の電流を遮断できる必要はあるが、必ずしも逆方向の電流を遮断できる必要はない。
【0304】
そして、このスイッチ素子S1HiおよびS1Loと並列に、順方向電流とは逆の向きにダイオード素子D1HiおよびD1Loを外部に取り付けるか、あるいは等価的にそのようなダイオード素子が内在する素子を、スイッチ素子とダイオード素子が並列に設けられた素子として用いる。このような素子の代表例として、MOS-FETが挙げられる。
【0305】
図32(A)~(E)では、双方向性スイッチ素子に内在するスイッチ素子として、MOS-FETを例示しているが、J-FET、バイポーラトランジスタ、IGBT、SiCデバイス、GaNトランジスタ等、MOS-FET以外のスイッチ素子を使用することができる。また、Nチャンネル素子やNPN素子に代えてPチャンネル素子やPNP素子を用いたり、混在させたりすることもできる。さらに、スイッチ素子に並列にダイオード素子が設けられている場合、この代わりとして、スイッチ素子の内蔵ダイオード(寄生ダイオードを含む)を用いることもでき、実装面積やコストを減少させることができる。
【0306】
図32(A)および図32(B)は、2つのスイッチ素子S5およびS5'を2つ逆向きに直列接続して構成した双方向性スイッチ素子の例を示している。スイッチ素子S5およびS5'には、逆方向電圧が印加された際、逆方向電流が流れることができるように寄生ダイオードや内蔵ダイオードを含んでいてもよい。さらに必要に応じて、スイッチ素子S5およびS5'に並列に、図32(A)および図32(B)において〔〕を付したダイオード素子D5およびD5'が別途接続されていてもよい。
【0307】
一例として、図32(A)において、左側のスイッチ素子S5をオンとし、左から右方向に電流が流れる場合を考える。左側のスイッチ素子S5には、ドレインからソース方向に、いわゆる順方向電流が流れる。右側のスイッチ素子S5'がオフのままでも、右側のスイッチ素子S5'に内蔵されているダイオード素子を経由し、または並列に設けられたダイオード素子D5'を経由して左から右方向に電流が流れる。しかし、右側のスイッチ素子S5'もオンにすれば、右側のスイッチ素子S5'にも左から右方向に電流が流れるため、スイッチング損失を低減することが出来る。
【0308】
この場合、右側のスイッチ素子S5'には、ソースからドレインの方向に、いわゆる逆方向電流が流れることになる。スイッチ素子S5'の電気的特性は、逆方向電流については規定されていない場合が多い。しかし、図示しているMOS-FETや、J-FETの場合は、オン時に双方向に電流を流すことができることが知られている。また、バイポーラトランジスタ、IGBTなどの場合も、一般的に逆方向耐電圧が低いものの、オン時に双方向に電流を流せることが知られている。この実施の形態においては、必要に応じスイッチ素子S5、S5'に並列にダイオードD5、D5'を別途接続することで、スイッチ素子S5、S5'に印加される逆方向電圧を、ダイオード素子D5、D5'の順方向電圧までに抑えることができる。そのため、逆方向耐電圧が低いことによるスイッチ素子の破損などの問題は、スイッチ素子S5、S5'の逆方向耐電圧よりも低い順方向電圧となるダイオード素子をスイッチ素子S5、S5'に並列に別途接続することにより、回避することが可能である。
【0309】
図32(A)および図32(B)において両方のスイッチ素子S5およびS5'がオフしたときは、スイッチ素子S5およびS5'に並列に設けられたダイオード素子D5およびD5'にも電流が流れないので、図の左右両方の電流をオフすることができる。
【0310】
図32(C)および図32(D)は、双方向性スイッチ素子の変形例を示し、各々スイッチ素子S5およびS5'とダイオード素子D5およびD5'の接続の順序を入れ替えたものを示している。
【0311】
なお、直列に接続されているスイッチ素子S5およびS5'とダイオード素子S5およびS5'の組のうちの一方の組のみの接続順序を入れ替えることも可能である。すなわち、図32(C)の上側の組と図32(D)の下側の組を並列にした接続も可能であり、図32(C)の下側の組と図32(D)の上側の組を並列にした接続も可能である。
【0312】
図32(E)は、双方向性スイッチ素子のさらなる構成例である。スイッチ素子S5が1個だけですみ、このスイッチ素子S5をオンするだけで双方向に電流を流すことができるという利点がある。
【0313】
図32(F)は、十分な逆方向耐電圧を有するスイッチ素子S6およびS6'の場合に可能となる変形例を示している。例えば、逆方向耐電圧を有するIGBT(逆阻止IGBT)が存在しており、図32(F)に示す構成で使用することができる。
【0314】
図32(G)は双方向性スイッチ素子S7による構成例である。図32(G)では双方向性IGBTのような図記号を用いて示しているが、バイポーラトランジスタ等の組み合わせにより構成される双方向性スイッチ素子であってもよい。
【0315】
なお、双方向性スイッチ素子は、以上の例示に限らず、どのような素子や構成であっても、双方向の電流をオン/オフ可能であればよく、既述の例に限定されるものではない。
【0316】
このように、スイッチ素子の具体例として挙げられる様々なスイッチ素子を用いて双方向性スイッチ素子を構成でき、電力損失の低減などの効果を得ることができる。
【0317】
〔第7の実施の形態〕 (2次側回路の変形例)
第7の実施の形態は、電力変換装置の2次側回路の構成の変形例である。
【0318】
図33図34A図34B図34C図34D、および図35は、2次側回路の実施の形態の例を示している。
【0319】
図33は、双方向性スイッチ素子により構成される、2次側回路の実施の形態の例を示している。図34A図34B図34C、および図34Dは、スイッチ素子により構成される、2次側回路の実施の形態の例を示している。図35は、トランスTの2次側の巻線w2が単巻で構成される、2次側回路の実施の形態の例を示している。
【0320】
図33図34A図34B図34C図34D、および図35に基づき、他の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、他の実施の形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0321】
図33は、双方向性スイッチ素子により構成される、2次側回路の実施の形態の例を示している。2次側回路の双方向性スイッチ素子の配置は、図1図4などで示した配置のほか、図33(A)の2次側回路20a、図33(B)の2次側回路20b、および図33(C)の2次側回路20cで示す配置としても、同等の動作となる。
【0322】
図34A図34B図34C、および図34Dは、スイッチ素子により構成される、2次側回路の実施の形態の例を示している。双方向性スイッチ素子は、第6の実施の形態における例示により、スイッチ素子を2つ組み合わせたり、ダイオード素子を組み合わせたりする必要があり、1次側回路10で使用されるスイッチ素子と同じ素子を使用するなど、スイッチ素子を使用する方がコスト面での利点が得られる場合もある。そのような場合を含め、別の実施の形態として、スイッチ素子を用いた2次側回路の構成をした例が図34Aから図34Dである。図34Aの2次側回路20d、図34Bの2次側回路20e、図34Cの2次側回路20f、図34Dの2次側回路20gで挙げた構成例は、遮断できる方向を向い合せにした形でスイッチ素子をトランスTの2次側の同じ巻線の両極に接続することで、2つ併せて双方向性スイッチ素子と同等の機能を持たせる構成の例を示している。
【0323】
図35の2次側回路20hは、トランスTの2次側の巻線w2を単巻で構成した例である。1次側回路10の出力電圧V1に対する2次側回路の出力電圧V2の極性を、そのまま出力するか逆向きに出力するか、2次側回路20hの双方向性スイッチ素子のオン/オフにより切替えることができる。
【0324】
このように、2次側回路の構成例として、スイッチ素子の配置を変えることができたり、双方向性スイッチ素子のみならず、スイッチ素子による構成も可能であることや、トランスTとして、2次側の巻線を単巻で構成することも可能である。
【0325】
〔第8の実施の形態〕 (絶縁された直流電圧源を得る例)
第8の実施の形態は、電力変換装置のトランスTで絶縁された直流電圧源を得る変形例であり、図36は、絶縁された直流電圧源を追加する実施の形態の例を示している。
【0326】
図36に基づき、他の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、他の実施の形態と共通する部分については、説明を省略する。
【0327】
図36の2次側回路20mは、トランスTに、3次巻線として、別巻線w23-1~w23-n(n:正の整数)を追加し、各々に整流回路24-1~24-nを設けることによって、各々が絶縁された直流電圧源25-1~25-nを得る構成例を示している。整流回路24-1~24-nに、さらに平滑化回路や電圧安定化機能などを追加することもできる。
【0328】
このようにして得られた各々絶縁された直流電圧源25-1~25-nは、例えばスイッチ素子ドライバの駆動回路用の電源、駆動用の電源が必要なタイプの電流センサCTや電圧センサVTを用いる場合のセンサ用の電源など、動作上の基準電位が異なる複数の回路に対しても広く用いることができる。また、制御回路40を外部の回路起動用の直流電圧源にて駆動後、制御回路40を駆動する直流電圧源を、直流電圧源25-1~25-nのいずれかから駆動電源を得るように切り替える構成とすることも可能である。このような構成により、制御回路40や1次側回路10のスイッチ素子ドライバの駆動用電源も、直流電圧源25-1~25-nのいずれかから得るようにすることができる。
【0329】
なお、直流電圧源25-1~25-nは、基準電位が同じとなる回路の駆動用として、各々絶縁されない形で用いることも可能であることは、言うまでもない。
【0330】
〔他の実施の形態〕 (フィードバック関係)
上記実施の形態において、平滑回路30の出力電圧V3を監視し、絶縁伝送部を介して制御回路40にフィードバックすることにより、実際の平滑回路30の出力電圧V3が、出力目標値Viに対してより正確になるように動作させることもできる。しかしこれらが無くても、動作可能である。
【0331】
また、制御回路40の構成や動作によって、定電流出力、定インピーダンス出力、定電力出力等にしたり、過電流保護(フの字垂下型や垂直垂下型など)を追加したりすることも任意である。
【0332】
上記実施の形態では、絶縁型両極性双方向DC/DCコンバータ動作、絶縁型双方向DC/ACインバータ動作について例示しているが、他の実施の形態の電力変換装置は、両極性や双方向性の動作形態だけでなく、一方の動作形態を目的として構成される場合にも適用可能である。
【0333】
以上説明したように、実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、係る変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0334】
〔実器での電力損失の比較例〕
図37Aおよび図37Bは、1次側回路10の出力電流i1と、1次側回路10の出力電圧V1をオシロスコープで測定した結果である。1次側回路10の出力電流i1は、1次側回路10のV1Hiの側から2次側回路20に流れ出る向きが正である。
【0335】
図37Aおよび図37Bの測定回路では、第1の実施の形態の例に相当する電力変換装置100において、判定結果Selに、電流センサCTからの信号ではなく外部から正負の信号を入力した。これにより、時間差Tの向きの進みか遅れかを、外部から任意に選択できるようにした。また、時間差Tを、基準信号の周期Tに対して、T=T/8とし、平滑回路30の出力電圧を最大出力電圧の1/2とし、時間差Tの向きを進みに取った場合と遅れに取った場合を比較した。
【0336】
図37Aおよび図37Bの測定に用いた回路でも、1次側回路10の出力電流i1と1次側回路10の出力電圧V1がともに同じ符号であれば直流電源8に対して放電となり、逆向きであれば充電となる。図37Aおよび図37B中、1次側回路10の出力電圧V1の波形部分には、電源電流状態が、放電、充電のどちら向きであるかを重ねて記載している。
【0337】
出力電流i1の波形の立ち上がり、立ち上がりは、2次側回路20の制御信号SigS2の遷移によって発生する。また、出力電圧V1の波形の立ち上がり、立ち上がりは、1次側回路10の制御信号SigS1の遷移によって発生する。
【0338】
時間差Tは、図37Aでは進みとし、図37Bでは遅れとした場合の波形である。
【0339】
それぞれの場合で、装置全体の消費電力を測定し、負荷9による消費電力を差し引くことによって、電力変換装置100の電力損失を求めた結果を示す。なお、負荷9は1Ωの抵抗負荷、負荷9への印加電圧は10Vの直流電圧で、10Aの電流を流し、負荷9による消費電力が100Wの場合である。
【0340】
図37Aの進みでは電力損失が72.0W、図37Bの遅れでは20.8Wという結果となった。
【0341】
つまり、1次側回路10の出力電圧V1が遷移する際に、直流電源8に対する電流の向きが、放電から充電に変わるように制御した場合、直流電源8に対する電流の向きが、充電から放電に変わるように制御した場合に比べ、51.2Wの電力損失の低減が見られた。
【0342】
〔全体のまとめ〕
以上に説明した実施の形態の電力変換装置において、i2の極性に応じて、判定回路を通じて2次側制御信号を切り替える構成とすることにより、電力損失の低減やスイッチングノイズの低減という効果が得られる。
【0343】
このことは、以上に説明した実施の形態の電力変換装置の、従来の技術に対する優位性を示すものと言える。
【産業上の利用可能性】
【0344】
以上に説明した実施の形態の電力変換装置は、下記に示す広い用途に利用可能であり、有益である。
【0345】
(1)絶縁型DC/DCコンバータとして使用し、正負両極性のいずれも出力可能な直流電源装置として利用することができる。一例として、直流モータにおいて、出力電圧の正負の極性によって回転方向を制御し、出力電圧の絶対値によって回転数を制御するというような用途に用いることができる。この場合、直流モータの慣性等による余剰電力の回生や、回生ブレーキ時に直流モータを発電機として使用する電力の回生なども可能である。
【0346】
(2)絶縁型双方向DC/ACインバータとして使用し、バッテリーからの交流電力の生成や、双方向性による交流電力からのバッテリーの充電などに利用でき、
(2-1)大容量バッテリーやフライホイール等の蓄電装置を使用し、商用電源の消費電力平準化装置として利用することができる。(商用電源が不足気味の時には、DC/ACインバータとして動作してバッテリーから商用電源に電力を供給する系統連系インバータとして使用する。商用電源が余り気味の時には、AC/DCコンバータとして動作して、商用電源から蓄電装置に充電するために使用する。)
(2-2)定置型バッテリーを使用し、停電時の非常用電源、兼、バッテリー充電器として利用することができる。(停電時にはDC/ACインバータとして、非常用電源として使用する。通常時にはAC/DCコンバータとして、商用電源からバッテリーに充電するために使用する。)
(2-3)プラグインハイブリッド車や電気自動車等をバッテリーとして使用して、商用電源停電時の非常用電源等(系統連係インバータ)、兼、商用電源によるバッテリー充電器として利用することができる。電力変換装置は、定置側、車載側いずれに設けることもできるが、絶縁型であるという特徴、回路構成が簡単で小型・軽量化に適しているという特徴から、特に車載型とする場合にメリットが大きい。
(2-4)ハイブリッド車や電気自動車等において、加速時にはバッテリーから交流モータに対して任意の電圧や周波数の交流電力を供給し、回生ブレーキ時には交流モータを発電機として使用してバッテリーに直流電力を回生し、バッテリーに充電するために利用することができる。
(3)絶縁型DC/ACインバータとして使用し、風力発電、燃料電池発電、太陽電池発電における系統連系インバータやパワーコンディショナとして利用することができる。(さらにバッテリー等を併用して電力回生機能を活かし、発電した電力が余り気味の時にはバッテリーに充電し、電力が不足気味の時にはバッテリーから電力を供給することも可能である。)
【符号の説明】
【0347】
8 直流電源
10 1次側回路
16a、16b 静電容量素子
20 2次側回路
30 平滑回路、31 インダクタ素子、32 静電容量素子
40 制御回路、41 1次側制御回路、42 2次側制御回路、43 判定回路
100、200、210、220 電力変換装置
101 進み信号生成回路、102、102a 遅れ信号生成回路
103 進み遅れ信号生成回路、104 進み遅れ信号生成回路
108 三角波生成手段
110 デッドタイム生成回路、111 抵抗素子、112 静電容量素子、113 抵抗素子、114 静電容量素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図32
図33
図34A
図34B
図34C
図34D
図35
図36
図37A
図37B