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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】導電パターン
(51)【国際特許分類】
   H01H 1/06 20060101AFI20230824BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H01H1/06 A
H01H13/52 F
H01H1/06 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019164740
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021044132
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100130269
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 盛規
(72)【発明者】
【氏名】岡村 考師
(72)【発明者】
【氏名】小田中 浩平
(72)【発明者】
【氏名】武井 誠也
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-080725(JP,U)
【文献】実開平04-068311(JP,U)
【文献】特開2009-211930(JP,A)
【文献】特開2012-129214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 1/06
H01H 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ランド電極と、
第2ランド電極と、
を備え、
中心点、及び第1半径により規定される第1円の内部に、前記第1ランド電極の少なくとも一部が配置され、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きい第2半径により規定される第2円上に、前記第1ランド電極を囲むように前記第2ランド電極が配置され、
前記第1円の内部には、前記第2ランド電極は配置されず、
前記第2円上には、前記第1ランド電極は配置されず、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きく且つ前記第2半径よりも小さい第3半径により規定される第3円上に、前記第1ランド電極及び前記第2ランド電極が配置されており、
ドーム状の第2導電部材が配置され、
前記第2導電部材の周縁部が前記第2ランド電極に固定され、
前記第2導電部材の中央部が、押下されたときに前記第1ランド電極に接触するように構成されている、スイッチ装置
【請求項2】
第1ランド電極と、
第2ランド電極と、
を備え、
中心点、及び第1半径により規定される第1円の内部に、前記第1ランド電極の少なくとも一部が配置され、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きい第2半径により規定される第2円上に、前記第1ランド電極を囲むように前記第2ランド電極が配置され、
前記第1円の内部には、前記第2ランド電極は配置されず、
前記第2円上には、前記第1ランド電極は配置されず、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きく且つ前記第2半径よりも小さい第3半径により規定される第3円上に、前記第1ランド電極及び前記第2ランド電極が配置されている、導電パターンを有する、少なくとも1つの第1接点部と、
前記導電パターンを有する、少なくとも1つの第2接点部と、
前記各第1接点部における導通のための第1導電部材と、
前記各第2接点部における導通のための第2導電部材と、
を備え、
前記第1導電部材は、前記第1及び第2ランド電極の両方に接触可能な接触面を有しており、
前記第2導電部材は、ドーム状に形成され、前記第2導電部材の周縁部が前記第2ランド電極に固定され、前記第2導電部材の中央部が、押下されたときに前記第1ランド電極に接触するように構成されている、入力装置
【請求項3】
第1ランド電極と、
第2ランド電極と、
を備え、
中心点、及び第1半径により規定される第1円の内部に、前記第1ランド電極の少なくとも一部が配置され、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きい第2半径により規定される第2円上に、前記第1ランド電極を囲むように前記第2ランド電極が配置され、
前記第1円の内部には、前記第2ランド電極は配置されず、
前記第2円上には、前記第1ランド電極は配置されず、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きく且つ前記第2半径よりも小さい第3半径により規定される第3円上に、前記第1ランド電極及び前記第2ランド電極が配置されている、導電パターンを有する、4つの第3接点部と、
前記第3接点部の上方に配置され、前記各第3接点部にそれぞれ接触可能な4つの導電部材を有する方向入力部と、
を備え、
4つの前記第3接点部は、所定の円上に、90度おきに配置され、
前記方向入力部は、前記所定の円の中心点と対応する位置に設けられた支点により、傾斜することで、前記各導電部材を前記各第3接点部に接触させるように構成され、
前記各第3接点部における前記第1ランド電極及び第2ランド電極は、前記所定の円上に配置されている、スイッチ装置。
【請求項4】
第1ランド電極と、
第2ランド電極と、
を備え、
中心点、及び第1半径により規定される第1円の内部に、前記第1ランド電極の少なくとも一部が配置され、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きい第2半径により規定される第2円上に、前記第1ランド電極を囲むように前記第2ランド電極が配置され、
前記第1円の内部には、前記第2ランド電極は配置されず、
前記第2円上には、前記第1ランド電極は配置されず、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きく且つ前記第2半径よりも小さい第3半径により規定される第3円上に、前記第1ランド電極及び前記第2ランド電極が配置されている、導電パターンを有する、4つの第4接点部と、
前記第4接点部の上方に配置され、前記各第4接点部にそれぞれ接触可能な4つの導電部材を有する方向入力部と、
を備え、
4つの前記第4接点部は、所定の円上に、90度おきに配置され、
前記方向入力部は、前記所定の円の中心点と対応する位置に設けられた支点により、傾斜することで、前記各導電部材を前記各第4接点部に接触させるように構成され、
前記各第4接点部における前記第1ランド電極及び第2ランド電極は、前記所定の円上に配置され、
前記各第4接点部において、前記第2ランド電極には、前記第2ランド電極に囲まれる領域であって前記第1ランド電極及び前記第2ランド電極の間の領域と、当該第2ランド電極の外部とを連通する、少なくとも1つのスリットが、形成されており、
前記各第4接点部の前記スリットは、前記所定の円の中心点から最も離れた位置に配置されている、スイッチ装置。
【請求項5】
第1ランド電極と、
第2ランド電極と、
を備え、
中心点、及び第1半径により規定される第1円の内部に、前記第1ランド電極の少なくとも一部が配置され、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きい第2半径により規定される第2円上に、前記第1ランド電極を囲むように前記第2ランド電極が配置され、
前記第1円の内部には、前記第2ランド電極は配置されず、
前記第2円上には、前記第1ランド電極は配置されず、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きく且つ前記第2半径よりも小さい第3半径により規定される第3円上に、前記第1ランド電極及び前記第2ランド電極が配置されている、導電パターンが複数形成されたプリント基板を、プリント基板上に、準備するステップと、
前記プリント基板が収容される入力装置において、前記各導電パターンと対応する位置に第1導電部材または第2導電部材のいずれを配置するかに関する情報を、ユーザから受け付けるステップと、
前記情報を取得するステップと、
前記情報に基づいて、前記第1導電部材または前記第2導電部材のいずれかを、前記入力装置における、前記各導電パターンと対応する位置に取り付けるステップと、
を備え、
前記第1導電部材は、前記第1及び第2ランド電極の両方に接触可能な接触面を有しており、
前記第2導電部材は、ドーム状に形成され、前記第2導電部材の周縁部が前記第2ランド電極に固定され、前記第2導電部材の中央部が、押下されたときに前記第1ランド電極に接触するように構成されている、入力装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1、3および4のいずれか1項に記載のスイッチ装置を備えた、入力装置。
【請求項7】
第1ランド電極と、
第2ランド電極と、
を備え、
中心点、及び第1半径により規定される第1円の内部に、前記第1ランド電極の少なくとも一部が配置され、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きい第2半径により規定される第2円上に、前記第1ランド電極を囲むように前記第2ランド電極が配置され、
前記第1円の内部には、前記第2ランド電極は配置されず、
前記第2円上には、前記第1ランド電極は配置されず、
前記中心点、及び前記第1半径よりも大きく且つ前記第2半径よりも小さい第3半径により規定される第3円上に、前記第1ランド電極及び前記第2ランド電極が配置されている、導電パターンと、
ユーザの要望に応じて第1導電部材と第2導電部材から選択された、前記導電パターンの導通のための導電部材と、
を有する入力装置であって、
前記第1導電部材は、前記第1及び第2ランド電極の両方に接触可能な接触面を有しており、
前記第2導電部材は、ドーム状に形成され、前記第2導電部材の周縁部が前記第2ランド電極に固定され、前記第2導電部材の中央部が、押下されたときに前記第1ランド電極に接触するように構成されている、入力装置。
【請求項8】
前記入力装置は、それぞれに対応する導電部材がユーザの要望に応じて前記第1導電部材と前記第2導電部材から選択された複数の前記導電パターンを有する、請求項7に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電パターン、これを備えるスイッチ装置、スイッチ装置の製造方法、及び入力装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スイッチ装置に用いられる導電パターンが開示されている。この導電パターンは、プリント基板に薄膜状に形成される、複数のランド電極を有しており、導電ラバーなどの導電部材と接触することで、複数のランド電極を導通させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5394527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、導通部材には、上記のような導電ラバーのほか、いわゆるドームスイッチに用いられるドーム型の導電部材がある。しかしながら、特許文献1に記載の導電パターンは、その中央にランド電極が形成されていない領域が存在するため、ドーム型の導電部材を用いて導通させることができない。本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、導電部材の種類にかかわらず、スイッチ装置の設計を行うことが可能な導電パターンを提供することを目的とする。または、新規な構造の導電パターンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る第1の導電パターンは、第1ランド電極と、第2ランド電極と、を備え、中心点、及び第1半径により規定される第1円の内部に、前記第1ランド電極の少なくとも一部が配置され、前記中心点、及び前記第1半径よりも大きい第2半径により規定される第2円上に、前記第1ランド電極を囲むように前記第2ランド電極が配置され、前記第1円の内部には、前記第2ランド電極は配置されず、前記第2円上には、前記第1ランド電極は配置されず、前記中心点、及び前記第1半径よりも大きく且つ前記第2半径よりも小さい、第3半径により規定される第3円上に、前記第1ランド電極及び前記第2ランド電極が配置されている。
【0006】
この構成によれば、次の効果を得ることができる。例えば、導電ラバーのような導電部材によって、第1ランド電極と、これを囲むように形成された第2ランド電極との導通を行う際、一般的には、第1ランド電極の中心と、導電ラバーの中心とが一致するように、導電部材が導電パターンに接することで、両ランド電極が導通する。以下、このときの導電部材の位置を基準位置と称することとする。しかしながら、導電部材が基準位置からずれて導電パターンに接した場合には、第2ランド電極にしか導電部材が接しないことも考えられる。
【0007】
これに対して、本開示に係る導電パターンでは、半径の異なる3つの同心円を規定し、最も半径の小さい第1円の内部に第1ランド電極を配置し、最も半径の大きい第2円を通過するように第2ランド電極を配置している。さらに、第1円よりも半径が大きく、第2円よりも半径が小さい第3円を規定し、この第3円上に両ランド電極の一部が配置されるように構成している。そのため、例えば、導電部材が第1円の外側にずれるように導電パターンに接したとしても、第1円の外側の第3円上に配置された両ランド電極に接するため、導通を行うことができる。
【0008】
したがって、基準位置において、導電部材の外縁が第3円よりも外側に配置されるようにしておけば、第2円に接するまで大きくなくても、基準位置のほか、導電ラバーがずれた場合も、両ランド電極を導通させることができる。
【0009】
また、この第1の導電パターンは、第1ランド電極と、これを囲むように形成された第2ランド電極とを備えているため、いわゆるドームスイッチに用いられるドーム型の導電部材にも対応することができる。すなわち、ドーム型の導電部材の周縁が第2ランド電極に接した状態を非導通状態としたとき、導電部材の中央を押下すれば、第2ランド電極に囲まれた第1ランド電極に、押下された中央部分を接触させることができ、両ランド電極を導通させることができる。
【0010】
上記第1の導電パターンにおいて、前記第2ランド電極の少なくとも一部は、前記第2円の外側に配置され、前記第2円の外側には、前記第1ランド電極は配置されないように構成することができる。
【0011】
上記第1の導電パターンにおいて、前記第1ランド電極は、前記第1円の内部に配置される本体部と、前記第1本体部から径方向外方へ突出する少なくとも1つの内側突出部と、を備え、前記第2ランド電極は、前記第2円上に配置される外周部と、前記外周部から径方向内方へ突出する少なくとも1つの外側突出部と、を備え、前記内側突出部及び前記外側突出部は、前記第3円上に配置されるように構成することができる。
【0012】
上記第1の導電パターンにおいては、前記第3円上で、前記内側突出部と前記外側突出部とを交互に配置することができる。
【0013】
この構成によれば、導電部材が基準位置からずれたときに、第3円上で、いずれかの隣接する内側突出部と外側突出部に導電部材を接触させることができる。したがって、導電部材の異なるずれの方向に対応することができ、両ランド電極が導電部材を介して導通しやすくなる。
【0014】
上記第1の導電パターンにおいて、前記第3円上で隣接する前記内側突出部及び前記外側突出部は、前記第3円における中心角が180°のいずれかの円弧内に配置することができる。
【0015】
この構成によれば、第3円における中心角が180°のいずれかの円弧内に、内側突出部と外側突出部が配置されているため、導電部材が第3円の円周上の半分以上を覆うように、導電パターンに接すれば、両ランド電極を導通させることができる。したがって、導電部材の基準位置からのズレの許容範囲を大きくすることができる。すなわち、導電部材のずれの方向にかかわらず、両ランド電極が導電部材を介して導通しやすくなる。
【0016】
上記第1の導電パターンにおいては、接触面を有する第1導電部材が配置され、前記第1導電部材の接触面が、前記第1及び第2ランド電極の両方に接触可能に構成することができる。すなわち、前記接触面は、前記第1および第2ランド電極の両方に接触する状態と、いずれにも接触しない状態とをとるように構成される。
【0017】
上記第1の導電パターンにおいては、ドーム状の第2導電部材が配置され、前記第2導電部材の周縁部が前記第2ランド電極に固定され、前記第2導電部材の中央部が、押下されたときに前記第1ランド電極に接触するように構成することができる。
【0018】
本開示に係る第1のスイッチ装置は、上述したいずれかの前記導電パターンを有する、少なくとも1つの第1接点部と、上述したいずれかの前記導電パターンを有する、少なくとも1つの第2接点部と、前記各第1接点部における導通のための第1導電部材と、前記各第2接点部における導通のための第2導電部材と、を備え、前記第1導電部材は、前記第1及び第2ランド電極の両方に接触可能な接触面を有しており、前記第2導電部材は、ドーム状に形成され、前記第2導電部材の周縁部が前記第2ランド電極に固定され、前記第2導電部材の中央部が、押下されたときに前記第1ランド電極に接触するように構成されている。
【0019】
上記のように、本開示に係る第1の導電パターンは、例えば、導電ラバーのような第1導電部材のみならず、ドーム型に形成された第2導電部材を用いても通電可能である。したがって、2種類の導電部材によって通電を行う場合であっても、各接点部には同じ構成の導電パターンを配置することができる。したがって、導電部材の種類によって導電パターンを変更する必要がなく、スイッチ装置を簡易に構成することができる。
【0020】
本開示に係る第2のスイッチ装置は、上述したいずれかの前記導電パターンを有する、4つの第3接点部と、前記第3接点部の上方に配置され、前記各第3接点部にそれぞれ接触可能な4つの導電部材を有する方向入力部と、を備え、4つの前記第3接点部は、所定の円上に、90度おきに配置され、前記方向入力部は、前記所定の円の中心点と対応する位置に設けられた支点により、傾斜することで、前記各導電部材を前記各第3接点部に接触させるように構成され、前記各第3接点部における前記第1ランド電極及び第2ランド電極は、前記所定の円上に配置されている。
【0021】
本開示に係る第3のスイッチ装置は、上記したいずれかの前記導電パターンを有する、4つの第4接点部と、前記第4接点部の上方に配置され、前記各第4接点部にそれぞれ接触可能な4つの導電部材を有する方向入力部と、を備え、4つの前記第4接点部は、所定の円上に、90度おきに配置され、前記方向入力部は、前記所定の円の中心点と対応する位置に設けられた支点により、傾斜することで、前記各導電部材を前記各第4接点部に接触させるように構成され、前記各第4接点部における前記第1ランド電極及び第2ランド電極は、前記所定の円上に配置され、前記各第4接点部において、前記第2ランド電極には、前記第2ランド電極に囲まれる領域であって前記第1ランド電極及び前記第2ランド電極の間の領域と、当該第2ランド電極の外部とを連通する、少なくとも1つのスリットが、形成されており、前記各第4接点部の前記スリットは、前記所定の円の中心点から最も離れた位置に配置されている。
【0022】
この構成によれば、各第4接点部に上記のようにスリットを設けることで、スリットの位置が対称になり、安定的な動作を期待することができる。
【0023】
本開示に係るスイッチ装置の製造方法は、プリント基板上に、上述したいずれかの導電パターンを少なくとも1つ形成するステップと、前記導電パターンの少なくとも1つと対応する位置に第1導電部材または第2導電部材を配置するステップと、を備え、前記第1導電部材は、前記第1及び第2ランド電極の両方に接触可能な接触面を有しており、前記第2導電部材は、ドーム状に形成され、前記第2導電部材の周縁部が前記第2ランド電極に固定され、前記第2導電部材の中央部が、押下されたときに前記第1ランド電極に接触するように構成されている。
【0024】
この構成によれば、導電パターンが第1導電部材及び第2導電部材のいずれの導電部材を用いても導通できるため、例えば、1種類の導電パターンをプリント基板上に複数形成し、ユーザの要望等に応じて、各導電パターンと対応する位置に、第1導電部材及び第2導電部材のいずれの導電部材を配置することができる。したがって、各導電部材に対応した導電パターンを個別に形成する必要がないため、スイッチ装置を簡素化することができ、また製造工程を短縮することもできる。
【0025】
本開示に係る入力装置の製造方法は、上述したいずれかの導電パターンが複数形成されたプリント基板を準備するステップと、前記プリント基板が収容される入力装置において、前記各導電パターンと対応する位置に第1導電部材または第2導電部材のいずれを配置するかに関する情報を、ユーザから受け付けるステップと、前記情報を取得するステップと、前記情報に基づいて、前記第1導電部材または前記第2導電部材のいずれかを、前記入力装置における、前記各導電パターンと対応する位置に取り付けるステップと、を備え、前記第1導電部材は、前記第1及び第2ランド電極の両方に接触可能な接触面を有しており、前記第2導電部材は、ドーム状に形成され、前記第2導電部材の周縁部が前記第2ランド電極に固定され、前記第2導電部材の中央部が、押下されたときに前記第1ランド電極に接触するように構成されている。
【0026】
この構成によれば、上述した導電パターンが、第1導電部材及び第2導電部材のいずれにも対応できるため、例えば、複数の導電パターンが設けられた入力装置において、各導電パターンに対応するスイッチ装置を、ユーザの要望等に応じて、取り付けることができる。したがって、ユーザの要望に応じて選択されたスイッチ装置を有する入力装置を製造することができる。
【0027】
本発明に係る第2の導電パターンは、円形状の本体部を有する第1ランド電極と、前記第1ランド電極の周囲を囲むように設けられる第2ランド電極と、
を備え、前記第1ランド電極は、前記本体部から前記第2ランド電極に向かって突出する少なくとも1つの第1突出部を備え、前記本体部の中心から前記第1突出部の先端までの距離が第1距離であり、前記第2ランド電極は、前記第1ランド電極の本体部に向かって突出する少なくとも1つの第2突出部を備え、前記第1ランド電極の本体部の中心から前記第2突出部の先端までの距離が、前記第1距離よりも短い、第2距離である。
【0028】
上記第2導電パターンにおいては、前記第2突出部が2つ設けられ、周方向において前記第1ランド電極(具体的には前記第1突出部)を挟むように配置することができる。あるいは、前記第2の導電パターンにおいて、前記第1突出部および前記第2突出部がそれぞれ2つ設けられ、周方向において前記第1突出部と前記第2突出部とが交互に位置するように配置することができる。また、前記第1突出部および前記第2突出部をそれぞれ3以上の複数設けてもよい。このとき、周方向において前記第1突出部と前記第2突出部とが交互に位置するように配置してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、導電部材の種類にかかわらず、スイッチ装置の設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態を示す断面図である。
図2】導通状態にある図1の第1スイッチ装置の断面図である。
図3図1の第1スイッチ装置に用いられる導電パターンの平面図である。
図4】第1ランド電極と第2ランド電極の位置関係を示す平面図である。
図5】導電ラバーと導電パターンとが接触した状態を示す平面図である。
図6】導電ラバーと導電パターンとが接触した状態を示す平面図である。
図7】導電ラバーと導電パターンとが接触した状態を示す平面図である。
図8】導電ラバーと導電パターンとが接触した状態を示す平面図である。
図9】導電ラバーと導電パターンとが接触した状態を示す平面図である。
図10】本発明に係るスイッチ装置の第2実施形態を示す断面図である。
図11】導通状態にある図10の第2スイッチ装置の断面図である。
図12図11に示す第2スイッチ装置の導電部材と導電パターンとの位置関係を示す平面図である。
図13】本発明に係るスイッチ装置の第3実施形態を示す断面図である。
図14】導通状態にある図13の第3スイッチ装置の断面図である。
図15図12の第3スイッチ装置におけるキートップの平面図である。
図16図12の第3スイッチ装置における支持部材の底面図である。
図17図12の第3スイッチ装置における導電パターンの配置を示す平面図である。
図18図12の第3スイッチ装置における導電ラバーと導電パターンとの接触状態を示す平面図である。
図19図12の第3スイッチ装置における導電ラバーと導電パターンとの接触状態を示す平面図である。
図20】導電パターンの他の例を示す平面図である。
図21図20の導電パターンに導電部材が接触した状態を示す断面図である。
図22】導電パターンの他の例を示す平面図である。
図23】導電パターンの他の例を示す平面図である。
図24】導電パターンの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<A.第1実施形態>
以下、本開示に係る導電パターン及びこれを有するスイッチ装置の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0032】
第1実施形態に係る第1スイッチ装置は、例えば、ゲーム装置のコントローラ、各種電子機器のリモコン、操作パネル等の各種入力装置に用いられる、いわゆるラバースイッチである。図1は初期状態(非導通状態)にある第1スイッチ装置の断面図、図2は押下された導通状態にある第1スイッチ装置の断面図である。なお、図2は、後述するように、導電ラバー3が基準位置にある状態を示している。
【0033】
<1.第1スイッチ装置の概要>
図1に示すように、この第1スイッチ装置10は、プリント基板1と、このプリント基板1上に形成された導電パターン2を有している。この導電パターン2は、後述するように、2つのランド電極21,22を有しており、これらランド電極21,22は、所定の回路に電気的に接続されている。そして、この導電パターン2の上方には、円柱状の導電ラバー(第1導電部材)3が設けられ、この導電ラバー3を支持するように、支持部材4が設けられている。また、支持部材4の上面にはボタン部材5が取り付けられている。
【0034】
支持部材4は、ゴムなどの弾性変形可能な材料で形成され、円柱状に形成された本体部41と、この本体部41を支持し、裾広がりに下方へ延びる脚部42とを備えている。本体部41は、導電パターン2の上方に配置され、その下面に導電ラバー3が取り付けられている。また、本体部41の側面には上述した脚部42の上端部が連結されており、脚部42の下端部は、導電パターン2の周囲を囲むようにプリント基板1に固定されている。これにより、図1に示す初期状態において、本体部41は、脚部42によって導電パターン2から所定距離だけ離間した位置に保持される。本体部41の下面には導電ラバー3が取り付けられているため、導電ラバー3の平面状の下面(接触面)と導電パターン2とは、隙間を開けて対向するように配置される。
【0035】
図1の状態から、ボタン部材5を押下すると、弾性材料で形成された脚部42が折れ曲がり、これによって本体部41が導電ラバー3ととともに下降し、導電ラバー3が導電パターン2に接する。その結果、導電パターン2の2つのランド電極21,22が導電ラバー3を介して導通する。一方、ボタン部材5の押下を解除すると、弾性変形した脚部42が初期状態に復元し、これによって、導電ラバー3と導電パターン2とが離間する。その結果、2つのランド電極21,22の導通が解除される。
【0036】
<2.導電パターン>
次に、導電パターン2について説明する。図3は導電パターンの平面図である。なお、以下の説明では、図3に示す方向に基づいて説明を行うが、これは一例であり、本発明に係る導電パターンは、この方向に限定されない。
【0037】
図3に示すように、この導電パターン2は、銅、銀などの導電性材料で形成された薄膜状の2つのランド電極、つまり第1ランド電極21、及び第2ランド電極22を有している。まず、第1ランド電極21について説明する。第1ランド電極21は、円形の本体部211と、この本体部211から径方向外方に突出する2つの内側突出部212,213と、を有しており、これらが一体的に形成されている。以下では、説明の便宜のため、本体部211の中心を通り、第1方向に延びる線を線L1と称し、第1方向に対して垂直の第2方向に延びる線を線L2と称することとする。また、本体部211の中心を中心点X(線L1,L2の交差点)と称することとする。
【0038】
一方の内側突出部212は、線L1と線L2との間で、図3における本体部211の左上から突出しており、他方の内側突出部213は、線L1と線L2との間で、本体部211の右下から突出している。すなわち、両内側突出部212,213は、本体部211の中心を挟んで互いに反対側に配置されている。以下では、説明の便宜のため、図3の左上に配置されている内側突出部を第1内側突出部212、図3の右下に配置されている内側突出部を第2内側突出部213と称することとする。
【0039】
各内側突出部212,213は、中心角が約90度の扇形状に形成されており、その頂部が本体部211の内部に含まれるように連結されている。より詳細に説明すると、各内側突出部212,213は、中心角が約90度の円弧部212a,213aと、この円弧部212a,213aの両端にそれぞれ接続された一対の直線部212b,212c,213b,213cと、で囲まれた領域を有し、この領域が本体部211から突出している。そして、第1内側突出部212は、一方の直線部、つまり第1直線部212bが第1方向に沿って延び、他方の直線部、つまり第2直線部212cが第2方向に沿って延びるように構成されている。また、第2内側突出部213も、第1内側突出部212,213と同様に構成されており、本体部211の中心に対し、点対称となるように形成されている。各内側突出部212,213は、概ね扇形であるため、径方向外方にいくにしたがって周方向に広がるように形成されている。
【0040】
また、説明の便宜のため、本体部211の外縁において、第1内側突出部212の第1直線部212bと、第2内側突出部213の第2直線部213cとの間の部分を第1外縁部211aと称し、第1内側突出部212の第2直線部212cと、第2内側突出部213の第1直線部213bとの間の部分を第2外縁部211bと称することとする。
【0041】
次に、第2ランド電極22について説明する。第2ランド電極22は、第1ランド電極21を囲むように構成された環状の外周部221と、この外周部221の内縁から径方向内方に突出する2つの外側突出部222,223と、を有しており、これらが一体的に形成されている。外周部221には、図3の下側に、第1方向に延びるスリット225が形成されている。このスリット225は、第1ランド電極21の本体部211の中心を通り、上述した線L1上に形成されている。より詳細に説明すると、スリット225の右側の側縁225aは、第2内側突出部213の第1直線部213bの延長上に形成されており、スリット225の左側の側縁225bは、線L1を挟んで、側面225aと対称に形成されている。また、左側の側縁225bは、第2外側突出部223の第1直線部223bと連続している。なお、本実施形態において、「第1ランド電極21を囲む」とは、図3からも明らかなように、第1ランド電極21の全周を隙間なく囲むことを意味するものではない。すなわち、本開示における「囲む」との文言は、電極の周囲に隙間なく配置されている状態のほか、本実施形態のように、電極の周囲の一部に配置されている状態も含むものとする。
【0042】
次に、外側突出部222,223について説明する。一方の外側突出部222は、線L1と線L2との間で、図3における外周部221の右上から突出しており、他方の外側突出部223は、線L1と線L2との間で、外周部221の左下から突出している。すなわち、両外側突出部222,223は、外周部221の中心(本体部211の中心でもある)を挟んで互いに反対側に配置されている。以下では、説明の便宜のため、図3の右上に配置されている外側突出部を第1外側突出部222、図3の左下に配置されている外側突出部を第2外側突出部223と称することとする。
【0043】
まず、第1外側突出部222について説明する。第1外側突出部222は、本体部211の第1外縁部211aと対向するように配置されており、第1外縁部211aと平行に延び、中心角が約90度の円弧部222aと、この円弧部222aの両端にそれぞれ接続された一対の直線部222b,222cと、で囲まれた領域を有し、この領域が外周部221から突出している。そして、第1外側突出部222は、一方の直線部、つまり第1直線部222bが第1方向に沿って延び、他方の直線部、つまり第2直線部222cが第2方向に沿って延びるように構成されている。
【0044】
より詳細に説明すると、第1直線部222bは、線L1を挟んで、第1内側突出部212の第1直線部212bと、対称な位置に配置されており、第2直線部222cは、線L2を挟んで、第2内側突出部213の第2直線部213cと、対称な位置に配置されている。また、円弧部222aは、各内側突出部212,213の円弧部212a,213aよりも、中心点Xに近接している。
【0045】
第2外側突出部223も、第1外側突出部222と同様に形成されており、第1外側突出部222とは、中心Xに対し点対称の位置に設けられている。また、第2外側突出部223の第1直線部223bは、スリット225の左側の側面225bと連続するように第1方向に延びている。各外側突出部222,223は、径方向内方にいくにしたがって周方向に狭くなるように形成されている。
【0046】
また、説明の便宜のため、外周部221の内縁において、第1外側突出部222の第1直線部222bと、第2外側突出部223の第2直線部223cとの間の部分を第1内縁部221aと称し、第1外側突出部222の第2直線部222cと、スリット225との間の部分を第2内縁部221bと称することとする。そして、第1内縁部221aは、第1内側突出部212と対向し、第2内縁部221bは、第2内側突出部213と対向する。また、これらの対向する径方向の距離dは、第1外縁部211aと第1外側突出部222とが対向する距離d、及び、第2外縁部211bと第2外側突出部223とが対向する距離dと概ね同じである。
【0047】
なお、図3の例では、内側突出部212,213が左上と右下に配置され、外側突出部222,223が右上と左下に配置されているが、導電パターン2の回転位置は特には限定されず、例えば、後述する図17に示すように、適宜回転して配置することができる。なお、図3における導電パターン2の回転位置を、以下、基準回転位置と称することとする。
【0048】
<3.両ランド電極の位置関係>
次に、第1ランド電極21と第2ランド電極22との位置関係について説明する。まず、図3に示すように、この導電パターン2においては、内側突出部212,213と外側突出部222,223とが、周方向に90度おきに交互に配置されている。また、図4に示すように、中心点Xを同心円とする3つの円、つまり第1円C1、第2円C2、及び第3円C3を規定する。第1円C1は半径R1の円であり、その内部に第1ランド電極21の本体部211が配置されている。但し、第1円C1の内部には、第2ランド電極22は配置されていない。第2円C2は、半径R2の円であり、3つの円の中で半径が最も大きい。そして、第2円C2の円周上には、第2ランド電極22のみが配置され、第1ランド電極21は配置されない。具体的には、第2ランド電極22の2つの外側突出部222,223を第2円C2が通過するように構成されている。また、第2ランド電極22の外周部221は、第2円C2の外側に配置されている。
【0049】
第3円C3は、半径R3の円である。半径R3は、半径R1よりも大きく、半径R2より小さい。そして、第3円C3の円周上には、第1ランド電極21と第2ランド電極22の両方が配置される。具体的には、周方向に交互に配置された内側突出部212,213及び外側突出部222,223を、順に通過するように構成されている。
【0050】
また、導電ラバー3の下面の形状は円であるが、導通のためには、ボタン部材5を押下したときに、第1ランド電極21と第2ランド電極22の両方に接触しなければならないため、導電ラバー3の下面の中心が中心点Xの上方にあるとき、少なくとも、第1ランド電極21と第2ランド電極22の両方を通過する第3円C3よりも大きい円であることが好ましい。本実施形態に係る導電ラバー3の下面は、第2円C2よりもさらに大きく、外周部221を通過するような円形状となっている。
【0051】
<4.導電パターンに対する導電ラバーの接触の挙動の検討>
次に、導電パターンに対する導電ラバーの接触の挙動の検討を行う。上記のように、導電ラバー3の下面は、第2円C2よりもさらに大きく、外周部221を通過するような円形状となっている。そのため、例えば、ボタン部材5の中心を押下し、導電ラバー3が、中心点Xの垂線H(図1及び図2参照)と平行に真っ直ぐに下降した場合には、図5に示すように、導電パターン2に接する。これにより、第1ランド電極21と第2ランド電極22とは導電ラバー3を介して導通する。このとき、導電ラバー3の中心Yと導電パターン2の中心Xとが概ね一致する。この導電ラバー3の位置を基準位置とする。また、例えば、ボタン部材5の中心を、垂線Hに沿うように真っ直ぐに押下した場合には、導電ラバー3の下面には、概ね均等に圧力が作用する。なお、図5図9においては、導電ラバー3の下面において,両ランド電極21,22を導電させる程度に力が作用している部分をハッチングで示している。この点は、第2及び第3実施形態においても同様である。また、図5図9の説明では、図5に示す方向にしたがうものとする。
【0052】
しかしながら、支持部材4は、弾性材料により形成されているため、例えば、ボタン部材5の端部を押下したり、あるいは垂線Hと交差するような方向に押下すると、導電ラバー3が真っ直ぐに降下せず、導電ラバー3の中心Yと導電パターン2の中心Xとがずれるおそれがある。また、押下による力が、導電ラバー3の下面全体に、均等に伝達されず、偏る場合がある。この場合には、導電ラバー3が、導電パターン2に均一に接触しないおそれがある。以上のような場合の導電パターン2に対する導電ラバー3の接触の挙動について検討する。なお、以下では、図6図9に示す方向にしたがって説明を行う。
【0053】
まず、図6に示すように、導電ラバー3が導電パターン2に対して前方にずれて、且つ押下された力が、主として導電ラバー3の左半分に作用した場合であっても、第1内側突出部212と外周部221の第1内縁部221a付近とが、導電ラバー3の力が作用する部分に接触するため、導通する。同様に、図7図9に示すように、導電ラバー3が中心Xからずれ、且つ導電ラバーに作用する力が偏ったとしても、第1ランド電極21と第2ランド電極22とは導通するようになっている。
【0054】
<5.特徴>
本実施形態に係る導電パターンによれば、次の効果を得ることができる。
(1)本実施形態に係る導電パターン2では、半径の異なる3つの同心円C1~C3を規定し、最も半径の小さい第1円C1の内部に第1ランド電極21を配置し、最も半径の大きい第2円C2を通過するように第2ランド電極22を配置している。さらに、第1円C1よりも半径が大きく、第2円C2よりも半径が小さい第3円C3を規定し、この第3円C3上に第1ランド電極21の内側突出部212,213、及び第2ランド電極22の外側突出部222,223が配置されるように構成している。すなわち、そのため、例えば、導電ラバー3が第1円C1の外側にずれるように導電パターン2に接したとしても、第1円C1の外側の第3円C3上に配置された内側突出部212,213及び外側突出部222,223に接するため、導通を行うことができる。
【0055】
したがって、基準位置において、少なくとも導電ラバー3の外縁が第3円C3よりも外側にあるようにしておけば、第2円C2に接するまで大きくなくても、基準位置のほか、導電ラバー3がずれた場合も、両ランド電極21,22を導通させることができる。
【0056】
(2)導電ラバー3が基準位置からずれたときに、第3円C3上で、いずれかの隣接する内側突出部212,213と外側突出部222,223に導電ラバー3を接触させることができる。したがって、導電ラバー3の異なるずれの方向に対応することができ、両ランド電極21,22が導電ラバー3を介して導通しやすくなる。
【0057】
特に、隣接する内側突出部212,213及び外側突出部222,223が、第3円C3における中心角が180°のいずれかの円弧内に配置されている。すなわち、第3円C3における、中心角が180°のいずれの円弧内においても、隣接する内側突出部212,213及び外側突出部222,223が含まれる。そのため、導電ラバー3がいずれかの位置で、第3円C3の円周上の半分以上を覆うように、導電パターン2に接すれば、両ランド電極21,22を導通させることができる。したがって、導電ラバーがいずれの方向にずれても、両ランド電極21,22が導電ラバー3を介して導通しやすくなる。
【0058】
<B.第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態に係る第2スイッチ装置について、図面を参照しつつ説明する。第2スイッチ装置は、いわゆるドームスイッチであり、上述した第1スイッチ装置とは、支持部材と導電部材の構成が相違している。以下の説明では、第1スイッチ装置と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
<1.第2スイッチ装置の概要>
図10は第2実施形態に係る第2スイッチ装置が非導通状態であるときの断面図、図11は、導通状態にある第2スイッチ装置の断面図、図12は導通状態における導電パターンと第2導電部材との接触状態を示す平面図である。図10に示すように、この第2スイッチ装置20の支持部材41は、板状の本体部411と、この本体部411の周縁から下方に延びる円筒状の脚部412と、を備え、これらが一体的に、ゴムなどの弾性材料によって形成されている。そして、脚部412の下端部には径方向外方に延びるフランジ部413が形成されている。また、脚部42の下端部は、導電パターン2の周囲を囲むようにプリント基板1に固定されている。さらに、本体部411の下面には、下方に突出する突部414が形成されている。
【0060】
第2導電部材31は、変形可能な金属などの導電性の材料で形成され、上に凸のドーム状に形成されている。そして、第2導電部材31の周縁は、第2ランド電極の外周部221上に固定されている。また、図10に示す非導通状態では、支持部材41の突部414と第2導電部材31の頂部とが接した状態となっている。
【0061】
図10の状態から、ボタン部材5を押下すると、弾性材料で形成された脚部412が圧縮され、これによって突部414が、第2導電部材31の中央部を下方に押下する。これにより、図11及び図12に示すように、第2導電部材31の中央部分が下に凸となるように変形し、変形した中央部分が第1ランド電極21の中心点X付近に接する。こうして、導電パターン2の2つのランド電極21,22が第2導電部材31を介して導通する。一方、ボタン部材5の押下を解除すると、支持部材41の脚部412が初期状態に復元し、これに伴い、第2導電部材31も初期状態に復元する。すなわち、第2導電部材31の中央部分が第1ランド電極21から離れる。その結果、2つのランド電極21,22の導通が解除される。
【0062】
以上のように構成された第2スイッチ装置20は、第1実施形態のラバースイッチに比べ非導通状態と導通状態との間の第2導通部材31の変形の長さ、つまりボタン部材5のストロークが短い。また、第2導電部材31が金属等によって形成されているため、変形にやや力を要し、ラバースイッチに比べ押下がやや硬いという感触、つまりクリック感が得られうる。
【0063】
<2.特徴>
本実施形態に係る導電パターン2は、第1実施形態と同じである。この導電パターン2は、第1ランド電極21と、これを囲むように形成された第2ランド電極22とを備えているため、上記のようなドーム型の導電部材31を有する、いわゆるドームスイッチにも用いることができる。すなわち、ドーム型の第2導電部材31の周縁が第2ランド電極22に接した状態を非導通状態としたとき、第2導電部材31の中央部分を押下すれば、第2ランド電極22に囲まれた第1ランド電極21に、押下された中央付近を接触させることができ、両ランド電極21,22を導通させることができる。
【0064】
このように、この導電パターン2は、第1実施形態のラバースイッチ、及び第2実施形態のドームスイッチのいずれにも用いることができる。したがって、例えば、1つの入力装置に、ラバースイッチとドームスイッチを設ける場合、同じ導電パターン2を用いることができる。また、例えば、上記導電パターン2を複数形成しておき、導電パターン2毎に、ユーザの要望に応じて、上記第1導電部材3または第2導電部材31を選択的に配置し、ラバースイッチまたはドームスイッチのいずれか(あるいはその他の種類のスイッチ)を形成することができる。すなわち、ラバースイッチとドームスイッチの組み合わせや配置が異なる複数の入力装置において、導電パターンを共通化することができる。したがって、スイッチ装置の種類によって導電パターン2を変更する必要がなく、スイッチ装置、ひいては入力装置を簡易に構成することができる。なお、この例では、第1導電部材3と導通する導電パターン2が、本開示の第1接点部を構成し、第2導電部材31と導通する導電パターン2が、本開示の第2接点部を構成する。
【0065】
また、例えば、ユーザからのオーダにより、以下のような工程で、複数のスイッチ装置が設けられたコントローラ等の入力装置を製造することができる。
(1)複数の上記導電パターン2が形成されたプリント基板、及びこのプリント基板が収容される入力装置を準備する。
(2)各導電パターンに対応するスイッチ装置を、いずれのスイッチにするか、ユーザからの要望を受け付ける。要望の受付は、オンラインであってもよいし、人力により直接受け付けることもできる。
(3)各導電パターン2に、いずれのスイッチを設けるかに関する情報を取得する。
(4-1)自動化された生産ラインにおいては、取得された情報に基づいて、機械により、スイッチを、コントローラに取り付ける。
(4-2)人力による場合には、作業者に対し、取得された情報を表示したり、あるいは情報に基づく指示を行うことで、人力により、あるいは人力によって動作される機械により、スイッチをコントローラに取り付ける。
【0066】
以上の工程により、ユーザの要望に応じた入力装置を製造することができる。
【0067】
<C.第3実施形態>
以下、第3実施形態に係る第3スイッチ装置について説明する。図13は初期状態(非導通状態)にある第3スイッチ装置の断面図、図14は導通状態にある第3スイッチ装置の断面図、図15はキートップの平面図、図16は支持部材の底面図、図17は4つの外周接点部(第4接点部)の配置を示す平面図である。
【0068】
図13に示すように、第3スイッチ装置30は、上述したプリント基板1上に配置される、平面視十字型に形成されたキートップ51と、このキートップ(方向入力部)51の下面に取り付けられ、ゴムなどの弾性材料によって形成された支持部材42と、この支持部材42の下面に取り付けられている4つの導電ラバー32と、を備えている。さらに、支持部材42の下方にはプリント基板1が配置され、図17に示すように、このプリント基板1上に4つの外周接点部61~64が形成されている。各外周接点部61~64は、上述した導電パターン2と同一構成である。
【0069】
図15に示すように、キートップ51は、十字型に形成されており、4つの端部と対応する位置に、支持部材42を介して導電ラバー32が配置されるようになっている。また、図13に示すように、キートップ51の下面の中央にはキートップ51を傾けるための軸部材(支点)52が設けられており、この軸部材52が下方に向かって突出している。
【0070】
図16に示すように、支持部材42は、本体部421と、この本体部421の周縁から90度おきに突出する4つの円形状の突出部422と、を備えている。本体部421には、図13に示すように、筒状の支持部423が形成されており、キートップ51の軸部材52が収容される。そして、図14に示すように、キートップ51は、軸部材52を軸にして、キートップ51の4つの端部のいずれかがプリント基板1側に近接するように傾くようになっている。
【0071】
また、支持部材42の各突出部422の下面には円板状の導電ラバー32が取り付けられている。そして、図13にも示されるように、突出部422の下面には、各導電ラバー32を囲むように裾広がりに形成された脚部424が設けられており、各脚部424の下端部が上述した各接点部61~64を囲むようにプリント基板1に固定されている。
【0072】
図17に示すように、プリント基板1上には、上述した導電パターン2により構成された4つの外周接点部61~64が形成されている。各外周接点部61~64は、所定の円C4の円周上に90度おきに配置されており、導電ラバー32と対向するように配置されている。また、この円C4の中心点X4と対向するように、キートップ51の軸部材52が配置されている。ここでは、説明の便宜のため、図17の上部に配置された外周接点部を第1外周接点部61と称し、この第1外周接点部61から時計回りに、第2外周接点部62、第3外周接点部63、及び第4外周接点部64が配置されていることとする。そして、第1~第4外周接点部61~64は、図3に示す基準回転位置から、時計回りに、それぞれ、180度、270度、0度、90度回転した状態で配置されている。すなわち、第3外周接点部63は、基準回転位置にある。これにより、第1~第4外周接点部61~64は、いずれもスリット225が円C4の径方向外方を向くように、円C4の中心X4から最も遠い位置に配置されている。
【0073】
以上の構成によれば、例えば、図14に示すように、キートップ51が軸部材52を中心に傾くと、いずれかの導電ラバー32が、それと対向する外周接点部61~64に接触し、これによって外周接点部61~64の両ランド電極21,22が導通する。また、キートップ51は、一般的には、いずれか1つの端部がプリント基板1に近接するように傾くが、隣接する2つの端部がプリント基板1に近接するように傾けることもできる。この場合には、4つの外周接点部61~64のうちの2つの外周接点部で両ランド電極21,22が導通する。
【0074】
上記のように構成されたスイッチ装置では、キートップ51が傾くことで、導電ラバー32が各外周接点部に接触するため、特に、図18に示すように、導電ラバーにおいて中心X4から遠い側の半円部分が外周接点部に接触しやすくなる。このような場合でも、両ランド電極は、導電ラバーを介して導通するようになっている。また、キートップ51の2つの端部がプリント基板1に近接するように押し込まれた場合でも、図19に示すように、2つの接点部(この例では、第1外周接点部61と第4外周接点部64)の両方において、両ランド電極21,22が導通する。
【0075】
<5.特徴>
(1)第3スイッチ装置30では、上述した導電パターンを有する4つの外周接点部を設けている。そのため、導電ラバー32により押下される位置が偏っても、両ランド電極21,22を導通させることができる。また、この第3スイッチ装置の各外周接点部において、例えば、図6図9に示すように、導電ラバー32の位置が基準位置からずれたとしても、両ランド電極21,22を導通させることができる。
【0076】
(2)4つのスリット252が対称な位置に配置されているため、安定な動作を期待できる。なお、後述するように、第3スイッチ装置30において、各導電パターン2にスリットを設けない場合には、各導電パターン2は、本開示の第3接点部を構成する。
【0077】
<D.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0078】
(1)プリント基板における各ランド電極への配線は特には限定されず、他方の電極に接しないように適宜、配線を形成することができる。また、例えば、図20に示すように、プリント基板1において、各ランド電極21,22と対応する位置にスルーホールを形成し、このスルーホールに配線を形成することができる。そのため、各ランド電極21,22には、スルーホールと対応する位置に孔218,228が形成される。これにより、プリント基板1において、ランド電極21,22が形成されている面に配線を施さなくてもよい。なお、ランド電極21,22の一部が、見かけ上、分離されているが、配線によって接続され、電位が同じである場合には、同一のランド電極と見なすことができる。この観点から、例えば、第1ランド電極21や第2ランド電極22の一部を分離することができる。
【0079】
また、スルーホールは、空気孔として利用することができる。例えば、第1スイッチ装置10においては、導電パターン2が配置されている部分において、プリント基板1と支持部材4との間に閉空間が形成されるため、ボタン部材を押下すると、この閉空間が負圧になり、押し込まれた支持部材が初期状態に即座に復帰しないおそれがある。そこで、この閉空間と外部とをスルーホールによって連結しておけば、支持部材が押し込まれても閉空間が負圧になるのを抑制することができる。なお、スルーホールを空気孔として用いる場合には、各ランド電極21,22と対応する位置に形成する必要はなく、例えば、両ランド電極21,22の間に配置することもできる。また、孔218,228やスルーホールの数や位置は特には限定されない。
【0080】
(2)図20に示すように、第1ランド電極21の本体部211に十字型の凹部219を形成することができる。このようにすると、例えば、この導電パターン2を第2スイッチ装置20に用いると、図21に示すように、押し込まれた導電部材31と、本体部211との接触面積を大きくすることができる。すなわち、押し込まれた導電部材31は、凹部219の底面及び壁面に接するため、導電部材31と本体部211とを導通しやすくすることができる。この観点から、凹部219の形状は、十字型に限定されず、円形状、高く形状など、種々の形状にすることができる。
【0081】
(3)第2ランド電極22のスリット225の位置は特には限定されず、図3に示す以外の位置に形成することもできる。また、スリット225の数は上記実施形態のように、第2ランド電極22に1つ設けるほか、2以上設けてもよい。あるいは、第2ランド電極22にスリットを設けず、第1ランド電極21を囲む連続した環状等のような形態にすることもできる。なお、第2ランド電極22にスリットを1つ設ける場合には、このスリット内に第1ランド電極21が位置しないように形成することができる。
【0082】
(4)上記実施形態では、第1ランド電極21に2つの内側突出部212,213を設け、第2ランド電極22に2つの外側突出部222,223を設けているが、内側突出部及び外側突出部は、種々の態様が可能である。例えば、図22に示すように、L字状に形成された内側突出部216a及び外側突出部226aをそれぞれ6個ずつ設け、これらが周方向に交互に配置されるようにすることができる。
【0083】
図23の例では、第1ランド電極21の本体部211から上下方向に延びる第1突出部216bを設け、この突出部216bから左右方向に交互に複数の第2突出部216cを設けることができる。これら第1突出部216b及び第2突出部216cが、内側突出部を構成する。そして、隣接する第2突出部216cの間に向かって、第2ランド電極22の外周部221から外側突出部226bを形成することができる。
【0084】
図24の例では、1つの内側突出部216dを左右方向に振幅する矩形波状に形成し、その中央に第1ランド電極21の本体部211を配置することができる。そして、この矩形波における左右方向の凹部に向かって、第2ランド電極22の外周部221から外側突出部226bを形成することができる。
【0085】
以上の導電パターンは、あくまでも例であり、内側突出部及び外側突出部の数、位置、形状、径方向の長さ、並び方(例えば、放射状)は特には限定されない。また、内側突出部及び外側突出部は、周方向に交互に並んでなくてもよく、内側突出部または外側突出部が、周方向に並んでいてもよい。また、内側突出部または外側突出部は周方向に均等に並んでいなくてもよい。但し、例えば、図22図23の例にも示しているが、導電パターン2は、上述した3つの同心の円C1~C3にしたがって、形成されていればよい。すなわち、円C1内に第1ランド電極21のみが配置され、円C2内に第2ランド電極22のみが配置され、さらに、円C3が、内側突出部及び外側突出部の両方が、円C3を通過するように形成されていればよい。
【0086】
(5)第1ランド電極21の本体部211は円形でなくてもよく、多角形状、異形状であってもよい。また、第2ランド電極22は、第1ランド電極21の少なくとも一部を囲んでいればよく、環状のほか、多角形状や異形状でもよい。したがって、各ランド電極21,22に、突出部を形成することなく、両ランド電極21,22の一部が、円Cを通過するように形成することができる。
【0087】
(6)上記第3スイッチ装置30においては、外周接点部として第1実施形態で示したラバースイッチを用いているが、4つの外周接点部61~64のうちの少なくとも1つを第2実施形態で示したドーム状の導電部材31に変更することもできる。これにより、キートップ51を押下する位置によって、導通までのストロークや押下の硬さを変更することができる。また、第3スイッチ装置30では、キートップ51を十字状に形成し、これに対応するように4つの外周接点部61~64を設けているが、これに限定されない。すなわち、キートップ51が2以上の端部(突出部)を有するように形成し、それに合わせて外周接点部の数を決定すればよい。例えば、3つの端部(突出部)が設けられたキートップを形成し、これに合わせて3つの外周接点部を設けることができる。
【0088】
(7)第2実施形態では、ドーム型の導電部材31を用いる、いわゆるドームスイッチについて説明したが、このような導電部材としては、中央の一点が導電パターンに接するもののほか、同中央部分に複数の微小な凸部が形成されることで一点ではなく、複数箇所(凸部)が導電パターンに接するように構成されていてもよい。
【0089】
(8)例えば、ランド電極が上述した形態であったとしても、その上に絶縁体が積層され、その部位を通じて他のランド電極との間で導通ができない状態になっている場合には、同部位について本開示に係るランド電極とは見なさないとすることができる。
【0090】
(9)上記実施形態では、第3円C3における、中心角が180°のいずれの円弧内においても、隣接する内側突出部212,213及び外側突出部222,223が含まれるようにしているが、例えば、第3円C3における、少なくとも1つの中心角が180°の円弧内に隣接する内側突出部と外側突出部が含まれるように構成することができる。あるいは、少なくとも1つの1中心角が120°、90°、または60°の円弧内に隣接する内側突出部と外側突出部が含まれるように構成することができる。
【0091】
(10)導電パターンは、種々の観点から設計することができ、例えば、第1ランド電極21の円形状の本体部211の中心から内側突出部(第1突出部)の先端までの距離を第1距離(図3のS1)とし、第2ランド電極の外側突出部(第2突出部)の先端と、第1ランド電極21の円形状の本体部211の中心との間の第2距離(図3のS2)とすると、第2距離が第1距離よりも短くなるようにすればよい。
【符号の説明】
【0092】
2 導電パターン
21 第1ランド電極
211 本体部
212 第1内側突出部
213 第2内側突出部
22 第2ランド電極
221 外周部
222 第1外側突出部
223 第2外側突出部
225 スリット
3 第1導電部材
31 第2導電部材
51 キートップ(方向入力部)
61~64 外周接点部(第4接点部)
C1 第1円
C2 第2円
C3 第3円
図1
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