(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】流体連結器
(51)【国際特許分類】
F16L 29/04 20060101AFI20230824BHJP
F16K 1/00 20060101ALI20230824BHJP
F16L 37/34 20060101ALI20230824BHJP
F16L 37/367 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
F16L29/04
F16K1/00 A
F16K1/00 F
F16L37/34
F16L37/367
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019058412
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-02-28
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591023572
【氏名又は名称】シュトイブリー・ファベルゲ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】アラン-クリストフ・ティベルギアン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ドゥリュー
(72)【発明者】
【氏名】セラフィム・マルケス・バロカ
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-210975(JP,A)
【文献】特開2008-286340(JP,A)
【文献】実開平04-109285(JP,U)
【文献】実開昭57-167988(JP,U)
【文献】特開平10-089575(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0261140(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 29/00-29/04
F16L 37/34
F16L 37/367
F16K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合可能な凸状連結要素(A)と、凹状連結要素(B)とを備える流体連結器(R)であって、凸状連結要素(A)は、次の
-内側管路(18)を画定する凸状体(2)と、
-凸状体(2)の内側管路(18)の開位置とシール閉位置との間で、凸状体(2)に対して相対的に移動可能な、弁(20)と、
-弁(20)を閉位置に向かって押し戻すバネ(24)と、
を備え、凹状連結要素(B)は、次の
-長手中心軸(X)に沿って内側導管(32)を画定し、少なくとも1つのシールガスケット(35)を備える凹状体(26)と、
-長手中心軸(X)に沿って延在するピストン(38)と、
-ピストン(38)周囲に配置され、閉位置と、凹状体(26)の内側管路(32)の後退した開位置との間での長手中心軸(X)に沿って、凹状体(26)に対して相対移動可能なスライド弁(34)であって、閉位置は、凹状体(26)のシールガスケット(35)がスライド弁(34)と協動しスライド弁(34)がピストン(38)をシールするようにピストン(38)と協動する閉位置である、スライド弁(34)と、
を備え、
凸状要素(A)と凹状要素(B)との連結段階において、凸状体(2)はスライド弁(34)を開位置へ押し戻し、ピストン(38)は弁(20)を開位置へ押し戻し、
流体連結器(R)は、
-ピストン(38)は、後方位置と前方位置との間で長手中心軸(X)に沿って、凹状体(26)に対する相対移動可能性を持って配置され、
-凹状要素(B)は、スライド弁(34)の移動をピストン(38)の移動に変換する少なくとも1つのレバー(42)を備え、
-連結段階において、
スライド弁(34)の閉位置からスライド弁(34)のオフセット位置では、凸状体(2)が凹状体(26)のシールガスケット(35)と協動し、1つ又はそれぞれのレバー(42)はスライド弁(34)とピストン(38)との少なくとも一方との係合が解除されて、ピストン(38)がその後方位置にあり、
スライド弁(34)のオフセット位置からスライド弁(34)の開位置では、レバー(42)がスライド弁(34)及びピストン(38)に係合して、ピストン(38)をその前方位置に移動させ、
-連結構成において、ピストン(38)は前方位置にあって部分的に凸状体(2)内に延在し、凸状体(2)内、ピストン(38)周りに流体通路(E)が形成されている
ことを特徴とする、流体連結器(R)。
【請求項2】
レバー(42)は、凹状体(26)に対して固定回転軸線(Y420)の周りに回転可能に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の流体連結器。
【請求項3】
レバー(42)は、孔部(386、426)内を移動するピン(48、388)によってピストン(38)と協働し、レバー(42)は、孔部(386、426)の作用表面(386a、426a)とピン(48、388)との協働によりピストン(38)と係合することを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体連結器。
【請求項4】
スライド弁の閉位置とスライド弁のオフセット位置と間で、レバー(42)はピストン(38)から解除され、ピン(48)は、レバー(42)の回転軸線(Y420)を中心にして、孔部(386)の湾曲表面(386b)に沿って孔部(386)内で移動することを特徴とする、請求項2又は3に記載の流体連結器。
【請求項5】
空隙部(344、428)にて動くスライド弁アクスル(44、348)によってスライド弁(34)はレバー(42)と協動し、スライド弁アクスル(44、348)が、空隙部(344、428)
の作用表面(344a、344b、428b、428c)と協働することで、レバー(42)はスライド弁(34)に係合することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項6】
スライド弁(34)の閉位置とスライド弁(34)のオフセット位置と間で、レバー(42)はスライド弁(34)から解除され、長手スライド部(428a)を備える空隙部(428)にて動くスライド弁アクスル(348)によってスライド弁(34)はレバー(42)と協動し、レバー(42)がスライド弁(34)から解除されるとき空隙部(428)においてスライド弁アクスル(348)が動き、レバー(42)がスライド弁(34)に係合しているときスライド弁アクスル(348)が協働する作用表面(428b)はスライド部(428a)に対して傾斜されていることを特徴とする、請求項1から
3と、請求項1から3のいずれか一項を引用する請求項5との中のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項7】
ピストン(38)の後方位置とピストン(38)の前方位置との間のピストン(38)の軸方向移動(c38)と、スライド弁(34)のオフセット位置と連結構成におけるスライド弁(34)の開位置との間のスライド弁(34)の軸方向移動(c34)との割合は、
1.2以上であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項8】
ピストン(38)は長手中心軸線(X)に沿って延在し、凹状要素(B)は、長手中心軸線(X)のいずれかの端側に配置された二つのレバー(42)を備え、各レバー(42)は、ピストン(38)の孔部(386)で動くピン(48)によってピストン(38)と協働し、各レバー(42)は、スライド弁(34)の空隙(344)で動くスライド弁アクスル(44)によってスライド弁(34)と協働し、各レバー(42)は、長手中心軸線(x)に沿って凹状体(26)に固定されたハウジング(364a)で枢動する固定軸(420)を備えることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項9】
各レバー(42)について、ピストン(38)とスライド弁(34)とが係合されている配置で、ピン(48)の固定回転軸線(Y420)とピン(48)の中心軸線(Y48)との間の距離(d1)と、スライド弁アクスル(44)の固定回転軸線(Y420)とスライド弁アクスル(44)の中心軸線(Y44)との間の距離(d2)との比率は、厳しくは1.2より大き
いことを特徴とする、請求項8に記載の流体連結器。
【請求項10】
一つ又は複数のレバー(42)とピストン(38)とが配置される内部容量(V34)を区分けするリングによって、スライド弁(34)が形成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項11】
ピストン(38)は、後方センタリングロッド(382)を備え、凹状体(26)に対する相対移動におけるピストン(38)の全ての位置では、後方センタリングロッド(382)は、凹状体(26)に固定されたガイドハウジング(362)に係合されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項12】
連結器(R)は、長手中心軸線(X)に沿って凹状体(26)に固定して配置されたヨークリング(36)を備え、ヨークリング(36)は、長手中心軸線(X)に沿って延在しピストン(38)及びレバー(42)と水平方向に協働する少なくとも1つのフランジ(364)を備えることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項13】
ヨークリング(36)は、後方位置にあるピストン(38)の後ろで停止部を形成していることを特徴とする、請求項12に記載の流体連結器。
【請求項14】
1つ又は各レバー(42)の外形が三角形状であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項15】
凸状体(2)は、凸状体(2)の他の部分(4、6)に対して長手中心軸線(X)を横切る方向に移動可能に取り付けられたノーズ(8)を備えることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項16】
ピストン(38)の後方位置とピストン(38)の前方位置との間のピストン(38)の軸方向移動(c38)と、スライド弁(34)のオフセット位置と連結構成におけるスライド弁(34)の開位置との間のスライド弁(34)の軸方向移動(c34)との割合は、2.25以上であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の流体連結器。
【請求項17】
各
レバー(42)について、ピストン(38)とスライド弁(34)とが係合されている配置で、ピン(48)の固定回転軸線(Y420)とピン(48)の中心軸線(Y48)との間の距離(d1)と、スライド弁アクスル(44)の固定回転軸線(Y420)とスライド弁アクスル(44)の中心軸線(Y44)との間の距離(d2)との比率は、2以上であることを特徴とする、請求項8に記載の流体連結器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体連結器に関する。
【背景技術】
【0002】
相補的な凹凸状連結要素を支持するプレートの連結器として、特に特許文献1のものが知られている。特許文献1のものは、凸状(オス)要素がノーズ及び弁を備え、凹状(メス)要素が固定中央ピストンを備え、固定中央ピストンは凸状要素の弁とピストンを囲むスライド弁を押し戻すもので、凸状要素のノーズにより押し戻し可能となっている。これにより、連結動作の始めに、二つの連結要素間の潜在的な配向欠陥に適応できるようになっている。
【0003】
しかしながら、フランジ部品のようなある応用例は、短い凸状ノーズ要素(プレートとノーズ正面との距離ができるだけ短いもの)と、特許文献1に記載された固定ピストン/スライド弁構造と互換性がない非常に小さい連結器の移動(約5mmを超えない移動)を要求する。確かに、連結された構成において連結器の小さな移動では、凸状体においてピストン周りの流体通路は不十分である。
【0004】
特許文献2からは、外部レバーを使用して2つのパイプの間の通路を開くために、ピストンを作動させることが知られている。連結(継手)のシーケンスにおいて、オペレーターは、凸状体と凹状体とを密着させるために近づける。オペレーターはレバーを作動させ、通路を開くためにピストンを前進させる。(この構造は、ピストン周囲で可動なスライド弁を備えていない。)この連結(継手)シーケンスでは、通路を開くことは、凸状体と凹状体との接近の間になされないので、したがって自動にはなされない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第2020555号明細書
【文献】米国特許第3790126号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、連結器における小さな移動により適して流体通路の自動開放を可能とする新しい流体連結器を提案し、小さな移動の連結器の欠点の解決を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は、凸状連結要素と、相互に嵌合する凹状連結要素とを備える流体連結器に関し、凸状要素は(次の)
-内側管路を画定する凸状体と、
-凸状体の内側管路の開位置とシール閉位置との間で、凸状体に対して相対的に移動可能な、弁と、
-弁を閉位置に向かって押し戻すバネと、
を備え、凹状連結要素は(次の)
-長手中心軸線に沿って内側導管を画定し、少なくとも1つのシールガスケットを備える凹状体と、
-長手中心軸線に沿って延在するピストンと、
-ピストン周囲に配置され、閉位置と、凹状体の内側管路の後退した開位置との間で、凹状体に対して相対移動可能なスライド弁であって、閉位置は、シールガスケットの凹状体がスライド弁と協動してスライド弁がシールするようにピストンと協動する閉位置である、スライド弁と、
を備え、
凸状要素と凹状要素との連結段階において、凸状体はスライド弁を開位置へ押し戻し、ピストンは弁を開位置へ押し戻す。
【0008】
前記流体連結器は、次のことを特徴とする。
-ピストンは、後方位置と前方位置との間で長手中心軸線に沿って、凹状体に対して相対移動可能に配置され、
-凹状要素は、ピストンの移動にスライド弁の移動を変換する少なくとも1つのレバーを備え、
-連結段階において、
スライド弁の閉位置からスライド弁のオフセット位置の間、凸状体が凹状体のシールガスケットと協動し、1つ又はそれぞれのレバーはスライド弁とピストンとの少なくとも一方との係合が解除されて、ピストンがその後方位置にあり、
スライド弁のオフセット位置からスライド弁の開位置の間、レバーがスライド弁及びピストンに係合して、ピストンをその前方位置に動かし、
-連結構成において、ピストンは前方位置にあって部分的に凸状体内に延在し、凸状体内、ピストン周りに流体通路が形成されている。
【0009】
本発明により、ピストンとスライド弁との密着が失われる前に凸状体と凹状体との密着した係合を可能にする、連結中及びスライド弁リングの自由移動の後に自動的に得られる、凹状体におけるピストンの前進運動は、移動の小さな連結構成において、流体の十分な通路を提供する。
【0010】
本発明の、有利であるが必須ではない側面によれば、技術的に許容される組み合わせを考慮し、そのような流体連結器は次の事項の一つ又はそれ以上を備えてもよい。
-レバーは、固定回転軸周りに凹状体に対して相対的に回転可能に配置されること。
-レバーは、孔部で動くピンによってピストンと協動すること、及びレバーは孔部の作用表面とピンとの協動によってピストンに係合されること。
-スライド弁の閉位置とのオフセット位置と間で、レバーはスライド弁から解除され、ピンは、レバーの回転軸を中心に、孔部の湾曲表面に沿って孔部で動くこと。
-空隙部にて動くスライド弁アクスルによってスライド弁はレバーと協動すること。
-スライド弁の閉位置とオフセット位置との間で、レバーはスライド弁から解除され、スライド弁は、空隙部で動くスライド弁アクスルによってレバーと協働し、スライド弁は、レバーがスライド弁から解除されているときにスライド弁アクスルが動く長手方向スライド部と、スライド部に対して傾斜され、レバーがスライド弁に係合されているときにスライド弁アクスルが協働する作用表面とを備えること。
-ピストンの後方位置と前方位置との間のピストンの軸方向移動と、スライド弁のオフセット位置と連結構成における開位置との間のスライド弁の軸方向移動との割合は、少なくとも1.2に等しく、好ましくは少なくとも2.25に等しいこと。
-ピストンは長手中心軸線に沿って延在し、凹状要素は、長手中心軸の両側に配置された二つのレバーを備え、各レバーはピストンの孔部で動くピンによってピストンと協働し、各レバーはスライド弁の空隙で動くスライド弁アクスルによってスライド弁と協働し、各レバーは、凹状体に固着されたハウジングで長手中心軸線に沿って揺動する固定軸を備えること。
-各レバーについて、ピストンとスライド弁とが係合されている配置で、ピンの固定回転軸とピンの中心軸との間の距離と、スライド弁アクスルの固定回転軸とスライド弁アクスルの中心軸との間の距離との比率は、厳しくは1.2より大きく、好ましくは2以上であること。
-スライド弁は、一つ又は複数のレバーとピストンとが配置される内側の大きさを区切るリングによって形成されること。
-ピストンは、後方センタリングロッドを備え、凹状体についての相対移動におけるピストンの全ての位置では、後方センタリングロッドは、凹状体に固着されたガイドハウジングに係合していること。
-流体連結器は、長手中心軸線に沿って凹状体に固定して配置されたヨークリングを備え、ヨークリングは、長手中心軸線に沿って延在しピストン及びレバーと水平方向に協働する少なくとも1つのフランジを備えること。
-ヨークリングは、後方位置にあるピストンの停止部を形成すること。
-1つの又は各レバーは、外形が三角形状であること。
-凸状体は、長手中心軸を横切る方向で、凸状体の別の部分に対して相対的な移動可能性を持って配置されたノーズを備えること。
【0011】
添付の図面の参照による非限定的な例を挙げることで、発明はよりよく理解され、本発明の他の有利点が、本発明の原理による流体連結器の以下の説明を参照してより明確に表されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による、非連結構成における連結器の縦断面図を示す。
【
図3】
図1の連結器の平面IIIに沿った(拡大)断面図を示す。
【
図4】第1の連結ステップにおける
図1の連結器の縦断面図を示す。
【
図5】第2の連結ステップにおける
図1の連結器の縦断面図を示す。
【
図6】
図5の連結器の平面VIに沿った(拡大)断面図を示す。
【
図7】連結構成における
図1の連結器の縦断面図を示す。
【
図8】本発明の第2実施態様による連結器に属する凹状要素の縦断面図を示す。
【
図9】連結中の、
図8の凹状要素を備える連結器の縦断面図を示す。
【
図10】連結構成における
図9の連結器の断面図を示す。
【
図11】本発明の第3実施態様による連結器に属する凹状要素の縦断面図を示す。
【
図12】連結中の、
図11の凹状要素を備える連結器の縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、凸状要素Aと凹状要素Bとが互いに分離されている非連結構成の、凸状連結要素Aと凹状連結要素Bとを含む流体連結器(継手)Rを示す。凸状要素A及び凹状要素Bは、2つの流体管の取り外し可能に接合するために互いに嵌合可能とされている。
【0014】
凸状要素Aは凸状体2を備える。凸状体2は互いにねじ止めされた前部4と後部6とからなる。凸状体2は、中心長手軸線X2を中心としている。
【0015】
以下、「前」及び「後」という用語は、凹状要素Bの側にある凸状要素Aの構成要素、及び凹状要素Bの反対側に位置する凸状要素Aの構成要素についてそれぞれ使用される。この区別は、凸状要素Aに関して凹状要素Bの構成要素についても同様に使用される。
【0016】
用語「軸方向」、「長手方向」及び「径方向」は、軸線X2を基準に使用される。
【0017】
凸状体2はまた、凸状本体2の前部4及び後部6に対して半径方向に移動可能に、すなわち軸線X2に垂直な方向に、設けられたノーズ8を備える。ノーズ8は長手軸線X8を中心としている。一例として、この移動量を約0.25mmとしてもよい。ノーズ8は、前部4と後部6との間に挟まれている。前部4と後部6は、ノーズ8の幅広部80のためのハウジングを形成し、ノーズ8を軸方向の並進運動について固定する。ノーズ8は、前部4のより狭い領域40に装着された中央部82を備える。この中央部82は、より狭い領域40の内径よりも小さい外径を有し、より広い部分(幅広部)80は、前部4と後部6との間のそのハウジングの内径よりも小さい外径を有し、そこでは、ノーズ8の半径方向の移動が可能となっている。
【0018】
凸状要素Aが連結されていないとき、Oリング10は、ノーズ8と前部4との間に挿入され、ノーズ8を、中心位置すなわち軸線X8と軸線X2との整列位置に戻す。Oリング10は、幅狭部40の溝40a内に収容されている。
【0019】
第1のシールガスケット12は、軸方向に沿ってノーズ8と後部6との間に挿入される。
【0020】
後部6を備えた前部4は、第2のシールガスケット14及び押出防止リング16が、第1のプレートP1と後部6との間に半径方向に挿入されることと併せて、第1のプレートP1に当接するようにねじ込まれる。
【0021】
凸状体2は、軸線X2に沿って延在し、凸状体2を完全に貫通してプレートP1の流路管P1aと連通する内部流導管18を画定する。弁20は、鼻8の内側で内部導管18内に移動可能に配置される。弁20は、
図1に示される内部導管18の閉位置と
図7に示される内部導管18の開位置との間で軸線X8に沿って移動可能である。凸状要素Aは、弁20の外側溝200内に収容された第3のシールガスケット22を備え、非連結構成では、このガスケット22は、ノーズ8のより狭い前部領域84と半径方向に協働する。ノーズ8は、プレートP1の前面P1bから突出している。
【0022】
凸状要素Aはまた、弁20をその閉位置に向かって押し戻すバネ24を備える。閉位置では、弁20の前面202はノーズ8の前面84aと軸方向に整列している。この前面84aはより狭い前部領域84によって支持されている。面202及び前面84aは、長手軸線X2に直交する同一平面内に含まれている。
【0023】
凹状連結要素Bは凹状体26を備え、第2のプレートP2にねじ込まれる。凹状体26は、長手方向中心軸線Xを画定する。凹状要素Bの要素について、用語「軸方向」、「長手方向」及び「半径方向」は軸線Xを基準にしている。
【0024】
凹状連結要素Bは、凹状体26と第2のプレートP2との間に半径方向のシールを提供する第1のシールガスケット28及び押出防止リング30を備える。
【0025】
凹状体26は、軸線Xに沿って延在し、凹状型本体26を完全に貫通してプレートP2のパイプP2aと連通する内側導管32を画定する。
【0026】
凹状要素Bは、スライド弁リング34によって形成されたスライド弁と、ヨークリング36と、内側導管32内に配置されたピストン38とを備える。
【0027】
スライド弁リング34は、
図1に示す閉位置と
図7に示す後退した開位置との間で軸線Xに沿って移動可能である。閉位置では、スライド弁リング34は凹状体26に当接し、ピストン38の固い円筒ヘッド380及び凹状体26と半径方向をシールするように協働する。凹状型要素Bは、凹状体26の内側溝260内に収容された第2のシールガスケット35を備え、該ガスケット35は、凹状体26とスライド弁34との間の密封的協働を提供する。凹状型要素Bは、ピストンヘッド380の外側溝380a内に収容された第3のシールガスケット37を含み、それはスライド弁34とピストンヘッド380との間の密封された協働を提供する。この位置では、スライド弁34の前面340は、ピストンヘッド380によって支持されたピストン38の前面380bと軸方向に整列している。非連結構成では、外側溝380aの前端は軸方向に整列している。これにより、ピストンヘッド380を軸方向にコンパクトにすることができる。図示されていない代替形態では、外側溝380aの前端は、内側溝260の前端の軸方向後方にある。
【0028】
凹状要素Bは、スライド弁リング34をその閉位置に向かって押し戻すバネ39を備える。スライド弁リング34は、内側導管32が開放位置にあるとき、バネ39の力に抗して、内側導管32内に押し戻しが可能である。
【0029】
ヨークリング36は、凹状体26の背後に配置されてある。ヨークリング36は、凹状体26の円筒状ハウジング264内に半径方向の遊びを少なくして設けられる。したがって、ヨークリング36は、凹状体26に半径方向について固定されている。ヨークリング36は、ピストン38が
図1に示す後方位置にあるとき、ピストン38の後面381に対向する前面366によってピストン38のための後部停止部と、バネ39用の支承となっている。
【0030】
ヨークリング36は、内側導管32内の流体の循環のために通路360を貫通している。この例では、軸線Xに対して傾斜している5つの通路360がある。
【0031】
ピストン38は、長手方向中心軸線Xに沿って延在し、ヨークリング36の円筒状貫通ガイドハウジング362に係合した2つの平坦部382aを有する円筒状部分を有する後部センタリングロッド382を有する。後部ロッド382の円筒状部分と協働するガイドハウジング362の表面は、凹状体26内の長手軸線Xに沿った並進運動でピストン38を案内する。
【0032】
ピストン38は、ピストンヘッド380とセンタリングロッド382との間で軸方向に延在する幅広で平坦な部分384を備える。ヨークリング36は、長手軸線Xと平行に前方へ延在する一対のフランジ364を有し、その間に幅広で平坦な部分384が位置する。幅広で平坦な部分384とフランジ364とは、平行な(複数)平面に延在する。スライド弁リング34は、ヨークリング36のフランジ364及びピストン38を部分的に取り囲み、フランジ364及びより幅広で平坦な部分384に平行に延在する2つの平坦な内面342を形成する。
【0033】
凹状要素Bは、スライド弁リング34とピストン38との間に挿入されていて、スライド弁リング34の軸方向運動をピストン38の反対方向の軸方向運動に変換する装置を備える。この運動変換装置は、説明の残りの部分から明らかになるように、取り外し可能である。したがって、ピストン38は、特定の連結及び非連結段階においてのみ、長手軸線Xに沿って凹状型本体26に対して移動できるように設けられる。この運動変換装置は、三角形の外形、例えば丸い頂点を有する直角三角形を有する、2つの平らなレバー42、又はスイッチを備える。
【0034】
各レバー42は、スライド弁リング34の各平坦な内面342と各フランジ364との間に配置されている。各レバー42は、レバー42から突出する固定軸420によって形成される回転軸線Y420を中心に凹状体26について関節運動する。その固定軸は、長手軸線Xに直交しかつフランジ364に直交する方向Yに沿って延在し、隣接するフランジ364上に形成されたハウジング364a内で旋回するように設けられている。
【0035】
運動変換装置はまた、中心軸線Y44を有する2つの円筒状スライド弁アクスル44を備える。各スライド弁アクスル44は、レバー42のネジ孔421にねじ込むことによって設けられ、スライド弁リング34を貫通する2つの空隙344の一方に収容された全体として長方形のスキッド46を、支える。空隙344は、スライド弁リング34の壁346を貫通して平坦な内面342と平行に配置されている。各中心軸線Y44は、対応するレバー42とスライド弁リング34との間にヒンジピンを形成している。各スキッド46は、案内軸受460を備える。案内軸受460は、スライド弁アクスル44に対するスキッド46の案内及び回転自由度を提供するように、各スライド弁アクスル44とそのスキッド46との間に挿入されてある。各スライド弁アクスル44は空隙344と協働し、空隙344で、スライド弁アクスル44はスキッド46に係合する。
【0036】
スライド弁リング34の各空隙344は、概ね長方形であり、その最大寸法は、長手軸線Xを横切って交差するとともに方向Yに直交する方向Zに延在する。空隙344の幅、すなわち長手軸線Xに沿った寸法は、スキッド46の同軸に沿った幅に実質的に等しい。空隙344の方向Zにおける高さは、スキッド46の同方向Zにおける高さより大きい。これにより、スキッド46は、空隙344内でZ方向にスライド可能である。
【0037】
運動変換装置はまた、中心軸線Y48を有する2つの円筒状ピン48を備える。各ピン48はレバー42に固定され、中心軸線Y44及び回転軸線Y420に平行に延在する。ピン48は、固定軸420と同じレバー42の側面422から突出し、スライド弁アクスル44は、レバー42の反対側の側面424から突出している。
【0038】
ピストン38の幅広で平坦な部分384は2つの孔部386を有し、その形状は実質的に三角形である。各ピン48は、2つの孔部386のうちの1つに係合される。各三角孔386は、凹状型本体26の後部に面しかつ長手軸線Xに垂直な作用平面386aを有する。湾曲表面386bの半径の中心は固定アクスル420に中心を持ち、表面386cは、長手軸線Xに対して例えば約10°の角度αで傾斜されている。
【0039】
「作用表面」とは、レバー42とピストン38との間、又はレバー42とスライド弁34との間の相互作用表面を指し、それによって、それぞれスライド弁34からレバー42へ、又はスライド弁34からピストン38へ、動きが伝達される。
【0040】
同じレバー42に関連するピン48の中心軸線Y48、固定軸420の回転軸線Y420、及びスライド弁アクスル44の中心軸線Y44は、レバー42の全ての位置で同じ平面内に延在する。回転軸線Y420は、中心軸線Y48と中心軸線Y44との間に配置される。
【0041】
各レバー42について、固定軸420の回転軸線Y420とピン48の中心軸線Y48との間の距離d1は、固定軸420の回転軸線Y420とスライド弁アクスル44の中心軸線Y44との間の距離d2より大きい。特に、距離d1と距離d2との比は少なくとも1.2に等しく、好ましくは2以上、例えば2.25に等しい。
【0042】
運動変換装置は、長手軸線Xのいずれかの側部に配置された2つのレバー42と、2つのピストン38の2つの孔部386と協働する2つのピン48と、スライド弁リングの2つの空隙344と協働する2つのスライド弁アクスル44とを好ましくは備える。当該変換装置は、このように、ピストン38の周りに、長手方向中心軸線Xについて「対称的」に配置されている。
【0043】
スライド弁リング324は、内部容量V34を画定し、内部容量V34は、内部表面342に区分され、レバー42及びピストン38が配置される。
【0044】
凹状要素Bの装着は次のようにして行われる。凹状体26の外部で、あらかじめ事前組み立てが行われる。ピストン38は、センタリングロッド382がガイドハウジング362に係合した状態で、後部がヨークリング36に当接している2つのフランジ364の間に配置される。2つのレバー42が組み立てられるとき、ピン48と固定軸420とがそれぞれピストン38の孔386とフランジ364のハウジング364aに横方向に係合される。次に、スプリング39が、ヨークリング36とスライド弁リング34を支えるように配置される。案内軸受460を備えた2つのスキッド46は、スライド弁リング34の空隙344内に配置され、スライド弁アクスル44をレバー42にねじ込んでそれぞれのレバー42に固定される。このようにして形成された事前組み立て部は、後方から凹状体26内に挿入され、次に事前組み立て部を凹状型本体26内に保持するため、停止リング49が凹状型本体26内に設けられている。この停止リング49は、凹状部26の内部スロット262に剛性リングにより形成されてもよい。内部スロット262は、長手軸線Xに沿って凹状体26に固定されたヨークリング36を保持する。次に、凹状体26は、シールガスケット28及び押出防止リング30が事前に挿入された後、プレートP2にねじ込まれる。
【0045】
連結中、凸状体2及び凹状体26の中心軸線X2及び軸線Xは、0.25mmの最大許容公差で整列される。2つのプレートP1及びP2は互いに近付けられる。ノーズ8は、Oリング10内でノーズ8がオフセットする間、凸状本体2内を半径方向に移動可能とするために、必要であればノーズ8が凹状体26の位置に整列して、凹状本体26内に係合し、その後スライド弁リング34にノーズ8が当接する。
図4では、ノーズ8が前部4について位置決めされてなく、Oリング10が、長手軸線X2についてOリング10の下部が上部より圧縮されていることに留意されたい。そこから、連結軸線Xを形成するように、軸線X8と軸線Xが連結される。
【0046】
それから、ピストンヘッド380が弁20の前面202に当接し、同時にスライド弁34の前面340がノーズ8の前面84aに接触する。部材を近づける動きが続いて、弁20のピストン38がその開放位置に向かう動きが生じ、スライド弁リング34のノーズ8がその開放位置に向かう動きが生じる。
図4では、ノーズ8は第2のシーリングガスケット35と接触し、そして第2のシーリングガスケット35と協働する。この配置では、第3のシーリングガスケット37はまだスライド弁リング34と協働し、2つの連結要素間と、スライド弁34と凸状体8との間とにおける流体通路は、防がれている。
【0047】
第2のガスケット35上のノーズ8の上記接触までのスライド弁リング34の移動の間、スライド弁アクスル44をその移動において後方に駆動して、スライド弁リング34が、長手軸線Xに沿って凹状体26内に引き込まれる。スライド弁アクスル44は、空隙344の作用表面344aと接触する横方向Zに平行にスライドするスキッド46と共に、空隙344内に移動され、空隙344の作用表面344aに接触し、面は、凹状要素Bの後方部に配向される。したがって、
図1に見えるレバー42は、回転軸線Y420の周りに、
図4の矢印F1に従って時計回りで回転される。他のレバー42(
図1、
図4、
図5及び
図7では不可視)は、
図4の回転軸線Y420の周りに時計回りで回転される。各レバー42によって支持されているピン48は、ピストンの孔部386の湾曲表面386bに沿って、固定軸420の周りの距離d1に対応する半径を有する曲線を描く。ピン48は、スライド弁アクスル44に対して、回転軸線Y420を通り、軸線Xに平行で
図4の平面に垂直な平面P420の反対側に配置されているので、この移動は、凹状要素Bの前方に配向される。固定軸420を中心とする曲線半径を有する湾曲表面386bでは、したがって、ピン48のこの移動はピストン38に作用を及ぼさず、ピストン38は後方位置に留まる。この段階の間、表面386bによって、ピストン38はヨークリング36に対して後方位置にしっかり保たれる。
【0048】
図5において、プレートP1とプレートP2とが互いに近づけられると、ノーズ8は溝260の中間長さを越えて到達する。中間長さは、軸線Xに沿っているとする。そして第2のガスケット35は、ノーズ8の半径方向外側表面を取り囲む。これにより、凹状体26と凸状体2との間の、半径方向のシールが確実になされる。この中間構成では、第3のシーリングガスケット37はまだノーズ8と協働し、2つの連結要素間の流体通路は、まだ妨げられている。
【0049】
ピン48は、スライド弁リング34の引き抜き作用の下でその湾曲した動きを継続し、孔386の作用平面386aと接触することになる(
図5)。この配置では、ピン48の中心軸線Y48と、固定軸420の回転軸線Y420と、スライド弁アクスル44の中心軸線Y44とは、断面VIに対応する、連結器に垂直な同一平面内に延在する。スライド弁リング34は、その閉鎖位置に対してオフセット位置にあり、このオフセット位置では、上述したように、凸状本体2と凹状本体26との間のシールが第2のガスケットによってなされるように、凸状本体2は第2のガスケット35と協働する。
【0050】
図1から
図5にわたって示される連結の段階は、レバー42とピストン38との間の接続の切り離し、従ってスライド弁リング34の自由移動c0を可能にする。実際、この段階の間、レバー42はスライド弁34に係合するが、ピストン38からは外れて、スライド弁リング34の軸方向の移動はレバー42の回転を引き起こすがピストン38の軸方向の移動は生じず、ピストン38は後方位置に留まる。ピストン38とスライド弁リングとの間の運動の変換は、このように、非連結構成(
図1)から中間構成(
図5)に切り離され、そこでは凸状体2と凹状体26との間のシールが有効となっていて流体の循環は作動(アクティベート)となっていない。
【0051】
ピン48が湾曲表面386bと協働し、タイプ386aの作用表面と協働しないとき、レバー42の移動は凹状本体26内でピストン38の移動を引き起こさない一方、レバー42はピストンから外されている。
【0052】
ピン48と作用表面386aとの間のこの接触から、スライド弁リング34の後方への移動は、まだスライド弁アクスル44を後方へ駆動し、レバー42を固定アクスル420の周りで回転させ、ピン48を凹状体26の前部に向かって押し戻す。作用表面386を支えるピン48は、ピストン38を
図5の矢印F2に沿って前方に向かって押し戻す。中間構成(
図5)から連結構成(
図7)へ、レバー42は、したがって、ピストン38とスライド弁34の両方と係合され、スライド弁リング34とピストン38との移動を長手軸線Xに沿って接続する。
【0053】
この段階では、各レバー42は、レバー42の移動がピストン38の前方への移動を生じさせるべくピストン38に係合される。
【0054】
各中央軸48は、ピストン38がレバー42と係合されるときにレバー42とピストン38との間のヒンジピンを形成する。
【0055】
距離d1とd2との間の差に起因して、スライド弁リング34の後退運動は縮小され、ピストン38の前方への運動はスライド弁リング34の後退よりも大きい。凹状体26内でピストン38の前方位置に向かって、ピストン38は、センタリングロッド382とヨークリング36との協働及び弁20との協働によって長手軸線Xに沿った案内が継続される。
【0056】
プレートP1とプレートP2との間の接近は、連結軸線Xに沿った2つのプレートP1とプレートP2の当接及び維持された当接まで、あるいは図示しない当接部が2つのプレートP1とP2を距離d3(
図7)に保つ状態となるまで続く。
【0057】
図7では、スライド弁リング34は開位置にあり、連結器Rの連結構成が達成される。ピストン38は、その前方位置に到達し、その後方位置から、スライド弁リング34が同段階で移動した行程c34よりも大きい行程c38を移動したことになっている。それにより、弁20を分離し、スライド弁34自体が、ピストン38とノーズ8との間の流体通路ができるのに十分となるように、ノーズ8の前領域84から分離可能となる。ピストン38の前方位置において、シールガスケット37はもはやノーズ8と接触していない。流れEが、したがって、凸状要素Aの内側導管18内で発生し、スライド弁リング34の内側、ピストン38の周囲で、図示されていない通路によって流れる流体は、プレートP1及びプレートP2に支持された2本の管P1a及び管P2aの間、ヨークリング36の傾斜通路360内を流れる。
【0058】
前方位置では前方へのピストン38のための停止手段はなく、ピストン38の前方位置はスライド弁34の開放位置と、レバー42により、スライド弁34の移動をピストン38の移動に運動を変換する力学によって与えられる。
【0059】
中間構成(
図5)と連結構成(
図6)との間では、ピストン38は、スライド弁リング34が長手軸線Xに沿って反対方向に移動した行程よりも2.25倍大きい行程を移動した。これは、特に、距離d1と距離d2との比に等しい。
【0060】
切り離しは逆の順序で行われる。プレートP1とプレートP2との分離はバネ39の作用の下、凹状体26内でのスライド弁リング34の前方への移動を引き起こす。そしてこれにより、スライド弁軸44の前方への移動を引き起こす。レバー42はスライド弁リング34と係合しているので、車軸44と、
図7に可視であるレバー42は、時計方向に枢動する(反時計方向に枢動する他方のレバー42は不可視である)。各スキッド46は、対応する空隙344の作用表面344bと接触する。作用表面344bは、凹状要素Bの前方に配向される。その閉位置に向かってばね24に押し戻された弁20は、ピストン38の後退の移動に関わる。ピストン38は、後退しているピン48への作用表面386aの接触を連続的に保持する。スライド弁リング34及びピストン38は、したがって依然としてレバー42と係合していて、レバー42の移動はピストン38の後退を生じさせる。ピストン38の後退は、ヨークリング36に当接するピストン38の後方位置に連結するまでスケールダウンして同一の移動をもって発生する。そこでは、凹状体26と凸状体とが、第2のガスケット35を介してシール可能に協働する。それから、スライド弁リング34は、その閉位置までバネ39の影響下で移動を継続する。スライドピン34と係合したままで、レバー42はピストン38から外れ、各ピン48はそれが移動する孔386の湾曲表面386bをたどる。各レバー42はスライド弁リング34と係合していて、スライド弁リング34の移動はレバー42の移動を引き起こす。ピストン38から外された各レバー42では、レバー42の移動はピストン38の後退動作を引き起こさず、したがって、ピストン38は、後方位置に留まっている。スライド弁リング34は、第2のガスケット35を介して凹状体26とのシールを引き継ぎ、第3のガスケット37を介してピストン38とのシールを引き継ぐ。弁20は、第3のガスケット22で凸状体2とのシールを引き継ぐ。最後に、スライド弁リング34は閉位置に到達し、弁20は閉位置に到達する。
【0061】
凹状体26についてのピストン38の軸方向の移動性は、連結器の小さな移動、したがってスライド弁リング34の小さい移動の場合であっても、十分な流体通路のために、ピストン38の移動に十分な移動を持たせることができる。
【0062】
2つの連結要素の接近は、レバー42がスライド弁リング34とピストン38の両方と係合しているときに、スライド弁リング34がノーズ8と協働することによってスライド弁リング34の移動を自動的に引き起こす。
【0063】
連結のシーケンスにより、スライド弁リング34のオフセット位置からのみピストン38を動かすことが可能であって、そこから、スライド弁34とピストン38のシールが失われる前に、運動変換装置が凸状体2と凹状体26との間を密封することができる。これは、連結の間のシールを可能とするため、レバー42がピストン38から取り外されるときの、ピストン38の移動を伴わないスライド弁リング34の自由行程c0によって可能になる。スライド弁リング34を、自由行程を過ぎて後退させることによってピストン38を前方に駆動する。
【0064】
レバー42と、ピン48と孔386との間の協働とを備える運動変換装置はコンパクトである。特に、ピン48の中心軸線Y48、Y420及びY44と、固定軸420と、レバー42と連携するスライド弁軸44とは、同一平面上にある構成は、長手方向において特に面倒ではない。
【0065】
スライド弁軸44と空隙344による、スライド弁リング34とレバー42との間の協働は、長手方向部分を含まず(スキッド46は空隙344内を長手軸線Xに対して垂直にのみ移動可能である)、スライド弁軸44の後方への移動中の詰まりのおそれを制限する。
【0066】
フランジ364とヨークリング36との間のピストン38の配置は、凹状体26に対して相対的に静止していて、レバー42の枢動中のピストン38の摩擦及び変形を制限する。
【0067】
各レバー42の三角形の外形は、非連結構成であってかつ連結中又は連結解除中に、凹状体26及びピストン38について長手軸線Xの周りでスライド弁リング34が回転する可能性を抑制する。実際、この三角形の形状は、レバー42が単純な細長い要素である場合よりも広い表面積の側面422及び424を、レバー42に提供する。これらの面422及び424は、内面342との拡張された面での協働を可能にし、これがスライド弁リング34の回転可能性を抑制する。
【0068】
三角孔386(そしてこの孔386内のピン48の通路に沿ってV字形ではない)は、ピストン38のその後方位置への戻り移動における詰まりを抑制する。
【0069】
ピストン20の長手方向への移動をその弁20との軸受けによって、そしてその軸方向の移動行程全体にわたってヨークリング36内で(ハウジング362によって)係合させることによって、ピストン38の詰まりを防止する。
【0070】
非連結構成では、シールガスケット22、35及び37は、保護されている、すなわち連結器Rの凸状要素及び凹状要素の外部環境に対して隠されていて、それは汚染環境によるこれらのガスケットの変質のリスクを低減する。
【0071】
連結解除時には、スライド弁リング34及び弁20をそれぞれ閉位置に向かって押し戻すバネ39及びバネ24も、レバー42及びピストン38を、連結解除配置であるべき位置に向かって押し戻す。ピストン38をその後方位置に向かって戻せるようにするレバー42の移動を得るための、レバー42と凹状体26との間に追加のバネ又は弾性要素は不要である。
【0072】
本発明の第2及び第3の実施形態は、それぞれ
図8から
図13に示されている。これらの実施形態では、第1の実施形態と共有される要素は同じ参照番号を有し、同じ方法で動作する。
図1から
図7の実施形態に関する相違点のみを以下に概説する。
【0073】
図8から
図10の実施形態では、スライド弁軸とスライド弁リング34との協働の構造と、ピストン38とピンとの間の協働の構造とが、逆になっている。ピストン38は、レバー42の孔426に係合した(ピン48の役割を果たす)ピン388を支持し、スライド弁リング34は、係合された(スライド弁軸44の役割を担う)スライド弁軸348を支持する。空隙428は、非連結構成において長手方向に延在する摺動部428aと、摺動部428aについて傾斜して延在する
作用表面428bとを有する。特に、非連結構成では、作用表面428bは、長手軸線Xに対して直角に延在する。
【0074】
非連結構成では、ピストン38は後方位置にあり、ピン388の中心軸線Y388と、固定軸420の回転軸線Y420と、同じレバー42に関連するスライド弁軸348の中心軸線Y348とは、平行で同一平面上に延在する。
【0075】
連結中、各スライド弁軸348は、スライド弁リング34に固定された状態で軸線Xに沿って後退する。これは、空隙428のスライド部428a内を、各スライド弁軸348が軸線Xに沿ってレバー42に作用することなく後退するからである。スライド弁アクスル348は、長手方向に延在し、それゆえスライド弁リング34の動く方向に平行である。したがって、各スライド弁アクスル348が非連結状態からスライド部分428a内を移動する、非連結構成(
図8)から中間構成(
図9)への全連結段階を通して、各レバー42の枢動はない。レバー42は、したがってこの段階でスライド弁リング34から解除され、スライド弁34の移動はレバー42の移動を起こさず、したがってピストン38の移動を引き起こさない。
【0076】
図9において、凸状体2と凹状体26との間のシールが、シールガスケット35を使用して行われるように、凸状体2がシールガスケット35と協働するとき又は協働後、スライド弁リング34の閉位置に対して相対的にオフセットした位置で、各スライド弁軸348は空隙428の作用表面428bに当接していく。そして、スライド弁リング34の後退は、レバー42の枢動を引き起こす。その時点から、レバー42は、ピストン38との係合が維持されつつ、
スライド弁リング34と係合される。スライド弁34の移動は各レバー42の移動を引き起こし、各レバー42の移動はピストン38の移動を引き起こす。
【0077】
スライド弁アクスル348は作用表面428bに抗して移動し、レバー42を回転軸線Y420の(
図8から
図10に見られるレバー42について
図9では反時計方向)周りに回転させる。作用表面428bは、レバー42の枢動により、長手軸線Xについて徐々に傾斜するようになる。
【0078】
同時に、
図8及び
図9の長手軸線Xに当初垂直である孔426は徐々に傾斜し、ピン388が孔426の作用表面426と接触することによって、孔426に係合しているピン388を前方に移動させる。凹状体26についてその前方位置へのピストン38の前方移動が、そして得られる。
【0079】
連結解除に際し、スライド弁34の後退運動は、スライド弁アクスル348をスライド部分428aに向けて動かし、作用表面428bに対面する空隙428の作用表面428cと接触させる。
図10のレバー42は、軸線Y420を中心に回転される。孔426の作用表面と接触しているピン388は後方に駆動され、それによってピストン38がその後方位置に向かって駆動される。
【0080】
図示されていない代替形態では、レバー42は、後方に向かって湾曲した部分431によって前方が画定されている空隙428に替えて、スライド弁アクスル348用の作用表面428bを区切る空隙を1つだけ備えるものとしてもよい。凹状要素Bは、その場合、各レバー42に対して、非連結構成に対応する初期位置に向けてレバー42を戻し、連結解除の際のスライド部428a内のスライド弁軸348の移動中にレバー42を初期位置に保持する弾性戻し手段を備える。この戻し手段は、凹状体とレバー42との間に挿入された追加のバネによって形成されることが考えられる。
【0081】
図11から
図13の実施形態では、スライド弁リング34とレバー42との間の移動を変換するためのモードは、
図1から
図7のものとは異なる。スライド弁リング34は、歯429と協働するラック349を備える。歯429は、回転軸線Y420を中心とする円弧に沿って配置され、回転軸線Y420に対して半径方向に延在する。スライド弁リング34が後退すると、ラック349と歯429との協働により、回転軸線Y420を中心にしてレバー42が(
図11から
図13に見えるレバー42について
図11の反時計回り方向で)回転する。スライド弁リング34とレバー42が係合していて、スライド弁34の移動がレバー42の移動を引き起こす。
【0082】
この実施形態では、固定アクスル420と、歯429とラック349の歯との間の接触点との間の距離d2が測定される。
【0083】
図11から
図13では、ピストン38の孔386は湾曲形状を有する。代替的には、孔386は、
図1から
図7のものと同様の三角形の形状を有してもよい。各孔386は、レバー42に固定されたピン48と協働する。
【0084】
連結段階では、ピン48が回転軸線Y420を中心とする孔386の湾曲表面386bをたどる間は、レバー42はピストン38から解除され、ピストン38は後方位置に留まる。ピン48が作用表面386aと接触すると、
図12の中間構成(凸状体2と凹状体26との間のシールが有効になった後又は有効になったとき)において、スライド弁リング34は、その閉位置についてオフセットした位置にあって、レバー42はスライド弁リング34と係合したままピストン38と係合し、スライド弁リング34の後退によるレバー42の回転はピストン38の前方への移動を駆動する。
【0085】
全ての実施形態において、自由行程c0は、ゼロではなく、例えばスライド弁34の全行程が約4mmである場合には約2mmである。スライド弁34のオフセット位置は、レバー42がスライド弁34及びピストン38と係合するところであって、スライド弁34の閉位置と異なる。
【0086】
図示されていない代替形態では、スライド弁リング34とレバー42との間の接続が、
図8から
図10のものと同様のピン/孔の協働によって提供され、ラックがピストン38を備えるものとしてもよい。
【0087】
図示されていないその他の代替の実施形態には、以下を挙げられる。
-凹状要素Bは、スライド弁リング34の後退運動をピストン38の前進運動に変換するレバー42を1つのみを備えるものとしてもよい。
【0088】
-特に、非連結構成において、外側溝380aの前縁が軸方向に整列されず、内部溝260の前縁に対して相対的に後方に配置されている場合、ピストン38の前方移動は、ガスケット35と凸状要素2との半径方向の協働の前に開始されるようにしてもよい。そのようにすると、スライド弁34のオフセット位置から(単数又は複数の)レバー42をスライド弁34及びピストン38と係合可能となり、ガスケット35はノーズ8とまだ協働せず、凸状体/凹状体シールがまだ有効となっていないが、スライド弁34の後退運動によって引き起こされるその前方移動にもかかわらず、ピストン38がスライド弁34とのシールのある接触から確実に離れることになる。この一方で、凸状体/凹状体のシールは有効になっている。
【0089】
-ピストン38に配置された2つの孔386は、連通し、1つの同じ孔を形成するようにしてもよい(表面386cはない。)。
【0090】
-レバー42は、ピン48とスライド弁アクスル44用の孔を備えてもよく、スライド弁アクスル44とピン48が移動する孔を備えてもよい。
【0091】
-同じ連結要素に適切な幾何学形状を有する、任意のタイプの空隙428と任意のタイプの孔386を使用することによって、凸状体2と第2のガスケット35との協働を行うため、レバー42を、スライド弁の閉位置から第1の位置の間はスライド弁34とピストン38から解除し、次に、スライド弁34の第1の位置からオフセット位置までの間にピストン38のみから解除する。
【0092】
-作用表面386aは、上記のように、直線状であり、非連結構成において長手軸線Xに垂直な平面内で延在するとしたが、非連結構成において長手軸線Xに垂直な平面に対して傾斜されるようにしてもよく、スライド弁リング34の移動を段階的に縮小するように湾曲したものとしてもよい。
【0093】
-凹状型要素Bの第3のガスケット37は、スライド弁リング34内に収容されてもよい。
【0094】
-凸状要素Aの第3のガスケット22は、凸状体2に収容されてもよい。
【0095】
-凹状体26が、凸状体2と凹状体26との間をシールするために複数のシールガスケットを平行に収容するところを設ける場合、そこは、スライド弁リング34の、凹状体26の口部の最も近くに位置するシールガスケットについてオフセットした位置で、ピストン38の移動が許容されることを考慮されなければならない。
【0096】
-スキッド46に替えて、スライド弁軸44の周りにローラを設けてもよい。このローラは作用表面344aと接触することによって協働する。同様に、ピン48は、孔386と協働するようにしてもよく、ピン48に設けたローラを介してピン38が移動し、孔386の作用表面386aと接触するようにできる。
【0097】
本発明は、板部材用の連結器(この構成は、連結要素に一体化された係止部材を含まない)を用いて説明されているが、係止部材を備えた連結要素(例えば、ボール、フィンガー、プロング、セグメント等)で実施され得る。
【符号の説明】
【0098】
4 前部
6 後部
8 ノーズ
10 Oリング
12 第1のシールガスケット
14 第2のシールガスケット
16 押出防止リング
18 内部導管
20 弁
22 凸状要素Aの第3のシールガスケット
26 凹状体
28 第1のシールガスケット
32 内側導管
34 スライド弁リング
35 第2のシールガスケット
36 ヨークリング
37 凹状要素Bの第3のシールガスケット
38 ピストン
39 バネ
40 幅狭部
40a 溝
44 スライド弁アクスル
46 スキッド
49 停止リング
80 幅広部
82 中央部
84a ノーズ8の前面
202 弁20の前面
260 凹状体26の内側溝
262 内部スロット
324 サイド弁リング
340 スライド弁34の前面
342 平坦な内面
344 空隙部
362 ガイドハウジング
364 フランジ
364a ハウジング
380 ピストンヘッド
380a 外側溝
380b ピストン38の前面
382 後部センタリングロッド
384 幅広で平坦な部分
386 孔部
386a 作用表面
386b 湾曲表面
420 固定軸
422 レバー42の側面
424 レバー42の反対側の側面
460 案内軸受
A 凸状連結要素
B 凹状連結要素
P1 第1のプレート
P1b プレートP1の前面
P2 第2のプレート
X 長手中心軸線
X2 中心長手軸
Y 方向
Y44 スライド弁アクスル44の中心軸線
Y48 ピン48の中心軸線
Y420 固定軸420の回転軸線
Z 方向