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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】清掃具
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/20 20060101AFI20230824BHJP
   A47L 13/24 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
A47L13/20 A
A47L13/24 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019117206
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021003179
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 悠介
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-084730(JP,A)
【文献】特開2017-006477(JP,A)
【文献】特開2016-112734(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217186(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L13/00-13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の柄部と、表面の四隅に空隙部を配置し、清掃布を保持する保持部を有する矩形状のヘッド部と、前記柄部及び前記ヘッド部を連結する継手部とから成る清掃具であって、
前記保持部は、前記空隙部の上面を開口した略矩形状の開口部と、該開口部を閉塞するように配置された蓋部と、該蓋部の裏面及び前記空隙部の底部の間に、上下方向に沿うように配置したばね部とから成り、
該ばね部は、前記蓋部が前記開口部を閉塞する方向である上方に対して付勢力を有し、
前記蓋部の表面が内方に押圧されると、前記蓋部は前記ばね部による上方への付勢力に抗して、前記空隙内に沈み込むことを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記蓋部の両側には、外側に突起又は凹部を備えた側板部が設けられており、前記突起又は前記凹部を、前記空隙部の両側の側壁に設けた凹部又は突起に嵌入することで、前記側板部の前記突起又は前記側板部の前記凹部を中心に前記蓋部を回動可能とすることを特徴とする請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記蓋部は前記開口部よりも上方に回動しないように制止する制止部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記開口部の前記ヘッド部の短手方向の外側には、切込部が設けられており、前記蓋部には前記切込部に相当する位置に押込部が形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の清掃具。
【請求項5】
前記開口部の前記ヘッド部の短手方向の外側に配置された上面板の裏面には、複数の小突起が形成されていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃布を装着し、被清掃面に対する塵埃の拭き取りを行う清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、拭材つまり不織布から成る清掃シートを交換可能に取り付けて使用する清掃具が開示されている。
【0003】
モップヘッドの表面の四隅には、シート保持部が設けられている。これらのシート保持部には、合成樹脂材から成るシート状の薄肉部が取り付けられていて、薄肉部には鋸歯状の複数の弾性舌片が形成されている。
【0004】
そして、清掃シートをモップヘッドの裏側を一巡させて、表側の四隅をシート保持部に挿入して清掃シートを保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-112734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような特許文献1に記載の清掃用具では、シート保持部の使用につれて弾性舌片が変形し、挟持力が弱まっていく。このため、長期間の使用により清掃シートが外れ易くなるという問題がある。
【0007】
また、従来の清掃具のシート保持部は一体成型品であるため、弾性舌片同士の間に隙間が生ずるので、清掃シートの保持力が弱く、厚さのある雑巾等を保持できないという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、清掃シートや雑巾等の清掃布の保持を確実になし得ると共に、長期間使用しても挟持力が低下することのないシート保持部を有する清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る清掃具は、棒状の柄部と、表面の四隅に空隙部を配置し、清掃布を保持する保持部を有する矩形状のヘッド部と、前記柄部及び前記ヘッド部を連結する継手部とから成る清掃具であって、前記保持部は、前記空隙部の上面を開口した略矩形状の開口部と、該開口部を閉塞するように配置された蓋部と、該蓋部の裏面及び前記空隙部の底部の間に、上下方向に沿うように配置したばね部とから成り、該ばね部は、前記蓋部が前記開口部を閉塞する方向である上方に対して付勢力を有し、前記蓋部の表面が内方に押圧されると、前記蓋部は前記ばね部による上方への付勢力に抗して、前記空隙内に沈み込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る清掃具によれば、清掃布を保持する保持部にばね部を用いることで、保持部は、厚さが異なる清掃シートや雑巾を係止できると共に、長期間使用しても清掃布に対する挟持力が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の清掃具の斜視図である。
図2】継手部等の分解斜視図である。
図3】ヘッド部及び継手部の断面図である。
図4】ヘッド部及び継手部の断面図である。
図5】シート保持部の断面図である。
図6】清掃シートを挟着した状態のシート保持部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の清掃具の斜視図であり、図2は継手部等を分解した状態の分解斜視図である。図3は、図1に示すヘッド部の短手方向と平行するA-A間のヘッド部及び継手部の断面図であり、図4はヘッド部の長手方向と平行するB-B間のヘッド部及び継手部の断面図であり、図5はヘッド部の短手方向と平行するC-C間のシ-ト保持部の断面図である。
【0013】
清掃具1は棒状の柄部2と、不織布から成る清掃シートSや雑巾等を含む清掃布を取り付けるヘッド部3と、柄部2及びヘッド部3を連結する継手部4とから構成されている。柄部2は継手部4を介してヘッド部3に対して、平面視におけるほぼ360度の何れの方向にも回動可能とされている。なお、実施例では説明の都合上、図1に示すようにヘッド部3の長手方向をX方向、短手方向をY方向と呼ぶことにする。
【0014】
柄部2は長さが例えば1.2m程度であり、アルミニウム等の軽量の金属や硬質の合成樹脂等から成り、直径が例えば1.5cm程度の筒体である柄基体部2aと、柄基体部2aの上端に取り付けたゴム等の滑り難い素材から成る把持部2bとから構成されている。柄基体部2aの下端は、継手部4が挿入される円筒部2cとされている。
【0015】
ヘッド部3は、例えばX方向の横幅25cm、Y方向の縦幅8cm、高さ3cm程度の略矩形体である。このヘッド部3は、硬質の合成樹脂材から成る矩形状の基板部3aと、この基板部3aの底面を覆うように接着した発泡EVA、ウレタン樹脂等の柔軟性、弾発性を有する合成樹脂材から成る摺掃部3bとから構成されている。なお、柄部2及びヘッド部3の大きさは、使用する清掃場所等に応じて、適宜のサイズのものを採用することができる。
【0016】
基板部3aの中央上部には、継手部4に連結するための連結部3cが設けられており、連結部3cは基板部3a上に所定の間隔を設けて起立され、X方向に対向する一対の起立片3dから構成されている。そして、これらの起立片3dの内側面には、X方向に凹む一対の第1の軸孔部3eが対向して形成されている。
【0017】
連結部3cと柄部2との間には、柄部2をヘッド部3に対して連結し、任意方向に回動させるための複数の部材から成る継手部4が介在されている。この継手部4は下方から順に、それぞれ硬質の合成樹脂材等から成る回動部5、ロック部6、係合部7とから成り、これらを結合する合成樹脂又は金属製のボルト8とを備えている。回動部5は連結部3cの第1の軸孔部3eに回動可能に連結され、ロック部6は回動部5上に嵌合され、係合部7はロック部6上に回動可能に連結されて、その上端は柄部2に挿入されている。
【0018】
回動部5では、X方向の両側に一対の板体部5aが設けられ、これらの板体部5aの外側にX方向の外方に向けて、それぞれ円筒状の第1の軸部5bが突出されている。また、Y方向に貫通する第1の貫通孔5cを上部に備えた突部5dが、板体部5a間に設けられている。
【0019】
ロック部6では、下方裏面に回動部5の突部5dが入り込む穴部6aが形成されている。ロック部6は回動部5上に取り付けられ、上部に覆部6bを有し、覆部6bのX方向の両側には、壁部6cが形成されている。壁部6cは、ロック部6の外側から溝状を形成しており、回動部5の突部5d、板体部5a間に押し込むことで、ロック部6は回動部5と連結される。
【0020】
そして、覆部6bの両面つまりY方向には一対の第2の軸部6dがそれぞれ突出されており、2つの第2の軸部6dの中心には、回動部5の第1の貫通孔5cと連通する第2の貫通孔6eが形成されている。
【0021】
係合部7には、柄部2内に挿入される上端部7aと、両側から下方に向けて逆U字状に吊り下げられた一対の平板状のアーム部7bが設けられている。これらのアーム部7bの下端のY方向の内側面には、ロック部6の第2の軸部6dが挿入される一対の第2の軸孔部7cが対向して設けられている。また、この第2の軸孔部7cの中心には、第1の貫通孔5c、第2の貫通孔6eと連通し、ボルト8を挿通する第3の貫通孔7eが設けられており、第3の貫通孔7eには、ボルト8の先端の外ねじに螺合する内ねじが形成されている。
【0022】
基板部3aの表面の四隅には、清掃布を保持するための保持部9がそれぞれ配置されている。保持部9の上部は基板部3a上に形成された台形部9aとされ、台形部9aは下方に延在する空箱状の空隙部9bを有している。空隙部9bの上面つまり台形部9aの上面には、略矩形状の開口部9cが開口され、開口部9cの一部のY方向の外側には、略半円形状の切込部9dが設けられている。
【0023】
開口部9c内には、この開口部9cを閉塞するように、開口部9cとほぼ同形の板体状の蓋部9eが配置され、切込部9dに相当する位置には、押込部9fが蓋部9eと一体に蓋部9eよりも一段と低く形成されている。
【0024】
また、図2の斜視図に示すように、蓋部9eの両側には側板部9gがL字状に折り曲げられており、これらの側板部9gの外側には突起9hが形成されている。蓋部9eを開口部9cに取り付ける際に、蓋部9eの両側に設けられた側板部9gの突起9hを、空隙部9bの両側の側壁に上下に設けた溝部9iに押し込むことで、最終的に溝部9iの下端に設けた凹部9jに嵌入される。なお、突起9h及び凹部9jは、蓋部9e及び空隙部9bに対して、逆に配置するようにしてもよい。
【0025】
空隙部9bの側壁の下端には、空隙部9b底から上方に突出し、上端が円弧状に凹んだ突出部9kが設けられている。溝部9iを挟んだ突出部9kの上端に、側板部9gの円弧状の下端が当接しながら、凹部9jに軸支された突起9hを中心に蓋部9eが回動可能とする構造となっている。
【0026】
蓋部9eの裏面と空隙部9bの底部の台座9lとの間に、例えばコイルスプリングから成るばね部9mが配置され、ばね部9mは蓋部9eを押し上げるように付勢している。従って、ばね部9mは常に蓋部9eが開口部9cを閉塞する方向に付勢力を有している。
【0027】
更に、蓋部9eの後部には板状の制止部9nが設けられており、蓋部9eが開口部9cを閉塞している場合に、制止部9nは空隙部9bの後壁に接し、蓋部9eが開口部9cよりも上方に回動しないように制止する役割を果たしている。なお、板状の制止部9nを設けずに、蓋部9eの後辺部を制止部9nとして空隙部9bの後壁に接するようにして、蓋部9eの回動を制止するようにしてもよい。
【0028】
また、開口部9cの周囲のY方向の外側であって、略半円形状の切込部9dを囲む上面板9oの裏面には、清掃シートSの滑りを防止するために、複数の小突起9pが形成されている。
【0029】
蓋部9eの押込部9fを指で内方に押すと、図5の左側に示すように、蓋部9eはばね部9mによる上方への付勢力に抗して、支点である突出部9kを中心に下方に回動して沈み込む。押込部9fから指を離すと、蓋部9eはばね部9mにより上昇するが、制止部9nが空隙部9bの後壁に接することにより、蓋部9eは開口部9cの位置に留まり、開口部9cの上側に飛び出ることはない。
【0030】
ヘッド部3に継手部4を取り付けるには、回動部5の一対の第1の軸部5bを、ヘッド部3の起立片3dの一対の第1の軸孔部3eに挿入し、回動部5がX方向を中心としてY方向に回動するように取り付ける。次に、ロック部6を回動部5上に配置し、ロック部6の穴部6aに回動部5の突部5dを挿入すると共に、回動部5の突部5d、板体部5a間にロック部6の壁部6cを押し込んで、ロック部6を回動部5に取り付ける。
【0031】
続いて、ロック部6の第2の軸部6dを、係合部7のアーム部7bの第2の軸孔部7cに挿入することで、係合部7がロック部6にY方向を中心としてX方向に回動するようになる。最後に、回動部5の第1の貫通孔5c、ロック部6の第2の貫通孔6e、係合部の第3の貫通孔7eにボルト8を挿通して、ボルト8の外ねじを係合部の第3の貫通孔7eの内ねじに螺合してボルト8を固定する。ボルト8で固定することで、回動部5、ロック部6、係合部7は一体化する。
【0032】
継手部4の組立てが完了すると、柄部2はヘッド部3に対して、回動部5の第1の軸部5bによりY方向に任意の角度範囲で回動できると共に、ロック部6の第2の軸部6dによりX方向に回動する。即ち、柄部2は前後方向、左右方向、つまり任意の方向、角度で、伏倒、起立することが可能となる。従って、床面等の狭い個所等に、ヘッド部3を挿入して、清掃シートにより隅々まで掃除することができることになる。
【0033】
清掃具1の使用に際しては、図6に示すように、例えば市販の横30cm、縦20cm、厚み0.5mm程度の不織布から成る清掃シートSをヘッド部3に取り付けることが可能である。なお、実施例においては、取り付ける清掃布として上述の清掃シートSを用いて説明しているが、清掃シートSよりも厚みの大きな雑巾等を用いることもできる。
【0034】
清掃シートSを取り付けるには、一方側の端辺部を、基板部3aの一方側の保持部9内に押し込んで、摺掃部3bの下面を覆うように一巡させて、清掃シートSの他側の端辺部を、基板部3aの他方側の保持部9に押し込むことで、清掃シートSを基板部3aに固定することができる。
【0035】
つまり、清掃シートSを保持部9上に置いて、蓋部9eの押込部9fを清掃シートSと共にばね部9mに抗して指で押し込み、清掃シートSを空隙部9b内に押し込み、蓋部9eと開口部9cとの間の間隙で、ばね部9mの付勢力により清掃シートSを挟着する。なお、その際に開口部9cの裏面に設けた小突起9pにより、清掃シートSに摩擦力が付与され更に抜け難くなる。
【0036】
そして、清掃具1の柄部2を持って、ヘッド部3を床面、壁面等を摺動させることで、清掃シートSに塵芥が付着する。十分な塵芥が清掃シートSに付着すると、保持部9から清掃シートSを蓋部9eの押込部9fを指で押して、清掃シートSを取り外す。取り外した清掃シートSの裏面がまだ未使用であれば、表裏を反転して、再度、保持部9に取り付けて使用することもできる。清掃シートSの両面に十分な塵芥が付着した後に、この清掃シートSを取り外して破棄し、新しい清掃シートSをヘッド部3に取り付ける。
【0037】
本発明に係る清掃具1によれば、清掃布を保持する保持部9にばね部9mを用いることで、保持部9は、厚さが異なる清掃シートSや雑巾を係止できると共に、長期間使用しても清掃布に対する挟持力が低下することがない。
【符号の説明】
【0038】
1 清掃具
2 柄部
3 ヘッド部
9 保持部
9b 空隙部
9c 開口部
9d 切込部
9e 蓋部
9f 押込部
9g 側板部
9h 突起
9j 凹部
9m ばね部
9n 制止部
9o 上面板
9p 小突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6