(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】発泡製品、及び、発泡製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 33/00 20060101AFI20230824BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20230824BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230824BHJP
B41M 3/06 20060101ALI20230824BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B32B33/00
B32B5/18
B32B27/00 E
B41M3/06 F
B41M3/06 C
B41J2/01 125
(21)【出願番号】P 2019037055
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100134599
【氏名又は名称】杉本 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳美
【審査官】原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-026545(JP,A)
【文献】特開平03-178373(JP,A)
【文献】特開昭55-069425(JP,A)
【文献】特開平10-156855(JP,A)
【文献】特開平07-329093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C 44/00-44/60
C08J 9/00- 9/42
B41F 21/00-30/06
B41M 1/00- 3/18
B41M 7/00- 9/04
B41J 2/01- 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡によって盛り上がった第1部分と、前記第1部分よりも低い第2部分と、を有する
、発泡層を有する発泡メディアと、
前記発泡層の表面に複数の加飾粒子を有し、前記第1部分と前記第2部分とのうちの前記第2部分のみに形成された加飾部と、
を備え、
前記第1部分の上には、発泡制御インク層及びカラーインク層が形成され、
前記発泡
層は、
熱可塑性樹脂を有し、前記第2部分において前記複数の加飾粒子を融着
し、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移点は、前記発泡
層の発泡開始温度より低い温度である発泡製品。
【請求項2】
前記複数の加飾粒子の高さ又は幅は、0.01mm以上である、
請求項1に記載の発泡製品。
【請求項3】
前記複数の加飾粒子は、1つ1つが肉眼で視認可能な大きさである、
請求項1又は2に記載の発泡製品。
【請求項4】
前記発泡メディアには、画像が印刷されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の発泡製品。
【請求項5】
前記発泡メディアは、前記第1部分を含む発泡部分と、前記第2部分を含み前記発泡部分よりも発泡していない低発泡部分と、からなり、
前記加飾部は、前記発泡部分と前記低発泡部分とのうちの前記低発泡部分の少なくとも一部のみに形成されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の発泡製品。
【請求項6】
前記第2部分は、凹部となっており、
前記複数の加飾粒子は、前記凹部に満たされている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の発泡製品。
【請求項7】
発泡によって盛り上がった第1部分と、前記第1部分よりも低い第2部分と、を有する発泡メディアと、
複数の加飾粒子を有し、前記第1部分と前記第2部分とのうちの前記第2部分のみに形成された加飾部と、
前記第1部分と前記第2部分とにわたって連続して形成され、前記第1部分と前記第2部分とに固着されている透明層と、
を備え、
前記複数の加飾粒子は、前記透明層のうち前記第2部分に対応する部分で、且つ前記透明層より前記発泡メディア側に配置されている、
発泡製品。
【請求項8】
発泡製品の製造方法であって、
前記発泡製品は発泡層を有する発泡メディアを備え、
前記発泡
層を第1温度で加熱して発泡させることにより、当該発泡
層に、発泡によって盛り上がった第1部分と、前記第1部分よりも低い第2部分と、を形成する第1ステップと、
前記第1部分と前記第2部分とのうちの前記第2部分のみに複数の加飾粒子を定着させる第2ステップと、
を有し、
前記第2ステップは、
前記発泡
層の少なくとも前記第2部分に複数の加飾粒子を供給する第2-1ステップと、
前記第2-1ステップで供給された複数の加飾粒子のうち、前記発泡
層の前記第1部分に残留した加飾粒子を前記第2部分にかき落とす第2-2ステップと、
前記第2-2ステップで得られた前記発泡
層を、
前記発泡層の発泡開始温度より低い温度である第2温度で加熱して、前記発泡
層の表面
に前記複数の加飾粒子を融着させる第2-3ステップと、
を有する、発泡製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡製品、及び、発泡製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発泡による凹凸が形成された発泡製品(壁紙等)が知られている。当該発泡製品を製造する製造方法として、特許文献1には、凹凸を有する発泡メディア(基材1、下地印刷層2、及び、発泡性インキ層3)の全面に、ビーズ、砂、微粒粉砕石等を有する加飾部(微粒状最表層4)を形成した発泡製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、加飾部が発泡メディア全面に形成されているため、見た目が単調で意匠性が乏しい。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、高い意匠性を有する発泡製品、及び、高い意匠性を有する発泡製品を製造するための製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る発泡製品は、
発泡によって盛り上がった第1部分と、前記第1部分よりも低い第2部分と、を有する発泡メディアと、
複数の加飾粒子を有し、前記第1部分と前記第2部分とのうちの前記第2部分のみに形成された加飾部と、
を備える。
【0007】
第1部分は、発泡した部分であり、第2部分は、第1部分よりも発泡度合いが少ないこと(非発泡を含む)で第2部分よりも低い(薄い)部分であればよい。第2部分は、例えば、発泡層のうちの発泡していない領域である。
【0008】
上記構成によれば、第1部分には加飾部が形成されず、第2部分に加飾部が形成されるので、発泡メディア全面に加飾部が形成されたときに比べて発泡製品の見た目が単調にならず、高い意匠性が得られる。
【0009】
前記複数の加飾粒子の長さは、0.01mm以上である、
ようにしてもよい。
【0010】
上記構成によれば、高い意匠性が得られる。
【0011】
前記複数の加飾粒子は、1つ1つが肉眼で視認可能な大きさである、
【0012】
上記構成によれば、加飾粒子により高い意匠が得られる。
【0013】
前記発泡メディアには、画像が印刷されている、
ようにしてもよい。
【0014】
上記構成によれば、画像と加飾部とにより、より高い意匠性が得られる。
【0015】
前記発泡メディアは、前記第1部分を含む発泡部分と、前記第2部分を含み前記発泡部分よりも発泡していない低発泡部分と、からなり、
前記加飾部は、前記発泡部分と前記低発泡部分とのうちの前記低発泡部分の少なくとも一部のみに形成されている、
ようにしてもよい。
【0016】
上記構成によれば、低発泡部分にのみ加飾部が設けられので、より高い意匠性が得られる。
【0017】
前記第2部分は、凹部となっており、
前記複数の加飾粒子は、前記凹部に満たされている、
ようにしてもよい。
【0018】
上記構成によれば、凹部に満たされた複数の加飾粒子により新たな見た目を提供でき、より高い意匠性が得られる。
【0019】
前記発泡メディアは、発泡層又はインク受理層を構成している熱可塑性樹脂層を有し、
前記複数の加飾粒子は、前記熱可塑性樹脂層に融着している、
ようにしてもよい。
【0020】
上記構成によれば、加飾粒子を固定するための接着材等を不要とすることができる。
【0021】
前記第1部分と前記第2部分とにわたって形成され、前記第1部分と前記第2部分とに固着されている透明層をさらに備え、
前記複数の加飾粒子は、前記透明層のうち前記第2部分に対応する部分に配置されている、
ようにしてもよい。
【0022】
上記構成によれば、透明層の接着部分が広く、透明層が発泡メディアから剥がれてしまう等の不都合を防止できる。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る発泡製品の製造方法は、
発泡製品の製造方法であって、
発泡メディアを発泡させることにより、当該発泡メディアに、発泡によって盛り上がった第1部分と、前記第1部分よりも低い第2部分と、を形成する第1ステップと、
前記第1部分と前記第2部分とのうちの前記第2部分のみに複数の加飾粒子を定着させる第2ステップと、
を有する。
【0024】
上記構成によれば、高い意匠性を有する発泡製品を製造することができる。
【0025】
前記第1部分と前記第2部分とは隣接しており、
前記第2ステップは、
前記発泡メディアの少なくとも前記第2部分に複数の加飾粒子を供給する第2-1ステップと、
前記第2-1ステップで供給された複数の加飾粒子のうち、前記発泡メディアの前記第1部分に残留した加飾粒子を前記第2部分にかき落とす第2-2ステップと、を有する、
ようにしてもよい。
【0026】
上記構成によれば、加飾粒子を第2部分のみに供給できなくても、第1部分の加飾粒子を除去できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、高い意匠性を有する発泡製品、及び、高い意匠性を有する発泡製品を製造するための製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態に係る発泡製品の製造方法のフローチャート。
【
図3】発泡制御インク層及びカラーインク層が形成されたあとの発泡メディアの断面図。
【
図5】加飾粒子が付与されたあとの発泡メディアの断面図。
【
図6】加飾粒子をかき落とす様子を示す発泡メディアの断面図。
【
図7】加飾粒子をかき落としたあとの発泡メディアの断面図。
【
図8】加飾粒子を定着させたあとの発泡メディアである発泡製品の断面図。
【
図10】(A)は、変形例にかかる発泡製品の断面図。(B)は、他の変形例にかかる発泡製品の断面図。(C)は、他の変形例にかかる発泡製品の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発泡製品1の形成方法)
この発明の実施の形態に係る発泡製品1の形成方法を、
図1~
図8を参照しながら説明する。発泡製品1は、後述のように、発泡による凹凸を表面に備えている(
図8等)。発泡製品1には、複数の凸部12A~12Cに画像(カラーインク層14A~14C)が印刷され、凸部12A~12Cの間の凹部12E及び12Fそれぞれには多数の加飾粒子Rから構成される加飾部15A及び15Bが設けられている。加飾粒子Rは、後述のように、樹脂ビーズ等の熱可塑性樹脂製の粒子から構成され、当該加飾部15A及び15Bはざらつき感を表現している。
【0030】
発泡製品1の形成方法は、
図1に示すように、ステップS1~S6を備える。ステップS1では、発泡メディア10(
図2等)を準備する。ステップS2では、ステップS1で準備された発泡メディア10に発泡制御インク及びカラーインクによる印刷を施す(
図3)。ステップS3では、ステップS2で印刷が行われた発泡メディア10を第1加熱処理することにより発泡させる(
図4)。ステップS4では、発泡後の発泡メディア10に対して加飾粒子Rを付与する(
図5)。ステップS5では、ステップS4で付与された加飾粒子Rのうちの発泡により形成された凸部上の余計な加飾粒子Rをかき落とす(
図6、
図7)。ステップS6では、ステップS5のあとの発泡メディア10を第2加熱処理し、熱可塑性の樹脂からなる加飾粒子Rを発泡メディア10に熱融着させ、定着させる。当該定着により、加飾部15A及び15Bが形成され、発泡製品1が完成する(
図8)。以下、各ステップを詳細に説明する。
【0031】
(ステップS1)
ステップS1では、発泡メディア10を準備する。発泡メディア10は、
図2に示すように、表面が平坦なシート状の媒体であり、積層された基材11と発泡層12とから構成されている。
【0032】
基材11は、発泡層12を支持している。基材11としては、例えば、紙製シート、不織布製シート、プラスチックフィルムが挙げられる。基材11の厚みは、例えば、0.025mm~0.3mm、より好ましくは0.05mm~0.12mmであってもよい。
【0033】
発泡層12は、加熱されることにより発泡する層である。この発泡により、発泡層12の表面が盛り上がる。発泡層12は、ベースとしての熱可塑性樹脂と、当該熱可塑性樹脂に分散された熱膨張性マイクロカプセルと、を備える。熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂製のマイクロカプセルと、当該マイクロカプセルに封入された揮発性溶剤(液状炭化水素など)と、を備える。
【0034】
発泡層12が加熱されると熱膨張性マイクロカプセルが加熱される。この加熱によりマイクロカプセルが軟化するとともに揮発性溶剤が揮発し、熱膨張性マイクロカプセルは発泡して膨張する。膨張した熱膨張性マイクロカプセルは、その後に冷却されてもその大きさを維持する。熱膨張性マイクロカプセルが発泡を開始する温度を発泡開始温度ともいう。当該発泡開始温度が発泡層12の熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも高くなるよう、熱可塑性樹脂及び熱膨張性マイクロカプセルの材料が選定される。
【0035】
発泡層12の温度が発泡開始温度まで上昇すると、ベースとなっている熱可塑性樹脂が軟化するとともに、熱膨張性マイクロカプセルが発泡して膨張する。これにより、膨張した熱膨張性マイクロカプセルが設けられた部分が盛り上がる。熱膨張性マイクロカプセルの発泡は、当該熱膨張性マイクロカプセルを含む発泡層12の発泡でもある。発泡層12は、発泡により、その表面が盛り上がる。
【0036】
(ステップS2)
ステップS2では、発泡メディア10の表面に、発泡制御インクにより
図3に示す発泡制御インク層13A~13Cを印刷し、カラーインクにより
図3に示すカラーインク層14A~14Cを印刷する。
【0037】
発泡制御インクは、発泡層12の発泡箇所を制御(どの部分を発泡させるかを制御)するためのインクである。発泡制御インクは、ここでは、発泡層12を発泡させるためのインクであり、発泡層12のうち、発泡させたい領域に塗布される。発泡制御インクは、近赤外線吸収色素を含有するインクであり、ここでは、近赤外線吸収色素としてカーボンブラックを用いている。発泡メディア10に塗布された発泡制御インクは、乾燥することで、発泡メディア10に発泡制御インク層13A~13C(ここでは、カーボンブラックを含む層)として定着する。
【0038】
カラーインクは、画像を印刷するためのものであり、溶媒と、当該溶媒に溶けた又は分散した染料又は顔料と、を含有している。カラーインクは、発泡メディア10のうち画像を印刷したい箇所に塗布される。ここでは、カラーインクは、発泡制御インク層13A~13Cの上に塗布されるものとする。発泡メディア10に塗布されたカラーインクは、乾燥することで、発泡メディア10にカラーインク層14A~14Cとして定着する。カラーインク層14A~14Cは画像を表現している。従って、カラーインク層14A~14Cの形成は、画像の印刷でもある。発泡制御インクにカーボンブラック等の有色の色素を用いる場合には、カラーインク層14~14Cそれぞれの最下層(下地層)として、又は、カラーインク層14~14Cそれぞれとカラーインク層14A~14Cそれぞれとの間に、白のカラーインクにより白インク層(白色の層)を形成するとよい。これにより、カラーインク層14~14Cの発色を良くすることができる。
【0039】
発泡制御インク及びカラーインクは、インクジェットプリンタ等により、発泡メディア10に塗布される。ステップS2で発泡制御インク層13A~13C及びカラーインク層14A~14Cが印刷された後の発泡メディア10を、以下では、発泡メディア10Pともいう。
【0040】
(ステップS3)
ステップS3では、発泡メディア10を発泡させるため、当該発泡メディア10を加熱する第1加熱処理を行う。第1加熱処理では、発泡メディア10Pに電磁波(近赤外線)を照射する。発泡制御インク層13A~13Cは、照射された電磁波を吸収し、発熱する。当該発熱は、共有結合の分子構造を有するカーボン分子が当該電磁波を吸収する減少を利用したものである。発泡制御インク層13A~13Cが発熱することで、発泡層12のうち、発泡制御インク層13A~13Cが設けられた領域(発泡制御インク層13A~13Cそれぞれの直下の領域)が加熱され発泡する。この発泡により、発泡メディア10Pの表面のうち、発泡制御インク層13A~13Cそれぞれが設けられた3つの部分が盛り上がり、
図4に示すように凸部12A~12Cが形成される。凸部12A~12Cの各凸部の間は、凹部12E及び12Fとなっている。ステップS3により発泡された後の発泡メディア10Pを発泡メディアQともいう。
【0041】
(ステップS4)
ステップS4では、発泡メディアQに多数の加飾粒子Rを付与する。加飾粒子Rは、ここでは、熱可塑性樹脂製の樹脂ビーズである。加飾粒子Rは、
図5等において球形状に形成されているが、球形状に限らず種々の形状に形成される。加飾粒子Rは、ディスペンサ、人の手作業等により付与される。加飾粒子Rは、凹部12E及び12Fを中心にして付与されるが、凹部12E及び12Fのみに加飾粒子Rを付与するのは難しく(特に凹部12E及び12Fが小さい場合に顕著となる)、
図5に示すように、一部、凸部12A~12C、より詳細には、カラーインク層14A~14C上に残留する。
【0042】
加飾粒子Rは、加飾部15A及び15Bにざらつき感(特に凸凹感)を与える大きさであるとよい。このように、加飾部15A及び15Bを、加飾粒子Rそれぞれにより加飾部が粒々(1粒が1つの加飾粒子Rにより表現されている)に見せることで、意匠性を向上させることができる。加飾粒子Rは、その1つ1つが肉眼で視認可能な大きさであるとよい。加飾粒子Rの大きさ(加飾粒子Rが自立したとき又は発泡メディア10に定着したときの高さ、加飾粒子Rが自立したとき又は発泡メディア10に定着したときの幅(細長い等の場合には、最も長い又は短い長さ)など)は、例えば、肉眼で視認可能な0.1mm~凸部12A~12Cの高さ(つまり、加飾部15A又は15Bが設けられる部分と、当該部分に隣接し当該部分よりも高い部分との高低差、例えば、0.3mm~1mm程度)未満の大きさであるとよい。
【0043】
(ステップS5)
ステップS5では、カラーインク層14A~14C上に残留した加飾粒子Rをかき落とす。ここでは、
図6に示すように、かき落とし用の工具30を、カラーインク層14A~14Cに沿って右から左に移動させることで、加飾粒子Rをかき落とす。工具30は、ここでは、金属製の刃を有するナイフであり、カラーインク層14A~14Cを傷つけないよう当該カラーインク層14A~14Cに触れない位置で移動する。工具30は、当該工具30とカラーインク層14A~14Cとの間の距離Sが、加飾粒子Rの大きさ(粒径等)よりも小さい位置で移動する。距離Sを加飾粒子Rの大きさ(粒径等)より小さくすることで、工具30が確実に加飾粒子Rをかき落とすことができる。工具30(ナイフの刃の部分)は、静電気を発生させないよう接地(アース)するとよい。工具30は、所定の駆動機構により駆動され移動する。
【0044】
カラーインク層14C上の加飾粒子Rは、工具30により凹部12Fにかき落とされる。カラーインク層14B上の加飾粒子Rは、工具30により凹部12Eにかき落とされる。これらのかき落としにより、
図7に示すように、凹部12E及び12F内の加飾粒子Rがかき落とし前(
図6)よりも増加する。カラーインク層14A上の加飾粒子Rは、工具30により、発泡層12の領域12Hにかき落とされる。領域12Hにかき落とされた加飾粒子Rは、当該領域12H上を転がって、発泡メディア10Qの左側に落とされる。なお、領域12Hにかき落とされた加飾粒子Rが領域12Hに残ってしまう場合には、当該加飾粒子Rを、刷毛、空気の吹きつけ等により、発泡メディア10Qの左側にかき落とすとよい。加飾粒子Rをかき落とした後の発泡メディア10Qを、発泡メディア10R(
図7)ともいう。
【0045】
(ステップS6)
ステップS6では、発泡メディア10Rを加熱し、加飾粒子Rを発泡メディア10Rに定着させるための第2加熱処理を行う。当該第2加熱処理により、熱可塑性の樹脂からなる加飾粒子Rは、発泡メディア10Rに熱融着し、定着する。第2加熱処理では、例えば、ヒータ等により、発泡メディア10Rを非接触で上方から加熱する。また、第2加熱処理では、オーブン等により、発泡メディア10R全体を加熱してもよい。
【0046】
第2加熱処理で発泡メディア10Rを加熱するときの加熱温度は、発泡層12が発泡しないよう、発泡層12の発泡開始温度(例えば、150~200℃の範囲内の温度など)よりも低い温度とする。さらに、当該加熱温度は、加飾粒子R及び発泡層12を構成する各熱可塑性樹脂を、加飾粒子R同士、及び、発泡層12と加飾粒子Rとが熱融着可能な温度にまで上昇させることができる温度とする。当該加熱温度は、加飾粒子R及び発泡層12を構成する各熱可塑性樹脂のガラス転移点(熱可塑性樹脂の種類によるが、例えば、60~120℃の範囲内の温度)以上かつ融点以下の温度(特に、熱融着を確保しつつ、加飾粒子R及び発泡層12の形状が崩れない温度)とするとよい。熱融着は、発泡層12等がガラス転移点以上融点未満の温度となって軟化して接着することを含む。別の観点からみると、加飾粒子R及び発泡層12を構成する各熱可塑性樹脂の材料は、発泡層12の発泡開始温度よりも低いガラス転移点を有し、前記加熱温度により熱融着可能な材料とするとよい。
【0047】
加飾粒子R及び発泡層12を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル(可塑剤が充填されて軟質化されたものでもよい)、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン-酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0048】
第2加熱処理により、加飾粒子R及び発泡層12の各熱可塑性樹脂が軟化し、加飾粒子R同士、及び、発泡層12(凹部12E及び12Fの底面)と加飾粒子Rとが熱融着し、加飾粒子Rが、加飾部15A及び15Bとして、発泡層12(凹部12E及び12Fの底面)に定着する。この定着により、
図8に示す発泡製品1が得られる。
【0049】
加飾粒子Rは、熱融着によりある程度変形してもよいが、例えば、発泡層12を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点の温度よりも加飾粒子Rを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点の温度の方が高くなるよう、発泡層12及び加飾粒子Rの材料を選定し、加熱するときの温度を、両者のガラス転移温度の間としてもよい。これにより、加飾粒子Rは軟化させないが、発泡層12を軟化させるようにして、加飾粒子Rの形状を保ちつつ、加飾粒子Rを発泡層12に熱融着させることができる。
【0050】
発泡製品1は、
図8に示すように、発泡により形成された凸部S1~S3(凸部12A、発泡制御インク層13A、カラーインク層14Aから構成される凸部S1、凸部12B、発泡制御インク層13B、カラーインク層14Bから構成される凸部S2、凸部12C、発泡制御インク層13C、カラーインク層14C、から構成される凸部S3)を有し、画像(カラーインク層14A~14C)等が印刷された発泡メディア10と、凸部S1~S3それぞれの凸部の間の凹部12E及び12Fそれぞれ(凸部S1~S3より低い部分)に加飾粒子Rにより形成され、加飾粒子Rによってざらつき感を表現した加飾部15Aと、を有する。
【0051】
(効果等)
発泡製品1は、発泡によって盛り上がった第1部分である凸部S1~S3と、凸部S1~S3よりも低い第2部分である凹部12E~12F(特に底面)を有する発泡メディア10(第2熱処理後の発泡メディア10)と、複数の加飾粒子Rを有し、凸部S1~S3と凹部12E~12Fと、のうちの凹部12E~12Fのみに形成された加飾部15A~15Bと、を備える。このような構成により、発泡メディア10全面に加飾部が形成されたときに比べて発泡製品1の見た目は単調でなく、当該発泡製品1は、高い意匠性(デザイン性が高く、見た目がよいなど)を有する。特に、凹部12E~12Fの形状に合わせて加飾部15A及び15Bが設けられているので、高い意匠性が得られている。さらに、第1部分(凸部S1~S3)には、画像等での加飾はなされているが、加飾粒子(肉眼で視認可能な粒子)による加飾がなされていないので、見た目が新しく、意匠性が高い。
【0052】
さらに、上記構成では、凹部12E~12Fのみに加飾部15A及び15Bが設けられ、当該加飾部15A及び15Bの高さ(厚み)が、凹部12E~12Fを画定している凸部S1~S3よりも低く、加飾部15A及び15Bの上端が凹部12E~12Fから突出していない。従って、発泡製品1が他の物に接触しても(例えば、擦過があったとしても)、凹部12E~12F内の加飾粒子Rは、凸部S1~S3の存在により当該他の物に接触しないので、脱落が防止される(加飾部15A及び15Bに関し、耐擦過性が得られる)。このような効果は、特に、発泡製品1ないし上記構造をスマートフォンのケース等の携行品の装飾に使用する場合(詳細は後述)にいえる。
【0053】
発泡メディア10には、カラーインク層14A~14Cによる画像が印刷されており、当該画像と加飾部15A及び15Bと、により、発泡製品1は、高い意匠性を有する。
【0054】
さらに、上記では、発泡した部分である凸部すべて(凸部S1~S3)に加飾粒子Rによる加飾部が設けられておらず、非発泡の部分である凹部15E及び15Fにのみ、加飾粒子Rによる加飾部(加飾部15E及び15F)を設けられているので、発泡製品1は、見た目が新しく、高い意匠性を有する。
【0055】
加飾粒子Rは、発泡層12に熱融着しているので、加飾粒子を固定するための接着材等を不要とすることができる。
【0056】
上記では、加飾部15A及び15Bの形成を、発泡層12の発泡後に行っているので、定着前の加飾粒子Rが、加飾部15A及び15Bを設けたい部分(凹部12E又は12F)から移動しにくく(凸部12A~12Cにより移動が遮られるため)、発泡製品1を容易に製造できる。
【0057】
上記のように、カラーインク層14A~14C上に残留した加飾粒子Rを、かき落とし用の工具30により、かき落とすので、加飾粒子Rを凹部12E及び12F内のみに供給できなくてもよく、発泡製品1の製造が容易となっている。
【0058】
さらに、上記のように、工具30が凸部S1~S3(カラーインク層14A~14C)に触れないようにすることで、カラーインク層14A~14Cを傷つけることを防止できる。さらに、工具30は、刷毛、ブラシ、へら等でもよい。上記ナイフのように、工具30を金属製で形成し、アースすることで、静電気の発生を防止できる。上記書き落としは、工具30により手作業で行ってもよい。
【0059】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。以下、変形例を説明する。
【0060】
(変形例1)
発泡制御インクは、カーボンブラックの他、所定波長の電磁波(発泡層12全体は加熱しない電磁波)等を吸収して発熱する吸収剤を含有するインクであってもよい。この場合には、第1熱処理において、前記所定波長の電磁波を発泡メディア10Pに照射する。発泡制御インク層13A~13Cは、裏面に設けられてもよい。この場合、電磁波等は、下方から照射する。
【0061】
発泡制御インクは、発泡を抑制する発泡抑制インクであってもよい。この場合、例えば、発泡メディア10P全体をオーブン等により加熱する、又は、発泡メディア10P全体を上方から加熱する。発泡抑制インクは、インクジェットプリンタなどにより、発泡させたくない領域(上記では、凹部12E及び12F)に塗布(印刷)される。この場合の発泡抑制インクは、例えば、発泡メディア10P全体が加熱される際に、発泡層12のうち、当該発泡抑制インクが設けられた部分の温度を上昇させない材料(例えば、高沸点溶剤)を含有する。又は、発泡抑制インクは、例えば、発泡層12内に浸透して、熱膨張性マイクロカプセルを溶解する又はもろくする材料を含有する。これら材料としては、イプシロンカプロラクトン、ガンマブチロラクトン、2-ピロリドンなどが挙げられる。発泡抑制インクは、上記では、加飾部15A及び15Bが形成される凹部12E及び12F内に塗布されることになる。当該発泡抑制インクが発泡層に浸透しない場合、加飾粒子Rは、当該発泡抑制インクの層の上に配されることになる。この場合、加飾粒子Rは、発泡層12に触れられていないので、加飾粒子Rを定着させる際に前記熱融着を効果的に利用できない。このような場合には、後述の接着材等により加飾粒子Rを定着させるか、当該発泡抑制インクの上に熱可塑性樹脂層を設け当該熱可塑性樹脂層と加飾粒子Rとを熱融着させてもよい。
【0062】
(変形例2)
発泡層12を、熱可塑性樹脂をベースとし、加熱に伴い熱分解等により気体を発生する化学発泡剤と、化学発泡剤の発泡を促進し発泡開始温度を低下させる発泡助剤と、を含有する、化学発泡を利用した発泡層としてもよい。化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミドなどが望ましい。発泡助剤としては、酸化亜鉛などが望ましい。この場合、発泡抑制インクは、インクジェットプリンタなどにより、発泡させたくない領域(上記では、凹部12E及び12F)に塗布(印刷)される。この場合の発泡抑制インクとしては、発泡層12内部に浸透し、発泡を化学的に抑制するものが採用される。例えば、当該発泡抑制インクは、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物をはじめとする化学的発泡抑制剤を含有する。なお、発泡抑制インクの少なくとも一部が発泡層12に浸透しない場合があってもよく、この場合には、変形例1と同様に、後述の接着材等により加飾粒子Rを定着させるか、当該発泡抑制インクの上に熱可塑性樹脂層を設け当該熱可塑性樹脂層と加飾粒子Rとを熱融着させてもよい。
【0063】
(変形例3)
その他、発泡層12は、用途に応じて、任意で、可塑剤、充填剤、顔料、難燃剤などをさらに含んでもよい。 可塑剤としては、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル(TOTM)、リン酸トリクレジル(TCP)などが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、粘土鉱物が挙げられる。顔料としては、任意の顔料(発泡層12を着色する任意の色の顔料)、例えば、酸化チタンなどの白色顔料などが挙げられる。難燃剤としては、リン酸系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、水酸化アルミニウム難燃剤、水酸化マグネシウム難燃剤、塩素系難燃剤などが挙げられる。
【0064】
(変形例4)
加飾粒子Rは、樹脂ビーズ等の樹脂製粒子に限らず、種々のものを採用できる。加飾粒子Rとしては、ガラスビーズ等のガラス製粒子、天然雲母又は人工雲母の粒子、貝殻を粉砕した粒子、蓄光材の粒子、ラメ、パールの粒子などを採用できる。加飾粒子Rは、無色又は有色透明であってもよいし、非透明で所定の色を有するものであってもよい。加飾部15A及び15Bは、複数種類の加飾粒子Rから構成されてもよい。加飾粒子Rは、例えば、0.01mm以上のものとすればよい。加飾粒子Rは、インクジェットプリンタ(インクジェット方式)では吐出できない大きさのものであるとよく(これにより、インクジェットでは表現できない加飾を実現できる)、この場合、加飾粒子Rは、上記のようにディスペンサや手作業等で発泡メディア10に供給されればよい。加飾部15A及び15Bは、例えば、複数の加飾粒子R固有の風合い、素材感、光彩、光沢、金属感などを表現したものであればよい(これら表現を可能な大きさに加飾粒子Rを形成する)。これにより、高い意匠性が得られる。
【0065】
加飾粒子Rが熱可塑性樹脂でない場合、加飾粒子Rは、発泡層12の熱可塑性樹脂の軟化による熱融着により、発泡層12に接着される。この場合、熱可塑性樹脂に接していない加飾粒子R(例えば、他の加飾粒子Rの上に載った加飾粒子R)は、定着しないので、例えば、上記第2熱処理(ステップS6)のあとに、定着していない加飾粒子Rを空気等による吹き飛ばし、吸引等により除去するとよい。
【0066】
加飾粒子Rが、熱可塑性樹脂でない場合、上記第2熱処理において、加飾粒子R同士が熱融着するよう、さらに、加飾粒子Rと発泡層12とがより熱融着しやすいよう、熱可塑性樹脂でない加飾粒子R1つ1つを熱可塑性樹脂でコーティングしてもよい。
【0067】
(変形例5)
発泡メディア10は、
図9に示すように、発泡層12全面上に、発泡制御インク又はカラーインクの滲みを防止するインク受理層17を備えてもよい。インク受理層17としては、例えば、無機微粒子とそれを結合するバインダー(ベース)と、を含む、空隙型のインク受理層を採用できる。
図9では、変形例2の発泡層12を採用しており、発泡制御インク(発泡抑制インク)は、発泡層12内に浸透しているものとする(つまり、発泡制御インク層は、形成されていない)。
図9では、カラーインクがインク受理層17に浸透しており、インク受理層17内にカラーインク層13A等が形成されている。インク受理層17のバインダー(ベース)は、加飾粒子Rと熱融着できるよう熱可塑性樹脂とする。
図9では、インク受理層17に加飾粒子Rが熱融着し、加飾部15A等が形成されている。インク受理層17により、加飾粒子Rを定着させることで、加飾粒子Rを固定するための接着材等が不要になる。
【0068】
(変形例6)
加飾粒子Rを、接着剤等により、発泡後の発泡メディア10Qに固定してもよい。この場合、第2熱処理が不要となる。また、インク受理層17等において、熱可塑性樹脂を採用する必要もない。接着剤として、放射線硬化樹脂、熱硬化樹脂等の硬化樹脂を採用してもよい。例えば、硬化前の硬化樹脂を、加飾粒子Rを分散させた状態で、発泡メディア10Qに塗布後、放射線(紫外線、電子線等)又は熱を、発泡メディア10Qに照射等し、硬化樹脂を硬化させる。これにより、硬化樹脂は、発泡メディア10Qに融着し、当該硬化樹脂に分散した加飾粒子Rも発泡メディア10Qに定着する。また、発泡メディア10Q全面又は加飾部15A等を設ける領域に硬化樹脂を塗布し硬化させたあと(全面の場合には、カラーインク層14A等は当該硬化樹脂層により覆われる)、加飾粒子Rを熱融着により定着させてもよい。この場合、硬化樹脂は、熱可塑性を有するとよい。なお、硬化樹脂の代わりに、所定の熱可塑性樹脂層を設けて、加飾粒子Rの定着に用いてもよい。
【0069】
(変形例7)
図10に示すように、加飾部15A等の代わりに、加飾部16A等を設けてもよい。加飾部16A等は、凹部12E内に満たされた複数(多数)の加飾粒子Rを含んで構成されている。
【0070】
図10(A)では、複数(多数)の加飾粒子Rが凹部12E内に満たされた発泡メディア10Rの表面に貼られた透明フィルムF等のシール材により、凹部12E内の加飾粒子Rが封止されている(定着している)。
【0071】
図10(B)では、接着剤、各種樹脂等から形成される透明層(発泡メディア10Qに固着している)18Aが凹部12E内に設けられ、当該透明層18E内に加飾粒子Rが配置されることで当該加飾粒子Rが定着している。例えば、凹部12E内に加飾粒子Rを供給後、上記の硬化樹脂等を、凹部12E内に流し込み、硬化させ、透明層18Aを形成する。
【0072】
図10(C)では、接着剤、各種樹脂等から形成される透明層(発泡メディア10Qに固着している)19が凸部12A及び12Bから凹部12Eにわたって形成されている。透明層19は、凸部12A及びカラーインク層14Aを備える凸部S1、凸部12B及びカラーインク層14Bを備える凸部S2、及び、凹部12Eに融着等により固着されている。透明層19のうち凹部12E内の部分19A内に加飾粒子Rが配置されることで当該加飾粒子Rが定着している。また、透明層19のうち凸部12A及び12Bの上の部分19B及び19C内には、加飾粒子Rとは異なる複数の加飾粒子Mが配置されており、これにより、複数の加飾粒子Mが定着している。複数の加飾粒子M(説明は、加飾粒子Rに準じる)により加飾部(加飾部16Aとは異なる加飾部)が形成される。例えば、凹部12E内に加飾粒子Rを供給後、上記の硬化樹脂等を、凹部12E内に流し込み、あふれさせて凸部S1等に至らせ、その後、第2の加飾粒子M(大きさ等は、加飾粒子Rに準じる)を、凸部S1上の樹脂内に付与し、その後、硬化樹脂等を硬化させ、透明層19を形成する。
【0073】
図10に示すような加飾部16Aにより、多数の加飾粒子Rの集合が視認され、当該多数の加飾粒子Rの集合により独特の見た目が表現され、高い意匠性が得られる。さらに、
図10(C)に示すように、透明層19を凸部S1等と凹部12Eとに亘って形成して固着させることにより、透明層19と発泡メディア10Qとの接着面積が増え、透明層19が剥がれる等の不都合を防止できる。
【0074】
(変形例8)
カラーインク層14A、加飾部15A等を保護するための保護層(例えば、透明な樹脂層)を、加飾粒子Rの定着後に設けてもよい。保護層は、発泡製品1の表面全面に設けられてもよいし、保護したいもの(例えば、カラーインク層のみ)のみ(つまり、表面の一部)に設けられてもよい。
【0075】
(変形例9)
上記で説明した要素(凸部、凹部、加飾部等)の形状は任意である。画像は、凸部12A~12C上に印刷される他、凸部と凹部とに亘って形成されてもよい。特に、加飾部の下地を構成するよう、加飾部が設けられる凹部内に画像を印刷してもよい。発泡制御インクの塗布量を、塗布する場所に応じて異ならせ、発泡度合い(高さ)の異なる凸部を形成するようにしてもよい。加飾部は、ある凸部と、当該凸部よりも発泡度合いが低い(非発泡を含む)部分と、のうち、後者のみに設ければよい。加飾部は、凹部の底面に加え、凹部の内壁面に形成されてもよい。
【0076】
(変形例10)
本発明は、壁紙等に適用出来るほか、スマートフォンのケースやノベルティーグッズ(特に携行品)などに貼り付けられるシール、前記のケースやグッズ等自身の構造などの種々の加飾対象に適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 発泡製品
10,10P,10Q,10R 発泡メディア
11 基材
12 発泡層
12A~12C 凸部
12E,12F 凹部
13A~13C 発泡制御インク層
14A~14C カラーインク層
15A,15B 加飾部
16A 加飾部
17 インク受理層
18A,19 透明層
S1~S3 凸部
R 加飾粒子
M 加飾粒子