(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ダウンライト
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20230824BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
F21V23/00 170
F21S8/02 420
(21)【出願番号】P 2019103641
(22)【出願日】2019-06-03
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】591112027
【氏名又は名称】大光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】曽川 真一
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0363261(US,A1)
【文献】特開2016-212997(JP,A)
【文献】特開2017-117547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 23/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置天井の取付穴に埋込状態に取り付けられるダウンライトであり、
ランプ本体と、前記ランプ本体に電力を供給する電線を接続する端子と、前記ランプ本体を設置天井の取付穴に取り付ける複数の取付バネと
、直径が取付穴よりも小さく、かつ取付穴に挿入配置される枠体とを備え、
前記複数の取付バネはランプ本体の周方向に間隔をあけて放射状に配置され、かつ前記端子に最も近い取付バネが前記端子への電線の接続方向に対して電線から遠ざかる方向に5°~20°の位置に配置され
、
平面視において前記端子は前記枠体の外周縁部よりも内側に配置されていることを特徴とするダウンライト。
【請求項2】
前記端子は、電線の接続方向がランプ本体の中心に向かわない位置に取り付けられている請求項1に記載のダウンライト。
【請求項3】
2つの
取付バネを備え、これらの取付バネがランプ本体の中心に対して対向する位置に配置されている請求項1または2に記載のダウンライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天井等に設置されるダウンライトに関する。
【背景技術】
【0002】
天井に設置される照明器具として、天井に形成された取付穴に埋め込まれるダウンライトが知られている。このようなダウンライトは取付穴に係止するために、器具本体から外側に張り出したバネを備えている。前記ダウンライトを取りつけるには、天井裏に敷設された電線を天井下に引き出して照明器具と接続し、バネを上方に弾性変形させて器具本体に沿わせた状態で取付穴に押し込み、復元したバネを天井に係止させる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構造のダウンライトでは、照明器具に電線を接続する際に外側に張り出したバネが邪魔になることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した背景技術に鑑み、取付用のバネが電線の接続の邪魔をしないダウンライトを提供するものである。
【0006】
即ち、本発明は、下記[1]~[3]に記載の構成を有する。
【0007】
[1]設置天井の取付穴に埋込状態に取り付けられるダウンライトであり、
ランプ本体と、前記ランプ本体に電力を供給する電線を接続する端子と、前記ランプ本体を設置天井の取付穴に取り付ける複数の取付バネとを備え、
前記複数の取付バネはランプ本体の周方向に間隔をあけて放射状に配置され、かつ前記端子に最も近い取付バネが前記端子への電線の接続方向に対して電線から遠ざかる方向に5°~20°の位置に配置されていることを特徴とするダウンライト。
【0008】
[2]前記端子は、電線の接続方向がランプ本体の中心に向かわない位置に取り付けられている前項1に記載のダウンライト。
【0009】
[3]2つの取り付けバネを備え、これらの取付バネがランプ本体の中心に対して対向する位置に配置されている前項1また2に記載のダウンライト。
【発明の効果】
【0010】
上記[1]に記載のダウンライトによれば、取付バネが端子に接続される電線から遠ざかる方向に取り付けられているので端子前のスペースが広がり、電線の接続時に取付バネに干渉しにくい。
【0011】
上記[2]に記載のダウンライト、即ち電線の接続方向がランプ本体の中心に向かわない位置に端子が取り付けられているダウンライトにおいて、端子前のスペースを広げて電線が取付バネに干渉しにくくすることができる。
【0012】
上記[3]に記載のダウンライトによれば、取付バネの数が2つであるから片手で設置作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のダウンライトの一実施形態の斜視図である。
【
図4A】ダウンライトの設置作業を示す斜視図である。
【
図4B】ダウンライトの設置作業を示す斜視図である。
【
図4D】ダウンライトが天井に設置された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~3に本発明のダウンライトの一実施形態を示す。
【0015】
ダウンライト1は、ベース10、ランプ本体20、端子台30および2つの取付バネ40、50を備えている。
【0016】
前記ベース10は、環形の枠体11と、この枠体11の下端外周部に突出するフランジ12とを備えている。
【0017】
前記ランプ本体20は、ランプが収納された円柱形のランプハウス21と直方体の制御部22とからなり、前記制御部22はランプハウス21の上面の中心Rから側方に寄った位置に設けられている。前記ランプハウス21の中心Rはランプ本体20の中心である。前記ランプハウス21は前記ベース10の枠体11に嵌合されて固定され、下端の導光板23が枠体11から露出している。また、前記制御部22は枠体11の外に突出している。
【0018】
前記端子台30は前記ランプハウス21の上面に制御部22と並んで配置され、側面に電源線用および送り配線用の2組の端子31、32が取り付けられている。なお、図は各組の端子を1つのみ表示している。前記端子31、32に対し、
図2においてAで示す方向から電源線および送り配線等の電線が接続される。
【0019】
前記取付バネ40、50は、金属板の複数箇所を屈曲させた弾性変形可能な板バネであり、概ねV字形である。2つの取付バネ40、50はランプハウス21の中心Rに対して対向する位置、即ち2つの取付バネ40、50はランプハウス21の周方向において180°の間隔で配置されている。前記取付バネ40、50は、V字形の一方の要素が基端部41、51となりその先端の屈曲する支持部41a、51aが前記ランプハウス21の上面に固定され、他方の要素が自由端部42、52となってベース10の外方に放射状に張出し、前記基端部41、51と自由端部42、52の間の屈曲部43、53がベース10のフランジ12の上面近くに位置している。前記自由端部42、52は屈曲部43を支点として基端部41、51側に弾性変形し、その復元力によって設置天井に係止される。
【0020】
図2において、Pはランプハウス21の中心Rを通り電線の接続方向Aに平行する直線を示している。2つの取付バネ40、50のうちの端子31、32に近い取付バネ40は、前記直線Pに対し、端子31、32から遠ざかる方向に10°の位置に配置されている。前記直線Pは電線等の接続方向Aと平行であるから、取付バネ40は電線等の接続方向Aに対して遠ざかる方向に10°の角度の位置に配置されている。本発明において、取付バネ40の位置は電線等の接続方向Aに対する角度Qで規定され、Qが5°~20°の範囲とする。このように、電線の接続方向Aに対して角度を持たせると端子31、32前のスペースが広がるので、端子31、32に電線を接続する時に取付バネ40に干渉しにくくなり、接続作業が容易になる。また、電線を接続した後、取付バネ40を弾性変形させる時も電線に干渉しにくい。前記角度Qが5°未満では端子31、32のスペースの拡大も僅かであり上記効果が乏しい。前記角度Qの好ましい範囲は10°~15°である。
【0021】
上述したように、前記端子31、32はランプハウス21の中心R(即ちランプ本体20の中心R)から側方に寄った位置に配置されている。しかも、電線の接続方向Aがランプ本体20の中心Rに向かわない位置に端子31、32が取り付けられている。このような位置に端子31、32が取り付けられていると、ランプ本体20に放射状に配置された取付バネ40は電線に近接しやすく両者が干渉しやすいが、取付バネ40を電線の接続方向Aに対して角度を持たせた位置に配置すると端子前31、32のスペースが広がるので両者が干渉しにくくなる。
【0022】
前記取付バネは少なくとも2つ必要であるが、3つ以上の取付バネを有するダウンライトも本発明に含まれる。
図4Bに示すように、2つの取付バネを取り付けた場合は、親指と人差指で2つの取付バネを押さえることができるので、片手で設置作業を行うことができる。
【0023】
本発明においてダウンライトの寸法は限定されない。但し、小型のダウンライトでは取付バネや端子の取り付けスペースそのものが小さいために取付バネと端子が近接するので、取付バネと電線の干渉が起こりやすい。従って、本発明は大型のダウンライトよりも小型のダウンライトへの適用意義が大きい。
【0024】
また、ダウンライトの取り付けには設置天井の裏側に埋込用の空間が必要であるが、その空間の高さは設置場所によって様々である。空間の高さが十分に深い(高い)場合は端子に接続した電線を取付バネから離れるように押しやることは容易である。しかし、空間の高さが浅い(低い)場合は、電線が設置天井に接触しやすく電線を自由に動かせる範囲が狭くなるために設置作業がしづらくなる。本発明のダウンライトは取付バネが電線から遠ざかる方向に取り付けられて両者の干渉が起こり難いので、埋込用空間の高さの浅い設置天井に対しても設置し易い。
【0025】
[ダウンライトの設置方法]
図4A~
図4Dを参照しつつ、前記ダウンライト1を天井60の取付穴61に設置する方法を説明する。前記取付穴61の直径は、ダウンライト1のベース10の枠体11よりもやや大きく、フランジ12の外直径よりも小さい。
【0026】
まず、
図4Aに示すように、天井60の取付穴61から電源線62および送り配線63を引き出して端子31、32に接続する。端子31、32に近い取付バネ40は電源線62および送り配線63から遠ざかる方向に取り付けられているので、取付バネ40に干渉する電源線52および送り配線53を端子31、32に接続できる。
【0027】
次に、
図4Bおよび
図4Cに示すように、手で2つの取付バネ40、50の自由端部42、52を枠体11側に押して弾性変形させて両自由端部42、52間の距離を狭める。前記取付バネ40は電源線52および送り配線53から遠ざかる方向に取り付けられているので、支障なく自由端部42、52を変形させることができる。この状態で取付穴61に端子台30側からベース10の枠体11を挿入する。
【0028】
そして、
図4Dに示すように、取付バネ40、50から手を離すと、弾性変形させた自由端部42、52が復元し、自由端部42、52の根元部42a、52aが取付穴61の周面を押圧する。また、自由端部42、42の先端部42b、52bが天井60の裏面を押圧し、フランジ12と自由端部42、52の先端部42b、52bとで天井60を挟み付ける。これにより、ダウンライト1が2つの取付バネ40、50によって天井60に埋め込まれた状態で固定される。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のダウンライトは天井等に埋め込んで設置される照明器具として利用できる。
【符号の説明】
【0030】
1…ダウンライト
10…ベース
11…枠体
12…フランジ
20…ランプ本体
21…ランプハウス
22…制御部
30…端子台
31、32…端子
40、50…取付付バネ
60…天井(設置天井)
61…取付穴
62…電源線(電線)
63…送り配線(電線)