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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ねじ軸光沢度評価用装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/57 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
G01N21/57
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021154517
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023045902
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2023-02-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591205732
【氏名又は名称】マコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】徳長 靖
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 勇雄
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1376274(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1376273(KR,B1)
【文献】特開2017-190974(JP,A)
【文献】特開2012-133753(JP,A)
【文献】特開2009-276093(JP,A)
【文献】特開昭56-029108(JP,A)
【文献】特開2017-190980(JP,A)
【文献】特開2016-075502(JP,A)
【文献】鏡面光沢度-測定方法,日本工業規格 JIS Z8741-1997,1997年度版,日本,2023年04月24日
【文献】ハンディ型光学計 PG-1M(オンライン),日本,株式会社 シロ産業,2023年04月24日,2015年4月20日収録,<URL:https://www.webshiro.com/syouhinsetumei/PG-1M.htm>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールねじにおけるねじ軸の光沢、レーザー光の反射率を用いて評価するためのねじ軸光沢性評価用装置であって、評価対象となるねじ軸のねじ溝面にレーザー光を照射する照射部と、この照射部から照射されたレーザー光の前記ねじ溝面での反射光を受光する受光部と、この受光部で受光した前記反射光の光の量と前記評価対象となるねじ軸のねじ溝面におけるねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径及びねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径を基に設定される基準となる反射光の光の量とから反射率を算出する反射率算出部とを備えたことを特徴とするねじ軸光沢評価用装置。
【請求項2】
請求項1記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記基準となる反射光の光の量は、前記評価対象のねじ軸のねじ溝面が鏡面であると仮定して該ねじ溝面におけるねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径とねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径とを基に設定されることを特徴とするねじ軸光沢評価用装置。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記照射部及び前記受光部が設けられるベース部と、このベース部に対設され前記ねじ軸を支承するねじ軸支承部とを備え、前記ベース部に設けられた前記照射部及び前記受光部と前記ねじ軸支承部で支承された前記ねじ軸の相対位置を調整可能に構成されていることを特徴とするねじ軸光沢評価用装置。
【請求項4】
請求項3記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記ベース部には、前記ねじ軸支承部で支承した前記ねじ軸に対する平行移動方向としての第一直線方向と、この第一直線方向と直交し前記ねじ軸支承部で支承した前記ねじ軸に対する切離移動方向としての第二直線方向と、前記第一直線方向及び前記第二直線方向と直交し昇降移動方向としての第三直線方向への移動を可能にして、前記照射部及び前記受光部と前記ねじ軸支承部で支承された前記ねじ軸の相対位置を調整可能にする可動部が設けられていることを特徴とするねじ軸光沢評価用装置。
【請求項5】
請求項4記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記可動部は、前記ベース部を鉛直回動させるように構成されていることを特徴とするねじ軸光沢評価用装置。
【請求項6】
請求項3~5いずれか1項に記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記ねじ軸支承部は、前記ねじ軸を水平状態に支承するように構成されており、更に、支承した前記ねじ軸を鉛直回動させる鉛直回動機構と、支承した前記ねじ軸を水平回動させる水平回動機構とを備えたことを特徴とするねじ軸光沢評価用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじにおけるねじ軸の光沢度を評価するねじ軸光沢度評価用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボールねじにおけるねじ軸の製造工程における完成検査項目の一つにねじ溝面の光沢度がある。
【0003】
従来、このねじ軸におけるねじ溝面の光沢度を評価する方法としては、例えば、熟練の検査員の経験と感覚を頼りに目視で良否を判断したり、予め光沢度が良好であると判断されたサンプルと見比べて良否を判断するなど、人の目視による評価が行われていたが、前述した検査員の目視による評価方法では、ねじ軸の光沢度合いを定量的に評価することはできず、検査員によって評価結果の相違が生じたり、同じ検査員であっても評価結果がばらつく可能性があるなど、正確な評価を継続的に行うことができないという問題点があった。
【0004】
ところで、従来においても、例えば特許文献1に開示されるような照射したレーザー光の反射光の光の量から光沢度を測定する光沢度測定装置(以下、従来例)が提案されているが、この従来例は、レーザー光を照射する測定部位が平面であることを前提したものであり、よって、ねじ軸のねじ溝面は3次元的に湾曲した複雑な形状をしていることから光沢度を良好に評価することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平3-65954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述したような問題点に鑑みなされたもので、従来にない実用的なねじ軸光沢度評価用装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
ボールねじにおけるねじ軸の光沢、レーザー光の反射率を用いて評価するためのねじ軸光沢性評価用装置であって、評価対象となるねじ軸30のねじ溝面30aにレーザー光を照射する照射部1と、この照射部1から照射されたレーザー光の前記ねじ溝面30aでの反射光を受光する受光部2と、この受光部2で受光した前記反射光の光の量と前記評価対象となるねじ軸30のねじ溝面30aにおけるねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径及びねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径を基に設定される基準となる反射光の光の量とから反射率を算出する反射率算出部とを備えたことを特徴とするねじ軸光沢評価用装置に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記基準となる反射光の光の量は、前記評価対象のねじ軸30のねじ溝面30aが鏡面であると仮定して該ねじ溝面30aにおけるねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径とねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径とを基に設定されることを特徴とするねじ軸光沢評価用装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記照射部1及び前記受光部2が設けられるベース部3と、このベース部3に対設され前記ねじ軸30を支承するねじ軸支承部4とを備え、前記ベース部3に設けられた前記照射部1及び前記受光部2と前記ねじ軸支承部4で支承された前記ねじ軸30の相対位置を調整可能に構成されていることを特徴とするねじ軸光沢評価用装置に係るものである。
【0011】
また、請求項3記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記ベース部3には、前記ねじ軸支承部4で支承した前記ねじ軸30に対する平行移動方向としての第一直線方向Xと、この第一直線方向Xと直交し前記ねじ軸支承部4で支承した前記ねじ軸30に対する切離移動方向としての第二直線方向Yと、前記第一直線方向X及び前記第二直線方向Yと直交し昇降移動方向としての第三直線方向Zへの移動を可能にして、前記照射部1及び前記受光部2と前記ねじ軸支承部4で支承された前記ねじ軸30の相対位置を調整可能にする可動部5が設けられていることを特徴とするねじ軸光沢評価用装置に係るものである。
【0012】
また、請求項4記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記可動部5は、前記ベース部3を鉛直回動させるように構成されていることを特徴とするねじ軸光沢評価用装置に係るものである。
【0013】
また、請求項3~5いずれか1項に記載のねじ軸光沢評価用装置において、前記ねじ軸支承部4は、前記ねじ軸30を水平状態に支承するように構成されており、更に、支承した前記ねじ軸30を鉛直回動させる鉛直回動機構と、支承した前記ねじ軸30を水平回動させる水平回動機構とを備えたことを特徴とするねじ軸光沢評価用装置に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、ねじ軸の光沢度を定量的に評価することができるなど、従来にない実用的なねじ軸光沢度評価用装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例を示す平面図である。
図2】本実施例を示す側面図である。
図3】本実施例の要部の説明図である。
図4】本実施例の使用状態説明図である。
図5】本実施例の使用状態説明図である。
図6】本実施例の要部の説明図である。
図7】本実施例の要部の説明図である。
図8】本実施例の要部の説明図である。
図9】本実施例の使用状態説明図である。
図10】本実施例の使用状態説明図である。
図11】本実施例の要部の説明図である。
図12】本実施例の要部の説明図である。
図13】本実施例の要部の説明図である。
図14】別実施例の動作説明図である。
図15】別実施例の動作説明図である。
図16】本実施例の要部の説明図である。
図17】本実施例に係るレーザー光の照射位置と受光部2における受光量の関係の説明図である。
図18】本実施例に係るレーザー光の強度分布と光量の説明図である。
図19】本実施例に係るレーザー光の広がりの説明図である。
図20】本実施例に係るレーザー光の広がりの説明図である。
図21】本実施例に係る反射光の強度分布と受光量の説明図である。
図22】光沢度と反射光における光量との関係の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明者は、ねじ軸30の製造時にねじ溝面30aに設定される2つの曲率半径(ねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径及びねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径)に着目し、本発明を完成させた。
【0018】
即ち、ねじ軸30におけるねじ溝面30aの測定点に向けて照射部1からレーザー光を照射し、このレーザー光がねじ溝面30aで反射した反射光を受光部2で受光すると、この受光部2で受光した反射光の光の量と評価対象となるねじ軸30のねじ溝面30aにおけるねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径及びねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径を基に設定される基準となる反射光の光の量とから反射率が反射率算出部で算出され、この反射率により当該ねじ溝面30aの光沢度を評価する。
【0019】
従って、例えばロット生産されるねじ軸30に対して要求される光沢度であるか否かを定量的に評価することができる。
【実施例
【0020】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0021】
本実施例は、内周面にボール転動溝(無限循環路を構成するねじ溝)が螺旋状に形成された筒状のボールねじナットと、外周面にボール転動溝(ねじ溝30’)が螺旋状に形成されたねじ軸30と、ボールねじナットとねじ軸30との間に設けられる複数のボールとで構成されるボールねじにおけるねじ軸30の光沢度を評価するための装置であって、評価対象となるねじ軸30のねじ溝面30a(転動面)にレーザー光を照射する照射部1と、この照射部1から照射されたレーザー光のねじ溝面30aの反射光を受光する受光部2と、この受光部2で受光した反射光の光の量と評価対象となるねじ軸30のねじ溝面30aにおけるねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径及びねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径を基に設定される基準となる反射光の光の量とから反射率を算出する反射率算出部とを備えたものである。
【0022】
尚、本実施例は、ねじ軸30のねじ溝面30aとして二つの円弧を重ね合わせた形状(通称:ゴシックアーチ形状)のねじ溝面30aを採用しているが、単一円弧のねじ溝面30aでも良いなど、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用するものである。
【0023】
具体的には、本実施例は、図1,2に図示したように照射部1及び受光部2は方形板状のベース部3の上部に設けられ、後述するねじ軸支承部4の対向位置に設けられており、このベース部3に設けられた照射部1及び受光部2とねじ軸支承部4で支承されたねじ軸30の相対位置を調整可能に構成されている。
【0024】
この照射部1の光軸と受光部2の光軸は、図3に示すように測定軸lcと同一平面内に設けられている。
【0025】
また、それぞれの光軸は、測定軸lcに対して角度ε(入射角と反射角)だけ傾きかつ焦点Oを起点とする直線ltまたはlsに一致する。
【0026】
また、この照射部1及び受光部2が設けられるベース部3は、装置本体10の上部に可動部5を介して設けられている。
【0027】
この可動部5は、ねじ軸支承部4で支承したねじ軸30に対する平行移動方向としての第一直線方向X(左右方向)と、この第一直線方向Xと直交しねじ軸支承部4で支承したねじ軸30に対する切離移動方向としての第二直線方向Y(前後方向)と、第一直線方向X及び第二直線方向Yと直交し昇降移動方向としての第三直線方向Z(鉛直方向)への移動を可能にして、照射部1及び受光部2とねじ軸支承部4で支承されたねじ軸30の相対位置を調整可能にするように構成されている。
【0028】
図14,15は別実施例であり、可動部5は、ベース部3を左右に傾く鉛直回動(ねじ軸30の軸心と直交する水平軸を中心に鉛直面内を回動)させるように構成され、更に、照射部1及び受光部2も適宜な位置(ねじ軸30の軸心に対して測定軸が45度となる位置)に設けられている。
【0029】
ねじ軸支承部4は、図1,2に図示したようにねじ軸30を軸心が水平となる水平状態に支承するように構成されており、更に、支承したねじ軸30を鉛直回動(軸心と直交する水平軸を中心に鉛直面内を回動)させる鉛直回動機構と、支承したねじ軸30を水平回動(軸心と直交する鉛直軸を中心に水平面内を回動)させる水平回動機構とを備えている。
【0030】
具体的には、装置本体10の上部にしてベース部3(照射部1及び受光部2)の対向位置に支持台部材4bが水平回動自在に設けられて支承したねじ軸30を水平回動させる水平回動機構として構成され、この支持台部材4bの上部左右位置にねじ軸30を架設状態に載置支承する一対の支承部材4aが設けられ、支承したねじ軸30を鉛直回動させる鉛直回動機構として構成されている。
【0031】
また、支承部材4aの上部にはねじ軸30を篏合係止する逆三角形状の凹部4a’が設けられており、ねじ軸30を安定的に支承するように構成されている。
【0032】
従って、ねじ軸支承部4は、ねじ軸30の測定点Mにおける法線lnが、測定軸lcと同じ方向で、且つねじ溝幅方向がX方向、ねじ溝螺旋方向がZ方向となるようにねじ軸30を保持できる構造となっている。
【0033】
このため、ねじ溝30’の底部(最も低い部位)における光沢を測定する場合は、図4~8に示すようにねじ軸支承部4はねじ軸30を測定点M上のリード角βbだけ傾けた状態で保持する。一方、ねじ溝30’のボール接触部における光沢を測定する場合は、図9~13に示すようにねじ軸支承部4を測定点M上のリード角βcだけ傾け、さらに接触角αだけ回転した状態で保持する。
【0034】
また、本実施例は、前述したように受光部2で受光した反射光の光の量と評価対象となるねじ軸30のねじ溝面30aにおける互いに直交する2方向の曲率半径(ねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径及びねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径)を基に設定される基準となる反射光の光の量とから反射率γを算出する反射率算出部(図示省略のコンピュータシステム)を備えている。
【0035】
具体的には、基準となる反射光の光の量は、評価対象のねじ軸30のねじ溝面30aが鏡面であると仮定して該ねじ溝面30aにおけるねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径とねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径とを基に設定されており、よって、測定点Mにおける反射率γは、(受光部2で受光した反射光の光の量)/(基準となる反射光の光の量)×100%で算出される。
【0036】
符号6はアンプ部、7はオシロスコープである。
【0037】
以上の構成から成る本実施例に係るねじ軸光沢度評価用装置の有用性について説明する。
【0038】
ねじ軸支承部4でねじ軸30を支承した状態で、図16に示すように受光部2と焦点Oの間のY方向の距離Lcと、受光部2とねじ軸30のねじ溝面30a上の測定点Mまでの距離Lが等しくなるように、ベース部3のY方向の位置を可動部5を可動させて調整する。
【0039】
続いて、ねじ軸30の測定点M付近にレーザー光が照射されるように、ベース部3のXとZの2方向の位置を可動部5を可動させておおまかに調整したうえで、測定点Mの法線lnと測定軸lcが一致するまで、ベース板のXとZの2方向に位置を微調整する。
【0040】
図17に示すように、測定点Mの法線lnと測定軸lcがずれている場合は、反射光の向きがずれて受光部2の受光量の値が低くなるが、法線lnと測定軸lcが一致すると受光量はピークとなるため、オシロスコープ7などで受光量の値を確認しながらベース部3のXとZの2方向の位置を調整することで、ピークの受光量の値を測定することができる。
【0041】
照射部1から照射されたレーザー光は、図18のような光量分布の形状となり、中心からの距離rの位置における光量Iは次式(1)で表される。
【0042】
【数1】
【0043】
ここで、Iはレーザー光のビーム中央の光量、ωは、Iの値がIの0.135倍になるときのrの値を表す。I及びωの値は、レーザー光の分布波形を測定することで求めることができる。
【0044】
また、図18中の面積Aは次式(2)で表される。
【0045】
【数2】
【0046】
ここで、rは受光部2の中にある集光レンズの半径を表し、これが受光部2の光量検出範囲となる。
【0047】
よって、照射されたレーザー光全体の光量Vは、次式(3)で表され、この値は平面ミラーにレーザー光を照射したときの受光部2の受光量と等しくなる。
【0048】
【数3】
【0049】
この照射されたレーザー光は、直交する2方向の曲率半径(ねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径及びねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径)を持った測定点Mで反射することによりねじ溝幅方向及びねじ溝螺旋方向では、図19,20のように広がり、受光部2の位置では長軸a、短軸bの楕円となる。
【0050】
ここで、a,bの長さは、測定点Mにおける曲率半径r,rの値によって定まる。
【0051】
このため、受光部2の位置における反射光の光量分布は、図18の分布から図21のような楕円状に広がった分布形状に変化し、角度位置θで中心からの距離rの位置における光量Iは、測定点Mが反射率100%(鏡面)と仮定すると、次式(4)で表される。
【0052】
【数4】
【0053】
ここで、Iはレーザー光のビーム中央の光量を、ω(θ)は角度位置θにおいてIの値がIの0.135倍になるときのrの値を表す。I,ω(θ)の値は、前記の式(1)とa,bの値から算出することができる。
【0054】
また、図21中の面積Aは次式(5)で表される。
【0055】
【数5】
【0056】
よって、受光部2の集光レンズに入る反射光の光量Vは次式(6)で表され、この値は測定点Mが反射率100%(鏡面)の場合の受光部2の受光量と等しくなる。
【0057】
【数6】
【0058】
よって、測定点Mにおける反射率γは、(実際の反射光の光の量V)/(鏡面の場合の反射光の光の量V)×100%となり、次式(7)によって算出することができる。
【0059】
【数7】
【0060】
図22は、本実施例に係る照射部1と受光部2を用いて測定したテストピース(ステンレス製の平板)の反射率(受光量/照射光量×100%)と、このテストピースを汎用の光沢計(日本電色工業(株)製のPG-1M)で測定したときの光沢度の測定値を比較したものである。この図から、レーザー光により測定した反射率は、テストピースの表面性状や光源の入射角/反射角によらず、汎用の光沢計で測定した光沢度の測定値と相関が高いことがわかる。よって、表面の光沢の度合いは、光沢計で測定した場合と同様にレーザー光の反射率によって評価することができるものと考えられる。
【0061】
本実施例は上述のように構成したから、ねじ軸30のねじ溝面30aの測定点に向けて照射部1からレーザー光を照射し、このレーザー光がねじ溝面30aで反射した反射光を受光部2で受光すると、この受光部2で受光した反射光の光の量と評価対象となるねじ軸30のねじ溝面30aにおけるねじ溝幅方向凹湾曲縁の曲率半径及びねじ溝螺旋方向凸湾曲縁の曲率半径を基に設定される基準となる反射光の光の量とから反射率が反射率算出部で算出され、この反射率を評価基準として用いる。
【0062】
よって、本実施例によれば、例えばロット生産されるねじ軸30に対して要求される光沢度であるか否かを定量的に評価することができる。
【0063】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0064】
X 第一直線方向
Y 第二直線方向
Z 第三直線方向
1 照射部
2 受光部
3 ベース部
4 ねじ軸支承部
5 可動部
30 ねじ軸
30a ねじ溝面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22