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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】電圧入力回路及び電力測定器
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20230824BHJP
   G01R 21/00 20060101ALI20230824BHJP
   G01R 15/04 20060101ALI20230824BHJP
   G01R 15/06 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G01R19/00 A
G01R21/00 S
G01R15/04
G01R15/06 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018176249
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020046351
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】橘 勝也
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-288218(JP,A)
【文献】米国特許第4293820(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00-19/32
G01R 21/00-21/14
G01R 15/04-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分圧回路を備えた電圧入力回路であって、
当該電圧入力回路の+端子と-端子との間に電圧を入力し、該電圧を前記分圧回路に供給し、
前記分圧回路は、
非反転入力端子が前記-端子と基準電位に接続されたオペアンプと、
前記オペアンプの出力信号を前記オペアンプの反転入力端子にフィードバックするフィードバック部と、
前記+端子と前記オペアンプの反転入力端子との間に直列接続されたn(n≧2)個の抵抗と、該n個の直列接続された各抵抗同士を接続するn-1個の接続点のそれぞれと前記-端子との間に接続されたn-1個の抵抗と、前記+端子と前記オペアンプの反転入力端子との間に直列接続されたn個のコンデンサと、該n個の直列接続された各コンデンサ同士を接続するn-1個の接続点のそれぞれと前記-端子との間に接続されたn-1個のコンデンサとを有し、前記抵抗同士の接続点と前記コンデンサ同士の接続点とは非接続である入力部と、を備え、
前記フィードバック部は、RC並列回路を有することを特徴とする電圧入力回路。
【請求項2】
前記nは2であり、
前記入力部は、前記直列接続された前記n個の抵抗の第1抵抗及び第2抵抗、並びに前記n-1個の抵抗の第3抵抗をT字に接続した抵抗T型回路と、前記直列接続された前記n個のコンデンサの第1コンデンサ及び第2コンデンサ、並びに前記n-1個のコンデンサの第3コンデンサをT字に接続したコンデンサT型回路とを有することを特徴とする、請求項1に記載の電圧入力回路。
【請求項3】
前記入力部は第1切替部を有し、
前記第1抵抗及び前記第1コンデンサの接続点は、前記+端子に接続され、
前記第1切替部により、前記第3抵抗及び前記第3コンデンサの接続点は、前記-端子に接続されるか、又は前記オペアンプの反転入力端子に接続され、
前記第2抵抗及び前記第2コンデンサの接続点は、前記オペアンプの反転入力端子に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の電圧入力回路。
【請求項4】
前記第1抵抗及び前記第2抵抗の接続点の電圧、及び前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの接続点の電圧の変動率又は変動量が閾値を越えたか否かを監視する監視回路を備えることを特徴とする、請求項2又は3に記載の電圧入力回路。
【請求項5】
前記フィードバック部は、RC並列回路を直列接続したRC並列回路群と、該RC並列回路群の一部のRC並列回路に並列に接続された第2切替部とを有し、
前記第2切替部は、該第2切替部と並列に接続されたRC並列回路をバイパスさせるか、該RC並列回路を用いて前記オペアンプの出力信号をフィードバックさせるか、を切り替えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の電圧入力回路。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電圧入力回路を備えることを特徴とする電力測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電圧入力回路及び電力測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力測定器として、一般的に図7に示す構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図7において、電力測定器100は、電圧入力回路10と、電流入力回路20と、演算部30と、表示部40と、メモリ50と、操作部60と、CPU70とを備える。
【0003】
電圧入力回路10は、分圧回路11により入力電圧を分圧した後、増幅回路12により増幅し、A/D変換器13によりデジタル信号に変換する。
に出力する。
【0004】
電流入力回路20は、シャント抵抗21にかかる電圧を増幅回路22で増幅し、A/D変換器23によりデジタル信号に変換する。
【0005】
演算部30は、A/D変換器13から入力された電圧信号、及びA/D変換器23から入力された電流信号から、電圧値、電流値、電力値などを演算し、演算結果をメモリ50に格納する。表示部40は、演算部30の演算結果を表示する。操作部60は、例えば、ボタン、キー、外付けのキーボードやマウス等であり、測定条件等が設定される。CPU70は、電力測定器1の各機能部10~60とバスで接続されて各機能部10~60を制御し、電力測定器1の全体を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-288218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8は、従来の電圧入力回路10の一例を示す回路図である。良好な周波数特性を得るためには、分圧回路11において、各RC並列回路の時定数をそれぞれ同一の値に合わせる必要がある。すなわち、抵抗121及びコンデンサ131の並列回路の時定数と、抵抗122及びコンデンサ132の並列回路の時定数と、抵抗123及びコンデンサ133の並列回路の時定数と、抵抗124及びコンデンサ134の並列回路の時定数とを同一の値にする必要がある。そのため、抵抗値の大きな抵抗を使用した場合には容量値の小さなコンデンサを使用する必要があり、逆に抵抗値の小さな抵抗を使用した場合には容量値の大きなコンデンサを使用する必要があり、部品を選択する際の制約が大きかった。また、容量値の小さいコンデンサは、一般的に許容差が大きく、可変容量コンデンサ(トリマコンデンサ)等で許容差を調整する場合でも、調整感度や容量値変動の影響が大きくなる。
【0008】
そこで、本開示は、コンデンサの容量値の設定自由度を上げることが可能な電圧入力回路及び電力測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
幾つかの実施形態に係る電圧入力回路は、分圧回路を備え、当該電圧入力回路の+端子と-端子との間に電圧を入力し、該電圧を前記分圧回路に供給し、前記分圧回路は、非反転入力端子が前記-端子と基準電位に接続されたオペアンプと、前記オペアンプの出力信号を前記オペアンプの反転入力端子にフィードバックするフィードバック部と、前記+端子と前記オペアンプの反転入力端子との間に直列接続されたn(n≧2)個の抵抗と、該n個の直列接続された各抵抗同士を接続するn-1個の接続点のそれぞれと前記-端子との間に接続されたn-1個の抵抗と、前記+端子と前記オペアンプの反転入力端子との間に直列接続されたn個のコンデンサと、該n個の直列接続された各コンデンサ同士を接続するn-1個の接続点のそれぞれと前記-端子との間に接続されたn-1個のコンデンサとを有し、前記抵抗同士の接続点と前記コンデンサ同士の接続点とは非接続である入力部と、を備え、前記フィードバック部は、RC並列回路を有する。
このように、入力部の抵抗とコンデンサとを分離することにより、コンデンサの容量値の設定自由度を上げることができる。
【0010】
前記nは2であり、前記入力部は、前記直列接続された前記n個の抵抗の第1抵抗及び第2抵抗、並びに前記n-1個の抵抗の第3抵抗をT字に接続した抵抗T型回路と、前記直列接続された前記n個のコンデンサの第1コンデンサ及び第2コンデンサ、並びに前記n-1個のコンデンサの第3コンデンサをT字に接続したコンデンサT型回路とを有してもよい。
このように、n=2とすることで、簡易な構成の電圧入力回路を実現することができる。
【0011】
一実施形態において、前記入力部は第1切替部を有し、前記第1抵抗及び前記第1コンデンサの接続点は、前記+端子に接続され、前記第1切替部により、前記第抵抗及び前記第コンデンサの接続点は、前記-端子に接続されるか、又は前記オペアンプの反転入力端子に接続され、前記第抵抗及び前記第コンデンサの接続点は、前記オペアンプの反転入力端子に接続されてもよい。
このように、第1切替部を有することにより、レンジ切り替えをすることができる。
【0012】
一実施形態において、前記第1抵抗及び前記第2抵抗の接続点の電圧、及び前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの接続点の電圧の変動率又は変動量が閾値を越えたか否かを監視する監視回路を備えてもよい。
このように、監視回路を備えることにより、異常の発生を検知することができる。
【0013】
一実施形態において、前記フィードバック部は、RC並列回路を直列接続したRC並列回路群と、該RC並列回路群の一部のRC並列回路に並列に接続された第2切替部とを有し、前記第2切替部該第2切替部と並列に接続されたRC並列回路をバイパスさせるか、該RC並列回路を用いて前記オペアンプの出力信号をフィードバックさせるか、を切り替えてもよい。
このように、第2切替部を有することにより、レンジ切り替えをすることができる。
【0014】
幾つかの実施形態に係る電力測定器は、前記電圧入力回路を備える。
このような構成によれば、高精度に電圧を測定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、コンデンサの容量値の設定自由度を上げることが可能な電圧入力回路及び電力測定器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る電圧入力回路を示す図である。
図2図1に示した分圧回路の第1の変形例を示す図である。
図3図1に示した分圧回路の第2の変形例を示す図である。
図4図1に示した分圧回路の第3の変形例を示す図である。
図5図1に示した分圧回路の第4の変形例を示す図である。
図6図1に示した分圧回路の第5の変形例を示す図である。
図7】従来の電力測定器の一例を示す図である。
図8】従来の電力測定器における電圧入力回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る電圧入力回路を示す図である。図1に示すように、電圧入力回路80は、分圧回路81aと、増幅回路12と、A/D変換器13とを備える。分圧回路81aは、電圧入力回路80の入力電圧を分圧する。増幅回路12は、分圧回路81aにより分圧された電圧を増幅する。A/D変換器13は、増幅回路12により増幅された電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換する。なお、増幅回路12は無くてもよく、その場合には、A/D変換器13は、分圧回路81aにより分圧された電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0019】
分圧回路81aは、オペアンプ811と、オペアンプ811の反転入力端子に入力信号を供給する入力部800と、オペアンプ811の出力信号をオペアンプ811の反転入力端子にフィードバックするフィードバック部810とを備える。
【0020】
入力部800は、直列接続されたn(n≧2)個の抵抗と、該抵抗同士の接続点と基準電位(グラウンド)との間に接続されたn-1個の抵抗と、直列接続されたn個のコンデンサと、該コンデンサ同士の接続点と基準電位との間に接続されたn-1個のコンデンサとを有し、抵抗同士の接続点とコンデンサ同士の接続点とは非接続である。図1では、n=1の場合を示している。すなわち、入力部800は、抵抗821、抵抗822、及び抵抗823をT字に接続したT型回路(以下、「抵抗T型回路」という。)と、コンデンサ831、コンデンサ832、及びコンデンサ833をT字に接続したT型回路(以下、「コンデンサT型回路」という。)とを有し、抵抗同士の接続点(抵抗T型回路の中点)Pと、コンデンサ同士の接続点(コンデンサT型回路の中点)Qとは非接続である。
【0021】
抵抗821及びコンデンサ831の接続点は、電圧入力回路80の+端子に接続される。すなわち、抵抗821の、コンデンサ831と接続されない端子は中点Pに接続され、コンデンサ831の、抵抗821と接続されない端子は中点Qに接続される。また、抵抗822及びコンデンサ832の接続点は、電圧入力回路80の-端子(グラウンド)に接続される。すなわち、抵抗822の、コンデンサ832と接続されない端子は中点Pに接続され、コンデンサ831の、抵抗821と接続されない端子は中点Qに接続される。また、抵抗823及びコンデンサ833の接続点は、オペアンプ811の反転入力端子に接続される。すなわち、抵抗823の、コンデンサ833と接続されない端子は中点Pに接続され、コンデンサ833の、抵抗823と接続されない端子は中点Qに接続される。
【0022】
フィードバック部810は、抵抗824及びコンデンサ834のRC並列回路を有する。抵抗824及びコンデンサ834の一端はオペアンプ811の反転入力端子に接続され、抵抗824及びコンデンサ834の他端はオペアンプ811の出力端子に接続される。
【0023】
図2に、分圧回路81aの第1の変形例である分圧回路81bを示す。図2は、分圧回路81bの入力部800において、n=2の場合を示している。すなわち、分圧回路81bの入力部800は、抵抗T型回路の入力側に抵抗825,826を有し、コンデンサT型回路の入力側にコンデンサ835,836を有する。抵抗同士の接続点P,P’は、コンデンサ同士の接続点Q,Q’と非接続である。
【0024】
図3に、分圧回路81aの第2の変形例である分圧回路81cを示す。図3に示すように、分圧回路81cのフィードバック部810は、複数組のRC並列回路と、切替部(スイッチ)841とを有する。切替部841は、いずれのRC並列回路を用いてオペアンプ811の出力信号をフィードバックさせるかを切り替える。分圧回路81cのフィードバック部810は、RC並列回路が2組の場合を示している。分圧回路81cのフィードバック部810は、切替部841により、抵抗824及びコンデンサ834のRC並列回路のみを選択するか、該RC並列回路と、抵抗827及びコンデンサ837のRC並列回路の双方を選択するかを切り替える。
【0025】
分圧回路81cのフィードバック部810は、切替部841により、オペアンプ811の反転入力端子と出力端子との間の抵抗値を変更することができるため、分圧回路81cの入力電圧の分圧比を変更することができる。分圧比の具体例については後述する。
【0026】
図4に、分圧回路81aの第3の変形例である分圧回路81dを示す。図4に示すように、分圧回路81dの入力部800は切替部(スイッチ)842を有する。切替部842は、抵抗822及びコンデンサ832の接続点を-端子(グラウンド)に接続するか、又はオペアンプ811の反転入力端子に接続するかを切り替える。
【0027】
分圧回路81dは、抵抗822及びコンデンサ832の接続点をグラウンドに接続した場合には、入力電圧は、抵抗821の抵抗値と、抵抗822及び抵抗823の合成抵抗値との比により分圧され、さらに抵抗823及び抵抗824の抵抗値の比により分圧される。分圧回路81dは、抵抗822及びコンデンサ832の接続点をオペアンプ811の反転入力端子に接続した場合には、入力電圧は、抵抗821、抵抗822、及び抵抗823の合成抵抗値と、抵抗824の抵抗値の比により分圧される。よって、切替部842により分圧比を変更することができる。分圧比の具体例については後述する。
【0028】
図5に、分圧回路81aの第4の変形例である分圧回路81eを示す。切替部841及び切替部842を切り替えることにより分圧比が変わるため、レンジ切り替えが可能となる。例えば、抵抗821の抵抗値を9.9MΩ、抵抗822の抵抗値を111.11kΩ、抵抗823の抵抗値を1MΩ、抵抗824の抵抗値を100kΩ、抵抗827の抵抗値を900kΩとした場合、切替部841及び切替部842の切り替えに応じて、分圧比は以下の(1)~(4)のようになる。
【0029】
(1)切替部842により抵抗822がグラウンドに接続され、切替部841により抵抗827が短絡された場合
この場合には、中点Pの電圧が、抵抗823及び抵抗824の抵抗値の比で分圧される。抵抗821の抵抗値は9.9MΩであり、抵抗822及び抵抗823の合成抵抗値は100kΩであるため、中点Pの電圧は入力電圧の1/100となる。また、抵抗823及び抵抗824の抵抗値の比は、1M:100k=10:1である。したがって、オペアンプ811の出力電圧は、分圧回路81eの入力電圧の1/1000となる。
【0030】
(2)切替部842により抵抗822がグラウンドに接続され、切替部841により抵抗827が短絡されなかった場合
この場合には、中点Pの電圧が、抵抗823の抵抗値と、抵抗824及び抵抗827の合成抵抗値との比で分圧される。中点Pの電圧は、上述したように入力電圧の1/100である。また、抵抗823の抵抗値と、抵抗824及び抵抗827の合成抵抗値との比は、1M:(900k+100k)=1:1である。したがって、オペアンプ811の出力電圧は、分圧回路81eの入力電圧の1/100となる。
【0031】
(3)切替部842により抵抗822がオペアンプ811の反転入力端子に接続され、 切替部841により抵抗827が短絡された場合
この場合には、分圧回路81eの入力電圧が、抵抗821、抵抗822、及び抵抗823の合成抵抗値と、抵抗824の抵抗値との比で分圧される。この比は、(9.9M+100k):100k=100:1である。したがって、オペアンプ811の出力電圧は、分圧回路81eの入力電圧の1/100となる。
【0032】
(4)切替部842により抵抗822がオペアンプ811の反転入力端子に接続され、切替部841により抵抗827が短絡されなかった場合
この場合には、分圧回路81eの入力電圧が、抵抗821、抵抗822、及び抵抗823の合成抵抗値と、抵抗824及び抵抗827の合成抵抗値との比で分圧される。この比は、(9.9M+100k):(900k+100k)=10:1である。したがって、オペアンプ811の出力電圧は、分圧回路81eの入力電圧の1/10となる。
【0033】
フィードバック部810のコンデンサの容量値は、RC並列回路の時定数が所定の値となるように調整される。一方、入力部800のコンデンサの容量値は、中点Pにおける分流比と中点Qにおける分流比が同一になればよい。抵抗822に流れる電流と抵抗823に流れる電流の比は9:1であるため、コンデンサ832の容量値とコンデンサ833の容量値の比も9:1とすればよい。例えば、コンデンサ832の容量値を297pFとし、コンデンサ833の容量値を33pFとする。
【0034】
図6に、分圧回路81aの第5の変形例である分圧回路81fを示す。分圧回路81fは、監視回路820を備える。監視回路820は、中点P及び中点Qの電圧を常時監視する回路である。中点P及び中点Qの電圧の変動率又は変動量等が閾値を越えた場合には異常が発生したと判断することができる。例えば、監視回路820は図6に示すように、抵抗828と、抵抗829と、コンデンサ838と、コンデンサ839と、オペアンプ812とを有する。中点P及び中点Qの電圧は、レンジ切り替えのために図5に示す切替部841及び切替部842が設けられていた場合でも、レンジ切り替えの影響を受けないで一定の値となる。そのため、監視回路820により、適切に異常の発生を検知することができる。
【0035】
このように、分圧回路81a~81fでは、抵抗T型回路の中点Pと、コンデンサT型回路の中点Qとは非接続であり、入力部800において抵抗とコンデンサとが分離される。そのため、入力部800のコンデンサの容量値を設定する際に、従来のように各RC並列回路の時定数を合わせるという制約が無くなり、コンデンサの容量値の設定自由度を上げることができる。そして、容量値の設定自由度が上がることにより、容量値の許容差が大きくなる低容量のコンデンサを使用しなくても済むようになり、特性の良いコンデンサの選定も可能になる。また、トリマコンデンサによる調整感度を下げることができ、その結果、容量値の設定ずれによる誤差を低減することが可能となる。また、直流系統と交流系統の分離設計でパターンの混在を避けることができ、特性検証が容易となる。また、交流の分圧比は容量値で決定するため、抵抗値の変更にも柔軟に対応することが可能となる。
【0036】
また、図7に示した電力測定器100の電圧入力回路10を、上述した電圧入力回路80に置換することができる。電圧入力回路80は、上述したように特性の良いコンデンサを選定することができるため、電圧入力回路80を備える電力測定器は、高精度に電圧を測定することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0038】
12 増幅回路
13 A/D変換器
80 電圧入力回路
81a,81b,81c,81d,81e 分圧回路
800 入力部
810 フィードバック部
820 監視回路
811,812 オペアンプ
821,822,823,824,825,826,827,828,829 抵抗
831,832,833,834,835,836,837,838,839 コンデンサ
841,842 切替部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8