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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/24 20060101AFI20230824BHJP
   B65H 29/62 20060101ALI20230824BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B65H31/24
B65H29/62
B41J29/393 105
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019176830
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021054546
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】黒田 峻太
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-111871(JP,A)
【文献】特開2007-322465(JP,A)
【文献】特開2010-002463(JP,A)
【文献】特開2008-203498(JP,A)
【文献】特開2015-179122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/24
B65H 29/62
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段により印刷された用紙がそれぞれに排紙される第1排紙台および第2排紙台を含む複数の排紙台と、
前記複数の排紙台に選択的に用紙を排紙する排紙手段と、
前記第1排紙台に排紙される用紙の積載位置をオフセットさせることにより、前記第1排紙台に排紙される用紙を仕切る第1仕切り手段と、
印刷画像が正常な用紙である正常用紙を前記第1排紙台へ排紙し、印刷画像が不良な用紙である不良用紙を前記第2排紙台へ排紙するよう前記排紙手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、印刷画像の不良の発生を境に前記第1排紙台に排紙される前記正常用紙を前記第1仕切り手段により仕切るよう制御し、前記正常用紙が仕切られた箇所における欠落ページを前記印刷手段により用紙に印刷させ、前記欠落ページが印刷された用紙を前記第1排紙台以外の排紙台へ排紙するよう前記排紙手段を制御することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
用紙に印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段により印刷された用紙がそれぞれに排紙される第1排紙台および第2排紙台を含む複数の排紙台と、
前記複数の排紙台に選択的に用紙を排紙する排紙手段と、
前記第1排紙台に排紙される用紙を仕切る第1仕切り手段と、
前記第2排紙台に排紙される用紙を仕切る第2仕切り手段
印刷画像が正常な用紙である正常用紙を前記第1排紙台へ排紙し、印刷画像が不良な用紙である不良用紙を前記第2排紙台へ排紙するよう前記排紙手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、印刷画像の不良の発生を境に前記第1排紙台に排紙される前記正常用紙を前記第1仕切り手段により仕切るよう制御し、前記正常用紙が仕切られた箇所における欠落ページを前記印刷手段により用紙に印刷させ、前記欠落ページが印刷された用紙を前記第2排紙台へ排紙するよう前記排紙手段を制御するとともに、前記第2排紙台に排紙される前記不良用紙と前記欠落ページが印刷された用紙とを前記第2仕切り手段により仕切るよう制御することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
前記第2仕切り手段は、前記第2排紙台に排紙される用紙を仕切る箇所に仕切り用紙を挿入するものであり、
前記制御手段は、前記不良用紙と前記欠落ページが印刷された用紙とを識別するための情報を前記印刷手段により用紙に印刷させ、前記情報が印刷された用紙を前記第2仕切り手段に前記仕切り用紙として使用させることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に印刷を行うとともに、印刷画像の不良を検出するための検査を行う印刷装置が知られている。
【0003】
また、特許文献1には、印刷画像の不良状態を検出し、その検出結果から印刷画像が不良と判定されたページ以降を含むページを再印刷して、不良判定直前の排紙先とは別の排紙先に排紙する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-144627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、不良のページが発生するごとに異なる排紙先に排紙するため、排紙先が多くなることがある。このため、一連の印刷終了後にユーザが印刷物を排紙先から取り出し、不良のページを差し替えて正常な印刷物を得るための作業の効率が低くなることがある。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、印刷物を排紙先から取り出して正常な印刷物を得るための作業の効率を向上できる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の印刷装置は、用紙に印刷を行う印刷手段と、前記印刷手段により印刷された用紙がそれぞれに排紙される第1排紙台および第2排紙台を含む複数の排紙台と、前記複数の排紙台に選択的に用紙を排紙する排紙手段と、前記第1排紙台に排紙される用紙を仕切る第1仕切り手段と、印刷画像が正常な用紙である正常用紙を前記第1排紙台へ排紙し、印刷画像が不良な用紙である不良用紙を前記第2排紙台へ排紙するよう前記排紙手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、印刷画像の不良の発生を境に前記第1排紙台に排紙される前記正常用紙を前記第1仕切り手段により仕切るよう制御し、前記正常用紙が仕切られた箇所における欠落ページを前記印刷手段により用紙に印刷させ、前記欠落ページが印刷された用紙を前記第1排紙台以外の排紙台へ排紙するよう前記排紙手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の印刷装置によれば、印刷物を排紙先から取り出して正常な印刷物を得るための作業の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る印刷装置の概略構成図である。
図2図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。
図3】印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】排紙台における用紙の積載状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0011】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の概略構成図である。図2は、図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。以下の説明において、図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0013】
図1図2に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、給紙部2と、印刷部(印刷手段に相当)3と、画像検査部4と、排紙部5と、操作パネル6と、制御部(制御手段に相当)7とを備える。
【0014】
給紙部2は、それぞれ用紙Pが積載される複数の給紙台11を備え、給紙台11から印刷部3に用紙Pを給紙する。
【0015】
印刷部3は、給紙部2から給紙された用紙Pに印刷を行う。印刷部3は、複数のインクジェットヘッド16と、循環搬送部17と、連絡搬送部18とを備える。
【0016】
インクジェットヘッド16は、循環搬送部17により搬送される用紙Pにインクを吐出して画像を印刷する。
【0017】
循環搬送部17は、給紙部2から給紙された用紙Pを搬送する。循環搬送部17は、用紙Pを表裏反転するための反転部19を有する。
【0018】
循環搬送部17は、片面印刷の際には、インクジェットヘッド16により一方の面に印刷された用紙Pをそのまま連絡搬送部18へ搬送する。
【0019】
循環搬送部17は、両面印刷の際には、インクジェットヘッド16により表面に印刷された用紙Pを反転部19まで搬送し、反転部19により表裏反転してインクジェットヘッド16へ再給紙する。そして、循環搬送部17は、インクジェットヘッド16により裏面に印刷された両面印刷済みの用紙Pを連絡搬送部18へ搬送する。
【0020】
連絡搬送部18は、印刷済みの用紙Pを循環搬送部17から画像検査部4へ搬送する。
【0021】
画像検査部4は、印刷部3により印刷された用紙Pにおける印刷画像の検査を行う。画像検査部4は、読取搬送部21と、2つの読取部22とを備える。
【0022】
読取搬送部21は、連絡搬送部18により搬送されてきた用紙Pを排紙部5へ搬送する。
【0023】
読取部22は、読取搬送部21により搬送される用紙Pの印刷画像を読み取る。読取部22は、カメラ、CIS(Contact Image Sensor)等により構成される。2つの読取部22のうちの一方の読取部22は、読取搬送部21の上方に配置され、読取搬送部21により搬送される用紙Pの上面の印刷画像を読み取る。他方の読取部22は、読取搬送部21の下方に配置され、読取搬送部21により搬送される用紙Pの下面の印刷画像を読み取る。
【0024】
排紙部5は、印刷部3により印刷された用紙Pを排紙する。排紙部5は、排紙搬送部(排紙手段に相当)31と、積載部32A,32Bとを備える。なお、積載部32A,32Bの符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0025】
排紙搬送部31は、読取搬送部21により搬送されてきた用紙Pを受け取って搬送し、後述する積載部32Aの排紙台61および積載部32Bの排紙台61に選択的に排紙する。
【0026】
排紙搬送部31は、共通排紙経路41と、上流排紙経路42と、下流排紙経路43と、反転経路44と、導入ローラ対45と、上昇ローラ対46と、上流排紙搬送ローラ対47と、複数の下流排紙搬送ローラ対48と、反転ローラ対49と、切替部50,51とを備える。
【0027】
共通排紙経路41は、積載部32Aへ搬送される用紙Pと積載部32Bへ搬送される用紙Pとに共通の搬送経路である。
【0028】
上流排紙経路42は、用紙Pの搬送方向における共通排紙経路41の下流端に接続され、積載部32Aの排紙台61へ用紙Pを排紙するための搬送経路である。
【0029】
下流排紙経路43は、共通排紙経路41の下流端に接続され、積載部32Bの排紙台61へ用紙Pを排紙するための搬送経路である。
【0030】
反転経路44は、用紙Pをスイッチバックして表裏反転させるための搬送経路である。反転経路44は、導入ローラ対45の下流側近傍で共通排紙経路41から分岐し、上昇ローラ対46の上流側で共通排紙経路41に合流している。
【0031】
導入ローラ対45は、読取搬送部21により搬送されてきた用紙Pを排紙部5に導入する。導入ローラ対45は、共通排紙経路41の上流端部に配置されている。
【0032】
上昇ローラ対46は、導入ローラ対45または反転ローラ対49により搬送されてきた用紙Pを、上流排紙搬送ローラ対47または下流排紙搬送ローラ対48へ搬送する。上昇ローラ対46は、導入ローラ対45の下流側において共通排紙経路41に沿って配置されている。
【0033】
上流排紙搬送ローラ対47は、上昇ローラ対46により搬送されてきた用紙Pを積載部32Aの排紙台61へ搬送して排紙する。上流排紙搬送ローラ対47は、上流排紙経路42の下流端部に配置されている。
【0034】
下流排紙搬送ローラ対48は、上昇ローラ対46により搬送されてきた用紙Pを積載部32Bの排紙台61へ搬送して排紙する。下流排紙搬送ローラ対48は、下流排紙経路43に沿って配置されている。
【0035】
反転ローラ対49は、導入ローラ対45により搬送されてきた用紙Pをスイッチバックして上昇ローラ対46へ搬送する。反転ローラ対49は、反転経路44に沿って配置されている。
【0036】
切替部50は、導入ローラ対45の下流側近傍において、用紙Pの搬送経路を共通排紙経路41と反転経路44との間で切り替える。
【0037】
切替部51は、共通排紙経路41の下流側における用紙Pの搬送経路を上流排紙経路42と下流排紙経路43との間で切り替える。
【0038】
積載部32は、排紙搬送部31により排紙された印刷済みの用紙Pが積載されて保持される部分である。上流側の積載部32Aには、上流排紙搬送ローラ対47により排紙された用紙Pが積載される。下流側の積載部32Bには、下流排紙搬送ローラ対48により排紙された用紙Pが積載される。積載部32は、排紙台61と、昇降駆動部62と、エンドフェンス63と、オフセットフェンス64と、オフセット駆動部65と、上面検出センサ66と、満杯センサ67とを備える。
【0039】
排紙台61は、排紙搬送部31により排紙された印刷済みの用紙Pが積載されるものである。流側の積載部32Aの排紙台61は、上流排紙搬送ローラ対47の下流側の下方に配置されている。下流側の積載部32Bの排紙台61は、最下流の下流排紙搬送ローラ対48の下流側の下方に配置されている。排紙台61は、用紙Pの積載枚数が多くなるほど下降するように昇降可能に構成され、多枚数の用紙Pを積載可能になっている。排紙台61は、台車(図示せず)により印刷装置1から引き出し可能に構成されている。
【0040】
昇降駆動部62は、排紙台61を昇降させる。昇降駆動部62は、モータ等を有する。
【0041】
エンドフェンス63は、排紙台61に排紙される用紙Pの下流端(右端)の位置を規制する。
【0042】
オフセットフェンス64は、排紙台61に排紙される用紙Pの上流端(左端)の位置を規制する。
【0043】
オフセット駆動部65は、エンドフェンス63およびオフセットフェンス64を排紙方向(左右方向)に移動させる。オフセット駆動部65は、モータ等を有する。
【0044】
上面検出センサ66は、排紙台61上に積載された用紙Pの上面位置(最上位の用紙Pの上面の高さ位置)を検出する。上面検出センサ66は、排紙動作時において、排紙台61上に積載された用紙Pの上面位置を規定高さ位置の近傍に維持するために用いられる。上面検出センサ66は、発光部66aと、受光部66bとを有する。
【0045】
発光部66aと受光部66bとは、排紙台61上に用紙Pが積載される領域を挟んで左右方向に互いに離間して配置されている。発光部66aは、高さ方向においては、光軸が規定高さ位置になるように配置され、受光部66bに向けて右方向に光を発する。受光部66bは、発光部66aとの間に用紙Pがないとき、発光部66aからの光を受光し、発光部66aからの光が用紙Pにより遮られると受光しない。
【0046】
すなわち、上面検出センサ66は、受光部66bが発光部66aからの光を受光しない状態となることで、用紙Pを検出する。ここで、上面検出センサ66が用紙Pを検出している状態をオン、用紙Pを検出していない状態をオフとする。
【0047】
満杯センサ67は、排紙台61が用紙Pで満杯になったことを検出する。具体的には、満杯センサ67は、排紙台61に最大積載枚数の用紙Pが積載されたときの高さ位置である下限位置にある排紙台61を検出する。
【0048】
操作パネル6は、各種の入力画面等を表示するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。操作パネル6は、液晶表示パネル等を有する表示部(図示せず)と、各種の操作キー、タッチパネル等を有する入力部(図示せず)とを備える。
【0049】
制御部7は、印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部7は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0050】
制御部7は、印刷動作において、正常用紙を積載部32Aの排紙台61(第1排紙台に相当)に排紙し、不良用紙を積載部32Bの排紙台61(第2排紙台に相当)に排紙するよう排紙搬送部31を制御する。ここで、正常用紙は、印刷画像が正常な用紙Pである。不良用紙は、印刷画像が不良である(正常でない)用紙Pである。印刷画像が正常であるか否かは、読取部22で用紙Pの印刷画像を読み取って得られた画像データに基づき制御部7が判断する。
【0051】
また、制御部7は、印刷画像の不良の発生を境に、積載部32Aの排紙台61へ排紙される正常用紙の左右方向における積載位置をエンドフェンス63およびオフセットフェンス64によりオフセットさせることにより仕切るよう制御する。積載部32Aのエンドフェンス63およびオフセットフェンス64は、第1仕切り手段に相当する。
【0052】
また、制御部7は、積載部32Aの排紙台61へ排紙された正常用紙がオフセットにより仕切られた箇所における欠落ページを印刷部3により用紙Pに印刷させる。そして、制御部7は、欠落ページが印刷された用紙Pである再印刷用紙を積載部32Bの排紙台61へ排紙するよう排紙搬送部31を制御する。ここで、欠落ページは、積載部32Aの排紙台61に排紙された正常用紙において欠落しているページであり、不良用紙となった用紙Pに印刷されたページに相当する。
【0053】
次に、印刷装置1の動作について説明する。
【0054】
図3は、印刷装置1の動作を説明するためのフローチャートである。図3のフローチャートの処理は、印刷装置1に印刷ジョブが入力されることにより開始となる。
【0055】
図3のステップS1において、制御部7は、印刷動作を開始させる。具体的には、制御部7は、給紙部2から印刷部3に用紙Pを順次給紙させ、印刷部3において用紙Pに印刷するよう制御する。
【0056】
印刷部3で印刷された用紙Pは、画像検査部4を通過して排紙部5へ順次搬送される。画像検査部4では、読取部22が順次通過する各用紙Pの印刷画像を読み取る。制御部7は、読取部22が用紙Pの印刷画像を読み取って得られた画像データに基づき、印刷画像が正常であるか否かを判断する。制御部7は、例えば、表面と裏面との間の印刷画像の位置ずれ、印刷面の汚れ、ページの入れ替わり等がある場合、印刷画像が不良であると判断する。
【0057】
印刷画像が正常である正常用紙は、排紙部5において、積載部32Aの排紙台61へ排紙される。積載部32Aの排紙台61へ用紙Pが排紙され、上面検出センサ66がオンになると、制御部7は、上面検出センサ66がオフになるまで排紙台61を下降させる。
【0058】
ここで、印刷動作の開始時には、切替部51は、用紙Pの排紙先が積載部32Aの排紙台61となるように設定されている。すなわち、印刷動作の開始時には、切替部51は、用紙Pを共通排紙経路41から上流排紙経路42へ導くように設定されている。
【0059】
印刷動作の開始後、ステップS2において、制御部7は、読取部22が用紙Pの印刷画像を読み取って得られた画像データに基づき、印刷画像の不良が発生したか否かを判断する。
【0060】
印刷画像の不良が発生したと判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS3において、制御部7は、用紙Pの排紙先を積載部32Bの排紙台61に切り替えるよう切替部51を制御する。これにより、排紙部5において、不良用紙が切替部51により共通排紙経路41から下流排紙経路43へ導かれ、積載部32Bの排紙台61へ排紙される。積載部32Bにおいても、積載部32Aと同様に、上面検出センサ66がオンになると、制御部7は、上面検出センサ66がオフになるまで排紙台61を下降させる。
【0061】
次いで、ステップS4において、制御部7は、積載部32Aのオフセット駆動部65を制御してエンドフェンス63およびオフセットフェンス64を左右方向に所定距離だけ移動させる。これにより、この後に積載部32Aの排紙台61へ排紙される正常用紙の左右方向における積載位置が、直前まで排紙台61へ排紙されていた用紙Pに対してオフセットされる。
【0062】
次いで、ステップS5において、制御部7は、読取部22が用紙Pの印刷画像を読み取って得られた画像データに基づき、用紙Pの印刷画像が正常に戻ったか否かを判断する。印刷画像が正常に戻っていないと判断した場合(ステップS5:NO)、制御部7は、ステップS5を繰り返す。
【0063】
印刷画像が正常に戻ったと判断した場合(ステップS5:YES)、ステップS6において、制御部7は、用紙Pの排紙先を積載部32Aの排紙台61に切り替えるよう切替部51を制御する。これにより、積載部32Bの排紙台61への不良用紙の排紙が終了し、積載部32Aの排紙台61への正常用紙の排紙が再開される。ステップS6の後、制御部7は、ステップS2に戻る。
【0064】
ステップS2において、印刷画像の不良が発生していないと判断した場合(ステップS2:NO)、ステップS7において、制御部7は、印刷ジョブに基づく印刷が終了したか否かを判断する。
【0065】
印刷ジョブに基づく印刷が終了したと判断した場合(ステップS7:YES)、ステップS8において、制御部7は、当該印刷ジョブの実行中に印刷画像の不良が発生したか否かを判断する。
【0066】
当該印刷ジョブの実行中に印刷画像の不良が発生したと判断した場合(ステップS8:YES)、ステップS9において、制御部7は、用紙Pの排紙先を積載部32Bの排紙台61に切り替えるよう切替部51を制御する。
【0067】
次いで、ステップS10において、制御部7は、用紙Pに仕切り情報を印刷するよう給紙部2および印刷部3を制御する。仕切り情報が印刷された用紙Pである仕切り用紙は、積載部32Bの排紙台61に排紙される。これにより、積載部32Bの排紙台61に積載されている不良用紙の上に仕切り用紙が載置される。
【0068】
ここで、仕切り情報は、積載部32Bの排紙台61上の不良用紙と前述した欠落ページが印刷された用紙Pである再印刷用紙とを識別するための情報である。仕切り情報は、積載部32Bの排紙台61上の仕切り用紙より上に再印刷用紙が積載されている旨を示すメッセージや、欠落ページのページ番号等からなる。
【0069】
次いで、ステップS11において、制御部7は、積載部32Aの排紙台61上の正常用紙がオフセットにより仕切られた箇所における欠落ページを印刷するよう給紙部2および印刷部3を制御する。欠落ページが印刷された用紙Pである再印刷用紙は、積載部32Bの排紙台61に排紙される。これにより、仕切り用紙の上に再印刷用紙が載置され、一連の動作が終了となる。
【0070】
上述のように、積載部32Bの排紙台61に排紙される用紙Pは、用紙Pを仕切る箇所(不良用紙と再印刷用紙との間)に仕切り用紙が挿入されることにより仕切られる。仕切り用紙となる用紙Pを積載部32Bの排紙台61へ搬送して不良用紙と再印刷用紙との間に挿入する給紙部2、循環搬送部17、連絡搬送部18、読取搬送部21、および排紙搬送部31が、第2仕切り手段を構成する。
【0071】
ステップS8において、印刷ジョブの実行中に印刷画像の不良が発生しなかったと判断した場合(ステップS8:NO)、制御部7は、ステップS9~S11を省略して、そのまま一連の動作を終了する。
【0072】
ステップS7において、印刷ジョブに基づく印刷が終了していないと判断した場合(ステップS7:NO)、ステップS12において、制御部7は、積載部32Aの排紙台61が満杯になったか否かを判断する。制御部7は、積載部32Aの満杯センサ67が排紙台61を検出した場合、積載部32Aの排紙台61が満杯になったと判断する。積載部32Aの排紙台61は満杯になっていないと判断した場合(ステップS12:NO)、制御部7は、ステップS2に戻る。
【0073】
積載部32Aの排紙台61が満杯になったと判断した場合(ステップS12:YES)、ステップS13において、制御部7は、印刷ジョブに基づく印刷を中断する。
【0074】
積載部32Aの排紙台61が満杯になって印刷が中断されると、ユーザが積載部32Aの排紙台61上の用紙Pを取り除いた後、操作パネル6を操作して印刷再開を指示する。
【0075】
これに対し、ステップS14において、制御部7は、操作パネル6に対する操作により印刷再開が指示されたか否かを判断する。印刷再開が指示されていないと判断した場合(ステップS14:NO)、制御部7は、ステップS14を繰り返す。
【0076】
印刷再開が指示されたと判断した場合(ステップS14:YES)、ステップS15において、制御部7は、印刷ジョブに基づく印刷を再開させる。この後、制御部7は、ステップS2に戻る。
【0077】
上述のような印刷動作の終了時における積載部32A,32Bの排紙台61における用紙Pの積載状態の一例を図4に示す。
【0078】
図4に示すように、積載部32Aの排紙台61には、正常用紙が積載されている。積載部32Aの排紙台61上の正常用紙は、印刷画像の不良の発生を境として、左右方向における積載位置がオフセットされている。積載部32Bの排紙台61には、不良用紙と再印刷用紙とが、仕切り用紙を挟んで積載されている。
【0079】
なお、印刷動作において、印刷画像の不良が発生したと判断された場合でも、単純なページ抜けであり、印刷された用紙Pの印刷画像そのものは正常である場合がある。この場合、不良用紙は発生しないが、制御部7は、ページ抜け(印刷画像の不良)の発生を境に、積載部32Aの排紙台61に排紙される正常用紙の積載位置をオフセットするよう制御すればよい。
【0080】
以上説明したように、印刷装置1では、制御部7は、正常用紙を積載部32Aの排紙台61に排紙し、不良用紙を積載部32Bの排紙台61に排紙するよう排紙搬送部31を制御する。また、制御部7は、印刷画像の不良の発生を境に、積載部32Aの排紙台61へ排紙される正常用紙の左右方向における積載位置をエンドフェンス63およびオフセットフェンス64によりオフセットさせることにより仕切るよう制御する。そして、制御部7は、積載部32Aの排紙台61へ排紙された正常用紙が仕切られた箇所における欠落ページを印刷部3により用紙Pに印刷させ、欠落ページが印刷された用紙Pである再印刷用紙を積載部32Bの排紙台61へ排紙するよう排紙搬送部31を制御する。
【0081】
これにより、ユーザが正常用紙を取り出す排紙先は排紙台61のみであり、また、正常用紙とその他の用紙Pとを分ける作業を行う必要がない。また、積載部32Aの排紙台61上の正常用紙は印刷画像の不良の発生を境に仕切られているため、ユーザが再印刷用紙を正常用紙に挿入する位置を容易に判断できる。したがって、印刷物を排紙先から取り出して正常な印刷物を得るための作業の効率を向上できる。
【0082】
また、印刷装置1では、積載部32Bの排紙台61に排紙される不良用紙と再印刷用紙とを仕切り用紙で仕切っている。これにより、ユーザが再印刷用紙を容易に取得できるので、正常用紙に再印刷用紙を挿入する作業の効率を向上できる。
【0083】
また、印刷装置1では、仕切り用紙に仕切り情報を印刷している。これにより、ユーザに仕切り情報を提供することで、ユーザによる再印刷用紙を取得する作業や正常用紙に再印刷用紙を挿入する作業等の効率を向上できる。
【0084】
なお、仕切り用紙に対する仕切り情報の印刷を省略してもよい。
【0085】
また、仕切り用紙の挿入ではなく、積載部32Bのエンドフェンス63およびオフセットフェンス64により再印刷用紙の載置位置を不良用紙に対してオフセットすることにより、不良用紙と再印刷用紙とを仕切るようにしてもよい。この場合、積載部32Bのエンドフェンス63およびオフセットフェンス64が第2仕切り手段に相当する。
【0086】
また、積載部32Aの排紙台61において、正常用紙をオフセットではなく仕切り用紙の挿入により仕切るようにしてもよい。
【0087】
上述した実施の形態では、印刷ジョブの途中で積載部32Aの排紙台61が満杯になることがあっても、印刷ジョブの終了後に欠落ページを印刷した。しかし、積載部32Aの排紙台61が満杯になって印刷ジョブを中断した際に欠落ページを印刷するようにしてもよい。この場合、満杯の積載部32Aの排紙台61から正常用紙を取り除く際に、積載部32Bの排紙台61から不良用紙および再印刷用紙も取り除くようにユーザに指示すればよい。なお、印刷ジョブの再開前の再印刷用紙と印刷ジョブの再開後の不良用紙との間を仕切り用紙の挿入やオフセットにより仕切るようにしてもよい。
【0088】
また、正常用紙を積載部32Bの排紙台61へ排紙し、不良用紙および再印刷用紙を積載部32Aの排紙台61へ排紙するようにしてもよい。
【0089】
また、印刷装置1が3つ以上の排紙台61を備え、正常用紙の排紙先として複数の排紙台61(第1排紙台)を用いてもよい。この場合でも、印刷画像の不良の発生を境に正常用紙を仕切ることで、印刷画像の不良が発生するごとに異なる排紙先に排紙する場合に比べれば、排紙先を少なく抑えることができる。このため、印刷物を排紙先から取り出して正常な印刷物を得るための作業の効率を向上できる。
【0090】
また、印刷装置1が3つ以上の排紙台61を備える場合において、正常用紙が排紙される排紙台61および不良用紙が排紙される排紙台61とは異なる排紙台61に再印刷用紙を排紙するようにしてもよい。
【0091】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0092】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0093】
(付記1)
用紙に印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段により印刷された用紙がそれぞれに排紙される第1排紙台および第2排紙台を含む複数の排紙台と、
前記複数の排紙台に選択的に用紙を排紙する排紙手段と、
前記第1排紙台に排紙される用紙を仕切る第1仕切り手段と、
印刷画像が正常な用紙である正常用紙を前記第1排紙台へ排紙し、印刷画像が不良な用紙である不良用紙を前記第2排紙台へ排紙するよう前記排紙手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、印刷画像の不良の発生を境に前記第1排紙台に排紙される前記正常用紙を前記第1仕切り手段により仕切るよう制御し、前記正常用紙が仕切られた箇所における欠落ページを前記印刷手段により用紙に印刷させ、前記欠落ページが印刷された用紙を前記第1排紙台以外の排紙台へ排紙するよう前記排紙手段を制御することを特徴とする印刷装置。
【0094】
(付記2)
前記第2排紙台に排紙される用紙を仕切る第2仕切り手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記欠落ページが印刷された用紙を前記第2排紙台へ排紙するよう前記排紙手段を制御するとともに、前記第2排紙台に排紙される前記不良用紙と前記欠落ページが印刷された用紙とを前記第2仕切り手段により仕切るよう制御することを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0095】
(付記3)
前記第2仕切り手段は、前記第2排紙台に排紙される用紙を仕切る箇所に仕切り用紙を挿入するものであり、
前記制御手段は、前記不良用紙と前記欠落ページが印刷された用紙とを識別するための情報を前記印刷手段により用紙に印刷させ、前記情報が印刷された用紙を前記第2仕切り手段に前記仕切り用紙として使用させることを特徴とする付記2に記載の印刷装置。
【符号の説明】
【0096】
1 印刷装置
2 給紙部
3 印刷部
4 画像検査部
5 排紙部
6 操作パネル
7 制御部
31 排紙搬送部
32,32A,32B 積載部
61 排紙台
62 昇降駆動部
63 エンドフェンス
64 オフセットフェンス
65 オフセット駆動部
図1
図2
図3
図4