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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】電気手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230824BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/18 100
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021505330
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019070202
(87)【国際公開番号】W WO2020025481
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】1812390.1
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】プレストン,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】バーン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】タプリン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,アーロン・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,デイビッド
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/103209(WO,A1)
【文献】特表2012-532689(JP,A)
【文献】特表2014-508547(JP,A)
【文献】国際公開第2015/072529(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波(RF)エネルギー及び/またはマイクロ波エネルギーを生体組織に送達する電気手術器具であって、
前記高周波(RF)エネルギー及び/または前記マイクロ波エネルギーを伝達するための同軸ケーブルであって、前記同軸ケーブルは内部導体、前記内部導体と同軸に形成される外部導体、ならびに前記内部導体及び前記外部導体を分離させる第一誘電材料を含む、前記同軸ケーブルと、
前記同軸ケーブルから前記RFエネルギー及び/または前記マイクロ波エネルギーを受信するために前記同軸ケーブルの遠位端部に配置される放射先端部と、
前記同軸ケーブルを搬送するための作業チャネルを備えた器具ケーブルと、
前記器具ケーブルの遠位端部に配置され、前記作業チャネルの遠位端部の開口部を画定する支持構造体と、
前記支持構造体の中に配置され、撮像ケーブルの遠位端部に接続されたイメージセンサおよび光源であって、治療部位のデジタル画像を生成するように構成されている前記イメージセンサおよび前記光源と、
ハンドピースとを含み、
前記同軸ケーブル及び前記撮像ケーブルは、前記ハンドピースに接続され、前記ハンドピースから離れて延伸し、
前記ハンドピースは、前記デジタル画像に関する情報をリモートデバイスに通信するように構成される通信モジュールを含み、
前記通信モジュールは、無線ネットワークに通信可能に接続可能であるトランシーバを含む、前記電気手術器具。
【請求項2】
前記イメージセンサは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)イメージセンサである、
請求項1に記載の電気手術器具。
【請求項3】
前記撮像ケーブルは、治療部位に照明を提供するための光ファイバ束を含む、請求項1または請求項2に記載の電気手術器具。
【請求項4】
前記撮像ケーブルの前記遠位端部に取り付けられる光源をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の電気手術器具。
【請求項5】
前記光源は発光ダイオードを含む、請求項4に記載の電気手術器具。
【請求項6】
前記同軸ケーブルの前記内部導体は、光学チャネルを形成するために中空であり、
前記撮像ケーブルは、前記光学チャネル内に位置している、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項7】
前記光学チャネルは、前記放射先端部内の孔部を通って延在する、請求項6に記載の電気手術器具。
【請求項8】
前記光学チャネルは、前記放射先端部の外面に形成されるアパーチャで終端する、請求項7に記載の電気手術器具。
【請求項9】
前記器具ケーブルは、前記同軸ケーブル及び前記撮像ケーブルを搬送するためのものである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項10】
前記器具ケーブルは、前記撮像ケーブルを搬送するための光学チャネルを含み、
前記光学チャネルは、前記作業チャネルに隣接して延伸する、請求項9に記載の電気手術器具。
【請求項11】
前記同軸ケーブル及び/または前記撮像ケーブルは、前記ハンドピースから係脱可能である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項12】
前記通信モジュールは、画像データをリモートサーバにアップロードするように構成される、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電気手術器具と、
前記デジタル画像に関する前記情報を受信して表示するように構成される表示装置と、を含む、電気手術装置。
【請求項14】
RF EMエネルギー及び/またはマイクロ波EMエネルギーを発生するように構成される電気手術用発生器、及び
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の電気手術器具、
を含む、電気手術システムであって、
前記電気手術器具は前記RF EMエネルギー及び/または前記マイクロ波EMエネルギーを受信し、それを前記同軸ケーブルにカップリングするために前記発生器に接続される、前記電気手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気手術器具の遠位端部に照明及び視覚を提供するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手術用スコーピングデバイスは、カテーテルまたは自然孔を介して患者の体内の治療部位に操作されることができる挿入チューブを含む。挿入チューブは、コンポーネントを治療部位に搬送する。いくつかの例では、挿入チューブは、照明信号を伝達し、撮像信号を返すための観測チャネルと、治療部位で組織を操作する、またはその他の方法で治療するための器具を搬送するための別個の器具チャネルとを含む。治療中に治療部位のリアルタイムの視覚を有することが望ましい場合がある。
【0003】
電気手術器具は、生体組織を切断する、または血液を凝固させるなどの目的で、高周波及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを生体組織に送達するために使用される器具である。高周波及び/またはマイクロ波周波数エネルギーは、ケーブルを使用して電気手術器具に一般に供給される。この目的で使用される従来のケーブルは、中実またはマルチワイヤの円筒形内部導体、内部導体の周りの誘電材料の管状層、及び誘電材料の周りの管状外部導体を含む同軸伝送線路構造を有する。
【0004】
多くの電気手術器具を操作する場合、1つの液体もしくは気体の供給、複数の液体もしくは気体、または電気手術器具の部品(複数可)を操作する(例えば、開く/閉じる、回転させる、または伸長させる/引き込む)ためのガイドワイヤもしくはプルワイヤのような、追加の補給またはコンポーネント(例えば、制御手段)を電気手術器具に提供する必要があるのが一般的である。
【0005】
これらの追加の補給またはコンポーネントを電気手術器具に提供するために、追加の構造体は、従来のケーブルに隣接する追加のチューブのように、従来のケーブルと合わせて提供されている。例えば、従来のケーブルと並んで電気手術器具用のプルワイヤを収容する追加のチューブを提供すること、そして従来のケーブルと、プルワイヤを収容するチューブとを単一の保護ジャケット/ケーシング内に収容することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、手術用スコーピングデバイス(例えば、内視鏡または腹腔鏡)の器具チャネルの直径は、3mm未満、例えば、2.8mmである。可撓性を維持し、電力損失を許容可能な(すなわち、安全な)レベルに制限しながら、十分な電力、及び上記の追加の補給またはコンポーネントの両方を、器具チャネル内に嵌合するほどコンパクトな形態で提供することは継続的な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
最も一般的には、本発明は、侵襲的電気手術を実施する治療部位の画像を取得するために改良されたシステムを提案する。一態様では、本発明は、電気手術用のエネルギーも伝達するケーブルの遠位端部に、チップベースのイメージセンサを提供する。別の態様では、発光素子及び感光素子の両方は、手術用スコーピングデバイスの器具チャネルを通した挿入のためにプローブの遠位端部に取り付けられることによって、電気信号から光放射への遷移、そして電気信号への戻りが遠位端部で起こるため、光信号は、スコーピングデバイスを介して伝達される必要がない。
【0008】
本発明の利点は、臨床医が治療を必要とする組織領域をより良く識別することを可能にし、臨床医が治療をより正確に実施することを可能にする、鮮明な画像の伝送を有する。
【0009】
本発明の特定の実施形態は、組織治療(例えば、焼灼、凝固または切断)のためのRF及び/またはマイクロ波周波数電磁放射の組み合わされた送達と、手術用スコーピングデバイスの撮像ケーブルを形成することができる共通構造体内に治療部位のデジタル画像の伝送とを提案する。共通構造体は、電気手術治療を視覚化することが望ましいシステムに対して、よりコンパクトな配置を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、それは、撮像または他の形態の検知が専用の観測チャネルなしで手術用スコーピングデバイスに利用可能であることを可能にすることができる。さらに、それは、従来の器具にアクセスできない領域での電気手術治療の可能性を広げる極小径手術用スコーピングデバイスの提供を可能にすることができる。
【0011】
本明細書で使用される「光放射」という用語は、100nmから1mmの範囲内の自由空間波長を有する電磁放射に関することができる。いくつかの実施形態では、光放射は、可視スペクトルにあり、治療部位を照明して操作者に視覚的支援を提供するために使用されることができる。例えば白色光源からの、光放射は広帯域であることができる。他の例では、光放射は、狭帯域であることができる、またはある特定の組織特性を検出する、もしくは探索するために特定の波長を有することができる。
【0012】
本発明によれば、高周波(RF)及び/またはマイクロ波エネルギーを生体組織に送達するために電気手術器具が提供され、この電気手術器具は、高周波(RF)及び/またはマイクロ波エネルギーを伝達するための同軸ケーブルであって、この同軸ケーブルが内部導体、内部導体と同軸に形成される外部導体、ならびに内部導体及び外部導体を分離させる第一誘電材料を含む、同軸ケーブルと、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを同軸ケーブルから受信するために同軸ケーブルの遠位端部に配置される放射先端部と、治療部位のデジタル画像を生成するために同軸ケーブルの遠位端部に配置されるイメージセンサと、を含む。
【0013】
このようにして、本発明は、治療部位の直視を可能にして臨床医が手術領域内の組織をより正確に見て治療することを可能にしたうえ、放射先端部による治療のためのRF及び/またはマイクロ波エネルギーを提供する。放射先端部は、腹腔鏡、気管支鏡などのような手術用スコーピングデバイスを介して治療部位に搬送されることができる。
【0014】
好ましくは、イメージセンサは、撮像ケーブルの遠位端部に取り付けられる。以下でより詳細に説明されるように、いくつかの実施形態では同軸ケーブルが撮像ケーブルを通って、もしくは撮像ケーブルと並んで延伸することができる、または他の実施形態では撮像ケーブルが同軸ケーブルを通って延伸することができることが想定される。これらの配置は、特に、コンパクトな視覚及び電気手術治療の組み合わせ装置を可能にする。特に、この組み合わせ装置は、侵襲的手術用スコーピングデバイスの可撓性挿入チューブ内に挿入可能な寸法に形成されることができる。例えば、それは、3.5mm以下、好ましくは2.8mm以下の最大外径を有することができる。本明細書では、「手術用スコーピングデバイス」という用語は、低侵襲手技で使用されるデバイスのクラスを指す総称として理解されることができ、このデバイスは、患者の体内に挿入可能な剛性または可撓性の器具コードを一般に含む。器具コードは、さまざまな理由で治療部位へのアクセスを提供するために、例えば、外科手技を実施する、目視検査を実施する、または画像をキャプチャする、生検を行うなどのために使用される。手術用スコーピングデバイスの例は、内視鏡、気管支鏡、腹腔鏡などを含む。
【0015】
イメージセンサは、デジタルカメラのような、任意の適切な種類のチップベースのイメージセンサであることができる。例えば、イメージセンサは、電荷結合素子(CCD)であることができる。好ましくは、イメージセンサは、治療部位のデジタル画像をキャプチャするために相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサである。特に、CMOSは、40キロピクセルを有することができ、好ましくは1mm以下の面積を有することができる。このようなセンサは、臨床医に高品質の画像を提供することができるが、小さなセンサ面積は、デバイスが手術用スコーピングデバイスを介して挿入可能であることを確保する。
【0016】
好ましくは、撮像ケーブルは、光放射を伝達して治療部位を照明する手段をさらに含む。次に、イメージセンサは、光放射を検出して、治療部位の高品質デジタル画像を提供することができる。
【0017】
例えば、撮像ケーブルは、光ファイバ束を含むことができ、この光ファイバ束を通して、光放射を電気手術器具の近位端部から伝送することができる。光ファイバが使用される場合、電気手術器具は、撮像ケーブルの近位端部にカプラをも含み、このカプラは、光放射を光ファイバにカップリングし、治療部位で電気手術器具の遠位端部に送達することができる。
【0018】
他の例では、電気手術器具は、撮像ケーブルの遠位端部に取り付けられる光源を含むことができる。例えば、光源は、発光ダイオード(LED)であることができる。LEDは、広い発光スペクトルを有することができ、例えば、それは、撮像のために白色光を発するように構成されることができる、またはLEDは、狭帯域で発光するように構成されることができる。例えば、LEDは狭い発光スペクトルを有することができる、またはフィルタは狭いスペクトルを提供するために使用されることができる。これらの配置では、撮像ケーブルは、電気信号(例えば、光源用の電力、及びイメージセンサからのデータ)のみを伝達するように有利に配置されることができる。電気信号のみを伝達することにより、撮像ケーブルは、照明または撮像の目的で光放射を伝達する必要がない。これにより、特に電気信号を搬送するために使用されるワイヤが、光放射を伝達するために使用される光ファイバよりも小さい直径を有することができるため、撮像ケーブルを非常にコンパクトにすることを可能にすることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、同軸ケーブルの内部導体は光学チャネルを形成するために中空であることができ、撮像ケーブルは光学チャネル内に位置していることができる。同軸ケーブルは、内部導電層と光学チャネルとの間に最内絶縁層を含むことができる。あるいは、光ファイバ束は、リングを形成し、同軸ケーブルの最内絶縁層を効果的に提供することができる。最内絶縁層は、光学チャネルと同軸伝送線路との間の干渉を防ぐことができる。好ましくは、同軸ケーブルは、手術用スコーピングデバイスを通して挿入されるときに同軸ケーブルを保護するために、外部導体の外面上に保護シースを含むことができる。保護シースは、生体適合性材料から作製されることができる、または生体適合性コーティングを含むことができる。保護シースは、電気手術器具の操舵性の一助となることができる。例えば、保護シースは、遠位部及び近位部を含むことができ、近位部は遠位部よりも大きな剛性を有するように構成される。近位部は、屈曲または変形を妨げるように、追加の硬化層またはブレード加工を含むことができる。
【0020】
好ましくは、光学チャネルは、放射先端部内の孔部を通り延在する。いくつかの例では、光学チャネルは、放射先端部の外面に形成されるアパーチャで終端することができる。これにより、臨床医に治療部位の正確かつ有用なビューを提供することを確保することができる。
【0021】
他の実施形態では、電気手術器具は、同軸ケーブル及び撮像ケーブルを搬送するための器具ケーブルを含むことができ、この器具ケーブルは、同軸ケーブルを搬送するための作業チャネルを含む。したがって、光学チャネルは、作業チャネル内に入れ子にされることができる。そのような配置は、上記で考察される利点をも提供し、特に、視覚及び組織治療の組み合わせ機能を有する極小径の電気手術器具の提供を可能にする。ただし、他の例では、器具ケーブルは、撮像ケーブルを搬送するために別個の光学チャネルを含むことができ、この光学チャネルは、作業チャネルに隣接して延伸する。
【0022】
いくつかの実施形態では、光源及びイメージセンサは、器具ケーブルの遠位端部に係脱可能に取り付けられることができる。例えば、光源及びイメージセンサは、それ自体が作業チャネル及び/または光学チャネルの遠位端部内に取り付けられることができる取り外し可能な構造体に添着されることができる。任意選択で、取り外し可能な構造体は、作業チャネルの少なくとも遠位部を形成することができ、この遠位部を通して同軸ケーブルを提供することができる。
【0023】
好ましくは、器具ケーブルは、その外面上に保護シースを含み、この保護シースは、手術用スコーピングデバイスを通して挿入されるときに器具ケーブルを保護することができる。保護シースは、生体適合性材料から作製されることができる、または生体適合性コーティングを含むことができる。保護シースは、電気手術器具の操舵性の一助となることができる。例えば、保護シースは、遠位部及び近位部を含むことができ、近位部は遠位部よりも大きな剛性を有するように構成される。近位部は、屈曲または変形を妨げるために、追加の硬化層またはブレード加工を含むことができる。
【0024】
好ましくは、同軸ケーブルは、最内絶縁層を含み、同軸ケーブルの内部導体は、最内絶縁層上に形成される。同軸ケーブルは、いくつかの実施形態では、撮像ケーブルの作業チャネルの壁部に組み込まれることができ、最内絶縁層は、器具チャネルを形成するために中空であることができる。器具チャネルは、1mmから5mmの間の直径を有することができる。あるいは、同軸ケーブルは、少なくとも部分的に、作業チャネル用のライナー(例えば、係脱可能なカバー)として提供されることができる。放射器具先端部は、同軸ケーブルの遠位端部に提供される。
【0025】
好ましくは、同軸ケーブルは、内部導体に電気的に接続され、最内絶縁層を通って器具チャネル内に延伸する第一端子と、外部導体に電気的に接続され、誘電材料及び最内絶縁層を通って器具チャネル内に延伸する第二端子とを含むことができる。例えば、第一端子は、第二端子から近位に位置していることができる。
【0026】
放射器具先端部は、同軸ケーブルならびに第一端子及び第二端子に接続する手段を含むことができる。例えば、放射先端部は、第一端子に電気的に接続可能である第一接点と、第二端子に電気的に接続される第二接点と、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを生体組織に送達するために第一接点及び第二接点に電気的に接続される遠位バイポーラ伝送構造体とを含む。好ましくは、遠位バイポーラ伝送構造体は、第一接点に電気的に接続される第一導電素子と、第一接点に電気的に接続される第二導電素子とを含む。任意選択で、第一接点及び第二接点は、バイポーラ伝送構造体の近位に位置している接続カラー上に形成される。
【0027】
電気手術器具は、臨床医が器具を操作するために提供されるハンドピースをさらに含むことができる。同軸ケーブル及び撮像ケーブルは、ハンドピースに接続され、ハンドピースから離れて遠位方向に延伸することができる。例えば、ハンドピースは、同軸ケーブル及び/または撮像ケーブルの遠位部の配向を制御するために操舵機構を含み、臨床医に器具の遠位端部に対するある程度の制御を提供することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ハンドピースは、光源、及び光源から発せられる光を光ファイバ束の近位端部にカップリングするためのカプラを含むことができる。
【0029】
操舵機構は、ハンドピースの外面上に取り付けられるアクチュエータと、ハンドピース内で摺動するようにアクチュエータに動作可能に結合されるプルアームと、同軸ケーブル及び/または撮像ケーブルに沿って延在する制御要素とを含むことができ、この制御要素は、プルアーム、及び同軸ケーブル及び/または撮像ケーブルの遠位部に動作可能に結合される。制御要素は、プルアームに取り付けられ、その遠位部で同軸ケーブル及び/または撮像ケーブルに固定される1つ以上の制御ワイヤを含むことができる。
【0030】
好ましくは、ハンドピースは、電源、例えば、充電可能な電源を含むことができる。電源は、電気手術装置の遠位端部でイメージセンサ及び/または光源に電力を供給するために使用されることができる。電源からの電力は、ケーブルまたはワイヤを介してイメージセンサ及び/または光源に伝送されることができる。ケーブルまたはワイヤは、撮像ケーブルを通って延伸することができる。例えば、撮像ケーブルは、同軸ケーブルを受容するための作業チャネルとは別の、ケーブルまたはワイヤを受容するための追加の管腔部を含むことができる。
【0031】
好ましくは、ハンドピースは、その内部コンポーネントを封入するためにハウジングを含む。いくつかの実施形態では、同軸ケーブル及び/または撮像ケーブルは、ハウジングから係脱可能であることができる。
【0032】
好ましくは、ハンドピースは、デジタル画像に関連する情報をリモートデバイスに通信するように構成される通信モジュールを含む。例えば、通信モジュールは、無線ネットワークに通信可能に接続可能であるトランシーバを含む。追加で、または代替に、通信モジュールは、画像データをリモートサーバにアップロードするように構成されることができる。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、電気手術装置が提供される。この装置は、検出された光放射に関連する情報を受信して表示するように構成される表示装置に加えて、上記のような電気手術器具を含む。特に、表示装置は、イメージセンサによってキャプチャされるデジタル画像を表示するように構成されることができる。例えば、表示装置は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータまたはスマートフォンであることができる。
【0034】
本発明のさらなる態様は、RF及び/またはマイクロ波EMエネルギーを発生するように構成される電気手術用発生器と、上記のような電気手術器具とを含む電気手術システムを提供し、そこで電気手術器具は、RF及び/またはマイクロ波EMエネルギーを受信してそれを同軸ケーブル内にカップリングするために発生器に接続される。
【0035】
本明細書に考察される光放射の使用は、治療部位の画像を提供することに限定される必要はない。診断目的で、光放射を使用して、治療部位を探索し、それらの特性を測定することができる。例えば、本発明は、レーザー散乱測定/分光測定、UV反射率測定/散乱測定などを提供するために使用されることができる。
【0036】
本明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数範囲を示すために大まかに使用されることができるが、1GHz~60GHzの範囲が好ましい。検討された具体的な周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び24GHzである。デバイスは、これらのマイクロ波周波数のうちの複数においてエネルギーを送達することができる。対照的に、本明細書では、「高周波」または「RF」は、少なくとも3桁低い、例えば、300MHzまでの、好ましくは10KHz~1MHzの周波数範囲を示すために使用する。
【0037】
本明細書における「導体」または「伝導性」材料への言及は、文脈が別の意味を意図することを明確にしない限り、導電性を意味すると解釈されるべきである。
【0038】
次に、本発明の実施形態は、例として以下の添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態である、電気手術装置の概略図である。
図2】第一の組み合わされた視覚及び治療システムの正面図を示す。
図3】光を光ファイバ束にカップリングするためのカプラの断面図を示す。
図4】本発明の一実施形態における器具ケーブルの断面図を示す。
図5】本発明による使用のための器具先端部の断面図である。
図6図4の器具先端部の分解図である。
図7】本発明の一態様に使用されることができる視覚システムの斜視図である。
図8】第二の組み合わされた治療及び視覚システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
さらなる選択肢及び選好
図1は、本発明による電気手術装置100の概略図である。電気手術装置100は、ハンドピース102と、ハンドピース102から離れて遠位方向に延伸する可撓性器具ケーブル104とを含む。可撓性撮像ケーブルは、治療部位にアクセスするための体内への挿入に適している。可撓性器具ケーブル104は、その外面上に生体適合性コーティングを含むことができるため、組織に直接挿入されることができる。器具ケーブル104は、経皮的に導入される、または自然孔を介して低侵襲的な方式で導入されることができる。いくつかの例では、器具ケーブル104は、気管支鏡、内視鏡、腹腔鏡などのような別個の手術用スコーピングデバイス(図示せず)とともに使用されることができる。他の例では、撮像ケーブルは、ガイドカテーテルを通して導入されることができる。ただし、アクセスするのが困難な身体領域に撮像ケーブルが到達することを可能にするために、撮像ケーブルを直接(すなわち、周囲コンポーネントなしで)挿入することが特に有利であることができる。
【0041】
本発明における器具ケーブル104は、マイクロ波電磁(EM)エネルギー及び/または高周波(RF)EMエネルギーを治療部位に搬送すること、及び治療部位の特性を撮像する、または感知する目的で光源に電力を供給するために光放射かエネルギーのいずれかを搬送すること、という2つの機能を有する。以下でより詳細に説明されるように、本発明の器具ケーブル104は、これら2つの機能を共通構造体内で組み合わせることにより、これら2つの機能を特にコンパクトな方法で提供する。いくつかの例では、光源に電力を供給するための光放射またはエネルギーを治療部位に、及び/または治療部位から伝達するための光学チャネルは、マイクロ波及び/またはRF電磁(EM)エネルギーのためのエネルギー伝達手段内に提供されることができる。例えば、光学チャネルは、治療部位の画像をハンドピース102から出力することを可能にするために、光信号を治療部位に、そして治療部位から搬送するように構成される観測チャネルとして機能することができる。他の例では、マイクロ波及び/またはRF EMエネルギーのためのエネルギー伝達構造体は、光信号を治療部位に、そして治療部位から搬送するように構成される光ケーブルを介して作業チャネル内に提供されることができる。これらの例は、以下でより詳細に説明される。
【0042】
ハンドピースは、画像を表示するための観測ポート(図示せず)を含むことができる。ただし、好ましい構成では、ハンドピース102は、画像を別個の表示装置116に伝送するように構成されることができる。画像は、無線接続を介して、例えば、WiFiまたはいずれかの他の適切なネットワーク通信コンフィグレーションを介して伝送されることができる。表示装置116は、画像データを受信することができる表示画面を備える任意のデバイスであることができる。表示装置116は、ポータブル、例えば、ラップトップまたはタブレットコンピュータ、スマートフォンなどであることができる。本発明の装置は、表示装置を含むことができるため、本発明の利点は、ローカルディスプレイ設備のない位置で使用されることができる。
【0043】
電気手術用発生器118は、RF及び/またはマイクロ波エネルギーをハンドピース102に搬送するケーブル120(例えば、同軸ケーブル)を介してハンドピース102に接続される。発生器118は、例えば、WO2012/076844に記載されているタイプのものであることができる。ハンドピース102は、QMAコネクタポートなどであることができる、コネクタポート115を含む。コネクタポート115は、ケーブル120を器具ケーブル104内のエネルギー伝達構造体に電気的に接続するように構成されることができる。この電気的接続は、発生器からの同軸ケーブルと、エネルギー伝達構造体の同軸伝送線路との間の「T」接続によって提供されることができる。好ましくは、器具ポートへのマイクロ波漏れを防ぐために、「T」ジャンクションと発生器上の器具ポートとの間にフィルタまたはチョークがある。これは、「T」ジャンクションからのマイクロ波周波数での半波長に配置されなければならず、「T」ジャンクションは、高い反射損失を有する、すなわち、マイクロ波エネルギーのかなりの部分を反射して発生器に返さない。RF電圧を短絡させないようにRFエネルギーを伝送する場合、エネルギー伝達構造体内の伝送線路の近位端部は開回路である。また、それは、RF電圧のために故障しない、または操作者を高いRF電圧に曝露させないように、絶縁され保護される。
【0044】
器具ケーブル104は、その遠位端部に放射先端部106(または器具先端部)を含み、この放射先端部106は、挿入ケーブル104内のエネルギー伝達手段からRF及び/またはマイクロ波エネルギーを受信するように構成される。放射先端部106は、例えば切断または凝固などの治療を支援するために、受信したRF及び/またはマイクロ波エネルギーを生体組織に送達するエネルギー送達部を含む。
【0045】
器具ケーブル104の遠位端部は、例えば、治療のために所望の位置での放射先端部106の位置特定を容易にし、及び/または必要に応じて光放射を向けることができ、例えば、治療部位の異なる部分の画像を取得する、または異なる位置で測定を行うように操舵可能であることができる。以下に説明されるように、いくつかの例では、器具ケーブル104は、操舵を容易にするために、1つ以上の制御要素(例えば、プル/プッシュロッドまたは制御ワイヤ)を含むことができる。制御要素は、撮像ケーブルの近位端部から出て、ハンドピース102内に取り付けられる操舵機構を係合することができる。操舵機構は、制御要素を伸長させて引き込み、放射先端部で作動を引き起こすように動作可能であることができる。操舵機構は、ハンドピース102に取り付けられるアクチュエータを含むことができる。この例では、アクチュエータは回転可能なノブ110である。ハウジングに対するノブ110の回転は、ハンドピース102に取り付けられる適切な変換機構を介して、制御要素(複数可)の直線運動に変換されることができる。
【0046】
器具ケーブル104の近位端部がハンドピース102に対して曲げられることができる角度を制限するために、円錐形リストリクタ114は、器具ケーブル104の近位端部上に嵌められる。円錐形リストリクタ114は、ハンドピース102の遠位端部に固定されるため、ケーブルの動きを制限して、ケーブルが不必要な応力を受けるのを防ぐ。
【0047】
ハンドピース102は、器具ケーブル104内の光学チャネルに沿って伝達されることができる光放射を発生すること、及び制御することに関連するコンポーネントを含むハウジングを備える。例えば、ハンドピース102は、電池または他のバッテリなどの電源、発光ダイオード(LED)などの光源、及び所望の方式で光源からの、または治療部位からの光放射を向けるための1つ以上の光学素子を含むことができる。光学素子は、ユーザが使用中に光学素子を制御することを可能にするために、ハウジングの外面上に制御インタフェース112を含むことができる。例えば、制御インタフェース112は、治療部位に送達される光放射の強度を制御することができる、または1つ以上のレンズが治療部位から受信する画像信号を光学センサ上に結像させるのを支援するように制御することができる。一例では、光検出器(例えば、カメラなど)は、ハンドピース内に取り付けられ、画像信号をキャプチャして表示装置116に送信するために治療部位から返される光放射を受信することができる。一例では、光学コンポーネントは、従来のファイバースコープに類似している場合がある。
【0048】
ハンドピース102は、装置を作動させ、停止させるための電源スイッチ(図示せず)を含むことができる。ハンドピース102は、電源を外部電源に接続して充電することができる、充電ポート(図示せず)を含むことができる。
【0049】
図2は、器具ケーブル104の遠位端部で組み合わされた治療及び視覚システム10の正面図を示す。治療及び視覚システム10は、スコーピングデバイスの器具チャネルを通して挿入可能であることができる放射先端部106の中央管腔部内に位置決めされることができる。治療及び視覚システム10は、臨床医を支援するために、器具ケーブル104の遠位端部に照明及び視覚を提供することができる。
【0050】
治療及び視覚システム10は、撮像ケーブルを含み、この例では、撮像ケーブルは、器具の遠位端部に照明を提供するように構成される光ファイバ12の束を含む。光ファイバ12のサイズ、数及び配列は、最適な照明レベルを確保するように選択されることができる。例えば、光ファイバ12は、イメージセンサ14の周りで完全なリングに配列されてもよいし、図2に示されるように主にイメージセンサ14の1つの側面上に配列されてもよい。好ましい実施形態では、各光ファイバ12は、250μmの直径を有するが、より小さな光ファイバの使用により、より多くのファイバを放射先端部200の中央管腔部内に置くことが可能であることができるため、より多くの光を提供することができる。光は、コリメータレンズまたはカプラ、例えば図3に示されるようなカプラを使用して、光ファイバ12の近位端部にカップリングされることができる。好ましくは可視波長を使用する、任意の適切な光源を使用することができることが想定される。例えば、415nm及び540nmの光の組み合わせのような、特定の波長を狭帯域撮像用に選択することができ、追加の撮像法を提供して臨床医が組織の態様をより詳細に確認することを可能にすることに続いて、組織病変または他の異常のより容易な同定を可能にする。
【0051】
いくつかの実施形態では、レンズは、光ファイバ12の束の上に位置決めされる。レンズを使用して、用途に応じて、光ファイバ12から発せられる光を集束する、または拡散することができる。あるいは、光ファイバ12のそれぞれの遠位端部は、光を所定の方向に向けるように成形されることができる。例えば、光ファイバ12の遠位端部は、ボールレンズを形成することができる、または必要に応じてテーパ状にされることができる。
【0052】
イメージセンサ14は、選択された周波数で光を検出するのに適している任意のチップベースのイメージセンサであることができる。イメージセンサ14は、電気手術器具の遠位端部で光を受信し、画像を近位端部に送信するように構成される。例えば、ケーブルは、イメージセンサからハンドピース102まで延在することができ、そこで画像は、Wi-Fiなどを介してディスプレイ116に送信される。好ましくは、イメージセンサ14は、CMOSセンサであるが、他の適切なピクセルセンサは、ディスプレイ116が良好な画像を受信することを確保するように選択されることができる。特に、イメージセンサ14は、1mm以下の表面積を有する40キロピクセルのCMOSセンサであることができる。例えば、Fujikura Ltdによって製造されているPICORAMEDIC(商標)センサをイメージセンサ14として選択することができる。
【0053】
組み合わされた治療及び視覚システム10の遠位端部は、操舵性を提供することで、撮像される領域に対するより卓越した制御を臨床医にもたらし、器具先端部106による正確な治療を確実にするために、好ましくは偏向可能である。一例では、システム10は、操舵可能なカテーテル、例えば、臨床医に遠位端部に対する制御をもたらす複数の操舵ワイヤを含むカテーテルによって提供されることができる。あるいは、器具ケーブル104自体は、遠位端部を偏向させることを可能にするために、複数の操舵ワイヤを含むことができる。システム10の偏向及び操舵性は、臨床医がハンドピースを操作することによって制御されることができる。
【0054】
図3は、光ファイバ12の束を介して器具ケーブル104の遠位端部に光を提供するように、電気手術装置100のハンドピース102内に位置決めされることができるカプラ20の断面図を示す。カプラ20は、LEDであることができる、2つの光源22、24を含む。各LED22、24は、同じ発光スペクトルを有することができる、またはそれらは、特定の波長で光を提供するようにそれぞれ選択されることができる。例えば、LED22は540nm(緑)の波長を有する光を提供することができ、LED24は425nm(青)の波長を有する光を提供することができる。これにより、少なくとも2つのモダリティによる狭帯域撮像が可能になり、臨床医が組織の態様をより詳細に確認することを可能にすることに続いて、組織病変または他の異常のより容易な同定を可能にする。各光源22、24からの光は、関連しているチャネル28によって光ファイバ12の束にカップリングするために出力ポート26に向けられる。チャネル28は、光源22、24からの光の良好な光伝送を確実にするためにメタライズ加工されることができる。ハンドピース102内の回路は、臨床医が必要とする応答に合わせて照明を別々に調整するために、各光源22、24のアクティブ化及び減光を提供することができる。
【0055】
図4は、本発明の一実施形態における器具ケーブル104の断面図を示す。この実施形態では、器具ケーブル104は、内部導体11、内部導体11と同軸に形成される外部導体13、ならびに内部導体11及び外部導体13を分離させる第一誘電材料15を含む同軸ケーブルを備える。保護シース17は、器具ケーブル104が手術用スコーピングデバイスを通して挿入されるときに同軸ケーブルを保護するために、器具ケーブル104の外側に形成される。
【0056】
内部導体11は、光学チャネル15を形成するために中空である。光学チャネル15は、イメージセンサにエネルギーを供給するために、そしてデジタル画像を電気手術器具のハンドピースに返すために、光ファイバ12の束、及び1つ以上のワイヤ(図示せず)から形成される撮像ケーブルを搬送する。図4からわかるように、この実施形態では、光ファイバ12の束は、内部導体11の内面上にリングを形成する。このようにして、光ファイバ12の束は、同軸ケーブルの最内絶縁層を効果的に形成することにより、光学チャネルを介するデジタル画像伝送と、器具ケーブル104を介して伝達されるRF及び/またはマイクロ波エネルギーとの間の干渉を低減させるのに役立つことができる。
【0057】
上記のように放射先端部106として使用されることができる放射先端部30の断面図を図5に示す。放射先端部30の分解図を図6に示す。放射先端部30は、器具ケーブル104の遠位端部に取り付けられるように構成され、そこで器具ケーブル104は、RF及び/またはマイクロ波周波数エネルギーをその近位端部から放射先端部30に送達する手段を含む。特に、器具ケーブル104は、同軸ケーブルなどのエネルギー伝達構造体を提供することができ、そこで同軸ケーブルは、内部導体、外部導体、及び中央管腔部を含む。それにより、放射先端部30を使用して、電気手術、例えば、焼灼を実施することができる。
【0058】
放射先端部30は、器具ケーブル104の内部導体に接続される中空の金属シリンダである、内部導体32を含むバイポーラ構造体である。外部導体34は、内部導体32と同軸であり、器具ケーブル104内の同軸ケーブルの外部導体に接続される。器具先端部30の内部導体32及び外部導体34は、誘電体シリンダ36によって分離される。内部導体32は、誘電体シリンダを通り外部導体34の遠位端部を越えて長手方向に延在する。放射先端部30は、焼灼などによって、組織を治療するために、RF及び/またはマイクロ波周波数エネルギー用の放射アンテナ構造体を提供する。内部導体32及び外部導体34のそれぞれは、良好なマイクロ波伝播を確実にするために、好ましくは銀または金を含む。
【0059】
また、誘電材料36の形状は、組織へのエネルギーの効率的な送達を達成するように選択されることができる。例えば、誘電体36は、丸い遠位先端部を有するセラミック材料、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはPTFEの円筒形部分であることができる。
【0060】
放射先端部30の内部導体32は、器具ケーブル104の中央管腔部と同一直線上にある中央管腔部38を画定する。したがって、中央管腔部38は、チャネルを提供し、このチャネルを通して、例えば、図2に関して上記に、または図6に関して下記に考察されるように、照明及び視覚を提供する光ケーブルを提供することができる。例えば、中央管腔部38は、5mm以下、例えば2mm以下の直径を有することができる。
【0061】
また、放射先端部30は、放射先端部30の内面及び外面の両方を覆う生体適合性コーティングを含むことができる。放射先端部30の長さは、所定の動作周波数、例えば、好ましくは5.8GHzでの4分の1波長であるように好ましくは選択される。スコーピングデバイスを介する挿入のために、そして患者の体内の内腔を通したナビゲーションを可能にするために、長さを最小限にする必要がある。
【0062】
図7は、器具ケーブル104の遠位端部に設けられることができる視覚システム40の斜視図を示す。視覚システム40を使用して、視覚及び治療の組み合わせを提供することができ、例えば、第一の視覚システム10に関して上記に説明されるものと同様の方式で、視覚システム40を放射先端部(例えば、上記の器具先端部30)の中央管腔部内に位置決めすることができる。器具ケーブル、撮像ケーブルの光学チャネルを介して、または操舵可能なカテーテルなどのカテーテルを介して、治療部位に送達されることができる独立した照明及び視覚システムとして視覚システム40を提供することができることもまた想定される。
【0063】
視覚システム40は、この実施形態では、イメージセンサ44の1つの側面に沿って一般に各配列される表面実装型発光ダイオード(LED)として提供される2つの光源42a、42bを含む。光源42a、42b及びイメージセンサ44の他の配置は、治療領域の最適な照明を提供するように選択されることができる。イメージセンサ44は、好ましくは、1mm未満の面積を有する40キロピクセルのCMOSセンサなどのCMOSセンサである。光源42a、42bは、上記のように光ファイバの代わりにイメージセンサ44に照明を提供する。各光源42a、42bは、同じ発光スペクトルを有することができる、または治療領域のマルチモーダル撮像のために異なる波長の光を各提供するように選択されることができる。
【0064】
LED42a、42b及びイメージセンサ44をそれらの相対位置に保持し、器具ケーブルの光学チャネルなどのチャネルを通して視覚システム40を与えることを可能にするように視覚システム40を強化する、支持構造体46を提供する。支持構造体46は、視覚システム30のコンポーネントを支持するのに十分に頑強である任意の適切な生体適合性材料から作製されることができる。例えば、支持構造体40は、ポリカーボネートなどのポリマー材料から作製されることができる。光源42a、42b及びイメージセンサ44が取り付けられている開口部は、レーザー切断によって基材に好ましくは提供されることができるが、他の製造方法もまた適していることができる。支持構造体46は、器具ケーブル104の光学チャネル、または上述されるような同軸ケーブルによって形成される光学チャネルを介して、視覚システムを与えることを可能にするために、2mm未満、例えば、1.6mm以下の直径を有することができる。
【0065】
支持構造体46は、撮像ケーブルを搬送する保護シース48の遠位端部に提供され、この撮像ケーブルは、この場合、ハンドピース102から光源42a、42b及びイメージセンサ44にエネルギーを与えるワイヤと、イメージセンサ44からハンドピース102に信号(例えば、画像データ)を搬送してディスプレイに伝送するワイヤとを含む。保護シース48は、生体適合性材料から好ましくは作製され、シース48の遠位端部は、ポッティングされて、封止された筐体が作製され、支持構造体46を通した、または支持構造体46の周囲への液体またはデブリスの侵入を防ぐ。
【0066】
視覚システム40の遠位端部は、操舵性を提供するために好ましくは偏向可能であるため、撮像される領域に対するより卓越した制御を臨床医にもたらす。一例では、システム40は、操舵可能なカテーテル、例えば、遠位端部に対する制御を臨床医にもたらす複数の操舵ワイヤを含むカテーテルを通して提供されることができる。あるいは、器具ケーブル104自体は、遠位端部を偏向させることを可能にするために、複数の操舵ワイヤを含むことができる。システム10の偏向及び操舵性は、臨床医がハンドピース102を操作することによって制御されることができる。いくつかの実施形態では、保護シース48は、ハンドピース102を使用する臨床医によって視覚システム40を偏向させるように操作されることができる複数の操舵ワイヤを組み込むことができる。
【0067】
図8は、本発明の一態様による第二の組み合わされた治療及び視覚システム50の斜視図を示す。治療及び視覚システム50は、撮像ケーブルの遠位端部に照明を提供するために2つの光源52a、52bを含む。例えば、光源52a、52bは、図7に関して上述されるような発光ダイオード(LED)であることができる。光源52a、52bは、イメージセンサ54のいずれかの側面に対称に配置されるが、光源52a、52bの任意の配置は、治療領域の最適な照明を提供すると見なされることができる。これらのコンポーネントは、支持構造体56によって所定の位置に保持される。
【0068】
支持構造体56は、光源52a、52b及びイメージセンサ54をそれらの所定の位置に保持することを確保するように、組み合わされた治療及び視覚システム50の遠位端部を強化する。支持構造体56は、視覚システム50のコンポーネントを支持するのに十分に頑強である任意の適切な生体適合性材料から作製されることができる。例えば、支持構造体46は、ポリカーボネートなどのポリマー材料から作製されることができる。光源52a、52b及びイメージセンサ54が取り付けられている開口部は、レーザー切断によって基材に好ましくは提供されることができるが、他の製造方法もまた適していることができる。また、支持構造体56は、器具ケーブル104を通る作業チャネルの遠位端部にある開口部58を画定する。器具ケーブル104の作業チャネルを使用して、同軸ケーブルを搬送する、及び/またはツール及び構造体を治療部位に送達することができるため、システム50が必要に応じて治療をも提供することを可能にする。支持構造体56は、器具ケーブル104を通して作業チャネルを開口部58に接続する、近位に延在する押し出しセクションを含む。
【0069】
支持構造体56は、器具ケーブル104の遠位端部に係脱可能に取り付けられることができる。したがって、支持構造体56は、コンポーネントを臨床医が容易に変更することを可能にする、取り外し可能な構造体を提供することができる。例えば、臨床医は、特定の治療により適している異なるイメージセンサ54及び/または光源52a、52bを提供するために、支持構造体56を交換したい場合がある。
【0070】
いくつかの実施形態では、作業チャネルは、器具ケーブル104の遠位端部で電気手術を実施することを可能にすることができる。例えば、同軸ケーブルは、作業チャネルを通して挿入され、電気手術用の開口部58において放射先端部にRF及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを与えることができる。他の例では、作業チャネルは、作業チャネルの側壁部に組み込まれる、及び/または作業チャネル用のライナー(係脱可能なカバーなど)として提供される、エネルギー送達構造体を含むことができる。それらのような実施形態では、エネルギー送達構造体は、最内絶縁層、最内絶縁層上に形成される内部導電層、内部導電層と同軸に形成される外部導電層、ならびに内部導電層及び外部導電層を分離させる誘電層を有する同軸層状構造体を含むことができる。このようにして、エネルギー送達構造体は、RF及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを、開口部58において、作業チャネルの遠位端部で器具先端部に伝達するための伝送線路を提供することができる。好ましくは、エネルギー伝達構造体は、例えば開口部48に近接する領域内のその遠位端部に、内部導電層に電気的に接続され、最内絶縁層を通って作業チャネル内に延在する第一端子と、外部導電層に電気的に接続され、誘電層及び最内絶縁層を通って作業チャネル内に延在する第二端子とを含むことができる。第一端子及び第二端子は、作業チャネル内に、または作業チャネルを通して挿入可能である電気手術器具(例えば、放射先端部)上に形成される、対応する接点と電気接続を形成する(例えば、物理的に係合する)ように構成されることができる。第一端子及び第二端子は、それぞれ内部導電層及び外部導電層の遠位端部に、好ましくは開口部48に近接する領域内に、形成されることができる。外部導電層は、内部導電層よりもさらに遠位方向で長手方向に延伸することができることにより、第一端子は、第二端子から近位に位置している。
【0071】
図7に示される視覚システムのための器具ケーブル104の作業チャネルは、追加で、または代替に、遠位端部での操舵性を提供するカテーテルを受容することができる。例えば、カテーテルは、臨床医が器具ケーブル104を操舵することを可能にするために、ハンドピース102から作業チャネルの遠位端部に伸長する複数の操舵ワイヤを含むことができる。
【0072】
作業チャネルに加えて、器具ケーブル104は、光源52a、52b及びイメージセンサ54に電力を供給するために、ハンドピース102から電力を送達するワイヤ及び/またはケーブルを搬送するための光学チャネルを含むことができる。追加の管腔部もまた、表示装置116に伝送される画像信号をイメージセンサ54からハンドピース102に伝達するワイヤ及び/またはケーブルを搬送する。
【0073】
組み合わされた治療及び視覚システム50の遠位端部は、好ましくは、操舵性を提供するために偏向可能であるため、撮像される領域に対するより卓越した制御を臨床医にもたらし、器具先端部による正確な治療を確実にする。一例では、システム50は、操舵可能なカテーテル、例えば、遠位端部に対する制御を臨床医にもたらす複数の操舵ワイヤを含むカテーテルを通して提供されることができる。あるいは、器具ケーブル104自体は、遠位端部を偏向させることを可能にするために、複数の操舵ワイヤを含むことができる。別の例では、操舵ワイヤは、作業チャネルの壁部に組み込まれ、器具ケーブル104の遠位端部での偏向を可能にすることができる。あるいは、作業チャネルは、組み合わされた治療及び視覚システム50の操舵性を提供するようにガイドワイヤのセクションを調整することができる、関節式またはナックル式のガイドワイヤを受容することができる。好ましくは、システム50の偏向及び操舵性は、臨床医がハンドピース102を操作することによって制御されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8