(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】プリント配線板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20230824BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20230824BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H01L21/92 602C
H05K3/34 501E
H05K3/34 502E
H01L21/92 604B
H01L23/12 Q
(21)【出願番号】P 2019091954
(22)【出願日】2019-05-15
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 有紅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 巧治
(72)【発明者】
【氏名】小寺 美宏
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149948(JP,A)
【文献】特開2017-118067(JP,A)
【文献】特開2001-308129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 3/34
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板であって、
基部絶縁層と、
前記基部絶縁層上に形成された導体層と、
前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口、および該第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を有するソルダーレジスト層と、
前記第1の導体パッド上に形成された第1のバンプと、
前記第2の導体パッド上に形成され、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプと、
を備え、
前記第1のバンプは、前記第1の開口内に形成された第1のベースめっき層と、該第1のベースめっき層上に、第1の中間層を介して形成された略半球状の第1のトップめっき層とを有し、
前記第2のバンプは、前記第2の開口内に形成された第2のベースめっき層と、該第2のベースめっき層上に、第2の中間層を介して形成された略半球状の第2のトップめっき層とを有し、
少なくとも前記第2のバンプにおいて、第2のベースめっき層のソルダーレジスト層から露出する側面および第2の中間層の側面が、第2のトップめっき層で被覆されて
おり、
前記第1の開口のアスペクト比は0.5以下であり、前記第2の開口のアスペクト比は0.6以上である。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のバンプにおいて、第1のベースめっき層のソルダーレジスト層から露出する側面および第1の中間層の側面が、第1のトップめっき層で被覆されている。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層の厚みは、5μm~45μmである。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のベースめっき層および前記第2のベースめっき層は、銅を主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント配線板であって、第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層は、スズを主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項6】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のベースめっき層と前記第1の導体パッドとの間、および前記第2のベースめっき層と前記第1の導体パッ
ドとの間に、ニッケル層、パラジウム層及び金層からなる下地層をそれぞれ有する。
【請求項7】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1の中間層および前記第2の中間層の厚みは7μm以下である。
【請求項8】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1および第2のベースめっき層は前記ソルダーレジスト層の表面を超える高さまで形成され、前記ソルダーレジスト層の表面からの前記第1のベースめっき層の厚みおよび前記第2のベースめっき層の厚みはそれぞれ3μm~20μmの範囲内にある。
【請求項9】
プリント配線板の製造方法であって、
基部絶縁層を形成することと、
前記基部絶縁層上に導体層を形成することと、
前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に、前記第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を形成することと、
前記第1の導体パッド上に第1のバンプを形成することと、
前記第2の導体パッド上に、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプを形成することと、を含み、
前記第1のバンプを形成することは、前記第1の開口内に第1のベースめっき層を形成することと、前記第1のベースめっき層上に、第1の中間層を介して、第1のトップめっき層を形成することと、第1のトップめっき層をリフローして、略半球状の第1のトップめっき層を形成することと、を含み、
前記第2のバンプを形成することは、前記第2の開口内に第2のベースめっき層を形成することと、前記第2のベースめっき層上に、第2の中間層を介して、第2のトップめっき層を形成することと、第2のトップめっき層をリフローして、略半球状の第2のトップめっき層を形成することと、少なくとも第2のベースめっき層のソルダーレジスト層から露出する側面および第2の中間層の側面を、第2のトップめっき層で被覆することと、
前記第1の開口のアスペクト比は0.5以下であり、前記第2の開口のアスペクト比は0.6以上であることと、を含む。
【請求項10】
請求項
9に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のベースめっき層のソルダーレジスト層から露出する側面および第1の中間層の側面を、第1のトップめっき層で被覆する。
【請求項11】
請求項
9に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層の厚みを5μm~45μmの範囲内とする。
【請求項12】
請求項
9に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のベースめっき層および前記第2のベースめっき層を、銅を主成分とする金属からそれぞれ形成する。
【請求項13】
請求項
9に記載のプリント配線板の製造方法であって、第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層を、スズを主成分とする金属からそれぞれ形成する。
【請求項14】
請求項
9に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のベースめっき層と前記第1の導体パッドとの間、および前記第2のベースめっき層と前記第1の導体パッ
ドとの間に、ニッケル層、パラジウム層及び金層からなる下地層をそれぞれ形成することをさらに含む。
【請求項15】
請求項
9に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1の中間層および前記第2の中間層の厚みを7μm以下とする。
【請求項16】
請求項
9に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1および第2のベースめっき層を前記ソルダーレジスト層の表面を超える高さまで形成し、前記ソルダーレジスト層の表面からの前記第1のベースめっき層の厚みおよび前記第2のベースめっき層の厚みをそれぞれ3μm~20μmの範囲内とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっきバンプを有するプリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、めっき法を用いたバンプ形成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、
図4に示すように、ソルダーレジスト層16’に形成された大きさの異なる開口16a’、16b’内の導体パッド14a’、14b’上にベースめっき層24’、30’を形成し、該ベースめっき層24’、30’上に、中間層26’、31’を介して、トップめっき層28’、32’を形成して大きさの異なるバンプ20’、22’を形成した場合、中間層26’とトップめっき層28’との間に、および、中間層31’とトップめっき層32’との間に、クラックが発生することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプリント配線板は、基部絶縁層と、前記基部絶縁層上に形成された導体層と、前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口、および該第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を有するソルダーレジスト層と、前記第1の導体パッド上に形成された第1のバンプと、前記第2の導体パッド上に形成され、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプと、を備え、前記第1のバンプは、前記第1の開口内に形成された第1のベースめっき層と、該第1のベースめっき層上に、第1の中間層を介して形成された略半球状の第1のトップめっき層とを有し、前記第2のバンプは、前記第2の開口内に形成された第2のベースめっき層と、該第2のベースめっき層上に、第2の中間層を介して形成された略半球状の第2のトップめっき層とを有し、少なくとも前記第2のバンプにおいて、第2のベースめっき層のソルダーレジスト層から露出する側面および第2の中間層の側面が、第2のトップめっき層で被覆されている。
【0006】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、基部絶縁層を形成することと、前記基部絶縁層上に導体層を形成することと、前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、前記ソルダーレジスト層に、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口を形成することと、前記ソルダーレジスト層に、前記第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を形成することと、前記第1の導体パッド上に第1のバンプを形成することと、前記第2の導体パッド上に、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプを形成することと、を含み、前記第1のバンプを形成することは、前記第1の開口内に第1のベースめっき層を形成することと、前記第1のベースめっき層上に、第1の中間層を介して、第1のトップめっき層を形成することと、第1のトップめっき層をリフローして、略半球状の第1のトップめっき層を形成することと、を含み、前記第2のバンプを形成することは、前記第2の開口内に第2のベースめっき層を形成することと、前記第2のベースめっき層上に、第2の中間層を介して、第2のトップめっき層を形成することと、第2のトップめっき層をリフローして、略半球状の第2のトップめっき層を形成することと、少なくとも第2のベースめっき層のソルダーレジスト層から露出する側面および第2の中間層の側面を、第2のトップめっき層で被覆することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態のプリント配線板を示す断面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態のプリント配線板を示す断面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【
図3B】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【
図3C】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【
図3D】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【
図3E】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【
図3F】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【
図3G】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【
図3H】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【
図4】従来技術に従うプリント配線板において、クラックが発生する様子を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明のプリント配線板について>
本発明のプリント配線板の一実施形態が、図面を参照して説明される。
図1および
図2には、実施形態の製造方法により作製されたプリント配線板10の一部が拡大して示されている。プリント配線板10は、コア基板(図示せず)の片面または両面に所定の回路パターンを有する導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層してなるコア付き基板であってよい。コア基板の両面に導体層を形成する場合には、コア基板を介して対向する導体層同士は、スルーホール導体(図示せず)を介して接続されていてもよい。あるいは、プリント配線板10は、コア基板の代わりに支持板(図示せず)上で導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層した後、支持板を除去してなるコアレス基板であってもよい。いずれにせよ、プリント配線板10は、
図1に示すように、少なくとも1層の樹脂絶縁層のうち最外に配置されたものである基部絶縁層12と、基部絶縁層12上に形成された、所定の回路パターンを有する導体層14と、基部絶縁層12および導体層14上に形成されたソルダーレジスト層16とを備えている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に設けられている場合が多いが、図では省略されている。しかし、プリント配線板10は、1層の基部絶縁層12と1層の導体層14とからなるものでもよい。
【0009】
基部絶縁層12は、例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含む樹脂組成物等で構成することができる。導体層14は導電性金属、例えば銅を主成分とする金属で形成される。
【0010】
ソルダーレジスト層16は、導体層14の一部を第1の導体パッド14aとして露出させる第1の開口16aと、第1の開口16aよりも径が小さく導体層14の他の一部を第2の導体パッド14bとして露出させる第2の開口16bとを有している。第1の開口16aのアスペクト比、つまり底部の口径に対する深さの比は0.5以下とすることができる。第2の開口16bのアスペクト比、つまり底部の口径に対する深さの比0.6以上とすることができる。
【0011】
第1および第2の導体パッド14a、14b上には下地層18がそれぞれ形成されていてよい。下地層18としては、第1および第2の導体パッド14a、14bの表面に形成されたニッケル層とニッケル層上に形成されたパラジウム層とパラジウム層上に形成された金層とを例示することができる。その他、ニッケル層とニッケル層上に形成された金層とを例示することができる。下地層18は形成しなくてもよい。
【0012】
プリント配線板10はさらに、第1の導体パッド14a上に下地層18を介して形成された第1のバンプ20と、第2の導体パッド14b上に下地層18を介して形成され、第1のバンプ20よりも小径の第2のバンプ22とを備えている。下地層18を形成しない場合、第1および第2のバンプ20、22は第1および第2の導体パッド14a、14b上に直接形成することができる。第1のバンプ20は電源もしくはグランド線との接続に用いることができる。第1のバンプ20よりも径の小さい第2のバンプ22は信号線との接続に用いることができる。
【0013】
第1のバンプ20は、第1の開口16a内に形成された第1のベースめっき層24と、第1のベースめっき層24上に例えばニッケルを主成分とする第1の中間層26aを介して形成された略半球状の第1のトップめっき層28とを有する。第1の中間層26aの厚みは7μm以下とすることが好ましい。
【0014】
第1のベースめっき層24は、導電性金属、好ましくは銅を主成分とする金属から形成されている。第1のベースめっき層24はソルダーレジスト層16の表面(基部絶縁層12とは反対側の面)を超える高さまで形成する。これにより第1のバンプ20が第1の開口16a内に安定して保持される。ソルダーレジスト層16の表面からの第1のベースめっき層24の厚みB1は3μm~20μmの範囲内とすることが好ましい。
【0015】
第1のトップめっき層28は、第1のベースめっき層24よりも融点が低くリフロー処理により溶融して
図1および
図2に示すような略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第1のトップめっき層28の厚み(第1のバンプ20の外周面において第1のトップめっき層28の下端から第1のトップめっき層の頂部までの垂直方向の距離)A1は5μm~45μmの範囲とすることが好ましい。第1のトップめっき層28の厚みA1をこの範囲とすることで、第1のバンプ20と、プリント配線板10に実装される半導体チップやメモリなど電子部品の接続パッド(図示せず)との間で良好な接続信頼性が得られる。
【0016】
第2のバンプ22は、第2の開口16b内に形成された第2のベースめっき層30と、第2のベースめっき層30上に例えばニッケルを主成分とする第2の中間層26bを介して形成された略半球状の第2のトップめっき層32とを有する。第2の中間層26bの厚みは7μm以下とすることが好ましい。
【0017】
第2のベースめっき層30は、導電性金属、好ましくは銅を主成分とする金属から形成されている。第2のベースめっき層30はソルダーレジスト層16の表面(基部絶縁層12とは反対側の面)を超える高さまで形成することが好ましい。これにより第2のバンプ22が第2の開口16b内に安定して保持される。ソルダーレジスト層16の表面からの第2のベースめっき層30の厚みB2は3μm~20μmの範囲内とすることが好ましい。
【0018】
第2のトップめっき層32は、第2のベースめっき層30よりも融点が低くリフロー処理により溶融して
図1および
図2に示すような略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第2のトップめっき層32の厚み(第2のバンプ22の外周面において第2のトップめっき層32の下端から第2のトップめっき層32の頂部までの垂直方向の距離)A2は5μm~45μmの範囲とすることが好ましい。第2のトップめっき層32の厚みA2をこの範囲とすることで、第2のバンプ22と、プリント配線板10に実装される半導体チップやメモリなど電子部品の接続パッド(図示せず)との間で良好な接続信頼性が得られる。
【0019】
図1に示す本発明に係るプリント配線板では、少なくとも第2のベースめっき層30のソルダーレジスト層16から露出する側面および第2の中間層26bの側面が、第2のトップめっき層32で被覆されている。この構成により、第2の中間層26bと第2のトップめっき層32との間の箇所は第2のトップめっき層32で被覆される。そのため、第2の中間層26bと第2のトップめっき層32との間の箇所にクラックは発生しにくくなる。
【0020】
図2に示す本発明に係るプリント配線板では、第1のベースめっき層24のソルダーレジスト層16から露出する側面および第1の中間層26aの側面が、第1のトップめっき層28で被覆され、第2のベースめっき層30のソルダーレジスト層16から露出する側面および第2の中間層26bの側面が、第2のトップめっき層32で被覆されている。この構成により、第1の中間層26aと第1のトップめっき層28との間の箇所は第1のトップめっき層28で被覆され、第2の中間層26bと第2のトップめっき層32との間の箇所は第2のトップめっき層32で被覆される。そのため、これらの箇所にクラックは発生しにくくなる。
【0021】
なお、上記側面は、第1のベースめっき層24とソルダーレジスト層16との間の箇所、および、第2のベースめっき層30とソルダーレジスト層16との間の箇所、も含む概念である。そのため、第1のトップめっき層28が第1のベースめっき層24とソルダーレジスト層16との間の隙間に入り込むとともに、第2のトップめっき層32が第2のベースめっき層30とソルダーレジスト層16との間の隙間に入り込む場合もある。
【0022】
<本発明のプリント配線板の製造方法について>
以下、本発明に係る
図1に示すプリント配線板10の製造方法を、
図3A~
図3Hを参照して説明する。
【0023】
図3Aには、公知の方法を用いて、基部絶縁層12上に所定の回路パターンを有する導体層14およびソルダーレジスト層16が形成された中間体が示されている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に形成されている場合が多いが、図では省略されている。複数の導体層および樹脂絶縁層はコア基板上もしくは後に除去可能な支持板上で積層することができる。しかし、プリント配線板10は、基部絶縁層12としての1層の樹脂絶縁層と1層の導体層14とからなるものでもよく、この場合この樹脂絶縁層が基部絶縁層12に相当する。基部絶縁層12には、シリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含むビルドアップ用絶縁樹脂フィルムを用いることができる。ソルダーレジスト層16には、例えば炭酸ガスレーザまたはUV-YAGレーザ等により、導体層14の一部を第1の導体パッド14aとして露出させる第1の開口16aと導体層14の他の一部を第2の導体パッド14bとして露出させる第2の開口16bが形成される。第1の開口16aのアスペクト比は0.5以下とし、第2の開口16bのアスペクト比は0.6以上とするのが好ましい。第1および第2の導体パッド14a、14b上には、めっきにより例えばニッケル層、パラジウム層、金層がこの順に積層されて下地層18が形成される。下地層18は形成しなくてもよい。
【0024】
図3Bに示されるように、例えば、無電解銅めっき処理等の無電解めっき処理が行われ、中間体の表面(ソルダーレジスト層16の表面および第1および第2の開口16a、16bの側面)上と、下地層18上(下地層18が形成されない場合には導体パッド14a、14b上)にシード層34が形成される。
【0025】
図3Cに示されるように、シード層34上に、第1および第2のバンプ20、22(
図1)の形成予定部位に開口36aを有する所定パターンのめっきレジスト36が形成される。
【0026】
図3Dに示されるように、電解めっき処理が行われ、シード層34上の、めっきレジスト36から露出する部分に、例えば銅を主成分とする第1のベースめっき層24および第2のベースめっき層30が形成される。
【0027】
また、第1および第2のベースめっき層24、30を形成する際には、ソルダーレジスト層16の表面からの第1のベースめっき層24の厚みおよび第2のベースめっき層30の厚みが3μm~20μmの範囲内となるよう、第1および第2のベースめっき層24、30のめっき厚を調整するのが好ましい。
【0028】
図3Eに示されるように、例えば電解めっき処理が行われ、第1および第2のベースめっき層24、30上に例えばニッケルを主成分とする第1および第2の中間層26a、26bが形成される。第1および第2の中間層26a、26bの厚みは好ましくは7μm以下とする。
【0029】
図3Fに示されるように、電解めっき処理が行われ、第1および第2のベースめっき層24、30上に第1および第2の中間層26a、26bを介在して第1および第2のトップめっき層28、32が形成される。第1および第2のトップめっき層28、32は、第1および第2のベースめっき層24、30よりも融点が低くリフロー処理により溶融して略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第1および第2のトップめっき層28、32の厚みは5μm~45μmの範囲とすることが好ましい。
【0030】
図3Gに示されるように、めっきレジスト36が剥離される。また、めっきレジスト36の除去により露出したシード層34の部分がエッチングにより除去される。
【0031】
図3Hに示されるように、リフロー処理が行われ、第1のトップめっき層28および第2のトップめっき層32が略半球状に整形される。リフロー処理により、第1および第2の導体パッド14a、14bに近い側から銅層、銅/ニッケル合金層、ニッケル層、ニッケル/スズ合金層、スズ層からなる第1のバンプ20および第2のバンプ22が形成される。また、リフロー処理により、第1のトップめっき層28および第2のトップめっき層32が略半球状に整形されると同時に、第2のベースめっき層30のソルダーレジスト層16から露出する側面および第2の中間層26bの側面が、第2のトップめっき層32で被覆される(
図1の例、
図3Hでは図示せず)、または、第1のベースめっき層24のソルダーレジスト層16から露出する側面および第1の中間層26aの側面が、第1のトップめっき層28で被覆され、第2のベースめっき層30のソルダーレジスト層16から露出する側面および第2の中間層26bの側面が、第2のトップめっき層32で被覆される(
図2の例:
図3Hで図示)。
【0032】
上述した実施形態では、第1のバンプと第1のバンプよりも小径の第2のバンプとを有するプリント配線板において、第2のバンプのみにトップめっき層の側面被覆を行い、または、第1のバンプおよび第2のバンプの両者にトップめっき層の側面被覆を行っている。しかし、本発明は、2種の径のバンプが存在する場合だけでなく、単独の径のバンプあるいは2種以上の径のバンプを有するプリント配線板についても適用できる。
【符号の説明】
【0033】
10 プリント配線板
12 基部絶縁層
14 導体層
14a 第1の導体パッド
14b 第2の導体パッド
16 ソルダーレジスト層
16a 第1の開口
16b 第2の開口
18 下地層
20 第1のバンプ
22 第2のバンプ
24 第1のベースめっき層
26a 第1の中間層
26b 第2の中間層
28 第1のトップめっき層
30 第2のベースめっき層
32 第2のトップめっき層
34 シード層
36 めっきレジスト