(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】PMYONG2ベクターシステムを用いたHIV-1 P24を発現する組換えBCG及びそのHIV-1ワクチンへの利用
(51)【国際特許分類】
C12N 1/21 20060101AFI20230824BHJP
A61K 39/21 20060101ALI20230824BHJP
A61K 39/04 20060101ALI20230824BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230824BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230824BHJP
A61P 31/06 20060101ALI20230824BHJP
C12N 15/49 20060101ALN20230824BHJP
C07K 14/16 20060101ALN20230824BHJP
C12R 1/32 20060101ALN20230824BHJP
【FI】
C12N1/21
A61K39/21
A61K39/04
A61P37/04
A61P31/18
A61P31/06
C12N15/49
C07K14/16 ZNA
C12R1:32
(21)【出願番号】P 2020564211
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 KR2019003597
(87)【国際公開番号】W WO2019221383
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0055059
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0034183
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月27日にウェブサイト(URL:https://doi.org/10.3389/fimmu.2018.00643)で公開されたFrontiers in Immunology,2018,Vol.9,Article 643にて学術論文(Development of a Live Recombinant BCG Expressing Human Immunodeficiency Virus Type 1 (HIV-1) Gag Using a pMyong2 Vector System:Potential Use As a Novel HIV-1 Vaccine)を公開
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509329800
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボム-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボ-ラム
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05591632(US,A)
【文献】nature,1991年,351:6326,479-482
【文献】scientific reports,2017年,7:44776,1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 1/38
C12N 15/00-15/90
C07K 14/00-14/825
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列で示すヒト免疫不全ウイルスタイプ1由来のp24タンパク質を発現する組換えマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)BCGであって、前記p24タンパク質を発現するpMyong2-TOPOベクターシステムで形質転換された、組換えマイコバクテリウム・ボビスBCG。
【請求項2】
前記p24タンパク質は、配列番号2の塩基配列で示すヒト免疫不全ウイルスタイプ1由来のGag遺伝子がコーディングされたものである、請求項1に記載の組換えマイコバクテリウム・ボビスBCG。
【請求項3】
前記マイコバクテリウム・ボビスBCGは、Tokyo 172菌株である、請求項1又は2に記載の組換えマイコバクテリウム・ボビスBCG。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGを有効成分として含む、HIV-1に対する免疫反応を誘導するための組成物。
【請求項5】
前記組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGは、生きているものである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGは、さらに弱毒化(attenuation)されないものである、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
HIV-1に対する免疫反応を誘導するための組成物の製造のための請求項1~3のいずれか一項に記載の組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト免疫不全ウイルスタイプ-1(human immunodeficiency virus type-I、HIV-1)感染に対する予防及び/又は治療に用いられる新規な組換えBCG、これを含むワクチン組成物、その製造方法などに関する。より詳しくは、本発明は、新規なマイコバクテリア(mycobacterium)-大腸菌(Escherichia coli)用シャトルベクター(以下、「pMyong2」、大韓民国特許登録番号:1012916680000、アメリカ特許登録番号:8,841,432)システムを用いた組換えBCG生ワクチンプラットフォームに関する。
【0002】
本出願は、2018年05月14日に出願された大韓民国特許出願第10-2018-0055059号及び2019年03月26日に出願された大韓民国特許出願第10-2019-0034183号に基づく優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の明細書及び図面に開示されたすべての内容は本出願の一部として組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
HIV-1の感染率は、全世界的に徐々に減少しているが、HIV-1に対する効率的な予防ワクチンは、相変らず喫緊な要望がある。組換えマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)BCG(rBCG)は、HIV-1ワクチンの開発において有望な菌株である。そこで、本発明では、HIV-1の感染に対するワクチン適用においてpMyong2ベクターを用いたHIV-1 p24抗原Gagを発現するrBCG(rBCG-pMyong2-p24)の潜在力を開示する。
【0004】
HIV感染個体でHIVの複製を制御する高活性抗レトロウイルス療法(highly activated antiretroviral therapy、HAART)の寄与にもかかわらず、長期間の治療後に発生する薬物耐性ウイルス及び高い薬剤の費用などは相変らず解決されなければならない多くの問題点のうち一つとして残っている。したがって、たとえ新しいHIV-1の感染速度が全世界的に徐々に減少してはいても、ウイルスのさらなる拡散を抑制するために効率的な予防ワクチンの必要性は相変らず要求されている。HIV特異的細胞性免疫は、主に多機能性、そして免疫優性(immunodominant)ウイルスペプチドに対する増殖能力を有するHIV特異的T細胞により誘導され、このような特徴によってHIV-1に対する効率的な免疫反応が発生できるので、このような細胞性免疫、特に、ウイルス-特異的細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocytes、CTL)は、HIV-1に対抗するための宿主免疫系においてより重要な構成要素でなければならない。
【0005】
このような事実を基盤として、生きているウイルスベクター及びプラスミドDNAワクチンの使用を含む強力なHIV-1-特異的CTL及びTh1(Type 1 helper T cell)の反応を導出するための多くの戦略が開発中にある。しかし、このようなそれぞれのアプローチには安全上の争点を含む様々な問題点が関連しているので、実際的、実用的な使用が制限されている。現在、全世界的に最も幅広く投与されるワクチンであるマイコバクテリウム・ボビスBCG(BCG)は、結核(tuberculosis、TB)に対抗するために用いられた唯一の生きている弱毒化ワクチンとして80年以上用いられてきた。BCGは、児童の播種性疾患(disseminated disease)を予防することができるので、1970年代初頭から児童予防接種のための世界保健機構の予防接種拡大計画(EPI)の一環として用いられてきた。
【0006】
外来抗原を発現して免疫反応を誘導するために成功的に用いられてきたBCGの組換え形態、すなわち、rBCGは、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、げっ歯類マラリア(rodent malaria)、リーシュマニア(leishmanial)、麻疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)及びサル免疫不全ウイルス(SIV)を含む多様な感染性病原体に対するワクチン候補として用いられてきた。rBCGベクターの最も実際的・実用的な長所は高い安全性である。さらに、rBCGは、優れた免疫増強(adjuvant)特性を示し、少なくとも1~2年の間維持される長い持続性細胞性免疫反応を誘導し、製造コストが低く、投与が容易であり、一般に、1回又は2回の免疫化のみを必要とする。したがって、他の組換えワクチンの接近法を凌駕するrBCGベースのワクチンの上記言及された長所は、rBCGが安全でウイルス特異的免疫反応を誘導することができる、HIV-1感染に対する強力なワクチンであることを示唆する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、HIV-1由来のp24タンパク質を発現する組換えマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)BCG(rBCG)及びそのHIV-1ワクチンへの利用を提供することである。
【0008】
rBCGベクターは、潜在的なHIV-1ワクチンとしての可能性にもかかわらず、そのHIV-1ワクチンとしての実在的な適用は、rBCG内で外来遺伝子の異種(heterologous)発現の低い安定性及び量の欠乏による低い免疫原性(immunogenicity)により制限される。したがって、十分な免疫原性を確保して防御的ワクチンの効能を導出するためには、ヒトで結核に対する実際のBCG予防接種に必要な用量の大略10~100倍の高いrBCG用量が必要である。しかし、高用量のBCGを生体内に投与することは、免疫力の低下した(immuno-compromised)ワクチン投与者の播種性BCGの危険を増加させるか、T細胞の過度な活性化によるHIV-1の複製及び拡散のための駆動力として作用し得る。
【0009】
このような理由で、安全性の保障のためにHIV-1に対する予防的ワクチン接種でrBCGの低用量免疫化が勧奨されてきて、したがって、本発明では、ヒトの予防接種に必要な、より低い用量でも効力を示すことができる、HIV-1からの保護のためのrBCGワクチンを開発しようとした。
【0010】
また、前記組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGの治療学的有効量を有効成分で含むワクチン組成物を個体に投与してエイズ及び/又は結核を治療又は予防する方法、前記ワクチンを製造するための組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGの用途乃至エイズ及び/又は結核を治療又は予防するための組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGの用途を開発しようとした。
【0011】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されなかったまた他の課題は、下の記載から本発明が属する技術分野の通常の知識を有した者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明者らは、マイコバクテリウム・アビウム複合体(M.avium complex、MAC)のヒト病原体構成員であるマイコバクテリウム・ヨンゴネンセ(Mycobacterium yongonense)のDSM 45126Tゲノム分析を通じて、マイコバクテリウム・フォーチュイタム(M.fortuitum)に由来した従来のpAL5000ベクターシステムを用いたものと比較して、組換えマイコバクテリウム・スメグマチス(rSmeg)及びrBCGから増加された異種性遺伝子発現を誘導できる、線形プラスミドであるpMyong2のマイコバクテリアレプリコンを用いた新規なマイコバクテリア-大腸菌シャトルベクターシステムを導入した。
【0013】
さらに、本明細書では、pMyong2ベクターシステムを用いてHIV-1 p24 Gagを発現するrSmegが、pAL5000ベクターシステムで、又は統合型プラスミドであるpMV306システムを用いるrSmegと比較して、マウスでHIV-1 p24 Gagに対する向上された免疫反応を誘導したことを示した。これは、rSmegワクチンの適用でpMyong2ベクターシステムの実行可能性を示唆する。
【0014】
HIV-1 Gag-特異的CD8+T細胞反応は、HIV感染の免疫調節に非常に重要であり得る。したがって、本発明では、pMyong2ベクターシステムで発現するための標的抗原としてHIV-1 Gag p24を選択した。したがって、本発明では、rBCG(rBCG-pMyong2-p24)内で外来HIV-1 p24 Gag遺伝子の発現を向上させるためにpMyong2ベクターシステムを採択した。pMyong2ベクターシステムの効能、すなわち、その向上された組換えタンパク質の製造は、rBCG及びrBCGで感染された一次骨髓由来樹状細胞(bone-marrow derived dendritic cells、以下、「BMDCs」)で証明された。また、ワクチン効能を証明するために、本発明者らは、予防接種されたマウスでHIV Gagタンパク質に対するその細胞性及び体液性免疫反応を探索した。
【0015】
HIVワクチンとしてrBCGの潜在力を改善するための最上の戦略は、プライム-ブースト(prime-booster)ワクチンプロトコルでrBCGをプライムワクチン(prime vaccine)で用い、ブーストワクチン(booster vaccine)として安全な組換えウイルスベクターを用いることであって、これは、動物モデルで予防接種後に長く持続する効率的なウイルス-特異的細胞性免疫を誘導する。このような脈絡で、rBCGベクターにより誘導されたTh1反応は、Gag-特異的CTL反応を誘導するのに寄与できる。しかし、HIV-1ワクチンとしてrBCGの実際的使用で主な障壁になるのは、rBCGで外来HIV-1抗原の低い発現によりウイルス感染に対抗するための十分なウイルス-特異的CTL反応を誘導できないことである。
【0016】
このような限界を克服するために、rBCGの優先的細胞質位置を通じてより大きいCTL反応を誘導できる溶血素(hemolysin)発現BCG菌株の使用及びrBCGシステムでHIV-1 gag p24遺伝子に対するコドン最適化を含む戦略を用い、本発明では、rBCGでHIV-1 gag p24遺伝子の発現を向上させるためにpMyong2シャトルベクターシステムを適用した。
【0017】
本発明では、比較のために、rBCG-pMyong2-p24が感染されたマクロファージ及びBMDCsで、従来のエピソーム性pAL5000ベクター(rBCG-pAL-p24)及び統合型pMV306ベクター(rBCG-pMV306-p24)(
図3A、B及びH)においてよりさらに多くのp24タンパク質を生成したことを確認し、BMDCsの向上されたp24特異的T細胞増殖(
図4B及びC)、T細胞エフェクター機能(
図5B及びC)、特に、CTLs(
図7)、及びTh1に傾斜した体液性免疫反応(
図6)を含むrBCG-pMyong2-p24の向上されたウイルス特異的ワクチン効能に対するメカニズム基盤を提供した。
【0018】
本発明では、rBCG-pAL-p24よりさらに低いレベルのCFU(colony-forming unit)を生成したrBCG-pMyong2-p24でのマクロファージ感染でさらに弱毒化される傾向が観察されたが(
図2C)、これは、他のベクターシステムでのそれらよりrBCGでpMyong2のより高いコピー数によると推測される。より低い用量又はより弱毒化(attenuation)されたrBCGへの免疫化は、不利な局所皮膚反応、Th2-型免疫反応との可能な結付、又はレトロウイルス感染の悪化を含む高-投与量皮膚投与と関連した危険を減らすことが可能であるという点を考慮すれば、rBCG-pMyong2-p24は、rBCGを用いるHIVワクチンプロトコルで追加的な長所を有することができる。
【0019】
多コピーエピソームベクターベースのマイコバクテリア-大腸菌シャトルベクターシステムは、統合型プラスミドシステムと比較して、組換えマイコバクテリアの安定性欠乏と関連した欠点を有することが知られている。実際に、rSmeg(rSmeg-pMyong2-p24)でのpMyong2-p24プラスミドが抗生物質のない培地で5回継代後に安定性を徐々に失って行くことを示した。しかし驚くべきことに、本発明は、同一のpMyong2ベクターシステムを用いるにもかかわらず、rBCG(rBCG-pMyong2-p24)でpMyong2-p24プラスミドが抗生物質の添加有無に関係なく12回の継代後にもその安定性を維持することができる(
図3F)。これは、遅く成長するマイコバクテリア・ヨンゴネンセから得たpMyong2プラスミドが、Smegのように速く成長するマイコバクテリアの場合よりBCGのように遅く成長するマイコバクテリアでより安定的であり得ることを示唆する。抗生物質のない培地でプラスミドを統合させることの安定性が実際の使用のための組換え生ワクチンの製造に重要であることを考慮するとき、rBCG-pMyong2-p24は、HIV-1ワクチンへの適用でrSmeg-pMyong2-p24を凌駕する長所を有する。
【0020】
本発明では、相異なるエピソーム性ベクターシステムでのrBCG菌株、すなわち、rBCG-pMyong2-p24及びrBCG-pAL-p24を用いることに加え、2個の相異なるマイコバクテリアでのHIV-1に対するワクチン効能、すなわち、BCG(rBCG-pMyong2-p24)及びSmeg(rSmeg-pMyong2-p24)を同一のpMyong2システムを用いて比較した。HIV-1 p24抗原に対する免疫反応で、免疫化された脾臓細胞からのCTL反応、感染されたBMDCsのT細胞増殖能力及び大部分のIFN-γ ELISPOTレベルがrBCG-pMyong2-p24及びrSmeg-pMyong2-p24でほとんど同一ではあったが、rBCG-pMyong2-p24は、rSmeg-pMyong2-p24と比較して脾臓細胞及びTh1-バイアスされた体液性免疫反応で非常に向上されたIL-2生成を示した。これは、rBCG-pMyong2-p24の方がrSmeg-pMyong2-p24よりHIV-1ワクチン療法(regimen)において優秀でであり得ることを示唆する。
【0021】
さらに、本発明では、rBCG-pMyong2-p24及びp24タンパク質を用いて2個の相異なるワクチンモジュールの間でHIV-1に対するワクチン効能を比較した。本明細書のデータは、rBCG-pMyong2-p24がp24タンパク質に比べて向上されたp24特異的IFN-γ ELISPOTレベル、CTL反応及びTh1側に傾斜した体液性免疫反応を有したことを示し(
図8のA~C)、また、これはHIV-1ワクチン療法においてrBCG-pMyong2-p24の方がp24タンパク質より優秀であり得ることを示唆する。BCG、麻疹、流行性耳下腺炎及び風疹ワクチン、及びインフルエンザワクチンを含んで、多様なワクチンに対する反応には性別の差があることが知られている。一般的に、適応性免疫反応で、女性は男性に比べて向上された体液性及び細胞媒介免疫反応を示す。これは、本発明で現在のワクチン研究に雌のマウスのみを選択した理由である。
【0022】
本明細書では、pMyong2ベクターシステムのrBCG-pMyong2-p24の方がpAL5000-(rBCG-pAL-p24)又はpMV306-由来システム(rBCG-pMV306-p24)を用いる他のBCG菌株よりrBCGで高レベルのHIV-1 p24 Gagタンパク質発現を誘導し、より多くのp24抗原を食細胞(phagocytes)に伝達することを証明した。
【0023】
また、本明細書では、上記言及された菌株がrBCG-pAL-p24又はrSmeg-pMyong2-p24に比べて予防接種されたマウスで感染されたBMDCsのT細胞増殖能力を向上させ得、改善されたCTL反応及びTh1バイアスされた体液性免疫反応を誘導できることを示した。
【0024】
このような発見は、rBCG-pMyong2-p24がHIV-1感染に対する異種性プライム-ブーストワクチン戦略においてプライムワクチンとして効率的な候補であることを示唆する。
【0025】
総合すれば、一様態で、本発明は、HIV-1由来のp24タンパク質を発現する組換えマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)BCG(rBCG)を提供する。
【0026】
一具現例で、前記p24タンパク質は、
図2Aに開示されたpMyong2-p24ベクターシステムにより発現されるものであってもよい。
【0027】
一具現例で、前記p24タンパク質は、配列番号2の塩基配列で示すヒト免疫不全ウイルスタイプ1由来のGag遺伝子がコーディングされたものであってもよい。
【0028】
一具体例で、本発明によるマイコバクテリウム・ボビスBCG菌株は、Tokyo 172菌株である。
【0029】
また、本発明による組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGを有効成分で含むHIV-1ワクチン組成物を提供する。
【0030】
また、本発明による組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGの治療学的有効量を有効成分で含むワクチン組成物を個体に投与してエイズ及び/又は結核を治療又は予防する方法を提供する。
【0031】
また、本発明は、エイズ及び/又は結核の予防又は治療用ワクチンの製造のための組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGの用途を提供する。
【0032】
また、本発明は、エイズ及び/又は結核の予防又は治療のための組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGの用途を提供する。
【0033】
また、本発明による組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGを有効成分で含むHIV感染症又はHIV及び結核菌同時感染症に対するワクチン組成物を提供する。
【0034】
一具現例で、本発明によるワクチン組成物で前記組換えマイコバクテリウム・ボビスBCGは生きているものである。
【0035】
一具現例で、本発明によるワクチンは、追加で人為的に弱毒化(attenuation)されないものである。
【0036】
一具現例で、本発明によるワクチンは、特に、プライム-ブーストワクチン接種プロトコルでプライムワクチンとして用いられるものであってもよい。
【0037】
一具現例で、前記感染症は、エイズ(AIDS、後天性兔疫不全症)又は結核であってもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によるrBCG-pMyong2-p24は、rBCG及び感染された抗原提示細胞(APC)で向上されたHIV-1 p24 Gag発現を導出することを確認した。
【0039】
また、本明によるrBCG-pMyong2-p24は、pAL5000由来のベクターシステムでのrBCG-pAL-p24と比較して、高レベルのHIV-1 Gag-特異的CD4及びCD8 Tリンパ球増殖、ガンマインターフェロンELISPOT細胞誘導、抗体生成及び細胞傷害性T細胞(CTL)反応により証明される向上されたp24特異的免疫反応を誘導することを確認した。
【0040】
さらに、本発明によるrBCG-pMyong2-p24は、同一のpMyong2ベクターシステムでrSmeg-pMyong2-p24より高いレベルのP24特異的抗体を生成することを確認した。
【0041】
結論的に、本発明は、pMyong2ベクターシステムを用いてP24を発現する組換えBCG、すなわち、rBCG-pMyong2-p24がHIV-1感染に対する向上された免疫反応を誘導することを示す。したがって、rBCG-pMyong2-p24は、HIV-1感染に対する異種性プライム-ブーストワクチン戦略においてプライムワクチンとしての潜在力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)及びクマシーブリリアントブルー染色法を用いてP24タンパク質の純度を確認した図である。M:分子量標準(Elpis Bio、大田、大韓民国)。レーン1:精製されたP24タンパク質(10μg)。
【0043】
【
図2A】
図2Aは、本明細書で開示するそれぞれのP24発現ベクターの系列地図を示した図である。HIV P24抗原を発現するマイコバクテリア-大腸菌シャトルベクターとしてそれぞれpMV306-p24、pALp24 and pMyong2-p24ベクターがマイコバクテリウム・ボビスBCGに由来したhsp65プローモーターの調節下でP24を発現する。
【0044】
【
図2B】
図2Bは、ADCと100μg/mlのカナマイシンが添加された7H9培地でP24 rBCG菌株の成長曲線を示した図である。野生型BCG培養の場合、7H9培地でカナマイシンを除いた。成長曲線は、各時点で培養分取液を取ってOD600を測定した。
【0045】
【
図2C】
図2Cは、マウスマクロファージJ774A.1(左側)及びマウス骨髓由来樹状細胞(右側)の感染でP24 rBCG菌株のCFUレベルを比較して示した図である。データは、二つの独立的な実験を代表する。(結果は、平均±分散値で示した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test)。
【0046】
【
図3A】
図3Aは、ELISAを用いてrBCG菌株でのp24発現を確認した図である。
【0047】
【
図3B】
図3Bは、ウエスタンブロッティング分析を用いたrBCG菌株のp24発現を確認した図である。野生型BCG(レーン1)及びrBCG菌株(レーン2:rBCG-pMV306-p24、レーン3:rBCG-pAL-p24、レーン4:rBCG-pMyong2-p24)からタンパク質を抽出した。陽性対照群としては、精製されたp24タンパク質を用いた(レーン5)。M:分子量標準(Elpis Bio、大田、大韓民国)。それぞれのメンブレンは、白色空白で区分され、マーカーレーンは、黒色垂直線で区分される。本図には、p24の発現レベルが示されており、ウエスタンブロッティングイメージは、鮮明度向上のために全長のブロットから切り出したものである。全長のブロッティングイメージは、下記
図3Cに示した。
【0048】
【
図3C】
図3Cは、前記
図2Cの切り出したイメージの全長の原本ブロッティングイメージを示した図である。ウエスタンブロッティングは、本図に表示した抗体を用いて実行された。切り出した部分は実線で表示した。
【0049】
【
図3D】
図3Dは、カナマイシンを含有した7H10寒天プレート(agar plate)で継代したrBCG-pMyong2-p24菌株でp24発現の安定性を、ウエスタンブロッティングを用いて確認した図である。タンパク質は、野生型BCG(レーン1)及びrBCG-pMyong2-p24菌株からそれぞれの継代地点で抽出した(レーン2:第1継代、レーン3:第4継代後、レーン4:第6継代後、レーン5:第8継代後、レーン6:第10継代後、レーン7:第12継代後)。陽性対照群としては、精製されたp24タンパク質を用いた(レーン8)。M、分子量標準(Elpis Bio、大田、大韓民国)。上位サイズメンブレンで内部対照群としてメンブレンを切った後Hsp65抗体(Abcam)を用いてp24を検出した。個別メンブレンは、白色空白で区分され、マーカーレーンは、黒色垂直線で区分される。
【0050】
【
図3E】
図3Eは、前記
図2Dの切ったイメージの全長の原本ブロッティングイメージを示した図である。ウエスタンブロッティングは、本図に表示した抗体を用いて実行された。切った部分は実線で表示した。
【0051】
【
図3F】
図3Fは、カナマイシンがない7H10寒天プレートで継代したrBCG-pMyong2-p24菌株でp24発現の安定性を、ウエスタンブロッティングを用いて確認した図である。タンパク質は、野生型BCG(レーン1)及びrBCG-pMyong2-p24菌株からそれぞれの継代時点で抽出した(レーン2:第1継代、レーン3:第4継代後、レーン4:第5継代後、レーン5:第6継代後、レーン6:第7継代後、レーン7:第8継代後、レーン8:第9継代後、レーン9:第10継代後、レーン10:第11継代後、レーン11:第12継代後)。陽性対照群としては、精製されたp24タンパク質を用いた(レーン12)。M:分子量標準(Elpis Bio、大田、大韓民国)。上位サイズメンブレンで内部対照群としてメンブレンを切り取った後Hsp65抗体(Abcam)を用いてp24を検出した。個別メンブレンは、白色空白で区分され、マーカーレーンは、黒色垂直線で区分される。
【0052】
【
図3G】
図3Gは、前記
図2Fの切ったイメージの全体長さ原本ブロッティングイメージを示した図である。ウエスタンブロッティングは、本図に表示した抗体を用いて実行された。切った部分は実線で表示した。
【0053】
【
図3H】
図3Hは、マウスマクロファージJ774A.1(左側)及びマウス骨髓由来樹状細胞(右側)でそれぞれ野生型BCG及びrBCG菌株(rBCG-pMV306-p24、-pAL-p24及び-pMyong2-p24)感染後、p24の発現レベルを測定した図である。データは、二つの独立的な実験を代表する。結果は、平均±分散値で示した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test)。
【0054】
【
図3I】
図3Iは、1日目及び3日目でrBCG-pAL-p24及びrBCG-pMyong2-p24菌株の相異なるM.O.I(1及び10M.O.I;multiplicity of infection)に感染されたBMDCsからp24の発現レベルをELISAを用いて比較した図である。結果は、複製したウェルから平均±分散値で示した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test)。
【0055】
【
図4A-D】
図4A~Dは、p24 rBCG菌株に感染されたBMDCsにより誘導されたT細胞増殖レベルを示した図である:(
図4A)T細胞増殖分析日程の概路図。マウス2匹にp24タンパク質(30μg/マウス)を注射し、7日後に前記マウスの脾臓細胞をCD4及びCD8 T細胞に分類してCFSEで標識した。共培養する一日前、DCを各菌株(10M.O.I)に感染させた。CFSEで標識されたCD4/CD8 T細胞及び感染されたDCを4日間共培養した後、上の細胞をT細胞増殖に対して分析した;(
図4B及び
図4C)p24 rBCG菌株に感染されたBMDCsのCFSE-標識CD4及びCD8 T細胞増殖に対するフローサイトメトリー分析結果;(
図4D)MLR分析法を用いてCD4(左側パネル)及びCD8(右側パネル)細胞の上澄液から放出されたIL-2のELISA測定。データは、三つの独立的な実験を代表する。結果は、平均±分散値で示した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test)。
【0056】
【
図5A-C】
図5A~Cは、それぞれp24 rBCG菌株により誘導された生体内免疫反応を示した図である:(
図5A)生体内免疫学的分析のために実行された免疫化の概路図。4週の間隔で各群(5匹/グループ)を野生型BCG、二つの種類のrBCG菌株及びrSmeg菌株でそれぞれ2回免疫させた。最終免疫化4週後、マウスを犠牲にして免疫分析のために脾臓及び血液サンプルを収集した;(
図5B)p24 rBCG菌株を接種したマウスの脾臓細胞を試験管内刺激した後、IFN-γ分泌レベルELISPOT分析を用いて検出した。各グループのELISPOTメンブレン代表イメージは、グラフの下に表示した。(-)、陰性対照群;(+)、陽性対照群;(
図5C)p24 rBCG菌株を接種したマウスの脾臓細胞をp24で試験管内刺激した後、IL-2、IFN-γ及びIL-6サイトカインのレベルを、ELISA分析を用いて検出した。グループ当たり計5匹のマウスを分析した。データは二つの独立的な実験を代表する。結果は、平均±分散値で示した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test)。
【0057】
【
図6】
図6は、p24 rBCG菌株により誘導された体液性免疫反応を示した図である。p24特異免疫グロブリン亜型(IgG2a、IgG1及び総IgG)は、450nmでELISAを用いて測定し、IgG2a及びIgG1亜型に対するOD値及びIgG2a/IgG1の割合を比較した。グループ当たり5匹のマウス血清サンプルを分析した。データは、二つの独立的な実験を代表する。結果は、平均±分散値で示した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test)。
【0058】
【
図7】
図7は、rBCG菌株で免疫化されたマウスでの細胞傷害性Tリンパ球反応を示した図である。CTL反応は、試験管内でp24により刺激された脾臓細胞(エフェクター細胞)及びp24エピトープペプチド(A9I)がP815細胞(標的細胞)を反応させることで起こる。グループ当たり計3匹のマウスを分析した。データは、二つの独立的な実験を代表する。結果は、平均±分散値で示した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test)。
【0059】
【
図8A-C】
図8A~Cは、p24タンパク質の注射とrBCG-pMyong2-p24菌株の相異なるM.O.Iによるp24特異的免疫反応の比較結果を示した図である:(
図8A)p24タンパク質(30μg/マウス)及び相異なるCFUs(1×10
6及び1×10
7CFU)のrBCG-pMyong2-p24菌株(1週の間隔、2回注射)を皮下注射したマウス(3匹/グループ)から得た脾臓細胞を試験管内刺激した後、IFN-γ分泌レベルを比較するためにELISPOT分析した結果である。各グループのELISPOTメンブレン代表イメージは、グラフの下に表示した。(-)、陰性対照群;(+)、陽性対照群。結果は、トリプリケートから平均±分散値で示した。**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test);(
図8B)p24特異的免疫グロブリン亜型(IgG2a、IgG1及び総IgG)をELISAにより検出した結果である。グループ当たり3匹マウスの血清サンプルを分析した。結果は、トリプリケートから平均±分散値で示した。**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test);(
図8C)p24タンパク質及びrBCG-pMyong2-p24注入マウスから得た脾臓細胞(A9I、p24エピトープペプチドで刺激される;エフェクター細胞)及びA9IペプチドパルスされたP815細胞(標的細胞)の反応による細胞傷害性Tリンパ球反応を示している図である。グループ当たり3匹のマウスの血清サンプルを分析した。結果は、トリプリケートから平均±分散値で示した。**P<0.01;***P<0.001(Student’s t-test)。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明は、HIV-1 p24抗原を発現する組換えマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)BCG菌株がワクチンに効果的に用いられ得るという発見に基づいたものである。
【0061】
したがって、一様態で、本発明は、HIV-1のp24タンパク質を発現する組換えマイコバクテリウム・ボビスBCG菌株に関するものであって、前記p24タンパク質は、
図2Aに開示されたpMyong2-p24ベクターにより発現される。
【0062】
本発明によるベクターにより発現されるp24カプシド(CA)タンパク質は、プロセッシングされないGagポリタンパク質でMA(マトリックスタンパク質)の3’末端に連結されている。p24カプシド(CA)タンパク質は、N及びC末端にHIVボーディング及びカプシド構造において重要な役目をする二つのドメインを含んでいる。本発明によるベクターにより発現されるp24は、HIV-1由来であって、その配列は、GenBank No.KM390026.1dに含まれているか、配列番号1のアミノ酸又は配列番号4の配列の3161~3856ヌクレオチドに該当し、本願による目的のために、抗原として作用する限り、その配列変異体も用いられる得る。本願による菌株が発現するp24は、人体に投与するときHIV感染に対する抗原として作用できる。
【0063】
本発明による菌株で、p24は、特に、
図2Aに開示されたpMyong2ベクターにより発現される。本発明によるpMyong2-p24を含む組換えBCG菌株は、pAL5000又はpMV306誘導システムを用いる他のrBCG菌株に比べてより高いレベルのHIV-1 p24タンパク質発現を誘導し、より多いp24抗原をマクロファージに伝達することができるので、非常に優れていることが示された。
【0064】
また、本願によるpMyong2-p24を含むBCG組換え菌株は、感染されたBMDCs(骨髄由来樹状細胞)のT細胞増殖能力を向上させ、接種されたマウスで向上されたT細胞エフェクター機能とTh1に傾斜した体液性免疫反応を誘導できることが示された。また、本願によるrBCG-pMyong2-p24菌株は、初期成長が遅延されて弱毒化されることで、より多くの抗原を食細胞に提示してより強い免疫反応を維持することができる。このような結果は、本発明によるrBCG-pMyong2-p24がHIV-1又はHIV-1と結核との同時感染に効果的な候補ワクチンになり得ることを示す。
【0065】
また、他の様態で、本発明は、本明細書に開示された菌株を含むHIV感染症に対する免疫原性、ワクチン又は免疫治療用組成物に関する。HIVは、ヒトの免疫系を破壊するレトロウイルスの一種であって、HIVに感染される場合、宿主の免疫システムが低下されてエイズに進行し、細菌、ウイルス、真菌及び寄生虫などによる日和見感染の危険が顕著に増加される。エイズは、後天性兔疫不全症であって、HIV感染の結果として人体免疫機能の低下により現われるさまざまな症状を称するものである。
【0066】
本発明によるワクチン組成物は、p24特異的免疫反応、例えば、より多くのp24抗原を食細胞に伝達し、BMDCsのT細胞増殖能力を向上させ、接種されたラットで向上されたT細胞エフェクター機能とTh1に傾斜した体液性免疫反応を誘導することができるので、HIV感染を予防するか又は感染による症状を軽減、緩和及び/又は治療することができる。
【0067】
ワクチンは、通常、プライム-ブースト(prime-booster)形態で2回以上投与されることが一般的である。この場合、同一のワクチンを数回投与するか(homologus)又は同一の抗原を含む相異なる種類のワクチンが投与(異種、heterologus)される。一具現例で、本願によるワクチンは、相同又は異種性プライム-ブーストでプライムワクチン(prime vaccine)として用いられる。本願によるrBCG-pMyong2-p24菌株は、p24抗原の発現量が高く、抗原提示能が高いため、naiveな個体に十分なp24特異免疫反応を誘導することができるので、特にプライムワクチンへの使用に有利である。
【0068】
本発明による組成物に用いられるマイコバクテリアは、上述した通りであり、特に、生きている生菌が用いられ得る。特に、本発明によるrBCG-pMyong2-p24菌株は、初期成長が遅延されて自然的に弱毒化されることで、より多い抗原を食細胞に提示して一層強い免疫反応を維持することができる。
【0069】
本発明で用語「ワクチン」は、生体に免疫を与える抗原性物質を含有した生物学的な製剤であって、エイズ及び/又は結核の予防又は治療のために生物体に注入又は注射して生体に免疫が生ずるようにする免疫原を意味する。
【0070】
本発明で「個体」とは、疾病の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒト又は非ヒトである霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ及びウシなどの哺乳類を意味する。
【0071】
本発明で「免疫反応」は、提供されたDNAプラスミドワクチンを通じてHIV-1抗原、例えば、普遍的なHIV-1抗原の導入に対する回答であって、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系の活性化を意味するために本願で用いられる。免疫反応は、細胞性又は体液性反応、又は両方ともの形態であってもよい。
【0072】
本発明によるワクチン組成物は、全身又は局所投与用で製剤化され得、薬学的に可能な賦形剤、担体及び/又は媒体、例えば、リン酸緩衝食塩水溶液、蒸溜水、水/油エマルジョン、湿潤剤、エマルジョン化剤、pH調節剤などを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0073】
本発明によるワクチン組成物は、必要な場合、免疫補助剤(アジュバント)、特に、T-細胞媒介反応を促進又は増加させ得る任意の物質又は化合物を含むことができる。一具現例で、前記免疫補助剤は、化学的又は熱により死滅された菌が組成物に含まれる場合に用いられ得る。免疫補助剤は、当業界で公知にされており、例えば、アルミニウムヒドロキシド、アルミニウムホスフェート、硫酸アルミニウムカリウム、架橋ポリアクリル酸重合体、DDA(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、免疫調節物質、ラクトフェリン又はIFN-γ誘導剤などが用いられ得る。一具現例で、前記架橋ポリアクリル酸重合体は、CarbopolCc単一重合体又は共重合体を含み、前記リンフォカインは、IFNγ、IL-1、IL-2又はIL-12を含み、前記IFN-γ誘導剤は、poly I:Cを含むことができるが、これに制限するものではない。一具現例で、合成された糖ポリマーである前記アルミニウムヒドロキシド、アルミニウムホスフェート又は硫酸アルミニウムカリウムは、約0.05~0.1重量%で含まれ、前記架橋ポリアクリル酸重合体は、0.25重量%で含まれ得るが、これに制限するものではない。
【0074】
本発明による組成物は、局所又は全身投与されてもよく、一回又は多回投与されてもよく、多様な経路、例えば、皮下、皮内、筋肉内又は静脈に投与されるか、又は経口、鼻腔又は吸入経路で投与されてもよい。本発明による一具現例では、筋肉内注射で一回投与される。
【0075】
本発明によるワクチン組成物は、投与経路に適合する液状溶液又は懸濁剤に製造されるか又は注射する前に溶液に溶解または懸濁される固形の形態に剤型化され得る。
【0076】
本発明で「治療学的有効量」とは、ヒト免疫不全ウイルスタイプ1に感染される確率又は感染の深刻性を非常に減少させ得る程度の抗体を誘発するにおいて必要な投与量を意味する。前記有効量は、投与される疾患種類及び重度、患者の年齢及び性別、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出割合、治療期間、同時使用される薬物を含んだ要素及びその他医学分野でよく知られた要素によって決定され、前記要素を全て考慮して副作用なしに最大の効果を得ることができる量であって、当業者によって容易に決定され得る。
【0077】
ワクチンの投与量は、投与経路はもちろん患者の年齢、体重及び/又は健康状態によって変わる。例えば、適切な投与量は、例えば、1~109CFUであってもよい。一具現例では、106CFUが用いられる。本発明による菌株の場合、抗原の発現量が優秀であり、抗原提示能などが優秀であるので、これより少ない投与量又は既存菌株ワクチンに比べてより少ない投与量が使用可能であることは勿論である。
【0078】
本発明で用いられる用語「予防」とは、本発明によるワクチン組成物の投与によりエイズ及び/又は結核を抑制させるか発病を遅延させるすべての行為を意味する。
【0079】
本発明で用いられる用語「治療」とは、本発明によるワクチン組成物の投与によりエイズ及び/又は結核による症状が好転されるか有益であるように変更されるすべての行為を意味する。
【0080】
また他の様態で、本発明は、本発明による菌株でp24の発現に用いられる
図2Aに開示されたベクターに関する。
【0081】
一具現例で、前記ベクターは、最も好ましくは、配列番号4の塩基配列で示す。
【0082】
また他の様態で、本発明は、前記ベクターに形質転換された細胞に関する。前記細胞は、特に、マイコバクテリウム(Mycobacterium)を含む。
【0083】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【実施例】
【0084】
[実験方法]
(1.マウス及び免疫化過程)
雌BALB/cマウス(約25g、生後7週齢)をOrient-Bio社(大韓民国、ソウル)から購買し、生後8週齢になったとき実験に用いた。マウスは、グループ当たり5匹のマウスで構成される4個のグループに無作為に分けた。
【0085】
T細胞増殖の分析のために、p24タンパク質を尾静脈を通じて2匹のマウス(BALB/c)に注射し(30μg/マウス)、5匹のマウス(BALB/c)を各テストで骨髓由来樹状細胞(BMDCs)の製造に用いた。
【0086】
予防接種(vaccination)テストのために、BALB/cマウスを野生型、2種類の組換えBCG菌株(rBCG-pAL-p24及びrBCG-pMyong2-p24)又はrSmeg-pMyong2-p24菌株で2回(100μl PBS中の1x106CFU;4週間隔で)尾の基部から皮下に免疫化した。陰性対照群の場合、PBSを皮下に注射した。最終免疫化した後4週後に、マウスを各時点でCO2吸入により安楽死させた後、マウスの血液及び脾臓を除去してIFN-γ ELISPOT、サイトカイン測定、血清抗体検出(5匹/グループ)及びCTL分析(3匹/グループ)のような免疫学的検定に用いた。
【0087】
また、p24タンパク質処理により誘導された免疫反応の差及び相異なるバクテリア数を比較するために独立的な生体内テストを実行した。この場合、1週間隔で、BALB/c、マウス(3匹/グループ)をp24タンパク質(30μg/マウス)及び相異なる数のrBCG-pMyong2-p24菌株(1x106CFU及び1x107CFU)で2回皮下注射した。陰性対照群グループの場合、PBSを皮下に注射した。最終免疫化した後1週後、マウスを各時点でCO2吸入により安楽死させ、マウスの血液及び脾臓を除去してIFN-γ ELISPOT、血清抗体検出及びCTL分析のような免疫学的検定に用いた。
【0088】
(2.HIV-1 p24 Gagを発現するrBCG菌株の生成)
HIV-1 p24 Gagを発現するrBCG菌株の3個の相異なる類型、すなわち、pMyong2-p24プラスミドを有するBCG(rBCG-pMyong2-p24)、pAL-p24プラスミドを有するBCG(rBCG-pAL-p24)及びpMV306-p24プラスミドを有するBCG(rBCG-pMV306-p24)を生成するために、3個で構成されたプラスミド、すなわち、pMV306-p24、pAL-p24及びpMyong2-p24をコンピテントBCG菌株(Tokyo 172)にGene PulserIIエレクトロポレーション装置(Bio-Rad、Hercules、CA、USA)を用いてエレクトロポレーションした。形質転換体は、カナマイシン(100μg/ml)及びOADCが含有されたMiddlebrook 7H10培地(Difco Laboratories、Detroit、MI、USA)上で選択した。典型的に、形質転換体コロニーをプレートから選択し、0.5%グリセロール、0.05% Tween-80、10% ADC及びカナマイシンが補充された7H9培地(Difco Laboratories、Detroit、MI、USA)に移して3週~4週間培養した。rBCG菌株の成長率を600nmでの光学密度(OD)により測定した。
【0089】
(3.大腸菌(E.coli)からのp24タンパク質の生産)
組換えp24タンパク質は、上述したものから多少変形させて大腸菌から精製した。融合タンパク質の発現及び精製のために、大腸菌BL21菌株(RBC Bioscience、Taipei City、台湾)をpET23a-p24に形質転換させた。タンパク質の発現は、0.4mMのイソプロピルβ-D-チオガラクトピラシド(IPTG、DuchefaBiochemie、Haarlem、オランダ)を添加することで誘導した。バクテリア細胞を収得して氷で10分間超音波処理により破壊した。超音波処理された溶解物を1600×gで20分間4℃で遠心分離し、p24タンパク質を含有したペレットを4M尿素(Urea、Sigma Aldrich、St.Louis、MO、USA)を含有した結合緩衝液に再懸濁した。タンパク質をNi-NTA His結合樹脂(Merck、Darmstadt、ドイツ)を用いて精製し、4M尿素を含有した溶出緩衝液(300mM NaCl、50mM リン酸ナトリウム緩衝液、250mMイミダゾール)で溶出した。精製されたタンパク質を溶出緩衝液に対して連続的に透析してイミダゾール、尿素及び残留塩を除去した。p24タンパク質の純度をドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE;12%ゲル)により評価した。ゲルは、クマシーブリリアントブルー染色法を用いて視覚化した(
図1)。
【0090】
(4.マウスで骨髓由来樹状細胞の生産)
骨髓由来樹状細胞(BMDCs)を上述したように8週齢~12週齢のBALB/cマウスの骨髓(BM)から製造した。簡単に説明すれば、BM細胞を血清不含有のIscove’s modified Eagle medium(IMDM;Gibco Invitrogen、UK)を用いて大腿骨及び硬骨から除去した。単一細胞懸濁液を24ウェルプレートに10% FBS(Gibco Invitrogen)、組換えマウスGM-CSF(1.5ng/ml;PeproTech、Rocky Hill、NJ、USA)及びマウスIL-4(1.5ng/ml;PeproTech、USA)、ペニシリン(100units/ml;Gibco Invitrogen)、ストレプトマイシン(100μg/ml;Gibco Invitrogen)、ゲンタマイシン(50μg/ml;Gibco Invitrogen)、L-グルタミン(2mM;Gibco Invitrogen)及びβ-メルカプトエタノール(50nM;Gibco Invitrogen)が補充された最終体積2mlの完全IMDMにウェル当たり1×106細胞の濃度で播種した。培地の半分を6日間一日おきに同等な体積の完全IMDMに交替した。BMDCsを用いたそれぞれの実験を準備するために5匹のマウスを用い、BMDCsを分化させるために5個の24ウェルプレートを用いた。
【0091】
(5.rBCG菌株で感染されたJ774A.1及びBMDCsでのCFU検定)
マウスのマクロファージ細胞株J774.1(American Type Culture Collection、ATCC TIB-67)を37℃及び5%CO2で10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、2mMグルタミン及び必須アミノ酸が補充されたDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM;Thermo Scientific、Rockford、IL、USA)で維持させた。上述したように、マウス骨髓からBMDCsを生成させ、37℃及び5%CO2で10%FBS(Gibco Invitrogen)、組換えマウスGM-CSF(1.5ng/ml;PeproTech、Rocky Hill、NJ、USA)、マウス IL-4(1.5ng/ml;PeproTech、USA)、ペニシリン(100units/ml;Gibco Invitrogen)、ストレプトマイシン(100μg/ml;Gibco Invitrogen)、ゲンタマイシン(50μg/ml;Gibco Invitrogen)、L-グルタミン(2mM;Gibco Invitrogen)及びβ-メルカプトエタノール(50nM;Gibco Invitrogen)が補充されたIscove’s modified Eagle medium(IMDM;Gibco Invitrogen、UK)で維持させた。
【0092】
J774A.1細胞及びBMDCsをrBCG菌株、すなわち、rBCG-pMyong2-p24、-pAL-p24、及び-pMV306-p24及び野生型BCG菌株(10M.O.I)(3個一セット)で4時間感染させ、その後、PBSで3回洗浄した後に新しい培地とともに24時間の間培養した。24時間後、感染された細胞を0.5% Triton X-100で溶解させた。細胞溶解物をPBSで希釈してコロニー形成単位(CFUs)の計算のためにOADCが補充されたMiddlebrook 7H10寒天プレート上にプレーティングした。全ての感染グループを各実験で3個一セットで分析し、計2個の独立実験を実行した。
【0093】
(6.rBCG菌株でp24 Gag発現レベルの測定)
rBCG菌株でp24 Gag発現レベルを測定するために、ウエスタンブロッティング及びELISA分析を実行した。簡単に説明すれば、培養されたrBCG菌株のペレットをリゾチーム(100μg/ml)、DNase(5U/ml)及びプロテアーゼインヒビターが補充されたB-PER緩衝液(Thermo scientific、Rockford、IL、USA)に懸濁させた。その後、懸濁液を氷で5分間超音波処理し(パルス:0.3秒、中断:0.7秒)、13,000rpmで4℃で15分間遠心分離した。水相の同一の量のタンパク質をウエスタンブロッティング分析に用いた。各rBCG菌株でp24の発現レベルは、マウス抗p24モノクローナル抗体(Abcam、Cambridge、USA;1:1,000希釈)を用いて測定した。タンパク質濃度が全てのサンプルで同等であったかを確認するために、マイコバクテリアHsp65(Abcam、1:1,000希釈)を内部対照群として用いた。p24の安定的な発現を評価するために、多様な継代地点(1、4、6、8、10及び12回継代後)でrBCG-pMyong2-p24菌株のp24発現レベルも測定した。継代過程は、プレートからプレートに(カナマイシンがあるかない7H10寒天プレート)実行し、各継代から得たコロニーを7H9 broth培地で3週間培養した後にそれぞれの実験を実行した。追加的に、p24 ELISAキットを用いて(製造社から提案された方法で)同一の量のタンパク質でp24レベルの検出のために用いた(3個一セットのウェルで)(ABL、Rockville、USA)。全てのグループを2個の独立的な実験で分析した。
【0094】
(7.rBCG菌株で感染されたBMDCs及びJ774.1細胞でp24 Gag発現レベルの測定)
rBCG感染のために、J774.1細胞及びBMDCsをウェル当たり5~10×105個の細胞で(24ウェルプレート、3個一セット)播種して18時間の間培養した。3個の相異なるrBCG菌株を細胞に10の感染多重性(multiplicity of infection、M.O.I)で感染させた。また、相異なるM.O.I(1及び10M.O.I)のrBCG-pMyong2-p24菌株をBMDCsに感染させて相異なるM.O.Iによるp24発現の差を比較した。J774.1細胞及びBMDCsを4時間の間インキュベーションしてバクテリアの食作用を許容し、細胞外バクテリアをPBSで3回洗浄して除去した。感染されたJ774.1細胞及びBMDCsは、24時間及び/又は72時間の間インキュベーションした。
【0095】
細胞でのp24発現を分析するために、細胞ペレット中の総タンパク質をRIPA溶解緩衝液での懸濁液により製造し、p24 ELISAキット(ABL)(3個一セットのwellで)を用いて製造社のマニュアルによってp24レベルの測定のために用いた。全ての感染グループを各実験で3個を一セットで分析し、計2個の独立的な実験を実行した。
【0096】
(8.T細胞増殖分析)
T細胞増殖の分析のために次のような実験を実行した。マウス2匹にp24タンパク質(30μg/マウス)を静脈内注射した。7日後、脾臓細胞を極低温FACS緩衝液[1%ウシ血清アルブミン(BSA)及び1mM EDTAを含有したPBS]で洗浄し、氷で30分間10%ラット血清(Sigma Aldrich)、10%塩素血清(Gibco Invitrogen)、10%マウス血清(Sigma Aldrich)及び2.4G2モノクローナル抗体(10μg/ml;BD Biosciences、San Diego、CA、USA)を含有したスーパーブロック(super block)溶液でブロッキングした。細胞を続いてBV421-コンジュゲートされた抗-CD4(Clone GK1.5、BD Biosciences)及びPE-コンジュゲートされた抗-CD8a(Clone 53-6.7、eBioscience、San Diego、CA、USA)で30分間4℃で染色して極低温FACS緩衝液で3回洗浄した。FACS AriaIII器機(BD Biosciences)を用いてCD4及びCD8 T細胞集団を分類した。また、共培養する前日、未成熟BMDCsを野生型、2個のrBCG(rBCG-pMyong2-p24及び-pAL-p24)又はrSmeg-pMyong2-p24菌株で10のM.O.Iで24時間の間感染させた。増殖分析は、蛍光細胞質追跡染料であるCFSE(Invitrogen、Carlsbad、USA)を用いて実行した。分類されたCD4及びCD8 T細胞を5μM CFSEで4分間37℃で、及び4分間氷で染色した。その後、CFSEが標識されたT細胞及び感染されたBMDCsを4日間共培養した。
【0097】
T細胞と感染されたBMDCsを共培養して4日後に、共培養された細胞(3個一セットのwell)を氷で30分間スーパーブロック(super block)溶液でブロッキングし、CD4 BV421-コンジュゲートされた抗-CD4(Clone GK1.5、BD Biosciences)及びPE-コンジュゲートされた抗-CD8a(Clone 53-6.7、eBioscience)で30分間4℃で染色した。細胞サイクルプロファイルは、FACS LSRFortessa(BD Biosciences)を用いて測定し、測定値は、Flowjoソフトウェアを用いて分析した(
図4A)。全ての実験は、3個を一セットで実行した。
【0098】
(9.IL-2 ELISA)
前記T細胞増殖分析過程で共培養された上層液(3個一セットのウェル)のマウスIL-2の量をELISAを用いて製造社のマニュアル(BioLegend、USA)によって測定した。全ての実験を2回実行した。
【0099】
(10.Enzyme-Linked ImmunoSpot(ELISPOT)分析)
野生型及びrBCG菌株で免疫化されたマウス(5匹/グループ)から得た脾臓細胞を用いて次のようにELISPOT検定を実行した。簡単に説明すれば、96-well ELISPOTプレート(PVDF膜)をPBS中のマウスIFN-γ(3μg/ml、クローン:AN-18)捕捉抗体(BD-Biosciences、San Diego、CA、USA)でコーティングして一晩4℃でインキュベーションした。捕捉抗体を捨て、プレートを0.05% Tween-20(PBST)を含有したPBS及びPBS(それぞれ3回)で洗浄し、プレートを10% FBSを含んだ200μlのRPMI 1640培地で3時間の間37℃でブロッキングした。ブロッキングした後、予防接種されたマウスから採取した脾臓細胞を各ウェル当たり5×105個ずつローディングした。それぞれの治療グループに対して、細胞を3個一セットで総200μlの体積のうち5μg/mlの精製されたp24抗原又は培地単独で刺激した。その後、プレートを37℃で24時間の間インキュベーションした。細胞を陽性対照群として5ng/mlのホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)(Sigma-Aldrich、St.Louis、USA)及び500ng/mlのイオノマイシン(Sigma-Aldrich)で刺激した。PBST及びPBS(それぞれ3回)で洗浄した後、各ウェルをビオチンが標識されたマウスIFN-γ(3μg/ml、クローン:XMG1.2)検出抗体(BD-Biosciences)で処理してプレートを一晩4℃でインキュベーションした。細胞をさらに洗浄してホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)-コンジュゲートされたストレプトアビジンを各ウェルに添加した。HRP反応は、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)基質試薬セット(BD-Biosciences)を用いて展開した。ウェル当たりスポット形成単位(SFUs)の数をELISPOT判読機(AID ELISPOT判読機、Strasburg、ドイツ)を用いて自動で計数した。全てのグループを3個一セットで分析し、2回の独立的な実験を実行した。
【0100】
(11.rBCG菌株で免疫化されたマウスでのサイトカイン生成の測定)
免疫化されたマウス(5匹/グループ)から得た脾臓細胞を10% FBSを含んだRPMI 1640培地で1×106細胞/ウェル(96ウェルマイクロプレート、200μl体積、3個一セットで)の濃度に調整し、精製されたp24タンパク質を試験管内刺激のために5μg/mlの濃度で添加した。細胞を培養し、上層液をELISAキットを用いてIL-2(BioLegend、San Diego、CA、USA)、IL-6(eBioscience)及びIFN-γ(BioLegend)サイトカイン測定のために収得した。全てのグループを3個一セットで分析し、2回の独立的な実験を実行した。
【0101】
(12.血清抗体検出)
血清抗体の割合を検出するために、免疫化されたマウス(5匹/グループ)からCO2の過呼吸を通じた安楽死後に心臓穿孔方法を用いて血清サンプルを収集した。96ウェルプレートを一晩4℃で0.05M炭酸塩-重炭酸塩緩衝液(pH9.6)中の精製されたp24タンパク質(5μg/ml)でコーティングした。プレートをPBST及びPBSで3回洗浄して常温(RT)で1時間の間5%ウシ血清アルブミン(PBST中のBSA)でブロッキングした。血清サンプルをPBSで1:10の割合で希釈し、100μlをウェルに添加した(3個一セットで)。プレートを2時間の間常温でインキュベーションし、PBST及びPBSで3回洗浄し、1時間の間ビオチン化ラット抗-マウスIgG2a、IgG1(BD Biosciences、1:1,000希釈)及び総IgG(eBioscience、1:1,000希釈)抗体とともにインキュベーションした。その後、プレートを再び洗浄し、HRPコンジュゲートされたストレプトアビジン(eBioscience))とともに30分間常温でインキュベーションした。最終洗浄段階後に、全てのウェルをBD OptEIA基質(BD Biosciences)と10分間反応させた後、1N H2SO4を用いて反応を中断させた。分光計を用いて450nmの波長で光学密度(OD)を測定した。
【0102】
(13.細胞傷害性Tリンパ球(CTL)分析)
誘導されたCTL反応は、上述したものから多少変形を加えて測定した。簡単に説明すれば、エフェクター細胞の場合、それぞれの免疫化されたグループのマウスから得た脾臓細胞を主要組織適合性複合体(MHC)class I-制限p24ペプチドA9I(AMQMLKETI)(10μg/ml;Peptron、大田、大韓民国)を用いてパルスし、6日間IL-2(30U/ml;PeproTech、Rocky Hill、USA)とともに37℃で5% CO2インキュベーターでインキュベーションした。標的細胞、すなわち、P815細胞(H-2d)をA9Iペプチド(10μg/ml)とともに2時間の間インキュベーションした後、エフェクター細胞及び標的細胞の共培養により製造した。細胞の細胞毒性をU字底96ウェルプレートで乳酸脱水素酵素(LDH)分析法により製造社のプロトコル(CytoTox 96非放射性細胞毒性分析;Promega、Madison、USA)によって評価した。簡単に説明すれば、エフェクター細胞(抗原により刺激された脾臓細胞)を標的細胞(p24パルスされたP815細胞)に3個一セットで相異なるエフェクター/標的(E/T)割合(10:1、20:1~50:1の範囲)で6時間の間添加した;その後、培養された上層液から放出されたLDH値を490nmで分光計を用いて検出した。特異的細胞溶解の百分率を次の式を用いて計算した:[{実験(Experimental)-自然発生的エフェクター(Effector spontaneous)-自然発生的標的(Target spontaneous)}]/{最大標的(Target maximum)-自然発生的標的(Target spontaneous)}×100(%)。全てのグループを3個一セットで分析し、2回の独立的な実験を実行した。
【0103】
(14.統計的分析)
提供された全てのデータは、平均±標準偏差として表示した。スチューデントt-テストは、変量を比較するためにマイクロソフトエクセルソフトウェアを用いて実行し、p値が0.05より少ないときの差を統計学的に有意味なものとみなした。
【0104】
[実施例]
[実施例1.rBCG-pMyong2-p24菌株はバクテリア及び感染細胞でHIV-1 p24 Gag発現向上をもたらす]
本発明では、HIV-1 p24 Gag予防接種のためのrBCGの製造でpMyong2ベクターシステムの有用性を調べるために、相異なるマイコバクテリウム-大腸菌シャトルベクター、すなわち、pMyong2-TOPO、pAL-TOPO及びpMV306をそれぞれ用いてp24を発現する三つの類型のrBCG菌株、すなわち、rBCG-pMyong2-p24、rBCG-pAL-p24及びrBCG-pMV306-p24を生成した(
図2A)。7H9 broth(100μg/mlのカナマイシン含む)で30日間3個のrBCG菌株の成長率を比較した。その結果、rBCG及び野生型BCG菌株がほとんど同一の成長率を示した(
図2B)。追加的に、マクロファージ及びDCsにおいてこのようなrBCG菌株の生存を調査するために、感染された細胞を0.05% Triton X-100(in PBS)で溶解させて7H10寒天プレート上にプレーティングした。二つの細胞で全て、向上されたp24発現によるバクテリア負荷(bacterial burden)によりrBCG-pMyong2-p24菌株は、他の菌株(すなわち、rBCG-pAL-p24、-pMyong2-p24及び野生型BCG菌株)より少ないCFUを示した(
図2C)。
【0105】
3個のrBCG菌株のバクテリアでp24の発現レベルを比較するために、培養されたバクテリアの溶解後にp24に対するELISA(
図3A)及びウエスタンブロッティング(
図3B)解析を実行した。全てのrBCG菌株はp24タンパク質を発現することができた。rSmeg-pMyong2-p24菌株と同様に、rBCG-pMyong2-p24菌株は、他のベクターシステムでの菌株よりおおよそ2又は3倍さらに高いレベルのp24を発現した。rBCG-pAL-p24は、rBCG-pMV306-p24より多少高いレベルのp24を生成した(
図3A及びB)。
【0106】
また、p24の安定的な発現を評価するために、カナマイシンの有り無しの条件で、7H10寒天プレート上で多様な継代地点でのrBCG-pMyong2-p24でp24の発現レベルをウエスタンブロッティング分析により測定した。rBCG-pMyong2-p24菌株は、カナマイシンの有り無しの条件で、7H10寒天プレート上で12回の継代後にも安定的なp24発現を示した(
図3D及びF)。追加的に、3個のrBCG菌株で感染されたマウスマクロファージ(J774A.1)及びBMDCsでp24の発現レベルを、ELISAを用いて調査した。観察された傾向は、溶解されたrBCG菌株で観察されたものと類似していた(
図3H)。
【0107】
また、相異なるM.O.Iによるp24発現レベルを比較するために、BMDCsをrBCG-pAL-p24及びrBCG-pMyong2-p24の相異なるM.O.I(1及び10M.O.I)で1日及び3日間感染させた。その結果、二つの菌株の増加されたM.O.Iがp24発現増加に影響を及ぼしたことが確認された。しかし、上記で提示されたように、rBCG-pMyong2-p24は、rBCG-pAL-p24菌株より多くのp24発現を誘導した(
図3I)。
【0108】
全体的に、他の二つのrBCG菌株、すなわち、rBCG-pAL-p24及びrBCG-pMV306-p24と比較して、rBCG-pMyong2-p24は、感染された抗原提示細胞(APC)及びバクテリアでp24の生成を増加させた。
【0109】
[実施例2.rBCG-pMyong2-p24菌株で感染されたBMDCsはHIV-1 p24 Gagで免疫化されたマウスでT細胞増殖の向上をもたらす]
本発明では、向上されたp24タンパク質生成を示すrBCG-pMyong2-p24がT細胞増殖能力を改善させることができるか否かを測定するために、4個の相異なる菌株、すなわち、野生型BCG(対照群として)、2つの類型のrBCG(rBCG-pMyong2-p24及びrBCG-pAL-p24)及びrSmeg-pMyong2-p24でそれぞれ感染されたBMDCsでのT細胞増殖を混合されたリンパ球反応(mixed lymphocyte response、MLR)を通じたCFSE希釈方法を用いて分析を実行した。同一のpMyong2ベクターシステム、すなわち、rBCG-pMyong2-p24及びrSmeg-pMyong2-p24を用いて2個の相異なる種の間のHIV-1 p24 Gag特異的免疫反応を誘導する能力を比較するために、rSmeg-pMyong2-p24菌株をやはり含ませた。T細胞増殖分析の概略的な内容は、
図4Aに示した。
【0110】
結果的に、2個のrBCG及び1個のrSmeg菌株で感染された全てのBMDCsは、感染されないBMDCsよりさらに高いレベルのCD4及びCD8 T細胞増殖を誘導した。特に、rBCG-pMyong2-p24で感染されたBMDCsは、他の2つの組換え菌株(rBCG-pAL-p24及びrSmeg-pMyong2-p24菌株)及び野生型BCG菌株で感染されたものよりさらに高いレベルのCD4及びCD8 T細胞増殖を誘導した。しかし、rBCG-pAL-p24で感染されたBMDCsとrSmeg-pMyong2-p24で感染されたもののうちでは、CD4及びCD8 T細胞の増殖において両方とも有意な差は観察されなかった(
図4B及びC)。また、刺激されたCD4及びCD8 T細胞でIL-2レベルの比較は、やはりT細胞増殖分析で観察されたものと類似した傾向性を示した(
図4D)。
【0111】
[実施例3.rBCG-pMyong2-p24菌株は皮下免疫化により生成されたマウス脾臓で、HIV-1 p24 Gag特異的IFN-γスポット形成細胞(spot forming cells、SFC)を誘導が向上する]
rBCG-pMyong2-p24の予防接種後にT細胞反応が改善されたか否かを測定するために、3個の相異なる菌株、すなわち、2つの類型のrBCG菌株(rBCG-pMyong2-p24及び-pAL-p24)、rSmeg-pMyong2-p24(
図5A)及び対照群として野生型BCG菌株(~10
6CFU)で皮下免疫化されたBALB/cマウス(5匹/グループ)の脾臓から脾臓細胞を分離し、IFN-γ ELISPOT分析法を用いてHIV-1 p24 Gag特異的T細胞反応に対して分析した。3個の組換え菌株で皮下免疫化されたマウスから得た脾臓細胞は、野生型BCG菌株で免疫化されたマウスから得た脾臓細胞よりさらに高いSFUsを示した。特に、rBCG-pMyong2-p24(987.78±195.11 SFUs/10
6脾臓細胞)で免疫化されたマウスから採取した脾臓細胞は、他の2個の菌株、すなわち、rBCG-pAL-p24(479.56±213.90 SFUs/10
6脾臓細胞)及びrSmeg-pMyong2-p24(647.00±151.01 SFUs/10
6脾臓細胞)で免疫化されたマウスから採取した脾臓細胞よりさらに高いSFUsを誘発した(
図5B)。しかし、予防接種されたマウスからのp24特異的IFN-γ SFUsでrBCG-pAL-p24とrSmeg-pMyong2-p24菌株の間に有意な差は観察されなかった(
図5B)。
【0112】
総合すれば、本発明のデータは、rBCG-pMyong2-p24がTh1に特徴的なサイトカインであるIFN-γの向上されたHIV-1 p24 Gag-特異的生成を誘導し、Th1型免疫反応を歪曲させることでワクチン効能を向上させるための実行可能性を示す。
【0113】
[実施例4.rBCG-pMyong2-p24菌株は予防接種されたマウスから得た脾臓細胞でTh1又は前炎症性(pro-inflammatory)サイトカインの生成の向上をもたらす]
rBCG菌株及びrSmeg-pMyong2-p24で二回免疫化した後4週後に得られた脾臓細胞(5匹/グループ)(
図5A)を精製されたp24タンパク質(5μg/ml)で3個一セットで試験管内で刺激させ、細胞培養上層液中のIL-2、IFN-γ及びIL-6の誘導されたサイトカイン生成を検出した。二つの種類のTh1型サイトカイン、すなわち、IL-2及びIFN-γ、そして一つの前炎症性サイトカイン、すなわち、IL-6で、rBCG-pMyong2-p24菌株は、野生型又は他の2個の組換え菌株でよりも常に、全ての時点(1日目及び3日目)で、予防接種されたマウスから得た脾臓細胞でよりもさらに高いレベルのサイトカインを生成した(
図5C及び表1)。
【0114】
【0115】
[実施例5.rBCG-pMyong2-p24菌株は免疫化されたマウスでHIV-1 p24 Gag特異的Th1に傾斜した体液性反応を誘導する]
本発明では、rBCG-pMyong2-p24が免疫化されたマウスでTh1に傾斜した体液性反応を誘導するか否かを測定するために、それぞれTh1及びTh2反応の公知されたマーカーであるHIV-1 p24 Gag特異的IgG2a及びIgG1のレベルを分析した。
図6に示したように、2個のrBCG及びrSmeg-pMyong2-p24菌株は、野生型よりさらに高いレベルのIgG2aアイソタイプを誘導した。IgG1アイソタイプと関連して3個の組換え菌株が類似したレベルのIgG1を誘導した;しかし、その結果は、統計学的有意性には到逹しなかった。総IgGの場合に、rBCG-pMyong2-p24は、他の二つの組換え菌株(すなわち、rBCG-pAL-p24及びrSmeg-pMyong2-p24)より相当にさらに高いレベルの総IgGを示した(
図6)。
【0116】
総合的に、IgG2a/IgG1の割合は、より高いほどさらにTh1に傾斜した体液性免疫反応を示し、前記割合は、rBCG-pMyong2-p24(1.03±0.02)で免疫化されたマウスから採取した血清で、他の菌株(野生型BCG=0.91±0.71;rBCG-pAL-p24=0.88±0.21;rSmeg-pMyong2-p24=1.01±0.17)で免疫化されたマウスから採取した血清での割合よりさらに高かった。このような結果は、rBCG-pMyong2-p24菌株が免疫化されたマウスで向上されたHIV-1 p24 Gag特異的Th1に傾斜した体液性反応を誘導できることを示す。
【0117】
[実施例6.rBCG-pMyong2-p24菌株は免疫化されたマウスで向上されたHIV-1 p24 Gag-特異的細胞傷害性Tリンパ球反応を誘導する]
本発明では、rBCG-pMyong2-p24が免疫化されたマウスで向上されたHIV-1 p24 Gag-特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応を誘導するか否かを測定するために、2個のrBCG(rBCG-pMyong2-p24、-pAL-p24)、rSmeg-pMyong2-p24又は野生型BCG菌株で免疫化されたマウスからの脾臓細胞でCTL活性を、LDH細胞毒性分析を通じて評価した。免疫化過程は、
図5Aで記述した。A9Iペプチドで2時間の間パルスされたP815細胞(H-2d)が標的細胞として用いられ、エフェクター/標的割合は、上述したように10:1、20:1及び50:1であった。
図7に示したように、50:1のE:T割合で、rBCG-pMyong2-p24で免疫化されたマウスのCTLが他の菌株で免疫化されたものより相当にさらに高いレベルのHIV-1 p24 Gag特異的標的細胞溶解を誘導できることを示す(
図7)。しかし、rBCG-pMyong2-p24とrSmeg-pMyong2-p24菌株の間で有意な差は観察されなかった(
図7)。
【0118】
[実施例7.rBCG-pMyong2-p24菌株はp24タンパク質予防接種に比べて免疫化されたマウスで向上されたHIV-1 p24 Gag特異的体液性及び細胞媒介された免疫反応を誘導する]
本発明では、p24タンパク質とrBCG-pMyong2-p24菌株の相異なるCFU間のp24特異的免疫反応を比較するために、次のようなグループで独立的な生体内実験を実行した。
i)PBS対照群
ii)p24タンパク質(30μg/マウス)注射、iii)rBCG-pMyong2-p24(1×10
6CFU)注射、及びiv)rBCG-pMyong2-p24(1×10
7CFU)注射(1週間隔、2回皮下注射)群。
免疫化過程は、実験方法の段落で記述した。最後の免疫化後に、p24-特異的IFN-γ ELISPOT、IgG亜型分析及びCTL分析を実行した。IFN-γ ELISPOT分析の場合、p24特異的IFN-γ SFUがCFU依存的方式で増加した。しかし、p24タンパク質が注射されたマウスから得た脾臓細胞は、p24特異的IFN-γ SFUを誘導することができなかった(
図8A)。これと同様に、それぞれの免疫化されたマウスから得た血清サンプルでp24特異的IgG2a抗体もCFU依存的方式で増加した。しかし、p24タンパク質が注射されたマウスの血清でp24特異的IgG2a抗体は、rBCG-pMyong2-p24注射グループのそれと比較してさらに低いレベルを示した(
図8B)。
【0119】
また、p24タンパク質とrBCG-pMyong2-p24菌株の相異なるCFU間のp24特異的CTL反応を比較した。本明細書のデータは、rBCG-pMyong2-p24のp24特異的CTL反応がCFU依存的方式で増加し、常にp24タンパク質のそれより相当にさらに高かったことを示した(
図8C))。
【0120】
総合的に、本明細書のデータは、rBCG-pMyong2-p2がCFU依存的方式でp24-特異的TH1-バイアスされた細胞性及び体液性免疫反応を誘導することができ、p24タンパク質の予防接種モジュールと比較して、HIV-1ワクチン療法としての長所を有することを示す。
【0121】
上述した本発明の説明は例示のためのもので、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更しなくても他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないことで理解すべきである。
【配列表】